説明

血管運動症状(VMS)を治療するためのモノアミン再取り込みの調節剤としての複素環式フェニルアミノプロパノール誘導体

本発明は、式I:


のフェニルアミノプロパノール誘導体またはその医薬上許容される塩、これらの誘導体を含有する組成物、および、特に、血管運動症状(VMS)、性機能不全、胃腸および尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、神経系障害、およびその組み合わせを包含するモノアミン再取り込みにより改善される症状、特に、大うつ病性障害、血管運動症状、緊張性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害、およびその組み合わせから選択される状態を予防または治療するためのその使用法に関する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2004年5月11日出願の60/557,831の利得を主張する米国特許出願番号(2005年3月28日提出)の優先権を主張し、その全開示は出典明示により本発明の一部として参照される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、フェニルアミノプロパノール誘導体、これらの誘導体を含有する組成物、および、とりわけ血管運動症状(VMS)、性機能不全、胃腸および尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、神経系障害、およびその組み合わせをはじめとするモノアミン再取り込みにより改善される状態、特に、大うつ病性障害、血管運動症状、緊張性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害、およびその組み合わせからなる群から選択される状態を予防し、治療するためのその使用法に関する。
【背景技術】
【0003】
一過性熱感および寝汗と呼ばれる血管運動症状(VMS)は、自然に、または手術により誘発された更年期後の全ての女性の60%〜80%において起こる、更年期に伴う最も一般的な症状である。VMSは、性ステロイドを減退に対する中枢神経系(CNS)の適応反応であるらしい。今日まで、VMSの最も有効な治療法は、エストロゲンおよび/またはあるプロゲスチンを包含するホルモン療法である。ホルモン療法は、VMSを軽減するのに非常に有効であるが、全ての女性に対して適切であるとは限らない。VMSは性ステロイドレベルの変動により引き起こされ、男性および女性のどちらにおいても破壊的で、支障をきたし得ることがよく知られている。一過性熱感は、少なくとも最高30分まで継続し得、頻度は1週間に数回から1日に数回まで変化し得る。患者は、顔面から胸および背中、次に身体の残りの部分へと急速に広がる突然の熱感として一過性熱感を経験する。通常、大量の発汗を伴う。時には、1時間に数回起こることもあり、夜に起こることが多い。夜間に起こる一過性熱感および発汗は、睡眠不足を引き起こし得る。観察される心理学的および感情的症状、例えば、緊張感、疲労、興奮、不眠、抑鬱、記憶喪失、頭痛、不安、緊張感または集中できないことなどは、一過性熱感および寝汗後の睡眠不足により引き起こされると考えられる(Kramerら、In: Murphy et al.、3rd Int’l Symposium on Recent Advances in Urological Cancer Diagnosis and Treatment−Proceedings、Paris、France:SCI:3−7 (1992))。
【0004】
一過性熱感は、乳ガンの治療を受けた女性において一層重く、その理由はいくつかある:1)乳ガンの生存者はタモキシフェンを投与され、その最も一般的な副作用が一過性熱感である;2)乳ガンの治療を受けた多くの女性が化学療法のために早期更年期を経験する;3)乳ガンの履歴を有する女性は、乳ガンの再発の可能性を心配して、一般的にエストロゲン療法を拒否する(Loprinziら、Lancet、2000、356(9247):2059−2063)。
【0005】
男性もステロイドホルモン(アンドロゲン)停止後に一過性熱感を経験する。これは、年齢に関連するアンドロゲン減少の場合(Katovichら、Proceedings of the Society for Experimental Biology & Medicine、1990、193(2):129−35)ならびに前立腺癌の治療に伴うホルモン不足の極端な場合(Berendsenら、European Journal of Pharmacology、2001、419(1):47−54)に当てはまる。これらの患者の1/3もが著しい不快感および不都合を引き起こすのに十分重い持続性および常習性症状を経験する。
【0006】
これらの症状の正確なメカニズムは知られていないが、一般に、体温調節および血管運動活性を制御する正常な恒常性メカニズムのかく乱を意味すると考えられる(Kronenbergら、“Thermoregulatory Physiology of Menopausal Hot Flashes: A Review,”Can.J.Physiol.Pharmacol.、1987、65:1312−1324)。
【0007】
エストロゲン治療(例えば、エストロゲン置換療法)が症状を軽減するという事実により、これらの症状とエストロゲン不足の間の関連性が確立される。例えば、人生の更年期は広範囲に及ぶ前記のような他の急性症状を伴い、これらの症状は一般にエストロゲン反応性である。
【0008】
エストロゲンは、ノルエピネフリン(NE)および/またはセロトニン(5−HT)系の両方の活性を刺激し得ることが示唆されている(J.Pharmacology & Experimental Therapeutics、1986、236(3)646−652)。エストロゲンはNEおよび5−HTレベルを調節し、視床下部の体温調節中枢において恒常性をもたらすと仮定される。視床下部から脳幹/脊髄および副腎を経由して皮膚へと下降する経路が正常な皮膚温度の維持に関与する。NEおよび5−HT再取り込み阻害物質の作用は、CNSおよび末梢神経系(PNS)の両方に関して影響を及ぼすことが知られている。VMSの病態生理は、中枢および末梢メカニズムの両方により媒介され、従ってCNSおよびPNS間の相互作用は、体温調節機能不全の治療において二重作用SRI/NRIの有効性の原因となる。実際、生理学的面およびVMSにおけるCNS/PNSの関与のために、VMSを治療するために提案されている用量は、抑鬱の行動面を治療するために用いられる用量と比較して低い(Loprinziら、Lancet、2000、356:20592063;Stearnsら、JAMA、2003、289:28272834)。VMSの病態生理におけるCNS/PNSの相互作用およびこの書類において提示されたデータは、ノルエピネフリン系がVMSを治療するための標的であり得るという主張を支持するために使用された。
【0009】
VMSは最も一般的にはホルモン療法(経口、経皮、または埋込による)により治療されるが、エストロゲン療法に耐性でない患者もいる(Berendsen、Maturitas、2000、36(3):155−164、Finkら、Nature、1996、383(6598):306)。加えて、ホルモン置換療法は、ホルモン感受性癌(例えば、乳ガンまたは前立腺癌)にかかっているかまたはその危険性がある女性または男性に関しては通常、推奨されない。従って、非ホルモン療法(例えば、フルオキセチン、パロキセチン[SRIs]およびクロニジン)が臨床的に評価されている。WO9944601は、フルオキセチンを投与することにより人間の女性において一過性熱感を減少させる方法を開示している。一過性熱感の治療に関して、ステロイド、アルファ−アドレナリン様作用物質、およびベータ−ブロッカーをはじめとする他の選択肢が研究されているが、成果は様々である(Waldingerら、Maturitas、2000、36(3):165−168)。
【0010】
α−アドレナリン様レセプターが体温調節機能不全に関与することが報告されている(Freedmanら、Fertility & Sterility、2000、74(1):20−3)。これらのレセプターは、シナプス前およびシナプス後に位置し、中枢および末梢神経系における阻害的役割を媒介する。アドレナリン様αレセプターの4つの異なるサブタイプ、すなわち、α2A、α2B、α2Cおよびα2Dがある(Mackinnonら、TIPS、1994、15:119;French、Pharmacol.Ther.、1995、68:175)。非選択的α−アドレナリン受容体拮抗物質、ヨヒンビンは赤面を引き起こし、α−アドレナリン受容体作用物質、クロニジンは、ヨヒンビンの効果を軽減することが報告されている(Katovichら、Proceedings of the Society for Experimental Biology & Medicine、1990、193(2):129−35、Freedmanら、Fertility & Sterility、2000、74(1):20−3)。クロニジンは一過性熱感を治療するために使用されてきた。しかしながら、このような治療の使用は、本明細書に記載され、当該分野において公知の一過性熱感を軽減するために必要な高用量により引き起こされる多くの望ましくない副作用を伴う。
【特許文献1】WO9944601明細書
【非特許文献1】Kramerら、In: Murphy et al.、3rd Int’l Symposium on Recent Advances in Urological Cancer Diagnosis and Treatment−Proceedings、Paris、France:SCI:3−7 (1992)
【非特許文献2】Loprinziら、Lancet、2000、356(9247):2059−2063
【非特許文献3】Katovichら、Proceedings of the Society for Experimental Biology & Medicine、1990、193(2):129−35
【非特許文献4】Berendsenら、European Journal of Pharmacology、2001、419(1): 47−54
【非特許文献5】Kronenbergら、“Thermoregulatory Physiology of Menopausal Hot Flashes: A Review,”Can.J.Physiol.Pharmacol.、1987、65:1312−1324
【非特許文献6】J.Pharmacology & Experimental Therapeutics、1986、236(3)646−652
【非特許文献7】Loprinziら、Lancet、2000、356:20592063
【非特許文献8】Stearnsら、JAMA、2003、289:28272834
【非特許文献9】Berendsen、Maturitas、2000、36(3):155−164
【非特許文献10】Finkら、Nature、1996、383(6598):306
【非特許文献11】Waldingerら、Maturitas、2000、36(3):165−168
【非特許文献12】Freedmanら、Fertility & Sterility、2000、74(1):20−3
【非特許文献13】Mackinnonら、TIPS、1994、15:119;French、Pharmacol.Ther.、1995、68:175
【非特許文献14】Katovichら、Proceedings of the Society for Experimental Biology & Medicine、1990、193(2):129−35
【非特許文献15】Freedmanら、Fertility & Sterility、2000、74(1):20−3
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
体温調節の複雑な多面性ならびに体温調節恒常性におけるCNSおよびPNS間の相互作用を考えると、血管運動症状を標的とする複数の治療法および取り組みを開発することができる。本発明は、これらおよび他の重要な用途に向けられる新規化合物およびこれらの化合物を含有する組成物に焦点を合わせる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、フェニルアミノプロパノール誘導体、これらの誘導体を含有する組成物、および、とりわけ、血管運動症状(VMS)、性機能不全、胃腸および尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、神経系障害、およびその組み合わせを包含するモノアミン再取り込みにより改善される症状、特に、大うつ病性障害、血管運動症状、緊張性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害、およびその組み合わせからなる群から選択される症状の予防および治療のためのその使用法に関する。
【0013】
一具体例において、本発明は、式I:
【化1】

