説明

荷電ビーム描画装置

【課題】低エネルギーの荷電粒子の静電偏向器への流入を減らすことができ、描画精度の向上をはかる。
【解決手段】荷電粒子源から放出された荷電ビームを試料上の所望の位置に照射することでパターン形成を行う荷電ビーム描画装置であって、荷電粒子源10と試料50との間に設けられ、偏向を受けない荷電ビームの軌道である光軸方向に沿って2段以上の小偏向器を設置して構成され、荷電ビームを電場によって偏向するための静電偏向器32と、静電偏向器32の光軸方向に隣接する小偏向器の間に設けられ、光軸方向の下流側の小偏向器の光軸方向と直交する方向の対向距離よりも開口径が短いアパーチャを有し、静電偏向器32で偏向すべき荷電ビームよりも低いエネルギーの荷電粒子を取り除くためのアパーチャマスク60と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷電ビームを用いて試料上にLSIパターンを描画する荷電ビーム描画装置に係わり、特に荷電ビームを偏向するための偏向器部分の改良をはかった荷電ビーム描画装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体ウェハやマスク等の試料上にLSIパターンを描画するために電子ビーム描画装置が用いられている。この装置は、電子源から放出された電子ビームを集束するレンズ、該ビームを偏向する偏向器、及び該ビームを整形する各種のアパーチャで構成された電子光学系を有し、試料上の所望位置に電子ビームを照射することによりパターンを描画する。
【0003】
この種の装置においては、描画精度を向上させるために電子ビームの偏向位置の厳密な制御が必要であるが、偏向器の帯電などの影響によりビームドリフトが発生する問題がある。ビームドリフトの発生要因を探るべく本発明者らが研究を重ねた結果、次のような現象が起こる可能性が高いことを見出した。
【0004】
電子ビーム描画装置に用いられる静電偏向器は一般に、光軸を中心に複数の電極を軸対象に配置して構成され、電子ビームを電場によって偏向する。電子光学系は、例えば50keVの一定のエネルギーの電子が所望の軌道を通過するように設計される。ところが、電子ビーム描画装置中に設けられたアパーチャで散乱或いは通過した電子にはエネルギーがこれよりも低いものが含まれる。低エネルギーの電子は50keVの電子に比べて電場により静電偏向器によって大きく偏向され、静電偏向器によって大きく偏向された電子は偏向器の偏向電極に衝突する。
【0005】
つまり、静電偏向器による偏向においては、所望の電子よりもエネルギーの低い電子が存在する場合、エネルギーの低い電子が偏向器に衝突することがある。そして、静電偏向器の電極表面にコンタミネーション層等の高抵抗の膜が存在する場合、低エネルギー電子の流入により帯電し、生じた電場により電子ビーム軌道のドリフトを起こす。これが、描画精度を低下させる大きな要因となる。
【0006】
このように、従来の電子ビーム描画装置においては、低エネルギーの荷電粒子が静電偏向器へ流入することにより、描画精度の低下を招く問題があった。また、上記の問題は電子ビーム描画装置に限るものではなく、イオンビームを用いてパターンを描画するイオンビーム描画装置についても同様に言えることである。
【特許文献1】特許第3785085号
【特許文献2】特開平2−62985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、低エネルギーの荷電粒子の静電偏向器への流入を減らすことができ、描画精度の向上をはかり得る荷電ビーム描画装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、荷電粒子源から放出された荷電ビームを試料上の所望の位置に照射することでパターン形成を行う荷電ビーム描画装置であって、前記荷電粒子源と試料との間に設けられ、偏向を受けない荷電ビームの軌道である光軸方向に沿って2段以上の小偏向器を設置して構成され、前記荷電ビームを電場によって偏向するための静電偏向器と、前記静電偏向器の前記光軸方向に隣接する小偏向器の間に設けられ、前記光軸方向の下流側の小偏向器の前記光軸方向と直交する方向の対向距離よりも開口径が短いアパーチャを有し、前記静電偏向器で偏向すべき荷電ビームよりも低いエネルギーの荷電粒子を取り除くためのアパーチャマスクと、を具備したことを特徴とする。
【0009】
本発明の別の一態様は、荷電粒子源から放出された荷電ビームを試料上の所望の位置に照射することでパターン形成を行う荷電ビーム描画装置であって、前記荷電粒子源と試料との間に設けられ、前記荷電ビームを電場によって偏向するための静電偏向器と、前記静電偏向器よりも前記荷電粒子源側に設けられ、前記静電偏向器で偏向すべき荷電ビームよりも低いエネルギーの荷電粒子を取り除くためのウィーンフィルタと、を具備したことを特徴とする。
