説明

装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラ

【課題】制御対象の一部が変更されても各制御処理の見直しや情報構造を変更することなく、類似システムへの転用や流用が可能なウエハ搬送コントローラを提供する。
【解決手段】ウエハ搬送コントローラ1は、共有メモリ2を中心に、オンラインホスト通信処理部3、搬送シーケンス処理部4、GUI処理部5、キャリア制御処理部6、搬送ロボット制御処理部7、I/O制御処理部8、キャリアコマンド変換テーブル9、ロボットコマンド変換テーブル10、ティーチングポイント変換テーブル11、およびI/Oマップ変換テーブル12を配置し、各処理部3〜8は互いに独立し、共有メモリ2とのみ情報の受け渡しができる構造とした。さらに、半導体製造装置の搬送部分をモデル化し、そのモデルに基づいて汎用的な情報およびその情報構造を共有メモリ2上に構築した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウエハを半導体製造装置内で移送制御するウエハ搬送コントローラに関し、特に共有メモリを中心に各制御処理を配置し、半導体製造装置の搬送部分をモデル化した装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のウエハ搬送コントローラは、搬送ロボットなどの搬送機器機器の構成に応じて制御プログラムが構築されている。
図6は、従来技術のウエハ搬送コントローラを示すブロック図である。
図6において、61はウエハ搬送コントローラ、62は上位処理装置、63はオンラインホスト通信処理部、64はGUI(Graphical User Interface)処理部、65は搬送シーケンス処理部、66は搬送ロボット制御処理部、67はI/O制御処理部、68は搬送機器群である。
以下、図6を用いて従来技術のウエハ搬送コントローラの構成を説明する。
ウエハ搬送コントローラ61は、その内部にオンラインホスト通信処理部63、GUI処理部64、搬送シーケンス処理部65、搬送ロボット制御処理部66、およびI/O制御処理部67を配置し、上位処理装置62からの指令に基づいて、搬送機器群68を制御している。各処理部63、64、65、66、67は、半導体製造装置の搬送仕様に応じてそれぞれ構築されている。
各処理部間では搬送制御を行なうための情報の受け渡しが行なわれ、共有メモリを介して情報を伝達し、効率よく搬送制御ができる様に構築されている。また、共有メモリの取り扱い方法に関しては、プロセッサ間で排他処理を行ない、共有メモリの効率的な共有を実現するように考えられてきた(例えば、特許文献1参照)。
このように、従来のウエハ搬送コントローラは、効率よく情報処理が行なえるようになっている。
【特許文献1】特公平6−42231号公報(第4−6頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の共有メモリを使ったウエハ搬送コントローラなどのシステムにおいては、効率的な制御処理および情報処理を主眼に機能分割、情報の流れ、および排他を実現しているため、制御対象の一部が変更された場合、各制御処理の見直しや情報構造の見直しを余儀なくされ、類似システムへの転用や流用が困難であるという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、制御対象の一部が変更されても各制御処理の見直しや情報構造を変更することなく類似システムへの転用や流用が可能な装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記問題を解決するため、請求項1に記載の発明は、ウエハを挿入して搬送するためのキャリアと、前記キャリアを制御するためのキャリアコントローラと、前記キャリアからプロセスチェンバ内の指定ポイントへウエハを搬送するためのウエハ搬送ロボットと、 前記ウエハ搬送ロボットを制御するためのロボットコントローラと、ウエハの移送に関連するI/O機器と、前記キャリアコントローラ、前記ロボットコントローラおよび前記I/O機器を統括制御するウエハ搬送コントローラと、を備えたウエハ搬送装置において、前記ウエハ搬送コントローラは、ウエハ搬送制御に関する情報を格納するための共有メモリと、上位装置と通信制御を行ない、前記共有メモリに搬送要求を記録するためのオンライン通信手段と、前記共有メモリに記録された前記搬送要求をトリガとし、ロボットコマンドおよびキャリアコマンドを、前記共有メモリに書き込んで具体的なシーケンスを実行するための搬送シーケンス処理手段と、前記共有メモリに記録された前記ウエハ搬送コントローラの状態をモニタ表示するための搬送状態表示手段と、前記共有メモリより前記キャリアコマンドを取得し、前記キャリアコントローラへ送信すると共に、前記キャリアコントローラからのイベント通知を前記共有メモリに記録するためのキャリア制御手段と、前記共有メモリより前記ロボットコマンドを取得して前記ロボットコントローラへ送信すると共に、前記ロボットコントローラからのイベント通知を前記共有メモリに記録するためのウエハ搬送ロボット制御手段と、前記共有メモリから前記I/O機器のI/O接点情報を読み取り、前記I/O接点の更新情報を反映するためのI/O制御手段と、を有し、前記オンラインホスト通信手段、前記搬送シーケンス処理手段、前記搬送状態表示手段、前記キャリア制御手段、前記ウエハ搬送ロボット制御手段、および前記I/O制御手段、は、互いに独立し前記共有メモリに対してのみアクセスできるものであることを特徴としている。
