説明

表示装置

【課題】光センサの特性のバラツキを補正して予め定めた所定の明るさでバックライト等を自動的にオン/オフ制御できるようにするとともに、表示パネルの製造時に光センサを同時に作製することもでき、しかもエンドユーザが任意の周囲の明るさでバックライト等を自動的にオン/オフできるように設定し得るようにした表示装置を提供すること。
【解決手段】 アクティブマトリクス基板を備えた表示パネルと、光検出部2と、閾値記憶部6と、比較部4と、照光手段を有する表示装置において、通常動作モード時には、前記光検出部2の出力と前記閾値記憶部6に格納されている閾値を前記比較部4にて比較し、この比較結果に基づいて前記照光手段のオン/オフ制御を行い、初期設定モード時には、前記光センサに基準となる光を照射しつつ、前記光検出部2の出力を前記閾値記憶部4に格納するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特にバックライトやフロントライト等の光源を有する表示装置において、外光の明るさに応じて自動的に光源の明るさを変えることのできる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信機器のみならず一般の電気機器においても液晶表示装置の適用が急速に普及している。特に、携帯型のものについては、消費電力を減少させるために、透過型液晶表示装置のようなバックライトないしはサイドライト(以下、両者をまとめて「バックライト等」という)を必要としない反射型の液晶表示装置が多く用いられているが、この反射型液晶表示装置は、外光を光源として用いるので暗い室内などでは見えにくくなってしまうために、フロントライトを使用したもの(下記特許文献1参照)や、透過型と反射型の性質を併せ持つ半透過型の液晶表示装置の開発が進められてきている(下記特許文献2参照)。
【0003】
例えば、フロントライトを使用した反射型液晶表示装置は、暗い場所においてはフロントライトを点灯させて画像を表示し、明るい場所ではフロントライトを点灯することなく外光を利用して画像を表示することができるので、常時フロントライトを点灯する必要がなくなるので、消費電力を大幅に削減することができる。また、半透過型液晶表示装置は、一つの画素内に透明電極を備えた透過部と反射電極を備えた反射部を有しており、暗い場所においてはバックライト等を点灯して画素領域の透過部を利用して画像を表示し、明るい場所においてはバックライト等を点灯することなく反射部において外光を利用して画像を表示しているため、この場合も常時バックライト等を点灯する必要がなくなるので、消費電力を大幅に低減させることができるという利点を有している。
【0004】
上述のような反射型液晶表示装置や半透過型液晶表示装置においては、外光の強さにより液晶表示画面の見えやすさが異なる。このため、エンドユーザは、液晶表示画面を見やすくするために、外光の強さに応じてバックライト等ないしはフロントライトを点灯すべきレベルであるか否かを自ら判断してバックライト等ないしはフロントライトを点灯、減灯ないしは消灯するという煩雑な操作を行う必要があった。さらに、外光の明るさが十分である時にも、不必要にバックライト等ないしはフロントライトを点灯してしまう場合もあり、このような場合には、無駄な消費電力が増大するため、携帯電話機等の携帯型の機器においては電池の消耗が早くなるという問題点が顕在する。
【0005】
このような問題点に対処するための従来技術として、光センサを液晶表示装置に設け、この光センサによって外光の明暗を検知し、光センサの検知結果に基づいてバックライト等のオン/オフを制御する発明が知られている(下記特許文献3〜5参照)。
【0006】
例えば、下記特許文献3には、光センサとして液晶表示パネルの基板上に光検出用の薄膜電界効果トランジスタ(TFT)(段落[0012]参照)を作成し、このTFTの光リーク電流を検出することにより、周囲の明るさに応じてバックライトを自動的にオン/オフさせるようになした液晶表示装置が開示されている。
【0007】
また、下記特許文献4には、光センサとしてフォトダイオードを使用し、周囲の明るさに応じてバックライトとしての発光ダイオードに温度保証した電流を供給するようにした液晶表示装置が開示されている。
【0008】
さらに、下記特許文献5には、バックライトないし機器の動作表示手段として使用されている発光ダイオードを光センサとして兼用し、周囲の明るさに応じた発光ダイオードの起電力に基づいてバックライトの点灯を制御するようにした携帯端末の発明が開示されている。
【特許文献1】特開2002−131742号公報(特許請求の範囲、図1〜図3)
