説明

自動追尾受信方法及び自動追尾受信機

【課題】一つのパラボラアンテナ内に設置した複数の追尾輻射器の受信電界レベルが検波電圧の比較に必要な電界レベルより低くても自動追尾可能とする。
【解決手段】二つの追尾輻射器(右)3aと追尾輻射器(左)3bで受信した信号を、移相器(右)4aと移相器(左)4bを通して合成器5aで合成し、その合成信号を検波器6aで検波して得た検波値が最大になるように移相器(右)4aと移相器(左)4bの移相量を可変するようにしているため、同条件で片方の追尾輻射器が出力する信号を検波する場合と比較して、約二倍の大きさの信号に基づく検波が可能になる。そのため、二つの追尾輻射器を交互に切り替えながら、一つの追尾輻射器の出力信号で電波到来方向を推定する方式と比較し、約半分の強さの受信電界レベルの電波でも自動追尾受信が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動追尾受信方法及び自動追尾受信機に係り、特にパラボラアンテナに設置した複数の追尾輻射器の出力を用いて、マイクロ波の到来方向にアンテナビーム方向を自動追尾させる自動追尾受信方法及び自動追尾受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動追尾機能を備えたパラボラアンテナは、特許文献1に記載されているように、本線用一次放射器と同じ角度で取り付けられた4本の追尾用一次放射器を備えている。図9は、この自動追尾機能を備えたパラボラアンテナを有する自動追尾受信機の一例のブロック図を示す。同図において、パラボラアンテナのパラボラ鏡面1は、パラボラ鏡面1の焦点に設置した本線用一次放射器である主輻射器2への電波の受信電界レベルが最も高くなるように、到来する電波を集める特性を有している。主輻射器2はパラボラ鏡面1の焦点に設置され、本線の電波を受信する。
【0003】
また、追尾輻射器(右)3a、追尾輻射器(左)3b、追尾輻射器(上)3c、及び追尾輻射器(下)3dは4本の追尾用一次放射器で、それぞれ主輻射器2を中心に右側、左側、上側、及び下側の各位置に主輻射器2と同じ角度で設置されており、主輻射器2を中心に水平・垂直方向にオフセットした方向から到来する電波を受信する。
【0004】
タイミング発生回路21は、一定間隔(例えば10msec毎)のタイミングパルスを発生する。切替器22は、タイミング発生回路21から出力されるタイミングパルスに同期して、追尾輻射器3a〜3dのそれぞれの出力を順に切り替える。検波器23は、切替器22の出力信号(追尾輻射器3a〜3dの各出力信号)を検波する。
【0005】
演算器24は、タイミング発生回路21から出力されるタイミングパルスを基に、現在入力されている検波信号が追尾輻射器3a〜3dのうちどの追尾輻射器の検波信号かを判断し、さらに、追尾輻射器3a〜3dの各検波信号を比較して電波到来方向を算出する。つまり、演算器24は、追尾輻射器3a〜3dに到来する電波強さの強弱(受信電界レベルの強弱)により、電波の到来方向を算出する。サーボ8は演算器24から与えられる電波到来方向の情報により、雲台9を駆動する制御信号を生成する。雲台9は、この制御信号に基づいて、パラボラ鏡面1を電波到来方向へ向ける。
【0006】
【特許文献1】特開平9−8532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図9に示した自動追尾受信機では、パラボラ鏡面1の焦点に設置する主輻射器2に対し、4本の追尾輻射器3a〜3dはオフセットして設置しているため、主輻射器2に対して、追尾輻射器3a〜3dの受信電界レベルは低くなる。更に、図9に示した自動追尾受信機では、上下左右4つの追尾輻射器3a〜3dの出力信号を比較するため、多数の追尾輻射器を有していても同時に使用する追尾輻射器は一つしかない。
【0008】
従って、パラボラ鏡面1に入る電界レベルがあるレベルより低い場合、主輻射器2には受信機での復調が十分可能な電界レベルでも、追尾輻射器3a〜3dには検波電圧の比較に必要な電界レベルが入力されず、その結果、自動追尾が不可能な場合がある。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、一つのパラボラアンテナ内に設置した複数の追尾輻射器の受信電界レベルが検波電圧の比較に必要な電界レベルより低くても自動追尾可能な自動追尾受信方法及び自動追尾受信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の自動追尾受信方法は、一つのパラボラアンテナのパラボラ鏡面の焦点に設置された主輻射器の周囲に設置された複数の追尾輻射器でそれぞれ受信されて出力される受信信号に対して、複数の移相手段により互いに独立して与える移相量を、予め定めた移相量範囲内で段階的に可変する移相量可変ステップと、複数の移相手段から出力される受信信号のうち、2以上の受信信号同士を合成する一又は二以上の合成手段により合成する合成ステップと、合成手段から出力された合成信号を一又は二以上の検波手段で検波する検波ステップと、移相量可変ステップで複数の移相手段に対してそれぞれ与えた移相量と、検波手段からそれぞれ出力された検波信号の値とに基づいて、パラボラアンテナへの電波到来方向を算出する演算ステップと、演算ステップにより算出された電波到来方向の情報に基づいて制御信号を生成し、その制御信号によりパラボラ鏡面を、算出された電波到来方向に向けるステップとを含むことを特徴とする。
