説明

衝撃緩衝用ブロック、衝撃緩衝構造、衝撃緩衝構造の施工方法および、衝撃緩衝用ブロックの製造方法

【課題】 ヒートアイランドを防止する緑化機能を有し、設置施工性に優れ、優れた衝撃緩衝機能を有する衝撃緩衝用ブロックおよび、衝撃緩衝構造等を提供する。
【解決手段】 パレット11内には潅水パイプ13が設置される。潅水パイプ13が設置されたパレット11内には、土15が充填される。基底部15の上には、衝撃緩衝用ブロック7が設置される。衝撃緩衝用ブロック7は、複数の板状部材を重ねて製造される部材である。板状部材23は、断面形状が波形の樹脂製部材である。板状部材23の断面形状は、板状部材23の幅方向(図4の左右方向)に対して対象である。板状部材23には複数の孔25が設けられる。孔25は、板状部材23の幅方向または長手方向に対して対象な位置には設けられず、例えば、板状部材23の中心点を基準とした点対象の位置に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路脇等に設置され、緑化機能によりヒートアイランドを抑制するとともに、自動車等が壁体に接触する際の自動車等への衝撃を緩和する衝撃緩衝用ブロックおよび、衝撃緩衝構造等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路等の脇には防音その他の目的で壁体が設置されている。壁体の壁際には、通常、ガードレール等が設置される。また、高速道路等の壁際には、緑化を目的として植物等が植栽されているが、緑化部はコンクリート等の仕切りで構成されている。しかし、ガードレールやコンクリートの仕切りなどは、自動車が接触・衝突した際における、衝突による衝撃の吸収能力が不十分である。
【0003】
このような、衝撃の吸収を考慮した分離壁として、表面に透孔を有する容器状部材を組み立て芯として、内部に土を充填して、容器状部材をたがいに固定したうえに全体を覆うように土を被せた分離壁がある(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−188206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の分離壁では、分離壁の大部分が土で構成され、土が容器状部材の組み合わせた内外部に設けられるため、分離壁の重量が重く、自動車が衝突した際の衝撃吸収能力が必ずしも高いとは言えないという問題がある。また、内外部に土を必要とすることから、設置のためには大量の土が必要となり、また、あらかじめ土を充填した容器状部材を設置場所へ運搬すれば、重量があるため設置施工性が悪いという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、ヒートアイランドを防止する緑化機能を有し、設置施工性に優れ、優れた衝撃緩衝機能を有する衝撃緩衝用ブロックおよび、衝撃緩衝構造等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するため、第1の発明は、道路に設置された壁体近傍に使用される衝撃緩衝構造であって、基底部と、複数の孔が設けられた板状部材または網状部材が複数段重ねられて接合され、重ねられた前記板状部材または網状部材同士の間には空間が形成される衝撃緩衝用ブロックと、を具備し、前記基底部上に前記衝撃緩衝用ブロックが設置され、前記衝撃緩衝用ブロックは前記壁体に固定されることを特徴とする緑化機能を有する衝撃緩衝構造である。なお、基底部は、壁体の近傍に設けられればよい。すなわち、基底部は、壁体へ接触するように設けられてもよく、または壁体から離間して設けられてもよい。基底部を壁体へ接触するように設けるか、または壁体から所定間隔して離間して設けるかは、設計や施工現場の状況に応じて適宜選択できる。
【0008】
前記板状部材または網状部材は波形断面を有し、前記板状部材または網状部材は、断面形状が上下に対象となるように交互に反転されて重ねられ、下段の前記板状部材または網状部材の上方への凸部と、上段の前記板状部材または網状部材の下方への凸部同士が接合され、下段の前記板状部材または網状部材の下方への凸部と上段の前記板状部材または網状部材の上方への凸部との間に空間が形成されてもよい。
