説明

自己乳化顔料

本発明は、顔料の表面上に化学的に固定された少なくとも2つの表面活性剤を有する表面改変顔料に関する。第1の表面活性剤は、約10以上のHLBを有し、第2の表面活性剤は、9以下のHLBを有し、そして第1の表面活性剤と第2の表面活性剤との間のHLBの差は、少なくとも約5である。表面改変顔料は、自己乳化し、水系化粧品システムおよび洗面製品における用途に適用可能である。本発明は、ファンデーション、リップスティック、ローションおよびクリームのような化粧品製品のための表面処理された顔料に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ファンデーション、リップスティック、ローションおよびクリームのような化粧品製品のための表面処理された顔料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、顔料は、より滑らかなコンシステンシーを有する長期耐久性化粧品を提供するように改善されてきた。これらの望ましい特色を得るために、顔料での表面処理の疎水特性、および油相中への表面処理顔料の分散性の改善に、主として焦点が当てられてきた。しかし、顔料が化粧品システム(例えば、ファンデーション、リップスティック、ローション、またはクリーム)において使用される場合、顔料は、皮膚から化粧品顔料を除去するのを容易にするために、水相中に分散されなければならない。現在の疎水性顔料を水相中に分散させるために、乳化剤(しばしば、多くの乳化剤)が、代表的に使用される。これらの乳化剤無しでの、水系システムでの分散は、しばしば、問題である。しかし、乳化剤の使用はまた、乳化剤が、皮膚および眼の粘膜を、特に、感受性の状態を有する個体で、刺激する傾向があるので、欠点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、有意な量の乳化剤を使用しないで、化粧品システムで使用され得る顔料が、当該分野において必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、顔料の表面上に化学的に固定された少なくとも2つの表面活性剤を有する表面改変顔料に関し、ここで、この第1の表面活性剤が、約10以上の親水性−親油性バランスを有し、第2の表面活性剤が、約9以下の親水性−親油性バランスを有し、そして第1の表面活性剤と第2の表面活性剤との間の親水性−親油性バランスの差が、少なくとも約5である。第1の表面活性剤は、カルボキシル基、リン含有基、イオウ含有基、およびシラン基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を含み、第2の表面活性剤が、カルボキシル基、リン含有基、およびシラン基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を含む。
【0005】
本発明はまた、水性(waterborne)表面改変顔料組成物であって、この組成物中に5重量%未満の界面活性剤を含む、組成物に関する。
【0006】
本発明はまた、表面改変顔料を作製するための方法に関し、以下の工程:(a)顔料を提供する工程、および(b)該顔料の表面に少なくとも2つの表面活性剤を化学的に固定して、表面改変顔料を作製する工程、を包含する。この第1の表面活性剤は、約10以上の親水性−親油性バランスを有し、第2の表面活性剤は、約9以下の親水性−親油性バランスを有し、第1の表面活性剤と第2の表面活性剤との間の親水性−親油性バランスの差が、少なくとも約5である。この第1の表面活性剤は、カルボキシル基、リン含有基、イオウ含有基、およびシラン基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を含み、第2の表面活性剤は、カルボキシル基、リン含有基、およびシラン基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(発明の詳細な説明)
本発明は、顔料の表面上に化学的に固定された少なくとも2つの表面活性剤を有する表面改変顔料に関する。第1の表面活性剤は、比較的高い親水性−親油性バランス(HLB)を有し、第2の表面活性剤は、比較的低いHLBを有する。一緒に使用される場合、両方の表面活性剤の望ましい機能を有する顔料が与えられる。比較的低いHLBを有する表面活性剤は、顔料の表面上に疎水特性を与え、これは、顔料の固有の強い親水性特性に関連する分解特性(例えば、汗と接触した場合の退色および/または変色)を、顔料が示すことを妨げるのに役立つ。比較的高いHLBを有する表面活性剤は、顔料の表面上に親水性特性を与え、その結果、顔料は、さらなる乳化剤の必要なしに、水系(water−based)化粧品システム中に分散し得る。顔料が表面処理された後に添加され、表面処理された顔料組成物中のみに存在する従来の乳化剤とは異なり、これらの表面活性剤は、顔料の表面上に化学的に固定されている。しかし、これらの表面活性剤の機能は、依然として、顔料を水系化粧品システム中に分散させるのに十分な様式で作用する。従って、2つのタイプの表面活性剤で改変された場合、表面改変顔料が自己乳化性であるので、顔料が処理された後に、さらなる乳化剤を必要としない。
【0008】
本明細書中で使用される、用語「顔料」は、顔料および顔料増量剤(pigment extender)を含む。表面活性剤によって固定され得る当該分野で公知の任意の有機または無機の顔料または顔料増量剤が使用され得るが、無機顔料が好ましい。受容可能な顔料としては、限定しないが、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ジルコニウム、酸化鉄、ウルトラマリンブルー、雲母、タルク、酸化クロム、シリカビーズ、ナイロンビーズ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、デンプン、綿粉末(cotton powder)、およびビーズ状(beadyl)ビーズが挙げられる。
【0009】
用語「表面活性剤」は、化合物の表面に影響を与える能力を有する当該分野で公知の全ての化学物質(限定しないが、界面活性剤、洗浄剤、湿潤剤、および乳化剤が挙げられる)を含む。
【0010】
比較的高いHLBを有する第1の表面活性剤は、約10以上のHLBを有する。好ましくは、HLBは、約13以上であり、最も好ましくは、第1の表面活性剤のHLBは、約17以上の範囲である。
【0011】
比較的低いHLBを有する第2の表面活性剤は、約9以下のHLBを有する。好ましくは、HLBは、約6以下であり、最も好ましくは、第2の表面活性剤のHLBは、約1〜約4の範囲である。
【0012】
第1の表面活性剤と第2の表面活性剤のHLB値の違いは、少なくとも約5である。好ましくは、HLBの違いは、少なくとも約8、より好ましくは、約11であり、最も好ましくは、HLBの違いは、約13〜約19の範囲である。
【0013】
顔料は、1つ以上の第1の表面活性剤および1つ以上の第2の表面活性剤で改変され得る。しかし、1つより多くの第1の表面活性剤および1つより多くの第2の表面活性剤が使用され得るが、5以上のHLBの差は、1つの第1の表面活性剤と1つの第2の表面活性剤についてのみ満たされる必要がある。この顔料に他の表面活性剤のさらなる機能を与えるために、この顔料にさらなる表面活性剤を加えることが望ましくあり得る。しかし、これらのさらなる表面活性剤は、本明細書中に記載される第1の表面活性剤および第2の表面活性剤の範囲内に必ずしも制限されない。
【0014】
好ましくは、第1の表面活性剤は、1つ以上の反応性基(例えば、カルボキシル基、リン含有基、イオウ含有基、またはシラン基)を有する化合物である。好ましくは、第1の表面活性剤はまた、1つ以上のヒドロキシル基またはアルキレンオキシド部分(例えば、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシド)を有する。
【0015】
本発明のより好ましい局面において、第1の表面活性剤は、式I〜VIIによって表される以下の構造から選択される化合物である:
【0016】
【化25】

