説明

薄膜蒸着装置

【課題】大型基板量産工程に容易に適用でき、製造収率が向上した薄膜蒸着装置を提供する。
【解決手段】蒸着物質を放射する蒸着源と、蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の第1スリットが形成される第1ノズルと、第1ノズルと対向するように配され、第1方向に沿って複数の第2スリットが形成される第2ノズルと、第1ノズルと第2ノズルとの間に第1方向に沿って配されて、第1ノズルと第2ノズルとの間の空間を複数の蒸着空間に区画する複数の遮断壁を備える遮断壁アセンブリーとを備える薄膜蒸着装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜蒸着装置に係り、詳細には基板に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置のうち、有機発光ディスプレイ装置は、視野角が広くてコントラストに優れるだけではなく、応答速度が速いという長所を持っていて、次世代ディスプレイ装置として注目されている。
一般的に、有機発光ディスプレイ装置は、アノードとカソードとから注入される正孔と電子とが発光層で再結合して発光する原理で色相を具現できるように、アノードとカソードとの間に発光層を挿入した積層型構造を持っている。しかし、このような構造では高効率発光を得難いため、それぞれの電極と発光層との間に電子注入層、電子輸送層、正孔輸送層及び正孔注入層などの中間層を選択的にさらに挿入して使用している。
これらの有機発光ディスプレイ装置は、互いに対向した第1電極と第2電極との間に発光層及びこれを含む中間層を備える。この時、前記電極及び中間層はいろいろな方法で形成できるが、そのうち一つの方法が蒸着である。蒸着方法を利用して有機発光ディスプレイ装置を製作するためには、薄膜などが形成される基板面に、形成される薄膜などのパターンと同じパターンを持つファインメタルマスク(Fine Metal Mask:FMM)を密着させ、薄膜などの材料を蒸着して所定パターンの薄膜を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、製造が容易であり、大型基板の量産工程に容易に適用でき、製造収率及び蒸着効率が向上して、蒸着物質のリサイクルが容易な薄膜蒸着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着物質を放射する蒸着源と、前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の第1スリットが形成される第1ノズルと、前記第1ノズルと対向するように配され、前記第1方向に沿って複数の第2スリットが形成される第2ノズルと、前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間に前記第1方向に沿って配されて、前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間の空間を複数の蒸着空間に区画する複数の遮断壁を備える遮断壁アセンブリーと、を備える薄膜蒸着装置を提供する。
【0005】
本発明はまた、基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、蒸着源と、前記蒸着源の一側に互いに対向するように配され、一方向に沿って複数のスリットがそれぞれ形成される第1ノズルと第2ノズルと、前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間に配される複数の第1遮断壁を備える第1遮断壁アセンブリーと、前記第1遮断壁と前記第2ノズルとの間に配される複数の第2遮断壁を備える第2遮断壁アセンブリーと、を備え、前記第2ノズルは、前記基板と所定間隔をおいて離隔するように形成され、前記蒸着源、前記第1ノズル、前記第2ノズル、前記第1遮断壁アセンブリー及び前記第2遮断壁アセンブリーは、前記基板に対して相対的に移動可能に形成される薄膜蒸着装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の薄膜蒸着装置によれば、製造が容易であり、大型基板の量産工程に容易に適用でき、製造収率及び蒸着効率が向上し、蒸着物質のリサイクルが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の望ましい一実施形態による薄膜蒸着装置を概略的に示した斜視図である。
【図2】図1の薄膜蒸着装置の概略的な側面図である。
【図3】図1の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【図4】本発明の一実施形態に関する第2ノズルと第2ノズルフレームとの結合関係を概略的に示した図面である。
【図5A】本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置で、蒸着物質が蒸着されている状態を概略的に示す図面である。
【図5B】図5Aのように、遮断壁により蒸着空間が分離された状態で発生する陰影を示す図面である。
【図5C】蒸着空間が分離されていない状態で発生する陰影を示す図面である。
【図6】本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置に、冷却部材などがさらに備えられている態様を示す図面である。
【図7】本発明の他の一実施形態による薄膜蒸着装置を概略的に示す斜視図である。
【図8】図7の薄膜蒸着装置により基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
【図9】図7の薄膜蒸着装置により基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。
【図10】図7の実施形態の一変形例に関する薄膜蒸着装置を概略的に示す図面である。
【図11】本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置を概略的に示す平面図である。
【図12】図11の薄膜蒸着装置をYZ平面でX軸方向に向けて眺めた断面図である。
【図13】図11の薄膜蒸着装置により蒸着された薄膜の厚さ均一度を示す図面である。
【図14】本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置を概略的に示す斜視図である。
【図15】図14の薄膜蒸着装置の概略的な側面図である。
【図16】図14の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【図17】図14の遮断壁の一変形例を備える薄膜蒸着装置の平面図である。
【図18】図14の遮断壁の他の変形例を備える薄膜蒸着装置の平面図である。
【図19】本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置を概略的に示す斜視図である。
【図20】図19の薄膜蒸着装置の概略的な側面図である。
【図21】図19の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【図22】図19の薄膜蒸着装置による薄膜製造工程を示す図面である。
【図23】図22の薄膜製造工程によって基板上に形成された薄膜を示す図面である。
【図24】本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置を概略的に示す斜視図である。
【図25】図24の薄膜蒸着装置の概略的な側面図である。
【図26】図24の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【図27】本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置を概略的に示す斜視図である。
【図28】図27の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【図29】本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置を概略的に示す斜視図である。
【図30】図29の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【図31】図29の薄膜蒸着装置に配されるバリアの多様な実施形態を説明するための概略的な平面図である。
【図32】図29の薄膜蒸着装置に配されるバリアの多様な実施形態を説明するための概略的な平面図である。
【図33】図29の薄膜蒸着装置に配されるバリアの多様な実施形態を説明するための概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付した図面を参照して本発明による望ましい実施形態を詳細に説明すれば、次の通りである。
【0009】
図1は、本発明の望ましい一実施形態による薄膜蒸着装置を概略的に示した斜視図であり、図2は、図1の薄膜蒸着装置の概略的な側面図であり、図3は、図1の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
図1、図2及び図3を参照すれば、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置100は、蒸着源110、第1ノズル120、遮断壁アセンブリー130、第2ノズル150、及び基板160を備える。
【0010】
ここで、図1、図2及び図3には、説明の便宜のためにチャンバを図示していないが、図1ないし図3のあらゆる構成は、適切な真空度が保持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは、蒸着物質の直進性を確保するためである。
詳細には、蒸着源110から放出された蒸着物質115を、第1ノズル120及び第2ノズル150を通過させて基板160に所望のパターンに蒸着させるためには、基本的に、チャンバ(図示せず)の内部は、FMM(Fine Metal Mask)蒸着方法と同じ高真空状態を保持しなければならない。また、遮断壁131及び第2ノズル150の温度が蒸着源110温度より十分に低くなければならない(約100゜以下)。なぜなら、遮断壁131の温度が十分に低くて初めて遮断壁131に衝突した蒸着物質115が再び蒸発する現象を防止でき、第2ノズル150の温度が十分に低くて初めて温度による第2ノズル150の熱膨張問題を最小化できるためである。この時、遮断壁アセンブリー130は高温の蒸着源110に向かっており、蒸着源110と近い所は最大167℃ほど温度が上昇するため、必要な場合に部分冷却装置がさらに備えられうる。このために、遮断壁アセンブリー130には冷却部材が形成されうる。これについては後述する。
【0011】
これらのチャンバ(図示せず)内には、被蒸着体である基板160が配される。前記基板160は、平板表示装置用基板になりうるが、複数の平板表示装置を形成できるマザーガラス(mother glass)などの大面積基板が適用される。
チャンバ内で前記基板160と対向する側には、蒸着物質115が収納されて加熱される蒸着源110が配される。前記蒸着源110内に収納されている蒸着物質115が気化することによって基板160に蒸着が行われる。さらに詳細には、蒸着源110は、その内部に蒸着物質115が満たされる坩堝111と、坩堝111を加熱させて坩堝111の内部に満たされた蒸着物質115を坩堝111の一側、さらに詳細には、第1ノズル120側に蒸発させるためのヒーター112とを備える。
【0012】
蒸着源110の一側、さらに詳細には、蒸着源110から基板160に向かう側には、第1ノズル120が配される。そして、第1ノズル120には、Y軸方向に沿って複数の第1スリット121が形成される。ここで、前記複数の第1スリット121は等間隔で形成される。蒸着源110内で気化した蒸着物質115は、かかる第1ノズル120を通過して被蒸着体である基板160側に向かう。
【0013】
第1ノズル120の一側には、遮断壁アセンブリー130が備えられる。前記遮断壁アセンブリー130は、複数の遮断壁131と、遮断壁131の外側に備えられる遮断壁フレーム132とを備える。ここで、前記複数の遮断壁131は、Y軸方向に沿って互いに平行して備えられうる。そして、前記複数の遮断壁131は等間隔で形成できる。また、それぞれの遮断壁131は、図面から見た時にXZ平面と平行して、言い換えれば、Y軸方向に垂直になるように形成される。このように配された複数の遮断壁131は、第1ノズル120と後述する第2ノズル150との間の空間を区画する役割を行う。ここで、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置100は、遮断壁131によって、蒸着物質115が噴射されるそれぞれの第1スリット121別に蒸着空間が分離されることを一特徴とする。
