説明

航空機用非対称電気制動機構

【課題】航空機用電気制動機構における正常系システム及び緊急系システムの共通モード障害リスクを軽減すること。
【解決手段】本願発明は,いくつかの電気機械制動アクチュエータ(EBA)を備え,正常モードにおいて,制動指令に応答して制動設定値を生成するための制動制御ユニットと,複数の電気機械アクチュエータ制御器(EMAC)であって,それぞれ交流電源によって給電され,制動設定値に応答してEBAに電力を供給する少なくとも一つのインバータをそれぞれ含む電気機械アクチュエータ制御器と,直流電源だけから給電される少なくとも一つの緊急制動電源及び制御ユニット(EBPCU)であって,制動指令に応答してEBAのいくつかに電力を供給する少なくとも一つのインバータを含む緊急制動電源及び制御ユニットと,機構に電力が流れることを防止すると共に,アクチュエータに対してEMAC又はEBPCUが供給する電力を伝えるための保護手段と,を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,航空機用非対称電気制動機構に関する。
【背景技術】
【0002】
複雑な冗長構成における共通モード障害を防止することは,システム専門家には周知の必須設計処置である。共通モード障害とは,一つの機構内にある,互いに同一又は類似であって,独立とみなされるいくつかの部品に影響する事象である。機構を非対称冗長システムで構成するために異種の技術を用いることによって,共通モード障害の危険性を最小化することができる。
【0003】
油圧制動機構において非類似性原理を多用するすることは周知である。油圧制動機構に関する例は次のとおりである。
【0004】
・正常モードにおいては,正常系制動制御ユニット(BCU)と,BCUによって発生された制動設定値をブレーキ用油圧力に変換するサーボ弁(SV)とによって制動が行われる。正常系制動制御ユニットは,ペダルを介して制動指令を受信し,一方サーボ弁は正常系油圧力網によって動作する。
【0005】
・緊急モードにおいては,緊急系制動制御ユニット(EBCU)及び直接駆動サーボ弁(DDV)によって制動が行われる。
【0006】
・最終制動は,油圧力の予備蓄積及びパーキング制御レバーからの制動指令によって行っても良い。
【0007】
この種の機構においては,正常系チャネルと同一の機能部品(制御ユニット,指令/応力変換器)が緊急系チャネルにも用いられ,各機能部品は別々の技術を用いる。技術非対称性は,制動アクチュエータ,特にブレーキ自体にも及ぶ。上述のブレーキは二つの空洞を含んでもよく,一つの空洞は正常系回路の対応するサーボ弁(SV)に接続され,もう一つの空洞は緊急系回路の対応するサーボ弁(DDV)に接続される。あるいは,ブレーキは1個の空洞を備えるだけでもよく,この空洞は分離されている上記二つのチャネルのいずれかから油圧力を受けるシャトル弁と連携する。
【0008】
電気機械アクチュエータによって電気制動が行われる分野においては,非類似性は一般に制動アクチュエータまでは及ばない。非類似性はアクチュエータのモータの電源を切る装置(通常,電気機械制動アクチュエータ(EBA)に給電する電気機械アクチュエータ制御器(EMAC)に含まれる電気インバータ)に至るまでである。
【0009】
このような機構を共通モード障害に影響され難くしたいときは,類似しない緊急モードを得るために非対称な方法,すなわちすべての機能部品(BCU,EMAC)を別々の技術を用いることによって重複させることによって,正常系回路を冗長化することが必須である。それでもこのような方法は,寸法及び費用双方の点で非常に高価になるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は,正常系システム及び緊急系システムの共通モード障害の危険性を,単なる非類似重複によらないで,減少させることができる革新的な機構を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は航空機用非対称電気制動機構に関し,被制動車輪の回転を下げるために,選択的に制動力を摩擦部品に加えるための電気機械制動アクチュエータ(EBA)をいくつか備えている。この機構は,次に掲げる要素を備える。
【0012】
正常モードにおいて,制動指令に応答して制動設定値を生成するための制動制御ユニット(BCU)。
【0013】
複数の電気機械アクチュエータ制御器(EMAC)であって,それぞれ交流電源によって給電され,上記制動設定値に応答して上記EBAに電力を供給する少なくとも一つのインバータをそれぞれ含む電気機械アクチュエータ制御器。
【0014】
少なくとも一つの緊急制動電源及び制御ユニット(EBPCU)であって,制動指令に応答して上記EBAのいくつかに電力を供給する少なくとも一つのインバータを含む緊急制動電源及び制御ユニット。