また請求項2に記載の発明は、前記共有メモリは、ウエハを搬送する装置構造や機器の特徴を抽出したウエハ搬送機器モデルを定義し、このモデルから想定される搬送位置情報、ロボットコマンドやキャリア制御コマンドなどの駆動指令情報、ウエハの状態情報、I/O機器およびウエハ搬送機器の状態情報を仮想情報として有していることを特徴としている。
また請求項3に記載の発明は、前記オンラインホスト通信手段、前記搬送シーケンス処理手段、前記搬送状態表示手段、前記キャリア制御手段、前記ウエハ搬送ロボット制御手段、および前記I/O制御手段は、前記共有メモリに定義された前記仮想情報を使って、ウエハ搬送のためのシーケンス処理や情報管理を行なうものであることを特徴としている。
また請求項4に記載の発明は、前記ウエハ搬送コントローラは、前記共有メモリに定義されたロボットコマンドの仮想情報を、実際のウエハ搬送ロボットに指令するロボットコマンドに変換するための、該ロボットコマンドの差異を予め設定したロボットコマンド変換テーブルを備えていることを特徴としている。
また請求項5に記載の発明は、前記ウエハ搬送コントローラは、前記共有メモリに定義されたキャリア制御コマンドの仮想情報を実際のキャリアコントローラに指令するキャリア制御コマンドに変換するための、該キャリア制御コマンドの差異を予め設定したキャリアコマンド変換テーブルを備えていることを特徴としている。
また請求項6に記載の発明は、前記ウエハ搬送コントローラは、前記共有メモリに定義されたI/O情報の配置を実際のI/O情報の配置に変換するための、該I/O情報の配置の差異を予め設定したI/Oマップ変換テーブルを備えていることを特徴としている。
また請求項7に記載の発明は、前記ウエハ搬送コントローラは、前記共有メモリに書き込まれた搬送位置を、実際にウエハ搬送ロボットが認識できる搬送位置にティーチングポイントを変換するための、該搬送位置の差異を予め設定したティーチングポイント変換テーブルを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明によれば、共有メモリを中心に各制御処理を配置した構造とし、各制御処理は共有メモリのみに対して情報の受け渡しを行なうようにしているので、ウエハ搬送コントローラの各機能の独立性が向上し、機能の追加や変更が他処理に影響することなく容易に実現できる。
また請求項2記載の発明によれば、ウエハ搬送装置の構造をモデル化し、そのモデルに基づいて共有メモリ内の情報およびその構造を定義するようにしているので、搬送機器の種類あるいは、搬送する位置や順番が変更された場合においても、各制御処理および情報構造を変更することなく搬送仕様を実現することができる。
また請求項3記載の発明によれば、共有メモリに定義された前記仮想情報を使って、ウエハ搬送のためのシーケンス処理や情報管理を行なうようにしているので、搬送シーケンスの追加や変更が他処理に影響することなく容易に実現できる。
また請求項4の発明によれば、共有メモリ上に定義された仮想の情報と実際にロボットと通信を行なう際の情報の差異を吸収するようにしているので、ロボットコントローラの機種が変更された場合においても、各制御処理および情報構造を変更することなく搬送仕様を実現することができる。
また請求項5の発明によれば、共有メモリ上に定義される仮想の情報と実際にキャリアコントローラと通信を行なう際の情報の差異を吸収するようにしているので、キャリアコントローラの機種が変更された場合においても、各制御処理および情報構造を変更することなく搬送仕様を実現することができる。
また請求項6の発明によれば、共有メモリ上に定義されたI/O情報配置と実際のI/O情報配置との差異を吸収するようにしているので、I/O機器の種類あるいは機種が変更された場合においても、各制御処理および情報構造を変更することなく搬送仕様を実現することができる。
また請求項7の発明によれば、共有メモリ上に定義された仮想の搬送位置と実際の搬送位置の差異を吸収するようにしているので、搬送する位置が変更された場合においても、各制御処理および情報構造を変更することなく搬送仕様を実現することができる。