【0014】
ここで、それぞれの遮断壁131は、互いに隣接している第1スリット121の間に配されうる。これは言い換えれば、互いに隣接している遮断壁131の間に一つの第1スリット121が配されるともいえる。望ましくは、第1スリット121は互いに隣接している遮断壁131の間の真ん中に位置できる。このように、遮断壁131が第1ノズル120と第2ノズル150との間の空間を区画することによって、一つの第1スリット121に排出される蒸着物質は、他の第1スリット121から排出された蒸着物質と混合されず、第2スリット151を通過して基板160に蒸着されるのである。言い換えれば、遮断壁131は、第1スリット121を通じて排出される蒸着物質が分散されないように、蒸着物質のY軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0015】
一方、前記複数の遮断壁131の外側には、遮断壁フレーム132がさらに備えられうる。遮断壁フレーム132は、複数の遮断壁131の上下面にそれぞれ備えられて、複数の遮断壁131の位置を支持すると同時に、第1スリット121を通じて排出される蒸着物質が分散されないように、蒸着物質のZ軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0016】
一方、前記遮断壁アセンブリー130は、薄膜蒸着装置100から分離自在に形成できる。さらに詳細には、従来のFMM蒸着方法は、蒸着効率が低いという問題点が存在した。ここで蒸着効率とは、蒸着源で気化した材料のうち実際に基板に蒸着された材料の比率を意味するものであって、従来のFMM蒸着方法での蒸着効率はほぼ32%ほどである。しかも、従来のFMM蒸着方法では、蒸着に使われていないほぼ68%の有機物が蒸着器内部の各所に蒸着されるため、そのリサイクルが容易でないという問題点が存在している。
【0017】
かかる問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置100では、遮断壁アセンブリー130を利用して蒸着空間を外部空間と分離したので、基板160に蒸着されていない蒸着物質は、ほとんど遮断壁アセンブリー130内に蒸着される。したがって、長時間の蒸着後、遮断壁アセンブリー130に蒸着物質が多く溜まれば、遮断壁アセンブリー130を薄膜蒸着装置100から分離した後、別途の蒸着物質リサイクル装置に入れて蒸着物質を回収できる。かかる構成を通じて、蒸着物質リサイクル率を高めることによって蒸着効率が向上し、コストダウンになる効果を得ることができる。
【0018】
一方、遮断壁アセンブリー130が第1ノズル120と一定程度離隔するように配して、蒸着源110から遮断壁アセンブリー130に熱が伝えられることによって遮断壁アセンブリー130の温度が上昇することを抑制できる。さらに、遮断壁アセンブリー130を第1ノズル120と離隔させることによって、第1ノズル120の放射熱遮断のための部材(図示せず)を容易に設置するための空間を確保することもできる。具体的に第1ノズル120の面のうち、第1スリット121周囲面の放射熱を遮断する部材を配するための空間を確保しやすい。ここで、遮断壁アセンブリー130と第1ノズル120との離隔距離は、工程条件によって所望の値に設定できる。
【0019】
蒸着源110と基板160との間には、第2ノズル150及び第2ノズルフレーム155がさらに備えられる。第2ノズルフレーム155は、窓枠組のような格子形態に形成され、その内側に第2ノズル150が結合される。そして、第2ノズル150にはY軸方向に沿って複数の第2スリット151が形成される。ここで、前記複数の第2スリット151は等間隔に形成されうる。蒸着源110内で気化した蒸着物質115は、第1ノズル120及び第2ノズル150を通過して、被蒸着体である基板160側に向かう。
【0020】
ここで、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置100は、第1スリット121の総数より第2スリット151の総数がさらに多いことを一特徴とする。また、互いに隣接している二つの遮断壁131の間に配された第1スリット121の数より、第2スリット151の数がさらに多いことを一特徴とする。
すなわち、互いに隣接している二つの遮断壁131の間には、一つまたはそれ以上の第1スリット121が配される。同時に、互いに隣接している二つの遮断壁131の間には、複数の第2スリット151が配される。そして、互いに隣接している二つの遮断壁131によって、第1ノズル120と第2ノズル150との間の空間が区画されて、それぞれの第1スリット121別に蒸着空間が分離される。したがって、一つの第1スリット121から放射された蒸着物質は、ほとんど同じ蒸着空間にある第2スリット151を通過して基板160に蒸着されるようになる。
【0021】
一方、前記第2ノズル150は、従来のFMM、特にストライプ状のマスクの製造方法と同じ方法であるエッチングを通じて製作できる。この場合、既存のFMM蒸着方法では、FMMサイズが基板サイズと同一に形成されなければならない。したがって、基板サイズが増大するほどFMMも大型化されなければならず、したがって、FMM製作が容易でなく、FMMを引っ張って精密なパターンに整列するにも容易でないという問題点があった。しかし、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置100の場合、薄膜蒸着装置100が基板160の一方向に沿って移動しつつ蒸着が行われるか、基板160を一方向に沿って移動させつつ蒸着が行われうる。例えば、薄膜蒸着装置100は、チャンバ(図示せず)内でZ軸方向に移動しつつ蒸着が行われ、または薄膜蒸着装置100はチャンバ(図示せず)内で固定されており、基板160がZ軸方向に移動しつつ蒸着が行われうる。すなわち、薄膜蒸着装置100が現在位置で蒸着を完了した場合、薄膜蒸着装置100あるいは基板160をZ軸方向に相対的に移動させて連続的に蒸着を行う。したがって、本発明の薄膜蒸着装置100では、従来のFMMに比べてはるかに小さく第2ノズル150を作ることができる。すなわち、本発明の薄膜蒸着装置100の場合、第2ノズル150のY軸方向への長さ及び第2ノズル150のZ軸方向の長さは、基板160の長さより短く形成されうる。このように、従来のFMMに比べてはるかに小さく第2ノズル150を作ることができるため、本発明の第2ノズル150はその製造が容易である。すなわち、第2ノズル150のエッチング作業や、その後の精密引張及び溶接作業、移動及び洗浄作業などのあらゆる工程で、小さなサイズの第2ノズル150がFMM蒸着方法に比べて有利である。また、これは、ディスプレイ装置が大型化するほどさらに有利になる。
【0022】
一方、前記の遮断壁アセンブリー130と第2ノズル150とは、互いに一定程度離隔して形成される。このように遮断壁アセンブリー130と第2ノズル150とを互いに離隔させる理由は、次の通りである。
【0023】
まず、第2ノズル150と第2ノズルフレーム155は、基板160に対して精密な位置とそれらの間のギャップとをもって整列されなければならないという、すなわち、高精密制御が必要な部分である。したがって、高精度が要求される部分の重さを軽くして制御を容易にするために、精度の制御が不要で重い蒸着源110、第1ノズル120及び遮断壁アセンブリー130を、第2ノズル150及び第2ノズルフレーム155から分離するのである。次いで、高温状態の蒸着源110により遮断壁アセンブリー130の温度は最大100℃以上上昇するため、上昇した遮断壁アセンブリー130の温度が第2ノズル150に伝導されないようにするために、遮断壁アセンブリー130と第2ノズル150とを分離するのである。次いで、本発明の薄膜蒸着装置100では、遮断壁アセンブリー130についた蒸着物質を主にリサイクルし、第2ノズル150についた蒸着物質はリサイクルしない。したがって、遮断壁アセンブリー130が第2ノズル150と分離されれば、蒸着物質のリサイクル作業が容易になるという効果も得ることができる。さらに、基板160全体の膜均一度を確保するために、補正板(図示せず)をさらに備えることができるが、遮断壁131が第2ノズル150と分離されれば、補正板(図示せず)を非常に設置しやすくなる。最後に、一枚の基板を蒸着して次の基板を蒸着する前の状態で、蒸着物質が第2ノズル150に蒸着されることを防止してノズルの取り替え周期を長くするためには、仕切り(図示せず)がさらに備えられうる。この時、仕切り(図示せず)は、遮断壁131と第2ノズル150との間に設置することが容易である。
【0024】
図4は、本発明の一実施形態に関する第2ノズル150と第2ノズルフレーム155との結合関係を概略的に示した図面である。
図4を参照すれば、第2ノズルフレーム155は、窓枠組のような格子形態に形成され、その内側に複数の第2スリット151が形成された第2ノズル150が結合される。ここで、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置100では、第2ノズル150と第2ノズルフレーム155とが結合する時、第2ノズルフレーム155が第2ノズル150に所定の引張力を付与できるように、第2ノズル150と第2ノズルフレーム155とが結合することを一特徴とする。
【0025】
詳細には、第2ノズル150の精度は、第2ノズル150の製作誤差と、蒸着中の第2ノズル150の熱膨張による誤差とに分けることができる。ここで、第2ノズル150の製作誤差を最小化するために、FMMをフレームに精密引張、溶接する時に使用するカウンタフォース技術を適用できる。これをさらに詳細に説明すれば、次の通りである。まず、図4に示したように、第2ノズル150に外側に向かう方向に張力を加え、第2ノズル150を外側に引っ張る。次いで、前記第2ノズル150に加えられる張力と対向する方向、すなわち、反対方向に第2ノズルフレーム155に圧縮力を加えて、第2ノズル150に加えられる外力と平衡をなすようにする。次いで、第2ノズルフレーム155に第2ノズル150のエッジを溶接するなどの方法で、第2ノズルフレーム155に第2ノズル150を結合する。最後に、第2ノズル150と第2ノズルフレーム155とに平衡をなすように作用する外力を除去すれば、第2ノズルフレーム155により第2ノズル150に引張力が加えられる。このような精密引張、圧縮、溶接技術を利用すれば、第2ノズル150の製作誤差は2μm以下に製作できる。
【0026】
一方、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置100では、第2ノズルフレーム155の温度を一定に維持させることを一特徴とする。詳細には、本発明で第2ノズル150は、高温の蒸着源110に面し続けているので、常に放射熱を受け、温度がある程度(ほぼ5〜15℃程度)上昇する。このように第2ノズル150温度が上昇すれば、第2ノズル150が膨脹してパターン精度を落とすことがある。このような問題点を解決するために、本発明ではストライプ状の第2ノズル150を使用すると同時に、第2ノズル150を引張状態に保持している第2ノズルフレーム155の温度を均一にすることで、第2ノズル150の温度上昇によるパターン誤差を防止する。
【0027】
このようにすれば、第2ノズル150の水平方向(Y軸方向)の熱膨張(パターン誤差)は第2ノズルフレーム155の温度により決定されるため、第2ノズルフレーム155の温度さえ一定であれば、第2ノズル150の温度が上がっても熱膨張によるパターン誤差問題は発生しない。一方、第2ノズル150の長手方向(Z軸方向)への熱膨張は存在するが、これはスキャン方向であるため、パターン精度とは関係ない。
【0028】
この時、第2ノズルフレーム155は真空状態で蒸着源110に直接向いていないため、放射熱を受けず、蒸着源110と連結されてもいないために、熱伝導もなくて、第2ノズルフレーム155の温度が上昇する余地はほとんどない。もし、若干(1〜3℃)の温度上昇問題があるとしても、熱遮蔽板または放熱フィンなどを使用すれば、容易に一定の温度を維持できる。これについては後述する。
