説明

表面実装水晶振動子及び基板シート

【課題】 水晶振動子の静電容量を低減して周波数可変量の低下を防止することができる表面実装水晶振動子及び基板シートを提供する。
【解決手段】 水晶保持端子3の一端がコーナー端子2aに接続し、水晶保持端子3の他端は一端に比べて短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、当該パターンが形成されない領域に対向する基板1の裏面にGND端子4aのパターンが形成されるようにしているので、水晶保持端子のパターン(水晶搭載パターン)とGND端子4aのパターンが基板1を挟んで対向しなくなる表面実装水晶振動子及び基板シートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面実装水晶振動子に係り、特に、水晶振動子の静電容量を低減して周波数可変量の低下を防止する表面実装水晶振動子及び基板シートに関する。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
表面実装水晶振動子は小型・軽量であることから、特に携帯型の電子機器に周波数や時間の基準源として内蔵される。
従来の表面実装水晶振動子は、セラミック基板上に水晶片を搭載し、凹状のカバーを逆さまにして被せて密閉封入したものがある。近年では、周波数偏差Δf/fが比較的緩く、例えば±150〜±250ppmの安価な民生用がある。
【0003】
従来の表面実装水晶振動子は、水晶片を搭載する表面に当該水晶片を保持する水晶保持端子が形成されている。
また、表面実装水晶振動子の裏面には、一般的に2カ所のグランド(GND)端子のパターンが形成されている。
【0004】
[関連技術]
尚、関連する先行技術として、特開平04−217108号公報「チップ型圧電部品」(株式会社村田製作所)[特許文献1]、特開平04−296110号公報「圧電共振素子の製造方法」(株式会社村田製作所)[特許文献2]がある。
【0005】
特許文献1には、入力用電極と出力用電極を、中基板を介して互いに対向させないようにすると共に、両者を相当の距離をおいて配置することが示されている。
特許文献2には、圧電基板の厚みの大きい部分では電極の互いに対向しない部分の面積を大きくし、圧電基板の厚みの小さい部分では電極の互いに対向しない部分の面積を小さくして、電極の非対向部分間に生じる浮遊容量の大きさを調整して共振周波数のばらつきを抑制することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平04−217108号公報
【特許文献2】特開平04−296110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の表面実装水晶振動子では、基板表面に形成される水晶保持端子のパターン部分と裏面に形成されるGND端子のパターン部分とが基板(ベース基材)を挟んで重なり、対向するようになると、水晶振動子の静電容量C0が増大する原因となり、周波数可変量の低下につながるという問題点があった。
【0008】
具体的には、静電容量は、金属板の面積と金属板同士の距離、金属板の間に設けられる絶縁体の誘電率により決定されるものである。
また、水晶振動子では顧客により大きな周波数可変量を要求されることがあり、周波数可変量ΔF/Fは、ΔF/F=C1/2(CL+C0)で与えられるため、静電容量C0の増大は周波数可変量の低下につながることになる。
【0009】
本発明は上記実状に鑑みて為されたもので、水晶振動子の静電容量を低減して周波数可変量の低下を防止する表面実装水晶振動子及び基板シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、表面実装水晶振動子において、水晶片が搭載される基板の四隅にスルーホールが形成され、スルーホール内面を導通させるスルー端子が形成され、水晶片が搭載される基板上に、基板の短辺に並行に第1の水晶保持端子が、別の短辺に並行に第2の水晶保持端子が形成され、第1の水晶保持端子の一端がスルー端子のいずれかに接続するコーナー端子に接続し、第1の水晶保持端子の他端は一端に比べて短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、第2の水晶保持端子の一端がスルー端子のいずれかに接続するコーナー端子に接続し、第2の水晶保持端子の他端は一端に比べて短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、パターンが形成されない領域に対向する基板の裏面にグランド端子のパターンが形成されることを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記表面実装水晶振動子において、第1の水晶保持端子が接続するコーナー端子と第2の水晶保持端子が接続するコーナー端子とは、基板上で対角にあることを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記表面実装水晶振動子において、第1及び第2の水晶保持端子は、短辺中央からコーナー端子に接続する端部までの長さと、コーナー端子に接続しない端部までの長さを、3対2としたことを特徴とする。
