説明

表示装置、電子機器、光学部材、表示パネル、コントローラ、及び表示パネルの駆動制御方法

【課題】本発明は、特殊な眼鏡を装着する煩わしさがなく、特定方向以外における十分な機密保持が可能な表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置1は、第1の画像を表示するメイン画素201Fと第2の画像を表示するサブ画素201Sとを含む複数の表示単位部201Uが、第1の方向及び第2の方向にマトリクス状に配列されてなる表示部2と、複数の表示単位部から出射した光を、第1の方向に沿って異なる方向に振り分ける光学部材3を含む。表示単位部は、第2の方向にてメイン画素とサブ画素とが形成される第1の表示領域AR1、メイン画素のみが形成される第2の表示領域AR2を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、電子機器、光学部材、表示パネル、コントローラ、表示パネルの駆動制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の急速な進展により、大型小型を問わず様々な端末装置に表示装置が搭載され、様々な場所で使用されている。
そして、プライバシー情報など、秘密保持が必要となる重要な情報を表示する際には、第三者の眼に触れないような秘密保持機能が要求されている。このため、表示情報を隠匿可能な覗き見防止技術が検討されている。
【0003】
このような表示装置の関連技術として、例えば以下に示す特許文献1、特許文献2などが挙げられる。
【0004】
特許文献1においては、特定の使用者と表示パネルとの間に可視化手段を配置した構成が記載されている。
可視化手段は、光シャッタであり、表示パネルが順次表示する複数画像から、特定の使用者が必要とする特定画像のみを選択透過する。
これにより、可視化手段を具備した特定の使用者のみが、秘密情報を視認することができる。
周囲の可視化手段を具備しない不特定者は、順次表示される複数画像を混在して視認することになり、秘密情報を視認することができない。これにより、秘密保持機能を実現することができる。
【0005】
また、特許文献2に記載の液晶表示装置においては、液晶分子の配向状態が異なる領域を画素よりも大きく形成した構成が記載されている。この画素より大きな領域では、配向状態の違いにより、異なる視野角特性を実現することができる。
そこで、正面方向以外から視認した際には、この配向状態の異なる領域の模様が視認されるように配向状態及び駆動条件を設定する。
これにより、斜め方向には固定パターンを重畳して表示することができ、表示情報の視認を防止することができる。
一方で、正面方向から視認した際には、配向状態の異なる領域の模様はほぼ視認されず、表示情報を視認することができる。
そして、この特許文献2に記載の液晶表示装置においては、表示装置を視認する角度を利用して秘密保持機能を実現するため、特殊な光シャッタ眼鏡を装着する必要がなく、煩わしさは低減される。
【特許文献1】特開平6−110403号公報
【特許文献2】特開2003−233074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、関連技術の表示装置においては、次のような不具合がある。
【0007】
すなわち、特許文献1に記載の表示装置においては、上述のように特殊な光シャッタ眼鏡を装着する煩わしさがある、という不具合があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の液晶表示装置においては、特殊な眼鏡を装着する煩わしさはないものの、表示画像に重畳可能なパターンは画素よりも粗くかつ固定であるため、表示内容を把握できてしまう場合もある、という不具合があった。
さらに、常に正面以外の方向には固定パターンが重畳して表示されるため、通常の表示は実現できない、という不具合があった。
【0009】
本発明は、上記した技術の不具合を解決することを課題としてなされたものであって、その目的とするところは、特殊な眼鏡を装着する煩わしさがなく、かつ、特定方向以外における表示情報の視認性を低下させつつ、通常の表示にも切替可能な表示装置、電子機器、光学部材、表示パネル、コントローラ、表示パネルの駆動制御方法、及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の表示装置は、第1の画像を表示するメイン画素と第2の画像を表示するサブ画素とを含む複数の表示単位部が、第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向にマトリクス状に配列されてなる表示部と、前記表示単位部から出射した光を少なくとも前記第1の方向に沿ってそれぞれ異なる方向に振り分け、前記各表示単位部に対応して設けられた光学部材と、を含み、前記表示単位部の表示領域が、前記第2の方向にて前記メイン画素と前記サブ画素とが形成される第1の表示領域と、前記第2の方向にて前記メイン画素のみが形成される第2の表示領域と、を備えていることを特徴としている。
【0011】
本発明の光学部材は、表示パネルに対向配置される光学部材であって、前記対向配置される一面に多数配置された開口部と、前記開口部間に配置された多数のスリットとが形成され複数枚積層されてなるパララックスバリアを有し、各パララックスバリアは、一の前記パララックスバリアの前記開口部と他の前記パララックスバリアの前記開口部との配置位置が一致し、かつ、一の前記パララックスバリアの前記スリットと他の前記パララックスバリアの前記スリットとの配置位置が異なるように積層されてなることを特徴としている。
【0012】
本発明の表示パネルは、第1の画像を表示するメイン画素と第2の画像を表示するサブ画素とを含む複数の表示単位部が、第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向にマトリクス状に配列されてなる表示パネルであって、前記表示単位部の表示領域が、前記第2の方向にて前記メイン画素と前記サブ画素とが形成される第1の表示領域と、前記第2の方向にて前記メイン画素のみが形成される第2の表示領域とを含むことを含むことを特徴としている。
【0013】
本発明のコントロ−ラは、メイン画素とサブ画素とを含む表示パネルの走査線、信号線を各々駆動制御する各回路の制御を司るコントローラであって、前記メイン画素に第1の画像を表示し前記サブ画素に第2の画像を表示する表示角制限モードと、前記メイン画素及び前記サブ画素に第1の画像を各々表示する通常表示モードとを切り替え制御するモード切替制御部と、前記表示角制限モードにて、前記メイン画素と前記サブ画素からなる表示単位部の一部である第1の表示領域に、前記第1の画像及び前記第2の画像を表示し、前記メイン画素のみからなり前記表示単位部の一部である第2の表示領域に、前記第1の画像を表示する制御を行う表示制御部と、を含むことを特徴としている。
【0014】
本発明の表示パネルの駆動制御方法は、第1の画像を表示するメイン画素と第2の画像を表示するサブ画素とを含む複数の表示単位部が、第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向にマトリクス状に配列されてなる表示パネルの駆動制御方法であって、前記表示単位部は、前記第2の方向にて前記メイン画素と前記サブ画素とが形成される第1の表示領域と、前記第2の方向にて前記メイン画素のみが形成される第2の表示領域とを有し、前記メイン画素と前記サブ画素とが同極性となるように、前記各画素の極性反転を実行する駆動を行い、前記第1の画像と前記第2の画像とを前記第1の表示領域にて表示し、前記第1の画像を第2の表示領域にて表示するように制御することを特徴としている。
【0015】
本発明の制御プログラムは、メイン画素とサブ画素とを含む表示パネルを制御するコントローラが備えたコンピュータに諸機能を実現させることが可能な制御プログラムであって、前記メイン画素に第1の画像を表示し前記サブ画素に第2の画像を表示する表示角制限モードと、前記メイン画素及び前記サブ画素に第1の画像を各々表示する通常表示モードとを切り替え制御するモード切替制御機能と、前記表示角制限モードにて、前記メイン画素と前記サブ画素からなる表示単位部の一部である第1の表示領域に、前記第1の画像及び前記第2の画像を表示し、前記メイン画素のみからなり前記表示単位部の一部である第2の表示領域に、前記第1の画像を表示する制御を行う表示制御機能と、を含む機能をコンピュータに実現させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、特定方向に対してメイン画素の表示する第1の画像を常に単独で表示することができ、特定方向以外の角度範囲では、サブ画素の表示する第2の画像を常にメイン画素の表示する第1の画像に重畳して表示することができる。このため、サブ画素を使用することにより、第1の画象と第2の画象とを異なる画像として、前記メイン画素の表示が特定方向以外で視認されるのを防止し、特殊な眼鏡を装着する煩わしさがなく、かつ特定方向以外における表示情報の視認性を低下させることを可能としながらも、第1の画象と第2の画象とを同一の画象とすることで、通常の表示にも切替可能になるという、関連技術にない優れた表示装置、電子機器、光学部材、表示パネル、コントローラ、表示パネルの駆動制御方法、及び制御プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
〔本発明の表示装置の基本的構成〕
先ず、表示装置の基本的構成について説明する。本発明の表示装置(例えば図1に示す符号1など)は、第1の画像を表示するメイン画素(例えば図1に示す符号201Fなど)と第2の画像を表示するサブ画素(例えば図1に示す符号201Sなど)とを含む複数の表示単位部(例えば図1に示す符号201Uなど)が、第1の方向(例えば図1に示すX方向など)及び前記第1の方向と交差する第2の方向(例えば図1に示すY方向など)にマトリクス状に配列されてなる表示部(例えば図1に示す符号2など)と、前記表示単位部から出射した光を少なくとも前記第1の方向に沿ってそれぞれ異なる方向に振り分け、前記各表示単位部に対応して設けられた光学部材(例えば図1に示す符号3など)とを含む構成としている。
【0018】
ここにおいて、前記表示単位部の表示領域は、前記第2の方向にて前記メイン画素と前記サブ画素とが形成される第1の表示領域(例えば図1に示す符号AR1など)と、前記第2の方向にて前記メイン画素のみが形成される第2の表示領域(例えば図1に示す符号AR2など)とを含むことができる。
【0019】
このような構成の表示装置では、特定方向に対してメイン画素の表示する第1の画像を常に単独で表示することができ、特定方向以外の角度範囲では、サブ画素の表示する第2の画像を常にメイン画素の表示する第1の画像に重畳して表示することができる。このため、サブ画素を使用することにより、第1の画象と第2の画象とを異なる画像として、前記メイン画素の表示が特定方向以外で視認されるのを防止し、特殊な眼鏡を装着する煩わしさがなく、かつ特定方向以外における表示情報の視認性を低下させ、特定方向以外における十分な機密保持が可能となる。また、第1の画象と第2の画象とを同一の画象とすることで、通常の表示にも切替可能になる。
【0020】
すなわち、前記メイン画素の表示が特定方向以外で視認されるのを防止した表示角制限モードを実現することができる。この際、メイン画素と対応してサブ画素を配置しているため、単にサブ画素の表示内容をメイン画素と同じにするだけで、広い角度範囲から表示が視認可能な通常表示モードを実現することができる。
【0021】
ここで、表示角制限モードにおいては、メイン画素の表示する画像と重畳して表示するサブ画素の画像として、メイン画素の表示する画像と同等の精細度の画像を表示することができる。これにより、特定方向以外での表示情報の視認性をより低下させることができ、表示角制限モードの性能を向上できる。また、メイン画素と独立したサブ画素を配置できるため、サブ画素を用いて着目度の高い動画像などを表示することもできる。これにより、特定方向以外からの覗き見をより効果的に防止することができる。
【0022】
さらに、画素からの光を空間的に振り分け可能な光学部材を使用しているため、特殊な眼鏡を装着する必要がなく、煩わしさがない。
【0023】
以下、このような本発明の「表示装置」の好適な実施の形態の一例について、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
〔第1の実施の形態〕
(表示装置の構成)
先ず、本実施の形態の表示装置、端末装置、光学部材、表示パネルの具体的構成について、全体構成から説明し、続いて各部の詳細構成について説明することとする。
【0025】
図1は、本発明の第1の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施の形態による表示装置の全体構成の一例を示す斜視図である。図3は、本発明の第1の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す断面図である。図4は、本発明の第1の実施の形態による表示装置の画素構造の一例を示す平面図である。図5は、本発明の第1の実施の形態による表示装置の画素とその駆動回路の配置を示した回路部レイアウトを示す平面図である。図6は、 本発明の第1の実施の形態による表示装置の光学的な構造を示すための説明図である。
【0026】
図1乃至図3に示すように、本第1実施形態に係る表示装置1は、表示部としての表示パネル2と、光学部材の一例であるレンチキュラレンズ3とから構成される。
それぞれの配置の順序は、観察者側から順に、レンチキュラレンズ3、表示パネル2である。表示パネル2は例えば、透過型のアクティブマトリクス型液晶表示パネルである。また、図2に示すように、必要に応じて、表示パネル2の背面側、即ち観察者側から見て表示パネル2の裏側に、面状光源8が配置されている。
【0027】
レンチキュラレンズ3は、多数のシリンドリカルレンズ3aが一次元配列したレンズアレイである。シリンドリカルレンズ3aの配列方向と直交する方向がシリンドリカルレンズ3aの延伸する方向、即ち長手方向となっている。
【0028】
シリンドリカルレンズ3aは、その延伸方向にはレンズ効果を持たず、その配列方向にのみレンズ効果を有する。
これにより、レンチキュラレンズ3は、シリンドリカルレンズ3aの配列方向にのみレンズ効果を有する一次元レンズアレイとなっている。
そして、レンチキュラレンズ3は、この一次元レンズ効果を利用して、表示パネルの画素から入射した光を異なる方向に振り分けることができ、また表示パネルの表示する画像を分離することもできる。
【0029】
ここで、図1に示すように、シリンドリカルレンズ3aはかまぼこ状の凸部を有しており、図1においては、その形状が強調して描かれている。また、レンチキュラレンズ3のシリンドリカルレンズ3aが形成された面と反対側の面は、レンズ面が形成されず平坦な面となっている。
このことは、他の実施形態におけるシリンドリカルレンズを示す平面図においても同様である。
【0030】
ここで、本明細書においては、便宜上、以下のようにXYZ直交座標系を設定する。レンチキュラレンズ3におけるシリンドリカルレンズ3aの配列方向をX軸方向(第1の方向)とし、シリンドリカルレンズ3aの長手方向をY軸方向(第2の方向)とする。Y軸方向は、XY平面内においてX軸方向と交差又は直交する。X軸方向及びY軸方向の双方に交差又は直交する方向をZ軸方向(第3の方向)とする。
【0031】
即ち、Z軸方向はXY平面の法線方向である。このZ軸方向のうち、表示パネル2からレンチキュラレンズ3に向かう方向を+Z方向とし、その反対方向を−Z方向とする。+Z方向は前方、即ち、使用者に向かう方向である。Z軸方向は、+Z方向及び−Z方向の総称である。+X方向は、図3に示す方向、即ち図3において表示装置1の左側から右側に向かう方向と定義する。
そして、+Y方向は、右手座標系が成立する方向とする。即ち、人の右手の親指を+X方向、人差指を+Y方向に向けたとき、中指は+Z方向を向くようにする。
【0032】
図1に示すように、表示パネル2においては、各1個のメイン画素201F及びサブ画素201Sからなる表示単位部201Uとしての画素対が配置され、この表示単位部201Uがマトリクス状に配置されている。
このため、レンチキュラレンズ3は、前記複数の表示単位部201Uから出射した光を、少なくとも前記第1の方向に沿って相互に異なる方向に振り分けることができる。
【0033】
各表示単位部201Uにおいては、メイン画素201FはT字型の表示領域を有する。
即ち、各表示単位部201Uを構成するメイン画素201Fにおいては、面状光源8からの光を透過して情報を表示するための開口領域が、T字型の形状を有している。
ここで、このT字の配置は、その横棒部がX軸方向、縦棒部がY軸方向と平行になるように配置されている。この結果、T字型表示領域の横棒部がシリンドリカルレンズ3aの配列方向と平行になり、縦棒部が長手方向と平行となっている。
【0034】
そして、X軸方向の+X方向側を右側に、またY軸方向の+Y方向側を上側に配置したとき、メイン画素201FのT字型表示領域の右下及び左下に(又は縦棒部の両隣に)、それぞれ矩形のサブ画素201Sの表示領域が配置されている。即ち、レンズ配列方向において、T字型表示領域の縦棒部に隣接して、サブ画素201Sの矩形表示領域が配置されている。
このサブ画素201Sの矩形表示領域のY軸方向における幅は、メイン画素201FのT字型表示領域の横棒部のY軸方向における幅と、ほぼ同等となるように設定されている。
【0035】
これにより、表示単位部201Uは、第2の方向にてメイン画素201Fとサブ画素201Sとが形成される第1の表示領域AR1と、第2の方向にてメイン画素201Fのみが形成される第2の表示領域AR2とに区分することができる。
【0036】
また、各表示単位部201Uは正方形に形成されている。即ち、各表示単位部のX軸方向における配列ピッチと、Y軸方向における配列ピッチが同等となるように配置されている。さらに、サブ画素201Sを構成する2つの矩形の表示領域は、光学的には2つの領域に分かれているが、電気的には同じ信号が伝わるように接続されている。
【0037】
本第1実施形態における第1の特徴は、表示単位部におけるこれらの画素構造にある。即ちメイン画素201FがT字型の表示領域を有し、サブ画素201Sの表示領域が2つの矩形に分断され、T字型の左下及び右下に配置されている点が一つの大きな特徴となっている。
【0038】
換言すれば、この構造は、Y軸方向に延伸する仮想的な線分がサブ画素201Sと交差するとき、メイン画素201Fとも交差すると表現することができる。即ち、レンチキュラレンズ等の一次元状の画像分離部を備え、この画像分離部がサブ画素のみを分離して表示することのないように、各画素が配置されている。
【0039】
ここで、メイン画素201FのT字型表示領域の縦棒部におけるY軸方向の長さは、T字型表示領域の横棒部におけるY軸方向の長さと、サブ画素201Sの矩形表示領域のY軸方向の長さの和に略一致するように形成されている。また、サブ画素201Sの矩形表示領域は、X軸方向において、メイン画素201FのT字型表示領域より外側にはみ出さないように配置されている。
【0040】
即ち、メイン画素201FのT字型表示領域における横棒部の+X方向の端部と、サブ画素201Sの矩形表示領域における+X方向の端部とが、X軸上でほぼ同じ位置となるように配置されている。
【0041】
−X方向に関しても同様である。
【0042】
更に、メイン画素201Fの表示領域とサブ画素201Sの表示領域との間には、遮光領域201BMが形成されている。遮光領域201BMは、隣接画素の表示が影響し合うのを防止したり、画素に表示信号を伝送するための配線を設置するスペースを確保する目的で配置されている。
【0043】
このように、前記表示単位部は、前記第1の表示領域において前記メイン画素の前記第2の方向での長さと前記サブ画素の第2の方向での長さとが等しくなるように形成することができるということもできる。
【0044】
また、前記表示単位部は、前記第1の表示領域における前記メイン画素の前記第2の方向での長さと前記サブ画素の第2の方向での長さとの合計値が、前記第2の表示領域における前記メイン画素の第2の方向での長さと等しくなるように形成することができる。
【0045】
さらに、前記表示単位部は、前記メイン画素が前記第2の方向に延伸する縦棒部を含む平面T字状に形成されるとともに、前記サブ画素が前記縦棒部の両隣にそれぞれ配置される構造を有するということもできる。
【0046】
図3に示すように、表示パネル2においては、2枚のガラス基板と、そのガラス基板間に挟持された液晶層4とが設けられている。本発明においては、2枚のガラス基板のうち、−Z方向側に配置された基板をTFT基板201GTと呼称し、+Z方向側に配置された基板を対向基板201GCと呼称する。
TFT基板201GTには、画素を駆動するための画素電極や、この画素電極を制御するための薄膜トランジスタや配線等が形成されている。
【0047】
画素電極は、画素の種類に応じて、メイン画素電極201FIとサブ画素電極201SIとが存在する。また、対向基板201GCには、画素電極と対になって液晶層に電圧を印加するための共通電極201COMや、遮光領域201BMが形成されている。
ここで、図3においては、各構成要素の大きさや縮尺は、図の視認性を確保するため、適宜変更して記載してある。
【0048】
図4に示すように、メイン画素電極201FIは、MOS型の薄膜トランジスタ201Tのソース電極又はドレイン電極のいずれか一方に接続される。そして薄膜トランジスタ201Tの他方の電極が、映像データを供給する配線、即ちデータ線となる信号線201Hに接続される。
【0049】
本発明においては、画素電極が接続された方の電極をソース電極、信号線に接続された方の電極をドレイン電極と呼称するものと定める。また、薄膜トランジスタ201Tのゲート電極は、走査線201Vに接続されている。
信号線201Hは略Y軸方向に延伸するように形成され、走査線201Vは略X軸方向に延伸するように形成されている。
【0050】
更に、画素電極に供給された映像信号を保持するための蓄積容量201Cが各画素に配置される。この蓄積容量201Cは例えば、画素電極との等電位部分、一例では画素電極と、蓄積容量線201CSとの間で容量が形成されている。蓄積容量線201CSは、走査線201Vと同様に、略X軸方向に延伸するよう形成されている。
【0051】
図5に示すように、信号線201Hは、表示パネル2の額縁領域において、信号線駆動回路201HCに接続されている。また、走査線201Vは、やはり表示パネル2の額縁領域において、走査線駆動回路201VCに接続されている。
【0052】
蓄積容量線201CSは、やはり表示パネル2の額縁領域において、対向基板201GCの共通電極201COMと電気的に接続され、共に共通電極制御回路201CCに接続されている。
【0053】
サブ画素201Sの構造も基本的にはメイン画素201Fと同様であるが、メイン画素電極201FIの接続する薄膜トランジスタ201Tを制御する走査線201Vは、メイン画素電極201FIよりも+Y方向側に配置されているのに対し、サブ画素電極201SIの接続する薄膜トランジスタ201Tを制御する走査線201Vは、サブ画素電極201SIよりも−Y方向側に配置されている。
【0054】
即ち、各表示単位部は、2本の走査線201Vに挟まれた配置となっている。また、メイン画素電極201FIの接続する薄膜トランジスタ201Tに映像信号を供給する信号線201Hと、サブ画素電極201SIの接続する薄膜トランジスタ201Tに映像信号を供給する信号線201Hは共通になっている。即ち本実施形態においては、各表示単位部に対し2本の走査線と1本の信号線が対応した、所謂2G−1D構造となっている。
【0055】
ここで、本実施形態においては、マトリクス状に配置された表示単位部において、1行1列目の表示単位部に接続される走査線のうち、メイン画素の薄膜トランジスタのゲート電極に接続される走査線を201V1、サブ画素の薄膜トランジスタのゲート電極に接続される走査線を201V2、メイン画素及びサブ画素の薄膜トランジスタのドレイン電極に接続される信号線を201H1と呼称する。
【0056】
同様に、2行1列目の表示単位部においては、メイン画素の薄膜トランジスタのゲート電極に接続される走査線は201V3となり、サブ画素の薄膜トランジスタのゲート電極に接続される走査線は201V4となり、メイン画素及びサブ画素の薄膜トランジスタのドレイン電極に接続される信号線は201H1となる。
【0057】
薄膜トランジスタ201Tは、半導体として多結晶シリコンを使用したポリシリコン薄膜トランジスタを使用している。多結晶シリコンは一例では、微量のホウ素を含むP型半導体である。
【0058】
即ち、薄膜トランジスタ201Tは、ソース電極又はドレイン電極の電位よりもゲート電極の電位の方がローレベルとなった場合に、ソース電極とドレイン電極との間が導通状態となる、所謂PMOS型の薄膜トランジスタである。
【0059】
ポリシリコン薄膜トランジスタは一例では、TFT基板201GT上に酸化シリコン層を形成した後でアモルファスシリコン層を形成し、このアモルファスシリコン層を多結晶化してポリシリコン薄膜を形成する。
【0060】
多結晶化する手法としては、熱アニール法やレーザアニール法が用いられるが、特にエキシマレーザ等のレーザを使用したレーザアニール法は、ガラス基板の温度上昇を最小限に留めた上でシリコン層のみを加熱多結晶化することができるため、融点の低い無アルカリガラス等を使用することができる。
【0061】
これにより、低コスト化が可能となるため、低温ポリシリコンとして良く用いられている。なお、このアニール工程を省くことにより、アモルファスシリコン薄膜トランジスタを実現することもできる。
【0062】
次に、シリコン層の上にゲート絶縁層としての酸化シリコン層を形成し、適宜パターニングする。この過程で、シリコン薄膜の半導体層として使用する部分以外の領域にイオンをドーピングして、導体化することが好ましい。パターニングの手法としては、感光性レジストを使用する光パターニングの手法が適用できる。
【0063】
一例では、感光性レジストをスピンコートした後に、ステッパ等の露光機で光を部分照射し、現像工程を経て、パターンを残す部分にのみ感光性レジストの膜を残す。その後、ドライエッチング等により感光性レジストの膜が残存しない領域のシリコン層を除去し、最後に感光性レジストの膜を剥離する。
【0064】
次に、ゲート電極となるアモルファスシリコン層とタングステンシリサイド層を成膜し、ゲート電極等を形成する。このとき、ゲート電極が接続する走査線や、蓄積容量線も同様に形成してもよい。次に、酸化シリコン層と窒化シリコン層を形成し、適宜パターニングした後に、アルミニウム層とチタン層を成膜し、ソース電極及びドレイン電極を形成する。このとき、信号線を同時に形成してもよい。
【0065】
次に、窒化シリコン層を成膜し、適宜パターニングした後にITO等の透明電極を成膜、パターニングすることにより、画素電極を形成する。これにより、薄膜トランジスタを有する画素構造を形成することができる。なお、この薄膜トランジスタを用いて、走査線駆動回路201VCや信号線駆動回路201HCを同時に形成することもできる。
【0066】
(回路構成)
図5に示すように、表示単位部201Uの集合となる表示面の周辺には、走査線駆動回路201VC、信号線駆動回路201HC、共通電極制御回路201CCが形成されている。走査線駆動回路201VCは所謂シフトレジスタであり、走査線を順次オン状態にすることができる。信号線駆動回路201HCには様々な回路形態がある。特にTFT基板201GT上に薄膜トランジスタを用いて回路を形成した場合、実現する回路規模に応じて、数種類の方式に分類される。
【0067】
例えば、信号線駆動回路201HCとしてDAC(デジタルアナログコンバータ)回路を有し、デジタル信号を直接入力する方式もある。本第1実施形態においては、アナログ信号入力部とデータ線との間に薄膜トランジスタを使用したスイッチ回路が搭載された、最小限の回路構成を使用する。
このスイッチ回路は、信号線1本につき1個ずつ設けられ、信号線に供給される信号を所望のタイミングで制御する。
そして、このスイッチ回路にアナログ信号を供給するための回路は、シリコンウェハ上に形成されたデータドライバICにより実現され、TFT基板上にCOG(チップ・オン・グラス)実装されている。
【0068】
ここで、走査線駆動回路201VC、信号線駆動回路201HC、共通電極制御回路201CC、その他の回路、その他のコントローラなどにより、「制御部」を構成することができる。この「制御部」は、第2の画像が第1の画像と異なる画像となる表示をする表示角制限モードと、前記第2の画像が前記第1の画像と同一の画像となる表示をする通常表示モードとのモード切替可能に表示制御することができる。また、各モードは、不図示のモード設定部にて設定することができる。
【0069】
図6に示すように、表示パネル2の+Z方向側に配置されているレンチキュラレンズ3においては、表示単位部201Uに対応してシリンドリカルレンズ3aが配置されている。即ち、X軸方向における表示単位部の配列周期は、シリンドリカルレンズの配列周期とほぼ等しくなっている。
このX軸方向において、表示単位部201UがY軸方向に配列してなる列が、一つのシリンドリカルレンズ3aに対応している。
【0070】
本第1実施形態における第2の特徴は、このレンズ条件の設定にある。即ち、この正面方向に対しては結像し、斜め方向に対してはぼかし効果により分離性能を低下させるように、レンズ条件を設定する。これにより斜め方向からの覗き見を防止する。
【0071】
(レンチキュラレンズと表示単位部との光学的な関係)
以下、本実施形態におけるレンチキュラレンズと表示単位部との光学的な配置について、図6を用いて定量的に説明する。
レンチキュラレンズ3を構成するシリンドリカルレンズ3aの主点、即ち頂点と画素との間の距離をHとし、レンチキュラレンズ3の屈折率をnとし、レンズピッチをLとする。
【0072】
また、メイン画素201F及びサブ画素201Sからなる表示単位部201UのX軸方向におけるピッチをPとし、メイン画素201FのT字型表示領域の縦棒のX軸方向における幅をP1とする。なお、以下の説明においては、メイン画素のT字型表示領域の縦棒のX軸方向における位置は、各表示単位部の中央に位置するものとする。
【0073】
また、レンチキュラレンズ3と観察者との間の距離を最適観察距離ODとし、この距離ODにおける表示単位部の拡大投影像の周期、即ち、レンズから距離ODだけ離れレンズと平行な仮想平面、即ち観察面における表示単位部の投影像の幅の周期をeとする。
【0074】
更に、レンチキュラレンズ3の中央に位置するシリンドリカルレンズ3aの中心から、X軸方向におけるレンチキュラレンズ3の端に位置するシリンドリカルレンズ3aの中心までの距離をWLとし、表示パネル2の中心に位置する表示単位部201Uの中心と、X軸方向における表示パネル2の端に位置する表示単位部201Uの中心との間の距離をWPとする。
【0075】
更にまた、レンチキュラレンズ3の中央に位置するシリンドリカルレンズ3aと表示パネル2の中心に位置する表示単位部に着目し、この中心に位置する表示単位部の+X方向の端から出射して中央に位置するシリンドリカルレンズ3aの主点に入射する光の入射角をαとし、この光がシリンドリカルレンズ3aを出射した時の出射角をβとする。
【0076】
同様にX軸方向におけるレンチキュラレンズ31の端に位置するシリンドリカルレンズ31aにおける光の入射角及び出射角を夫々γ及びδとする。
更にまた、距離WLと距離WPとの差をCとし、距離WPの領域に含まれる表示単位部の数をm個とする。
【0077】
ここで、図6では、レンズのぼかし量が少なく表示単位部の投影像の幅がeとみなせる場合について描いてあるが、ぼかし量が大きな場合では表示単位部の投影像の幅が大きくなるものの、隣接する投影像との重なりが大きくなるだけなので、投影像の周期はeのままである。
【0078】
シリンドリカルレンズ3aの配列ピッチLと表示単位部の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてレンチキュラレンズを設計することが多いため、表示単位部201Uの配列ピッチPを定数として扱う。
【0079】
また、レンチキュラレンズ3の材料を選択することにより、屈折率nが決定される。なお、厳密には屈折率nは、シリンドリカルレンズ3aの主点と画素との間を構成する構造物の屈折率であり、上述の構造においてはこれらの構造物としてレンチキュラレンズ3の他に対向基板201GCが存在するため、両者の屈折率の違いを考慮する必要がある。
【0080】
ただし、レンチキュラレンズ3をガラス材料やプラスティック材料等の透明材料で形成した場合には、対向基板201GCの屈折率とほぼ同じ1.5前後の屈折率として扱うことができるため、ここでは両者を代表してレンズの屈折率と呼称する。仮にレンズと対向基板との屈折率に大きな違いが発生する場合には、公知の技術をもって適宜補正することができる。
【0081】
更に、対向基板201GCとレンチキュラレンズ3aとの間に偏光板等の光学フィルムが配置される場合には、その屈折率や厚みを勘案して補正することもできるが、一般的にこれらの光学フィルムはレンズや対向基板と大きな屈折率差が存在しないか、存在した場合でもその厚みが非常に小さく、やはりレンズの屈折率として扱っても問題ない場合が多い。
【0082】
次に、レンズと観察者との間の最適観察距離OD、及びこの距離ODだけレンズから離れた観察面における表示単位部の拡大投影像の周期eは所望の値を設定するが、特に周期eの設定に関しては後述のフィードバックが必要となる。
【0083】
これらの値を使用して、レンズの頂点と画素との間の距離H及びレンズピッチLを決定する。スネルの法則と幾何学的関係より、下記数式1乃至6が成立する。また、下記数式7乃至9が成立する。
【0084】