【0011】
また、上記の目的を達成するため、本発明の自動追尾受信機は、一つのパラボラアンテナのパラボラ鏡面の焦点に設置された主輻射器と、主輻射器の周囲に設置された複数の追尾輻射器と、複数の追尾輻射器からそれぞれ受信される受信信号を、外部から制御された移相量だけ互いに独立に移相する複数の移相手段と、複数の移相手段によりそれぞれ移相されて出力された各受信信号のうち、2以上の受信信号同士を合成する一又は二以上の合成手段と、合成手段から出力された合成信号を検波する一又は二以上の検波手段と、複数の移相手段に対してそれぞれ移相量を与えると共に、検波手段からそれぞれ出力された検波信号の値と複数の移相手段に与えた移相量とに基づいて、パラボラアンテナへの電波到来方向を算出する演算手段と、パラボラアンテナを駆動する駆動手段と、演算手段により算出された電波到来方向の情報に基づいて制御信号を生成し、その制御信号により駆動手段を制御してパラボラ鏡面を、算出された電波到来方向に向けるサーボ手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の追尾輻射器からの受信信号に対して移相量を与えてから合成し、その合成信号を検波して得た値と、各受信信号の移相量とに基づいて電波到来方向を算出しているので、一つの受信信号の検波値を用いて電波到来方向を算出する場合よりも低い受信電界レベルでも自動追尾ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
図1は、本発明になる自動追尾受信機の第1の実施形態のブロック図を示す。同図中、図9と同一構成部分には同一符号を付してある。図1において、一つのパラボラアンテナのパラボラ鏡面1は、パラボラ鏡面1の焦点に設置した主輻射器2への電波の受信電界レベルが最も高くなるように、到来する電波を集める特性を有している。主輻射器2は、パラボラ鏡面1の焦点に設置され、図中、右側にある図示しない電波源からの本線の電波を受信する。主輻射器2を中心に右側、左側、上側、及び下側の各位置に主輻射器2と同じ角度で設置された追尾輻射器(右)3a、追尾輻射器(左)3b、追尾輻射器(上)3c、及び追尾輻射器(下)3dによりそれぞれ受信して得られた信号は、移相器(右)4a、移相器(左)4b、移相器(上)4c、及び移相器(下)にそれぞれ供給される。
【0015】
上記の追尾輻射器(右)3aと追尾輻射器(左)3bとは、主輻射器2を中心に水平方向(大地面と平行な方向)にオフセットした方向から到来する電波を受信する。電波の到来方向がパラボラ鏡面1の真正面からの場合、追尾輻射器(右)3aと追尾輻射器(左)3bには、電波が同位相で到達する。また、電波の到来方向がパラボラ鏡面1の右又は左にオフセットした方角からの場合、追尾輻射器(右)3aと追尾輻射器(左)3bに到達する電波には位相差が生じる。
【0016】
移相器4aと移相器4bは、演算器7からの可変量の指示により位相シフト量(以下、移相量という)が可変制御され、それぞれ追尾輻射器(右)3aと追尾輻射器(左)3bの受信信号の位相を変化させる。追尾輻射器(右)3aと追尾輻射器(左)3bの受信信号に位相差が生じても、各移相器4aと4bとにより移相量を可変することで、上記の位相差を相殺することができる。
【0017】
合成器5aは、移相器(右)4aと移相器(左)4bの出力信号を合成して検波器6aへ出力する。検波器6aは合成器5aから出力された合成信号を検波して、合成信号レベルに応じた電気信号である検波信号に変換する。移相器(右)4aと移相器(左)4bの出力信号が同位相となった時、検波器6aの出力検波信号が最大となる。
【0018】
演算器7は、移相器(右)4aと移相器(左)4bの各移相量を変えながら、検波器6aの出力が最大となる位相を検索し、その最大時の移相量(位相変換量)から、追尾輻射器(右)3aと追尾輻射器(左)3bに到達する電波の位相差を計算し、水平方向の電波の到来方向を算出する。
【0019】
同様に、追尾輻射器(上)3cと追尾輻射器(下)3d、移相器(上)4cと移相器(下)4d、合成器5bと検波器6b、演算器7にて、垂直方向の電波到来方向を算出する。サーボ8は、演算器7から与えられる水平方向と垂直方向の電波到来方向の情報により、雲台9を駆動する制御信号を生成する。雲台9はサーボ8からの制御信号に基づいて、パラボラアンテナを回動してパラボラ鏡面1を電波到来方向に向ける。
【0020】
次に、図1に示す自動追尾受信機の第1の実施形態について、まず、自動追尾受信の全体の動作について、図1と図2に示すフローチャートを用いて説明する。
【0021】
