説明

藁束状ルチル型酸化チタン、それを使用した化粧料及びトナー用外添剤

【課題】特定の形状を有するルチル型酸化チタンを使用した紫外線遮蔽能が高く、肌へのきしみ感やざらつき感がなく使用感が良好であり、適度な着色力と隠蔽力により白浮きせずに自然な素肌感を演出する化粧料、及び、感光体のフィルミング防止やトナー粒子間の凝集を抑制する効果に優れたトナー用外添剤を提供する。
【解決手段】本発明は、一個の粒子の短軸径が3〜10nmの棒状粒子の長軸面が短軸方向に配向凝集した粒子形態で、配向凝集した粒子の見掛け平均長軸長が80〜300nm、配向凝集した粒子の見掛け平均短軸長が30〜150nm、見掛け平均軸比(見掛け平均長軸長/見掛け平均短軸長)が1.1〜4で、配向凝集した粒子の長軸の両端が球形状ないし楕円体形状をした、比表面積が120〜180m/gであるルチル型酸化チタン、当該酸化チタンを含有した化粧料、及び、当該酸化チタンを疎水化処理したことを特徴とするトナー用外添剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は特定の大きさと形状を有する藁束状ルチル型酸化チタン、当該酸化チタンを含有する化粧料、及び当該酸化チタンを疎水化処理したトナー用外添剤に関する。
本発明は、特に、前記酸化チタンを含有する化粧料であって、肌になめらかに塗布することができ、肌へのきしみ感やざらつき感がなく、適度な着色力と隠蔽力により自然な素肌感を演出することができるとともに、高い紫外線遮蔽能を有する化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紫外線が肌に対し悪影響を及ぼすことが認識され、メークアップ化粧料においても微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛のような紫外線散乱剤や、有機の紫外線吸収剤を使用した紫外線防御効果のある化粧料が知られている。近年、紫外線防御効果の高い化粧料の要求は益々強くなっている。このような要求に対しては、紫外線散乱剤や紫外線吸収剤を多く配合することが一般的である。しかしながら、微粒子酸化チタン等の紫外線散乱剤を化粧料中に多く配合すると肌でのざらつき感が生じたり、化粧膜が厚くなり不自然な仕上がりになる。また、紫外線吸収剤を多く配合することは安全面で問題があり、実際、配合量に規制があるので多く配合できないのが実状である。このようなことより、紫外線散乱剤、特に、酸化チタンにおいて、少量の配合で紫外線を防御するような紫外線防御能の高いものの出現が強く望まれている。
【0003】
このような状況から、本発明者等は、特開平10−245228号公報(特許文献1)において針状酸化チタンの一次粒子が集合した扇状酸化チタンを提案した。この粒子は湿式法で合成し、粒子径を大きくしたものであるので、適度な着色力と隠蔽力を有し、また、紫外線遮蔽能の改善も認められるものであったが、まだ満足できるものでなかった。
【0004】
また、トナーの外添剤として古くから100nm以下の微粒子タイプの酸化チタンが知られているが、流動性の付与や帯電性の調整では優れるものの、その大きさからトナー粒子表面に埋没してしまう恐れがあり、トナー用のスペーサー粒子として必ずしも好適とはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−245228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、従来の酸化チタンより優れた紫外線遮蔽能を有した特定の形状を有する酸化チタン及び当該酸化チタンを含む化粧料を提供することにある。本発明の藁束状ルチル型酸化チタンを使用した化粧料はざらつき感がなく、又、自然な仕上がりの化粧膜を得ることができる。
【0007】
また、本発明の目的は、従来の微粒子タイプの外添剤用微粒子酸化チタンに比べてトナー用のスペーサー粒子として好適であり、かつ、焼成法で合成した顔料級の酸化チタンに比べて着色力が小さく、トナーの色調に与える影響が小さいトナー用外添剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は酸化チタンにおいて紫外線遮蔽能が最も高くなる粒径や形状について検討を行った結果、棒状粒子が束状に凝集した特定の大きさの藁束状ルチル型酸化チタンは、従来の酸化チタンより優れた紫外線遮蔽能を有することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明の藁束状酸化チタンは、一個の粒子の短軸径が3〜10nmの棒状粒子の長軸面が短軸方向に配向凝集した粒子形態で、配向凝集した粒子の見掛け平均長軸長が80〜300nm、配向凝集した粒子の見掛け平均短軸長が30〜150nm、見掛け平均軸比(見掛け平均長軸長/見掛け平均短軸長)が1.1〜4で、配向凝集した粒子の長軸の両端が球形状ないし楕円体形状をした、比表面積が120〜180m2/gであるルチル型酸化チタンであることを特徴とする。
【0010】
また、前記藁束状酸化チタンの粒子表面は、無機物及び有機物の一種又は二種以上を含む層で被覆することができる。
また、前記無機物は、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、チタニウム、ジルコニウム、鉄、セリウム及び錫のうちの一種又は二種以上であることが好ましい。
【0011】
また、前記有機物は、シリコーン系化合物、各種カップリング剤及び脂肪酸のうちの一種又は二種以上であることが好ましい。
また、前記藁束状酸化チタンを含む化粧料を得ることができる。
【0012】
また、前記藁束状酸化チタンを基体に用いたトナー用外添剤を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の藁束状ルチル型酸化チタンは、従来のルチル型酸化チタンに比べ紫外線遮蔽能が優れており、また、着色力は焼成法で合成したルチル型酸化チタンより小さいので多量に添加しても白浮きが起こり難いという特徴を有するものである。また、本発明の藁束状ルチル型酸化チタンを使用した化粧料は肌へのきしみ感やざらつき感がなく使用感が良好であり、適度な着色力と隠蔽力により白浮きせずに自然な素肌感を演出する効果を奏するものである。
【0014】
また、トナーの外添剤として使用した場合、従来の外添剤用微粒子酸化チタンに比べて流動性の付与や帯電性の調整の効果は小さいが、配向凝集した粒子の大きさからトナー用のスペーサー粒子として好適であり、焼成法で合成した酸化チタンに比べて着色力が小さいため、トナーの色調に与える影響が小さいものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】製造実施例1で得られた藁束状ルチル型酸化チタンを示す透過型電子顕微鏡写真である。
【図2】製造実施例1で得られた藁束状ルチル型酸化チタンを示す走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】製造比較例1で得られた扇状ルチル型酸化チタンを示す透過型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の酸化チタンについて詳しく説明する。
本発明の藁束状ルチル型酸化チタンは、一個の粒子の短軸径が3〜10nmの棒状粒子の長軸面が短軸方向に配向凝集した粒子形態で、配向凝集した粒子の見掛け平均長軸長が80〜300nm、配向凝集した粒子の見掛け平均短軸長が30〜150nm、見掛け平均軸比(見掛け平均長軸長/見掛け平均短軸長)が1.1〜4で、配向凝集した粒子の長軸の両端が球形状ないし楕円体形状をした、比表面積が120〜180m/gであるルチル型酸化チタンであることを特徴とする藁束状ルチル型酸化チタンである。