【0013】
本発明は、複数の表面実装水晶振動子が形成されるシート状の基板シートであって、基板シートには、個々の表面実装水晶振動子の領域を縦方向と横方向に区切るブレイクラインとブレイクラインの交差する箇所にシートを貫通するスルーホールとが形成され、スルーホール内面を導通させるスルー端子が形成され、スルーホールを囲むようにコーナー端子が形成されると共に、領域内の短辺の各々に並行に第1の水晶保持端子と第2の水晶保持端子が形成され、第1の水晶保持端子の一端が近くのコーナー端子に接続し、第1の水晶保持端子の他端は一端に比べて短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、第2の水晶保持端子の一端が近くのコーナー端子に接続し、第2の水晶保持端子の他端は一端に比べて短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、パターンが形成されない領域に対向する裏面にグランド端子のパターンが形成されることを特徴とする基板シート。
【0014】
本発明は、上記基板シートにおいて、第1の水晶保持端子が接続するコーナー端子と第2の水晶保持端子が接続するコーナー端子とは、領域内で対角にあることを特徴とする。
【0015】
本発明は、上記基板シートにおいて、第1及び第2の水晶保持端子は、短辺中央からコーナー端子に接続する端部までの長さと、コーナー端子に接続しない端部までの長さを、3対2としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、水晶片が搭載される基板の四隅にスルーホールが形成され、スルーホール内面を導通させるスルー端子が形成され、水晶片が搭載される基板上に、基板の短辺に並行に第1の水晶保持端子が、別の短辺に並行に第2の水晶保持端子が形成され、第1の水晶保持端子の一端がスルー端子のいずれかに接続するコーナー端子に接続し、第1の水晶保持端子の他端は一端に比べて短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、第2の水晶保持端子の一端がスルー端子のいずれかに接続するコーナー端子に接続し、第2の水晶保持端子の他端は一端に比べて短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、パターンが形成されない領域に対向する基板の裏面にグランド端子のパターンが形成される表面実装水晶振動子としているので、水晶保持端子のパターンとグランド端子のパターンが基板を挟んで対向しなくなり、水晶振動子の静電容量を低減することができ、周波数可変量の低下を防止できる効果がある。
【0017】
本発明によれば、複数の表面実装水晶振動子が形成されるシート状の基板シートには、個々の表面実装水晶振動子の領域を縦方向と横方向に区切るブレイクラインとブレイクラインの交差する箇所にシートを貫通するスルーホールとが形成され、スルーホール内面を導通させるスルー端子が形成され、スルーホールを囲むようにコーナー端子が形成されると共に、領域内の短辺の各々に並行に第1の水晶保持端子と第2の水晶保持端子が形成され、第1の水晶保持端子の一端が近くのコーナー端子に接続し、第1の水晶保持端子の他端は一端に比べて短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、第2の水晶保持端子の一端が近くのコーナー端子に接続し、第2の水晶保持端子の他端は一端に比べて短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、パターンが形成されない領域に対向する裏面にグランド端子のパターンが形成される基板シートとしているので、水晶保持端子のパターンとグランド端子のパターンが基板を挟んで対向しなくなり、水晶振動子の静電容量を低減することができ、周波数可変量の低下を防止でき、グランド端子を使用した周波数の検査及び調整を容易にできる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る水晶搭載パターンの平面説明図である。
