説明

表示装置及びその駆動方法

【課題】感知信号からインパルスノイズの影響を除去することにより、タッチスクリーン機能の信頼性を向上できるタッチスクリーン一体型表示装置を提供する。
【解決手段】表示パネルは感知部のマトリクスを含む。感知部は外部の物体による表示パネルへの接触に応じて感知信号を生成する。感知信号処理部はフレームごとに各行/列の感知部から感知信号を読み取って感知データに変換する。接触判断部では、フィルタリング部が感知データを平均値に置換する。第1データ生成部は各フレームにおける各行/列の感知データと別のフレームにおける同じ行/列の感知データとの間の差から第1偏差データを生成する。第2データ生成部は各フレームにおける各行/列の第1偏差データと同じフレームにおける別の行/列の第1偏差データとの間の差から第2偏差データを生成する。位置判断部は第2偏差データから、画面に物体が接触している場所を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置及びその駆動方法に関し、特にタッチスクリーンと一体化された表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータやテレビなどの軽量化及び薄形化が進み、従来のブラウン管(CRT)は今やフラットパネルディスプレイによって駆逐されつつある。フラットパネルディスプレイには、液晶表示装置(LCD)、電界放出表示装置(FED)、有機発光表示装置(OLED)、プラズマディスプレイ(PDP)などがある。
【0003】
フラットパネルディスプレイは一般にアクティブマトリクス型であり、複数の画素が画面にマトリクス状に配列されている。外部から与えられた輝度情報に従って各画素の輝度が個別に制御されることにより、画面に所望の画像が表示される。
【0004】
例えば液晶表示装置では2枚の表示パネルが液晶層を間に挟んで貼り合わされている。一方の表示パネルでは複数の画素電極がマトリクス状に配列され、他方の表示パネルでは共通電極が全面を覆っている。各画素電極と共通電極との間の電圧を輝度情報に応じて調節すると、その画素電極と共通電極との間に挟まれた液晶層の部分にはその電圧に応じた強度の電界が生じる。液晶層は誘電率異方性を持つので、液晶層を通過する光の偏光方向が電場の強さに応じて回転する。この偏光方向の変化は偏光子によって各画素の透過率の変化に変換される。従って、各画素電極と共通電極との間の電圧を調節することによってそれらの間に挟まれた液晶層の部分に生じる電界の強さを調節すれば、液晶層のその部分の透過率を調節できる。2枚の表示パネルが外部から光を受けるとき、各画素が調節された透過率に応じた輝度で光る。こうして、輝度情報の示す画像が画面上に再現される。
【0005】
近年では、携帯電話等の携帯用電子機器や現金自動預払機(ATM)のように、表示装置の画面の上にタッチスクリーンが重ねて設置される場合が増えている。タッチスクリーンとは、利用者の指又はタッチペンなどの外部の物体による画面への接触を検出し、その接触している場所の位置を特定する装置をいう。利用者は指先やタッチペンなどで画面上のタッチスクリーンに触れることにより、コンピュータなどに文字や図形を入力し、画面に表示されたアイコンを操作してコンピュータなどに所望の命令を実行させることができる。
【0006】
タッチスクリーンを表示装置の画面に重ねて設置する場合、まず、表示装置とタッチスクリーンとをそれぞれ独立な装置として別々の工程で製造し、次に、タッチスクリーンを表示パネルに接着する。しかし、このような表示装置では、製造コストの更なる削減、製品の収率の更なる向上、表示パネルの輝度の更なる向上、製品の更なる薄型化がいずれも困難である。
【0007】
これらの問題を解決するための手段として、近年、感知素子を表示パネルに内蔵させることにより、表示パネルにタッチスクリーンの機能を併せ持たせる技術の開発が進んでいる。その表示パネルには、複数の画素と共に複数の感知素子が組み込まれ、画面にマトリクス状に配列されている。利用者の指先などが画面に接触するとき、その接触箇所に生じる光学的な変化や応力の変化が感知素子によって検出され、感知信号に変換される。表示装置はその感知信号を解析することにより、利用者の指先などが画面に触れたかどうかを判断し、その接触箇所の位置を特定できる。
【特許文献1】特許第3821002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
感知素子に対しては一般に所定のバイアス電圧が印加される。外部の物体が表示パネルに接触すると、その接触箇所ではバイアス電圧に変化が生じる。その接触箇所に位置する感知素子はそのバイアス電圧の変化を感知信号に変換して出力する。従って、感知素子はバイアス電圧の変化には敏感である。そのため、バイアス電圧が、例えば雷、バックライトのインバータ、電源や駆動回路のスイッチング素子等からのインパルスノイズによって変化した場合にも、感知素子は誤って反応して感知信号を出力する可能性がある。それ故、上記の表示装置には、ノイズに起因する感知信号を画面への物体の接触に起因する感知信号として誤って検出することを防ぐ技術が必要である。
【0009】
本発明の目的は、検出された感知信号からインパルスノイズに起因する成分を除去することにより、タッチスクリーン機能に対する信頼性を更に向上できるタッチスクリーン一体型の表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による表示装置は、複数の画素を有する表示パネル、複数の感知部、感知信号処理部、及び、接触判断部を備えている。
【0011】
複数の感知部は、表示パネルにマトリクス状に配列され、外部の物体による表示パネルへの接触に応じて感知信号を生成する。各感知部は好ましくは可変キャパシタを含む。可変キャパシタは好ましくは液晶を誘電体として含み、表示パネルに接触している外部の物体からの圧力に応じて静電容量を変化させる。その静電容量の変化に伴う電気的な変化が感知信号として出力される。複数の感知部は好ましくは行感知部と列感知部とを含む。行感知部はマトリクスの行ごとに連結されている。列感知部はマトリクスの列ごとに連結されている。
【0012】
感知信号処理部は、所定の周期、好ましくはフレーム周期で複数の感知部から感知信号を読み取り、読み取られた感知信号に基づいて感知データを生成する。感知データは好ましくはデジタルデータである。
【0013】
接触判断部はまず、所定の期間に各感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された感知データを、別の期間に同じ感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された感知データと比較することにより、その所定の期間における各感知部についての第1偏差データを生成する。好ましくは、所定の期間に各感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された感知データと、その所定の期間から所定時間が経過するまでに同じ感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された所定数の感知データのそれぞれとの間の差を求め、その差の最大値を第1偏差データとして設定する。
【0014】
接触判断部は次に、所定の期間における各感知部についての第1偏差データを、同じ期間における異なる感知部についての第1偏差データと比較することにより、その所定の期間における各感知部についての第2偏差データを生成する。好ましくは、比較された第1偏差データの間の差を第2偏差データとして設定する。
【0015】
接触判断部は更に、異なる感知部の間での第2偏差データの変化に基づき、表示パネルに接触している外部の物体の有無を判断し、その接触している場所の位置を特定する。接触判断部は好ましくは、所定数の感知部の間で同じ期間における第2偏差データの最大値を求め、その最大値を基準値と比較する。接触判断部はその比較の結果に基づいて上記の物体の有無を判断し、その接触箇所の位置を特定する。
