説明

表示装置

【課題】表示装置の曲げられている部分の状態に応じて表示装置の表示内容を切り替える。
【解決手段】電子ブック100は、その筐体の一部又は全部が可撓性を有する。電子ブック100は、表示部105と、電子ブック100の曲げられている部分を検出する位置センサ105a及びベンディングセンサ105cと、位置センサ105a及びベンディングセンサ105cの検出結果に基づいて表示部105の表示内容を切り替える表示切替部465と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ・インタフェースを有し、ユーザの操作に応じて情報を表示する表示装置に関する。特に、キーボードもマウスも備えていない表示装置に適したユーザ・インタフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
データの入力には、キーボードやマウス等の入力機器を用いる方法やペン、タッチ・スクリーン、ボタンおよびジョグダイアル式のコントローラを用いた方法が提案されている。しかし、キーボードやマウス等の入力デバイスを用いた方法では外出中の操作性や利便性が悪く、モバイル機器には向いていない。また、タッチ・スクリーン等を用いた方法では、剛性感のあるデバイスに対して画面にタッチしても、デバイスの形状は変わらないため、タッチの強さがどの程度入力操作に反映されるかを直感的に感じることができず、操作性に課題が残る。
【0003】
そこで、マウスやボタンに基づかず、装置本体への物理的な操作に基づいた入力インタフェースが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、ユーザが、装置の筐体を物理的に曲げたり、歪ませたりすることによって装置と相互作用し、ボタン、ペン、または他の任意の入力機器を用いることなく、データを入力することが可能なインタフェースが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4135487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1には、入力操作のためにユーザが電子機器を物理的に変化させる際、ユーザの押圧の状態によって電子機器全体がどのように物理的に変化しているかという観点と、電子機器の端部がどのように物理的に変化しているかという観点とを、区別して表示内容を切り替え制御することは考えられていない。
【0006】
一方、ユーザは通常、片手又は両手を使って電子機器を物理的に操作するため、電子機器の物理的変化には、電子機器全体が比較的緩やかに曲げられたりひねられたりする変化と、ユーザの手や指の押圧や押動によって、電子機器の端部が局所的に曲げられたり歪んだりする変化と、が存在する。
【0007】
したがって、上記電子機器の物理的変化を区別して表示部の表示内容全体を変更したり、表示内容の一部を変更したりするように表示内容の切替制御を行えば、ユーザの入力操作に対する電子機器の物理的な変化と表示内容の変更との間にユーザに理解しやすい関連性が生じ、ユーザにとっていままでにない直感的な入力操作を実現できる。
【0008】
そこで、本発明は、表示装置の曲げられている部分の状態に応じて表示装置の表示内容を切り替える表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある態様によれば、筐体の一部又は全部が可撓性を有する表示装置であって、表示部と、前記表示装置の曲げられている部分を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記表示装置の曲げられている部分の位置及び曲げ度合に応じて前記表示部の表示内容を切り替える表示切替部と、を有する表示装置が提案される。
【0010】
かかる構成によれば、表示装置の筐体の一部又は全部が可撓性を有するため、ユーザの入力操作として表示装置の曲げられている部分を検出し、その検出結果に基づいて表示部の表示内容が切り替えられる。
【0011】
これにより、マウスやボタンに基づかず、装置本体への物理的な操作に基づいた入力インタフェースを実現することができる。特に、曲げられている部分の位置や曲げ度合に応じて表示内容を切り替えることにより、ユーザの入力操作に対する装置の物理的な変化と表示部の表示内容の変更とに関連性を持たせることができる。この結果、ユーザの入力動作と装置の表示動作が連動し、より直感的な入力操作を実現できる。
【0012】
前記検出部の検出結果に基づいて前記表示装置全体が曲げられているかどうかを判定する判定部をさらに有し、前記表示切替部は、前記判定部により前記表示装置全体が曲げられていると判定された場合、前記表示部の表示内容全体を切り替えるようにしてもよい。
【0013】
前記表示部の表示内容全体を切り替える制御は、表示内容のズームイン制御又はズームアウト制御を含んでもよい。
【0014】
前記表示切替部は、前記判定部により前記表示装置全体が凹型に曲げられたと判定されたとき、表示内容をズームイン制御に切り替えてもよい。
【0015】
前記表示切替部は、前記判定部により前記表示装置全体が凸型に曲げられたと判定されたとき、表示内容をズームアウト制御に切り替えてもよい。
【0016】
前記判定部は、前記検出部の検出結果に基づいて前記表示装置の端部が曲げられているかどうかを判定し、前記表示切替部は、前記判定部により前記表示装置の端部が曲げられていると判定された場合、前記表示部の表示内容の一部を切り替えてもよい。
【0017】
前記表示部の表示内容の一部を切り替える制御は、表示内容の一部にメニューの表示制御、メニューの選択制御、表示画面の更新、ページめくり、ブックマーク及び表示内容に関する情報の付加を含んでもよい。
【0018】
前記表示部の表示内容の一部を切り替える制御は、前記表示装置の端部の曲げ状態を視覚的に示す1又は2以上のライン表示を含んでもよい。
【0019】
前記表示切替部は、前記判定部により前記表示装置の端部が局所的に曲げられたと判定されたとき、表示内容の一部をメニューの表示制御に切り替えてもよい。
【0020】
前記表示切替部は、前記判定部により前記表示装置の端部が局所的に曲げられた状態で指をずらしたと判定されたとき、表示内容の一部をメニューの選択制御に切り替えてもよい。
【0021】
前記表示切替部は、前記判定部により前記表示装置の端部のうち角部が局所的に曲げられたと判定されたとき、表示内容に関する情報の付加制御を実行してもよい。
【0022】
前記判定部は、前記曲げられている部分の位置及び曲げ量に応じて前記表示装置全体及び前記表示装置の端部が曲げられているかどうかをそれぞれ判定してもよい。
【0023】
前記判定部は、前記曲げられている部分が前記表示装置の中央部であるとき、前記表示装置全体が曲げられていると判定してもよい。
【0024】
前記判定部は、前記曲げられている部分の曲げ量が第1の閾値より大きいとき、前記表示装置全体が曲げられていると判定してもよい。
【0025】
前記判定部は、前記曲げられている部分が前記表示装置の外周部であるとき、前記表示装置の端部が曲げられていると判定してもよい。
【0026】
前記判定部は、前記曲げられている部分の曲げ量が第2の閾値より大きいとき、前記表示装置の端部が曲げられていると判定してもよい。
【0027】