【0010】
本発明の更に別の一態様は、荷電粒子源から放出された荷電ビームを試料上の所望の位置に照射することでパターン形成を行う荷電ビーム描画装置であって、前記荷電粒子源と試料との間に設けられ、偏向を受けない荷電ビームの軌道である光軸方向に沿って2段以上の小偏向器を設置して構成され、前記荷電ビームを電場によって偏向するための静電偏向器と、前記静電偏向器の前記光軸方向に隣接する小偏向器の間に設けられ、前記静電偏向器で偏向すべき荷電ビームよりも低いエネルギーの荷電粒子を取り除くためのウィーンフィルタと、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低エネルギーの荷電粒子の静電偏向器への流入を減らすためのアパーチャマスク又はウィーンフィルタを設けることにより、静電偏向器への偏向器上流側からの荷電粒子の流入を抑制することができ、荷電ビーム軌道のドリフトを抑制することができる。このため、描画精度の向上をはかることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる電子ビーム描画装置を示す概略構成図である。図中の10は電子源、21〜25は各種レンズ、31〜33は各種偏向器、41,42は成形アパーチャマスク、50は試料、51は試料ステージを示している。
【0014】
電子銃等の電子源10から加速電圧50kVで放出された電子ビームは、クロスオーバ像が成形偏向器32の偏向不動点に一致するように励磁されたコンデンサレンズ21,22により集束され、第1成形アパーチャマスク41に照射される。なお、電子ビームの照射をオフする場合は、ブランキング偏向器31により電子ビームを大きく偏向すればよい。
【0015】
第1成形アパーチャマスク41には矩形の開口(アパーチャ)が設けてあり、透過した第1の成形電子ビームは矩形断面形状を有する。この第1の成形電子ビームは次に、第1成形アパーチャマスク41のアパーチャ像が第2成形アパーチャマスク42上に結像するように励磁された投影レンズ23により集束され、第2成形アパーチャマスク42に照射される。ここで、成形偏向器32により第2成形アパーチャマスク42上の照射位置を変更することができる。第2成形アパーチャマスク42上には、様々な形状の開口が設けてあり、第2成形アパーチャマスク42の所望の位置を透過させることにより、所望の断面形状を有する電子ビームを得ることができる。
【0016】
第2成形アパーチャマスク42を透過した電子ビームは、縮小レンズ24と対物レンズ25により集束されて、試料50の表面に達する。このとき、電子ビームは対物偏向器33により偏向されて、試料50上の所望の位置に到達する。ここで、偏向器31,32,33としては、複数の偏向電極から構成された静電偏向器を使用する。これは、電極に偏向アンプで発生させた電位を与えて、電極間に生ずる電場により電子ビームを偏向するものである。
【0017】
ここまでの構成は一般的な電子ビーム描画装置と同様であり、電子源10、各種レンズ21〜25、各種偏向器31〜33は、及び成形アパーチャマスク41,42からなる電子光学系は、例えば50keVの様に一定のエネルギーの電子が所望の軌道を通過するように設計される。ところが、電子ビーム描画装置中に設けられたアパーチャで散乱或いは通過した電子にはエネルギーがこれよりも低いものが含まれる。低エネルギーの電子は50keVの電子に比べて電場により静電偏向器によって、より大きく偏向される。今、静電偏向器32のみによる偏向を考える。また、説明を簡単にするために、相対論効果は無視する。
【0018】
図2は、1段の2極静電偏向器による偏向状態を示す図である。電子をZ軸に沿って負の方向から入射するとして、入射位置の座標をZ=0mm、静電偏向器32の電場の存在領域をZ=50mm〜150mmとし、Z=200mmの位置での電子の位置を考える。ここで、静電偏向器32の対向する電極間隔は10mmとする。電極の片側に100V、対極に−100Vの電位を与える。この条件で、50keVの電子はZ=200mmではx=2mmである。これに対して、5keVの電子の軌道はZ=121mmにおいて、既にx=5mmに達しており、静電偏向器32の電極に衝突する。この例では、10keV以下の電子が途中で電極に衝突する。
【0019】
このように、静電偏向器32による偏向においては、所望の電子よりもエネルギーの低い電子が存在する場合、この電子が静電偏向器32の電極に衝突することがある。そして、電極表面にコンタミネーション層等の高抵抗の膜が存在する場合、低エネルギー電子の流入により帯電し、生じた電場により電子ビーム軌道のドリフトを起こす恐れがある。