(藁束状粒子)
本発明の藁束状粒子とは、粒子を構成する個々の粒子が棒状の粒子であり、個々の粒子の長軸面が3次元に短軸方向に配向して構成される凝集粒子である。この藁束状粒子は、配向凝集した粒子の長軸の両端がほぼ球形状、すなわち球形状ないし楕円体形状を示す円柱状形状をした粒子である。従来の紡錘状粒子は表面が平滑であるのに対し、藁束状粒子は粒子同士のファンデルワールス力により結合した凝集体(Aggregate)であるので、その表面は凹凸があるのが特徴である。このため、本発明の藁束状粒子は紫外線遮蔽能が従来の微粒子酸化チタンに比べ高いのが特徴で、化粧料に使用した場合、高SPF(Sun Protection Factor)の製品が得られる。
(見掛け平均長軸長、見掛け平均短軸長、見掛け平均軸比)
本発明の藁束状ルチル型酸化チタンの見掛け平均長軸長、見掛け平均短軸長及び見掛け平均軸比は、透過型電子顕微鏡写真より、70個の凝集粒子について個々の粒子の長軸長、短軸長及び軸比(長軸長/短軸長)を測定し、それらを平均した値である。光散乱と紫外線防止効果の粒子径依存性については、Mie理論(P.Stamatakis et al.,J.Coatings Tech.,62(10),95(1990))があり、それによると、300nmの波長では、30〜60nmの粒径が最も遮蔽効果が高く、350nmでは、80nmの粒径が最適で、400nmでは120nmの粒径が最適と言われている。本発明の藁束状ルチル型酸化チタンにおいては、好ましくは、見掛け平均長軸長が100〜200nm、見掛け平均短軸長が60〜100nm、及び見掛け平均軸比(見掛け平均長軸長/見掛け平均短軸長)が1.3〜3.3である。かかる特性を有するものは、紫外線遮蔽能が従来の酸化チタンより極めて高いので高紫外線防御用化粧料の原料として最適である。配向凝集した粒子の見掛け平均長軸長が80〜300nm、配向凝集した粒子の見掛け平均短軸長が30〜150nm、及び見掛け平均軸比(見掛け平均長軸長/見掛け平均短軸長)が1.1〜4のいずれかから外れた場合は、紫外線遮蔽能が低下するので好ましくない。
(比表面積)
比表面積はBET法で測定されるが、前記の範囲を外れると紫外線遮蔽能の低下ならびに適度な着色力が得られなくなるので好ましくない。
(表面被覆層)
前記藁束状ルチル型酸化チタンには、化粧料を製造する際の分散媒体中での分散安定性及び耐久性の向上のため、その凝集粒子表面に無機物が被覆されていることが好ましい。使用できる無機物としては、アルミニウム、ケイ素、亜鉛、チタニウム、ジルコニウム、鉄、セリウム及び錫等の金属の含水酸化物又は酸化物が挙げられる。これに用いられる前記金属塩には何ら使用制限はない。更に、これらの酸化チタンは化粧料に配合する前に、あらかじめ撥水及び/又は撥油化処理が施されていることが好ましい。当該処理物は有機物であり、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン系化合物、シラン系、アルミニウム系、チタニウム系及びジルコニウム系等のカップリング剤、パーフルオロアルキルリン酸化合物等のフッ素化合物、炭化水素、レシチン、アミノ酸、ポリエチレン、ロウ、ラウリン酸やステアリン酸等の脂肪酸等が挙げられる。
(製造方法)
本発明の藁束状ルチル型酸化チタンの製造方法について詳細に説明する。
【0017】
本発明の藁束状ルチル型酸化チタンは、酸可溶性チタン化合物を塩酸酸性下で脂肪族ヒドロキシ酸化合物を添加して加熱加水分解を行うことにより得られる。すなわち、酸可溶性チタン化合物に塩酸を添加して加熱加水分解を行ってルチル型酸化チタンを合成する際に、特定の条件下で脂肪族ヒドロキシ酸化合物を添加して加水分解を行うと従来より軸比が小さくなり、棒状の微細粒子が3次元に凝集し粒径が制御された藁束状の形状をした粒子が生成する。
【0018】
加水分解条件は原料である酸可溶性チタン化合物の酸溶解性により適宜調整することが必要である。例えば、硫酸チタニル溶液又は四塩化チタン溶液をアルカリ中和して得られるオルソチタン酸を使用する場合には、TiO濃度を50〜140g/L、好ましくは60〜120g/L、塩酸濃度を70〜170g/L、好ましくは90〜160g/L、脂肪族ヒドロキシ酸化合物の濃度を0.25〜10g/L、好ましくは0.35〜8.5g/Lに調整した後、温度30〜80℃、好ましくは35〜65℃で加水分解することにより得られる。
(酸可溶性チタン化合物)
本発明において使用できる酸可溶性チタン化合物としては塩酸可溶のチタン化合物であれば使用できる。硫酸チタニルや四塩化チタンを低温でアルカリ中和して得られるオルソチタン酸が好ましいが、メタチタン酸をアルカリで処理したチタン酸のアルカリ塩を用いても得ることができる。
(脂肪族ヒドロキシ酸化合物)
本発明において添加する脂肪族ヒドロキシ酸化合物としては、例えば、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、サリチル酸、リンゴ酸、イソクエン酸及びこれらの塩の一種又は二種以上のものを用いることができるが、クエン酸化合物あるいはイソクエン酸化合物が好ましく、酸可溶性チタン化合物に含まれるTiOに対し、0.5〜7重量%添加することが好ましい。
(併用可能な無機顔料及び有機顔料)
本発明の化粧料には、通常の化粧料に使用される無機顔料、有機顔料等の各種成分を必要に応じて併用できる。併用できる無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、紺青、酸化セリウム、タルク、白雲母、合成雲母、金雲母、黒雲母、合成フッ素金雲母、雲母チタン、雲母状酸化鉄、セリサイト、ゼオライト、カオリン、ベントナイト、クレー、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チッ化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、カラミン、ヒドロキシアパタイト及びこれらの複合体が挙げられ、同じく併用できる有機顔料としては、シリコーン粉末、シリコーン弾性粉末、ポリウレタン粉末、セルロース粉末、ナイロン粉末、ウレタン粉末、シルク粉末、PMMA粉末、スターチ、ポリエチレン粉末、ポリスチレン粉末、カーボンブラック、タール色素、天然色素、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸等及びこれらの複合体等が挙げられる。
(配合可能な成分)
なお、本発明の化粧料は、上記成分の他に、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲内で他の成分を配合することができる。例えば、本発明の化粧料には、さらに油性成分、色素、pH調整剤、保湿剤、増粘剤、界面活性剤、分散剤、安定化剤、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、収斂剤、消炎剤、紫外線吸収剤、香料等も、本発明の目的を達する範囲内で適宜配合することができる。
(化粧料の剤型)
本発明の化粧料は公知の方法で製造することができ、化粧料の剤型としては粉末状、粉末固形状、クリーム状、乳液状、ローション状、油性液状、油性固形状、ペースト状等のいずれの状態であってもよく、例えばメークアップベース、ファンデーション、コンシーラー、フェースパウダー、コントロールカラー、日焼け止め化粧料、口紅、リップクリーム、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ、チークカラー、マニキュア、ボディーパウダー、パヒュームパウダー、ベビーパウダー等のメークアップ化粧料、スキンケア化粧料、ヘアケア化粧料などとすることができる。
