説明

芳香族−アクリレート粘着付与樹脂

少なくとも1種の芳香族モノマー及び少なくとも1種のアクリレートモノマーの反復単位を含む、残留モノモノマー濃度が低い、粘着付与樹脂が提供される。本発明の他の実施態様において、粘着付与樹脂は、それを含む接着剤組成物の湿気輸送速度を著しくは低下させず、前記粘着付与樹脂を含む接着剤組成物の曇り性を著しくは増加させず且つ皮膚感作性を著しくは示さない。この粘着付与樹脂の製造方法も提供される。その方法は、粘着付与樹脂生成物流と少なくとも1種のキャリヤーとを、前記粘着付与樹脂生成物流から少なくとも1種の残留モノマーの少なくとも一部を除去するのに充分な温度において、接触させて粘着付与樹脂を生成させることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粘着付与樹脂(tackifier resin)の分野に関する。更に詳しくは、本発明は少なくとも1種の芳香族モノマー及び少なくとも1種のアクリレートモノマーからの反復単位を有する粘着付与樹脂の分野に関する。本発明は、また、これらの粘着付与樹脂の製造方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着付与樹脂は、種々の型の接着剤組成物の改質に用いられる。従来の粘着付与樹脂としては、例えばロジン、ロジンエステル、松脂系樹脂、C5及びC9系炭化水素樹脂、テルペン系樹脂、クマロン及びインデン系樹脂並びにフェノール樹脂が挙げられる。これらの粘着付与剤は、例えば感圧接着剤及びホットメルト接着剤の製造に使用される。
【0003】
これらの市販粘着付与樹脂の多くはある種の用途には使用できない。例えば医療用途においては、一部の粘着付与剤は、皮膚感作の問題のために利用できない。医療用接着剤の業界は、ロジン及びロジンエステルは皮膚感作を引き起こすおそれがあるため、この用途では使用できないと認識している。
【0004】
更に、多くの接着剤用途において使用される粘着付与樹脂は、透明であること及び曇り(fogging)を生じないことが必要とされる。また、粘着付与樹脂は、粘着付与樹脂の添加後の接着剤組成物の湿気(moisture vapor)輸送速度によって示されるような接着剤組成物の通気性を妨げないことが必要な場合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、接着剤業界においては、接着剤組成物にこれらの特性を与えることができる新しい粘着付与樹脂が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、以下の少なくとも1つを含む、接着剤製造業者に必要な性質:接着剤組成物の低残留モノマー濃度、低残留溶剤濃度、低皮膚感作性、透明性、低曇り性及び改善された湿気輸送速度、を提供できる粘着付与樹脂を開発した。
【0007】
本発明の一実施態様によれば、少なくとも1種の芳香族モノマー及び少なくとも1種のアクリレートモノマーからのモノマー単位を含むスチレン−アクリレート粘着付与樹脂を含む粘着付与樹脂が提供される。
【0008】
本発明の別の実施態様によれば、少なくとも1種の芳香族モノマー及び少なくとも1種のアクリレートモノマーの反復単位を含む粘着付与樹脂であって、それを含む接着剤組成物の湿気輸送速度を著しくは低下させない(not significantly decrease)粘着付与樹脂が提供される。
【0009】
本発明の別の実施態様によれば、少なくとも1種の芳香族モノマー及び少なくとも1種のアクリレートモノマーの反復単位を含んでなる粘着付与樹脂であって、それを含む接着剤組成物の曇り性を著しくは増加させない(not significantly increase)粘着付与樹脂が提供される。
【0010】
本発明の別の実施態様によれば、少なくとも1種の芳香族モノマー及び少なくとも1種のアクリレートモノマーの反復単位を含んでなる、皮膚感作性を著しくは示さない粘着付与樹脂が提供される。
【0011】
本発明の別の実施態様によれば、粘着付与樹脂の製造方法が提供される。この方法は、粘着付与樹脂生成物流と少なくとも1種のキャリヤーとを、前記粘着付与樹脂生成物流から少なくとも1種の残留モノマーの一部を除去するのに充分な温度において、接触させて、粘着付与樹脂を生成させることを含む。
【0012】
本発明の別の実施態様によれば、粘着付与樹脂の製造方法が提供される。この方法は、
a)少なくとも1種の芳香族モノマー、少なくとも1種のアクリレートモノマー及び任意的な少なくとも1種の溶剤を反応器ゾーンに供給して、反応混合物を生成させ;
b)前記反応混合物を少なくとも1種の開始剤の存在下に重合させて、粘着付与樹脂生成物流を生成させ;そして
c)前記粘着付与樹脂生成物流をキャリヤーと接触させることによって、前記粘着付与樹脂生成物流から少なくとも1種の残留モノマーの一部を除去して、粘着付与樹脂を生成させる
ことを含む。
【0013】
本発明の更に別の実施態様によれば、粘着付与樹脂の製造方法が提供される。この方法は、
a)少なくとも1種の芳香族モノマー、少なくとも1種のアクリレートモノマー及び任意的な少なくとも1種の溶剤を反応器ゾーンに供給して、反応混合物を生成させ;
b)前記反応混合物を少なくとも1種の開始剤の存在下に重合させて、粘着付与樹脂生成物流を生成させ;
c)前記粘着付与樹脂生成物流を、前記粘着付与樹脂生成物流から少なくとも1種の残留モノマーの一部を除去するのに充分な温度において、加熱し;そして
d)前記粘着付与樹脂生成物流を少なくとも1種のキャリヤーと接触させることによって残留モノマーの一部を更に除去して、粘着付与樹脂を生成させる
ことを含む。
【0014】
本発明の更に別の実施態様によっても、前記粘着付与樹脂を含む接着剤組成物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の一実施態様によれば、少なくとも1種の芳香族モノマー及び少なくとも1種のアクリレートモノマーの反復単位を含むスチレン−アクリレート粘着付与樹脂を含む粘着付与樹脂が提供される。
【0016】
芳香族モノマーは、少なくとも1種のアクリレートモノマーと重合できる、当業界で知られた任意の芳香族モノマーであることができる。用語「芳香族モノマー」は、1個又はそれ以上の環を含む不飽和環状炭化水素の少なくとも1つの基を含むモノマーを意味する。芳香族モノマーの例としては、オレフィン置換芳香族化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデン類、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン及びメチル−ジシクロペンタジエンが挙げられるが、これらに限定するものではない。最も好ましくは、芳香族モノマーはスチレンである。芳香族モノマーは、重合プロセスにおいて単一の型のモノマーとして又は混合物として、反応器ゾーンに添加することができ、また、重合中に種々の量で、種々の添加時間で、添加することができる。
【0017】
アクリレートモノマーは、芳香族モノマーと重合できる、当業界で知られた任意のアクリレートモノマーである。アクリレートモノマーは、重合プロセスにおいて単一の型のモノマーとして又は混合物として反応器ゾーンに添加することができ、また、重合中に種々の量で種々の添加時間で添加することができる。
【0018】
一実施態様において、アクリレートモノマーは一般式:
1−CH=CR2−COOR3
[式中、R1は水素、脂肪族基及び芳香族基からなる群から選ばれ;R2は水素、脂肪族基及び芳香族基からなる群から選ばれ;そしてR3は水素、脂肪族基及び芳香族基からなる群から選ばれる]
を有する。用語「脂肪族」は、構成炭素原子の直鎖又は分岐鎖配列と定義され、その例としては、アルカン、アルケン、アルカジエン及びアルキンが挙げられるが、これらに限定するものではない。脂肪族基は、ヒドロキシル、脂環式、酸、エポキシド、アミド、アクリロニトリル及びアクリレート(これらに限定するものではない)のような官能基を含むことができる。好ましくは、脂肪族基は炭素数が1〜約20、より好ましくは1〜12である。用語「芳香族基」は、1個又はそれ以上の環を含む不飽和環状炭化水素の少なくとも1つの基を意味する。芳香族基は、非置換又は約6個以下の炭素の成分を有する置換の芳香族基からなる群から選ぶことができる。好ましくは、芳香族基は炭素数が約6〜約20である。芳香族基は、ヒドロキシル、脂環式、酸、エポキシド、アミド、アクリロニトリル及びアクリレート(これらに限定するものではない)のような官能基を含むことができる。場合によっては、これらの官能基は、重合又は他の反応のための1個より多い反応部位を有するアクリレートモノマーを生じることができる。
【0019】
一実施態様において、アクリレートモノマーのR1及びR2はいずれも水素である。アクリレートモノマーがメタクリル化合物である場合には、R2はCH3基である。
【0020】
アクリル酸及びメタクリル酸のような酸官能性モノマーの場合には、R3は水素であることが多い。酸官能性モノマーはまた、例えばマレイン酸、フマル酸のような二官能価成分であることができるか、又はこれらの成分の無水物の形態であることができる。
【0021】
別の実施態様においては、官能基はR3基に含まれる場合が多い。適当な例は、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート及び1,3−ブタンジオールジメチルアクリレートである。
【0022】
