色補正装置、色補正方法及び色補正プログラム
【課題】同じ被写体を2台の仕様の異なるカメラを並べて撮影した際に得られる2つの動画像の間に生じる色差を減らす。
【解決手段】同一の被写体を撮影した2つの動画像MA,MBそれぞれから同時刻におけるフレーム画像MA(t),MB(t)を抽出し、フレーム画像MA(t),MB(t)を複数の領域に分割した領域画像RA(t),RB(t)を生成し、領域画像RA(t),RB(t)間で領域の対応関係および領域毎の色の対応関係を求め、色の対応関係に基づいてフレーム画像MA(t)からMB(t)への色の変換規則を学習し、学習した変換規則に基づいて動画像MAを色補正した動画像MA’を生成する。
【解決手段】同一の被写体を撮影した2つの動画像MA,MBそれぞれから同時刻におけるフレーム画像MA(t),MB(t)を抽出し、フレーム画像MA(t),MB(t)を複数の領域に分割した領域画像RA(t),RB(t)を生成し、領域画像RA(t),RB(t)間で領域の対応関係および領域毎の色の対応関係を求め、色の対応関係に基づいてフレーム画像MA(t)からMB(t)への色の変換規則を学習し、学習した変換規則に基づいて動画像MAを色補正した動画像MA’を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像の色を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
視差を利用して立体視可能な立体映像を生成する際、異なる位置に配置された一対の撮影手段、例えばステレオカメラ等の複眼撮影装置を用いる。一般的に同機種のカメラであれば、カメラの設定のみで獲得する映像の色味の調整が容易に行えるので、映像間の色差を減らすことが容易である。
【0003】
機種の異なる2台のカメラ間で色差を減らすために色補正を行う従来の技術としては、変換多項式を利用して色補正を行う手法(非特許文献1参照)や、画像のヒストグラムが一致するように色補正を行う手法(非特許文献2参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】稲村、田口、「異なったカメラ間の色調整について」、電子情報通信学会技術研究報告SIS、2007年3月、第106巻、第575号、p.19−22
【非特許文献2】稲村、田口、「異なったカメラ間の色調整法について」、電子情報通信学会技術研究報告SIS、2007年12月、第107巻、第374号、p.13−18
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1では被写体にカラーチャートを含める必要がある。非特許文献2では2台のカメラが離れている場合や角度が大きい場合、例えば、対象の色が一方の画像には見えているが他方の画像には角度の問題から見えていないといったシーンにおける色補正に対応していないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、同じ被写体を2台の仕様の異なるカメラを並べて撮影した際に得られる2つの動画像の間に生じる色差を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明に係る色補正装置は、同一の被写体を撮影した2つの動画像を入力して蓄積手段に蓄積させる入力手段と、前記蓄積手段に蓄積された前記2つの動画像それぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出する抽出手段と、前記フレーム画像それぞれを複数の領域に分割する領域分割手段と、前記フレーム画像間で対応する領域を判定し、前記領域毎に色の対応関係を求める領域判定手段と、前記色の対応関係に基づいて一方の色を変換したときに他方の色となる変換規則を学習する学習手段と、前記変換規則を用いて前記動画像の一方の色を補正する色補正手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記色補正装置において、前記領域判定手段は、前記フレーム画像それぞれに走査領域を設定して前記フレーム画像それぞれを走査し、前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を求めて、前記フレーム画像それぞれの対応する前記走査領域間で当該走査領域内に存在する前記領域の色を比較して対応する領域を判定することを特徴とする。
【0009】
上記色補正装置において、前記領域判定手段は、前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を記載した走査結果表を作成し、前記走査結果表の前記走査領域を検索し、前記フレーム画像それぞれの対応する走査領域内に存在する前記領域の数が少ない前記走査領域から順に、前記対応する走査領域間で前記領域の色のユークリッド距離を求めて、所定の閾値以下で前記ユークリッド距離が最も近い領域を対応する領域として判定することを特徴とする。
【0010】
上記色補正装置において、色補正手段が補正した動画像と他方の動画像のそれぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出して色の対応関係を求め、対応する色間の色差が所定の閾値を上回る場合は、追加学習を行わせる判定手段を有することを特徴とする。
【0011】
第2の本発明に係る色補正方法は、同一の被写体を撮影した2つの動画像を入力して蓄積手段に蓄積させるステップと、前記蓄積手段に蓄積された前記2つの動画像それぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出するステップと、前記フレーム画像それぞれを複数の領域に分割するステップと、前記フレーム画像間で対応する領域を判定するステップと、前記対応する領域毎に色の対応関係を求めるステップと、前記色の対応関係に基づいて一方の色を変換したときに他方の色となる変換規則を学習するステップと、前記変換規則を用いて前記動画像の一方の色を補正するステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
上記色補正方法において、前記対応する領域を判定するステップは、前記フレーム画像それぞれに走査領域を設定して前記フレーム画像それぞれを走査し、前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を求めて、前記フレーム画像それぞれの対応する前記走査領域間で当該走査領域内に存在する前記領域の色を比較して対応する領域を判定することを特徴とする。
【0013】