(藁束状ルチル型酸化チタンの配合量)
これらの化粧料中の藁束状ルチル型酸化チタンの配合量は、各種化粧料の要求特性に応じて任意に設定することができるが、本発明の特徴である化粧料に使用した際に肌になめらかに塗布することができ、肌へのきしみ感やざらつき感がなく、良好な紫外線防御能を発現させるためには0.1〜50重量%、好ましくは1〜45重量%である。一方、50重量%を超えた配合では紫外線防御能は良好であるが、肌へのきしみ感やざらつき感が強くなり、また、隠蔽力の出過ぎによって不自然な仕上がりになるために好ましくない。
【0019】
本発明の藁束状ルチル型酸化チタンを用いた化粧料においては目的に応じ顔料級酸化チタンや超微粒子酸化チタンと併用しても良い。
本発明の藁束状ルチル型酸化チタンは、トナー用材料として使用することができ、特に外添剤として好適である。本発明の藁束状ルチル型酸化チタンの大きさや粒子形状に起因して、感光体のフィルミング防止やトナー粒子間の凝集を抑制する効果に優れ、非磁性一成分系、磁性一成分系、二成分系等の現像方式を問わずに使用できる。
【実施例】
【0020】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は単に例示のために示すものであり、発明の範囲がこれによって制限されるものではない。
[製造実施例1]
(藁束状ルチル型酸化チタンの合成)
160g/Lの炭酸ナトリウム溶液中に硫酸チタニル溶液を、液温が25℃を越えないようにゆっくりと滴下し、pHが10になった時点で硫酸チタニル溶液の滴下を止めた。この中和で得られたオルソチタン酸の白色沈殿をろ過し、十分洗浄した。次に、洗浄したオルソチタン酸ケーキを希塩酸によりリパルプした後、濃塩酸ならびにクエン酸を添加してTiO2 濃度80g/L、塩酸濃度140g/L、クエン酸濃度4.0g/Lに調整した。引き続き撹拌しながら加温し40℃に液温を合わせ、40℃で20時間撹拌しながら加水分解を行い、ルチル型酸化チタンを合成した。得られたルチル型酸化チタンを透過型電子顕微鏡で観察したところ、平均長軸長が105nm、平均短軸長が70nm、平均軸比1.5、比表面が148m/gの、棒状粒子が束状に配向して凝集した図1に示す円柱状の藁束状粒子であった。走査型電子顕微鏡で粒子表面を観察したところ、図2に示すように棒状粒子が束状に配向して凝集することにより藁束状粒子を構成していることが確認された。
(表面処理)
得られたルチル型酸化チタン含有水懸濁液を加温し70℃に調整した。次いで酸化チタンに対しAl23として10%のアルミン酸ナトリウムを撹拌しながらゆっくりと添加し、1時間撹拌を行った後、希硫酸を添加しpHを8.0に調整した。次に、酸化チタンに対し5%のステアリン酸ナトリウムを添加し、1時間撹拌を行った後に希硫酸によりpHを6.5に調整した。ろ過、洗浄、乾燥して表面処理ルチル型酸化チタンを得た。
[製造実施例2〜6]
ルチル型酸化チタンの合成を実施例1におけるTiO2濃度、塩酸濃度、クエン酸濃度および反応温度を表1のように変更して加水分解を行った以外は製造実施例1と同様にしてルチル型酸化チタンを合成した。透過型電子顕微鏡で得られた各粒子を観察したところ、表1に示した特性を有する円柱状の藁束状粒子であることが確認された。
【0021】
【表1】

【0022】
[製造比較例1]
実施例1においてクエン酸を添加せず、温度60℃で加水分解を行ってルチル型酸化チタンを合成した。得られたルチル型酸化チタンを透過型電子顕微鏡で観察したところ、一辺が100nm、比表面積が160m/gの図3に示す扇形の形状をした粒子であった。(サンプルG)
[製造比較例2]
硫酸チタニル溶液を加熱分解し、ろ過、洗浄した含水酸化チタンスラリーに苛性ソーダ溶液を撹拌しながら投入し、95℃で2時間加熱した。次いでこの処理物を十分洗浄して得られたスラリーに塩酸を撹拌しながら投入し、TiO濃度90g/L、塩酸濃度50g/Lに調整して、95℃で2時間加熱して加水分解を行い、ルチル型酸化チタンを合成した。得られた酸化チタンは長軸長80nm、短軸長15nm、比表面積92m/gの紡錘状の粒子であった。(サンプルH)
[製造比較例3]
製造比較例2で得られた紡錘状酸化チタンを80℃でpH7.0に調整し、ろ過、水洗し、105℃で乾燥した。これを電気炉にて850℃で2時間焼成して平均粒子径120nm、比表面積14m/gの球状ルチル型酸化チタンを得た。(サンプルI)
なお、各製造比較例で合成したルチル型酸化チタンは、製造実施例1と同様の表面処理を行って比較試験に供した。
(着色力)
製造実施例ならびに製造比較例で得られた表面処理酸化チタン 1.05g、黒酸化鉄(チタン工業製 BL−100)0.03g及びジメチルポリシロキサン(5000cs) 2.00gを採取し、フーバーマラーを使用して150Lbsの荷重で75回転分散を行った。得られたペーストを30mmφのガラスセルに入れ、スガ試験機製 SM−7型カラーコンピューターでL値を測定し、着色力の指標とした。結果を表2に示した。
【0023】
【表2】

【0024】
表2に示したように本発明の藁束状ルチル型酸化チタンは焼成法で合成した製造比較例3の球状酸化チタンに比べて着色力の指標としたL値が小さいものであった。
[実施例1〜6、比較例1〜3:W/Oリキッドファンデーション]
製造実施例1〜6で得られたA〜Fの藁束状ルチル型酸化チタン粒子と製造比較例1〜3で得られたルチル型酸化チタン粒子を用い、実施例1〜6及び比較例1〜3に示した配合割合でW/Oリキッドファンデーションを作製した。
(成分) 重量(%)
1.架橋型ポリエーテル変性シリコーン(注1) 4.0
2.架橋型ジメチルポリシロキサン(注2) 6.0
3.分岐型ポリエーテル変性シリコーン(注3) 2.0
4.デカメチルシクロペンタシロキサン 21.0
5.ジメチルポリシロキサン(6mm/秒(25℃)) 7.0
6.製造実施例並びに製造比較例で得た表面処理酸化チタン 15.0
7.シリコーン処理タルク 4.0
8.シリコーン処理色剤 1.5
9.1,3−ブチレングリコ−ル 5.0
10.クエン酸ナトリウム 0.4
11.塩化ナトリウム 0.5
12.防腐剤 適 量
13.精製水 残 余
(注1)信越化学工業(株)製:KSG−210
(注2)信越化学工業(株)製:KSG−15
(注3)信越化学工業(株)製:KF−6028
(製造方法)
A:成分6〜8を均一に混合する。
B:成分1〜5を均一に混合し、Aを均一に分散する。
C:成分9〜13を均一に混合する。
D:撹拌下、BにCを徐添して乳化し、W/Oリキッドファンデーションを得た。
[化粧料の評価項目および評価方法]
(紫外線遮蔽能)
作製したW/Oリキッドファンデーションをトランスポアテープに2mg/cm塗布した後、Labsphere社製UV−1000S SPFアナライザーでSPFを測定した。
【0025】
SPFの測定結果を表3に示す。
【0026】
【表3】

【0027】
表3から明らかなように本発明の藁束状ルチル型酸化チタンは、従来の紡錘状酸化チタン、扇状酸化チタンおよび焼成法の酸化チタンに比べてSPFが高く、紫外線遮蔽能が優れているものであった。
(官能試験)
得られたW/Oリキッドファンデーションについて、のび、滑らかさ、透明感、塗布色、カバー力等の官能試験を行った。その結果を表4に示す。
【0028】
【表4】

【0029】
[評価及び評価基準]