n×sinα=sinβ ・・・・・ (数式1)

【0085】

OD×tanβ=e/2 ・・・・・ (数式2)

【0086】

H×tanα=P/2 ・・・・・ (数式3)

【0087】

n×sinγ=sinδ ・・・・・ (数式4)

【0088】

H×tanγ=C ・・・・・ (数式5)

【0089】

OD×tanδ=WL ・・・・・ (数式6)

【0090】

WP−WL=C ・・・・・ (数式7)

【0091】

WP=m×P ・・・・・ (数式8)

【0092】

WL=m×L ・・・・・ (数式9)

【0093】
本発明の第1の実施の形態においては、レンチキュラレンズの頂点と画素との間の距離Hを、レンチキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズの焦点距離fと等しく設定する。このため、下記数式10が成立する。
【0094】

f=H ・・・・・ (数式10)

【0095】
更に、Abbeの不変量において、像点距離をIとすると、物点距離はHとなるので、下記数式11が成立する。
【0096】

n/H−1/I=(n−1)/r ・・・・・ (数式11)

【0097】
ここで、上記数式10に示すように、距離Hと焦点距離fとを等しく設定したので、像点距離Iは無限大となるため、レンズの曲率半径をrとすると、曲率半径rは下記数式12により求まる。

【0098】

r=H×(n−1)/n ・・・・・ (数式12)

【0099】
ここで、レンチキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズの横倍率は、表示単位部の拡大投影像周期を表示単位部の周期で除した値と考えることができるので、e/Pとなる。
従って、T字型表示領域の縦棒部(幅P1)の観察面における幅は、P1×e/Pとなる。本第1実施形態においては、この幅P1の拡大投影像を観察者の両眼が視認する必要があるため、P1×e/Pの値を観察者の両眼間隔 以上に設定する必要がある。
【0100】
一般的に、成人男子の両眼間隔の平均値は65mm、標準偏差は±3.7mmであり、成人女子の両眼間隔の平均値は62mm、標準偏差は±3.6mmである(Neil A
Dodgson、“Variation and extrema of human
interpupillary distance ”、Proc.SPIE vol.5291)。
従って、P1×e/Pの値を成人男子の両眼間隔の平均値以上である65mm以上に設定するのが適当であり、より好ましくは標準偏差のおよそ3倍の値を加味して75mm以上に設定することにより、成人男子のみならず99.7%以上の老若男女に対応することが可能となる。
【0101】
上述の手法により、縦棒部の幅P1の観察面における幅P1×e/Pを決定することができるが、最後にP1とeとの関係を決定する必要がある。
前述のように、表示単位部の配列ピッチPは、通常、表示装置に要求される精細度等から予め決定されることが多く、定数として扱われることなる。したがって、P1×eの値は定数となる。
しかし、P1とeの値をどのように組み合わせるかを決定する必要があり、この決定により構築される構造が、本第1実施形態における大きな特徴となっている。
【0102】
上述のように、本第1実施形態においては、レンチキュラレンズの頂点と画素との間の距離Hを、レンチキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズの焦点距離fと等しく設定したため、像点距離Iは無限大となるが、厳密にはこれは正面方向において成立する。斜め方向に関しては像点距離Iが正面方向とは異なる値になる。
【0103】
そして一般的に、斜め方向の像点距離Iの算出は、上述のAbbeの不変量の式である数式11において、レンズの頂点と画素との間の距離Hを大きくすることにより、算出することができ、像点距離は無限大の値から有限の値となる。
【0104】
また、斜め方向の角度が大きくなるに従い像点距離は小さくなる。特にレンズ倍率が大きい場合には、像点距離が小さくなることによるレンズのぼかし効果、即ち観察面でのデフォーカス効果が大きくなる。
【0105】
本第1実施形態においては、効果的に斜め方向からの覗き見を防止するため、サイドローブに着目する。サイドローブはメインローブの対義語である。そこで、まずメインローブについて説明する。
【0106】
前述のように、各表示単位部はシリンドリカルレンズと対応して配置されている。表示単位部を構成する画素から出射した光は、観察者側のあらゆる方向に向かって進行し、レンチキュラレンズに入射する。そして一部の光は、この画素と対応して配置されたシリンドリカルレンズを通過する。
【0107】
一般的に、この対応するシリンドリカルレンズを通過した光が、観察面に形成する像をメインローブと呼称する。即ち、メインローブとは、各表示単位部を出射して、それぞれの表示単位部と対応するシリンドリカルレンズを通過した光の像を指す。
【0108】
これに対してサイドローブは、一般的に、メインローブ以外の像を指す。即ち、各表示単位部から出射た後で、各表示単位部と対応するシリンドリカルレンズ以外のシリンドリカルレンズを通過した光が形成する像を指す。そして、対応するシリンドリカルレンズと隣接するシリンドリカルレンズを通過した光の像は、1次サイドローブと呼称される。
【0109】
更に、隣接するシリンドリカルレンズを通過した光の像は、2次サイドローブと呼称される。メインローブが表示装置の正面方向に設定された場合、1次サイドローブはシリンドリカルレンズの配列方向に沿って、正面方向から斜めに傾斜した方向に存在することになる。
【0110】
図6に示すように、表示領域の中央に位置するシリンドリカルレンズに着目し、このシリンドリカルレンズを通過する光、特に+X方向に隣接する表示単位部から出射する光が形成する1次サイドローブに着目する。
【0111】
表示領域の中央に位置する表示単位部に対し、+X方向に隣接する表示単位部の中央から出射する光(この光はT字型表示領域の縦棒部から発した光でもある)において、像点距離Iは上述の数式11から算出することができる。
【0112】
数式11において、レンズの主点と画素との間の距離が(H^2+P^2)のルート、即ち(H^2+P^2)^0.5となることから、像点距離Iは下記数式13として算出される。ここで、本発明においては、数式を明瞭化するため√(ルート)を^0.5と記載することもあるが、両者は同等である。
【0113】

I=1/(n/(H^2+P^2)^0.5−(n−1)/r)

・・・・・ (数式13)

【0114】
そして、像点の位置で一度集光した光は、今度は広がりながら観察面に到達する。図6に示すように、シリンドリカルレンズから出射して像点の位置で結像し観察面に向かう光は、像点の前後で相似の関係となる三角形を形成する。一方の三角形は像点に到達する前であり、シリンドリカルレンズのピッチを底辺とし、この底辺の中点と像点との距離を像点距離Iとする三角形である。
【0115】
また、他方の三角形は像点に到達した後であり、観察面における広がり幅を底辺とし、この底辺の中点と像点との距離を√(OD^2+e^2)−Iとする三角形である。なお、後者の三角形において、底辺の中点のX座標の値はeである。これは表示単位部の拡大投影像の周期がeであることから明らかである。
【0116】
像点を通過した光の観察面における広がり幅は、レンズ条件に依存する。そして、1次サイドローブにおいて縦棒部が分離して視認されないためには、この広がり幅は、縦棒部の幅P1の正面方向における観察面での幅P1×e/P以上に設定されることが好ましい。これにより、1次サイドローブにおいて、サブ画素からの光がメイン画素の縦棒部からの光と分離されないからである。
【0117】
今、像点を通過した光の観察面における広がり幅がP1×e/Pと等しくなる境界条件について考えると、下記数式14が成立し、これをP1について解き不等号を考慮することで、下記数式15が求まる。
【0118】

L:I=P1×e/P:(OD^2+e^2)^0.5−I ・・・・
・・・・・ (数式14)

【0119】

P1≦(P×L/e/I)×((OD^2+e^2)^0.5−I) ・・・
・・・・・ (数式15)

