説明

表示装置

【課題】EVF等の小型パネルのサイズが大きくなるのを抑制しつつ、複数のパネルを駆動することができる表示装置を提供する。
【解決手段】2つのパネル20,30を駆動する表示装置1において、メインモニタ30のみにパネル電源回路を内蔵させ、それをサブモニタ20のパネル電源とする。パネル電源回路としては、例えば、負電源VBBを生成する負電源回路36を適用し、負電源回路36の駆動信号として水平クロック信号CKHを用いる。また、メインモニタ30の水平走査回路34のON/OFFを制御するAND回路40を設け、サブモニタ20のみを表示状態とする際、水平走査回路34をOFF状態に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示パネルを駆動する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばデジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラ等に適用される、LCDモニタ及び液晶ビューファインダ(EVF)の2つの表示パネルを備えた表示装置として、1チップのICにて上記2つの表示パネルを同時駆動するというものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
通常、EVFには画面サイズ1インチ未満の極小判の液晶パネルが用いられ、LCDモニタには画面サイズ数インチ程度の液晶パネルが用いられる。従来、EVFとLCDモニタとの回路構成を同じにすることで駆動出力を共通化し、ドライバICにてEVFとLCDモニタとを相互または同時に駆動している。
【特許文献1】特開2006−154225号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、低温ポリシリコン(LTPS)プロセスを用いたパネルでは、パネルに回路を内蔵でき、Hスキャナ,Vスキャナ等の駆動回路や、負電源等の電源回路が内蔵されている。
パネル電源(PVDD)は、パネル内部の素子を駆動させるための電源であり、大きな出力電圧が必要であり、また、消費電流が大きく、通常、この電源回路を含むドライバICを製造するには、高耐圧プロセスが用いられている。しかし、この電源回路をドライバICから削除し、パネル内部に内蔵させることで、ドライバICを低耐圧プロセスで使用することができる。
【0004】
しかしながら、LTPS製造プロセスはドライバIC製造プロセスと比較して設計ルールが大きく、EVFのような小型を要求されるパネルの場合、電源回路のような大型の回路を内蔵するとパネルサイズの額縁サイズが大きくなり、また、パネルの面取りも悪くなるという欠点がある。
そこで、本発明は、EVF等の小型パネルのサイズが大きくなるのを抑制しつつ、複数のパネルを駆動することができる表示装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係る表示装置は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差に対応して設けられた複数の画素と、画像データを前記データ線に供給する駆動回路とをそれぞれ有する複数の表示パネルを備える表示装置であって、前記複数の表示パネルは、当該表示パネルを駆動するための電源電位を生成する電源回路を有する主パネルと、前記電源回路を有しない副パネルとを含んで構成され、前記電源回路は、前記主パネル及び前記副パネルに対して前記電源電位を供給することを特徴としている。
【0006】
これにより、副パネル側の回路規模を削減することができるため、副パネルの狭額縁化、及びレイアウト面積削減に伴う低コスト化を実現することができる。したがって、本発明をデジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラ等に適用される、LCDモニタ及び液晶ビューファインダ(EVF)の2つの液晶パネルを備えた表示装置に適用する場合、EVFを上記副パネルとして設定することで、EVFの小型化の要求に合わせ、実用的な表示装置とすることができる。
【0007】
また、本発明に係る表示装置は、上記において、前記電源回路は、負の電源電位を生成する負電源回路により構成されていることを特徴としている。
これにより、パネル毎に負電源回路を内蔵する必要がなくなり、副パネルの小型化を実現することができる。
さらに、本発明に係る表示装置は、上記において、前記電源回路は、正の電源電位を生成する正電源回路により構成されていることを特徴としている。
【0008】
これにより、副パネルの小型化を実現することができると共に、ドライバICを低耐圧プロセスで設計することができ、ドライバICの低コスト化を実現することができる。
さらにまた、本発明に係る表示装置は、上記において、前前記電源回路は、前記電源電位を生成するための駆動信号として、前記駆動回路を駆動するクロック信号を用いることを特徴としている。