また、上記課題を解決するために、本発明の他の態様によれば、筐体の一部又は全部が可撓性を有し、開閉可能な表示装置であって、表示部と、前記表示装置の曲げられている部分を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記表示装置の曲げられている部分の位置及び曲げ度合に応じて、前記表示装置全体が曲げられているかどうか及び前記表示装置の端部が局所的に曲げられているかどうかを判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づいて前記表示装置により実現する電子機器の表示に前記表示部の表示画面モードを切り替える表示切替部と、を有する表示装置が提供される。
【0028】
また、上記課題を解決するために、本発明の他の態様によれば、筐体の一部又は全部が可撓性を有するコントローラであって、前記コントローラの曲げられている部分を検出する検出部と、前記検出部により検出された前記コントローラの曲げられている部分の位置及び曲げ度合に応じて、前記コントローラの制御内容を切り替える制御切替部と、を有するコントローラが提供される。
【発明の効果】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、表示装置の曲げられている部分の状態に応じて表示装置の表示内容を切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態に係る表示装置(電子ブック)の全体構成図である。
【図2】第1〜第3実施形態に係る表示装置の機能構成図である。
【図3】第1実施形態に係る表示装置の曲げ位置と表示内容切替制御との関係を説明するための図である。
【図4】第1実施形態に係る表示切替処理の一例を示したフローチャートである。
【図5】同実施形態に係る表示内容全体切替処理の一例を示したフローチャートである。
【図6】同実施形態に係る表示装置全体の曲げ状態と切り替える表示内容との関係を説明するための図である。
【図7】同実施形態に係る表示内容一部切替処理の一例を示したフローチャートである。
【図8】同実施形態に係る表示装置端部の曲げ状態と切り替える表示内容との関係を説明するための図である。
【図9】同実施形態に係る表示内容全体切替処理の他の例を示したフローチャートである。
【図10】同実施形態に係る表示装置端部の曲げ状態と切り替える表示内容との関係を説明するための図である。
【図11】同実施形態に係る表示装置のページめくり表示を説明するための図である。
【図12】第2実施形態に係る表示切替処理の一例を示したフローチャートである。
【図13】同実施形態に係る表示装置全体の曲げ状態と切り替える表示内容との関係を説明するための図である。
【図14】携帯オーディオプレーヤの楽曲選択のための表示切替の一例を示した図である。
【図15】第3実施形態に係る表示切替処理の一例を示したフローチャートである。
【図16】表示装置の曲げ状態と画面モードの表示切り替えとの関係を説明するための図である。
【図17】第4実施形態に係るコントローラの曲げ状態と制御内容の切り替えとの関係を説明するための図である。
【図18】第4実施形態に係るコントローラの機能構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に添付図面を参照しながら、発明を実施するための形態(以下実施形態とする)について説明する。但し、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0032】
なお、以下に示す順序に従って本発明に係る各実施形態について説明する。
〔1〕第1実施形態に係る表示装置(電子ブック)
〔1−1〕表示装置のハードウエア構成
〔1−2〕表示装置の機能構成
〔1−3〕表示装置の曲げ状態と画面切替
〔1−4〕表示切替処理
〔1−5〕表示内容全体切替処理
〔1−6〕表示内容一部切替処理
(1−6−1)メニュー表示
(1−6−2)ページめくり表示
〔2〕第2実施形態に係る表示装置(携帯オーディオプレーヤ)
〔2−1〕表示切替処理
〔3〕第3実施形態に係る表示装置(スクリーン)
〔3−1〕表示画面モード切替処理
〔4〕第4実施形態に係るコントローラ(リモートコントローラ)
〔4−1〕コントローラの機能構成
〔4−2〕制御内容モード切替処理
【0033】
〔1〕第1実施形態に係る表示装置(電子ブック)
〔1−1〕表示装置のハードウエア構成
まず、本発明の第1実施形態に係る表示装置(電子ブック)について、図1を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る電子ブック100の全体構成図及び内部ハードウエア構成の一部拡大図である。電子ブック100は筐体の一部又は全部が可撓性を有する表示装置の一例である。
【0034】
電子ブック100は、上面全面が表示部105(ディスプレイ)になっており、表示部105の外周に枠体110が設けられている。表示部105及び枠体110は、やわらかい素材をコンポーネント化して形成されていて、これにより、電子ブック100の筐体の全体が可撓性を有するようになっている。この結果、電子ブック100を全体的に湾曲させたり、電子ブック100の端部を局所的に歪ませたりすることができる。
【0035】
表示部105及び枠体110に用いられる素材としては、ポリエーテルブロックアミド共重合体から形成された植物性プラスチック等を適用すると好適である。ポリエーテルブロックアミド共重合体から形成された植物性プラスチックは、優れた機械的、物理的及び化学的性質を持った、広い範囲の可撓性を有する熱可塑性エラストマーである。この素材は、低温における可撓性と耐衝撃性、良好な成形性を有するため、ユーザの操作に応じて柔軟に湾曲する。
【0036】
図1に表示部105の一部を拡大して示したように、本実施形態に係る電子ブック100は、柔らかい素材を積層させている。具体的には、表示部105は、有機ELパネルであり、上部から順にフレキシブル圧力検出タッチパネル(位置センサ105aを含む)、フレキシブルディスプレイ105b、ベンディングセンサ105c、フレキシブル回路105d及びフレキシブルバッテリー105eを積層した構造を有している。
【0037】
フレキシブル圧力検出タッチパネル105aは、ユーザの指やペンの接触位置及び接触方向をX−Y方向の2次元で検出する位置センサ105aを有し、X−Y方向の入力操作を検出する手段として用いられる。位置センサ105aは、表示部105上のユーザの指の接触等により、位置または位置の変化を示す信号を出力する。位置センサ105aとしては、感圧センサ、2次元トラッキング・センサ、2次元タッチ・センサ、または2次元の変化を検出可能な他の任意のセンサもしくはセンサ群であってもよい。2次元位置センサは、可撓性メッシュ・センサまたは静電容量型を含んでいてもよい。
【0038】
フレキシブルディスプレイ105bは、表示部分が柔軟に変形可能なディスプレイである。フレキシブルディスプレイ105bは、有機EL素子等の発光素子や液晶素子をプラスチック等のフィルムで挟んだ構造である。
【0039】
ユーザのZ方向の入力操作を検出する手段としては、ベンディングセンサ105cが用いられる。ベンディングセンサ105cは、フレキシブルディスプレイ105bの下部に設けられ、ユーザの手や指によるZ方向の押圧の程度や押動の状態を検出する。
【0040】