【0015】
上記機構に電力が流れることを防止すると共に,上記アクチュエータに対して上記EMAC又はEBPCUが供給する電力を伝えるための保護手段。
【発明の効果】
【0016】
このように上記非対称冗長性は,非類似技術を用いて正常系システムの装置を重複させるのではなく,本質的に異なる方法で構成された緊急系システムを提案し,油圧シャトル弁に類似した方法を提供することによって,EMAC又はEBPCUによって供給される電力が真にアクチュエータに伝わり,ほかのシステムに流出しないようにすることができる。
【0017】
本発明は,本発明の特定の実施例に関する以降の説明を読むことによってよりよく理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】制動機構の正常動作中の,本発明の特定実施例による非対称制動機構の図である。
【図2】電源のうち一つが失われた後の代替制動中の図1に示す機構の図である。
【図3】正常系システムの必須部品のうち一つが失われた後の緊急制動中の図1に示す機構の図である。
【図4】緊急ユニットを用いた最終制動中の図1に示す機構の図である。
【図5】電気機械アクチュエータ及びEMACの図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照すると,この例による本発明の非対称機構がいくつかの被制動車輪1(当該車輪のうちひとつだけが示されている)を含む航空機に適用されている。この車輪は,電気機械制動アクチュエータ(EBA)2によって互いに押圧されるブレーキディスクを有するブレーキを備えている。この例においてはブレーキは4個のEBAを含む。すべてのブレーキのEBAは,EMAC3a,3bによって給電され,EMAC3a,3bはそれぞれ制動設定値(図中のbrk cmd)に応答して考慮下のEBAに電力を供給するインバータ4を含む。この例において各ブレーキのEBAは,二つの別個のEMACによって対で給電される。EMAC3aは第1直流(DC)電源DC1に接続されて,EMAC3aに含まれる電子カード(図中のSW)に給電する。一方,EMAC3bは第2直流電源DC2に接続されて,EMAC3bに含まれる電子カード(図中のSW)に給電する。適切なときはEMACはまた,他の車輪のEBAを制御することもできる。
【0020】
EMAC3のインバータによって断続(chop)されたのちEBA2に供給される交流(AC)は,2個の電源ユニット(PSU)5からもたらされる。PSU5は,航空機の二つのAC電力網からもたらされる電力を較正する役割をする。
【0021】
EMAC3a,3bに供給される制動設定値(図中のbrk cmd)は,ブレーキペダル6又はパーキングブレーキレバー7からもたらされる制動指令を受けて,制動制御ユニットBCU8によって発生される。既知の方法においては,BCU8は二つの計算回路(sys1及びsys2)を備え,各回路は別個のDC電源,それぞれDC1及びDC2によって給電される。BCUを冗長構成とし,これもまた二つの計算回路を備えた少なくとも一つの第2BCUを備えることは既知である。
【0022】
上述の種々の部品が正常系制動システムを構成している。
【0023】
本発明によれば,緊急系制動システムは次のように構成される。緊急系制動システムは,アクチュエータ2のうちいくつかのためだけにAC電力を発生するインバータ11を含む緊急制動電力及び制御ユニットEBPCU10を備え,この電力は航空機の必須網(DCEss)又は蓄電池(DCBat)のいずれかのDC電力から変換される。この例においては,航空機のEBA2のうち半分(特に,EMAC3aによって給電されるアクチュエータ)だけがEBPCUによって給電される。この例においては,EBPCU10はパーキングブレーキレバー7からの信号だけを受信し,ブレーキペダル6からの信号は受信しないことに注意されたい。
【0024】
このように緊急系システムは完全に非対称である。既知の非類似性原理においては,正常系システムの部品が当該部品を構成するのに用いられる技術を変えて単に重複されるのに対して,この例における緊急系システムは次に示すいくつか点で正常系システムと本質的に異なっている。
【0025】
・EBPCU10はパーキングブレーキレバーからの信号だけを受信するが,BCU8はペダル6からの信号及びパーキングブレーキレバー7からの信号を受信する。
【0026】
・正常系システムにおいては,設定値はインバータを含むEMACユニットとは別のユニット(BCU)において準備されるが,緊急系システムではこれと異なる。
【0027】
正常系システムのインバータはAC給電されるが,緊急系システムのインバータはDC給電され,その電源はAC電源AC1及びAC2に給電する発電機から独立していると想定される。