【0009】
これにより、電源回路の駆動信号を生成する回路を別途設ける必要がなくなり、回路規模の増大を抑制することができる。
また、本発明に係る表示装置は、上記において、前記複数の表示パネルは、前記主パネル及び前記副パネルの何れか1つが表示状態となるように構成されており、前記主パネルは、該主パネルが非表示状態で前記副パネルが表示状態であるとき、当該主パネルの前記駆動回路の作動を停止する作動状態制御回路を備えることを特徴としている。
【0010】
これにより、主パネルが非表示状態で駆動回路を作動する必要がない場合には、当該駆動回路を停止することができるので、不必要な回路を常時作動することに起因する無駄な消費電力を軽減することができる。
さらに、本発明に係る表示装置は、上記において、前記作動状態制御回路は、前記主パネルが非表示状態で前記副パネルが表示状態であるか否かを表す制御信号と、前記クロック信号とが印加されるAND回路により構成されていることを特徴としている。
【0011】
これにより、比較的簡易な回路構成で作動状態制御回路を実現することができる。
さらに、本発明に係る表示装置は、上記において、前記複数の表示パネルは、それぞれ、駆動電圧を前記走査線に供給する垂直走査回路を備え、前記正電源回路は、前記電源電位を生成するための駆動信号として、前記垂直走査回路を駆動するクロック信号を用いることを特徴としている。
【0012】
これにより、ドライバICを低耐圧プロセスで設計することができ、ドライバICの低コスト化を実現することができると共に、電源回路の駆動信号を生成する回路を別途設ける必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は第1の実施形態における表示装置1の構成を示すブロック図である。
第1の実施形態では、例えば、デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラ等に適用される、LCDモニタ及び液晶ビューファインダ(EVF)の2つの液晶パネルを備えた液晶表示装置に本発明を適用した場合について説明する。なお、ここでは、LCDモニタ用及びEVF用共に、アクティブマトリクス方式の薄膜トランジスタ(TFT)を用いた液晶パネルを適用するものとする。
【0014】
この図1に示すように、表示装置1は、副パネルとしてのEVF用液晶パネル(サブモニタ)20と、主パネルとしてのLCDモニタ用液晶パネル(メインモニタ)30と、2つのパネル20及び30を駆動制御する制御回路10とを備えて構成されている。このように、本実施形態における表示装置1では、1つの制御回路10にて、2つのパネル20及び30を駆動している。
【0015】
制御回路10は、1チップのICとして構成されており、その内部には、タイミングコントローラ11が形成されている。このタイミングコントローラ11は、パネル20及び30に供給するための各種駆動信号を生成する。
タイミングコントローラ11は、モニタ毎の個別の駆動信号として、サブモニタ20用の水平スタート信号STHEV、サブモニタ20用の水平クロック信号CKHEVを生成するサブモニタ用駆動信号生成部12と、メインモニタ30用の水平スタート信号STH、メインモニタ30用の水平クロック信号CKH、後述する水平走査回路(Hドライバ)の作動状態を制御する制御信号ENHDRを生成するメインモニタ用駆動信号生成部13と、サブモニタ20用及びメインモニタ30用の共通の駆動信号として、垂直スタート信号STV、垂直クロック信号CKV、及びプリチャージ信号DSGを生成する共通駆動信号生成部14と、を備えている。
【0016】
このように、タイミングコントローラ11は、水平スタート信号及び水平クロック信号をパネル分生成する。
2つのパネル20及び30は、基本的な構成が共通であり、それぞれ画像表示部21及び31、入力端子22及び32、垂直走査回路23及び33、水平走査回路24及び34、並びにプリチャージ回路25及び35を備えている。
【0017】
また、本実施形態では、メインモニタ30は、後述する負電源VBBを生成する負電源回路36を内蔵しているものとする。
各パネル20,30の画像表示部21,31には、それぞれ複数のゲートライン(走査線)が水平方向に併設され、ドレインライン(データ線)が垂直方向に併設されている。またそれら画像表示部21,31には、ゲートラインとドレインラインの各交点にそれぞれ対応して画素が配列されている。各画素は、画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)を備えて構成されている。TFTのゲートは上記ゲートラインに、そのドレインは上記ドレインラインにそれぞれ接続され、またそのソースは、画素電極に接続されている。
【0018】
そして、パネル20及び30の入力端子22及び32には、制御回路10から出力される前記共通駆動信号(STV、CKV、DSG)やパネル電源(PVDD)、映像信号等(Video、COM、DSD)が共通して入力される。