【0029】
このように、第2ノズルフレーム155が第2ノズル150に所定の引張力を出させると同時に、第2ノズルフレーム155の温度を一定に維持させることによって、第2ノズル150の熱膨張問題と第2ノズル150のパターン精度問題とが分離されて、第2ノズル150のパターン精度が向上するという効果を得ることができる。すなわち、前述したように、精密引張、圧縮、溶接技術を利用すれば、第2ノズル150の製作誤差は2μm以下でありうる。また、第2ノズル150の温度上昇による熱膨張による誤差は、ストライプ状の第2ノズル150に引張力を付与し、かつ第2ノズルフレーム155の温度を一定にすることで発生しない。したがって第2ノズル150の精度は、{第2ノズル製作誤差(<2μm)+第2ノズル熱膨張誤差(〜0)<2μm}に製作できるということが分かる。
【0030】
図5Aは、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置100で、蒸着物質115が蒸着されている状態を概略的に示す図面であり、図5Bは、図5Aのように遮断壁131により蒸着空間が分離された状態で発生する陰影(shadow)を示す図面であり、図5Cは、蒸着空間が分離されていない状態で発生する陰影を示す図面である。
【0031】
図5Aを参照すれば、蒸着源110で気化した蒸着物質は、第1ノズル120及び第2ノズル150を通過して基板160に蒸着される。この時、第1ノズル120と第2ノズル150との間の空間は、遮断壁131によって区画されているので、第1ノズル120のそれぞれの第1スリット121から出た蒸着物質は、遮断壁131によって、他の第1スリットから出る蒸着物質と混合されない。
【0032】
第1ノズル120と第2ノズル150との間の空間が遮断壁131によって区画されている場合、図5A及び図5Bに示したように、基板160に生成される陰影領域の幅SHは、次の数式1によって決定される。
【0033】
[数1]
SH=s*d/h
(s=第2ノズルと基板との距離、d=蒸着源開口部の幅、h=蒸着源と第2ノズルとの距離)
【0034】
一方、第1ノズルと第2ノズルとの間の空間が遮断壁131によって区画されていない場合、図5Cに示したように、蒸着物質は、図5Bより広い範囲の多様な角度で第2ノズルを通過する。すなわち、この場合、第2スリット151の直向いにある第1スリットから放射された蒸着物質だけではなく、他の第1スリットから放射された蒸着物質まで第2スリット151を通じて基板160に蒸着されるので、基板160に形成された陰影領域SHの幅は遮断壁を備えた場合に比べてはるかに大きくなる。この時、基板160に生成される陰影領域の幅SHは、次の数式2によって決定される。
【0035】
[数2]
SH=s*2d/h
(s=第2ノズルと基板との距離、d=隣接した第1スリット間の間隔、h=蒸着源と第2ノズルとの距離)
【0036】
前記数式1と数式2とを比較した時、d(第1スリットの幅)よりd(隣接した遮断壁間の間隔)が数〜数十倍以上非常に大きく形成されるので、第1ノズル120と第2ノズル150との間の空間が、遮断壁131によって区画されている場合、陰影がはるかに小さく形成されることが分かる。ここで、基板160に生成される陰影領域の幅SHを狭めるためには、(1)遮断壁131が設置される間隔を狭めるか(d減少)、(2)第2ノズル150と基板160との間の間隔を狭めるか(s減少)、(3)蒸着源110と第2ノズル150との距離を増加させなければならない(h増加)。
【0037】
このように、遮断壁131を備えることによって、基板160に生成される陰影が小さくなり、したがって、第2ノズル150を基板160から離隔させることができる。
【0038】
詳細には、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置100では、第2ノズル150は基板160から一定程度離隔して形成される。言い換えれば、従来のFMM蒸着方法では、基板に陰影が生じないようにするために、基板にマスクを密着させて蒸着工程を進めた。しかし、このように基板にマスクを密着させる場合、基板とマスクとの接触による不良問題が発生するという問題点が存在した。このような問題点を解決するために、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置100では、第2ノズル150が被蒸着体である基板160と所定間隔をおいて離隔して配されるようにする。これは、遮断壁131を備えて、基板160に生成される陰影が小さくなることによって実現可能になる。
【0039】
このような本発明によって、基板とマスクとの接触による不良を防止する効果を得ることができる。また、工程で基板とマスクとを密着させる時間が不要になるため、製造速度が向上する効果を得ることができる。
図6は、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置に、冷却部材などがさらに備えられている態様を示す図面である。
【0040】
前述したように、遮断壁アセンブリー130にはそれぞれ冷却部材がさらに備えられうる。詳細には、遮断壁アセンブリー130は、蒸着源110より非常に低い温度を維持しなければならない。したがって、遮断壁アセンブリー130を冷却させるための冷却部材がさらに備えられうる。冷却部材の一例として、遮断壁フレーム132には冷却フィン133が備えられうる。冷却フィン133は、遮断壁フレーム132の外周面から突設されて、遮断壁アセンブリー130の熱を放射冷却させる役割を行うことができる。または、図面には図示されていないが、遮断壁アセンブリー130にパイプなどを設置し、パイプを通じて冷媒を流動させる水冷方法も活用できる。
一方、第2ノズルフレーム155にも放熱フィン153がさらに備えられうる。また、蒸着源110と第2ノズルフレーム155との間には熱遮蔽板190がさらに備えられうる。
【0041】
詳細には、第2ノズルフレーム155は、真空状態で蒸着源110に直接向いていないため、放射熱を受けず、蒸着源110とも連結されていないため、熱伝導もなくて、第2ノズルフレーム155の温度が上昇する余地はほとんどない。但し、若干(1〜3℃)の温度上昇が発生しうる余地は存在するので、このような温度上昇を未然に防止するために、放熱フィン153をさらに備えることによって、第2ノズルフレーム155の温度を一定に維持させることができる。放熱フィン153は、第2ノズルフレーム155の外周面から突設されて、第2ノズルフレーム155の熱を放射冷却させる役割を行える。または、蒸着源110と第2ノズルフレーム155との間に熱遮蔽板190を備えて、蒸着源110から第2ノズルフレーム155に放射される熱を遮断することによって、第2ノズルフレーム155の温度を一定に維持することもできる。
【0042】
図7は、本発明の他の一実施形態による薄膜蒸着装置を概略的に示す斜視図である。図7を参照すれば、本発明の他の一実施形態による薄膜蒸着装置700は、蒸着源110、第1ノズル120、遮断壁アセンブリー130、第2ノズル150及び基板160を備える。また、本発明の他の一実施形態による薄膜蒸着装置700は補正板190をさらに備える。すなわち、本実施形態では、基板全体の膜均一度を確保するための補正板190をさらに備えるという点で、前述した第1実施形態と区別される。
以下では、基板全体の膜均一度を確保するための補正板190について詳細に説明する。
【0043】
図8は、図7の薄膜蒸着装置700により基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。ここで、図8は、それぞれの開口部(すなわち、第1スリット)から放出される有機物の放射量や放射係数がいずれも同じ場合を示す。図8で、Sは、それぞれの蒸着空間を意味し、dは、互いに隣接した遮断壁の距離を意味する。
図8には、補正板190を備えていない薄膜蒸着装置によって蒸着された蒸着膜の分布形態が線Aで図示されており、補正板190を備えた薄膜蒸着装置によって蒸着された蒸着膜の分布形態が線Bで図示されている。
【0044】
図8に示したように、真空での有機物放射はコサイン法則によって、第1スリット121に垂直する部分、すなわち、各蒸着空間Sの中心部分に最も多くの有機物が放射され、遮断壁131側へ近付くほど放射される有機物の量が減少する。したがって、補正板を備えていない薄膜蒸着装置によって蒸着された蒸着膜は、図8の線Aのような形態で形成される。すなわち、それぞれの蒸着空間Sのみを分離して見れば、中央部分が凸状になるように蒸着膜が形成され、全体的に見た時は凸部分と凹部分とが繰り返される形態で蒸着膜が形成される。
この場合、各蒸着空間Sの中心部からの距離と蒸着された膜の厚さとの関係は実験を通じて容易に導出することができ、大部分の場合、cos(θ)の関数で表現できる。
【0045】
前述したような各蒸着空間S内で発生する蒸着膜厚の不均一現象を除去するために、図7に示したような補正板190が備えられうる。補正板190は、互いに隣接している遮断壁131の間に、ほぼ円弧またはコサイン曲線形状に反復的に配される。これらの補正板190は、第1スリット121から第2スリット151側へ移動する蒸着物質のうち一部を遮断する役割を行う。
【0046】
詳細に、薄膜蒸着装置によって蒸着される蒸着膜は中央部分が凸状になっているため、これを均一にするためには、中央部分に向かう蒸着物質のうち一部を遮断しなければならない。したがって、補正板190を蒸着物質の移動経路の中間に配して蒸着物質のうち一部を遮断する。この時、補正板190は円弧ないしコサイン曲線形状に形成されるため、相対的に突出形成された中央部分には蒸着物質が多く衝突して蒸着物質をさらに多く遮断し、エッジ部分には蒸着物質が少なく衝突して蒸着物質をさらに少なく遮断するようになる。この場合、蒸着空間S内で膜厚の最も薄い部分、一般的には蒸着空間Sの両端部分の膜厚が全体膜厚になるように補正板190を形成できる。
このように、蒸着物質の移動経路に補正板を配することによって、薄膜蒸着装置によって蒸着された蒸着膜が、図8の線Bのような形態に補正されうる。すなわち、蒸着物質が多く蒸着される部分は、補正板の高さを大きくして蒸着物質を多く遮断し、蒸着物質が少なく蒸着される部分は、補正板の高さを小さくして蒸着物質を少なく遮断することによって、全体的な蒸着物質の厚さが均一になるように蒸着量を補正することである。
【0047】
本発明によって、基板に蒸着された薄膜の均一度が1〜2%誤差範囲以内に均一に形成されることによって、製品品質及び信頼性が向上する効果を得ることができる。
図9は、図7の薄膜蒸着装置により基板に蒸着された蒸着膜の分布形態を概略的に示す図面である。ここで、図9は、それぞれの開口部(すなわち、第1スリット)から放出される有機物放射量や放射係数が互いに異なる場合を示す図面である。図9で、Sは、それぞれの蒸着空間を意味し、dは、互いに隣接した遮断壁間の距離を意味する。
【0048】
図9には、補正板190を備えていない薄膜蒸着装置によって蒸着された蒸着膜の分布形態が、線Cで図示されており、補正板190を備えた薄膜蒸着装置によって蒸着された蒸着膜の分布形態が、線Dで図示されている。
図9に示したように、真空での有機物放射は、コサイン法則によって第1スリット121に垂直する部分、すなわち、各蒸着空間Sの中心部分に最も多くの有機物が放射され、遮断壁131側へ近付くほど放射される有機物の量が減少する。ところが、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置のように、蒸着物質が放射される第1スリットが多く存在する場合、現実的に蒸着源110の内部温度が一定でなく、蒸着源110の中央部分とエッジ部分との幾何学的条件が異なるため、第1スリットごとに有機物放射量や放射係数が異なる。したがって、この場合、薄膜蒸着装置によって蒸着された蒸着膜は、図9の線Cのような形態で形成される。すなわち、各蒸着空間S内では中央部分が凸状になっており、全体的に見た時には、各蒸着空間Sの最大膜厚が蒸着空間Sごとに異なる。
【0049】
この場合、それぞれの蒸着空間Sの中心部からの距離と蒸着された膜の厚さとの関係は、実験を通じて容易に導出することができ、ほとんどの場合、cos(θ)の関数で表現できる。
【0050】
