説明

蓄電収納庫及び蓄電システム

【課題】蓄電池の取出しが可能でメンテナンスが容易な蓄電収納庫及び蓄電システムを得る。
【解決手段】外箱22に対して内箱20を昇降移動可能とし、外箱22内に内箱20が収納され、通常は、外箱22の上部に内箱20が配置されるようにしている。そして、蓄電池16を交換する際には、モータ46を駆動させ、内箱20を下方へ移動させて、内箱20内の蓄電池16を露出させる。この状態で蓄電池16は外箱22の下部(空間40)に位置(下降位置)することとなり、蓄電池16の出し入れが容易に行われ、蓄電池16のメンテナンス或いは蓄電池16の交換などが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電池を備えた蓄電収納庫及び蓄電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池による蓄電システムを用いた建物では、蓄電池の収納スペースとして、建物のデッドスペースが有効利用される。例えば、特許文献1では、建物の壁内に蓄電池が収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−328797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この蓄電池は壁内に収納された状態のままであるため、自由に取出すこともできず、メンテナンスは大変な作業となる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、蓄電池の取出しが可能でメンテナンスが容易な蓄電収納庫及び蓄電システムを供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の蓄電収納庫は、建物又はガレージの外壁の外側又は当該外壁内に設けられた蓄電収納庫であって、蓄電池が収納され、当該蓄電池を出し入れ可能な開口が設けられた内箱と、前記内箱を昇降移動させる昇降装置と、前記昇降装置による前記内箱の上昇位置で当該内箱を収納し、前記内箱の下降位置で当該内箱の前記開口を通じて前記蓄電池を露出させる外箱と、を有している。
【0007】
請求項1に記載の蓄電収納庫では、蓄電池が収納された内箱には、当該蓄電池を出し入れ可能な開口が設けられている。内箱は昇降装置によって昇降移動可能とされており、上昇位置で外箱に収納され、下降位置で内箱の開口を通じて蓄電池が露出する。
【0008】
つまり、蓄電池は通常、内箱に収納された状態で、外箱に収納されているが、内箱を下降させると蓄電池が露出する。これにより、蓄電池が取出し可能となり、蓄電池のメンテナンス或いは蓄電池の交換などが可能になる。したがって、蓄電池を用いた、いわゆる蓄電システムの寿命を長くすることができる。
【0009】
通常は外箱の上部に蓄電池は配置されるため、蓄電池を浸水から保護することができる。また、内箱が下降位置へ移動しないと蓄電池は露出しないため、外箱に開閉扉を設け当該開閉扉を開放させると蓄電池が露出する場合と比較して、防犯性能を向上させることができる。
【0010】
また、本発明では、蓄電池の交換が可能であるため、リサイクル蓄電池を使用することができ、イニシャル費用を抑えることができる。また、蓄電池を複数ストックすることで、系統電圧の関係で余剰電力が売れないとき、他の蓄電池に電力を充電させることができ、電力を効率よく回すことができる。
【0011】
請求項2に記載の蓄電収納庫は、請求項1に記載の蓄電収納庫において、震動を検知する震度センサと、前記震度センサ及び前記昇降装置と接続され、前記震動センサにより震動が検知されると前記昇降装置を駆動させ、前記内箱を下降させる第1制御装置と、を有している。
【0012】
請求項2に記載の蓄電収納庫では、震動を検知する震度センサを設け、当該震度センサによって震動が検知されると、第1制御装置による制御によって、昇降装置が駆動し内箱が下降する。これにより、蓄電収納庫の重心を蓄電収納庫の下部へ移動させ、地震などの際に、蓄電収納部が横転しないように防止することができる。
【0013】
請求項3に記載の蓄電収納庫は、請求項1又は2に記載の蓄電収納庫において、浸水を検知する水位センサが前記外箱の下部に設けられ、前記水位センサが前記第1制御装置に接続され、当該水位センサにより浸水が検知されると、前記第1制御装置が前記昇降装置を駆動させ前記内箱を上昇させる。
【0014】
請求項3に記載の蓄電収納庫では、浸水を検知する水位センサを外箱の下部に設けており、当該水位センサによって浸水が検知されると、第1制御装置による制御によって、昇降装置が駆動し内箱が上昇する。例えば、地震の際、蓄電収納庫の横転を防止するため内箱は下降ようになっているが、水位センサによって浸水が検知されない場合は、そのまま内箱は下降する。しかし、水位センサによって浸水が検知されると、内箱は下降しない。また内箱が下降位置に配置された状態で、水位センサによって浸水が検知されると、内箱は上昇し、蓄電池が浸水しないようにする。
【0015】
請求項4に記載の蓄電収納庫は、請求項1〜3の何れか1項に記載の蓄電収納庫において、前記外箱の表面に前記内箱内の熱を放熱するヒートシンクが設けられている。
【0016】
請求項4に記載の蓄電収納庫では、外箱の表面に内箱内の熱を放熱するヒートシンクを設けることで、内箱に収納された蓄電池の熱を放熱することができる。これにより、蓄電池の温度変動を低減させ、蓄電池の性能を安定させることができる。したがって、蓄電池の寿命を長くすることができる。
【0017】
請求項5に記載の蓄電収納庫は、請求項1〜4の何れか1項に記載の蓄電収納庫において、前記外箱が前記外壁であって、前記外壁内に設けられた雨水タンクと、上昇位置の前記内箱と対向し、前記雨水タンクに貯留された雨水が流動可能な冷却パイプと、を有している。
【0018】
請求項5に記載の蓄電収納庫では、外箱が外壁であって、外壁内で内箱が昇降移動可能とされている。この外壁内には雨水タンクが設けられており、この雨水タンクに貯留された雨水を冷却パイプへ流動可能としている。この冷却パイプが、上昇位置の内箱と対向して配設されている。
【0019】
このため、冷却パイプを流動する雨水によって内箱内の蓄電池は冷却されることとなる。このように、雨水タンクに貯留された雨水を冷却水として循環させることで、冷却効率を向上させることができる。また、雨水タンクを設け、当該雨水タンクに雨水を貯留し利用することで浄水を用いる場合と比較して経済的である。
【0020】