これに加えてサブモニタ20の入力端子22には、水平スタート信号STHEV、水平クロック信号CKHEV、負電源回路36から出力される負電源VBBが更に入力される。また、メインモニタ30の入力端子32には、水平スタート信号STH、水平クロック信号CKH、制御信号ENHDRが更に入力される。
【0019】
各パネル20,30の垂直走査回路23,33は、垂直シフトレジスタと、上記画像表示部21,31のゲートライン毎に設けられた複数のスイッチング回路とをそれぞれ備えている。各ゲートラインのスイッチング回路は、垂直シフトレジスタからの駆動信号に応じて閉駆動されることで、対応するゲートラインに駆動電圧を印加するように構成されている。これら両パネル20,30の垂直走査回路23,33には、各々の入力端子22,32を通じて、垂直スタート信号STVおよび垂直クロック信号CKVがそれぞれ入力される。
【0020】
また、各パネル20,30の水平走査回路24,34は、水平シフトレジスタと、上記画像表示部21,31のドレインライン毎に設けられた複数のサンプルホールド回路とをそれぞれ備えて構成されている。これら水平走査回路24,34は、入力された映像信号から各画素に表示する画像データをサンプリングするサンプリング回路としての機能をそれぞれ有して構成されている。
【0021】
水平走査回路24には、上記入力端子22を通じて、映像信号Videoと、水平スタート信号STHEVと、水平クロック信号CKHとが入力される。
また、水平走査回路34には、上記入力端子32を通じて、映像信号Videoと、水平スタート信号STHと、水平クロック信号CKHとが入力される。
以上のように構成された表示装置1の基本動作は次のようになる。
【0022】
各パネル20,30の垂直走査回路23,33の垂直シフトレジスタは共に、上記タイミングコントローラ11の共通駆動信号生成部14の生成する垂直スタート信号STVの入力に応じ、各パネル20,30の画像表示部21,31における最上段のゲートラインに対応するスイッチング回路に駆動信号をそれぞれ出力する。
また、それら両垂直シフトレジスタは、同じく共通駆動信号生成部14の生成する垂直クロック信号CKVのクロックの立ち上げ/立ち下げに同期して、画像表示部21,31の最上段のゲートラインから最下段のゲートラインに向けて、駆動信号を出力するスイッチング回路を順次移行する。
【0023】
駆動信号の入力されたスイッチング回路は、対応するゲートラインに駆動電圧を印加する。こうした垂直走査動作は、いずれのパネル20,30においても、同様に行われる。
これに対してサブモニタ20の水平走査回路24の水平シフトレジスタは、上記タイミングコントローラ11のサブモニタ用駆動信号生成部12の生成する水平スタート信号STHEVの入力に応じ、サブモニタ20の画像表示部21における最左列のドレインラインに対応するサンプルホールド回路に駆動信号を出力する。
【0024】
また水平走査回路24の水平シフトレジスタは、同じくサブモニタ用駆動信号生成部12の生成する水平クロック信号CKHEVのクロックの立ち上げ/立ち下げに同期して、画像表示部21の最左列のドレインラインから最右列のドレインラインに向けて、駆動信号を出力するサンプルホールド回路を順次移行する。
水平シフトレジスタから駆動信号の入力されたサンプルホールド回路は、映像信号から画素に表示する画像データをサンプリングするとともに、適宜な期間、その画像データを保持する。このサンプルホールド回路に保持された画像データは、適宜なタイミングで対応するドレインラインに供給される。
【0025】
一方、メインモニタ30の水平走査回路34は、基本的にはサブモニタ20の水平走査回路24と同様に作動する。ただしメインモニタ30の水平走査回路34では、タイミングコントローラ11のメインモニタ用駆動信号生成部13の生成する水平スタート信号STHおよび水平クロック信号CKHに基づいて作動されるようになっている。
図2は、メインモニタ30の詳細な構成を示すブロック図である。
【0026】
メインモニタ30には、負の電源電位VBBを生成する負電源回路36が設けられている。ここでは、点順次駆動方式にて各パネル20,30を駆動制御するものとし、負電源回路36の駆動信号として水平クロック信号CKHを用いる。
メインモニタ30の負電源回路36で生成された負電源VBBは、サブモニタ20にも供給される。
【0027】
制御回路10から出力される水平クロック信号CKHは、そのまま電源GVDDとして負電源回路36に入力されると共に、制御信号ENHDRと共にAND回路40に印加される。AND回路40から出力される水平クロック信号CKHは、レベルシフタで所定の電圧まで上げられて水平走査回路34に入力される。
AND回路40は2入力の論理回路であって、制御信号ENHDRが「1」の場合は、水平クロック信号CKHをそのまま出力し、制御信号ENHDRが「0」の場合は水平クロック信号CKHを零(スタンバイ状態)として出力する。