図1に示す追尾輻射器(右)3a、追尾輻射器(左)3b、移相器(右)4a、移相器(左)4b、合成器5a、検波器6a、演算器7から構成される回路部により、水平方向の電波到来角を算出する(ステップS1)。サーボ8は、演算器7により算出された水平方向の電波到来角に基づいて制御信号を生成し、その制御信号により雲台9を水平方向に駆動し、パラボラ鏡面1が算出された上記の水平方向の電波到来方向を向くように制御する(ステップS2)。
【0022】
同様に、追尾輻射器(上)3c、追尾輻射器(下)3d、移相器(上)4c、移相器(下)4d、合成器5b、検波器6b、演算器7から構成される回路部により、垂直方向の電波到来角を算出する(ステップS3)。サーボ8は、演算器7により算出された垂直方向の電波到来角に基づいて制御信号を生成し、その制御信号により雲台9を垂直方向に駆動し、パラボラ鏡面1が算出された上記の垂直方向の電波到来方向を向くように制御する(ステップS4)。第1の実施形態の自動追尾受信機は、ステップS1〜S4を繰り返すことにより、電波到来方向が逐次変化しても自動で追尾受信を行うことができる。
【0023】
次に、図2のステップS1の水平方向の電波到来角の算出方法の詳細動作について、図1と図3に示すフローチャートと共に説明する。
【0024】
図1において、演算器7は、移相器(右)4aと移相器(左)4bに移相量の初期値(例えば移相量0)を設定する(ステップS11)。次に、演算器7は、検波器6aからの検波信号の値と、移相器(右)4aに与えた移相量とを保持する(ステップS12)。続いて、演算器7は、保持した移相量が指定値(例えば2π)に達したかどうか判定し(ステップS13)、達していなければ、移相器(右)4aに与える移相量を指定ステップ(例えばπ/180)増やす(ステップS14)。そして、演算器7は、再び検波器6aからの検波信号の値と、移相器(右)4aに与えた移相量とを保持する(ステップS12)。
【0025】
以下、上記と同様に、演算器7は、ステップS13により移相器(右)4aの移相量が2πに達したことが検出されるまで、移相器(右)4aの移相量を指定ステップ(例えばπ/180)ずつ段階的に増やす制御を行う(ステップS14、S12、S13)。この動作により、得られる移相量と検波値の特性例を図4(a)に示す。
【0026】
次に、演算器7は、移相器(右)4aに与えた、移相量が2πに達すると、ステップS12で保持した値より、検波器6aの出力検波信号の値(検波値)の最大値(例えば、図4(a)のA1)と、そのときの移相量(例えば、図4(a)のB1)とを保持する(ステップS15)。
【0027】
次に、演算器7は、移相器(右)4aと移相器(左)4bに再び移相量の初期値(例えば移相量0)を設定する(ステップS16)。続いて、演算器7は、検波器6aからの検波信号の値と、移相器(左)4bに与えた移相量とを保持する(ステップS17)。続いて、演算器7は、保持した移相量が指定値(例えば2π)に達したかどうか判定し(ステップS18)、達していなければ、移相器(左)4bに与える移相量を指定ステップ(例えばπ/180)増やす(ステップS19)。そして、演算器7は、再び検波器6aからの検波信号の値と、移相器(左)4bに与えた移相量とを保持する(ステップS17)。
【0028】
以下、上記と同様に、演算器7は、ステップS18により移相器(左)4bの移相量が2πに達したことが検出されるまで、移相器(左)4bの移相量を指定ステップ(例えばπ/180)ずつ段階的に増やす制御を行う(ステップS19、S17、S18)。この動作により、得られる移相量と検波値の特性例を図4(b)に示す。
【0029】
次に、演算器7は移相器(左)4bに与えた、移相量が2πに達すると、ステップS18にて保持した値より、検波器6aの出力検波値の最大値(例えば、図4(b)のA2)と、そのときの移相量(例えば、図4(b)のB2)とを保持する(ステップS20)。
【0030】
最後に、演算器7は、ステップS17で保持した値(検波値A1と移相量B1)と、ステップS20で保持した値(検波値A2と移相量B2)とから電波到来方向を算出する(ステップS21)。
【0031】
次に、図3のステップS21による検波値と移相量とから電波到来方向を算出する方法について、図5(a)、(b)の自動追尾受信機の要部の模式図を用いて説明する。図5(a)、(b)中、図1と同一構成部分には同一符号を付してある。
【0032】
図5(a)は、図1の第1の実施形態の自動追尾受信機のパラボラ鏡面と各輻射器の側面図であり、図5(b)は図5(a)のB−B線に沿う矢視方向の断面図である。図5(b)において、電波は、パラボラ鏡面1の正面からオフセットした電波到来方向10より到来しているとする。時刻t1にて同じ波面の電波は、時刻t2にパラボラ鏡面1に当たり、同時に反射する。しかし、その波面の電波は、時刻t3で追尾輻射器(左)3bに到達するが、追尾輻射器(右)3aには到達していない。
【0033】