【0016】
感知信号処理部がフレーム周期で感知信号を読み取る場合、接触判断部は好ましくは、まず、各フレームに対する標本フレームグループを、そのフレームとそれに続くフレームとの少なくとも2つから構成する。接触判断部は次に、各フレームとそのフレームに対する標本フレームグループに含まれるフレームとの間で、同じ感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された感知データの差を求める。接触判断部は更に、その差の最大値を第1偏差データとして設定する。
【0017】
接触判断部は好ましくは、複数の感知部を2つずつ対にし、各対の感知部の間で同じ期間における第1偏差データの差を求め、その差を第2偏差データとして設定する。接触判断部は更に好ましくは、各感知部について、その感知部から所定距離を隔てている別の感知部を標本感知部とし、各感知部とその標本感知部との間での第1偏差データの差を第2偏差データとして設定する。複数の感知部が行感知部と列感知部とを含む場合、好ましくは、各行感知部に対する標本感知部は他の行の行感知部の中から選択され、各列感知部に対する標本感知部は他の列の列感知部の中から選択される。
【0018】
接触判断部は好ましくは、所定の期間に同じ感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された複数の感知データの間で平均値を求め、感知データをその平均値に置き換える。感知信号処理部がフレーム周期で感知信号を読み取る場合、接触判断部は好ましくは、まず、同じ標本フレームグループに含まれるフレームごとに同じ感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された感知データの間で平均値を求める。接触判断部は次に、各フレームでの感知データを、そのフレームに対する標本フレームグループについて求められた感知データの平均値に置き換える。
【発明の効果】
【0019】
本発明による表示装置では上記のとおり、接触判断部が、読み取られる期間や読み取り対象の感知部の異なる複数の感知信号に基づいて2種類の偏差データを生成する。第1偏差データは、同じ感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された感知データの時間的な偏差を表す。第2偏差データは、同じ期間に生成された感知データの空間的な偏差を表す。ここで、インパルスノイズに起因する感知信号は一般に、ごく短時間にレベルが変動する信号であり、広い範囲の感知部から一斉に出力される。従って、上記2種類の偏差データはインパルスノイズに起因する感知信号からは影響を受けにくい。それ故、それらの偏差データを利用して画面への物体の接触を判断することにより、インパルスノイズの有無に関わらず、その判断及び接触箇所の位置の特定に対する信頼性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1及び図3は本発明の一実施形態による液晶表示装置のブロック図である。図1は主に、画素のマトリクスを含む表示機能部を示し、図3は主に、感知部のマトリクスを含むタッチスクリーン機能部を示す。図1及び図3に示されているように、この液晶表示装置は好ましくは、液晶表示パネルアセンブリ300、ゲート駆動部400、データ駆動部500、感知信号処理部800、階調電圧生成部550、接触判断部700、及び信号制御部600を有する。
【0021】
図1に示されているように、液晶表示パネルアセンブリ300では複数の表示信号線G1〜Gn、D1〜Dmが縦横に延び、それらの間に複数の画素PXがマトリクス状に配列されている。各画素PXは表示信号線G1〜Gn、D1〜Dmによってゲート駆動部400とデータ駆動部500とに接続されている。液晶表示パネルアセンブリ300では更に、図3に示されているように、複数の感知信号線SY1〜SYN、SX1〜SXM、RLが縦横に延び、それらの間に複数の感知部SUがマトリクス状に配列されている。各感知信号線SY1〜SYN、SX1〜SXMの一端にはリセット信号入力部INIが一つずつ接続され、他端には感知信号出力部SOUTが一つずつ接続されている。各感知信号出力部SOUTは出力信号線OY1〜OYN、OX1〜OXMによって感知信号処理部800に接続されている。図1及び図3には示されていないが、画素PXのマトリクスと感知部SUのマトリクスとは好ましくは重ねて配置されている。好ましくは、画素PXのマトリクスには、赤、緑、青の三色の画素PXが交互に配置され、感知部SUはそれら三色の画素PXの組み合わせごとに一つずつ配置されている。その他に、感知部SUが各画素PXに一つずつ配置されていても良い。
【0022】
図2は、液晶表示パネルアセンブリ300に含まれている1つの画素の模式図を示し、図4は、液晶表示パネルアセンブリ300に含まれている1つの感知部の模式図を示す。図2及び図4に示されているように、液晶表示パネルアセンブリ300は好ましくは、薄膜トランジスタ表示パネル100と共通電極表示パネル200とが向かい合わせで貼り合わされている。それら2枚の表示パネル100、200の間には液晶層3が挟まれている。図2及び図4には示されていないが、2枚の表示パネル100、200の間には好ましくは、弾力性を持つスペーサが設置され、2枚の表示パネル100、200の間隔を所定値に保っている。
【0023】
図1に示されているように、表示信号線は好ましくはn本のゲート線G1〜Gnとm本のデータ線D1〜Dmとを含む。ここで、整数nは好ましくは画素行の総数と等しく、整数mは画素列の総数と等しい。n本のゲート線G1〜Gnは画素マトリクスの中をほぼ行方向に延びている。各ゲート線G1〜Gnは好ましくは一つの画素行にゲート信号を伝達する。データ線D1〜Dmは画素マトリクスの中をほぼ列方向に延びている。各データ線D1〜Dmは好ましくは一つの画素列にデータ電圧を伝達する。図1及び図2には示されていないが、表示信号線はゲート線やデータ線の他にストレージ信号線を含んでいても良い。ストレージ信号線に対しては外部から、好ましくは共通電圧Vcomなどの決められた電圧が印加される。
【0024】
図3に示されているように、感知信号線は好ましくは、N本の行感知信号線SY1〜SYNとM本の列感知信号線SX1〜SXMとを含む。ここで、整数Nは好ましくは感知部SUのマトリクスの行数と等しく、整数Mは好ましくは感知部SUのマトリクスの列数と等しい。行感知信号線SY1〜SYNは感知部SUのマトリクスの中をほぼ行方向に延びている。各行感知信号線SY1〜SYNは好ましくは一行の感知部SUから感知信号を読み取る。列感知信号線SX1〜SXMは感知部SUのマトリクスの中をほぼ列方向に延びている。各列感知信号線SX1〜SXMは好ましくは一列の感知部SUから感知信号を読み取る。感知部SUは好ましくは行感知部と列感知部とを含む。行感知部と列感知部とはそれぞれ、N×Mのマトリクスを構成している。行感知部SUは行ごとに異なる行感知信号線SY1〜SYNに接続され、列感知部SUは列ごとに異なる列感知信号線SX1〜SXMに接続されている。
【0025】
図3には示されていないが図4には示されているように、感知信号線は更に複数の基準電圧線RLを含んでいても良い。基準電圧線RLには、好ましくは各行感知信号線SY1〜SYNに沿って行方向に延びているものがN本あり、各列感知信号線SX1〜SXMに沿って列方向に延びているものがM本ある。行方向に延びている各基準電圧線RLは、各行感知信号線SY1〜SYNに連結されている一行の感知部SUに基準電圧を伝達する。列方向に延びている各基準電圧線RLは、各列感知信号線SX1〜SXMに連結されている一列の感知部SUに基準電圧を伝達する。基準電圧は好ましくは、高レベルと低レベルとの間を一定の周期で変動する。尚、基準電圧線RLは省略されても良い。
【0026】
図2に示されているように、各画素PXは好ましくは、スイッチング素子Q、液晶キャパシタClc、及びストレージキャパシタCstを含む。尚、ストレージキャパシタCstは省略されても良い。