上記色補正方法において、前記対応する領域を判定するステップは、前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を記載した走査結果表を作成し、前記走査結果表の前記走査領域を検索し、前記フレーム画像それぞれの対応する走査領域内に存在する前記領域の数が少ない前記走査領域から順に、前記対応する走査領域間で前記領域の色のユークリッド距離を求めて、所定の閾値以下で前記ユークリッド距離が最も近い領域を対応する領域として判定することを特徴とする。
【0014】
上記色補正方法において、補正した動画像と他方の動画像のそれぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出して色の対応関係を求め、対応する色間の色差が所定の閾値を上回る場合は、追加学習を行わせるステップを有することを特徴とする。
【0015】
第3の本発明に係る色補正プログラムは、上記色補正方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、同じ被写体を2台の仕様の異なるカメラを並べて撮影した際に得られる2つの動画像の間に生じる色差を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態における色補正装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態における色補正装置が動画像間の色差を減らす処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】2つの動画像それぞれからフレーム画像を抽出した様子を示す図である。
【図4】フレーム画像から領域画像を生成した例を示す図である。
【図5】対応関係表の例を示す図である。
【図6】ニューラルネットワークを使った学習例を示す図である。
【図7】領域画像を走査する処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】画像走査用の窓の例を示す図である。
【図9】窓を用いて領域画像全体を走査する様子を示す図である。
【図10】走査結果表の例を示す図である。
【図11】走査結果表から対応関係を生成する処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】ユークリッド距離を用いて対応する領域を判定する処理の説明図である。
【図13】判定済みの領域を削除した走査結果表の例を示す図である。
【図14】本実施の形態における別の色補正装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態における色補正装置の構成を示すブロック図である。同図に示す色補正装置1は、フレーム抽出部2、領域分割部3、領域比較部4、対応色学習部5、色補正動画像生成部6、色差評価部7、メディア制御部8、および表示部9を備える。色補正装置1が備える各部は、演算処理装置、記憶装置等を備えたコンピュータにより構成して、各部の処理がプログラムによって実行されるものとしてもよい。このプログラムは色補正装置1が備える記憶装置に記憶されており、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0020】
フレーム抽出部2は、2つの動画像それぞれから同時刻のフレーム画像を所定の枚数抽出する。
【0021】
領域分割部3は、フレーム抽出部2が抽出したフレーム画像に対して領域分割処理を行い、フレーム画像に領域情報が付与された領域画像を生成する。
【0022】
領域比較部4は、同時刻のフレーム画像から生成された領域画像を比較し、2つの画像間における領域の対応関係、領域毎の色の対応関係を記録した対応関係表を生成する。
【0023】
対応色学習部5は、領域比較部4が生成した対応関係表の色の対応関係を学習して、対応する領域間の色の変換規則を得る。
【0024】
色補正動画像生成部6は、対応色学習部5で作成した学習結果を用いて一方の動画像に対して色変換を行う。
【0025】
色差評価部7は、色変換後の動画像間の色差を評価する。
【0026】
メディア制御部8は、メディア8Aから動画像を読み出す。
【0027】
表示部9は、動画像の再生を行う。
【0028】
次に、色補正装置1の処理の流れについて説明する。
【0029】
図2は、本実施の形態における色補正装置1が動画像間の色差を減らす処理の流れを示すフローチャートである。色補正装置1の処理は、学習フェーズ、補正フェーズ、判定フェーズの3段階に分けることができる。
【0030】
まず、学習フェーズ(ステップST1〜ST5)について説明する。
【0031】
メディア制御部8は、動画像MA,MBをメディア8Aから読み出し、色補正装置1の備えた記憶手段に記憶させる(ステップST1)。動画像MA,MBは、機種の異なる2台のカメラで得られたものであり、フレームレート、動画像サイズ、時刻などのカメラ側で調整できるパラメータを一致させ、同一の被写体を同タイミングで異なる視点から撮影したものである。
【0032】
続いて、フレーム抽出部2は、読み込んだ2つの動画像MA,MBから、同時刻のフレーム画像MA(t),MB(t)をランダムに適当な枚数だけ抽出する(ステップST2)。図3に示す例では、ランダムに選択した時刻t=0,5,9のときの動画像MAのフレーム画像MA(0),MA(5),MA(9)と、動画像MBのフレーム画像MB(0),MB(5),MB(9)を抽出している。
【0033】
続いて、領域分割部3は、フレーム抽出部2が抽出したフレーム画像MA(t),MB(t)に対して領域分割処理を行い、領域画像RA(t),RB(t)を生成する(ステップST3)。領域分割法として、k−means法、Mean Shift法、領域拡張法など既存の各種領域分割の手法を用いることができる。図4は、フレーム画像から領域画像を生成した例を示す図である。同図に示す例では、図4(a)に示すフレーム画像MA(0),MB(0)に対してMean Shift法を用いて領域分割処理を施し、それぞれa〜e,f〜kの部分領域に分割された図4(b)に示す領域画像RA(0),RB(0)が生成された。領域画像RA(0),RB(0)は、部分領域を識別する領域番号情報に元のフレーム画像MA(0),MB(0)の情報を加えたものである。つまり、領域画像RA(0),RB(0)は、画素毎にRGB値と領域番号を持つデータとなる。
【0034】
続いて、領域比較部4は、領域分割部3が生成した領域画像RA(t),RB(t)を比較し、座標と色の類似性から2つの画像間における領域の対応関係と領域毎の色の対応関係を記載した対応関係表を生成する(ステップST4)。領域比較部4が生成した対応関係表の例を図5に示す。なお、対応関係を決定する処理の詳細については後述する。
【0035】