【特許文献2】特開2001−350158号公報(特許請求の範囲、図4)
【特許文献3】特開2002−131719号公報(特許請求の範囲、段落[0010]〜[0013]、図1)
【特許文献4】特開2003−215534号公報(特許請求の範囲、段落[0007]〜[0019]、図1〜図3)
【特許文献5】特開2004−007237号公報(特許請求の範囲、段落[0023]〜[0025]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述のような従来の光センサにより周囲の明るさを検知してバックライト等を自動的にオン/オフさせる液晶表示装置は、予め定めた所定の明るさでバックライト等を自動的にオン/オフさせるようになしている。この場合、別途フォトダイオード等の光センサを用意して液晶表示装置に組み込む場合には、光センサを特性に応じて選別することができるために、光センサの特性のバラツキを余り考慮しないですむ。
【0010】
しかしながら、上記特許文献3に開示されている発明のように液晶表示パネルの基板上に光センサとしてのTFTを同時に作成したり、あるいは上記特許文献5に開示されている発明のようにバックライトないし機器の動作表示手段として使用されている発光ダイオードを光センサとして兼用した場合には、それぞれの光センサの特性のバラツキが大きいため、必ずしも予め定めた所定の明るさでバックライト等を自動的にオン/オフさせることができないという問題点が存在している。このため、固定の閾値でバックライト等のオンオフを認識させてしまうと、個々の製品によりバックライト等が点灯/消灯する明るさが異なるため、液晶表示装置としては都合が悪くなる。加えて従来の液晶表示装置は、エンドユーザが自分の好みの周囲の明るさでバックライト等を自動的にオン/オフできるように設定することは考慮されていなかった。
【0011】
本願発明は、上述のような従来の光センサにより周囲の明るさを検知してバックライト等を自動的にオン/オフさせる表示装置の問題点を解決すべくなされたものであって、光センサの特性のバラツキを補正して予め定めた所定の明るさでバックライト等を自動的にオン/オフ制御できるようにするとともに、表示パネルの製造時に光センサをも同時に作成することもでき、しかもエンドユーザが任意の周囲の明るさでバックライト等を自動的にオン/オフできるように設定することを可能とした表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の上記目的は以下の構成により達成し得る。すなわち、請求項1の表示装置の発明は、アクティブマトリクス基板を備えた表示パネルと、光センサを備えた光検出部と、閾値記憶部と、比較部と、照光手段を有する表示装置において、通常動作モード時には、前記光検出部の出力と前記閾値記憶部に格納されている閾値を前記比較部にて比較し、この比較結果に基づいて前記照光手段のオン/オフ制御を行い、初期設定モード時には、前記光センサに基準となる光を照射しつつ、前記光検出部の出力を前記閾値記憶部に格納するようにしたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の表示装置において、前記光検出部は、前記アクティブマトリクス基板の製造工程において同時に形成された光センサとしてのTFTを備えていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載の表示装置において、前記光検出部は、光センサとしての薄膜電界効果トランジスタを備えているとともに、前記薄膜電界効果トランジスタは前記表示パネルの外部に設けられていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項2又は3に記載の表示装置において、前記光検出部は、前記薄膜電界効果トランジスタのソース電極とドレイン電極との間に接続されるコンデンサ及び前記ソース電極と所定の定電圧源との間に接続されるスイッチ素子とを有し、前記コンデンサ及びスイッチ素子が前記表示パネルに集積化されており、前記薄膜電界効果トランジスタのゲート電極に逆バイアス電圧を印加しつつ前記スイッチをオフにしてから所定時間後のコンデンサの電圧を出力するものであることを特徴とする。この請求項4の発明においては、前記薄膜電界効果トランジスタは前記コンデンサ及びスイッチ素子とともに前記表示パネルに集積化されていてもよい。