説明

自立活動度測定システム

【課題】 要介護の高齢者等の生活状況を把握し、該高齢者の自立活動度を測定する自立
活動度測定システムを提供する。
【解決手段】 要介護の高齢者等である測定対象者Aの寝床94aでの位置を寝床センサ
12hにより検出し、寝床センサ12hにより検出された位置に基づいて測定対象者の状
態、該状態の開始時刻及び保持時間を検出し、検出結果として記憶する。また、寝床から
所定の距離以上離れた設備、例えば、ポータブルトイレ94bを利用していることを設備
(ポータブルトイレ)センサ12iにより検出し、利用開始時刻及び利用時間を検出結果
として記憶する。そして、寝床センサ12hによる検出結果及びポータブルトイレセンサ
12iによる検出結果を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、介護が必要な高齢者等の自立活動度を測定する自立活動度測定システムに
関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家族と離れて暮らす独居高齢者等の暮らしを見守り、例えば、独居高齢者の生活
状況に異変が生じたか否かを判定するシステム等が提案されている。独居高齢者等の生活
を見守るシステムは、情報通信技術を活用して高齢者宅に設置された各種センサによる検
出結果を取得し、取得した検出結果を解析することにより独居高齢者の生活状況に異変が
生じたか否かを判定している。
【0003】
独居高齢者等の生活を見守るシステムとしては、例えば、独居高齢者の住宅内に設置さ
れた装置を介して検出された生活情報を収集、管理し契約者(独居高齢者の家族等)に独
居高齢者の生活状況を知らせる見守りサービスシステムが存在する(特許文献1参照)。
また、独居高齢者の住宅内に設置されたセンサ等の装置を介して、独居高齢者の生活状況
を示す情報を収集・蓄積し、収集・蓄積された情報に基づいて独居高齢者の生活動作を時
系列に、かつ、動作の種類を識別可能に表示する生活見守りシステムが存在する(特許文
献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−74561号公報
【特許文献2】特開2003−109159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、これまでに提案されている高齢者等の生活を見守るシステムは、例えば、上
述の特許文献1や特許文献2に示す見守りシステムのように、独居高齢者等が、「変らず
元気に暮らしているか」、「緊急事態に陥っていないか」、「これまでと生活パターンは
変っていないか」、「異常な行動を取っていないか」等を検知することを目的としている
。即ち、身体的に元気な高齢者の生活状況を見守ることを目的としており、多くの時間を
ベッド等の寝床又はその周辺で過ごし、要介護の状態にある高齢者の生活状況を把握し、
把握された生活状況に基づいて高齢者の身体能力を定量的に測定すること等は考えられて
いなかった。
【0006】
この発明の課題は、要介護の高齢者等の生活状況を把握し、該高齢者の自立活動度を測
定する自立活動度測定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の自立活動度測定システムは、測定対象者の寝床における位置を検出する
寝床センサと、前記寝床センサにより検出された前記測定対象者の位置に基づいて、少な
くとも、前記測定対象者の状態、該測定対象者の状態の開始時刻及び保持時間を検出する
状態検出手段と、前記状態検出手段により検出された状態検出結果を記憶する検出結果記
憶手段と、前記検出結果記憶手段に記憶された状態検出結果を出力する出力手段とを備え
ることを特徴とする。
【0008】
この請求項1記載の自立活動度測定システムによれば、測定対象者の寝床における位置
を検出し、検出された位置に基づいて、測定対象者の状態、例えば、測定対象者が、寝床
に横になっている状態か、寝床に座っている状態か等を検出し、検出された結果を出力し
ている。即ち、要介護の高齢者等である測定対象者が寝床で横になっている以外の状態で
あることを検出することにより、測定対象者の生活状況を正確に把握し、測定対象者が自
立して活動できる度合い(自立活動度)を測定することができる。
【0009】
また、請求項2記載の自立活動度測定システムは、前記測定対象者が、前記寝床から所
定の距離以上離れた設備を利用していることを検出する設備センサを更に備え、前記検出
結果記憶手段は、前記状態検出手段により検出された状態検出結果に加え、前記設備セン
サにより検出された前記設備の利用開始時刻及び利用時間を設備利用状況検出結果として
記憶することを特徴とする。
【0010】