請求項6に記載の蓄電収納庫は、請求項1〜5の何れか1項に記載の蓄電収納庫において、建物又はガレージの外壁の外側に設けられた蓄電収納庫であって、前記外箱内の温度を測定する温度センサと、前記外箱を当該外壁から離間する方向へ押圧する押圧手段と、前記温度センサ及び前記押圧手段が接続され、温度センサにより検知された温度が予め定められた温度を超えた場合、前記押圧手段を駆動させる第2制御装置と、を有する。
【0021】
請求項6に記載の蓄電収納庫では、外箱内の温度を測定する温度センサが設けられ、建物又はガレージの外壁と外箱の間には、当該外箱を外壁から離間する方向へ押圧する押圧手段が設けられている。この押圧手段は、温度センサにより検知された温度が予め定められた温度を超えた場合、第2制御装置による制御によって、押圧手段を駆動させる。これにより、外箱が当該外壁から離間する方向へ押圧される。蓄電池が異常発熱により蓄電収納庫内が高温となった場合、発火の可能性もあるため、この場合、蓄電収納庫を建物又はガレージから離すようにする。
【0022】
請求項7に記載の蓄電収納庫は、請求項1〜6の何れか1項に記載の蓄電収納庫において、前記外箱が前部と後部に分割可能に形成され、前記前部を前後移動させ当該前部を前方へ移動させて前部と前記後部との間に隙間を形成するスライド装置と、前記外箱内の温度を測定する温度センサにより検知された温度が予め定められた温度を超えた場合、前記スライド装置を駆動させ、前記前部を前方へ移動させる第3制御装置と、を有している。
【0023】
請求項7に記載の蓄電収納庫では、外箱が前部と後部に分割可能に形成され、スライド装置によって外箱の前部を前方へ移動させることで、外箱の前部と後部との間に隙間が形成される。外箱内の温度を測定する温度センサにより検知された温度が予め定められた温度を超えた場合、第3制御装置による制御によって、スライド装置を駆動させて外箱の前部を前方へ移動させる。このように、外箱を前部と後部とに分割させ前部をスライドさせ前部と後部との間に隙間を形成することで、外箱内に外気を取り入れて、給気と排気が行われ、外箱及び内箱内を放熱及び換気することができる。
【0024】
請求項8に記載の蓄電収納庫は、請求項1〜7の何れか1項に記載の蓄電収納庫において、前記外箱内に冷却ファンが設けられ、前記外箱内の温度を測定する温度センサにより検知された温度が予め定められた温度を超えた場合、前記冷却ファンを駆動させる第4制御装置が設けられている。
【0025】
請求項8に記載の蓄電収納庫では、外箱内には冷却ファンが設けられ、外箱内の温度を測定する温度センサにより検知された温度が予め定められた温度を超えた場合、第4制御装置による制御によって、冷却ファンが駆動し内箱を冷却する。これにより、内箱内の蓄電池が冷却される。
【0026】
請求項9に記載の蓄電収納庫は、請求項1〜8の何れか1項に記載の蓄電収納庫において、前記外箱の表面には、当該外箱内の温度や前記蓄電池の蓄電量などを表示する表示パネルが設けられ、前記表示パネルが屋内モニターと連動している。
【0027】
請求項9に記載の蓄電収納庫では、外箱の表面には表示パネルが設けられており、蓄電収納庫内の温度や蓄電池の蓄電量などを表示する。この表示パネルが屋内モニターと連動しているため、屋内で蓄電収納庫の操作及び蓄電池の状態を確認することができ、便利である。
【0028】
請求項10に記載の蓄電システムは、請求項1〜9の何れか1項に記載の蓄電収納庫内の蓄電池に蓄電された電力を、建物若しくはガレージの電気機器、又はハイブリッド車又は電気自動車等に搭載された車両用蓄電池へ供給する。
【0029】
請求項10に記載の蓄電システムでは、蓄電収納庫内の蓄電池に蓄電された電力を、建物若しくはガレージの電気機器、又は車両用蓄電池へ供給するため、余剰電力を互いに融通することができ、経済的である。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、請求項1に記載の蓄電収納庫によれば、蓄電池の取出しが可能でメンテナンスが容易である。
【0031】
請求項2に記載の蓄電収納庫によれば、蓄電収納庫の設置安定性を確保することができる。
【0032】
請求項3に記載の蓄電収納庫によれば、状況に合わせて蓄電池の位置を変えることができる。
【0033】
請求項4に記載の蓄電収納庫によれば、蓄電池の寿命を長くすることができる。
【0034】
請求項5に記載の蓄電収納庫によれば、蓄電池を効率よく冷却することができる。
【0035】
請求項6に記載の蓄電収納庫によれば、これにより、建物又はガレージへ被害が及ばないようにすることができる。
【0036】
請求項7に記載の蓄電収納庫によれば、外箱内を放熱及び換気することができる。
【0037】
請求項8に記載の蓄電収納庫によれば、内箱を積極的に冷却することができる。
【0038】
請求項9に記載の蓄電収納庫置によれば、蓄電収納庫の操作及び蓄電池の蓄電量の確認等を屋内でできるため、便利である。
【0039】
請求項10に記載の蓄電装置によれば、車両用蓄電池も含め、時間帯に応じて電力を蓄電又は放電して互いに使い分けることができ、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1の実施形態に係る蓄電池収納庫を示す正面図であり、(A)は内箱が外箱内に収納された状態を示し、(B)は内箱が外箱から露出した状態を示している。
【図2】第1の実施形態に係る蓄電池収納庫の内箱の昇降装置を示す斜視図である。
【図3】第1の実施形態に係る蓄電池収納庫を示す側面図であり、(A)は外箱の通常の状態を示し、(B)は外箱の前部が前方へ移動した状態を示している。
【図4】第1の実施形態に係る蓄電池収納庫の外箱のスライド装置を示す側面図であり、(A)は外箱の通常の状態を示し、(B)は外箱の前部が前方へ移動した状態を示している。
【図5】第1の実施形態に係る蓄電池収納庫を示す横断面図であり、(A)は外箱の通常の状態を示し、(B)は外箱の前部が前方へ移動した状態を示している。
【図6】第1の実施形態に係る蓄電池収納庫の構成を示すブロック図である。
【図7】(A)は、第1の実施形態に係る蓄電池収納庫の変形例を示す拡大正面図であり、(B)は(A)で示すタッチパネルの表示例を示す正面図である。
【図8】第1の実施形態に係る蓄電システムの概略構成図である。
【図9】第1の実施形態のその他の実施形態(1)に係る蓄電池収納庫を示す横断面図であり、(A)は外箱の通常の状態を示し、(B)は外箱の前部が前方へ移動した状態を示している。