アクリレートモノマーの例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない。アクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸n−ヘプチル、2−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、アクリル酸イソデシル、メタクリル酸イソデシル、ドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル、クロトン酸アルキル、酢酸ビニル、マレイン酸ジ−n−ブチル、ジ−オクチルマレエート、メタクリル酸アセトアセトキシエチル、アクリル酸アセトアセトキシエチル、メタクリル酸アセトアセトキシプロピル、アクリル酸アセトアセトキシプロピル、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸イソデシル、アクリル酸イソデシル、2−メトキシアクリレート、2−メトキシメタクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、アクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、カプロラクトンアクリレート、カプロラクトンメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール(400)アクリレート、ポリプロピレングリコール(400)メタクリレート、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、1−アリルオキシ−2−ヒドロイルプロピルスルホン酸ナトリウム、アクリロニトリルなど。
【0023】
アクリレートモノマーは、”The Brandon Worldwide Monomer Reference Guide and Sourcebook”Second Edition,1992,Brandon Associates,Merrimack,New Hampshire及び”Polymers and Monomers”,the 1996−1997 Catalog,Polyscience,Inc.,Warrington,PAに記載されている。
【0024】
2種又はそれ以上のアクリレートモノマーを組合せて使用することもできる。好ましくは、アクリレートモノマーは、炭素数約20以下であり、例えば以下のものであるが、これらに限定するものではない。アクリル酸、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸n−ヘプチル、2−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソ−ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、アクリル酸イソデシル、メタクリル酸イソデシル、ドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニルなど。最も好ましくは、アクリレートモノマーはアクリル酸及びアクリル酸2−エチルヘキシルである。
【0025】
官能性は、少なくとも1個の官能基を含むアクリレートモノマーを選択することによって粘着付与樹脂中に組み込むことができる。官能基はヒドロキシ、脂環式、酸、エポキシド、アミド、アクリロニトリル及びアクリレート基から選ばれることができる。アクリレートモノマーは酸基又はヒドロキシル基を含むのが最も好ましい。この官能性は、剪断接着破壊試験(SAFT)によって測定される場合に接着剤組成物に更に良好な凝集をもたらすことができるが、粘着付与樹脂は、エステル交換反応にためにそれほど熱安定性ではない可能性がある。他の具体的な官能基はMVTR、曇り性及び接着性を改良するように選ぶことができる。
【0026】
粘着付与樹脂は、公知の任意の方法によって製造できる。一実施態様において、粘着付与樹脂は、以下のようなラジカル触媒重合メカニズムによって製造できる。
分解: I………2*R・
開始: R・+M………M1
生長: Mi・+M………Mi+1
停止: Mi・+Mj・………Mi+Mj
[Iは開始剤を表し、R・はラジカルを表し、Mはモノマーを表す]。
【0027】
ラジカル触媒重合に関して当業界で知られた任意の重合開始剤を使用できる。開始剤は典型的には、粘着付与樹脂の目的分子量及び重合温度に基づいて選ばれる。粘着付与樹脂の臭気に対する開始剤の分解生成物の影響もまた、1つの要因となる場合がある。適当な開始剤は、例えばジアシルペルオキシド、ジアルキルペルオキシジカーボネート、tert−アルキルペルオキシエステル、ジ−tert−アルキルペルオキシド、tert−アルキルヒドロペルオキシド、ケトンペルオキシド及びそれらの混合物(これらに限定するものではない)のようなあらゆる種類の市販有機ペルオキシドから選ぶことができる。好ましくは、開始剤は、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド及びジ−アミルペルオキシドからなる群から選ばれる。
【0028】
ラジカル触媒重合は、反応器ゾーン中で少なくとも1種の溶剤の存在下で行うことができる。溶剤を使用しない方法も用いることができる。一般に、反応器ゾーンは少なくとも1つの反応器を含む。溶剤は、ラジカル触媒重合に使用されることが当業界で知られた任意の溶剤であることができる。溶剤の例としては、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。好ましくは、溶剤は、キシレン、又はメチルエチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチル−ジメチルベンゼン、プロピルメチルベンゼン及びテトラメチルベンゼンの異性体の混合物である。最も好ましくは、溶剤はキシレンである。
【0029】
ラジカル触媒重合による粘着付与樹脂の製造は、バッチ、フェッドバッチ又は連続式であることができる。ラジカル触媒重合の反応温度は0〜約250℃、好ましくは約100℃〜約200℃、最も好ましくは150℃〜160℃であることができる。開始剤レベルは、モノマー供給材料の重量に基づき、約0.1重量%〜約6重量%であることができ、好ましくは開始剤の量は0.1%〜3%の範囲であることができる。
【0030】
一実施態様において、粘着付与樹脂生成物流と少なくとも1種のキャリヤーとを、少なくとも1種の残留モノマーの一部を除去するのに充分な温度において接触させて粘着付与樹脂を生成することを含む粘着付与樹脂の製造方法が提供される。残留モノマーは、粘着付与樹脂中に含まれる1種又はそれ以上の未反応のモノマーと定義される。粘着付与樹脂生成物流は、粘着付与樹脂及び任意的な溶剤を含む。残留溶剤の一部も、粘着付与樹脂生成物流から除去することができる。粘着付与樹脂及び溶剤は、本明細書の開示において既に記載した。
【0031】
この粘着付与樹脂濃度は、接着剤が透明な色を有することができるので、医療用の接着剤において特に有用である。本発明の粘着付与樹脂中の低残留モノマー濃度はまた、皮膚感作性を低減するか又はなくすことができる。それはまた、残留モノマー濃度の低くない粘着付与樹脂を含む接着剤組成物と比較してはるかに良好な、接着剤組成物の曇り性を与えることができる。
【0032】
粘着付与樹脂中の残留モノマーの量は接着剤組成物の用途に依存する。一実施態様において、本発明の粘着付与樹脂は、前記粘着付与樹脂が接着剤組成物のMVTRを著しくは低下させないような低残留モノマー濃度を有することができる。MVTRが、粘着付与樹脂を含まない接着剤組成物と比較して、25%より大きく、好ましくは10%より大きく減少しないならば、粘着付与樹脂は接着剤組成物のMVTRを著しく低下させない。接着剤組成物のMVTRは、粘着付与樹脂を含まない接着剤組成物に比較して、同じであるか又は増大するのが好ましい。例えば、接着剤組成物のMVTRは約200〜約3000、好ましくは500〜1500の範囲であることができる。
【0033】
粘着付与樹脂生成物流とキャリヤーとの接触による残留モノマーの一部の除去は、公知の任意の手段によって行うことができる。キャリヤーの例としては、水蒸気、窒素及びエタンが挙げられるが、これに限定するものではない。好ましくは、キャリヤーは水蒸気である。キャリヤーの温度及び圧力は、粘着付与樹脂の所望の残留モノマー濃度又は接着剤組成物の所望のMVTRを得るために残留モノマーの一部を除去するのに充分なものである。用途によっては、粘着付与樹脂の残留モノマー濃度が、接着剤組成物の曇り性を増大させることもなく、皮膚感作性を著しいレベルで生じないようなものであることが望ましい場合もある。好ましくは、粘着付与樹脂の残留モノマー濃度は、粘着付与樹脂の重量に基づき、約600重量ppm未満、より好ましくは約300重量ppm未満、最も好ましくは250重量ppm未満である。
【0034】
別の実施態様において、粘着付与樹脂の残留モノマーレベルは、粘着付与樹脂の重量に基づき、芳香族モノマーが約200ppm未満及びアクリルモノマーが約400ppm未満、好ましくは芳香族モノマーが約100重量ppm未満及びアクリルモノマーが約200重量ppm未満、最も好ましくは芳香族モノマーが100重量ppm未満及びアクリルモノマーが150重量ppm未満である。
【0035】
本発明の更に別の実施態様において、粘着付与樹脂中の残留溶剤レベルは、粘着付与樹脂の重量に基づき、約500重量ppm未満、好ましくは約200重量ppm未満、最も好ましくは50重量ppm未満である。
【0036】
粘着付与樹脂生成物流とキャリヤーとの接触は、粘着付与樹脂中に所望の残留モノマー濃度を得るのに充分な任意の温度及び圧力において、行うことができる。好ましくは、この接触は、約150℃〜約250℃、より好ましくは160℃〜220℃の範囲の温度において行うことができる。好ましくは、粘着付与樹脂生成物流とキャリヤーとの接触は、約10mbar〜約1000mbar、好ましくは20mbar〜200mbarの範囲の圧力で行う。