この請求項2記載の自立活動度測定システムによれば、測定対象者が寝床から所定の距
離以上離れた設備、例えば、ポータブルトイレを利用していることを更に検出し、測定対
象者の寝床における状態と共に記憶している。即ち、測定対象者が寝床を離れてどの程度
自立して活動することができるかを、ポータブルトイレの利用状況等を把握することによ
り測定することができる。
【0011】
また、請求項3記載の自立活動度測定システムは、前記測定対象者の状態が、該測定対
象者の端座位を含むことを特徴とする。この請求項3記載自立活動度測定システムによれ
ば、寝床における測定対象者の位置に基づいて、測定対象者の状態が端座位、即ち、測定
対象者が寝床の端に腰掛けている状態か否かを検出しているため、寝床における測定対象
の活動状態を的確に把握することができる。
【0012】
また、請求項4記載の自立活動度測定システムは、前記出力手段が、前記検出結果記憶
手段に記憶されている状態検出結果及び設備利用状況検出結果の少なくとも一方を、時系
列に出力することを特徴とする。
【0013】
この請求項4記載の自立活動度測定システムによれば、測定対象者の寝床における状態
を検出した状態検出結果、所定の設備の利用状況を示す設備利用状況検出結果の少なくと
も一方を時系列で出力している。従って、例えば、一日における測定対象者の活動状況を
的確に把握することができ、検出結果を適切なリハビリ計画等を立案する際の有益な資料
として用いることができる。
【0014】
また、請求項5記載の自立活動度測定システムは、前記検出結果記憶手段に記憶されて
いる状態検出結果及び設備利用状況検出結果の少なくとも一方の統計値を算出する統計値
算出手段を更に備え、前記出力手段は、前記統計値算出手段により算出された統計値を更
に出力することを特徴とする。
【0015】
この請求項5記載の自立活動度測定システムによれば、状態検出結果及び設備利用状況
検出結果の少なくとも一方の統計値、例えば、測定対象者が寝床において横になっている
以外の姿勢(例えば、寝床の端に腰掛けている等の端座位の姿勢)を保持していた時間の
合計値及び端座位を保持していた回数を統計値として算出し出力している。また、所定設
備、例えば、ポータブルトイレを利用した時間の合計値及び利用回数を統計値として算出
し出力している。従って、出力された統計値に基づいて、測定対象者の自立活動度を定量
的に把握することができる。
【0016】
また、請求項6記載の自立活動度測定システムは、前記出力手段が、前記検出結果記憶
手段に記憶されている状態検出結果及び設備利用状況検出結果の少なくとも一方と、前記
統計値算出手段により算出された統計値との、少なくとも一方を、複数の所定期間毎に比
較可能に出力することを特徴とする。
【0017】
この請求項6記載の自立活動度測定システムによれば、例えば、一日毎の検出結果を並
列表示等することにより比較可能に出力している。また、例えば、一日毎の統計値を並列
表示等することにより比較可能に出力している。従って、測定対象者の自立活動度がどの
ように変化しているかを適切に把握することができ、例えば、リハビリの効果等を検討す
る際の有益な資料として用いることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、測定対象者の寝床における状態、例えば、測定対象者が、寝床に横
になっている状態か、寝床に座っている状態か等を示す状態検出結果や、測定対象者が寝
床から所定の距離以上離れた設備、例えば、ポータブルトイレを利用していることを示す
設備利用状況検出結果を記憶している。従って、要介護の高齢者等である測定対象者の生
活状況を把握し、測定対象者の自立活動度を適切に測定することができる。また、測定さ
れた自立活動度を、高齢者に必要な介護の内容を決定する際や、リハビリ計画を立案した
り、リハビリの効果を確認等する際の有益な資料として用いる事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態に係る自立活動度測定システムについて説
明する。なお、以下においては、身体的に健康な高齢者の生活状況を見守る生活見守りシ
ステムに、ベッドセンサ(寝床センサ)及びポータブルトイレセンサ(設備センサ)を組
み込むことにより、自立活動度測定システムが構成されている場合を例として説明する。
【0020】
図1は、この発明の実施の形態に係る自立活動度測定システム1を示したものである。
自立活動度測定システム1は、高齢者の住宅90の宅内見守り装置10と、管理センタの
サーバコンピュータ20(管理装置)と、対象者の家族や介護センタ等において用いられ
るパーソナルコンピュータ30や携帯電話31等のクライアント端末とを備えている。宅
内見守り装置10とサーバコンピュータ20とは、ネットワーク40を介して接続されて
