説明

蒸気タービン発電設備及びその運転方法

【課題】 本発明は、MSRにおけるわずかな圧力変動に基づく誤動作の可能性を小さくするとともにMSRの圧力保護を行うことができる蒸気タービン発電設備及びその運転方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 GV13の全閉を指示しているときに、圧力検出スイッチ20で検出した圧力が所定の圧力値より高く、且つ、GV13の少なくとも1つが全閉状態でないことを検出すると、圧力上昇保護部21がMSV12の全閉を指令して、タービントリップする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧タービン及び低圧タービンを備えた蒸気タービンを用いた発電設備及びその運転方法に関するもので、特に原子力タービンによる発電設備及びその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在発電用として広く使用されている原子炉として、加圧水型原子炉や沸騰水型原子炉などの軽水炉が使用されている。このような原子炉を用いた原子炉発電設備において、一般には、軽水炉で発生される飽和蒸気がタービン駆動用蒸気として使用される。即ち、沸騰水型原子炉で発生された飽和蒸気又は加圧水型原子炉の蒸気発生器で発生された飽和蒸気が主蒸気として主蒸気止め弁(以下、「MSV」と略称する)及び蒸気加減弁(以下、「GV」と略称する)を通って原子力タービンの高圧タービンに入り、これを駆動する。
【0003】
又、原子力タービンにおいては、高圧タービンと低圧タービンが同軸的に配置され、発電機を駆動するようになっている。そして、高圧タービンを駆動した蒸気は湿り蒸気となって排出されると、湿分分離加熱器(以下、「MSR」と略称する)を経て低圧タービンに供給される。このMSRで湿分が除去されるとともに高温に加熱された蒸気は、低圧タービンに供給されるに際し、再熱蒸気止め弁(以下、「RSV」と略称する)及びインターセプト弁(以下、「ICV」と略称する)を通る。そして、低圧タービンを駆動した再熱蒸気は復水器に入り、ここで水に戻されて、再び給水ポンプなどにより原子炉又は蒸気発生器に給水として供給される。
【0004】
このように動作する原子力発電設備において、MSRには再熱蒸気の異常な昇圧による不具合を防止するため、100%容量の逃がし弁が設けられている。これは、例えば、緊急停止信号を受けてICVが全て全閉したのに対し、GVの一部がスティックなどにより開かれたままになり、MSR内に蒸気が過剰供給されたときに、逃がし弁を開くことによって再熱蒸気を排出し、MSR内の圧力が高くなることを防ぐことができる。しかしながら、このような逃し弁の設置は、それ自体の製作費も高く、関連する取り付け部分の付加的コストも大きく、原子力タービンの製作効率化の支障原因となっていた。
【0005】
それに対して、本出願人は、負荷が急減したときに原子力タービンが加速しようとするのを抑制するための加速度防止装置が働いてGV及びICVを全閉とするときに、GVの1つが開いたままとなりMSR内の圧力が高くなると、MSVを全閉として原子力タービンをトリップする蒸気タービン発電設備を提案している(特許文献1参照)。又、この蒸気タービン発電設備においては、ICVの最小流量を0より大きくすることで、ICVに対して全閉指令を与えてもICVを蒸気が通過するように構成して、MSR内の圧力の上昇を抑制するように構成している。
【特許文献1】特開2001−147293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の蒸気タービン発電設備では、MSRの圧力だけで、GVの異常を確認するとともMSVを全閉としてタービントリップさせてしまう。そのため、MSRにおけるわずかな圧力変動でMSVに全閉指令を与えて、タービントリップさせてしまう恐れがある。そして、このように、タービントリップをさせると、軽水炉における各設備に与える負担が大きく、蒸気タービン発電設備を再起動するためには、再起動させるための電力及び時間が必要となる。よって、本来、タービントリップさせる必要のない場合においても、タービントリップをさせてしまうことがあり、その結果、蒸気タービン発電設備に大きな負担を与えることとなる。
【0007】
