説明

製紙と紙加工に関する応用のための樹脂含浸エンドレスベルト構造を製造するための方法及びそのベルト

抄紙機のロングニッププレスにおける使用、及び他の製紙や紙加工に関する応用のために設計された、樹脂含浸エンドレスベルト構造を製造するための方法及びベルト構造であり、これは重合体樹脂材を基礎基材へと平均直径が10μ(10ミクロン)以上ある滴状の正確な予め決められたパターンで適合させることを必要とする。そのとき、重合体樹脂材はその組成にふさわしい方法で固着され、ベルトに均一の厚さと滑らかで且つ巨視的には単一表面を付与するために、任意に研磨されてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は部分的には、材料のウェブから、より詳しくは、抄紙機において紙製品へと加工される繊維状のウェブから水を抽出するための機構に関する。具体的には、本発明は抄紙機のシュー型のロングニッププレスで使用するために、及び他の製紙と紙加工に関する応用として設計された樹脂含浸エンドレスベルト構造を製造するための方法である。
【背景技術】
【0002】
製紙過程の間で、セルロースの繊維から成る繊維状のウェブは、抄紙機の形成部において繊維状のスラリーを沈積させることによって形を成した構造へと形成される。大量の水が形成部にあるスラリーから排出され、その後、新たに形成されたウェブがプレス部へと導かれる。プレス部は一連のプレスニップを含んでおり、そこで繊維状のウェブは水を取り除くための圧縮力をうける。ウェブは最終的に、ウェブがその周囲に配される加熱された乾燥ドラムを含む乾燥部へと導かれる。加熱された乾燥ドラムは紙製品を生み出すために、蒸発脱水を通してウェブの含水量を望ましいレベルまで下げる。
【0003】
エネルギーコストの上昇は、乾燥部へ入る前にウェブを可能な限り脱水することをますます望ましくしている。乾燥ドラムは一般的に蒸気によって内部から熱せられるので、蒸気の製造に関わるコストは、特に膨大な量の水がウェブから取り除かれなければならないとき、相当な額となる。
【0004】
伝統的に、プレス部は一組の隣接したシリンダープレスロールによって形成された一連のニップを含んでいる。近年では、シュー型のロングプレスニップを使うことは一組の隣接するプレスロールによって形成されたニップを使うことより、有利であると考えられている。それは、ウェブがニップで加圧される時間が長ければ長いほど、水は取り除かれ、それに続いて水は乾燥部における蒸発脱水を通して除去されるために、ウェブに後まで残ることがなくなるからである。
【0005】
本発明は部分的にシュー型のロングニッププレスに関するものである。この多種あるロングニッププレスにおいて、そのニップはシリンダープレスロールとアーチ型圧力シューの間に形成されている。後者はシリンダープレスロールと近い曲率半径を有しているシリンダー状の凹型表面を有している。そのロールとシューが互いに物理的にきわめて近接して設置されているとき、ニップは形成され、それは2つのプレスロールによって形成されたものより、縦方向において5から10倍の長さになる。ロングニップは通常の2つのロールプレスにおけるニップより5から10倍の長さになるので、繊維状のウェブがロングニップにおいて加圧されている間の、いわゆる休止時間が2ロールプレスにおけるときよりもそれ相当に長くなる。その結果、抄紙機で通常のニップを使うことで得られるものと比較して、ロングニップによる繊維状のウェブからの脱水量は劇的に増加する。
【0006】
シュー型のロングニッププレスは、特許文献1において開示されているような特別なベルトを必要とする。特許文献1の教示はここで参照によって本文中に組み込まれている。そのベルトは、繊維状のウェブをサポートし、運搬し、脱水するプレス布を、固定された圧力シューの上を直接的に滑って接触することで結果として生じる加速的な摩滅から保護するために設計された。そのようなベルトは、油の潤滑膜上に固定されたシューの上に乗ったり滑ったりする、滑らかで不浸透性の表面を備えてなければならない。そのベルトはプレス布とおおよそ同じ速度でニップを通過し、それ故にプレス構造とベルトの表面との摩擦を最小限に抑える。
【0007】
特許文献1で開示されている多種のベルトは、エンドレスループの形を成している織って作られた基礎布に、合成重合体樹脂を含浸させることによって作られる。その樹脂は少なくともベルトの内側表面にある程度の予め決められた厚さのコーティングを形成しているので、その結果、基礎布が織られた糸はロングニッププレスのアーチ型圧力シュー部との直接接触から好ましくは保護される。特に、このコーティングは潤滑されたシュー上を容易に滑り、及び潤滑油がベルトの構造に浸透してプレス布や織物、繊維状のウェブを汚すことを防ぐために、滑らかで不浸透性の表面を有してなければならない。特許文献1で開示されているベルトの基礎布は、単層又は多層織りのモノフィラメント糸から織られ、及びそれは浸透材が織物に全体的に含浸することを許すほど、実質的に目が粗く織られている。このことは、最終的なベルトにおける、いかなる隙間の形成の可能性をも排除する。そのような隙間は、ベルトとシューの間で使用されている潤滑油がベルトを通過し、プレス布や織物や繊維状のウェブを汚すことになるだろう。その基礎布は平らに織られ、続いてエンドレス型に縫い合わせられるか、又は管型に織られる。