おり、サーバコンピュータ20とパーソナルコンピュータ30や携帯電話31は、ネット
ワーク40を介して接続されている。
【0021】
宅内見守り装置10は、コントロール装置11と、複数の人感センサ12a〜12f、
ベッドセンサ12h及びポータブルトイレセンサ12iを備えている。コントロール装置
11、人感センサ12a〜12fは、住宅90の電灯線99を介して互いに接続されてい
る。また、コントロール装置11は、住宅90の寝室内のベッド94aに配置されたベッ
ドセンサ12hと、寝室内のポータブルトイレ94bに配置されたポータブルトイレセン
サ12iとも、電灯線99を介して互いに接続されている。
【0022】
図2に示すように、人感センサ12a〜12fは、高齢者の住宅90の互いに異なる場
所(見守り区域)91〜96に設置されている。即ち、トイレ91には人感センサ12a
が配置され、廊下92には人感センサ12bが配置され、居間93には人感センサ12c
が配置され、寝室94には人感センサ12dが配置され、玄関95には人感センサ12e
が配置され、洗面所96には人感センサ12fが配置されている。なお、図2においては
、寝室94に設置されたベッド94aに要介護の高齢者(測定対象者)Aが横になってい
る状態を示している。
【0023】
また、図2及び図3に示すように、寝室94に設置されたベッド94aには、要介護の
高齢者のベッド94aにおける位置を検出するベッドセンサ12hが設けられている。ベ
ッドセンサ12hは、例えば、図3に示すように、マットレスに埋め込まれた圧力感知セ
ンサ等であり、ベッド94a上のどこに測定対象者がいるかを検出することができるセン
サであれば、どのようなセンサを用いてもよい。また、測定対象者の寝室にはポータブル
トイレ94bが設置されており、このポータブルトイレ94bに、測定対象者がポータブ
ルトイレ94bを利用していることを検出するポータブルトイレセンサ12iが設けられ
ている。ポータブルトイレセンサ12iは、測定対象者がポータブルトイレ94bを使用
していることを検出することができるセンサであれば、例えば、人感センサや着座センサ
等、どのようなセンサであってもよい。
【0024】
図4は、この発明の実施の形態に係る人感センサ及びコントロール装置のブロック構成
図である。図4に示すように、各人感センサ12a〜12fは、センサ部13aと、この
センサ部13aに信号変換部13bを介して接続された処理部13dと、この処理部13
dに接続されたROM13f及び通信部13eと、通信部13eに接続されたプラグ13
gとを有している。このプラグ13gが、電灯線99のコンセント99aに接続されてい
る。センサ部13aは、人体の動きに感応する焦電型赤外線検出器等で構成されている。
このセンサ部13aの感応信号、即ち、人体の動きの検出信号が、信号変換部13bでデ
ジタル変換されて処理部13dへ送られる。
【0025】
各人感センサ12a〜12fには、他と異なる固有のセンサコードが割り当てられてい
る。即ち、トイレ91の人感センサ12aには、センサコードx12Aが割り当てられ、
廊下92の人感センサ12bには、センサコードx12Bが割り当てられ、居室93の人
感センサ12cには、センサコードx12Cが割り当てられ、寝室94の人感センサ12
dには、センサコードx12Dが割り当てられ、玄関95の人感センサ12eには、セン
サコードx12Eが割り当てられ、洗面所96の人感センサ12fには、センサコードx
12Fが割り当てられている。
【0026】
人感センサ12a〜12fの処理部13dは、センサ部13aが感応した旨の情報にセ
ンサコードを添付し、通信部13eに送る。通信部13eは、これを信号変換した後、セ
ンサ情報(検出結果)として電灯線99に流すように構成されている。
【0027】
また、ベッドセンサ12h及びポータブルトイレセンサ12iは、人感センサ12a〜
12fと同様に、即ち、図4に示すように構成されており、センサ部13aは、例えば、
ベッドセンサ12hの場合には圧力検出器等で構成され、ポータブルトイレセンサ12i
の場合には、焦電型赤外線検出器等で構成されている。また、ベッドセンサ12h及びポ
ータブルトイレセンサ12iにもそれぞれ固有のセンサコード、例えば、ベッドセンサ1
2hには、センサコードxbed、ポータブルトイレセンサ12iには、センサコードx
pwcが割り当てられている。そして、ベッドセンサ12h及びポータブルトイレセンサ
12iの処理部13dは、センサ部13aが感応した旨の情報にセンサコードを添付し、
通信部13eに送る。通信部13eは、これを信号変換した後、センサ情報(検出結果)
として電灯線99に流す。
【0028】
次に、コントロール装置11について説明する。図4に示すように、コントロール装置