【0020】
本実施形態では、この問題を解決するために、静電偏向器32で偏向すべき電子ビームよりも低いエネルギーの電子を取り除くための低エネルギー電子除去用のアパーチャマスク60を新たに設けている。
【0021】
図3は、本実施形態の特徴である静電偏向器部分の構成を拡大して示す図である。この例では、静電偏向器32は2段に分割されている。そして、分割した2段の小偏向器32a,32b間に、小偏向器32bの対向する電極間隔よりも短い径の開口を有するアパーチャマスク60が設置されている。ここで、議論を簡単にするために分割した2つの小偏向器32a,32bの間隔が十分小さいとし、更に端部の影響を無視すると、同じ電極間隔で図2の場合と同じ偏向感度が得られる。
【0022】
Z=100mmの位置で10keVの電子はx=1.25mmの位置にまで軌道が曲げられる。そこで、Z=100mmの位置に例えば直径2mmアパーチャマスク60を設けることで、10keVよりも低エネルギーの電子はブロックできる。また、2.5keV以上の電子は前段の小偏向器32aには衝突せず、アパーチャマスク60によりブロックされ、後段の小偏向器32bには到達しない。つまり、2.5keV〜10keVの電子は静電偏向器32の電極に衝突することなく除去されることになる。
【0023】
ここで、アパーチャマスク60の材料をカーボン(C)のような低原子番号の材料にすると、入射電子による二次電子の発生等を抑制することができ、低エネルギー電子の除去に有効である。また、TiやCu等の金属板の表面を、カーボン或いはカーボンを主材料とする、又はカーボンと水素を主材料とする導電性の材料で被覆したものでもよい。また、静電偏向器32よりも上流側のアパーチャ等により大きい角度で散乱した電子については、静電偏向器32よりも上流側にアパーチャを設けることにより取り除くことが有効である。
【0024】
このように本実施形態によれば、静電偏向器32の光軸方向に隣接する小偏向器32a,32bの間に、小偏向器32bの対向する電極間距離よりも開口径が短いアパーチャを有するアパーチャマスク60を設置することにより、静電偏向器32で偏向すべき電子ビームよりも低いエネルギーの電子の静電偏向器32への流入を減らすことができる。このため、電子ビーム軌道のドリフトを抑制することができ、描画精度の向上をはかることが可能となる。
【0025】
なお、静電偏向器を構成する小偏向器間にシールド板を配置した例として特許文献1があるが、この文献1は偏向器その他のクリーニングを行うものであり、本願発明とは目的が全く異なっている。さらに、文献1には、シールド板の内径を小偏向器の電極間距離よりも短くすることに関しては何ら記載されていない。従って、本実施形態が文献1とは技術思想を異にしていることは明らかである。
【0026】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態に係わる電子ビーム描画装置の要部構成を示す図であり、図3と同様に静電偏向器部分の構成を拡大して示している。なお、図3と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0027】
第1の実施形態では簡単のため、小偏向器32a,32b間の間隔は十分小さいとして、影響を無視したが、例えば図4に示すように電極長を30mmとして、2段の小偏向器32a,32bを置き、それぞれの小偏向器32a,32bの対向する電極の間隔を5mmとしても50keVの電子に対してはほぼ等しい偏向感度が得られる。この場合、アパーチャマスクが無い場合は20keV以下の電子は後段側(小偏向器32b)の電極に衝突する。また、2.5keV以上の電子は前段側(小偏向器32a)の電極には衝突しないので、Z=100mmの位置に直径1.8mmのアパーチャマスク61を設けることで2.5〜20keVの電子をブロックすることができる。
【0028】
ここで、2段の小偏向器32a,32b間にはスペース的な余裕があるため、本実施形態ではアパーチャマスク61を、内部に空洞を有するリング状に形成すると共に、上流側に低エネルギー電子が入射する開口を設けている。これにより、アパーチャマスク61に入射した低エネルギーの電子をアパーチャマスク61で効率良く吸収することができ、アパーチャマスク61で低エネルギー電子が反射して偏向器32aに入射するのを抑制することができる。
【0029】
