説明

表示装置

【課題】表示媒体に表示される画像の収差に起因する画質劣化が抑制される表示装置を提供する。
【解決手段】表示装置10においては、光照射部42と表示媒体11との間に焦点可変レンズ46及び焦点可変レンズ46を駆動する駆動部48を設け、制御部38の制御によって、光照射部42の光源43から表示媒体11へ照射される書込光50を、表示媒体11の複数の光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22Cの内の何れかへ集束させるように調整する。このため、表示媒体11に表示される画像の収差に起因する画質劣化が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータの普及、インターネットを始めとする情報化社会の発達により、電子情報の一時的な閲覧を目的とする、いわゆる短寿命文書としての紙の消費は、益々増加する傾向にあり、森林資源保護などの地球環境保全や事務環境改善などの理由から、紙に代わる書き換え可能な表示媒体の実現が望まれている。
【0003】
そこで、無電源でのメモリ性を有し、且つ外部装置によって短時間で画像を書き換えることができる紙に代わる表示媒体として、コレステリック液晶と、電場下で光照射されることで内部光電効果による自由電子の移動が発生する光導電体と、を用いた表示媒体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1には、光導電層と表示層とを組み合わせた表示媒体として、フィルム等の一対の基板上に形成された電極と電極との間に、光導電層と、表示層と、が積層された表示素子が複数積層されて構成されている。この表示媒体においては、書込光を光導電層に照射されることによって表示媒体の表示層への書込みがなされ、表示層に読出光を照射することによって表示層に書込まれた画像が読み取られる。
【0005】
複数の光導電層は、特定の波長領域の光を吸収する特性を有しており、各光導電層の光吸収領域内の波長領域の光が照射されることで、抵抗値が変化する性質を有している。ここで、目的とする色に発色される表示層を挟むように設けられている一対の電極間に電圧が印加されると、この電極間に設けられた表示層及び光導電層にはそれぞれの分圧が印加される。この分圧が印加された状態で、この光導電層の光吸収波長領域の波長領域の光を書込光として照射することによって、該光導電層が照射された光を吸収して、書込光に応じて光導電層の抵抗分布が変化する。このように、目的とする光導電層の光吸収波長領域の波長領域の書込光を照射することにより、この光導電層と同じ電極間に設けられている表示層に印加される分圧が変化する。表示層に印加される電圧分布が変化すると、液晶の配向分布が変化して光学的特性分布が変化するので、照射された書込光に応じた画像が表示層に記録される。
【0006】
特許文献1の技術によれば、特定の光吸収波長領域を有する光導電層各々の光吸収波長領域内の波長領域の光を表示媒体に照射するために、各光導電層の光吸収波長領域の波長の光を光源から表示媒体へ照射している。
【0007】
ここで、表示媒体に照射される光は、多くの場合拡散性を有することから、表示媒体に表示する画像の光学模様を光導電層上に露光することが困難な場合があり解像度の低下が懸念されることから、特許文献2の技術では、1つの表示素子からなる表示媒体の1つの光導電層に、二次元画像を所定の位置に結像させる二次元レンズアレイを介して、二次元画像の光学模様を露光している。この特許文献2の技術によれば、二次元レンズアレイを透過した光が表示素子の1つの光導電層に集光されて、1つの光導電層に光学模様が結像される。
【特許文献1】特開2007−033677号公報
【特許文献2】特開2002−318348号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、複数の光導電層を有する表示媒体へ画像を表示する表示装置において、表示媒体に表示される画像の収差に起因する画質劣化が抑制される表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、以下の本発明により達成される。すなわち、
【0010】
請求項1に係る発明は、一対の電極と、一対の電極間に設けられ、予め定められた波長領域の光を吸収することにより該光の強度分布に応じた電気的特性分布を示す光導電層と、前記一対の電極に印加された電圧による前記光導電層の電気的特性分布に応じて分布した分圧が印加され、該分圧に応じた光学的特性分布による画像を表示する表示層と、を含んだ表示素子が複数積層され、前記複数の表示素子に含まれる前記光導電層の各々が特定の波長領域の光を吸収する表示媒体に対し、前記複数の表示素子各々に含まれる前記一対の電極に電圧を印加する第1の電圧印加手段と、前記複数の光導電層の吸収波長領域を含む波長領域の光を前記表示媒体へ照射する光源と、前記光源と前記表示媒体との間に設けられ、前記光源から照射された光が入射されると共に、印加された電圧に応じて入射された光の焦点を変更する焦点可変レンズと、前記焦点可変レンズに電圧を印加する第2の電圧印加手段と、前記複数の表示素子の少なくとも1つに含まれる前記一対の電極に電圧を印加するように前記第1の電圧印加手段を制御し、画像データに基づいて該電圧の印加された表示素子の光導電層に前記光源から照射された光が集束するように前記第2の電圧印加手段を制御すると共に、該画像データに基づいた強度の光が照射されるように該光源を制御する制御手段と、を備えた表示装置である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、本発明における焦点可変レンズの設けられていない構成である場合に比べて、表示媒体に表示される画像の収差に起因する画質劣化が抑制されるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の表示装置及び書込方法の一の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施の形態の形態に係る表示装置10は、表示媒体11に表示する対象となる画像を該表示媒体11へ書き込む装置である。