11は、処理部11aを有し、この処理部11aに、下り通信部11b、上り通信部11
c、タイマ11d、RAM11e、ROM11fが接続されている。
【0029】
RAM11eには、直前センサコードxやヒットカウントn等が記憶される。直前セ
ンサコードxは、測定対象者が部屋を移動したか否かを判定する際に用いられるため、
各部屋に設置された人感センサ、即ち、直前に感応があった人感センサ12a〜12fの
センサコードである。ヒットカウントnは、測定対象者Aが現在の居場所に移動したと判
定された後、現在までの全ての人感センサ12a〜12fの感応回数を示すものである。
ROM11fには、高齢者が住宅内で移動したか否かを判定する際に用いられる所定の移
動確定時間T(例えば、30秒)が記憶されている。移動確定時間Tは、身体的に健康な
高齢者の場合、住宅90内で日常的に利用する場所のうち最も離れた2つの場所を移動す
るのに要する時間(通常、20秒以下)に多少の余裕(10秒程度)を加えることによっ
て決定するのが望ましい。しかも、主な生活動作の中で最も所要時間が短いもの(例えば
、排尿)より長くならないようにするのが望ましい。排尿の場合、トイレ91に入ってか
ら出るまで短いと40秒程度である。従って、上記したように一般的(身体的に健康な高
齢者の場合)には、T=30秒程度が望ましい。ここで、身体的に健康な高齢者に比べて
移動時間が長くなりがちな高齢者(例えば、歩行可能で軽度の介護を要する高齢者等)の
場合には、該高齢者の状態に合わせて任意の時間を移動確定時間Tとして設定することが
できる。また、完全介護が必要な高齢者等、移動が不可能な高齢者の場合には、移動確定
時間Tを設定しなくてもよい。
【0030】
また、コントロール装置11には、ベッドセンサ12h及びポータブルトイレセンサ1
2iが接続されており、RAM11eには、ベッドセンサ12h及びポータブルトイレセ
ンサ12iによる検出結果等が記憶される。例えば、ベッドセンサ12hにより測定対象
者の位置がベッド94aの端部であることが検出された場合、検出結果(状態検出結果)
として、検出された位置に基づく測定対象者の状態(例えば、端座位:ベッド94aの端
部に座っている状態)、端座位を開始した時刻、端座位を保持していた時間が記憶される
。なお、測定対象者の状態等は、ベッドセンサ12hにより検出された測定対象者の位置
に基づいて、コントロール装置11の処理部11a(状態検出手段)により検出され、検
出結果としてRAM11eに記憶される。また、ポータブルトイレセンサ12iによる検
出結果(設備利用状況検出結果)として、測定対象者がポータブルトイレの利用を開始し
た時刻及びポータブルトイレの利用時間がRAM11eに記憶される。
【0031】
図1及び図4に示すように、コントロール装置11の下り通信部11bには、プラグ1
1gが接続され、このプラグ11gが電灯線99のコンセント99aに接続されている。
また、上り通信部11cが、ISDN網、IP網、アナログ電話網等の通信ネットワーク
40を介してサーバコンピュータ20に接続されている。電灯線99上のセンサ情報は、
通信部11bによって取り込まれて信号変換され、処理部11aに送られる。処理部11
aは、取り込んだ情報に基づいて高齢者が移動したか否かの判定を行い、判定結果を通信
部11cに送る。通信部11cは、これを信号変換した上で、通信ネットワーク40を介
してサーバコンピュータ20に送信する。
【0032】
サーバコンピュータ20は、コントロール装置11からの情報等を蓄積し管理する。こ
のサーバコンピュータ20が、WAN、公衆電話網、携帯電話網、インターネット等の通
信ネットワーク40を介してクライアント端末であるパーソナルコンピュータ30、携帯
電話31に接続されている。従って、サーバコンピュータ20に蓄積された情報に基づい
て測定対象者の生活状況を示す生活行動パターン(以下に示す図5〜図7参照)が作成さ
れ、作成された生活行動パターンを示すデータがネットワーク40を介してクライアント
端末30、31に送信される。なお、サーバコンピュータ20においては、人感センサ1
2a〜12f、ベッドセンサ12h及びポータブルトイレセンサ12iの検出結果が、高
齢者の生活動作を示す動作情報として蓄積される。
【0033】
図5は、この発明の実施の形態に係る測定対象者の生活状況の一例を示す図である。図
5は、要介護の高齢者である測定対象者の状態が、ほぼ寝たきりに近い場合の生活行動パ
ターン57を示している。この生活行動パターン57は、サーバコンピュータ20におい
て作成された後、ネットワーク40を介して、例えば、測定対象者の家族や保健士等が用
いるパーソナルコンピュータ30に送信され、パーソナルコンピュータ30において、図