続いて、対応色学習部5は、領域比較部4が生成した対応関係表の色の対応関係を学習して、対応する2つの領域のうち一方の領域の色からもう一方の領域の色への変換規則を得る(ステップST5)。例えば、フィードフォワード型のニューラルネットワークで誤差逆伝播法を用いて学習を行う場合、図6に示す構成が考えられる。領域画像RA(t)のある領域の平均RGB値を入力値R,G,Bとして入力層50に入力すると、中間層51を経て出力層52から出力値R’,G’,B’として出力される。領域画像RB(t)の対応する領域の平均RGB値は正解値(教師値)53に相当する。この正解値R”,G”,B”と出力値R’,G’,B’を比較したときの誤差が最小となるように中間層51のパラメータ調整を行う。これを領域比較部4が生成した色の対応関係の組み合わせで行うことで学習する。なお、図5の領域kのように対応する領域がない場合は、その領域の色は学習に使用しない。
【0036】
次に、補正フェーズ(ステップST6)の処理内容について説明する。
【0037】
色補正動画像生成部6は、対応色学習部5で作成した学習結果を用い、動画像MAの全フレーム画像MA(t)に対して色変換を行い、色補正した動画像MA’を生成する(ステップST6)。
【0038】
次に、判定フェーズ(ステップST6〜ST11)の処理内容について説明する。
【0039】
まず、色補正した動画像MA’と動画像MBに対して、ステップST2〜ST4の処理と同様の処理を行って色の対応関係を決定する(ステップST7〜ST9)。具体的には、まず、フレーム抽出部2が、動画像MB,MA’から同時刻のフレーム画像MB(t),MA’(t)のランダム抽出を行う(ステップST7)。続いて、領域分割部3が、抽出したフレーム画像MB(t),MA’(t)に対して領域分割処理を行って領域画像RB(t),RA’(t)を生成する。さらに、領域比較部4が、領域画像RB(t),RA’(t)の領域同士の対応関係と色の対応関係を決定する(ステップST9)。
【0040】
そして、色差評価部7が、対応する各領域の平均RGB値のユークリッド距離を基準に色差を評価し(ステップST10)、色差が別途設定する閾値を下回る場合は(ステップST11のNo)、色補正した動画像MA’が生成されたとみなし処理を終了する。色差が別途設定する閾値を上回る場合は(ステップST11のYes)、ステップST2に戻り、新たなフレーム画像MA(t),MB(t)を用いて追加学習を行う。なお、色差の評価方法は、上記の方法に限らず、他の方法を用いるものでもよい。
【0041】
次に、領域比較部4が対応関係を決定する処理について説明する。対応関係の決定は、領域画像の走査と走査結果から対応関係を生成する処理からなる。
【0042】
まず、領域画像を走査する処理について説明する。図7は、領域比較部4が領域画像を走査する処理の流れを示すフローチャートである。
【0043】
領域画像RA(t),RB(t)上に、画像左上の座標(0,0)を基準とした、横幅が画像の最大横幅サイズ、縦幅が所定のサイズとなる画像走査用の窓を配置する(ステップST31)。図8に画像走査用の窓の例を示す。同図に示す例では、領域画像RA(t),RB(t)それぞれの画像サイズは320×240画素であり、窓サイズを320×10画素と設定した。なお、窓の画素数は任意に設定可能である。
【0044】
続いて、窓内の左上の画素から順にRGB値と領域情報を読み出して一時的に記憶し(ステップST32)、窓内を左上から右下へ向って走査するように次の画素を選択する(ステップST33)。選択した画素が窓内であれば(ステップST34のYes)、ステップST32に戻りRGB値と領域情報を読み出す。
【0045】
窓内の画素を全て走査し終えたら(ステップST34のNo)、一時的に記憶しておいたRGB値を領域毎に平均し(ステップST35)、走査結果として、窓内に存在する領域情報、窓内の領域毎の平均RGB値、窓内の領域数を記録する(ステップST36)。
【0046】
そして、窓の縦の画素数分だけ窓の配置位置をy軸方向に移動させる(ステップST37)。窓が領域画像RA(t),RB(t)内に配置されている場合は(ステップST38のYes)、ステップST32〜ST37の処理を繰り返す。これにより、図9に示すように、領域画像RA(t),RB(t)が上から順に走査される。
【0047】
図10に、図7に示す処理により生成された走査結果表を示す。図10に示すように、走査結果表には、走査領域S1〜S24毎に、検出された領域数、領域情報、平均RGB値が記録される。領域情報と平均RGB値の組みは各走査領域S1〜S24の領域数記録される。例えば、図10の領域画像RA(t)の走査領域S3では、平均RGB値が(88,2,9)の領域aと平均RGB値が(90,13,6)の領域cの2つの領域が存在する。
【0048】
続いて、走査結果表から対応関係を生成する処理について説明する。図11は、走査結果表から対応関係を生成する処理の流れを示すフローチャートである。
【0049】
走査結果表から領域数が最も少ない走査領域を検索する(ステップST39)。
【0050】
領域画像RA(t),RB(t)ともに領域数が1の場合(ステップST40のYes)、その領域は対応する関係にあると判定する(ステップST41)。
【0051】
領域画像RA(t),RB(t)ともに領域数が1ではない場合(ステップST40のNo)、図12に示すように、領域画像RA(t),RB(t)の領域間の平均RGB値のユークリッド距離を求め、閾値Lを下回る最も距離の近いものから順番に対応関係にあると判定する(ステップST42)。なお、RGB値が8bit(0〜255)の場合、閾値Lは(0<L≦255√3)の範囲内で設定される。求めたユークリッド距離が閾値Lを上回る領域同士は対応付けを行わない。
【0052】
また、領域の総数の最も少ない走査領域が複数検索されたときに、領域画像RA(t),RB(t)それぞれの領域数が同じ場合は(1:1,2:2など)、早く検索された側を優先して処理し、領域画像RA(t),RB(t)それぞれの領域数が異なる場合は(1:3,2:3など)、最小の総数が入っている側(この場合は1:3)を優先して処理する。
【0053】
対応する領域が判明したら、対応する領域それぞれの走査結果表全体における平均RGB値を求め(ステップST43)、対応する領域情報と求めた平均RGB値を対応関係表に記録する(ステップST44)。具体的には、図10において、領域aと領域fが対応する関係であると判定した場合、領域aの平均RGB値は、走査領域S1のRGB値(90,2,10)、走査領域S2のRGB値(90,0,3)、走査領域S3のRGB値(88,2,9)などを平均して求める。そして、対応関係表の領域の対応欄に領域aと領域fを、色の対応欄に領域aの平均RGB値(90,2,12)と領域fの平均RGB値(80,2,17)を記録する。
【0054】