【0027】
スイッチング素子Qは好ましくは、薄膜トランジスタ表示パネル100に備えられた薄膜トランジスタである。図2に示されている、i番目(i=1、2、…、n)のゲート線Giとj番目(j=1、2、…、m)のデータ線Djとに連結されている画素PXでは、スイッチング素子Qの制御端子はi番目のゲート線Giに接続され、入力端子はj番目のデータ線Djに接続され、出力端子は同じ画素の液晶キャパシタClc及びストレージキャパシタCstに接続されている。薄膜トランジスタQは好ましくは、活性層に非晶質シリコンまたは多結晶シリコンを含む。スイッチング素子Qはゲート線Giから伝達されるゲート信号に応じてオンオフし、液晶キャパシタClc及びストレージキャパシタCstをデータ線Djに接続し、又はデータ線Djから分離する。
【0028】
液晶キャパシタClcは、薄膜トランジスタ表示パネル100に形成された画素電極191と、共通電極表示パネル200に形成された共通電極270とを2つの端子とみなし、2つの電極191、270の間に挟まれた液晶層3の部分を誘電体とみなしたキャパシタである。ここで、画素電極191は好ましくは各画素PXに一枚ずつ設置され、同じ画素PXのスイッチング素子Qの出力端子に接続されている。そのスイッチング素子Qがターンオンしたとき、画素電極191はそのスイッチング素子Qを通してデータ線Djからデータ電圧を受ける。共通電極270は好ましくは共通電極表示パネル200の全面を覆い、外部から共通電圧Vcomを受ける。尚、図2とは異なり、共通電極270が薄膜トランジスタ表示パネル100に備えられていても良い。その場合、2つの電極191、270の少なくとも1つが線状または棒状に形成されていても良い。
【0029】
ストレージキャパシタCstは好ましくは、ストレージ信号線と画素電極191とが絶縁体を隔てて重なっている部分から成る。ストレージキャパシタCstはその他に、画素電極191が絶縁体を隔ててi−1番目のゲート線Gi-1に重なっている部分から形成されていても良い。ストレージキャパシタCstは液晶キャパシタClcの容量を補い、画素電極191の電圧を安定化させる。
【0030】
色表示方式には、各画素PXが基本色のいずれか1つを固有に表示する空間分割方式、及び、各画素PXが時間に応じて基本色を交互に表示する時間分割方式がある。基本色の空間的な分布、又は時間的な変化によって所望の色相が表現される。基本色の例としては赤、緑、青の三原色がある。図2は空間分割方式の一例であり、各画素PXの画素電極191に対向する共通電極表示パネル200の領域にカラーフィルタ230が備えられている。カラーフィルタ230の色は基本色のいずれか1つを示す。図2とは異なり、カラーフィルタは薄膜トランジスタ表示パネル100に備えられていても良い。その場合、カラーフィルタ230は画素電極191の上を覆っていても、その下地に形成されていても良い。
【0031】
図2には示されていないが、好ましくは液晶表示パネルアセンブリ300の外面に偏光子が少なくとも一つ接着されている。偏光子は、液晶表示パネルアセンブリ300を透過する光のうち、特定の偏光成分を透過させる。
【0032】
図4に示されているように、各感知部SUは可変キャパシタCvと基準キャパシタCpとを含む。可変キャパシタCvは好ましくは、行感知信号線または列感知信号線(以下、単に感知信号線という。)SLと共通電極270との間に接続されている。可変キャパシタCvは更に好ましくは、感知信号線SLと共通電極270とを2つの端子とみなし、それらの間に挟まれている液晶層3の部分を誘電体とみなしたキャパシタである。基準キャパシタCpは感知信号線SLと基準電圧線RLとの間に接続されている。基準キャパシタCpは更に好ましくは、基準電圧線RLと感知信号線SLとが絶縁体を隔てて重なっている部分から成る。
【0033】
図5に、同じ感知信号線SLに接続された感知部SUの等価回路を示す。図5に示されているように、各感知部SUでは可変キャパシタCvと基準キャパシタCpとは直列に接続されている。各直列接続では、可変キャパシタCv側の端子に対して共通電圧Vcomが印加され、基準キャパシタCp側の端子に対して基準電圧Vpが印加されている。液晶表示パネルアセンブリ300の画面に利用者の指等が接触して圧力を加えたとき、その接触箇所ではその圧力によって共通電極270が変形し、感知信号線SLからの距離が変化する。その変化に伴い、可変キャパシタCvの静電容量が変化するので、基準キャパシタCpと可変キャパシタCvとの間で電荷の再配置が生じる。その結果、基準キャパシタCpと可変キャパシタCvとの間の接点で電圧Vnが変わる。画面から利用者の指等が離れて圧力が除去されたとき、その箇所ではスペーサの弾力によって共通電極270が元の形に戻り、感知信号線SLからの距離が元の値に戻る。その変化に伴い、可変キャパシタCvの静電容量が元の値に戻るので、基準キャパシタCpと可変キャパシタCvとの間で電荷の再配置が生じ、基準キャパシタCpと可変キャパシタCvとの間の接点で電圧Vnが元の値に戻る。以上のような接点の電圧Vnの変化が感知信号として感知信号線SLに沿って伝達される。
【0034】
図5にはリセット信号入力部INIの等価回路も示されている。図5に示されているように、各リセット信号入力部INIは好ましくはリセットトランジスタQrを含む。リセットトランジスタQrは好ましくは液晶表示パネルアセンブリ300の周縁部に形成された薄膜トランジスタであり、更に好ましくは各画素PXのスイッチング素子Qと共に形成される。リセットトランジスタQrの制御端子は感知信号処理部800に接続され、そこからリセット信号RSTを受ける。リセットトランジスタQrの入力端子に対しては外部からリセット電圧Vrが印加される。リセットトランジスタQrの出力端子は感知信号線SLに接続されている。リセットトランジスタQrはリセット信号RSTに応じてオンオフし、所定の期間にリセット電圧Vrを感知信号線SLに対して印加する。
【0035】
図5には更に感知信号出力部SOUTの等価回路も示されている。図5に示されているように、各感知信号出力部SOUTは好ましくは出力トランジスタQsを含む。出力トランジスタQsは好ましくは液晶表示パネルアセンブリ300の周縁部に形成された薄膜トランジスタであり、更に好ましくは各画素PXのスイッチング素子Qと共に形成される。出力トランジスタQsの制御端子は感知信号線SLに接続され、そこから感知信号を受ける。出力トランジスタQsの入力端子に対しては外部から入力電圧Vsが印加される。出力トランジスタQsの出力端子は出力信号線OL、すなわち、図3に示されている出力信号線OY1〜OYN、OX1〜OXMのいずれかに接続されている。出力トランジスタQsは好ましくは、感知信号線SLからの感知信号のレベルに応じたレベルの出力信号を生成する。ここで、出力信号は電流信号であっても電圧信号であっても良い。
【0036】
各出力信号線OY1〜OYN、OX1〜OXMは好ましくは、接続された感知信号出力部SOUTと同じ側に位置する液晶表示パネルアセンブリ300の周縁部に形成されている。図3に示されているように、出力信号線は好ましくは、N本の行出力信号線OY1〜OYNとM本の列出力信号線OX1〜OXMとを含む。各行出力信号線OY1〜OYNの一端は感知信号出力部SOUTを介して各行感知信号線SY1〜SYNに連結され、各列出力信号線OX1〜OXMの一端は感知信号出力部SOUTを介して各列感知信号線SX1〜SXMに接続されている。各出力信号線OY1〜OYN、OX1〜OXMの他端は感知信号処理部800に接続されている。各出力信号線OY1〜OYN、OX1〜OXMは、感知信号出力部SOUTからの出力信号を感知信号処理部800に伝達する。
【0037】