【0014】
表示媒体11は、基板12と基板18との間に、基板14及び基板16を介して複数の表示素子30が積層されて構成されている。本実施の形態では、表示媒体11には、複数の表示素子30として、3層の表示素子(表示素子30A、表示素子30B、及び表示素子30C)が積層されて構成されている場合を説明するが、積層される表示素子の数は3層に限られるものではなく、2層、または4層以上が積層された構成であってもよい。
【0015】
表示素子30Aは、電極18Aと電極19Aとの間に、光導電層22A、及び表示層20Aが積層されて構成されている。表示素子30Bは、電極18Bと電極19Bとの間に、光導電層22B、及び表示層20Bが積層されて構成されている。表示素子30Cは、電極18Cと電極19Cとの間に、光導電層22C、及び表示層20Cが積層されて構成されている。
【0016】
なお、本実施の形態では、各表示素子30A、表示素子30B、及び表示素子30Cには、各々1層の表示層(表示層20A、表示層20B、及び表示層20C)が設けられている場合を説明するが、2層の表示層が設けられた構成であってもよく、また3層以上の表示層が設けられた構成であってもよい。
【0017】
なお、表示装置10が、本発明の表示装置に相当し、表示媒体11が、本発明の表示装置における表示媒体に相当する。また、光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22Cが本発明の表示装置における表示媒体の光導電層に相当し、表示層20A、表示層20B、及び表示層20Cが、本発明の表示装置の表示層に相当する。また、電極18A及び電極19A、電極18B及び電極19B、及び電極18C及び電極19Cが、本発明の表示装置における表示媒体の一対の電極に相当し、後述する電圧印加部40が第1の電圧印加手段に相当する。
【0018】
基板12、基板14、基板16、及び基板18は、各々絶縁性(体積抵抗で1012Ωcm以上、以下これに準ずる)を有している。また、基板12、基板14、基板16、及び基板18各々は、透明とされている。なお、本実施の形態において、透明とは、波長380nm以上780nm以下の光の80%以上を透過する性質を示している。
【0019】
これらの基板12、基板14、基板16、及び基板18各々には、必要に応じて、その表面に、液晶配向層、耐摩耗層、ガスの混入を防止するバリア層など公知の機能性膜を形成してもよい。
【0020】
基板12、基板15、基板16、及び基板18は、ガラス及びシリコン等の無機シート、またはポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、及びポリエチレンナフタレート等の高分子フィルムを用いて構成される。基板12、基板14、基板16、及び基板18の厚みは、0.01mm以上0.5mm以下の範囲内であることが好ましい。
【0021】
電極18A及び電極19A、電極18B及び電極19B、及び電極18C及び電極19Cの各々は、各基板の面方向を覆うように設けられた所謂、ベタ電極として構成されている。なお、本実施の形態では、電極18A及び電極19A、電極18B及び電極19B、及び電極18C及び電極19Cの各々は、ベタ電極として構成されている場合を説明するが、部分分割された構造であってもよい。
【0022】
電極18A、電極19A、電極18B、電極19B、電極18C、及び電極19Cは、導電性(体積抵抗で2000Ωcm以下、以下これに準ずる)を有すると共に、透光性を有している。
【0023】
電極18A、電極19A、電極18B、電極19B、電極18C、及び電極19Cには、ITO(Indium Tin Oxide)が用いられる。なお、本実施の形態では、電極18A、電極19A、電極18B、電極19B、電極18C、及び電極19CにITOを用いる場合を説明するが、ITO以外にも、Auなどの金属膜、SnO2、ZnOなど酸化物、ポリピロールなどの導電性高分子の膜などの電気導電体が用いられる。また、本実施の形態の電極18Aは基板12上にスパッタリングされ、電極19A及び電極18Bは基板14の両面に各々スパッタリングされ、電極19B及び電極18Cは基板16の両面に各々スパッタリングされ、電極19Cは基板18にスパッタリングされて形成されているものとして説明するが、必ずしもスパッタリングによる必要はなく、印刷、CVD、蒸着などにより形成されていてもよい。
【0024】
光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22Cは、照射された光に対して特定の吸収波長領域を有しており、電場下で吸収波長領域の波長領域の光を照射されると、内部光電効果による自由電子の移動が発生し、光の強度に応じて抵抗値が小さくなる性質を有する。なお、これらの光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22Cの光の吸収波長領域は、Jこと成っていても良いし、同じであってもよい。
【0025】