このような問題を鑑みて、本発明は、MSRにおけるわずかな圧力変動に基づく誤動作の可能性を小さくするとともにMSRの圧力保護を行うことができる蒸気タービン発電設備及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の蒸気タービン発電設備は、主蒸気を発生する蒸気源と、該蒸気源で発生された前記主蒸気が供給されて回転駆動する高圧タービンと、該高圧タービンから排出された前記主蒸気を加熱するとともに湿分を除去する湿分分離加熱器と、該湿分分離加熱器で加熱されて得た再熱蒸気が供給されて回転駆動する低圧タービンと、前記蒸気源と前記高圧タービンとの間の配管に設置されるとともに前記蒸気源で発生された前記主蒸気の供給を停止する主蒸気止め弁と、該主蒸気止め弁よりも前記高圧タービン側の配管に設置されるとともに前記高圧タービンへの前記主蒸気の供給量を調整する蒸気加減弁と、前記湿分分離加熱器と前記低圧タービンとの間の配管に設置されるとともに前記低圧タービンへの前記主蒸気の供給量を調整するインターセプト弁と、を備える蒸気タービン発電設備において、前記湿分分離加熱器内の圧力を検出する圧力検出部と、前記蒸気加減弁の全閉を指示しているときに、前記圧力検出部で検出した圧力が所定の圧力値より高く、且つ、前記蒸気加減弁が全閉状態でないことを検出すると、前記主蒸気止め弁の全閉を指令する圧力上昇保護部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
このような蒸気タービン発電設備において、全閉が指示された前記蒸気加減弁及び前記インターセプト弁は、発電設備に必要な最低の電力量を出力するために高圧タービン及び低圧タービンを回転させるための蒸気流量を確保するだけの開度を保持しているものとしても構わない。又、圧力検出部が、圧力スイッチ又は圧力トランスミッタであっても構わない。
【0010】
又、このような蒸気タービン発電設備において、前記蒸気加減弁が複数であるとき、前記蒸気加減弁の全閉を指示しているときに、前記圧力検出部で検出した圧力が所定の圧力値より高く、且つ、前記蒸気加減弁の少なくとも1つが全閉状態でないことを検出すると、前記圧力上昇保護部が前記主蒸気止め弁の全閉を指令する。
【0011】
又、前記所定の圧力値が、前記湿分分離加熱器における定格値となる圧力値の115%以下となる値としても構わない。
【0012】
又、本発明の蒸気タービン発電設備の運転方法は、主蒸気を発生する蒸気源と、該蒸気源で発生された前記主蒸気が供給されて回転駆動する高圧タービンと、該高圧タービンから排出された前記主蒸気を加熱するとともに湿分を除去する湿分分離加熱器と、該湿分分離加熱器で加熱されて得た再熱蒸気が供給されて回転駆動する低圧タービンと、前記蒸気源と前記高圧タービンとの間の配管に設置されるとともに前記蒸気源で発生された前記主蒸気の供給を停止する主蒸気止め弁と、該主蒸気止め弁よりも前記高圧タービン側の配管に設置されるとともに前記高圧タービンへの前記主蒸気の供給量を調整する蒸気加減弁と、前記湿分分離加熱器と前記低圧タービンとの間の配管に設置されるとともに前記低圧タービンへの前記主蒸気の供給量を調整するインターセプト弁と、を備える蒸気タービン発電設備の運転方法において、前記湿分分離加熱器内の圧力を検出するとともに、前記蒸気加減弁の全閉を指示しているときに、前記湿分分離加熱器内の圧力が所定の圧力値より高く、且つ、前記蒸気加減弁が全閉状態でないことを検出すると、前記主蒸気止め弁を全閉とすることを特徴とする。
【0013】
又、このとき、前記蒸気加減弁が複数である場合、前記蒸気加減弁の全閉を指示しているときに、前記湿分分離加熱器内の圧力が所定の圧力値より高く、且つ、前記蒸気加減弁の少なくとも1つが全閉状態でないことを検出すると、前記主蒸気止め弁を全閉とする。
【0014】
更に、前記所定の圧力値が、前記湿分分離加熱器における定格値となる圧力値の115%以下となる値であるものとしても構わない。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、前記蒸気加減弁の全閉を指示しているときにおいて、湿分分離加熱器内の圧力が所定値に達するとともに蒸気加減弁が全閉状態でないことを確認したときに、主蒸気止め弁を全閉として、蒸気タービン発電設備をタービントリップする。よって、従来のように、湿分分離加熱器の圧力変動のみでタービントリップさせることがなく、その誤動作の可能性を小さくすることができる。又、誤動作の可能性を小さくすることにより、湿分分離加熱器の圧力が上昇していると判定する値を定格値の115%以下として、小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図面を参照して以下に説明する。尚、図1は、本実施形態における蒸気タービン発電設備の構成を示すブロック図である。又、本実施形態では、加圧水型原子炉による原子力タービンによる蒸気タービン発電設備に基づいて説明する。
【0017】