図1に示されているように、階調電圧生成部550はデータ駆動部500に連結され、データ駆動部500に複数の階調電圧を供給する。それらの階調電圧は好ましくは、画素PXの透過率の調節可能な値の全てに対応づけられている。階調電圧生成部550はその他に、他の階調電圧の基準とされるべき、限られた種類の階調電圧(以下、基準階調電圧という。)のみを生成しても良い。その場合、他の階調電圧はデータ駆動部500によって基準階調電圧から生成される。複数の階調電圧は好ましくは、共通電圧Vcomに対する極性がプラスのものとマイナスのものとの両方を含む。
【0038】
図1に示されているように、ゲート駆動部400は信号制御部600とゲート線G1〜Gnとに接続されている。ゲート駆動部400は信号制御部600からゲート制御信号CONT1を受信し、それに従ってゲート信号をゲート線G1〜Gnに対して順番に印加する。ゲート信号は好ましくは、各画素PXのスイッチング素子Qをターンオンさせるゲートオン電圧Vonと、ターンオフさせるゲートオフ電圧Voffとの組み合わせから成る。
【0039】
図1に示されているように、データ駆動部500は、信号制御部600、階調電圧生成部550、及びデータ線D1〜Dmに接続されている。データ駆動部500は、信号制御部600からは映像信号DATとデータ制御信号CONT2とを受信し、階調電圧生成部550からは複数の階調電圧を受ける。データ駆動部500は映像信号DATに応じて階調電圧を選択し、データ電圧としてデータ線D1〜Dmに対して印加する。尚、階調電圧生成部550が基準階調電圧のみを提供する場合、データ駆動部500は基準階調電圧を分圧して所望のデータ電圧を生成する。
【0040】
図1及び図3に示されているように、感知信号処理部800は信号制御部600と出力信号線OY1〜OYN、OX1〜OXMとに接続されている。感知信号処理部800は信号制御部600から感知制御信号CONT3を受信し、それに従ってリセット信号RSTを生成し、各リセット信号入力部INIのリセットトランジスタQrを所定のタイミングでオンオフさせる。感知信号処理部800は更に、感知制御信号CONT3に従い、各感知信号出力部SOUTの出力信号に基づいて感知データDSNを生成する。
【0041】
好ましくは図3に示されているように、感知信号処理部800は複数の増幅部810を含む。増幅部810は好ましくは出力信号線OY1〜OYN、OX1〜OXMと同数であり、それらに一つずつ連結されている。図5に各増幅部810の等価回路を示す。図5に示されているように、各増幅部810は好ましくは演算増幅器APを含む。演算増幅器APの反転入力端子−は出力信号線OLに接続されている。演算増幅器APの非反転入力端子+に対しては外部から基準電圧Vaが印加される。各増幅部810は演算増幅器APを用い、好ましくは出力トランジスタQsからの出力電流量に対応するレベルの電圧と基準電圧Vaとの間の差を増幅し、感知信号Voとして出力する。図3には示されていないが、感知信号処理部800は好ましくはアナログ−デジタル変換器を更に含む。感知信号処理部800は、各増幅部810から出力される感知信号Voをアナログ−デジタル変換器を用いてデジタル信号に変換し、感知データDSNとして出力する。
【0042】
図1及び図3に示されているように、接触判断部700は感知信号処理部800から感知データDSNを受信し、それらに基づいて接触情報INFを生成する。接触情報INFは、液晶表示パネルアセンブリ300の画面に接触する外部の物体の有無、及びその接触している場所の位置に関する情報である。接触判断部700は感知データDSNに対して後述の演算処理を行うことにより、上記の物体の有無を判断し、その接触箇所の位置を特定する。接触判断部700は更に、上記の演算処理によって得られた接触情報INFを外部の装置に送出する。接触判断部700による演算処理の詳細については後述する。
【0043】
図1に示されているように、信号制御部600は、好ましくは外部のグラフィックコントローラ(図示せず)から入力映像信号R、G、B、及び入力制御信号を受信する。入力映像信号R、G、Bは好ましくは各画素PXの輝度情報を含む。その輝度情報では好ましくは、各画素の輝度が所定数の階調で表されている。入力制御信号は好ましくは、垂直同期信号Vsync、水平同期信号Hsync、メインクロック信号MCLK、及びデータイネーブル信号DEを含む。特に、垂直同期信号Vsyncは、入力映像信号のフレームが切り換えられるタイミングを示し、水平同期信号Hsyncは、各フレーム内で水平走査期間が切り換えられるタイミングを示す。1つの水平走査期間の長さ、すなわち1水平周期は、水平同期信号Hsync及びデータイネーブル信号DEの各周期に等しい。
【0044】
信号制御部600は更に、入力映像信号R、G、Bを液晶表示パネルアセンブリ300及びデータ駆動部500の動作条件に合うように適切に処理し、映像信号DATに変換する。映像信号DATは好ましくはデジタル信号であり、特に各画素PXの階調の目標値を示す。
【0045】
信号制御部600はその他に、入力制御信号に基づき、ゲート制御信号CONT1、データ制御信号CONT2、及び感知制御信号CONT3を生成する。ゲート制御信号CONT1はゲート駆動部400に出力され、データ制御信号CONT2と映像信号DATとはデータ駆動部500に出力され、感知制御信号CONT3は感知信号処理部800に出力される。図1には示されていないが、信号制御部600は好ましくは、階調電圧生成部550にも制御信号を与えることにより、その動作を制御する。
【0046】
ゲート制御信号CONT1は好ましくは走査開始信号とゲートクロック信号とを含む。走査開始信号は、ゲート駆動部400がゲート線G1〜Gnに対するゲートオン電圧Vonの印加を開始すべきタイミングを示す。ゲートクロック信号はゲート駆動部400によってゲートオン電圧Vonの出力周期の制御に利用される。ゲート制御信号CONT1はまた、出力イネーブル信号を更に含んでいても良い。出力イネーブル信号は、ゲート駆動部400がゲートオン電圧Vonを持続すべき期間を示す。
【0047】
データ制御信号CONT2は好ましくは、水平同期開始信号、ロード信号、及びデータクロック信号を含む。水平同期開始信号は、各行の画素PXに対する映像信号DATの伝送開始をデータ駆動部500に通知するのに利用される。ロード信号は、データ駆動部500がデータ線D1〜Dmに対してデータ電圧を印加すべきタイミングを示す。データ制御信号CONT2はまた、反転信号を更に含んでいても良い。データ駆動部500は反転信号に応じ、共通電圧Vcomに対するデータ電圧の極性を反転させる。
【0048】
感知制御信号CONT3は、感知信号処理部800がリセット信号RSTによって各リセット信号入力部INIのリセットトランジスタQrをオンオフさせるべきタイミングを示す。感知制御信号CONT3は更に、感知信号処理部800が各出力信号線OY1〜OYN、OX1〜OXMを通して各感知信号出力部SOUTの出力信号を読み取るべきタイミングを示す。
【0049】
ゲート駆動部400、データ駆動部500、階調電圧生成部550、信号制御部600、接触判断部700、感知信号処理部800のそれぞれは好ましくは、少なくとも1つの集積回路チップに組み込まれている。それらのチップは好ましくは、液晶表示パネルアセンブリ300の上に直接装着され、又は、フレキシブル印刷回路フィルムを用いたTCP(tape carrier package)方式で液晶表示パネルアセンブリ300の上に実装されている。その他に、それらのチップが液晶表示パネルアセンブリ300とは別の印刷回路基板の上に実装されていても良い。更に、それらとは異なり、各駆動部400、500、550、600、700、800が信号線G1〜Gn、D1〜Dm、SY1〜SYN、SX1〜SXM、OY1〜OYN、OX1〜OXM、RL、及び各画素PXのスイッチング素子Qと共に、液晶表示パネルアセンブリ300に集積化されていても良い。また、全ての駆動部400、500、600、800を単一のチップに集積していても良い。その場合、それらの駆動部のいずれか、またはそれらを構成する回路素子のいずれかがその単一のチップに外付されていても良い。
【0050】
以上の構成要素を利用し、上記の液晶表示装置は表示動作を以下のように行う。