【0028】
ここで、2つのパネル20及び30は、何れか一方を表示状態としたとき、他方を非表示状態とする相互表示が可能な構成となっており、サブモニタ20が表示状態でメインモニタ30が非表示状態である場合に、制御信号ENHDRが「0」となり、それ以外の場合には制御信号ENHDRは「1」になるように設定されている。
すなわち、サブモニタ20が表示状態でメインモニタ30が非表示状態である場合には、スタンバイ状態となる水平クロック信号CKHが水平走査回路34に入力されるため、水平走査回路34が非作動状態となる。
【0029】
なお、AND回路40が作動状態制御回路に対応している。
上記のような相互表示を行う際、制御回路10には、入力信号として、表示状態とする液晶パネルに応じたクロック周波数(入力周波数)の映像信号が入力される。
そして、サブモニタ20を非表示状態とし、メインモニタ30を表示状態とする場合には、サブモニタ20の水平スタート信号STHEVおよび水平クロック信号CKHEVをスタンバイ状態とすると共に、メインモニタ30の水平スタート信号STHおよび水平クロック信号CKHを駆動状態とする。このとき、制御信号ENHDRは「1」とする。
【0030】
これにより、メインモニタ30側では、AND回路40から水平クロック信号CKHがそのまま出力され、これが水平走査回路34に入力されるため、メインモニタ30側では、各画素に対して制御回路10から入力される映像信号に応じた書込みが行われて通常表示が行われる。
また、サブモニタ20側では、水平スタート信号STHEVおよび水平クロック信号CKHEVが水平走査回路24に入力されないため、各画素に対して映像信号に応じた書込みは行われない。しかし、通常、液晶パネルでは、液晶に直流電圧が印加され続けると焼き付きが生じやすいため、本実施形態のパネルでは、液晶に直流電圧が印加されるのを抑制するように、非表示状態では、プリチャージ駆動というものが行われる。プリチャージ駆動は、制御回路10の共通駆動信号生成部14で生成されたプリチャージ信号DSGをプリチャージ回路25に供給することで、プリチャージ電圧DSDを各ドレインラインに供給し、これを各画素に対して書き込むものである。各画素への書き込みは、共通駆動信号生成部14の生成する垂直クロック信号CKVに基づく上記の垂直走査動作によって行われる。
【0031】
一方、サブモニタ20を表示状態とし、メインモニタ30を非表示状態とする場合には、サブモニタ20の水平スタート信号STHEVおよび水平クロック信号CKHEVが駆動状態となることで、サブモニタ20側では制御回路10から入力される映像信号に応じて画素書込みが行われる。
本実施形態では、負電源回路36の駆動信号としてメインモニタ30の水平クロック信号CKHを用いているため、負電源回路36を常に作動状態とするために、水平クロック信号CKHはメインモニタ30の表示/非表示にかかわらず常に駆動状態とする。
【0032】
そして、サブモニタ20が表示状態でメインモニタ30が非表示状態である場合には、制御信号ENHDRを「0」とすることで、水平走査回路34に入力される水平クロック信号CKHをスタンバイ状態とし、メインモニタ30側でプリチャージ電圧DSDによるプリチャージ駆動のみを行うようにする。
このように、水平スタート信号及び水平クロック信号の作動状態をパネル毎に個別に制御することで、2つのパネルの表示切替を行うことができる。
【0033】
ところで、低温ポリシリコン(LTPS)の表示パネルにおいては、パネル上に回路を内蔵できるため、一般にパネルにHドライバ、Vドライバ、負電源回路等を内蔵可能である。従来、複数の表示パネルを同時駆動する場合、複数の表示パネルの構成を同じにすることで駆動出力を共通化し、1つのドライバICで当該複数の表示パネルを同時駆動している。すなわち、複数パネルの各々に電源回路を内蔵した構成を採用している。
【0034】
しかしながら、通常サイズのLCDモニタおよび小型化の要求のあるEVFの2つの表示パネルを備えた表示装置の場合、EVFに大型の電源回路を内蔵すると、パネルの額縁サイズが大きくなり実用的でなくなる。
これに対して、本実施形態では、負電源回路をLCDモニタ(メインモニタ30)のみに内蔵し、その負電源回路を用いてEVF(サブモニタ20)を駆動させるようにしている。これにより、サブモニタ20の小型化を実現させることができる。
【0035】
また、従来、負電源回路の駆動信号として水平クロック信号が用いられているが、負電源回路をそれぞれ内蔵した複数の表示パネルを相互に表示する場合、非表示状態となっている側の表示パネルにおいては負電源回路が作動せず、負電源電位が生成されないことで、ゲートラインの電圧が適正な電圧まで到達しないという課題がある。