ベンディングセンサ105cとしては、加速度センサ、力センサ、圧力センサ、歪みセンサ、ジャイロセンサを用いることができる。位置センサ105a及びベンディングセンサ105cから検出された両情報により、ユーザの入力操作によって電子ブック100の全体的な曲げの状態や電子ブック100の局所的な歪みの状態を検出することができる。
【0041】
かかる構成の電子ブック100では、柔軟性のあるフレキシブルディスプレイ105b、フレキシブルバッテリー105e、伸縮自在のフレキシブル回路105dを内蔵した上で、タッチパネル(位置センサ105aを含む)やベンディングセンサ105cでボディ全体の歪みや感圧部分のセンシングを行う。なお、本実施形態に係る電子ブック100は、筐体の全部が可撓性を有していたが、たとえば、枠体110のみ柔らかい素材を適用し、表示部105は剛性のある素材を用いてもよい。
【0042】
位置センサ105a及びベンディングセンサ105cは、電子ブック100の曲げられている部分を検出する検出部の一例である。検知手段は、いずれかの特定の種類に限定されるわけではなく、適切なパラメータを検知可能であれば、静電型、電気機械型、磁気型、光学型、およびこれらの物理特性の組み合わせを利用した様々な種類の検知センサを用いることができる。また、3軸のセンサであれば、位置センサ105aとベンディングセンサ105cとの組合せである必要はなく、たとえば、歪みセンサによる歪みの角度の検出、加圧センサによる圧力の検出、加速度センサによる加速度の検出等により電子ブック100の曲げられている部分を測定してもよい。ただし、ベンディングセンサ105cのように、電子ブック100の一部としてセンサがコンポーネント化される場合にはセンサ自体に可塑性が必要である。
【0043】
〔1−2〕表示装置の機能構成
次に、電子ブック100の機能構成について図2の機能ブロック図を参照しながら説明する。電子ブック100は、記憶部150、信号取得部155、判定部160、表示切替部165及び画像処理部170を有している。信号取得部155は、コンポーネント化された筐体内のフレキシブルタッチパネル105a及びベンディングセンサ105cに接続されている。
【0044】
記憶部150は、電子ブック100の筐体の全体的な湾曲の程度により表示内容全体の切替制御を行うかを判定するための第1の閾値th1を記憶する。記憶部150はまた、筐体の端部(本実施形態では電子ブック100の外周部)の局所的な歪みの程度により表示内容の一部の切替制御を行うかを判定するための第2の閾値th2を記憶する。
【0045】
信号取得部155は、位置センサ105aにより検出された2次元の位置情報(X−Y方向)を示す信号を取得する。信号取得部155はまた、ベンディングセンサ105cにより検出された曲げ情報(Z方向)を示す信号を取得する。
【0046】
判定部160は、各センサの検出結果に基づいて電子ブック100の全体が曲げられているかどうかを判定する。判定部160はまた、各センサの検出結果に基づいて電子ブック100の外周部(端部)が曲げられているかどうかを判定する。
【0047】
より詳しくは、判定部160は、電子ブック100の曲げられている部分の位置及び曲げ量に応じて電子ブック100が全体的に曲げられているか、及び電子ブック100の端部が局所的に曲げられているかどうかを判定する。たとえば、判定部160は、曲げられている部分が電子ブック100の曲率の低い部分であるとき、電子ブック100が全体的に曲げられていると判定する。また、判定部160は、曲げられている部分が電子ブック100の曲率の高い部分であるとき、電子ブック100の端部が曲げられていると判定する。
【0048】
また、判定部160は、曲げられている部分の曲げ量が第1の閾値th1より大きいとき、電子ブック100が全体的に曲げられていると判定する。判定部160は、曲げられている部分の曲げ量が第2の閾値th2より大きいとき、電子ブック100の端部が曲げられていると判定する。曲率と曲げ量と画面内容の切替処理との関係については後述する。
【0049】
表示切替部165は、各センサの検出結果に基づいて表示部100の表示内容を切り替える。表示切替部165は、判定部160により電子ブック100が全体的に曲げられていると判定された場合、表示部150の表示内容全体を切り替える。たとえば、表示内容全体を切り替える制御としては、表示内容のズームイン制御又はズームアウト制御が含まれる。
【0050】
表示切替部165は、判定部160により電子ブック100の端部が曲げられていると判定された場合、表示部150の表示内容の一部を切り替える。たとえば、表示内容の一部を切り替える制御としては、表示内容の一部にメニューの表示制御、メニューの選択制御、表示画面の更新、ページめくり、ブックマーク付与、表示内容に関する情報の付加等の制御が含まれる。また、表示部150の表示内容の一部を切り替える制御としては、電子ブック100の端部の局所的な曲げ状態を視覚的に示すために、局所的に曲げられた部分に1又は2以上のラインを表示してもよい。具体的な切替制御については後述する。
【0051】
画像処理部170は、電子ブック100に表示する画像を生成する。本実施形態では、電子ブック100は、ネットワークを介してダウンロードしたコンテンツの所望のページを表示部150に表示する。また、画像処理部170は、局所的に曲げられた部分に1又は2以上のラインを表示するための画像処理も行う。
【0052】
なお、以上に説明した信号取得部155、判定部160、表示切替部165及び画像処理部170の各機能は、専用の制御デバイスあるいはプログラムを実行する図示しないプロセッサ(CPU)により実現される。また、記憶部150は、図示しないHDD(Hard Disk Drive)、ROM(Read Only Memory)等の記憶デバイスを含むハードウエア資源で実現される。プロセッサにより実行される手順を示したプログラムやデータは、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶デバイスを含むハードウエア資源に記憶されている。
【0053】
また、ここで説明した本実施形態に係る電子ブック100の構成は、機能別に説明したものであり、実現するハードウエアの物理構成が上記機能毎に明確に分離され、独立して用意される必要はない。例えば電子ブック100の機能を表現したプログラムがHDDに格納されている場合、そのHDDは記憶部150のHDDと共通であってもよく、別であってもよい。また、本実施形態に係る電子ブック100を構成する部分の一部はネットワークを介して接続された他の場所に配置されていてもよい。
【0054】
〔1−3〕表示装置の曲げ状態と画面切替
次に、表示装置の曲げ状態と画面切替との関係について、図3を参照しながら説明する。図3(a)(b)は、異なる柔軟度のある素材を積層した電子ブック100のディスプレイ部分及び基材部分を示す。ディスプレイ部分は、たとえば、フレキシブルディスプレイ105bを積層した部分でありその上端部にタッチパネル105aが貼り付けられている。その場合、基材部分は、ベンディングセンサ105c、フレキシブル回路105d及びフレキシブルバッテリー105eにより構成される。
【0055】
図3(b)は、図3(a)の1−1断面である。本実施形態に係る電子ブック100では、ディスプレイの外周部に段差を生じさせるようにディスプレイ部分が積層構造になっている。このようにディスプレイ部分が段差構造になっているのでディスプレイの外側の厚みは内側の厚みより薄くなり、電子ブック100の外周部の柔軟度は中心部の柔軟度より高くなる。