【0028】
正常系システムはすべてのアクチュエータに給電するが,緊急系システムはアクチュエータのうちいくつかだけに給電する。
【0029】
緊急系システム,特にEBPCUは,関係するインバータを制御するための制動設定値を決定するために,ソフトウェアを含まずに布線論理手段,より一般にはハードウェア手段だけを含むことが好ましい。
【0030】
考慮下のアクチュエータに関して,緊急系システムの電力線は正常系システムよりも少ない。各EBA2に固定されたパーキング固定部品2c及び回転角検出器(resolver)2b(図5参照)はEBPCUではなく対応するEMACに接続されている。
【0031】
したがってこの方法で与えられる非対称性は完全であり,正常系システムの各要素を単に非類似的に重複させることに頼っていない。
【0032】
上記の機構によってブレーキを掛けるために,操縦士は次の制御が可能である。
・航空機の速度を下げるためのブレーキペダル6
・航空機が停止したとき航空機を確実に静止させるため,又は次に説明するように最終ブレーキを掛けるためのパーキングブレーキレバー7
・操縦士が,横滑り防止システムを適用するかどうか指示できるようにする切替えスイッチAS/OFF9
【0033】
次に,本発明の機構の種々の動作モードを説明する。
【0034】
正常系システムのすべての要素が機能しており,種々の航空機電源によって正常に給電されているとき,操縦士は次の各モードによってブレーキを掛けることができる。
【0035】
・正常ブレーキモード:切替えスイッチAS/OFFが横滑り防止(AS)位置にあるとき,操縦士はペダルによって減速度を制御することができる。このとき,BCU8がEMAC3の制動設定値を発生し,所望の減速度で車輪にブレーキを掛けるように,EMACが各EBA2にそれぞれ電力を分配する。
【0036】
・パーキングブレーキモード:航空機が停止すると,操縦士はパーキングブレーキレバーによってパーキングブレーキを掛けて航空機を確実に静止させることができる。このとき,BCU8がEMAC3の制動設定値を発生し,ブレーキディスクを押圧し,EBA2のプッシャが所定の場所に固定されるまでの間,制動力を維持するように,EMACが各EBA2にそれぞれ電力を分配する。
【0037】
図2に示すように,航空機の発電機の一つが故障したときは,対応するAC電源及びDC電源(この例では電源AC1及びDC1)が失われることになり,対応するPSUはもはやEMAC3aに電力を供給する役割をしない。上記EMACの電子カードはもはや給電されない。したがって,EMAC3aに接続されているEBA2は使用できない。さらに,BCUの計算回路の一つは給電されないため無効になる。それでもなお,引き続き給電されているEMAC3bの制動設定値を発生するために,BCU8の第2計算回路(sys2)を用いてブレーキを掛けることができる。このようなブレーキモードは「代替モード」として知られている。このモードにおいては,給電されないEBA2の損失を補うために,有効なEBA2により強い制動力を働かせるように要求することができる。本発明の一つの変形においては,正常系システムが複数のBCU8を含んでもよい。DC電源DC1又はDC2のうち一つが失われると,BCU8はそれぞれ,計算回路のうち一つを失うことになるが,EMAC3すべてに設定値を配信できるように有効な計算回路(引き続いて給電されているもの)を再構成することによって補償することができる。
【0038】
図3に示す別の状況においては,(例えばソフトウェアに無限ループが生じ,BCU又は共通モード障害のためにEMAC3a及び3bの双方の計算回路に影響を及ぼしたとき)BCU8又はすべてのEMAC3が障害になり,当然に,もはや正常系システムを用いてブレーキを掛けることはできない。操縦士は,ペダル6を踏んでもブレーキが利かない状況に遭遇する。そして操縦士は切替えスイッチAS/OFF9をOFFの位置にする。これが機構に緊急系システムを起動させるきっかけとなる。このブレーキモードは緊急ブレーキモードとして知られている。このようにしてEBPCU10が操縦士が作動させたパーキングブレーキレバー7から制動信号を受信し,EBPCUによってブレーキが掛けられる。そしてEBPU10はパーキングブレーキレバー7の作動に応じて考慮下のEBA2に較正された電力を送信する。この例においては,上記電力はDC電源DCEssから供給される。制動中EBA2のプッシャは,パーキングブレーキが掛けられたときのように所定の位置に固定されることはない。
【0039】