パラボラ鏡面1からオフセットした方角から到来する電波は、各追尾輻射器に同時刻に到達しないという特徴がある。従って、この場合には、追尾輻射器(右)3aと追尾輻射器(左)3bで受信する電波には位相差(時間差)が生じる。この位相差を、図1の移相器(右)4aと移相器(左)4bで0になるように位相を合わせ、合成器5aで合成する。ここで、移相器(右)4aと移相器(左)4bの出力信号が同位相となる時、検波器6の検波値が最大となる。従って、検波器6の検波値が最大となる時、移相器(右)4aと移相器(左)4bから出力された信号の位相は同位相である。
【0034】
ここで、図3のステップS15で保持した検波値A1と図3のステップS20で保持した検波値A2を比較し、例えば、値の大きい方の検波値(例えばA1)の移相量(B1)により移相器(右)4aと移相器(左)4bから出力された信号の位相は同位相になる。その時、移相器(右)4aに設定した移相量(この場合、B1)より、追尾輻射器(右)3aと追尾輻射器(左)3bに到達する電波の位相差(時間差)を算出する。その位相差は、パラボラ鏡面1からの電波到来方向の角度によって異なる。従って、電波到来方向10を算出することが可能となる。
【0035】
なお、値の大きい方の検波値の移相量を用いるのは、検波値の値が大きい方がより正確に移相量を求められる等の理由からであるが、値の小さい方の検波値の移相量を用いてもよい。
【0036】
このように、本実施形態によれば、二つの追尾輻射器(右)3aと追尾輻射器(左)3bで受信した信号を、移相器(右)4aと移相器(左)4bを通して合成器5aで合成し、その合成信号を検波器6aで検波して得た検波値が最大になるように移相器(右)4aと移相器(左)4bの移相量を可変するようにしているため、同条件で片方の追尾輻射器が出力する信号を検波する場合と比較して、約二倍の大きさの信号に基づく検波が可能になる。
【0037】
そのため、二つの追尾輻射器を交互に切り替えながら、一つの追尾輻射器の出力信号で電波到来方向を推定する方式と比較し、本実施形態によれば、約半分の強さの受信電界レベルの電波でも自動追尾受信が可能である。つまり、背景技術で説明した自動追尾受信機に比べて低い受信電界レベルでも自動追尾が可能ということである。
【0038】
以上、詳細に実施形態を述べたが、水平方向の電波到来方向の算出(ステップS1)と垂直方向の電波到来方向の算出(ステップS3)アルゴリズムはLMS(Least Mean Square)アルゴリズム等、他の方法により算出してもよい。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図6は、本発明になる自動追尾受信機の第2の実施形態のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。本実施形態の基本的構成は上記の第1の実施形態の通りであるが、本実施形態は、合成器11、検波器12及び演算器13が第1の実施形態と異なる。
【0040】
すなわち、本実施形態では、合成器11は、4つの移相器(右)4a、移相器(左)4b、移相器(上)4c、及び移相器(下)4dの各出力信号をそれぞれ同時に合成する。検波器12は合成器11の出力合成信号を検波する。演算器13は一つの検波器12の出力信号のみより、移相器(右)4a、移相器(左)4b、移相器(上)4c、及び移相器(下)4dの各移相量をそれぞれ同時に可変制御する。
【0041】
この実施形態では、演算器13は、例えば以下のアルゴリズムに基づいて、移相器(右)4a、移相器(左)4b、移相器(上)4c、及び移相器(下)4dの各移相量をそれぞれ制御して電波到来方向を算出する。すなわち、演算器13は、4つの移相器(右)4a、移相器(左)4b、移相器(上)4c、及び移相器(下)4dに移相量の初期値(例えば移相量0)を設定した後、まずその中の一つの移相器、例えば移相器(右)4aに与える移相量を、その移相量が2πに達するまで指定ステップ(例えばπ/180)ずつ段階的に増やす。そして、そのときの最大検波値と、その最大検波値が得られたときの移相量とを保持する。
【0042】
続いて、演算器13は、再び上記の初期状態に設定した後、今度は2つ目の移相器(左)4bについてのみ、上記と同様の0〜2πの範囲の移相量の段階的な可変制御を行い、それにより得られた最大検波値と、その最大検波値が得られたときの移相量とを保持する。そして、上記により得られた2つの最大検波値のうち大きな方の最大検波値と、その最大検波値が得られたときの移相量とに基づいて水平方向の電波到来方向を算出する。
【0043】
残りの移相器(上)4c及び移相器(下)4dについても、前記初期状態に設定した後、一つの移相器についてのみ、上記と同様の0〜2πの範囲の移相量の段階的な可変制御を行い、それにより得られた最大検波値と、その最大検波値が得られたときの移相量とを保持する動作を順次に行う。これにより得られた2つの最大検波値のうち大きな方の最大検波値と、その最大検波値が得られたときの移相量とに基づいて垂直方向の電波到来方向を算出する。
【0044】