【図10】第1の実施形態のその他の実施形態(2)に係る蓄電池収納庫を示す横断面図であり、(A)は外箱の開閉扉が開放された状態を示し、(B)は外箱の開閉扉が閉止された状態を示している。
【図11】第1の実施形態のその他の実施形態(3)に係る蓄電池収納庫を示す側面図であり、(A)は外箱の通常の状態を示し、(B)は外箱が横倒する状態を示している。
【図12】第2の実施形態に係る蓄電池収納庫を示す斜視図である。
【図13】図12に冷却パイプ及び雨水タンクの図を追加した斜視図である。
【図14】第2の実施形態のその他の実施形態に係る蓄電池収納庫を示す平面図である。
【図15】第2の実施形態のその他の実施形態に係る蓄電池収納庫を示す斜視図である。
【図16】第2の実施形態のその他の実施形態に係る蓄電池収納庫に接続されるコンセントを示す斜視図である。
【図17】図5に太陽電池パネルの図を追加した斜視図である。
【図18】第2の実施形態に係る蓄電システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。まず、本発明の第1の実施形態に係る蓄電池収納庫について説明を行う。
【0042】
<第1の実施形態>
(蓄電池収納庫の構成)
図3(A)に示されるように、建物10の外壁12の外面には、蓄電池収納庫14が取付けられている。この蓄電池収納庫14は、図1(A)、(B)に示されるように、蓄電池16が収納され前方面が開口18とされた略矩形状の内箱20と、当該内箱20を収納する外箱22と、を備えており、内箱20が外箱22内を昇降移動可能とされている(後述する)。
【0043】
外箱22の表面には、図1(A)及び図5(A)に示されるように、蓄電池収納庫14の高さ方向に沿って開口24が形成されており、開口24内には、矩形状の金属板26が嵌め込まれている。この金属板26に対向して内箱20の表面、つまり蓄電池16の表面には、金属板28が設けられている。
【0044】
この金属板28と金属板26の間には、隙間30が設けられており、隙間30内には金属製の連結板32が金属板26の幅方向の両側及び中央部に配置されている。この連結板32によって、金属板28と金属板26とが連結され、金属板26と金属板28との間で伝熱可能となっている。
【0045】
金属板26の表面からは、図1(A)、(B)に示されるように、外箱22の高さ方向の全域に渡って、矩形状のヒートシンク34が複数立設しており、蓄電池16の熱は、金属板28、連結板32、金属板26及びヒートシンク34へ伝達され、当該ヒートシンク34によって放熱可能としている。このため、このヒートシンク34は白やシルバーなど、熱を吸収し難い色で形成されている。また、図5(A)に示されるように、外箱22の内壁面及び金属板26と金属板28の隙間30には、断熱材36が設けられており、外箱22の表面の温度が外箱22内へ伝達されないようにしている。
【0046】
なお、ここでは、外箱22の高さ方向の全域に渡って、ヒートシンク34を設けたが、内箱20内の蓄電池16の熱を放熱することができれば良いため、これに限るものではない。例えば、図示はしないが、外箱22の幅方向に沿ってヒートシンク34を設けても良い。
【0047】
また、ここではヒートシンク34を設けたが、外箱22内の温度の上昇を防止することができれば良いため、これに限るものではない。例えば、図示はしないが、深さ5m以上の地中と連通するパイプを設け、地中の空気が外箱22内に導入されるようにしても良い。これにより、季節に関係なく安定した温度を導入することができ、温度低下や上昇を防ぐことができる。
【0048】
一方、図1(A)、(B)に示されるように、外箱22の幅方向の両側には脚部38が設けられており、外箱22の下方には、内箱20が配置可能な空間40が設けられている。外箱22の下面は開口となっており、内箱20が外箱22内を下降し当該開口を通過すると、当該内箱20は空間40内に配置され、内箱20内の蓄電池16が露出可能となる。なお、内箱20が外箱22に収納された状態では、外箱22の下面の開口は、内箱20の側壁によって閉塞される。
【0049】
ここで、図1及び図2を参照して、内箱20を昇降移動させる昇降装置44の構成について説明する。
【0050】
(昇降装置の構成)
図2に示されるように、外箱22の前方側には、幅方向の内側壁の両側に正転・逆転可能なモータ46がそれぞれ固定されている。このモータ46は、図6に示す制御部(第1制御装置)90に接続されており、この制御部90によって制御される。
【0051】
モータ46の回転軸48にはピニオン50が連結されている。内箱20の幅方向の外側壁の両側には、内箱20の上下方向に沿ってラック52がそれぞれ設けられており、このラック52にピニオン50が噛合している。このため、モータ46を駆動させると、回転軸48及びピニオン50が回転し、ラック52を介して、内箱20が昇降移動する。
【0052】
ここで、図1(A)、(B)に示されるように、複数のモータ46を用いて内箱20を昇降移動させる場合、これらのモータ46を同期させる必要がある。このため、モータ46を1つにして、図示しないプーリ及びタイミングベルト等を用いて、外箱22の幅方向の一方に配置されたモータ46からの動力をプーリに伝達し、他方に配置されたプーリを介して外箱22の幅方向の他方に配置されたピニオン50側に伝達させるようにしても良い。
【0053】
このように、外箱22に対して内箱20を昇降移動させることで、図1(A)、(B)に示されるように、内箱20が外箱22内へ収納され、或いは、内箱20が開口を通じて外箱22から露出して空間40内に配置される。そして、内箱20が空間40内に配置された状態で内箱20に収納された蓄電池16が外部へ露出することとなる。これによって、蓄電池16の交換が可能となる。
【0054】
ここで、外箱22には、図6に示す震度センサ88が配設されており、地震などによる震動を検知する。この震度センサ88は、制御部90に接続されている。また、外箱22の脚部38の下端部には、図6に示す水位センサ92が配設されており、当該脚部38の下端部が浸水した場合、当該水位センサ92によって水位を検知する。この水位センサ92は、制御部90に接続されており、脚部38の下端部が浸水している場合は、内箱20を下方へ移動させないように制御する。
【0055】
なお、ここでは内箱20を昇降移動させる構成として、回転軸48にピニオン50を直結させたが、減速機を介して回転軸48とピニオン50とが連結されるようにしても良い。また、内箱20が外箱22に対して昇降移動可能であれば良いため、ピニオン50及びラック52に限るものではない。
【0056】