の化合物またはその医薬上許容される塩に関し;
式中、
点線は、UおよびVまたはVおよびW間の任意の二重結合を表す;
Uは独立して、O、S、SO、SO、C=O、N、NR、またはC(Rである;
Wは、CH、CH、またはC=Oである;
ただし、WがCHである場合、UはC(Rでないとする;
Vは、C(R)、C(R2、O、またはN(R)である;
はそれぞれの場合独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、0−3個のRで置換されたアリールアルキルオキシ、0−3個のRで置換されたアリールオキシ、0−3個のRで置換されたアリール、0−3個のRで置換されたヘテロアリール、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、0−3個のRで置換されたフェニルスルホキシド、アルキルスルホン、0−3個のRで置換されたフェニルスルホン、アルキルスルホンアミド、0−3個のRで置換されたフェニルスルホンアミド、0−3個のRで置換されたヘテロアリールオキシ、0−3個のRで置換されたヘテロアリールメチルオキシ、アルキルアミド、または0−3個のRで置換されたフェニルアミドであるか;または2つの隣接するRはメチレンジオキシを表す;
は、0−3個のRで置換されたアリールまたは0−3個のRで置換されたヘテロアリールである;
は、H、0−3個のRで置換されたC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、または0−3個のRで置換されたフェニルである;
はそれぞれの場合独立して、H、C−Cアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールメチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、またはシクロブチルメチルであるか、または
両R基はそれらが結合している窒素と一緒になって4〜6個の環原子を有する複素環を形成し、ここにおいて、1個の炭素原子は所望によりN、O、S、またはSOで置換されていてもよく、任意の炭素原子または追加のN原子は所望によりC−Cアルキル、F、またはCFで置換されていてもよい;
は、HまたはC−Cアルキルである;
は、HまたはC−Cアルキルである;
はそれぞれの場合独立して、H、またはC−Cアルキルであるか、または
およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、3〜6個の炭素原子を含有する窒素含有環を形成する;
はそれぞれの場合独立して、H、C−Cアルキル、C−Cヘテロアルキル、または0−3個のRで置換されていてもよいアリールである;
はそれぞれの場合独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、アルキルスルホン、アルキルスルホンアミド、またはアルキルアミドであるか;または2つの隣接するRはメチレンジオキシを表す;
nは0〜4の整数である;
xは1〜2の整数である;
環Aにおける1〜3個の炭素原子は所望によりNで置換されていてもよい。
【0014】
さらに別の具体例において、本発明は:
a.少なくとも1種の式Iの化合物;および
b.少なくとも1種の医薬上許容される担体を含む組成物に関する。
【0015】
さらに別の具体例において、本発明は、対象においてモノアミン再取り込みにより改善される症状を治療または予防する方法であって:
前記対象に有効量の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与することを含む方法に関する。
モノアミン再取り込みにより改善される状態は、血管運動症状、性機能不全、胃腸および尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、神経系障害、およびその組み合わせからなる群からせんたくされるもの、特に、大うつ病性障害、血管運動症状、緊張性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害、およびその組み合わせからなる群から選択される状態を包含する。
【0016】
もう一つ別の具体例において、本発明は、これを必要とする対象において血管運動症状を治療または予防する方法であって:
前記対象に有効量の少なくとも1種の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
【0017】
さらにもう一つ別の態様において、本発明は、これを必要とする対象において抑鬱を治療または予防する方法であって:
前記対象に有効量の少なくとも1種の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
【0018】
さらに別の具体例において、本発明は、これを必要とする対象において性機能不全を治療又は予防する方法であって:
前記対象に有効量の少なくとも1種の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
【0019】
さらに別の具体例において、本発明は、これを必要とする対象において疼痛を治療又は予防する方法であって:
前記対象に有効量の少なくとも1種の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
【0020】
もう一つ別の具体例において、本発明は、これを必要とする対象において胃腸または尿生殖器障害、特に、緊張性尿失禁または切迫性尿失禁を治療又は予防する方法であって:
前記対象に有効量の少なくとも1種の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
【0021】
もう一つ別の具体例において、本発明は、これを必要とする対象において慢性疲労症候群を治療又は予防する方法であって:
前記対象に有効量の少なくとも1種の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
【0022】
もう一つ別の具体例において、本発明は、これを必要とする対象において線維筋痛症候群を治療又は予防する方法であって:
前記対象に有効量の少なくとも1種の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
【0023】
(図面の簡単な記載)
本発明は、本出願の一部を形成する以下の詳細な記載および添付の図面から、よりよく理解できる。
【0024】
図1はエピネフリン/セロトニンによる体温調節に対するエストロゲン作用の概略図である。
【0025】
図2はノルエピネフリンおよびセロトニンおよびそのそれぞれのレセプター(5−HT2α、αおよびα−アドレナリン)の相互作用の概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、フェニルアミノプロパノール誘導体、これらの誘導体を含有する組成物、および、とりわけ、血管運動症状(VMS)、性機能不全、胃腸および尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、神経系障害、およびその組み合わせを包含するモノアミン再取り込みにより改善される状態、特に、大うつ病性障害、血管運動症状、緊張性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害、およびその組み合わせから選択される状態を予防および治療するためのその使用法に関する。
【0027】
以下の定義は、本明細書において用いられる用語および略語をよく理解するために記載する。
【0028】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる場合、単数形「a」、「an」および「the」は、特に記載しない限り複数も包含する。従って、例えば、「拮抗物質(an antagonist)」なる記載は、複数のかかる拮抗物質を包含し、「化合物(a compound)」なる記載は、当業者に公知の1以上の化合物およびその等価物であるなど。
【0029】
本明細書における略語は、次のように、測定値の単位、技術、特性、または化合物に対応する:「min」は分を意味し、「h」は時間を意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「mM」はミリモル(濃度)を意味し、「M」はモル(濃度)を意味し、「mmole」はミリモルを意味し、「cm」はセンチメートルを意味し、「SEM」は平均の標準誤差を意味し、「IU」は国際単位を意味し、「Δ℃」およびΔ「ED50値」は、観察される状態または効果を50%改善させる用量を意味する(50%平均最大終点)。
【0030】
「ノルエピネフリントランスポーター」は、NETと略記される。
「ヒトノルエピネフリントランスポーター」はhNETと略記される。
「セロトニントランスポーター」はSERTと略記される。
「ヒトセロトニントランスポーター」はhSERTと略記される。
「ノルエピネフリン再取り込み阻害物質」はNRIと略記される。
「選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害物質」はSNRIと略記される。
「セロトニン再取り込み阻害物質」はSRIと略記される。
「選択的セロトニン再取り込み阻害物質」はSSRIと略記される。
「ノルエピネフリン」はNEと略記される。
「セロトニン」は5−HTと略記される。
「皮下」はscと略記される。
「腹腔内」はipと略記される。
「経口」はpoと略記される。
【0031】
この開示に関連して、多くの用語を利用する。本明細書において用いられる「治療」なる用語は、防止的(例えば、予防)、治療的または緩和処置を包含し、本明細書において用いられる「治療する」も、予防的、治療的、および緩和的処置を包含する。
【0032】
本明細書において用いられる「有効量」なる用語は、血管運動症状、抑鬱障害、性機能不全、または疼痛の予防または治療に関して所望の結果を達成するために必要な用量および期間で有効な量を意味する。特に、血管運動症状に関して、「有効量」は、血管運動症状にかかっている対象においてステロイド利用可能性の欠損の一部または全部を補うためにノルエピネフリンレベルを増大させる化合物または組成物の量である。ホルモンレベルの変化は、本発明において必要な化合物の量に影響を及ぼす。例えば、閉経前状態は、閉経前後の状態よりもホルモンレベルが高いために、低レベルの化合物を必要とする。
【0033】
本発明の成分の有効量は、選択された特定の化合物、成分または組成物、投与経路、および成分(単独または1以上の複合薬との組み合わせ)が個体において所望の応答を惹起できる能力だけでなく、疾患状態または改善される状態の重度、ホルモンレベル、個体の年齢、性別、体重、治療される患者の状態、および治療される病的状態の重度、併用薬物または特定の患者のその後の特別食、および当業者により認識される他の因子によって異なる。用量は、改善された治療応答をもたらすように調節することができる。有効量は、成分の毒性または致命的効果よりも治療的に有利な効果が勝っているものでもある。
【0034】
好ましくは、本発明の化合物は、治療開始前の一過性熱感の回数と比較して、一過性熱感の回数が減少するような用量および期間で投与される。このような治療は、治療開始前の一過性熱感の重度と比較して、全体的重度または依然として経験される一過性熱感の全体的な重度および強度分布を有効に減少させる。抑鬱障害、性機能不全、および疼痛に関して、本発明の化合物は、症状または状態が予防、改善または排除されるような用量または時間で投与される。
【0035】
例えば、患者に関して、式Iの化合物、またはその医薬上許容される塩は、好ましくは、約0.1mg/日〜約500mg/日の用量で投与することができ、毎日1または2回投与され、さらに好ましくは、約1mg/日〜約200mg/日、最も好ましくは約1mg/日〜約100mg/日で、一過性熱感あるいは抑鬱障害、性機能不全、または疼痛の症状または状態の回数および/または重度を軽減および/または実質的に排除するために十分な時間で投与することができる。
【0036】
「成分」、「化合物の組成物」、「化合物」、「医薬」、または「生理学的に活性な薬剤」または「活性剤」または「医薬」なる用語は本明細書において交換可能に用いられ、対象となる化合物または化合物の組成物であり、これは、対象(ヒトまたは動物)に投与されると、局所および/または全身的作用により、所望の薬理学的および/または生理学的効果を誘発する。
【0037】
「成分」、「医薬」または「薬理学的に活性な薬剤」または「活性剤」または「医薬」なる用語は本明細書において交換可能に用いられ、対象となる化合物または組成物を意味し、これは器官(ヒトまたは動物)に投与されると、局所および/または全身性作用により所望の薬理学的および/または生理学的効果を誘発する。
【0038】
「調節」なる用語は、生物学的活性またはプロセスの機能的特性、例えば、レセプター結合またはシグナル化活性を向上するか、または阻害するかのいずれかの能力を意味する。このような向上または阻害は、特定の事象の発生、例えば、シグナル変換経路の活性化に不随する、および/または特定の細胞型において出現する。モジュレーターは任意の化合物、例えば、抗体、小分子、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質、好ましくは小分子、またはペプチドを含むことを意図される。
【0039】
本明細書において使用される場合、「阻害物質」なる用語は、比活性、例えば、セロトニン再取り込み活性およびノルエピネフリン再取り込み活性を阻害、抑制、抑圧、または減少させる任意の薬剤である。
【0040】
「阻害物質」なる用語は、例えば、哺乳動物、好ましくはヒトエピネフリン再取り込みあるいはセロトニン再取り込みおよびノルエピネフリン再取り込みの両方に対して部分的、完全、競合性および/または阻害効果を示し、かくして、内因性ノルエピネフリン再取り込みまたはセロトニン再取り込みおよびノルエピネフリン再取り込みの両方の生物学的効果の一部または全部を減少またはブロック、好ましくは減少させる、抗体、小分子、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質、好ましくは、小分子またはペプチドなどの任意の化合物を含むことを意図される。
【0041】
本発明の範囲内で、式Iの化合物は、医薬上許容される塩の形態において調製することができる。本明細書において使用される場合、「医薬上許容される塩」なる用語は、無機塩、および有機塩をはじめとする、医薬上許容される、非毒性酸から調製される塩である。好適な無機塩は、無機および有機酸、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などを包含する。特に好ましいのは、塩酸、臭化水素酸、リン酸、および硫酸であり、最も好ましくは塩酸塩である。
【0042】
本明細書において用いられる「投与する」とは、本発明の化合物または組成物を直接投与すること、あるいは体内で等しい量の活性化合物または物質を形成するプロドラッグ、誘導体または類似体を投与することのいずれかを意味する。
【0043】
「対象」または「患者」なる用語は、本発明の組成物、および/または方法で治療可能なヒトを包含する動物である。「対象」なる用語は、一方の性が特に指定されない限り、男性および女性のどちらも意味する。従って、「患者」なる用語は、血管運動症状、抑鬱障害、性機能不全、または疼痛の治療または予防の恩恵を受け得る任意の動物、例えば、ヒト、特に哺乳動物がメスであるならば、閉経前、閉経前後、または更年期後のいずれかである。さらに、患者なる用語は、ヒトを含むメスの動物を包含し、ヒトのうち、更年期を過ぎた高齢の女性だけでなく、子宮摘出を受けたか、または他の理由でエストロゲン産生が抑制された女性、例えば、長期間、コルチコステロイドの投与を受けているか、クッシング症候群にかかっているか、または性腺形成異常の女性を包含する。しかしながら、「患者」なる用語は、女性に限定されることを意図しない。
【0044】
「時期尚早の更年期」または「人工的更年期」なる用語は、40才前に起こり得る、原因不明の卵巣不全である。これは、喫煙、高地での生活、または劣悪な栄養状態に関連し得る。人工的更年期は、卵巣摘出、化学療法、骨盤の放射線照射、または卵巣血液供給を損なう任意のプロセスの結果生じ得る。
【0045】
「閉経前」なる用語は、月経閉止の前を意味し、「閉経前後」なる用語は、月経閉止の間を意味し、「更年期後」なる用語は、月経閉止の後を意味する。「卵巣摘出」とは、卵巣の除去を意味し、Merchenthalerら、Maturitas、1998、30(3): 307−316にしたがって行うことができる。
【0046】
「副作用」とは、そのために薬剤または処置が使用されるもの以外の結果、例えば、特に、投与により恩恵を受けることを求められる以外の組織または器官系に対する、医薬により生じる悪影響である。例えば、高用量のNRIまたはNRI/SRI化合物単独の場合、「副作用」なる用語は、例えば、嘔吐、悪心、発汗、および赤面などの状態をいう(Janowskyら、Journal of Clinical Psychiatry、1984、45(10 Pt 2):3−9)。
【0047】
本明細書において用いられる「アルキル」は、所望により置換されていてもよい、飽和直鎖、分岐鎖、または環状の、約1〜約20個(およびその範囲内の炭素原子数の範囲および特定の数のあらゆる組み合わせおよび副結合)の炭素原子を有する炭化水素であり、約1〜約8個の炭素原子が好ましく、本明細書において約1〜約4個の炭素原子を「低級アルキル」と称し、より好ましい。アルキル基は、これらに限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチル、3−メチルペンチル、2,2−ジメチルブチル、および2,3−ジメチルブチルを包含する。
【0048】
本明細書において用いられる「ヘテロアルキル」は、一般式(アルキル−X−)−アルキル−(式中、各「アルキル」は、独立して前記定義のとおりであり、「X」は、硫黄、酸素、またはNヘテロ原子含有部分であり、nは1〜4、好ましくは1である)の置換基である。ヘテロアルキル基は、これらに限定されないが、メトキシメチル、エトキシエチル、メトキシエチル、メチルスルファニルメチル、エチルスルファニルエチル、メチルスルファニルエチル、メチルアミノエチル、エチルアミノエチル、およびメチルアミノエチルを包含する。
【0049】
本明細書において用いられる「過フッ素化アルキル」は、前記定義のアルキルであって、炭素原子に直接結合している水素がフッ素で完全に置換されているものである。
【0050】
本明細書において用いられる「アルケニル」は、1以上の二重結合を有する少なくとも2つの炭素原子を有するアルキル基であって、ここにおいて、アルキル基は前記定義のとおりである。アルケニル基は所望により置換されていてもよい。
【0051】
本明細書において用いられる「アルキニル」は、1以上の三重結合を有する少なくとも2つの炭素原子を有するアルキル基であり、ここにおいてアルキル基は前記定義のとおりである。アルキニル基は所望により置換されていてもよい。
【0052】
本明細書において用いられる「アリール」は、所望により置換されていてもよい、約5〜約50個の炭素原子(およびその範囲内の炭素原子の範囲および特定の数のあらゆる組み合わせおよび副結合)を有するモノ−、ジー、トリ−、または他の多環式芳香族環系であり、約6〜約10個の炭素原子が好ましい。非制限的例は、例えば、フェニル、ナフチル、アントラセニル、およびフェナンスレニルを包含する。
【0053】
本明細書において用いられる「ヘテロアリール」は、所望により置換されていてもよい、モノ−、ジ−、トリ−、または他の多環式芳香族環系であって、硫黄、酸素および窒素から選択される少なくとも1、好ましくは1〜約4個のヘテロ原子環構成要素を含むものである。ヘテロアリール基は、例えば、約3〜約50個の炭素原子(およびその範囲内の炭素原子の範囲および特定の数のあらゆる組み合わせおよび副結合)を有することができ、約4〜約10個の炭素原子が好ましい。ヘテロアリール基の非制限的例は、例えば、ピリル、フリル、ピリジル、1,2,4−チアジアゾリル、ピリミジル、チエニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、チオフェニル、ベンゾチエニル、イソベンゾフリル、ピラゾリル、インドリル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、およびイソキサゾリルを包含する。
【0054】
本明細書において用いられる「複素環」は、安定な5〜7員単環または二環式あるいは7〜10員二環式複素環系であって、飽和、部分的不飽和または不飽和(芳香族)で、炭素原子および、N、OおよびSから独立して選択される1〜4個のヘテロ原子を含有するものであって、前記定義の複素環がベンゼン環に縮合した二環式基を包含するものである。窒素および硫黄ヘテロ原子は所望により酸化されていてもよい。複素環は、任意のヘテロ原子または炭素原子でそのペンダント基に結合し、その結果、安定な構造になる。本明細書において記載される複素環は、結果として得られる化合物が安定ならば、炭素または窒素原子上で置換されていてもよい。特に記載されている場合、複素環中の窒素原子は所望により四級化されていてもよい。複素環中のSおよびO原子の合計数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接しないのが好ましい。複素環中のSおよびO原子の合計数が1を超えないのが好ましい。複素環の例は、これらに限定されないが、1H−インダゾール、2−ピロリドニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、2H−ピロリル、3H−インドリル、4−ピペリドニル、4aH−カルバゾール、4H−キノリジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、アクリジニル、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダザロニル、カルバゾリル、4H−カルバゾリル、α−、β−、またはγ−カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3−b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニルピリミジニル、フェナンスリジニル、フェナンスロリニル、フェノキサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、ピペリドニル、4−ピペリドニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアンスレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、キサンテニルを包含する。好ましい複素環は、これらに限定されないが、ピリジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、インドリル、ベンズイミダゾリル、1H−インダゾリル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソキサゾリル、オキシインドリル、ベンゾキサゾリニル、またはイサチニルを包含する。例えば、前記複素環を含有する縮合環およびスピロ化合物も含まれる。
【0055】
本明細書において用いられる「アルコキシ」は、R−O−基(ここにおいて、Rは前記定義のアルキル基である)である。
【0056】
本明細書において用いられる「アリールオキシ」は、R−O−基(ここにおいて、Rは前記定義のアリール基である)である。
【0057】
本明細書において用いられる「ヘテロアリールオキシ」は、R−O−基(ここにおいて、Rは前記定義のヘテロアリール基である)である。
【0058】
本明細書において用いられる「アルカノイルオキシ」は、R−C(=O)−O−基(ここにおいて、Rは1〜5個の炭素原子を有するアルキル基である)である。
【0059】
本明細書において用いられる「アルキルスルホキシド」は、S(=O)−R(ここにおいて、Rは前記定義のアルキルである)である。
【0060】
本明細書において用いられる「アルキルスルホン」は、−S(=O)−R(ここにおいて、Rは前記定義のアルキルである)である。
【0061】
本明細書において用いられる「アルキルスルホンアミド」は、−NR−S(=O)−R(ここにおいて、各Rは独立して前記定義のアルキルであり、NR部分はNHであってもよい)である。
【0062】
本明細書において用いられる「フェニルスルホンアミド」は、−NR−S(=O)−R(ここにおいて、RはHまたは前記定義のアルキルである)である。
【0063】
本明細書において用いられる「ヘテロアリールメチルオキシ」は、−OCH−R(ここにおいて、Rは前記定義のヘテロアリールである)である。
【0064】
本明細書において用いられる「アルキルアミド」は、−NR−C(=O)−R(ここにおいて、各Rは独立して前記定義のアルキルであり、NR部分はNHであってもよい)である。
【0065】
本明細書において用いられる「フェニルアミド」は、−NR−C(=O)−フェニル(ここにおいて、RはHまたは前記定義のアルキルである)である。
【0066】
本明細書において用いられる「ハロ」は、クロロ、ブロモ、フルオロ、およびヨードである。
【0067】
一具体例において、本発明は式I:
【化2】