まず、信号制御部600は外部のグラフィックコントローラから入力画像信号R、G、B、及び入力制御信号を受信し、それらに基づいて映像信号DAT、ゲート制御信号CONT1、データ制御信号CONT2、及び感知制御信号CONT3を生成する。
【0051】
データ制御信号CONT2に従い、データ駆動部500は1行の画素PXごとに映像信号DATを受信し、各映像信号DATの示す各画素PXの輝度情報に応じて階調電圧を選択し、データ電圧として目標のデータ線D1〜Dmに対して印加する。
【0052】
ゲート駆動部400はゲート制御信号CONT1に従い、水平走査期間ごとにゲートオン電圧Vonをゲート線G1〜Gnに対して順番に、好ましくは1水平周期ずつ印加する。それにより、各ゲート線G1〜Gnに接続されたスイッチング素子Qが1水平周期ずつターンオンする。その結果、各水平走査期間では、データ線D1〜Dmに対して印加されたデータ電圧が、オン状態のスイッチング素子Qを通して同じ画素PXの画素電極191に対して印加される。
【0053】
各画素PXでは、画素電極191に対して印加されたデータ電圧と共通電圧Vcomとの間の差によって液晶キャパシタClcが充電され、その両端電圧、すなわち、画素電圧が調節される。その液晶キャパシタClcに含まれる液晶層3の部分では液晶分子の配向が画素電圧の大きさに応じて変化するので、その液晶層3の部分を通過した光の偏光方向が変化する。この偏光方向の変化は偏光子によってその画素PXの透過率の変化として現れる。こうして、その画素PXの輝度は映像信号DATの示す階調に調節される。
【0054】
各水平走査期間で上記の過程が繰り返される。それにより、全てのゲート線G1〜Gnに対して順番にゲートオン電圧Vonが印加され、全ての画素PXに対してデータ電圧が印加される。こうして、1フレームの画像が液晶表示パネルアセンブリ300の画面に表示される。
【0055】
1フレームの表示が終了すれば、次のフレームの表示が開始される。そのとき、信号制御部600は、データ駆動部500に対して印加される反転信号の状態を制御し、データ駆動部500に、各画素PXに対して印加されるべきデータ電圧の極性を直前のフレームでの極性から反転させる(フレーム反転)。更に、同じフレーム内でもデータ駆動部500が反転信号の特性に応じ、同じデータ線を通じて伝達されるデータ電圧の極性を水平走査期間ごとに反転させ(行反転、ドット反転)、又は、同じ画素行に対して印加されるデータ電圧の極性をデータ線ごとに反転させても良い(列反転、ドット反転)。
【0056】
上記の液晶表示装置は更に、タッチスクリーンとしての感知動作を以下のように行う。
感知信号処理部800は感知制御信号CONT3に従い、まず、リセット信号RSTを所定時間アクティブにする。それにより、各リセット信号入力部INIではリセットトランジスタQrがターンオンし、リセット電圧Vrを感知信号線SLに対して所定時間印加し、各感知信号線SLの電圧をリセット電圧Vrに初期化する。従って、各感知部SUでは基準キャパシタCpと可変キャパシタCvとの間の接点の電圧Vnがリセット電圧Vrに維持される。可変キャパシタCvは共通電圧Vcomとリセット電圧Vrとの間の差によって充電され、基準キャパシタCpはリセット電圧Vrと基準電圧Vpとの間の差によって充電される。更に、各感知信号出力部SOUTでは出力トランジスタQsが出力信号、好ましくは出力電流の量をリセット電圧Vrに応じた値に維持する。所定時間の経過後、感知信号処理部800はリセット信号RSTを元の状態に戻し、各リセットトランジスタQrをターンオフさせる。それにより、各感知信号線SLがフローティング状態に維持される。
【0057】
各リセットトランジスタQrのターンオフから更に所定時間が経過した後、好ましくはそのターンオフから1水平周期以内に、感知信号処理部800は感知制御信号CONT3に応じて増幅部810に各出力信号線OLからの出力電流を入力させる。増幅部810はその出力電流に基づいて感知信号Voを生成する。感知信号処理部800は更に、アナログ−デジタル変換器によって感知信号Voを感知データに変換し、接触判断部700に転送する。
【0058】
信号制御部600は感知制御信号CONT3を用い、感知信号処理部800によるリセット信号RSTの制御から感知データの出力までの一連の動作を、好ましくはフレームごとに1回ずつ行わせる。更に好ましくは、上記の動作を、フレームとフレームとの間のブランキング期間に含まれるフロントポーチ又はバックポーチに行わせる。フロントポーチ及びバックポーチでは感知信号がゲート信号やデータ電圧の影響をあまり受けないので、他の期間より感知信号の信頼度が高い。尚、感知信号処理部800による一連の動作は、複数のフレームごとに1回ずつ行われても、1フレームに2回以上行われても良い。更に、上記の動作がブランキング期間の他の部分、又はフレーム内に行われても良い。
【0059】
感知信号線SLがフローティング状態に維持されている期間中に液晶表示パネルアセンブリ300の画面のいずれかの場所に利用者の指等が接触すれば、その接触箇所に位置する感知部SUでは共通電極270の変形に伴い、可変キャパシタCvと基準キャパシタCpとの間で電荷の再配置が生じ、可変キャパシタCvと基準キャパシタCpとの間の接点の電圧Vnが変動する。従って、その感知部SUに接続された感知信号出力部SOUTでは出力トランジスタQsの制御端子に対して印加される電圧がリセット電圧Vrから変わる。この電圧の変化によって出力トランジスタQsを流れる電流量が変動する。その出力電流量の変動が出力信号線OLを通して感知信号処理部800の各増幅部810によって増幅され、感知信号Voとして出力される。感知信号処理部800は更に、感知信号Voを感知データDSNに変換して接触判断部700に送出する。
【0060】
感知信号出力部SOUTの入力電圧Vsを適切に調節し、かつ、感知信号処理部800の基準電圧Vaと演算増幅器APの利得とを適切に調節することにより、出力トランジスタQsがリセット電圧Vrを受けているときに感知信号Voのレベルを一定の基準レベルに一致させる。それにより、感知データDSNに含まれる誤差が抑えられるので、画面に接触している外部の物体の有無を接触判断部700によって判別する精度、及びその接触箇所の位置を特定する精度を容易に向上できる。
【0061】
接触判断部700は感知データDSNを受信し、それらに対して後述の演算処理を行う。それにより、画面に接触している物体の有無を判断し、その接触箇所の位置を特定する。判断の結果、及び特定された接触箇所の位置に関する情報は接触情報INFとして外部の装置に転送される。外部の装置は接触情報INFに基づいて様々な処理を行う。例えば上記の液晶表示装置がある装置の操作画面として利用されている場合、その装置は接触情報INFに応じ、利用者によって選択されたコマンドやデータを判断する。その装置は更に、そのコマンドやデータに応じた情報やメニュー等を示す入力映像信号R、G、Bを液晶表示装置に転送する。こうして、利用者によって選択された画面やメニューなどが操作画面に表示される。
【0062】
以下、図6A〜図8Bを参照しながら、接触判断部700による感知データDSNの処理の詳細について説明する。
接触判断部700は、好ましくはフレームごとに感知信号処理部800から感知データDSNを受信し、各フレームにおける感知データDSNを、それらの源である行感知部SUの属する行ごとに、又は列感知部SUの属する列ごとに分類して格納する。接触判断部700は更に、それらの行及び列ごとに感知データDSNから接触情報INFを個別に生成する。そのとき、いずれの行及び列についても接触情報INFは同じ方式で生成される。各行の感知データDSNに基づいて得られる接触情報INFは特に、感知部SUのマトリクスの行方向における接触箇所の座標値(以下、行座標値という。)を含み、各列の感知データDSNに基づいて得られる接触情報INFは、感知部SUのマトリクスの列方向における接触箇所の座標値(以下、列座標値という。)を含む。
【0063】
接触箇所の行座標値は好ましくは以下のようにして得られる。
