説明

表示装置

【課題】 立体的な表示が可能であり、且つ、線状表示部があっても、配線部材が1個で良く、組付けが煩雑になる虞が少ない表示装置を提供する。
【解決手段】 発光型表示器40は、第一の発光部62,63,64,65,66及び第二の発光部68を有する。反射手段は、第二の発光部68が発した光を反射させる。導光部材は、反射手段で反射された光を受けて更に反射させる反射部41bを有し、発光型表示器40の前方に配置される。発光型表示器40の第一の発光部は、反射部からなる線状表示部41bの上側に配設された第一の表示部62,65と、線状表示部41bの下側に配設された第二の表示部63,64,66とを有する。第一の表示部62,65及び第二の表示部63,64,66に駆動電圧を印加させるための端子部に電気的に接続される配線部材を設ける。導光部材の前方に円偏光部材42を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELパネル等の発光型表示器を用いた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、有機ELパネルが種々提案されており、例えば特許文献1に開示されている。有機ELパネル1は、ガラス基板2上に積層体3を形成したものであり、この積層体3は、第一電極4,絶縁層5,有機層6,アルミニウム(Al)からなる第二電極7を有する(図7参照)。第一電極4は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極からなるものである。有機層6は、蒸着等の手段によって正孔注入層,正孔輸送層,発光層,電子輸送層及び電子注入層を順次形成したものである。
【特許文献1】特開2003−288984号公報
【0003】
積層体3は封止ガラス8に覆われており、この封止ガラス8はガラス基板2に紫外線硬化性の接着剤9で固着されている。第一電極4は、陽極部4aと、陽極端子部4bと、陰極端子部4cとを有している。有機層6は、陽極部4aと第二電極7に挟持されており、第二電極7は、陰極端子部4cに電気的に接続されている。陽極端子部4b及び陰極端子部4cに電源を接続し、陽極部4aと第二電極7の間に駆動電圧を印加することにより、有機層6が発光する。
【0004】
図8は、他の従来例を示す有機ELパネル11の正面図である。有機ELパネル11は、可変表示部12,13,14と、固定表示部15,16と、線状表示部17とを有している。線状表示部17は、横方向に伸長した細長い線形状になっている。可変表示部12及び固定表示部15は、線状表示部17の上側に配置されている。可変表示部13,14及び固定表示部16は、ライン表示部17の下部に配置されている。有機ELパネル11の上側には、可撓性配線板21が接続され、有機ELパネル11の下側には、可撓性配線板22が接続されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、有機ELパネル11の可変表示部12,13,14,固定表示部15,16及びライン表示部17による表示は平面的であり、立体感がないという問題を有していた。本発明の第一の目的は、立体的な表示が可能な表示装置を提供するものである。
【0006】
また、可変表示部12,13,14,固定表示部15,16及び線状表示部17に駆動電圧を印加させるための全ての端子部を1個の可撓性配線板22に接続することはできないため、有機ELパネル11には、2個の可撓性配線板21,22を設ける必要があった。つまり、横方向に伸長したライン表示部17があると、ライン表示部17の横側Sが狭いため、線状表示部17の上側に配置された可変表示部12及び固定表示部15に駆動電圧を印加させるための端子部を、線状表示部17を迂回して、ライン表示部17の横側Sを通るように設けて、可撓性配線板22に接続することは不可能である。
本発明の第二の目的は、線状表示部があっても、配線部材が1個で良く、組付けが煩雑になる虞が少ない表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するため、請求項1に記載したように、第一の発光部62,63,64,65,66及び第二の発光部68を有する発光型表示器40と、前記第二の発光部40が発した光L2を反射させる反射手段41a,73と、前記反射手段41a,73で反射された光L2を受けて更に反射させる反射部41b,71bを有し前記発光型表示器40の前方に配置された導光部材41,71と、を有するものである。
【0008】
また、本発明は、請求項2に記載したように、前記発光型表示器40の前記第一の発光部は、前記反射部からなる線状表示部41b,71bの上側に配設された第一の表示部62,65と、前記線状表示部41b,71bの下側に配設された第二の表示部63,64,66と、を有するものである。