【0008】
浸透材は固体状へと硬化させられたとき、力学的連結によって基礎布と結びつき、そこで硬化した浸透材は基礎布の糸を取り囲む。加えて、硬化した浸透材と基礎布の糸の材料との間に、ある化学的結合あるいは接着が生じ得る。
【0009】
備え付けられたロングニッププレスのサイズの要件に依存している、特許文献1で開示されているようなロングニップベルトは、そのエンドレスループ型を縦に測ると、およそ10から35フィート(約3から11メートル)の長さがあり、その型を横に測ると、およそ6から35フィート(約2から11メートル)の幅がある。そのようなベルトの製造は、合成重合体樹脂の含浸の前に基礎布がエンドレス形であるという要件によって、困難となっている。
【0010】
ベルトの内側表面と同様に外側表面にも、ある予め決められた厚さの樹脂コーティングを備えさせることはしばしば望ましい。ベルトの両面をコーティングすることによって、その織って作られた基礎布は、ベルトの屈曲の中心軸と一致しないとしても、これに近接するであろう。そのような状況において、ベルトが抄紙機上のロールやそれと同様のものの周囲を通過するように曲げられているときに生じる内部のひずみによって、コーティングがベルトの各側部から裂けてしまうといったことはなくなるであろう。
【0011】
更に、ベルトの外側表面がある予め決められた厚さを持つ樹脂コーティングを有しているとき、それは溝や出口のない穴を開けられたホールや他の窪みが、織って作られた基礎布の如何なる部分をも露出させること無しに、その表面に形成されることを可能としている。これらの特徴はプレスニップにおいてウェブから押し出された水の一時的な貯蔵所を与えるということであり、これらは樹脂コーティングの硬化に続く分離製造工程における、溝切りや穴開けによって通常作られる。
【特許文献1】米国特許第5,238,537号明細書
【特許文献2】米国特許第5,298,124号明細書
【特許文献3】米国特許第4,427,734号明細書
【特許文献4】米国特許第4,567,077号明細書
【特許文献5】米国特許第5,360,656号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はこの特定の問題に対する解決策、すなわち、外側表面に溝や出口のない穴を開けられたホールやそれらと同様のものといった形で間隙容積を有している樹脂含浸エンドレスベルト構造を製造するための先行技術による方法を特徴付けている、分離製造工程や各工程に不可欠なものを提供する。更に本発明は、カレンダーやトランスファーベルトといった他の製紙や紙加工に関する応用において使用される樹脂含浸エンドレスベルト構造を製造するための、代替方法を提供する。例えば、特許文献2は、抄紙機におけるオープンドローを排除した際に使用されるものとして設計されたシートトランスファーベルトを示している。そのベルトは強化基材と、強化基材の紙を支持する側にポリマーコーティングを有している。そのポリマーコーティングは2つ以上の異なった重合体樹脂材、例えば親水性材料と疎水性材料の混合物であり、各々はトランスファーベルトの表面に微視的な部位を形成している。
【0013】
最終的に、トランスファーベルトの品質とは、重合体樹脂材が混合されたサイズや均一性によって決定される。本発明はまた、トランスファーベルトの表面に予測可能且つ再生可能なやり方という点で、異なる特質を持つ微視的な部位を提供するための代替方法という形で、この問題に対する解決策を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は抄紙機のロングニッププレスにおいて使用されるため、及び他の製紙や紙加工に関する応用のために設計された樹脂含浸エンドレスベルト構造を製造するための方法である。この方法はベルトに基礎基材を提供するという、第一の工程から成る。その基礎基材は以前に、内側又は外側表面に層を形成する重合体樹脂材が含浸されたものであってよい。別法では、その基礎基材は本発明を実施している間にその全表面を覆うために、重合体樹脂材をその基礎基材へと沈積させることによって、不浸透性にされてよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