実施例1〜6及び比較例1〜3で作製したW/Oリキッドファンデーションをパネラー10人に使用させ、表3の官能試験項目について5段階に分けて官能評価し、その平均点より判定した。
(評価基準)
非常に良好:5点 良好:4点 普通:3点 やや不良:2点 不良:1点
(判定基準)
4.0〜5.0点:◎ 3.0〜4.0点未満:○ 2.0〜3.0点未満:△ 1.0〜2.0点未満:×
官能試験の結果、本発明の実施例1〜6により得られたファンデーションはいずれも比較例1〜3に比べ、塗布時ののび、なめらかさに優れ、さらに、塗布後においても透明感に優れ、適度なカバー力により白浮きも発生せず、自然な素肌感のある仕上がりであった。また、化粧持ちも良好で素肌感が持続する優れたものであった。このように、棒状粒子が束状に凝集して形成された、透過型電子顕微鏡の観察粒径が平均長軸長80〜300nm、配向凝集した粒子の見掛け平均短軸長30〜150nm、見掛け平均軸比1.1〜4で配向凝集した粒子の長軸の両端が球形状ないし楕円体形状をした比表面積が120〜180m/gを示す藁束状ルチル型酸化チタン凝集粒子を化粧料に配合することにより、肌になめらかに塗布することができ、肌へのきしみ感やざらつき感がなく、適度な着色力と隠蔽力により自然な素肌感を演出する化粧料を提供できた。
[実施例7:パウダーファンデーション]
(成分) 重量(%)
1.カプリリルシラン処理マイカ(注1) 40.0
2.製造実施例3記載粉体 5.0
3.シリコーン処理タルク(注2) 残 余
4.シリコーン処理顔料級酸化チタン(注2) 5.0
5.シリコーン処理微粒子酸化チタン(注2) 5.0
6.シリコーン処理硫酸バリウム(注2) 10.0
7.シリコーン処理ベンガラ(注2) 0.4
8.シリコーン処理黄酸化鉄(注2) 2.0
9.シリコーン処理アンバー(注2) 0.4
10.シリコーン処理黒酸化鉄(注2) 0.1
11.フェニル変性ハイブリッドシリコーン複合粉体(注3) 2.0
12.球状ポリメチルシルセスキオキサン粉体(注4) 0.5
13.防腐剤 適 量
14.香料 適 量
15.架橋型ジメチルポリシロキサン(注5) 4.0
16.トリオクタン酸グリセリル 2.0
17.スクワラン 1.0
(注1)信越化学工業(株)製:AES−3083処理
(注2)信越化学工業(株)製:KF−9909処理
(注3)信越化学工業(株)製:KSP−300
(注4)信越化学工業(株)製:KMP−590
(注5)信越化学工業(株)製:KSG−16
(製造方法)
A:成分1〜13を混合して均一に粉砕する。
B:成分15〜17を均一混合し、Aに加えて均一にした。
C:Bに成分14を添加し、金型にプレス成型してパウダーファンデーションを得た。
【0030】
得られたパウダーファンデーションは、滑らかで軽く伸び広がり、付着性に優れおさまりも良く、さらに、べたつきがなく汗等にも強く、化粧持続性にも優れると共に、使用感及び使用性に優れたパウダーファンデーションであった。
[実施例8:プレストパウダー]
(成分) 重量(%)
1.タルク 残 余
2.PMMA(7μm)(注1) 10.0
3.セリサイト 30.0
4.鱗片状シリカ(注2) 3.0
5.製造実施例5記載粉体 6.0
6.防腐剤 適 量
7.色材 適 量
8.メトキシケイヒ酸オクチル 3.0
9.スクワラン 2.0
10.防腐剤 適 量
11.抗酸化剤 適 量
12.香料 適 量
(注1)マツモトマイクロスフェアM−100(松本油脂製薬社製)
(注2)サンラブリーC(洞海化学工業社製)
(製造方法)
A:成分1〜7を混合粉砕する。
B:Aをヘンシェルミキサーに移し、成分8〜12を加えて均一になるよう撹拌混合する。
C:Bをアトマイザーにて粉砕し、これをアルミ皿にプレス成型してプレストパウダーを得た。
【0031】
得られたプレストパウダーは、塗布時の伸び、滑らかさに優れ、さらに、塗布後においても自然な仕上がりであることが確認された。
[実施例9:2WAYケーキファンデーション]
(成分) 重量(%)
1. メチコン処理タルク 残 余
2. 製造実施例4記載粉体 10.0
3. メチコン処理マイカ 20.0
4. メチコン処理セリサイト 36.0
5. ナイロンパウダー 10.0
6. メチコン処理黄酸化鉄 1.0
7. メチコン処理ベンガラ 0.5
8. メチコン処理黒酸化鉄 0.1
9. ジメチルポリシロキサン1000cs 6.0
10.イソノナン酸イソトリデシル 3.0
11.スクワラン 3.0
12.防腐剤 0.2
13.抗酸化剤 0.1
(製造方法)
A:成分9〜13を加熱溶解する。
B:成分1〜8をヘンシェルミキサーで混合し、これにAを混合する。
C:Bをアトマイザーにて粉砕し、アルミ皿にプレス成型して2WAYケーキファンデーションを得た。
【0032】
得られた2WAYケーキファンデーションは、塗布時ののび、なめらかさに優れ、さらに、塗布後においても透明感に優れ適度なカバー力により白浮きも発生せず、自然な素肌感のある仕上がりであることが確認された。
[実施例10:油性ケーキファンデーション]
(成分) 重量(%)
1.ジメチコン処理タルク 5.3
2.製造実施例1記載粉体 15.0
3.ジメチコン処理セリサイト 28.2
4.ジメチコン処理ベンガラ 0.5
5.ジメチコン処理黄酸化鉄 1.8
6.ジメチコン処理黒酸化鉄 0.2
7.キャンデリラロウ 1.0
8.カルナウバロウ 1.0
9.セレシン 1.5
10.デカメチルシクロペンタシロキサン 14.0
11.イソノナン酸イソノニル 残 余
12.ジイソステアリン酸ポリグリセリル 2.0
13.パルミチン酸デキストリン 1.0
14.メトキシケイヒ酸オクチル 3.0
15.防腐剤 適 量
16.抗酸化剤 適 量
(製造方法)
A:成分1〜6をヘンシェルミキサーにて混合し、均一に粉砕する。
B:成分8〜16を加熱溶解し、Aを加え均一に撹拌する。
C:脱泡後トレイにバルクを流し込み、室温まで徐冷し、油性ケーキファンデーションを得た。
【0033】
得られた油性ケーキファンデーションは、塗布時ののび、なめらかさに優れ、さらに、塗布後においても透明感に優れ適度なカバー力により白浮きも発生せず、自然な素肌感のある仕上がりであることが確認された。
[実施例11:スティックファンデーション]
(成分) 重量(%)
1.ジメチルポリシロキサン 18.0
2.デカメチルシクロペンタシロキサン 30.0
3.メトキシケイヒ酸オクチル 5.0
4.リンゴ酸ジイソステアリル 4.0
5.キャンデリラワックス 6.0
6.水素添加ホホバエステル 4.0
7.セチルジメチコンコポリオール 2.0
8.セスキイソステアリン酸ソルビタン 0.5
9.酸化防止剤 適 量
10.防腐剤 適 量
11.香料 適 量
12.メチコン処理色剤 0.5
13.製造実施例2記載粉体 8.5
14.メチコン処理タルク 6.0
15.メチコン処理マイカ 2.0
16.ポリメタクリル酸メチル 2.0
17.精製水 残 余
18.クエン酸ナトリウム 0.3
19.1,3−ブチレングリコール 3.0
20.グリセリン 2.0
21.防腐剤 適 量
(製造方法)
A:成分12〜16をヘンシェルミキサーにて混合する。
B:全量が仕込める容器に成分1〜11を秤量し、加熱溶解する。
C:別の容器に成分17〜21を秤量し加熱溶解する。
D:BにAを加え均一に分散させ、Cを加えて乳化する。
E:脱泡後モールドにバルクを流し込み、室温まで徐冷し、スティックファンデーションを得た。
【0034】
得られたスティックファンデーションは、塗布時ののび、なめらかさに優れ、さらに、塗布後においても透明感に優れ適度なカバー力により白浮きも発生せず、自然な素肌感のある仕上がりであることが確認された。