ここで、Y、Y、Y、およびYは、水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、またはオキソ基から独立して選択され、但し、Y、Y、Y、およびYの少なくとも1つがヒドロキシル基であり;そして
Mが、水素または金属もしくはその等価体のいずれかであり;
【0017】
【化26】

ここで、Y、Y、YおよびYは、独立して、水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、またはオキソ基から選択され、但し、Y、Y、YおよびYのうちの少なくとも1つは、ヒドロキシル基であり;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【0018】
【化27】

ここで、Rは、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換され、そして1つ以上のアルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によってさらに置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【0019】
【化28】

ここで、
は、エチレン、プロピレン、またはブチレンであり;
nは、1〜60の整数であり;
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【0020】
【化29】

ここで、
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換され、1つ以上のアルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によってさらに置換され得;そして
およびRは、独立して、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
【0021】
【化30】

ここで、
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換され、1つ以上のアルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によってさらに置換され得;
nが、1〜60の整数であり;
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【0022】
【化31】

ここで、
は、水素基、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基で置換され得、1つ以上のアルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によってさらに置換され得;そして
mが、0〜2の整数であり、m=0の場合、式VIIは、α−アミノ酸を表し、m=1の場合、式VIIは、β−アミノ酸を表し、そしてm=2の場合、式VIIは、γ−アミノ酸を表す。
【0023】
置換基Mが化合物内に存在する場合、Mは、水素または金属もしくはその等価体のいずれかを表す。水素を表す場合、カルボキシル基が形成され、従って、この化合物に存在し;金属もしくはその等価体を表す場合、カルボキシル基の塩が形成され、従って、この化合物中に存在する。もちろん、任意の塩と同様に、金属もしくはその等価体は、全体的に正の電荷を保持し、酸素は、全体的に負の電荷を保持する。好ましくは、金属としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、および亜鉛が挙げられ、好ましくは、金属等価体としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、およびアンモニウムのようなアミン、ならびにリジンおよびアルギニンのような有機塩基が挙げられる。
【0024】
以下に提供されるものを除いて、上記式中の可能な置換基として列挙されるアルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkynyl)基、およびアルコキシ基は、好ましくは、1〜24個の炭素原子、より好ましくは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基に基づき;アリール基、シクロアルキル基、およびアリールアルキル基は、好ましくは、6〜24個の炭素原子、より好ましくは、6〜10個の炭素原子を含む。
【0025】
式Iにおいて、Y、Y、Y、およびYは、好ましくは、全てヒドロキシル基であり;式IIにおいて、Yは、好ましくは、オキソ基であり、そしてY、YおよびYは、好ましくは、全てヒドロキシル基であり;式IIIにおいて、Rは、好ましくは、1〜6個のヒドロキシル基で置換されたアルキル基(例えば、エチル、ペンチル、ヘキシル、またはヘプタデシル(C17)基)、または1〜3個のヒドロキシル基で置換されたベンジル基であり;式IVにおいて、Rは、好ましくは、非置換アルキル基またはカルボキシル基で置換されたアルキル基であり;式Vにおいて、RおよびRは、それぞれ好ましくは、アルキル基(例えば、メチル基)であり;式VIにおいて、Rは、好ましくは、ヒドロキシル基で置換されたアルキル基(例えば、エチル基)であり、nは好ましくは、1または3である。
【0026】
最も好ましくは、第1の表面活性剤は、ラクテート、グルコネート、ガラクツロン酸、グルカロラクトン、没食子酸、グルコヘプタン酸、アミノ酸(例えば、トレオニンおよびセリン)、12−ヒドロキシステアリン酸、ラウリルアミドベタイン、ステアリルアンホアセテート(amphoacetate)、ラウリルアンホプロピオネート、ステアリルアンホプロピオネートである。
【0027】
第2の表面活性剤は、好ましくは、1つ以上の反応性基(例えば、カルボキシル基、リン含有基、またはシラン基)を有するが、ヒドロキシル基もアルキレンオキシド部分も有さない化合物である。ヒドロキシル基およびアルキレンオキシド部分を含まないことによって、第2の表面活性剤が、低いHLBを保持し得る。
【0028】
本発明のより好ましい局面において、第2の表面活性剤は、式VIII〜XIIによって表される以下の構造から選択される:
【0029】
【化32】

ここで、
、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
nは、1〜60の整数であり;
【0030】
【化33】

ここで、
、およびRは、それぞれ独立して、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【0031】
【化34】