以上述べたように、本発明の装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラによれば、制御対象の一部が変更されても各制御処理の見直しや情報構造を変更することなく類似システムへの転用や流用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の具体的実施例について、図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0007】
図1は、本発明の装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラを示すブロック図である。
図1において、1はウエハ搬送コントローラ、2は共有メモリ、3はオンラインホスト通信処理部、4は搬送シーケンス処理部、5はGUI処理部、6はキャリア制御処理部、7は搬送ロボット制御処理部、8はI/O制御処理部、9はキャリアコマンド変換テーブル、10はロボットコマンド変換テーブル、11はティーチングポイント変換テーブル、12はI/Oマップ変換テーブル、13はキャリアコントローラ、14はキャリア、15はロボットコントローラ、16は搬送ロボット、17はI/O接点、18はI/O機器である。
従来技術と本発明の相違する点は以下のとおりである。
すなわち、従来技術のウエハ搬送コントローラでは、オンラインホスト通信処理部63、搬送シーケンス処理部65、GUI処理部64、搬送ロボット制御処理部66、I/O制御処理部67、の各処理部間で搬送制御を行なうための情報の受け渡しが行なわれているのに対し、本発明の装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラ1は、オンラインホスト通信処理部3、搬送シーケンス処理部4、GUI処理部5、キャリア制御処理部6、搬送ロボット制御処理部7、I/O制御処理部8を共有メモリ2の周辺に配置し、各処理部3〜8は互いに独立し、共有メモリ2とのみ情報の受け渡しができる構成としている点であり、さらに、本発明の装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラ1は、外部に配置されFOUP(Front Opening Unifield Pod)等のキャリア14を制御するキャリアコントローラ13、ロボットコントローラ15、およびI/O接点17、と通信を行なう際に、共有メモリ2に定義されている情報名、位置情報と実際に送受信する情報名、および位置情報、との差異を吸収するための、キャリアコマンド変換テーブル9と、ロボットコマンド変換テーブル10と、ティーチングポイント変換テーブル11と、I/Oマップ変換テーブル12と、を備える構成としている点である。
【0008】
以下、図1を用いて本発明の装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラの各処理部3〜8の機能について説明する。
オンラインホスト通信処理部3は、ウエハ搬送コントローラ1の上位に位置するコンピュータ(不図示)と通信制御を行ない、上位コンピュータから指示される指令の内容により、搬送要求を共有メモリ2に記録する。また、ウエハ搬送コントローラ1の状態を共有メモリ2から読込み、上位コンピュータへ通知する。
搬送シーケンス処理部4は、共有メモリ2に記録された搬送要求をトリガとし、具体的なシーケンスを実行する。この具体的なシーケンスを実行する際は、例えばロボットコントローラ15にロボットコマンドを送信する前に、搬送ロボット16自身の状態や搬送ロボット16の周辺の状態をチェックし、全ての条件が成立した段階でロボットへのコマンド送信要求を共有メモリ2に書き込む。また、搬送ロボット16自身の状態や搬送ロボット16の周辺の状態は、予め他の処理により共有メモリ2に記録されているため、共有メモリ2からその情報を得る。
GUI処理部5は、ウエハ搬送コントローラ1の状態をモニタ表示したり、マニュアル操作を行なったりする際のユーザインターフェースの役割をする。
キャリア制御処理部6は、キャリアカセット等が設置された装置(例えばロードポート)を制御するキャリアコントローラ13へキャリアコマンドを送信する役割を受け持つ。搬送シーケンス処理部4により書き込まれたキャリアコマンドを共有メモリ2より取得し、キャリアコマンド変換テーブル9を使って実際に送信するキャリアコマンドに変換したのちにキャリアコントローラ13に送信する。また、キャリアコントローラ13からイベント通知があった場合は、その内容を解釈し、共有メモリ2に記録する。
搬送ロボット制御処理部7は、ロボットコントローラ15へロボットコマンドを送信する役割を受け持つ。搬送シーケンス処理部4により書き込まれたロボットコマンドを共有メモリ2より取得し、ロボットコマンド変換テーブル10を使って実際に送信するロボットコマンドに変換すると同時に、共有メモリ2に記録されていた搬送位置を実際に搬送ロボット16が認識できる位置にティーチングポイント変換テーブル11を使って変換した後に、ロボットコントローラ15にコマンドを送信する。また、ロボットコントローラ15からイベント通知があった場合は、その内容を解釈し、共有メモリ2に記録する。