【0056】
ここでは、柔軟度を曲率で示している。図3(c)に示したように、電子ブック100を同じ圧力で押した場合、電子ブック100の外周部は中心部よりも曲げやすく、曲率が高くなる。曲率の違いを予め求めておけば曲率が低い部分を曲げた場合と、曲率が高い部分を曲げた場合と、で表示内容を切り替えることができる。
【0057】
曲率が低い又は高い部分を曲げたかどうかは、位置センサ105aによるX−Y方向の位置検出により、曲げが生じている部分を特定することによって判定する。曲率が低い部分を曲げた場合、図3(d)に示すように、表示部150に示された表示内容全体を切り替える制御が実行される。この切替制御は、画面全体に対する表示効果を奏する。表示内容全体を切り替える制御の一例としては、ブックカバーの表紙の画像を切り替えたり、メニュー階層表示をトップの表示に切り替えることが挙げられる。
【0058】
曲率が高い部分を曲げた場合、図3(e)に示すように、表示部150に示された表示内容の一部を切り替える制御が実行される。この切替制御は、画面の特定部分に対する表示効果を奏する。表示内容の一部を切り替える制御の一例としては、局所的に歪みが生じた部分にメニュー画面を表示する等が挙げられる。この一部切替処理では、変化させるべき画像は、既に存在している画像上に重ね合わせてもよい。図3(e)では、電子ブック100の外周の上下部及び両側部に補足機能を表示する区画が4つ設けられている。
【0059】
なお、ディスプレイを外周部に段差を設けた積層構造にする替わりに、柔軟性のある一枚の板状部材により形成してもよい。その場合、板状のディスプレイは、面方向に対して硬度が不均一になるように素材の硬度を変える。具体的には、ディスプレイの中央部の硬度を外周部の硬度より高くする。これにより、ディスプレイの中央部の曲率を低くし、外周部の曲率を高くすることができる。これによって、ユーザの入力操作に対する表示装置の外周部の感度を中央部の感度より高くし、表示装置の外周部への入力操作に敏感に反応するユーザ・インタフェースを構築することができる。この結果、表示内容の全体の切替と表示内容の一部の切替とを明確に区別して動作させることができる。このように柔軟性の異なる素材を積層化したり、柔軟性のある素材の厚みを変化させたり、素材の柔軟度合に変化をつけたりすることにより、電子ブック100のZ方向の柔軟度をX−Y面にて不均一にすることにより、表示の切替を誤動作なく正確に制御することができる。
【0060】
以上のようにして、本実施形態に係る電子ブック100では、ベンディングセンサ105cが付加されたコンポーネントを単体及びフレキシブルOLEパネル等の変形可能なディスプレイと組合せることにより、多様な表示制御及び動作制御のインタフェースをユーザに提供することができる。特に、本実施形態では、柔軟性のある素材を積層させて成型することにより、表示装置の局所的な曲げと全体的な曲げとの両方の曲げ応力を生じさせることができる。その際、曲げの角度や装置に荷重される圧力の度合により、画像の変化やユーザ・インタフェースにおけるコマンド操作のパラメータ値を変化させ、これによって、表示内容の全体又は一部を切り替えることが可能である。
【0061】
以上では、ディスプレイ部分に段差を持たせて積層させた例(図3)を示したが、シート状のベンディングセンサ部分に段差を持たせて積層させてもよい。この場合には、ユーザの指が段差部分を中央側から外周側に向けて移動する際、最上層のベンディングセンサから下層のベンディングセンサに向けて順に曲げ応力が掛かる。これにより、最上層のベンディングセンサから下層のベンディングセンサに向けて順にセンサがオフからオン状態に変化する。これにより、電子ブック100は、ユーザの入力操作を検知して、内側のベンディングセンサがオフ状態からオン状態に変化した場合には表示内容の全体を切り替え、外側のベンディングセンサがオフ状態からオン状態変化した場合には表示内容の一部を切り替えるようにしてもよい。
【0062】
〔1−4〕表示切替処理
次に、本実施形態に係る電子ブック100の表示切替動作について、図4,5,7のフローチャートを参照しながら説明する。図4は、表示切替処理の手順を示したフローチャート(メインルーチン)である。図5は、図4の表示切替処理から呼び出される表示内容全体切替処理の手順を示したフローチャート(サブルーチン)である。図7は、図4の表示切替処理から呼び出される表示内容一部切替処理の手順を示したフローチャート(サブルーチン)である。
【0063】
表示切替処理は、ユーザが電子ブック100を物理的に変化させることによりステップS400から開始され、信号取得部155は、ステップS405にて位置センサ105aにより検出されたX−Y方向の位置情報を取得する。判定部160は、ステップS410にて取得された位置情報に基づき、曲率が低い部分を曲げたか、高い部分を曲げたかを判定する。
【0064】
曲率が低い部分を曲げたと判定された場合、装置の中心部が曲げられたと判断し、ステップS415の表示内容全体切替処理を呼び出す。一方、曲率が高い部分を曲げたと判定された場合、装置の外周部が曲げられたと判断し、ステップS420の表示内容一部切替処理を呼び出す。
【0065】
〔1−5〕表示内容全体切替処理
ステップS415にて呼び出された表示内容全体切替処理は、図5のステップS500から開始され、信号取得部155は、ステップS505にてベンディングセンサ105cにより検出されたZ方向の曲げ情報を取得する。次に、判定部160は、ステップS510に進んで、取得された曲げ情報に基づき、電子ブック100の全体が凸型、すなわち、電子ブック100の中央がユーザに対して内側に曲げられたかを判定する。実際には、図6(a)に示したように、電子ブック100の曲率の高い部分に生じた曲げ量Dがプラスの値を有するとき、判定部160は、電子ブック100の曲率の高い部分にて電子ブック100の全体が凸型に曲げられたと判定し、ステップS515に進む。判定部160は、ステップS515にて、曲げ量Dの絶対値が第1の閾値th1より大きいかを判定する。曲げ量Dの絶対値が第1の閾値th1より大きいと判定された場合、ステップS520に進んで、表示切替部165は表示内容全体の表示切替としてズームアウト制御を指示し、画像処理部170は、その指示に従って表示内容全体をズームアウト制御し、ステップS595に進んで本処理を終了する。
【0066】
この結果、図6(a)に示したように、ユーザが両手を用いて電子ブック100の中心部を内側に緩やかに曲げると、電子ブックの画面全体に表示されたアイテムがズームアウトし、表示内容全体が縮小される。
【0067】
一方、曲げ量Dがマイナスの値を有するとき、判定部160は、電子ブック100の曲率の高い部分にて電子ブック100の全体が凹型に曲げられたと判定し、ステップS525に進む。判定部160は、ステップS525にて、曲げ量Dの絶対値が第1の閾値th1より大きいかを判定する。曲げ量Dの絶対値が第1の閾値th1より大きいと判定された場合、ステップS530に進んで、表示切替部165は表示内容全体の表示切替としてズームイン制御を指示し、画像処理部170は、その指示に従って表示内容全体をズームイン制御し、ステップS595に進んで本処理を終了する。
【0068】