【0037】
本発明の別の実施態様において、粘着付与樹脂の製造方法が提供される。この方法は、
a)少なくとも1種の芳香族モノマー、少なくとも1種のアクリレートモノマー及び任意的な少なくとも1種の溶剤を反応器ゾーンに供給して、反応混合物を生成させ;
b)前記反応混合物を少なくとも1種の開始剤の存在下で重合させて、粘着付与樹脂生成物流を生成させ;そして
c)前記粘着付与樹脂生成物流をキャリヤーと接触させることによって前記粘着付与樹脂生成物流から少なくとも1種の残留モノマーの一部を除去して、粘着付与樹脂を生成する
ことを含む。粘着付与樹脂生成物流とキャリヤーとの接触方法は、本明細書の開示において既に記載した。
【0038】
本発明の別の実施態様において、粘着付与樹脂の製造方法が提供される。この方法は、
a)少なくとも1種の芳香族モノマー、少なくとも1種のアクリレートモノマー及び場合によっては少なくとも1種の溶剤を反応器ゾーンに供給して、反応混合物を生成させ;
b)前記反応混合物を少なくとも1種の開始剤の存在下で重合させて、粘着付与樹脂生成物流を生成させ;
c)前記粘着付与樹脂生成物流を、前記粘着付与樹脂生成物流から少なくとも1種の残留モノマーの一部を除去するのに充分な温度において加熱し;そして
d)前記粘着付与樹脂生成物流を少なくとも1種のキャリヤーと接触させることによって残留モノマーの一部を更に除去して、粘着付与樹脂を生成させる
ことを含む。好ましくは、粘着付与樹脂の残留モノマー濃度は、粘着付与樹脂の重量に基づき、約600重量ppm未満である。残留モノマー濃度及び残留溶剤濃度は変化することができる。これらについては、本明細書の開示において既に記載した。
【0039】
粘着付与樹脂生成物流の加熱は、当業界で知られた任意の方法によって実施できる。例えば、粘着付与樹脂生成物流は、反応器中にある間に加熱することもできるし、又は別の処理装置に除去することもできる。加熱は、少なくとも1種の残留モノマーの一部を除去するのに充分な温度及び圧力において実施する。しかし、温度は、粘着付与樹脂の退色を引き起こすほど高過ぎてはならない。残留モノマーは、粘着付与樹脂生成物流を約150℃〜約250℃、好ましくは160℃〜220℃の範囲の温度に加熱することによって除去できる。圧力は、約10mbar〜約1000mbar、好ましくは20mbar〜200mbarであることができる。一般に、除去される部分は、粘着付与樹脂の重量に基づき、約1重量%〜約200重量%の範囲であることができる。好ましくは、除去される部分は、粘着付与樹脂の重量に基づき、50重量%〜150重量%の範囲であることができる。加熱の持続時間は、処理される粘着付与樹脂生成物流の量によって異なる。例えば、持続時間は約0.5時間〜約8時間の範囲であることができる。
【0040】
粘着付与樹脂生成物流とキャリヤーとの接触は本明細書の開示において既に記載した。
【0041】
別の実施態様において、粘着付与樹脂は、
a)少なくとも1種の芳香族モノマー、少なくとも1種のアクリレートモノマー及び任意的な少なくとも1種の溶剤を反応器ゾーンに供給して、反応混合物を生成し;
b)前記反応混合物を少なくとも1種の開始剤の存在下に重合させて、粘着付与樹脂生成物流を生成させ;
c)前記粘着付与樹脂生成物流を約150℃〜約250℃の範囲の温度において加熱して、前記粘着付与樹脂生成物流から残留モノマーの一部を除去し;そして
d)前記粘着付与樹脂生成物流をキャリヤーと接触させることによって残留モノマーの一部を更に除去して、芳香族モノマー約200ppm未満及びアクリレートモノマー400ppm未満の残留モノマー濃度を有する粘着付与樹脂を生成する
ことを含んでなる方法によって製造する。残留モノマーレベル及び残留溶剤レベルは、本明細書の開示において既に記載したように変化できる。
【0042】
本発明の更に別の実施態様において、粘着付与樹脂は、
a)少なくとも1種の芳香族モノマー、少なくとも1種のアクリレートモノマー及び少なくとも1種の開始剤を接触させて、モノマー−開始剤流を生成させ;
b)前記モノマー−開始剤流を、約100℃〜約250℃の範囲の温度の、溶剤を含む反応ゾーンに送り;
c)前記モノマー−開始剤供給材料流を重合条件において重合させて、粘着付与樹脂生成物流を生成し;
d)任意的に、追加量の開始剤を前記反応ゾーンに供給し;
e)前記粘着付与樹脂生成物流を、約150℃〜約250℃の範囲の温度及び約10mbar〜約1000mbarの圧力において加熱して、前記粘着付与樹脂生成物流から残留モノマーの一部を除去し;そして
f)前記粘着付与樹脂生成物流を、約150℃〜約250℃の温度及び約10mbar〜約1000mbarの圧力において蒸気と接触させることによって前記粘着付与樹脂生成物流から残留モノマーを更に除去して、粘着付与樹脂の重量に基づき、芳香族モノマー200重量ppm未満及びアクリレートモノマー400ppm未満の残留モノマー濃度を有する粘着付与樹脂を生成させる
ことを含んでなる方法によって製造する。粘着付与樹脂は、また、約500ppm未満の残留溶剤濃度を有することができる。
【0043】
芳香族モノマー及びアクリルモノマーの型を慎重に選択することによって、接着剤組成物の性質を特定の用途のために調整及び微調整することが可能である。粘着付与樹脂の重合プロセスの可能な変動は、芳香族モノマーの型、アクリレートモノマーの型、アクリレートモノマー中の酸又はヒドロキシル基の形態の官能性、異なるプロセス条件であり、これらは全て、粘着付与樹脂の異なる軟化点及び分子量をもたらす。
【0044】
粘着付与樹脂中の芳香族モノマー反復単位の量は、粘着付与樹脂中のモノマー反復単位の総量に基づき、約0.1%〜99.9%、好ましくは約20%〜約70%、最も好ましくは25%〜65%の範囲であることができる。粘着付与樹脂中のアクリレートモノマー反復単位の量は、粘着付与樹脂中のモノマー反復単位の総量に基づき、0.1%〜99.9%、好ましくは約30%〜約80%の範囲、最も好ましくは35%〜75%であることができる。
【0045】
粘着付与樹脂は、室温で液体〜約180℃、好ましくは約50℃〜150℃、最も好ましくは75℃〜120℃の範囲のR&B軟化点を有することができる。粘着付与樹脂の酸価は、約0〜約300mgKOH/g(樹脂)、好ましくは約0mgKOH/g〜約200mgKOH/g(樹脂)、最も好ましくは5〜150mgKOH/g(樹脂)の範囲であることができる。ヒドロキシル価は、約0〜約300、好ましくは0〜200であることができる。粘着付与樹脂のMMAP曇り点は典型的には50℃未満であり、好ましくはMMAPは約−20℃〜約30℃、最も好ましくは−10℃〜20℃の範囲である。
【0046】
粘着付与樹脂の数平均分子量(Mn)は、約1,500〜約7,000ダルトン、好ましくは約1,600〜約4,500、最も好ましくは2,000〜4,000の範囲であることができる。粘着付与樹脂の重量平均分子量(Mw)は、約2,000〜約25,000ダルトン、好ましくは約2,500〜約12,000、最も好ましくは3,000〜10,000の範囲であることができる。粘着付与樹脂のz−平均分子量(Mz)は、約3,000〜約75,000ダルトン、好ましくは約4,500〜約30,000、最も好ましくは5,000〜20,000の範囲であることができる。
【0047】
本発明の一実施態様において、粘着付与樹脂のガードナー(Gardner)カラーは一般に、5未満、好ましくは2未満、最も好ましくは1未満である。粘着付与樹脂を医療用途において用いる場合には、粘着付与樹脂のガードナーカラーは一般に2未満、好ましくは1未満である。一部の用途では、特に医療用接着剤の分野では淡色(light color)の粘着付与樹脂が必要とされる場合が多い。
【0048】
接着剤組成物を医療用途において用いる場合には、粘着付与樹脂中の残留モノマー濃度は、典型的には、粘着付与樹脂の重量に基づき、芳香族モノマーが約200重量ppm未満及びアクリルモノマーが約400重量ppm未満である。好ましくは、残留芳香族モノマーの量は、粘着付与樹脂の重量に基づき、約100重量ppm未満であり、残留アクリルモノマーの量は約200重量ppm未満である。最も好ましくは、残留芳香族モノマーの量は、粘着付与樹脂の重量に基づき、100重量ppm未満であり、残留アクリルモノマーの量は150重量ppm未満である。
【0049】
また、医療用途に使用するためには、特に粘着付与樹脂中の残留溶剤は、粘着付与樹脂の重量に基づき、約500ppm未満、好ましくは約200ppm未満、最も好ましくは50ppm未満である。
【0050】
本発明の別の実施態様において、粘着付与樹脂は、少なくとも1種の芳香族モノマーからのモノマー反復単位及び少なくとも1種のアクリレートモノマーからのモノマー反復単位を含み、前記モノマー反復単位は、スチレン、アクリル酸及びアクリル酸2−エチルヘキシルから選ばれた少なくとも1種である。スチレン反復単位の量は、粘着付与樹脂中のモノマー反復単位に総量に基づき、0.1〜99.9%の範囲であることができる。アクリル酸及びアクリル酸2−エチルヘキシルの量は、粘着付与樹脂中のモノマー反復単位の総量に基づき、0.1%〜99.9%の範囲であることができる。好ましくは、スチレン反復単位の量は約20%〜約70%の範囲であることができ、アクリル酸反復単位とアクリル酸2−エチルヘキシル反復単位の合計量は約30%〜約80%の範囲であることができる。最も好ましくは、スチレン反復単位の量は25%〜65%の範囲であることができ、アクリル酸反復単位とアクリル酸2−エチルヘキシル反復単位の合計量は35%〜75%の範囲であることができる。
【0051】