また、同じ理由で、図5(a)(b)(c)に示すように、アパーチャマスクの上流側の表面に溝を設けるようにしても良い。図5(a)は円周方向に溝を設けたマスク62、図5(b)は放射状に溝を設けたマスク63,図5(c)は多数の穴を設けたマスク64である。この場合、溝或いは穴の側面に衝突した電子が反射して軌道に戻る割合を小さくするのに有効である。
【0030】
図6は、図5(a)に示すアパーチャマスク62の断面構造を示す図である。TiやCu等の基板71の表面に溝72が形成され、更に基板71の表面にカーボン(C)膜73が被覆されている。
【0031】
また、小偏向器の段数を更に増やして、それぞれの小偏向器の間にアパーチャマスクを設けることも可能である。この場合、アパーチャマスクを最初の間隙に1個設ける場合よりも広い開口を有するアパーチャマスクを使っても同様の効果が得られ、ビーム調整上有利である。
【0032】
なお、実際は電子光学系には電磁レンズの磁場が重畳される場合が多い。この場合、各エネルギーにおいて電子の軌道を求め、アパーチャマスクのアパーチャ径を決定するようにすればよい。
【0033】
このように本実施形態によれば、先の第1の実施形態と同様の効果が得られるのは勿論のこと、アパーチャマスク61〜64の形状を工夫することにより、マスクでの電子の吸収効率を高めることができ、静電偏向器32への無用な電子の流入を更に低減することができる。
【0034】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係わる電子ビーム描画装置の要部構成を示す図であり、図3と同様に静電偏向器部分の構成を拡大して示している。なお、図3と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0035】
本実施形態においては、静電偏向器32の上流側にウィーンフィルタ80が設けられており、ウィーンこのフィルタ80は、例えば40〜60keVの電子が通過できるように設定されている。低エネルギーの電子はウィーンフィルタ80に設けられたアパーチャによって取り除かれる。また、50keVに近い電子はウィーンフィルタ80を通過できるが、偏向器による偏向量が小さいので電極に衝突しないようにできる。
【0036】
ウィーンフィルタ80を通過できるエネルギー幅は、静電偏向電極32に電子が衝突しない範囲で広く取る方が、フィルタ80のアパーチャを大きくできるので、ビーム調整が容易である。50keVの電子の速度は、1.24×108m/sである。例えば、磁場領域20mTの磁場を発生するとし、電場を248kV/mとすると、電極間隔を2mmとして、それぞれの電極に±248Vの電圧を印加すれば良い。
【0037】
実際は磁場分布、電場分布とも一様ではないので、電場又は磁場を調整して、50keVの電子の軌道が直進するようにする。この条件で、40keVの電子は20mmのフィルタ電磁場中を通過すると、軌道が0.64mrad曲がる。従って、50mm下流に幅60μmのスリットをおいて、50keVの電子がその中心を通過するように調整すれば、エネルギーが約40keV以下の電子は取り除くことができる。
【0038】
なお、ウィーンフィルタを用いる例としては、特許文献2がある。しかし、この文献2は、絞り板からの反射電子等により静電偏向器が汚染されるのを防止するために、静電偏向器の下流側にウィーンフィルタを設けられたものである。即ち、本実施形態と文献2とはその目的及び構成が全く異なっており、本実施形態が文献2とは技術思想を異にしていることは明らかである。
【0039】
このように本実施形態によれば、静電偏向器32の上流側にウィーンフィルタ80を設けることにより、静電偏向器32で偏向すべき電子ビームよりも低いエネルギーの電子を取り除くことができる。従って、静電偏向器32で偏向すべき電子ビームよりも低いエネルギーの電子の静電偏向器32への流入を減らすことができ、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0040】
(変形例)
なお、本発明上述した各実施形態に限定されるものではない。実施形態では、本発明を成形偏向器に適用した例を説明したが、対象とする静電偏向器は必ずしも成形偏向器に限るものではない。対物偏向器に適用することも可能であり、電子ビームを電場によって偏向する静電偏向器であれば同様に適用することができる。静電偏向器は1段又は2段の小偏向器で構成されるものに限られず、3段以上の小偏向器で構成しても良い。さらに、小偏向器を構成する電極の形状や個数等は、仕様に応じて適宜定めればよい。
【0041】
また、ウィーンフィルタは、必ずしも第3の実施形態のように静電偏向器の上流側に設置する必要はなく、静電偏向器が光軸方向に沿って2段に配置された小偏向器で構成される場合、これらの小偏向器間に設置するようにしても良い。