この結果、図6(b)に示したように、ユーザが両手を用いて電子ブック100の中心部を外側に緩やかに曲げると、電子ブック100の画面全体に表示されたアイテムがズームインし、表示内容全体が拡大される。なお、曲げ情報に示されている曲げ量は、歪み量や曲げ角度等、曲げ応力を検出できる物理量であればいずれでもよい。
【0069】
〔1−6〕表示内容一部切替処理
次に、ステップS420にて呼び出される表示内容一部切替処理について説明する。まず初めに、図7及び図8を参照しながら表示内容一部切替処理の一例としてメニュー表示を挙げて説明する。図7は、前述したとおり表示内容一部切替処理を示したフローチャートである。図8は、メニュー表示等を説明するための図である。
【0070】
(1−6−1)メニュー表示
表示内容一部切替処理は、ステップS700から開始され、信号取得部155は、ステップS705にてベンディングセンサ105cにより検出されたZ方向の曲げ情報を取得する。次に、判定部160は、ステップS710に進んで、取得された曲げ情報に基づき、第2の閾値th2より大きい曲げ(歪み)が生じたかを判定する。図8に示したように、電子ブック100の一部に生じた曲げ量Dの絶対値が第2の閾値th2より大きい場合、判定部160は電子ブック100の曲率の高い部分にて所定以上の曲げ応力が生じたと判定し、ステップS715に進む。表示切替部165は、表示内容全体のうちの区画された一部の表示切替としてメニュー表示制御を指示し、画像処理部170は、その指示に従って曲げ応力が生じた部分に図8(a)に示したメニューを表示する。一方、電子ブック100の一部に生じた曲げ量Dの絶対値が第2の閾値th2より小さい場合、直ちにステップS795に進み本処理を終了する。
【0071】
次に、ステップS720に進み、判定部160は、前記曲げた状態でユーザが指をずらしたかを判定する。実際には、曲げた状態でユーザが指をずらしたかは、ベンディングセンサ105cにより曲げ応力を検出するとともに、位置センサ105aにより指の位置の移動を検出することにより測定可能である。この結果、曲げた状態でユーザが指をずらしたと判定された場合、ステップS725に進み、表示切替部165は、表示内容全体のうちの区画された一部の表示切替としてメニュー選択を指示し、画像処理部170は、その指示に従って、図8(b)に示したように曲げ応力が生じた部分のメニューを選択する。その後、ステップS795に進んで本処理を終了する。
【0072】
一方、ステップS720にて、前記曲げた状態でユーザが指をずらしていないと判定された場合、ステップS730に進み、判定部160は、前記曲げている位置が電子ブック100の角部であるかを判定する。曲げている位置が電子ブック100の角部であるかは、曲げ応力が生じている位置を位置センサ105aにより検出することにより測定可能である。この結果、前記曲げている位置が電子ブック100の角部である場合、ステップS735に進み、表示切替部165は、表示内容全体のうちの区画された一部の表示切替を指示し、画像処理部170は、図8(c)に示したように、ブックマークを表示する。その後、ステップS795に進んで本処理を終了する。
【0073】
なお、以上では電子ブック100の角部をつまむ動作によりブックマークを表示する処理を説明したが、これ以外にも、たとえば、押圧された角部に読んだ日付を表示する等、いろいろな情報を付加することができる。
【0074】
(1−6−2)ページめくり表示
次に、図9及び図10を参照しながらステップS420にて呼び出される表示内容一部切替処理の他の例として、ページめくり表示を挙げて説明する。図9は、図7に替わる表示内容一部切替処理を示したフローチャートである。図10は、ページめくり表示を説明するための図である。
【0075】
表示内容一部切替処理は、ステップS900から開始され、信号取得部155は、ステップS905にてベンディングセンサ105cにより検出されたZ方向の曲げ情報を取得する。次に、判定部160は、ステップS910に進んで、取得された曲げ情報に基づき、第2の閾値th2より大きい曲げ(歪み)が生じたかを判定する。電子ブック100の端部に生じた曲げ量Dの絶対値が第2の閾値th2より小さい場合、直ちにステップS995に進み、本処理を終了する。
【0076】
一方、電子ブック100の一部に生じた曲げ量Dの絶対値が第2の閾値th2より大きい場合、判定部160は電子ブック100の曲率の高い部分にて所定以上の曲げ応力が生じたと判定し、ステップS915に進む。判定部160は、ステップS915にて、前記曲げた状態でユーザが指をずらしたかを判定する。実際には、曲げた状態でユーザが指をずらしたかは、ベンディングセンサ105cにより曲げ応力を検出するとともに、位置センサ105aにより指の位置の移動を検出することにより測定可能である。この結果、曲げた状態でユーザが指をずらしていないと判定された場合、ステップS920に進み、表示切替部165は、表示内容一部の表示切替を指示し、画像処理部170は、その指示に従って、図10(a)に示したように画面を更新する。
【0077】
一方、曲げた状態でユーザが指をずらしたと判定された場合、ステップS925に進み、表示切替部165は、表示内容一部の表示切替を指示し、画像処理部170は、その指示に従ってページをめくる表示を実行する。具体的には、電子ブック100の右外周側にて曲げ応力を掛けながらユーザが指をずらした場合、図10(b)に示したように前のページへ戻り、電子ブック100の左外周側にて曲げ応力を掛けながらユーザが指をずらした場合、図10(c)に示したように次のページへ進むようにしてもよい。
【0078】
また、画像処理部170は、指の移動の速度に応じてページめくりの速度を変更させる。その際、指の移動の速度は、たとえば、速度センサや加速度センサを用いて測定してもよい。
【0079】
さらに、画像処理部170は、ページめくりの動作に応じて電子ブック100の指により押された部分の曲げ状態を視覚的に示すように、電子ブック100の曲げ応力が生じている側に1又は2以上のラインlnを表示してもよい。これは、図11(a)に示したように曲げ応力が発生する前は表示せず、図11(b)に示したように曲げ応力の発生に応じて表示する。図11(c)に示したように曲げ応力を発生させた状態で指を外側にスライドさせるとこれに応じてラインlnの曲線を大きくカーブさせて表示 したり、ラインlnの本数を多く表示したり、ラインを上下させて表示してもよい。
【0080】
これによれば、ユーザが電子ブック100に触れるまでは入力操作を誘導するような表示はしない。しかしながら、ユーザが電子ブック100に触れ、電子ブック100のページをめくりたいと要求する外側端部を通常の本と同様な感覚で曲げることによりページめくりの動作が表示される。このため、ユーザは電子ブック100を実際の書籍を読むような感覚で使用することができる。さらに、指の移動のスピードがページめくりの速度に反映されたり、ページをめくろうとする動作が1又は2以上のラインlnの表示により視覚的に表現されたりすることにより、ユーザは従来にない直観的な入力操作で電子ブック100を読むことができる。
【0081】