LCDモニタを表示状態、EVFを非表示状態とする場合、EVF側ではH系ドライバを駆動する必要がないため、水平クロック信号をスタンバイ状態とするのが一般的である。しかしながら、この場合、EVF側において負電源回路の駆動信号が停止状態となることで、負電源電位が生成されなくなる。したがって、EVF側では、ゲートラインに本来印加されるべき電位(パネル電源PVDD+負電源VBB)が印加されず、非表示状態中のプリチャージ駆動が適正に行われないおそれがある。これは、LCDモニタを非表示状態、EVFを表示状態とする場合も同様である。
【0036】
図3は、従来の2パネル駆動における表示パネルの構成を示すブロック図である。
この図3に示すように、従来は、水平クロック信号CKHを水平走査回路(Hドライバ)134と負電源回路136とにそのまま入力する構成となっている。
上述したような、非表示状態のパネル側で水平クロック信号CKHが停止することに起因して負電源VBBが生成されなくなるのを防止するためには、水平クロック信号CKHを、パネルの表示/非表示にかかわらず常に駆動状態とすることが考えられる。
【0037】
しかしながら、この場合、パネルが非表示状態となっている場合であっても、負電源VBBが適正に生成されることになるものの、不必要なHドライバ134が作動したままとなってしまう。
これに対して、本実施形態では、メインモニタ30の水平クロック信号CKHは、メインモニタ30の表示状態/非表示状態にかかわらず、常に駆動状態を維持するように設定することで、メインモニタ30が非表示状態となる場合でも、負電源回路36を作動させることができる。したがって、メインモニタ30が非表示状態となっている間、適正なプリチャージ駆動を行うことができる。
【0038】
また、このとき、メインモニタ30の水平走査回路34の作動/停止を制御するための論理回路(AND回路40)を設けることで、メインモニタ30が非表示状態である間、水平走査回路34を停止して、不必要な回路を停止することができ、無駄な消費電力を削減することができる。
このように、上記第1の実施形態では、メインモニタにのみ負電源回路を内蔵し、この負電源回路で生成した負電源をメインモニタ及びサブモニタに供給することで、両モニタを駆動するので、負電源回路を削除した分、サブモニタの回路規模を削減することができる。したがって、LCDモニタ及び液晶ビューファインダ(EVF)の2つのパネルを備えた表示装置に本発明を適用する場合、EVFをサブモニタとして設定することで、EVFの小型化の要求に合わせ、実用的な表示装置とすることができる。
【0039】
また、負電源回路の駆動信号として水平クロック信号を共通して適用するので、負電源回路用の駆動信号を別途生成する必要がなくなり、回路規模の増大を抑制することができる。
さらに、メインモニタの水平走査回路の作動/停止を制御するための制御信号を設けることで、作動が不要である回路を停止して無駄な消費電力を削減することができる。また、このメインモニタの水平走査回路の作動/停止を、上記制御信号とAND回路とを用いて制御するので、非常に簡易な構成で上記水平走査回路の作動状態制御回路を実現することができる。
【0040】
次に、本発明における第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、パネル電源(PVDD)をメインモニタ30に内蔵するようにしたものである。
第2の実施形態では、例えば、携帯電話等に適用される、メイン画面及びサブ画面の2つの液晶パネルを備えた液晶表示装置に本発明を適用した場合について説明する。
【0041】
図4は、第2の実施形態における表示装置1の概略構成を示すブロック図である。
この図4に示すように、表示装置1は、サブモニタ20と、メインモニタ30と、各パネル20,30をそれぞれ駆動制御する制御回路10A,10Bとを備えて構成されている。サブモニタ20及びメインモニタ30は、前述した第1の実施形態における水平走査回路24及び34に代えて、Hスイッチが設けられていることを除いては、第1の実施形態におけるサブモニタ20及びメインモニタ30と同様の基本構成を有する。
【0042】
Hスイッチについては、各パネル20,30で共通の構成を有するため、メインモニタ30のHスイッチ38について説明すると、Hスイッチ38は、データ線毎に設けられた複数のスイッチ38−1〜38−n(例えば、n=480)を備え、制御回路10Bから出力されるスイッチング駆動信号S1〜Snによって各スイッチ38−1〜38−nがオン/オフ制御されるようになっている。
【0043】
また、メインモニタ30には、制御回路10Bから入力される電源GVDD(例えば、5V)を2倍昇圧してパネル電源PVDDを生成する正電源回路37(POG)が設けられている。
本実施形態では、正電源回路37の駆動信号として垂直クロック信号CKVを用いる。
そして、この正電源回路37から出力されるパネル電源PVDDは、サブモニタ20にも供給されるようになっている。
【0044】