その後、判定済みの領域情報を走査結果表から削除し、領域数を減らす(ステップST45)。具体的には、図10に示す走査結果表から判定済みの領域a,fの情報を削除する。図13に、領域a,fの情報を削除した走査結果表を示す。
【0055】
そして、走査結果表に未判定領域が残っているか否かを確認し(ステップST46)、未判定領域が残っている場合はステップST39に戻り、全て判定済みの場合は対応関係表の生成を終了する。
【0056】
なお、本実施の形態では、領域の色情報として平均RGB値を用いたが、これに限るものではなく、中央値、最頻値などの別の統計値を用いるものでもよく、RGB値の代わりにHSVなどの別の色空間を用いてもよい。
【0057】
次に、本実施の形態における別の色補正装置について説明する。
【0058】
図14、本実施の形態における別の色補正装置の構成を示すブロック図である。同図に示す色補正装置1は、図1に示す色補正装置に立体動画像生成部11を追加し、立体動画像を生成するものである。
【0059】
図2のステップST11の処理の後に、立体動画像生成部11は、色補正した動画像MA’と動画像MBに対して動画像合成処理を行う。立体動画像は、フレームシーケンシャル方式やサイドバイサイド方式など、視聴形態、視聴環境に合ったフォーマットで生成する。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態によれば、同一の被写体を撮影した2つの動画像MA,MBそれぞれから同時刻におけるフレーム画像MA(t),MB(t)を抽出し、フレーム画像MA(t),MB(t)を複数の領域に分割した領域画像RA(t),RB(t)を生成し、領域画像RA(t),RB(t)間で領域の対応関係および領域毎の色の対応関係を求め、色の対応関係に基づいてフレーム画像MA(t)からMB(t)への色の変換規則を学習し、学習した変換規則に基づいて動画像MAを色補正した動画像MA’を生成することにより、2つの動画像MA,MBの間に生じる色差を減らすことが可能となる。
【0061】
本実施の形態によれば、色補正した動画像MA’と動画像MBそれぞれから同時刻におけるフレーム画像MA’(t),MB(t)を抽出し、領域の分割、領域の対応関係、領域毎の色の対応関係を求め、対応する色間の色差が所定の閾値を上回る場合は、新たなフレーム画像MA(t),MB(t)を用いて追加学習を行うことにより、より正確に2つの動画像MA,MBの間に生じる色差を減らすことが可能となる。
【符号の説明】
【0062】
1…色補正装置
2…フレーム抽出部
3…領域分割部
4…領域比較部
5…対応色学習部
6…色補正動画像生成部
7…色差評価部
8…メディア制御部
8A…メディア
9…表示部
11…立体動画像生成部
50…入力層
51…中間層
52…出力層
53…正解値
【技術分野】
【0001】
本発明は、動画像の色を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
視差を利用して立体視可能な立体映像を生成する際、異なる位置に配置された一対の撮影手段、例えばステレオカメラ等の複眼撮影装置を用いる。一般的に同機種のカメラであれば、カメラの設定のみで獲得する映像の色味の調整が容易に行えるので、映像間の色差を減らすことが容易である。
【0003】
機種の異なる2台のカメラ間で色差を減らすために色補正を行う従来の技術としては、変換多項式を利用して色補正を行う手法(非特許文献1参照)や、画像のヒストグラムが一致するように色補正を行う手法(非特許文献2参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】稲村、田口、「異なったカメラ間の色調整について」、電子情報通信学会技術研究報告SIS、2007年3月、第106巻、第575号、p.19−22
【非特許文献2】稲村、田口、「異なったカメラ間の色調整法について」、電子情報通信学会技術研究報告SIS、2007年12月、第107巻、第374号、p.13−18
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1では被写体にカラーチャートを含める必要がある。非特許文献2では2台のカメラが離れている場合や角度が大きい場合、例えば、対象の色が一方の画像には見えているが他方の画像には角度の問題から見えていないといったシーンにおける色補正に対応していないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、同じ被写体を2台の仕様の異なるカメラを並べて撮影した際に得られる2つの動画像の間に生じる色差を減らすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明に係る色補正装置は、同一の被写体を撮影した2つの動画像を入力して蓄積手段に蓄積させる入力手段と、前記蓄積手段に蓄積された前記2つの動画像それぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出する抽出手段と、前記フレーム画像それぞれを複数の領域に分割する領域分割手段と、前記フレーム画像間で対応する領域を判定し、前記領域毎に色の対応関係を求める領域判定手段と、前記色の対応関係に基づいて一方の色を変換したときに他方の色となる変換規則を学習する学習手段と、前記変換規則を用いて前記動画像の一方の色を補正する色補正手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記色補正装置において、前記領域判定手段は、前記フレーム画像それぞれに走査領域を設定して前記フレーム画像それぞれを走査し、前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を求めて、前記フレーム画像それぞれの対応する前記走査領域間で当該走査領域内に存在する前記領域の色を比較して対応する領域を判定することを特徴とする。
【0009】
上記色補正装置において、前記領域判定手段は、前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を記載した走査結果表を作成し、前記走査結果表の前記走査領域を検索し、前記フレーム画像それぞれの対応する走査領域内に存在する前記領域の数が少ない前記走査領域から順に、前記対応する走査領域間で前記領域の色のユークリッド距離を求めて、所定の閾値以下で前記ユークリッド距離が最も近い領域を対応する領域として判定することを特徴とする。
【0010】
上記色補正装置において、色補正手段が補正した動画像と他方の動画像のそれぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出して色の対応関係を求め、対応する色間の色差が所定の閾値を上回る場合は、追加学習を行わせる判定手段を有することを特徴とする。
【0011】