例えば、図示はしないが、外箱22にボールネジを取付け、内箱20に当該ボールネジに螺号されたナットを取付けて、モータによってボールネジを回転させ、ナットを介して内箱20を昇降移動させるようにしても良い。また、外箱22に滑車及び巻き上げ装置を取付け、当該滑車に巻掛けられたワイヤで内箱20を吊り上げ、巻き上げ装置の駆動によって内箱20を昇降移動させるようにしても良い。
【0057】
一方、蓄電池16としては、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオン蓄電池、ニッケル水素蓄電池といった蓄電池が適用可能であるが、ニッケルカドミウム蓄電池等の他の蓄電池であってもよく、また、これらの蓄電池16に代えて燃料電池(固体高分子型燃料電池)を用いても良い。
【0058】
ちなみに、鉛蓄電池、ニッケル水素蓄電池は、40℃程度までの発生熱で制御されており、又リチウムイオン蓄電池は60℃程度までの発生熱で制御されている。そして、燃料電池は60〜70℃程度までの発生熱で制御されている。
【0059】
蓄電池16の蓄電容量は、蓄電池16が設置される箇所ごとに負荷の大きさに応じて異なる設定とされている。すなわち、蓄電容量が大きい蓄電池16もあれば、蓄電容量が中程度の蓄電池16もあり、更に蓄電容量が小さい蓄電池16もある。なお、ここでは、一例として、蓄電池16は同じ大きさとしている。上記蓄電池16の蓄電容量の変更の仕方には二種類あり、一つは同一容量の蓄電池16を必要個数繋いで蓄電容量を整数倍で増加させていく手法であるが、他の一つは要求される蓄電容量を単体で賄うことができる蓄電池16を予め用意して設置する手法である。
【0060】
前者の場合には、蓄電容量が異なる複数種類の蓄電池16を予め用意する必要がないため、結線作業を廃止でき、その分コスト削減を図ることができる。一方、後者の場合には、単体の蓄電池16で必要な蓄電容量を賄うので、蓄電池16を複数個繋いで大容量化する場合に比べて設置スペースの削減を図ることができる。いずれを選択するかは、確保できる蓄電池収納部の大きさや費用等を勘案して決定される。
【0061】
なお、ここでは、蓄電池16は水平に配置され、内箱20の高さ方向に沿って上下に配置されているが、蓄電池16を起立させ、水平方向に沿って縦列に配置されるようにしても良いし、同じ平面上に複数の蓄電池16が配置されていても良い。
【0062】
ところで、本実施形態では、内箱20の昇降移動の機能に加えて、図2及び図3(A)、(B)に示されるように、外箱22が、奥行き方向の略中央部で高さ方向に沿って前部54と後部56とに分割され、前部54が前後方向へスライド移動可能としている。前部54には内箱20が設けられ、後部56は外壁12に取付けられている。
【0063】
ここで、図3〜図5を参照して、外箱22の前部54をスライド移動させるスライド装置58の構成について説明する。
【0064】
(スライド装置の構成)
図4(A)、(B)に示されるように、後部56の内壁面の両側の上部には、ソレノイド60がそれぞれ略水平に設けられており、ソレノイド60のプランジャ62が水平方向に沿って出入可能とされている。このプランジャ62の先端部には、揺動ピン64の一端部が連結されており、揺動ピン64の他端部には出入シャフト66が連結されている。
【0065】
この出入シャフト66は外箱22の前部54及び後部56の内壁面の両側の上部に水平に設けられたガイド部材68内にそれぞれ収容されている。ガイド部材68には、揺動ピン64の他端部が連結された連結ピン70が貫通するスリット(図示省略)が水平方向に沿って形成されており、連結ピン70を介して出入シャフト66がガイド部材68内を移動可能とされる。
【0066】
つまり、出入シャフト66は水平方向に沿って移動可能とされる。この出入シャフト66の先端部が外箱22の前部54に固定されており、出入シャフト66のスライド移動によって当該前部54が前後移動する(図5(A)、(B)参照)。一方、揺動ピン64の軸部65は、ソレノイド60側に設けられており、プランジャ62のストロークに対して、出入シャフト66のストロークが大きくなるようにしている。
【0067】
また、図3(B)に示されるように、外箱22の前部54及び後部56の内壁面の下部側にも、ガイド部材68と同様のガイド部材72が水平に設けられており、当該ガイド部材72内には出入シャフト74がガイド部材72内を移動可能に設けられている。この出入シャフト74の先端部も出入シャフト66と同様に、外箱22の前部54に固定されており、当該出入シャフト74は、出入シャフト66の移動によって前後移動する前部54を介してガイド部材72内を移動することとなる。つまり、前部54の上部及び下部に、出入シャフト66、74をそれぞれ設けることで、傾倒することなく当該前部54を水平方向に沿ってスライド移動させることができる。
【0068】
ここで、ソレノイド60は、図6に示す制御部(第3制御装置)78に接続されており、この制御部78によって制御される。ソレノイド60のスイッチがONの状態になると、図4(B)に示されるように、プランジャ62がソレノイド60のハウジング80内に引き込まれ、ハウジング80内に収納された図示しない戻しバネには付勢力が蓄積される。一方、プランジャ62の移動と共に軸部65を中心に揺動ピン64が揺動し、連結ピン70を介してガイド部材68に沿って出入シャフト66が前方へ押し出され、当該出入シャフト66を介して、外箱22の前部54が前方へ移動する。
【0069】
当該前部54が前方へ移動した状態で、前部54と後部56の間には、隙間82が設けられる。前述したように、プランジャ62のストロークに対して、出入シャフト66のストロークが大きくなるようにしているため、当該隙間82を十分に設けることできる。
【0070】
ここで、図3(A)、(B)に示されるように、外箱22の脚部38は、前部54の幅方向の両端部に設けられており、脚部38の先端部には、コロ84が設けられている。このコロ84が支持される支持面85には、蓄電池収納庫14の奥行き方向に沿って(ガイド部材68、72と平行に)レール86が配設されている。このため、前部54が前後方向へ移動する際、コロ84はこのレール86に沿って移動する。
【0071】
一方、ソレノイド60のスイッチをOFFにすると、図示しない戻しバネの付勢力によって、図4(A)に示されるように、プランジャ62がハウジング80から突出する。これにより、軸部65を中心に揺動ピン64が揺動し、連結ピン70を介して出入シャフト66が後方へ引き戻され、外箱22の前部54が後方へ移動し、後部56に当接して隙間82は埋められ、外箱22は通常の状態に戻る。