これらの光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22Cとしては、(a)無機半導体材料として、アモルファス・シリコンや、ZnSe、CdSなどの化合物半導体により構成される層、(b)有機半導体材料として、アントラセン、ポリビニルカルバゾールなどにより構成される層、(c)光照射によって電荷を発生する電荷発生材料及び電界によって電荷移動を生ずる電荷輸送材料の混合物や積層体により構成される層などが挙げられる。
【0026】
光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22Cは、a−Si:H、a−Se、Te−Se、As2Se3、CdSe、CdSなどの無機光導電体、あるいはアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、ピロロピロール顔料、インジゴ顔料などの電荷発生材料とアリールアミン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、PVKなどの電荷輸送材料とを組合せた有機光導電体などにより構成される。
【0027】
ここで、光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22Cは、上述のように、内部光電効果を有し、照射された光の強度に応じて抵抗値が変化することから、交流駆動が可能であり、且つ照射された光に対して対象駆動することが好ましく、この観点から、光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22Cは、図示は省略するが、各々、電荷輸送層(CTL)を上下から挟むように一対の電荷発生層(CGL)及び電荷発生層の積層された3層構造であることが好ましい。
【0028】
これらの電荷発生層は、表示装置10から書込みのために照射される書込光(詳細後述)を吸収して自由電子を発生させる機能を有する層である。
各電荷発生層としては、後述する書込光に含まれる波長であって、互いに他の光導電層(光導電層22A、光導電層22B、または光導電層22C)の電荷発生層と同様の特定波長の光を吸収して励起子を発生させてもよく、また互いに異なってもよい。また、電荷発生層の内部、または電荷輸送層との界面で自由電子に効率良く分離させられるものが好ましい。
【0029】
電荷発生層各々を構成する電荷発生材料としては、例えば、ペリレン系、フタロシアニン系、ビスアゾ系、ジチオピトケロピロール系、スクワリリウム系、アズレニウム系、チアピリリウム・ポリカーボネート系化合物などが挙げられる。
【0030】
上記電荷輸送層を構成する電荷輸送材料としては、例えば、トリニトロフルオレン系、ポリビニルカルバゾール系、オキサジアゾール系、ピラリゾン系、ヒドラゾン系、スチルベン系、トリフェニルアミン系、トリフェニルメタン系、ジアミン系化合物や、LiClO4を添加したポリビニルアルコ−ルやポリエチレンオキシド等が、また電荷発生材と電荷輸送材との複合体として、積層体、混合物、マイクロカプセルなど、が利用される。
【0031】
なお、光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22Cの層厚は1μm以上100μm以下の範囲で用い、書込光の照射時と書込光の非照射時の抵抗比は大きい方が望ましい。
【0032】
表示層20A、表示層20B、及び表示層20C各々は、電場によって特定の色の光の選択反射及び透過状態を変調する機能を有し、且つ選択した状態が無電場で保持される性質の層である。表示層20A、表示層20B、及び表示層20Cが各々電場によって特定の色の光の選択反射状態にあるときには、入射光のうち互いに異なる色の光を選択反射する。なお、表示層20A、表示層20B、及び表示層20C各々は、曲げや圧力などの外力に対して変形しない構造であることが望ましい。
【0033】
なお、同一の表示素子に複数の表示層が設けられた構成である場合には、互いに異なる電場、すなわち異なる値の電圧が印加されることによって、透過状態から選択反射状態への変調が生じるように構成すればよい。例えば、同じ表示素子に表示層20A及び表示層20Bが設けられた構成である場合には、互いに異なる電圧以上の電圧が印加されたときに透過状態から選択反射状態への変調が生じ、色相が変化するように予め調整すればよい。
【0034】
表示層20A、表示層20B、及び表示層20C各々には、カイラルネマチック液晶(コレステリック液晶)をゼラチンバインダー(高分子マトリックス)中に分散させたPDLC(Polymer Network Liquid Crystal)構造が用いられる。なお、本実施の形態では、表示層20A、表示層20B、及び表示層20C各々がPDLC構造を採用する場合を説明するが、この構造に限ることなく、コレステリック液晶を、リブを介し電極間距離を固定したセルに配置する方式やカプセル液晶化することにより実現してもよい。また、液晶もコレステリック液晶に限ることなく、スメクチックA液晶、ネマチック液晶、ディスコティック液晶などが利用される。
【0035】
これらの表示層20A、表示層20B、及び表示層20C各々の、光の選択反射状態にあるときにおける選択反射波長領域(表示色波長領域)は互いに異なっている。例えば、表示層20Aは、B(ブルー)色の光を選択反射するコレステリック液晶により構成され、表示層20Bは、G(グリーン)色の光を選択反射するコレステリック液晶により構成され、表示層20Cは、R(レッド)の色を選択反射するコレステリック液晶により構成されている。
【0036】