[実施例12:W/O乳化型ファンデーション]
(成分) 重量(%)
1.POE変性シリコーン(HLB=4.5) 0.8
2.ポリリシノレイン酸ポリグリセリル 0.5
3.ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 3.0
4.スクワラン 1.0
5.テトラオクタン酸ペンタエリスリチル 2.0
6.ステアリン酸イヌリン(注1) 1.0
7.メトキシケイヒ酸オクチル 4.0
8.シクロメチコン 15.4
9.防腐剤 適 量
10.抗酸化剤 適 量
11.香料 適 量
12.製造実施例6記載粉体 8.0
13.シリコン処理タルク 5.7
14.シリコン処理色剤 1.0
15.精製水 残 余
16.1,3−ブチレングリコール 6.0
17.グリセリン 1.0
18.塩化ナトリウム 1.0
19.防腐剤 適 量
(注1)レオパールISK(千葉製粉社製)
(製造方法)
A:成分12〜14をヘンシェルミキサーにて撹拌混合する。
B:成分1〜11にAを加え、撹拌機にて均一に分散する。
C:別の容器に成分15〜19を加熱溶解する。
D:BにCを加え乳化後、室温まで冷却し、W/O乳化型ファンデーションを得た。
【0035】
得られたW/O乳化型ファンデーションは、塗布時ののび、なめらかさに優れ、さらに、塗布後においても透明感に優れ適度なカバー力により白浮きも発生せず、自然な素肌感のある仕上がりであることが確認された。
[実施例13:O/W乳化型ファンデーション]
(成分) 重量(%)
1.ステアリン酸 0.4
2.イソステアリン酸 0.3
3.2−エチルヘキサン酸セチル 4.0
4.流動パラフィン 11.0
5.POE(10)ステアリルエーテル 2.0
6.セチルアルコール 0.3
7.防腐剤 0.2
8.タルク 15.0
9.色剤 4.0
10.製造実施例2記載粉体 3.0
11.トリエタノールアミン 0.4
12.プロピレングリコール 5.0
13.精製水 54.1
14.防腐剤 0.2
15.抗酸化剤 0.1
(製造方法)
A:成分1〜7を85℃にて加熱溶解する。
B:成分8〜10を混合粉砕する。
C:成分11〜15を85℃に加熱し、溶解混合する。
D:AにBを加え均一に分散し、これにCを徐々に添加し乳化を行い、室温まで撹拌冷却する。ついで、適当な容器に充填しO/W乳化型ファンデーションを得た。
【0036】
得られたO/W乳化型ファンデーションは、塗布時ののび、なめらかさに優れ、さらに、塗布後においても透明感に優れ適度なカバー力により白浮きも発生せず、自然な素肌感のある仕上がりであることが確認された。
[実施例14:保湿O/Wクリーム]
(成分) 重量(%)
1.架橋型ジメチルポリシロキサン(注1) 8.0
2.架橋型ジメチルポリシロキサン(注2) 28.0
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
4.製造実施例1記載粉体 5.0
5.分岐型ポリグリセリン変性シリコーン(注3) 0.3
6.分岐型ポリグリセリン変性シリコーン(注4) 0.6
7.(アクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー(注5)
0.6
8.アクリル酸ジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマー(5%水溶液)(注6)
12.0
9.ポリエチレングリコール400 1.0
10.乳酸ナトリウム 5.0
11.1,3−ブチレングリコール 5.0
12.精製水 24.5
(注1)信越化学工業(株)製:KSG−15
(注2)信越化学工業(株)製:KSG−16
(注3)信越化学工業(株)製:KF−6104
(注4)信越化学工業(株)製:KF−6100
(注5)セピック社製:シムルゲル600
(注6)クラリアント社製:アリストフレックスAVC
(製造方法)
A:成分3〜5を混合し、均一に分散する。
B:成分1、2及びAを混合し、均一に混合する。
C:成分6〜12を均一に混合する。
D:撹拌下、CにBを徐添して乳化し、保湿O/Wクリームを得た。
【0037】
得られた保湿O/Wクリームは、ベタツキや油っぽさがなくサラッとしており、のび広がりが軽くきしみ感もなく、さっぱりとした使用感、清涼感を有し、またしっとりとしてみずみずしく温度や経時による変化がなく、使用性、安定性にも非常に優れていることが確認された。
[実施例15:O/Wクリーム]
(成分) 重量(%)
1.架橋型ジメチルポリシロキサン(注1) 5.0
2.製造実施例3記載粉体 1.0
3.トリイソステアリン酸グリセリル 8.0
4.セタノール 0.5
5.ステアリン酸 1.0
6.モノステアリン酸グリセリル 0.5
7.セスキオレイン酸ソルビタン 0.5
8.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 1.0
9.トリエタノールアミン 0.5
10.カルボマー(1%水溶液) 20.0
11.ローカストビーンガム(2%水溶液) 5.0
12.1,3−ブチレングリコール 7.0
13.防腐剤 適 量
14.香料 適 量
15.精製水 50.0
信越化学工業(株)製:KSG−15
(製造方法)
A:成分1〜8を加熱混合し、均一にする。
B:成分9〜13、及び15を混合、加熱する。
C:撹拌下、AにBを徐添して乳化し、冷却後、成分14を添加し、O/Wクリームを得た。
【0038】
得られたO/Wクリームは、ベタツキや油っぽさがなくサラッとしており、のび広がりが軽く、しかも密着感に優れ、収まりも良く、さっぱりとした使用感、清涼感を有し、またしっとりとしてみずみずしく、温度や経時による変化がなく、使用性、安定性にも非常に優れていることが確認された。
[実施例16:W/O型クリーム]
(成分) 重量(%)
1.架橋型アルキル・ポリエーテル変性シリコーン(注1) 3.0
2.架橋型アルキル変性ジメチルポリシロキサン(注2) 4.0
3.アルキル変性分岐型ポリエーテル変性シリコーン(注3) 1.0
4.メドウホーム油 3.5
5.マカデミアンナッツ油 5.0
6.ホホバ油 10.0
7.ハイブリッドシリコーン複合粉体(注4) 3.0
8.製造実施例4記載粉体 2.0
9.1,3−ブチレングリコ−ル 8.0
10.グリシン 3.0
11.クエン酸ナトリウム 0.2
12.塩化ナトリウム 0.5
13.防腐剤 適 量
14.香料 適 量
15.精製水 56.8
(注1)信越化学工業(株)製:KSG−340
(注2)信越化学工業(株)製:KSG−44
(注3)信越化学工業(株)製:KF−6038
(注4)信越化学工業(株)製:KSP−100
(製造方法)
A:成分1〜8を均一に混合する。
B:成分9〜13、及び成分15を均一に混合する。
C:撹拌下、AにBを徐添して乳化し、成分14を添加してW/Oクリームを得た。
【0039】
得られたW/Oクリームは、きしみ感もなくのび広がりが軽く、密着性に優れおさまりも良く、しっとりとしてみずみずしく、さっぱりとした使用感、清涼感を与えるとともに、化粧持ちもよく、温度や経時による変化がなく、使用性、安定性にも非常に優れていることが確認された。
[実施例17:ボディーローション]
(成分) 重量(%)
1.アルコール 17.0
2.1,3−ブチレングリコール 3.0
3.分岐型ポリグリセリン変性シリコーン(注1) 0.5
4.トリオクタン酸グリセリル 1.0
5.製造実施例5記載粉体 2.0
6.ハイブリッドシリコーン複合粉体(注2) 10.0