いかなる場合においても、重合体樹脂材は精密に予め決められたパターンで基礎基材へと沈積させられ、その予め決められたパターンが、製造されているベルトの表面を特徴付けているのである。重合体樹脂材は以前に適用されたいかなるパターン上にも、予め決められたパターンにおける望ましい厚さの層を形成する。重合体樹脂材は平均直径が10μ(10ミクロン)以上ある滴状で沈積させられる。少なくとも、1つのピエゾジェットが重合体樹脂材を基礎基材へと沈積させるために使用されるのではあるが、そのサイズの滴状に沈積させる他の手段は、当業者に知られているか、又は将来において開発されピエゾジェットの代わりに使用され得る。そのとき、重合体樹脂材は適切な手段で定着、又は固着されている。
【0016】
続いて、重合体樹脂材のコーティングは均一な厚さと滑らかで且つ巨視的には単一表面を備えるために、任意に研磨されてよい。
【0017】
本発明は今、以下に認められる図面を頻繁に参照することで、より完全な詳細が述べられるであろう。
【実施例】
【0018】
本発明通りにベルトを製造するための方法は、基礎基材の用意から始まる。一般的に、その基礎基材はモノフィラメント糸から織られた布である。しかし、更に広くは、その基礎基材は、抄紙機クロージングの生産において使用される様々な糸、又はモノフィラメント糸、撚られたモノフィラメント糸、マルチフィラメント糸、撚られたマルチフィラメント糸のような不織品や不織布を製造するために使用されるベルトの糸から成る、織られたり、織られてなかったり、スパイラルリンク形をしていたり、ニットだったりする布地であってよい。これらの糸は、当業者によって、この目的のために使用される重合体樹脂材から押出されることによって得られてよい。それゆえに、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアラミド、ポリオレフィンやその他の樹脂といった系統の樹脂が、使用されてよい。
【0019】
別法では、基礎基材は、特許文献3で開示されているように、メッシュの布地から構成されてもよい。特許文献3の教示はここで参照により本文中に組み込まれている。基礎基材は更に、特許文献4のように、多くの米国特許で開示されている多様なスパイラルリンクベルトであってもよい。特許文献4の教示はここで参照によって本文中に組み込まれている。
【0020】
更に基礎基材は、特許文献5などによって開示されている方法通りに、織られたり、織られなかったり、ニットであったり、メッシュであったりする布のストリップを螺旋状に巻くことによって、製造されてよい。特許文献5の教示はここで参照によって本文中に組み込まれている。その基礎基材は従って螺旋状に曲げられたストリップから成ってよいし、そこにおいて各々の螺旋回転は縦方向に基礎基材をエンドレス形にする連続的な縫い目によって、隣接するものと連結されている。
【0021】
上記のことが基礎基材のための唯一の可能的形式であると見なされるべきではない。抄紙機クロージングにおける技術者や関連する技術などによって使用される、あらゆる多様な基礎基材も代替的に使用されてよい。
【0022】
一度基礎基材が設けられたら、ステープルファイバーバットの一つ以上ある層は当業者によく知られている方法によって、その基材の2つの側部の片方又は両方に任意に取り付けられてよい。おそらく、最もよく知られており、且つ一般的に使用されている方法はニードリングであり、その方法ではバットの中の個々のステープルファイバーが複数の往復運動する有刺針によって、基礎基材へ打ち込まれている。別法では、個々のステープルファイバーは水でからませることによって基礎基材へ取り付けられてもよく、その方法では水の鋭い高圧のジェットが上記の往復運動する有刺針と同じ働きをする。一度ステープルファイバーバットが当業者によく知られているそれらの方法によって基礎基材へと取り付けられたら、それは抄紙機の乾燥部において水分を含んだ紙を脱水するために一般的に使用される様々なプレス布のものと同様の構造を有すると、一般に認められるであろう。
【0023】
同様に、一番目の層又は付加的なバットを、樹脂が適用された後の構造へ適用することは必要である。そのような場合、パターンのある樹脂がバットファイバーの層の下にあることになる。
【0024】
更に別法では、その基礎基材は、少なくとも部分的にはその構造へと浸透して2つ側部の片方で望ましい厚さを形成し得る重合体樹脂材のコーティングを備えることで、空気や水といった流体に対して不浸透にされた構造となってよい。これはベルトをロングニッププレスにおいて使用することが意図された特殊な場合であり、その内側表面にある予め決められた厚さを持つ重合体樹脂材の層を必要とし、そのため基礎基材はロングニッププレスのアーチ型圧力シュー部との直接接触から保護され得る。本発明に従って製造されたベルトはシュー型のロングニッププレスのためのロングニッププレスベルトとして、及びカレンダリングやシートトランスファーといった他の紙製造や紙加工に関する応用として使用されてよい。