ここで、図9が図8と異なる点は、蒸着膜の最大厚さが各蒸着空間Sごとに異なるため、補正板190も各蒸着空間Sごとに異なって形成されるという点である。すなわち、図9の最左側の蒸着空間Sのように最大膜厚が相対的に厚い蒸着空間Sの場合、補正板190のサイズを大きくして蒸着物質を相対的に多く衝突させることによって、蒸着物質をさらに多く遮断するようにする。一方、図9の最右側の蒸着空間Sのように最大膜厚が相対的に薄い蒸着空間Sの場合、補正板190のサイズを小さくして蒸着物質を相対的に少なく衝突させることによって、蒸着物質を少なく遮断するようにする。この場合、膜厚の最も薄い蒸着空間Sの最小膜厚が全体膜厚になるように補正板190を形成できる。
【0051】
このように、蒸着物質の移動経路に補正板を配することによって、薄膜蒸着装置によって蒸着された蒸着膜が、図9の線Dのような形態に補正されうる。すなわち、補正板が各蒸着空間S内での膜厚を均一に調節するだけではなく、基板上に蒸着された蒸着膜の全体的な膜厚を均一に調節する役割まで行うことである。
【0052】
本発明によって基板に蒸着された薄膜の均一度が1〜2%誤差範囲以内に均一に形成されることによって、製品品質及び信頼性が向上する効果を得ることができる。
【0053】
図10は、図7の実施形態の一変形例に関する薄膜蒸着装置700’を概略的に示す図面である。本実施形態の一変形例は、他の部分は変形以前の実施形態と同一であり、補正板190’の構成が特徴的に変わる。したがって、本変形例では、変形以前の実施形態と同じ引用符号を使用する構成要素については、その詳細な説明を省略する。
【0054】
図10を参照すれば、本実施形態の一変形例に関する薄膜蒸着装置700’は、蒸着源110、第1ノズル120、遮断壁アセンブリー130、第2ノズル150及び基板160を備える。また、薄膜蒸着装置700’は補正板190’をさらに備える。
ここで、本実施形態の一変形例では、補正板190’が遮断壁アセンブリー130の下端部ではなく中央部に形成されていることを一特徴とする。また、補正板190’の形状は、円弧ないしコサイン曲線を上下に結合させた形態で形成されうる。それ以外にも、図面には図示されていないが、補正板190’は、第1遮断壁アセンブリーだけではなく、後述する第2遮断壁アセンブリー側にも形成され、その形成位置も、遮断壁アセンブリーの下端部、中央部及び上端部に多様に形成できる。また、その形状も基板全体の膜均一度を確保できる形状ならば、円弧、コサイン曲線及びこれを上下に結合させた形状だけではなく、多様な形状に形成されうる。
図11は、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置1100を概略的に図示した平面図であり、図12は、図11の蒸着装置をYZ平面でX軸方向に向けて眺めた断面図である。
【0055】
図11及び図12を参照すれば、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置は蒸着源110、第1ノズル120、遮断壁アセンブリー130、第2ノズル150及び基板160を備える。本実施形態では、複数の遮断壁131がそれぞれ傾いて配されるという点で、前述した第1実施形態と区別される。
詳細に、前記複数の遮断壁131はY軸方向に傾いて配されうる。ここで、Aは、第2スリット151の方向を意味し、A方向は、Z軸方向でありうる。また、A方向は、蒸着装置100の移動方向でありうる。Bは、第2スリット151が配列された一方向である。B方向は、Y軸方向でありうる。
遮断壁131は、それぞれA方向に対して所定の角度θ1で傾いて配されうる。前記 所定の角度θ1は鋭角であり、例えば、前記所定の角度θ1はほぼ1゜ないしほぼ10゜でありうる。
【0056】
他の側面から見れば、遮断壁131は、それぞれB方向に対し所定の角度θ2で傾いて配されうる。すなわち、遮断壁131は、B方向と直交しないように配されうる。前記所定の角度θ2は鋭角であり、例えば、前記所定の角度θ2は、ほぼ80゜ないしほぼ89゜でありうる。
前述したように遮断壁131が傾いて配された場合、基板160に蒸着される薄膜の厚さ均一度が向上しうる。
【0057】
図13は、図11の薄膜蒸着装置1100により蒸着された薄膜の厚さ均一度を示す図面である。
図13の(a)は、遮断壁131が、第2スリット151が配列された方向、すなわち、Y軸方向と垂直の方向と一致する場合、蒸着された薄膜の均一度を示す。詳細には、隣接する遮断壁131により区画された領域を通じて蒸着された薄膜の厚さ均一度を示す。図13の(a)を参照すれば、第1スリット121に垂直に対応する第2スリット151を通過して蒸着された薄膜の厚さ157aは、その周辺で蒸着された薄膜の厚さよりさらに厚い。しかし、遮断壁131により区画された領域の外郭部に形成された薄膜の厚さ157b、157cは、その周辺に蒸着された薄膜の厚さより厚い。その理由は、隣接する第1スリットから放出された蒸着物質が混合されて蒸着されるためである。したがって、隣接する遮断壁131により区画された領域を通じて蒸着された薄膜の厚さは、図13の(a)のように示され、前記厚さ分布が反復的に示される。
【0058】
しかし、本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置1100によれば、本発明の一実施形態による薄膜蒸着装置1100は、前述したように遮断壁131が傾いて配されるので、蒸着装置100または基板160が一方向(例えば、Z軸方向)に移動しつつ薄膜を蒸着すれば、図13の(b)に示したように薄膜157a、157b、157c、157c、157d、157e、157fが互いに重なって、最終的には、図13の(c)に示したように、隣接する遮断壁131により区画された領域を通じる薄膜158の厚さ分布は均一になる。
【0059】
このように本実施形態は、薄膜の厚さ均一度のために別途の補正板を備えず、遮断壁131の傾斜だけで薄膜の厚さを均一にすることができるので、蒸着装置1100の製造工程を単純化してコストダウンできる。また、薄膜厚の均一度のための別途の補正板は、蒸着物質の蒸着を妨害する方式で薄膜の均一度を維持するところ、蒸着率が低下するという問題点があるが、本発明は前記補正板を除去して遮断壁131の傾斜だけで薄膜の均一度を維持するので、蒸着物質の蒸着率を向上させることができる。
図14は、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置1400を概略的に示した斜視図であり、図15は、図14の薄膜蒸着装置の概略的な側面図であり、図16は、図14の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【0060】
図14ないし図16を参照すれば、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置1400は、蒸着源110、第1ノズル120、遮断壁アセンブリー130、第2ノズル150及び基板160を備える。また、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置1400は、放熱部材180をさらに備えるという点で、前述した第1実施形態と区別される。
【0061】
詳細には、遮断壁131には放熱部材180が配されうる。放熱部材180は、遮断壁131の熱を放熱させることができる。放熱部材180は、遮断壁131を所定の温度に維持し、遮断壁131の放射熱を減少させて第2ノズル150の温度を低下させることができる。放熱部材180は、図14ないし16に示したように、遮断壁131の外部面上に接するように配されうる。放熱部材180は、遮断壁131の一面のみに配され、また遮断壁131の両面に配されうる。放熱部材180は冷却パイプでありうる。放熱部材180は、Z軸方向と平行に配されうる。
【0062】
図17は、図14の遮断壁131の一変形例を備える薄膜蒸着装置1400の平面図である。図17を参照すれば、遮断壁131は、内部に空洞131aを備えることができる。遮断壁131の内部には放熱部材180が配されうる。放熱部材180は、遮断壁131の内部面に接するように配されうる。放熱部材180が遮断壁131の内部面に配される場合、遮断壁アセンブリー130の内部に吸着された蒸着物質を回収して遮断壁アセンブリー130の内部を洗浄するのに有利である。図面には図示されていないが、放熱部材180は、遮断壁131の外部面に配され、また外部面と内部面とにいずれも配されることもある。
【0063】
図18は、図14の遮断壁131のさらに他の変形例を備える薄膜蒸着装置1400の平面図である。図18を参照すれば、遮断壁131は、第2ノズル150に向けてテーパード(tapered)形状を持つことができる。遮断壁131は、内部に空洞131aを備えることができる。遮断壁131の内部には、放熱部材180が配されうる。放熱部材180は、遮断壁131の内部面に接するように配されうる。図面には図示されていないが、放熱部材180は遮断壁131の外部面に配され、また外部面と内部面とにいずれも配されることもある。
【0064】
図19は、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置1900を概略的に示した斜視図であり、図20は、図19の薄膜蒸着装置の概略的な側面図であり、図21は、図19の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
図19、図20及び図21を参照すれば、本発明のさらに他の実施形態に関する薄膜蒸着装置1900は、第1蒸着源111’、第2蒸着源116、第1ノズル120、遮断壁アセンブリー130、第2ノズル150及び基板160を備える。本実施形態では、第1蒸着源111’、第2蒸着源116の二つの蒸着源が平行に配されるという点で、前述した第1実施形態と区別される。
【0065】
詳細に、チャンバ内で基板160と対向する側には、蒸着物質が収納及び加熱される第1蒸着源111’及び第2蒸着源116が配される。第1蒸着源111’及び第2蒸着源116内に収納されている蒸着物質が気化されることによって、基板160に蒸着される。詳細に、第1蒸着源111’は、その内部にホスト物質114が充填される坩堝112’と、坩堝112’を加熱させて坩堝112’の内部に充填されたホスト物質114を坩堝112’の一側、詳細には、第1ノズル120側へ蒸発させるためのヒーター113とを備える。一方、第2蒸着源116は、その内部にドーパント物質119が充填される坩堝117と、坩堝117を加熱させて坩堝117の内部に充填されたドーパント物質119を坩堝117の一側、詳細には、第1ノズル120側へ蒸発させるためのヒーター118とを備える。
【0066】
ここで、本発明のさらに他の一実施形態に関する薄膜蒸着装置1900は、ホスト物質114を蒸着する第1蒸着源111’と、ドーパント物質119を蒸着する第2蒸着源116とを備えて、基板160上にホスト物質114とドーパント物質119とを同時に蒸着させることを一特徴とする。
【0067】
第1蒸着源111’及び第2蒸着源116の一側、詳細には、第1蒸着源111’及び第2蒸着源116から基板160に向かう側には、第1ノズル120がそれぞれ配される。そして、それぞれの第1ノズル120には、Y軸方向に沿って複数の第1スリット121が形成される。ここで、前記複数の第1スリット121は等間隔で形成できる。そして、第1蒸着源111’内で気化したホスト物質114と、第2蒸着源116内で気化したドーパント物質119とは、それぞれの第1ノズル120を通過して被蒸着体である基板160側に向かう。
【0068】
一方、上下二つの第1ノズル120間には、第1蒸着源111’内で気化したホスト物質114と、第2蒸着源116内で気化したドーパント物質119とが混合されることを一定程度制限する分離部材125が配される。
【0069】
図面には、第1ノズル120が二つ備えられて第1蒸着源111’側と第2蒸着源116側とにそれぞれ配され、二つの第1ノズル120間に分離部材125が配されていると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されるものではない。すなわち、一つの第1ノズル120に2列(row)の第1スリット121がそれぞれ形成され、その一側に分離部材125が結合されるなど、多様な形態の第1ノズル120を想定できる。
【0070】
また、図面には、遮断壁131が第1蒸着源111’側と第2蒸着源116側との2部分に分離されて形成され、2部分の遮断壁131の間に分離部材125が配されていると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されるものではない。すなわち、遮断壁131それぞれは一体に形成され、その中間に分離部材125が挿入される溝が形成されるなど、多様な形態の遮断壁131を想定できる。