なお、演算器13による電波到来方向の算出方法は、上記の方法に限定されるものではなく、他の種々の方法が考えられ、例えば、以下の方法でもよい。演算器13は、4つの移相器(右)4a、移相器(左)4b、移相器(上)4c、及び移相器(下)4dに移相量の初期値(例えば移相量0)を設定した後、まずその中の一つの移相器のみ、例えば移相器(右)4aのみに対して0〜2πの範囲の移相量の段階的な可変制御を行い、それにより得られた最大検波値と、その最大検波値が得られたときの移相量とを保持する。続いて、演算器13は、移相器(右)4aの移相量は最大検波値が得られたときの移相量に固定し、残りの3つの移相器のうち例えば、移相器(左)4bのみに対して0〜2πの範囲の移相量の段階的な可変制御を行い、それにより得られた最大検波値と、その最大検波値が得られたときの移相量とを保持する。
【0045】
続いて、演算器13は、移相器(右)4aと、移相器(左)4bの移相量はそれぞれ最大検波値が得られたときの移相量に固定し、残りの2つの移相器のうち例えば、移相器(上)4cのみに対して0〜2πの範囲の移相量の段階的な可変制御を行い、それにより得られた最大検波値と、その最大検波値が得られたときの移相量とを保持する。同様に、演算器13は、移相器(右)4aと、移相器(左)4b、移相器(上)4cの移相量はそれぞれ最大検波値が得られたときの移相量に固定し、残りの移相器(下)4dのみに対して0〜2πの範囲の移相量の段階的な可変制御を行い、それにより得られた最大検波値と、その最大検波値が得られたときの移相量とを保持する。そして、演算器13は、4つの最大検波値を比較し、最大検波値が得られたときの移相量に基づいて、電波到来方向を算出する。
【0046】
サーボ8は、演算器13から与えられる電波到来方向の情報により、雲台9を駆動する制御信号を生成する。雲台9はサーボ8からの制御信号に基づいて、パラボラアンテナを回動してパラボラ鏡面1を電波到来方向に向ける。
【0047】
このように、本実施形態によれば、4つの追尾輻射器(右)3a、追尾輻射器(左)3b、追尾輻射器(上)3c、及び追尾輻射器(下)3dの出力信号を、移相器(右)4aと移相器(左)4b、移相器(上)4c、及び移相器(下)4dを通して一つの合成器11で合成し、その合成信号を一つの検波器12で検波して得た検波値に基づいて、演算器13が電波到来方向を算出するようにしているため、2つの追尾輻射器の出力を合成して得た信号の検波値から垂直方向又は水平方向の電波到来方向を算出する第1の実施形態と比べて、検波器12の入力信号レベルが大であり、その結果、第1の実施形態によりも更に低い受信電界レベルでも、自動追尾が可能という効果が得られる。さらに、本実施形態において、追尾輻射器の数を任意に増やして構成してもよい。
【0048】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図7は、本発明になる自動追尾受信機の第3の実施形態のブロック図を示す。同図中、図6と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。本実施形態の基本的構成は上記の第2の実施形態の通りであるが、本実施形態は、追尾輻射器のパラボラアンテナ上の配置が第1及び第2の実施形態とは異なる。
【0049】
そこで、まず、追尾輻射器のパラボラアンテナ上の配置について、図8と共に説明する。図8(a)は、基本構成のパラボラ鏡面と各輻射器の側面図であり、同図(b)は同図(a)のA−A線に沿う矢視方向の断面図である。図1の第1の実施形態、及び図6の第2の実施形態の自動追尾受信機の追尾輻射器は、図8(a)、(b)に示すように、主輻射器2に対し、水平面上の右側に位置する追尾輻射器(右)3a及び左側に位置する追尾輻射器(左)3bと、垂直面上の上側に位置する追尾輻射器(上)3c及び下側に位置する追尾輻射器(下)3dとからなる。
【0050】
これに対し、本実施形態の4つの追尾輻射器は、図8(a)、(b)に示した4つの追尾輻射器3a〜3dを45度傾けて、図8(c)に示す配置にしたものである。すなわち、図8(c)に示すように、本実施形態の追尾輻射器は、主輻射器2に対して、右斜め上に配置された追尾輻射器(右上)3eと、左斜め下に配置された追尾輻射器(左下)3fと、左斜め上に配置された追尾輻射器(左上)3gと、右斜め下に配置された追尾輻射器(右下)3hとからなる。
【0051】
図7に戻って説明する。図7において、パラボラアンテナのパラボラ鏡面1は、パラボラ鏡面1の焦点に設置した主輻射器2への電波の受信電界レベルが最も高くなるように、到来する電波を集める特性を有している。主輻射器2は、パラボラ鏡面1の焦点に設置され、本線の電波を受信する。追尾輻射器(右上)3e、追尾輻射器(左上)3g、追尾輻射器(右下)3h、及び追尾輻射器(左下)3fは、主輻射器2を中心に水平・垂直方向にオフセットした方向から到来する電波を受信する。電波の到来方向がパラボラ鏡面の真正面からの場合、各追尾輻射器3e〜3hには、電波が同位相で到達し、電波の到来方向がパラボラ鏡面1の上下左右にオフセットした方角からの場合、各追尾輻射器3e〜3hに到達する電波には位相差が生じる。