I/O制御処理部8は、ウエハ搬送コントローラ1に設置されたI/O接点17を更新したり、I/O接点17が更新された場合にその更新内容を共有メモリ2へ反映したりする役割を受け持つ。共有メモリ2に定義されるI/Oの配置はウエハ搬送コントローラ1内では固定となっているため、実際のI/O接点17と配置(アドレス)が異なる。従って、予め定義されたI/Oマップ変換テーブル12の内容に従って、その差異を吸収する。
【0009】
図2は、本発明に適用した半導体製造装置モデルを示す説明図である。
図2において、19は大気室、191、192、193、194はキャリア、195はウエハ搬送ロボットであり、大気室19内でキャリアからウエハを取り出してゲートバルブを解してトランスチェンバへ搬送する大気ロボット、196はバッファ、197は位置アライナ、198はダミーカセット、20はトランスチャンバ、201はゲートバルブ、202はウエハ搬送ロボットであり、トランスチェンバ20内でウエハをプロセスチェンバへ搬送する真空ロボット、203、204はバッファ、205は位置アライナ、21、22、23はプロセスチャンバ、211、221、231はゲートバルブ、212、222、232はポイントである。
以下、図2を用いて共有メモリ2の詳細について説明する。
共有メモリ2内の情報構造は、ウエハ搬送コントローラ1内で固定化されており、その情報種別や情報名も汎用的なもので構成されている。本実施例のモデルでは、4つのキャリア191〜194と大気室19とトランスチャンバ20と3つのプロセスチャンバ21〜23から構成され、更にその中にロボット195、202、位置アライナ197、205およびバッファ196、203、204などの搬送機器が設置されている。
図2に示す半導体製造装置モデル内の各制御機器や位置に汎用的な名称を定義し、この定義された名称(以下、仮想情報と称す)が共有メモリ2内にそのまま定義されている。
従って、ウエハ搬送コントローラ1においては、図2に示す半導体製造装置モデルで定義された仮想情報を使って各制御処理が行なわれ、このモデルによって定義された共有メモリ2と直接情報の受け渡しを行なう各制御処理部も、この仮想情報を前提として構築されている。
なお、図2は本発明を説明するための例であって、実際のウエハ搬送コントローラを構築する場合は、ほとんど全てのケースをカバーできるように、予め最大のモデルを定義しておくことは言うまでもない。
【0010】
図3は、本発明の共有メモリ2の具体的な情報構造例を示す説明図である。
図3において、2は共有メモリ、301はシステム管理情報領域、302は搬送シーケンス処理要求領域、303はロボットコマンド情報領域である。
図3に示すように、情報構造には、システム管理情報領域301、搬送シーケンス情報領域302やロボットコマンド情報領域303などが記録されており、図2で示したモデルで定義された仮想情報が使用されている。また、本発明のウエハ搬送コントローラとして定義した、実際の搬送機器へのコマンド名称とは異なる「Carry」や「MOVE」等の汎用的な名称の情報(仮想情報)が使用されている。
【0011】
図4は、本発明の搬送シーケンス処理部4の処理例を示すフローチャートである。
以下、図4を用いて搬送シーケンス処理部4の処理について説明する。
先ず、共有メモリ2内の搬送要求の有無をチェックし(ステップST41)、搬送要求が有った場合はその要求内容を読込む(ステップST42)。この時、搬送シーケンス情報領域302に記録された「Carry LP1 to P2」が読込まれる。これは、図2におけるキャリア191からプロセスチャンバ21内のポイント212にウエハを運ぶように指示された指令である。
次に、この「Carry LP1 to P2」指令を、ロボットコマンド「MOVE from LP1 to PA−1」、「MOVE from PA−1 to GV1」の様に順に分解し、ロボットへのコマンド送信が可能になった状態で、これらのロボットコマンド「MOVE from LP1 to PA−1」や「MOVE from PA−1 to GV1」を共有メモリ2のロボットコマンド情報領域303に書き込む(ステップST43)。以下ステップST41〜ST43をシステム終了まで繰り返す(ステップST44)。
【0012】
図5は、本発明の搬送ロボット制御処理部7の処理例を示すフローチャートである。
図5において、10はロボットコマンド変換テーブル、11はティーチングポイント変換テーブルである。
以下、図5を用いて搬送ロボット制御処理部7の処理について説明する。
コマンド「MOVE from LP1 to PA−1」や「MOVE from PA−1 to GV1」が共有メモリ2に書き込まれたことを確認し(ステップST51)、ロボットコマンド要求読込み処理により順次コマンド情報を読込む(ステップST52)。