【0120】
この数式15によりP1とeとの関係式が成立し、前述の条件と合わせて、P1及びeの値を定めることが可能となる。
【0121】
一例では、表示単位部のX軸方向におけるピッチPを0.174mm、最適観察距離ODを350mm、レンチキュラレンズの屈折率nを1.53、表示単位部の数mを120、レンチキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズの曲率半径を0.088mm、レンズピッチを0.1739mm、シリンドリカルレンズの主点と画素との間の距離Hを0.254mmとした場合、表示単位部の投影像の周期eが200mmの場合に、像点距離Iは0.946mmとなり、メイン画素のT字型表示領域の縦棒のX軸方向における幅P1が0.0642mmとなり、メインローブにおけるT字型表示領域の幅P1の縦棒部分が、観察面に投影する像の幅P1×e/Pは74mmと算出される。
【0122】
上述のように、本第1実施形態における構造上の特徴は2点ある。ここで、この2点の構造上の特徴についてまとめておく。第1の特徴は表示単位部における画素構造であり、第2の特徴はレンズ条件である。
【0123】
第1の特徴である画素構造は、レンチキュラレンズ等の一次元状の画像分離部が、メイン画素のみを分離して表示するが、サブ画素のみを分離して表示することのないように配置されている。
即ち、レンチキュラレンズの画像分離方向を第1方向とするとき、この第1方向と直交する第2方向に延伸する線分が、サブ画素と交差する場合にはメイン画素とも交差する。一方で、メイン画素とのみ交差する場合も存在する。その一例として、メイン画素がT字型表示領域を有し、サブ画素の矩形表示領域が2つの矩形に分断されてT字型表示領域の左下及び右下に配置される。
前述の第2方向に延伸する線分がサブ画素と交差する場合にメイン画素とも交差するのは、この線分がサブ画素の矩形表示領域を縦断する場合である。そして、メイン画素とのみ交差する場合は、メイン画素のT字型表示領域の縦棒部を縦断する場合である。
【0124】
また、第2の特徴であるレンズ条件は、レンチキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズが、正面方向近傍(特定の視野角の領域)においてのみ、メイン画素からの光とサブ画素からの光を分離するような構成となっている。
即ち、正面方向に対しては結像し、斜め方向に対してはぼかし効果により分離性能を低下させるように、レンズ条件が設定されている。そして、これらの第1の特徴と第2の特徴を組み合わせることにより、正面方向の分離性能と斜め方向の非分離性能をそれぞれ高めることができる。
【0125】
図7に示すように、本第1実施形態に係る表示装置1は、例えば、電子機器の一例である携帯電話9の表示部に搭載される。即ち、本実施形態に係る端末装置としての携帯電話9は、上述の表示装置1を備えている。そして、図1に示すシリンドリカルレンズ3aの長手方向であるY軸方向が、携帯電話9の画面の縦方向、即ち垂直方向となり、シリンドリカルレンズ3aの配列方向であるX軸方向が、携帯電話9の画面の横方向、即ち水平方向となる。
【0126】
(表示パネルの駆動制御方法について)
次に、上述のような構成を有する表示装置における各部の処理は、方法としても実現可能であり、表示パネルの駆動制御方法としての各種の処理手順について、図8を参照しつつ説明する。
【0127】
本実施の形態に係る表示パネルの駆動制御方法は、第1の画像を表示するメイン画素と第2の画像を表示するサブ画素とを含む複数の表示単位部が、第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向にマトリクス状に配列されてなる表示パネルを対象とするものである。
【0128】
ここで、前記表示単位部は、前記第2の方向にて前記メイン画素と前記サブ画素とが形成される第1の表示領域と、前記第2の方向にて前記メイン画素のみが形成される第2の表示領域とを有することができる。
【0129】
この表示パネルの駆動制御方法は、基本的構成として、前記メイン画素と前記サブ画素とが同極性となるように、前記各画素の極性反転を実行する駆動を行い、前記第1の画像と前記第2の画像とを前記第1の表示領域にて表示し、前記第1の画像を第2の表示領域にて表示するように制御することができる。
【0130】
以下に、より詳細な表示装置の動作について説明する。まずはじめに、表示パネルに画像データを表示する方法について説明する。
【0131】
図8は、本実施形態に係る表示装置における表示動作の一例を示すタイミングチャートであり、同図(A)は、横軸に時間をとり、縦軸に共通電極制御回路の共通電極及び蓄積容量線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(B)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(C)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(D)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のメイン画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(E)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目の表示単位部に位置するサブ画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(F)は、横軸に時間をとり、縦軸に信号線駆動回路の1列目の信号線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(G)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
同図(H)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
同図(I)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
同図(J)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
【0132】
図9は、表示面から最適観察距離ODだけ離れた観察面において、横軸にX軸方向の座標、縦軸に照度をとって、メイン画素及びサブ画素の像の分布を示したグラフ図である。
【0133】
本実施形態における第3の特徴は、表示パネルの駆動制御方法にある。即ち、各表示単位部を構成する画素は極性が同じになるように駆動される。
【0134】
さらに、隣接する表示単位部は、極性が異なるように駆動される。各表示単位部を構成する画素を同極性で駆動するのは高画質化を実現するためであり、隣接する表示単位部を異極性で駆動するのは、極性反転動作に起因するフリッカ、即ち画面のちらつきを低減するためである。
【0135】
図8に示すタイミングチャートは、説明の都合上、特に表示画面の1行1列目及び2行2列目に位置する表示単位部に着目し、特にあるフレームの書込動作を示している。
なおフレームの定義は、プログレッシブ方式やインタレース方式など表示方式により異なるが、本発明においては、各画素に着目した際に1秒間に書込動作が実行される回数をフレーム数と称するものとする。通常の液晶表示装置においては、1秒間に60回の書込動作が実行される。即ち、秒間フレーム数は60回であり、フレーム周波数は60Hzであり、1フレーム期間は約16msである。
【0136】
また、通常の液晶表示装置においては、液晶分子は交流電界により駆動される。これは、直流電界が印加された場合には焼き付きなどの現象が発生し好ましくないからである。交流電界により液晶分子を駆動するためには、共通電極に対する画素電極の極性を、一定周期で反転する必要がある。極性反転の方法としては、様々な方法が提案されているが、特に本第1実施形態の表示パネル2においては、2ラインドット反転で駆動される。
【0137】
即ち、前述のように、1表示単位部にはメイン画素とサブ画素の制御のため2本の走査線が接続されるが、この2本の走査線が選択されている際には、メイン画素及びサブ画素が同極性となるよう信号線に表示データが供給される。なお、同極性とは、共通電極に対する画素電極の電圧極性が同じであることを指す。
【0138】
これにより、同一フレーム中においては、メイン画素とサブ画素の極性が同一となる。そして表示単位部で見ると、X軸方向及びY軸方向に隣接する表示単位部が、正負の異なる極性を有している。
なお、本実施形態におけるドット反転動作では、一般的なドット反転動作と同様に、共通電極には所定値の直流電圧が印加され、画素電極に供給される信号電圧が共通電極に対して正負の極性を有するように供給される。
【0139】
したがって、図8(A)に示すように、共通電極制御回路201CCの共通電極201COM及び蓄積容量線201CSに供給される電圧は、一定の直流電圧のままであり、本例では0Vに固定されている。即ち、全ての画素は、画素電極と対向する共通電極が0Vの一定値に固定されている。
【0140】
図8(B)に示すように、1行目の走査線201V1が該当する水平期間にローレベルとなることによって、この走査線201V1に接続されたメイン画素201FにおけるP型の薄膜トランジスタ201Tはオン状態となる。
【0141】
そして、信号線駆動回路201HVにおける信号線201H1が接続されたスイッチがオン状態となり、図8(F)に示すように、1行1列目の表示単位部におけるメイン画素に表示すべき信号の電圧が信号線201H1に供給される。この結果、図8(G)に示すように、1行1列目のメイン画素の画素電極に薄膜トランジスタ201Tを経由して信号線201H1の電圧が転送され、画素電極の共通電極に対する電圧は所望の値に設定される。
【0142】
一例では、この電圧は+5Vである。なお、1行目の他の表示単位部におけるメイン画素には、対応する信号線を経由して、同様に表示内容に応じた所望の電圧が設定される。
【0143】
ただし、本実施形態では2ラインドット反転となっているため、隣接する表示単位部のメイン画素に着目すると、共通電極の電位に対して正負が異なる電圧が供給されている。一例では、1行2列目に位置する表示単位部のメイン画素における画素電極の共通電極に対する電圧値は−5Vである。
【0144】
次に、図8(C)及び(F)に示すように、1行1列目のサブ画素にも同様に電圧が供給されるが、本実施形態では2ラインドット反転であるため、図8(H)に示すように、表示単位部を形成するメイン画素と同じ極性の電圧が供給されている。一例では、1行1列目のサブ画素の画素電極の電圧は+5Vである。
【0145】
そして次に、図8(D)及び(F)に示すように、2行1列目のメイン画素にも同様に電圧が供給されるが、図8(I)に示すように、1行1列目における画素とは極性が異なっている。一例では−3Vである。
【0146】
次に、図8(E)及び(F)に示すように、2行1列目のサブ画素にも同様に電圧が供給されるが、図8(J)に示すように、この電圧は表示単位部を形成するメイン画素と同極性の電圧であり、一例では−3Vである。このようにして、表示パネル2に順次画像データが書き込まれていく。
【0147】
例えば、走査線が1000本存在する場合、前述のように1フレーム期間は約16msであるため、1走査期間は16μsとなる。
【0148】
これに対し、液晶分子の応答は数ms程度であるため、書込が実行された画素の液晶分子がその書込期間中に応答を完了するのは不可能である。
【0149】
そして、書込終了後に液晶分子が応答すると、電圧変動が発生することになる。これは、書込時には書込された電圧が共通電極と画素電極との間の画素容量に蓄積されるが、両電極間には液晶分子が存在し、また液晶分子は誘電率に異方性を有するため、書込された電圧により液晶分子が配向変化すると、画素容量も変化するからである。
【0150】
この影響を低減するため、蓄積容量201Cが設けられている。即ち、書込された電圧は、画素容量だけでなく蓄積容量でも保持される。
【0151】
また、各画素は該当する走査期間が終了すると走査線の電圧がハイレベルに変化するが、このとき薄膜トランジスタのゲートとソース間の結合容量に起因してフィードスルーと呼称される電圧シフトが発生する。この電圧シフトは蓄積容量201Cの容量値を大きくすることで低減可能である。更に、薄膜トランジスタはオフ時においても微少なリーク電流が流れる。このリーク電流の影響を低減するためにも、蓄積容量201Cの配置は有効である。
【0152】
そして、書込された電圧は、次のフレームにおいて再度走査線がローレベルとなり、画素の薄膜トランジスタがオン状態になるまで保持される。この次のフレームにおいては、画素電極の電圧極性は、前フレームの電圧極性に対して反転される。
即ち、2ラインドット反転は、フレームにより極性が反転されるフレーム反転との併用が前提となっている。このようにして、表示パネルに順次画像データが書き込まれ、書き込まれた電圧に基づいて各画素における液晶分子が配向変化し、画像が表示されていく。
【0153】
(レンズの画像分離動作)
次に、本第1実施形態におけるレンズの画像分離動作について説明する。図9は観察面において、横軸にX軸方向の座標、縦軸に照度をとって、メイン画素及びサブ画素の像の分布を示したグラフ図である。
【0154】
前述のように、メイン画素におけるT字型表示領域の縦棒部の像が正面方向になるよう配置され、シリンドリカルレンズは正面方向を分離するように構成されている。またメイン画素はメイン画像を、サブ画素はサブ画像を表示する。
【0155】
この結果、正面方向近傍の第1表示範囲においては、メイン画像のみが観察される。そして、それ以外の角度範囲である第2表示範囲においては、メイン画像とサブ画像が混在して観察される。この混在表示が観察される第2表示範囲において、特に第1表示範囲に近い角度では、メイン画素のT字型表示領域の横棒部とサブ画素の矩形表示領域の配置によって、混在表示が実現される。
【0156】
そしてそれよりも大きな角度では、前述のレンズ条件、即ち角度の大きな斜め方向に対して分離性能を低下させるレンズ構造により、混在表示が実現される。
【0157】
また本発明においては、正面方向からX軸方向に傾斜した角度範囲のみならず、Y軸方向に傾斜した角度範囲においても混在表示を実現することができる。
【0158】
これは、正面方向からY軸方向に傾斜した方向に出射する光に着目すると、その光が通過してきたレンズと画素との間の光路長は、傾斜角の増大と共に大きくなり、デフォーカス効果が発生するからである。即ち、X軸方向に傾斜した場合には、傾斜角が大きくなるとレンズの分離性能が低下したが、これと同様の現象がY軸方向においても発生する。
【0159】
ただし、シリンドリカルレンズは、Y軸方向に延伸するためY軸方向に分離作用を持たず、表示単位部もY軸方向にサブ画素を有さないため、画素配置による混在表示は実現されない。
単にレンズの分離性能低下を利用した混在表示だけである。このため、Y軸方向に傾斜した場合の効果は、X軸方向に傾斜した場合よりも低い。しかしながら、一次元配列の簡易な画像分離部を使用して、二次元の効果を発揮することができるため、有効である。
【0160】
次に、表示する画像について説明する。本実施形態においては、二つのモード、即ち特定方向以外からは表示情報を視認できない表示角制限モードと、広い角度範囲から表示が視認可能な通常表示モードで、表示する画像が異なる。
【0161】
通常の表示モードにおいては、各表示単位部におけるメイン画素とサブ画素には同一の画像が表示される。これにより、正面付近の第1表示範囲だけでなく、第2表示範囲、即ち第1表示と第2表示が分離されずに表示される斜め方向の角度範囲においても、同一の画像が表示される。
【0162】
そして、表示角度範囲が制限された表示角制限モードにおいては、サブ画素はメイン画素の反転情報を表示する。ここで反転情報とは、階調を反転した情報を意味する。これにより、正面付近の第1表示範囲では、通常の表示と同様の表示が実現されるが、第2表示範囲においては、通常の画像とその反転画像が分離されずに混在して表示されることになる。この結果、第2表示範囲では、表示面全体がグレーとなって観察され、表示した情報を視認することはできない。
【0163】
このように、反転画像の使用とそれによる表示角制限モードの実現が、本第1実施形態の第4の特徴である。
【0164】
この表示角制限モードにおいて、第2表示範囲では表示面全体がグレーアウトする動作について、図を使用して詳述する。図10(A)は、表示角制限モード時にメイン画素に表示する画像の例であり、(B)は、サブ画素に表示する画像の例であり、(C)は斜め方向からの観察例を示す。図10(B)は、(A)の反転画像となっている。例えば、この画像情報を0から255のディジタル値で表現した場合、図10(A)の黒丸内は値0であり、それ以外の領域は255の値を取るものとする。すると、図10(B)の黒丸内は値255であり、それ以外の領域は値0となる。
【0165】
そして、図10(C)に示す観察例では、黒丸内はメイン画素の値0とサブ画素の値255との平均の値となる。それ以外の領域では、メイン画素の値255とサブ画素の値0との平均の値となる。即ち、黒丸の内外にかかわらず、同じ値が観察されることになる。
これにより、斜め方向からは黒丸が観察されず、表示角度範囲を制限することが可能となる。また上述の例のように単なる黒丸のみならず、文字情報や画像情報などの機密情報を表示した際にも、表示角度範囲を制限して機密保持を実現することができる。
【0166】
ここで、図10では表示画面全体において表示角制限モードと通常表示モードとを切り替える例について説明したが、上記の説明から明らかなように、本発明においては各表示単位部でモードを切り替えることができる。即ち、表示するデータを変更するだけで両モードを切り替えることができるため、表示画像の中の特に秘匿したい部分、機密性の高い部分を表示角制限モードにすることも容易である。
【0167】
(効果について)
次に、本第1の実施の形態における効果について説明する。
本第1の実施の形態においては、1枚のレンチキュラレンズと表示パネルとを使用し、単に表示内容を変更するだけで、正面方向に位置する使用者にのみ表示内容を視認可能にする表示角制限モードと、広い角度範囲において表示内容を視認可能な通常表示モードとを切り替えることができる。そして、この切り替えは各表示単位部毎に実現できる。
【0168】
また、レンチキュラレンズはシリンドリカルレンズが一次元配列した光学素子であり、構造が単純であるため製造が容易であり、低コスト化が可能である。本実施形態では画像分離用の光学素子としてこのレンチキュラレンズを1枚のみ使用するだけなので、表示装置の薄型化が可能であり、低コスト化も可能となる。また構造が単純であり、製造も容易である。このため、信頼性の向上も可能となる。
【0169】
更に、レンチキュラレンズは透過する光を屈折するだけで吸収が殆どないため、光学的な損失がなく明るい表示が可能となる。
【0170】
また、本発明においては、この一次元配列した光学素子を使用して、二次元状の表示モード切替効果を実現することができる。即ち、シリンドリカルレンズの配列方向のみならず、表示面内におけるその直交方向に対しても、切替効果を発揮することができる。
【0171】
特定方向に対してメイン画素の表示する画像を常に単独で表示することができる。また、特定方向以外の角度範囲では、サブ画素の表示する画像を常にメイン画素の表示する画像に重畳して表示することができる。具体的には、サブ画素を使用することにより、第1の画象と第2の画象とを異なる画像として、前記メイン画素の表示が特定方向以外で視認されるのを防止し、特殊な眼鏡を装着する煩わしさがなく、かつ特定方向以外における表示情報の視認性を低下させ、特定方向以外における十分な機密保持が可能となる。また、第1の画象と第2の画象とを同一の画象とすることで、通常の表示にも切替可能になる。
このように、サブ画素を使用することにより、前記メイン画素の表示が特定方向以外で視認されるのを防止した表示角制限モードを実現することができる。
【0172】
また、メイン画素と対応してサブ画素を配置しているため、単にサブ画素の表示内容をメイン画素と同じにするだけで、広い角度範囲から表示が視認可能な通常表示モードを実現することができる。
【0173】
更にまた、表示角制限モードにおいては、メイン画素の表示する画像と重畳して表示するサブ画素の画像として、メイン画素の表示する画像と同等の精細度の画像を表示することができる。これにより、特定方向以外での表示情報の視認性をより低下させることができ、表示角制限モードの性能を向上できる。また、メイン画素と独立したサブ画素を配置できるため、サブ画素を用いて着目度の高い動画像などを表示することもできる。これにより、特定方向以外からの覗き見をより効果的に防止することができる。
【0174】
また、画素からの光を空間的に振り分け可能な光学部材を使用しているため、特殊な眼鏡を装着する必要がなく、煩わしさがない。
【0175】
(特徴のまとめ)
ここで、本実施の形態の特徴についてまとめておく。これまでに詳述したように、本発明の必須の構成要件は、本発明の第1の特徴にある。即ち、画像分離部の分離方向において、サブ画素がメイン画素と分離して観察されないように配置されている。一方で、メイン画素のみが分離して観察されるように構成されている。これにより、本発明の効果である表示角制限モードの実現が可能となる。
【0176】
そして、本実施形態に記載のように、メイン画素がT字型の表示領域を有し、サブ領域が矩形型の表示領域を有することにより、各画素への配線を容易にすることができ、シンプルな構造で高い効果を発揮することができる。
【0177】
また、サブ画素の矩形表示領域のY軸方向における幅は、メイン画素のT字型表示領域の横棒部のY軸方向における幅と、ほぼ同等となるように設定されている。これにより、サブ画素がメイン画素の視認性を低下させる効果を向上でき、優れた秘密保持性を実現することができる。
【0178】
更に、メイン画素のT字型表示領域の縦棒部分におけるY軸方向の長さは、T字型表示領域の横棒部分におけるY軸方向の長さと、サブ画素の矩形表示領域のY軸方向の長さの和に略一致するように形成されている。これにより、正面方向における輝度と斜め方向における輝度を同等にすることができるため、特に通常表示モードにおける使用者の違和感を低減することができる。
【0179】
以上が本発明の必須の構成要件であるが、本発明の第2の特徴を併用することで、飛躍的に性能を高めることができる。即ち、本発明の第2の特徴である画像分離部は、一次元状の画像分離効果を有するレンチキュラレンズであり、このレンチキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズが、正面方向近傍においてのみ、メイン画素からの光とサブ画素からの光を分離する。即ち、正面方向に対しては結像し、斜め方向に対してはぼかし効果により分離性能を低下させるように、レンズ条件が設定されている。そして、これらの第1の特徴と第2の特徴を組み合わせることにより、正面方向の分離性能と斜め方向の非分離性能をそれぞれ高めることができる。
【0180】
更に、本発明の第3の特徴として説明したように、本発明の表示パネルにおいては、各表示単位部を構成する画素は極性が同じであり、隣接する表示単位部は極性が異なるように駆動される。隣接する表示単位部の極性を異なるように駆動することにより、一般的なドット反転駆動と同様の効果を本発明において発揮することができる。
【0181】
これにより、表示面内における極性分布の空間周波数を高めることができるため、極性反転に起因するフリッカを低減することができる。更に、各表示単位部内の極性を揃えることで、特に通常表示モードにおいて正面方向近傍とそれ以外の角度範囲の表示を揃えることができ、高画質化が可能となる。
【0182】
また、サブ画素にメイン画素の反転情報を表示する場合には、混在表示における平均化の効果を高め、覗き見防止効果を高めることができる。
【0183】
これは、前述のフィードスルー等の影響により、絶対値が同じ電圧を書き込んだ場合でも、極性が異なると同一の光学特性を実現するのが困難なためである。この駆動条件も本発明に必須の構成要件ではないが、併用することで特に本発明の効果を高めることができる。
【0184】
また、本発明の第4の特徴である反転画像の使用も、必須の構成要件ではなく、例えば市松模様や全く異なる画像(例えば単色画像)をサブ画素に用いることも可能である。ただし、反転画像以外の画像を使用した場合には、斜め方向においてはメイン画素の表示内容と重畳して観察されるだけである。
【0185】
それでも、従来の方法、即ち画素よりも粗いパターンを表示画像に重畳させる方法よりは、表示角制限モードにおける覗き見防止効果を高めることができる。
【0186】
これは、本発明においては、画素と同等の細かなパターンをも表示画像に重畳して表示することができるからである。そして、特に反転画像を使用した場合には、メイン画素の表示内容を完全に打ち消すことができ、覗き見防止効果、機密保持効果を大きく高めることが可能となる。
【0187】
ここで、反転画像以外の画像を使用する場合には、この画像が時間的に変化することが好ましい。これにより、サブ画像への注目度を高めて、メイン画像の視認性を低下させることができる。
【0188】
以上のように、本発明に必須の構成要件は第1の特徴であり、この第1の特徴を単独で使用することも、また第2乃至第4の特徴を別々に組み合わせて適用することも可能である。そして、特に第1乃至第4の特徴を組み合わせて使用した場合に、最大の効果を得ることができる。
【0189】
ここで、レンチキュラレンズを使用した関連技術の表示装置との相違点について言及しておく。このような表示装置として立体画像表示装置が挙げられるが、立体画像表示装置では左眼用の画像を表示する画素と右眼用の画像を表示する画素とを有し、レンチキュラレンズ等の画像分離部を使用して、各画像を分離している。即ち、各視点は同等であり、各視点用(左眼用又は右眼用など)の画素も同様に構成される。
【0190】
これに対して、前述のように本発明においては、形状の異なるメイン画素とサブ画素を使用している。即ち、各画素は同様に構成されていない。そして、従来の立体画像表示装置では各視点表示の分離が目的であるのに対し、本発明においては正面方向近傍以外は分離せず、斜め方向では混在を積極的に実現している。このように、コンセプト自体に大きな相違がある。
【0191】
関連技術の立体画像表示装置のコンセプトを利用して、本発明のような表示角制限を実現しようとした場合、各視点の拡大倍率、即ち分離角度を大きくする必要がある。
これは通常のレンチキュラレンズのみでは、もはや構成することができず、表示パネルの背面側に、偏光コントロール用液晶セル、レンチキュラレンズ、パターン化リターデーションフィルムから構成される画像分離部を設けた例も提案されている。
このように、一般的に、大きな分離角度を実現するためには、画像分離部に複雑な光学系を適用する必要が発生する。
【0192】
これに対し、本発明では、混在を積極的に利用するという発想の転換を利用して、簡素な構成で高い性能を実現することができる。
【0193】
(その他)
また、前記光学部材は、前記各表示単位部から出射する光のうち、前記各表示単位部と対応する部分を通過して出射する第1の光が観察面に形成する像をメインローブとし、その他の第2の光が前記観察面に形成する像をサイドローブとするとき、前記メイン画素からの光を分離して前記メインローブ及び前記サイドローブのいずれか一方となるように形成することができる。
【0194】
さらに、前記光学部材は、少なくとも前記第1の方向に沿って配列された前記各表示単位部毎にシリンドリカルレンズが各々対応して配置されたレンチキュラレンズからなることができる。
【0195】
また、前記表示部は、前記第1の画像を特定の視野角を範囲とする第1の表示範囲にて表示し、前記第1の画像と前記第2の画像との合成画像を前記第1の表示範囲外の第2の表示範囲にて表示可能に表示するものとすることができる。
【0196】
本実施形態においては、液晶表示パネルの駆動制御方法は、前述の薄膜トランジスタ方式のみならず、TFD(Thin Film Diode:薄膜ダイオード)方式等のアクティブマトリクス方式を使用することもできる。
また、STN(Super Twisted Nematic liquid Crystal)方式等のパッシブマトリクス方式であってもよい。
さらに、液晶表示パネルの場合、ノーマリホワイト、ノーマリブラックのいずれの方式であってもよい。
【0197】
さらに、表示パネルは、液晶表示パネルに限定されるものではなく、例えば、有機エレクトロルミネッセンス表示パネル、プラズマ表示パネル、CRT(Cathode―Ray Tube:陰極線管)、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)表示パネル、フィールドエミッション表示パネル、PALC(Plasma Address liquid Crystal:プラズマ・アドレス液晶)表示パネル、又は電子ペーパと呼称される表示パネル、その他これに類するものなどを使用してもよい。
【0198】
また、本実施形態においては、表示単位部はメイン画素及びサブ画素の2種類の画素から構成されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3種類以上の画素から構成してもよい。
【0199】
また、メイン画素はT字型の表示領域を有し、サブ画素は矩形状の表示領域を有するものとして説明したが、本発明は画像分離部の分離方向において、サブ画素がメイン画素と分離して観察されないように配置されていればよく、これ以外の形状を適用することもできる。一例では、T字型形状を上下方向に反転させた形状でもよいし、この形状とT字型形状を重ねた配置した十字型形状でもよく、またY字型形状でもよい。
【0200】
また、T字型を上下方向に平行に複数個配置した形状を適用することもできる。また、サブ画素の形状も矩形状に限定されず、三角状などそれ以外の多角形状や、円形状でもよい。重要な点は、サブ画素がメイン画素と分離して観察されない画素形状、配置である。
【0201】
更にまた、本実施形態においては、カラーフィルタを使用してカラー表示を実現することもできる。また、カラーフィルタを用いずに複数色の光源を時分割で点灯させ、カラー画像を表示することもできる。なお、カラーフィルタを配置する場合には、各表示単位部内の画素が同色となることが望ましい。
【0202】
これにより、カラーフィルタへの微細化要求を緩和することができる。また、仮に各表示単位部が同色の画素で構成されない場合には、隣接する表示単位部を使用して色を補償しあうように配置する必要がある。一例では、ある表示単位部のメイン画素が赤色、サブ画素が緑色である場合には、隣接する表示単位部のメイン画素を緑色、サブ画素を青色、更に隣接する表示単位部のメイン画素を緑色、サブ画素を赤色とする。
【0203】
また、ストライプ状のカラーフィルタを使用する場合には、その色配列方向がY軸方向となるストライプ配列、即ち横ストライプ状にするのが好ましい。即ち、一次元状の光学素子の画像分離方向と直交して色を配列するのが好ましい。これにより、画像分離用の光学手段により色が分離されるのを防ぐことができる。
【0204】
また、サブ画素に反転画像を表示する場合には、この反転画像を生成する必要があるが、画像情報がディジタル値で保持されている段階においては、NOT演算を施すことで容易に生成することができる。このような画像生成操作は端末装置において実行することもできるが、表示装置や、特に表示パネル上に配置された回路においても容易に実行することができる。そしてこの場合には、サブ画素にメイン画素と同じ情報を表示するのか、反転情報を表示するのかを制御する信号線を設け、この信号線を制御するのが好ましい。
【0205】
これにより、表示モードの制御を容易にすることができる。また、表示パネル以外への変更を最小限にとどめることができる。
【0206】
また、本実施形態においては、レンズ条件は、メイン画素のサイドローブ像が存在しない完全な場合について設定したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば収差等の影響もあるので、下記数式16に示すように、半分程度のぼかし量でも効果を発揮することができる。このとき、P1は下記数式17より求めることができる。
【0207】