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項2又は3に記載の表示装置において、前記光検出部は、前記薄膜電界効果トランジスタのソース電極とドレイン電極との間に接続されるコンデンサ及び前記ソース電極と所定の定電圧源との間に接続されるスイッチ素子とを有し、前記コンデンサが前記表示パネル内に設けられ、前記スイッチ素子が前記表示パネル外部に配置され、前記薄膜電界効果トランジスタのゲート電極に逆バイアス電圧を印加しつつ前記スイッチをオフにしてから所定時間後のコンデンサの電圧を出力するものであることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6の発明は、請求項5記載の表示装置において、前記スイッチ素子は、前記アクティブマトリクス基板の周縁部に載置されたドライバIC内に設けられていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の表示装置において、前記光センサは完全遮光された光センサと遮光されない光センサとを備え、前記完全遮光された光センサの出力と前記遮光されない光センサの出力との差を前記光センサの出力としたことを特徴とする。
【0019】
また、請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の表示装置において、前記閾値記憶部及び比較部は、前記アクティブマトリクス基板の周縁部に載置されたドライバIC内に設けられていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の表示装置において、前記照光手段は、バックライト又はサイドライトであり、前記表示装置は透過型又は半透過型液晶表示装置であることを特徴とする。
【0021】
さらに、請求項10の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の表示装置において、前記照光手段はフロントライトであり、前記表示装置は反射型液晶表示装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上記のような構成を備えることにより以下に述べるような優れた効果を奏する。すなわち、請求項1の発明によれば、光センサに特性のバラツキがあっても、初期設定モード時に基準となる光を照射することにより校正されているので、正確に予め定めた所定の明るさで照光手段を自動的にオン/オフ制御できるようになる。しかも、基準となる光はエンドユーザが任意に選択できるから、エンドユーザが任意の周囲の明るさでバックライト等を自動的にオン/オフできるように設定することができる。なお、光センサとしては、周知のフォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトTFT、フォトSCR、光導電体、光電池等、任意の光−電気変換素子を適宜選択して使用し得る。
【0023】
また、請求項2の発明によれば、光センサとしての薄膜電界効果トランジスタは、アクティブマトリクス基板のスイッチング素子としてのTFT製造時に同時に製造することができるため、光センサを設けるために特に製造工数を増加させる必要がなくなる。
【0024】
また、請求項3の発明によれば、光センサとしてのTFTが表示パネルの外部に設けられているため、光センサの設置箇所の自由度が増加する。
【0025】
また、請求項4の発明によれば、光検出部のコンデンサ及びスイッチ素子が表示パネルに集積化されているために光検出部を小型化できるとともに、アクティブマトリクス基板のスイッチング素子としてのTFT製造時に同時に製造することができるため、光検出部のコンデンサ及びスイッチ素子を設けるために特に製造工数を増加させる必要がなくなる。この際、光検出部のTFTも前記コンデンサ及びスイッチ素子とともに前記表示パネルに集積化すれば、より光検出部を小型化することができる。加えて、TFTのゲート電極に逆バイアス電圧を印加した際の漏れ電流は光の強度に比例するから、スイッチ素子をオフにしてから所定時間後のコンデンサの電圧を測定することにより簡単かつ高感度に光の強度を検知することができる。
【0026】
また、請求項5の発明によれば、光検出部のコンデンサが表示パネルに設けられているためにアクティブマトリクス基板のスイッチング素子としてのTFT製造時に同時に製造することができるため、光検出部のコンデンサを設けるために特に製造工数を増加させる必要がなくなる。この際、TFTも前記コンデンサとともに前記表示パネルに集積化すれば、より光検出部を小型化することができる。しかも、光検出部のスイッチ素子を表示パネルの外部に設けるようにしたから、スイッチ素子の設置箇所の自由度が増す。加えて、TFTのゲート電極に逆バイアス電圧を印加した際の漏れ電流は光の強度に比例するから、スイッチ素子をオフにしてから所定時間後のコンデンサの電圧を測定することにより簡単かつ高感度に光の強度を検知することができる。