(式中:
点線は、UとVまたはVとWの間の任意の二重結合を表す;
Uは独立して、O、S、SO、SO、C=O、N、NR、またはC(Rである;
Wは、CH、CH、またはC=Oである;
ただし、WがCHである場合、UはC(Rでないとする;
Vは、C(R)、C(R2、O、またはN(R)である;
は各場合について独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、0−3個のRで置換されたアリールアルキルオキシ、0−3個のRで置換されたアリールオキシ、0−3個のRで置換されたアリール、0−3個のRで置換されたヘテロアリール、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、0−3個のRで置換されたフェニルスルホキシド、アルキルスルホン、0−3個のRで置換されたフェニルスルホン、アルキルスルホンアミド、0−3個のRで置換されたフェニルスルホンアミド、0−3個のRで置換されたヘテロアリールオキシ、0−3個のRで置換されたヘテロアリールメチルオキシ、アルキルアミド、または0−3個のRで置換されたフェニルアミドであるか;あるいは2つの隣接したRはメチレンジオキシを表す;
は0−3個のRで置換されたアリールまたは0−3個のRで置換されたヘテロアリールである;
はH、0−3個のRで置換されたC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、または0−3個のRで置換されたフェニルである;
は、各場合で独立して、H、C−Cアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールメチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、またはシクロブチルメチルであるか、あるいは
両R基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜6個の環原子を有する複素環を形成し、ここにおいて、1個の炭素は任意にN、O、S、またはSOで置換されていてもよく、任意の炭素環原子または追加のN原子は任意にC−Cアルキル、F、またはCFで置換されていてもよい;
はHまたはC−Cアルキルである;
はHまたはC−Cアルキルである;
は、各場合で独立して、H、またはC−Cアルキルであるか、あるいは
およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、3〜6個の炭素原子を含有する窒素含有環を形成する;
は、各場合で独立して、H、C−Cアルキル、C−Cヘテロアルキル、または0−3個のRで置換されたアリールである;
は各場合で独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、アルキルスルホン、アルキルスルホンアミド、またはアルキルアミドであるか;あるいは2個の隣接するRはメチレンジオキシを表す;
nは0〜4の整数である;
xは1〜2の整数である;
環Aにおける1〜3個の炭素原子は任意にNで置換されていてもよい)
の化合物またはその医薬上許容される塩に関する。
環Aに縮合した環における点線は、UとW間またはVとW間の任意の二重結合を表す。2つのR基間の点線は、2つのR基とこれらが結合している窒素と一緒になって形成される4〜6個の環原子を有する任意の複素環を表す。
【0068】
式Iのある好ましい具体例において、UはOである。他の好ましい具体例において、UはSである。他の好ましい具体例において、UはSOである。他の好ましい具体例において、UはSOである。他の好ましい具体例において、UはC=Oである。他の好ましい具体例において、UはNHである。他の好ましい具体例において、UはNRである。他の好ましい具体例において、UはCHである。
【0069】
式Iの化合物のある好ましい具体例において、WはCHである。好ましい他の具体例において、WはCHである。他の好ましい具体例において、WはC=Oである。
【0070】
式Iの化合物のある好ましい具体例において、VはC(R)、特にCHである。他の好ましい具体例において、VはC(R、特にCHである。他の好ましい具体例において、VはOである。他の好ましい具体例において、VはN(R)、特にNHである。
【0071】
式Iの化合物式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rはそれぞれの場合独立して、アルキル、好ましくは、C−C アルキル、さらに好ましくはメチルである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルコキシである。化合物の他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、ハロ、好ましくはFまたはClである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、CFである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、OCFである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、0−3個のRで置換されたベンジルオキシである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、0−3個のRで置換されたアリールオキシである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、0−3個のRで置換されたアリールである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、0−3個のRで置換されたヘテロアリールである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、ヒドロキシである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルカノイルオキシである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、メチレンジオキシである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、ニトロである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、ニトリルである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルケニルである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルキニルである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルキルスルホキシドである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、0−3個のRで置換されたフェニルスルホキシドである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルキルスルホンである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、0−3個のRで置換されたフェニルスルホンである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルキルスルホンアミドである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、0−3個のRで置換されたフェニルスルホンアミドである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、0−3個のRで置換されたヘテロアリールオキシである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、0−3個のRで置換されたヘテロアリールメチルオキシである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルキルアミドである。他の好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、0−3個のRで置換されたフェニルアミドである。
【0072】
式Iの化合物の好ましい具体例において、Rは0−3個のRで置換された、好ましくはRで置換されていないアリールである。ある好ましい具体例において、Rは0−3個のRで置換された、好ましくはRで置換されていないナフチルである。ある好ましい具体例において、Rは0−3個のRで置換された、好ましくはRで置換されていないヘテロアリールである。
【0073】
式Iの化合物のある好ましい具体例において、RはHである。他の好ましい具体例において、RはC−Cアルキル、好ましくはCアルキルである。他の好ましい具体例において、RはC−Cアルキル、好ましくはC−Cアルキルである。他の好ましい具体例において、Rは0−3個のRで置換されたフェニル、特にフェニルである。
【0074】
式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、Hである。ある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、C−Cアルキル、好ましくは、C−Cアルキル、さらに好ましくはメチル、エチル、またはイソプロピルである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、ベンジルである。ある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、ヘテロアリールメチルである。ある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、またはシクロブチルメチルである。
【0075】
式Iの化合物のある好ましい具体例において、両R基は、それらが結合している窒素と一緒になって、4〜6個の環原子を有する複素環を形成し、ここにおいて、1個の炭素は所望により、N、O、S、またはSOで置換されていてもよく、任意の炭素環原子は所望によりC−Cアルキル、F、またはCFで置換されていてもよい。さらに好ましい具体例において、両R基はこれらが結合している窒素と一緒になって、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、またはモルホリン環を形成する。
【0076】
式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立してHである。ある好ましい具体例において、Rはそれぞれの場合独立して、C−Cアルキル、好ましくは、C−Cアルキル、さらに好ましくは、メチル、エチル、またはイソプロピルである。
【0077】
式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、Hである。ある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、C−Cアルキル、好ましくは、C−Cアルキル、さらに好ましくは、メチル、エチル、またはイソプロピルである。
【0078】
式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、Hである。ある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、C−Cアルキル、好ましくはC−Cアルキル、さらに好ましくは、メチル、エチル、またはイソプロピルである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、RおよびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、3〜6個の炭素原子を含有する窒素−含有環、特に、ピロリジニル、ピロリル、ピペリジニル、ピリジニル、アゼパニル、およびアゼピニルを形成する。
【0079】
式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、Hである。ある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、C−Cアルキル、好ましくは、C−Cアルキル、さらに好ましくは、メチル、エチル、またはイソプロピルである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、C−Cヘテロアルキル、好ましくは、メトキシメチル、エトキシエチル、メトキシエチル、メチルスルファニルメチル、エチルスルファニルエチル、メチルスルファニルエチル、メチルアミノエチル、エチルアミノエチル、およびメチルアミノエチルである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、0−3個のRで置換されたアリール、特に、フェニル、トリル、およびキシリルである。
【0080】
式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルキル、好ましくは、C−Cアルキル、C−Cアルキル、好ましくは、C−Cアルキル、さらに好ましくはメチル、エチル、またはイソプロピルである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルコキシである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、ハロである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、CFである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、OCFである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、ヒドロキシである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルカノイルオキシである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、メチレンジオキシである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、ニトロである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、ニトリルである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルケニルである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルキニルである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルキルスルホキシドである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルキルスルホンである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルキルスルホンアミドである。式Iの化合物のある好ましい具体例において、Rは、それぞれの場合独立して、アルキルアミドである。
【0081】
式Iの化合物のある好ましい具体例において、nは0〜3の整数である。さらに好ましくは、nは0〜2である。なおいっそう好ましくは、nは0〜1である。なおいっそう好ましくは、nは0である。
【0082】
式Iの化合物のある好ましい具体例において、xは1〜2の整数である。さらに好ましくは、xは1である。
【0083】
式Iの化合物のある好ましい具体例において、A環中の1〜2個の炭素原子は所望によりNで置換されていてもよい。ある好ましい具体例において、A環中の1個の炭素原子は所望によりNで置換されていてもよい。ある好ましい具体例において、A環中の炭素原子はNで置換されていない。
【0084】
式Iの好ましい化合物は次のものおよびその医薬上許容される塩、特にその二塩酸塩を包含する:
1−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
3−(メチルアミノ)−1−(4−メチル−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル)−1−フェニルプロパン−2−オール;
3−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル]プロパン−2−オール;
1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−2−オール;
1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
3−(メチルアミノ)−1−(6−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−フェニルプロパン−2−オール;
1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
1−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾチアジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−2−オール;
1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−[2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル]プロパン−2−オール;
1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−[2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル]プロパン−2−オール。
【0085】
特に好ましい式Iの化合物は、次のものおよびその医薬上許容される塩、特にその二塩酸塩を包含する:
(1RS,2SR)−1−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
(1S*,2R*)−3−(メチルアミノ)−1−(4−メチル−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル)−1−フェニルプロパン−2−オール;
(1S*,2R*)−3−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル]プロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−2−オール;
(1S*,2R*)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
(1S*,2R*)−3−(メチルアミノ)−1−(6−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−フェニルプロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
(1R,2S)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾチアジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−[(2R)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル]プロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−[(2S)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル]プロパン−2−オール。
【0086】
本発明の化合物のいくつかは、キラル中心を含有することができ、このような化合物は、立体異性体(すなわち、エナンチオマー)の形態において存在することができる。本発明は、このようなすべての立体異性体およびラセミ混合物を包含するその任意の混合物を包含する。立体異性体のラセミ混合物ならびに実質的に純粋な立体異性体は、本発明の範囲内に含まれる。本明細書において用いられる「実質的に純粋」なる用語は、他の可能な立体異性体に対して、少なくとも約90モル%、さらに好ましくは少なくとも約95モル%、最も好ましくは少なくとも約98モル%の所望の立体異性体が存在することを意味する。好ましいエナンチオマーは、ラセミ混合物から、高性能液体クロマトグラフィー(UHPLC)およびキラル塩の形成および結晶化をはじめとする当業者に公知の方法により単離することができるか、あるいは本明細書に記載された方法により調製することができる。例えば、Jacquesら、Enantiomers、RacematesおよびResolutions(Wiley Interscience、New York、1981);Wilen、S.H.ら、Tetrahedron、33:2725(1977);Eliel、E.L. Stereochemistry of Carbon Compounds、(McGraw−Hill、NY、1962);Wilen、S.H. Tables of Resolving AgentsおよびOptical Resolutions、p.268(E.L.Eliel編、University of Notre Dame Press、Notre Dame、IN 1972)参照。
【0087】
本発明は、式Iの化合物のプロドラッグを包含する。本明細書において用いられる「プロドラッグ」は、代謝的手段(例えば、加水分解)によりインビボで式Iの化合物に変換可能な化合物を意味する。プロドラッグの様々な形態は、当該分野において公知であるか、または例えば、Bundgaard、(編)、Design of Prodrugs、Elsevier (1985);Widderら、(編)、Methods in Enzymology、第4巻、Academic Press(1985);Krogsgaard−Larsenら、(編)。“Design and Application of Prodrugs,”Textbook of Drug DesignおよびDevelopment、Chapter 5、113−191(1991)、Bundgaardら、Journal of Drug Deliver Reviews、1992、8:1−38、Bundgaard、J. of Pharmaceutical Sciences、1988、77:285 et seq.;およびHiguchiおよびStella(編)Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems、American Chemical Society(1975)において検討されている。
【0088】
さらに、式Iの化合物は、溶媒和されていない形態、ならびに医薬上許容される溶媒、例えば、水、エタノールなどで溶媒和された形態において存在することができる。一般に、溶媒和形態は、本発明の目的に関して、溶媒和されていない形態と等価であると見なされる。
【0089】
本発明の化合物は、当業者に周知の多くの方法により調製することができる。化合物は、例えば、以下に記載される方法、または当業者により理解されるようにその変法により合成することができる。本発明に関して開示された全ての方法は、ミリグラム、グラム、マルチグラム、キログラム、マルチキログラムまたは商業的規模を包含する任意の規模で実施することが意図される。
【0090】
容易に理解されるように、存在する官能基は、合成の間に保護基を含有することができる。保護基は、ヒドロキシル基およびカルボキシル基などの官能基に選択的に付加することができ、これから除去することができる、それ自体公知の化学官能基である。これらの基は、化合物がさらされる化学反応条件に対してかかる官能基を不活性にするために、化合物中に存在する。様々な保護基の任意のものを本発明に関して用いることができる。本発明に従って用いることができる保護基は、Greene、T.W.およびWuts、P.G.M.、Protective Groups in Organic Synthesis 第2版、Wiley & Sons、1991において記載されている。
【0091】
本発明の化合物は、好適には、次の一般的記載および具体例にしたがって調製される。使用される変数は、特に記載しない限り、式Iにおいて定義したとおりである。本発明の化合物の調製において使用される試薬は、商業的に入手可能であるか、または文献に記載されている標準的手順により調製できるかのいずれかである。
【0092】
本発明の化合物は、キラル中心を含有し、例えばエナンチオマー混合物ならびに光学異性体などの様々な立体異性体形態が提供される。個々の光学異性体は、不斉および/または立体特異的合成により直接、または光学異性体をエナンチオマー混合物から慣用的にキラル分離することにより調製することができる。
【0093】
本発明の化合物は、好適には、次の一般的記載および具体例に従って調製される。使用される変数は、特に記載しない限り式Iにおいて定義したとおりである。本発明の化合物の調製において使用される試薬は、商業的に入手可能であるか、または文献に記載されている標準的手順により調製できるかのいずれかである。
【0094】
本発明の化合物は、キラル中心を含有し、例えばエナンチオマー混合物ならびに光学異性体などの様々な立体異性体形態が提供される。個々の光学異性体は、不斉および/または立体特異的合成により直接、または光学異性体をエナンチオマー混合物から慣用的にキラル分離することにより調製することができる。
【0095】
本発明に従って、式Iの化合物は、次の反応スキーム(スキームI〜VII)に従って製造される。所望のジアステレオマーによって、化合物は異なる合成経路により調製される(ジアステレオマーA−スキームIおよびIII、ジアステレオマーB−スキームIV)。式I−aの化合物を合成することが望ましいならば、これらは式18および19の化合物から、式19のエポキシドを適当に置換された式18の化合物で位置および立体選択的開環することから始まって、式20の化合物を得ることにより調製することができる(スキームI)。エポキシドの位置および立体選択的開環の任意の慣用法をこの変換に用いることができる。本発明の好ましい具体例によると、式18の化合物を式19の化合物と共に約120℃〜約150℃の温度で溶媒の非存在下で加熱して、式20の化合物を得る。式21の化合物は、式20の化合物から、適当なアミンを用いた直接アミド化により形成することができる。エステルをアミドへ直接変換するための任意の変換法を、この変換のために用いることができる。本発明の好ましい具体例によると、式20の化合物を密封された試験管中で、約50℃から約100℃の間の温度で、過剰のアルコール性アミンとともに加熱して、式21の化合物を形成し、これを還元して、式I−aの化合物を形成される。アミドを還元するための任意の変換法をこの変換のために用いることができる。本発明の好ましい具体例によると、式21の化合物をボラン−テトラヒドロフラン複合体と共に、約50℃〜約90℃の間の温度で加熱して、式I−aの化合物を得、任意の慣用法を用いて、これを医薬上許容される塩に変換することができる。
【化3】

(式中、A、R、n、R、R、R、R、U、VおよびWは前記定義のとおりであり、T=C−C低級アルキルである)
【0096】
式I−aaの化合物を製造することが望ましい場合、これらは、式20の化合物のアルキル化により調製することができる(スキームIII)。この変換のために、任意の慣用の第二アルコールのアルキル化法を用いることができる。本発明の好ましい具体例に従って、水素化ナトリウムを塩基として使用して、式20の化合物をアルキルハライドで処理して、式21の化合物を得る。式21の化合物は、式20の化合物の式I−aの化合物への変換について既に記載したのと同じ方法で、式I−aaの化合物に二段階で変換することができる(スキームI)。式I−aの化合物は、任意の慣用法を用いて医薬上許容される塩に変換することができる。
【化4】

【0097】
別法として、式I−aおよびI−aaの化合物は、式23の化合物から形成することができる(スキームIII)。式I−aの化合物は、式23の化合物から、第一アルコールを脱離基に選択的に変換し、これを所望のアミンと置換することにより、形成することができる。第一アルコールを脱離基に選択的に変換し、これをアミンと置換するための任意の慣用法をこの変換のために用いることができる。本発明の好ましい具体例によると、式23のジオールをピリジン中、パラ−トルエンスルホニルクロリドで処理して、式24のトシレートを形成し、過剰のアルコール性アミン溶液で、密封された試験管中で室温または約40℃〜約80℃に加熱するかのいずれかの処理により、これを式I−aの化合物に変換する。式I−aの化合物を、任意の慣用の方法を用いて医薬上許容される塩に変換することができる。
【0098】
式I−aaの化合物を形成することが望ましい場合、これらは、アルキル化と、それに続くアミノ化により、式24の化合物から調製することができる。トシル基の存在下でのヒドロキシル基のアルキル化の任意の慣用法をこの変換のために用いることができる。本発明の好ましい具体例によると、式24の化合物をアルキルトリフルオロメタンスルホネート、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸メチルで、ヒンダード塩基、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルピリジンの存在下で処理する。反応は、室温または約40℃〜約80℃に加熱するかのいずれかで行うことができる。式25の化合物は、式I−aの化合物の合成について既に記載されたようにして式I−aaの化合物に変換することができる。式I−aaの化合物は、任意の慣用法を用いて医薬上許容される塩に変換することができる。
【化5】

(式中、A、R、n、R、R、R、R、R10、U、VおよびWは前記の通りであり、R=C−C低級アルキル;OTs=パラ−トルエンスルホニレートまたは任意の慣用の脱離基である)
【0099】
式I−bの化合物を形成することが望ましいならば、これらは式23の化合物から形成することができる(スキームIV)。式23の化合物は、式I−bの化合物に4段階で変換することができる。この経路は、第一アルコールを選択的に保護し、続いて第二アルコールを脱離基に変換することを含む。第一アルコールの選択的保護のための任意の慣用法、および第二アルコールを脱離基に変換するための任意の慣用法を、この変換のために用いることができる。本発明の好ましい具体例によると、式23の化合物は、ピリジン中パラ−ニトロベンジルクロリドで低温(好ましくは約0℃より低い温度)で処理されて、式26の化合物が形成される。トリエチルアミンを塩基として使用した、ジクロロメタン中メタンスルホニルクロリドとの反応により、式26の化合物を式27の第二メシレートに変換することができる。反応は、好ましくは、約−15℃〜約10℃の間の温度で行われる。式27の化合物における第一アルコールの脱保護により、S2反応により第一エポキシドが形成され、その結果、立体中心が反転する。第一アルコールの脱保護のための任意の慣用法、およびアルファ脱離基上のエポキシド形成のための任意の慣用法をこの変換のために用いることができる。本発明の好ましい具体例によると、式27の化合物を適当な塩基の有機溶媒中水性溶液、好ましくはジオキサン中水性水酸化ナトリウムで処理する。結果として得られる式28のエポキシドは、アミンで位置選択的に開環されて、式I−bの所望のアミノアルコールを得ることができる。第一エポキシドの位置選択的開環のための任意の慣用法を、この変換のために用いることができる。本発明の好ましい具体例によると、式28の化合物を密封されたフラスコ中、室温で、または約40℃〜約90℃に加熱して、アルコール性アミン溶液で処理する。任意の慣用法を用いて、式I−bの化合物を医薬上許容される塩に変換することができる。
【化6】

(式中、A、R、n、R、R、R、R10、U、VおよびWは前記の通りであり、RはHであり、PNB=パラ−ニトロベンジルまたは任意の慣用の保護基であり;OMs=メタンスルホネートまたは任意の慣用の脱離基であり;T=C−C低級アルキルである)
【0100】
式I−bbの化合物を形成することが望ましい場合、これらは式I−bの化合物から、三段階において(スキームV)、式I−bの化合物の式I−bbの化合物への変換(スキームIII)について既に記載されたのと同じ方法で形成することができる。式I−bbの化合物は、任意の慣用法を用いて医薬上許容される塩に変換することができる。
【化7】

(式中、A、R、n、R、R、R、R、R10、U、VおよびWは前記の通りであり、R=C−C低級アルキル、P=保護基、好ましくは、tert−ブトキシカルボニルである)
【0101】
式23の化合物は、適当に置換された式18の化合物を用いて、式17の適当に置換されたエポキシド17(適当に置換されたアリルアルコールのエポキシ化により形成される)の位置および立体選択的開環により形成される(スキームVI)。エポキシドの位置および立体選択的開環のための任意の慣用法をこの変換のために用いることができる。本発明の好ましい具体例によると、式18の化合物を塩基、例えば、水素化ナトリウム、ナトリウムtert−ブトキシド、水酸化カリウム、カリウムtert−ブトキシド、または水酸化カリウムで処理し、次いで式17のエポキシドで処理する。式17のエポキシドは、ルイス酸、例えば、チタニウムイソプロポキシド、ボロン−トリフルオリドなどで前処理して、位置選択的開環を確実にすることができる。反応は室温で、約2〜約72時間にわたって起こる。別法として、好適には求核性である式18の化合物を式17のエポキシドと共に約50℃〜約170℃の温度で加熱して、式23の化合物を形成することができる。
【0102】
トランスアリルアルコールのエポキシ化は、文献に記載された方法を用いて、ラセミ的または不斉的に行うことができる。本発明の好ましい具体例によると、ラセミエポキシ化は、過酢酸またはメタ−クロロ過安息香酸のいずれかを用いて行うことができる。式Iの化合物の単一のエナンチオマーを製造することが望ましいならば、アリルアルコールの不斉エポキシ化は、tert−ブチルヒドロペルオキシドまたはクメンヒドロペルオキシドを用い、適当な酒石酸エステル、チタン(IV)イソプロポキシド、およびモレキュラシーブの存在下で行うことができる。この方法は、文献においてよく確立されている(例えば、K.B.Sharplessら、J.Org.Chem.1986、51、3710)。式18の化合物および出発アリルアルコールは、商業的供給源から入手可能であるか、または文献においてよく確立された方法により利用可能である。
【化8】