読込まれたロボットコマンド「MOVE from LP1 to PA−1」より、ロボットコマンド変換テーブル10とティーチングポイント変換テーブル11を使って、実際のロボットコマンド「WT TP1 TP6」を生成する(ステップST53)。
その後、ロボットコマンド「WT TP1 TP6」がロボットコントローラ15へ送信される(ステップST54)。以下ステップST51〜ST54をシステム終了まで繰り返す(ステップST55)。
【0013】
以上述べたように、本発明の実施例に係る装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラは、共有メモリ2と各処理部3〜8と変換テーブル9〜12を配置し、各処理部3〜8は互いに独立し、共有メモリ2とのみ情報の受け渡しができる構成とし、さらに、共有メモリ2は半導体製造装置の搬送部分をモデル化し、そのモデルに基づいて汎用的な情報およびその情報構造を共有メモリ2上に構築するようにしているので、例えば、ロボットコントローラ15の機種が変更され、同時にティーチングポイントも変更された場合でも、ウエハ搬送コントローラ1は、ロボットコマンド変換テーブル10とティーチングポイント変換テーブル11の内容のみを変更すれば良く、搬送シーケンス処理部4や搬送ロボット制御処理部7および共有メモリ2の情報構造や情報種別を変更することなく対応することが可能である。
また、実際の装置において、「PA−1」へウエハを搬送する際、途中に経由ポイントが追加された搬送仕様に変った場合でも、図2のモデルで定義されているバッファ196を活用し、搬送シーケンス処理部4の処理の一部を変更するとともに、ティーチングポイント変換テーブル11にバッファ196に対する実際のティーチング番号を新たに追加定義するだけで、変更後の搬送仕様に容易に対応することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明では、半導体製造装置のウエハ搬送を例に説明しているが、搬送装置の構造や搬送パターンに特徴があって、図2に示すように装置をモデル化することができれば、他の分野の搬送装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラを示すブロック図
【図2】本発明に適用した半導体製造装置モデルを示す説明図
【図3】本発明の共有メモリ2の具体的な情報構造例を示す説明図
【図4】本発明の搬送シーケンス処理部4の処理例を示すフローチャート
【図5】本発明の搬送ロボット制御処理部7の処理例を示すフローチャート
【図6】従来技術のウエハ搬送コントローラを示すブロック図
【符号の説明】
【0016】
1、61 ウエハ搬送コントローラ
2 共有メモリ
3、63 オンラインホスト通信処理部
4、65 搬送シーケンス処理部
5、64 GUI処理部
6 キャリア制御処理部
7、66 搬送ロボット制御処理部
8、67 I/O制御処理部
9 キャリアコマンド変換テーブル
10 ロボットコマンド変換テーブル
11 ティーチングポイント変換テーブル
12 I/Oマップ変換テーブル
13 キャリアコントローラ
14 キャリア
15 ロボットコントローラ
16 搬送ロボット
17 I/O接点
18 I/O機器
19 大気室
191、192、193、194 キャリア
195 大気ロボット
196 バッファ
197 位置アライナ
198 ダミーカセット
20 トランスチャンバ
201 ゲートバルブ
202 真空ロボット
203、204 バッファ
205 位置アライナ
21、22、23 プロセスチャンバ
211、221、231 ゲートバルブ
212、222、232 ポイント
301 システム管理情報領域
302 搬送シーケンス処理要求領域
303 ロボットコマンド情報領域
62 上位処理装置
68 搬送機器群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを挿入して搬送するためのキャリア(14)と、
前記キャリア(14)を制御するためのキャリアコントローラ(13)と、
前記キャリア(14)からプロセスチェンバ(21、22、23)内の指定ポイントへウエハを搬送するためのウエハ搬送ロボット(16)と、
前記ウエハ搬送ロボット(16)を制御するためのロボットコントローラ(15)と、
ウエハの移送に関連するI/O機器(18)と、
前記キャリアコントローラ(13)、前記ロボットコントローラ(15)および前記I/O機器(18)を統括制御するウエハ搬送コントローラ(1)と、を備えたウエハ搬送装置において、
前記ウエハ搬送コントローラ(1)は、
ウエハ搬送制御に関する情報を格納するための共有メモリ(2)と、
上位装置と通信制御を行ない、前記共有メモリ(2)に搬送要求を記録するためのオンライン通信手段(3)と、