【0052】
移相器(右上)4e、移相器(左上)4g、移相器(右下)4h、移相器(左下)4fは、それぞれ追尾輻射器(右上)3e、追尾輻射器(左上)3g、追尾輻射器(右下)3h、及び追尾輻射器(左下)3fから供給される受信信号の位相を、演算器13からの指示シフト量だけ位相シフト(移相)する。追尾輻射器(右上)3e、追尾輻射器(左上)3g、追尾輻射器(右下)3h、及び追尾輻射器(左下)3fからの各受信信号に位相差が生じても、移相器(右上)4e、移相器(左上)4g、移相器(右下)4h、移相器(左下)4fによる移相量を可変することにより、位相差を相殺することができる。
【0053】
合成器11は、4つの移相器(右上)4e、移相器(左上)4g、移相器(右下)4h、移相器(左下)4fの各出力信号が共通に供給されてこれらを合成して検波器12へ出力する。検波器12は、合成器11から出力された合成信号を検波して合成信号レベルに検波信号を出力する。移相器(右上)4e、移相器(左上)4g、移相器(右下)4h、移相器(左下)4fの各出力信号が同位相となった時、検波器6の出力信号の値(検波値)が最大となる。
【0054】
演算器15は、検波器12から出力された検波信号を入力として受け、垂直方向の電波到来角を算出する時、移相器(右上)4eと移相器(左上)4gの二つの移相器に同じ値を設定し、移相器(右下)4hと移相器(左下)4fの二つの移相器に同じ値を設定し、各々対で位相を可変して検波器12の出力検波値が最大となる位相を検索する。同様に、演算器15は、水平方向の電波到来角を算出する時は、移相器(右上)4eと移相器(右下)4hの二つの移相器に同じ値を設定し、移相器(左上)4gと移相器(左下)4fの二つの移相器に同じ値を設定し、各々対で位相を可変して検波器12の出力検波値が最大となる位相を検索する。
【0055】
更に、演算器15は、各移相器4e〜4hの位相を変えながら、検波器12の出力検波値が最大となる位相を検索し、その最大検波値が得られる時の移相量から、各追尾輻射器3e〜3hに到達する電波の位相差を計算し、電波の到来角を算出する。サーボ8は演算器15から与えられる電波到来方向の情報により、雲台9を駆動する制御信号を生成する。雲台9は、サーボ8からの制御信号に基づいて、パラボラ鏡面1を電波到来方向へ向ける。
【0056】
このように、本実施形態では、4つの追尾輻射器(右上)3e、追尾輻射器(左上)3g、追尾輻射器(右下)3h、及び追尾輻射器(左下)3fの出力信号を移相器(右上)4e、移相器(左上)4g、移相器(右下)4h、移相器(左下)4fを通して合成器11で一つの合成信号に合成し、その合成信号を検波器12で検波して得た検波値に基づいて、演算器15が電波到来方向を算出するようにしているため、2つの追尾輻射器の出力を合成して得た信号の検波値から垂直方向又は水平方向の電波到来方向を算出する第1の実施形態と比べて、検波器12の入力信号レベルが大であり、その結果、第1の実施形態によりも更に低い受信電界レベルでも、自動追尾が可能という効果が得られる。更に、本実施形態において、追尾輻射器の数を任意に増やして構成してもよい。
【0057】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、例えば、図8(c)の配置の4つの追尾輻射器3e〜3hの各出力信号を2つずつ合成して2つの合成信号を得た後、2つの検波器でそれぞれ検波してから、それらの検波信号を演算器に供給する構成も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の自動追尾受信機の第1の実施形態のブロック図である。
【図2】図1の自動追尾受信機の自動追尾受信方法の一実施形態を説明するフローチャートである。
【図3】図2中の水平方向の電波到来角の算出ステップの詳細を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の自動追尾受信機の動作例を説明する移相量と検波値の特性例を示す図である。
【図5】本発明の自動追尾受信機による電波到来方向の算出方法の一例を説明する図である。
【図6】本発明の自動追尾受信機の第2の実施形態のブロック図である。
【図7】本発明の自動追尾受信機の第3の実施形態のブロック図である。
【図8】本発明における追尾輻射器のパラボラアンテナ上の配置について説明する図である。
【図9】本発明に関連する自動追尾受信機の一例のブロック図である。
【符号の説明】
【0059】
1 パラボラ鏡面
2 主輻射器
3a、3b、3c、3d、3e、3f、3g、3h 追尾輻射器
4a、4b、4c、4d、4e、4f、4g、4h 移相器
5a、5b、11 合成器
6a、6b、12 検波器
7、13、15 演算器
8 サーボ
9 雲台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つのパラボラアンテナのパラボラ鏡面の焦点に設置された主輻射器の周囲に設置された複数の追尾輻射器でそれぞれ受信されて出力される受信信号に対して、複数の移相手段により互いに独立して与える移相量を、予め定めた移相量範囲内で段階的に可変する移相量可変ステップと、