図1の蒸気タービン発電設備は、核分裂の熱エネルギーにより一次系の水を加熱する原子炉1と、原子炉1で加熱された水が導入されて二次系の水を加熱して蒸気を発生する蒸気発生器2と、蒸気発生器2で発生した蒸気により回転駆動する高圧タービン3と、高圧タービンと1軸で構成される低圧タービン4と、高圧タービン3から排出された蒸気を加熱するとともに湿分を除去して低圧タービン4に供給するMSR5と、高圧タービン3及び低圧タービンの回転により発電動作を行う発電機6と、低圧タービン4より排出された再熱蒸気を海水などにより復水する復水器7と、復水系から供給される二次系の水を加熱する低圧給水加熱器8と、低圧給水加熱器8で加熱された二次系の水を更に加熱して蒸気発生器2に供給する脱気器9と、を備える。
【0018】
又、蒸気発生器2と高圧タービン3との間を連結する主蒸気配管11に、4台のMSV12及びGV13が設けられるとともに、MSR5と低圧タービン4との間を連結する再熱蒸気配管14に、6台のRSV15及びICV16が設けられる。更に、MSR5内の圧力を計測する圧力スイッチ20と、圧力スイッチ20からのMSR5の圧力を示す信号とGV13の開度を示す信号とが入力されてタービントリップの可否を設定する圧力上昇保護部21と、を備える。そして、図示はされていないが、MSR5は、蒸気発生器2からの主蒸気が流入するように構成され、この蒸気発生器2からの主蒸気によって高圧タービン3より排気された蒸気が加熱されるようになっている。
【0019】
このように構成される蒸気タービン発電設備の通常時における運転について、以下に説明する。まず、蒸気発生器2において、原子炉1で核分裂の熱エネルギーにより加熱された一次系の水が与えられると、この高温の一次系の水により脱気器9より給水される二次系の水を加熱して飽和蒸気(290℃、約60ata)が発生される。この蒸気発生器2で発生した飽和蒸気による主蒸気が、主蒸気配管11のMSV12及びGV13を介して高圧タービン3に供給されて、高圧タービン3が回転駆動する。そして、高圧タービン3の回転駆動に使用されて高圧タービン3より排気される蒸気は約12ataの湿り蒸気となって、MSR5に供給される。
【0020】
MSR5では、高圧タービン3より排気される湿り蒸気より湿分を除去するとともに、この湿り蒸気を過熱することで、高温の再熱蒸気を発生する。このMSR5で加熱されて発生した再熱蒸気が、再熱蒸気配管14のRSV15及びICV16を介して低圧タービン4に供給されて、低圧タービン4が回転駆動する。そして、低圧タービン4の回転駆動に使用されて低圧タービン4より排気される再熱蒸気は復水器7に供給されて、海水などによって冷却されて復水される。この復水器7で復水された二次系の水は、低圧給水加熱器8及び脱気器9で加熱されて、蒸気発生器2に給水される。
【0021】
このようにして、二次系の水より発生する蒸気により高圧タービン3及び低圧タービン4が回転駆動することで、この高圧タービン3及び低圧タービン4と同軸に配置された発電機6を駆動して発電を行う。又、このとき、GV13の開度を調整して高圧タービン3に供給する主蒸気の流量を制御することで、高圧タービン3の回転数を制御するとともに、ICV16それぞれの開度を調整して、低圧タービン4に供給する再熱蒸気それぞれの流量を制御することで、低圧タービン4の回転数を制御する。このように、GV13及びICV16それぞれの開度を調整して高圧タービン3及び低圧タービン4それぞれの回転数を制御することで、発電機6の出力及び回転数を規定値に制御する。
【0022】
次に、圧力上昇保護部21の構成について、図2を参照して説明する。図2は、圧力上昇保護部21の内部構成を示すブロック図である。この圧力上昇保護部21は、MSR5の圧力を測定するために設けられた4台の圧力スイッチ20からの信号が入力される多数決回路31と、4台のGV13それぞれが全閉となったことを示す信号が入力されるOR回路32と、多数決回路31とOR回路32それぞれの出力が入力されるAND回路33と、を備える。尚、この圧力上昇保護部21は、負荷が急減するなどして異常が発生して、GV13及びICV16に全閉指令信号が与えられたときに動作し、正常動作時においては動作しない。
【0023】
このように圧力上昇保護部21が構成されるとき、4台の圧力スイッチ20によってMSR5の圧力が所定値以上となったか否かが確認され、MSR5の圧力が所定値以上となったとき、ハイとなる信号が多数決回路31に送出される。尚、この所定値は、予想最大出力時のMSR5の圧力(定格値の圧力)の100%より大きく定格値の圧力の115%以下となる値であり、例えば、定格値の圧力の115%としたとき、圧力スイッチ20がそれぞれ、MSR5の圧力が定格値の圧力の115%以上の圧力値となったことを検出すると、ハイとなる信号を多数決回路31に出力する。
【0024】
そして、多数決回路31では、ハイとなる信号を出力した圧力スイッチ20が2台以上であることを確認すると、ハイとなる信号をAND回路33に出力する。尚、この多数決回路31における論理演算によって、複数入力される圧力スイッチ20の信号に基づいて動作が行われるため、圧力スイッチ20の故障に対して、信頼性のある制御結果を示すことができる。