第2の本発明に係る色補正方法は、同一の被写体を撮影した2つの動画像を入力して蓄積手段に蓄積させるステップと、前記蓄積手段に蓄積された前記2つの動画像それぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出するステップと、前記フレーム画像それぞれを複数の領域に分割するステップと、前記フレーム画像間で対応する領域を判定するステップと、前記対応する領域毎に色の対応関係を求めるステップと、前記色の対応関係に基づいて一方の色を変換したときに他方の色となる変換規則を学習するステップと、前記変換規則を用いて前記動画像の一方の色を補正するステップと、を有することを特徴とする。
【0012】
上記色補正方法において、前記対応する領域を判定するステップは、前記フレーム画像それぞれに走査領域を設定して前記フレーム画像それぞれを走査し、前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を求めて、前記フレーム画像それぞれの対応する前記走査領域間で当該走査領域内に存在する前記領域の色を比較して対応する領域を判定することを特徴とする。
【0013】
上記色補正方法において、前記対応する領域を判定するステップは、前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を記載した走査結果表を作成し、前記走査結果表の前記走査領域を検索し、前記フレーム画像それぞれの対応する走査領域内に存在する前記領域の数が少ない前記走査領域から順に、前記対応する走査領域間で前記領域の色のユークリッド距離を求めて、所定の閾値以下で前記ユークリッド距離が最も近い領域を対応する領域として判定することを特徴とする。
【0014】
上記色補正方法において、補正した動画像と他方の動画像のそれぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出して色の対応関係を求め、対応する色間の色差が所定の閾値を上回る場合は、追加学習を行わせるステップを有することを特徴とする。
【0015】
第3の本発明に係る色補正プログラムは、上記色補正方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、同じ被写体を2台の仕様の異なるカメラを並べて撮影した際に得られる2つの動画像の間に生じる色差を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施の形態における色補正装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態における色補正装置が動画像間の色差を減らす処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】2つの動画像それぞれからフレーム画像を抽出した様子を示す図である。
【図4】フレーム画像から領域画像を生成した例を示す図である。
【図5】対応関係表の例を示す図である。
【図6】ニューラルネットワークを使った学習例を示す図である。
【図7】領域画像を走査する処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】画像走査用の窓の例を示す図である。
【図9】窓を用いて領域画像全体を走査する様子を示す図である。
【図10】走査結果表の例を示す図である。
【図11】走査結果表から対応関係を生成する処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】ユークリッド距離を用いて対応する領域を判定する処理の説明図である。
【図13】判定済みの領域を削除した走査結果表の例を示す図である。
【図14】本実施の形態における別の色補正装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態における色補正装置の構成を示すブロック図である。同図に示す色補正装置1は、フレーム抽出部2、領域分割部3、領域比較部4、対応色学習部5、色補正動画像生成部6、色差評価部7、メディア制御部8、および表示部9を備える。色補正装置1が備える各部は、演算処理装置、記憶装置等を備えたコンピュータにより構成して、各部の処理がプログラムによって実行されるものとしてもよい。このプログラムは色補正装置1が備える記憶装置に記憶されており、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0020】
フレーム抽出部2は、2つの動画像それぞれから同時刻のフレーム画像を所定の枚数抽出する。
【0021】
領域分割部3は、フレーム抽出部2が抽出したフレーム画像に対して領域分割処理を行い、フレーム画像に領域情報が付与された領域画像を生成する。
【0022】
領域比較部4は、同時刻のフレーム画像から生成された領域画像を比較し、2つの画像間における領域の対応関係、領域毎の色の対応関係を記録した対応関係表を生成する。
【0023】
対応色学習部5は、領域比較部4が生成した対応関係表の色の対応関係を学習して、対応する領域間の色の変換規則を得る。
【0024】
色補正動画像生成部6は、対応色学習部5で作成した学習結果を用いて一方の動画像に対して色変換を行う。
【0025】
色差評価部7は、色変換後の動画像間の色差を評価する。
【0026】
メディア制御部8は、メディア8Aから動画像を読み出す。
【0027】
表示部9は、動画像の再生を行う。
【0028】
次に、色補正装置1の処理の流れについて説明する。
【0029】
図2は、本実施の形態における色補正装置1が動画像間の色差を減らす処理の流れを示すフローチャートである。色補正装置1の処理は、学習フェーズ、補正フェーズ、判定フェーズの3段階に分けることができる。
【0030】
まず、学習フェーズ(ステップST1〜ST5)について説明する。
【0031】
メディア制御部8は、動画像MA,MBをメディア8Aから読み出し、色補正装置1の備えた記憶手段に記憶させる(ステップST1)。動画像MA,MBは、機種の異なる2台のカメラで得られたものであり、フレームレート、動画像サイズ、時刻などのカメラ側で調整できるパラメータを一致させ、同一の被写体を同タイミングで異なる視点から撮影したものである。
【0032】
続いて、フレーム抽出部2は、読み込んだ2つの動画像MA,MBから、同時刻のフレーム画像MA(t),MB(t)をランダムに適当な枚数だけ抽出する(ステップST2)。図3に示す例では、ランダムに選択した時刻t=0,5,9のときの動画像MAのフレーム画像MA(0),MA(5),MA(9)と、動画像MBのフレーム画像MB(0),MB(5),MB(9)を抽出している。
【0033】