ここで、
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【0032】
【化35】

ここで、
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【0033】
【化36】

ここで、
およびRは、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体である。
【0034】
以下に提供されるものを除いて、上記式中の可能な置換基として列挙されるアルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkynyl)基、およびアルコキシ基は、好ましくは、1〜24個の炭素原子、より好ましくは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基に基づき;アリール基、シクロアルキル基、およびアリールアルキル基は、好ましくは、6〜24個の炭素原子、より好ましくは、6〜10個の炭素原子を含む。
【0035】
式VIIIにおいて、R〜Rは、それぞれ、好ましくは、アルキル基(例えば、メチル基またはエチル基)であり;式IXにおいて、Rは、好ましくは、アルキル基(例えば、トリデシル(C13)基)であり、そしてRは、好ましくは、カルボキシル基で置換されたアルキル基(例えば、プロピル基)であり;式Xにおいて、Rは、好ましくは、アルキル基(例えば、ドデシル基)であり;そして式XIにおいて、Rは、好ましくは、アルキル基(例えば、トリデシル(C13)基)である。
【0036】
最も好ましくは、第2の表面活性剤は、N−ミリストイル−L−グルタメート、ミリステート、アシルアミノ酸(例えば、アシルグルタメート、アシルサルコシネート、アシルグリシネート、およびアシルアラニネート)、脂肪酸およびそれらの塩、ならびにグリセロールホスフェートエステル(例えば、レシチン)である。
【0037】
それぞれの表面活性剤は、顔料の表面上に所望の官能性を与えるのに十分な量で存在するべきである。顔料が強い親水性特性を含むことが望ましい場合、第2の表面活性剤と比較して、より多くの第1の表面活性剤が使用され得る;顔料が強い親水性特性を含むことが望ましい場合、第2の表面活性剤と比較して、より多くの第1の表面活性剤が使用され得る。
【0038】
第1の表面活性剤と第2の表面活性剤との間の比は、重量で約1:10〜約10:1の範囲であり得る。好ましくは、比は、重量で約1:4〜約4:1の範囲である。
【0039】
表面改変顔料は、従来の乳化剤、懸濁剤、乳化安定化剤、または当該分野で公知の他の薬剤を含み得る。
【0040】
表面活性剤は、当該分野で公知の方法、例えば、米国特許第5,897,868号に記載される(その全体が本命明細書中において参考として援用される)によって、顔料の表面上に化学的に固定される。化学的固定は、処理された顔料が均一に化学的に結合された反応生成物を有する点で、表面活性剤を顔料に添加することとは異なる。反応は、顔料の表面上に吸収される親油性部分または親水性部分を有する水溶性化合物によって作製され得る。例えば、多価金属の水溶性塩の添加により、化学的結合が生成し得る。反応生成物は、顔料または増量剤顔料の粒子の表面上に化学的に固定された処理物を提供する。対照的に、表面活性剤の単純なコーティングは、自由に流れる、信頼できない、不適切な官能性の層となり、顔料の表面上にのみ吸収される。
【0041】
水系顔料組成物(例えば、化粧品および洗面用品に有用なもの)は、しばしば、高いレベルの界面活性剤または表面活性剤(代表的は、組成物の20重量%までまたはそれ以上を構成する)を有する。しかし、本発明の水性表面改変顔料組成物は、組成物中に5重量%未満の表面活性剤、好ましくは、3重量%未満の表面活性剤を有する。高レベルの表面活性剤は、必要ではない。なぜなら、上記のように、表面活性剤が、顔料に化学的に固定され、従って、顔料が自己乳化し得るからである。
【0042】
表面改変顔料は、(a)顔料を提供する工程、および(b)顔料の表面に少なくとも2つの表面活性剤を化学的に固定して、表面改変顔料を作製する工程のプロセスによって作製され得る。第1の表面活性剤は、約10以上のHLBを有し、第2の表面活性剤は、9以下のHLBを有し、第1の表面活性剤と第2の表面活性剤との間のHLBの差が、少なくとも約5である。好ましい表面活性剤は、上に列挙されているものである。
【0043】