図6Aに、あるフレームで各行の行感知部SUから読み取られた感知データDSNの例を示す。縦軸は各感知データDSNの示す電圧値をmV単位で示す。横軸は、各感知データDSNの源である行感知部SUの属する行の座標を示す。図6Aに示されている例では、特に破線Aで囲まれた部分で感知データDSNが大きく変動していることから、第21行の行感知部SUの位置する場所のいずれかに物体が接触していることが推測される。
【0064】
図6Bに、同じ行の行感知部SUから読み取られた感知データDSNの時間変化、すなわちフレームごとの変化の例を示す。縦軸は各感知データDSNの示す電圧値をmV単位で示す。横軸は各感知データDSNの読み取られたフレームの番号を示す。図6Bに示されている例では、特に破線Bで囲まれた部分で感知データDSNが大きく変動していることから、45〜49番目のフレームで画面に物体が接触し始めたことが推測される。
【0065】
図6Bには、破線Bで囲まれた部分の他にも感知データDSNの変動が見られる。接触判断部700は好ましくは感知データに対して次のフィルタリング処理を行うことにより、感知データの変動のうち、リップルノイズに起因するものを均す。接触判断部700はまず、i番目(i=1、2、3、…)のフレームに対する標本フレームグループを、i番目のフレームとそれに続くi+1番目からi+Nn−1番目までのフレームとの合計Nn枚のフレームから構成する。接触判断部700は次に、i〜i+Nn−1番目の各フレームに同じ第j行(j=1、2、3、…)の行感知部SUから得られた感知データRk,j(k=i、i+1、…、i+Nn−1)の間での平均値Si,jを次式(1)によって計算する。
【0066】
【数1】

【0067】
接触判断部700は更に、i番目のフレームにおける第j行の感知データRi,jを、式(1)で得られた平均値Si,jに置き換える。接触判断部700はこのようなフィルタリング処理を、各フレームで得られた全ての行の感知データに対して行い、各行の感知データを平均値に置き換える。尚、標本フレームグループに含まれるフレームの数Nnは好ましくは実験によって決定される。
【0068】
図6Bに示されている感知データに対して上記のフィルタリングを行った結果を図6Cに示す。図6Cに示されているように、上記のフィルタリングにより、感知データの時間変化が緩やかな波形に均されていることが分かる。図6Cでは図6Bと同様に、破線Cで囲まれた部分、すなわち45〜49番目のフレームにおける感知データに大きな変動が認められる。
【0069】
接触判断部700は更に、上記のフィルタリング処理によって平均値に置き換えられた、i番目(i=1、2、3、…)のフレームにおける第j行(j=1、2、3、…)の感知データSi,jに基づき、i番目のフレームにおける第j行の第1偏差データFi,jを次式(2)によって計算する。
【0070】
Fi,j=Max{Si+k,j−Si,j:k=1、2、…、Nn−1} (2)
【0071】
すなわち、接触判断部700は、i番目のフレームにおける第j行の感知データSi,jとi+k(k=1、2、…、Nn−1)番目のフレームにおける第j行の感知データSi+k,jとの間の差を演算し、得られたNn−1個の差の中での最大値をi番目のフレームにおける第j行の第1偏差データFi,jとして設定する。接触判断部700は、全ての行の感知データについて同様にして第1偏差データを求める。尚、式(2)では好ましくは、対象とされるフレームの枚数を、上記のフィルタリング処理で利用した標本フレームグループに含まれるフレームの枚数と同じ値Nnに設定する。その他に、式(1)と式(2)とで対象とされるフレームの枚数を別にしても良い。
【0072】
図6Cに示されている、複数のフレームで得られた同じ行の感知データから式(2)を用いて得られる第1偏差データを図6Dに示す。縦軸は各第1偏差データの示す電圧値をmV単位で示す。横軸は各フレームの番号を示す。図6Cに示されている破線Cで囲まれた部分は、図6Dでは破線Dで囲まれた部分、すなわち、49番目のフレームの前後における第1偏差データの大きな変動として顕著に現れる。
【0073】
接触判断部700は、全ての行と列との感知データDSNのそれぞれについて同様に第1偏差データを算出する。その結果、図6Dに示されているようなグラフは好ましくは、全ての行及び列について得られる。同じフレームにおける各行の第1偏差データの一例を図7A及び図7Bに示す。縦軸は各第1偏差データの示す電圧値をmV単位で示し、横軸は行座標を示す。図7Aは第1偏差データがインパルスノイズを含んでいない場合を示し、図7Bは第1偏差データがインパルスノイズを含む場合を示す。
【0074】
第1偏差データがインパルスノイズを含んでいない場合は一般に、図7Aに示されている破線Eで囲まれた部分のように、第1偏差データは、限られた行座標の範囲でのみ、所定のしきい値TH1を超える。従って、第1偏差データがそのしきい値TH1を超える行座標の範囲、図7Aでは第20行付近に物体が接触したことが推測される。
【0075】
インパルスノイズは一般に、各感知部SUの基準キャパシタCpに対して印加される基準電圧Vp、リセット電圧Vr、入力電圧Vs、または、各増幅部810で利用される基準電圧Vaを一斉に大きく変化させる。更に、第1偏差データは上記の式(1)により、標本フレームグループにおける複数の感知データに基づいて生成される。それらの結果、インパルスノイズが発生したフレームでは一般に、図7Bに示されているように、全ての行座標の第1偏差データがしきい値TH1を大幅に超える。従って、図7Aの場合とは異なり、図7Bに示されている破線Fで囲まれた部分のように、第1偏差データが画面への物体の接触に起因する変動を含んでいても、その接触箇所の位置が特定できないだけでなく、その物体の有無も判断できない。
【0076】
インパルスノイズの影響を弱めるために、接触判断部700は好ましくは、まず、第j行(j=1、2、3、…)からNf行離れた第j+Nf行を、第j行の標本行として設定する。ここで、第j+Nf行に代え、第j−Nf行を第j行の標本行としても良い。接触判断部700は次に、同じi番目(i=1、2、3、…)のフレームにおける第j行の第1偏差データFi,jと、その標本行である第j+Nf行の第1偏差データFi,j+Nfとから、i番目のフレームにおける第j行の第2偏差データFEi,jを次式(3)で計算する。
【0077】
FEi,j=|Fi,j−Fi,j+Nf| (3)
【0078】
すなわち、接触判断部700は、各行の第1偏差データとその行の標本行の第1偏差データとの間の差をその行の第2偏差データとして設定する。接触判断部700は全ての行について第2偏差データを同様に生成する。
【0079】
接触判断部700は更に、i番目のフレームにおける全ての行、すなわち第1〜NL行の第2偏差データから、好ましくは次式(4)を満たす第2偏差データFEM、すなわち、i番目のフレームにおける第2偏差データの最大値を求める。ここで、NLは行感知部SUの行の総数を示す。
【0080】
FEM=Max{FEi,j:j=1、2、…、NL−Nf+1} (4)
【0081】
接触判断部700は続いて、第2偏差データの最大値FEMを所定のしきい値と比較する。第2偏差データの最大値FEMがしきい値より大きい場合、接触判断部700は画面に接触する物体が存在すると判断し、第2偏差データが最大値FEMに等しい行座標を接触箇所の行座標として特定する。
【0082】
同じフレームにおける各行の第2偏差データの一例を図8A及び図8Bに示す。縦軸は各第2偏差データの示す電圧値をmV単位で示し、横軸は行座標を示す。図8Aは、図7Aに示されている、インパルスノイズを含んでいない第1偏差データから得られた第2偏差データを示し、図8Bは、図7Bに示されている、インパルスノイズを含む第1偏差データから得られた第2偏差データを示す。図8A及び図8Bに示されている第2偏差データの計算では、各行とその標本行との間の行数Nfを8に設定している。
【0083】