このように、実空間の物質と同じような手順で電子機器を操作することにより、ユーザは入力操作に煩わされることなく簡易に扱うことができ、電子機器を温かみのある物として楽しむことができる。たとえば、ユーザが電子ブック100の両側部を持って書類を揃えるように電子ブック100の底面をトントンと机に当てる動作をした場合、表示内容がコンテンツの先頭まで戻るか、チャプター毎に一つずつ戻るようにしてもよい。このようの操作もユーザのいままで行ってきた生活上の操作に即した直観的な入力操作であるため、ユーザにとって受け入れやすく、操作が自然で簡単である。また、電子ブック100に入力ボタンがないため、ユーザに両手を用いた入力操作を強いることがなく、デザイン的にも美しく、ユーザが愛着を持つ電子機器を実現することができる。
【0082】
〔2〕第2実施形態に係る表示装置(携帯オーディオプレーヤ)
次に、本発明の第2実施形態に係る表示装置(携帯オーディオプレーヤ)について、図12〜図14を参照しながら説明する。図12は、第2実施形態に係る携帯オーディオプレーヤ200の表示切替処理を示したフローチャートである。図13は、携帯オーディオプレーヤ200の入力操作と表示切り替えとの関係を説明するための図である。図14は、携帯オーディオプレーヤ200の楽曲選択のための表示切替の一例を示した図である。
【0083】
携帯オーディオプレーヤ200は、図14に示したように、バングル型で手首に装着することによりデザイン性及び携帯性の高いオーディオプレーヤとして機能する。携帯オーディオプレーヤ200の表面全体が表示部205となっており、バングル全体に画像を表示することができる。操作ボタンが一切存在しないため外観が滑らかで美しく、ジュエリーとして手首に装着することができる。
【0084】
携帯オーディオプレーヤ200の内部ハードウエア構成及び機能構成は第1実施形態と同じである。なお、携帯オーディオプレーヤ200は、筐体の一部又は全部が可撓性を有する表示装置の一例である。
【0085】
〔2−1〕表示切替処理
次に、かかる構成の携帯オーディオプレーヤ200を用いた表示切替処理について説明する。本実施形態に係る表示切替処理は、図12のステップS1200から開始され、信号取得部155は、ステップS1205にてベンディングセンサ105cにより検出されたZ方向の曲げ情報を取得する。次に、判定部160は、ステップS1210に進んで、図13(a)のようにユーザが携帯オーディオプレーヤ200の両端をつまんだかを判定する。具体的には、判定部160は、携帯オーディオプレーヤ200の両端に生じた曲げ量Dの絶対値が所望の閾値より小さい場合、直ちにステップS1295に進み本処理を終了する。
【0086】
一方、携帯オーディオプレーヤ200の一部に生じた曲げ量Dの絶対値が所望の閾値より大きい場合、判定部160は携帯オーディオプレーヤ200の両端にて所定以上の曲げ応力が生じたと判定し、ステップS1215に進む。判定部160は、図13(b)に示したように、前記両端をつまんだ状態でユーザが両指をスライドさせたかを判定する。実際には、曲げた状態でユーザが指をずらしたかは、ベンディングセンサ105cにより曲げ応力を検出するとともに、位置センサ105aにより指の位置の移動を検出することにより測定可能である。この結果、両端をつまんだ状態でユーザが指をずらしていないと判定された場合、ステップS1220に進む。判定部160は、図13(c)に示したように、前記両端をつまんだ状態でユーザが両指をひねったかを判定する。
【0087】
この結果、両端をつまんだ状態でユーザが両指をひねっていないと判定された場合、ステップS1225に進む。表示切替部165は、表示内容の表示切替を指示し、画像処理部170は、その指示に従って、図13(a)に示したようにユーザが両端をつまんだアイテムを選択し、ステップS1295に進んで処理を終了する。
【0088】
一方、ステップS1220にて両端をつまんだ状態でユーザが両指をひねったと判定された場合、ステップS1230に進む。表示切替部165は、表示内容の表示切替を指示し、画像処理部170は、その指示に従って、図13(c)に示したように表示部205に表示されたリストの階層を上階層又は下階層に移動させて表示し、ステップS1295に進んで処理を終了する。
【0089】
また、ステップS1215にて両端をつまんだ状態でユーザが両指をスライドさせたと判定された場合、ステップS1235に進む。表示切替部165は、表示内容の表示切替を指示し、画像処理部170は、その指示に従って、図13(b)に示したように表示部205に表示された画面を指のスライド量及びスライドした方向に従いスクロールさせ、ステップS1295に進んで処理を終了する。
【0090】
本処理の一例としては、たとえば、図14(a)に示したように、携帯オーディオプレーヤ200の表示部205が複数のアルバム1,2,3を表示していた場合、ユーザがアルバム2を示した部分の両端をつまんで押圧すると、アルバム2の表示部分の両端にラインlnが表示されるとともにアルバム2が選択され、表示部205には、図14(b)に示したようにアルバム2に収められた複数のトラック1,2,3が表示される。
【0091】
次に、ユーザがトラック2を示した部分の両端をつまんで押圧すると、トラック2の表示部分の両端にラインlnが表示されるとともにトラック2が選択され、トラック2に収められた楽曲の再生が開始され、それと同時に表示部205には、図14(c)のような再生画面が映し出される。
【0092】
これによれば、ユーザが携帯オーディオプレーヤ200に触れるまで入力操作を誘導するような表示はしない。しかしながら、ユーザが携帯オーディオプレーヤ200に触れ、携帯オーディオプレーヤ200の楽曲を選択したいと要求する表示部の両端を押さえることにより押圧して選択した動作がライン表示されるため、ユーザは携帯オーディオプレーヤ200を片手で確実に操作することができる。さらに、指のスライド動作やひねり動作という単純な操作という、ユーザにとって直観的な入力操作で携帯オーディオプレーヤ200を容易に操作することができる。このため、外出中の操作に適している。また、操作ボタン等を一切取り付ける必要がないため、外観に凹凸がなく滑らかなラインを表現でき、携帯オーディオプレーヤ200をジュエリー感覚で身につけることができる。さらに、携帯オーディオプレーヤ200の表面全体を表示部205として使用することにより、表示部205を入力操作のために用いたり、楽曲に応じた美しい画像を出力したりすることができ、機能性と美感性の両方を兼ね備えた未来型の携帯オーディオプレーヤ200を構築することができる。
【0093】
〔3〕第3実施形態に係る表示装置(スクリーン)
次に、本発明の第3実施形態に係る表示装置(スクリーン)について、図15及び図16を参照しながら説明する。図15は、第3実施形態に係るスクリーン300の表示切替処理を示したフローチャートである。図16は、スクリーン300の曲げ状態と画面モードの表示切替との関係を説明するための図である。
【0094】
なお、スクリーン300は、筐体の一部又は全部が可撓性を有する表示装置の一例である。スクリーン300の内部ハードウエア構成及び機能構成は第1実施形態と同じである。
【0095】
〔3−1〕表示画面モード切替処理
次に、かかる構成のスクリーン300を用いた表示切替処理について説明する。本実施形態に係る表示切替処理は、図15のステップS1500から開始され、信号取得部155は、ステップS1505にて位置センサ105aにより検出されたX−Y方向の位置情報を取得する。信号取得部155は、ステップS1510にてベンディングセンサ105cにより検出されたZ方向の曲げ情報を取得する。
【0096】