組成物は、他の方法がまた適切であるものの、以下の手順に従って調製され得る。代表的には、処理される顔料または増量剤顔料は、50〜100%(顔料および増量剤顔料の重量に基づく)の水と混合され、分散される。第2の表面活性剤(例えば、脂肪酸の水溶性アルカリ金属塩)の水溶液がスラリーに添加され、分散される。次いで、1〜2化学当量の多価金属の水溶性塩(例えば、アルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、亜鉛、スズ(stannic)、またはジルコニウムのスルフェートなど)が添加される。多価金属は、第2の表面活性剤中の親油性部分を顔料または増量剤顔料の粒子の表面に連結する。次いで、第1の表面活性剤(例えば、糖酸の水溶性アルカリ金属塩)がスラリーに添加され、分散される。次いで、1〜2化学当量の多価金属の水溶性塩(例えば、アルカリ土類金属、アルミニウム、チタン、亜鉛、またはジルコニウムのスルフェートなど)が添加される。多価金属は、第1の表面活性剤中の親水性部分を顔料または増量剤顔料の粒子の表面に連結する。第1の表面活性剤および第2の表面活性剤由来の親油性特性および親水性特性の両方を有する生じた表面改変粉末は、フィルタープレスを使用して脱水され、精製水でリンスされて、所望であれば、任意の第2の塩を除去される。次いで、フィルターケーキが、このケーキが100℃の温度に達する温度で、2時間、オーブンで焼かれる。フィルターケーキが冷却された後、ケーキは、噴霧器(atomizer)で粉砕され、作業可能な(workable)粉末を生じる。
【0044】
あるいは、第1の表面活性剤は、第2の表面活性剤の前に顔料に添加され得る。望ましい場合、さらなる表面活性剤がまた添加され得る。
【0045】
生成物(ここで、制御されたHLB値を有する)は、混合状態で、水および油混合物に添加されて、さらなる乳化剤無しで安定なエマルジョンを生成し得る。
【0046】
エマルジョンは、皮膚に適用された場合、優れた皮膚接着性、長期の装着、および改善された水分保持能力を提供する。従って、表面改変顔料は、化粧品製品(例えば、ファンデーション、リップスティック、アイシャドー、ローション、クリーム、コンシーラー(concealer)、ブラッシャー(blush)、アイライナー、マスカラ、アイブローライナー、リップライナー、およびサンスクリーン)で使用され得る。これはまた、洗面製品(例えば、脱臭薬、発汗抑制剤、およびシャワージェル)で使用され得る。表面改変顔料が化粧品製品または洗面製品において使用される場合、化粧品製品または洗面製品を作製する際に使用される他の代表的な成分は、表面改変顔料に添加され得る。例えば、リップスティックは、しばしば、顔料に加えて、種々のオイルおよびワックスを含む。顔料を含む任意の市販の製品とともに、化粧品製品および洗面製品は、特定の色を得るために、単一の顔料または1つよりも多くの顔料を含み得る。表面改変顔料、または自己乳化顔料は、他の表面改変顔料とともに、または自己乳化しない顔料とともに使用され得る。
【0047】
以下の実施例は、本発明を説明することが意図される。これらの実施例は、本発明の範囲を制限するために使用されるべきではなく、これは、特許請求の範囲によって規定される。
【実施例】
【0048】
(実施例1:自己乳化二酸化チタン顔料)
100gの二酸化チタンを、400mlの水に添加し、十分に分散するまで、ホームミキサーを使用して混合した。1のHLB値を有する4gのミリスチン酸カルシウムを、60℃に加熱した50mlの水中に溶解し、次いで、上記混合物に添加し、10分間混合した。これを撹拌しながら、2化学当量の塩化アルミニウム水溶液(ミリスチン酸カルシウムに関して)を滴下した。20のHLB値を有する4gの乳酸アンモニウムを、50℃に加熱した50mlの水に溶解し、次いで、上記混合物に添加し、10分間混合した。これを撹拌しながら、2化学当量の硫酸亜鉛水溶液(乳酸アルミニウムに関して)を滴下した。生成物を、ブフナー漏斗を使用して濾過し、続いて、精製水を用いてリンスした。次いで、フィルターケーキを、100℃の温度で2時間、オーブンで焼き、フィルターケーキをさらに脱水した。フィルターケーキを粉砕し、冷却後、より作業可能な粉末にさらに微粉砕した。これは、ジミリスチン酸アルミニウムおよび乳酸亜鉛を化学的に固定された二酸化チタン顔料を生じた。
【0049】
(実施例2:自己乳化二酸化チタンを含む組成物)
30gのイソノニルイソノナノエートおよび65gの水の混合物を、ライトニング(lightning)ミキサーを使用して2分間混合した。5gの実施例1からの化学的に固定された二酸化チタンを、この混合物にゆっくり添加して、エマルジョンを形成した。
【0050】
(比較例1)
30gのイソノニルイソノナノエートおよび65gの水の混合物を、ライトニングミキサーを使用して2分間混合した。5gの未処理の二酸化チタンを、この混合物にゆっくり添加した。この混合物は、エマルジョンが形成されなかったので、10分で分離した。
【0051】
(実施例3:自己乳化赤色酸化鉄(ベンガラ)顔料)
100gの赤色酸化鉄顔料を、500mlの水に添加し、十分に分散するまで、ホームタイプのミキサーを使用して混合した。4gの4のHLB値を有するN−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウムを、60℃に加熱した50mlの水に溶解し、次いで、上記混合物に添加し、10分間混合した。これを撹拌しながら、2化学当量の塩化アルミニウム水溶液(N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウムに基づく)を滴下した。4gの17のHLB値を有する乳酸カリウムを、50℃に加熱した50mlの水に溶解し、次いで、上記混合物に添加し、10分間混合した。これを撹拌しながら、2化学当量の硫酸亜鉛水溶液(乳酸カリウムに基づく)を滴下した。生成物を、ブフナー漏斗を使用して吸引しながら濾過し、続いて、精製水を用いてリンスした。次いで、フィルターケーキを、フィルターケーキが100℃の温度に達した後に2時間、オーブンで焼き、フィルターケーキをさらに脱水した。このケーキを粉砕し、冷却後、粉末にさらに微粉砕した。これは、N−ミリストイル−L−グルタミン酸アルミニウムおよび乳酸亜鉛を化学的に固定された赤色酸化鉄顔料を生じた。