【図2】基板表面からGND端子のパターンを表した平面説明図である。
【図3】本振動子の断面説明図である。
【図4】本振動子の平面説明図である。
【図5】本振動子のセラミックシートの表面を示す概略図である。
【図6】本振動子のセラミックシートの裏面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る表面実装水晶振動子は、第1の水晶保持端子の一端がコーナー端子に接続し、第1の水晶保持端子の他端は一端に比べて短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、第2の水晶保持端子の一端がコーナー端子に接続し、第2の水晶保持端子の他端は一端に比べて短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、当該パターンが形成されない領域に対向する基板の裏面にグランド端子のパターンが形成されるようにしているので、水晶保持端子のパターンとグランド端子のパターンが基板を挟んで対向しなくなり、水晶振動子の静電容量を低減することができ、周波数可変量の低下を防止できる。
【0020】
また、本発明の実施の形態に係る表面実装水晶振動子の基板シート(セラミックシート)は、表面において、ブレイクラインで区切られる領域内で、スルーホール周辺に形成されるコーナー端子に接続する水晶保持端子は他のコーナー端子に接続せず、裏面において、ブレイクラインで区切られる領域内で、スルーホール周辺に形成されるコーナー端子に接続する実装端子も他のコーナー端子に接続しない構成としたものであり、上記領域内の実装端子を使用した周波数の検査及び調整を容易にできる効果がある。
【0021】
[水晶搭載パターン:図1]
本発明の実施の形態に係る表面実装水晶振動子(本振動子)の水晶搭載パターンについて図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る水晶搭載パターンの平面説明図である。
本振動子の水晶搭載パターンは、図1に示すように、基板1の四隅に形成されたスルー端子に接続するコーナー端子2a,2bが設けられ、基板の短辺に並行に2つの水晶保持端子(水晶搭載パターン)3が形成されている。
尚、水晶保持端子3は、請求項における第1の水晶保持端子、第2の水晶保持端子に相当している。
図1の表面実装水晶振動子は、「両持」と呼ばれるタイプのものである。
【0022】
ここで、コーナー端子2aは、水晶保持端子3に接続するものの、コーナー端子2bは、水晶保持端子3には接続しないようになっている。
従って、コーナー端子2aは、水晶保持端子3に接続するための接続パターンが形成されている。
【0023】
更に、本振動子の特徴部分として、水晶保持端子3は、基板1の短辺の中央から左右対称ではなく、コーナー端子2aに接続しない端部を短く形成している。
具体的には、コーナー端子2aに接続する側が、中央(中心)から0.75の割合の長さであるとすると、コーナー端子に接続しない側が、中央から0.5の割合の長さとなっている。つまり、3対2の割合である。
【0024】
これにより、図1において、図1の左上の部分に水晶搭載パターンが形成されていない領域が生成され、また、図1の右下の部分にも同様に水晶搭載パターンが形成されていない領域が生成されている。
【0025】
[GND端子のパターン:図2]
次に、基板1の裏面に形成される実装端子4のGND端子4aのパターンについて図2を参照しながら説明する。図2は、基板表面からGND端子のパターンを表した平面説明図である。
図2に示すように、基板1の裏面にGND端子4aのパターンが水晶搭載パターンと重ならない領域に形成されている。図2では、点線で囲った部分がGND端子4aのパターンである。
【0026】
つまり、GND端子4aのパターンと水晶搭載パターンが基板(ベース基材)1を介して対向しないよう、GND端子4aのパターンと水晶搭載パターンの寸法を調整する。
このような構成にすることで、GND端子4aのパターンと水晶搭載パターンが基板1を介して対向しないため、静電容量を低減でき、周波数可変量の低下を防止できる効果がある。
【0027】
[本振動子の構成:図3]
次に、本振動子の構成について図3を参照しながら説明する。図3は、本振動子の断面説明図である。
本振動子は、図3に示すように、セラミックベース(基板)1上に形成した水晶保持端子3に導電性接着剤7を介して水晶片5が搭載され、更に、凹状の金属カバー(カバー)6を逆さまにしてセラミックベース1上に接合して密閉封入したものである。