【0072】
また、外箱22には、図6に示す温度センサ76が配設されており、外箱22内の温度を検知する。この温度センサ76は制御部78に接続されており、温度センサ76によって検知された温度が、予め定められた温度を越えた場合、制御部78を介してソレノイド60のスイッチがONとなり、外箱22の前部54が前方へ移動する。これにより、前部54と後部56の間には、隙間82が設けられ、外箱22内に外気を取り入れることができる。
【0073】
(蓄電収納庫の作用・効果)
本実施形態では、図1(A)、(B)に示されるように、外箱22に対して内箱20を昇降移動可能とし、外箱22内に内箱20が収納され、通常は、外箱22の上部に内箱20が配置されるようにしている。そして、蓄電池16を交換する際には、図6に示す制御部90を介してモータ46を駆動させ、内箱20を下方へ移動させて、内箱20内の蓄電池16を露出させる。
【0074】
この状態で蓄電池16は外箱22の下部(空間40)に位置(下降位置)することとなり、蓄電池16の出し入れが容易に行われ、蓄電池16のメンテナンス或いは蓄電池16の交換などが可能になる。したがって、蓄電池16を用いた、後述する蓄電システム98(図8参照)の寿命を長くすることができる。
【0075】
通常は外箱22の上部に蓄電池16は配置されるため、蓄電池16を浸水から保護することができる。また、内箱20が下降位置へ移動しないと蓄電池16は露出しないため、図示はしないが、外箱22に開閉扉を設け当該開閉扉を開放させると蓄電池16が露出する場合と比較して、防犯性能を向上させることができる。但し、外箱22に開閉扉を設けた構成を否定するものではなく、防犯機能を備えた状態では、外箱22に片開き又は観音開きの扉を設けても良いのは勿論のことである。
【0076】
また、図5(A)に示されるように、外箱22にはヒートシンク34が複数設けられており、蓄電池16の熱は、金属板28、連結板32、金属板26及びヒートシンク34へ伝達され、当該ヒートシンク34によって、蓄電池16の蓄電・放電時に発生する熱を放熱させることができる。これによって、蓄電池16の温度変動を低減させ、蓄電池16の性能を安定させることができる。したがって、蓄電池16の寿命を長くすることができる。
【0077】
また、外箱22に設けられた温度センサ76(図6参照)によって検知された温度が、予め定められた温度を越えた場合、制御部78(図6参照)を介してソレノイド60(図6参照)のスイッチがONとなり、図4(B)に示されるように、外箱22の前部54が前方へ移動する。これにより、前部54と後部56の間には、隙間82が設けられることとなり、外箱22内に外気を取り入れることができ、蓄電池16の熱を放熱及び外箱22内を換気することができる。
【0078】
また、外箱22に設けられた震度センサ88(図6参照)によって震動が検知されると、制御部90(図6参照)を介してモータ46(図6参照)が駆動し、図1(B)に示されるように、内箱20が下降して、蓄電池収納庫14の重心を下方へ移動させる。これにより、蓄電池収納庫14が転倒しないように防止することができ、蓄電池収納庫14の設置安定性を確保することができる。なお、蓄電池16が充電中の場合は、蓄電池16の充填を停止する。
【0079】
ここで、蓄電池収納庫14の外箱22の脚部38の下端部が浸水している場合は、内箱20は下降しないように制御されている。このため、震度センサ88によって震動が検知されたとしても、水位センサ92(図6参照)によって浸水が検知されると、内箱20は外箱22内に収納された状態が維持されることとなる。
【0080】
また、震動が検知され、かつ水位センサ92による浸水が検知されない状態で、内箱20が下降し空間40内に配置された状態で、水位センサ92により浸水が検知されると、内箱20は上昇する。これにより、蓄電池16が浸水しないようにすることができる。つまり、状況に合わせて蓄電池16の位置が変わることとなる。
【0081】
なお、ここでは、外箱22に対して内箱20を昇降移動可能とし、かつ、外箱22を前部54と後部56に分割させ当該前部54を前後方向に沿って移動可能としたが、少なくとも、内箱20が外箱22に対して昇降移動可能な構成であれば良い。また、温度センサ76、震度センサ88及び水位センサ92は必ずしも必要ではない。
【0082】
ところで、本実施形態では、蓄電池収納庫14内に複数の蓄電池16を収納しており、蓄電池16の交換が可能である。このため、リサイクル蓄電池を使用することができ、イニシャル費用を抑えることができる。また、蓄電池16を複数ストックすることで、系統電圧の関係で余剰電力が売れないとき、他の蓄電池16に電力を充電させることができ、電力を効率よく回すことができる。
【0083】
また、蓄電池16をストックして、建物10、エンジンとモータを動力源として備えたハイブリッド自動車又は電気自動車等で同じ蓄電池16を用いて電力を使い回すことで、低コストで活用でき、資源の無駄を低減し、環境に優しくいわゆるエコ対策に寄与することができる。コンパクトな蓄電池の事例として、リチウム電池があるが、特に一人乗りEV車のようなものの蓄電池と当該蓄電池16のモジュールを共通にすることで、スペアの蓄電池16を積載し使用することで連続運転が可能となる。
【0084】
ここで、図7に示されるように、外箱22の表面に、タッチパネル94を設けても良い。そして、この場合、タッチパネル94は建物10の屋内モニター96と連動し、屋内からの操作も可能とする。タッチパネル94のモニターは、通常は表示されておらず、タッチ入力することにより必要な事項が表示されるようになっており、予め設定された暗証番号をタッチ入力することにより操作及び表示が可能となるようにする。
【0085】
但し、非常時にはCaution(或いは警告)の文字がモニター表示され、蓄電池16の交換などを知らせるようにする。タッチパネル94を押圧し、暗証番号を入力することで、例えば、蓄電池16の電池の残量、蓄電状況、交換指示、蓄電履歴(日・月・年)等が表示される。なお、正しい暗証番号が入力されなかった場合は、操作及び表示はなされないものとし、蓄電池16の交換はできないこととなる。これにより、防犯性能をさらに向上させることができる。
【0086】
次に、蓄電池収納庫14が設けられた建物10の蓄電システム98についてその一例を説明する。
【0087】