重合を約160℃未満の温度で行う場合には、粘着付与樹脂中のアクリル酸の量は、粘着付与樹脂のゲル化防止を助けるために約30%未満であることができる。しかし、約160℃〜約250℃の範囲の重合温度においては、粘着付与樹脂中のアクリル酸の量は、0.1%〜99.9%の範囲であることができる。
【0052】
本発明の別の実施態様において、接着剤組成物の製造方法が提供される。この方法は、少なくとも1種の粘着付与樹脂と少なくとも1種の接着剤成分とを接触させて、接着剤組成物を生成することを含む。
【0053】
接着剤組成物の組成は、界面活性剤の添加によって、又は水若しくは水性媒体による希釈によって調整できる。更に、接着剤組成物に所望の性質を与えるために若しくは分解を防止するために、又は他の任意の目的で、種々の添加剤を接着剤組成物に添加することができる。このような添加剤としては、強化材、難燃剤、発泡剤、従来型の粘着付与剤、可塑剤、油、酸化防止剤、ポリマー、硬化性/反応性モノマー、架橋剤、充填剤及び顔料が挙げられるが、これらに限定するものではない。可能な配合成分の数のため、本発明に従って調製される粘着付与樹脂の性質は、どのような基材の組合せを使用する場合であっても、粘着性、剥離、強度、剪断強さ及び耐溶剤性に関するほとんどの予測可能な要件を満足させるように変化させることができる。
【0054】
公知の任意の接着剤成分を使用できる。接着剤成分としては以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない。ポリウレタン;ポリエーテルアミドブロックコポリマー;ポリエチレンコポリマー、例えばポリエチレン−ビニルアセテート、ポリエチレン−ブチルアクリレート、ポリエチレン−2−エチルヘキシルアクリレート、ポリエチレン−メチルアクリレート、ポリエチレン−アクリル酸、ポリエチレンオキシド及びそのコポリマー(これらに限定するものではない);非晶質ポリ−α−オレフィン及びその官能基化コポリマー;ポリラクチド及びコポリマー;ポリアミド;ポリエステル及びコポリエステル;ポリエステルブロックコポリマー;官能基化ポリエステル及びコポリエステル、例えば、スルホン化ポリエステル(これに限定するものではない);ポリアクリル組成物;ポリビニルエーテル;ポリカプロラクトン及びコポリマー;エポキシド及びそれらのコポリマー、例えばウレタン−エポキシド(これに限定するものではない);イソプレン組成物;ポリ−イソブチレン及び官能基化型;ポリ−ブタジエン及び官能基化型;ポリ−ブチル、ポリブテン及び官能基化型;官能基化型(例えばマレイン酸改質スチレンエチレンブタジエンスチレン(m−SEBS)を含むがこれに限定されないスチレンブロックコポリマー;並びにそれらの混合物。
【0055】
接着剤組成物は、公知の任意の方法によって基材上に被覆することができる。例えば、被覆は、ナイフコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング及びカーテンコーティングによって実施できる。被覆厚は用途によって異なる。適当な被覆厚は、約0g/m2〜約200g/m2、好ましくは10g/m2〜100g/m2の範囲であることができる。
【0056】
接着剤組成物は、多様な基材上に被覆できる。適当な例としては、ポリマーフィルム、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)及び二軸延伸ポリプロピレン(BOPP);織布及び不織布;金属及び金属箔、例えばアルミニウム銅鉛、金など;紙;ガラス;セラミック;並びに1種又はそれ以上のこれらの材料の積層品を含む複合材料が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0057】
一実施態様において、接着剤組成物は感圧接着剤として使用される。一般に、感圧接着剤は、少なくとも1種のエラストマー性ポリマー及び少なくとも1種の粘着付与樹脂を含む。感圧接着剤は更に、少なくとも1種の添加剤を含むことができる。接着剤組成物用の添加剤の例は、本明細書の開示において既に記載した。エラストマー性ポリマーとしては、天然ゴム、ブチルゴム、アクリルポリマー、並びにブロックコポリマー、例えばスチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー及びスチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマーが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0058】
別の実施態様において、粘着付与樹脂は、ホットメルト接着剤の製造に使用される。ホットメルト接着剤は、メルトまで加熱してから、液体として基材に適用することができる不揮発性熱可塑性材料である。熱可塑性材料としては、エチレン−ビニルアセテートポリマー、パラフィンワックス、ポリプロピレン、フェノキシ樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、エチレン−エチルアクリレートコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。ホットメルト接着剤は更に少なくとも1種の添加剤を含むことができる。接着剤用の添加剤の例は、本明細書の開示において既に記載した。
【0059】
本発明の接着剤組成物を使用できる、接着剤用途は多数考えられる。例としては以下のものが挙げられるが、これらに限定するものではない。皮膚接触医療用途、サージカルテープ、包帯、創部ケア、手術用テープ及びドレープ、衛生用途、例えば女性用ケア製品、箱用シールテープ、マスキング用途、低曇り性、自動車インテリア用途、例えば発泡ガスケット、機器ディスプレイ、消音、トリム接着、シーラント、チョーク、一般的な感圧接着剤、半感圧接着剤、建築用及びヒドロキシルイオン接着剤、二次接着剤、接着フィルム及び膜、ボトルラベル、水溶性接着剤、貼り合わせ用接着剤、柔軟包装用接着剤、コンクリート養生剤、取付用テープ、両面テープ、エレクトリカルテープ、永久及び剥離可能ラベル、フィルムラベル、グラフィック産業用の感圧接着剤、レーザープリンター用ラベル、インシュレーションテープ、プライマー化合物、タイ層、路面標識用接着剤、インキ、取付用テープ、化学薬品用ラベル、例えば耐海水性ラベル、並びに医薬品及び化粧品用ラベルなど。
【0060】
本発明の別の実施態様は、少なくとも第1及び第2の基材の積層構造を含み、基材は接着剤組成物の層によって接合される。
【0061】
本発明を、特にその好ましい実施態様に関連して詳述したが、本発明の精神及び範囲内において変更及び修正が可能なことは言うまでもない。
【実施例】
【0062】
本発明を、その好ましい実施態様に関する以下の実施例によって更に説明することができるが、これらの実施例は単に説明のために記載するのであって、特に断らない限り、本発明の範囲を制限することを目的としないことは言うまでもない。
【0063】
試験法
酸価は、ASTM D974−02によって測定した。
【0064】
粘着付与樹脂の相容性は、約150℃において粘着付与樹脂を接着剤成分と所望の比で混合して粘着付与樹脂/接着剤成分混合物を生成することによって測定した。次いで、粘着付与樹脂/接着剤成分混合物を、ヒートバンク上に注いだ。ヒートバンクは、50℃〜200℃の温度勾配を有する金属プレートからなるものであった。左側ではヒートバンクは温度が低く、右側ではヒートバンクは温度が高く、これらの2点の中間で温度勾配が目盛られた。透明な粘着付与樹脂/接着剤成分混合物は相容性の系を示した。濁った粘着付与樹脂/接着剤成分混合物は非相容性であった。粘着付与樹脂/接着剤成分混合物がヒートバンク全体にわたって透明であり続ける場合には、曇り点又は相容性温度は<50℃であった。粘着付与樹脂/接着剤成分混合物がヒートバンク全体にわたって濁っている場合には、曇り点は>200℃であった。粘着付与樹脂/接着剤成分混合物がある温度より高温では透明であり且つある温度未満では濁っている場合には、それが曇った温度を曇り点とした。以下の表Iは、この試験の結果を要約する:
【0065】
【表1】

【0066】
曇り性はASTM D5393−97によって測定した。
ガードナーカラーはASTM D1544−98を用いて測定した。
ヒドロキシ価はASTM D464を用いて測定した。
ループタックはEuropean Association For Self Adhesive Tape Industry(AFERA)法4015に従って測定した。
【0067】
リンパ節アッセイは経済協力開発機構(Organisation for Economic Co−operation and Development(OECD))起案新指針(draft new guideline)429:Skin Sensitization: Local Lymph Node Assay(LLNA)及びOECD Principles of Good Laboratory Practice(1997年改訂),Paris,ENV/MC/CHEM(98)17に従って実施した。
【0068】
LLNAには3つの変更を行った。第1に、マウスは識別のために異なる印を付けた。第2には、プロトコールでは、解剖においてCO2/NO2麻酔が指示されるが、実際的な理由から、マウスはeuthasateを用いて殺した。第3に、ルベーン(Levene)の分散検定によって異なる群の間に分散が存在することが示されたので、(共)分散分析の後にダネット(Dunnett)多重比較検定を行う代わりに、ウェルチ(Welch)−ANOVA(耳介リンパ節(ARN)中の3H−チミジン取り込みに関する)による統計分析を行った。
【0069】
メトラー滴下軟化点(Mettler Drop Softening Point(MDSP))はASTM D6090−99の修正法によって測定した。この方法は、球を用いずに4.5mmの孔を有するカップを用いて測定を行う点において修正された。