続いて、領域分割部3は、フレーム抽出部2が抽出したフレーム画像MA(t),MB(t)に対して領域分割処理を行い、領域画像RA(t),RB(t)を生成する(ステップST3)。領域分割法として、k−means法、Mean Shift法、領域拡張法など既存の各種領域分割の手法を用いることができる。図4は、フレーム画像から領域画像を生成した例を示す図である。同図に示す例では、図4(a)に示すフレーム画像MA(0),MB(0)に対してMean Shift法を用いて領域分割処理を施し、それぞれa〜e,f〜kの部分領域に分割された図4(b)に示す領域画像RA(0),RB(0)が生成された。領域画像RA(0),RB(0)は、部分領域を識別する領域番号情報に元のフレーム画像MA(0),MB(0)の情報を加えたものである。つまり、領域画像RA(0),RB(0)は、画素毎にRGB値と領域番号を持つデータとなる。
【0034】
続いて、領域比較部4は、領域分割部3が生成した領域画像RA(t),RB(t)を比較し、座標と色の類似性から2つの画像間における領域の対応関係と領域毎の色の対応関係を記載した対応関係表を生成する(ステップST4)。領域比較部4が生成した対応関係表の例を図5に示す。なお、対応関係を決定する処理の詳細については後述する。
【0035】
続いて、対応色学習部5は、領域比較部4が生成した対応関係表の色の対応関係を学習して、対応する2つの領域のうち一方の領域の色からもう一方の領域の色への変換規則を得る(ステップST5)。例えば、フィードフォワード型のニューラルネットワークで誤差逆伝播法を用いて学習を行う場合、図6に示す構成が考えられる。領域画像RA(t)のある領域の平均RGB値を入力値R,G,Bとして入力層50に入力すると、中間層51を経て出力層52から出力値R’,G’,B’として出力される。領域画像RB(t)の対応する領域の平均RGB値は正解値(教師値)53に相当する。この正解値R”,G”,B”と出力値R’,G’,B’を比較したときの誤差が最小となるように中間層51のパラメータ調整を行う。これを領域比較部4が生成した色の対応関係の組み合わせで行うことで学習する。なお、図5の領域kのように対応する領域がない場合は、その領域の色は学習に使用しない。
【0036】
次に、補正フェーズ(ステップST6)の処理内容について説明する。
【0037】
色補正動画像生成部6は、対応色学習部5で作成した学習結果を用い、動画像MAの全フレーム画像MA(t)に対して色変換を行い、色補正した動画像MA’を生成する(ステップST6)。
【0038】
次に、判定フェーズ(ステップST6〜ST11)の処理内容について説明する。
【0039】
まず、色補正した動画像MA’と動画像MBに対して、ステップST2〜ST4の処理と同様の処理を行って色の対応関係を決定する(ステップST7〜ST9)。具体的には、まず、フレーム抽出部2が、動画像MB,MA’から同時刻のフレーム画像MB(t),MA’(t)のランダム抽出を行う(ステップST7)。続いて、領域分割部3が、抽出したフレーム画像MB(t),MA’(t)に対して領域分割処理を行って領域画像RB(t),RA’(t)を生成する。さらに、領域比較部4が、領域画像RB(t),RA’(t)の領域同士の対応関係と色の対応関係を決定する(ステップST9)。
【0040】
そして、色差評価部7が、対応する各領域の平均RGB値のユークリッド距離を基準に色差を評価し(ステップST10)、色差が別途設定する閾値を下回る場合は(ステップST11のNo)、色補正した動画像MA’が生成されたとみなし処理を終了する。色差が別途設定する閾値を上回る場合は(ステップST11のYes)、ステップST2に戻り、新たなフレーム画像MA(t),MB(t)を用いて追加学習を行う。なお、色差の評価方法は、上記の方法に限らず、他の方法を用いるものでもよい。
【0041】
次に、領域比較部4が対応関係を決定する処理について説明する。対応関係の決定は、領域画像の走査と走査結果から対応関係を生成する処理からなる。
【0042】
まず、領域画像を走査する処理について説明する。図7は、領域比較部4が領域画像を走査する処理の流れを示すフローチャートである。
【0043】
領域画像RA(t),RB(t)上に、画像左上の座標(0,0)を基準とした、横幅が画像の最大横幅サイズ、縦幅が所定のサイズとなる画像走査用の窓を配置する(ステップST31)。図8に画像走査用の窓の例を示す。同図に示す例では、領域画像RA(t),RB(t)それぞれの画像サイズは320×240画素であり、窓サイズを320×10画素と設定した。なお、窓の画素数は任意に設定可能である。
【0044】
続いて、窓内の左上の画素から順にRGB値と領域情報を読み出して一時的に記憶し(ステップST32)、窓内を左上から右下へ向って走査するように次の画素を選択する(ステップST33)。選択した画素が窓内であれば(ステップST34のYes)、ステップST32に戻りRGB値と領域情報を読み出す。
【0045】
窓内の画素を全て走査し終えたら(ステップST34のNo)、一時的に記憶しておいたRGB値を領域毎に平均し(ステップST35)、走査結果として、窓内に存在する領域情報、窓内の領域毎の平均RGB値、窓内の領域数を記録する(ステップST36)。
【0046】
そして、窓の縦の画素数分だけ窓の配置位置をy軸方向に移動させる(ステップST37)。窓が領域画像RA(t),RB(t)内に配置されている場合は(ステップST38のYes)、ステップST32〜ST37の処理を繰り返す。これにより、図9に示すように、領域画像RA(t),RB(t)が上から順に走査される。
【0047】
図10に、図7に示す処理により生成された走査結果表を示す。図10に示すように、走査結果表には、走査領域S1〜S24毎に、検出された領域数、領域情報、平均RGB値が記録される。領域情報と平均RGB値の組みは各走査領域S1〜S24の領域数記録される。例えば、図10の領域画像RA(t)の走査領域S3では、平均RGB値が(88,2,9)の領域aと平均RGB値が(90,13,6)の領域cの2つの領域が存在する。
【0048】
続いて、走査結果表から対応関係を生成する処理について説明する。図11は、走査結果表から対応関係を生成する処理の流れを示すフローチャートである。
【0049】
走査結果表から領域数が最も少ない走査領域を検索する(ステップST39)。
【0050】
領域画像RA(t),RB(t)ともに領域数が1の場合(ステップST40のYes)、その領域は対応する関係にあると判定する(ステップST41)。
【0051】
領域画像RA(t),RB(t)ともに領域数が1ではない場合(ステップST40のNo)、図12に示すように、領域画像RA(t),RB(t)の領域間の平均RGB値のユークリッド距離を求め、閾値Lを下回る最も距離の近いものから順番に対応関係にあると判定する(ステップST42)。なお、RGB値が8bit(0〜255)の場合、閾値Lは(0<L≦255√3)の範囲内で設定される。求めたユークリッド距離が閾値Lを上回る領域同士は対応付けを行わない。
