説明

表面処理装置のコンベア

【課題】表面処理装置間の間隔空間において、第1に、基板材を傾斜させて、付着していた処理液を流下させることにより、処理液の混じり合いが防止され、第2に、付着していた処理液を吸液,除去することにより、この面からも、処理液の混じり合いが防止される、表面処理装置のコンベアを提案する。
【解決手段】この表面処理装置1は、処理液Bの液槽5と、液槽5内で基板材Aを液中搬送するコンベア3と、液槽5内で処理液Bを液中噴射するスプレーノズル4と、を有しており、コンベア3は、基板材Aの両側端面を挟んで送る挟みローラー9を備えている。そして、表面処理装置1間の間隔空間Dのコンベア3は、凸状形成用の挟みローラー9’を備えており、基板材Aは、上り傾斜そして下り傾斜して搬送される。更に挟みローラー9’は、吸液性を備えており、挟みローラー9’間にはエアーノズルが配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理装置のコンベアに関する。すなわち、基板の製造工程で使用され、基板材を処理液にて表面処理する表面処理装置のコンベアに、関するものである。
【背景技術】
【0002】
《技術的背景》
電子機器に用いられる回路用の基板は、小型軽量化,極薄化,フレキシブル化の進展がめざましく、形成される回路も微細化,高密度化が著しい。
そして、このような基板の製造工程では、表面処理装置が用いられており、基板材は、薬液や洗浄液等の処理液にて表面処理される。
【0003】
《従来技術》
この種の表面処理装置では、基板材が、その処理室内をコンベアのストレートローラー製やホイール製の上下の搬送ローラーにて搬送されつつ、スプレーノズルから処理液が噴射され、もって順次表面処理されて回路が形成され、基板が製造されている。
そして多くの場合、コンベアやスプレーノズルは、雰囲気中・空中に配設されており、基板材は、雰囲気中・空中で噴射された処理液にて、表面処理されていた。
これに対し、コンベアやスプレーノズルを処理液中に配設した表面処理装置も、開発されている。すなわち、処理液で満たされた液槽中にコンベアやスプレーノズルを配設し、もって、極薄で柔軟な基板材を、液中噴射された処理液にて表面処理する表面処理装置も出現している。
【0004】
《先行技術文献情報》
このような表面処理装置としては、例えば、次の特許文献1,2中に示されたものが挙げられる。特許文献1は、空中噴射方式のものに関し、特許文献2は、液中噴射方式のものに関する。
【0005】
【特許文献1】特開2002−68435号公報
【特許文献2】特開平10−079565号公報
【0006】
《特願2006−264189について》
なお、本発明者および出願人は、液中噴射方式の表面処理装置について、更に研究開発を進め、平成18年9月28日に特願2006−264189を特許出願した。
この特許出願は、表面処理装置のコンベアについて、基板材の回路形成面には無接触で両側端面を挟んで送る挟みローラーを、搬送ローラーとして採用したことを要旨とする。
そして、極薄で柔軟な基板材に関し、空中噴射方式について指摘されていた噴射薬液による乱流,液溜まりや、その圧や重量による撓み事故等が解消されると共に、更に、液中噴射方式について指摘されていた回路形成面の損傷も防止される、という優れた効果が期待されている(本発明は、この特許出願の改良発明である)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、このような従来例については、次の点が課題とされていた。すなわち、このような表面処理装置の処理室間において、搬送される基板材に付着した処理液が、混じり合わないようにすることが、重要テーマとなっている。
特に、前工程の表面処理装置の処理室で噴射されて基板材に付着した処理液が、持ち出されて移動し、もって次工程の表面処理装置の処理室に持ち込まれないようにすることが、重要テーマとなっている。
そして特に、液中噴射方式の表面処理装置にあっては、基板材が液中搬送されつつ、処理液にて表面処理されるので、基板材への処理液の付着度が高く、基板材が処理液で全体的に密に濡らされている。しかも、特願2006−264189にあっては、基板材の両側端面のみを挟んで送る挟みローラーが、搬送ローラーとして採用されており、中央部の回路形成面に処理液が付着,残留し易い。これらにより、上述したテーマが特に重要視されていた。