【0025】
又、GV13及びICV16はそれぞれ、その内部に弁体の機械的ストッパを備え、弁開度を指示する弁開度指令信号が全閉を示す場合であっても、定格流量の数%〜十数%の蒸気が流れるような構造とされている。更に、このGV13及びICV16は、それぞれの開度が連動するように動作されるため、ICV16に全閉が指示されると、GV13も全閉が指示される。このように、GV13及びICV16が全閉を指示されたとしても、完全に全閉されないため、高圧タービン3及び低圧タービン4へ最低流量となる蒸気を供給してその回転数を低くし、発電設備を動作させるための最低の電力量を発電機6によって発生させることができる。
【0026】
このとき、GV13が全閉されると、全閉されたGV13を示す信号がローとなってOR回路32に入力される。尚、このGV13が全閉されたか否かを示す信号は、GV13下流に流量計を設け、この流量計によりGV13より流れる主蒸気が最低流量となったか否かによって全閉されたか否かが判定し、GV13より流れる主蒸気が最低流量となったときにローとなるものとしても構わない。よって、OR回路32は、4台のGV13が全て全閉となったとき、ローの信号をAND回路33を出力する。又、AND回路33は、多数決回路31からの信号がハイであるとともにOR回路32からの信号がハイであるとき、タービントリップさせるためのハイとなるタービントリップ信号を出力する。このハイとなるタービントリップ信号によって、MSV12、GV13、RSV15、及びICV16全てを全閉として、蒸気タービン発電設備をタービントリップさせる。
【0027】
このような圧力上昇保護部21を備える蒸気タービン発電設備は、正常時においては上述のように蒸気が流れて最終的に電力を発生するように運転される。しかしながら、負荷が急減すると、高圧タービン3及び低圧タービン4は、増速しようとするが、不図示の加速度防止装置が作動して、GV13及びICV16に全閉指令信号が与えられ、高圧タービン3及び低圧タービン4に最低流量の蒸気が流れるようにGV13及びICV16が閉じる。
【0028】
このとき、4台のGV13全てが正常に動作すれば、ICV16は前述のように若干の蒸気流れを許容するので、MSR5の圧力は定格値の106%以上にはならない。よって、圧力上昇保護部21も作動するが、圧力スイッチ20からの信号がローであるため、多数決回路31からの信号もローとなる。更に、4台のGV13全てが正常に動作して、最低流量の主蒸気を流す全閉状態となっているので、OR回路32からの信号もローとなる。そのため、MSR5において多少の圧力変動があり圧力スイッチ20からの信号がハイとなり多数決回路31からの信号もハイとなったとしても、OR回路32からの信号がローであるために、AND回路33から出力されるタービントリップ信号がローのままであり、タービントリップを防ぐことができる。
【0029】
一方、4台あるGV13の内の少なくとも1台の弁ステムがスティックを起こしたりして開いたままになると、OR回路32に入力される信号の1つがハイとなり、OR回路32からハイとなる信号が出力される。又、全てのICV16が最低流量の再熱蒸気を流す全閉状態であるため、MSR5の圧力値が上昇していき、4台の圧力スイッチ20の信号がハイとなり、多数決回路37からハイとなる信号が出力される。よって、AND回路33に入力される2信号がいずれもハイとなるため、ハイとなるタービントリップ信号が出力され、MSV12、GV13、RSV15、及びICV16全てを全閉として、蒸気タービン発電設備をタービントリップさせて、MSR5における過大圧力発生は実質的に防止される。
【0030】
尚、蒸気タービン発電設備を、本実施形態では、加圧水型原子炉による原子力タービンによるものとしたが、この構成に限られるものではなく、例えば、沸騰水型原子炉を備えた蒸気タービン発電設備など他の蒸気タービン発電設備であっても構わない。又、MSRの圧力を検出するための圧力スイッチを使用したが、圧力トランスミッタで圧力を検出し、圧力トランスミッタで検出されたMSRの圧力値と所定値とをバイステーブルで比較し、ハイ、ローの信号に変換するものとしても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の蒸気タービン発電設備及びその運転方法は、高圧タービンから排気された蒸気を再熱して低圧タービンに供給する湿分分離加熱器を備える蒸気タービン発電設備に適用することができ、特に、原子力タービン発電設備に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】は、本発明の実施形態における蒸気タービン発電設備の構成を示すブロック図である。