(式中、A、R、n、R、R、R、R10、U、VおよびWは前記の通りである)
【0103】
式19の化合物は、文献に記載された方法を用い、トランスアリルエステルまたはトランスアリルアルコールのいずれかから出発してラセミ的または不斉的のいずれかで形成することができる(スキームVII)。本発明の好ましい具体例によると、トランスアリルエステルのラセミエポキシ化は、トリフルオロアセトンおよびオキソンからその場で形成されるジ−(トリフルオロメチル)ジオキシランを用いて行われる(Yang、D.;Wong、M.−K.;Yip J.Org.Chem. 1995、60、3887−3889)。式Iの化合物の単一のエナンチオマーを製造することが望ましいならば、アリルエステルの不斉エポキシ化を、文献において報告されているようにして、オキソンおよびキラルケトンを用いて行うことができる(W−Y.Wu、X.She、Y.Shi、J.Am.Chem.Soc.2002、124、8792)。別法として、式19の化合物は、式17の化合物の酸化およびエステル化により形成することができる(スキームIVに記載)。エポキシアルコールの酸化のための任意の慣用法およびエポキシ酸のエステル化のための任意の慣用法をこの変換のために用いることができる。本発明の好ましい具体例によると、エポキシアルコール17は、四塩化炭素中、過ヨウ素酸ナトリウムおよび触媒三塩化ルテニウムで酸化され、重炭酸ナトリウムで緩衝剤処理される。結果として得られる酸を、ジアゾメタンまたはエタノール中触媒硫酸でエステル化して、式19の化合物を形成することができる。
【化9】

(式中、R、RおよびRは前記の通りであり、T=C−C低級アルキルである)
【0104】
他の具体例において、本発明は:
a.少なくとも1種の式Iの化合物、またはその医薬上許容される塩;および
b.少なくとも1種の医薬上許容される担体を含む医薬組成物に関する。
一般に、式Iの化合物、またはその医薬上許容される塩は、医薬組成物の合計重量基準で、約0.1重量%から約90重量%の量で存在する。好ましくは、式Iの化合物、またはその医薬上許容される塩は、医薬組成物の合計重量基準で、少なくとも約1重量%の量で存在する。さらに好ましくは、式Iの化合物、またはその医薬上許容される塩は、医薬組成物の合計重量基準で、少なくとも約5重量%のレベルで存在する。なおいっそう好ましくは、ノルエピネフリン再取り込み阻害物質またはその医薬上許容される塩は、医薬組成物の合計重量基準で、少なくとも約10重量%のレベルで存在する。なおいっそう好ましくは、式Iの化合物、またはその医薬上許容される塩は、医薬組成物の合計重量基準で、少なくとも約25重量%のレベルで存在する。
【0105】
かかる組成物は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、Alfonoso R. Gennaro、Mack Publishing Company、Easton、PA(1985)に記載されているような許容される調剤法にしたがって調製される。医薬上許容される担体は、処方中の他の成分と適合性であり、生物学的に許容されるものである。
【0106】
本発明の化合物は、そのまま、または慣用の医薬担体との組み合わせにおいて、経口または非経口投与することができる。適用可能な固体担体は、矯味矯臭剤、潤滑剤、可溶化剤、懸濁化剤、充填剤、滑剤、圧縮助剤、結合剤または錠剤崩壊剤または封入物質としても作用できる1以上の物質を包含することができる。散剤において、担体は、微粉砕された活性成分との混合物である微粉砕された固体である。錠剤において、活性成分は、適当な割合で必要な圧縮特性を有する担体と混合され、所望の形状およびサイズに圧縮される。散剤および錠剤は、好ましくは、最高99%までの活性成分を含有する。好適な固体担体は、例えば、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、低融点ワックスおよびイオン交換樹脂を包含する。
【0107】
液体担体を、溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップ、およびエリキシルの調製において用いることができる。本発明の活性成分を、医薬上許容される液体担体、例えば、水、有機溶媒、その両方の混合物または医薬上許容される油脂中に溶解または懸濁させることができる。液体担体は、他の好適な医薬添加剤、例えば、可溶化剤、乳化剤、緩衝剤、保存料、甘味料、矯味矯臭剤、懸濁化剤、増粘剤、着色剤、粘度調節剤、安定化剤、または浸透圧調節剤を含有することができる。経口および非経口投与用の液体担体の好適な例は、水(特に、前記添加剤、例えば、セルロース誘導体、好ましくは、カルボキシメチルセルロースナトリウム溶液を含有する)、アルコール(一価アルコールおよび多価アルコール、例えば、グリコールを包含する)およびその誘導体、および油(例えば、ヤシ油および落花生油)を包含する。経口投与に関して、担体は油性エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびミリスチン酸イソプロピルであり得る。無機液体担体が非経口投与用無菌液体組成物において用いられる。
【0108】
無菌溶液または懸濁液である液体医薬組成物は、例えば、筋肉内、腹腔内または皮下注射により投与することができる。無菌溶液は、静脈内投与することもできる。経口投与は、液体または固体組成物形態のいずれかであってよい。
【0109】
好ましくは、医薬組成物は、単位投与形態、例えば、錠剤、カプセル、散剤、溶液、懸濁液、乳液、顆粒剤、または坐剤である。このような形態において、組成物は、適当な量の活性成分を含有する単位投与量に細分され;単位投与形態は、包装された組成物、例えば、パック入散剤、バイアル、アンプル、あらかじめ充填されたシリンジまたは液体を含有する小袋であり得る。単位投与形態は、例えば、カプセルまたは錠剤それ自体であるか、あるいはパッケージ形態中の適当な数の任意のかかる組成物であり得る。
【0110】
本発明のもう一つ別の具体例において、本発明において有用な化合物は、1以上の他の医薬的活性剤、例えば、哺乳動物において存在する任意の他の医学的状態を治療するために使用される薬剤とともに、哺乳動物に投与することができる。かかる医薬的活性剤の例は、疼痛緩和剤、血管新生阻害剤、抗腫瘍剤、抗糖尿病剤、抗感染剤、または胃腸薬、あるいはその組み合わせを包含する。
【0111】
1以上の他の医薬的活性剤を、治療的に有効な量で、1以上の本発明の化合物と同時に(例えば、個別に同時に、または医薬組成物中で一緒に)、および/または連続して、投与することができる。
【0112】
「併用療法」なる用語は、本開示において記載される治療状態または障害、例えば、一過性熱感、発汗、体温調節に関連する状態または障害などを治療するために、2以上の治療薬または化合物を投与することをいう。このような投与は、各種類の治療薬を同時に使用することを含む。いずれの場合においても、治療計画は、本明細書に記載される状態または障害の治療において医薬の組み合わせの有益な効果をもたらす。
【0113】
投与経路は、式Iの活性化合物、またはその医薬上許容される塩を、適当または所望の作用部位に効率よく輸送する任意の経路、例えば、経口、鼻、肺、経皮、例えば、受動またはイオン導入的送達、または非経口、例えば、直腸、持続性薬剤、皮下、静脈内、尿道内、筋肉内、鼻内、点眼液または軟膏であってよい。さらに、式Iの化合物、またはその医薬上許容される塩と、他の活性成分との投与は、平行して、または同時であってよい。
【0114】
記載された本発明は、特に、血管運動症状(VMS)、性機能不全、胃腸および尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、神経系障害、およびその組み合わせを含むモノアミン再取り込みにより改善される状態、特に、大うつ病性障害、血管運動症状、緊張性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害、およびその組み合わせからなる群から選択される状態の治療、改善、阻害、および/または予防の分野において、実質的に飛躍的進歩をもたらすと考えられる。
【0115】
従って、一具体例において、本発明は、これを必要とする対象において、モノアミン再取り込みにより改善される状態を治療または予防する方法であって:
前記対象に、有効量の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
モノアミン再取り込みにより改善される状態は、血管運動症状、性機能不全、胃腸および尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、神経系障害、およびその組み合わせからなる群から選択されるもの、特に、大うつ病性障害、血管運動症状、緊張性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害、およびその組み合わせからなる群から選択される状態を包含する。
【0116】
「血管運動症状」、「血管運動不安定症状」および「血管運動障害」は、これらに限定されないが、特に体温調節機能不全により引き起こされる、一過性熱感(赤面)、不眠症、睡眠障害、気分障害、過敏性、過度の発汗、寝汗、疲労などを包含する。
【0117】
「一過性熱感」なる用語は、当該分野において承認された用語であって、典型的には、対象において、突然皮膚が赤くなり、通常発汗を伴う、体温における一過性障害を意味する。
【0118】
「性機能不全」なる用語は、これらに限定されないが、欲望および/または性的興奮に関連する状態を包含する。
【0119】
本明細書において用いられる場合、「胃腸および尿生殖器障害」なる用語は、過敏性腸症候群、症候性GERD、過敏性食道、非潰瘍性消化不良、非心臓性胸痛、胆管ジスキネジア、オディ括約筋機能不全、尿失禁(すなわち、切迫性尿失禁、緊張性尿失禁、真性緊張性尿失禁、および混合尿失禁)(無意識の排便または排尿、および便または尿の後だれまたは漏れであって、括約筋制御、認知的機能の喪失、膀胱の過度の膨満、反射亢進および/または無意識の尿道括約筋弛緩、膀胱に関連する筋肉の脆弱性または神経的異常を包含するがこれに限定されない1以上の原因によるものを包含する)、間質性膀胱炎(神経性膀胱)、および慢性的骨盤痛(陰門痛、前立腺痛、および直腸痛を包含するが、これに限定されない)を包含する。
【0120】
本明細書において用いられる場合、「慢性疲労症候群」(CFS)とは、脆弱性、筋肉痛および疼痛、過剰の眠気、倦怠、熱、咽喉痛、リンパ節痛、記憶および/または精神集中障害、不眠、睡眠障害、限局性圧痛、広範性疼痛および疲労、ならびにその組み合わせから選択される生理学的症状により特徴づけられる状態である。
【0121】
本明細書において用いられる場合、「線維筋痛症候群」(FMS)は、FMSおよび他の身体表現性障害、例えば、鬱病を伴うFMS、身体化障害、転換性障害、疼痛障害、心気症、身体醜形障害、未分化身体表現性障害、および身体型NOSを包含する。FMSおよび他の身体表現性障害は、全身性の知覚刺激の高度の認知、異痛症の形態の疼痛知覚における異常(無害刺激に関する疼痛)、痛覚過敏の形態における疼痛知覚の異常(疼痛刺激に対する増大した敏感性)、およびその組み合わせから選択される生理的症状を伴う。
【0122】
本明細書において用いられる場合、「神経系障害」は、嗜癖障害(アルコール、ニコチン、および他の精神活性物質によるものを包含する)および禁断症候群、年齢に関連する学習および精神障害(アルツハイマー病を包含する)、神経性無食欲症、神経性食欲亢進症、多動性障害双極性障害を伴うか又は伴わない注意欠陥障害、疼痛、循環病、うつ病(大うつ病性障害、難治性うつ病、青年期うつ病および小うつ病を包含する)、気分変調性障害、全般性不安障害(GAD)、肥満(すなわち、肥満体または太りすぎの患者の体重の減少)、強迫神経症および関連するスペクトラム障害、反抗的行為障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害、月経前不快気分障害(すなわち、月経前症候群および後期黄体期不快気分障害)、精神異常(統合失調症、統合失調性感情障害、統合失調症様障害を包含する)、季節性情動障害、睡眠障害(例えば、ナルコレプシーおよび遺尿症)、対人恐怖(社会不安障害を包含する)、選択的セロトニン再取り込み阻害(SSRI)「疲労」症候群(すなわち、患者が、初期の満足できる応答期後に、SSRI療法に対して満足な応答を維持できない)を包含する。
【0123】
本明細書において用いられる場合、「疼痛」は、急性疼痛および慢性疼痛の両方を包含し、これは中央性疼痛、末梢性疼痛、またはその組み合わせであってよい。この用語は、これらに限定されないが、神経因性疼痛、内臓痛、筋骨格系疼痛、骨痛、癌性疼痛、炎症性疼痛、およびその組み合わせ、例えば、背下部疼痛、非典型的胸痛、頭痛、例えば、群発性頭痛、偏頭痛、ヘルペス性神経痛、幻肢痛、骨盤痛、筋膜痛、腹痛、頸痛、中心性疼痛、歯痛、オピオイド耐性痛、内臓痛、術後疼痛、骨損傷疼痛、陣痛および出産中の疼痛、熱傷の結果生じる疼痛、分娩後疼痛、狭心痛、神経因性疼痛、例えば末梢神経障害および糖尿病性神経障害、術後疼痛、および本明細書に記載された神経系障害と合併した疼痛をはじめとする多くの異なる種類の疼痛を包含する。
【0124】
本明細書において用いられる場合、「急性疼痛」なる用語は、激痛、限局痛、鋭痛、または刺痛、および/または鈍痛、うずく痛み、広範性疼痛、または燃えるような痛みであり、短期間生じる、中心性または末梢性疼痛をいう。
【0125】
本明細書において用いられる場合、「慢性疼痛」なる用語は、激痛、限局痛、鋭痛、または刺痛、および/または鈍痛、うずく痛み、広範性疼痛、または燃えるような痛みであり、長期間生じる(すなわち、持続性および/または定期的に再発する)、中心性または末梢性疼痛をいい、本発明の目的に関して、神経因性疼痛および癌性疼痛を包含する。慢性疼痛は、神経因性疼痛、痛覚過敏症、および/または異痛症を包含する。
【0126】
本明細書において用いられる場合、「神経因性疼痛」なる用語は、末梢または中枢神経系の損傷または病理変化により引き起こされる慢性痛をさす。神経因性疼痛に関連する病理変化の例は、長期末梢または中枢神経感作、神経系阻害および/または展示機能に対する中心感作関連性損傷および副交感神経と交感神経系間の異常な相互作用を包含する。例えば、糖尿病、切断の外傷後疼痛(幻肢痛など、負傷により引き起こされる神経損傷であり、その結果、末梢および/または中心感作が起こる)、背下部疼痛、癌性疼痛、化学的負傷、毒素、他の大手術、外傷圧迫による末梢神経損傷、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、腰部または頸椎根症、線維筋痛、舌咽神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、灼熱痛、視床症候群、神経根裂離、反射性交感神経性ジストロフィーまたは開胸後疼痛、栄養失調、あるいはウイルス性または細菌性感染症、例えば、帯状疱疹またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)、およびその組み合わせを包含する広範囲におよぶ臨床状態が、神経因性疼痛に関連するか、または神経因性疼痛の基礎をなす。転移性浸潤に続発する状態、有痛脂肪症、熱傷、視床状態に関連する中心性疼痛、およびその組み合わせも神経因性疼痛の定義に含まれる。
【0127】
本明細書において用いられる場合、「痛覚過敏症」なる用語は、典型的侵害刺激に対して感受性の増大がある疼痛を意味する。
【0128】
本明細書において用いられる場合、「異痛症」なる用語は、典型的非侵害刺激に対する感受性における増大を意味する。
【0129】
本明細書において用いられる場合、「内臓痛」なる用語は、例えば、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、神経性膀胱、クローン病、リウマチ(関節痛)、腫瘍、胃炎、膵臓炎、臓器の感染症、胆管障害、およびその組み合わせなどの内臓の疾患に関連するか、またはこれから生じる疼痛を意味する。
【0130】
本明細書において用いられる場合、「女性特有の疼痛」なる用語は、女性の状態に関連する急性および/または慢性の疼痛をいう。このような疼痛は、女性のみ、または主に女性にが直面する疼痛を包含し、例えば、月経、排卵、妊娠または分娩、流産、子宮外妊娠、逆行性月経、卵胞嚢胞または黄体嚢胞の破裂、骨盤内臓器の炎症、子宮筋腫、腺筋症、子宮内膜症、感染症および炎症、骨盤臓器虚血、閉塞、腹腔内癒着、骨盤臓器の解剖学的変形、卵巣膿瘍、骨盤支持の喪失、腫瘍、骨盤鬱血または非婦人科原因による関連痛、およびその組み合わせを包含する。
【0131】
一具体例において、本発明は、これを必要とする対象において血管運動症状を治療または予防する方法であって:
前記対象に少なくとも1種の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与することを含む方法に関する。
【0132】
エストロゲンレベルが低いか、またはエストロゲンが存在しない場合、NEおよび5−HT間の正常なレベルは変更され、この神経伝達物質レベルの変化の結果、体温調節中枢の感受性が変化し得る。変更された化学物質レベルは、熱感として体温調節中枢に翻訳され、それに対応して、視床下部が下降自律神経経路を活性化し、その結果、血管拡張および発汗(一過性熱感)により放熱される(図1)。従って、エストロゲン欠乏の結果、ノルエピネフリン活性が変更される。
【0133】
脳幹の周核体において合成されたノルエピネフリンは、視床下部および脳幹における神経末端で放出される。視床下部において、NEは体温調節中枢にあるニューロンの活性を制御する。脳幹において、NEはセロトニン作動性ニューロン(5HT)を刺激し、アドレナリン作用性α1およびアドレナリン作用性α2シナプス後レセプターにより作用し、セロトニン作動系の活性を刺激する。それに応じて、5−HTニューロンも、体温調節中枢の活性を調節し、NEニューロンにフィードバックする。このフィードバック結合により、5−HT2aレセプターにより作用する5−HTは、NEニューロンの活性を阻害する。シナプス間隙におけるノルエピネフリンも、NEニューロン中に位置するNEトランスポーター(NET)により取り込まれる。トランスポーターはNEをリサイクルし、複数の神経伝達に利用可能にする(図2)。
【0134】
本発明は、ノルエピネフリンの活性の低下を回復する方法による血管運動症状の治療を提供する。視床下部または脳幹におけるノルエピネフリン活性は、(i)NEトランスポーターの活性を阻害すること、(ii)シナプス前アドレナリン作用性α2レセプターの活性を拮抗物質で阻害すること、または(iii)NEニューロン上の5−HTの活性を5−HTα2拮抗物質で阻害することにより上昇させることができる。
【0135】
もう一つ別の具体例において、本発明は、これを必要とする対象において、うつ病を治療または予防する方法であって:
前記対象に、有効量の少なくとも1種の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
【0136】
さらに別の具体例において、本発明は、これを必要とする対象において、性機能不全を治療または予防する方法であって:
前記対象に有効量の少なくとも1種の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
【0137】
もう一つ別の具体例において、本発明は、これを必要とする対象において、胃腸または尿生殖器障害、特に緊張性尿失禁または切迫性尿失禁を治療または予防する方法であって:
前記対象に有効量の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
【0138】
もう一つ別の具体例において、本発明は、これを必要とする対象において、慢性疲労症候群を治療または予防する方法であって:
前記対象に有効量の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
【0139】
もう一つ別の具体例において、本発明は、これを必要とする対象において、線維筋痛症候群を治療または予防する方法であって:
前記対象に有効量の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
【0140】
さらに別の具体例において、本発明は、これを必要とする対象において、疼痛を治療または予防する方法であって:
前記対象に有効量の少なくとも1種の式Iの化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法に関する。
【0141】
疼痛は、例えば、急性疼痛(短期間)または慢性疼痛(規則的に再発するか、または持続性)である。疼痛は、中心性または末梢性であり得る。
【0142】
急性または慢性であり、本発明の方法に従って治療できる疼痛の例は、炎症性疼痛、筋骨格疼痛、骨痛、腰仙痛、頸痛または上部背痛、内臓痛、体性痛、神経因性疼痛、癌性疼痛、損傷または手術により生じる疼痛、例えば、熱傷疼痛または歯痛、または頭痛、例えば、偏頭痛または緊張性頭痛、またはこれらの疼痛の組み合わせを包含する。当業者らは、これらの疼痛は互いに重複し得ることを認識するであろう。例えば、炎症により生じる疼痛は、実際は内臓痛または筋骨格疼痛でもあり得る。
【0143】
本発明の好ましい具体例において、本発明において有用な化合物は、哺乳動物において、慢性疼痛、例えば、末梢または中枢神経系の損傷または病理変化に関連する神経因性疼痛;癌性疼痛;例えば、腹部、骨盤、および/または会陰部位または膵臓炎に関連する内臓痛;例えば、下部または上部背痛、線維筋痛、脊椎痛、顎関節痛、または筋膜疼痛症候群に関連する筋骨格疼痛;例えば、骨、または関節変性障害、例えば、骨関節症、関節リウマチ、または脊髄狭窄に関連する骨痛;頭痛、例えば、偏頭痛または緊張性頭痛;あるいは感染症、例えばHIV、鎌状赤血球貧血、自己免疫障害、多発性硬化症、または炎症、例えば、骨関節炎または関節リウマチに関連する疼痛を治療するために投与される。
【0144】
さらに好ましい具体例において、本発明において有用な化合物は、神経因性疼痛、内臓痛、筋骨格疼痛、骨痛、癌性疼痛または炎症性疼痛またはその組み合わせである慢性疼痛を、本明細書に記載された方法にしたがって治療するために使用される。炎症性疼痛は、様々な医学的状態、例えば、骨関節炎、関節リウマチ、手術、または負傷に関連する。神経因性疼痛は、例えば、糖尿病性神経障害、末梢神経障害、ヘルペス後神経痛、三叉神経痛、腰部または頚部神経根症、線維筋痛、舌咽神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、灼熱痛、視床症候群、神経根裂離、または負傷により生じる神経損傷で、その結果、末梢および/または中枢性感作、例えば、幻肢痛を生じるもの、反射性交感神経性ジストロフィーまたは開胸後疼痛、癌、化学的負傷、毒素、栄養失調、あるいはウイルスまたは細菌感染症、例えば帯状疱疹またはHIV、またはその組み合わせに関連する。本発明の化合物の使用法は、さらに、神経因性疼痛が、転移性浸潤、有痛脂肪症、熱傷、または視床状態に関連する中心性疼痛状態である治療を包含する。
【0145】
既に記載したように、本発明の方法は、実際に体性痛および/または内臓痛を治療するために使用できる。例えば、本発明の方法に従って治療できる体性痛は、手術、歯科処置、熱傷、または身体外傷の間に経験する構造または軟組織損傷に関連する疼痛を包含する。本発明の方法に従って治療できる内臓痛の例は、例えば、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、神経性膀胱、クローン病、リウマチ性(関節痛)、腫瘍、胃炎、膵臓炎、器官の感染、または胆管障害、またはその組み合わせなどの内臓の疾患に関連するか、または疾患の結果生じる種類の疼痛を包含する。当業者らは、本発明の方法にしたがって治療される疼痛は、痛覚過敏症、異痛症、またはその両方にも関連することも認識するであろう。さらに、慢性疼痛は、末梢または中枢性感作を伴ってもよいし、あるいは伴わなくてもよい。
【0146】
本発明において有用な化合物は、女性特有の疼痛ともいう、女性の状態に関連する急性および/または慢性疼痛を治療するためにも使用できる。このような疼痛は、女性のみ、または主に女性が直面する疼痛を包含し、例えば、月経、排卵、妊娠または分娩、流産、子宮外妊娠、逆行性月経、卵胞嚢胞または黄体嚢胞の破裂、骨盤内臓器の炎症、子宮筋腫、腺筋症、子宮内膜症、感染症および炎症、骨盤臓器虚血、閉塞、腹腔内癒着、骨盤臓器の解剖学的変形、卵巣膿瘍、骨盤支持の喪失、腫瘍、骨盤鬱血または非婦人科原因による関連痛を包含する。
【0147】
本発明はさらに、以下の実施例において定義され、ここにおいて、特に記載しない限り、全ての部およびパーセンテージは重量基準であり、度は摂氏度である。これらの例は、本発明の好ましい具体例を示すが、例示のためにのみ提示される。前記およびこれらの実施例から、当業者は、その精神および範囲から逸脱することなく、本発明の本質的特性を解明することができ、本発明の様々な変更および修正を様々な用法および条件に適応することができる。
【0148】
実施例
【実施例1】
【0149】
(1RS,2SR)−1−(1H−インドール−1−イル)−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1−フェニルプロパン−2−オール二塩酸塩
【化10】