前記複数の移相手段から出力される前記受信信号のうち、2以上の受信信号同士を合成する一又は二以上の合成手段により合成する合成ステップと、
前記合成手段から出力された合成信号を一又は二以上の検波手段で検波する検波ステップと、
前記移相量可変ステップで前記複数の移相手段に対してそれぞれ与えた前記移相量と、前記検波手段からそれぞれ出力された検波信号の値とに基づいて、前記パラボラアンテナへの電波到来方向を算出する演算ステップと、
前記演算ステップにより算出された前記電波到来方向の情報に基づいて制御信号を生成し、その制御信号により前記パラボラ鏡面を、算出された前記電波到来方向に向けるステップと
を含むことを特徴とする自動追尾受信方法。
【請求項2】
前記複数の追尾輻射器は4つの追尾輻射器であり、
前記合成ステップは、前記移相量可変ステップで前記移相量が与えられた前記4つの追尾輻射器のうち所定の2つの追尾輻射器からの受信信号を合成して第1の合成信号を出力すると共に、前記移相量可変ステップで前記移相量が与えられた前記4つの追尾輻射器のうち残りの2つの追尾輻射器からの受信信号を合成して第2の合成信号を出力し、前記検波ステップは、前記第1の合成信号を検波すると共に、前記第2の合成信号を検波し、
前記演算ステップは、前記第1の合成信号を検波して得た第1の検波値の最大値と、その最大値が得られるときの前記所定の2つの追尾輻射器からの受信信号に対して与えた前記移相量とに基づいて、水平方向及び垂直方向のうち一方の方向の第1の電波到来角を算出すると共に、前記第2の合成信号を検波して得た第2の検波値の最大値と、その最大値が得られるときの前記残りの2つの追尾輻射器からの受信信号に対して与えた前記移相量とに基づいて、水平方向及び垂直方向のうち他方の方向の第2の電波到来角を算出することを特徴とする請求項1記載の自動追尾受信方法。
【請求項3】
前記複数の追尾輻射器は4つの追尾輻射器であり、
前記合成ステップは、前記移相量可変ステップで前記移相量が与えられた前記4つの追尾輻射器からの各受信信号を合成した一つの合成信号を出力し、前記検波ステップは、前記合成信号を検波して検波信号を出力し、
前記演算ステップは、前記検波信号を検波して得た値の最大値と、その最大値が得られるときの前記4つの追尾輻射器からの各受信信号に対して与えた前記移相量とに基づいて、電波到来角を算出することを特徴とする請求項1記載の自動追尾受信方法。
【請求項4】
前記4つの追尾輻射器は、
前記主輻射器を中心に右側と左側にそれぞれ設置され、前記主輻射器を中心に水平方向にオフセットした方向から到来する電波を受信するための第1及び第2の追尾輻射器と、
前記主輻射器を中心に上側と下側にそれぞれ設置され、前記主輻射器を中心に垂直方向にオフセットした方向から到来する電波を受信するための第3及び第4の追尾輻射器とよりなることを特徴とする請求項1又は2記載の自動追尾受信方法。
【請求項5】
前記4つの追尾輻射器は、前記主輻射器を中心に右上側と左上側にそれぞれ設置された第1及び第2の追尾輻射器と、前記主輻射器を中心に右下側と左下側にそれぞれ設置された第3及び第4の追尾輻射器とよりなり、
前記移相量可変ステップは、前記第1、第2、第3、第4の追尾輻射器からの各受信信号を別々に移相する第1、第2、第3、第4の移相器に対して与える移相量を予め定めた移相量範囲内で段階的に可変設定し、
前記演算ステップは、
前記第1及び第2の移相器に同じ第1の移相量を設定すると共に、前記第3及び第4の移相器に同じ第2の移相量を設定し、各々対で移相量を順次可変するように制御して前記検波器から最大値の検波信号が出力される移相量を検索し、そのときの最大検波値と移相量とに基づいて、垂直方向の第1の電波到来角を算出し、前記第1及び第3の移相器に同じ第3の移相量を設定すると共に、前記第2及び第4の移相器に同じ第4の移相量を設定し、各々対で移相量を順次可変するように制御して前記検波器から最大値の検波信号が出力される移相量を検索し、そのときの最大検波値と移相量とに基づいて、水平方向の第2の電波到来角を算出することを特徴とする請求項3記載の自動追尾受信方法。
【請求項6】
一つのパラボラアンテナのパラボラ鏡面の焦点に設置された主輻射器と、
前記主輻射器の周囲に設置された複数の追尾輻射器と、
前記複数の追尾輻射器からそれぞれ受信される受信信号を、外部から制御された移相量だけ互いに独立に移相する複数の移相手段と、
前記複数の移相手段によりそれぞれ移相されて出力された各受信信号のうち、2以上の受信信号同士を合成する一又は二以上の合成手段と、
前記合成手段から出力された合成信号を検波する一又は二以上の検波手段と、
前記複数の移相手段に対してそれぞれ前記移相量を与えると共に、前記検波手段からそれぞれ出力された検波信号の値と前記複数の移相手段に与えた前記移相量とに基づいて、前記パラボラアンテナへの電波到来方向を算出する演算手段と、