7.アクリル酸ジメチルタウリンアンモニウム/VPコポリマー 0.4
8.キサンタンガム(2%水溶液) 6.0
9.塩化ナトリウム 0.1
10.精製水 60.0
(注1)信越化学工業(株)製:KF−6100
(注2)信越化学工業(株)製:KSP−100
(製造方法)
A:成分1〜6を均一に混合する。
B:成分7〜10を均一に混合する。
C:撹拌下、BにAを徐添して混合し、ボディーローションを得た。
【0040】
得られたボディーローションは、ベタツキや油っぽさがなくサラサラッとしており、のび広がりが軽く、しっとりとしてみずみずしく、さっぱりとした使用感、清涼感を与えるとともに、温度や経時による変化がなく、使用性、安定性にも非常に優れていることが確認された。
[実施例18:サンカットクリーム]
(成分) 重量(%)
1.架橋型ポリエーテル変性シリコーン(注1) 3.0
2.架橋型ジメチルポリシロキサン(注2) 2.0
3.アルキル変性分岐型ポリエーテル変性シリコーン(注3) 1.0
4.ジオクタン酸ネオペンチルグリコール 5.0
5.デカメチルシクロペンタシロキサン 17.5
6.メトキシケイヒ酸オクチル 6.0
7.アクリルシリコーン樹脂溶解品(注4) 10.0
8.カプリリルシラン処理微粒子酸化亜鉛(注5) 20.0
9.製造実施例4記載粉体 3.0
10.1,3−ブチレングリコール 2.0
11.クエン酸ナトリウム 0.2
12.塩化ナトリウム 0.5
13.香料 適 量
14.精製水 29.8
(注1)信越化学工業(株)製:KSG−240
(注2)信越化学工業(株)製:KSG−15
(注3)信越化学工業(株)製:KF−6038
(注4)信越化学工業(株)製:KP−575
(注5)信越化学工業(株)製:AES−3083処理
(製造方法)
A:成分5の一部に成分7を加えて均一にし、成分8、9を添加してビーズミルにて分散する。
B:成分1〜4、及び成分5の残部、6を均一に混合する。
C:成分10〜12、及び成分14を混合して、均一にする。
D:CをBに添加して乳化し、A及び成分12を加えてサンカットクリームを得た。
【0041】
得られたサンカットクリームは、かすかに塗布面がわかるため、肌上にムラなく塗布でき、さらにベタツキがなくのび広がりが非常に軽く、しかも密着感に優れ、おさまりもよく、油っぽさがなくてさっぱりとした使用感を与えると共に、耐水性や撥水性、耐汗性が良好で化粧持ちも非常に優れ、化粧崩れしにくく、温度や経時による変化がなく安定性にも優れていることが確認された。
[実施例19:サンカットクリーム]
(成分) 重量(%)
1.架橋型ポリエーテル変性シリコーン(注1) 2.0
2.架橋型ジメチルポリシロキサン(注2) 3.0
3.分岐型ポリエーテル変性シリコーン(注3) 1.5
4.トリオクタン酸グリセリル 3.5
5.デカメチルシクロペンタシロキサン 6.8
6.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 1.2
7.酸化チタン分散物(注4) 20.0
8.酸化亜鉛分散物(注5) 15.0
9.製造実施例5記載粉体 2.0
10.分岐型ポリグリセリン変性シリコーン(注6) 0.5
11.1,3−ブチレングリコール 5.0
12.クエン酸ナトリウム 0.2
13.塩化ナトリウム 0.5
14.精製水 38.8
(注1)信越化学工業(株)製:KSG−210
(注2)信越化学工業(株)製:KSG−15
(注3)信越化学工業(株)製:KF−6028P
(注4)信越化学工業(株)製:SPD−T6
(注5)信越化学工業(株)製:SPD−Z6
(注6)信越化学工業(株)製:KF−6104
(製造方法)
A:成分5の一部に成分10を溶解し、成分9を均一に分散する。
B:成分1〜4、成分5の残部、6〜8及びAを均一に混合する。
C:成分11〜14を混合する。
D:CをBに添加して乳化し、サンカットクリームを得た。
【0042】
得られたサンカットクリームは、ムラなく塗布でき、のび広がりが軽く、しかも密着感に優れ、きしみ感もなくおさまりもよく、ベタツキや油っぽさがなくてさっぱりとした使用感を与えると共に、耐水性や撥水性、耐汗性が良好で化粧持ちも非常に優れ、化粧崩れしにくく、温度や経時による変化がなく安定性にも優れていることが確認された。
[実施例20:プレス状チークカラー]
(成分) 重量(%)
1.アクリルシリコーン樹脂処理マイカ(注1) 12.0
2.シリコーン処理タルク(注2) 72.1
3.赤色202 0.3
4.黄酸化鉄 2.5
5.黒酸化鉄 0.3
6.シリコーン処理顔料級酸化チタン(注2) 0.5
7.製造実施例6記載粉体 0.3
8.フェニル変性ハイブリッドシリコーン複合粉体(注3) 2.0
9.ジメチルポリシロキサン(6mm/秒(25℃)) 5.0
10.ワセリン 2.0
11.ポリエチレンワックス 3.0
(注1)信越化学工業(株)製:KP−574処理
(注2)信越化学工業(株)製:KF−9909
(注3)信越化学工業(株)製:KSP−300
(製造方法)
A:成分1〜8を均一に分散する。
B:成分9〜11を加熱混合する。
C:BをAに添加して均一に混合し、金皿にプレス成型してプレス状チークカラーを得た。
【0043】
得られたプレス状チークカラーは、のび広がりが軽くて油っぽさや粉っぽさがなく、きしみもなく、肌への付着性にも優れ、さっぱりとした使用感を与えると共にしっとりとしていて、耐水性や撥水性、耐汗性が良好で持ちも良く、化粧崩れしにくく、温度や経時による変化がなく安定性にも優れていることが確認された。
[実施例21:ルースパウダー]
(成分) 重量(%)
1.タルク 残 余
2.製造実施例2記載粉体 1.0
3.アミホープLL 3.0
4.PMMA(10μm)(注1) 8.0
5.防腐剤 適 量
6.色材 適 量
7.スクワラン 1.0
8.防腐剤 適 量
9.抗酸化剤 適 量
10.香料 適 量
(注1)マツモトマイクロスフェアS−100(松本油脂製薬社製)
(製造方法)
A:成分1〜7を混合粉砕する。
B:Aをヘンシェルミキサーに移し、成分8〜10を加えて均一になるよう撹拌混合する。
C:Bをアトマイザーにて粉砕し、これを充填しルースパウダーを得た。
【0044】
得られたルースパウダーは、塗布時ののび、なめらかさに優れ、さらに、塗布後においても透明感に優れ適度なカバー力により白浮きも発生せず、自然な素肌感のある仕上がりであることが確認された。
[実施例22:口紅]
(成分) 重量(%)
1.セレシン 12.0
2.カルナウバワックス 1.0
3.2−エチルヘキサン酸グリセリル 14.0
4.ミネラルオイル 15.0
5.水添ポリイソブテン 20.0
6.メチルフェニルポリシロキサン 20.0
7.レシノレイン酸オクチルドデシル 5.0
8.赤色202号 1.0
9.製造実施例6記載粉体 4.0
10.雲母チタン 3.0
11.抗酸化剤 適 量
12.防腐剤 適 量
(製造方法)
A:成分1〜12を加熱混合し均一に撹拌する。
B:Aを脱泡後モールドにバルクを流し込み、急冷し、口紅を得た。
【0045】
得られた口紅は、ツヤ感に優れ、密着感があり適度な伸びを保持し、通常の顔料級酸化チタンを使用した製剤では塗布色と外観色が同じ色調の製剤を得るのが困難であるが、本実施例で得られた口紅は、塗布色と外観色が同等であることが確認された。
[実施例23:リップカラー]
(成分) 重量(%)
1.パルミチン酸デキストリン 8.0
2.2−エチルヘキサン酸グリセリル 14.0
3.メチルフェニルポリシロキサン 残 余
4.レシノレイン酸オクチルドデシル 15.0
5.水添ポリイソブテン 20.0
6.ミネラルオイル 30.0