【0150】
工程1:インドール(2.34g、20ミリモル)および微粉砕された固体水酸化カリウム(1.12g、20ミリモル)の混合物を、窒素下、室温で30分間撹拌した。ジメチルスルホキシド(1mL)中トランス−3−フェニルグリシドール(3.0g、20ミリモル)を次に添加し、混合物を70℃で2時間、エポキシドが残らなくなるまで撹拌した。混合物を次に冷却し、水およびジクロロメタン間で分配した。有機層を分離し、水で数回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をBiotageクロマトグラフィー(FlasH40i、シリカ、10%、20%、30%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、油状物として、1.92g(36%)の(2RS,3RS)−3−インドール−1−イル−3−フェニル−プロパン−1,2−ジオールを得た。HNMR(DMSO):δ3.27(m、2H、CHOH)、δ4.45(m、1H、CHOH)、δ4.80(t、1H、CHOH)、δ5.20(d、1H、CHOH)、δ5.60(d、1H、CHPh);MS(ESI)m/z 268([M+H])。
【0151】
工程2:(2RS,3RS)−3−インドール−1−イル−3−フェニル−プロパン−1,2−ジオール(1.83g、6.8ミリモル)およびp−トルエンスルホニルクロリド(1.31g、6.8ミリモル)の無水ピリジン(10mL)中溶液を、室温で窒素下、15時間撹拌した。混合物を次に水(10mL)で希釈し、溶液がpH=3になるまで氷/水浴中、塩酸の2N水性溶液で急冷し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水で再度洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮した。残留物をBiotageクロマトグラフィー(FlasH40i、シリカ、10%、25%EtOAc/ヘキサン)により精製して、白色固体として、1.98g(69%)の(2RS,3RS)−トルエン−4−スルホン酸2−ヒドロキシ−3−インドール−1−イル−3−フェニル−プロピルエステルを得た。HNMR(DMSO):δ3.70およびδ3.85(ddおよびdd、2H、CHOTs)、δ4.80(m、1H、CHOH)、δ5.52(d、1H、CHPh)、δ5.82(d、1H、CHOH);MS(ESI)m/z 422([M+H])。
【0152】
工程3:(2RS,3RS)−トルエン−4−スルホン酸2−ヒドロキシ−3−インドール−1−イル−3−フェニル−プロピルエステル(0.185g、0.4ミリモル)、1−メチルピペラジン(0.05 mL、0.4ミリモル)および炭酸カリウム(0.07g、0.44ミリモル)のアセトニトリル(10mL)中混合物を窒素下、還流温度で24時間撹拌した。冷却後、混合物を濾過し、濾液を濃縮し、Biotageクロマトグラフィー(5%メタノール/ジクロロメタン)により精製して、白色固体の(1RS,2SR)−1−(1H−インドール−1−イル)−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1−フェニルプロパン−2−オールを得た。遊離塩基を最小量のエタノール中に溶解させ、塩酸の1Nエーテル性溶液で、溶液がpH=3になるまで処理し、続いてジエチルエーテルで処理した。次に最小量のヘキサンを添加することにより生成物を結晶化して、灰白色固体として、標記化合物、(1RS,2SR)−1−(1H−インドール−1−イル)−3−(4−メチルピペラジン−1−イル)−1−フェニルプロパン−2−オール二塩酸塩を得た。MS m/z 350([M+H]);HRMS:C22273O+ H+としての計算値、350.22269;測定値(ESI、[M+H]+)、350.2228。
【実施例2】
【0153】
(1RS,2SR)−1−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール二塩酸塩
【化11】

3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン(2.027g、15.00ミリモル)およびtrans−エチル−3−フェニルグリシデート(2.883g、15.00ミリモル)の混合物を135℃で12時間撹拌した。冷却後、粘稠性液体をBiotage Horizon(FLASH 40 M、シリカ、10%、20%、30% EtOAc/ヘキサン)および再結晶(最小量の温クロロホルム/ヘキサン/−20℃)により精製して、白色固体として、4.261g(87%)の(2RS,3RS)−3−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロパン酸エチルを得た。MS(ESI)m/z 328.0([M+H])。
【0154】
(2RS,3RS)−3−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロパン酸エチル(283mg、0.864ミリモル)およびエタノール性メチルアミン溶液(5mL、33%エタノール中)の混合物を密封された試験管中、70℃で5時間撹拌した。冷却後、全ての揮発性物質を減圧下で除去した。得られた黄色固体をBiotage Horizon(FLASH 12 S、シリカ、20%、35%、50%EtOAc/ヘキサン)により精製して、白色固体として、235mg(87%)の(2RS,3RS)−3−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−2−ヒドロキシ−N−メチル−3フェニルプロパンアミドを得た。MS(ESI) m/z 311.0([M−H])。
【0155】
(2RS,3RS)−3−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−2−ヒドロキシ−N−メチル−3−フェニルプロパンアミド(216mg、0.692ミリモル)の乾燥テトラヒドロフラン(3mL)中溶液を、窒素下、ボランの溶液(1.0Mテトラヒドロフラン中、3.50mL、3.50ミリモル)で滴下処理し、得られた溶液を70℃で2時間撹拌した。氷浴中で冷却後、反応混合物を塩酸の2N水性溶液(1mL)で処理し、得られた混合物を50℃で30分間加熱した。テトラヒドロフランを減圧下で除去し、水性残留物を水(5mL)中に溶解させ、ジエチルエーテル(10mL)で洗浄した。水性層を固体炭酸カリウムでアルカリ性にし、酢酸エチルで抽出した(2x10mL)。合した有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、減圧下で濃縮して、無色油状物として、202mg(98%)の(1RS,2SR)−1−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オールを得た。この油状物をエタノール(1mL)中に溶解させ、塩酸の溶液(0.5mL、4M1,4−ジオキサン中)で処理した。全ての揮発性物質を再度、減圧下で除去した。得られた白色固体を再結晶して(最小量の温エタノール/エチルエーテル/−20℃)、白色固体として、105mg(41%)の(1RS,2SR)−1−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール二塩酸塩を得た。MS(ESI)m/z 299.0([M+H]);HRMS:C1822+H+としての計算値、299.17540;測定値(ESI、[M+H]+)、299.1755。
【実施例3】
【0156】
(1S,2R)−1−(3−クロロフェニル)−1−(1H−インドール−1−イル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール塩酸塩
【化12】

【0157】
工程1:水素化ナトリウム(60%鉱酸中、4.0g、100ミリモル)のテトラヒドロフラン(600mL)中懸濁液を、エトキシカルボニルメチルホスホン酸ジエチル(20mL、100ミリモル)で、23℃で滴下処理した。1時間後、s,3−クロロベンズアルデヒド(9.3mL、82ミリモル)を添加した。さらに1時間後、反応を水(20mL)で急冷し、真空下で濃縮して、テトラヒドロフランを除去した。残留物を酢酸エチル(300mL)中に溶かし、水(5x300mL)および食塩水(1x300mL)で洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、真空下で濃縮して、透明淡黄色油状物として、(2E)−3−(3−クロロフェニル)−アクリル酸エチルエステル(18g、定量的)を得た。MS(ESI)m/z 210([M+H])。
【0158】
工程2:(2E)−3−(3−クロロフェニル)−アクリル酸エチルエステル(17.6g、82ミリモル)を乾燥ジクロロメタン(300mL)中に溶解させ、−78℃に冷却し、ジ−イソ−ブチルアルミニウムヒドリド(1.0Mヘキサン中溶液、250mL、250ミリモル)で20分にわたって処理した。合計で1.5時間後、反応をメタノール(75mL)で、−78℃で急冷し、23℃に温め、酒石酸カリウムナトリウムの飽和水性溶液(300mL)で処理した。水性相を分離し、ジクロロメタンで抽出した(2x300mL)。合した抽出物を、酒石酸ナトリウムの飽和水性溶液(450mL)で洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、真空下で濃縮して、白濁した黄色油状物(14.6g)を得、これをシリカゲル(25g)上に前吸着させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ 250g、10%、20%酢酸エチル/ヘキサン)により、無色透明油状物として、(2E)−3−(3−クロロフェニル)プロプ−2−エン−1−オール(12.4g、90%)を得た。MS(ESI)m/z 151([M+H−HO])。
【0159】
工程3:実施例10、工程4と同様にして、[(2R,3R)−3−(3−クロロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノールを(2E)−3−(3−クロロフェニル)プロプ−2−エン−1−オールから調製した。MS(ESI)m/z 167([M+H−HO])。
【0160】
工程4(方法A):実施例10、工程5と同様にして、(2S,3S)−3−(3−クロロフェニル)−3−(1H−インドール−1−イル)プロパン−1,2−ジオールを1H−インドールおよび[(2R,3R)−3−(3−クロロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノールから調製した。MS(ES)m/z 302([M+H])。
【0161】
工程4a(方法B):[(2R,3R)−3−(3−クロロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(4.8g、26ミリモル)およびインドリン(d 1.063、2.9mL、26ミリモル)を密封されたフラスコ中、135℃でそのまま加熱した。1.5時間後、冷却された混合物をシリカゲル(25g)上に前吸着させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ 375g、20%、40%、80%酢酸エチル/ヘキサン)により、白色固体として、(2S,3S)−3−(3−クロロフェニル)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)プロパン−1,2−ジオール(5.8g、73%)を得た。MS(ES)m/z 304([M+H])。
【0162】
工程4b(方法B):(2S,3S)−3−(3−クロロフェニル)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)プロパン−1,2−ジオール(5.8g、19ミリモル)の約1:1(v/v)トルエン−ジクロロメタン(200mL)中溶液を、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(4.4g、19ミリモル)のトルエン(100mL)中溶液で、0℃で処理した。30分後、混合物を酢酸エチル(1L)で洗浄し、5%水性炭酸ナトリウム(4x1L)、水(1L)および食塩水(1L)で洗浄し、乾燥し(硫酸マグネシウム)、真空下で濃縮して、暗色油状物(5.4g)を得、これをシリカゲル(15g)上に前吸着させた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ 235g、20%、40%酢酸エチル/ヘキサン)により、白濁黄色油状物として、(2S,3S)−3−(3−クロロフェニル)−3−(1H−インドール−1−イル)プロパン−1,2−ジオール(4.7g、82%)を得た。MS(ES)m/z 302([M+H])。
【0163】
工程5:実施例1、工程2と同様にして、(2S,3S)−トルエン−4−スルホン酸3−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−3−インドール−1−イル−プロピルエステルを(2S,3S)−3−(3−クロロフェニル)−3−(1H−インドール−1−イル)プロパン−1,2−ジオールから調製した。MS(ES)m/z 456([M+H])。
【0164】
工程6:(2S,3S)−トルエン−4−スルホン酸3−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−3−インドール−1−イル−プロピルエステル(0.60g、1.2ミリモル)を、メチルアミンのメタノール中溶液(2.0M、3mL、6ミリモル)で処理し、溶液を23℃で18時間撹拌した。この時点で、溶液を真空下で濃縮し、ジエチルエーテル(50mL)中に溶解させた。有機溶液を水酸化ナトリウムの1N水性溶液(50mL)、水(50mL)および食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、真空下で濃縮し、オレンジ色泡状物(0.30g)を得、これを逆相HPLC(90:10水−アセトニトリル〜50:50水−アセトニトリル(0.1%トリフルオロ酢酸を含有)@20mL/分)により精製した。生成物フラクションを真空下で濃縮して、アセトニトリルを除去し、水性溶液を2N水酸化アンモニウムの水性溶液で塩基性にした。得られた乳白色懸濁液を酢酸エチル(200mL)で抽出し、有機相を水(200mL)および食塩水(100mL)で洗浄し、乾燥し(硫酸ナトリウム)、真空下で濃縮した。残留物を無水エタノール(4mL)中に溶解させ、1,4−ジオキサン中4M塩酸(1.3当量)で処理し、10分間撹拌した。溶液を真空下で濃縮し、次いで無水エタノール(3mL)中に溶解させ、23℃で一夜放置した。真空濾過により、白色結晶性固体として、(1S,2R)−1−(3−クロロフェニル)−1−(1H−インドール−1−イル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール塩酸塩(62mg、3工程に関して5%)を得た。HRMS C1819ClNO + Hとしての計算値、315.12587;測定値(ESI) 315.1267([M+H])。
【実施例4】
【0165】
(1SR,2RS)−3−(メチルアミノ)−1−(4−メチル−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル)−1−フェニルプロパン−2−オール塩酸塩
【化13】