そして、このような処理液の持ち出し,移動,持ち込み,混じり合いが発生すると、処理液の性能低下が顕著化する。
例えば、同一の処理液(例えばエッチング液)を使用する表面処理装置の処理室間でも、又、異種の処理液(例えば、エッチング液と剥離液、エッチング液と洗浄液)を使用する表面処理装置の処理室間でも、処理液の混じり合いが発生すると、その処理液の性能が低下し、ライフ寿命が短くなってしまう。そこで、このような処理液の混じり合い防止が、従来、重要なテーマとなっていた。
【0008】
《本発明について》
本発明の表面処理装置のコンベアは、このような実情に鑑み、上記従来例の課題を解決すべくなされたものである。
そして本発明は、表面処理装置間の間隔空間において、第1に、基板材を傾斜させて、付着していた処理液を流下させることにより、処理液の混じり合いが防止されると共に、第2に、付着していた処理液を吸液,除去することにより、この面からも処理液の混じり合いが防止される、表面処理装置のコンベアを提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
《請求項について》
このような課題を解決する本発明の技術的手段は、次のとおりである。まず、請求項1については次のとおり。
請求項1の表面処理装置のコンベアは、基板の製造工程で使用される。そして該表面処理装置は、処理液の液槽と、該液槽内に配設され該基板材を液中搬送する該コンベアと、該液槽内に配設され該処理液を液中噴射するスプレーノズルと、を有している。該表面処理装置間には、間隔空間が形成されると共に、該基板材を液外搬送する該コンベアが配設されている。
そして両該コンベアは、該基板材の回路形成面には無接触で該基板材の両側端面のみを挟んで送る挟みローラーが、搬送方向に列設されてなり、かつ、該間隔空間の該コンベアは、該挟みローラーについて、該表面処理装置間の該処理液の混じり合い防止手段が講じられていること、特徴とする。
請求項2については次のとおり。請求項2のコンベアでは、請求項1において、該コンベアは、該基板材を水平搬送し、該挟みローラーは、上下対をなすと共に左右に配されており、該基板材の左右両側端面を上下から挟んで送ること、を特徴とする。
【0010】
請求項3については次のとおり。請求項3のコンベアでは、請求項2において、該間隔空間の該コンベアは、該基板材を上り傾斜次いで下り傾斜させ、もって該基板材に付着した該処理液を、その表面処理装置に向けて流下させること、を特徴とする。
請求項4については次のとおり。請求項4のコンベアでは、請求項3において、該間隔空間の該コンベアは、他の該挟みローラーより高さレベルが高い凸状形成用の該挟みローラーを備えている。そして該基板材は、凸状形成用の該挟みローラーの位置では高く、他の該挟みローラーの位置では低く、傾斜して搬送されること、を特徴とする。
請求項5については次のとおり。請求項5のコンベアでは、請求項4において、凸状形成用の該挟みローラーは、その高さレベルが可変となっており、各種高さレベルに設定可能となっていること、を特徴とする。
【0011】
請求項6については次のとおり。請求項6のコンベアでは、請求項2において、該間隔空間の該コンベアは、該処理液の吸液性を備えた該挟みローラーを有していること、を特徴とする。
請求項7については次のとおり。請求項7のコンベアでは、請求項6において、吸液性を備えた該挟みローラーは、該間隔空間の搬送方向中央部に配設され、該基板材に付着した該処理液を吸液,除去すること、を特徴とする。
請求項8については次のとおり。請求項8のコンベアでは、請求項7において、吸液性を備えた該挟みローラーの前後間隔には、該基板材に付着した該処理液を乾燥,除去するエアーノズルが配設されていること、を特徴とする。
請求項9については次のとおり。請求項9のコンベアでは、請求項1,3,又は6に記載した表面処理装置のコンベアにおいて、該表面処理装置は、基板の製造工程の現像工程,エッチング工程,剥離工程,又は洗浄工程で使用され、該処理液は、現像液,エッチング液,剥離液,又は洗浄液よりなり、該基板材は、フレキシブル基板材,その他極薄の軟性基板材よりなること、を特徴とする。
【0012】
《作用等について》
本発明は、このような手段よりなるので、次のようになる。
(1)表面処理装置は、基板製造工程で使用され、極薄柔軟な基板材を表面処理する。