【0027】
また、請求項6の発明によれば、ドライバICの製造の際にスイッチ素子も容易に形成できるため、別途スイッチ素子を形成する必要がなくなる。
【0028】
また、請求項7の発明によれば、完全に遮光された光センサの出力により暗基準出力が安定するため、光センサの出力はバラツキが少なく、周囲温度変化があっても特性の変化が少なくなる。したがって、正確に予め定めた所定の明るさで照光手段を自動的にオン/オフ制御できるようになる。
【0029】
また、請求項8の発明によれば、閾値記憶部及び比較部は構成が比較的簡単であるため、容易にアクティブマトリクス基板の周縁部に載置されたドライバIC内に内蔵させることができる。そのため、特に閾値記憶部や比較部を設けるためにアクティブマトリクス基板の周縁部の大きさを大きくする必要がなくなり、いわゆる画像表示に有効ではない額縁部の大きさを小さくすることができる。
【0030】
また、請求項9及び請求項10の発明によれば、それぞれ透過型液晶表示装置ないしは半透過型液晶表示装置(請求項9)の場合、あるいは反射型液晶表示装置(請求項10)の場合でも、同様に請求項1ないし請求項8に係る発明の効果を奏する表示装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明するが、以下に述べた実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのアクティブマトリクス型の表示装置の一例として半透過型液晶表示装置を例示するものであって、本発明をこの実施例に特定することを意図するものではなく、本発明は特許請求の範囲に示した技術思想を逸脱することなく種々の変更を行ったものにも均しく適用し得るものである。
【0032】
まず最初に、光センサとしてのTFT(以下、「TFT光センサ」という)の動作原理及び駆動回路について図1〜図3を用いて説明する。なお、図1はTFT光センサの電圧−電流曲線の一例を示す図であり、図2はTFT光センサを使用した光検出部の回路図であり、また、図3は明るさが異なる場合の図2に示した回路図におけるコンデンサの両端の電圧−時間曲線を示す図である。
【0033】
TFT光センサは、実質的にアクティブマトリクス型液晶表示パネルのスイッチング素子として用いられているTFTと同一の構成を備えている。このTFT光センサは、図1に示したように、遮光されている場合にはゲートオフ領域で非常に僅かな暗電流が流れているが、チャネル部に光が当たるとその光の強さ(明るさ)に応じて漏れ電流が大きくなるという特性を有している。したがって、図2の光検出部2の回路図に示したように、TFT光センサのゲート電極Gにゲートオフ領域となる一定の逆バイアス電圧(例えば−10V)を印加し、ドレイン電極Dとソース電極Sとの間にコンデンサCを並列に接続し、一定の電圧Vs(例えば+2V)をスイッチ素子SWをオンにしてコンデンサCの両端に印加した後、スイッチ素子SWをオフにすると、コンデンサCの両端の電圧はTFT光センサの周囲の明るさに応じて図3に示したように時間とともに低下する。したがって、スイッチ素子SWをオフにしてから所定時間t後にコンデンサCの両端の電圧を測定すれば、その電圧とTFT光センサの周囲の明るさとの間に反比例関係が成立するから、TFT光センサの周囲の明るさを求めることができることになる。
【0034】
次に、アクティブマトリクス型の表示装置の一例として半透過型液晶表示装置を例にとり、その製造方法とともに上述のTFT光センサを含む光検出部の製造方法を図4〜図6を用いて説明する。なお、図4は半透過型液晶表示装置のカラーフィルタ基板を透視して表した1画素分の平面図であり、図5はカラーフィルタ基板を含む図4のA−A断面図であり、図6は光検出部の断面図である。
【0035】
この半透過型液晶表示装置10は、透明な絶縁性を有するガラス基板11の表示領域上に、アルミニウムやモリブデン等の金属からなる複数の走査線12が等間隔で平行に形成されており、また、隣り合う走査線12間の略中央には走査線12と同時に補助容量線21が平行して形成され、走査線12からはTFTのゲート電極Gが延設されている。
【0036】