【0028】
また、基板1の側面にスルー端子2cが形成され、当該スルー端子2cに基板1の表面でコーナー端子2a,2bが接続し、当該スルー端子2cのいずれかに基板1の裏面でコーナー端子2dを介してGND端子4aが接続している。
そして、基板1の表面に形成された水晶保持端子3にコーナー端子2aが接続している。
スルー端子2cは、基板1に四隅に形成されたスルーホール(貫通孔)の側壁に形成される。
【0029】
更に、基板1とカバー6の接触部分との間には、絶縁性のある封止材8が形成されている。
尚、コーナー端子、スルー端子、GND端子は、Ag(銀)Pd(パラジウム)合金で形成されるものである。
【0030】
[本振動子の平面的特徴:図4]
次に、本振動子の平面的な特徴について図4を参照にしながら説明する。図4は、本振動子の平面説明図である。
本振動子は、図4に示すように、セラミックベース(基板)1上に水晶片5の両端を保持するための水晶保持端子3が対向して形成され、水晶保持端子3の端部から最短の基板1の角部に向けて引き出された引出パターンを備えたコーナー端子2aが形成され、スルー端子2cに接続されている。
【0031】
つまり、2つのコーナー端子2aは、基板1上の対角に形成され、スルー端子2cに接続している。また、2つのコーナー端子2bも、基板1上の対角に形成され、スルー端子2cに接続している。
【0032】
基板1の角部に引出パターンを備えたコーナー端子2aを介してスルー端子2cに接続するのは、基板1の水平方向又は垂直方向に引出パターンを引き出す場合に比べて距離をとることができ、そのため金属カバー6の位置がずれたとしても、水晶保持端子3とスルー端子2cとが金属カバー6を介してショートするのを回避するためである。
【0033】
そして、水晶片5と水晶保持端子3とは、コーナー端子2aの引出パターンが接続する水晶保持端子3の端部で導電性接着剤7により接続されている。
図4に示すように、水晶片5の両端部で水晶保持端子3が水晶片5を保持する構造であるため「両持」タイプと称される。
【0034】
水晶保持端子3のパターンは、図1,2でも説明したが、図4にも示すように、基板1の中央に対向して形成され、コーナー端子2aが接続していない端部が、従来の水晶保持端子に比べて特定の長さだけ短くなっている。
【0035】
従来の水晶保持端子は、基板1の短辺の中心から左右同じ長さで形成されるが、本振動子では、コーナー端子2aに接続しない側の水晶保持端子3の長さを短くしている。
これは、基板1の裏面におけるGND端子4aのパターンと基板1の表面における水晶保持端子のパターン(水晶搭載パターン)が対向しないようにするためであるが、それ以外に、金属カバー6が一方の水晶保持端子3に接触しても、他方(別)の水晶保持端子3に接触するのを防止して、ショートを回避するためのものである。
【0036】
[本振動子のセラミックシートの表面:図5]
次に、本振動子が形成される基板シート(セラミックシート)の表面について図5を参照しながら説明する。図5は、本振動子のセラミックシートの表面説明図である。
セラミックシート1′の表面は、図5に示すように、基板1に分割するための縦横方向にブレイクラインが形成され、ブレイクラインの交点にスルーホール(貫通孔)が形成されている。
【0037】
そして、スルーホールを囲むように、スルーホールの周辺にコーナー端子2(2a,2b)が形成される。
ブレイクラインの短辺に沿って水晶保持端子3が形成され、水晶保持端子3の一端がコーナー端子2aに接続し、水晶保持端子3の他端はコーナー端子2bには接続していない。
【0038】
また、図1でも説明したように、水晶保持端子の他端(コーナー端子2bに近い端部)は、中央から短い長さになっており、コーナー端子2bとの間にパターンが形成されない空白領域が形成される。
更に、図5に示すように、コーナー端子2は一つの対角で水晶保持端子3に接続し、別の対角では水晶保持端子3に接続しないようになっている。つまり、隣接する角部では水晶保持端子3に接続することがない。
【0039】
[本振動子のセラミックシートの裏面:図6]
次に、本振動子が形成されるセラミックシートの裏面について図6を参照しながら説明する。図6は、本振動子のセラミックシートの裏面説明図である。
セラミックシート1′の裏面は、図6に示すように、ブレイクラインが形成され、ブレイクラインの交点にスルーホールが形成されている。
【0040】
そして、スルーホールを囲むように、スルーホールの周辺にコーナー端子2dが形成される。
コーナー端子2dの角部に接続するように、実装端子4のGND端子4aと実装電極端子4bが形成される。