【0009】
また、本発明は、請求項3に記載したように、前記第一の表示部62,65及び前記第二の表示部63,64,66に駆動電圧を印加させるための端子部56b,56cに電気的に接続される配線部材45を設けたものである。
【0010】
また、本発明は、請求項4に記載したように、前記反射手段は、前記導光部材41に設けられた傾斜反射面41aであるものである。
【0011】
また、本発明は、請求項5に記載したように、前記反射部は、前記導光部材41,71に形成された凹部41b,71bであるものである。
【0012】
また、本発明は、請求項6に記載したように、前記第一の発光部62,63,64,65,66が発した光L1と、前記反射部41b,71bで反射された光L2と、を通過させる窓部22e,74eを有すると共に、前記第二の発光部68を隠す見返し部材22,74を設けたものである。
【0013】
また、本発明は、請求項7に記載したように、前記第二の発光部68と前記反射手段41a,73の間にカラーフィルタ70,72を設けたものである。
【0014】
また、本発明は、請求項8に記載したように、前記発光型表示器は、有機ELパネル40であるものである。
【0015】
また、本発明は、請求項9に記載したように、前記導光部材41,71の前方に円偏光部材42を設けたものである。
【0016】
また、本発明は、請求項10に記載したように、
第一の発光表示部62,65と第二の発光表示部63,64,66と照明用発光部68とを有する発光型表示器40と、
前記照明用発光部68が発した光L2を反射させる反射手段41a,73と、
正面視で前記第一の発光表示部62,65と前記第二の発光表示部63,64,66の間に配設され、前記反射手段41a,73で反射された光L2を受けて光輝する線状表示部41b,71bを有し、前記発光型表示器40の前方に配置された導光部材41,71と、
前記第一の発光表示部62,65及び前記第二の発光表示部63,64,66に駆動電圧を印加するための端子部56b,56cに電気的に接続される配線部材45と、
を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
発光型表示器による表示と共に、発光型表示器から所定間隔を有する位置に線状表示部が表示されるため、立体的な表示になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付の図面に基づいて、本発明を車両用表示装置に適用した一実施例を説明する。図1乃至図5は第一実施形態を示す図である。
21はハウジングであり、このハウジング21には後述する指示計器が収容されている。22は見返し部材であり、この見返し部材22は係止爪(図示しない)によりハウジング21に係止されている。23は透光性カバーであり、この透光性カバー23は湾曲部23a及びリブ部23bを有している。透光性カバー23は、アクリルまたはポリカーボネート等の透光性樹脂からなるものである。透光性カバー23は、リブ部23bに設けられた係止爪(図示しない)により見返し部材22に係止されている。
【0019】
ハウジング21には4個の指示計器、即ち、燃料計25,速度計26,回転計27,水温計28が収納されている。速度計26及び回転計27は、燃料計25及び水温計28よりも大きくなっており、燃料計25及び水温計28の間に配置されている。見返し部材22は、燃料計25,回転計27,水温計28に対応する円形の開口22a,22c,22dと、速度計26に対応する略扇形の開口22bと、後述する有機ELパネルに対応する矩形の開口22eを有している。
【0020】
各指示計器25,26,27,28は、夫々、文字板31,発光ダイオード32,導光板33,指針34,ステッピングモータ35を有している。発光ダイオード32及びステッピングモータ35は回路基板36に搭載されている。文字板31はポリカーボネート等の樹脂からなる透光性基板に、透過性インクからなる半透過層を指標部38に印刷形成し、指標部38を除いて黒色インクからなる遮光層を印刷形成したものである。発光ダイオード32及び導光板33は文字板31の後方に配置されており、指標部38は発光ダイオード32の光により透過照明される。指針34はステッピングモータ35により回動され、文字板31の指標部38を指示する。発光ダイオード32が発した光は導光板33の反射面33aによって指針34に導かれ、指針34の指示部39が光輝する。
【0021】