最後に,図4に示すような危機的状況においては,航空機のすべての発電機が故障した可能性があり,蓄電池以外の電源が得られない。上述の場合と同様,操縦士はペダルを踏んでも何の反応も得られない。そして操縦士は切替えスイッチAS/OFF9をOFFの位置にする。このようにして緊急系システムが起動される。そしてEBPCU10が操縦士が作動させたパーキングブレーキレバー7から制動信号を受信し,EBPCUによってブレーキが掛けられる。そしてEBPU10はパーキングブレーキレバー7の作動に応じて考慮下のEBA2に較正された電力を送信する。このように上記電力は蓄電池DCBatだけから供給される。これが最終ブレーキモードである。
【0040】
バッテリから供給される電力を節約するように設計された特定の実施例においては,最初に応力が加えられた後,EBA2は応力印加位置に固定される。このようにして,蓄電池からの電力を消費することなく制動力が維持される。このため,制動力が印加された後,考慮下のEBAに固定されたロック部品が上記EBA2のプッシャを所定の位置に固定するようにEBPCU10がプログラムされる。
【0041】
図5に示す重要な構成においては,緊急系システムが起動され,考慮下のEBA2がEBPCU10から電力を受電したとき,当該電力はEBA2に向けられ,当該電力が最終的に正常系システムに還流して考慮下のEMAC3を汚染しないようにするのが望ましい。EMAC3のインバータを構成する電力トランジスタは通常非導電性であり,該インバータは通常接続されておらず,それで電力が転流することが防がれているので,EMAC3が適切な動作状態にあるときに緊急系システムを起動しても,電力がEBPCU10から正常系システムへ廻ることにはならない。しかし,考慮下のEMAC3のうち一つにおいて,例えばトランジスタの一つが故障で導電状態であったときは,状況が異なる。この場合,考慮下のEMAC3は短絡のように振る舞い,EBPCU10によって分配された電力は上記EMACを介して正常系システムへ転流する可能性がある。この問題を解決するため,EBPCU10によって分配された電力が真にEBA2に向けられ,当該電力が正常系システムに転流しないようにするため,本機構に保護手段を設けることが望ましい。このため,この例におけるEMAC3の出力線にはヒューズ12が設けられ,このヒューズは,EMAC3のうち一つにおいてトランジスタが導電状態になっている場合,考慮下のEMAC3が給電されているかどうかにかかわらず,電力がEBPCU10によって電力が給電されているときは,考慮下のEBA2とEMAC3との間のすべての接続を切断するようになっている。この例においては,ヒューズはEBA2とEMAC3との間のすべての接続と,モータ2a,回転角検出器2b及びEBA2のパーキング固定部品に給電する線とに配置される。変形例においては,ヒューズによって構成される受動部品に加えて,又は代替として,保護手段は(通常断の)リレーのような能動部品を含んでもよい。
【0042】
上記に類似して,正常系システムすなわちEMAC3から供給される電力が,EBA2によって消費され,緊急系システムに転流されないようにすることも重要である。このため,EBPCU10の出力線にもヒューズが備えられて,EBPCU10のインバータのトランジスタのうち一つが導電状態になっているとき,ヒューズがEBPCU10と対応するEBA2との間の接続を切断し,EMAC3が給電中は,EMAC3からの電力がEBPCU10に流れることを防ぎ,当該電力が考慮下のEBA2に向けられる。
【0043】
このように上記の二つのシステムは互いに絶縁されており,最終的に他方のシステムから供給される電力にさらされることはない。ヒューズ12は,EMAC及びEBPCU内の,同一アクチュエータにつながっているEMACからの電力線及びEBPCUからの電力線の共通点から上流に設置される。
【0044】
上述の非対称機構は更に多くの特色を有する。
【0045】
本発明の特定の態様によれば,切替えスイッチAS/OFF9がAS位置になっている場合に操縦士がパーキングブレーキレバーを使用すると正常系システムが要求され,したがってBCU8は操縦士が,EBA2のプッシャを固定してパーキングブレーキを作動させようとしていることが分かる。しかしこれは航空機がまだ移動しているときには困難である。したがって,操縦士が真にパーキングブレーキを掛けたいのか調べることが好ましい。したがって,航空機が移動しているか停止したかを調べるために,速度情報(航空機の速度又は車輪回転速度)を監視すると有利である。パーキングブレーキは,航空機が停止しているときだけ適用される。例として,切替えスイッチAS/OFF9がAS位置にあるときは,パーキングブレーキレバーが作動しないようにしてもよい。
【0046】