【0070】
MMAP曇り点(メチルシクロヘキサン及びアニリン)はASTM D−611によって測定した。
【0071】
分子量分布パラメーター、Mn、Mw、Mz及びMp(ピークの頂点の重量)は、Waters Styragel HR2(7.8×300mm)カラム及びWaters 410 RI検出器を装着したWaters GPC 2690システム上でゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。較正のために、ポリスチレン標準を用いた。
【0072】
湿気輸送速度(MVTR)は、ASTM 3−96によって測定した。
【0073】
剥離は、AFERA 4001によって測定した。以下の定義を用いて、この試験からのデータを分析した。凝集破壊及びスリップスティックは、Don Satas及びVan Nostrand Reinholdによって編集されたthe Handbook of Pressure Sensitive Adhesive Technology,第2版に定義されている。凝集破壊は、試験パネル上に接着剤残渣を残す破壊モードである。スリップスティックは、ピール力が均等でなく、低い力から高い力まで周期的に変動し始める破壊モードである。
【0074】
残留モノマーレベルは、スチレン、アクリル酸2−エチルヘキシル及びキシレンに関してはガスクロマトグラフ(GC)によって、アクリル酸に関しては高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて測定した。
【0075】
ガスクロマトグラフを使用する場合に用いた方法は、以下の通りである。約5gのサンプル及び50mgのアニソールをフラスコ中に入れ、10mlのアセトニトリルを添加した。次いで、サンプルを超音波洗浄機中で溶解させた。長さ25m、内径0.25mm及びフィルム厚0.2umのCP−WAX 57 CB(Chrompack)カラムを有するTrace 2000 GC Thermo Questを用いた。温度は20分間は50℃であり、温度の変化を4℃/分として、最大温度200℃を5分間達成した。検出器は230℃のFIDであった。スプリットインジェクタを用い、キャリヤーは水素とした。用いた内部標準は250mgのアニソールであり、50mgの被分析物質(例えば、キシレン、アクリレート)を10mlのアセトニトリル中に溶解させた。
【0076】
HPLCを使用する場合に用いた方法は以下の通りである。この方法は、スチレン−アクリレート粘着付与樹脂の分析に関して、残留アクリル酸量を測定するために用いた。サンプルをテトラヒドロフラン又は二硫化炭素中に溶解させ、次いで濾過してから、逆相HPLCによって分析した。アクリル酸の外部標準を較正のために用いた。アクリル酸標準及びスチレン−アクリレート粘着付与樹脂サンプルを、Zorbax(登録商標)RX−C18カラム(5μm)上で2液勾配を用いて分析した。この2液勾配は、液(1)アクリル酸溶離用の0.05M燐酸中2%メタノール及び液(2)実際のサンプル分析の間にカラムをパージするための100%テトラヒドロフランから構成された。パージは、繰り返し分析に関するクロマトグラフの問題を最小限に抑えるのに役立った。ピークの検出は、UV検出器で溶離液を監視することによって行った。監視した主なUV波長は200nmであった。アクリル酸に関する平均レスポンス・ファクタは、数回の注入によって測定した。アクリル酸標準の較正曲線は、0〜1000ppmの範囲にわたって直線であり、検出下限値は約5ppmであった。
【0077】
以下は、HPLCに用いた装置及びクロマトグラフ条件の要約である。
装置:
(1)液体クロマトグラフ,Hewlett−Packard Model 1090又は相当物。
(2)紫外線(UV)検出器,Hewlett−Packard Model 1100又は相当物。
(3)ピーク面積を測定できるデータシステム又は積算計。
(4)カラム,Zorbax(登録商標)RX−C18(5μm),150mm×4.6mm−Agilent(Palo Alto,California)から入手可能。
(5)Guardカラムカートリッジ,Zorbax(登録商標)RX−C18(5μm),12.5mm×4.6mm−Agilentから入手可能、又は等価物。
(6)サンプルループ注入バルブ,5μL,Rheodyne Model 7125−Supelco(Bellefonte,PA)から入手可能。
(7)Vortexミキサー−VWR Scientific(West Chester,PA)から入手可能。
【0078】
クロマトグラフ条件
流量: 1.0ml/分
注入容量: 5μL
カラムオーブン温度: 40℃
検出器: UV
波長: 200nm,210nm
移動相: A=メタノール/水中H3PO4 5ミリモル(2/98)
B=テトラヒドロフラン(100)
勾配: 液1)0〜10.10分−A 100%
液2)10.10〜25.0分−B 100%
(カラム パージ)
【0079】
環球式軟化点はWalter Herzog MC−753装置を用いてASTM E−28によって測定した。
【0080】
剪断接着破壊試験(SAFT)は1kgの金属板上にテープを置いた場合に測定した。この金属板上のテープを、30℃から0.37℃/分の速度で昇温させながら、金属板からテープが剥離されるまで加熱した。
【0081】
剪断力はAFERA 4012によって測定した。
【0082】
UV吸光度はLange Group(Tiel ,The Netherlands)によって供給されるDR/4000 U Spectrophotometerを用いて分光光度法で測定した。
【0083】
UV−CはUV硬化性接着剤組成物を硬化させるのに有効な波長である。UV−Cは、較正されたUVICURE PLUS 8788{Electronic Instrumentation and Technology,Inc(Sterling,VA)から得られた内蔵式電気光学放射計}を用いて測定した。
【0084】
一部の実験において総UV線量を測定した。他の実験ではUV−C線量を測定した。総UV線量とUV−C線量との関係を、これらの実施例に使用した装置に関して測定した。試験は、いくつかのUV硬化性接着剤組成物についてUV線量を変えることによって行った。結果を図1及び表IIに示す。
【0085】
【表2】

【0086】
表II及び図1は、UV−Cではなく総UVを測定する場合に、結果を比較するのに使用できる。
【0087】
例1(実施例):本発明のスチレン−アクリレート粘着付与樹脂の合成
スチレン−アクリレート粘着付与樹脂を、高圧反応器中でフェッドバッチ法を用いて製造した。キシレンを溶剤として使用し、反応器中にポンプ輸送し、窒素雰囲気下で攪拌しながら150℃に加熱した。モノマー(スチレン、アクリル酸及びアクリル酸2−エチルヘキシル)とモノマーの重量に基づき2重量%の開始剤とを混合して、モノマー−開始剤供給材料流を生成した。モノマー−開始剤供給材料流を高温の溶剤に2時間にわたって徐々に添加して、反応混合物を生成した。モノマー−開始剤供給材料の添加の間中、反応温度は150℃に保持した。
【0088】
モノマーー開始剤供給材料流の添加完了後、反応混合物を同温度で約3バールの圧力において更に30分間撹拌した。続いて、少量の開始剤を後添加し、このプロセスを更に30分間150℃に保持して、粘着付与樹脂生成物流を生成した。溶剤を留去することによって、粘着付与樹脂生成物流からスチレン−アクリレート粘着付与樹脂を単離した。温度をゆっくりと170℃まで上昇させ、25mbarまで真空を適用した。約30分後、溶剤の90%が蒸発した。2.5時間後、温度は170℃に達し、真空は25mbarに達し、溶剤の約99%が除去された。この点において、反応器の底部から蒸気を注入して、毎分約0.5リットルの凝縮液を生成した。蒸気ストリッピングの結果として、真空は40mbarまでわずかに増加した。スチレン−アクリル粘着付与樹脂の蒸気ストリッピングは、製剤Iについては約9時間、製剤IIについては7時間行った。このプロセスにおいて生成されたスチレン−アクリレート粘着付与樹脂の性質を表IIIに示す。
【0089】
【表3】

【0090】
残留スチレンレベルは29ppm未満であり、残留アクリル酸2−エチルヘキシルレベルは40ppm未満であった。残留アクリル酸は134ppm未満であり、残留溶剤は24ppm未満であった。これらのレベルは、蒸気処理前のスチレン−アクリレート粘着付与樹脂及び比較例2に示した他の市販粘着付与剤の残留モノマー及び溶剤レベルよりも著しく低かった。スチレン−アクリレート粘着付与樹脂の他の性質は、相当量の残留モノマーの除去によってほとんど影響されなかったことにも注目すべきである。残留モノマーは皮膚感作を引き起こすおそれがあるので、残留モノマーが低レベルであることは最終用途に極めて重要である。粘着付与樹脂中の低い残留モノマー及び溶剤レベルはまた、UV硬化性接着剤組成物の曇り性に好ましい影響を与えることができる。
【0091】
例2(比較例):他の粘着付与剤中の残留モノマーレベル
粘着付与樹脂は、SC Johnsonから入手し、残留モノマーの量を算出するために評価した。データを表IVに示す。
【0092】
【表4】

【0093】
表IV中のデータから観察できるように、SC Johnsonからの粘着付与樹脂に関する残留モノマー濃度は、本発明の粘着付与樹脂よりも著しく高かった。
【0094】
例3:スチレン−アクリレート粘着付与樹脂中モノマー反復単位量の変動−性質への影響
スチレン−アクリレート粘着付与樹脂中のモノマー反復単位の量を、例1に記載したのと同様な方法を用いて変化させ、スチレン−アクリレート粘着付与樹脂の得られた性質を監視した。これらの実験の結果を表Vに示す。
【0095】