さらに、ガラス基板11上には、走査線12、補助容量線21、ゲート電極Gを覆うようにして窒化シリコンや酸化シリコンなどからなるゲート絶縁膜14が積層されている。そして、ゲート電極Gの上にはゲート絶縁膜14を介して非晶質シリコンや多結晶シリコンなどからなる半導体層22が形成され、またゲート絶縁膜14上にはアルミニウムやモリブデン等の金属からなる複数の信号線13が走査線12と直交するようにして形成されており、この信号線13からはTFTのソース電極Sが延設され、このソース電極Sは半導体層22と接触している。さらに、信号線13及びソース電極Sと同一の材料でかつ同時形成されたドレイン電極Dがゲート絶縁膜14上に設けられており、このドレイン電極Dも半導体層22と接触している。
【0037】
ここで、走査線12と信号線13とに囲まれた領域が1画素に相当する。そしてゲート電極G、ゲート絶縁膜14、半導体層22、ソース電極S、ドレイン電極Dによってスイッチング素子となるTFTが構成され、それぞれの画素にこのTFTが形成される。この場合、ドレイン電極Dと補助容量線21によって各画素の補助容量を形成することになる。
【0038】
これらの信号線13、TFT、ゲート絶縁膜14を覆うようにして例えば無機絶縁材料からなる保護絶縁膜23が積層され、この保護絶縁膜23上に、有機絶縁膜からなる層間膜17が積層されている。この層間膜17の表面は、反射部15においては微細な凹凸部が形成され、透過部16においては平坦となされている。なお、図4及び図5においては反射部15における層間膜17の凹凸部は省略してある。そして保護絶縁膜23と層間膜17には、TFTのドレイン電極Dに対応する位置にコンタクトホール20が形成されている。そして、それぞれの画素において、コンタクトホール20上及び層間膜17の表面の一部分には、反射部15に例えばアルミニウム金属からなる反射電極18が設けられ、この反射電極18の表面及び透過部16における層間膜17の表面には例えばITOからなる画素電極19が形成されている。
【0039】
また、ガラス基板11の表示領域の周囲の額縁上には、図6に示すように、TFT光センサ、コンデンサC及びTFTからなるスイッチ素子SWを備えた光検出部2が形成されている。さらに、この光検出部2には、ガラス基板11の表面にTFT光センサのゲート電極G、コンデンサCの一方の電極C及びスイッチ素子SWを構成するTFTのゲート電極Gが形成されており、これらの表面を覆うようにして窒化シリコンや酸化シリコンなどからなるゲート絶縁膜14が積層されている。
【0040】
そして、TFT光センサのゲート電極Gの上及びスイッチ素子SWを構成するTFTのゲート電極Gの上にはそれぞれゲート絶縁膜14を介して非晶質シリコンや多結晶シリコンなどからなる層半導体層22及び22が形成され、またゲート絶縁膜14上にはアルミニウムやモリブデン等の金属からなるTFT光センサのソース電極S及びドレイン電極D、スイッチ素子SWを構成するTFTのソース電極S及びドレイン電極Dがそれぞれの半導体層22及び22と接触するように設けられている。このうち、TFT光センサのソース電極S及びスイッチ素子SWを構成するTFTのドレイン電極Dは互いに延長されて接続されてコンデンサCの他方の電極Cを形成している。さらに、TFT光センサ、コンデンサC及びTFTからなるスイッチ素子SWの表面を覆うようにして例えば無機絶縁材料からなる保護絶縁膜23が積層されており、また、TFTからなるスイッチ素子SWの表面には、外部光の影響を受けないようにするために、ブラックマトリクス24が被覆されている。
【0041】
そして、ガラス基板11の下方には、図示しない周知の光源、導光板、拡散シート等を有するバックライトないしはサイドライトを配置し、また、画素電極19の表面には総ての画素を覆うように配向膜(図示せず)を積層し、そして、それぞれの画素に対応して形成されるR、G、B3色のカラーフィルタ、対向電極等が設けられているカラーフィルタ基板(図示せず)をこのガラス基板11と対向させ、両基板の周囲にシール材を設けることにより両基板を貼り合せ、両基板間に液晶を注入することにより半透過型液晶表示装置10を得ることができる。
【0042】
この場合、反射電極18を省略すると透過型液晶表示装置が得られ、逆に反射電極18を画素電極19の下部全体にわたって設けると反射型液晶表示装置が得られる。ただし、反射型液晶表示装置の場合は、バックライトないしはサイドライトに換えてフロントライトが使用される。
【0043】
このようにして得られた液晶表示装置10の光検出部2は、バックライト制御装置のブロック図である図7に示したように、センサ制御部3により制御されてスイッチ素子SWを構成するTFTのソース電極Sに一定の基準電圧Vs(たとえば+2V)が印加され、同じくゲート電極にTFTをオン/オフするための電圧(例えば±10V)が切換印加され、さらにTFT光センサのゲート電極GにはTFT光センサをゲートオフ領域で作動させるための一定の電圧(例えば−10V)が印加される。そして、光検出部2の出力はセンサ制御部3で処理されて比較部4の一方の端に入力されるとともに、モード制御部5にも入力される。