前述した第1の実施形態のように、点順次駆動を行う場合など、所謂Hスキャナを持つような回路構成においては、消費電流が非常に大きいためパネル電源PVDDを外部のドライバICから入力することが望ましいが、本実施形態のように、Hスイッチを持つような回路構成においては、パネル側にパネル電源PVDDを内蔵することができる。そして、この電源回路をパネルに内蔵させることで、ドライバICを低耐圧プロセスで使用することができる。
【0045】
このように、上記第2の実施形態では、メインモニタにパネル電源回路を内蔵し、当該パネル電源回路で生成したパネル電源をサブモニタに供給するので、両パネルのドライバICを低耐圧プロセスで使用することができ、ドライバICの低コスト化を実現することができる。
また、パネル電源回路をメインモニタのみに内蔵することで、小型化の要求のあるサブモニタに電源回路を内蔵することに起因する額縁サイズの増大を防止することができ、実用的な表示装置とすることができる。
【0046】
なお、上記各実施形態においては、2つの液晶パネルを備える表示装置について説明したが、3つ以上の液晶パネルを備える表示装置にも本発明を適用することができる。
また、上記各実施形態においては、本発明を、液晶を用いた表示装置に適用する場合について説明したが、液晶以外の電気光学物質を用いた表示装置に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】第1の実施形態における表示装置の構成を示すブロック図ある。
【図2】第1の実施形態におけるメインモニタの詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】従来の2パネル駆動における表示パネルの構成を示すブロック図である。
【図4】第2の実施形態における表示装置の概略構成を示すブロック図ある。
【符号の説明】
【0048】
1…表示装置、10…制御回路、11…タイミングコントローラ、12…サブモニタ用駆動信号生成部、13…メインモニタ用駆動信号生成部、14…共通駆動信号生成部、20…サブモニタ、21…画像表示部、22…入力端子、23…垂直走査回路、24…水平走査回路、30…メインモニタ、31…画像表示部、32…入力端子、33…垂直走査回路、34…水平走査回路、36…負電源回路、37…正電源回路、38…Hスイッチ、40…AND回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査線と、複数のデータ線と、前記複数の走査線と前記複数のデータ線との交差に対応して設けられた複数の画素と、画像データを前記データ線に供給する駆動回路とをそれぞれ有する複数の表示パネルを備える表示装置であって、
前記複数の表示パネルは、当該表示パネルを駆動するための電源電位を生成する電源回路を有する主パネルと、前記電源回路を有しない副パネルとを含んで構成され、
前記電源回路は、前記主パネル及び前記副パネルに対して前記電源電位を供給することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記電源回路は、負の電源電位を生成する負電源回路により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記電源回路は、正の電源電位を生成する正電源回路により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記電源回路は、前記電源電位を生成するための駆動信号として、前記駆動回路を駆動するクロック信号を用いることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記複数の表示パネルは、前記主パネル及び前記副パネルの何れか1つが表示状態となるように構成されており、
前記主パネルは、該主パネルが非表示状態で前記副パネルが表示状態であるとき、当該主パネルの前記駆動回路の作動を停止する作動状態制御回路を備えることを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記作動状態制御回路は、前記主パネルが非表示状態で前記副パネルが表示状態であるか否かを表す制御信号と、前記クロック信号とが印加されるAND回路により構成されていることを特徴とする請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記複数の表示パネルは、それぞれ、駆動電圧を前記走査線に供給する垂直走査回路を備え、前記正電源回路は、前記電源電位を生成するための駆動信号として、前記垂直走査回路を駆動するクロック信号を用いることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−2446(P2010−2446A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158833(P2008−158833)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】