【表5】

【0096】
モノマーの量を変化させた場合、MDSPが約44.9℃〜約171.2℃、酸価が35mgKOH/g〜187mgKOH/g、MMAPが4℃〜32℃、及びMzが15921〜51019ダルトンのスチレン−アクリレート粘着付与樹脂が得られた。アクリル酸又はアクリル酸2−エチルヘキシルの代わりにより多くのスチレンを用いると、スチレン−アクリレート粘着付与樹脂はより芳香性になり、MDSP及びMzがより高くなった。より多くのアクリル酸は酸価及び官能性を増加させた。また、より多くのアクリル酸は軟化点及びMDSPを増加させた。
【0097】
例4:粘着付与樹脂の皮膚感作性
例1の製剤IIのスチレン−アクリレート粘着付与剤が皮膚感作性を有するかどうか確認するために、マウスにおける局所リンパ節アッセイ(LLNA)を実施した。実験条件下において、製剤IIのスチレン−アクリレート粘着付与樹脂(例1参照)が感作性を有する兆候はなかった。
【0098】
LLNAの根底をなす基本原理は、感作体がリンパ節中のリンパ球の一次増殖を誘発して、化学適用部位を枯渇させることである。この増殖はアレルゲンによってのみ起こり、適用される用量に比例する。従って、LLNAは、感作の客観的な定量的測定を得る簡易な手段を提供する。
【0099】
正の対照として、ヘキシル桂皮アルデヒドを用いた。ヘキシル桂皮アルデヒドは、アセトン/オリーブ油中に25容量%まで混合した。負の対照として、アセトンとオリーブ油との4:1の比の混合物を用いた。粘着付与樹脂は、アセトン/オリーブ油(4:1v/v)中で所望の濃度に希釈した。
【0100】
20匹のマウスを、各群4匹の5群に分けた。各群4匹の3つの群を、異なる用量の粘着付与樹脂で処理した(B群:10%;C群:25%;及びD群50%)。E群は、正の対照物質で処理し、A群は負の対照で処理した。0日、1日目及び2日目に、試験物質をマウスの各耳に25μl投与した。
集めたデータは、粘着付与樹脂が皮膚感作性を有する兆候がないことを示した。
【0101】
例5:スチレン−アクリレート粘着付与樹脂の熱安定性
例1において製造したスチレン−アクリレート粘着付与樹脂の熱安定性を調べた。結果を表VIに示す。スチレン−アクリレート粘着付与樹脂は、表VIに記載したようにして加熱した。
【0102】
【表6】

【0103】
スチレン−アクリレート粘着付与樹脂のR&B軟化点は、加熱時にわずかに増加した。粘着付与樹脂の他の全ての性質は、与えられた環境下で加熱によって影響されなかった。従って、酸化防止剤を用いなかったという事実にもかかわらず、スチレン−アクリレート粘着付与樹脂は良好なゲル化安定性だけでなく良好な熱安定性を有すると結論づけることができる。Reactol(登録商標)AC 11及AC 18粘着付与樹脂はまた、加熱時に老化し、いずれの製品も、不安定な性能を示した。最初は、Reactol(登録商標)AC 11及AC 18粘着付与樹脂は液体であったが、175℃において24時間後には、製品はゲルであった。これは、エステル交換反応による可能性がある。しかし、約175℃未満の温度においては、Reactol(登録商標)AC 11及AC 18粘着付与樹脂はUV硬化性接着剤組成物中で充分に機能し、ゲル化しない。
【0104】
例6:湿気輸送速度及び曇り性試験
Foral(登録商標)85−Eロジンエステル及びKristalex(登録商標)F100芳香族樹脂のような従来の粘着付与剤に比較したスチレン−アクリレート粘着付与樹脂の使用の他の2つの利点は、スチレン−アクリレート粘着付与樹脂が曇り性試験においてより良い結果を示すことができること及び接着剤組成物のMVTRをそれほど低下させないことである。18:85の比の粘着付与樹脂対UV硬化性アクリル組成物を用いて調製したフィルムを評価した。MVTRの場合には、フィルムを、通気性の高いキムワイプ構造に移し、抵抗(1/MVTR)が付加的であると仮定することによって値を補正した。結果を表VIIに示す。
【0105】
【表7】

【0106】
スチレン−アクリレート粘着付与樹脂に関しては、acResin(登録商標)アクリルコポリマー単独に比べて、ごくわずかなMVTRの低下が観察された。Reactol(登録商標)AC 11アクリル樹脂及びReactol(登録商標)OS 65アクリル樹脂の場合には、増加すら観察された。Reactol(登録商標)OS 65アクリル樹脂の場合には、MVTRは、他のフィルムの場合の実に2倍の高さであった。従って、これは、スチレン−アクリレートの化学的性質を変えて、MVTRを制御できることを示している。
【0107】
25mL/cm2における曇り性のデータは、製剤I及びIIのスチレン−アクリレート粘着付与剤に関する結果が、Foral(登録商標)85−Eロジンエステル及びKristalex(登録商標)芳香族樹脂のような従来の粘着付与剤よりもはるかに良好であることを明白に示した。Foral(登録商標)85−Eロジンエステル及びKristalex(登録商標)芳香族樹脂は曇り性を増加させたが、例1において製造された本発明のスチレン−アクリレート粘着付与樹脂の使用は、acResin(登録商標)258アクリルコポリマー単独に比べて曇り性にほとんど差を示さなかった。Reactol(登録商標)粘着付与樹脂はまた、曇りを増加させる傾向があった。これはまた、残留モノマー除去の影響を示した。製剤Iのスチレン−アクリレート粘着付与樹脂の場合には、増加はほとんど観察されなかった。
【0108】
例7:溶剤系接着剤組成物
スチレンアクリレート粘着付与剤は、溶剤系アクリルポリマーの粘着力を高めるのに使用できる。これらのスチレン−アクリル粘着付与剤は、放射線硬化性、熱硬化性及び非硬化接着剤組成物に用いることができる。この例においては、例1からの2種のスチレン−アクリレート粘着付与樹脂、製剤I及びIIを、2種の溶剤系アクリルポリマー、UCB(Brussels,Belgium)製のSolucryl 300及びSolucryl 303中の2種の従来型の粘着付与剤と比較した。粘着付与樹脂は、溶剤系アクリルポリマーと5:85の比で混合し、30g/m2の被覆重量で被覆した。被覆を110℃において10分間乾燥及び架橋させた。
【0109】
結果をまた、製剤I及びIIのスチレン−アクリレート粘着付与樹脂並びにBASF製のacResin(登録商標)アクリルコポリマーから製造されたホットメルト接着剤と比較した。ホットメルト被覆法においては以下の手順を用いた。acResin(登録商標)アクリルコポリマー及び粘着付与樹脂を、ホットプレート上のアルミニウムトレイ中で150℃において混合して、UV硬化性アクリル接着剤組成物を生成した。混合後、UV硬化性アクリル接着剤組成物を、LC200パイロットプラント規模ラボコーター(Lab−coater)中に注入し、幅200mmの二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルム上に140℃において平均約7m/分の被覆速度で被覆した。被覆速度はUV硬化性接着剤組成物の粘度によって決まり、従って、7m/分が平均であった。
【0110】
【表8】

【0111】
結果は、Foral(登録商標)85−Eロジンエステルが、Solucryl 300型に対する非常に良好な粘着付与剤であることを示した。Foral(登録商標)85−Eロジンエステルに関してはPEに対する良好な剥離値が見られたが、SAFTはほとんど影響されなかった(155℃から144℃に低下した)。スチレン−アクリレート粘着付与樹脂の使用はまた、鋼、ポリエチレンに対する剥離を改善し、特にループタックは、Foral(登録商標)85−Eロジンエステルを用いた場合よりも改善された。
【0112】
スチレン−アクリレート粘着付与剤(製剤I)は、Solucryl 303(登録商標)アクリルポリマーに対する非常に良好な粘着付与剤であることがわかった。鋼に対する剥離及びループタックは共に増加したが、SAFTにはほとんど影響がなかった。Foral 85−E(登録商標)ロジンエステルはまた、鋼及びPEに対する剥離の増加を示したが、ループタックは低下し、SAFTのより大きい増加が見られた。
【0113】
一般に、溶剤系アクリレートポリマー及び接着剤の所望の性質に応じて、溶剤系アクリルポリマーのための粘着付与樹脂として、例1における製剤I及びIIのようなスチレン−アクリレート粘着付与樹脂を使用できると結論づけることができる。
【0114】
ホットメルトUV硬化性接着剤組成物を溶剤系接着剤組成物と比較した場合、ホットメルトUV硬化性接着剤組成物中への粘着付与樹脂の使用は一般により低いSAFT値を生じるが、溶剤系接着剤組成物に関するSAFT値は粘着付与樹脂を用いる場合により高いと結論づけることができる。
【0115】
例8:水性接着剤組成物
スチレン−アクリレート粘着付与剤また、水性アクリルポリマー系にも使用できる。粘着付与樹脂は、安定化のために界面活性剤を用いて、50%の分散液まで水中に分散させた。最終分散液を、BASF製の水性アクリルポリマー、Acronal(登録商標)V215と1:3の比で混合した。接着剤を被覆し、21gsmまで乾燥させた。
【0116】
【表9】

【0117】