本発明の別の態様によれば,EBPCU10に給電するために,電源DCEssを電源DC1又はDC2で置き換えることが想定される。電源DCEssは,航空機の左エンジン及び右エンジンによってそれぞれ駆動される発電機から電力を得る電源DC1及びDC2を並列結合したDC電源であることは既知である。このように本機構の非対称性は更に明白である。このようにしてEBPCU10に電源DC1(又はDC2)と電源DCBatとの間に共通点が作成されるが,決して電源DC1とDC2との間ではない。電力障害がDC1からDCBatに伝ぱしたときでも,電源DC2はまだ正常系システム用に使用でき,当該システムによるブレーキはまだ可能である。
【0047】
EMAC3又はPSU5が失われたとき,追加のブレーキモード(横滑り防止なしの差動ブレーキ)を構成するために,EBPCU10にペダル信号6を供給することが更に想定される。
【0048】
BCU8とEBPCU10との通信が提供され,それによって,EBPCU10は非常に例外的に使用されるだけなのでEBPCUが正しく動作している調べるために,BCUが定期的にEBPCU10を試験することが可能になる。
【符号の説明】
【0049】
1 被制動車輪
2 電気機械制動アクチュエータ
3 電気機械アクチュエータ制御器
4 インバータ
5 電源ユニット
6 ブレーキペダル
7 パーキングブレーキレバー
8 制動制御ユニット
9 切替えスイッチ
10 緊急制動電源及び制御ユニット
11 インバータ
12 ヒューズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機用非対称電気制動機構であって,被制動車輪の回転を下げるために,選択的に制動力を摩擦部品に加えるための電気機械制動アクチュエータ(EBA)(2)をいくつか備えており,前記機構は,
正常モードにおいて,制動指令に応答して制動設定値を生成するための制動制御ユニット(BCU)(8)と,
複数の電気機械アクチュエータ制御器(EMAC)(3)であって,それぞれ交流電源によって給電され,前記制動設定値に応答して前記EBAに電力を供給する少なくとも一つのインバータをそれぞれ含む電気機械アクチュエータ制御器と,
直流電源だけから給電される少なくとも一つの緊急制動電源及び制御ユニット(EBPCU)(10)であって,制動指令に応答して前記EBAのいくつかに電力を供給する少なくとも一つのインバータを含む緊急制動電源及び制御ユニットと,
前記機構に電力が流れることを防止すると共に,前記アクチュエータに対して前記EMAC又は前記EBPCUが供給する電力を伝えるための保護手段(12)と,
を備える機構。
【請求項2】
前記BCU(8)が受信する制動指令は,ブレーキペダル(6)又はパーキングブレーキレバー(7)から伝えられ,前記EBPCU(10)が受信する制動指令は,前記パーキングブレーキレバー(7)だけから伝えられる請求項1に記載の機構。
【請求項3】
前記車輪それぞれにおいて,前記アクチュエータの第1の半分は第1制御器(3a)によって電力供給され,前記アクチュエータの第2の半分は第2制御器(3b)によって電力供給され,前記第2の半分のアクチュエータだけが前記EBPCU(10)によって電力供給される請求項1に記載の機構。
【請求項4】
特定車輪のアクチュエータに給電する前記EMAC(3)は,前記インバータに給電する交流電源及び前記EMAC(3)の電子カードに給電する直流電源をそれぞれ備える二つの独立電源(AC1,DC1及びAC2,DC2)によって給電される請求項2に記載の機構。
【請求項5】
前記EBPCU(10)は,前記EMAC(3)に給電する電源とは異なる電源(DCEss,DCBat)によって給電される請求項3に記載の機構。
【請求項6】
前記機構に電力が流れることを防止することによって,前記EMAC(3)又は前記EBPCU(10)のいずれかによって給電される電力を前記アクチュエータに伝える前記保護手段は,前記EBA(2)それぞれの電力線の共通点の上流に配置された受動及び/又は能動素子(12)を含む請求項1に記載の機構。
【請求項7】
前記緊急ユニットは,前記の関連するインバータを制御する制動設定値を決定するハードウェア手段を含む請求項1に記載の機構。
【請求項8】
前記電気機械制動アクチュエータはそれぞれ,前記緊急ユニットではなく前記制御器によって給電される固定部品及び/又は回転角検出器を含む請求項1に記載の機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−131879(P2011−131879A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−286412(P2010−286412)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(591131361)メシエ−ブガッティ (64)
【氏名又は名称原語表記】MESSIER BUGATTI
【Fターム(参考)】