【0009】
前記基底部は、インターロッキングブロックまたはパレット上に設けられた土と、前記土に埋設された潅水パイプと、を具備してもよい。インターロッキングブロックまたはパレットは、壁体の近傍に設けられていればよい。すなわち、インターロッキングブロックまたはパレットは、壁体に接触するように設けられていてもよく、または離間して設けられていてもよい。
【0010】
第1の発明によれば、基底部上に衝撃緩衝用ブロックを設置し、衝撃緩衝用ブロックが壁体に固定されるため、道路脇に設けられた壁体へ自動車等が衝突した際に衝撃を効率的に吸収することができる。特に、基底部には植物が植栽可能な土が設けられ、基底部内に潅水パイプが設置されるため、土への潅水が容易であり、衝撃緩衝用ブロックへ植物を一体化でき、緑化機能を得ることができる。
【0011】
第2の発明は、道路に設置された壁体近傍に使用される衝撃緩衝用ブロックであって、板状部材または網状部材と、前記板状部材または網状部材に設けられた複数の孔と、を具備し、前記板状部材または網状部材が複数段重ねられて接合され、重ねられた前記板状部材または網状部材同士の間には空間が形成されることを特徴とする緑化機能を有する衝撃緩衝用ブロックである。
【0012】
前記板状部材または網状部材は、波形断面形状を有し、前記板状部材または網状部材の断面形状が上下に対象となるように交互に反転して重ね、重ねられた前記板状部材または網状部材同士の接触部が熱融着又は係り止めで接合されてもよい。反転して重ね、重ねられた前記板状部材または網状部材同士の接合は必ずしも上記の接合方法でなくとも、簡便な接合方法であればその他の方法であっても良い。
【0013】
重ねられた波形断面形状の前記板状部材または網状部材の内、下段の前記板状部材または網状部材の上方への凸部と、上段の前記板状部材または網状部材の下方への凸部同士が接合され、下段の前記板状部材または網状部材の下方への凸部と上段の前記板状部材または網状部材の上方への凸部との間に空間が形成されてもよい。
【0014】
第2の発明によれば、複数の板状部材または網状部材が重ねられ、それらの間に空間が形成されるため、軽量であり設置が容易である。また、空間が設けられるため、衝撃吸収能力が大きい。さらに、板状部材または網状部材には複数の孔が設けられ、蔦などの植物が下方から上方または側方へ曲がりながら孔を通って伸びていくため、確実に植物と衝撃緩衝用ブロックとが一体化される。
【0015】
第3の発明は、道路に設置された壁体近傍の衝撃緩衝構造の施工方法であって、インターロッキングブロックまたはパレット上に、土で潅水パイプを埋設した基底部を設ける工程と、板状部材または網状部材と、前記板状部材または網状部材に設けられた複数の孔と、を具備し、前記板状部材または網状部材が複数段重ねられて接合され、重ねられた前記板状部材または網状部材同士の間に空間が形成される衝撃緩衝用ブロックを、前記基底部上に設置する工程と、前記衝撃用緩衝ブロックを前記壁体へ固定する工程と、を具備することを特徴とする緑化機能を有する衝撃緩衝構造の施工方法である。
【0016】
第3の発明によれば、道路脇等の壁体近傍に基底部を設けた後、衝撃緩衝用ブロックを基底部上に配置し、衝撃緩衝用ブロックを壁体へ固定するのみで設置が完了するため、設置作業が容易な衝撃緩衝用構造の施工方法を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ヒートアイランドを防止する緑化機能を有し、設置施工性に優れ、優れた衝撃緩衝機能を有する衝撃緩衝用ブロックおよび、衝撃緩衝構造等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態にかかる衝撃緩衝構造1について説明する。図1は、衝撃緩衝構造1を示す斜視図であり、図2は、衝撃緩衝構造1の正面(断面)図である。
【0019】
衝撃緩衝構造1は、車道3の脇などに設置される壁体9近傍に設けられ、例えば、壁体9と縁石5との間に設置される。衝撃緩衝構造1は、主に衝撃緩衝用ブロック7、基底部15、固定ベルト19等から構成される。
【0020】