【0071】
以下では、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置1900の第1蒸着源及び第2蒸着源の構成について詳細に説明する。
前述したように、本発明のさらに他の一実施形態に関する薄膜蒸着装置1900は、ホスト物質114を蒸着する第1蒸着源111’とドーパント物質119を蒸着する第2蒸着源116とを備えて、基板160上にホスト物質114とドーパント物質119とを同時に蒸着させることを一特徴とする。すなわち、ホスト物質114とドーパント物質119との昇華温度が互いに異なるため、ホスト物質114とドーパント物質119とを同時に蒸着するために、蒸着源及び第1ノズルを複数で構成するのである。この場合、ホスト物質114を気化させる第1蒸着源111’と、ドーパント物質119を気化させる第2蒸着源116との間には断熱処理を行って、昇華温度の低い蒸着源が昇華温度の高い蒸着源によって加熱されることを防止しなければならない。
【0072】
図22は、図19の薄膜蒸着装置1900による薄膜製造工程を示す図面であり、図23は、図22の薄膜製造工程によって基板上に形成された薄膜を示す図面である。
図22及び図23を参照すれば、ホスト物質114を蒸着する第1蒸着源111’と、ドーパント物質119を蒸着する第2蒸着源116とを備える薄膜蒸着装置1900全体が、基板に対してZ軸に沿って矢印A方向に移動しつつ蒸着が行われる。もちろん、図面には、薄膜蒸着装置100が移動すると図示されているが、薄膜蒸着装置1900は固定されていて基板160が移動することも可能である。
【0073】
前記第1蒸着源111’は、所定角度を持つ扇形の第1放出領域C1を持つようにホスト物質を放出して、基板160にホスト物質を蒸着する。第2蒸着源116も、所定角度を持つ扇形の第2放出領域C2を持つように第2蒸着物質を放出して基板160にドーパント物質を蒸着する。この時、第1放出領域C1と第2放出領域C2とは、互いに一定区間で重畳させることによって、基板160には、ホスト物質のみ蒸着されるホスト蒸着領域H、ホスト物質とドーパント物質とが混合して蒸着される重畳領域M及びドーパント物質のみ蒸着されるドーパント蒸着領域Dが形成される。
【0074】
この時、前記重畳領域Mの幅は、制限部材125の高さhによって決定される。すなわち、制限部材125の高さhが大きくなれば、重畳領域Mの幅は小さくなり、制限部材125の高さhが小さくなれば、重畳領域Mの幅は大きくなる。すなわち、制限部材125の高さを調節することによって、重畳領域Mの幅を調節できることである。
【0075】
前述したように、本発明では、ホスト物質114を蒸着する第1蒸着源111’と、ドーパント物質119を蒸着する第2蒸着源116とを備える薄膜蒸着装置1900全体が、基板に対してZ軸に沿って矢印A方向に移動しつつ蒸着が行われる。この時、蒸着源111’、116は、基板160の最上端の外側から蒸着を行い、これにより基板160にはその上端部から、ホスト蒸着領域H、重畳領域M及びドーパント蒸着領域Dの順に蒸着が行われる。
【0076】
したがって、基板160上には、まずホスト蒸着領域Hによってホスト物質のみで備えられた第1薄膜161が成膜される。次いで、基板160の同じところを重畳領域Mが過ぎるので、第1薄膜161の上部にはホスト物質とドーパント物質との混合層で備えられた第2薄膜162が成膜される。次いで、基板160の同じところをドーパント蒸着領域Dが過ぎるので、第2薄膜162の上部にはドーパント物質のみで備えられた第3薄膜163が成膜される。
【0077】
このような順次的な第1薄膜161、第2薄膜162及び第3薄膜163の積層は、図22から見た時、最上端から最下端に1回蒸着源が移動することによって同時に行われうる。したがって、工程がさらに簡単かつ速くなり、単一チャンバ内で第1薄膜161、第2薄膜162及び第3薄膜163を同時に蒸着するとしても、工程がほぼ同時に行われるため、第1薄膜161の成膜と第2薄膜162の成膜と第3薄膜163の成膜との間のチャンバ内は、排気する必要はない。
【0078】
前記のような第1薄膜161、第2薄膜162及び第3薄膜163の厚さは、ホスト蒸着領域H、重畳領域M及びドーパント蒸着領域Dの面積により決定できる。したがって、これらは制限部材125の高さにより決定される。
一方、図23には、第1薄膜H、第2薄膜M及び第3薄膜Dが順次積層されている構造に図示されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、第3薄膜D、第2薄膜M及び第1薄膜Hが順次積層されている構造も可能であるといえる。
【0079】
ここで、前記ホスト物質には、トリス(8−ヒドロキシ−キノリナト)アルミニウム(Alq3)、9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(AND)、3−Tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(TBADN)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−4,4’−ジメチルフェニル(DPVBi)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−4,4’−ジメチルフェニル(p−DMDPVBi)、Tert(9,9−ジアリールフルオレン)(TDAF)、2−(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレン(BSDF)、2,7−ビス(9,9’−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレン(TSDF)、ビス(9,9−ジアリールフルオレン)(BDAF)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−4,4’−ジ−(tert−ブチル)フェニル(p−TDPVBi)、1,3−ビス(カルバゾル−9−イル)ベンゼン(mCP)、1,3,5−トリス(カルバゾル−9−イル)ベンゼン(tCP)、4,4’,4”−トリス(カルバゾル−9−イル)トリフェニルアミン(TcTa)、4,4’−ビス(カルバゾル−9−イル)ビフェニル(CBP)、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−2,2’−ジメチル−ビフェニル(CBDP)、4,4’−ビス(カルバゾル−9−イル)−9,9−ジメチル−フルオレン(DMFL−CBP)、4,4’−ビス(カルバゾル−9−イル)−9,9−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾル)フルオレン(FL−4CBP)、4,4’−ビス(カルバゾル−9−イル)−9,9−ジ−トリル−フルオレン(DPFL−CBP)、9,9−ビス(9−フェニル−9H−カルバゾル)フルオレン(FL−2CBP)などが使われうる。
【0080】
前記ドーパント物質には、DPAVBi(4,4’−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル)、ADN(9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン)、TBADN(3−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン)などが使われうる。

【化1】

ホスト物質とドーパント物質との混合層で備えられた第2薄膜162の場合、ホスト物質とドーパント物質とを二つの蒸着源により同時に蒸着させて混合物として形成する。この時、ドーパントの含有量は薄膜形成材料によって可変的であるが、一般的に薄膜形成材料(ホストとドーパントとの総重量)100重量部を基準として3ないし20重量部であることが望ましい。もし、ドーパントの含有量が前記範囲を外れれば、有機発光素子の発光特性が低下しうる。
【0081】
このように、一般的にホスト物質とドーパント物質との混合物として構成する薄膜層の上下に、ホスト物質のみからなる薄膜層とドーパント物質のみからなる薄膜層とを配する場合、色座標、光効率、駆動電圧、寿命いずれも向上した特性を示すことができる。
【0082】
図24は、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置2400を概略的に示した斜視図であり、図25は、図24の薄膜蒸着装置の概略的な側面図であり、図26は、図24の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
【0083】
図24、図25及び図26を参照すれば、本発明のさらに他の実施形態に関する薄膜蒸着装置2400は、蒸着源110、第1ノズル120、第1遮断壁アセンブリー130、第2遮断壁アセンブリー140、第2ノズル150及び基板160を備える。本実施形態では、第1遮断壁アセンブリー130と第2遮断壁アセンブリー140との二つの遮断壁アセンブリーが平行に配されるという点で、前述した第1実施形態と区別される。
【0084】
ここで、図24ないし図26には、説明の便宜のためにチャンバを図示していないが、図24ないし図26のあらゆる構成は、適宜な真空度が維持されるチャンバ内に配されることが望ましい。これは蒸着物質の直進性を確保するためである。
これらのチャンバ(図示せず)内には被蒸着体である基板160が配される。そして、チャンバ(図示せず)内で基板160と対向する側には、蒸着物質115が収納及び加熱される蒸着源110が配される。蒸着源110は坩堝111と、ヒーター112とを備える。
【0085】
蒸着源110の一側、詳細には蒸着源110から基板160に向かう側には第1ノズル120が配される。そして、第1ノズル120には、Y軸方向に沿って複数の第1スリット121が形成される。
【0086】
第1ノズル120の一側には、第1遮断壁アセンブリー130が備えられる。前記第1遮断壁アセンブリー130は、複数の第1遮断壁131と、第1遮断壁131の外側に備えられる第1遮断壁フレーム132とを備える。
第1遮断壁アセンブリー130の一側には、第2遮断壁アセンブリー140が備えられる。前記第2遮断壁アセンブリー140は、複数の第2遮断壁141と、第2遮断壁141の外側に備えられる第2遮断壁フレーム142とを備える。
【0087】
そして、蒸着源110と基板160との間には、第2ノズル150及び第2ノズルフレーム155がさらに備えられる。第2ノズルフレーム155は、ほぼ窓枠のような格子状に形成され、その内側に第2ノズル150が結合される。そして、第2ノズル150には、Y軸方向に沿って複数の第2スリット151が形成される。
【0088】
ここで、本実施形態に関する薄膜蒸着装置2400は、遮断壁アセンブリーが第1遮断壁アセンブリー130と第2遮断壁アセンブリー140とに分離されていることを一特徴とする。
【0089】
詳細に、前記複数の第1遮断壁131は、Y軸方向に沿って互いに平行に備えられうる。そして、前記複数の第1遮断壁131は等間隔で形成できる。また、それぞれの第1遮断壁131は、図面から見た時、XZ平面と平行に、言い換えれば、Y軸方向に垂直になるように形成される。
【0090】
また、前記複数の第2遮断壁141は、Y軸方向に沿って互いに平行に備えられうる。そして、前記複数の第2遮断壁141は等間隔で形成できる。また、それぞれの第2遮断壁141は、図面から見た時、XZ平面と平行に、言い換えれば、Y軸方向に垂直になるように形成される。
【0091】
このように配された複数の第1遮断壁131及び第2遮断壁141は、第1ノズル120と第2ノズル150との間の空間を区画する役割を行う。ここで、本実施形態に関する薄膜蒸着装置2400は、前記第1遮断壁131及び第2遮断壁141によって、蒸着物質が噴射されるそれぞれの第1スリット121別に蒸着空間が分離されることを一特徴とする。
【0092】