(2)そして、処理液の液槽中に、液中搬送用のコンベアと液中噴射用のスプレーノズルとが、配設されている。
(3)そして基板材は、各表面処理装置間をコンベアにて順次搬送される。
(4)さて、表面処理装置間の間隔空間を、コンベアにて液外搬送される基板材には、処理液が付着している。
(5)更に基板材は、挟みローラーにて両側端面を挟んで搬送されるので、この面からも間隔空間において、処理液が付着したまま残留し易い。
(6)そこで、間隔空間のコンベアは、凸状形成用の挟みローラーを備えており、付着していた処理液は、元の表面処理装置に流下,回収される。
(7)更に、間隔空間のコンベアは、吸液性の挟みローラーやエアーノズルを備えており、付着していた処理液は、吸液,乾燥,除去される。
(8)そこで、本発明の表面処理装置のコンベアは、次の効果を発揮する。
【発明の効果】
【0013】
《第1の効果》
第1に、本発明のコンベアでは、表面処理装置間の間隔空間において、付着した処理液を、凸状形成用の挟みローラーによりその表面処理装置に回収する。
そこで、表面処理装置の処理室間において、処理液の持ち出し,移動,持ち込みが阻止され、処理液の混じり合いは確実に防止される。従って、各表面処理装置について、処理液の性能低下が回避され、処理液のライフ寿命が、前述したこの種従来例に比し大幅に長くなる。
【0014】
《第2の効果》
第2に、本発明のコンベアでは、更に、表面処理装置間の間隔空間において、付着した処理液を、吸液性の挟みローラーやエアーノズルにて吸液,除去する。
もって、この面からも、表面処理装置の処理室間において、処理液の持ち出し,移動,持ち込みが阻止され、処理液の混じり合いは確実に防止される。この面からも、処理液の性能低下が回避され、処理液のライフ寿命がこの種従来例に比し大幅に長くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
《図面について》
以下、本発明の表面処理装置のコンベアを、図面に示した発明を実施するための最良の形態に基づいて、詳細に説明する。
図1〜図3は、本発明を実施するための最良の形態の説明に供する。そして図1は、その1例の側断面説明図、図2は、他の例の側断面説明図である。図3は、表面処理装置の側断面図である。
【0016】
《基板について》
本発明の表面処理装置1は、基板の製造工程で使用される。そこで、まず基板について説明しておく。
電子機器に使用されるプリント配線基板等の回路基板は、小型軽量化,極薄化,微細回路化,高密度回路化,多層化等の進展がめざましい。回路基板の硬軟についても、従来よりのリジット基板等の硬性基板に比し、フレキシブル基板その他極薄で柔軟な軟性基板の進展,増加が著しく、半導体部品が回路と一体的に組み込まれた半導体パッケージ基板の普及も急速である。
そして、このような基板は、例えば次の製造工程を辿って製造される。すなわち、銅張り積層板よりなる基板材Aの外表面に、→感光性レジストを塗布又は張り付けてから、→回路のネガフィルムを当てて露光した後、→回路形成部分以外のレジストを、現像により溶解除去し、→回路形成部分以外の銅箔を、エッチングにより溶解除去してから、→回路形成部分のレジストを、剥膜除去することにより、→基板材Aの外表面に、銅箔にて回路が形成され、→もって、基板が製造される。
基板は、このようになっている。
【0017】
《表面処理装置1について》
表面処理装置1は、このような基板の製造工程で使用され、基板材Aを処理液Bにて表面処理する。表面処理装置1について、図3を参照して詳述する。
表面処理装置1は、基板の製造工程中、例えば現像工程,エッチング工程,剥離工程,又は洗浄工程において、現像装置,エッチング装置,剥離装置,又は洗浄装置として使用される。そして処理室2内において、コンベア3で搬送方向Cに液中搬送される基板材Aに対し、スプレーノズル4から例えば現像液,エッチング液,剥離液,又は洗浄液等の処理液Bが噴射され、もって基板材Aが薬液処理や洗浄処理等、表面処理される。
なお表面処理装置1は、1つの工程について多連に配設されることも多い。例えばエッチング工程では、多くの場合、複数台のエッチング装置が連続的に配設される。
そして表面処理装置1は、その処理室2内に、液槽5,コンベア3,スプレーノズル4,貯槽6等を有している。液槽5は、処理室2上部に形成され、スプレーノズル4から噴射される処理液Bと同じ処理液Bで満たされている。スプレーノズル4は、液槽5の処理液B内に多数配設されており、搬送される基板材Aの回路形成面に対向位置して、処理液Bを液中噴射する。