縁石5と壁体9との間には、基底部15が設置される。基底部15は、パレット11、潅水パイプ13、土15等から構成される。パレット11は、両端が上方へ向けて折曲げられた形状の板状部材であり、上方が開放している。パレット11は、縁石5の高さと略同一の高さである。パレット11の材質としては、例えば樹脂性のものが使用できる。なお、基底部15は壁体9と接触するように設けられてもよく、または離間して設けられてもよい。
【0021】
パレット11は、地面にアンカ17で固定される。なお、パレット11の設置位置の地面が路面または硬い土や、コンクリートやアスファルトなどの舗装された路面であれば、通常のアンカ17でパレット11を固定することができる。一方、地面が軟らかい土等である場合には、アンカ17が地面から抜けないように、地面下にあらかじめ抜け止め用の板部材等を埋設し、アンカ17を当該板部材等へ固定することもできる。このように、地面の状態に応じて、パレット11が地面へ確実に固定されるように、公知の種々の方法を用いることができる。アンカ17によりパレット11が地面に固定されれば、パレット11は、地面に対して動くことがなく、道路から浮き上がることもない。
【0022】
パレット11内には潅水パイプ13が設置される。潅水パイプ13は、周囲に多数の細孔を有するパイプである。潅水パイプ13としては、例えばセラミックス製のポーラスパイプや架橋ポリエチレン製のパイプを使用することができ、あるいは金属製の穴あきパイプや金属製の穴あきパイプに防食処理を行なったものを使用することができる。また、穴あきパイプにセラミック製の通水栓などをしたものを使用できる。
【0023】
潅水パイプ13が設置されたパレット11内には、土15が充填される。土15は、パレット11の上面まで充填され、潅水パイプ13は土15によって埋められる。潅水パイプ13は、内部に水を流すことが可能であり、内部を流れる水は、多数の細孔から周囲に浸み出す。潅水パイプ13から浸み出した水により、土15を湿らせることができる。
【0024】
基底部15の上には、衝撃緩衝用ブロック7が設置される。衝撃緩衝用ブロック7は、複数の板状部材または網状部材を重ねて製造され、多数の孔を有する部材である。衝撃緩衝用ブロック7の詳細は後述する。
【0025】
図2に示すように、衝撃緩衝用ブロック7は、固定ベルト19で壁体9へ接触するように固定される。固定ベルト19は、例えばボルト21で壁体9へ固定される。固定ベルト19は、衝撃緩衝用ブロック7を固定できればよく、例えばステンレス製または樹脂製のベルトが使用できる。
【0026】
土15には、図示は省略するが、あらかじめ蔦などの植物が植栽されている。植物は、衝撃緩衝用ブロック7内の孔をつたって伸び、衝撃緩衝用ブロック7の周囲に、衝撃緩衝用ブロック7を覆うように葉を茂らせる。なお、植物の植栽は、あらかじめ工場等で行われてもよく、衝撃緩衝用ブロック7の周囲を葉が生い茂るまでは、設置場所とは別の場所で栽培されてもよい。この場合、葉が生い茂った衝撃緩衝用ブロック7と基底部15とを一体で運搬し、壁体9近傍に設置後、固定ベルト19で壁体9へ固定すればよい。
【0027】
次に、衝撃緩衝用ブロック7について説明する。図3は、衝撃緩衝用ブロック7を示す斜視図である。衝撃緩衝用ブロック7は、複数の板状部材または網状部材23が重ねられて形成される。板状部材または網状部材23は波形断面形状を有し、複数の孔25が設けられている。
【0028】
図4は、板状部材または網状部材23を示す斜視図である。板状部材または網状部材23は、断面形状が山部27と谷部28とが交互に形成された波形の樹脂製部材である。板状部材または網状部材23の断面形状は、板状部材または網状部材23の幅方向(図4の左右方向)に対して線対象である。孔25は、山部27の頂部と谷部20の頂部との間に設けられる。なお、孔25の設置位置は、板状部材または網状部材23の幅方向または長手方向のいずれかの中心線を基準として非対象な位置となる。
【0029】
図5は、板状部材または網状部材23を重ねた状態を示す平面図であり、図6(a)は図5のA−A線断面図、図6(b)は図5のB-B線断面図である。図5に示すように、板状部材または網状部材23bが板状部材または網状部材23aの上方に設置される。なお、図5においては、板状部材または網状部材23a、板状部材または網状部材23b以外の板状部材または網状部材23については図示を省略した。