図7Aに破線Eで示されている、しきい値TH1を超える第1偏差データのピークは、図8Aでは破線Gで囲まれた第2偏差データの2つのピークとして現れる。一方のピークが図7Aに示されているピークの上昇部分に相当し、他方のピークが下降部分に相当する。2つのピークが所定のしきい値TH2を超える場合、接触判断部700は、それら2つのピークが現れる行とそれらの間の行との座標を接触箇所の行座標として特定する。
【0084】
図7Aと図8Aとの間でのピークの関係はインパルスノイズの影響を受けない。実際、図7Bに示されているように、インパルスノイズによって第1偏差データが全ての行で一様に増大してしきい値TH1を超えても、第2偏差データではインパルスノイズによる影響が各行とその標本行との間で相殺されるので、図8Bに示されているように、第2偏差データは一般に、ほとんどの行でしきい値TH2を下回る。一方、図7Bに破線Fで示されている第1偏差データのピークは、図8Bでは破線Hで囲まれた第2偏差データの2つのピークとして現れる。一方のピークが図7Bに示されているピークの上昇部分に相当し、他方のピークが下降部分に相当する。2つのピークはしきい値TH2を超えているので、接触判断部700は、それら2つのピークが現れる行とそれらの間の行との座標を接触箇所の行座標として特定する。
【0085】
こうして、接触判断部700は第2偏差データを利用することにより、インパルスノイズの有無に関わらず、画面に接触する物体の有無を良好に判断でき、かつその接触箇所の位置を精度良く特定できる。
【0086】
図9に、接触判断部700の内部構成の一例を示す。図9に示されているように、接触判断部700は好ましくは、受信部710、格納部720、フィルタリング部730、第1データ生成部740、第2データ生成部750、位置判断部760、レジスタ770、及びインターフェース780を含む。
【0087】
受信部710は、感知信号処理部800から感知部SUの各行及び各列の感知データDSNを、好ましくはフレームごとに受信し、格納部720に出力する。
【0088】
格納部720は好ましくはメモリであり、感知部SUの行及び列ごとにアドレスを割り当て、各アドレスに、複数のフレームにわたる感知データDSNを記憶する。
【0089】
フィルタリング部730は、格納部720に記憶された感知データDSNを式(1)の示す演算によって平均値Sに変換し、格納部720に記憶された感知データDSNをその平均値Sに置き換える。フィルタリング部730はその他に、変換された感知データDSNの平均値Sを、格納部720とは別のメモリに格納しても良い。
【0090】
第1データ生成部740は、フィルタリング部730によって置き換えられた感知データDSNから式(2)の示す演算により、第1偏差データFを生成する。
第2データ生成部750は、第1偏差データFから式(3)の示す演算により、第2偏差データFEを生成する。
【0091】
位置判断部760は好ましくはプロセッサ、更に好ましくはARMであり、第2偏差データFEから式(4)の示す演算によって第2偏差データの最大値FEMを求める。位置判断部760は更に、得られた最大値FEMをしきい値TH2と比較することにより、画面に接触している物体の有無を判断し、その接触箇所の位置を特定する。位置判断部760は続いて、判断の結果及び特定された位置に関する情報を接触情報INFとして生成する。
【0092】
レジスタ770は、画面に接触している物体の有無を表すフラグ、及び接触情報INFを記憶する。レジスタ770は、位置判断部760に従ってフラグの値を変更し、接触情報INFを更新する。
【0093】
インターフェース780は好ましくはSPI(serial peripheral interface)に準拠のインターフェースである。インターフェース780は、レジスタ770から接触情報INFを読み出し、制御信号などと共に外部の装置に送出する。インターフェース780は更に、外部から、接触判断部700の各構成要素に対するデータや制御信号を受ける。
【0094】
上記の実施形態では、感知部が可変キャパシタ及び基準キャパシタの直列接続を利用する。感知部はその他に、他の方式による感知素子を利用しても良い。例えば、液晶層を挟んで互いに対向する共通電極の部分と感知信号線の部分との少なくとも一方に、他方に向かって突出する部分を設け、感知部として利用しても良い。利用者が画面に接触すると、その接触箇所に位置する感知部では変形した共通電極の部分が対向する感知信号線に接触して短絡が生じる。それにより、感知信号線の電圧が共通電圧に変化する。その電圧変化が感知信号として外部に出力される。その他に、感知部として光センサーを用いても良い。また、2種類以上の感知部を同時に利用しても良い。
【0095】
上記の実施形態では表示装置が液晶表示装置である。その他に、プラズマディスプレイ、有機発光表示装置等、他の平板表示装置についても本発明は同様に実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の一実施形態による液晶表示装置に含まれる表示機能部のブロック図
【図2】図1に示されている画素の模式図
【図3】本発明の一実施形態による液晶表示装置に含まれるタッチスクリーン機能部のブロック図
【図4】図3に示されている感知部の模式図
【図5】図3に示されている1つの感知信号線に接続されている部分の等価回路図
【図6A】あるフレームにおける各行の感知データの一例を示すグラフ
【図6B】各フレームにおける、ある行の感知データの一例を示すグラフ
【図6C】図6Bに示されている感知データからフィルタリング処理によって得られる平均値のグラフ
【図6D】図6Cに示されている感知データから算出された第1偏差データのグラフ
【図7A】インパルスノイズの影響を受けていない1つのフレームにおける各行の第1偏差データの一例を示すグラフ
【図7B】インパルスノイズの影響を受けている1つのフレームにおける各行の第1偏差データの一例を示すグラフ
【図8A】図7Aに示されている第1偏差データから算出された第2偏差データのグラフ
【図8B】図7Bに示されている第1偏差データから算出された第2偏差データのグラフ
【図9】図3に示されている接触判断部の内部構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0097】
300 液晶表示パネルアセンブリ
400 ゲート駆動部
500 データ駆動部
550 階調電圧生成部
600 信号制御部
700 接触判断部
710 受信部
720 格納部
730 フィルタリング部
740 第1データ生成部
750 第2データ生成部
760 位置判断部
770 レジスタ部
780 インターフェース
800 感知信号処理部
810 増幅部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を有する表示パネル、
前記表示パネルにマトリクス状に配列され、外部の物体による前記表示パネルへの接触に応じて感知信号を生成する複数の感知部、
所定の周期で前記複数の感知部から感知信号を読み取り、読み取られた感知信号に基づいて感知データを生成する感知信号処理部、及び、
所定の期間に各感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された感知データを、別の期間に同じ感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された感知データと比較することにより、その所定の期間における各感知部についての第1偏差データを生成し、所定の期間における各感知部についての第1偏差データを、同じ期間における異なる感知部についての第1偏差データと比較することにより、その所定の期間における各感知部についての第2偏差データを生成し、異なる感知部の間での第2偏差データの変化に基づき、前記表示パネルに接触している外部の物体の有無を判断し、その接触している場所の位置を特定する接触判断部、
を備えている表示装置。
【請求項2】