処理液Bは、処理室2下部の貯槽6から、ポンプ7や配管8を介し各スプレーノズル4に圧送されて、基板材Aに噴射される。そして、基板材Aから反射され,跳ね返った処理液Bは、液槽5中の処理液B中に吸収されるが、その結果、液槽5からオーバーフローした処理液Bが、貯槽6に回収されて循環使用される。
【0018】
コンベア3は、基板材Aの回路形成面には無接触で両側端面のみを挟んで送る多数の挟みローラー9が、液槽5の処理液B内において、搬送方向Cに沿って多数列設されてなる。すなわち基板材Aは、中央部の回路形成面と、その外周縁の前後端面や左右両側端面と、から構成されており、前後端面や両側端面は、みみ部とも称され非回路形成面となっている。
そして、上下の挟みローラー9が、駆動搬送ローラーとして、このような基板材Aの左右両側端面を、上下から挟んで送るべく上下対をなすと共に、左右に列設されている。なお図示例のコンベア3は、このように基板材Aを水平搬送する方式よりなるが、挟みローラー9が、左右で対をなしたり傾斜して対をなし、もって基板材Aを垂直搬送したり傾斜搬送する方式も可能である。
表面処理装置1は、このようになっている。
【0019】
《間隔空間Dのコンベア3について》
以下、図1,図2を参照して説明する。基板材Aは、このような各表面処理装置1の処理室2間を、コンベア3にて連続的に搬送され、もって各表面処理装置1において、順次所定の表面処理が実施される。
そして、各表面処理装置1の処理室2間には、間隔空間Dがスペース形成されており、この間隔空間Dにおいて基板材Aを液外搬送するコンベア3には、混じり合い防止手段が講じられている。
すなわち、間隔空間Dにおいて基板材Aを、前工程の表面処理装置1の処理室2から、次工程の表面処理装置1の処理室2へと液外搬送するコンベア3は、その上下の挟みローラー9’について、処理液Aの混じり合い防止手段が設けられている。
混じり合い防止手段について、以下詳述する。
【0020】
《凸状形成用の挟みローラー9’について》
まず、図1に示した例では、間隔空間Dのコンベア3は、他の挟みローラー9より高さレベルが高い凸状形成用の挟みローラー9’を備えており、基板材Aは、凸状形成用の挟みローラー9’の位置では、持ち上げられて高く、他の挟みローラー9の位置では低く、傾斜して搬送される。
すなわち、間隔空間Dのコンベア3の挟みローラー9’は、基板材Aを上り傾斜次いで下り傾斜させ、もって基板材Aに付着した処理液Bを、その表面処理装置1の処理室2に向けて、流下させて戻すようになっている。
【0021】
この図1に示した間隔空間D用のコンベア3について、更に詳述する。まず、前工程の表面処理装置1の処理室2の液槽5内において、基板材A表面に付着した処理液B、つまり付着したまま処理室2の出口10から間隔空間Dに搬出されてきた処理液Bは、凸状形成用の上下の挟みローラー9’による基板材Aの傾斜勾配に基づき、元の処理室2の出口10に向けて基板材Aに沿って流下する。そして、その処理室2の液槽5や貯槽6に回収される。
又、後工程の表面処理装置1の処理室2において、基板材A表面に付着した処理液B、つまり処理室2の入口11から溢れ出た処理液Bは、凸状形成用の上下の挟みローラー9’による基板材Aの傾斜勾配に基づき、その処理室2の入口11に向けて基板材Aに沿って流下する。そして、その処理室2の液槽5や貯槽6に回収される。
【0022】
このような間隔空間Dの凸状形成用の挟みローラー9’としては、次のように各種態様が考えられる。a.図示例の挟みローラー9’は、上下共に、同一径寸法よりなると共に、軸の高さレベルが、凸状形成用に順次高くそして低く固定されている。
b.図示例によらず、間隔空間Dについて、搬送方向C中央部のみ、このような挟みローラー9’を採用し、その前後は通常の挟みローラー9とする構成も可能である。
c.又、挟みローラー9’について、他の挟みローラー9より大きな径寸法のものを採用することによっても、凸状形成が可能である。
d.更に、挟みローラー9’の高さレベルを可変とし、各種高さレベルに設定可能としておくことも考えられる。すなわち、上下の挟みローラー9’に昇降機構を付設し、もってコンベア3の搬送速度に対応して上下動可能とし、搬送速度が速いほど急傾斜とし処理液Bの流下速度をより速くすることにより、処理液Bの回収が一段とスムーズ化されるという利点がある。