【0030】
板状部材または網状部材23bは、板状部材または網状部材23a上に設置される際、上下面を裏返しにされて設置される。したがって、図6(a)に示すように、下側に設置される板状部材または網状部材23aの山部27aは上方に凸形状となり、上側に設置される板状部材または網状部材23bの山部27bは下側へ凸形状となる。すなわち、下側の板状部材または網状部材23aの上方への凸部(山部27a)と、上側の板状部材または網状部材23bの下側への凸部(山部27b)とが接触する(図6(a)中のC部)。板状部材または網状部材23aと板状部材または網状部材23bとは、接触部(C部)で熱融着により接合される。
【0031】
同様にして、板状部材または網状部材23は、表裏を交互に反転されながら、山部27同士または谷部28同士が接合される。また、下側の板状部材または網状部材23aの下方への凸部(谷部28)と、上側の板状部材または網状部材23bの上側への凸部(谷部28)との間には空間が形成される。空間は、植物29が孔25を貫通して成長する際の通り道となる。
【0032】
前述の通り、板状部材または網状部材23における孔25の設置位置は、板状部材または網状部材23の幅方向または長手方向のいずれかの中心線を基準として非対象な位置となる。したがって、板状部材または網状部材23aと板状部材または網状部材23bとが反転されて接合された状態では、図5に示すように、板状部材または網状部材23aの孔25aと板状部材または網状部材23bの孔25bとの位置は、上方から見て同一の位置とはならず、互いにずれた位置となる。すなわち、孔25は板状部材または網状部材23同士が接合された状態で、板状部材または網状部材23の面方向(図5の紙面に対して垂直方向)に対してずれて配置される。
【0033】
また、図6に示すように、植物29は衝撃緩衝用ブロック7内を通過して、衝撃緩衝用ブロック周囲に葉を茂らせる。この際、植物29は、積み重ねられた板状部材または網状部材23の孔25を貫通する。前述したように、孔25は、板状部材または網状部材23の面方向に対してずれて形成されるため、植物29は、衝撃緩衝用ブロック7内をまっすぐに延びることができず、互いにずれた位置の孔25を縫うように、板状部材または網状部材23同士の間の空間を、幅方向および長手方向に曲がりくねりながら成長する。
【0034】
次に、衝撃緩衝用ブロック7の製造方法について説明する。図7は、衝撃緩衝用ブロック7を製造する工程を示す図である。
【0035】
まず、図7(a)に示すように、樹脂シート27を押出加工によって成形する。樹脂シート27は2〜3mm程度が望ましいが、必要な強度等に応じて任意に設定することができる。樹脂シート27の材質は、強度、衝撃吸収能、および耐候性に優れる合成樹脂が使用できる。例えば、カーボンを含有したポリプロピレンなどが使用できる。
【0036】
次に、図7(b)に示すように、樹脂シート27を波形断面に加工する。この際、波形加工後の樹脂シート27は、幅方向に対象な形状となるように加工される。なお、波形形状に加工された板状部材または網状部材23は、容易に重ね合わせることが可能であり、後述する積み重ね工程までは、運搬および保管が容易である。
【0037】
次に、図7(c)に示すように、波形の樹脂シート27に複数の孔25がプレス打ち抜きで形成される。複数の孔25が形成された波形断面の樹脂シート27が板状部材または網状部材23となる。なお、孔25の形状は任意である。孔25は、前述したように、幅方向または長手方向のいずれかに対して線対象な位置には設けられない。
【0038】
成形された複数の板状部材または網状部材23は表裏を交互に反転されて所定の枚数を積み重ねられ、上下に隣接する板状部材または網状部材23同士は、接触部で熱融着によって接合される。以上により、衝撃緩衝ブロック7が製造される。
【0039】
次に、衝撃緩衝構造1の施工方法を説明する。図8は、衝撃緩衝構造1の施工工程を示す図である。まず、図8(a)に示すように、基底部15を壁体9近傍であって、例えば、縁石5と壁体9の間に設置する。基底部15は、パレット11を地面にアンカ17で固定し、内部に潅水パイプ13を設置後、パレット11内に土15を充填して形成される。