表IXの結果は、スチレン−アクリレート粘着付与剤が水性接着剤組成物中に使用できることを示した。また、表中の結果は種々の粘着付与樹脂の作用を明白に示している。これらの作用は、軟化点に関連するようである。最も低い軟化点を有するReactol AC 11を用いた場合、剪断力が最も大きく低下したが、剥離接着力は、Acronal(登録商標)V215ポリマー単独に比較して明らかに増加した。他の2種の粘着付与剤、Reactol(登録商標)AC11及びTacolyn(登録商標)3179Hを用いた場合、剪断接着力は明らかに減少し、特にPEに対する剥離接着力は改善された。例1の製剤I及びIIのスチレン−アクリレート粘着付与樹脂の間に接着性の大きな違いは見られなかった。剪断力のみが製剤Iのスチレン−アクリレート粘着付与樹脂の方がより高く、これは高い軟化点による可能性が最も高かった。Reactol(登録商標)AC 11アクリル樹脂の性質は、これらの水性ポリマーに通常使用される従来の粘着付与剤分散体(Tacolyn(登録商標)3179H)に近づいた。接着力はわずかに低下したが、凝集力(剪断力)は増加した。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】総UVとUV−C線量との関係を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の芳香族モノマー及び少なくとも1種のアクリレートモノマーの反復単位を含んでなる残留モノモノマー濃度が低い粘着付与樹脂。
【請求項2】
前記芳香族モノマーがオレフィン置換芳香族化合物の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項3】
前記芳香族モノマーがスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、メチルインデン、ジビニルベンゼン、ジシクロペンタジエン及びメチル−ジシクロペンタジエンからなる群から選ばれる請求項2に記載の粘着付与樹脂。
【請求項4】
前記アクリレートモノマーが一般式:
1−CH=CR2−COOR3
[式中、R1は水素、脂肪族基及び芳香族基からなる群から選ばれ;R2は水素、脂肪族基及び芳香族基からなる群から選ばれ;そしてR3は水素、脂肪族基及び芳香族基からなる群から選ばれる]
を有する請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項5】
前記脂肪族基が1〜約20個の炭素原子を有する請求項4に記載の粘着付与樹脂。
【請求項6】
前記脂肪族基が1〜12個の炭素原子を有する請求項5に記載の粘着付与樹脂。
【請求項7】
前記芳香族基が約6〜約20個の炭素原子を有する請求項4に記載の粘着付与樹脂。
【請求項8】
前記アクリレートモノマーのR1及びR2が共に水素である請求項4に記載の粘着付与樹脂。
【請求項9】
前記アクリレートモノマーがアクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸n−ヘプチル、2−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、アクリル酸イソデシル、メタクリル酸イソデシル、ドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸トリデシル、メタクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル、クロトン酸アルキル、酢酸ビニル、マレイン酸ジ−n−ブチル、ジ−オクチルマレエート、メタクリル酸アセトアセトキシエチル、アクリル酸アセトアセトキシエチル、メタクリル酸アセトアセトキシプロピル、アクリル酸アセトアセトキシプロピル、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸イソデシル、アクリル酸イソデシル、2−メトキシアクリレート、2−メトキシメタクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、アクリル酸2−フェノキシエチル、メタクリル酸2−フェノキシエチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、カプロラクトンアクリレート、カプロラクトンメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコール(400)アクリレート、ポリプロピレングリコール(400)メタクリレート、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、1−アリルオキシ−2−ヒドロイルプロピルスルホン酸ナトリウム、アクリロニトリル及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項10】
前記アクリレートモノマーが約20個以下の炭素原子を有する請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項11】
前記アクリレートモノマーがアクリル酸、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸エチルヘキシル、メタクリル酸エチルヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸n−ヘプチル、2−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソ−ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、アクリル酸イソデシル、メタクリル酸イソデシル、ドデシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項10に記載の粘着付与樹脂。
【請求項12】
前記アクリレートモノマーがアクリル酸及びアクリル酸2−エチルヘキシルである請求項11に記載の粘着付与樹脂。
【請求項13】
前記アクリレートモノマーがヒドロキシ、脂環式、酸、エポキシド、アミド、アクリロニトリル及びアクリレート基からなる群から選ばれた少なくとも1個の官能基を含む請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項14】
前記粘着付与樹脂が少なくとも1種の開始剤を用いてラジカル触媒重合プロセスによって生成される請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項15】
前記開始剤がジアシルペルオキシド、ジアルキルペルオキシジカーボネート、tert−アルキルペルオキシエステル、ジ−tert−アルキルペルオキシド、tert−アルキルヒドロペルオキシド、ケトンペルオキシド及びそれらの混合物からなる群から選ばれる請求項14に記載の粘着付与樹脂。
【請求項16】
前記粘着付与樹脂が、粘着付与樹脂生成物流と少なくとも1種のキャリヤーとを、少なくとも1種の残留モノマーの一部を除去して前記粘着付与樹脂を生成するのに充分な温度において接触させることを含む方法によって生成される請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項17】
前記粘着付与樹脂が前記粘着付与樹脂を含む接着剤組成物の湿気輸送速度を著しくは低下させない請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項18】
前記粘着付与樹脂が、前記粘着付与樹脂を含まない接着剤組成物に比べて、25%より多くは接着剤組成物の湿気輸送速度を低下させない請求項17に記載の粘着付与樹脂。
【請求項19】
前記接着剤組成物の湿気輸送速度が、粘着付与樹脂を含まない接着剤組成物に比べて、同一であるか又は増加する請求項17に記載の粘着付与樹脂。
【請求項20】
前記接着剤組成物の湿気輸送速度が約200〜約3000の範囲である請求項17に記載の粘着付与樹脂。
【請求項21】
前記接着剤組成物の湿気輸送速度が約500〜1500の範囲である請求項20に記載の粘着付与樹脂。
【請求項22】
前記粘着付与樹脂の残留モノマー濃度が、粘着付与樹脂の重量に基づき、約600重量ppm未満である請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項23】
前記粘着付与樹脂の残留モノマー濃度が、粘着付与樹脂の重量に基づき、約300重量ppm未満である請求項22に記載の粘着付与樹脂。
【請求項24】
前記粘着付与樹脂の残留モノマー濃度が、粘着付与樹脂の重量に基づき、芳香族モノマーが約200ppm未満であり且つアクリルモノマーが約400ppm未満である請求項23に記載の粘着付与樹脂。
【請求項25】
前記粘着付与樹脂の残留モノマー濃度が、粘着付与樹脂の重量に基づき、芳香族モノマーが約100重量ppm未満であり且つアクリルモノマーが約150重量ppm未満である請求項24に記載の粘着付与樹脂。
【請求項26】
前記粘着付与樹脂が、粘着付与樹脂の重量に基づき、約500重量ppm未満の残留溶剤濃度を有する請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項27】
前記粘着付与樹脂中の芳香族モノマー反復単位の量が、粘着付与樹脂中のモノマー反復単位の総量に基づき、約20%〜約70%の範囲である請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項28】
前記粘着付与樹脂中のアクリレートモノマー反復単位の量が、粘着付与樹脂中のモノマー反復単位の総量に基づき、約30%〜約80%の範囲である請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項29】
前記粘着付与樹脂が、室温で液体〜約180℃の範囲のR&B軟化点を有する請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項30】
前記粘着付与樹脂の酸価が約0〜約300mgKOH/g樹脂の範囲である請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項31】
前記粘着付与樹脂のヒドロキシル価が約0〜約300の範囲である請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項32】