これらの表示層20A、表示層20B、及び表示層20C各々の反射波長領域(表示色波長領域)は、例えば、液晶としてコレステリック液晶を用いる場合には、該コレステリック液晶の螺旋ピッチにより調整される。コレステリック液晶の螺旋ピッチは、ネマチック液晶に対するカイラル剤の添加量で調整される。また、コレステリック液晶の螺旋ピッチの温度依存性を補償するために、捩じれ方向が異なる、または逆の温度依存性を示す複数のカイラル剤を添加する公知の手法を用いてもよい。
なお、液晶の光学的特性変化を補助する補助部材として、偏光板、位相差板、反射板などの受動光学部品と併用したり、液晶中に2色性色素を添加したりしてもよい。
【0037】
なお、各表示層20A、表示層20B、及び表示層20C各々の層厚は通常1μm以上100μm以下の範囲として用いることが望ましい。
【0038】
表示層20A、表示層20B、及び表示層20C各々に含まれる液晶材料としては、シアノビフェニル系、フェニルシクロヘキシル系、フェニルベンゾエート系、シクロヘキシルベンゾエート系、アゾメチン系、アゾベンゼン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサン系、スチルベン系、トラン系など公知の液晶組成物が利用される。液晶材料には2色性色素などの色素、粒子などの添加剤を加えてもよく、高分子マトリクス中に分散したものや、高分子ゲル化したものや、マイクロカプセル化したものでもよい。また、液晶は高分子、中分子、低分子のいずれでもよく、またこれらの混合物でもよい。
【0039】
なお、基板18及び電極19Cは、光照射部(詳細後述)から照射される、光導電層22C、光導電層22B、及び光導電層22Cの光吸収波長の波長を含む光についても透過する材料により構成されている。また、電極18C、基板16、及び電極19Bは、光照射部(詳細後述)から照射される、光導電層22B及び光導電層22Aの光吸収波長の波長を含む光についても透過する材料により構成されている。さらに、電極18B、基板14、及び電極19Aは、光照射部(詳細後述)から照射される、光導電層22Aの光吸収波長の波長を含む光についても透過する材料により構成されている。
【0040】
次に、上記表示媒体11に画像を書込む表示装置10について説明する。
【0041】
図1に示すように、表示装置10は、光照射部42、制御部38、電圧印加部40、及び焦点調整部44を含んで構成されている。光照射部42、電圧印加部40、及び焦点調整部44は、制御部38に信号授受可能に接続されている。
【0042】
光照射部42は、複数の光源43が、表示媒体11に表示される画像の各画素に対応する位置に光を照射可能に設けられている。焦点調整部44は、光照射部42と表示媒体11との間に設けられ、複数の焦点可変レンズ46及び駆動部48が、光照射部42に設けられた複数の光源43各々に対応して設けられている。
【0043】
なお、光照射部42の複数の光源43が、本発明の表示装置の光源に相当し、焦点調整部44に設けられた焦点可変レンズ46が本発明の表示装置の焦点可変レンズに相当し、焦点調整部44に設けられた駆動部48が、本発明の表示装置の第2の電圧印加手段に相当し、制御部38が、本発明の表示装置の制御手段に相当する。
【0044】
制御部38は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を含むマイクロコンピュータとして構成されており、表示装置10内の装置各部を制御する。
【0045】
電圧印加部40は、電圧印加部40A、電圧印加部40B、及び電圧印加部40Cを含んで構成されている。電圧印加部40Aは、表示媒体11の表示素子30Aの電極18A及び電極19Aに信号授受可能に接続されており、電極18A及び電極19Aに電圧を印加する。電圧印加部40Bは、表示媒体11の表示素子30Bの電極18B及び電極19Bに信号授受可能に接続されており、電極18B及び電極19Bに電圧を印加する。電圧印加部40Cは、表示媒体11の表示素子30Cの電極18C及び電極19Cに信号授受可能に接続されており、電極18C及び電極19Cに電圧を印加する。
【0046】
表示装置10には、表示媒体11を装着するためのスロット(図示省略)が設けられており、このスロット(図示省略)に表示媒体11が装着されることで、スロット(図示省略)に設けられたコネクタ(図示省略)等を介して表示媒体11の電極18A及び電極19Aが電圧印加部40Aに電気的に接続され、電極18B及び電極19Bが電圧印加部40Bに電気的に接続され、表示媒体11の電極18C及び電極19Cが電圧印加部40Cに電気的に接続されるように構成されている。
また、表示媒体11が表示装置10の図示を省略するスロットに装着されると、光照射部42は、表示媒体11の基板18側から基板12側へ向かって書込光50を照射可能な状態となる。
【0047】
電圧印加部40は、制御部38から入力された信号に基づいた電圧値の電圧を該信号に基づいた電圧印加時間、電圧印加部40A、電圧印加部40B、及び電圧印加部40Bから各電極(電極18A及び電極19A、電極18B及び電極19B、または電極18C及び電極19C)に選択的に印加可能に構成されていればよいが、より速い速度表示を行う観点から、AC出力が可能であり且つ高いスルーレートを有することが好ましい。電圧印加部40としては、例えば、バイポーラ高電圧アンプなどが用いられる。
【0048】
光照射部42は、書込光50を表示媒体11内の複数の光導電層(光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22C)へ向かって照射する複数の光源43を含んで構成されている。これらの複数の光源43は、本実施の形態では、同じの波長領域の光を書込光50として出射する1種類の光源であるとして説明する。これらの光源43は、制御部38の制御によって照射する光の強度を調整可能に構成されている。