更に、図6に示すように、コーナー端子2dは一つの対角でGND端子4aに接続し、別の対角では実装電極端子4bに接続するようになっている。つまり、隣接する角部がGND端子4aに接続することがなく、同様に隣接する角部が実装電極端子4bに接続することがない。
【0041】
以上のように、セラミックシート1′の表面と裏面の構成とすることで、個々の基板1に分割される前のセラミックシート1′の状態で、周波数調整及び検査を適正に行うことができる。
セラミックシート1′の表裏面の構成では、コーナー端子2(2a,2d)に接続する水晶保持端子3と実装端子4は、一つのコーナー端子2に対して共通の電極となるが、他のコーナー端子とは接続することがないため、個々のコーナー端子2は電気的に独立しており、周波数検査及び調整を適正に行うことができる。特に、ブレイクラインで区切られる領域内では、実装端子4に測定端子を接触させた場合、他の領域から影響を受けることがないため、周波数検査及び調整が適正に為される。
【0042】
周波数の検査は、セラミックシート1′の裏面において、ブレイクラインで区切られる領域内の実装端子4に測定端子を接触させ、セラミックシート1′の表面に形成された水晶振動子の周波数特性を測定するものである。
また、周波数の調整は、上記水晶振動子の周波数特性の測定状態で、水晶片5の励振電極を加工することにより行うものである。周波数の調整については後述する。
【0043】
[セラミックシートの製造方法]
次に、セラミックシートの製造方法について説明する。
個々の基板1に分割される前のセラミックシート(基板シート)は、セラミックで形成され、当該セラミックシートに個々の基板1に分割するためのブレイクラインとスルーホール(貫通孔)が形成される。
ブレイクラインは、隣接する基板1の領域を区切るもので、製造された表面実装水晶振動子を分割し易くするものである。
スルーホールは、ブレイクラインが交差する箇所(基板1の四隅[角部])に形成される。
【0044】
そして、そのセラミックシート1′の裏面において、スルーホールの周辺にコーナー端子2dとGND端子4のパターンを、マスクパターンを用いて印刷により形成する。図6では、コーナー端子2dは、スルーホールを囲むようにドーナツ形状で形成されている。
コーナー端子2dと実装端子4のパターンは、AgPd合金の金属ペーストを厚み約10μm程度で印刷し、その後に焼成する。このパターンを形成する際に、裏面側からスルーホール内のスルー端子2cも形成される。
コーナー端子2dとGND端子4aの接続関係は、図2、図6を用いて説明した通りである。
【0045】
また、セラミックシート1′の表面においては、スルーホールの周辺にコーナー端子2a,2bと水晶保持端子3のパターンが形成される。表面におけるパターンも、裏面におけるパターンと同様の方法によって形成する。そして、このパターンを形成する際に、表面側からスルーホール内のスルー端子2cも形成される。
【0046】
尚、セラミックシート1′におけるパターンは、印刷によって形成したが、無電解メッキによって形成してもよい。
セラミックシート1′の表面及び裏面でのパターン形成後に、絶縁膜を形成し、水晶片5を搭載し、周波数の検査及び周波数調整を行って、金属カバーで封止して、ブレイクラインに沿って個々の表面実装水晶振動子に分割する。
【0047】
周波数の検査及び周波数調整は、具体的には、セラミックシート1′の裏面において、ブレイクラインで区切られる領域内で、水晶片5と電気的に接続した各実装端子4に測定器からの測定端子(プローブ)を接触させる。
周波数の検査は、上記実装端子4に測定端子を接触させた状態で、セラミックシート1′の表面に形成された水晶振動子の周波数特性を測定する。
【0048】
そして、周波数調整は、上記水晶振動子の周波数特性の測定状態で、板面が露出した水晶片5の表面側の励振電極にガスイオンを照射して表面を削り取り、励振電極の質量を減じて振動周波数を低い方から高い方に調整する。
但し、例えば、蒸着やスパッタによって励振電極上に金属膜を付加して、振動周波数を高い方から低い方に調整することもできる。
【0049】
[実施の形態の効果]
本振動子によれば、水晶保持端子3の一端がコーナー端子2aに接続し、水晶保持端子3の他端は一端に比べて短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、当該パターンが形成されない領域に対向する基板1の裏面にGND端子4aのパターンが形成されるようにしているので、水晶保持端子のパターン(水晶搭載パターン)とGND端子4aのパターンが基板1を挟んで対向しなくなり、水晶振動子の静電容量を低減することができ、周波数可変量の低下を防止できる効果がある。