40は有機ELパネルであり、この有機ELパネル40は見返し部材22の後方に配設されている。41は導光部材であり、この導光部材41は有機ELパネル40と見返し部材22の間に配設されている。導光部材41は、アクリルまたはポリカーボネート等の透光性樹脂からなるものであり、略平板形状になっている。導光部材41は、傾斜反射面41a(反射手段)を有しており、後述する照明用発光部68が発した光L2を反射させる。
【0022】
導光部材41には凹部41b(反射部)が形成されており、傾斜反射面41aで反射された光L2によって凹部41bが光輝する。凹部41bは、断面が三角形状であり、正面視では横方向に伸長した線形状になっている(図3参照)。導光部材41の裏面には青色のカラーフィルタ70が貼着されており、後述する照明用発光部68が発した白色の光L2を青色に変換する。42は円偏光部材であり、この円偏光部材42は導光部材41の前面に貼着されている。円偏光部材42は、直線偏光板と複屈折板とからなるものである。なお、複屈折板は、1/4波長板と称されることもある。
【0023】
見返し部材22には矩形の開口22eが形成されており、有機ELパネル40は開口22eに対応する位置に配置されている。44はケース体であり、このケース体44で有機ELパネル40及び導光部材41が保持されている。45は可撓性配線板(配線部材)であり、この可撓性配線板45の一端は有機ELパネル40に接続され、他端は回路基板36のコネクタ48に接続されている。
【0024】
次に、図3及び図4に基づいて、有機ELパネル40について詳述する。有機ELパネル40は、透光性基板55の後面に、ITOからなる第一電極56,絶縁層57,有機層58,アルミニウム(Al)等からなる第二電極59を順次積層したものであり、第二電極59の後側には封止ガラス60が配設されている。封止ガラス60は、紫外線硬化型の接着剤で透光性基板55に固着されている。第一電極56は、セグメント部56aと、セグメント部56aに連なる陽極端子部56bと、陰極端子部56cとを有している。有機層58は、少なくとも発光層があれば良いが、ホール輸送層,電子輸送層等があっても良い。
【0025】
有機ELパネル40は、正面視で横長の長方形になっており、可変表示部62,63,64と、固定表示部65,66と、照明用発光部68とを有している。可変表示部62,63,64,固定表示部65,66,照明用発光部68は、駆動電圧が印加されると白色に発光するものである。可変表示部62(第一の表示部)及び固定表示部65(第一の表示部)は、正面視で凹部41bの上側に配置されている。可変表示部63,64(第二の表示部)及び固定表示部66(第二の表示部)は、正面視で凹部41bの下側に配置されている。
【0026】
照明用発光部68は、複数の発光セグメントからなるものであり、横方向の列状に配置されている。照明用発光部68は、見返し部材22によって隠されている。可変表示部62,63,64,固定表示部65,66及び照明用発光部68に駆動電圧を印加するための陽極端子部56b及び陰極端子部56cは、可撓性配線板45に電気的に接続されている。
【0027】
可変表示部62,63,64及び固定表示部65,66が発した光L1は導光部材41及び開口22eを通過して、運転者の視点に達する。照明用発光部68が発した光L2は、カラーフィルタ70を通過し、導光部材41の傾斜反射面41aで反射され、凹部41bで更に反射される。
【0028】
図6は第二実施形態を示すものである。第二実施形態は、第一実施形態と同一の箇所には同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
導光部材71の凹部71bは、断面が半円形状になっている。カラーフィルタ72は、有機ELパネル41の照明用発光部68に対向する箇所に貼着されている。73は反射ミラー(反射手段)であり、この反射ミラー73は見返し部材74の保持部74bに傾斜した状態で保持されており、有機ELパネル40の照明用発光部68が発した光L2を導光部材71に向けて反射させる。反射ミラー73で反射された光L2は、凹部71bを光輝させる。
【0029】
第一,第二実施形態によれば、有機ELパネル40の可変表示部62,63,64,固定表示部65,66から所定間隔Dを有する箇所にある凹部41b,71bが光輝するため、立体的な表示になる。また、可変表示部62,63,64及び固定表示部65,66に駆動電圧を印加するための陽極端子部56b及び陰極端子部56cを、1個の可撓性配線板45に電気的に接続することができ、複数の可撓性配線板を設ける必要がない。
【0030】