前記粘着付与樹脂のMMAP曇り点が50℃未満である請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項33】
前記粘着付与樹脂の数平均分子量(Mn)が約1,500〜約7,000ダルトンの範囲である請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項34】
前記粘着付与樹脂の数平均分子量(Mn)が2,000〜4,000ダルトンの範囲である請求項33に記載の粘着付与樹脂。
【請求項35】
前記粘着付与樹脂の重量平均分子量(Mw)が約2,000〜約25,000ダルトンの範囲である請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項36】
前記粘着付与樹脂の重量平均分子量(Mw)が3,000〜10,000の範囲である請求項35に記載の粘着付与樹脂。
【請求項37】
前記粘着付与樹脂のz−平均分子量(Mz)が約3,000〜約75,000ダルトンの範囲である請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項38】
前記粘着付与樹脂のz−平均分子量(Mz)が5,000〜20,000の範囲である請求項37に記載の粘着付与樹脂。
【請求項39】
前記粘着付与樹脂のガードナーカラーが5未満である請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項40】
前記粘着付与樹脂がスチレン、アクリル酸及びアクリル酸2−エチルヘキシルから選ばれた少なくとも1種のモノマーからのモノマー反復単位を含む請求項1に記載の粘着付与樹脂。
【請求項41】
スチレン反復単位の量が、粘着付与樹脂中のモノマー反復単位の総量に基づき、0.1%〜99.9%の範囲である請求項40に記載の粘着付与樹脂。
【請求項42】
アクリル酸及びアクリル酸2−エチルヘキシルの量が、粘着付与樹脂中のモノマー反復単位の総量に基づき、0.1%〜99.9%の範囲である請求項40に記載の粘着付与樹脂。
【請求項43】
スチレン反復単位の量が、粘着付与樹脂中のモノマー反復単位の総量に基づき、約20%〜約70%の範囲であり、且つアクリル酸反復単位とアクリル酸2−エチルヘキシル反復単位との合計量が約30%〜約80%の範囲である請求項41に記載の粘着付与樹脂。
【請求項44】
少なくとも1種の芳香族モノマー及び少なくとも1種のアクリレートモノマーの反復単位を含む粘着付与樹脂であって、前記粘着付与樹脂を含む接着剤組成物の湿気輸送速度を著しくは低下させない粘着付与樹脂。
【請求項45】
少なくとも1種の芳香族モノマー及び少なくとも1種のアクリレートモノマーの反復単位を含む粘着付与樹脂であって、前記粘着付与樹脂を含む接着剤組成物の曇り性を著しくは増加させない粘着付与樹脂。
【請求項46】
少なくとも1種の芳香族モノマー及び少なくとも1種のアクリレートモノマーの反復単位を含む皮膚感作性を著しくは示さない粘着付与樹脂。
【請求項47】
少なくとも1種の芳香族モノマー及び少なくとも1種のアクリレートモノマーの反復単位を含む粘着付与樹脂であって、前記粘着付与樹脂を含む接着剤組成物の湿気輸送速度を著しくは低下させず且つ前記粘着付与樹脂を含む接着剤組成物の曇り性を著しくは増加させない粘着付与樹脂。
【請求項48】
皮膚感作性を著しくは示さない請求項47に記載の粘着付与樹脂。
【請求項49】
粘着付与樹脂生成物流と少なくとも1種のキャリヤーとを、前記粘着付与樹脂生成物流から少なくとも1種の残留モノマーの一部を除去するのに充分な温度において接触させて粘着付与樹脂を生成させることを含んでなる粘着付与樹脂の製造方法。
【請求項50】
前記キャリヤーが水蒸気、窒素及びエタンからなる群から選ばれる請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記接触を、約150℃〜約250℃の範囲の温度で、行う請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記接触を、約10mbar〜約1000mbarの範囲の圧力で、行う請求項49に記載の方法。
【請求項53】
a)少なくとも1種の芳香族モノマー、少なくとも1種のアクリレートモノマー及び任意的な少なくとも1種の溶剤を反応器ゾーンに供給して、反応混合物を生成させ;
b)前記反応混合物を少なくとも1種の開始剤の存在下に重合させて、粘着付与樹脂生成物流を生成させ;そして
c)前記粘着付与樹脂生成物流をキャリヤーと接触させることによって前記粘着付与樹脂生成物流から少なくとも1種の残留モノマーの一部を除去して、粘着付与樹脂を生成させる
ことを含んでなる粘着付与樹脂の製造方法。
【請求項54】
a)少なくとも1種の芳香族モノマー、少なくとも1種のアクリレートモノマー及び任意的な少なくとも1種の溶剤を反応器ゾーンに供給して、反応混合物を生成させ;
b)前記反応混合物を少なくとも1種の開始剤の存在下で重合させて、粘着付与樹脂生成物流を生成させ;
c)前記粘着付与樹脂生成物流を、前記粘着付与樹脂生成物流から少なくとも1種の残留モノマーの一部を除去するのに充分な温度において加熱し;そして
d)前記粘着付与樹脂生成物流を少なくとも1種のキャリヤーと接触させることによって残留モノマーの一部を更に除去して、粘着付与樹脂を生成させる
ことを含んでなる粘着付与樹脂の製造方法。
【請求項55】
前記加熱を約150℃〜約250℃の範囲の温度で実施する請求項54に記載の粘着付与樹脂の製造方法。
【請求項56】
前記加熱を約10mbar〜約1000mbarの圧力において実施する請求項54に記載の粘着付与樹脂の製造方法。
【請求項57】
a)少なくとも1種の芳香族モノマー、少なくとも1種のアクリレートモノマー及び任意的な少なくとも1種の溶剤を反応器ゾーンに供給して、反応混合物を生成させ;
b)前記反応混合物を少なくとも1種の開始剤の存在下に重合させて、粘着付与樹脂生成物流を生成させ;
c)前記粘着付与樹脂生成物流を、約150℃〜約250℃の範囲の温度において加熱して、前記粘着付与樹脂生成物流から残留モノマーの一部を除去し;そして
d)前記粘着付与樹脂生成物流をキャリヤーと接触させることによって残留モノマーの一部を更に除去して、芳香族モノマー約200ppm未満及びアクリレートモノマー400ppm未満の残留モノマー濃度を有する粘着付与樹脂を生成させる
ことを含んでなる粘着付与樹脂の製造方法。
【請求項58】
a)少なくとも1種の芳香族モノマー、少なくとも1種のアクリレートモノマー及び少なくとも1種の開始剤を接触させて、モノマー開始剤流を生成させ;
b)前記モノマー開始剤流を、約100℃〜約250℃の範囲の温度の、溶剤を含む反応ゾーンに送り;
c)前記モノマー開始剤供給材料流を重合条件において重合させて、粘着付与樹脂生成物流を生成させ;
d)任意的に、追加量の開始剤を前記反応ゾーンに供給し;
e)前記粘着付与樹脂生成物流を、約150℃〜約250℃の範囲の温度及び約10mbar〜約1000mbarの圧力において加熱して、前記粘着付与樹脂生成物流から残留モノマーの一部を除去し;そして
f)前記粘着付与樹脂生成物流を、約150℃〜約250℃の温度及び約10mbar〜約1000mbarの圧力において、蒸気と接触させることによって前記残留モノマーを更に除去して、粘着付与樹脂の重量に基づき、芳香族モノマー200重量ppm未満及びアクリレートモノマー400ppm未満の残留モノマー濃度を有する粘着付与樹脂を生成させる
ことを含んでなる粘着付与樹脂の製造方法。
【請求項59】
少なくとも1種の粘着付与樹脂及び少なくとも接着剤成分を供給することを含んでなり、前記粘着付与樹脂が少なくとも1種の芳香族モノマー及び少なくとも1種のアクリレートモノマーからのモノマー反復単位を含む接着剤組成物の製造方法。
【請求項60】
前記接着剤組成物を少なくとも1種の基材と接触させて物品を製造することを更に含む請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記基材がポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、織布、不織布、金属、金属箔、紙、ガラス、セラミック並びにこれらの材料の1種又はそれ以上の積層品を含む複合材料からなる群から選ばれる請求項60に記載の方法。
【請求項62】
請求項49に記載の方法によって製造された粘着付与樹脂。
【請求項63】
少なくとも1種の芳香族モノマー及び少なくとも1種のアクリルモノマーからの反復単位から本質的になる残留モノマー濃度の低い粘着付与樹脂。
【請求項64】
前記芳香族モノマーがスチレンである請求項63に記載の粘着付与樹脂。
【請求項65】
前記アクリルモノマーがアクリル酸2−エチルヘキシル及びアクリル酸である請求項63に記載の粘着付与樹脂。
【請求項66】
請求項1に記載の粘着付与樹脂を含んでなる接着剤組成物。
【請求項67】
請求項66に記載の接着剤組成物を含んでなる物品。

【図1】
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【公表番号】特表2007−523250(P2007−523250A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554145(P2006−554145)
【出願日】平成17年2月14日(2005.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/004470
【国際公開番号】WO2005/080520
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】