前記接触判断部は、所定の期間に各感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された感知データと、その所定の期間から所定時間が経過するまでに同じ感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された所定数の感知データのそれぞれとの間の差を求め、その差の最大値を第1偏差データとして設定する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記感知信号処理部はフレーム周期で前記複数の感知部から感知信号を読み取って感知データを生成し、
前記接触判断部は、各フレームに対する標本フレームグループを、そのフレームとそれに続くフレームとの少なくとも2つから構成し、各フレームとそのフレームに対する標本フレームグループに含まれるフレームとの間で、同じ感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された感知データの差を求め、その差の最大値を第1偏差データとして設定する、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記接触判断部は、前記複数の感知部を2つずつ対にし、各対の感知部の間で同じ期間における第1偏差データの差を求め、その差を第2偏差データとして設定する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記接触判断部は各感知部について、その感知部から所定距離を隔てている別の感知部を標本感知部とし、各感知部とその標本感知部との間での第1偏差データの差を第2偏差データとして設定する、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記接触判断部は、所定の期間に同じ感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された複数の感知データの間で平均値を求め、感知データをその平均値に置き換える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記感知信号処理部はフレーム周期で前記複数の感知部から感知信号を読み取って感知データを生成し、
前記接触判断部は、各フレームに対する標本フレームグループを、そのフレームとそれに続くフレームとの少なくとも2つから構成し、同じ標本フレームグループに含まれるフレームごとに同じ感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された感知データの間で平均値を求め、各フレームでの感知データを、そのフレームに対する標本フレームグループについて求められた感知データの平均値に置き換える、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記接触判断部は、所定数の感知部の間で同じ期間における第2偏差データの最大値を求め、その最大値を基準値と比較することにより、前記表示パネルに接触している外部の物体の有無を判断し、その接触している場所の位置を特定する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記複数の感知部は、行ごとに連結されている行感知部と、列ごとに連結されている列感知部とを含み、
各行感知部に対する標本感知部は他の行に並ぶ行感知部の中から選択され、各列感知部に対する標本感知部は他の列に並ぶ列感知部の中から選択される、
請求項5に記載の表示装置。
【請求項10】
前記接触判断部は、
所定の期間に同じ感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された複数の感知データの間で平均値を求め、感知データをその平均値に置き換えるフィルタリング部、
前記フィルタリング部によって置き換えられた感知データの平均値に基づいて第1偏差データを生成する第1データ生成部、
第1偏差データに基づいて第2偏差データを生成する第2データ生成部、
第2偏差データに基づいて前記物体の有無を判断し、その接触している場所の位置を特定する位置判断部、及び、
前記位置判断部の判断結果と特定された位置とに基づき、前記判断結果を示す接触フラグの値と、前記特定された位置を示す接触情報の内容とを変更するレジスタ、
を有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項11】
前記複数の感知部はそれぞれ、
液晶を誘電体として含み、前記表示パネルに接触している外部の物体からの圧力に応じて静電容量を変化させる可変キャパシタ、及び、
前記可変キャパシタに直列に接続されている基準キャパシタ、
を有する、請求項1に記載の表示装置。
【請求項12】
複数の画素、及び、外部の物体による接触を感知する複数の感知部を有する表示装置の駆動方法であり、
所定の周期で前記複数の感知部から感知信号を読み取り、読み取られた感知信号に基づいて感知データを生成する段階、
所定の期間に各感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された感知データを、別の期間に同じ感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された感知データと比較することにより、その所定の期間における各感知部についての第1偏差データを生成する段階、
所定の期間における各感知部についての第1偏差データを、同じ期間における異なる感知部についての第1偏差データと比較することにより、その所定の期間における各感知部についての第2偏差データを生成する段階、及び、
異なる感知部の間での第2偏差データの変化に基づき、前記表示装置に接触している外部の物体の有無を判断し、その接触している場所の位置を特定する段階、
を含む表示装置の駆動方法。
【請求項13】
前記第1偏差データを生成する段階では、所定の期間に各感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された感知データと、その所定の期間から所定時間が経過するまでに同じ感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された所定数の感知データのそれぞれとの間の差を求め、その差の最大値を第1偏差データとして設定する、請求項12に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項14】
前記第2偏差データを生成する段階では、前記複数の感知部を2つずつ対にし、各対の感知部の間で同じ期間における第1偏差データの差を求め、その差を第2偏差データとして設定する、請求項12に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項15】
所定の期間に同じ感知部から読み取られた感知信号に基づいて生成された複数の感知データの間で平均値を求め、感知データをその平均値に置き換える段階をさらに含む、請求項12に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項16】
前記表示装置に接触している物体の有無を判断し、その接触している場所の位置を特定する段階は、所定数の感知部の間で同じ期間における第2偏差データの最大値を求め、その最大値を基準値と比較する段階を含む、請求項12に記載の表示装置の駆動方法。
【請求項17】
感知信号は、前記表示装置への外部の物体の接触に伴う各感知部の静電容量の変化によって生成される、請求項12に記載の表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−198211(P2008−198211A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31633(P2008−31633)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】