L:I=P1×e/P/2:(OD^2+e^2)^0.5−I ・・・・・
・・・・・ (数式16)

【0208】

P1=(2×P×L/e/I)×((OD^2+e^2)^0.5−I)・・・・
・・・・・ (数式17)

【0209】
更にまた、本実施形態においては、前述のように、表示角制限モード時のサブ画素の画像として、メイン画素の画像を反転した画像を使用するものとして説明したが、サブ画素の画像は完全な反転画像でなくてもよい。
【0210】
これにより、斜め方向から視認した際のコントラストを大幅に低下させることができるため、機密保持には有効である。更には、反転画像に他の画像を重畳して使用することもできる。
【0211】
これにより、斜め方向から視認した際のメイン画素の画像のコントラストを大幅に低下できるだけでなく、斜め方向に存在する観察者の注意を他の画像に引きつけることができるため、機密保持には有効である。
【0212】
また、サブ画素に黒を表示した場合には、正面方向付近と比較して斜め方向の透過率を大幅に低下させることができる。
【0213】
これは、斜め方向ではメイン画素の画像とサブ画素の画像がミックスされて視認されるが、サブ画素が黒を表示しているためである。同様に、サブ画素に白を表示した場合には、正面方向付近と比較して斜め方向のコントラストを低下させることができる。
【0214】
更にまた、カラー画像の表示が可能なように構成した場合には、反転画像として特定の色のみを反転させた画像を使用してもよい。一例では、緑色の情報のみを反転させる方法を挙げることができる。
【0215】
緑色に対する視感度は他の色よりも高いため、ある程度の機密保持効果を発揮することができる。
このように特定の色のみを反転させるのは、反転処理を軽減する上で非常に有効である。また、緑色の画素は反転情報を表示し、他の色の画素は別の画像を表示することもでき、有効である。
【0216】
[第2の実施の形態]
次に、本発明にかかる第2の実施の形態について、図11及び図12に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図11は、本発明の第2の実施の形態による表示装置における通常表示モード時の表示動作の一例を示すタイミングチャートである。図12は、本発明の第2の実施の形態による表示装置における表示角制限モード時の表示動作の一例を示すタイミングチャートである。
【0217】
上述の第1の実施の形態においては、ドット反転を基本とし、2走査線毎に極性反転動作が実行されていた。これに対し本第2の実施の形態においては、ライン反転を基本としている点が大きく異なる。そして、このライン反転駆動を利用することにより、特別な回路を設けずに反転画像を生成している点が大きな特徴である。
【0218】
本実施の形態に係る表示パネルの駆動制御方法は、第1の画像を表示するメイン画素と第2の画像を表示するサブ画素とを含む複数の表示単位部が、第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向にマトリクス状に配列されてなる表示パネルを対象とするものである。
【0219】
ここで、前記表示単位部は、前記第2の方向にて前記メイン画素と前記サブ画素とが形成される第1の表示領域と、前記第2の方向にて前記メイン画素のみが形成される第2の表示領域とを有することができる。
また、前記表示単位部は、前記メイン画素を構成するメイン画素電極、前記サブ画素を構成するサブ画素電極、前記メイン画素電極及び前記サブ画素電極と対向する共通電極、前記メイン画素電極に映像信号を伝達する第1のスイッチング素子、前記サブ画素電極に映像信号を伝達する第2のスイッチング素子、前記第1のスイッチング素子を制御する第1の走査線、前記第2のスイッチング素子を制御する第2の走査線、前記映像信号を供給する信号線を含むことができる。
【0220】
この表示パネルの駆動制御方法は、基本的構成として、前記サブ画素において前記映像信号の電位又は前記共通電極の電位のいずれか一方を反転する駆動を行い、前記第1の画像と前記第2の画像とを前記第1の表示領域にて表示し、前記第1の画像を第2の表示領域にて表示するように制御し、前記サブ画素において前記第1の画像を階調反転した前記第2の画像を表示するように制御することができる。
【0221】
以下に、より詳細な表示装置の動作について説明する。
【0222】
(通常表示モード)
まず、図11を参照して通常表示モードの表示動作を説明する。図11は、通常表示モード時の表示動作の一例を示し、同図(A)は、横軸に時間をとり、縦軸に共通電極制御回路の共通電極及び蓄積容量線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(B)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(C)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(D)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のメイン画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(E)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目の表示単位部に位置するサブ画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(F)は、横軸に時間をとり、縦軸に信号線駆動回路の1列目の信号線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(G)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
同図(H)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
同図(I)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
同図(J)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
【0223】
本実施の形態においてはライン反転を基本とするために、図11(A)に示すように、共通電極制御回路201CCの共通電極201COM及び蓄積容量線201CSに供給される電圧は、矩形波となっている。本実施形態ではこの振幅を5Vとする。なお、本実施形態におけるライン反転動作は、2走査線毎に実行される。
【0224】
まずはじめに、1行1列目に位置するメイン画素に対する書込動作を説明する。このときの共通電極201C及び蓄積容量線201CSに供給に供給される電圧は0Vである。
【0225】
図11(B)に示すように、1行目の走査線201V1が該当する水平期間にローレベルとなることによって、この走査線201V1に接続されたメイン画素201FにおけるP型の薄膜トランジスタ201Tはオン状態となる。
【0226】
そして、信号線駆動回路201HVにおける信号線201H1が接続されたスイッチがオン状態となり、図11(F)に示すように、1行1列目の表示単位部におけるメイン画素に表示すべき信号の電圧が信号線201H1に供給される。
【0227】
いま、この電圧を5Vとする。この結果、図11(G)に示すように、1行1列目のメイン画素の画素電極に薄膜トランジスタ201Tを経由して信号線201H1の電圧が転送され、画素電極の共通電極に対する電圧は+5Vに設定される。
【0228】
次に、1行1列目に位置するサブ画素に対して書込動作が実行されるが、上述のように2ライン反転駆動されるため、図11(A)に示すように共通電極201COM及び蓄積容量線201CSの電圧は0Vのままである。
【0229】
そして、通常表示モードではサブ画素はメイン画素と同じ電圧が書き込まれるため、図11(C)及び(F)に示すように、走査線201V2がローレベルになった際の信号線201H1の電圧は5Vである。この結果、図11(H)に示すように、画素電極の共通電極に対する電圧は、メイン画素と同様に5Vに設定される。
【0230】
そして、次に2行1列目のメイン画素にも同様に電圧が供給されるが、ここで極性反転が実行される。即ち、図11(A)に示すように、共通電極の電圧が5Vに変化する。そして図11(D)及び(F)に示すように、走査線201V3がローレベルになった際の信号線201H1の電圧は0Vとなる。この結果図11(I)に示すように、画素電極の共通電極に対する電圧は、−5Vに設定される。
【0231】
さらに、2行1列目のサブ画素も同様に駆動される。このようにして順次画像データが書き込まれていく。
【0232】
(表示角制限モード)
次に、図12を参照して表示角制限モードの表示動作を説明する。図12は、表示角制限モード時の表示動作の一例を示し、同図(A)は、横軸に時間をとり、縦軸に共通電極制御回路の共通電極及び蓄積容量線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(B)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(C)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(D)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のメイン画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(E)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目の表示単位部に位置するサブ画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(F)は、横軸に時間をとり、縦軸に信号線駆動回路の1列目の信号線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(G)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
同図(H)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
同図(I)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
同図(J)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
【0233】
先ず、1行1列目に位置するメイン画素に対する書込動作は、通常表示モードと同様である。
【0234】
そして、1行1列目に位置するサブ画素に対して書込動作が実行されるが、このとき図12(A)に示すように共通電極201COM及び蓄積容量線201CSの電圧は0Vのままである。
【0235】
そして、図12(C)及び(F)に示すように、走査線201V2がローレベルになった際の信号線201H1の電圧は0Vに設定される。即ち、共通電極201COM及び蓄積容量線201CSの電圧は変化せず、信号線201H1の電圧が極性反転時と同様に変化する。
【0236】
この結果、図12(H)に示すように、画素電極の共通電極に対する電圧は0Vに設定されるが、これはメイン画素の電圧の反転を取ったものとなっている。同様に、図12(J)に示すように、2行1列目に位置するサブ画素においても、2行1列目に位置するメイン画素の電圧の反転をとったものとなっている。
【0237】
通常、共通電極制御回路及び信号線駆動回路には、極性反転動作を実行するための反転回路が内蔵されている。そして、ライン反転駆動をする際には、信号線駆動回路は入力情報とその反転情報を交互に出力する。
【0238】
通常共通電極制御回路の出力と信号線駆動回路の出力は同期して切り替えるが、本実施形態ではこのタイミングをずらすことにより、信号線駆動回路の反転機能を利用して、反転画像を生成する。これにより、特別な回路を準備することなく、表示角制限モードを実現することができる。
【0239】
このようにして順次画像データが書き込まれていくが、2行1列目以降は同様なので説明を省略する。
【0240】
以上のように本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、特別な回路を準備することなく、表示角制限モードを実現することができ、回路規模の簡素化、小型化を図ることができる。
【0241】
その他の構成およびその他のステップないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップの動作内容及び各部の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0242】
[第3の実施の形態]
次に、本発明にかかる第3の実施の形態について、図13に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図13は、本発明の第3の実施の形態による表示装置の画素の電気的な接続関係の一例を示した回路図である。
【0243】
本第3の実施の形態における表示装置の構造は、上述の第1の実施の形態における表示装置と比較して、メイン画素及びサブ画素の薄膜トランジスタが共通の走査線及び信号線に接続される点を特徴とする。
【0244】
具体的には、本実施の形態の表示装置11及び表示パネル21の構造は、図13に示すように、各表示単位部202Uを形成するメイン画素202F及びサブ画素202Sの薄膜トランジスタ201Tが共通の走査線及び信号線に接続される点を特徴とする。即ち本実施形態においては、各表示単位部に対し1本の走査線と1本の信号線が対応した、所謂1G−1D構造となっている点が特徴である。
【0245】
そして各画素では、共通電極及び蓄積容量線の電圧は同じである。反転画像を生成する場合、メイン画素とサブ画素とで、共通電極の電位を反転させる。
これにより、メイン画素とサブ画素とで同じデータを書き込んだ場合でも、画素電極の電位を反転させることができる。
【0246】
本実施形態における表示パネル21の構造について、図13を参照して詳述する。
メイン画素202Fは、薄膜トランジスタ201Tを有し、そのゲート電極が走査線201V1に接続され、ドレイン電極が信号線201H1に接続されている。そして、蓄積容量201Cは蓄積容量線202CSFに接続されている。
なお、メイン画素202Fの共通電極は202COMFである。
【0247】
同様に、サブ画素202Sは、薄膜トランジスタ201Tを有し、そのゲート電極が走査線201V1に接続され、ドレイン電極が信号線201H1に接続されている。そして蓄積容量201Cは蓄積容量線202CSSに接続されている。
【0248】
ここで、サブ画素202Sの共通電極は202COMSである。
このように、各表示単位部においては、メイン画素202Fとサブ画素202Sとが同一の走査線及び信号線に接続され、蓄積容量は異なる蓄積容量線に接続されている。
【0249】
また、共通電極も異なっている。なお、本実施形態においては、1G−1D構造を採用するため、走査線201V1はメイン画素202Fとサブ画素202Sとの間に配置されている。本実施形態における上記以外の構成は、前述した第1の実施形態と同様である。
【0250】
(表示パネルの駆動制御方法について)
次に、上述のような構成を有する表示装置における各部の処理は、方法としても実現可能であり、表示パネルの駆動制御方法としての各種の処理手順について、図14及び図15を参照しつつ説明する。
【0251】
本実施の形態に係る表示パネルの駆動制御方法は、第1の画像を表示するメイン画素と第2の画像を表示するサブ画素とを含む複数の表示単位部が、第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向にマトリクス状に配列されてなる表示パネルを対象とするものである。
【0252】
ここで、前記表示単位部は、前記第2の方向にて前記メイン画素と前記サブ画素とが形成される第1の表示領域と、前記第2の方向にて前記メイン画素のみが形成される第2の表示領域とを有することができる。
【0253】
また、前記表示単位部は、前記メイン画素を構成するメイン画素電極、前記サブ画素を構成するサブ画素電極、前記メイン画素電極に対応する第1の共通電極、前記サブ画素電極に対応する第2の共通電極、前記メイン画素電極に映像信号を伝達する第1のスイッチング素子、前記サブ画素電極に映像信号を伝達する第2のスイッチング素子、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子を制御する走査線、前記映像信号を供給する信号線を含むことができる。
【0254】
この表示パネルの駆動制御方法は、基本的構成として、前記メイン画素の第1の共通電極と前記サブ画素の第2の共通電極の極性を変える駆動を行い、前記第1の画像と前記第2の画像とを前記第1の表示領域にて表示し、前記第1の画像を第2の表示領域にて表示するように制御し、前記サブ画素において前記第1の画像を階調反転した前記第2の画像を表示するように制御することができる。
【0255】
以下に、より詳細な表示装置の動作について説明する。
図14は、本実施形態に係る表示装置における通常表示モード時の表示動作の一例を示すタイミングチャートであり、同図(A)は、横軸に時間をとり、縦軸にメイン画素の共通電極及び蓄積容量線への共通電極制御回路の出力電圧をとる場合を示す。
同図(B)は、横軸に時間をとり、縦軸にサブ画素の共通電極及び蓄積容量線への共通電極制御回路の出力電圧をとる場合を示す。
同図(C)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(D)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部に接続される信号線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(E)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
同図(F)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
【0256】
そして同様に、図15は、本実施形態に係る表示装置における表示角制限モード時の表示動作の一例を示すタイミングチャートであり、同図(A)は、横軸に時間をとり、縦軸にメイン画素の共通電極及び蓄積容量線への共通電極制御回路の出力電圧をとる場合を示す。
同図(B)は、横軸に時間をとり、縦軸にサブ画素の共通電極及び蓄積容量線への共通電極制御回路の出力電圧をとる場合を示す。
同図(C)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(D)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部に接続される信号線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(E)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
同図(F)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
【0257】
上述のように、本実施の形態においては、メイン画素とサブ画素とで異なる2系統の共通電極が存在する。そして、通常表示モードにおいては、この2系統の共通電極に対して同一の電圧を印加する。また、表示角制限モード時においては、この2系統の共通電極に対して互いに反転した電圧を印加する。この共通電極に対する操作が本実施形態の特徴である。なお、本実施形態においては、ライン反転駆動を適用している。
【0258】
まず、図14を参照して通常表示モードの表示動作を説明するが、ここでは1行1列目に位置する表示単位部に対する書き込み動作を説明する。
このとき、図14(A)に示すように、メイン画素202Fの共通電極202COMF及び蓄積容量線202CSFに供給される電圧は0Vである。
【0259】
同様に、図14(B)に示すように、サブ画素202Sの共通電極202COMS及び蓄積容量線202CSSに供給される電圧も0Vである。
【0260】
図14(C)に示すように、走査線201V1が該当する水平期間にローレベルとなることによって、この走査線201V1に接続されたメイン画素202FにおけるP型の薄膜トランジスタ201Tはオン状態となり、またサブ画素202SにおけるP型の薄膜トランジスタ201Tもオン状態となる。
【0261】
そして、信号線駆動回路201HVにおける信号線201H1が接続されたスイッチがオン状態となり、1行1列目の表示単位部用の信号電圧が信号線201H1に供給される。
【0262】
いま、この電圧を5Vとする。この結果、メイン画素の画素電極に薄膜トランジスタ201Tを経由して信号線201H1の電圧が転送され、図14(E)に示すように、画素電極の共通電極に対する電圧は+5Vに設定される。同様に、サブ画素の画素電極にも信号線201H1の電圧が転送され、図14(F)に示すように、画素電極の共通電極に対する電圧は+5Vに設定される。
このようにして、各表示単位部のメイン画素とサブ画素に同じ電圧が書き込まれ、通常の表示が実現される。
【0263】
次に、図15を参照して表示角制限モードの表示動作を説明する。1行1列目に位置する表示単位部に対する書込動作が実行されるとき、
図15(A)に示すように、メイン画素202Fの共通電極202COMF及び蓄積容量線202CSFに供給される電圧は0Vである。
【0264】
そして、図15(B)に示すように、サブ画素202Sの共通電極202COMS及び蓄積容量線202CSSに供給される電圧は5Vである。即ち、共通電極及び蓄積容量線に供給される電圧の範囲が0V又は5Vのどちららかであるとすると、表示角制限モード時には、メイン画素とサブ画素とで、異なる電圧を使用する。
【0265】
図15(C)に示すように、走査線201V1が該当する水平期間にローレベルとなり、メイン画素202F及びサブ画素202Sの薄膜トランジスタ201Tがどちらもオン状態となる。
そして、図15(D)に示すように、信号線201H1の電圧が各画素の画素電極に転送される。今、この電圧を5Vとする。
すると、図15(E)に示すように、メイン画素においては、画素電極の共通電極に対する電圧は+5Vに設定される。そして、図15(F)に示すように、サブ画素においては、画素電極の共通電極に対する電圧は0Vに設定される。このようにして、反転動作が実現される。
【0266】
以上のように本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、前述の第2の実施の形態と同様に、画像情報を反転させるための特別な回路を設ける必要がない。
【0267】
また、共通電極を反転させるという簡単な操作で、通常表示モードから表示角制限モードへ変更できる。
【0268】
さらに、前述の第1及び第2の実施の形態と比較して、各表示単位部を1組の走査線・信号線で制御することができる。
これにより、走査線の数を減らすことができ、各走査線における書込時間を確保することができる。更には、表示単位部の数を増やす場合にも有利である。本第3実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0269】
その他の構成およびその他のステップないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップの動作内容及び各部の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0270】
[第4の実施の形態]
次に、本発明にかかる第4の実施の形態について、図16及び図17に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図16は、本発明の第4の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。図17は、本発明の第4の実施の形態による表示装置の画素構造の一例を示す平面図である。
【0271】
上述の第1の実施の形態では、メイン画素を平面略T字状の構成としたが、本実施の形態では、メイン画素を平面略Π字状の構成としている。
【0272】
具体的には、本第4の実施の形態における表示装置12及び表示パネル22の構造は、図16及び図17に示すように、上述の第1の実施の形態における表示装置1及び表示パネル2と比較して、表示単位部203Uにメイン画素203F及びサブ画素203Sが使用されている。
【0273】
メイン画素203Fは、T字型の表示領域をX軸方向に2つ並べて配置した表示領域を有する。本発明においては、このT字型を横に2つ並べた形状をΠ字型と呼称する。そして、このΠ字型表示領域の2本ある縦棒部の夫々両側に、矩形状のサブ画素203Fの表示領域が配置されている。
【0274】
即ち、サブ画素203Sの表示領域は3つの矩形の領域から形成されている。ここで、光学的には3つの領域に分かれているが、電気的には同じ信号が伝わるように接続されている。
【0275】
このように、本第4の実施の形態における第1の特徴は画素構造であり、Π字型表示領域と矩形表示領域との組合せを有する。この画素構造により、レンズとの組合せがより容易になる。
【0276】
ここで、表示単位部203Uは、第2の方向にてメイン画素203Fとサブ画素203Sとが形成される第1の表示領域AR1と、第2の方向にてメイン画素203Fのみが形成される第2の表示領域AR2とに区分することができる。
【0277】
また、この画素構造では、正面方向に対しては結像し、斜め方向に対しては分離性能を低下させるようにレンズ条件を設定するにあたり、レンズ条件を緩和することができる。このように、本第4の実施の形態における第2の特徴は、Π字型表示領域と組み合わせて使用するレンズ条件にある。そこで、このレンズ条件について詳述する。
【0278】
図17に示すように、Π字型表示領域の縦棒部の幅をP1S、縦棒部のピッチをP1Pと定義する。前述のように、シリンドリカルレンズの横倍率は、画素ピッチP、及び最適観察距離ODにおける表示単位部の拡大投影像の周期eを使用して、e/Pと表すことができる。
【0279】
すると、観察面におけるΠ字型表示領域の縦棒部の拡大投影像の幅は、P1S×e/Pとなる。同様に、観察面におけるΠ字型表示領域の縦棒部の拡大投影像のピッチは、P1P×e/Pと表される。
【0280】
そして、本実施形態においては、縦棒部の拡大投影像ピッチを観察者の両眼間隔に設定する。これにより、Π字型表示領域の縦棒部の拡大投影像を、観察者の両眼に合わせて投影することができる。
【0281】
ただし、前述のように両眼間隔には個人差がある。そこで、縦棒部の拡大投影像の幅にマージンを持たせることで、この両眼間隔の個人差に対応することができる。
一例では、縦棒部の拡大投影像ピッチP1P×e/Pを65mm、縦棒部の拡大投影像幅P1S×e/Pを16mmに設定すると、39mm乃至81mmの両眼間隔に対応することができる。
【0282】
このように、両眼間隔の個体差に対応する点では、縦棒部の幅P1Sは大きい方が好ましいが、効果的に斜め方向からの覗き見を防止するためには、サイドローブにおけるΠ字型表示領域の縦棒部の像が単独で存在しないことが必要になる。この条件により、レンズの光学条件が決定される。
【0283】
図18は、本発明の第4の実施の形態による表示装置の光学的な構造の一例を示す説明図である。図18に示すように、表示領域の中央付近に位置するレンズと、このレンズに対してサイドローブとなる光を発する画素に着目する。
【0284】
即ち、このレンズと対応しメインローブとなる光を発する画素(ここではメインローブ画素と呼称)に対し、X軸方向に隣接する画素(同様にサイドローブ画素と呼称)に着目する。
【0285】
このサイドローブ画素において、Π字型表示領域のメインローブ画素側に位置する縦棒部において、そのメインローブ側画素の端部は、メインローブ画素の中心より、P−(P1P+P1S)/2だけ離れている。
したがって、観察面におけるこの縦棒部の像の端部は、メインローブ画素の像の中心から、(P−(P1P+P1S)/2)×e/Pだけ離れることになる。
【0286】
ここで、この縦棒部の中央から発した光の像点距離Iは、下記数式18により求めることができる。
【0287】