【0052】
(実施例4:自己乳化赤色酸化鉄顔料を含む組成物)
30gのシクロメチコン、化粧用シロキサン、および65gの水の混合物を、ライトニングミキサーを使用して2分間混合した。5gの実施例3からの化学的に固定された赤色酸化鉄顔料を、この混合物にゆっくり添加して、エマルジョンを形成した。
【0053】
(実施例5:自己乳化雲母顔料)
100gの雲母顔料を、450mlの水に添加し、十分に分散するまで、ホームタイプのミキサーを使用して混合した。3gの2のHLB値を有する水素化卵黄レシチン(リン脂質30%、中性脂肪70%)を、95℃に加熱した100mlの水に溶解し、次いで、上記混合物に添加し、10分間混合した。これを撹拌しながら、2化学当量の硫酸アルミニウム水溶液(リン脂質に基づく)を滴下した。4gの20のHLB値を有するグルコン酸カリウムを、50℃に加熱した50mlの水に溶解し、次いで、上記混合物に添加し、10分間混合した。これを撹拌しながら、2化学当量の硫酸亜鉛水溶液(グルコン酸カリウムに基づく)を滴下した。生成物を、ブフナー漏斗を使用して吸引しながら濾過し、続いて、精製水を用いてリンスした。次いで、フィルターケーキを、フィルターケーキが100℃の温度に達した後に3時間、オーブンで焼き、フィルターケーキをさらに脱水した。このケーキを粉砕し、冷却後、粉末に微粉砕した。これは、レシチンおよびグルコン酸亜鉛を化学的に固定された雲母顔料を生じた。
【0054】
(実施例6:自己乳化雲母顔料を含む組成物)
30gの鉱油および65gの水の混合物を、ライトニングミキサーを使用して2分間混合した。5gの実施例5からの化学的に固定された雲母顔料を、この混合物にゆっくり添加して、エマルジョンを形成した。
【0055】
(比較例2)
100gの絹雲母(セリサイト)を、450mlの水に添加し、十分に分散するまで、ホームタイプのミキサーを使用して混合した。4gの4のHLB値を有するN−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウムを、60℃に加熱した50mlの水に溶解し、次いで、上記混合物に添加し、10分間混合した。これを撹拌しながら、2化学当量の塩化アルミニウム水溶液(N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウムに基づく)を滴下した。4gの20のHLB値を有するグリセリンを、50℃に加熱した50mlの水に溶解し、次いで、上記混合物に添加し、10分間混合した。生成物を、ブフナー漏斗を使用して吸引しながら濾過し、続いて、精製水を用いてリンスした。次いで、フィルターケーキを、フィルターケーキが100℃の温度に達した後に2時間、オーブンで焼き、フィルターケーキをさらに脱水した。このケーキを粉砕し、冷却後、粉末に微粉砕した。これは、
N−ミリストイル−L−グルタミン酸アルミニウムを化学的に固定された絹雲母顔料を生じた;グリセリンは、顔料に化学的に固定しなかったが、代わりに洗浄して除去された。
【0056】
1つの親油性表面活性剤のみを化学的に固定された絹雲母顔料のみが、その表面活性剤の親油性/疎油性特性を含み、従って、油/水混合物に添加された場合、乳化剤が添加されない限り、エマルジョンを形成しない。
【0057】
(比較例3)
100gの黄色酸化鉄(鉄黄)を、550mlの水に添加し、十分に分散するまで、ホームタイプのミキサーを使用して混合した。2gのミリスチン酸カルシウムを、60℃に加熱した50mlの水に溶解し、次いで、上記混合物に添加し、10分間混合した。これを撹拌しながら、2化学当量の塩化アルミニウム水溶液(ミリスチン酸カルシウムに基づく)を滴下した。化学的な結果、ジミリスチン酸アルミニウムは、1のHLBを有する。2gの2のHLB値を有する水素化卵黄レシチン(リン脂質30%、中性脂肪70%)を、95℃に加熱した100mlの水に溶解し、次いで、上記混合物に添加し、10分間混合した。これを撹拌しながら、2化学当量の硫酸アルミニウム水溶液(リン脂質に基づいて)を滴下した。生成物を、ブフナー漏斗を使用して濾過し、続いて、精製水を用いてリンスした。次いで、フィルターケーキを、100℃の温度で2時間、オーブンで焼き、フィルターケーキをさらに脱水した。このフィルターケーキを粉砕し、冷却後、より作業可能な粉末に微粉砕した。これは、ジミリスチン酸アルミニウムおよびレシチンを化学的に固定された黄色酸化鉄顔料を生じた。
【0058】
2つの親油性表面活性剤を化学的に固定された黄色酸化鉄顔料のみが、その表面活性剤の親油性/疎油性特性を含む。油/水混合物に添加された場合、顔料は、エマルジョンを形成しなかった。乳化剤が添加された後だけ、この顔料を有するエマルジョンが形成された。