5に示すように表示される。即ち、人感センサ12a〜12fによる検出結果を検出結果
57aとし、ベッドセンサ12h及びポータブルトイレセンサ12iによる検出結果が検
出結果57bとして表示される。従って、検出結果57aにより、測定対象者が一日中寝
室に居ることが把握できる。また、検出結果57bにより、ポータブルトイレを利用する
ことができると共に、端座位の状態を保持することは可能な生活状況であることが把握で
きる。
【0034】
図6は、この発明の実施の形態に係る測定対象者の生活状況の一例を示す図である。図
6は、要介護の高齢者である測定対象者の状態が、図5に示す場合に比べて自立して活動
できる度合いが上がった場合の生活行動パターン57を示している。この生活行動パター
ン57は、パーソナルコンピュータ30において表示される。図6に示すように、人感セ
ンサ12a〜12fによる検出結果57aから、測定対象者が寝室からトイレに移動して
おり、測定対象者が自力でトイレを利用していることを把握できる。また、ベッドセンサ
12h及びポータブルトイレセンサ12iの検出結果57bから、早朝にポータブルトイ
レを利用しており、依然としてポータブルトイレが必要な生活状況であることが把握でき
る。
【0035】
図7は、この発明の実施の形態に係る測定対象者の生活状況の一例を示す図である。図
7は、要介護の高齢者である測定対象者の状態が、自立して活動できる度合いが図6に示
す場合よりも更に上がった場合、例えば、居室で食事を取ることができるようになった場
合の生活行動パターン57を示している。この生活行動パターン57は、パーソナルコン
ピュータ30において表示される。図7に示すように、人感センサ12a〜12fによる
検出結果57aから、測定対象者が朝、昼、夕と寝室から居室に移動しており、かつ、ト
イレの利用が可能な生活状況であることを把握できる。また、ベッドセンサ12h及びポ
ータブルトイレセンサ12iの検出結果57bから、ポータブルトイレが使用されていな
いことを把握できると共に、端座位の姿勢を所定の時間保持することが可能な生活状況で
あることが把握できる。
【0036】
ここで、生活行動パターン57は、図5〜図7に示すように、画面の横方向に延びる帯
状をなし、高齢者の現在または過去の一日の生活行動パターンが時系列で生活動作の種類
に応じて色分けされ表現(図5〜図7においては、ハッチングにより表現)されている。
この図5に示す生活行動パターン57には、延び方向(横方向)に一日分(24時間分)
の主時刻軸が設定されており、主時刻軸は、生活行動パターン57の上側に1時間おきに
メモリ表示されている。図8に示すように、主時刻軸の目盛りと目盛りの間の生活行動パ
ターン57は、12個の表示領域57xに分割されている。即ち、時間にして5分おきに
分割されており、この5分が、主時刻軸の最小単位時間になっている。
【0037】
更に、生活行動パターン57の幅方向(縦方向)に、細分時刻軸が仮想的に設定されて
いる。細分時刻軸の全長は、主時刻軸の最小単位時間(5分)に相当し、この細分時刻軸
の最小単位時間は、1分になっている。即ち、生活行動パターン57の幅方向が、5個の
表示領域57xに分割されている。これら5個の表示領域57xは、主時刻軸の5分間を
更に1分毎に細分したものである。
【0038】
従って、主時刻軸及び細分時刻軸により、測定対象者の生活状況を1分単位で表示する
ことができる。そのため、表示領域57xの主時刻軸上の位置と細分時刻軸上の位置を読
むことによって、その表示領域57xに対応する時刻における測定対象者の行動を1分単
位で知ることができる。例えば、図8において、一番左側の最上段の表示領域57xは、
6時0分01秒から6時1分00秒までの時間を示している。また、一番右側の最下段の
表示領域57xは、6時59分01秒から7時丁度までの時間帯を示している(なお、図
8における各表示領域57xを区切る境界線は、説明の便宜上図示したものであり、実際
の画面(図5〜図7参照)には表示されない。)。
【0039】
ここで、各表示領域57xには、対応する時刻における高齢者(測定対象者)の滞在場
所(生活動作の種類)を、色(視覚的判別要素)により表現するようにしてもよい。例え
ば、測定対象者の滞在場所として、居室は肌色で、寝室は水色で、玄関は紫で、トイレは
赤で、台所は緑で、外出は灰色で、それぞれ表現するようにしてもよい。また、例えば、
ベッド上で端座位の状態を保持している時間を赤、ポータブルトイレを利用している時間
を黄色でそれぞれ表現するようにしてもよい。
【0040】
この生活行動パターンは、人感センサによる検出結果と、ベッドセンサ及びポータブル
トイレセンサによる検出結果とを並列に表示している。従って、宅内における測定対象者