【0052】
また、領域の総数の最も少ない走査領域が複数検索されたときに、領域画像RA(t),RB(t)それぞれの領域数が同じ場合は(1:1,2:2など)、早く検索された側を優先して処理し、領域画像RA(t),RB(t)それぞれの領域数が異なる場合は(1:3,2:3など)、最小の総数が入っている側(この場合は1:3)を優先して処理する。
【0053】
対応する領域が判明したら、対応する領域それぞれの走査結果表全体における平均RGB値を求め(ステップST43)、対応する領域情報と求めた平均RGB値を対応関係表に記録する(ステップST44)。具体的には、図10において、領域aと領域fが対応する関係であると判定した場合、領域aの平均RGB値は、走査領域S1のRGB値(90,2,10)、走査領域S2のRGB値(90,0,3)、走査領域S3のRGB値(88,2,9)などを平均して求める。そして、対応関係表の領域の対応欄に領域aと領域fを、色の対応欄に領域aの平均RGB値(90,2,12)と領域fの平均RGB値(80,2,17)を記録する。
【0054】
その後、判定済みの領域情報を走査結果表から削除し、領域数を減らす(ステップST45)。具体的には、図10に示す走査結果表から判定済みの領域a,fの情報を削除する。図13に、領域a,fの情報を削除した走査結果表を示す。
【0055】
そして、走査結果表に未判定領域が残っているか否かを確認し(ステップST46)、未判定領域が残っている場合はステップST39に戻り、全て判定済みの場合は対応関係表の生成を終了する。
【0056】
なお、本実施の形態では、領域の色情報として平均RGB値を用いたが、これに限るものではなく、中央値、最頻値などの別の統計値を用いるものでもよく、RGB値の代わりにHSVなどの別の色空間を用いてもよい。
【0057】
次に、本実施の形態における別の色補正装置について説明する。
【0058】
図14、本実施の形態における別の色補正装置の構成を示すブロック図である。同図に示す色補正装置1は、図1に示す色補正装置に立体動画像生成部11を追加し、立体動画像を生成するものである。
【0059】
図2のステップST11の処理の後に、立体動画像生成部11は、色補正した動画像MA’と動画像MBに対して動画像合成処理を行う。立体動画像は、フレームシーケンシャル方式やサイドバイサイド方式など、視聴形態、視聴環境に合ったフォーマットで生成する。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態によれば、同一の被写体を撮影した2つの動画像MA,MBそれぞれから同時刻におけるフレーム画像MA(t),MB(t)を抽出し、フレーム画像MA(t),MB(t)を複数の領域に分割した領域画像RA(t),RB(t)を生成し、領域画像RA(t),RB(t)間で領域の対応関係および領域毎の色の対応関係を求め、色の対応関係に基づいてフレーム画像MA(t)からMB(t)への色の変換規則を学習し、学習した変換規則に基づいて動画像MAを色補正した動画像MA’を生成することにより、2つの動画像MA,MBの間に生じる色差を減らすことが可能となる。
【0061】
本実施の形態によれば、色補正した動画像MA’と動画像MBそれぞれから同時刻におけるフレーム画像MA’(t),MB(t)を抽出し、領域の分割、領域の対応関係、領域毎の色の対応関係を求め、対応する色間の色差が所定の閾値を上回る場合は、新たなフレーム画像MA(t),MB(t)を用いて追加学習を行うことにより、より正確に2つの動画像MA,MBの間に生じる色差を減らすことが可能となる。
【符号の説明】
【0062】
1…色補正装置
2…フレーム抽出部
3…領域分割部
4…領域比較部
5…対応色学習部
6…色補正動画像生成部
7…色差評価部
8…メディア制御部
8A…メディア
9…表示部
11…立体動画像生成部
50…入力層
51…中間層
52…出力層
53…正解値
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の被写体を撮影した2つの動画像を入力して蓄積手段に蓄積させる入力手段と、
前記蓄積手段に蓄積された前記2つの動画像それぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出する抽出手段と、
前記フレーム画像それぞれを複数の領域に分割する領域分割手段と、
前記フレーム画像間で対応する領域を判定し、前記領域毎に色の対応関係を求める領域判定手段と、
前記色の対応関係に基づいて一方の色を変換したときに他方の色となる変換規則を学習する学習手段と、
前記変換規則を用いて前記動画像の一方の色を補正する色補正手段と、
を有することを特徴とする色補正装置。
【請求項2】
前記領域判定手段は、
前記フレーム画像それぞれに走査領域を設定して前記フレーム画像それぞれを走査し、
前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を求めて、
前記フレーム画像それぞれの対応する前記走査領域間で当該走査領域内に存在する前記領域の色を比較して対応する領域を判定すること
を特徴とする請求項1記載の色補正装置。
【請求項3】
前記領域判定手段は、
前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を記載した走査結果表を作成し、
前記走査結果表の前記走査領域を検索し、前記フレーム画像それぞれの対応する走査領域内に存在する前記領域の数が少ない前記走査領域から順に、前記対応する走査領域間で前記領域の色のユークリッド距離を求めて、所定の閾値以下で前記ユークリッド距離が最も近い領域を対応する領域として判定すること
を特徴とする請求項2記載の色補正装置。
【請求項4】
色補正手段が補正した動画像と他方の動画像のそれぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出して色の対応関係を求め、対応する色間の色差が所定の閾値を上回る場合は、追加学習を行わせる判定手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の色補正装置。
【請求項5】
同一の被写体を撮影した2つの動画像を入力して蓄積手段に蓄積させるステップと、
前記蓄積手段に蓄積された前記2つの動画像それぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出するステップと、
前記フレーム画像それぞれを複数の領域に分割するステップと、
前記フレーム画像間で対応する領域を判定するステップと、