【0059】
(比較例4)
100gの黒色酸化鉄(鉄黒)を、400mlの水に添加し、十分に分散するまで、ホームタイプのミキサーを使用して混合した。2gの17のHLB値を有する乳酸カリウムを、50mlの水に溶解し、50℃に加熱し、次いで、上記混合物に添加し、10分間混合した。これを撹拌しながら、2化学当量の硫酸亜鉛水溶液(乳酸カリウムに基づく)を滴下した。2gの20のHLB値を有するグルコン酸カリウムを、50℃に加熱した50mlの水に溶解し、次いで、上記混合物に添加し、10分間混合した。これを撹拌しながら、2化学当量の硫酸アルミニウム水溶液(グルコン酸カリウムに基づいて)を滴下した。生成物を、ブフナー漏斗を使用して濾過し、続いて、精製水を用いてリンスした。次いで、フィルターケーキを、フィルターケーキが100℃の温度に達した後に3時間、オーブンで焼き、フィルターケーキをさらに脱水した。このフィルターケーキを粉砕し、さらに、冷却後、より作業可能な粉末に微粉砕した。これは、乳酸亜鉛およびグルコン酸アルミニウムを化学的にコーティングされた黒色酸化鉄顔料を生じた。
【0060】
2つの親水性表面活性剤を化学的に固定された黒色酸化鉄顔料のみが、その表面活性剤の親水性特性を含む。油/水混合物に添加された場合、顔料は、エマルジョンを形成しなかった。乳化剤が添加された後だけ、この顔料を有するエマルジョンが形成された。
【0061】
(実施例7:自己乳化黄色鉄酸化物顔料)
実施例3において使用された手順を、赤色酸化鉄顔料の代わりに、100gの黄色酸化鉄顔料を使用したことを除いて、繰り返した。これは、N−ミリストイル−L−グルタミン酸アルミニウムおよび乳酸亜鉛を化学的に固定された黄色酸化鉄顔料を生じた。
【0062】
(実施例8:自己乳化黒色酸化鉄顔料)
実施例3において使用された手順を、赤色酸化鉄顔料の代わりに、100gの黒色酸化鉄顔料を使用したことを除いて、繰り返した。これは、N−ミリストイル−L−グルタミン酸アルミニウムおよび乳酸亜鉛を化学的に固定された黒色酸化鉄顔料を生じた。
【0063】
(実施例9:化粧品製品)
2gのLipex L’Sens(Karlshamns ABによって製造されるダイズグリセリドおよびシアバターを含む製品)を、40℃に加熱し、14gのDermol 99(Alzo Internal Inc.によって製造されるイソノニルイソノナノエートを含む製品)、0.1gのビタミンAパルミテート、0.1gのリン酸アスコルビルマグネシウム(C−Mate)、および0.5gのビタミンEアセテートに加えた。この組成物を、ホモジナイザーを使用して一緒に混合した。65gの脱イオン水および5gのブチレングリコールを添加し、2分間室温で混合した。混合の間、以下の顔料を添加した:12.6gの実施例1の自己乳化二酸化チタン顔料、0.2gの実施例3の自己乳化赤色酸化鉄顔料、0.4gの実施例7の自己乳化黄色酸化鉄顔料、および0.1gの実施例8の自己乳化黒色酸化鉄顔料。混合しながら、バッチを50〜60℃に加熱し、次いで、室温に冷却した。
【0064】
滑らかな十分に分散したエマルジョンが形成され、自己乳化顔料が水相および油相を一緒に保持した。得られる組成物は、優れた湿りを与える特性を含み、種々の化粧品適用における用途に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面改変顔料であって、該表面改変顔料が、該顔料の表面上に化学的に固定された少なくとも2つの表面活性剤を有し、ここで
第1の表面活性剤が、約10以上の親水性−親油性バランスを有し、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、リン含有基、イオウ含有基、およびシラン基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を含み;
第2の表面活性剤が、約9以下の親水性−親油性バランスを有し、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、リン含有基、およびシラン基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を含み;そして
該第1の表面活性剤と該第2の表面活性剤との間の親水性−親油性バランスの差が、少なくとも約5である、
表面改変顔料。
【請求項2】
請求項1に記載の表面改変顔料であって、前記第1の表面活性剤が、約14〜18の範囲の親水性−親油性バランスを有する、表面改変顔料。
【請求項3】
請求項1に記載の表面改変顔料であって、前記第1の表面活性剤が、1つ以上のヒドロキシル基またはアルキレンオキシド部分を含む、表面改変顔料。
【請求項4】
請求項3に記載の表面改変顔料であって、前記アルキレンオキシド部分が、エチレンオキシド部分、プロピレンオキシド部分、またはそれらの組み合わせである、表面改変顔料。
【請求項5】
請求項3に記載の表面改変顔料であって、前記第1の表面活性剤が、式I〜VIIのいずれか1つによって表される化合物であり:
【化1】