次に、判定部160は、ステップS1515に進んで、位置情報及び曲げ情報に基づきスクリーン全体が曲げられているかを判定する。この結果、スクリーン全体が所定以上曲げられていないと判定された場合、ステップS1520に進み、表示切替部165は、表示内容の表示切替を指示し、画像処理部170は、その指示に従って、スクリーン300の表示画面をフルスクリーン用表示画面モードに切り替え、ステップS1595に進んで処理を終了する。
【0097】
これによれば、スクリーン300の表示部305が、図16(a)又は図16(e)に示したようにフルスクリーン用表示画面モードに切り替えられる。すなわち、スクリーン300を図16(a)に示した縦置きのフルスクリーンとして機能させる、又は図16(e)に示した横置きのフルスクリーンとして機能させるようにスクリーン300の画面モードが切り替えられる。これにより、ユーザはスクリーンの表示部305の全面で映像コンテンツ等を閲覧することができる。
【0098】
一方、ステップS1515にてスクリーン全体が所定以上曲げられていると判定された場合、ステップS1525に進み、判定部160は、スクリーン300の端部が曲げられているかを判定する。スクリーン300が電子ブックとして機能する場合、縦に配置されたスクリーン300の両側端部にてユーザの両手が電子ブックを保持する際にユーザの手によりスクリーン300が押圧され、スクリーン300の対向する両端部が曲げられる。また、スクリーン300がパーソナルコンピュータとして機能する場合、スクリーン300に表示されたキーボード等の入力操作側がキーボード等をたたく際にユーザの腕や手首により押圧され、スクリーン300の一端部が曲げられる。
【0099】
ステップS1525にてスクリーン300の端部が曲げられていると判定された場合、判定部160は、ステップS1530に進み、対向する両端部が曲げられているかを判定する。上述したように、対向する両端部が曲げられていると判定された場合、ステップS1535に進んで、表示切替部165は、表示内容の表示切替を指示し、画像処理部170は、その指示に従って、スクリーン300の表示画面を電子ブック用表示画面モードに切り替え、ステップS1595に進んで処理を終了する。
【0100】
この結果、スクリーン300の表示部305が、図16(d)に示したデュアルスクリーン(デュアルディスプレイ)として機能する。これにより、ユーザはスクリーンの表示部305の両面でページ分割されたコンテンツを閲覧することができる。
【0101】
ステップS1530にてスクリーン300の対応する両端部が曲げられていないと判定された場合、ステップS1540に進み、表示切替部165は、表示内容の表示切替を指示し、画像処理部170は、その指示に従って、スクリーン300の表示画面をラップトップ用表示画面モードに切り替え、ステップS1595に進んで処理を終了する。
【0102】
この結果、スクリーン300の上半分が、図16(b)又は図16(c)に示したラップトップ型パーソナルコンピュータの表示部305として機能し、下半分が仮想キーボード310又はフリーレイアウトの仮想ボタン315等の入力操作部として機能する。これにより、ユーザはスクリーンの表示部305の下半面でコンテンツを編集するためのパーツを表示し、上半面でコンテンツを閲覧することができる。
【0103】
〔4〕第4実施形態に係るコントローラ(リモートコントローラ)
最後、本発明の第4実施形態に係るリモートコントローラについて、図17および図18を参照しながら説明する。図17は、第4実施形態に係るリモートコントローラ400が遠隔操作するテレビの切替制御の一例を示した図である。図18は、本実施形態に係るリモートコントローラ400の機能構成を示したブロック図である。
【0104】
本実施形態に係るリモートコントローラ400は、筐体の全部が可撓性を有する植物性プラスチックから形成されたテレビのリモコンである。なお、リモートコントローラ400は筐体の一部又は全部が可撓性を有するコントローラの一例である。筐体の一部又は全部が可撓性を有するコントローラの他の例としては、携帯オーディオプレーヤ200のリモコン、ブルーレイディスクのリモコン、DVD(Digital Versatile Disc)レコーダのリモコン、ゲーム機のコントローラが挙げられる。
【0105】
〔4−1〕コントローラの機能構成
リモートコントローラ400は、記憶部450、信号取得部455、判定部460、表示切替部465及びテレビ制御部470を有している。信号取得部455は、位置センサ105a及びベンディングセンサ105cに接続されている。
【0106】
記憶部450は、リモートコントローラ400の筐体の湾曲の程度により制御内容の切替制御を行うかを判定するための閾値を記憶する。
【0107】
信号取得部455は、位置センサ105aにより検出された2次元の位置情報(X−Y方向)を示す信号、及び、ベンディングセンサ105cにより検出された曲げ情報(Z方向)を示す信号を取得する。
【0108】
判定部460は、位置センサ105a及びベンディングセンサ105cの検出結果に基づいてリモートコントローラ400がどのように曲げられているかを判定する。
【0109】
制御切替部465は、曲げられている部分の曲げ量と閾値との関係から、制御内容の切替制御を行うかを指示する。テレビ制御部470は、制御切替部465の指示に従って、テレビ500を遠隔制御する。
【0110】
〔4−2〕制御内容モード切替処理
テレビ制御部470が行う制御内容の切替処理の一例について図17を参照しながら説明する。ユーザがリモートコントローラ400の両端を持ってリモートコントローラ400の中央を外側に曲げると、筐体が凸型に曲げられる。この場合、テレビ制御部470は、テレビ500の表示画面をズームイン制御する。
【0111】
ユーザがリモートコントローラ400の両端を持ってリモートコントローラ400の中央を内側に曲げると、筐体が凹型に曲げられる。この場合、テレビ制御部470は、テレビ500の表示画面をズームアウト制御する。
【0112】
ユーザがリモートコントローラ400の全体を握りながら親指で上部をツイスト(回転)すると、筐体の上部が回転方向にひねられる。この場合、テレビ制御部470は、テレビ500のチャネルをサーチ制御する。
【0113】
ユーザがリモートコントローラ400の全体を握りながら親指で上部をそらせると、筐体の上部がそる。この場合、テレビ制御部470は、テレビ500のチャネルを選択制御する。
【0114】
各実施形態に係るコントローラ400によれば、コントローラ400の曲げられている部分の状態に応じて遠隔制御内容を切り替えることができる。
【0115】
以上に説明したように、第1〜第4実施形態に係る表示装置及び制御装置によれば、装置の曲げられている部分の状態に応じて装置の表示内容及び制御内容を切り替えることができる。
【0116】
上記第1〜第3の実施形態において、各部の動作は互いに関連しており、互いの関連を考慮しながら、一連の動作及び一連の処理として置き換えることができる。これにより、表示装置の実施形態を、表示装置の表示切替方法の実施形態及び表示装置が有する機能をコンピュータに実現させるための表示切替プログラムの実施形態とすることができる。
【0117】