前記対応する領域毎に色の対応関係を求めるステップと、
前記色の対応関係に基づいて一方の色を変換したときに他方の色となる変換規則を学習するステップと、
前記変換規則を用いて前記動画像の一方の色を補正するステップと、
を有することを特徴とする色補正方法。
【請求項6】
前記対応する領域を判定するステップは、
前記フレーム画像それぞれに走査領域を設定して前記フレーム画像それぞれを走査し、
前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を求めて、
前記フレーム画像それぞれの対応する前記走査領域間で当該走査領域内に存在する前記領域の色を比較して対応する領域を判定すること
を特徴とする請求項5記載の色補正方法。
【請求項7】
前記対応する領域を判定するステップは、
前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を記載した走査結果表を作成し、
前記走査結果表の前記走査領域を検索し、前記フレーム画像それぞれの対応する走査領域内に存在する前記領域の数が少ない前記走査領域から順に、前記対応する走査領域間で前記領域の色のユークリッド距離を求めて、所定の閾値以下で前記ユークリッド距離が最も近い領域を対応する領域として判定すること
を特徴とする請求項6記載の色補正方法。
【請求項8】
補正した動画像と他方の動画像のそれぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出して色の対応関係を求め、対応する色間の色差が所定の閾値を上回る場合は、追加学習を行わせるステップを有することを特徴とする請求項5乃至6のいずれかに記載の色補正方法。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれかに記載の色補正方法をコンピュータに実行させることを特徴とする色補正プログラム。
【請求項1】
同一の被写体を撮影した2つの動画像を入力して蓄積手段に蓄積させる入力手段と、
前記蓄積手段に蓄積された前記2つの動画像それぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出する抽出手段と、
前記フレーム画像それぞれを複数の領域に分割する領域分割手段と、
前記フレーム画像間で対応する領域を判定し、前記領域毎に色の対応関係を求める領域判定手段と、
前記色の対応関係に基づいて一方の色を変換したときに他方の色となる変換規則を学習する学習手段と、
前記変換規則を用いて前記動画像の一方の色を補正する色補正手段と、
を有することを特徴とする色補正装置。
【請求項2】
前記領域判定手段は、
前記フレーム画像それぞれに走査領域を設定して前記フレーム画像それぞれを走査し、
前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を求めて、
前記フレーム画像それぞれの対応する前記走査領域間で当該走査領域内に存在する前記領域の色を比較して対応する領域を判定すること
を特徴とする請求項1記載の色補正装置。
【請求項3】
前記領域判定手段は、
前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を記載した走査結果表を作成し、
前記走査結果表の前記走査領域を検索し、前記フレーム画像それぞれの対応する走査領域内に存在する前記領域の数が少ない前記走査領域から順に、前記対応する走査領域間で前記領域の色のユークリッド距離を求めて、所定の閾値以下で前記ユークリッド距離が最も近い領域を対応する領域として判定すること
を特徴とする請求項2記載の色補正装置。
【請求項4】
色補正手段が補正した動画像と他方の動画像のそれぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出して色の対応関係を求め、対応する色間の色差が所定の閾値を上回る場合は、追加学習を行わせる判定手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の色補正装置。
【請求項5】
同一の被写体を撮影した2つの動画像を入力して蓄積手段に蓄積させるステップと、
前記蓄積手段に蓄積された前記2つの動画像それぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出するステップと、
前記フレーム画像それぞれを複数の領域に分割するステップと、
前記フレーム画像間で対応する領域を判定するステップと、
前記対応する領域毎に色の対応関係を求めるステップと、
前記色の対応関係に基づいて一方の色を変換したときに他方の色となる変換規則を学習するステップと、
前記変換規則を用いて前記動画像の一方の色を補正するステップと、
を有することを特徴とする色補正方法。
【請求項6】
前記対応する領域を判定するステップは、
前記フレーム画像それぞれに走査領域を設定して前記フレーム画像それぞれを走査し、
前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を求めて、
前記フレーム画像それぞれの対応する前記走査領域間で当該走査領域内に存在する前記領域の色を比較して対応する領域を判定すること
を特徴とする請求項5記載の色補正方法。
【請求項7】
前記対応する領域を判定するステップは、
前記走査領域毎に当該走査領域内に存在する前記領域と当該領域の色を記載した走査結果表を作成し、
前記走査結果表の前記走査領域を検索し、前記フレーム画像それぞれの対応する走査領域内に存在する前記領域の数が少ない前記走査領域から順に、前記対応する走査領域間で前記領域の色のユークリッド距離を求めて、所定の閾値以下で前記ユークリッド距離が最も近い領域を対応する領域として判定すること
を特徴とする請求項6記載の色補正方法。
【請求項8】
補正した動画像と他方の動画像のそれぞれから同時刻におけるフレーム画像を抽出して色の対応関係を求め、対応する色間の色差が所定の閾値を上回る場合は、追加学習を行わせるステップを有することを特徴とする請求項5乃至6のいずれかに記載の色補正方法。
【請求項9】
請求項5乃至8のいずれかに記載の色補正方法をコンピュータに実行させることを特徴とする色補正プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−165232(P2012−165232A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24749(P2011−24749)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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