ここで、それぞれの第2遮断壁141は、それぞれの第1遮断壁131と一対一対応するように配されうる。言い換えれば、それぞれの第2遮断壁141は、それぞれの第1遮断壁131と整列(align)されて互いに平行に配されうる。すなわち、互いに対応する第1遮断壁131と第2遮断壁141とは、互いに同じ平面上に位置するのである。このように、互いに平行に配された第1遮断壁131と第2遮断壁141とによって、第1ノズル120と第2ノズル150との間の空間が区画されることによって、一つの第1スリット121から排出される蒸着物質は、他の第1スリット121から排出された蒸着物質と混合されず、第2スリット151を通過して基板160に蒸着されるのである。言い換えれば、第1遮断壁131及び第2遮断壁141は、第1スリット121を通じて排出される蒸着物質が分散されないように蒸着物質のY軸方向の移動経路をガイドする役割を行う。
【0093】
図面には、第1遮断壁131のY軸方向の厚さと第2遮断壁141のY軸方向の厚さとが同一であると図示されているが、本発明の思想はこれに制限されるものではない。すなわち、第2ノズル150との精密な整列が要求される第2遮断壁141は相対的に薄く形成される一方、精密な整列が要求されない第1遮断壁131は相対的に厚く形成されて、その製造を容易にすることも可能であるといえる。
【0094】
一方、本発明の一実施形態に関する薄膜蒸着装置2400は、第1遮断壁アセンブリー130と第2遮断壁アセンブリー140とが互いに一定程度離隔して形成されることを一特徴とする。このように第1遮断壁アセンブリー130と第2遮断壁アセンブリー140とを互いに離隔させる理由は、次の通りである。
【0095】
まず、第2遮断壁141と第2ノズル150とは、互いに精密に整列されなければならない一方、第1遮断壁131と第2遮断壁141とは必ずしも高い精度を必要としない。したがって、高精密制御が必要な部分とそうでない部分とを分離することによって、高精密制御作業が容易になりうる。
【0096】
また、第2遮断壁141と第2ノズル150とは、基板160に対して精密な位置とギャップとをもって整列されなければならない、すなわち、高精密制御が必要な部分である。したがって、高精度が要求される部分の重さを軽くして制御を容易にするために、精度の制御が不要で重い蒸着源110、第1ノズル120及び第1遮断壁アセンブリー130を、第2遮断壁アセンブリー140及び第2ノズル150から分離するのである。
【0097】
次いで、高温状態の蒸着源110により第1遮断壁アセンブリー130の温度は最大100℃以上上昇するため、上昇した第1遮断壁アセンブリー130の温度が第2遮断壁アセンブリー140及び第2ノズル150に伝導されないようにするために、第1遮断壁アセンブリー130と第2遮断壁アセンブリー140とを分離するのである。
次いで、チャンバ(図示せず)内で第2ノズル150を分離する場合、第2ノズル150と第2遮断壁アセンブリー140とを共に分離することが、第2ノズル150のみ分離することより容易である。したがって、第2遮断壁アセンブリー140を第2ノズル150と共にチャンバから分離するためには、第1遮断壁アセンブリー130と第2遮断壁アセンブリー140とが互いに離隔することが望ましい。
【0098】
次いで、本発明の薄膜蒸着装置2400では、第1遮断壁アセンブリー130についた蒸着物質を主にリサイクルし、第2遮断壁アセンブリー140及び第2ノズル150についた蒸着物質はリサイクルしない。したがって、第1遮断壁アセンブリー130が第2遮断壁アセンブリー140及び第2ノズル150と分離されれば、蒸着物質のリサイクル作業が容易になるという効果も得ることができる。
【0099】
さらに、基板160全体の膜均一度を確保するために、補正板(図示せず)をさらに備えることができるが、第1遮断壁アセンブリー130が第2遮断壁アセンブリー140と分離されれば、非常に補正板(図示せず)を設置しやすくなる。
最後に、一枚の基板を蒸着して次の基板を蒸着する前の状態で、蒸着物質が第2ノズル150に蒸着されることを防止してノズルの取り替え周期を長くするためには、仕切り(図示せず)がさらに備えられうる。この時、仕切り(図示せず)は、第1遮断壁131と第2遮断壁141との間に設置することが容易であり、このために、第1遮断壁アセンブリー130と第2遮断壁アセンブリー140とが互いに離隔することが有利である。
【0100】
図27は、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置2700を概略的に示した斜視図であり、図28は、図27の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
図27及び図28を参照すれば、本発明のさらに他の実施形態に関する薄膜蒸着装置2700は、蒸着源110、第1ノズル120、第1遮断壁アセンブリー130、第2遮断壁アセンブリー140、第2ノズル150及び基板160を備える。本実施形態では、第1遮断壁131の厚さが第2遮断壁141の厚さより大きく形成されるという点で、前述した実施形態と区別される。
【0101】
図28を参照すれば、第1遮断壁131の厚さt1は第2遮断壁141の厚さt2より大きく形成されうる。詳細には、第1遮断壁のY軸方向への幅t1が、第2遮断壁141のY軸方向への幅t2より大きく形成されうる。すなわち、第2ノズル150との精密な整列が要求される第2遮断壁141は相対的に薄く形成される一方、精密な整列が要求されない第1遮断壁131は相対的に厚く形成されて、その製造を容易にすることもできるといえる。第1遮断壁131の厚さt1を第2遮断壁141の厚さt2より大きく形成することによって、第1遮断壁131と第2遮断壁141との間の整列を容易に行える。
【0102】
第2遮断壁141の厚さt2は、互いに隣接した二つの第2スリット151a、151b間の間隔151cより小さく形成されうる。すなわち、第2遮断壁141のY軸方向への幅t2は、互いに隣接した二つの第2スリット151a、151b間の間隔151cより小さく形成されうる。第2遮断壁141それぞれは、互いに隣接する二つの第2スリット151a、151bの間に配されうる。望ましくは、第2遮断壁141それぞれは、互いに隣接する二つの第2スリット151a、151b間の間隔151cの中央に配されうる。第2スリットは、蒸着パターンと一対一に対応するので、第2遮断壁141が第2スリット151に配される場合、蒸着パターンの不良が発生しうる。したがって、本発明では第2遮断壁141の厚さt2を互いに隣接した二つの第2スリット151a、151b間の間隔151cより小さく形成して、第2遮断壁141と第2ノズル150とを精密に整列させる。
【0103】
また、互いに隣接した二つの第2スリット151a、151b間の間隔151cは、第2遮断壁141のY方向への幅t2より大きくて第1遮断壁131のY軸方向への幅t1より小さく形成でき、これにより、第1遮断壁131、第2遮断壁141、及び第2ノズル150の精密整列が可能である。
【0104】
図29は、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置2900を概略的に示した斜視図であり、図30は、図29の薄膜蒸着装置の概略的な平面図である。
図29及び図30を参照すれば、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置2900は、蒸着源110、第1ノズル120、遮断壁アセンブリー130、第2ノズル150及び基板160を備える。また、本発明のさらに他の一実施形態による薄膜蒸着装置2900は、互いに離隔した第1遮断壁131と第2遮断壁141との間に形成されたバリア170をさらに備えるという点で、前述した実施形態と区別される。
【0105】
本実施形態で、バリア170はY方向に所定の幅を備え、Z方向に所定の長さで各第1遮断壁131の端部に配される。前述したように、第1遮断壁131と第2遮断壁141とは、多様な理由によって所定間隔分離されなければならないが、分離される間隔はバリア170の幅により決定される。
【0106】
詳細に、蒸着源110で気化した蒸着物質は、第1ノズル120及び第2ノズル150を通過して基板160に蒸着される。この時、第1ノズル120と第2ノズル150との間の空間は、第1遮断壁アセンブリー130及び第2遮断壁アセンブリー140によって区画されているので、理想的には、第1ノズル120のそれぞれの第1スリット121から噴出した蒸着物質は、第1遮断壁アセンブリー130及び第2遮断壁アセンブリー140によって、他の第1スリット121から噴出した蒸着物質と混合してはならない。しかし、第1遮断壁131と第2遮断壁141との間が所定間隔w(図31)で分離されているため、分離された間隔wを通じて第1ノズル120の第1スリット121から噴出した蒸着物質が隣接した他の蒸着空間に移動する可能性がある。
【0107】
しかし、本実施形態による薄膜蒸着装置2900は、第1遮断壁141の端部に所定の幅を持つバリア170を備えているため、第1ノズル120のそれぞれの第1スリット121から噴出した蒸着物質は、第1遮断壁131、バリア170及び第2遮断壁141によって、他の第1スリットから噴出した蒸着物質と混合されない。これらのバリア170の幅bは、第1遮断壁131と第2遮断壁141との間の分離された間隔wによって調節できる。例えば、バリア170の幅bを小さくすれば、第1遮断壁131と第2遮断壁141との間の分離間隔wを小さくすることができる。ただし、第1遮断壁131と第2遮断壁141との間の分離間隔wがあまりにも小さくなれば、基板160全体の膜均一度を確保するための補正板(図示せず)などの配置時に第1遮断壁131及び第2遮断壁141との衝突の恐れがあるため、適当な間隔w以上を維持することが望ましい。
【0108】
図31ないし図33は、図29の薄膜蒸着装置2900に配されるバリア170、171の多様な実施形態を説明するための概略的な平面図である。
図31を参照すれば、一部バリア170は、第1遮断壁131の端部に密着して配されているが、他の一部バリア171は、第1遮断壁131の端部と所定間隔離隔して配される。バリア170、171は相異なる第1スリット121から噴出する蒸着物質を互いに混合させないためのものであるため、必ずしも第1遮断壁131の端部に密着して配される必要はない。したがって、第1遮断壁131と第2遮断壁141との間のいかなる位置にも配されうる。また、前記図面には図示されていないが、バリアは、第1遮断壁に対向する第2遮断壁の端部に配されることもある。
ここで、第1遮断壁131の端部所定間隔離隔したバリア171の1/2幅b1は、次の数式3で記述できる。
【0109】
[数3]
b1<(h−hw1)tanθ=(h−hw1)(d−ds)/2h
ここで、hは、第1ノズルと第2ノズルとの距離、hw1は、第1ノズルとバリアとの距離、dは、隣接した遮断壁間の間隔、dsは、第1スリットの幅を表す。
ここで、b1は、バリアの1/2幅を最大にする値であって、一般的に前記バリア1/2幅は、次のような関係式を満たす。
0<<バリアの1/2幅<b1
【0110】
本発明による薄膜蒸着装置2900の場合、前述したいろいろな理由によって1次遮断壁131と2次遮断壁141とが所定間隔離隔して配されなければならない。この時、部品の加工精度、部品間の整列精度及び温度上昇による微細な熱膨張などの要因を考慮する時、2次遮断壁141の長さh2を無制限縮めることはできないが、基板160との高精密整列及び高精密制御が有利になるように、2次遮断壁141の長さh2をできる限り縮めることが有利である。もし、前述した数式3からバリアの1/2幅の長さを最大にする場合、hw1+w2の値をほぼhと同一にすることで、2次遮断壁141の長さh2を十分に短く設計できる。
【0111】
図32は、バリアが1次遮断壁と分離された多様な場合を示している。
前記図面を参照すれば、第1遮断壁131と第2遮断壁141との距離Δw1、Δw2、Δw3が変われば、各バリア171、172、173の1/2幅の長さb1、b2、b3が変わる。例えば、第1遮断壁131と第2遮断壁141との距離が増加するほど(Δw1<Δw2<Δw3)、各バリア171、172、173の1/2幅の長さb1、b2、b3も長くなることが分かる(b1<b2<b3)。
【0112】
一方、前記図面に図示されたバリア171、172、173のうち、一部バリア173の場合、第2遮断壁141の長さh2が第1遮断壁131の長さh1より大きい場合が図示されているが、これは、第1遮断壁131と第2遮断壁141との距離Δw1、Δw2、Δw3が変われば、各バリア171、172、173の1/2幅の長さb1、b2、b3が変わる関係を説明するためのものであり、前述したように、第2遮断壁141の長さh2はなるべくな小さく設計されることが望ましい。