なお図1中、Eは、下段の挟みローラー9,9’の外周溝に掛け渡されたワイヤーであり、基板材Aの垂れ防止用として機能する。Fは、上段の挟みローラー9,9’の外周溝に嵌挿されたリングであり、基板材Aの巻付き防止用として機能する。
凸状形成用の挟みローラー9’は、このようになっている。
【0023】
《吸液性を備えた挟みローラー9’等について》
次に、図2に示した例では、間隔空間Dの液外搬送用のコンベア3は、処理液Bの吸液性を備えた挟みローラー9’を有している。
そして、吸液性を備えた挟みローラー9’の前後間隔には、基板材Aに付着した処理液Bを乾燥,除去するエアーノズル12が配設されている。
【0024】
この図2に示した間隔空間D用のコンベア3について、更に詳述する。この吸液性を備えた上下の挟みローラー9’は、例えば、外周部に吸液部13を備えた構造よりなり、吸液部13としては硬質発泡材等が採用される。
図示例では、吸液性を備えた挟みローラー9’は、間隔空間Dの搬送方向C中央部において採用されており、その前後は通常の挟みローラー9が用いられている。そして、基板材Aに付着した処理液Bを、基板材Aの両側端面側から吸液,除去する。
又、エアーノズル12は、上下の挟みローラー9’について、それぞれの前後間隔、および挟みローラー9’と挟みローラー9間の前後間隔において、基板材Aの回路形成面や両側端面に対向すべく、それぞれ左右に列設されている。そして、基板材Aに付着した処理液Bを、エアー噴射により乾燥,除去する。
なお、エアーノズル12を左右方向に若干傾斜させておくと、基板材Aに付着した処理液Bが、吸液性の挟みローラー9’へと流され集められるので、処理液Bの除去が一段とスムーズ化する。
吸液性を備えた挟みローラー9’等は、このようになっている。
【0025】
《作用等》
本発明の表面処理装置1のコンベア3は、以上説明したように構成されている。そこで、以下のようになる。
(1)表面処理装置1は、基板の製造工程で使用される。すなわち、極薄の軟性基板の製造工程で使用され、もって極薄で柔軟な基板材Aを、コンベア3にて搬送しつつ、スプレーノズル4から処理液Bを噴射して、回路形成用に表面処理する(図3を参照)。
【0026】
(2)そして各表面処理装置1は、処理液Bで満たされた液槽5中に、液中搬送用のコンベア3と液中噴射用のスプレーノズル4とが、配設されている。コンベア3は、挟みローラー9が基板材Aの非回路形成面である両側端面を、挟んで送る(図3を参照)。
【0027】
(3)そして基板材Aは、前工程の表面処理装置1の処理室2から、次工程の表面処理装置1の処理室2へ、そして更に、次工程の表面処理装置1の処理室2へと、コンベア3にて順次搬送され、処理室2間の間隔空間Dを通過して、受け渡される(図1,図2を参照)。
【0028】
(4)さて、このように表面処理装置1の処理室2間の間隔空間Dを、コンベア3にて搬送される基板材Aには、処理液Bが、全体的に水滴状に付着している。すなわち基板材Aは、表面処理装置1の処理室2内では、液中搬送されるのに対し、間隔空間Dでは、液外搬送されると共に処理液Bで濡らされている。
【0029】
(5)更に基板材Aは、コンベア3の挟みローラー9にて両側端面を挟んで送られるので、この面からも間隔空間Dにおいて、中央部の回路形成面に処理液Bが、付着,残留し易い。
【0030】
(6)そこで、この表面処理装置1では、間隔空間Dのコンベア3に、凸状形成用の挟みローラー9’を備えており、基板材Aは、上り傾斜そして下り傾斜して搬送される。もって間隔空間Dにおいて、基板材Aに付着していた処理液Bは、元の表面処理装置1の処理室2に流下,回収される(図1を参照)。
【0031】
(7)更に、この表面処理装置1では、間隔空間Dのコンベア3が、吸液性の挟みローラー9’やエアーノズル12を備えている。そこで間隔空間Dにおいて、基板材Aに付着していた処理液Bは、このような挟みローラー9’やエアーノズル12により、吸液,乾燥,除去される(図2を参照)。
【0032】
(8)なお図示例では、凸状形成用の挟みローラー9’(図1を参照)と、吸液性の挟みローラー9’等(図2を参照)とが、別々に採用されていたが、共通採用することも勿論可能である。すなわち、間隔空間Dを搬送するコンベア3の挟みローラー9’を、凸状形成用とすると共に吸液を備え更にエアーノズル12付のものとして、構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る表面処理装置のコンベアについて、発明を実施するための最良の形態の説明に供し、その1例の側断面説明図である。