【0042】
また、電子光学系の基本構成は前記図1に何ら限定されるものではなく、仕様に応じて適宜変更可能である。さらに、本発明は必ずしも電子ビーム描画装置に限るものではなく、イオンビームを用いてパターンを描画するイオンビーム描画装置に適用することも可能である。
【0043】
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1の実施形態に係わる電子ビーム描画装置を示す概略構成図。
【図2】1段の2極静電偏向器による偏向状態を示す断面図。
【図3】第1の実施形態の特徴である静電偏向器部分の構成を示す断面図。
【図4】第2の実施形態に係わる電子ビーム描画装置の要部構成を示す図。
【図5】低エネルギー電子除去用アパーチャマスクの他の例を示す平面図。
【図6】低エネルギー電子除去用アパーチャマスクの構造を示す断面図。
【図7】第3の実施形態に係わる電子ビーム描画装置の要部構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0045】
10…電子源(荷電粒子源)
21,22…コンデンサレンズ
23…投影レンズ
24…縮小レンズ
25…対物レンズ
31…ブランキング偏向器
32…成形偏向器
33…対物偏向器
41…第1成形アパーチャマスク
42…第2成形アパーチャマスク
50…試料
51…試料ステージ
60〜64…低エネルギー電子除去用アパーチャマスク
71…金属板
72…溝
73…C膜
80…ウィーンフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子源から放出された荷電ビームを試料上の所望の位置に照射することでパターン形成を行う荷電ビーム描画装置であって、
前記荷電粒子源と前記試料との間に設けられ、偏向を受けない荷電ビームの軌道である光軸方向に沿って2段以上の小偏向器を設置して構成され、前記荷電ビームを電場によって偏向するための静電偏向器と、
前記静電偏向器の前記光軸方向に隣接する前記小偏向器の間に設けられ、前記光軸方向の下流側の前記小偏向器の前記光軸方向と直交する方向の対向距離よりも開口径が短いアパーチャを有し、前記静電偏向器で偏向すべき荷電ビームよりも低いエネルギーの荷電粒子を取り除くためのアパーチャマスクと、
を具備したことを特徴とする荷電ビーム描画装置。
【請求項2】
荷電粒子源から放出された荷電ビームを試料上の所望の位置に照射することでパターン形成を行う荷電ビーム描画装置であって、
前記荷電粒子源と前記試料との間に設けられ、前記荷電ビームを電場によって偏向するための静電偏向器と、
前記静電偏向器よりも前記荷電粒子源側に設けられ、前記静電偏向器で偏向すべき荷電ビームよりも低いエネルギーの荷電粒子を取り除くためのウィーンフィルタと、
を具備したことを特徴とする荷電ビーム描画装置。
【請求項3】
荷電粒子源から放出された荷電ビームを試料上の所望の位置に照射することでパターン形成を行う荷電ビーム描画装置であって、
前記荷電粒子源と前記試料との間に設けられ、偏向を受けない荷電ビームの軌道である光軸方向に沿って2段以上の小偏向器を設置して構成され、前記荷電ビームを電場によって偏向するための静電偏向器と、
前記静電偏向器の前記光軸方向に隣接する前記小偏向器の間に設けられ、前記静電偏向器で偏向すべき荷電ビームよりも低いエネルギーの荷電粒子を取り除くためのウィーンフィルタと、
を具備したことを特徴とする荷電ビーム描画装置。
【請求項4】
前記アパーチャマスクは、少なくとも表面が炭素を主とする材料で形成されていることを特徴とする請求項1記載の荷電ビーム描画装置
【請求項5】
前記アパーチャマスクは、該マスクの表面から反射或いは散乱した荷電粒子の少なくとも一部を吸収するための凹構造を有することを特徴とする請求項1又は4に記載の荷電ビーム描画装置。
【請求項6】
前記静電偏向器は、前記光軸方向に沿って配置された2つの成形アパーチャ間に配置され、前記荷電ビームを偏向して前記成形アパーチャの光学的重なりを変更することによりビームの形状を設定する成形偏向器であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の荷電ビーム描画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−194252(P2009−194252A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35173(P2008−35173)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】