【0049】
本実施の形態においては、これらの複数の光源43は、表示媒体11に画像が表示されたときの該画像の各画素に対応して設けられているとして説明する。
【0050】
ここで、本実施の形態では、上述のように、光源43から出射される光の波長領域は、表示媒体11に含まれる複数の光導電層全て(光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22C)の光吸収波長領域を含んでいる。なお、本願で言う「光導電層の光吸収波長領域を含む」とは、光導電層が吸収する全ての波長領域を網羅的に含まなければならないということではなく、当該光導電層が吸収する波長領域の少なくとも一部の光を含んでいれば良いことを示す。換言すれば、光導電層が電気的特性分布を形成するのに必要な波長領域の光を含んでいれば、必ずしも全吸収波長領域の光を含まなくても良い、ということである。例えば、光源43各々から出射される光の波長は、光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22Cの各々の最大吸収強度に対応する波長領域を含むことが好ましい。
【0051】
上記光源43としては、例えば、蛍光灯、ハロゲンランプ、キセノンランプ、水銀ランプ、LED、無機EL、有機EL、レーザー等が用いられる。
【0052】
光源43としてLEDを用いた場合には、本技術を用いない場合に比べて光源による輝度ムラが抑制されるとともに、表示媒体11と表示装置10との距離を短くすることができ、表示装置10の薄型化が図れる。
【0053】
焦点調整部44は、制御部38の制御によって、光照射部42から表示媒体11へ照射される書込光を、表示媒体11の複数の光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22Cの内の何れかへ集束させるように焦点を調整する。
【0054】
焦点調整部44は、光照射部42と表示媒体11との間に設けられ、複数の焦点可変レンズ46及び駆動部48が、光照射部42に設けられた複数の光源43各々に対応して設けられている。駆動部48は、制御部38に信号授受可能に接続されており、制御部38の制御によって焦点可変レンズ46へ電圧を印加する。
【0055】
なお、本実施の形態では、複数の光源43、複数の焦点可変レンズ46、及び複数の駆動部48は、表示媒体11に画像が表示されたときの該画像の各画素に対応して1つずつ設けられているとして説明する。
【0056】
焦点可変レンズ46は、光源43から照射された書込光50が入射される。この焦点可変レンズ46へ入射された書込光50は、表示媒体11の基板18側から基板12側へ向かって照射される。
この焦点可変レンズ46は、駆動部48から印加された電圧の電圧値に応じてレンズ形状が変化するように構成されている。このため、光源43から照射された書込光50は、表示媒体11の厚み方向(基板18側から基板12側へ向かう方向)の内の、駆動部48から印加された電圧の電圧値に応じた位置に集束する。
【0057】
この焦点可変レンズ46としては、入射された光の焦点を調整可能な構成であればどのような構成であってもよいが、例えば、弾力性を有すると共に透明なゴム膜で形成されたレンズ内に液体を注入または排水して凸レンズから凹レンズまで形状を変更させることで自在に焦点を調整可能な形態や、一方が孔を有する一対の電極間に電圧により配向状態の変化する液晶層を設けて該電極間に電圧を印加することにより焦点位置を調整する液晶レンズや、液圧の変化によって一方または両方のレンズ表面が変化することによって焦点位置を調整する液体充填焦点可変レンズ、及び絶縁性液体をレンズとして用いた液体レンズ等が挙げられる。
【0058】
絶縁性液体をレンズとして用いた形態の場合には、例えば、図2(A)に示すように、焦点可変レンズ46は、透明で且つ絶縁性の基板49を、表示媒体11側に設けられた空隙51を介して透明な絶縁性膜からなる筐体47によって覆った構成とされている。
【0059】
この基板49には、光源43から射出される書込光50の光軸を中心とする円錐状の孔部47Aが設けられている。この孔部47Aは、光源43側に向かって縮小する円錐状に形成されており、光源43に最も近い側を、書込光50の入射口とされている。
【0060】
孔部47A内には、透明な絶縁性液体46Bが充填されており、孔部47Aの表示媒体11に最も近い領域には、一対の電極46Cが互いに向かい合うように設けられている。これらの一対の電極46Cは、駆動部48に電気的に接続されている。このため、焦点可変レンズ46は、制御部38の制御によって駆動部48から一対の電極46C間へ電圧を印加可能に構成されている。一方、空隙51内には、透明な導電性液体46Aが充填されている。なお、本実施の形態において、導電性とは、体積抵抗率で1010Ωcm以下を示している。
【0061】
これらの導電性液体46A及び絶縁性液体46Bは、共に透明であり、互いに混合することなく異なる屈折率を有し、ほぼ等しい密度の値を有している。基板49の、上記空隙46Aとの界面となる領域は、絶縁性液体46Bに対して疎水性の性質を有するように表面処理されていることが好ましい。このように表面処理されていることによって、絶縁性液体46Bが孔部47Aから外部へあふれ出ることが抑制される。
【0062】