【図2】同発明を実施するための最良の形態の説明に供し、他の例の側断面説明図である。
【図3】同発明を実施するための最良の形態の説明に供し、表面処理装置の側断面である。
【符号の説明】
【0034】
1 表面処理装置
2 処理室
3 コンベア
4 スプレーノズル
5 液槽
6 貯槽
7 ポンプ
8 配管
9 挟みローラー
9’挟みローラー
10 出口
11 入口
12 エアーノズル
13 吸液部
A 基板材
B 処理液
C 搬送方向
D 間隔空間
E ワイヤー
F リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の製造工程で使用される、基板材の表面処理装置のコンベアであって、該表面処理装置は、処理液の液槽と、該液槽内に配設され該基板材を液中搬送する該コンベアと、該液槽内に配設され該処理液を液中噴射するスプレーノズルと、を有しており、
該表面処理装置間には、間隔空間が形成されると共に、該基板材を液外搬送する該コンベアが配設されており、
両該コンベアは、該基板材の回路形成面には無接触で該基板材の両側端面のみを挟んで送る挟みローラーが、搬送方向に列設されてなり、かつ、該間隔空間の該コンベアは、該挟みローラーについて、該表面処理装置間の該処理液の混じり合い防止手段が講じられていること、特徴とする表面処理装置のコンベア。
【請求項2】
請求項1に記載した表面処理装置のコンベアにおいて、該コンベアは、該基板材を水平搬送し、該挟みローラーは、上下対をなすと共に左右に配されており、該基板材の左右両側端面を上下から挟んで送ること、を特徴とする表面処理装置のコンベア。
【請求項3】
請求項2に記載した表面処理装置のコンベアにおいて、該間隔空間の該コンベアは、該基板材を上り傾斜次いで下り傾斜させ、もって該基板材に付着した該処理液を、その表面処理装置に向けて流下させること、を特徴とする表面処理装置のコンベア。
【請求項4】
請求項3に記載した表面処理装置のコンベアにおいて、該間隔空間の該コンベアは、他の該挟みローラーより高さレベルが高い凸状形成用の該挟みローラーを備えており、該基板材は、凸状形成用の該挟みローラーの位置では高く、他の該挟みローラーの位置では低く、傾斜して搬送されること、を特徴とする表面処理装置のコンベア。
【請求項5】
請求項4に記載した表面処理装置のコンベアにおいて、凸状形成用の該挟みローラーは、その高さレベルが可変となっており、各種高さレベルに設定可能となっていること、を特徴とする表面処理装置のコンベア。
【請求項6】
請求項2に記載した表面処理装置のコンベアにおいて、該間隔空間の該コンベアは、該処理液の吸液性を備えた該挟みローラーを有していること、を特徴とする表面処理装置のコンベア。
【請求項7】
請求項6に記載した表面処理装置のコンベアにおいて、吸液性を備えた該挟みローラーは、該間隔空間の搬送方向中央部に配設され、該基板材に付着した該処理液を吸液,除去すること、を特徴とする表面処理装置のコンベア。
【請求項8】
請求項7に記載した表面処理装置のコンベアにおいて、吸液性を備えた該挟みローラーの前後間隔には、該基板材に付着した該処理液を乾燥,除去するエアーノズルが配設されていること、を特徴とする表面処理装置のコンベア。
【請求項9】
請求項1,3,又は6に記載した表面処理装置のコンベアにおいて、該表面処理装置は、基板の製造工程の現像工程,エッチング工程,剥離工程,又は洗浄工程で使用され、該処理液は、現像液,エッチング液,剥離液,又は洗浄液よりなり、該基板材は、フレキシブル基板材,その他極薄の軟性基板材よりなること、を特徴とする表面処理装置のコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−137733(P2008−137733A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322810(P2006−322810)
【出願日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(000220240)東京化工機株式会社 (22)
【Fターム(参考)】