I=1/(n/(H^2+(P−(P1P+P1S)/2)^2)^0.5−(n−1)/r) ・・・・・・・・・ (数式18)

【0288】
そして、像点の位置で一度集光した光は、今度は広がりながら観察面に到達する。図18に示すように、シリンドリカルレンズから出射して像点の位置で結像し観察面に向かう光は、像点の前後で相似の関係となる三角形を形成する。即ち、一つの三角形は像点に到達する前であり、シリンドリカルレンズのピッチを底辺とし、この底辺の中点と像点との距離を像点距離Iとする三角形である。
【0289】
また、もう一つの三角形は像点に到達した後であり、観察面における広がり幅e1を底辺とし、この底辺の中点と像点との距離を、
【0290】

√(OD^2+((P−(P1P+P1S)/2)×e/p)^2)−I

【0291】
とする三角形である。
ここで、底辺の中点におけるX軸方向の座標の値は、
【0292】

(P−(P1P+P1S)/2)×e/pである。

【0293】
この二つの三角形が相似の関係にあることから、下記数式19が成立する。またこれをe1について整理して、下記数式20が求まる。
【0294】

L:I=e1:(OD^2+((P−(P1P+P1S)/2)×e/P)^2)^0.5−I ・・・・・ (数式19)

【0295】

e1=(L/I)×((OD^2+((P−(P1P+P1S)/2)×e/P)^2)^0.5−I) ・・・・・ (数式20)

【0296】
像点を通過した光の観察面における広がり幅e1は、基本的にレンズ条件に依存するが、この広がり幅e1が正面方向における幅P1Sの最適観察距離ODでの拡大投影像の幅P1S×e/P以上に設定されることが好ましく、この場合にサイドローブにおいて幅P1Sの像が分離して観察されない条件となる。
したがって、下記数式21が成立することが必要である。

【0297】

P1S×e/P≦(L/I)×((OD^2+((P−(P1P+P1S)/2)×e/P)^2)^0.5−I) ・・・・・ (数式21)

【0298】
これらの条件を満たす一例としては、表示単位部のX軸方向におけるピッチPを0.174mm、最適観察距離ODを380mm、レンチキュラレンズの屈折率nを1.53、表示単位部の数mを120、レンチキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズの曲率半径を0.116mm、レンズピッチを0.1739mm、シリンドリカルレンズの主点と画素との間の距離Hを0.332mmとし、Π字型表示領域の縦棒部の幅P1Sを0.017mm、縦棒部のピッチP1Pを0.071mmとした場合、縦棒部の拡大投影像幅P1S×e/Pは16mmとなり、縦棒部の拡大投影像ピッチP1P×e/Pは65mmとなり、表示単位部の投影像の周期eは160mmとなる。
【0299】
そして、像点距離Iは3.4mmとなり、縦棒部からの光がサイドローブとして観察面に投影された際の広がり幅e1は20mmと算出される。
これは、メインローブとして観察面に投影された縦棒部の拡大投影像幅P1S×e/Pの16mmよりも大きい。
【0300】
これにより、斜め方向では縦棒部が単独で観察されることはないことが保証される。即ち、メイン画素の像が斜め方向において単独で観察されることはないため、表示角度範囲の制限が可能となる。
【0301】
上述のように、本実施形態における第2の特徴はレンズ条件にあり、Π字型表示領域の縦棒部の像が正面方向に対しては結像し、斜め方向に対しては結像せず、メイン画素が単独で観察されないように設定される。本実施形態における上記以外の構成は、前述した第1の実施形態と同様である。
【0302】
本実施形態においては、通常表示モードにおける動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0303】
そして、表示角制限モードにおいては、メイン画素のΠ字型表示領域の縦棒部の像が、正面方向に位置する使用者の両眼に合うように構成されている。
これにより、正面方向の使用者は、メイン画素のみを分離して観察することができる。そして、この両眼位置以外の場所では、メイン画素とサブ画素が混在して観察されることになるため、表示情報を視認することができない。
このようにして、表示角度範囲の制限動作が可能となる。
【0304】
以上のように本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、使用者の両眼位置に対応して情報を表示できるため、前述の第1実施形態と比較して覗き見をより完全に防止することができる。
【0305】
これは、第1実施形態においては、メイン画像が観察できる範囲が75mmであったのに対し、本実施形態においては16mmの2倍に限定されているからである。即ち、メイン画像が視認できる範囲が半分以下に限定されているため、覗き見の確率を低減可能である。
【0306】
そして、本実施形態においては、このメイン画像が観察できる領域を、観察者の左右両眼に合わせて配置し、かつ領域の幅にマージンを持たせている。これにより、両眼間隔の個体差に対応することができ、覗き見の確率を低減した上で、視認性を向上することができる。本第4実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0307】
その他の構成およびその他のステップないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップの動作内容及び各部の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0308】
[第5の実施の形態]
次に、本発明にかかる第5の実施の形態について、図19及び図20に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図19は、本発明の第5の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。図20は、本発明の第5の実施の形態による表示装置の画素構造の一例を示す平面である。
【0309】
(表示装置の構成)
本実施の形態では、メイン画素とサブ画素とが一部で重なりあう構成としている。
具体的には、本第5の実施の形態における表示装置13及び表示パネル23の構造は、図19及び図20に示すように、上述の第1の実施の形態における表示装置1及び表示パネル2と比較して、表示単位部204Uにメイン画素204F及びサブ画素204Sが使用されている。
【0310】
メイン画素204Fは、表示単位部全面をカバーするようなメイン画素電極204FIを有する。例えは、表示単位部の形状が矩形である場合には、メイン画素電極204FIも同様に矩形に形成されている。
【0311】
そして、サブ画素204Sは、多数の虫食い状、即ちワームホール状に形成されたサブ画素電極204SIを有する。
【0312】
サブ画素電極204SIは、絶縁層を介してメイン画素電極204FIの上に積層されている。なお、表示単位部のX軸方向における中央付近には、サブ画素電極204SIが存在しない領域が形成されている。
この領域のX軸方向における幅はP1であり、前述の第1実施形態におけるメイン画素201FのT字型表示領域の縦棒部の幅と同じに設定されている。
【0313】
即ち、ワームホール状に形成されたサブ画素電極204SIは、間隔P1を設けてX軸方向に2つに分断されている。
ここで、分断された各部においては、電気的に断絶が生じないように、ワームホールが配置されている。
【0314】
このように、本第5実施形態における特徴は画素構造にある。この構造は、前述の第1実施形態において、メイン画素の縦棒部を除いた部分と、サブ画素の矩形部を、細かく混在して配置したものである。これにより、高精細化への対応が容易になる。
そして、この混在を実現しているのが、サブ画素のワームホール状電極である。そして、各画素電極を積層して形成することにより、各画素電極の混在配置を容易にしている。これは、仮に積層しない場合には、両方の画素電極を複雑な形状にしなければならず、高精度な位置合わせも必要となり、また各画素電極を電気的に分離しなければならず、問題点が多いからである。本実施形態における上記以外の構成は、前述した第1の実施形態と同様である。
【0315】
ここで、表示単位部204Uは、第2の方向にてメイン画素204Fとサブ画素204Sとが形成される第1の表示領域AR1と、第2の方向にてメイン画素204Fのみが形成される第2の表示領域AR2とに区分することができる。
【0316】
(表示パネルの駆動制御方法について)
次に、上述のような構成を有する表示装置における各部の処理は、方法としても実現可能であり、表示パネルの駆動制御方法としての各種の処理手順について、図21を参照しつつ説明する。
【0317】
本実施の形態に係る表示パネルの駆動制御方法は、第1の画像を表示するメイン画素と第2の画像を表示するサブ画素とを含む複数の表示単位部が、第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向にマトリクス状に配列されてなる表示パネルを対象とするものである。
【0318】
ここで、前記表示単位部は、前記第2の方向にて前記メイン画素と前記サブ画素とが形成される第1の表示領域と、前記第2の方向にて前記メイン画素のみが形成される第2の表示領域とを有することができる。
また、前記表示単位部は、前記メイン画素の画素電極と前記サブ画素の画素電極が、少なくとも一部分積層配置される構造を有することができる。
【0319】
この表示パネルの駆動制御方法は、基本的構成として、前記メイン画素と前記サブ画素とが異極性となるように、前記各画素の極性反転を実行する駆動制御を行い、前記第1の画像と前記第2の画像とを前記第1の表示領域にて表示し、前記第1の画像を第2の表示領域にて表示するように制御することができる。
【0320】
以下に、より詳細な表示装置の動作、即ち本実施形態における表示装置の駆動制御方法について説明する。
【0321】
本実施形態においては、表示単位部を構成するメイン画素とサブ画素の極性が異なるように駆動される。そして、隣接する表示単位部においては、各メイン画素の極性が異なるように駆動され、同様に各サブ画素の極性も異なるように駆動される。即ち、メイン画素とサブ画素の全ての画素において、ドット反転駆動となっている。
【0322】
本実施形態において、各表示単位部を構成する画素の極性が異なるように駆動するのは、積層配置したメイン画素の画素電極とサブ画素の画素電極のカップリングを補正するためである。
【0323】
図21は、本実施形態に係る表示装置における表示角制限モード時の表示動作の一例を示すタイミングチャートであり、同図(A)は、横軸に時間をとり、縦軸に共通電極制御回路の共通電極及び蓄積容量線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(B)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(C)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(D)は、横軸に時間をとり、縦軸に信号線駆動回路の1列目の信号線への出力電圧をとる場合を示す。
同図(E)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
同図(F)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
【0324】
本実施の形態においては、ドット反転駆動が適用されるため、共通電極制御回路の共通電極及び蓄積容量線に供給される電圧は一定の直流電圧のままであり、本例では0Vに固定されている。
【0325】
まずはじめに、1行1列目に位置するメイン画素に対する書込動作を説明する。図21(B)に示すように、1行目の走査線201V1が該当する水平期間にローレベルとなることによって、この走査線201V1に接続されたメイン画素204Fに信号線201H1の電圧が書き込みされる。図21(D)に示すように、この信号線201H1の電圧を5.5Vとする。この結果、図21(E)に示すように、1行1列目のメイン画素の画素電極に信号線201H1の電圧が転送され、画素電極の共通電極に対する電圧は+5.5Vに設定される。
【0326】
次に、1行1列目に位置するサブ画素に対して書込動作が実行されるが、図21(C)に示すように、2行目の走査線201V2が該当する水平期間にローレベルとなることによって、この走査線201V2に接続されたサブ画素204Sに信号線201H1の電圧が書き込みされる。図21(D)に示すように、この信号線201H1の電圧を−0.5Vとする。なお、このサブ画素に供給される電圧は、ドット反転駆動で極性が反転されているため、メイン画素に供給される電圧とは逆極性になっている。そして、図21(F)に示すように、1行1列目のサブ画素の画素電極に信号線201H1の電圧が転送され、画素電極の共通電極に対する電圧は−0.5Vに設定されようとする。
【0327】
しかしここで、メイン画素電極204FIとサブ画素電極204SIには、容量結合が存在する。即ち、各電極は絶縁層を間に介したキャパシタとして動作する。このため、メイン画素204Fにおける画素電極の共通電極に対する電圧は5Vに低下し、サブ画素204Sにおける画素電極の共通電極に対する電圧は0Vに上昇する。即ち、本実施形態における駆動制御方法では、予め各画素のカップリングを考慮して駆動電圧を供給することにより、適正な電圧で駆動することが可能となる。
なお、このような電圧の変換は、信号線駆動回路のDAコンバータなどの回路に使用する基準電圧を変化させることで対応できるし、変換マップなどを使用してもよい。
【0328】
本実施形態においては、各表示単位部を構成する画素の極性が異なるように駆動される。これにより、画素電極と共通電極との間に0Vを印加しなければならない場合でも、対応が可能になる。例えば同極性となるように駆動した場合には、カップリングを補償することができない。特にノーマリブラックモードを使用した場合、0Vが印加できないと黒表示が白浮きしてコントラスト比が低下する。即ち、本実施形態においては、上記の駆動法を使用することで、表示品質の向上が可能となる。
【0329】
以上のように本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、表示単位部のピッチが大きく、表示パネルの解像度が低い場合において、特に画質を向上することができる。これは解像度が低い場合、前述の第1実施形態に記載のように、各表示単位部内のメイン画素とサブ画素をY軸方向に分離して配置すると、この分離配置が目立つからである。本実施形態のようにサブ画素を微細な形状に形成し、かつメイン画素と重ねて配置することにより、高精細化への対応が容易になり、画質の向上も可能となる。
【0330】
また、本実施形態においては、ワームホール状に形成された画素電極はサブ画素のみであり、かつこの画素電極が液晶層側に配置されている。これにより上述のように、両方の画素にワームホール状の加工を施す場合よりも、製造を容易にすることができ、高画質化も可能となる。また、後から形成する画素電極のみ複雑な形状に加工すればよく、先に形成した画素電極を複雑な形状に加工するよりも容易である。
【0331】
さらに、本実施形態の駆動制御方法は、必須の構成要件ではないが、本実施形態の構造に適用することで、表示品質を高めることができる。
また、本実施形態の駆動制御方法は、画素電極がワームホール状に形成された場合のみならず、メイン画素とサブ画素の画素電極が積層されている場合においても適用可能であり、上述の効果を実現することができる。
例えば、前述の第1実施形態や第4実施形態に対しても適用可能である。本第5実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0332】
その他の構成およびその他のステップないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップの動作内容及び各部の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0333】
[第6の実施の形態]
次に、本発明にかかる第6の実施の形態について、図22に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図22は、本発明の第6の実施の形態による表示装置の光学的な構造の一例を示す説明図である。
【0334】
前述の第1実施形態においては、表示角制限モード時に正面方向近傍においてのみメイン画素からの光を分離して視認することができたが、本実施形態においては、この方向を正面付近ではなく、斜め方向とした点を特徴とする。
即ち、正面付近に位置する観察者は機密とすべき情報を視認することができず、斜め方向に位置する使用者が機密情報を視認できるようにしたものである。
【0335】
具体的には、本実施の形態の表示装置14では、表示パネルの構造は前述の第1実施形態と同様であり、レンチキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズの条件のみが異なる。そこでこのレンズ条件について、図22を使用して説明する。
【0336】
前述の第1実施形態においては、メインローブにおいて合焦し、サイドローブにおいてデフォーカスするようにレンズ条件を定めたが、本実施形態においては斜め方向から秘密情報を視認できるように、サイドローブにおいて合焦し、メインローブにおいてデフォーカスするようにレンズ条件を定める。
【0337】
サイドローブにおいて合焦するためには、レンズの頂点とサイドローブ画素との距離√(H^2+P^2)と焦点距離fを一致させる必要がある。このための曲率半径rは、数式12に適用することで、下記数式22から求めることができる。
【0338】

r=((H^2+P^2)^0.5)×(n−1)/n ・・・・
・・・・・ (数式22)

【0339】
このように定めた曲率半径rを有するシリンドリカルレンズにおいて、メインローブ画素の中心に対する像点距離Iは、下記数式23から求めることができ、数式23を整理して下記数式24が得られる。
【0340】

n/H−1/I=n/((H^2+P^2)^0.5) ・・・・
・・・・・ (数式23)

【0341】

I=(H×((H^2+P^2)^0.5)/(((H^2+P^2)^0.5)−H)/n
・・・・・ (数式24)

【0342】
ただし、本実施形態においては、シリンドリカルレンズの焦点距離fがレンズとメインローブ画素間の距離Hよりも大きい点に注意が必要である。この場合には、像点は画素より−Z側に配置される。即ち、この像点から光が出射し、広がりながら観察面に到達するものとして扱うことができる。
【0343】
そこで、像点を頂点としシリンドリカルレンズの幅を底辺とする三角形と、像点を頂点とし観察面での広がりを底辺とする三角形に着目する。この二つの三角形は相似の関係となる。前者の三角形は、高さがIで底辺がLである。後者の三角形は、高さがI+ODである。底辺、即ち観察面での広がり幅をe1とおくと、下記数式25が成立し、整理して下記数式26が得られる。

【0344】

I:L=OD+I:e1 ・・・・・ (数式25)

【0345】

e1=L×(OD+I)/I ・・・・・ (数式26)

【0346】
レンズの横倍率はe/Pと考えられるので、このe1の値が、P1×e/Pより大きければ、正面方向でメイン画素を視認できないことになる。したがって、下記数式27が成立し、上述の数式26を用いて下記数式28が得られる。
【0347】

e1≦P1×e/P ・・・・・ (数式27)

【0348】

L×(OD+I)/I≦P1×e/P ・・・・・ (数式28)

【0349】
そして、数式24と数式28を満たすように、各パラメータを定めればよい。本実施形態における上記以外の構成は、前述した第1の実施形態と同様である。
【0350】
以上のように本実施の形態によれば、正面付近に位置する観察者は、機密情報を視認することができず、斜め方向に位置する使用者が機密情報を視認できる。
【0351】
その他の構成およびその他のステップないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップの動作内容及び各部の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0352】
[第7の実施の形態]
次に、本発明にかかる第7の実施の形態について、図23に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図23は、本発明の第7の実施の形態による表示装置の光学的な構造の一例を示す説明図である。
【0353】
本実施形態は、前述の第6実施形態に対して、前述の第4実施形態を組み合わせたものである。
即ち、メイン画素がΠ字型表示領域を有する場合において、正面付近に位置する観察者が機密情報を視認することができず、斜め方向に位置する使用者が機密情報を視認できるようにしたものである。
【0354】
本実施形態における表示装置15では、表示パネルの構造は前述の第4実施形態と同様であり、レンチキュラレンズを構成するシリンドリカルレンズの条件のみが異なる。そこでこのレンズ条件について、図23を使用して説明する。
【0355】
本実施形態においても、サイドローブ画素に対して合焦するようにレンズの焦点距離fを設定する。本実施形態では表示領域がΠ字型であるが、左右両眼の条件が同等である方が好ましいので、Π字型表示領域の中央に合焦するように設定する。
この条件は、前述の第6実施形態と同じであるため、レンズの曲率半径rは上述の数式22より求めることができる。
【0356】
そして、本実施形態においては、メインローブ画素のΠ字型表示領域の縦棒部に着目する必要がある。この位置が前述の第6実施形態とは異なるため、数式23の代わりに、下記数式29を使用して像点距離Iを求める。
【0357】

n/((H^2+(P1P/2)^2)^0.5)−1/I=n/((H^2+P^2)^0.5)
・・・・・・ (数式29)

【0358】
次に、この像点から出射した光の、観察面における広がり幅e1を求める。像点を頂点としシリンドリカルレンズの幅を底辺とする三角形と、像点を頂点とし観察面での広がりを底辺とする三角形に着目して、相似の関係から下記数式30が成立する。
【0359】

I:L=I+(OD^2+(P1P×e/P/2)^2)^0.5:e1
・・・・・・ (数式30)

【0360】
そして、下記数式31を満たすことにより、正面方向でメイン画素が単独で視認されないように設定できる。
【0361】

e1≦P1×e/P ・・・・・・ (数式31)

【0362】
即ち、数式29乃至数式31を満たすように、各パラメータを定めればよい。本実施形態における上記以外の構成は、前述した第4の実施形態と同様である。
【0363】
以上のように本実施の形態によれば、正面付近に位置する観察者は機密情報を視認することができず、斜め方向に位置する使用者が機密情報を視認できる。
【0364】
その他の構成およびその他のステップないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップの動作内容及び各部の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0365】
[第8の実施の形態]
次に、本発明にかかる第8の実施の形態について、図24乃至図27に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図24は、本発明の第8の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。図25は、本発明の第8の実施の形態による表示装置の全体構成の一例を示す斜視図である。図26は、本発明の第8の実施の形態による表示装置の光学的な構造の一例を示す説明図である。図27は、本発明の第8の実施の形態による表示装置においてパララックスバリアを使用した場合の光学モデルの一例を示す説明図である。
【0366】
図24乃至26に示すように、本第8実施形態に係る表示装置16では、前述の第1実施形態における表示装置1と比較して、光学部材としてのレンチキュラレンズ3の代わりにパララックスバリア7が適用されたパララックスバリア方式である点が異なる。
【0367】
図24に示すように、パララックスバリア7は、細い開口部、即ちスリット7aがX軸方向に多数配列して構成されたバリア(遮光板)である。
【0368】
本実施形態について説明する前に、パララックスバリア方式の原理について図27を参照して説明する。
パララックスバリア7のスリット7aの配列ピッチをLとし、パララックスバリア7と画素との距離をHとする。また、パララックスバリア7と観察者との間の距離を最適観察距離ODとする。
更に、パララックスバリア7の中央に位置するスリット7aの中心から、X軸方向におけるパララックスバリア7の端に位置するスリット7aの中心までの距離をWLとする。パララックスバリア7自体は遮光板であるためスリット7a以外に入射した光は透過しないが、バリア層を支持する基板を設けることとし、この基板の屈折率をnと定義する。
【0369】
このように定義すると、スリット7aから出射する光は、バリア層を支持する基板から出射する際に、スネルの法則に従って屈折する。そこで、パララックスバリア7の中央に位置するスリット7aにおける光の入射角及び出射角を夫々α及びβとし、X軸方向におけるパララックスバリア7の端に位置するスリット7aにおける光の入射角及び出射角を夫々γ及びδとする。更に、スリット7aの開口幅をS1とする。
【0370】
スリット7aの配列ピッチLと表示単位部の配列ピッチPとは相互に関係しているため、一方に合わせて他方を決めることになるが、通常、表示パネルに合わせてパララックスバリアを設計することが多いため、表示単位部の配列ピッチPを定数として扱う。また、バリア層の支持基板の材料を選択することにより、屈折率nが決定される。
これに対して、パララックスバリアと観察者との間の観察距離OD、及び観察距離ODにおける表示単位部の拡大投影像の周期eは所望の値を設定する。これらの値を使用して、バリアと画素との間の距離H及びバリアピッチLを決定する。
【0371】
スネルの法則と幾何学的関係より、下記数式32乃至37が成立する。また、下記数式38乃至40が成立する。
【0372】

n×sinα=sinβ ・・・・・・ (数式32)

【0373】

OD×tanβ=e/2 ・・・・・・ (数式33)