前記パラボラアンテナを駆動する駆動手段と、
前記演算手段により算出された前記電波到来方向の情報に基づいて制御信号を生成し、その制御信号により前記駆動手段を制御して前記パラボラ鏡面を、算出された前記電波到来方向に向けるサーボ手段と
を有することを特徴とする自動追尾受信機。
【請求項7】
前記複数の追尾輻射器は4つの追尾輻射器であり、
前記移相手段は前記4つの追尾輻射器からの各受信信号を別々に移相する4つの移相器からなり、
前記合成手段は、前記4つの移相器のうち所定の2つの移相器からの信号を合成する第1の合成器と、前記4つの移相器のうち残りの2つの移相器からの信号を合成する第2の合成器とからなり、
前記検波手段は、前記第1の合成器から出力される第1の合成信号を検波する第1の検波器と、前記第2の合成器から出力される第2の合成信号を検波する第2の検波器とからなり、
前記演算手段は、
前記第1の検波器から出力された検波信号の値の最大値と、その最大値が得られるときの前記所定の2つの移相器に与えた前記移相量とに基づいて、水平方向及び垂直方向のうち一方の方向の第1の電波到来角を算出する第1の算出手段と、
前記第2の検波器から出力された検波信号の値の最大値と、その最大値が得られるときの前記残りの2つの移相器に与えた前記移相量とに基づいて、水平方向及び垂直方向のうち他方の方向の第2の電波到来角を算出する第2の算出手段とを備え、
前記サーボ手段は、
前記第1の電波到来角に基づいて、前記パラボラ鏡面を前記第1の電波到来角の方向に向くように前記雲台を制御する第1の制御信号を生成した後、前記第2の電波到来角に基づいて、前記パラボラ鏡面を前記第2の電波到来角の方向に向くように前記雲台を制御する第2の制御信号を生成することを特徴とする請求項6記載の自動追尾受信機。
【請求項8】
前記複数の追尾輻射器は4つの追尾輻射器であり、
前記移相手段は前記4つの追尾輻射器からの各受信信号を別々に移相する4つの移相器からなり、
前記合成手段は、前記4つの移相器からの各信号を合成する一つの合成器からなり、
前記検波手段は、前記合成器から出力される合成信号を検波する一つの検波器からなり、
前記演算手段は、前記検波器から出力された検波信号の値の最大値と、その最大値が得られるときの前記4つの移相器に与えた前記移相量とに基づいて、電波到来角を算出する算出手段を備え、
前記サーボ手段は、前記電波到来角に基づいて、前記パラボラ鏡面を前記電波到来角の方向に向くように前記雲台を制御する制御信号を生成することを特徴とする請求項6記載の自動追尾受信機。
【請求項9】
前記4つの追尾輻射器は、
前記主輻射器を中心に右側と左側にそれぞれ設置され、前記主輻射器を中心に水平方向にオフセットした方向から到来する電波を受信するための第1及び第2の追尾輻射器と、
前記主輻射器を中心に上側と下側にそれぞれ設置され、前記主輻射器を中心に垂直方向にオフセットした方向から到来する電波を受信するための第3及び第4の追尾輻射器とよりなることを特徴とする請求項7又は8記載の自動追尾受信機。
【請求項10】
前記4つの追尾輻射器は、
前記主輻射器を中心に右上側と左上側にそれぞれ設置された第1及び第2の追尾輻射器と、前記主輻射器を中心に右下側と左下側にそれぞれ設置された第3及び第4の追尾輻射器とよりなり、
前記移相手段は、前記第1、第2、第3、第4の追尾輻射器からの各受信信号を別々に移相する第1、第2、第3、第4の移相器からなり、
前記演算手段は、
前記第1及び第2の移相器に同じ第1の移相量を設定すると共に、前記第3及び第4の移相器に同じ第2の移相量を設定し、各々対で移相量を順次可変するように制御して前記検波器から最大値の検波信号が出力される移相量を検索し、そのときの最大検波値と移相量とに基づいて、垂直方向の第1の電波到来角を算出する第1の算出手段と、
前記第1及び第3の移相器に同じ第3の移相量を設定すると共に、前記第2及び第4の移相器に同じ第4の移相量を設定し、各々対で移相量を順次可変するように制御して前記検波器から最大値の検波信号が出力される移相量を検索し、そのときの最大検波値と移相量とに基づいて、水平方向の第2の電波到来角を算出する第2の算出手段と、
前記サーボ手段は、
前記第1の電波到来角に基づいて、前記パラボラ鏡面を前記第1の電波到来角の方向に向くように前記雲台を制御する第1の制御信号を生成した後、前記第2の電波到来角に基づいて、前記パラボラ鏡面を前記第2の電波到来角の方向に向くように前記雲台を制御する第2の制御信号を生成することを特徴とする請求項8記載の自動追尾受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−124014(P2010−124014A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292890(P2008−292890)
【出願日】平成20年11月17日(2008.11.17)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】