【0040】
基底部15上には、図8(b)に示すように衝撃緩衝用ブロック7を設置する。衝撃緩衝用ブロック7は、あらかじめ工場等で組み立てられる。なお、前述したように、あらかじめ基底部15と衝撃緩衝用ブロック7とが一体化された状態である場合には、一体化された基底部15および衝撃緩衝用ブロック7を壁体9近傍に設置すれば良い。
【0041】
最後に、衝撃緩衝用ブロック7を固定ベルト19およびボルト21で壁体9へ固定して衝撃緩衝構造1の施工が完了する。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態にかかる衝撃緩衝構造1によれば、車道3を走行する自動車等が、壁体9方向へ進行した場合に、壁体9へ衝突する前に、衝撃緩衝用ブロック7との接触によって衝撃が吸収されるため、壁体9への衝突時のエネルギーを下げることができる。なお、自動車は通常、縁石5を乗り越える際と、衝撃緩衝用ブロック7との接触の際の衝撃緩衝構造1が変形・破壊する際に、エネルギーが吸収され、壁体9への衝突時のエネルギーが抑えられる。
【0043】
また、衝撃緩衝用ブロック7内部には土が充填されていないため、衝撃緩衝用ブロック7は過剰な強度を有さず、衝撃緩衝用ブロック7の波形の板状部材または網状部材23が変形し、破壊する際に自動車衝突時のエネルギーを効率よく吸収することができる。また、土が充填されていないため、軽量であり、運搬、施工性に優れる。
【0044】
また、基底部15には潅水パイプ13が設けられ、土15内によって埋設されるため、土15を容易に湿らせることができ、植物29を植栽することができる。
【0045】
衝撃緩衝用ブロック7の孔25は、衝撃緩衝構造1の高さ方向にずれて設けられ、衝撃緩衝用ブロック7を構成する板状部材または網状部材23同士の間には空間が形成されるため、植物29は空間を伝って、ずれた位置の孔25を縫うように成長して衝撃緩衝用ブロックの周囲に葉を茂らせることができる。したがって、植物29が植栽された基底部15と衝撃緩衝用ブロック7とは確実に一体化される。なお、衝撃緩衝用ブロック7は、壁体9へ固定ベルト19で固定されるため、衝撃緩衝用ブロック7がずれたり崩れたりすることがない。
【0046】
衝撃緩衝構造1は、前述のとおり植物が植栽可能であり、衝撃緩衝用ブロック7の周囲には植物29の葉を茂らせるため、外観にも優れ、また、緑化機能を有し、ヒートアイランドの抑制効果を有する。
【0047】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態において、図1〜図2に示す衝撃緩衝構造1と同一の機能を果たす構成要素には、図1〜図2と同一番号を付し、重複した説明を避ける。
【0048】
図9は、第2の実施の形態にかかる衝撃緩衝構造30を示す図である。衝撃緩衝構造30は、基底部のみ衝撃緩衝構造1と異なる。すなわち、衝撃緩衝構造30は、パレット11に代えて、インターロッキングブロック31が設けられる。インターロッキングブロック31は壁体9に接触するように設けられてもよく、または離間して設けられてもよい。
【0049】
図9(a)に示すように、インターロッキングブロック31が設けられる場合であっても、インターロッキングブロック31の上方に溝を形成し、溝に土15を充填すれば、基底部1と同様の機能を有する。
【0050】
また、図9(b)に示すように、縁石5よりもインターロッキングブロック31の高さが低い場合には、インターロッキングブロック31の上方全体に土15を充填してもよい。いずれの場合でもインターロッキングブロック31と土15によって基底部33が形成され、基底部33上に衝撃緩衝用ブロック7を設置固定すればよい。なお、基底部33に対しても、土15に埋設されるように、潅水パイプ13(図示せず)を設置することもできる。
【0051】
第2の実施の形態にかかる衝撃緩衝構造30よれば、衝撃緩衝構造1と同様の効果を得ることができ、基底部33にインターロッキングブロック31が存在する場合に、パレット11を設けない場合であっても対応が可能な衝撃緩衝構造30を得ることができる。