導電性液体46A及び絶縁性液体46Bとしては、上記条件を満たせばどのような液体であってもよいが、具体的には、導電性液体46Aとしては、水が挙げられるが、電気伝導度を高める目的で、支持電解質を添加することが好ましい。支持電解質としては、塩化カリウム、塩化ナトリウム、テトラメチルアンモニウムパークロレート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェイト等が挙げられる。また、メチルアルコール、エタノール、イオン液体等が挙げられる。、絶縁性液体46Bとしては、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、オクタン、アイソパー等)、炭化水素系芳香族化合物(ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン)、エーテル系化合物(ジフルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル)、シリコンオイル等が挙げられる。
【0063】
この焦点可変レンズ46の一対の電極46Cへ駆動部48から電圧を印加されると、印加された電圧の電圧値に応じて、導電性液体46Aが一対の電極46Cの各々側へ集まろうとし、この導電性液体46Aの電極46Cへ集まろうとする力によって孔部47A内の絶縁性液体46Bが空隙51側へと押し出される(図2(B)、図2(C)、図2(D)参照)。これによって、絶縁性液体46Bが表示媒体11側へと突出したレンズ形状となる。
【0064】
そして、この一対の電極46Cへ印加される電圧の電圧値を変化させることによって、この導電性液体46Aによって形成されたレンズの形状が変化し、このレンズの形状の変化によって、焦点可変レンズ46へ入射された書込光50の焦点位置が、より焦点可変レンズ46に近い側から遠い側へ、または該遠い側から近い側へと調整される(図2(B)、図2(C)、図2(D)参照)。
【0065】
このようにして、焦点調整部44は、制御部38の制御によって、光照射部42から表示媒体11へ照射される書込光50を、表示媒体11の複数の光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22Cの内の何れかへ集束させるように焦点を調整可能に構成されている。
【0066】
次に、表示装置10における表示媒体11への書込み処理を説明する。なお、本実施の形態では、説明を簡略化するために、制御部38には、表示媒体11に表示する画像の画像データが予め上記RAM等に記憶されているとして説明する。また、制御部38のROMには、図3に示す処理ルーチンを実行するためのプログラムが予め記憶されているとし、表示装置10に電力が供給されると、該プログラムが読み出されるとして説明する。
また、制御部38のROMには、光源43から照射される書込光50を光導電層22Aへ集束させるために駆動部48へ印加する電圧の電圧値、書込光50を光導電層22Bへ集束させるために駆動部48へ印加する電圧の電圧値、及び書込光50を光導電層22Cへ集束させるために駆動部48へ印加する電圧の電圧値を示す情報が予め記憶されているとする。この電圧値は、表示装置10において予め測定して記憶しておけばよい。
【0067】
本実施の形態の表示装置10の制御部38では、表示装置10に表示媒体11が装着されると共に、図示を省略する指示スイッチが操作される等によって、表示媒体11への画像表示を示す指示信号が入力されると、図3に示す処理ルーチンを実行し、ステップ100へ進む。
【0068】
ステップ100では、RAMに記憶されている画像データを読取り、次のステップ102において、表示媒体11に該画像データの画像を表示したときの該画像の各画素の色を示す情報に基づいて、画素毎に、光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22Cの内の書込光50を照射する対象の光導電層へ書込光50が集束するように駆動部48へ印加する電圧の電圧値を導出すると共に、画素毎に、対応する光源43から照射する光の強度を示す光強度情報を導出し、さらに、電圧印加部40から電圧を印加する電極対を求める。なお、電圧印加部40から電圧を印加する電極対とは、電極18A及び電極19Aの電極対、電極18B及び電極19Bの電極対、及び電極18C及び電極19Cの電極対の内の少なくとも1つについて画像データに基づいて選択的に印加してもよいし、画像データに拘わらず、全ての電極対に電圧を印加してもよい。
【0069】
この電圧値の導出は、表示層20A、表示層20B、及び表示層20Cの内の、各画素の色を表示媒体11において表示するために必要な表示層を導出すると共に、導出した表示層と同じ表示素子内に積層された光導電層(光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22C)を、書込光50を集束させる対象となる光導電層として定め、この光導電層に対応する電圧値をROMから読み取ればよい。これによって、書込光50を照射する対象の光導電層へ書込光50が集束するように駆動部48へ印加する電圧の電圧値が導出される。
【0070】
各画素の色を表示媒体11において表示するために必要な表示層の導出は、例えば、各画素の色として赤色を表示するためには、表示層として赤色を表示可能な表示層20Cを選択し、画素の色として緑色を表示するためには、表示層として緑色を表示可能な表示層20Bを選択し、青色を表示するためには、表示層として青色を表示可能な表示層20Aを選択すればよい。
【0071】
なお、上記「導出した表示層と同じ表示素子内に積層された光導電層」とは、詳細には、導出した表示層に電圧を印加可能な電極対の間に積層された光導電層を示している。例えば、導出した表示層が表示層20Aである場合には、表示層20Aに電圧を印加可能な電極対である電極18A及び電極19Aの間に積層されている光導電層22Aが、書込光50を集束させる対象となる光導電層として定められる。