【0166】
工程1:実施例7、工程3と同様にして、3−フェニルグリシドールを白色固体として、シンナミルアルコールから調製した。MS(ES)m/z 151.1([M+H])。
【0167】
工程2:実施例6、工程4と同様にして、(2SR,3SR)−3−(4−メチル−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル)−3−フェニルプロパン−1,2−ジオールを、粘稠性無色油状物として、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン(Cavagnol, J.C.; Wiselogle, F.Y. J.Am. Chem. Soc. 1947, 69, 795-799)および3−フェニルグリシドールから調製した。MS(ES)m/z 299.0([M+H]);HRMS:C1822 + Hとしての計算値、299.1760;測定値(ESI、[M+H])、299.1739。
【0168】
工程3:実施例6、工程6と同様にして、(1SR,2RS)−3−(メチルアミノ)−1−(4−メチル−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル)−1−フェニルプロパン−2−オール塩酸塩を(2SR,3SR)−3−(4−メチル−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル)−3−フェニルプロパン−1,2−ジオールから白色粉末として調製した。MS(ES)m/z 312.0([M+H]);HRMS:C1925O + Hとしての計算値、312.2076;測定値(ESI、[M+H])、312.2065。
【実施例5】
【0169】
(1SR,2RS)−3−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル]プロパン−2−オール塩酸塩
【化14】

【0170】
化合物1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリンを、キノキサリンのトリフルオロ酢酸中、ナトリウムボロヒドリドを使用した1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリンへの還元の白色粉末副生成物として得た(Bugle, R. C.; Osteryoung, R.A. J. Org. Chem. 1979, 44, 1719-1720)。MS(ES)m/z 217.1([M+H])。
【0171】
実施例6、工程4と同様にして、(2SR,3SR)−3−(4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル)−3−フェニルプロパン−1,2−ジオールを、1−(2,2,2−トリフルオロエチル)−1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリンおよび3−フェニルグリシドール(実施例4、工程1)から粘稠性無色油状物として得た。
【0172】
実施例6、工程6と同様にして、(1SR,2RS)−3−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル]プロパン−2−オール塩酸塩を、(2SR,3SR)−3−(4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル)−3−フェニルプロパン−1,2−ジオールから白色粉末として調製した。MS(ES)m/z 380.0([M+H]);HRMS:C2024O + Hとしての計算値、380.1950;測定値(ESI、[M+H])、380.1934。
【実施例6】
【0173】
(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−1−(1H−インドール−1−イル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール塩酸塩
【化15】

【0174】
工程1:trans−3−フルオロ桂皮酸(50g、300ミリモル)およびヨードメタン(300mL)のアセトン(1L)中混合物に、炭酸セシウム(147g、450ミリモル、1.5当量)を数回に分けて添加し、混合物を65℃で1.5時間、密封された反応容器中で加熱した。室温に冷却したら、反応混合物を酢酸エチル(1L)で希釈し、シリカゲルのパッドを通して濾過し、濃縮して、47.33g(87%)のtrans−3−フルオロ桂皮酸メチルエステルを無色油状物として得た。MS(ES)m/z 180.0(M)。
【0175】
工程2:trans−3−フルオロ桂皮酸メチルエステル(69.61g、386ミリモル)の乾燥ジクロロメタン(1L)中溶液に、−78℃、窒素下で、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(ニート、172mL、965ミリモル、2.5当量)を添加漏斗から滴下した。添加が完了した後、反応混合物を−30℃に温め、さらに1時間撹拌し、次いでメタノール(150mL)で急冷した。室温に温めて、反応混合物を酒石酸ナトリウム/カリウムの飽和水性溶液(300mL)で処理し、30分間撹拌した。有機層を連続して、1N水性塩酸溶液、飽和水性重炭酸ナトリウム溶液、食塩水で洗浄し、乾燥した(無水硫酸ナトリウム)。粗油状物をシリカゲルクロマトグラフィー(0−50%酢酸エチル:ヘキサン)により精製して、53.07g(90%)のtrans−3−フルオロシンナミルアルコールを無色油状物として得た。MS(ES)m/z 152.1(M)。
【0176】
工程3:オーブン乾燥された、2つのオーブン乾燥された添加漏斗およびゴム隔壁を取り付けた2−Lの三口丸底フラスコに、D−酒石酸ジイソプロピル(11.55g、49.3ミリモル、0.30当量)、4Å粉末活性化モレキュラシーブ(40g)および乾燥ジクロロメタン(800mL)を窒素下で添加した。−25℃に冷却した後、反応混合物にチタンイソプロポキシド(9.6mL、33ミリモル、0.20当量)をゆっくりと注射器により添加した。10分間撹拌後、無水t−ブチルヒドロパーオキシド(5.5Mデカン中、75.0mL、413ミリモル、2.5当量)を適度な速度で添加漏斗から添加した。得られた混合物を−25℃で30分間撹拌した。温度を−25℃に維持しつつ、乾燥ジクロロメタン(50mL)中trans−3−フルオロシンナミルアルコール(25.0g、164ミリモル)を添加漏斗から滴下した。添加後、反応混合物を−25℃で1時間、−20℃でさらに3時間撹拌した。反応が完了した後、塩化ナトリウムで飽和させた、冷却された水性水酸化ナトリウム溶液(30%、20mL)を−20℃でゆっくりと添加した。ジエチルエーテル(150mL)を添加した後、冷却浴をはずし、混合物を〜5°Cに温め、1時間撹拌した。硫酸マグネシウム(無水、50g)を添加し、混合物を20分間撹拌し、次いでシリカゲルのパッドを通して濾過し、エーテル(300mL)で洗浄した。濾液を濃縮し、トルエンを使用して、過剰のt−ブチルヒドロパーオキシドを共沸蒸留により除去した。残留する油状物をシリカゲル上で精製して(0−30%酢酸エチル:ヘキサン)、24.80g(90%)の[(2R,3R)−3−(3−フルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノールを粘稠性無色油状物として得た。ee%:>96.5%。MS(ESI)m/z 169.1([M+H])。
【0177】
工程4:インドリン(1.42g、11.89ミリモル)および[(2R,3R)−3−(3−フルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(2.0g、11.89ミリモル)の混合物を、125℃で5時間、密封された反応バイアル中で加熱した。冷却して、粗生成物を酢酸エチル中に溶解させ、フルオロシル上に吸着させ、Biotageクロマトグラフィー(FlasH40i、シリカ、0−55%EtOAc/ヘキサン)により精製して、2.55g(75%)の(2S,3S)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−3−(3−フルオロフェニル)プロパン−1,2−ジオールを無色油状物として得た。MS(ESI)m/z 288.1([M+H])。
【0178】
工程5:(2S,3S)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−3−(3−フルオロフェニル)プロパン−1,2−ジオール(2.00g、6.96ミリモル)および活性化二酸化マンガン(20.0g、230ミリモル)のジクロロメタン(30mL)中混合物を、20℃で3時間撹拌した。混合物を酢酸エチル(15mL)で希釈し、シリカゲルのパッドを通して濾過し、濃縮した。粗生成物をBiotageクロマトグラフィー(FlasH40i、シリカ、0−70%EtOAc/ヘキサン)により精製して、1.40g(71%)の(2S,3S)−3−(3−フルオロフェニル)−3−(1H−インドール−1−イル)プロパン−1,2−ジオールを無色油状物として得た。MS(ESI)m/z 286.0([M+H])。HRMS:C1716FNO + Hとしての計算値、286.1238;測定値(ESI、[M+H])、286.1239。
【0179】
工程6:(2S,3S)−3−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)−3−(3−フルオロフェニル)プロパン−1,2−ジオール(452mg、1.586ミリモル)のジクロロメタン(3mL)中溶液に、窒素下、トリエチルアミン(1.1mL、7.93ミリモル)を添加した。混合物を0℃に冷却し、para−トルエンスルホニルクロリド(423mg、2.22ミリモル)を数回に分けて添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、0℃で一夜保存した。無水エタノール中メチルアミン(8M、5mL、40ミリモル)を添加し、反応混合物を密封し、室温に温めながら一夜撹拌した。全ての揮発性物質を減圧下で除去した。油状残渣をジクロロメタン(20mL)中に溶解させ、水性炭酸カリウム(5mL)で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、濃縮した。Biotageクロマトグラフィー(FlasH12i、シリカ、0−15%MeOH/ジクロロメタン/0.5%トリエチルアミン)により精製して、(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−1−(1H−インドール−1−イル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オールを得、これをジクロロメタン(5mL)中に溶解させ、塩酸の1Mエーテル性溶液(1.9mL、1.9ミリモル)で処理した。得られた溶液に、白色粉末が形成されるまで、ヘキサンを添加し、この粉末を集め、ヘキサンで洗浄し、真空中で乾燥して、209mg(44%)の(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−1−(1H−インドール−1−イル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール塩酸塩を白色粉末として得た。MS(ES)m/z 299.0([M+H]);HRMS:C1819FNO + Hとしての計算値、299.1554;測定値(ESI、[M+H])、299.1553。
【実施例7】
【0180】
(1S,2R)−1−(1H−インドール−1−イル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−メチルフェニル)プロパン−2−オール塩酸塩
【化16】

【0181】
工程1:実施例6、工程1と同様にして、trans−2−メチル桂皮酸メチルエステルをtrans−2−メチル桂皮酸から調製した。
【0182】
工程2:実施例6、工程2と同様にして、trans−2−メチルシンナミルアルコールをtrans−2−メチル桂皮酸メチルエステルから無色油状物として調製した。MS(ES)m/z 146.9([M−H])。
【0183】
工程3:trans−2−メチルシンナミルアルコール(1.50g、10.14ミリモル)のジクロロメタン(30mL)中溶液に、炭酸ナトリウム(1.50g、14.19ミリモル)を添加した。混合物を10℃に冷却し、過酢酸(32重量%、2.56mL、12.16ミリモル)を添加漏斗から滴下した。室温に温めながら、反応混合物を3時間撹拌し、飽和水性亜硫酸ナトリウム溶液(15mL)でゆっくりと急冷した。さらにジクロロメタン(30mL)を添加し、混合物を抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、濃縮した。油状残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(10−30%EtOAc/ヘキサン)により精製して、920mg(55%)の3−(2−メチルフェニル)グリシドールを無色油状物として得た。HRMS:C1012 + Hとしての計算値、165.0916;測定値(ESI、[M+H])、165.0936。
【0184】
工程4:実施例10、工程5と同様にして、(2SR,3SR)−3−(1H−インドール−1−イル)−3−(2−メチルフェニル)プロパン−1,2−ジオールをインドールおよび3−(2−メチルフェニル)グリシドールから粘稠性無色液体として調製した。MS(ES)m/z 282.2 ([M+H]);HRMS:C1819NO + Hとしての計算値、282.1494;測定値(ESI、[M+H])、282.1499。
【0185】
工程5:実施例6、工程6と同様にして、(1SR,2RS)−1−(1H−インドール−1−イル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−メチルフェニル)プロパン−2−オールを(2SR,3SR)−3−(1H−インドール−1−イル)−3−(2−メチルフェニル)プロパン−1,2−ジオールから油状物として調製した。
【0186】
工程6:ラセミ(1SR,2RS)1−(1H−インドール−1−イル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−メチルフェニル)プロパン−2−オールをエタノール(20mg/mL)中に溶解させた。得られた溶液を超臨界流体クロマトグラフィー装置上に1mLの増分で段階的に注入した。以下に記載した条件を用いて、ベースライン分割エナンチオマーを集めた。各エナンチオマーのエナンチオマー純度を同様の超臨界流体クロマトグラフィー条件下、Chiralcel OJ−H 5u、250 mm Lx4.6mm IDカラムを用いて、1.2mL/分の流量で、分析用超臨界流体クロマトグラフィー(Berger Instruments、Inc. Newark、DE USA)を用いて測定した。
SFC装置:Berger MultiGram Prep SFC (Berger Instruments、Inc.Newark、
DE 19702
カラム:Chiralcel OJ−H; 5u; 250mm L x 20mm ID (Chiral Technologies、Inc.、Exton、PA、USA)
カラム温度:35℃
SFC Modifier:15% MeOH with 1.0% DEA/85% CO
流量:50mL/分
出口圧:100バール
検出器:UV(220nm)
【0187】
工程7:実施例13、工程2と同様にして、(1S,2R)−1−(1H−インドール−1−イル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−メチルフェニル)プロパン−2−オール塩酸塩を白色固体として、(1S,2R)−1−(1H−インドール−1−イル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−メチルフェニル)プロパン−2−オールから調製し、これをキラル分離のピーク1として単離した(工程6)。キラル純度:100%。MS(ESI)m/z 295.3([M+H]);HRMS:C1922O + Hとしての計算値、295.1805;測定値(ESI、[M+H])、295.1795。
【実施例8】
【0188】
(1S,2R)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール塩酸塩
【化17】

【0189】
工程1:実施例16、工程1と同様にして、6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジンを6−クロロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−3(4H)−オンから黄色固体として調製した。MS(ES)m/z 170.0([M+H]);HRMS:CClNO + Hとしての計算値、170.0367;測定値(ESI、[M+H])、170.0365。
【0190】
工程2:実施例6、工程4と同様にして、(2S,3S)−3−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)プロパン−1,2−ジオールを6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジンおよび[(2R,3R)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(実施例157、工程3)から粘稠性の黄色がかった液体として調製した。MS(ES)m/z 356.1([M+H]);HRMS:C1716ClFNO + Hとしての計算値、356.0860;測定値(ESI、[M+H])、356.0869。
【0191】
工程3:実施例6、工程6と同様にして、(1S,2R)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール塩酸塩を(2S,3S)−3−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(3,5−ジフルオロフェニル)プロパン−1,2−ジオールから白色粉末として調製した。MS(ES)m/z 369.1([M+H]);HRMS:C1819ClF + Hとしての計算値、369.1176;測定値(ESI、[M+H])、369.1178。
【実施例9】
【0192】
(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−2−オール塩酸塩
【化18】

【0193】
実施例16、工程1と同様にして、2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジンを2−メチル−2H−1,4−ベンゾキサジン−3(4H)−オン(Wheeler, K.W.; J.Med. Pharm. Chem. 1962, 5, 1378-1383)から褐色油状物として調製した。MS(ES)m/z 149.9([M+H])。
【0194】
実施例6、工程4と同様にして、(2S,3S)−3−(3−フルオロフェニル)−3−(2−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−1,2−ジオールを2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジンおよび[(2R,3R)−3−(3−フルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(実施例6、工程3)から粘稠性褐色液体として調製した。MS(ES)m/z 318.2([M+H]);HRMS:C1820FNO + Hとしての計算値、318.1500;測定値(ESI、[M+H])、318.1513。
【0195】
実施例6、工程6と同様にして、(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−2−オール塩酸塩を(2S,3S)−3−(3−フルオロフェニル)−3−(2−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−1,2−ジオールから白色粉末として調製した。MS(ES)m/z 331.0([M+H]);HRMS:C1923FN + Hとしての計算値、331.1816;測定値(ESI、[M+H])、331.1804。
【実施例10】
【0196】
(1S,2R)−1−(5−フルオロ−3−メチル−1H−インドール−1−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール塩酸塩
【化19】