図8に示されるように、この建物10の屋根には、太陽電池パネル100が設けられており、電力会社が供給する電力を測定する電力量計(順潮流)102に加えて、太陽電池パネル100からの余剰電力(逆潮流電力)を測定するための電力量計104が設置されている。
【0088】
太陽電池パネル100には制御部101が接続されており、制御部101では、太陽電池パネル100から供給された電力を、電力会社へ供給するか、建物10内で使用するかが選択される。太陽電池パネル100から供給された電力を電力会社へ供給する場合、インバータ106を介して、電力量計104を経て電力会社へ供給される。一方、建物10内で使用される場合、太陽電池パネル100から供給された電力は、インバータ106又はDC/DCコンバータ108を介して、分電盤110に供給される。なお、蓄電池16へは、DC/DCコンバータ108を介して電力が供給される。
【0089】
分電盤110には、直流用の分電盤と交流用の分電盤が備えられており、交流用の分電盤(AC接続)からは、電気機器(自然冷媒ヒートポンプ給湯器やエアコン等)などへ電力が供給され、直流用の分電盤(DC接続)からは、LED(発光ダイオード)照明や火災報知器、防犯機器など、比較的、消費電力が小さい機器へ電力が供給される。
【0090】
一方、蓄電池16に充電された電力は、インバータ106或いはDC/DCコンバータ108及び分電盤110を介して上記の電気機器等へ電力が供給され、或いは、DC/DCコンバータ108を介してエンジンとモータを動力源として備えたハイブリッド自動車や電気自動車等に用いられる車両用蓄電池163(図14参照)へ電力が供給される。
【0091】
このような蓄電システム98によれば、電力会社から電力が供給されることにより、或いは太陽電池パネル100等の独立電源から電力が供給されることにより蓄電池16が蓄電される。そして、蓄電池16に蓄電された電力は必要に応じて、建物10内で使用する電気機器又は車両用蓄電池163への電力の供給を可能とする。
【0092】
つまり、この蓄電システム98は、蓄電池16を使い、建物10で使用する電気を蓄電及び給電する省エネ技術の一種である。例えば、この蓄電システム98を用いた場合、昼間は太陽電池パネル100で得られた電力等を蓄電池16に蓄えると共に夜間は料金が安い深夜電力を蓄電池16に蓄え、昼間の料金が高い時間帯に蓄電池16で蓄電した電力を放電して利用するといった使い方ができる。つまり、時間帯に応じて電力を蓄電又は放電して互いに使い分けることができ、経済的である。
【0093】
(その他の実施形態)
(1)第1の実施形態では、図5(A)、(B)に示されるように、蓄電池収納庫14にスライド装置58を設け、外箱22の前部54を前方へ移動させ、前部54と後部56の間に隙間82を設けて、蓄電池16の熱を放熱させるようにしたが、ここでは、当該スライド装置58に加えて、図9(A)、(B)に示されるように、外箱22の後部56側に冷却ファン114を設ける。
【0094】
この場合、この冷却ファン114は、図6に示されるように、制御部(第4制御装置)116に接続され、温度センサ76により検知された温度が予め定められた温度を超えた場合、冷却ファン114を駆動させるようにする。これにより、蓄電池16を積極的に冷却するようにしても良い。なお、ここでは、蓄電池収納庫14にスライド装置58及び冷却ファン114を設けたが、スライド装置58に代えて冷却ファン58を設けても良い。
【0095】
(2)また、図10(A)、(B)に示されるように、蓄電池収納庫14の外箱22の表面側に矩形穴118を設け、当該矩形穴118内に開閉扉120を設けても良い。この場合、当該開閉扉120は幅方向の中央部に軸部122が設けられ、当該軸部122を中心に開閉扉120が揺動可能とされる。
【0096】
開閉扉120には、図6に示すステッピングモータ123が接続されており、制御部124によって制御されるようにする。また、開閉扉120の周縁部にはシール部材123が設けられ、開閉扉120が閉止された状態で、矩形穴118との間をシールするようにする。なお、ここでは、内箱20との干渉を回避するため、図5(A)で示す金属板26及び金属板28は設けられていない。
【0097】
ここで、外箱22の表面には、図6に示す風速・風向センサ126が配設されており、風速及び風向を検知する。この風速・風向センサ126は制御部124に接続されており、当該風速・風向センサ126によって検知された風速が、予め定められた風速を越えた場合、制御部124を介してステッピングモータ123が駆動する。
【0098】
このとき、風向きに合わせて、ステッピングモータ123を正転又は逆転させ、図10(A)に示されるように、開閉扉120を開放させた状態で、外箱22内へ外気を取り込むことができるようにしている。このように自然の風を取り込むようにすることで、冷却ファン114(図9(A)、(B)参照)などを設ける必要はなくなる。
【0099】
また、外箱22の表面には、図6に示す水検知センサ128が配設されており、水を検知する。この水検知センサ128は制御部124に接続されており、開閉扉120を開放させた状態で、水検知センサ128によって水が検知されると、制御部124を介してステッピングモータ123が駆動し、開閉扉120は閉止される。
【0100】
(3)第1の実施形態では、外壁12に蓄電池収納庫14の外箱22の後部56を取付けるようにしたが、例えば、図11(A)、(B)に示されるように、外壁12に外箱22を載置する載置台130を設け、当該載置台130に外箱22を載置させる。そして、後部56の背面側には、収納凹部132を設け、当該収納凹部132内に圧縮バネ134を収納する。圧縮バネ134の一端部は外壁12に取付けられ、圧縮バネ134の他端部は収納凹部132の底面に当接している。この状態で圧縮バネ134には付勢力が蓄積されるようにする。
【0101】
また、外壁12には、ソレノイド136が配設されており、外箱22が載置台130に載置された状態で収納凹部132内に配置可能とされる。収納凹部132の周壁には係合穴140が設けられており、ソレノイド136のプランジャ142の先端部が係合穴140へ挿通し係合可能とされている。プランジャ142の先端部が係合穴140に係合された状態で、外箱22は外壁12に固定される。
【0102】
このソレノイド136は、制御部138(図6参照)に接続されている。外箱22内には温度センサ145(図6参照)が配設されており、外箱22内の温度を検知する。この温度センサ145は制御部138に接続されており、温度センサ145によって測定された温度が、予め定められた温度を越えた場合、例えば、蓄電池16が異常発熱したり発火したりして外箱22内が異常な高温となった場合、制御部138を介してソレノイド136のスイッチがONとなり、プランジャ142がソレノイド136のハウジング144内に引き込まれ、係合穴140との係合状態が解除される。