ここで、Y、Y、Y、およびYは、水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、またはオキソ基から独立して選択され、但し、Y、Y、Y、およびYの少なくとも1つがヒドロキシル基であり;そして
Mが、水素または金属もしくはその等価体のいずれかであり;
【化2】

ここで、Y、Y、YおよびYは、独立して、水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、またはオキソ基から選択され、但し、Y、Y、YおよびYのうちの少なくとも1つは、ヒドロキシル基であり;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【化3】

ここで、Rは、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換され、そして1つ以上のアルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によってさらに置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【化4】

ここで、
は、エチレン、プロピレン、またはブチレンであり;
nは、1〜60の整数であり;
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【化5】

ここで、
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換され、1つ以上のアルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
およびRは、独立して、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
【化6】

ここで、
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換され、1つ以上のアルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
nが、1〜60の整数であり;
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【化7】

ここで、
は、水素基、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基で置換され、1つ以上のアルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によってさらに置換され得;そして
mが、0〜2の整数である、
表面改変顔料。
【請求項6】
請求項5に記載の表面改変顔料であって、前記第1の表面活性剤が、ラクテート、グルコネート、ガラクツロン酸、グルカロラクトン、没食子酸、グルコヘプタン酸、アミノ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ラウリルアミドベタイン、ステアリルアンホアセテート(amphoacetate)、ラウリルアンホプロピオネート、およびステアリルアンホプロピオネートからなる群より選択される、表面改変顔料。
【請求項7】
請求項1に記載の表面改変顔料であって、前記第2の表面活性剤が、約1〜4の範囲の親水性−親油性バランスを有する、表面改変顔料。
【請求項8】
請求項1に記載の表面改変顔料であって、前記第2の表面活性剤が、ヒドロキシル基およびアルキレンオキシド部分を含まない、表面改変顔料。
【請求項9】
請求項8に記載の表面改変顔料であって、該表面活性剤が、式VIII〜XIIのいずれか1つによって表され:
【化8】