【0072】
ステップ102の処理によって、表示媒体11に表示される対象の画像の画素毎に、各画素に対応する焦点可変レンズ46を駆動する駆動部48に印加する電圧の電圧値が演算される。ステップ102の処理によって、例えば、特定の画素に赤色を表示する場合には、該特定の画素に対応する領域に書込光50を照射する光源43から照射される書込光50の焦点を調整する焦点可変レンズ46に入射された書込光50が、赤色を表示する表示層である表示層20Cに積層された光導電層22Cに集束されるように、駆動部48から焦点可変レンズ46に印加する電圧の電圧値が求められる。
【0073】
また、ステップ102の処理によって、表示媒体11に表示される対象の画像の表示層毎に、電圧印加部40から電圧を印加する対象となる電極対が選択されると共に、選択された電極対に印加する電圧の電圧値が各表示層の電気特性に応じて定められる。
【0074】
また、ステップ102の処理によって、表示媒体11に表示される画像の画像データに基づいて、該画像の各画素の濃度に応じた強度の書込光50が照射されるように、各画素に対応する光源43から照射される書込光50の強度を示す光強度情報が導出される。この光強度情報の導出は、例えば、予め各画素の濃度に対応する光強度情報を記憶しておいて、画像データの各画素の濃度に対応する光強度情報を読み取ることによって導出すればよいが、このような方法には限られず、例えば、予め記憶した算出式から求めても良い。
【0075】
なお、上記「電圧印加部40から電圧を印加する対象となる電極対」とは、各画素の色を呈示するために必要な表示層(表示層20A、表示層20B、及び表示層20Cの内の少なくとも1つ)に電圧を印加するための電極対であって、この電極対としては、電極18A及び電極19A、電極18B及び電極19B、電極18C及び電極19Cの内の少なくとも1対が各表示層の色に応じて選択される。
【0076】
例えば、ステップ100〜ステップ102の処理によって、特定の画素に赤色を表示する場合には、赤色を表示する表示層である表示層20Cの電極18C及び電極19Cが選択されるとともに、各表示層20を駆動するための予め測定された電圧値が定められる。
また、光照射部42の各画素に対応する各光源43へ、各画素に表示する赤色の濃度に応じた書込光50の強度を示す光強度情報が定められる。
【0077】
次のステップ103では、上記ステップ102で導出した、電極対及び各電極対へ印加する電圧値を示す情報を電圧印加信号として電圧印加部40へ出力する。電圧印加信号を受け付けた電圧印加部40では、電圧印加信号に含まれる電極対を示す情報に対応する電極対(例えば、電極18C及び電極19C)に電圧を印加する電荷印加部(電圧印加部40C)から、電極対へ該電圧値の電圧を印加する。
【0078】
次のステップ104では、上記ステップ100で演算した各画素に対応する駆動部48へ印加する電圧の電圧値を示す情報、駆動信号として焦点調整部44の対応する各駆動部48へ出力する。
【0079】
駆動信号を受け付けた各駆動部48は、受け付けた駆動信号に含まれる電圧値の電圧を、各駆動部48に電気的に接続された一対の電極46C間に印加する。
【0080】
次のステップ106では、光照射部42の各光源43へ、上記ステップ102の処理によって各光源43毎に導出された光強度情報と、該光強度情報の強度の書込光50の照射開始を示す開始信号と、を含む光照射開始信号を出力する。光照射開始信号を受け付けた各光源43は、該信号に含まれる光強度情報の光強度の書込光50を表示媒体11へ向かって照射する。
【0081】
上記ステップ103〜ステップ106の処理によって、例えば、書込光50を光導電層22Cに集束させる電圧値の電圧が駆動部48から電極46C間に印加された状態で、上記ステップ104及びステップ106の処理が実行されると、光源43から照射された書込光50は光の集束しない図2(A)に示す状態から図2(B)及び図1に示すように光導電層22Cに集束される。
また、同様に、ステップ104の処理によって、例えば、書込光50を光導電層22Bに集束させる電圧値の電圧が駆動部48から電極46C間に印加されると、上記ステップ106の処理が実行されると、光源43から照射された書込光50は図2(C)及び図1に示すように光導電層22Bに集束される。
また同様に、ステップ104の処理によって、例えば、書込光50を光導電層22Aに集束させる電圧値の電圧が駆動部48から電極46C間に印加されると、上記ステップ106の処理が実行されると、光源43から照射された書込光50は図2(D)及び図1に示すように光導電層22Aに集束される。このため、駆動部48から印加された電圧値に応じた位置に、光源43から照射された書込光50が集束される。
なお、各光導電層には、各画素に対応する各光源43からは、各画素の濃度に応じた強度の書込光50が照射される。
【0082】
このように、各画素の色に応じて、焦点可変レンズ46によって、各光源43から光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22Cの内の特定の光導電層へ、表示される画像の各画素の濃度に応じた強度の書込光50が集束されると共に、該特定の光導電層(例えば、光導電層22Bとする)を含む表示素子30Bの電極18B及び電極19Bへ電圧が印加されると、書込光50の集束された光導電層22Bにおける書込光50の吸収によって該光導電層22Bの抵抗値が変化する。ここで、電極18B及び電極19Bの間に設けられた表示層20B及び光導電層22Bには、それぞれの分圧が印加されているため、この光導電層22Bの抵抗値の変化により、表示層20Bの書込光50が照射された領域にかかる分圧が変化する。これにより、表示層20Bの液晶の配向分布が変化して光学的特性分布が変化し、光源43から書込光50の照射された表示層20Bの領域が、表示層20Bの液晶の選択反射による色として視認される。同様にして、光導電層22A、及び光導電層22Cについても、画像データに応じて選択的に書込光50が照射されると共に、電極18A及び電極19A、及び電極18C及び電極19Cに電圧委が印加されて、表示層20A及び表示層20Cの液晶の選択反射による色が視認される。これによって、画像データの画像が表示媒体11に表示される。