【0197】
工程1:4−フルオロ−フェニルアミン(9g、81ミリモル)、濃塩酸(20.4mL)、および水(35.1mL)の混合物に、水(7.8mL)中に溶解させた亜硝酸ナトリウム(6.3g、89.1ミリモル)を添加した。別のフラスコ中で、エタノール(63.6mL)中2−エチルアセト酢酸エチル(14.4g、89.1ミリモル)を0℃で、水(7.5mL)および氷中水酸化カリウム(5.1g、89.1ミリモル)で処理し、前記溶液を添加した。反応のpHを5〜6に調節し、反応を0℃で3時間撹拌し、次いで冷凍庫中で一夜保存した。反応を次に酢酸エチル(100mL)で抽出し、有機物を飽和塩溶液(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。殆どの溶媒を真空中で除去した後、塩酸の14.5%エタノール性溶液(70mL)に78℃で添加した。加熱を2時間続けた。溶媒を真空中で除去し、残留物をジクロロメタン(300mL)および水(100mL)で処理した。有機層を飽和塩化ナトリウム(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮した.ショートウォッシュカラム上で精製して(シリカゲル、25%酢酸エチル/ヘキサン)、5−フルオロ−3−メチル−1H−インドール−2−カルボン酸エチルを白色粉末として得た。MS(ES)m/z 220.0。
【0198】
工程2:エタノール(20mL)および水(15mL)の混合物中5−フルオロ−3−メチル−1H−インドール−2−カルボン酸エチル(8.3g、37.5ミリモル)および水酸化カリウム(6.3g、112.5ミリモル)を還流温度で1時間加熱した。減圧下で体積を10mLまで減じ、塩酸の3N水性溶液で溶液を酸性pHにした。得られた沈殿を濾過し、水(100mL)で洗浄し、真空中、80℃で一夜乾燥して、白色固体として、5−フルオロ−3−メチル−1H−インドール−2−カルボン酸を得た。MS(ES) m/z 192.0。
【0199】
工程3:蒸留キノリン(22mL)中5−フルオロ−3−メチル−1H−インドール−2−カルボン酸(8.49g、43.9ミリモル)および金属銅(0.35g、5.5ミリモル)を3時間還流加熱した。銅粉末を濾過して除去し、塩酸の6N水性溶液で濾液を0℃でpH3にした。溶液をエーテル(200mL)で抽出し、有機物を飽和塩化ナトリウム(200mL)で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、真空中で濃縮して、5−フルオロ−3−メチル−1H−インドールを褐色固体として得た。MS(ES)m/z 150.0。
【0200】
工程4:D−酒石酸ジイソプロピル(6mL、28ミリモル)の塩化メチレン(800mL)中溶液に、−10℃、窒素下で、4Aモレキュラシーブ(15g)、チタンイソプロポキシド(5.9mL、20ミリモル)、およびシンナミルアルコール(27g、200ミリモル)を添加した。混合物を40分間−10℃で熟成させ、その後、−20℃に冷却し、イソオクタン中tert−ブチルヒドロパーオキシド(TBHP、〜450ミリモル)の溶液を滴下して処理した。−30℃〜−15℃で18時間後、反応混合物を水酸化ナトリウムの30%水性溶液(5mL)およびジエチルエーテル(100mL)で処理した。冷却浴をはずし、混合物を〜10°Cに温めた。硫酸マグネシウム(無水、15g)を添加し、混合物を20分間撹拌した。固体が沈殿した後、溶液をシリカゲルのパッドを通して濾過し、エーテル(50mL)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、トルエンを添加して、未反応TBHPを共沸により除去した。残留物を次に、シリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチル/3:1)を用いて精製し、精製された生成物をヘキサン/酢酸エチルから結晶化して、[(2R,3R)−3−フェニルオキシラン−2−イル]メタノールを白色結晶として得た。(18g、60%、98.2%ee)。MS(ESI)m/z 151。
【0201】
工程5:5−フルオロ−3−メチル−1H−インドール(2.91g、19.5ミリモル)および水素化カリウムの50%鉱油中分散液(2.8g、35.1ミリモル)のジクロロメタン(40mL)中混合物を窒素下、室温で10分間撹拌した。[(2R,3R)−3−フェニルオキシラン−2−イル]メタノール(2.0g、13.0ミリモル)およびチタンイソプロポキシド(4.3mL、14.3ミリモル)のジクロロメタン(10mL)中溶液を次に添加し、混合物を室温で12時間撹拌した。エポキシドが消失した後、混合物を塩酸の1N水性溶液(50mL)および酢酸エチル(50mL)間で分配した。有機層を分離し、飽和重炭酸ナトリウム(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した.粗生成物をBiotageクロマトグラフィー(FlasH40i、シリカ、60% 酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、(2S,3S)−3−(5−フルオロ−3−メチル−1H−インドール−1−イル)−3−フェニルプロパン−1,2−ジオールを得た。MS(ESI)m/z 300。
【0202】
工程6:(2S,3S)−3−(5−フルオロ−3−メチル−1H−インドール−1−イル)−3−フェニルプロパン−1,2−ジオール(1.03g、3.4ミリモル)およびp−トルエンスルホニルクロリド(0.78g、4.1ミリモル)の無水ピリジン(11ml)中溶液を室温で、窒素下、12時間撹拌した。反応を塩酸の1N水性溶液(50mL)中に注ぎ、酢酸エチル(50mL)で抽出した。有機物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、濃縮して、(2S,3S)−トルエン−4−スルホン酸3−(5−フルオロ−3−メチル−インドール−1−イル)−2−ヒドロキシ−3−フェニル−プロピルエステルを得た。生成物をさらに精製せずに次の工程で使用した。トルエン−4−スルホン酸3−(5−フルオロ−3−メチル−インドール−1−イル)−2−ヒドロキシ−3−フェニル−プロピルエステル(1.6 g、3.4ミリモル)のメタノール(10mL)中溶液に、メチルアミンのメタノール中2N溶液(8.6mL、17ミリモル)を添加し、反応を12時間撹拌した。完了したら、反応を飽和重炭酸ナトリウム(50mL)および酢酸エチル(50mL)間で分配した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をBiotageクロマトグラフィー(FlasH40i、シリカ、20%MeOH/ジクロロメタン)により精製して、(1S,2R)−1−(5−フルオロ−3−メチル−1H−インドール−1−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オールを無色油状物として得た。遊離塩基を最小量のエタノール中に溶解させ、塩酸の2Nエーテル性溶液で処理し、1時間撹拌した。エタノールを真空中で除去し、透明油状物をエーテル/ジクロロメタンで磨砕して、(1S,2R)−1−(5−フルオロ−3−メチル−1H−インドール−1−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール塩酸塩を白色固体として得た。MS(ESI)m/z 313。
【実施例11】
【0203】
(1RS,2SR)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール塩酸塩
【化20】

【0204】
実施例3、工程1と同様にして、(2RS,3RS)−3−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−2−ヒドロキシ−3−フェニルプロパン酸エチルを6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン(EXAMPLE8、工程1)およびtrans−エチル−3−フェニルグリシデートから、粘稠性黄色液体として調製した。MS(ESI)m/z 362.0([M+H]); HRMS:C1920ClNO + Hとしての計算値、362.1154;測定値(ESI、[M+H])、362.1150。
【0205】
実施例3、工程2と同様にして、(2RS,3RS)−3−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−2−ヒドロキシ−N−メチル−3−フェニルプロパンアミドを(2RS,3RS)−3−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−2−ヒドロキシ−3−フェニル プロパン酸エチルから白色針状晶として調製した。MS(ESI)m/z 344.9([M−H]);HRMS:C1819ClN + Hとしての計算値、347.1157;測定値(ESI、[M+H])、347.1150。
【0206】
実施例3、工程3と同様にして、(1RS,2SR)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール塩酸塩を(2RS,3RS)−3−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−2−ヒドロキシ−N−メチル−3−フェニルプロパンアミドから白色粉末として調製した。MS(ESI)m/z 333.1([M+H]);HRMS:C1821ClN + Hとしての計算値、333.1370;測定値(ESI、[M+H])、333.1381。
【実施例12】
【0207】
(1RS,2SR)−3−(メチルアミノ)−1−(6−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−フェニルプロパン−2−オール塩酸塩
【化21】

【0208】
実施例16、工程1と同様にして、6−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジンを6−メチル−2H−1,4−ベンゾキサジン−3(4H)−オンから黄色油状物として調製した。MS(ES)m/z 150.0([M+H]);HRMS:C11NO + Hとしての計算値、150.0919;測定値(ESI、[M+H])、150.0924。
【0209】
実施例3、工程1と同様にして、(2RS,3RS)−2−ヒドロキシ−3−(6−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−フェニルプロパン酸エチルを6−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジンおよびtrans−エチル−3−フェニルグリシデートから粘稠性黄色液体として調製した。MS(ESI)m/z 342.0([M+H]);HRMS:C2023NO+ Hとしての計算値、342.1700;測定値(ESI、[M+H])、342.1683。
【0210】
実施例3、工程2と同様にして、(2RS,3RS)−2−ヒドロキシ−N−メチル−3−(6−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−フェニルプロパンアミドを(2RS,3RS)−2−ヒドロキシ−3−(6−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−フェニルプロパン酸エチルから白色粉末として調製した。MS (ESI) m/z 325.0([M−H]);HRMS:C1922 + Hとしての計算値、327.1703;測定値(ESI、[M+H])、327.1703。
【0211】
実施例3、工程3と同様にして、(1RS,2SR)−3−(メチルアミノ)−1−(6−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−フェニルプロパン−2−オール塩酸塩を(2RS,3RS)−2−ヒドロキシ−N−メチル−3−(6−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−フェニルプロパンアミドから白色粉末として調製した。MS(ESI)m/z 313.0([M+H]);HRMS:C1924 + Hとしての計算値313.1911;測定値(ESI、[M+H])、313.1908。
【実施例13】
【0212】
(1S,2R)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール塩酸塩
【化22】

【0213】
工程1:ラセミ(1RS,2SR)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール(実施例11)をメタノール中に溶解させた。得られた溶液を超臨界流体クロマトグラフィー装置に注入した。以下に記載された条件を用いて、ベースライン分割エナンチオマーを集めた。各エナンチオマーのエナンチオマー純度を、同じ超臨界流体クロマトグラフィー条件下で、Chiralpak AD−H 5u、250 mm x 4.6 mm IDカラムを2.0mL/分の流量で用い、分析用超臨界流体クロマトグラフィー(Berger Instruments、Inc.Newark、DE USA)を用いて測定した。
SFC装置:Berger MultiGram Prep SFC(Berger Instruments、Inc.Newark、DE 19702
カラム:Chiralpak AD−H;5u;250mm L x 20mm ID (Chiral Technologies、Inc、Exton、PA、USA)
カラム温度:35℃
SFC修飾剤:40% MeOHと0.5%DEA
流量:50mL/分
出口圧:100バール
検出器:UV(266nm)
【0214】
工程2:ピーク1として単離された(1S,2R)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール(58mg、0.17ミリモル)のジクロロメタン(3mL)中溶液を、塩酸のエーテル性溶液(1M、0.2mL、0.2ミリモル)で処理した。得られた溶液に、白色粉末が形成されるまでヘキサンを添加し、この粉末を集め、ヘキサンで洗浄し、真空中で乾燥して、62mg(45%)の(1S,2R)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール塩酸塩を得た。キラル純度:>99.9%。MS(ESI)m/z 333.0([M+H]);HRMS:C1821ClN + Hとしての計算値、333.1370;測定値(ESI、[M+H])、333.1372。
【実施例14】
【0215】
(1R,2S)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール塩酸塩
【化23】

【0216】
実施例13、工程2と同様にして、(1R,2S)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール塩酸塩を、キラル分離のピーク2として単離された(1R,2S)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール(実施例13、工程1)から調製した。キラル純度:>99.9%。MS(ESI)m/z 333.0([M+H]);HRMS:C1821ClN + Hとしての計算値、333.1370;測定値(ESI、[M+H])、333.1374。
【実施例15】
【0217】
(1S,2R)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール塩酸塩
【化24】

【0218】
実施例6、工程4と同様にして、(2S,3S)−3−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(3−フルオロフェニル)プロパン−1,2−ジオールを6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン(実施例8、工程1)および[(2R,3R)−3−(3−フルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(実施例6、工程3)から粘稠性の黄色がかった液体として調製した。MS(ES) m/z 335.8([M−H]);HRMS:C2022FNO + Hとしての計算値、338.0959;測定値(ESI、[M+H])、338.0959。
【0219】
実施例6、工程6と同様にして、(1S,2R)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール塩酸塩を(2S,3S)−3−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(3−フルオロフェニル)プロパン−1,2−ジオールから白色粉末として調製した。MS(ES)m/z 351.0([M+H]);HRMS:C1820ClFN + Hとしての計算値、351.1276;測定値(ESI、[M+H])、351.1276。
【実施例16】
【0220】
(1S,2R)−1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール塩酸塩
【化25】

【0221】
工程1:2,2−ジメチル−2H−1,4−ベンゾキサジン−3(4H)−オン(2.658g、15.0ミリモル)(Caliendo, G.; Perissutti, E.; Santagada V.; Fiorino, F.; Severino, B.; Bianca, R.)のテトラヒドロフラン(10mL)中溶液に、窒素下で、ボランの溶液(1.0Mテトラヒドロフラン中、22.5mL、22.5ミリモル)をシリンジからゆっくりと添加した。得られた混合物を室温で10分間、次に70℃で1時間撹拌した。冷却後、反応混合物をメタノール(3mL)でゆっくりと急冷した。全ての揮発性物質を減圧下で除去した。塩酸の1N水性溶液(10mL)を液体残留物に添加し、混合物を50℃に10分間温めた。冷却後、飽和重炭酸ナトリウム溶液(15mL)を用いて反応混合物をアルカリ性にし、酢酸エチル(25mL)で抽出した。有機層を水、食塩水で洗浄し、乾燥し(無水硫酸ナトリウム)、シリカゲルのパッドを通して濾過し、減圧下で濃縮して、2.310g(94%)の2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジンを褐色油状物として得た。MS(ES)m/z 164.0([M+H])。
【0222】
工程2:実施例6、工程4と同様にして、(2S,3S)−3−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(3−フルオロフェニル)プロパン−1,2−ジオールを2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジンおよび[(2R,3R)−3−(3−フルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(実施例6、工程3)から白色固体として調製した。MS(ES)m/z332.2([M+H]);HRMS:C1922FNO + Hとしての計算値、332.1657;測定値(ESI、[M+H])、332.1648。
【0223】
工程3:実施例6、工程6と同様にして、(1S,2R)−1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール塩酸塩を(2S,3S)−3−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(3−フルオロフェニル)プロパン−1,2−ジオールから白色粉末として調製した。MS(ES) m/z 345.2([M+H]);HRMS:C2025FN + Hとしての計算値、345.1978;測定値(ESI、[M+H])、345.1981。
【実施例17】
【0224】
(1S,2R)−1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール塩酸塩
【化26】

【0225】
実施例6、工程4と同様にして、(2S,3S)−3−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−フェニルプロパン−1,2−ジオールを2,2−ジメチル−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン(実施例16、工程1)および[(2R,3R)−3−フェニルオキシラン−2−イル]メタノール(実施例10、工程4)から白色固体として調製した。MS(ES)m/z 314.1([M+H])。
【0226】
実施例6、工程6と同様にして、(1S,2R)−1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール塩酸塩を(2S,3S)−3−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−フェニルプロパン−1,2−ジオールから白色粉末として調製した。MS(ES)m/z 327.2([M+H]);HRMS:C2026 + Hとしての計算値、327.2073;測定値(ESI、[M+H])、327.2082。
【実施例18】
【0227】
(1S,2R)−1−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾチアジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール塩酸塩
【化27】

【0228】
実施例6、工程4と同様にして、(2S,3S)−3−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾチアジン−4−イル)−3−(3−フルオロフェニル)プロパン−1,2−ジオールを3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン(EI-Subbagh, H.I.; Abadi, A. H.; AI-Khawad, I. E.; AI-Rashood, K.A.; Arch. Pharm. 1999, 332, 19-24)および[(2R,3R)−3−(3−フルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(実施例6、工程3)から粘稠性の黄色がかった液体として調製した。MS(ES) m/z 320.1 ([M+H]);HRMS:C1718FNOS + Hとしての計算値、320.1115;測定値(ESI、[M+H])、320.1113。
【0229】
実施例6、工程6と同様にして、(1S,2R)−1−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾチアジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール塩酸塩を(2S,3S)−3−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾチアジン−4−イル)−3−(3−フルオロフェニル)プロパン−1,2−ジオールから白色粉末として調製した。MS(ES)m/z 333.1([M+H]); HRMS:C1821FNOS + Hとしての計算値、333.1431;測定値(ESI、[M+H])、333.1420。
【実施例19】
【0230】
(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−2−オール塩酸塩
【化28】

【0231】
実施例6、工程4と同様にして、(2S,3S)−3−(3−フルオロフェニル)−3−(2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−1,2−ジオールを2−フェニル−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン(Olagbemiro, T. O.; Nyakutse, C.A.; Lajide, L.; Agho, M. O.; Chukwu, C. E.; Bull. Soc. Chim. Belg. 1987, 96, 473-480)および[(2R,3R)−3−(3−フルオロフェニル)オキシラン−2−イル]メタノール(実施例6、工程3)から白色固体として調製した。MS(ES)m/z 380.0([M+H]);HRMS:C2322FNO + Hとしての計算値、380.1662;測定値(ESI、[M+H])、380.1661。
【0232】
実施例6、工程6と同様にして、(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−2−オール塩酸塩を(2S,3S)−3−(3−フルオロフェニル)−3−(2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−1,2−ジオールから白色粉末として調製した。MS(ES)m/z 393.2([M+H]);HRMS:C2425FN + Hとしての計算値、393.1978;測定値(ESI、[M+H])、393.1986。
【実施例20】
【0233】
(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−[(2R)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル]プロパン−2−オール塩酸塩
【化29】

【0234】
工程1:(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−2−オール(実施例19)のジアステレオマー混合物をメタノール中に溶解させた。得られた溶液を超臨界流体クロマトグラフィー装置に注入した。下記の条件を使用して、ベースライン分割ジアステレオマーを集めた。
SFC装置:Berger MultiGram Prep SFC(Berger Instruments、Inc.Newark、DE 19702
カラム:エチルピリジン;250mm L x 20mm ID(Princeton クロマトグラフィー Inc.)
カラム温度:35℃
SFC修飾剤:15% MeOHと85%CO
流量:50mL/分
出口圧:100バール
検出器:UV(220nm)
【0235】
工程2:ピーク1として単離された(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−[(2R)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル]プロパン−2−オールを実施例13、工程2と同様にして塩酸塩形成に付して、(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−[(2R)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル]プロパン−2−オール塩酸塩を白色粉末として得た。MS(ES) m/z 393.2([M+H]);HRMS:C2425FN + Hとしての計算値、393.1973;測定値(ESI、[M+H])、393.1992。
【実施例21】
【0236】
(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−[(2S)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル]プロパン−2−オール塩酸塩
【化30】