の生活状況を的確に把握し、把握された生活状況を分析することにより、測定対象者がど
の程度自立活動を行うことができるか、即ち、測定対象者の自立活動度を的確に把握する
ことができる。なお、所定期間の生活行動パターン、例えば、一月間の各日毎の生活行動
パターンを比較可能に並列表示するようにしてもよい。この場合には、測定対象者の状態
がどのように変化しているかを視覚的に容易に把握することができる。
【0041】
図9は、この発明の実施の形態に係る測定対象者の統計値の一例を示す図である。測定
対象者の統計値として、図9(a)に示すように、端座位の姿勢を開始した時刻及び端座
位を保持していた時間、ポータブルトイレの利用を開始した時刻及びポータブルトイレを
利用していた時間と、図9(b)に示すように、統計値、即ち、端座位の合計保持時間及
び保持回数、ポータブルトイレの合計利用時間及び利用回数を示している。なお、統計値
は、サーバコンピュータ20に蓄積されているベッドセンサ12h及びポータブルトイレ
センサ12iによる検出結果に基づいて算出され、ネットワーク40を介して、例えば、
測定対象者の家族等が用いるパーソナルコンピュータ30に送信される。そして、パーソ
ナルコンピュータ30において、図9に示すような表形式で表示される。
【0042】
この統計値に基づいて、介護を必要とする高齢者が何回ポータブルトイレを利用したか
、端座位を保持していた時間がどの程度か等を把握することにより、高齢者が自立して活
動している度合い、即ち、自立活動度を定量的に認識することができる。従って、例えば
、介護を必要とする高齢者の生活状況を把握することにより、リハビリの効果等を適切に
把握することができ、要介護の高齢者の自立生活を適切に支援することができる。なお、
図5〜図7に示す生活行動パターンと、図9に示す統計値とは、別々に表示してもよく、
一つの画面に併せて表示するようにしてもよい。また、所定期間の統計値、例えば、一月
間の各日毎の統計値を比較可能に並列表示するようにしてもよい。この場合には、測定対
象者の自立活動度がどのように変化したかを、容易に、かつ、定量的に把握することがで
きる。
【0043】
この発明の実施の形態に係る自立活動度測定システムによれば、ベッドにおける測定対
象者の位置を検出し、検出された位置に基づいて測定対象者の状態、即ち、横になってい
る状態か端座位の状態かを検出すると共に、ポータブルトイレを利用しているか否かを検
出している。従って、要介護の高齢者の生活状況を適切に把握することができると共に、
生活状況を分析することにより、要介護の高齢者の自立活動度を適切に把握することがで
きる。
【0044】
また、この発明の実施の形態に係る自立活動度測定システムによれば、測定対象者のベ
ッドにおける状態、ポータブルトイレの利用状況と共に、宅内における移動状況、例えば
、寝室、居室、トイレ、台所等への移動状況を人感センサにより検出している。従って、
要介護の高齢者がリハビリの成果等により寝室から居室等への移動が可能になった場合等
、高齢者の状態が完全介護が必要な状態、日常生活の補助が必要な状態、軽度の介護が必
要な状態、介護を必要としない状態等に変化した場合であっても、同一の自立活動度測定
システムにより継続して要介護の高齢者の生活状況を把握することができる。
【0045】
また、この発明の実施の形態に係る自立活動度測定システムによれば、例えば、一日の
間に測定対象者が端座位を保持していた時間の合計、端座位を保持していた回数、ポータ
ブルトイレを利用した時間の合計、ポータブルトイレの利用回数を統計値として算出し表
示している。従って、一月の間における一日毎の統計値を比較することにより、要介護の
高齢者の自立活動度を定量的に把握することができ、リハビリ効果を的確に確認すること
ができると共に、適切なリハビリ計画を立案する際の有益な資料とすることができる。
【0046】
なお、この発明の実施の形態に係る自立活動度測定システムにおいては、測定対象者の
ベッドにおける端座位及びポータブルトイレの利用状況を検出しているが、その他の状態
を検出するようにしてもよい。即ち、測定対象者が、寝室内に設置されているポータブル
トイレ以外の設備を利用したか否か等を検出するようにしてもよい。
【0047】
また、この発明の実施の形態に係る自立活動度測定システムを、複数居住者が生活する
住宅に設置するようにしてもよい。複数の居住者が生活している場合であっても、例えば
、測定対象者がポータブルトイレを使用しているか否か、ベッド上で端座位の姿勢をとっ
ているか否か等の特定行動を検出対象としているため、健康な高齢者の生活行動と測定対
象者の生活行動とを分離してそれぞれ表示することができる。即ち、図5において、健康
な高齢者の生活行動を57a、測定対象者の生活行動を57bとしてそれぞれ表示するよ
うにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の実施の形態に係る自立活動度測定システムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態に係る自立活動度測定システムで用いられる人感センサの配置場所を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態に係る自立活動度測定システムで用いられるベッドセンサ及びポータブルトイレセンサの配置場所を説明するための図である。
【図4】この発明の実施の形態に係る自立活動度測定システムで用いられる人感センサ及びコントロール装置の構成を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態に係る自立活動度測地システムで用いられる生活行動パターンの一例を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態に係る自立活動度測地システムで用いられる生活行動パターンの一例を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態に係る自立活動度測地システムで用いられる生活行動パターンの一例を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態に係る生活行動パターンの詳細を説明するための図である。
【図9】この発明の実施の形態に係る自立活動度測定システムで用いられる統計値の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1・・・自立活動度測定システム、10・・・宅内見守り装置、11・・・コントロー
ル装置、12a〜12f・・・人感センサ、12h・・・ベッドセンサ、12i・・・ポ
ータブルトイレセンサ、20・・・サーバコンピュータ、30・・・パーソナルコンピュ
ータ、31・・・携帯電話、40・・・ネットワーク、90・・・住宅、A・・・測定対
象者。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象者の寝床における位置を検出する寝床センサと、
前記寝床センサにより検出された前記測定対象者の位置に基づいて、少なくとも、前記
測定対象者の状態、該測定対象者の状態の開始時刻及び保持時間を検出する状態検出手段
と、
前記状態検出手段により検出された状態検出結果を記憶する検出結果記憶手段と、
前記検出結果記憶手段に記憶された状態検出結果を出力する出力手段と
を備えることを特徴とする自立活動度測定システム。
【請求項2】
前記測定対象者が、前記寝床から所定の距離以上離れた設備を利用していることを検出
する設備センサを更に備え、
前記検出結果記憶手段は、
前記状態検出手段により検出された状態検出結果に加え、前記設備センサにより検出さ
れた前記設備の利用開始時刻及び利用時間を設備利用状況検出結果として記憶することを
特徴とする請求項1記載の自立活動度測定システム。
【請求項3】
前記測定対象者の状態は、
該測定対象者の端座位を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自立活動度
測定システム。
【請求項4】
前記出力手段は、
前記検出結果記憶手段に記憶されている状態検出結果及び設備利用状況検出結果の少な
くとも一方を、時系列に出力することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記
載の自立活動度測定システム。
【請求項5】
前記検出結果記憶手段に記憶されている状態検出結果及び設備利用状況検出結果の少な
くとも一方の統計値を算出する統計値算出手段を更に備え、
前記出力手段は、
前記統計値算出手段により算出された統計値を更に出力することを特徴とする請求項1
〜請求項4の何れか一項に記載の自立活動度測定システム。
【請求項6】
前記出力手段は、
前記検出結果記憶手段に記憶されている状態検出結果及び設備利用状況検出結果の少な
くとも一方と、前記統計値算出手段により算出された統計値との、少なくとも一方を、複
数の所定期間毎に比較可能に出力することを特徴とする請求項5記載の自立活動度測定シ
ステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−12057(P2006−12057A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191624(P2004−191624)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】