【0052】
次に、第3の実施の形態について説明する。図10(a)は、第3の実施の形態にかかる衝撃緩衝構造40を示す図である。衝撃緩衝構造40は、基底部のみ衝撃緩衝構造1と異なる。すなわち、衝撃緩衝構造40は、パレット11に代えて、筒部材41が設けられる。
【0053】
図10(b)は筒部材41を示す斜視図である。筒部材41は四方を側壁45で囲まれた矩形の筒状部材である。筒部材41の側壁45で囲まれた空間の大きさは、衝撃緩衝用ブロック7の大きさとほぼ同等である。
【0054】
図10(a)に示すように、衝撃緩衝構造40の基底部43は、筒部材41と土15等から構成される。筒部材41の下方には土15が充填される。衝撃緩衝用ブロック7は、筒部材41へ上方から挿入される。したがって、筒部材41と衝撃緩衝用ブロック7とは一体化される。なお、筒部材41の側壁45の一部に孔をあけて、潅水パイプ13を貫通させることもできる。
【0055】
第3の実施の形態にかかる衝撃緩衝構造40よれば、衝撃緩衝構造1と同様の効果を得ることができ、基底部43に筒部材41を設けることで、衝撃緩衝用ブロック7と基底部43とが確実に一体化される。
【0056】
次に、第4の実施の形態について説明する。図11(a)は、第4の実施の形態にかかる板状部材50を示す斜視図であり、図11(b)は、板状部材50の平面図である。第4の実施の形態にかかる板状部材50は、板状部材または網状部材23と異なり、波形断面形状を有さない。
【0057】
板状部材50は表裏それぞれに脚部53、55が形成される。脚部53、55は、それぞれ板状部材50の長手方向に略平行に設けられたリブ状の突起である。図11(b)に示すように、板状部材50の脚部53、55の設置位置は、板状部材50の幅方向に対してほぼ対象な位置に設けられる。また、脚部53と脚部55は、板状部材50の表裏でそれぞれずれた位置に設けられる。
【0058】
板状部材50の脚部53、55のそれぞれの間には、孔51が複数設けられる。孔51は板状部材50の幅方向または長手方向のいずれかの中心線を基準とした線対象な位置には設けられない。
【0059】
図12は、板状部材50が重ねられた状態を示す図である。板状部材50は、表裏を交互に反転させて積み重ねられる。すなわち、図12に示すように、板状部材50aが脚部55aを上方に向けて設置され、その上に板状部材55bが脚部55bを下方に向け、脚部53bを上方に向けて積み重ねられる。この際、脚部55aと脚部55bとが互いに接触する(図中D位置)。接触部は熱融着によって接合される。
【0060】
板状部材50bの上には板状部材50cが脚部53cを下方に向けて積み重ねられる。脚部53bと脚部53cは接触し同様に接合される。以上のようにして板状部材50が積み重ねられ、衝撃緩衝用ブロックが形成される。
【0061】
第4の実施の形態にかかる板状部材50よれば、衝撃緩衝構造1と同様の効果を得ることができ、加工性および施工性に優れた衝撃緩衝用ブロックを得ることができる。
【0062】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0063】
例えば、板状部材または網状部材に設けられる孔の個数や配置は、実施例には限られない。裏表を反転して重ねた際に、孔が板状部材の面方向に一列に並ばず、ずれて配置されれば、任意の配置で良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】衝撃緩衝構造1を示す斜視図。
【図2】衝撃緩衝構造1を示す正面図。
【図3】衝撃緩衝ブロック7を示す斜視図。
【図4】板状部材または網状部材23を示す斜視図。
【図5】板状部材または網状部材23が重ねられた状態を示す平面図。
【図6】板状部材または網状部材23が重ねられた状態を示す図で、(a)は図5のA−A線断面図、(b)は図5のB−B線断面図。
【図7】衝撃緩衝ブロック7の製造工程を示す図。
【図8】衝撃緩衝構造1の施工工程を示す図。
【図9】衝撃緩衝構造30を示す図。
【図10】衝撃緩衝構造40を示す図。
【図11】板状部材50を示す図で、(a)は板状部材50の斜視図、(b)は板状部材50の平面図。