【0237】
実施例20、工程と同様にして、(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−[(2S)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル]プロパン−2−オール塩酸塩を白色粉末として、ジアステレオマー分離のピーク2として単離された(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−[(2S)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル]プロパン−2−オール(実施例20、工程1)から調製した。MS(ES)m/z 393.2([M+H]);HRMS:C2425FN + Hとしての計算値、393.1973;測定値(ESI、[M+H])、393.1982。
【0238】
細胞系、培養試薬、および検定
ヒトhNETで安定にトランスフェクトされたMDCK−Net6細胞(Pacholczyk、T.、R.D.Blakely、およびS.G.Amara、Nature、1991、350(6316):p350−4)を、高グルコースDMEM(Gibco、Cat.No.11995)、10%FBS(透析、熱不活化、US Bio−Technologies、Lot FBD1129HI)および500□g/ml G418(Gibco、Cat.No.10131)を含有する成長培地中で培養した。細胞を300,000/T75フラスコでプレートし、細胞を毎週2回分裂させた。JAR細胞系(ヒト胎盤絨毛癌)をATCCから購入した(Cat.No.HTB−144)。細胞を、RPMI1640(Gibco、Cat.No.72400)、10%FBS(Irvine、Cat.No.3000)、1%ピルビン酸ナトリウム(Gibco、Cat.No.1136)および0.25%グルコースを含有する成長培地中で培養した。細胞を250,000細胞/T75フラスコでプレートし、毎週2回分裂させた。全ての分析に関して、細胞をWallac 96穴無菌プレート(PerkinElmer、Cat.No.3983498)中にプレートした。
【0239】
ノルエピネフリン(NE)再取り込み分析
第1日に、細胞を3000細胞/穴で成長培地中にプレートし、細胞培養器(37℃、5%CO)中に維持した。第2日に、成長培地を、0.2mg/mlのアスコルビン酸および10μMのパルギリンを含有する200μlの検定緩衝液(25mM HEPES;120 mM NaCl;5mM KCl;2.5mM CaCl;1.2mM MgSO;2mg/mlグルコース(pH7.4、37℃))と置換した。細胞と200μlの検定緩衝液を含有するプレートを10分間37℃で平衡化した後、化合物を添加した。デシプラミンのストック溶液をDMSO(10mM)中で調製し、最終試験濃度1μMにするために細胞を含有する3通りのウェルに供給した。これらのウェルからのデータを使用して、非特異性NE取り込み(最小NE取り込み)を規定した。試験化合物をDMSO(10mM)中で調製し、試験範囲(1〜10000nM)に従って検定緩衝液中で希釈した。25マイクロリットルの検定緩衝液(最大NE取り込み)または試験化合物を、200μlの検定緩衝液中細胞を含有する3通りのウェルに直接添加した。検定緩衝液中細胞と試験化合物を20分間37℃でインキュベートした。NE取り込みを開始するために、検定緩衝液中で希釈された[H]NE(120nMの最終検定濃度)を、各ウェルに25μlのアリコートで供給し、プレートを5分間インキュベートした(37℃)。上清をプレートからデカントすることにより、反応を停止させた。細胞を含有するプレートを200μlの検定緩衝液(37℃)で2回洗浄して、遊離放射性リガンドを除去した。プレートを次いで反転させ、2分間乾燥させ、次に再度反転させて、さらに10分間空気乾燥させた。細胞を25μlの0.25N NaOH溶液(4℃)中で溶解させ、加振台上に置き、5分間激しく振盪した。細胞溶解後、75μlのシンチレーションカクテルを各ウェルに添加し、プレートをフィルムテープで密封した。プレートを加振台に戻し、最低10分間激しく振盪して、有機および水性溶液の適切な分配を確実にした。プレートをWallac Microbetaカウンター(PerkinElmer)でカウントして、原データを集めた。
【0240】
セロトニン(5−HT)吸収検定
JAR細胞系を用いた5−HT機能的再取り込みの方法を、先の文献の報告(Prasadら、Placenta、1996.17(4):201−7)を用いて変更した。第1日に、細胞を15000細胞/ウェルで、成長培地(RPMI 1640と10%FBS)を含有する96穴プレート中にプレートし、細胞培養器(37℃、5%CO)中で維持した。第2日に、5−HTトランスポーターの発現を増大させるために、細胞をスタウロスポリン(40nM)で刺激した[17]。第3日に、検定の2時間前に、細胞を細胞培養器から取り出し、室温で維持して、成長培地を周囲酸素濃度と平衡化させた。その後、成長培地を、0.2mg/mlのアスコルビン酸および10μMのパルギリンを含有する200μlの検定緩衝液(25mM HEPES;120mM NaCl;5mM KCl;2.5mM CaCl;1.2mM MgSO;2mg/mlグルコース(pH7.4、37℃))と置換した。パロキセチン(AHR−4389−1)のストック溶液をDMSO(10mM)中で調製し、最終試験濃度を1μMにするために、細胞を含有する3通りのウェルに供給した。これらのウェルからのデータを使用して、非特異性5−HT取り込み(最小5−HT取り込み)を規定した。試験化合物をDMSO(10mM)中で調製し、試験範囲(1〜1000nM)に従って検定緩衝液中で希釈した。25マイクロリットルの検定緩衝液(最大5−HT取り込み)または試験化合物を、200μlの検定緩衝液を含有する3通りのウェルに直接添加した。細胞を化合物とともに10分間インキュベートした(37℃)。反応を開始するために、検定緩衝液中で希釈された[H]トリプタミンクレアチニン硫酸塩を、各ウェルに25μlのアリコートで供給し、最終試験濃度を15nMにした。細胞を反応混合物とともに5分間37℃でインキュベートした。検定緩衝液をデカントすることにより、5−HT取り込み反応を停止させた。細胞を200μlの検定緩衝液(37℃)で2回洗浄して、遊離放射性リガンドを除去した。プレートを反転させ、2分間乾燥させ、次いで再度反転させて、さらに10分間空気乾燥させた。続いて、細胞を25μlの0.25N NaOH(4℃)中で溶解させ、次いで加振台上に置き、5分間激しく振盪した。細胞溶解後、75μlのシンチレーションカクテルをウェルに添加し、プレートをフィルムテープで密封し、加振台上に最低10分間戻した。プレートをWallac Microbetaカウンター(PerkinElmer)でカウントして、生cpmデータを集めた。
【0241】
結果の評価
各実験について、Wallac Microbetaカウンターから集められたcpm値のデータストリームを、マイクロソフトエクセル統計アプリケーションプログラムにダウンロードした。Wyeth Biometrics Departmentにより作成された変形両面ロジスティック用量応答プログラムを用いてEC50値の計算を行った。統計プログラムは、最大結合または取り込み(検定緩衝液)を表すウェルからの平均cpm値および最小結合または取り込み(1μMデシプラミン(hNET)または1μMパロキセチン(hSERT))を表すウェルからの平均cpm値を使用する。EC50値の評価は、ログスケールで行われ、曲線を最大および最小結合または取り込み値間で適合させた。すべてのグラフデータは、各データポイントを最大および最小結合または取り込み値基準の平均パーセントに標準化することにより得られた。複数の実験から報告されたEC50値を、各実験からの生データをプールし、プールされたデータを1つの実験として分析することにより計算した。結果を表1に記載する。
【表1】

【0242】
本明細書において、分子量などの物理的特性、または化学式などの化学的特性に関して範囲が使用される場合、その範囲内の具体例の範囲の全ての組み合わせおよび副結合が含まれる。
【0243】
本明細書において記載される各特許、特許出願および刊行物の開示は、その全体として出典明示により本発明の一部として参照される。
【0244】
当業者らは、本発明の好ましい具体例に多くの変更および修正を加えることができ、このような変更および修正は、本発明の範囲から逸脱することなくなすことができることを理解するであろう。従って、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲内にあるこのような等価なバリエーションをすべて網羅することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0245】
【図1】エピネフリン/セロトニンによる体温調節に対するエストロゲン作用の概略図である。
【図2】ノルエピネフリンおよびセロトニンおよびそのそれぞれのレセプター(5−HT2α、αおよびα−アドレナリン)の相互作用の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中;
点線は、UとVまたはVとWの間の任意の二重結合を表す;
Uは独立して、O、S、SO、SO、C=O、N、NR、またはC(Rである;
Wは、CH、CH、またはC=Oである;
ただし、WがCHである場合、UはC(Rでないとする;
Vは、C(R)、C(R2、O、またはN(R)である;
は各場合について独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、0−3個のRで置換されたアリールアルキルオキシ、0−3個のRで置換されたアリールオキシ、0−3個のRで置換されたアリール、0−3個のRで置換されたヘテロアリール、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、0−3個のRで置換されたフェニルスルホキシド、アルキルスルホン、0−3個のRで置換されたフェニルスルホン、アルキルスルホンアミド、0−3個のRで置換されたフェニルスルホンアミド、0−3個のRで置換されたヘテロアリールオキシ、0−3個のRで置換されたヘテロアリールメチルオキシ、アルキルアミド、または0−3個のRで置換されたフェニルアミドであるか;あるいは2つの隣接したRはメチレンジオキシを表す;
は0−3個のRで置換されたアリールまたは0−3個のRで置換されたヘテロアリールである;
はH、0−3個のRで置換されたC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、または0−3個のRで置換されたフェニルである;
は、各場合で独立して、H、C−Cアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールメチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルメチル、またはシクロブチルメチルであるか、あるいは
両R基は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4〜6個の環原子を有する複素環を形成し、ここにおいて、1個の炭素は任意にN、O、S、またはSOで置換されていてもよく、任意の炭素環原子または追加のN原子は任意にC−Cアルキル、F、またはCFで置換されていてもよい;
はHまたはC−Cアルキルである;
はHまたはC−Cアルキルである;
は、各場合で独立して、H、またはC−Cアルキルであるか、あるいは
およびRは、Rが結合している窒素と一緒になって、3〜6個の炭素原子を含有する窒素含有環を形成する;
は、各場合で独立して、H、C−Cアルキル、C−Cヘテロアルキル、または0−3個のRで置換されたアリールである;
は各場合で独立して、アルキル、アルコキシ、ハロ、CF、OCF、ヒドロキシ、アルカノイルオキシ、ニトロ、ニトリル、アルケニル、アルキニル、アルキルスルホキシド、アルキルスルホン、アルキルスルホンアミド、またはアルキルアミドであるか;あるいは2個の隣接するRはメチレンジオキシを表す;
nは0〜4の整数である;
xは1〜2の整数である;
環Aにおける1〜3個の炭素原子は任意にNで置換されていてもよい]
で示される化合物またはその医薬上許容される塩。
【請求項2】
UがOである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
WがCHである請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
がハロである請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
がフルオロまたはクロロである請求項4記載の化合物。
【請求項6】
が0−3個のRで置換されたアリールである請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
アリールがフェニルである請求項6記載の化合物。
【請求項8】
がHまたはCアルキルである請求項1〜7のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項9】
がHまたはC−Cアルキルである請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項10】
がH、メチル、エチル、またはイソプロピルである請求項9記載の化合物。
【請求項11】
両R基が、それらが結合している窒素と一緒になって、ピリジン、ピペリジン、ピペラジン、またはモルホリン環を形成する請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項12】
が各場合で独立して、HまたはCアルキルである請求項1〜11のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項13】
nが10または1である請求項1〜12のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項14】
次の化合物:
1−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
3−(メチルアミノ)−1−(4−メチル−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル)−1−フェニルプロパン−2−オール;
3−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル]プロパン−2−オール;
1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−2−オール;
1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
3−(メチルアミノ)−1−(6−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−フェニルプロパン−2−オール;
1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
1−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾチアジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−2−オール;
1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−[2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル]プロパン−2−オール;または
1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−[2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル]プロパン−2−オール;のうちの一つ、またはその医薬上許容される塩である請求項1記載の化合物。
【請求項15】
次の化合物:
(1RS,2SR)−1−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
(1S*,2R*)−3−(メチルアミノ)−1−(4−メチル−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル)−1−フェニルプロパン−2−オール;
(1S*,2R*)−3−(メチルアミノ)−1−フェニル−1−[4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−3,4−ジヒドロキノキサリン−1(2H)−イル]プロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3,5−ジフルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−2−オール;
(1S*,2R*)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
(1S*,2R*)−3−(メチルアミノ)−1−(6−メチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−フェニルプロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
(1R,2S)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(2,2−ジメチル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)−3−(メチルアミノ)−1−フェニルプロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾチアジン−4−イル)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)プロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−(2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル)プロパン−2−オール;
(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−[(2R)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル]プロパン−2−オール;または
(1S,2R)−1−(3−フルオロフェニル)−3−(メチルアミノ)−1−[(2S)−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−4H−1,4−ベンゾキサジン−4−イル]プロパン−2−オール;のうちの一つまたはその医薬上許容される塩である請求項1記載の化合物。
【請求項16】
a.請求項1〜15のいずれか1つに記載の少なくとも1つの化合物;および
b.少なくとも1つの医薬上許容される担体を含む組成物。
【請求項17】
これを必要とする対象におけるモノアミン再取り込みにより改善される状態の治療または予防法であって:
前記対象に有効量の請求項1〜15のいずれか1つに記載の化合物またはその医薬上許容される塩を投与することを含む方法。
【請求項18】
モノアミン再取り込みによ軽減される状態が、血管運動症状、性機能不全、胃腸および尿生殖器障害、慢性疲労症候群、線維筋痛症候群、神経系障害、およびその組み合わせからなる群から選択される請求項17記載の方法。
【請求項19】
モノアミン再取り込みにより改善される前記状態が、大うつ病性障害、血管運動症状、緊張性および切迫性尿失禁、線維筋痛、疼痛、糖尿病性神経障害、およびその組み合わせからなる群から選択される請求項18記載の化合物。
【請求項20】
これを必要とする対象における少なくとも1つの血管運動症状を治療または予防するための方法であって:
前記対象に有効量の請求項1〜15のいずれか一つに記載の化合物またはその医薬上許容される塩を投与することを含む方法。
【請求項21】
前記血管運動症状が、一過性熱感である請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記対象がヒトである請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記ヒトが女性である請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記女性が閉経前である請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記女性が閉経前後である請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記女性が閉経後である請求項23記載の方法。
【請求項27】
前記ヒトが男性である請求項22記載の方法。
【請求項28】
前記男性が自然に、化学的にまたは外科手術による男性更年期である請求項27記載の方法。
【請求項29】
これを必要とする対象において少なくとも1種の抑鬱障害を治療または予防する方法であって:
前記対象に有効量の請求項1〜15のいずれか一つに記載の化合物またはその医薬上許容される塩を投与することを含む方法。
【請求項30】
前記抑鬱障害が、大うつ病性障害、不安、睡眠障害、または対人恐怖である請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記対象がヒトである請求項30記載の方法。
【請求項32】
これを必要とする対象において少なくとも1種の性機能不全を治療または予防する方法であって:
前記対象に有効量の請求項1から15のいずれか一つに記載の化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法。
【請求項33】
前記の性機能不全が欲望に関連するかまたは性的興奮に関連する請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記対象がヒトである請求項33記載の方法。
【請求項35】
これを必要とする対象において疼痛を治療または予防する方法であって:
前記対象に有効量の請求項1〜15のいずれか一つに記載の化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法。
【請求項36】
前記疼痛が、急性集中疼痛、急性末梢疼痛、またはその組み合わせである請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記疼痛が、慢性集中疼痛、慢性末梢疼痛、またはその組み合わせである請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記疼痛が、神経因性疼痛、内臓痛、筋骨格系疼痛、骨痛、癌性疼痛、炎症性疼痛、またはその組み合わせである請求項35記載の方法。
【請求項39】
前記神経因性疼痛が、糖尿病、切断の外傷後疼痛、下部背痛、癌、化学的負傷、毒素、大手術、外傷圧迫による末梢神経損傷、ヘルペス後神経痛、腰部または頸椎根症、線維筋痛、舌咽神経痛、反射性交感神経性ジストロフィー、灼熱痛、視床症候群、神経根裂離、反射性交感神経性ジストロフィーまたは開胸後疼痛、栄養失調、ウイルス感染症、細菌感染症、転移性浸潤、有痛脂肪症、熱傷、中心性疼痛、視床状態に関連する状態、およびその組み合わせである請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記内臓痛が、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群、神経性膀胱、クローン病、リウマチ性(関節痛)、腫瘍、胃炎、膵臓炎、器官の感染、胆管障害、およびその組み合わせである請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記疼痛が女性特有の疼痛である請求項35記載の方法。
【請求項42】
前記対象がヒトである請求項35記載の方法。
【請求項43】
これを必要とする対象において、胃腸または尿生殖器障害を治療または予防する方法であって:
前記対象に有効量の請求項1〜15のいずれか1つに記載の化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法。
【請求項44】
前記障害が緊張性尿失禁または切迫性尿失禁である請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記対象がヒトである請求項44記載の方法。
【請求項46】
これを必要とする対象において慢性疲労症候群を治療または予防する方法であって:
前記対象に有効量の請求項1〜15のいずれか1つに記載の化合物またはその医薬上許容される塩を投与する段階を含む方法。
【請求項47】
前記対象がヒトである請求項46記載の方法。
【請求項48】
これを必要とする対象において線維筋痛症候群を治療または予防する方法であって:
前記対象に有効量の請求項1〜15のいずれか1つに記載の化合物またはその医薬上許容される塩を投与することを含む方法。
【請求項49】
前記対象がヒトである請求項48記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−531750(P2007−531750A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506468(P2007−506468)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/010510
【国際公開番号】WO2005/097761
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】