7.赤色202号 0.1
8.雲母チタン 1.0
9、製造実施例3記載粉体 0.5
10.防腐剤 適 量
11.抗酸化剤 適 量
(製造方法)
A:成分1〜11を加熱混合し均一に撹拌する。
B:Aを脱泡後、適当な容器に充填後室温まで除冷し、リップカラーを得た。
【0046】
得られたリップカラーは、ツヤ感に優れ、適度な厚み感と密着感に優れ、通常の顔料級酸化チタンを使用した製剤では塗布色と外観色が同じ色調の製剤を得るのが困難であるが、本実施例で得られたリップカラーは、塗布色と外観色が同等であることが確認された。
[実施例24:リップグロス]
(成分) 重量(%)
1.パルミチン酸デキストリン 10.0
2.リンゴ酸ジイソステアリル 45.0
3.流動パラフィン(500cs) 43.6
4.防腐剤 0.1
5.抗酸化剤 0.1
6.雲母チタン 0.1
7.アルミニウム末 0.1
8.製造実施例5記載粉体 1.0
(製造方法)
A:成分1〜5を85℃に加熱し均一に溶解させる。
B:Aに、成分6〜8を加え均一に分散させる。
C:高温で容器に充填し、室温まで急冷し、リップグロスを得た。
【0047】
得られたリップグロスは、密着性、経時安定性に優れ、塗布色と外観色が同等であることが確認された。
[実施例25:アイライナー]
(成分) 重量(%)
1.黒酸化鉄 7.0
2.製造実施例1記載粉体 5.0
3.酢酸ビニル樹脂エマルジョン 45.0
4.濃グリセリン 6.0
5.ラウリン酸POE(20)ソルビタン 1.8
6.カルボキシメチルセルロース(10%水溶液) 18.0
7.精製水 14.9
8.防腐剤 0.1
9.香料 0.2
(製造方法)
A:成分7に5,6を加え、これに1〜3を添加し、コロイドミルで処理する。
B:成分4,8,9を混合し、70℃でAを加えて均一に分散した後、冷却、充填しアイライナーを得た。
【0048】
得られたアイライナーは、密着性、化粧持続性、色調に優れたことが確認された。
[実施例26:マスカラ]
(成分) 重量(%)
1.水 26.0
2.ポリビニルピロリドン 2.0
3.ブチレングリコール 2.0
4.カチオン化セルロース1%水溶液 10.0
5.ベントナイト 0.5
6.トリエタノールアミン 1.7
7.タルク 2.7
8.製造実施例5記載粉体 1.0
9.黄酸化鉄 0.9
10.ベンガラ 0.9
11.黒酸化鉄 4.8
12.カルナウバロウ 5.5
13.ミツロウ 9.0
14.ステアリン酸 2.0
15.自己乳化型ステアリン酸グリセリル 2.0
16.ステアリン酸プロピレングリコール 2.0
17.水添ポリイソブテン 2.0
18.シクロメチコン 4.0
19.防腐剤 適 量
20.抗酸化剤 適 量
21.樹脂エマルション 20.0
(製造方法)
A:成分7〜11をヘンシェルミキサーにて撹拌混合する。
B::成分1〜6にAを加え、撹拌機にて均一に分散する。
C:別の容器に成分12〜20を加熱溶解する。
D:BにCを加え乳化後、40℃まで冷却し、成分21を加え、室温まで冷却し、マスカラを得た。
【0049】
得られたマスカラは、適度なツヤ感を有し、眉毛への付き、化粧持続性、色調に優れたものであることが確認された。
[実施例27:クリームアイシャドウ]
(成分) 重量(%)
1.アクリルシリコーン樹脂溶解品(注1) 10.0
2.ステアリル変性アクリルシリコーン樹脂(注2) 2.0
3.分岐型ポリエーテル変性シリコーン(注3) 1.5
4.デカメチルシクロペンタシロキサン 20.3
5.イソノナン酸イソトリデシル 3.0
6.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 1.2
7.アクリルシリコーン樹脂処理顔料(注4) 10.0
8.製造実施例4記載粉体 10.0
9.球状ナイロン 3.0
10.タルク 4.0
11.エタノール 5.0
12.精製水 30.0
(注1)信越化学工業(株)製:KP−545
(注2)信越化学工業(株)製:KP−561P
(注3)信越化学工業(株)製:KF−6028P
(注4)信越化学工業(株)製:KP−574処理
(製造方法)
A:成分1〜6を混合し、成分7〜10を加えて均一に混合、分散する。
B:成分11〜12を混合する。
C:BをAに添加して乳化し、クリームアイシャドウを得た。
【0050】
以上のようにして得られたクリームアイシャドウは、のび広がりが軽くて油っぽさや粉っぽさがなく、きしみもなく、肌への付着性にも優れ、さっぱりとした使用感を与えると共にしっとりとしていて、耐水性や撥水性、耐汗性が良好で持ちも良く、化粧崩れしにくく、温度や経時による変化がなく安定性にも優れていることが確認された。
[実施例28:アイシャドー]
(成分) 重量(%)
1.メチコン処理タルク 36.5
2.製造実施例2記載粉体 9.0
3.窒化ホウ素 9.0
4.雲母チタン 35.0
5.ジメチコン1000cs 5.0
6.赤色202号 0.5
7.ジオクタン酸ネオペンチルグリコール 1.0
8.スクワラン 4.0
9.防腐剤 適 量
10.抗酸化剤 適 量
(製造方法)
A:成分1〜5を混合粉砕する。
B:Aをヘンシェルミキサーに移し、別に混合した成分6〜10を加えて均一になるよう撹拌混合する。
C:Bをアトマイザーにて粉砕した。これをアルミ皿にプレス成型してアイシャドーを得た。
【0051】
得られたアイシャドーは、化粧持続性、密着性、色調、使用性に優れたものであることが確認された。
[実施例29:ネイルエナメル]
(成分) 重量(%)
1.ニトロセルロース(1/2秒) 10.0
2.変性アルキッド樹脂 10.0
3.クエン酸アセチルトリブチル 5.0
4.酢酸ブチル 15.0
5.酢酸エチル 20.0
6.エタノール 5.0
7.トルエン 35.0
8.群青 0.5
9.製造実施例4記載粉体 0.1
10.有機変性モンモリロナイト 1.0
(製造方法)
A:成分2、3の一部に成分8〜9を溶解しよく練り合わせる。
B:Aに成分2、3 の残部成分1、4〜7及び10を添加混合し、容器に充填しネイルエナメルを得た。
【0052】
得られたネイルエナメルは、爪に対する密着性、経時安定性、色調に優れたものであることが確認された。
[実施例30:固形状油中多価アルコール乳化ホホ紅]
(成分) 重量(%)
1.架橋型ポリグリセリン変性シリコーン(注1) 3.0
2.架橋型ジメチルポリシロキサン(注2) 5.0
3.デカメチルシクロペンタシロキサン 18.0
4.ジメチルポリシロキサン(6mm/秒(25℃)) 21.6
5.イソオクタン酸セチル 5.0
6.ベヘニル変性アクリルシリコーン樹脂(注2) 3.0
7.パラフィンワックス(融点80℃) 9.0
8.ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト 0.2
9.製造実施例6記載粉体 10.0
10.アクリルシリコーン処理青色401(注3) 5.0
11.アクリルシリコーン処理黒酸化鉄(注3) 0.2
12.アクリルシリコーン処理マイカ(注3) 5.0
13.防腐剤 適 量
14.香料 適 量
15.1,3−ブチレングリコール 15.0
(注1)信越化学工業(株)製:KSG−710
(注2)信越化学工業(株)製:KSG−15
(注3)信越化学工業(株)製:KP−562P
(製造方法)
A:成分1〜8を80℃に加熱し、均一に混合する。
B:成分9〜12均一に混合し、Aに添加し、均一に分散する。
C:成分13、15を混合し、80℃に加熱する。
D:CをBに加えて乳化し、成分14を添加して金皿に流し込んで冷却し、固形状油中多価アルコール乳化ホホ紅を得た。
【0053】