【0374】

H×tanα=P/2 ・・・・・・ (数式34)

【0375】

n×sinγ=sinδ ・・・・・・ (数式35)

【0376】

H×tanγ=C ・・・・・・ (数式36)

【0377】

OD×tanδ=WL ・・・・・・ (数式37)

【0378】

WP−WL=C ・・・・・・ (数式38)

【0379】

WP=m×P ・・・・・・ (数式39)

【0380】

WL=m×L ・・・・・・ (数式40)

【0381】
ここで、パララックスバリアが前述のレンチキュラレンズと同様に画素を拡大するものと解釈すれば、パララックスバリアの横倍率は、画素拡大投影像の周期を画素の周期、即ち画素ピッチで除した値と考えることができるので、e/Pとなる。
【0382】
更に、パララックスバリア7の中央部に位置するスリット7aの開口端部における光の挙動について着目すると、表示単位部の中央から出射し、スリット7aの開口端部に入射光の入射する光の入射角及び出射角を夫々ε及びφと定義する。
【0383】
この出射した光がODだけ進行した際の広がり幅をe1とすると、スネルの法則と幾何学的関係より、下記数式41乃至43が成立する。これにより、広がり幅e1を求めることができる。
【0384】

n×sinε=sinφ ・・・・・・ (数式41)

【0385】

OD×tanφ=(e1−S1)/2 ・・・・・・ (数式42)

【0386】

H×tanε=S1/2 ・・・・・・ (数式43)

【0387】
以上はメインローブを形成する画素とスリットとの関係についてであるが、図26に示すように、サイドローブに着目すると、距離ODだけ離れた観察面での光の広がり幅e2は、下記数式44より求めることができる。
これは、底辺をeとし高さをODとする直角三角形と、高さをe1とし斜辺をe2とする直角三角形が相似の関係にあるからである。
【0388】

e2=e1×(1+(OD/e)^2)^0.5
・・・・・・ (数式44)

【0389】
そして、前述の第1実施形態と同様に、サイドローブにおいてメイン画素が単独で視認されないためには、上記のe2がP1×e/Pより大きくなるように構成する必要がある。したがって下記数式45が成立する。
【0390】

e2≦P1×e/P ・・・・・・ (数式45)

【0391】
以上のように本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、数式45を満たすようにパララックスバリアを構成することにより、パララックスバリアを使用して、正面方向の分離と斜め方向の混在を実現することができ、表示角制限モードを実現することができる。
【0392】
ここで、パララックスバリア方式は、レンチキュラレンズ方式と比較して、スリット以外の遮光部による吸収損失が発生するため、透過率及び反射率が低下するものの、構造が平面的でありフォトリソグラフィ技術を使用して容易に製造可能であるため、低コスト化が可能となる。本第8実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0393】
その他の構成およびその他のステップないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップの動作内容及び各部の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0394】
[第9の実施の形態]
次に、本発明にかかる第9の実施の形態について、図28及び図29に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図28は、本発明の第9の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。図29は、本発明の第9の実施の形態による表示装置のパララックスバリアの一例を示す断面図である。
【0395】
図28に示すように、本第9の実施の形態においては、前述の第8の実施の形態と比較して、表示装置17がパララックスバリア71を有する点を特徴とする。
【0396】
ここで、光学部材は、表示パネルに対向配置されるものである。光学部材は、前記対向配置される一面に多数配置された開口部と、前記開口部間に配置された多数のスリットとが形成され複数枚積層されてなるパララックスバリアを有することができる。
各パララックスバリアは、一の前記パララックスバリアの前記開口部と他の前記パララックスバリアの前記開口部との配置位置が一致し、かつ、一の前記パララックスバリアの前記スリットと他の前記パララックスバリアの前記スリットとの配置位置が異なるように積層されてなることができる。
【0397】
図29に示すように、本実施形態71に係るパララックスバリア71は、Z方向に2層に積層された遮光板を有する。そして、遮光板にはスリット71a以外に、スリット71bが設けられている。このスリット71bは、2層の遮光板において、X軸方向に異なる位置に配置されている。
即ち、+Z側に配置された遮光板において、スリット71bが形成された部分は、−Z側に配置された遮光板ではスリット71bが形成されていない。したがって、正面方向から見た場合には、パララックスバリア71が光を透過する部分はスリット71aのみとなる。
【0398】
そして斜め方向から見ると、スリット71aのみならずスリット71bにおいても光が透過する。即ち、本実施形態におけるパララックスバリア71は、正面方向においては画像分離効果を持たせることができ、斜め方向においては画像分離効果を低減させることができる。
【0399】
そして、スリット71aは画素から発する光を振り分ける作用を有し、スリット71bは斜め方向においてこの分離効果を低下させる作用を有する。なお、画像分離効果の低減量は、2層の遮光板の間隔と、スリット71bの幅で決定することができる。本第9実施形態における上記以外の構成は、前述の第8実施形態と同様である。
【0400】
以上のように本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、前述の第8実施形態と比較して、斜め方向の画像分離効果をより低減させることができ、本発明の機密保持効果をより高めることができる。
パララックスバリアを積層する必要があるものの、前述ようにパララックス自体はフォトリソグラフィ技術を使用して容易に製造可能である。
【0401】
また、構造が平面的であるため、積層も容易である。即ち、低コスト、簡素な構成でセキュア型の表示装置を構成することができる。本第9実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第8実施形態と同様である。
【0402】
その他の構成およびその他のステップないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップの動作内容及び各部の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0403】
[第10の実施の形態]
次に、本発明にかかる第10の実施の形態について、図30に基づいて説明する。以下には、前記第1の実施の形態の実質的に同様の構成に関しては説明を省略し、異なる部分についてのみ述べる。図30は、本発明の第10の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。
【0404】
図30に示すように、本第10の実施の形態に係る表示装置18では、前述の第1実施形態と比較して、表示パネル24における表示単位部205Uを構成するメイン画素205F及びサブ画素205Sが異なる。
【0405】
即ち、前述の第1実施形態においては、メイン画素はT字型表示領域を有し、サブ画素は矩形表示領域を有していた。これに対し、本第10実施形態のメイン画素205Fは、T字型表示領域を構成する縦棒部がY軸方向から傾斜している点を特徴とする。
更に、サブ画素205Sを構成する辺の一部も、Y軸方向から傾斜している。本第10実施形態における上記以外の構成は、前述の第1実施形態と同様である。
【0406】
以上のように本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏しながらも、メイン画素及びサブ画素の表示領域を構成する辺を、Y軸方向、即ちレンズの配列方向と直交する方向に対して傾斜配置することにより、第1表示範囲と第2表示範囲の境界をなだらかに変化させることができる。
これにより、表示角制限モード時に使用者の違和感を低減することができる。
【0407】
更に、通常表示モードにおいても、第1表示範囲と第2表示範囲の間の表示品質を向上できる。本第10実施形態における上記以外の動作及び効果は、前述の第1実施形態と同様である。
【0408】
その他の構成およびその他のステップないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップの動作内容及び各部の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0409】
[その他の各種変形例]
また、本発明にかかる装置及び方法は、そのいくつかの特定の実施の形態に従って説明してきたが、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく本発明の本文に記述した実施の形態に対して種々の変形が可能である。
【0410】
例えば、表示単位部におけるメイン画素とサブ画素とのレイアウト構造は、上述した各実施の形態の例に限らず、例えば図31乃至図34に示すような種々のレイアウト構造としてもよい。
【0411】
図31に示す表示装置301では、表示パネル25(表示部)における表示単位部206Uを構成するメイン画素206F及びサブ画素206Sが、前述の各実施の形態と異なるレイアウト構造となっている。そして、メイン画素206Fの平面T字状表示領域の縦棒部のX方向の長さXM1を、サブ画素206SのX方向の長さXS1より長く形成している。これにより、表示角制限モード時における第1の表示範囲の視野角を第1の実施の形態に比して広めに形成することができる。
【0412】
また、図32に示す表示装置302では、表示パネル26(表示部)における表示単位部207Uを構成するメイン画素207F及びサブ画素207Sが、前述の各実施の形態と異なるレイアウト構造となっている。そして、メイン画素207Fの平面T字状表示領域の縦棒部のX方向の長さXM2を、サブ画素207SのX方向の長さXS2より短く形成している。これにより、表示角制限モード時における第1の表示範囲の視野角を第1の実施の形態に比して狭く形成することができる。
【0413】
さらに、図33に示す表示装置303では、表示パネル27(表示部)における表示単位部208Uを構成するメイン画素208F及びサブ画素208Sが、前述の各実施の形態と異なるレイアウト構造となっている。そして、メイン画素208Fの平面T字状表示領域の縦棒部の両隣には、複数のサブ画素208Sを形成している。そして、複数のサブ画素208Sのうち一のサブ画素208Sと他のサブ画素208Sとで異なる画像や同じ画像をモードに応じて表示できるようにする。
【0414】
例えば表示角制限モード時における第1制限モードでは、6つのサブ画素208Sの第2の画像をメイン画素208Fの第1の画像の階調反転画像を表示するようにする。第2制限モードでは、縦棒部の両隣の2つのサブ画素208Sの第2の画像をメイン画素208Fと同じ画像を表示し、他の4つのサブ画素208Sの第2の画像をメイン画素208Fの第1の画像の階調反転画像を表示するようにする。第3制限モードでは、縦棒部の両隣の2つのサブ画素208Sとさらにその隣のサブ画素208Sの計4つのサブ画素208Sの第2の画像をメイン画素208Fと同じ画像を表示し、残りの両端の2つのサブ画素208Sの第2の画像をメイン画素208Fの第1の画像の階調反転画像を表示するようにする。
これにより、第1の表示領域におけるサブ画素の大きさによって設定視野角を適宜選択できるようにし、表示角制限モード時における第1の表示範囲の視野角を、第1制限モード、第2制限モード、第3制限モードにより適宜選択することができる。
【0415】
さらにまた、図34に示す表示装置304では、表示パネル28(表示部)における表示単位部209Uを構成するメイン画素209F及びサブ画素209Sが、前述の各実施の形態と異なるレイアウト構造となっている。そして、6つの矩形画素のうち右上、中央上、左上、中央下の4個をメイン画素209Fとし、右下、左下の2個をサブ画素209Sとして形成している。このように形成しても、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0416】
これらの図31乃至図34に示すような各表示装置において、その他の構成およびその他のステップないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップの動作内容及び各部の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0417】
(表示制御システムその1)
また、上述した各実施形態に係る表示装置は、例えば図35に示すような表示制御システム400に用いることができる。図35は、本発明の一実施形態に係る表示制御システムの全体の概略構成の一例を示すブロック図である。
この実施の形態に係る表示制御システム400は、第1の画像を表示するメイン画素と第2の画像を表示するサブ画素とを含む複数の表示単位部が、第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向にマトリクス状に配列されてなる表示パネルを制御することができる。
【0418】
この表示制御システム400は、図35に示すように、上述した各実施形態におけるいずれかの表示単位部201Uがマトリクス状に構成された画素マトリクス部201MXと、上述した各実施形態と同様の機能を有することができ、表示パネルの走査線、信号線、共通電極及び蓄積容量線を各々駆動制御する各回路である信号線駆動回路201HC(第2のドライバ)・走査線駆動回路201VC(第1のドライバ)・共通電極制御回路201CCと、これらの各回路の制御を司るコントローラ410と、を含んで構成される。
【0419】
コントローラ410は、メイン画素とサブ画素とを含む表示パネルの走査線、信号線を各々駆動制御する各回路の制御を司るものであって、基本的構成として、前記メイン画素に第1の画像を表示し前記サブ画素に第2の画像を表示する表示角制限モードと、前記メイン画素及び前記サブ画素に第1の画像を各々表示する通常表示モードとを切り替え制御するモード切替制御部412と、前記表示角制限モードにて、前記メイン画素と前記サブ画素からなる表示単位部の一部である第1の表示領域に、前記第1の画像及び前記第2の画像を表示し、前記メイン画素のみからなり前記表示単位部の一部である第2の表示領域に、前記第1の画像を表示する制御を行う表示制御部415と、を含むことができる。
【0420】
コントローラ410は、さらに、入力画像を一時記憶する画像情報一時記憶部414を有することができる。
【0421】
前記表示制御部415は、一例として、前記表示角制限モードにおいて、前記メイン画素を選択するメイン画素選択期間では、前記第1の画像を表示し、前記サブ画素を選択するサブ画素選択期間では、前記第2の画像を表示する制御を行うことができる。
【0422】
また、前記表示制御部415は、他の一例として、前記表示角制限モードにおいて、前記メイン画素及び前記サブ画素に第1の画像を供給するとともに、前記メイン画素を選択するメイン画素選択期間では、前記第1の画像を表示し、前記サブ画素を選択するサブ画素選択期間では、前記メイン画素選択期間のメイン画素と異なる極性にて前記サブ画素に第2の画像を表示する制御を行うこともできる。
【0423】
モード切替制御部412は、前述の通常表示モード或いは表示角制限モードのいずれかの設定モードを示すモード設定情報に基づいてモード切替制御を行うことができる。
【0424】
ここで、この表示制御システム400では、第1の例として、上述の第1の実施の形態のようにメイン画素におけるメイン画素電極の第1のスイッチング素子を選択するための第1の走査線、サブ画素におけるサブ画素電極の第2のスイッチング素子を選択するための第2の走査線、メイン画素、サブ画素に共通の信号線、メイン画素用の第1の蓄積容量線、サブ画素用の第2の蓄積容量線、メイン画素、サブ画素に共通の共通電極を構成するパネル構造を制御する場合などが挙げられる。
【0425】
また、第2の例として、上述の第3の実施の形態のように、前記メイン画素を構成するメイン画素電極、前記サブ画素を構成するサブ画素電極、前記メイン画素電極に対応する第1の共通電極、前記サブ画素電極に対応する第2の共通電極、前記メイン画素電極に映像信号を伝達する第1のスイッチング素子、前記サブ画素電極に映像信号を伝達する第2のスイッチング素子、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子を制御する走査線、前記映像信号を供給する信号線、メイン画素用の第1の蓄積容量線、サブ画素用の第2の蓄積容量線を構成するパネル構造を制御する場合などが挙げられる。
【0426】
その他、メイン画素用の第1の信号線、サブ画素用の第2の信号線を有するパネル構造を制御する場合であってもよい。この場合、メイン画素、サブ画素に各々独立して画像情報を供給可能となる。
【0427】
また、第2の画像は、前記実施の形態のように第1の画像を階調反転した画像とするのが好ましいが、必ずしも階調反転画像に限定しなくともよい。例えば第2の画像として暗色又は黒を表示するようにしてもよい。
【0428】
表示制御部415は、さらに、モード切替制御部412が「表示角制限モード」として制御を行う場合に、画像情報一時記憶部414の入力画像を第1の画像としてメイン画素に表示するように制御するメイン画素用表示制御部416と、画像情報一時記憶部414の入力画像である第1の画像に基づいてサブ画素用の第2の画像を生成し、この第2の画像をサブ画素に表示するように制御するサブ画素用表示制御部418と、を含んで構成することもできる。
【0429】
メイン画素用表示制御部416は、信号線駆動回路201HC(第2のドライバ)・走査線駆動回路201VC(第1のドライバ)・共通電極制御回路201CCの各々を、各種のメイン画素用制御信号に基づいて制御することによって、メイン画素に第1の画像を表示する制御を行うことができる。
【0430】
サブ画素用表示制御部418は、モード切替制御部412が「表示角制限モード」として制御を行う場合に、信号線駆動回路201HC(第2のドライバ)・走査線駆動回路201VC(第1のドライバ)・共通電極制御回路201CCの各々を、各種の第1モードサブ画素用制御信号に基づいて制御することによって、サブ画素に第2の画像を表示する制御を行うことができる。
【0431】
モード切替制御部412が「通常表示モード」として制御を行う場合には、サブ画素用表示制御部418は、信号線駆動回路201HC(第2のドライバ)・走査線駆動回路201VC(第1のドライバ)・共通電極制御回路201CCの各々を、各種の第2モードサブ画素用制御信号に基づいて制御することによって、サブ画素に第1の画像を表示する制御を行うことができる。
【0432】
すなわち、モード切替制御部412は、「表示角制限モード」ではサブ画素に第2の画像を表示するための各種の第1モードサブ画素用制御信号をサブ画素用表示制御部418から出力するように指示する。この際、モード切替制御部412は、メイン画素に第1の画像を表示するための各種のメイン画素用制御信号をメイン画素用表示制御部416から出力するように指示する。
また、モード切替制御部412は、「通常表示モード」ではサブ画素に第1の画像を表示するための各種の第2モードサブ画素用制御信号をサブ画素用表示制御部418から出力するように指示する。この際、モード切替制御部412は、メイン画素に第1の画像を表示するための各種のメイン画素用制御信号をメイン画素用表示制御部416から出力するように指示する。
【0433】
このため、サブ画素用表示制御部418は、「通常表示モード」においては第1の画像をサブ画素に表示させ、「表示角制限モード」においては第2の画像をサブ画素に表示させる制御を行うことができる。すなわち、モード切替制御部412からのモード制御信号に基づいて、サブ画素用表示制御部418は、「通常表示モード」と「表示角制限モード」とで異なる画像を表示する。
【0434】
これによって、コントローラ410は、「通常表示モード」では、メイン画素及びサブ画素にそれぞれ第1の画像を表示するように制御し、「表示角制限モード」では、メイン画素に第1の画像を表示し、サブ画素に第2の画像を表示するように制御することができる。このため、「表示角制限モード」では、前述の実施の形態で述べたように、メイン画素とサブ画素からなる第1の表示領域では、第1の画像と第2の画像の合成画像が表示され、メイン画素のみの第2の表示領域では、第1の画像のみが表示される。従って、特定の視野角のみでの第1の画像の表示が可能となる。
【0435】
(表示制御手順その1)
次に、上述のような構成を有する表示制御システムにおける各部の処理は、方法としても実現可能であり、表示制御方法としての各種の処理手順について、図36を参照しつつ説明する。図36は、本発明の一実施形態に係る表示制御システムにおける表示制御に関連する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0436】
本実施の形態に係る表示制御方法は、メイン画素とサブ画素とを含む表示パネルを制御するコントローラが備えたコンピュータが処理を行うものを対象とすることができる。
この表示制御方法は、基本的構成として、前記メイン画素に第1の画像を表示し前記サブ画素に第2の画像を表示する表示角制限モードと、前記メイン画素及び前記サブ画素に第1の画像を各々表示する通常表示モードとを判定する制御を行うモード切替制御ステップ(例えば図36に示すステップS101など)と、前記表示角制限モードにて、前記メイン画素と前記サブ画素からなる表示単位部の一部である第1の表示領域に、前記第1の画像及び前記第2の画像を表示し、前記メイン画素のみからなり前記表示単位部の一部である第2の表示領域に、前記第1の画像を表示する制御を行う表示角制限モードの表示制御ステップ(例えば図36に示すステップS102〜ステップS104からなるステップ)と、前記通常表示モードにて、前記メイン画素と前記サブ画素からなる表示単位部の一部である第1の表示領域に、前記第1の画像を表示し、前記メイン画素のみからなり前記表示単位部の一部である第2の表示領域にも前記第1の画像を表示する制御を行う通常表示モードの表示制御ステップ(例えば図36に示すステップS102〜ステップS104からなるステップ)とを含むことができる。
【0437】
より具体的には、先ず、図36に示すように、コントローラ(又はコントローラが備えたコンピュータ)が、「通常表示モード」が設定されているのか、「表示角制限モード」が設定されているのか、その設定モードを判定する制御処理を行う(ステップS101)<モード設定制御ステップないしはモード設定制御機能>。
【0438】
次に、ステップS101において設定モードが「表示角制限モード」であると判定された場合には、コントローラは、入力画像であるメイン画素用の第1の画像に基づいてサブ画素用の第2の画像を生成する処理を行う(ステップS102)<サブ画素用画像生成処理ステップないしはサブ画素用画像生成処理機能>。
この第2の画像は、前記実施の形態のように第1の画像を階調反転した画像とするのが好ましいが、必ずしも階調反転画像に限定しなくともよい。例えば第2の画像として暗色又は黒を生成するようにしてもよい。
【0439】
続いて、コントローラは、メイン画素に入力画像である第1の画像を表示する制御処理を行う(ステップS103)<第1モードメイン画素表示制御ステップないしは第1モードメイン画素表示制御機能>。
【0440】
さらに、コントローラは、サブ画素に第2の画像を表示する制御処理を行う(ステップS104)<第1モードサブ画素表示制御ステップないしは第1モードサブ画素表示制御機能>。
【0441】
一方、ステップS101において設定モードが「通常表示モード」であると判定された場合には、コントローラは、メイン画素に入力画像である第1の画像を表示する制御処理を行う(ステップS111)<第2モードメイン画素表示制御ステップないしは第2モードメイン画素表示制御機能>。
【0442】
さらに、コントローラは、サブ画素に第1の画像を表示する制御処理を行う(ステップS112)<第2モードサブ画素表示制御ステップないしは第2モードサブ画素表示制御機能>。
【0443】
これによって、「通常表示モード」では、メイン画素及びサブ画素にそれぞれ第1の画像が表示され、「表示角制限モード」では、メイン画素に第1の画像が表示され、サブ画素に第2の画像が表示される。
【0444】
その他の構成およびその他のステップないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップの動作内容及び各部の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0445】
(表示制御システムその2)
また、上述した各実施形態に係る表示装置は、例えば図37に示すような表示制御システム500に用いることができる。図37は、本発明の一実施形態に係る表示制御システムの全体の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0446】
この表示制御システム500は、前記(表示制御システムその1)の実施形態の構成に加え、秘匿領域設定部にて設定した秘匿領域設定情報に基づいて、秘匿領域について特定の視野角のみの第1の画像を表示するように設定制御を行うことができる秘匿領域設定制御部519を含む構成としている。
その他の構成であるモード切替制御部512と、画像情報一時記憶部514と、 表示制御部515を構成するメイン画素用表示制御部516及びサブ画素用表示制御部518とは、前記(表示制御システムその1)の実施形態と同様の機能を有することができる。
【0447】
秘匿領域設定制御部519は、モード切替制御部512から「表示角制限モード」で或る旨の信号を受けるとともに、秘匿領域設定情報が入力される場合に動作する。
ここで、秘匿領域は、例えば図39に示す秘匿領域201SARのように、複数の表示単位部201Uからなる画素マトリクス部201MXを構成する表示画面全体領域のうちの任意に設定されたある特定部分領域を示す。表示画面全体領域のうちの他の領域は、非秘匿領域201NSARとなる。
そして、「表示角制限モード」において秘匿領域201SARがさらに設定された「秘匿領域設定モード」では、秘匿領域201SARでは、メイン画素に第1の画像を表示し、サブ画素に第2の画像を表示し、非秘匿領域201NSARでは、メイン画素及びサブ画素にそれぞれ第1の画像を表示するようにする。
【0448】
このため、秘匿領域設定制御部519は、メイン画素に第1の画像を表示するための各種のメイン画素用制御信号をメイン画素用表示制御部516から出力するように指示する。
また、秘匿領域設定制御部519は、秘匿領域201SARではサブ画素に第2の画像を表示し、非秘匿領域201NSARではサブ画素に第1の画像を表示するための各種の第3モードサブ画素用制御信号をサブ画素用表示制御部518から出力するように指示する。
【0449】
これにより、秘匿領域201SARについて特定の視野角のみの第1の画像を表示することができる。
【0450】
(表示制御手順その2)
次に、上述のような構成を有する表示制御システムにおける各部の処理は、方法としても実現可能であり、表示制御方法としての各種の処理手順について、図38を参照しつつ説明する。図38は、本発明の一実施形態に係る表示制御システムにおける表示制御に関連する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0451】
本実施の形態に係る表示制御方法は、メイン画素とサブ画素とを含む表示パネルを制御するコントローラが備えたコンピュータが処理を行うものを対象とすることができる。
この表示制御方法は、基本的構成として、前記メイン画素に第1の画像を表示し前記サブ画素に第2の画像を表示する表示角制限モードと、前記メイン画素及び前記サブ画素に第1の画像を各々表示する通常表示モードとを判定する制御を行うモード切替制御ステップ(例えば図38に示すステップS201など)と、任意に設定された秘匿領域を判定する制御を行う秘匿領域設定制御ステップ(例えば図38に示すステップS202など)と、前記表示角制限モードにおける前記秘匿領域について、前記メイン画素と前記サブ画素からなる表示単位部の一部である第1の表示領域に、前記第1の画像及び前記第2の画像を表示し、前記メイン画素のみからなり前記表示単位部の一部である第2の表示領域に、前記第1の画像を表示する制御を行う秘匿領域表示角制限モードの表示制御ステップ(例えば図38に示すステップS202〜ステップS206からなるステップ)とを含むことができる。
【0452】
より具体的には、先ず、図38に示すように、コントローラ(又はコントローラが備えたコンピュータ)が、「通常表示モード」が設定されているのか、「表示角制限モード」が設定されているのか、その設定モードを判定する制御処理を行う(ステップS201)<モード設定制御ステップないしはモード設定制御機能>。
【0453】
次に、ステップS201において設定モードが「表示角制限モード」であると判定された場合に、さらに、コントローラは、秘匿領域が設定されているかを判定する処理を行う(ステップS202)<秘匿領域設定モード判定処理ステップないしは秘匿領域設定モード判定処理機能>。
【0454】
一方、ステップS201において設定モードが「通常表示モード」であると判定された場合は、前記(表示制御手順その1)のステップS111以降の処理を行う。
【0455】
続いて、ステップS202において秘匿領域が設定されていないと判定された場合には、「表示角制限モード」における「秘匿領域なしモード」となり、前記(表示制御手順その1)のステップS102以降の処理を行う。
【0456】
一方、ステップS202において秘匿領域が設定されていると判定された場合には、「表示角制限モード」における「秘匿領域設定モード」となり、コントローラは、秘匿領域内にて、メイン画素用の第1の画像に基づいてサブ画素用の第2の画像を生成する処理を行う(ステップS203)<秘匿領域サブ画素用画像生成処理ステップないしは秘匿領域サブ画素用画像生成処理機能>。
この第2の画像は、前記実施の形態のように第1の画像を階調反転した画像とするのが好ましいが、必ずしも階調反転画像に限定しなくともよい。例えば第2の画像として暗色又は黒を生成するようにしてもよい。
【0457】
続いて、コントローラは、メイン画素に入力画像である第1の画像を表示する制御処理を行う(ステップS204)<第3モードメイン画素表示制御ステップないしは第3モードメイン画素表示制御機能>。
【0458】
さらに、コントローラは、秘匿領域内にて、サブ画素に第2の画像を表示する制御処理を行う(ステップS205)<秘匿領域サブ画素表示制御ステップないしは秘匿領域サブ画素表示制御機能>。
【0459】
さらに、コントローラは、非秘匿領域内にて、サブ画素に第1の画像を表示する制御処理を行う(ステップS206)<非秘匿領域サブ画素表示制御ステップないしは非秘匿領域サブ画素表示制御機能>。
【0460】
これによって、秘匿領域内では、メイン画素に第1の画像が表示され、サブ画素に第2の画像が表示され、非秘匿領域内では、メイン画素及びサブ画素にそれぞれ第1の画像が表示される。
【0461】
その他の構成およびその他のステップないしは機能並びにその作用効果については、前述した実施の形態の場合と同一となっている。また、上記の説明において、上述した各ステップの動作内容及び各部の構成要素並びにそれらによる各機能をプログラム化し、コンピュータに実行させてもよい。
【0462】
また、上述した各実施形態に係る表示装置は、各種の電子機器の表示部として用いることができる。上述の実施形態においては、電子機器、端末装置として携帯電話を示したが、本発明はこれに限定されない。
【0463】
電子機器の例としては、携帯電話のみならず、PDA(Personal Digital Assistant:個人用情報端末)、ゲーム機、デジタルカメラ、及びデジタルビデオカメラ等の各種の携帯端末装置に好適に適用することができる。更に、本発明は、携帯端末装置のみならず、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ、自動販売機等の各種の端末装置に適用することができる。
【0464】
また、放送受信装置などのテレビ、コンピュータなどの各種情報処理装置や、各種機器のリモコン、各種情報通信機能を搭載した家電機器、携帯音楽プレーヤ、各種記録装置、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、POS端末、ウエアラブル情報端末、PND、PMPなどのポータブル機器など各種の電気製品を含んでよい。
【0465】
上述の各実施形態は、夫々単独で実施してもよいが、適宜組み合わせて実施することも可能である。
【0466】
また、本発明の一実施形態に係る表示装置では、第1の画像を表示するメイン画素と第2の画像を表示するサブ画素とを含む複数の表示単位部が、第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向にマトリクス状に配列されてなる表示部と、前記表示単位部から出射した光を少なくとも前記第1の方向に沿ってそれぞれ異なる方向に振り分け、前記各表示単位部に対応して設けられた光学部材と、を含み、前記表示単位部の表示領域が、前記第2の方向にて前記メイン画素と前記サブ画素とが形成される第1の表示領域と、前記第2の方向にて前記メイン画素のみが形成される第2の表示領域と、を備えることができる。
【0467】
この場合、前記表示単位部は、前記第1の表示領域において前記メイン画素の前記第2の方向での長さと前記サブ画素の第2の方向での長さとが等しくなるように形成されることができる。さらに、前記表示単位部は、前記第1の表示領域における前記メイン画素の前記第2の方向での長さと前記サブ画素の第2の方向での長さとの合計値が、前記第2の表示領域における前記メイン画素の第2の方向での長さと等しくなるように形成されることができる。
【0468】
また、前記表示単位部は、前記メイン画素が前記第2の方向に延伸する平面T字状に形成されるとともに、前記サブ画素が前記平面T字の縦棒部の両隣にそれぞれ配置される構造を有することができる。
【0469】
さらに、前記表示単位部は、前記メイン画素が前記第2の方向に延伸する縦棒部を前記第1の方向にて複数配置した平面Π字状に形成されるとともに、前記サブ画素が前記平面Π字の各縦棒部の隣にそれぞれ配置される構造を有すること
【0470】
また、前記表示単位部は、前記メイン画素と前記サブ画素とが一部で重なり合うように形成され、前記メイン画素に対して前記サブ画素が虫食い状となる多数のワームホール状に形成されることができる。
【0471】
さらに、前記光学部材は、前記各表示単位部から出射する光のうち、前記各表示単位部と対応する部分を通過して出射する第1の光が観察面に形成する像をメインローブとし、その他の第2の光が前記観察面に形成する像をサイドローブとするとき、前記メイン画素からの光を分離して前記メインローブ及び前記サイドローブのいずれか一方となるように形成されることができる。
【0472】
さらにまた、前記光学部材は、少なくとも前記第1の方向に沿って配列された前記各表示単位部毎にシリンドリカルレンズが各々対応して配置されたレンチキュラレンズからなることができる。
【0473】
また、前記光学部材は、少なくとも前記第1の方向に配列された各表示単位部に対応して配置され前記第2の方向に延びる開口部が多数配置されたパララックスバリアからなることができる。
【0474】
さらに、前記光学部材は、前記第2の方向に延びる多数のスリットをそれぞれ有し、前記各スリットの前記第1の方向での位置が互いに異なる2枚のパララックスバリアが積層されてなることができる。
【0475】
さらにまた、前記表示部は、前記第2の画像が前記第1の画像と異なる画像となる表示をする表示角制限モードと、前記第2の画像が前記第1の画像と同一の画像となる表示をする通常表示モードとのモード切替可能に表示制御されるものとするができる。
【0476】
また、本発明の一実施形態に係る表示装置は、第1画像を表示するメイン画素及び第2画像を表示するサブ画素を少なくとも含み表示面にマトリクス状に形成された複数の表示単位部と、この表示単位部と対応して配置され前記各画素から出射した光を第1方向に沿って振り分ける光学部材と、を有し、前記表示面において前記第1方向と直交する第2方向に延伸する線分が、前記サブ画素と交差する場合には前記メイン画素とも交差し、かつ前記メイン画素とのみ交差する場合を有することができる。
【0477】
この表示装置においては、前記光学部材により前記サブ画素が前記メイン画素と分離して単独で観察されないように配置することができ、このサブ画素を使用して前記メイン画素の表示が特定方向以外で視認されるのを防止することができる。即ち、特定方向においては前記メイン画素の表示のみが視認され、それ以外の方向においては前記メイン画素の表示と前記サブ画素との表示が混在して視認されるように構成することができる。このため、特定方向以外では前記メイン画素の表示の視認性を大幅に低下させることができ、機密保持モードを実現することができる。また、前記メイン画素と前記サブ画素に同じ画像を表示することにより、広い角度範囲で同じ表示が視認可能な通常の表示モードを実現することができる。このように、表示内容を変更するだけで機密保持モードと通常表示モードを切り替えることができる。したがって、この切り替えを表示単位部毎に設定することができる。更に、光学部材を簡素化できるため、製造が容易で信頼性の向上が可能となる。
【0478】
また、前記第2方向に延伸し前記サブ画素と前記メイン画素と交差する線分が前記サブ画素と交差する長さは、前記メイン画素と交差する長さと略同一であることが好ましい。これにより、サブ画素がメイン画素の視認性を低下させる効果を向上でき、優れた秘密保持性を実現することができる。
【0479】
また、前記第2方向に延伸し前記サブ画素と前記メイン画素と交差する線分が前記サブ画素及び前記メイン画素と交差する長さの合計値は、前記第2方向に延伸し前記メイン画素とのみ交差する線分が前記メイン画素と交差する長さと略同一であることが好ましい。
【0480】
これにより、特定方向における輝度とそれ以外の方向における輝度を同等にすることができ、特に通常表示モードにおける使用者の違和感を低減できる。
【0481】
また、前記メイン画素は前記第2方向に延伸する縦棒部を有するT字型に形成され、前記サブ画素は2つの矩形に形成され、この矩形の前記サブ画素が前記縦棒部に対して前記第1方向に隣接配置されていてもよい。これにより、各画素の配置を容易にすることができ、シンプルな構造で高い効果を発揮することができる。
【0482】
更にまた、前記メイン画素は前記第2方向に延伸する縦棒部を有するT字型を前記第1方向に2つ並べたΠ字型に形成され、前記サブ画素は3つの矩形に形成され、この矩形の前記サブ画素が前記縦棒部に対して前記第1方向に隣接配置されていてもよい。
これにより、メイン画素のΠ字型表示領域の縦棒部の像が、正面方向に位置する使用者の両眼に合うように構成することができ、この使用者はメイン画素のみを分離して観察することができる。そして、この両眼位置以外の場所では、メイン画素とサブ画素が混在して観察されることになるため、機密情報を視認することができない。このようにして、秘密保持動作が可能となる。また、本実施形態においては、使用者の両眼位置に機密情報を表示するため、前述の第1実施形態と比較して覗き見の確率を低減できる。そして、このメイン画素が観察できる領域を観察者の左右両眼に合わせて配置し、かつ領域の幅にマージンを持たせることができる。これにより、両眼間隔の個体差に対応することができ、覗き見の確率を低減した上で、視認性を向上することができる。
【0483】
更にまた、前記サブ画素が多数の虫食い状の穴であるワームホール状に形成されていてもよい。これにより、表示単位部のピッチが大きく、表示パネルの解像度が低い場合において、特に画質を向上することができる。
【0484】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、各表示単位部から出射し各表示単位部と対応する光学部材を通過して出射する光が観察面に形成する像をメインローブとし、それ以外の光が観察面に形成する像をサイドローブとするとき、前記光学部材がメインローブ及びサイドローブのいずれか一つにおいてメイン画素からの光を分離することができる。
【0485】
この表示装置においては、特定方向に対してのみ、メイン画素とサブ画素の光を分離する効果を発揮することができ、秘密保持モードの性能を向上させることができる。また、本願第1発明に係る表示装置の画素構造と組み合わせて使用することにより、特定方向における分離表示と、それ以外の方向における混在表示の境界を明確化することができる。
【0486】
また、前記光学部材は、各表示単位部にシリンドリカルレンズが対応して多数配置されたレンチキュラレンズであってもよい。これにより、光学的な損失がなく明るい表示が可能となる。また、一次元配列した光学部材であるレンチキュラレンズを使用して、二次元状の表示モード切替効果を実現することができる。即ち、シリンドリカルレンズの配列方向のみならず、表示面内におけるその直交方向に対しても、切替効果を発揮することができる。
【0487】
また、前記メイン画素は前記第2方向に延伸する縦棒部を有するT字型に形成され、前記サブ画素は2つの矩形に形成され、この矩形の前記サブ画素が前記縦棒部に対して前記第1方向に隣接配置され、前記表示単位部のピッチをPとし、前記レンチキュラレンズのシリンドリカルレンズのピッチをLとし、このレンズの屈折率をnとし、前記シリンドリカルレンズの主点と表示単位部との距離をHとし、観察距離ODにおける前記表示単位部の拡大投影像の周期をeとするとき、前記縦棒部の第1方向における幅P1が下記数式46、数式47を満たすことが好ましい。
【0488】