【0044】
モード制御部5は、外部からの入力信号により通常動作モード初期設定モードとを切換る回路であり、初期設定モード時にはセンサ制御部3の出力を閾値記憶部6に入力して記憶させ、通常動作モード時にはセンサ制御部3の出力を遮断するようになされており、また、閾値記憶部6は記憶している閾値を比較部4の他方の端子へ出力するようにされている。
【0045】
そして、通常動作モード時には、比較部4は、センサ制御部3からの入力信号と閾値記憶部6からの入力信号とを比較し、センサ制御部3からの入力信号が閾値記憶部6に記憶されている閾値よりも大きい(明るい)場合にはスイッチング部7を介してバックライト等を消灯し、逆にセンサ制御部3からの入力信号が閾値記憶部6に記憶されている閾値よりも小さい(暗い)場合にはスイッチング部7を介してバックライト等を点灯するようになされている。
【0046】
モード制御部5において、初期設定モードが選択された場合は、センサ制御部3からの出力を閾値記憶部6に記憶するようになされているため、光センサ部に予め定めた明るさの光を照射することによりその光の明るさに対応する閾値を記憶させることができる。したがって、光センサの光−電気特性にバラツキがあっても、バックライト等を予め定めた明るさを境として正確にオン/オフ制御することができるようになる。
【0047】
この場合、予め定めた明るさの光は製造工程で一律に定めてもよく、あるいはエンドユーザが好みに応じて適宜の明るさで自動的にバックライト等をオン/オフ制御できるようにしてもよい。なお、比較部4として、頻繁にバックライト等がオン/オフ制御されないようにするため、オンになるときの明るさとオフになるときの明るさを変える、すなわちヒステリシス特性を持たせてもよい。このヒステリシス特性は比較部4としてヒステリシスコンパレータを用いることにより簡単に達成することができる。
【0048】
また、光センサは、一つだけでなく、複数個用いることもできる。すなわち、複数の光センサの出力を平均化して使用したり、あるいは一方の光センサを完全遮光して暗基準値として用いて他方の遮光しない光センサの出力との差分を取ることにより、明るさの測定精度を向上させることができる。
【0049】
なお、本実施例では、光検出部2のTFT光センサを、液晶表示パネルのスイッチング素子として用いられているTFTと同時に製造することができるようにするために、ガラス基板11の表示領域の周囲の額縁上に設けた例を示したが、表示領域内の周辺部に設けてもよい。また、光検出部2自体は、液晶表示パネルのスイッチング素子として用いられているTFTと同時に製造する必要がなければ、液晶表示パネルの外部に設けて液晶表示パネルとは別途配線手段により電気的に接続するようにしてもよい。同様に、光検出部2のTFT光センサを個別の素子として形成することにより、このTFT光センサを液晶表示パネルの外部に設けて液晶表示パネルとは別途配線手段により電気的に接続するようにしてもよい。この場合、別途光センサの製造工数が増加するが、光センサの設置場所を自由に設定できるようになる。
【0050】
更に、本実施例では、光検出部2のスイッチ素子も、コンデンサ等と積層一体化したものを用いた例を示したが、個別の素子で形成することも可能である。このスイッチ素子を個別の素子とした場合は、スイッチ素子の設置箇所を任意に設定できるようになり、ガラス基板11の表示領域の周囲の額縁上に設けることもできるし、パネルの外部に設けることもできるし、更にはドライバIC内に組み込むこともできるようになる。
【0051】
また、センサ制御部3、比較部4、モード制御部5、閾値記憶部6、スイッチング部7は、液晶表示装置のドライバICに組み込むこともできる。閾値記憶部は液晶表示装置10内部に設けなくてもよいが、この場合は液晶表示装置10の電源立ち上げ時に外部の閾値記憶部備えているホストPCから液晶表示装置10を初期化するように構成されていればよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1はTFT光センサの電圧−電流曲線の一例を示す図である。
【図2】図2はTFT光センサを使用した光検出部の回路図である。
【図3】図3は明るさが異なる場合の図2に示した回路図におけるコンデンサの両端の電圧−時間曲線を示す図である。
【図4】図4は半透過型液晶表示装置のカラーフィルタ基板を透視して表した1画素分の平面図である。