これにより、表示部を有し、筐体の一部又は全部が可撓性を有する表示装置の表示切替方法であって、前記表示装置の曲げられている部分をセンサを用いて検出するステップと、前記検出された前記表示装置の曲げられている部分の位置及び曲げ度合に応じて、前記表示部の表示内容を切り替えるステップと、を有する表示切替方法を提供することができる。
【0118】
また、表示部を有し、筐体の一部又は全部が可撓性を有する表示装置の表示切替プログラムであって、前記表示装置の曲げられている部分をセンサを用いて検出する処理と、前記検出部により検出された前記表示装置の曲げられている部分の位置及び曲げ度合に応じて、前記表示部の表示内容を切り替える処理と、をコンピュータに実行させるための表示切替プログラムを提供することができる。
【0119】
また、上記第4の実施形態において、各部の動作は互いに関連しており、互いの関連を考慮しながら、一連の動作及び一連の処理として置き換えることができる。これにより、コントローラの実施形態をコントローラの制御切替方法の実施形態及びコントローラが有する機能をコンピュータに実現させるための制御切替プログラムの実施形態とすることができる。
【0120】
これにより、筐体の一部又は全部が可撓性を有するコントローラの制御切替方法であって、前記コントローラの曲げられている部分をセンサを用いて検出するステップと、前記検出部により検出された前記コントローラの曲げられている部分の位置及び曲げ度合に応じて、前記コントローラの制御内容を切り替えるステップと、を有する制御切替方法を提供することができる。
【0121】
また、筐体の一部又は全部が可撓性を有するコントローラの制御切替プログラムであって、前記コントローラの曲げられている部分をセンサを用いて検出する処理と、前記検出部により検出された前記コントローラの曲げられている部分の位置及び曲げ度合に応じて、前記コントローラの制御内容を切り替える処理と、をコンピュータに実行させるための制御切替プログラムを提供することができる。
【0122】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0123】
例えば、本発明に係る表示装置としては、電子ブック100、携帯オーディオプレーヤ200、スクリーン300に限られず、たとえば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器に用いられてもよい。また、本発明に係る表示装置は、音楽プレーヤや動画プレーヤやブックリーダとしてだけでなく、写真ビューア、地図アプリ、ウエブブラウザなどを閲覧する電子機器に使用することができる。また、制御装置としては、テレビ用リモートコントローラ400に限られず、他の電子機器のリモートコントローラや自動車等の各種キーコントローラ等であってもよい。
【0124】
また、入力操作と切替動作との関係は、上述した組み合わせに限られない。たとえば、図13(a)では、携帯オーディオプレーヤ200の短手方向の両端を押圧するとアイテムを選択する動作を実行した。これに加えて、携帯オーディオプレーヤ200の長手方向の両端を押圧すると直前の動作をキャンセルする動作を実行させてもよい。また、たとえば、図17では、ユーザがリモートコントローラ400の上部をそらせると、チャネル選択に切替制御された。しかし、これに限ることなく、たとえば、上部をそらせると早送り又は巻き戻しの切替制御を行うようにしてもよい。その際、曲げ量に応じて早送り又は巻き戻しの速度を変化させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0125】
100 電子ブック
105,205,305 表示部
105a 位置センサ
105b フレキシブルディスプレイ
105c ベンディングセンサ
105d フレキシブル回路
105f フレキシブルバッテリー
110 枠体
150,450 記憶部
155,455 信号取得部
160,460 判定部
165 表示切替部
170,470 画像処理部
200 携帯オーディオプレーヤ
300 スクリーン
310 仮想キーボード
315 仮想ボタン
400 リモートコントローラ
465 制御切替部
500 テレビ
ln ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の一部又は全部が可撓性を有する表示装置であって、
表示部と、
前記表示装置の曲げられている部分を検出する第1の検出部と、
前記表示装置のひねり部分を検出する第2の検出部と、
前記第1の検出部または前記第2の検出部により検出された前記表示装置の曲げられている部分の位置及び曲げ度合いまたはひねり度合いに応じて前記表示部のコンテンツへの動作指示を切り替えるコンテンツ表示切替部と、
を備える、表示装置。
【請求項2】
前記コンテンツ表示切替部は、前記第1の検出部の検出と前記第2の検出部の検出とで、前記コンテンツの動作を異ならせる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記コンテンツは、静止画または動画または音楽である、請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1の検出部の検出によってコンテンツの選択、再生または表示が行われ、前記第2の検出部の検出によってコンテンツの変更が行われる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2の検出部の検出によってコンテンツの選択、再生または表示が行われ、前記第1の検出部の検出によってコンテンツの変更が行われる、請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
筐体の一部又は全部が可撓性を有する表示装置の表示制御方法であって、
表示ステップと、
前記表示装置の曲げられている部分を検出する第1の検出ステップと、
前記表示装置のひねり部分を検出する第2の検出ステップと、
前記第1の検出ステップまたは前記第2の検出ステップにより検出された前記表示装置の曲げられている部分の位置及び曲げ度合いまたはひねり度合いに応じて、前記表示ステップで表示されるコンテンツへの動作指示を切り替えるコンテンツ表示切替ステップと、
を備える、表示装置の表示制御方法。
【請求項7】
筐体の一部又は全部が可撓性を有する表示装置を制御するコンピュータプログラムであって、
表示ステップと、
前記表示装置の曲げられている部分を検出する第1の検出ステップと、
前記表示装置のひねり部分を検出する第2の検出ステップと、
前記第1の検出ステップまたは前記第2の検出ステップにより検出された前記表示装置の曲げられている部分の位置及び曲げ度合いまたはひねり度合いに応じて、前記表示ステップで表示されるコンテンツへの動作指示を切り替えるコンテンツ表示切替ステップと、
を実行させる、コンピュータプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−142001(P2012−142001A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−35236(P2012−35236)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【分割の表示】特願2008−334344(P2008−334344)の分割
【原出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】