P1≦(P×L/e/I)×(√(OD^2+e^2)−I)・・・・(数式46)

【0489】

I=1/(n/√(H^2+P^2)−(n−1)/r) ・・・・(数式47)

【0490】
これにより、T字型表示領域を有するメイン画素と2つの矩形表示領域を有するサブ画素とを用いた場合に、特定方向以外においてメイン画素の表示が完全に視認されないようにすることができ、覗き見を完全に防止することができる。
【0491】
更にまた、前記メイン画素は前記第2方向に延伸する縦棒部を有するT字型を前記第1方向に2つ並べたΠ字型に形成され、前記サブ画素は3つの矩形に形成され、この矩形の前記サブ画素が前記縦棒部に対して前記第1方向に隣接配置され、前記表示単位部のピッチをPとし、前記レンチキュラレンズのシリンドリカルレンズのピッチをLとし、このレンズの屈折率をnとし、前記シリンドリカルレンズの主点と表示単位部との距離をHとし、観察距離ODにおける前記表示単位部の拡大投影像の周期をeとするとき、前記縦棒部の第1方向における幅P1P及び前記縦棒部の第1方向におけるピッチP1Sが下記数式48及び数式49を満たすことが好ましい。

【0492】

P1S≦(P×L/e/I)×(√(OD^2+((P−(P1P+P1S)/2)×e/P)^2)−I) ・・・・(数式48)

【0493】
I=1/(n/√(H^2+(P−(P1P+P1S)/2)^2)−(n−1)/r) ・・・・(数式49)