得られた固形状油中多価アルコール乳化ホホ紅は、のび広がりが軽くて、ベタツキや油っぽさもなく、肌への付着性に優れ、白浮きもなく後肌のしっとした、経時的に安定性の良い、非水系の固形状油中多価アルコール乳化ホホ紅であることが確認された。
[実施例31:ほほ紅]
(成分) 重量(%)
1. タルク 残 余
2. セリサイト 60.9
3. 微粒子酸化チタン 3.0
4. 製造実施例3記載粉体 2.0
5. 色剤 適 量
6. メトキシケイヒ酸オクチル 3.0
7. パルミチン酸オクチル 5.0
8. 防腐剤 適 量
9. 抗酸化剤 適 量
(製造方法)
A:成分6〜9を加熱溶解させる。
B:成分1〜5をヘンシェルミキサーで混合し、これにAを混合する。
C:Bをアトマイザーにて粉砕し、中皿に成型しほほ紅を得た。
【0054】
得られたほほ紅は、塗布時の伸び、滑らかさに優れ、さらに、外観色と塗布色に違いがない自然な仕上がりであることが確認された。
[実施例32:クリーム状口紅]
(成分) 重量(%)
1.パルミチン酸/エチルヘキサン酸デキストリン(注1) 9.0
2.トリイソステアリン酸ジポリグリセリル 10.0
3.トリオクタン酸グリセリル 8.0
4.アルキル変性架橋型ジメチルポリシロキサン(注2) 8.0
5.アルキル変性分岐型ポリグリセリン変性シリコーン(注3) 2.0
6.デカメチルシクロペンタシロキサン 40.0
7.1,3−ブチレングリコール 5.0
8.精製水 18.0
9.赤色201号 適 量
10.赤色226号 適 量
11.黄色4号 適 量
12.製造実施例2記載粉体 適 量
13.マイカ 適 量
14.香料 適 量
(注1)千葉製粉(株)製:レオパールTT
(注2)信越化学工業(株)製:KSG−43
(注3)信越化学工業(株)製:KF−6105
(製造方法)
A:成分2の一部に、成分9〜12を混合し、ローラーにて分散する。
B:成分1、2の残部及び3〜6を加熱し、均一に混合する。
C:BにAを添加して均一に混合する。
D:成分7、8を混合し加温、Cに加えて乳化する。
E:成分13、14をDに添加し、クリーム状口紅を得た。
【0055】
得られたクリーム状口紅は、のびが軽くて唇に伸ばしやすく、ベタツキや油っぽさもなく、しかし、しっとしていて乾きを感じないもので、白浮きもにじみもなく、化粧持ちがよく、経時的に安定性の良い、クリーム状口紅であることが確認された。
[実施例33:洗顔フォーム]
(成分) 重量(%)
1.ラウリン酸 3.0
2.ミリスチン酸 9.0
3.パルミチン酸 8.0
4.ステアリン酸 10.0
5.グリセリン 15.0
6.1,3−ブチレングリコール 7.0
7.ステアリン酸グリセリル 1.5
8.防腐剤 0.2
9.キレート剤 0.1
10.水 残 余
11.水酸化K 6.0
12.コカミドプロピルベタイン 3.3
13.ココイルグリシンカリウム 3.0
14.グリコシルトレハロース 4.5
15.製造実施例3記載粉体 1.5
(製 法)
A:成分1〜9を混合し加熱溶解する。
B:別の容器に成分10、11を秤量し、Aに加え、けん化を行う。
C:Bに成分12〜15を加え、均一に撹拌混合した後室温まで冷却する。ついで、適当な容器に充填し洗顔フォームを得た。
【0056】
得られた洗顔フォームは、外観が綺麗な白色を呈し、洗浄特性を損なわず、泡立ち、泡持ちに優れたものであることが確認された。
[実施例34〜37:トナー用外添剤]
製造実施例1の藁束状ルチル型酸化チタン含有水懸濁液を35℃に加温保持し、撹拌しながら8N水酸化ナトリウム水溶液を加えpH1.2とし、n−ヘキシルトリメトキシシラン40重量%を添加し30分間撹拌保持後8N水酸化ナトリウム水溶液を加えpH6.5まで中和し、ろ過、水洗を行った。ろ過、水洗済ケーキは150℃で乾燥した後、エアジェット粉砕機により微粉砕した。
(疎水化度の測定)
2.5質量%毎のメタノールを含む水溶液を試験管に用意しておき、疎水化処理した少量の微粉末を投入し、沈降の有無を確認した。疎水化度としては、沈降無の質量%〜沈降有の質量%を疎水化度(%)として表示した。
【0057】
実施例34の疎水化処理した微粉末の疎水化度は57.5〜60.0%と、トナー用外添剤に使用可能な疎水性二酸化チタンを得た。
[実施例35]
製造実施例2の藁束状ルチル型酸化チタン含有水懸濁液を70℃でpH6.5に調整し、ステアリン酸ナトリウム7.0質量%添加後、1h撹拌保持した後、ろ過水洗を行った。ろ過水洗済ケーキは150℃で乾燥した後、エアジェット粉砕機で微粉砕した。当該微粉末の疎水化度は55.0〜57.5%と、トナー用外添剤に使用可能な疎水性二酸化チタンを得た。
[実施例36]
実施例6で得られた藁束状ルチル型酸化チタン含有水懸濁液に8N水酸化ナトリウム水溶液を加えpH6.5まで中和し、ろ過水洗を行った。ろ過水洗済ケーキは130℃で乾燥し、エアジェット粉砕機で微粉砕した。微粉砕した藁束状ルチル型酸化チタンに、ヘンシェルミキサーによりi−ブチルトリメトキシシラン30重量%の乾式処理を行った後、マイクロパルベライザーにより粉砕した。当該微粉末の疎水化度は52.5〜55.0%と、トナー用外添剤に使用可能な疎水性二酸化チタンを得た。
[実施例37]
実施例3で得られた藁束状ルチル型酸化チタン含有水懸濁液に8N水酸化ナトリウム水溶液を加えpH6.5まで中和し、ろ過水洗を行った。ろ過水洗済ケーキは130℃で乾燥し、エアジェット粉砕機で微粉砕した。微粉砕した藁束状ルチル型酸化チタンに、ヘンシェルミキサーによりポリジメチルシロキサン30重量%の乾式処理を行った後、マイクロパルベライザーにより粉砕した。当該微粉末の疎水化度は65.0〜67.5%と、トナー用外添剤に使用可能な疎水性二酸化チタンを得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一個の粒子の短軸径が3〜10nmの棒状粒子の長軸面が短軸方向に配向凝集した粒子形態で、配向凝集した粒子の見掛け平均長軸長が80〜300nm、配向凝集した粒子の見掛け平均短軸長が30〜150nm、見掛け平均軸比(見掛け平均長軸長/見掛け平均短軸長)が1.1〜4で、配向凝集した粒子の長軸の両端が球形状ないし楕円体形状をした、比表面積が120〜180m/gであるルチル型酸化チタンであることを特徴とする藁束状ルチル型酸化チタン。
【請求項2】
粒子表面を無機物及び有機物の一種又は二種以上で含む層で被覆したことを特徴とする請求項1記載の藁束状ルチル型酸化チタン。
【請求項3】
粒子表面を被覆する無機物がアルミニウム、ケイ素、亜鉛、チタニウム、ジルコニウム、鉄、セリウム及び錫のうちの一種又は二種以上であることを特徴とする、請求項2記載の藁束状ルチル型酸化チタン。
【請求項4】
粒子表面を被覆する有機物がシリコーン系化合物、各種カップリング剤及び脂肪酸のうちの一種又は二種以上であることを特徴とする、請求項2記載の藁束状ルチル型酸化チタン。
【請求項5】
請求項1〜4記載の藁束状ルチル型酸化チタンを含有することを特徴とする化粧料。
【請求項6】
請求項1〜4記載の藁束状ルチル型酸化チタンを疎水化処理したことを特徴とするトナー用外添剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−173863(P2010−173863A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15202(P2009−15202)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000109255)チタン工業株式会社 (17)
【Fターム(参考)】