【図5】図5はカラーフィルタ基板を含む図4のA−A断面図である。
【図6】図6は光検出部の断面図である。
【図7】図7は実施例のバックライト制御装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
1 バックライト制御装置
2 光検出部
3 センサ制御部
4 比較部
5 モード制御部
6 閾値制御部
7 スイッチング部
8 バックライト等
10 半透過型液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブマトリクス基板を備えた表示パネルと、光センサを備えた光検出部と、閾値記憶部と、比較部と、照光手段を有する表示装置において、通常動作モード時には、前記光検出部の出力と前記閾値記憶部に格納されている閾値を前記比較部にて比較し、この比較結果に基づいて前記照光手段のオン/オフ制御を行い、初期設定モード時には、前記光センサに基準となる光を照射しつつ、前記光検出部の出力を前記閾値記憶部に格納するようにしたことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記光検出部は、前記アクティブマトリクス基板の製造工程において同時に形成された光センサとしての薄膜電界効果トランジスタを備えていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記光検出部は、光センサとしての薄膜電界効果トランジスタを備えているとともに、前記薄膜電界効果トランジスタは前記表示パネルの外部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記光検出部は、前記薄膜電界効果トランジスタのソース電極とドレイン電極との間に接続されるコンデンサ及び前記ソース電極と所定の定電圧源との間に接続されるスイッチ素子とを有し、前記コンデンサ及びスイッチ素子が前記表示パネルに集積化されており、前記薄膜電界効果トランジスタのゲート電極に逆バイアス電圧を印加しつつ前記スイッチをオフにしてから所定時間後のコンデンサの電圧を出力するものであることを特徴とする請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光検出部は、前記薄膜電界効果トランジスタのソース電極とドレイン電極との間に接続されるコンデンサ及び前記ソース電極と所定の定電圧源との間に接続されるスイッチ素子とを有し、前記コンデンサが前記表示パネル内に設けられ、前記スイッチ素子が前記表示パネル外部に配置され、前記薄膜電界効果トランジスタのゲート電極に逆バイアス電圧を印加しつつ前記スイッチをオフにしてから所定時間後のコンデンサの電圧を出力するものであることを特徴とする請求項2又は3に記載の表示装置。
【請求項6】
前記スイッチ素子は、前記アクティブマトリクス基板の周縁部に載置されたドライバIC内に設けられていることを特徴とする請求項5記載の表示装置。
【請求項7】
前記光センサは完全遮光された光センサと遮光されない光センサとを備え、前記完全遮光された光センサの出力と前記遮光されない光センサの出力との差を前記光センサの出力としたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の表示装置。
【請求項8】
前記閾値記憶部及び比較部は、前記アクティブマトリクス基板の周縁部に載置されたドライバIC内に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の表示装置。
【請求項9】
前記照光手段はバックライト又はサイドライトであり、前記表示装置は透過型又は半透過型液晶表示装置であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の表示装置。
【請求項10】
前記照光手段はフロントライトであり、前記表示装置は反射型液晶表示装置であることを特徴とする請求項1〜8いずれかに記載の液示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−65243(P2007−65243A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−250738(P2005−250738)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(304053854)三洋エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】