【0494】
これにより、Π字型表示領域を有するメイン画素と3つの矩形表示領域を有するサブ画素とを用いた場合に、特定方向以外においてメイン画素の表示が完全に視認されないようにすることができ、覗き見を完全に防止することができる。
【0495】
また、前記光学部材は各表示単位部に有限の開口が対応して多数配置されたパララックスバリアであってもよい。これにより、低コスト化が可能となる。
【0496】
更にまた、前記パララックスバリアは前記有限の開口の他に多数のスリットが配置され、このスリットの位置が互いに異なる2枚のパララックスバリアが積層されていてもよい。これにより、斜め方向の画像分離効果をより低減させることができ、本発明の機密保持効果をより高めることができる。
【0497】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、前記第2画像として前記第1画像の階調を反転した画像を表示することができる。
【0498】
この表示装置においては、反転画像を使用することにより、機密保持モードにおいて特定方向以外の表示を打ち消すことができ、覗き見を防止することができる。また、反転画像は比較的容易に作成することができ、覗き見する表示のコントラストを大幅に低下させることができるため、効果が大きい。
【0499】
本発明の一実施形態に係る端末装置は、いずれかの表示装置を有することを特徴とする。また、この端末装置は、携帯電話、個人用情報端末、ゲーム機、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ビデオプレーヤ、ノート型パーソナルコンピュータ、キャッシュディスペンサ又は自動販売機であってもよい。
【0500】
本発明の一実施形態に係る光学部材は、多数配置された有限の開口とこの有限の開口間に配置された多数のスリットを有する複数枚のパララックスバリアから構成され、各パララックスバリアにおける前記有限の開口の位置は略一致し、かつ前記スリットの位置は異なるように構成することができる。
【0501】
この光学部材においては、表示装置と組み合わせることにより、斜め方向の画像分離効果をより低減させ、機密保持効果をより高めた表示装置を、低コスト、簡素な構成で実現することができる。
【0502】
本発明の一実施形態に係る表示パネルは、第1画像を表示するメイン画素及び第2画像を表示するサブ画素を少なくとも含み表示面の第1方向及びこの第1方向と直交する第2方向にマトリクス状に形成された複数の表示単位部を有し、前記表示面において前記第1方向と直交する第2方向に延伸する線分が、前記サブ画素と交差する場合には前記メイン画素とも交差し、かつ前記メイン画素とのみ交差する場合を有することができる。
【0503】
この表示パネルにおいては、前記各画素から出射した光を第1方向に沿って振り分ける光学部材を前記表示単位部と対応して配置することにより、前記サブ画素を使用して前記メイン画素の表示が特定方向以外で視認されるのを防止することができる。そして、前記メイン画素と前記サブ画素に同じ画像を表示することにより、広い角度範囲で同じ表示が視認可能な通常の表示モードを実現することができる。このように、表示内容を変更するだけで機密保持モードと通常表示モードを切り替えることができ、このモード切替を画素単位で設定することができる。
【0504】
また、前記第2方向に延伸し前記サブ画素と前記メイン画素と交差する線分が前記サブ画素と交差する長さは、前記メイン画素と交差する長さと略同一であることが好ましい。
【0505】
また、前記第2方向に延伸し前記サブ画素と前記メイン画素と交差する線分が前記サブ画素及び前記メイン画素と交差する長さの合計値は、前記第2方向に延伸し前記メイン画素とのみ交差する線分が前記メイン画素と交差する長さと略同一であることが好ましい。
【0506】
また、前記メイン画素は前記第2方向に延伸する縦棒部を有するT字型に形成され、前記サブ画素は2つの矩形に形成され、この矩形の前記サブ画素が前記縦棒部に対して前記第1方向に隣接配置されていてもよい。
【0507】
更にまた、前記メイン画素は前記第2方向に延伸する縦棒部を有するT字型を前記第1方向に2つ並べたΠ字型に形成され、前記サブ画素は3つの矩形に形成され、この矩形の前記サブ画素が前記縦棒部に対して前記第1方向に隣接配置されていてもよい。
【0508】
更にまた、前記サブ画素が多数の虫食い状の穴であるワームホール状に形成されていてもよい。
【0509】
本発明の一実施形態に係る表示装置の駆動制御方法は、第1画像を表示するメイン画素及び第2画像を表示するサブ画素を少なくとも含み表示面にマトリクス状に形成された複数の表示単位部と、この表示単位部と対応して配置され前記各画素から出射した光を第1方向に沿って振り分ける光学部材と、を有し、前記表示面において前記第1方向と直交する第2方向に延伸する線分が、前記サブ画素と交差する場合には前記メイン画素とも交差し、かつ前記メイン画素とのみ交差する場合を有する表示装置の駆動制御方法において、前記表示単位部を構成する画素が同極性となるように前記各画素の極性反転が実行されることができる。
【0510】
この表示装置の駆動制御方法においては、各表示単位部内の極性を揃えることで、特に通常表示モードにおいて正面方向近傍とそれ以外の角度範囲の表示の極性を揃えることができ、高画質化が可能となる。また、サブ画素にメイン画素の反転情報を表示する場合には、混在表示における平均化の効果を高め、機密保持特性を向上することができる。
【0511】
本発明の一実施形態に係る表示装置の駆動制御方法は、第1画像を表示するメイン画素及び第2画像を表示するサブ画素を少なくとも含み表示面にマトリクス状に形成された複数の表示単位部と、この表示単位部と対応して配置され前記各画素から出射した光を第1方向に沿って振り分ける光学部材と、を有し、前記表示面において前記第1方向と直交する第2方向に延伸する線分が、前記サブ画素と交差する場合には前記メイン画素とも交差し、かつ前記メイン画素とのみ交差する場合を有し、前記各画素は画素電極と共通電極とを有し、この画素電極に映像信号を伝達するスイッチング素子と、このスイッチング素子を制御する走査線と、前記映像信号を供給する信号線とが配置された表示装置の駆動制御方法において、前記サブ画素は前記映像信号の電位又は前記共通電極の電位のどちらか一方のみが反転されることにより、前記サブ画素用の階調反転画像が生成されることができる。
【0512】
この表示装置の駆動制御方法においては、極性反転動作を利用することにより、特別な回路などを用いることなく、階調反転画像を容易に生成することができる。これにより、低コスト化が可能になる。
【0513】
本発明の一実施形態に係る表示装置の駆動制御方法は、第1画像を表示するメイン画素及び第2画像を表示するサブ画素を少なくとも含み表示面にマトリクス状に形成された複数の表示単位部と、この表示単位部と対応して配置され前記各画素から出射した光を第1方向に沿って振り分ける光学部材と、を有し、前記表示面において前記第1方向と直交する第2方向に延伸する線分が、前記サブ画素と交差する場合には前記メイン画素とも交差し、かつ前記メイン画素とのみ交差する場合を有し、前記各画素は画素電極と共通電極とを有し、この画素電極に映像信号を伝達するスイッチング素子と、このスイッチング素子を制御する走査線と、前記映像信号を供給する信号線とが配置され、前記各表示単位部において各画素のスイッチング素子は1本の走査線に接続され、かつ各画素のスイッチング素子は1本の信号線に接続され、前記メイン画素は前記サブ画素と異なる共通電極を有する表示装置の駆動制御方法において、前記メイン画素の共通電極と前記サブ画素の共通電極の極性を変えることにより、前記サブ画素用の階調反転画像が生成されることができる。
【0514】
この表示装置の駆動制御方法においては、共通電極を反転させるという簡単な操作で、通常表示モードから機密保持モードへ変更できる。また、各表示単位部を1組の走査線・信号線で制御することができる。これにより、走査線の数を減らすことができ、各走査線における書込時間を確保することができる。更には、表示単位部の数を増やす場合にも有利である。
【0515】
本発明の一実施形態に係る表示装置の駆動制御方法は、第1画像を表示するメイン画素及び第2画像を表示するサブ画素を少なくとも含み表示面にマトリクス状に形成された複数の表示単位部と、この表示単位部と対応して配置され前記各画素から出射した光を第1方向に沿って振り分ける光学部材と、を有し、前記表示面において前記第1方向と直交する第2方向に延伸する線分が、前記サブ画素と交差する場合には前記メイン画素とも交差し、かつ前記メイン画素とのみ交差する場合を有し、前記各画素は画素電極と共通電極とを有し、前記メイン画素の画素電極と前記サブ画素の画素電極が少なくとも一部分積層配置される表示装置の駆動制御方法において、前記表示単位部を構成する画素が異極性となるように前記各画素の極性反転が実行されることができる。
【0516】
この表示装置の駆動制御方法においては、メイン画素とサブ画素とのカップリングをキャンセルでき、画素電極と共通電極との間に0Vを印加しなければならない場合でも、対応が可能になる。特にノーマリブラックモードの表示パネルに好適に適用でき、黒表示の白浮きを防止してコントラスト比の低下を抑制することができる。即ち、表示品質の向上が可能となる。
【0517】
(プログラム)
ここで、表示パネルを制御する制御装置として、各種駆動回路、コントローラを含めることができる。この場合、制御装置を構成する各部は、プログラムにより機能化されたコンピュータをプログラムの機能と共に説明したものと解釈することも出来るし、また、固有のハードウエアにより恒久的に機能化された複数の電子回路ブロックからなる装置を説明したものとも解釈することも出来る。これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現でき、いずれかに限定されるものではない。
【0518】
また、プログラム化可能な部分を制御プログラムとした場合、前述した実施形態の制御手順の機能を実現する本発明のソフトウエアのプログラムは、前述した各実施の形態における各図などに示された各部、機能などに対応したプログラムや、タイミングチャートなどに示された手順、機能などに対応したプログラムなどにおいて各々処理される各処理プログラム、本明細書で全般的に記述される方法、説明された処理、データの全体もしくは各部を含む。
【0519】
具体的には、本発明の制御プログラムの一実施形態では、メイン画素とサブ画素とを含む表示パネルを制御するコントローラが備えたコンピュータに諸機能を実現させることができる。この制御プログラムは、前記メイン画素に第1の画像を表示し前記サブ画素に第2の画像を表示する表示角制限モードと、前記メイン画素及び前記サブ画素に第1の画像を各々表示する通常表示モードとを切り替え制御するモード切替制御機能(例えば図36に示すステップS101による機能)、前記表示角制限モードにて、前記メイン画素と前記サブ画素からなる表示単位部の一部である第1の表示領域に、前記第1の画像及び前記第2の画像を表示し、前記メイン画素のみからなり前記表示単位部の一部である第2の表示領域に、前記第1の画像を表示する制御を行う表示制御機能(例えば図36に示すステップS102〜ステップS104からなるステップによる機能)と、を含む機能をコンピュータに実現させることができる。
【0520】
また、本発明の制御プログラムの一実施形態では、制御プログラムは、任意に設定された秘匿領域を判定する制御を行う秘匿領域設定制御機能(例えば図38に示すステップS201による機能)をコンピュータに実現させることができる。この場合、制御プログラムは、前記表示角制限モードにおける前記秘匿領域について、前記メイン画素と前記サブ画素からなる表示単位部の一部である第1の表示領域に、前記第1の画像及び前記第2の画像を表示し、前記メイン画素のみからなり前記表示単位部の一部である第2の表示領域に、前記第1の画像を表示する制御を行う表示制御機能(例えば図38に示すステップS203〜ステップS106からなるステップによる機能)を含む機能をコンピュータに実現させることができる。
【0521】
本発明のプログラムによれば、当該制御プログラムを格納するROM等の記憶媒体から、当該制御プログラムをコンピュータ(CPU)に読み込んで実行させれば、上述した本発明に係る装置を比較的簡単に実現できる。発明の思想の具現化例として装置のソフトウェアとなる場合には、かかるソフトウェアを記憶した記憶媒体上においても当然に存在し、利用される。
【0522】
さらに、駆動制御方法、表示制御方法は、必ずしも特定の装置に限られる必要はなく、その方法としても機能することは容易に理解できる。このため、方法にかかる発明も、必ずしも特定の装置に限らず、その方法としても有効であることに相違はない。
【0523】
ところで、このような表示装置、表示パネル、光学部材は、単独で存在する場合もあるし、ある装置に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としてはこれに限らず、各種の態様を含むものである。
【0524】
また、発明の範囲は、図示例に限定されないものとする。
さらに、上記各実施の形態には種々の段階が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。つまり、上述の各実施の形態同士、あるいはそれらのいずれかと各変形例のいずれかとの組み合わせによる例をも含む。この場合において、本実施形態において特に記載しなくとも、各実施の形態及びそれらの変形例に開示した各構成から自明な作用効果については、当然のことながら実施の形態の作用効果として含めることができる。逆に、本実施の形態に記載されたすべての作用効果を奏することのできる構成が、本発明の本質的特徴部分の必須構成要件であるとは限らない。また、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除された構成による実施の形態並びにその構成に基づく技術的範囲も発明になりうる。
【0525】
そして、各実施の形態及びそれらの変形例を含むこれまでの記述は、本発明の理解を容易にするために、本発明の多様な実施の形態のうちの一例の開示、すなわち、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、例証するものであり、制限するものではなく、適宜変形及び/又は変更が可能である。本発明は、その技術思想、またはその主要な特徴に基づいて、様々な形で実施することができ、各実施の形態及びその変形例によって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
従って、上記に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物を含む趣旨である。
【産業上の利用可能性】
【0526】
本発明は、表示装置全般に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0527】
【図1】本発明の第1の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による表示装置の全体構成の一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態による表示装置の画素構造の一例を示す平面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態による表示装置の画素とその駆動回路の配置を示した回路部レイアウトを示す平面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態による表示装置の光学的な構造を示すための説明図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態による表示装置を含む端末装置の一例を示す斜視図である。
【図8】本実施形態に係る表示装置における表示動作の一例を示すタイミングチャートであり、 同図(A)は、横軸に時間をとり、縦軸に共通電極制御回路の共通電極及び蓄積容量線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(B)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(C)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(D)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のメイン画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(E)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目の表示単位部に位置するサブ画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(F)は、横軸に時間をとり、縦軸に信号線駆動回路の1列目の信号線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(G)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。 同図(H)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。 同図(I)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。 同図(J)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
【図9】本発明の第1の実施の形態による表示装置の観察面において、横軸にX軸方向の座標、縦軸に照度をとって、メイン画素及びサブ画素の像の分布を示したグラフ図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態による表示装置の表示画像の一例を説明するための説明図であり、同図(A)は、表示角制限モード時にメイン画素に表示する画像の一例を説明するための説明図である。 同図(B)は、サブ画素に表示する画像の一例を説明するための説明図である。 同図(C)は、斜め方向から観察して見える画像の一例を説明するための説明図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態による表示装置における通常表示モード時の表示動作の一例を示すタイミングチャートであり、 同図(A)は、横軸に時間をとり、縦軸に共通電極制御回路の共通電極及び蓄積容量線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(B)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(C)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(D)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のメイン画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(E)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目の表示単位部に位置するサブ画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(F)は、横軸に時間をとり、縦軸に信号線駆動回路の1列目の信号線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(G)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。 同図(H)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。 同図(I)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。 同図(J)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
【図12】本発明の第2の実施の形態による表示装置における表示角制限モード時の表示動作の一例を示すタイミングチャートであり、 同図(A)は、横軸に時間をとり、縦軸に共通電極制御回路の共通電極及び蓄積容量線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(B)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(C)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(D)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のメイン画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(E)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目の表示単位部に位置するサブ画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(F)は、横軸に時間をとり、縦軸に信号線駆動回路の1列目の信号線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(G)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。 同図(H)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。 同図(I)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。 同図(J)は、横軸に時間をとり、縦軸に2行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
【図13】本発明の第3の実施の形態による表示装置の画素の電気的な接続関係の一例を示した回路図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態による表示装置における通常表示モード時の表示動作の一例を示すタイミングチャートであり、 同図(A)は、横軸に時間をとり、縦軸にメイン画素の共通電極及び蓄積容量線への共通電極制御回路の出力電圧をとる場合を示す。 同図(B)は、横軸に時間をとり、縦軸にサブ画素の共通電極及び蓄積容量線への共通電極制御回路の出力電圧をとる場合を示す。 同図(C)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(D)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部に接続される信号線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(E)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。 同図(F)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
【図15】本発明の第3の実施の形態による表示装置における表示角制限モード時の表示動作の一例を示すタイミングチャートであり、 同図(A)は、横軸に時間をとり、縦軸にメイン画素の共通電極及び蓄積容量線への共通電極制御回路の出力電圧をとる場合を示す。 同図(B)は、横軸に時間をとり、縦軸にサブ画素の共通電極及び蓄積容量線への共通電極制御回路の出力電圧をとる場合を示す。 同図(C)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(D)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部に接続される信号線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(E)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。 同図(F)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
【図16】本発明の第4の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態による表示装置の画素構造の一例を示す平面図である。
【図18】本発明の第4の実施の形態による表示装置の光学的な構造の一例を示す説明図である。
【図19】本発明の第5の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図20】本発明の第5の実施の形態による表示装置の画素構造の一例を示す平面である。
【図21】本発明の第5の実施の形態による表示装置における表示角制限モード時の表示動作の一例を示すタイミングチャートであり、 同図(A)は、横軸に時間をとり、縦軸に共通電極制御回路の共通電極及び蓄積容量線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(B)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(C)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素に接続される走査線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(D)は、横軸に時間をとり、縦軸に信号線駆動回路の1列目の信号線への出力電圧をとる場合を示す。 同図(E)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のメイン画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。 同図(F)は、横軸に時間をとり、縦軸に1行1列目に位置する表示単位部のサブ画素における共通電極に対する画素電極の電圧をとる場合を示す。
【図22】本発明の第6の実施の形態による表示装置の光学的な構造の一例を示す説明図である。
【図23】本発明の第7の実施の形態による表示装置の光学的な構造の一例を示す説明図である。
【図24】本発明の第8の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図25】本発明の第8の実施の形態による表示装置の全体構成の一例を示す斜視図である。
【図26】本発明の第8の実施の形態による表示装置の光学的な構造の一例を示す説明図である。
【図27】本発明の第8の実施の形態による表示装置においてパララックスバリアを使用した場合の光学モデルの一例を示す説明図である。
【図28】本発明の第9の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図29】本発明の第9の実施の形態による表示装置のパララックスバリアの一例を示す断面図である。
【図30】本発明の第10の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図31】本発明の他の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図32】本発明の他の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図33】本発明の他の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図34】本発明の他の実施の形態による表示装置の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図35】本発明の一実施形態に係る表示制御システムの全体の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図36】本発明の一実施形態に係る表示制御システムにおける表示制御に関連する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図37】本発明の一実施形態に係る表示制御システムの全体の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図38】本発明の一実施形態に係る表示制御システムにおける表示制御に関連する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図39】本発明の一実施形態に係る表示制御システムにおいて設定される秘蔵領域を説明するための一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0528】
1、11、12、13、14、15、16、17、18、301、302、303、304; 表示装置
2、21、22、23、24、25、26、27、28; 表示パネル(表示部)
201F、202F、203F、204F、205F、206F、207F、208F、209F; メイン画素
201S、202S、203S、204S、205S、206S、207S、208S、209S; サブ画素
201U、202U、203U、204U、205U、206U、207U、208U、209U; 表示単位部
201BM; 遮光領域
201V、201V1、201V2、201V3、201V4; 走査線
201VC; 走査線駆動回路
201H、201H1; 信号線
201HC; 信号線駆動回路
201CS、202CSF、202CSS; 蓄積容量線
201T; 薄膜トランジスタ
201COM、202COMF、202COMS; 共通電極
201CC; 共通電極制御回路
201C; 蓄積容量
201FI、204FI; メイン画素電極
201SI、204SI; サブ画素電極
201GT; TFT基板
201GC; 対向基板
201MX; 画素マトリクス部
201SAR; 秘匿領域
201NSAR; 非秘匿領域
3; レンチキュラレンズ(光学部材)
3a; シリンドリカルレンズ
4; 液晶層
7、71; パララックスバリア
7a、71a、71b; スリット
8; 面状光源
9; 携帯電話(電子機器)
400、500;表示制御システム
410、510;コントローラ
412、512;モード切替制御部
414、514;画像情報一時記憶部
415、515;表示制御部
416、516;メイン画素用表示制御部
418、518;サブ画素用表示制御部
519 ; 秘匿領域設定制御部
AR1 第1の表示領域
AR2 第2の表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像を表示するメイン画素と第2の画像を表示するサブ画素とを含む複数の表示単位部が、第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向にマトリクス状に配列されてなる表示部と、
前記表示単位部から出射した光を少なくとも前記第1の方向に沿ってそれぞれ異なる方向に振り分け、前記各表示単位部に対応して設けられた光学部材と、
を含み、
前記表示単位部の表示領域が、
前記第2の方向にて前記メイン画素と前記サブ画素とが形成される第1の表示領域と、
前記第2の方向にて前記メイン画素のみが形成される第2の表示領域と、
を備えていることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置において、
前記表示単位部は、
前記第1の表示領域において前記メイン画素の前記第2の方向での長さと前記サブ画素の第2の方向での長さとが等しくなるように形成されることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の表示装置において、
前記表示単位部は、
前記第1の表示領域における前記メイン画素の前記第2の方向での長さと前記サブ画素の第2の方向での長さとの合計値が、前記第2の表示領域における前記メイン画素の第2の方向での長さと等しくなるように形成されることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表示装置において、
前記表示単位部は、
前記メイン画素が前記第2の方向に延伸する平面T字状に形成されるとともに、前記サブ画素が前記平面T字の縦棒部の両隣にそれぞれ配置される構造を有することを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示装置において、
前記表示単位部は、
前記メイン画素が前記第2の方向に延伸する縦棒部を前記第1の方向にて複数配置した平面Π字状に形成されるとともに、前記サブ画素が前記平面Π字の各縦棒部の隣にそれぞれ配置される構造を有することを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の表示装置において、
前記表示単位部は、
前記メイン画素と前記サブ画素とが一部で重なり合うように形成され、前記メイン画素に対して前記サブ画素が虫食い状となる多数のワームホール状に形成されることを特徴とする表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の表示装置において、
前記光学部材は、
前記各表示単位部から出射する光のうち、前記各表示単位部と対応する部分を通過して出射する第1の光が観察面に形成する像をメインローブとし、その他の第2の光が前記観察面に形成する像をサイドローブとするとき、前記メイン画素からの光を分離して前記メインローブ及び前記サイドローブのいずれか一方となるように形成されることを特徴とする表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の表示装置において、
前記光学部材は、
少なくとも前記第1の方向に沿って配列された前記各表示単位部毎にシリンドリカルレンズが各々対応して配置されたレンチキュラレンズからなることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
請求項1に記載の表示装置において、
前記光学部材は、
少なくとも前記第1の方向に配列された各表示単位部に対応して配置され前記第2の方向に延びる開口部が多数配置されたパララックスバリアからなることを特徴とする表示装置。
【請求項10】
請求項1に記載の表示装置において、
前記光学部材は、
前記第2の方向に延びる多数のスリットをそれぞれ有し、前記各スリットの前記第1の方向での位置が互いに異なる2枚のパララックスバリアが積層されてなることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
請求項1に記載の表示装置において、
前記表示部は、
前記第2の画像が前記第1の画像と異なる画像となる表示をする表示角制限モードと、前記第2の画像が前記第1の画像と同一の画像となる表示をする通常表示モードとのモード切替可能に表示制御されるものであることを特徴とする表示装置。
【請求項12】
請求項1に記載の表示装置において、
前記表示部は、
表示角制限モードにおいて前記第2の画像が前記第1の画像の階調反転画像となる表示をするものであることを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項8に記載の表示装置において、
前記表示単位部は、
前記メイン画素が前記第2の方向に延伸する縦棒部を有する平面T字状に形成されるとともに、前記サブ画素が前記縦棒部の両隣にそれぞれ配置される構造を有し、
前記縦棒部の前記第1の方向における幅P1は、
前記表示単位部の前記第1の方向でのピッチをPとし、前記シリンドリカルレンズの前記第1の方向でのピッチをLとし、前記シリンドリカルレンズの屈折率をnとし、前記シリンドリカルレンズの主点と前記表示単位部との距離をHとし、観察距離をODとし、前記観察距離ODにおける前記表示単位部の拡大投影像の周期をeとするとき、下記数式を満たすことを特徴とする表示装置。

P1≦(P×L/e/I)×((OD^2+e^2)^0.5−I)

I=1/(n/(H^2+P^2)^0.5−(n−1)/r)

【請求項14】
請求項8に記載の表示装置において、
前記表示単位部は、
前記メイン画素が前記第2の方向に延伸する縦棒部を前記第1の方向にて複数配置した平面Π字状に形成されるとともに、前記サブ画素が各縦棒部にそれぞれ隣接配置される構造を有し、
前記縦棒部の前記第1の方向における幅P1Sと、前記各縦棒部間の前記第1の方向におけるピッチP1Pとは、
前記表示単位部の前記第1の方向でのピッチをPとし、前記シリンドリカルレンズの前記第1の方向でのピッチをLとし、前記シリンドリカルレンズの屈折率をnとし、前記シリンドリカルレンズの主点と前記表示単位部との距離をHとし、観察距離をODとし、前記観察距離ODにおける前記表示単位部の拡大投影像の周期をeとするとき、
下記数式を満たすことを特徴とする表示装置。

P1S≦(P×L/e/I)×((OD^2+((P−(P1P+P1S)/2)×e/P)^2)^0.5−I)

I=1/(n/(H^2+(P−(P1P+P1S)/2)^2)^0.5−(n−1)/r)

【請求項15】
請求項1乃至請求項14のうちいずれか一項に記載の表示装置を含む電子機器。
【請求項16】
表示パネルに対向配置される光学部材であって、
前記対向配置される一面に多数配置された開口部と、前記開口部間に配置された多数のスリットとが形成され複数枚積層されてなるパララックスバリアを有し、
各パララックスバリアは、
一の前記パララックスバリアの前記開口部と他の前記パララックスバリアの前記開口部との配置位置が一致し、かつ、一の前記パララックスバリアの前記スリットと他の前記パララックスバリアの前記スリットとの配置位置が異なるように積層されてなることを特徴とする光学部材。
【請求項17】
第1の画像を表示するメイン画素と第2の画像を表示するサブ画素とを含む複数の表示単位部が、第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向にマトリクス状に配列されてなる表示パネルであって、
前記表示単位部の表示領域が、前記第2の方向にて前記メイン画素と前記サブ画素とが形成される第1の表示領域と、前記第2の方向にて前記メイン画素のみが形成される第2の表示領域とを含むことを特徴とする表示パネル。
【請求項18】
メイン画素とサブ画素とを含む表示パネルの走査線、信号線を各々駆動制御する各回路の制御を司るコントローラであって、
前記メイン画素に第1の画像を表示し前記サブ画素に第2の画像を表示する表示角制限モードと、前記メイン画素及び前記サブ画素に第1の画像を各々表示する通常表示モードとを切り替え制御するモード切替制御部と、
前記表示角制限モードにて、前記メイン画素と前記サブ画素からなる表示単位部の一部である第1の表示領域に、前記第1の画像及び前記第2の画像を表示し、前記メイン画素のみからなり前記表示単位部の一部である第2の表示領域に、前記第1の画像を表示する制御を行う表示制御部と、
を含むことを特徴とするコントローラ。
【請求項19】
第1の画像を表示するメイン画素と第2の画像を表示するサブ画素とを含む複数の表示単位部が、第1の方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向にマトリクス状に配列されてなる表示パネルの駆動制御方法であって、
前記表示単位部は、前記第2の方向にて前記メイン画素と前記サブ画素とが形成される第1の表示領域と、前記第2の方向にて前記メイン画素のみが形成される第2の表示領域とを有し、
前記第1の画像と前記第2の画像とを前記第1の表示領域にて表示し、前記第1の画像を第2の表示領域にて表示するように制御することを特徴とする表示パネルの駆動制御方法。
【請求項20】
メイン画素とサブ画素とを含む表示パネルを制御するコントローラが備えたコンピュータに諸機能を実現させることが可能な制御プログラムであって、
前記メイン画素に第1の画像を表示し前記サブ画素に第2の画像を表示する表示角制限モードと、前記メイン画素及び前記サブ画素に第1の画像を各々表示する通常表示モードとを切り替え制御するモード切替制御機能と、
前記表示角制限モードにて、前記メイン画素と前記サブ画素からなる表示単位部の一部である第1の表示領域に、前記第1の画像及び前記第2の画像を表示し、前記メイン画素のみからなり前記表示単位部の一部である第2の表示領域に、前記第1の画像を表示する制御を行う表示制御機能と、
を含む機能をコンピュータに実現させることを特徴とする制御プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公開番号】特開2009−244716(P2009−244716A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92865(P2008−92865)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(303018827)NEC液晶テクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】