【0113】
また、前記図面を参照すれば、バリアの1/2幅の最大近似値が決定されれば、第1遮断壁の端部からバリアまでの最大分離距離Δmaxを導出できる。例えば、バリア172の1/2幅の最大近似値b2は、第1遮断壁131に隣接する第1スロット121から放出された蒸着物質の経路が表示された点線l1、l2、l3、l4によって決定され、この時、第1遮断壁131の長さh1が決定されれば、第1遮断壁131の端部からバリア173までの最大分離距離Δmaxが導出されうる。
【0114】
図33は、第1遮断壁と一体に形成されたバリアの多様な形状を概念的に示す平面図である。前記図面を参照すれば、一部の第1遮断壁は、バリア174、175の幅と同じ幅を持つように設計される。この時、第1ノズル120からバリア174、175までの各距離hw2、hw3が、それぞれの第1遮断壁の長さになりうる。
【0115】
一方、前記図面には一つの薄膜蒸着装置に異なる形状のバリアが配されていると図示されているが、これは本発明を説明するためのものであるので、本発明は前記図面の形状により制限されない。すなわち、薄膜蒸着装置は同じ形状のバリアを備えるか、または異なる形状のバリアを備えることができる。
【0116】
本発明は図面に図示された実施形態を参考として説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって定められなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、薄膜基板の製造分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0118】
100 薄膜蒸着装置
110 蒸着源
111 坩堝
112 ヒーター
115 蒸着物質
120 第1ノズル
130 遮断壁アセンブリー
131 遮断壁
132 遮断壁フレーム
150 第2ノズル
151 第2スリット
155 第2ノズルフレーム
160 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、
蒸着物質を放射する蒸着源と、
前記蒸着源の一側に配され、第1方向に沿って複数の第1スリットが形成される第1ノズルと、
前記第1ノズルと対向するように配され、前記第1方向に沿って複数の第2スリットが形成される第2ノズルと、
前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間に前記第1方向に沿って配されて、前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間の空間を複数の蒸着空間に区画する複数の遮断壁を備える遮断壁アセンブリーと、を備える薄膜蒸着装置。
【請求項2】
前記複数の遮断壁それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直の方向に形成されて、前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間の空間を区画することを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項3】
前記複数の遮断壁のうち、互いに隣接した二つの遮断壁の間には、一つ以上の前記第1スリットが配されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項4】
前記複数の遮断壁のうち、互いに隣接した二つの遮断壁間には、複数の前記第2スリットが配されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項5】
前記複数の遮断壁のうち、互いに隣接した二つの遮断壁間に配された前記第1スリットの数より、前記第2スリットの数がさらに多いことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項6】
前記第1スリットの総数より、前記第2スリットの総数がさらに多いことを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項7】
前記複数の遮断壁は、等間隔で配されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項8】
前記遮断壁と前記第2ノズルとは、所定間隔をおいて離隔して形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項9】
前記遮断壁アセンブリーには、冷却部材がさらに備えられることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項10】
前記冷却部材は、前記遮断壁アセンブリーの外周面から突設された冷却フィンであることを特徴とする請求項9に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項11】
前記薄膜蒸着装置は、前記第2ノズルと結合して、前記第2ノズルを支持する第2ノズルフレームをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項12】
前記第2ノズルフレームは、前記第2ノズルに所定の引張力を出させることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項13】
前記第2ノズルには引張力が加えられ、前記第2ノズルフレームには、前記引張力に対応する圧縮力が加えられた状態で、前記第2ノズルと前記第2ノズルフレームとが結合された後、前記第2ノズルと前記第2ノズルフレームとに平衡をなすように作用する前記引張力と前記圧縮力とを除去して、前記第2ノズルに引張力が加えられることを特徴とする請求項12に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項14】
前記第2ノズルフレームの温度は、蒸着過程中に実質的に均一に維持されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項15】
前記第2ノズルフレームには、放熱フィンがさらに備えられることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項16】
前記蒸着源と前記第2ノズルフレームとの間には、熱遮蔽板が配されることを特徴とする請求項11に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項17】
前記遮断壁アセンブリーは、前記薄膜蒸着装置から分離自在に形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項18】
前記薄膜蒸着装置は、真空チャンバ内に備えられることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項19】
前記第2ノズルは、前記基板から、所定間隔をおいて離隔して形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項20】
前記蒸着源、前記第1ノズル、前記第2ノズル、前記遮断壁アセンブリーは、前記基板に対して相対的に移動可能に形成されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項21】
前記蒸着源、前記第1ノズル、前記第2ノズル、前記遮断壁アセンブリーは、前記基板に対して相対的に移動しつつ、前記基板に前記蒸着物質を蒸着することを特徴とする請求項20に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項22】
前記蒸着源、前記第1ノズル、前記第2ノズル、前記遮断壁アセンブリーは、前記基板と平行な面に沿って相対的に移動することを特徴とする請求項20に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項23】
前記蒸着源で気化した蒸着物質は、前記第1ノズル及び前記第2ノズルを通過して前記基板に蒸着されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項24】
前記薄膜蒸着装置は、前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間に配されて、前記蒸着源から放射される前記蒸着物質のうち少なくとも一部を遮断する補正板をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項25】
前記補正板は、前記各蒸着空間内での薄膜の厚さが実質的に同一に形成されるように備えられることを特徴とする請求項24に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項26】
前記補正板は、前記各蒸着空間の中心から遠ざかるほど高さが低く形成されることを特徴とする請求項24に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項27】
前記補正板は、円弧またはコサイン曲線の形状に形成されることを特徴とする請求項26に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項28】
前記補正板は、前記各蒸着空間の中心での高さが、各蒸着空間の端部での高さより低く形成されることを特徴とする請求項24に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項29】
前記補正板は、前記各蒸着空間の中心での前記蒸着物質の遮断量が、前記各蒸着空間の端部での前記蒸着物質の遮断量より多く形成されることを特徴とする請求項24に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項30】
前記補正板は、互いに隣接した前記遮断壁間にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項24に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項31】
前記補正板は前記各蒸着空間ごとに形成され、
前記各蒸着空間に配された前記第1スリットから放射される前記蒸着物質の特性によって、前記それぞれの補正板のサイズまたは形状が変更可能なことを特徴とする請求項24に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項32】
複数の前記蒸着空間ごとに蒸着される薄膜の厚さが同一になるように、前記それぞれの補正板のサイズまたは形状が変更可能なことを特徴とする請求項31に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項33】
前記蒸着源、前記第1ノズル、前記第2ノズル及び前記遮断壁アセンブリーは、前記基板に対して相対的に移動しつつ蒸着を行い、
前記複数の遮断壁は、前記薄膜蒸着装置の移動方向に対して傾いて配されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項34】
前記移動方向に対する前記複数の遮断壁の傾斜角度は鋭角であることを特徴とする請求項33に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項35】
前記移動方向に対する前記複数の遮断壁の傾斜角度は、ほぼ1゜ないし10゜であることを特徴とする請求項33に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項36】
前記複数の遮断壁は、前記第1方向に傾いて配されることを特徴とする請求項33に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項37】
前記複数の遮断壁それぞれの縦端面の方向と前記第1方向とは互いに直交しないことを特徴とする請求項36に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項38】
前記複数の遮断壁それぞれの縦端面の方向と前記第1方向との間の角度は、鋭角であることを特徴とする請求項36に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項39】