前記共有メモリ(2)に記録された前記搬送要求をトリガとし、ロボットコマンドおよびキャリアコマンドを、前記共有メモリ(2)に書き込んで具体的なシーケンスを実行するための搬送シーケンス処理手段(4)と、
前記共有メモリ(2)に記録された前記ウエハ搬送コントローラ(1)の状態をモニタ表示するための搬送状態表示手段(5)と、
前記共有メモリ(2)より前記キャリアコマンドを取得し、前記キャリアコントローラ(13)へ送信すると共に、前記キャリアコントローラ(13)からのイベント通知を前記共有メモリ(2)に記録するためのキャリア制御手段(6)と、
前記共有メモリ(2)より前記ロボットコマンドを取得して前記ロボットコントローラ(15)へ送信すると共に、前記ロボットコントローラ(15)からのイベント通知を前記共有メモリ(2)に記録するためのウエハ搬送ロボット制御手段(7)と、
前記共有メモリ(2)から前記I/O機器(18)のI/O接点(17)情報を読み取り、前記I/O接点(17)の更新情報を反映するためのI/O制御手段(8)と、を有し、
前記オンラインホスト通信手段(3)、前記搬送シーケンス処理手段(4)、前記搬送状態表示手段(5)、前記キャリア制御手段(6)、前記ウエハ搬送ロボット制御手段(7)、および前記I/O制御手段(8)、は、互いに独立し前記共有メモリ(2)に対してのみアクセスできるものであることを特徴とする装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラ。
【請求項2】
前記共有メモリ(2)は、
ウエハを搬送する装置構造や機器の特徴を抽出したウエハ搬送機器モデルを定義し、このモデルから想定される搬送位置情報、ロボットコマンドやキャリア制御コマンドなどの駆動指令情報、ウエハの状態情報、I/O機器およびウエハ搬送機器の状態情報を仮想情報として有していることを特徴とする請求項1記載の装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラ。
【請求項3】
前記オンラインホスト通信手段(3)、前記搬送シーケンス処理手段(4)、前記搬送状態表示手段(5)、前記キャリア制御手段(6)、前記ウエハ搬送ロボット制御手段(7)、および前記I/O制御手段(8)は、
前記共有メモリ(2)に定義された前記仮想情報を使って、ウエハ搬送のためのシーケンス処理や情報管理を行なうものであることを特徴とする請求項2記載の装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラ。
【請求項4】
前記ウエハ搬送コントローラ(1)は、
前記共有メモリ(2)に定義されたロボットコマンドの仮想情報を、実際のウエハ搬送ロボット(16)に指令するロボットコマンドに変換するための、該ロボットコマンドの差異を予め設定したロボットコマンド変換テーブル(10)を備えていることを特徴とする請求項2記載の装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラ。
【請求項5】
前記ウエハ搬送コントローラ(1)は、
前記共有メモリ(2)に定義されたキャリア制御コマンドの仮想情報を実際のキャリアコントローラ(13)に指令するキャリア制御コマンドに変換するための、該キャリア制御コマンドの差異を予め設定したキャリアコマンド変換テーブル(9)を備えていることを特徴とする請求項2記載の装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラ。
【請求項6】
前記ウエハ搬送コントローラ(1)は、
前記共有メモリ(2)に定義されたI/O情報の配置を実際のI/O情報の配置に変換するための、該I/O情報の配置の差異を予め設定したI/Oマップ変換テーブル(12)を備えていることを特徴とする請求項2記載の装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラ。
【請求項7】
前記ウエハ搬送コントローラ(1)は、
前記共有メモリ(2)に書き込まれた搬送位置を、実際にウエハ搬送ロボット(16)が認識できる搬送位置にティーチングポイントを変換するための、該搬送位置の差異を予め設定したティーチングポイント変換テーブル(11)を備えていることを特徴とする請求項2記載の装置モデル適用型ウエハ搬送コントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−13040(P2006−13040A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186316(P2004−186316)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【出願人】(399076312)安川情報システム株式会社 (77)
【Fターム(参考)】