ここで、
、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
nは、1〜60の整数であり;
【化9】

ここで、
およびRは、それぞれ独立して、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【化10】

ここで、
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【化11】

ここで、
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【化12】

ここで、
およびRは、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体である、表面改変顔料。
【請求項10】
請求項9に記載の表面改変顔料であって、前記第2の表面活性剤が、N−ミリストイル−L−グルタメート、ミリステート、アシルアミノ酸、脂肪酸およびそれらの塩、およびグリセロールホスフェートエステルからなる群より選択される、表面改変顔料。
【請求項11】
請求項1に記載の表面改変顔料であって、乳化剤、懸濁剤、乳化安定剤、またはこれらの組み合わせをさらに含む、表面改変顔料。
【請求項12】
請求項1に記載の表面改変顔料を含む、化粧品。
【請求項13】
請求項1に記載の表面改変顔料を含む、洗面用品。
【請求項14】
水性表面改変顔料組成物であって、該組成物中に5重量%未満の表面活性剤を含む、組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の水性表面改変顔料組成物であって、該組成物中に3重量%未満の表面活性剤を含む、組成物。
【請求項16】
表面改変顔料を作製するための方法であって、以下の工程:
a.顔料を提供する工程、および
b.該顔料の表面に少なくとも2つの表面活性剤を化学的に固定して、表面改変顔料を作製する工程、
を包含し、ここで、
i.第1の表面活性剤が、約10以上の親水性−親油性バランスを有し、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、リン含有基、イオウ含有基、およびシラン基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を含み;
ii.第2の表面活性剤が、約9以下の親水性−親油性バランスを有し、カルボキシル基、カルボキシル基の塩、リン含有基、およびシラン基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を含み;そして
iii.該第1の表面活性剤と該第2の表面活性剤との間の親水性−親油性バランスの差が、少なくとも約5である、
方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、前記第1の表面活性剤が、1つ以上のヒドロキシル基またはアルキレンオキシド部分を含む、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、前記第1の表面活性剤が、式I〜VIIのいずれか1つによって表される化合物であり:
【化13】

ここで、Y、Y、Y、およびYは、水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、またはオキソ基から独立して選択され、但し、Y、Y、Y、およびYの少なくとも1つがヒドロキシル基であり;そして
Mが、水素または金属もしくはその等価体のいずれかであり;
【化14】

ここで、Y、Y、YおよびYは、独立して、水素基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、またはオキソ基から選択され、但し、Y、Y、YおよびYのうちの少なくとも1つは、ヒドロキシル基であり;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【化15】

ここで、Rは、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基で置換され、そして1つ以上のアルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によってさらに置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【化16】

ここで、
は、エチレン、プロピレン、またはブチレンであり;
nは、1〜60の整数であり;
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【化17】

ここで、
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換され、1つ以上のアルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によってさらに置換され得;そして
およびRは、独立して、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
【化18】

ここで、
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、少なくとも1つのヒドロキシル基で置換され、1つ以上のアルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によってさらに置換され得;そして
nが、1〜60の整数であり;
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【化19】

ここで、
は、水素基、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基で置換され得、1つ以上のアルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
mが、0〜2の整数である、
方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法であって、前記第2の表面活性剤が、ヒドロキシル基およびアルキレンオキシド部分を含まない、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、前記第2の表面活性剤が、式VIII〜XIIのいずれか1つによって表される化合物であり:
【化20】

ここで、
、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
nは、1〜60の整数であり;
【化21】

ここで、
およびRは、それぞれ独立して、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【化22】

ここで、
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【化23】

ここで、
は、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体であり;
【化24】

ここで、
およびRは、アルキル基、アルキルアミド基、アルケニル基、アルキニル(alkylnyl)基、アルコキシ基、アリール基、シクロアルキル基、またはアリールアルキル基であり、これらの全てが、1つ以上のヒドロキシル基、アルキルオキシ基、カルボキシル基、またはオキソ基によって置換され得;そして
Mは、水素、または金属もしくはその等価体である、
方法。
【請求項21】
請求項1に記載の表面改変顔料であって、該顔料が無機顔料である、表面改変顔料。

【公表番号】特表2008−535978(P2008−535978A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505500(P2008−505500)
【出願日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/012720
【国際公開番号】WO2006/110430
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(507331209)ユー.エス. コスメティックス コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】