前記複数の遮断壁それぞれの縦端面の方向と前記第1方向との間の角度は、ほぼ80゜ないしほぼ89゜であることを特徴とする請求項38に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項40】
前記遮断壁の熱を冷却させる放熱部材をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項41】
前記放熱部材は、前記遮断壁の外部面上に配されることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項42】
前記遮断壁は、内部に空洞を備えることを特徴とする請求項40に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項43】
前記放熱部材は、前記空洞の内部に配されることを特徴とする請求項42に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項44】
前記放熱部材は、前記空洞の内部面に接するように配されることを特徴とする請求項43に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項45】
前記放熱部材は、前記第1遮断壁の外部面と内部面とに配されることを特徴とする請求項42に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項46】
前記放熱部材は、冷却パイプであることを特徴とする請求項40に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項47】
前記蒸着源は、
ホスト物質を放射する第1蒸着源と、
前記第1蒸着源と平行に配され、ドーパント物質を放射する第2蒸着源と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項48】
前記第1蒸着源から放射される前記ホスト物質の少なくとも一部と、前記第2蒸着源から放射される前記ドーパント物質の少なくとも一部とが混合されることを特徴とする請求項47に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項49】
前記第1蒸着源と前記第2蒸着源との間には、前記第1蒸着源と前記第2蒸着源とから放射される蒸着物質の放射範囲を制限する制限部材がさらに配されることを特徴とする請求項47に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項50】
前記制限部材の長さを制御して、前記第1蒸着源から放射される前記ホスト物質と、前記第2蒸着源から放射される前記ドーパント物質との混合量を制御することを特徴とする請求項49に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項51】
前記基板上には、前記ホスト物質のみ蒸着されるホスト蒸着領域、前記ホスト物質と前記ドーパント物質とが混合して蒸着される重畳領域、及び前記ドーパント物質のみ蒸着されるドーパント蒸着領域がそれぞれ形成されることを特徴とする請求項47に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項52】
前記第1蒸着源及び前記第2蒸着源が前記基板に対して相対的に移動しつつ、前記基板上には、前記ホスト物質のみで備えられた第1薄膜と、前記ホスト物質と前記ドーパント物質との混合層で備えられた第2薄膜と、前記ドーパント物質のみで備えられた第3薄膜とが積層されることを特徴とする請求項47に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項53】
前記第1ノズルには、前記第1方向に沿って複数の第1スリットが2行に形成されていることを特徴とする請求項47に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項54】
前記遮断壁アセンブリーは、複数の第1遮断壁を備える第1遮断壁アセンブリーと、複数の第2遮断壁を備える第2遮断壁アセンブリーとを備えることを特徴とする請求項1に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項55】
前記複数の第1遮断壁及び前記複数の第2遮断壁それぞれは、前記第1方向と実質的に垂直である第2方向に形成されて、前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間の空間を複数の蒸着空間に区画することを特徴とする請求項54に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項56】
前記複数の第1遮断壁及び前記複数の第2遮断壁それぞれは、互いに対応するように配されることを特徴とする請求項54に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項57】
前記互いに対応する第1遮断壁及び第2遮断壁は、実質的に同じ平面上に位置するように配されることを特徴とする請求項56に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項58】
基板上に薄膜を形成するための薄膜蒸着装置において、
蒸着源と、
前記蒸着源の一側に互いに対向するように配され、一方向に沿って複数のスリットがそれぞれ形成される第1ノズルと第2ノズルと、
前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間に配される複数の第1遮断壁を備える第1遮断壁アセンブリーと、
前記第1遮断壁と前記第2ノズルとの間に配される複数の第2遮断壁を備える第2遮断壁アセンブリーと、を備え、
前記第2ノズルは、前記基板と所定間隔をおいて離隔するように形成され、
前記蒸着源、前記第1ノズル、前記第2ノズル、前記第1遮断壁アセンブリー及び前記第2遮断壁アセンブリーは、前記基板に対して相対的に移動可能に形成されることを特徴とする薄膜蒸着装置。
【請求項59】
前記複数の第1遮断壁及び前記複数の第2遮断壁それぞれは、前記一方向と実質的に垂直である方向に形成されて、前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間の空間を区画することを特徴とする請求項58に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項60】
前記複数の第1遮断壁及び前記複数の第2遮断壁それぞれは、互いに対応するように配されることを特徴とする請求項58に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項61】
前記互いに対応する第1遮断壁及び第2遮断壁は、実質的に同じ平面上に位置するように配されることを特徴とする請求項60に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項62】
前記複数の第1遮断壁及び前記複数の第2遮断壁は、等間隔で配されることを特徴とする請求項58に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項63】
前記第1遮断壁と前記第2遮断壁とは、所定間隔をおいて離隔するように形成されることを特徴とする請求項58に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項64】
前記第2遮断壁と前記第2ノズルとは、所定間隔をおいて離隔するように形成されることを特徴とする請求項58に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項65】
前記第1ノズルには、前記一方向に沿って複数の第1スリットが形成され、
前記第2ノズルには、前記一方向に沿って複数の第2スリットが形成されることを特徴とする請求項58に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項66】
前記複数の第1遮断壁及び前記複数の第2遮断壁は、前記第1ノズルと前記第2ノズルとの間の空間を区画するように、前記一方向に沿って配されることを特徴とする請求項58に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項67】
前記蒸着源、前記第1ノズル、前記第2ノズル、前記第1遮断壁アセンブリー及び前記第2遮断壁アセンブリーは、前記基板に対して相対的に移動しつつ前記基板に前記蒸着物質を蒸着することを特徴とする請求項58に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項68】
前記蒸着源、前記第1ノズル、前記第2ノズル、前記第1遮断壁アセンブリー及び前記第2遮断壁アセンブリーは、前記基板と平行な面に沿って相対的に移動することを特徴とする請求項58に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項69】
前記第1遮断壁の前記一方向への幅は、前記第2遮断壁の前記一方向への幅より大きく形成されることを特徴とする請求項58に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項70】
前記第2遮断壁の前記一方向への幅は、互いに隣接した二つの前記第2スリット間の間隔より小さなことを特徴とする請求項69に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項71】
互いに隣接した二つの前記第2スリット間の間隔は、前記第2遮断壁の前記一方向への幅より大きく、前記第1遮断壁の前記一方向への幅より小さなことを特徴とする請求項69に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項72】
前記第2遮断壁それぞれは、互いに隣接した二つの前記第2スリット間に配されることを特徴とする請求項69に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項73】
前記第2遮断壁それぞれは、互いに隣接した二つの前記第2スリット間の中央に配されることを特徴とする請求項72に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項74】
前記一方向に沿って、前記第1遮断壁と前記第2遮断壁との間に配されたバリアを備える請求項58に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項75】
前記バリアは、第2遮断壁に対向する前記第1遮断壁の端部に配されることを特徴とする請求項74に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項76】
前記バリアの幅は、前記第1遮断壁の長さに比例することを特徴とする請求項74に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項77】
前記バリアは、前記第1遮断壁に対向する前記第2遮断壁の端部に配されることを特徴とする請求項74に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項78】
前記バリアは、前記第1遮断壁及び第2遮断壁と所定間隔離隔して配されることを特徴とする請求項74に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項79】
前記バリアの幅は、前記第1遮断壁及び第2遮断壁の分離間隔に比例することを特徴とする請求項78に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項80】
前記バリアは、前記第1遮断壁と実質的に垂直に配されることを特徴とする請求項74に記載の薄膜蒸着装置。
【請求項81】
前記バリアは、前記第1遮断壁と一体に形成されることを特徴とする請求項74に記載の薄膜蒸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2010−270396(P2010−270396A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116470(P2010−116470)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】