【0103】
圧縮バネ134には付勢力が蓄積されているため、プランジャ62と係合穴140との係合状態が解除されると、圧縮バネ134の付勢力により収納凹部132が押圧される。これにより、外箱22の脚部38のコロ84がレール86に沿って前方へ移動する。
【0104】
レール86の終縁部(外壁12から離間する側)には、突出部146が設けられており、突出部146に当接するとコロ84はその移動を規制される。一方、圧縮バネ134の他端部は突出部146よりも前方側へ蓄電池収納庫14を押し出すようになっており、圧縮バネ134の付勢力によって前方へ移動した蓄電池収納庫14は、コロ84が突出部146に当接すると、当該コロ84を中心として蓄電池収納庫14が横転する。
【0105】
これにより、蓄電池収納庫14は建物10から離れた位置に押し出されることとなる。例えば、蓄電池16が発火した場合など、外壁12に取付けられた蓄電池収納庫14を建物10から離すことで建物10へ被害が及ばないようにすることができる。
【0106】
ここで、蓄電池収納庫14内に、窒素又は二酸化炭素等の消火剤が充填されたガス発生装置(図示省略)を設け、蓄電池収納庫14が横転すると、閉止弁が開放するようにするようにしても良い。これによると、蓄電池収納庫14が横転することで、当該閉止弁が開放して、消火剤が噴出する。
【0107】
なお、ここでは圧縮バネ134を用いて蓄電池収納庫14を押圧するようにしたが、非常時に建物10から離間する方向へ蓄電池収納庫14を押圧することができれば良いため、これに限るものではない。例えば、モータ等により外壁12から押圧部材(図示省略)を突出させ、蓄電池収納庫14を押圧するようにしても良い。
【0108】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、図3(A)、(B)に示されるように、建物10の外壁12に蓄電池収納庫14が取付けられているが、蓄電池収納庫14の配置場所は、これに限るものではない。
【0109】
例えば、図12に示されるように、外壁12内に蓄電池16が収納された内箱20を収納しても良い。第1の実施形態では、外箱22に対して内箱20を昇降移動可能とし、かつ、外箱22を前部54と後部56に分離させ、前部54を前後方向へスライド移動可能としたが、本実施形態では、外壁12内で内箱20が昇降移動可能な構成となっているだけである。なお、ここでは、外壁12を構成する外壁パネル12Aによって外箱22が形成される。
【0110】
内箱20が外壁12内で昇降移動する構成は、第1実施形態と略同一であるため説明は割愛する。また、ここでは、外壁パネル12Aの下部に、開口部148が設けられている。この開口部148には、開閉扉150が設けられており、モータ46(図2参照)を駆動させて内箱20を下降させ、当該開閉扉150を開放させると、内箱20内の蓄電池16が露出する。これにより、蓄電池16が交換可能となる。なお、開口部148は、屋外側に設けても良いし、屋内側に設けても良いが、屋外側に設ける場合は、前述したタッチパネル94(図7参照)を設けた構成にするなどして防犯対策を施しておく。
【0111】
上記構成に加え、図13に示されるように、外壁パネル12Aの内壁面には、開口部148の上方に、内箱20の表面及び裏面にそれぞれ対向し当該内箱20の幅方向に沿って往復するようにして冷却パイプ152が配設されている。また、外壁12内には、蓄電池収納庫14に隣接して雨水タンク154が設けられており、建物10の雨どい(図示省略)を経て雨水が貯留されるようになっている。なお、雨水タンク154の雨水が一定水位を下回ると浄水が補充される。
【0112】
この雨水タンク154に冷却パイプ152が連結される。冷却パイプ152と雨水タンク154の間には、循環ポンプ156が配設されており、雨水タンク154内の雨水を冷却パイプ152へ流動させ、雨水タンク154へ戻すようにしている。また、外壁12内にはインバータ158が設けられており、蓄電池16に蓄電された電力を直流から交流へ変換して循環ポンプ156へ電力を供給する。
【0113】
循環ポンプ156の駆動により、冷却パイプ152には雨水が流動することとなるが、これによって、内箱20内の蓄電池16は冷却されることとなる。このように、雨水タンク154に貯留された雨水を冷却水として循環させることで、冷却効率を向上させることができる。また、雨水は、樹木の散水、洗車等にも活用できるため、雨水タンク154を設け、当該雨水タンク154に雨水を貯留し利用することで、浄水を用いる場合と比較して経済的である。
【0114】
(その他の実施形態)
本実施形態では、建物10の外壁12内に内箱20を収納したが、これ以外にも、図14に示されるように、ガレージ160の周壁162内に内箱20を収納し、内箱20に隣接して雨水タンク154を設けるようにしても良い。
【0115】
このガレージ160では、ハイブリッド自動車や電気自動車等に用いられる車両用蓄電池163への電力の供給を可能とする。このため、ガレージ160の周壁162の屋内側には、コンセント164が設けられ、プラグインハイブリッド車161等の電源プラグ165が接続可能とされる(所謂プラグイン)。
【0116】
ここで、車両側の接続部の位置は車種によっても異なるため、コンセント164は、ガレージ160の幅方向の両側にそれぞれ設けるようにしている。さらに、図15に示されるように、コンセント164が上下移動可能となるようにしても良い。
【0117】
例えば、図16に示されるように、コンセント164の高さ方向に沿ってガイドバー166が貫通しており、当該ガイドバー166に沿って、コンセント164が高さ方向に沿って移動可能となっている。コンセント164にはDC/DCコンバータ167が接続されており、コンセント164とDC/DCコンバータ167とを接続する配線コード168が、コンセント164の位置によってその弛み量が変わるようにしている。
【0118】
また、コンセント164とガイドバー166との間には摺動抵抗が得られるようになっており、コンセント164は所定の位置で停止可能となっている。さらに、コンセント164の差込み部170、172は上下に配置されており、差込み部170及び差込み部172は、両者の境界部がコンセント164の奥方へ行くようにしてその表面が傾斜している。
【0119】