【0083】
以上説明したように、本実施の形態の表示装置10においては、光照射部42と表示媒体11との間に焦点可変レンズ46及び焦点可変レンズ46を駆動する駆動部48を設け、制御部38の制御によって、光照射部42から表示媒体11へ照射される書込光50を、表示媒体11の複数の光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22Cの内の何れかへ集束させるように調整する。このため、表示媒体11に表示される画像の収差に起因する画質劣化が抑制される。
【0084】
なお、本実施の形態では、複数の光源43、複数の焦点可変レンズ46、及び複数の駆動部48は、上述のように表示媒体11に画像が表示されたときの該画像の各画素に対応して1つずつ設けられている場合を説明したが、このような形態に限られない。例えば、1つの光源43と、該光源43と表示媒体11との間に該光源43から照射される光の焦点を調整するための焦点調整部44として1つの焦点可変レンズ46及び駆動部48と、を備えたユニットを用意し、このユニットを、表示媒体11の面方向に移動可能に設けた構成としてもよい。そして、制御部38の制御によって、表示媒体11に表示する画像の各画素に対応する位置に該ユニットを移動させて該画像の色に対応する表示層(表示層20A、表示層20Bまたは表示層20C)に接して積層された光導電層(光導電層22A、光導電層22B、及び光導電層22C)に書込光50の焦点が合うように調整すればよい。このようにすれば、表示装置10の小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態における、表示媒体の装着された表示装置の一例を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態における、光源、焦点可変レンズ、及び駆動部の一例を拡大して示した模式図であり、(A)は、焦点可変レンズに設けられた一対の電極間に電圧が印加されていない状態を示す模試図であり、(B)〜(D)は、該一対の電極間に印加される電圧の電圧値を変更した場合を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態における表示装置で実行される処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
10 表示装置
11 表示媒体
18A 電極
18B 電極
18C 電極
19A 電極
19B 電極
19C 電極
20A 表示層
20B 表示層
20C 表示層
22A 光導電層
22B 光導電層
22C 光導電層
30 表示素子
30A 表示素子
30B 表示素子
30C 表示素子
38 制御部
40 電圧印加部
40A 電圧印加部
40B 電圧印加部
40C 電圧印加部
43 光源
46 焦点可変レンズ
48 駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極と、一対の電極間に設けられ、予め定められた波長領域の光を吸収することにより該光の強度分布に応じた電気的特性分布を示す光導電層と、前記一対の電極に印加された電圧による前記光導電層の電気的特性分布に応じて分布した分圧が印加され、該分圧に応じた光学的特性分布による画像を表示する表示層と、を含んだ表示素子が複数積層され、前記複数の表示素子に含まれる前記光導電層の各々が特定の波長領域の光を吸収する表示媒体に対し、前記複数の表示素子各々に含まれる前記一対の電極に電圧を印加する第1の電圧印加手段と、
前記複数の光導電層の吸収波長領域を含む波長領域の光を前記表示媒体へ照射する光源と、
前記光源と前記表示媒体との間に設けられ、前記光源から照射された光が入射されると共に、印加された電圧に応じて入射された光の焦点を変更する焦点可変レンズと、
前記焦点可変レンズに電圧を印加する第2の電圧印加手段と、
前記複数の表示素子の少なくとも1つに含まれる前記一対の電極に電圧を印加するように前記第1の電圧印加手段を制御し、画像データに基づいて該電圧の印加された表示素子の光導電層に前記光源から照射された光が集束するように前記第2の電圧印加手段を制御すると共に、該画像データに基づいた強度の光が照射されるように該光源を制御する制御手段と、
を備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−192931(P2009−192931A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34925(P2008−34925)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成16年度独立行政法人科学技術振興機構革新技術開発研究事業、産業活力再生特別措置法第19条の規定を受けるもの)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】