【図2】は、図1の蒸気タービン発電設備における圧力上昇保護部の内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0033】
1 原子炉
2 蒸気発生器
3 高圧タービン
4 低圧タービン
5 湿分分離加熱器(MSR)
6 発電機
7 復水器
8 低圧給水加熱器
9 脱気器
11 主蒸気配管
12 主蒸気止め弁(MSV)
13 蒸気加減弁(GV)
14 再熱蒸気配管
15 再熱蒸気止め弁(RSV)
16 インターセプト弁(ICV)
20 圧力スイッチ
21 圧力上昇保護部
31 多数決回路
32 OR回路
33 AND回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主蒸気を発生する蒸気源と、該蒸気源で発生された前記主蒸気が供給されて回転駆動する高圧タービンと、該高圧タービンから排出された前記主蒸気を加熱するとともに湿分を除去する湿分分離加熱器と、該湿分分離加熱器で加熱されて得た再熱蒸気が供給されて回転駆動する低圧タービンと、前記蒸気源と前記高圧タービンとの間の配管に設置されるとともに前記蒸気源で発生された前記主蒸気の供給を停止する主蒸気止め弁と、該主蒸気止め弁よりも前記高圧タービン側の配管に設置されるとともに前記高圧タービンへの前記主蒸気の供給量を調整する蒸気加減弁と、前記湿分分離加熱器と前記低圧タービンとの間の配管に設置されるとともに前記低圧タービンへの前記主蒸気の供給量を調整するインターセプト弁と、を備える蒸気タービン発電設備において、
前記湿分分離加熱器内の圧力を検出する圧力検出部と、
前記蒸気加減弁の全閉を指示しているときに、前記圧力検出部で検出した圧力が所定の圧力値より高く、且つ、前記蒸気加減弁が全閉状態でないことを検出すると、前記主蒸気止め弁の全閉を指令する圧力上昇保護部と、
を備えることを特徴とする蒸気タービン発電設備。
【請求項2】
前記蒸気加減弁が複数であり、
前記蒸気加減弁の全閉を指示しているときに、前記圧力検出部で検出した圧力が所定の圧力値より高く、且つ、前記蒸気加減弁の少なくとも1つが全閉状態でないことを検出すると、前記圧力上昇保護部が前記主蒸気止め弁の全閉を指令することを特徴とする請求項1に記載の蒸気タービン発電設備。
【請求項3】
前記所定の圧力値が、前記湿分分離加熱器における定格値となる圧力値の115%となる値であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の蒸気タービン発電設備。
【請求項4】
主蒸気を発生する蒸気源と、該蒸気源で発生された前記主蒸気が供給されて回転駆動する高圧タービンと、該高圧タービンから排出された前記主蒸気を加熱するとともに湿分を除去する湿分分離加熱器と、該湿分分離加熱器で加熱されて得た再熱蒸気が供給されて回転駆動する低圧タービンと、前記蒸気源と前記高圧タービンとの間の配管に設置されるとともに前記蒸気源で発生された前記主蒸気の供給を停止する主蒸気止め弁と、該主蒸気止め弁よりも前記高圧タービン側の配管に設置されるとともに前記高圧タービンへの前記主蒸気の供給量を調整する蒸気加減弁と、前記湿分分離加熱器と前記低圧タービンとの間の配管に設置されるとともに前記低圧タービンへの前記主蒸気の供給量を調整するインターセプト弁と、を備える蒸気タービン発電設備の運転方法において、
前記湿分分離加熱器内の圧力を検出するとともに、
前記蒸気加減弁の全閉を指示しているときに、前記湿分分離加熱器内の圧力が所定の圧力値より高く、且つ、前記蒸気加減弁が全閉状態でないことを検出すると、前記主蒸気止め弁を全閉とすることを特徴とする蒸気タービン発電設備の運転方法。
【請求項5】
前記蒸気加減弁が複数であるとき、
前記蒸気加減弁の全閉を指示しているときに、前記湿分分離加熱器内の圧力が所定の圧力値より高く、且つ、前記蒸気加減弁の少なくとも1つが全閉状態でないことを検出すると、前記主蒸気止め弁を全閉とすることを特徴とする請求項4に記載の蒸気タービン発電設備の運転方法。
【請求項6】
前記所定の圧力値が、前記湿分分離加熱器における定格値となる圧力値の115%以下となる値であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の蒸気タービン発電設備の運転方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−83731(P2006−83731A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267687(P2004−267687)
【出願日】平成16年9月15日(2004.9.15)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】