これにより、差込み部170の中央部に設けられた差込み口170Aは,図示しない電源プラグ165を斜め下方から差込みし易くなっており、差込み部172の中央部に設けられた差込み口172Aは電源プラグ165を斜め上方から差込みし易くなっている。勿論、差込み部170、172がガレージ160の周壁162と平行に設けられていても良い。
【0120】
さらに、図17に示されるように、ガレージ160の周壁162に太陽電池パネル100を設けても良い。これによると、蓄電池16と太陽電池パネル100とが近接して配置されるため、電力ロスが低減され、効率が良くなる。なお、ここではガレージ160の周壁162に太陽電池パネル100を設けたが、ガレージ160の屋根に太陽電池パネル100を設けても良いし、また、太陽電池パネル100が設けられていないガレージ160であっても良い。
【0121】
次に、蓄電池16が設けられたガレージ160の蓄電システム174についてその一例を説明する。なお、建物10の蓄電システム98と同様の機能を有する装置については、蓄電システム98と同一の符号を用いる。
【0122】
図18に示されるように、ガレージ160には、電力会社が供給する電力を測定する電力量計102に加えて、太陽電池パネル100からの余剰電力を測定するための電力量計104が設置されている。太陽電池パネル100には制御部101が接続されており、太陽電池パネル100から供給された電力を、電力会社へ供給するか、ガレージ160内で使用するかが選択される。
【0123】
太陽電池パネル100から供給された電力を電力会社へ供給する場合、インバータ106を介して、電力量計104を経て電力会社へ供給される。一方、ガレージ160内で使用される場合、太陽電池パネル100から供給された電力は、DC/DCコンバータ108を介して、蓄電池16へ供給され、或いは車両用蓄電池163(図14参照)へ電力の供給するためのコンセント164へ供給される。また、蓄電池16に充電された電力は、DC/DCコンバータ108を介してコンセント164へ供給され、車両用蓄電池163へ電力の供給することができる。
【符号の説明】
【0124】
10 建物
12 外壁
14 蓄電池収納庫
16 蓄電池
18 開口
20 内箱
22 外箱
34 ヒートシンク
44 昇降装置
46 モータ(昇降装置)
50 ピニオン(昇降装置)
52 ラック(昇降装置)
54 前部(外箱)
56 後部(外箱)
58 スライド装置
60 ソレノイド(スライド装置)
64 揺動ピン(スライド装置)
66 出入シャフト(スライド装置)
76 温度センサ
78 制御部(第3制御装置)
88 震度センサ
90 制御部(第1制御装置)
92 水位センサ
94 タッチパネル
96 屋内モニター
98 蓄電システム
114 冷却ファン
116 制御部(第4制御装置)
134 圧縮バネ(押圧手段)
138 制御部(第2制御装置)
145 温度センサ
152 冷却パイプ
154 雨水タンク
163 車両用蓄電池
174 蓄電システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物又はガレージの外壁の外側又は当該外壁内に設けられた蓄電収納庫であって、
蓄電池が収納され、当該蓄電池を出し入れ可能な開口が設けられた内箱と、
前記内箱を昇降移動させる昇降装置と、
前記昇降装置による前記内箱の上昇位置で当該内箱を収納し、前記内箱の下降位置で当該内箱の前記開口を通じて前記蓄電池を露出させる外箱と、
を有する蓄電収納庫。
【請求項2】
震動を検知する震度センサと、
前記震度センサ及び前記昇降装置と接続され、前記震動センサにより震動が検知されると前記昇降装置を駆動させ、前記内箱を下降させる第1制御装置と、
を有する請求項1に記載の蓄電収納庫。
【請求項3】
浸水を検知する水位センサが前記外箱の下部に設けられ、
前記水位センサが前記第1制御装置に接続され、当該水位センサにより浸水が検知されると、前記第1制御装置が前記昇降装置を駆動させ前記内箱を上昇させる請求項1又は2に記載の蓄電収納庫。
【請求項4】
前記外箱の表面に前記内箱内の熱を放熱するヒートシンクが設けられた請求項1〜3の何れか1項に記載の蓄電収納庫。
【請求項5】
前記外箱が前記外壁であって、
前記外壁内に設けられた雨水タンクと、
上昇位置の前記内箱と対向し、前記雨水タンクに貯留された雨水が流動可能な冷却パイプと、
を有する請求項1〜4の何れか1項に記載の蓄電収納庫。
【請求項6】
建物又はガレージの外壁の外側に設けられた蓄電収納庫であって、
前記外箱内の温度を測定する温度センサと、
前記外箱を当該外壁から離間する方向へ押圧する押圧手段と、
前記温度センサ及び前記押圧手段が接続され、温度センサにより検知された温度が予め定められた温度を超えた場合、前記押圧手段を駆動させる第2制御装置と、
を有する請求項1〜5の何れか1項に記載の蓄電収納庫。
【請求項7】
前記外箱が前部と後部に分割可能に形成され、前記前部を前後移動させ当該前部を前方へ移動させて前部と前記後部との間に隙間を形成するスライド装置と、
前記外箱内の温度を測定する温度センサにより検知された温度が予め定められた温度を超えた場合、前記スライド装置を駆動させ、前記前部を前方へ移動させる第3制御装置と、
を有する請求項1〜6の何れか1項に記載の蓄電収納庫。
【請求項8】
前記外箱内に冷却ファンが設けられ、前記外箱内の温度を測定する温度センサにより検知された温度が予め定められた温度を超えた場合、前記冷却ファンを駆動させる第4制御装置が設けられた請求項1〜7の何れか1項に記載の蓄電収納庫。
【請求項9】
前記外箱の表面には、当該外箱内の温度や前記蓄電池の蓄電量などを表示する表示パネルが設けられ、前記表示パネルが屋内モニターと連動している請求項1〜8の何れか1項に記載の蓄電収納庫。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか1項に記載の蓄電収納庫内の蓄電池に蓄電された電力を、建物若しくはガレージの電気機器、又はハイブリッド車又は電気自動車等に搭載された車両用蓄電池へ供給する蓄電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−153459(P2011−153459A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15557(P2010−15557)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】