なお、本発明は、第一,第二実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能であり、例えば、発光型表示器は、バックライトを備えた液晶表示器であっても良い。また、円偏光部材42はなくても良いが、円偏光部材42を設けることにより、有機ELパネル40による表示コントラストを良好にすることができる。また、カラーフィルタ70,72はなくても良いが、カラーフィルタ70,72を設けることによって、有機ELパネル40の可変表示部62,63,64,固定表示部65,66による表示色(例えば白色)と、導光部材41,71の凹部41b,71bの表示色(例えば青色)を別々にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第一実施例を示す車両用表示装置の正面図。
【図2】同上実施例を示す車両用表示装置の断面図。
【図3】同上実施例を示す有機ELパネルの正面図。
【図4】同上実施例を示す有機ELパネルの分解斜視図。
【図5】同上実施例を示す要部断面図。
【図6】本発明の第二実施形態を示す要部断面図。
【図7】従来例を示す有機ELパネルの断面図。
【図8】他の従来例を示す有機ELパネルの正面図。
【符号の説明】
【0032】
22 見返し部材
22e 開口(窓部)
40 有機ELパネル(発光型表示器)
41 導光部材
41a 傾斜反射面(反射手段)
41b 凹部(反射部)
42 円偏光部材
45 可撓性配線板(配線部材)
56b 陽極端子部
56c 陰極端子部
62 可変表示部(第一の発光部)
63 可変表示部(第一の発光部)
64 可変表示部(第一の発光部)
65 固定表示部(第一の発光部)
66 固定表示部(第一の発光部)
68 照明用発光部(第二の発光部)
70 カラーフィルタ
71 導光部材
71b 凹部(反射部)
72 カラーフィルタ
73 反射ミラー(反射手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の発光部及び第二の発光部を有する発光型表示器と、前記第二の発光部が発した光を反射させる反射手段と、前記反射手段で反射された光を更に反射させる反射部を有し前記発光型表示器の前方に配置された導光部材と、を有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記発光型表示器の前記第一の発光部は、前記反射部からなる線状表示部の上側に配設された第一の表示部と、前記線状表示部の下側に配設された第二の表示部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第一の表示部及び前記第二の表示部に駆動電圧を印加させるための端子部に、電気的に接続される配線部材を設けたことを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記反射手段は、前記導光部材に設けられた傾斜反射面であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記反射部は、前記導光部材に形成された凹部であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第一の発光部が発した光と、前記反射部で反射された光と、を通過させる窓部を有すると共に、前記第二の発光部を隠す見返し部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第二の発光部と前記反射手段の間にカラーフィルタを設けたことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記発光型表示器は、有機ELパネルであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項9】
前記導光部材の前方に円偏光部材を設けたことを特徴とする請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
第一の発光表示部と第二の発光表示部と照明用発光部とを有する発光型表示器と、
前記照明用発光部が発した光を反射させる反射手段と、
正面視で前記第一の発光表示部と前記第二の発光表示部の間に配設され、前記反射手段で反射された光を受けて光輝する線状表示部を有し、前記発光型表示器の前方に配置された導光部材と、
前記第一の発光表示部及び前記第二の発光表示部に駆動電圧を印加するための端子部に電気的に接続される配線部材と、
を有することを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−30842(P2006−30842A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−212709(P2004−212709)
【出願日】平成16年7月21日(2004.7.21)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】