【0050】
本振動子のセラミックシート1′によれば、表面において、ブレイクラインで区切られる領域内で、スルーホール周辺に形成されるコーナー端子2aに接続する水晶保持端子3は他のコーナー端子2bに接続せず、裏面において、ブレイクラインで区切られる領域内で、スルーホール周辺に形成されるコーナー端子2dに接続する実装端子4も他のコーナー端子に接続しないため、上記領域内の実装端子4を使用した周波数の検査及び調整を容易にできる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、水晶振動子の静電容量を低減して周波数可変量の低下を防止することができる表面実装水晶振動子及び基板シートに好適である。
【符号の説明】
【0052】
1...基板、 2a,2b,2d...コーナー端子、 2c...スルー端子、 3...水晶保持端子、 4...実装端子、 4a...GND端子、 4b...実装電極端子、 5...水晶片、 6...金属カバー、 7...導電性接着剤、 8...封止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面実装水晶振動子において、
水晶片が搭載される基板の四隅にスルーホールが形成され、
前記スルーホール内面を導通させるスルー端子が形成され、
前記水晶片が搭載される基板上に、前記基板の短辺に並行に第1の水晶保持端子が、別の短辺に並行に第2の水晶保持端子が形成され、
前記第1の水晶保持端子の一端が前記スルー端子のいずれかに接続するコーナー端子に接続し、前記第1の水晶保持端子の他端は前記一端に比べて前記短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、
前記第2の水晶保持端子の一端が前記スルー端子のいずれかに接続するコーナー端子に接続し、前記第2の水晶保持端子の他端は前記一端に比べて前記短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、
前記パターンが形成されない領域に対向する前記基板の裏面にグランド端子のパターンが形成されることを特徴とする表面実装水晶振動子。
【請求項2】
第1の水晶保持端子が接続するコーナー端子と第2の水晶保持端子が接続するコーナー端子とは、基板上で対角にあることを特徴とする請求項1記載の表面実装水晶振動子。
【請求項3】
第1及び第2の水晶保持端子は、短辺中央からコーナー端子に接続する端部までの長さと、コーナー端子に接続しない端部までの長さを、3対2としたことを特徴とする請求項1又は2記載の表面実装水晶振動子。
【請求項4】
複数の表面実装水晶振動子が形成されるシート状の基板シートであって、
前記基板シートには、個々の表面実装水晶振動子の領域を縦方向と横方向に区切るブレイクラインと前記ブレイクラインの交差する箇所に前記シートを貫通するスルーホールとが形成され、
前記スルーホール内面を導通させるスルー端子が形成され、前記スルーホールを囲むようにコーナー端子が形成されると共に、前記領域内の短辺の各々に並行に第1の水晶保持端子と第2の水晶保持端子が形成され、
前記第1の水晶保持端子の一端が近くのコーナー端子に接続し、前記第1の水晶保持端子の他端は前記一端に比べて前記短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、
前記第2の水晶保持端子の一端が近くのコーナー端子に接続し、前記第2の水晶保持端子の他端は前記一端に比べて前記短辺の中央から短く形成してパターンが形成されない領域を形成し、
前記パターンが形成されない領域に対向する裏面にグランド端子のパターンが形成されることを特徴とする基板シート。
【請求項5】
第1の水晶保持端子が接続するコーナー端子と第2の水晶保持端子が接続するコーナー端子とは、領域内で対角にあることを特徴とする請求項4記載の基板シート。
【請求項6】
第1及び第2の水晶保持端子は、短辺中央からコーナー端子に接続する端部までの長さと、コーナー端子に接続しない端部までの長さを、3対2としたことを特徴とする請求項4又は5記載の基板シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−34166(P2013−34166A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250754(P2011−250754)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】