【図12】板状部材50が重ねられた状態を示す図。
【符号の説明】
【0065】
1、30、40………衝撃緩衝構造
3………車道
5………縁石
7………衝撃緩衝用ブロック
9………壁体
11………パレット
13………潅水パイプ
15………土
17………アンカ
19………固定ベルト
21………ボルト
23………板状部材または網状部材
50………板状部材
25………孔
27………山部
28………谷部
29………植物
30………配管構造
31………インターロッキングブロック
33………基底部
41………筒部材
43………基底部
45………側壁
51………孔
53、55………脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に設置された壁体近傍に使用される衝撃緩衝構造であって、
基底部と、
複数の孔が設けられた板状部材または網状部材が複数段重ねられて接合され、重ねられた前記板状部材または網状部材同士の間には空間が形成される衝撃緩衝用ブロックと、
を具備し、
前記基底部上に前記衝撃緩衝用ブロックが設置され、前記衝撃緩衝用ブロックは前記壁体に固定されることを特徴とする緑化機能を有する衝撃緩衝構造。
【請求項2】
前記板状部材または網状部材は波形断面を有し、
前記板状部材または網状部材は、断面形状が上下に対象となるように交互に反転されて重ねられ、
下段の前記板状部材または網状部材の上方への凸部と、上段の前記板状部材または網状部材の下方への凸部同士が接合され、下段の前記板状部材または網状部材の下方への凸部と上段の前記板状部材または網状部材の上方への凸部との間に空間が形成されることを特徴とする請求項1記載の緑化機能を有する衝撃緩衝構造。
【請求項3】
前記基底部は、
インターロッキングブロックまたはパレット上に設けられた土と、
前記土に埋設された潅水パイプと、
を具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の緑化機能を有する衝撃緩衝構造。
【請求項4】
道路に設置された壁体近傍に使用される衝撃緩衝用ブロックであって、
板状部材または網状部材と、
前記板状部材または網状部材に設けられた複数の孔と、
を具備し、
前記板状部材または網状部材が複数段重ねられて接合され、
重ねられた前記板状部材または網状部材同士の間には空間が形成されることを特徴とする緑化機能を有する衝撃緩衝用ブロック。
【請求項5】
前記板状部材または網状部材は、波形断面形状を有し、前記板状部材または網状部材の断面形状が上下に対象となるように交互に反転して重ね、重ねられた前記板状部材同士の接触部が熱融着や係り止めで接合されることを特徴とする請求項4記載の緑化機能を有する衝撃緩衝用ブロック。
【請求項6】
重ねられた波形断面形状の前記板状部材または網状部材の内、下段の前記板状部材または網状部材の上方への凸部と、上段の前記板状部材または網状部材の下方への凸部同士が接合され、下段の前記板状部材の下方への凸部と上段の前記板状部材の上方への凸部との間に空間が形成されることを特徴とする請求項5記載の緑化機能を有する衝撃緩衝用ブロック。
【請求項7】
道路に設置された壁体近傍の衝撃緩衝構造の施工方法であって、
インターロッキングブロックまたはパレット上に、土で潅水パイプを埋設した基底部を設ける工程と、
板状部材または網状部材と、前記板状部材または網状部材に設けられた複数の孔と、を具備し、前記板状部材または網状部材が複数段重ねられて接合され、重ねられた前記板状部材または網状部材同士の間に空間が形成される衝撃緩衝用ブロックを、前記基底部上に設置する工程と、
前記衝撃用緩衝ブロックを前記壁体へ固定する工程と、
を具備することを特徴とする緑化機能を有する衝撃緩衝構造の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−13835(P2010−13835A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174115(P2008−174115)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】