【0025】
ステープルファイバーバット材が付加されているか、及び2つの側部の片側に望ましい厚さの重合体樹脂材の層が存在するかどうかに関わらず、一度基礎基材が供給されたら、それは図1において概略的に記されている装置10に取り付けられる。基礎基材は抄紙機に設置されている間はエンドレス形、又はエンドレス形へと縫われていることは理解されるべきである。すなわちそれは、図1において記されている基礎基材12が、基礎基材12の全長の比較的に短い部分であると理解されるべきということである。基礎基材12がエンドレス形である場合、それは1組のロール付近に実際には取り付けられるだろう。それは図では表示されていないが、抄紙機クロージング技術の技術者に最もよく知られている。そのような状況において、装置10は2つのロールの間にある基礎基材12の2つある経路のうちの1つ、最も好都合な場合には上部の経路に配置されるであろう。しかし、エンドレス形であるのかどうかによって、基礎基材12は加工の間に適切な度合いの張力を好ましくはかけられる。更に、たるみを防止するために、基礎基材12は装置10を通過している間、水平動の支持部材によって下から支持されてよい。
【0026】
更に具体的に図1に言及するならば、本発明の方法が実行されると、基礎基材12は装置10の中を上方へと動くよう指示されており、装置10はベルトがそこで製造されるように、基礎基材12が次々と通過することが出来る連続した幾つかのステーションから成っている。
【0027】
ステーションは下記のように認められる:
1. ポリマー沈積ステーション14;
2. 画像/修復ステーション24;
3. 任意定着ステーション36;及び
4. 任意研磨ステーション44
基礎基材12が空気や水のような流体に対して不浸透にされていない場合、本発明に従って、少なくとも部分的には基礎基材12に含浸する重合体樹脂材のコーティングで、基礎基材12を不浸透性にするために基礎基材12の全表面を覆うことが望ましい。これは、装置10の最初のステーションである、ポリマー沈積ステーションを使用することによって、完遂される。
【0028】
ポリマー沈積ステーション14において、横断レール18、20に取り付けられ、装置10を通る基礎基材12の運動と横方向に平行移動している、すなわち基礎基材12の運動と平行方向であるピエゾジェットの配列16は、基礎基材を不浸透性にし、基礎基材12が静止している間に望ましい厚さの層を任意に形成するために、基礎基材12の上又は中に望ましいの量の重合体樹脂材を堆積させる、という度重なる工程を通した沈積のために使用されることができる。ポリマー沈積ステーション14に取り付けられている、バルクジェットの配列のような、代替のメータリング装置もまたこの目的のために使用されることができる。基礎基材12を覆う1つ以上のパスは、望ましい量の重合体樹脂材を沈積させるためにピエゾジェットの配列16、又は代替のメータリング装置によって、作られることができる。
【0029】
一度これがなされると、もし望まれるならば、ピエゾジェットの配列16は重合体樹脂材を予め決められたパターンで基礎基材12へと沈積させるために使用される。別法では、以前記されたように、本発明の実施として要求される小さな滴状に沈積させるための他の方法は、下記において論じられるのだが、当業者に知られて、又は未来に開発されてよく、及び本発明の実施において使用されてよい。重合体樹脂材は以前適用された重合体樹脂材をおおって、前もって決められたパターンで望ましい厚さの層を形成する。そのパターンは、基礎基材12の両表面中に実質的に伸張し、ベルトの表面に隙間容積を与える個別の穴に対応する配列の最終的な場所である個別の空白領域の配列を規定する、連続的なネットワークであってよい。
【0030】
別法では、重合体樹脂材は、例えば基本的に線形に、従って一般的に平行で互いに同じ間隔を有する線を形成し、基礎基材12中に実質的に伸張している半連続的パターンのような、半連続的ネットワークという形に沈積させられてよい。そのような線は、直線か折れ線である。更に一般的にいって、半連続的ネットワークは直線又は曲線、又は直線と曲線両方の線分を有している線から成り、その線というのはお互い一定の間隔に置かれており、交わったりすることはない。最終的に、半連続的ネットワークは複数の溝、すなわち水分を含んだ紙シートから押し出された水の一時的な貯蔵庫として隙間容積を提供する溝を、完成したベルトの表面に提供する。
【0031】
更に別法では、重合体樹脂材は、例えば十字形の溝を規定するような個別の場所の配列で沈積させられてもよい。
【0032】
各々の場合において、重合体樹脂材は自らが沈積させられた場所で以前適用された重合体樹脂材を覆って予め決められた高さへと隆起する。そのようなとき、重合体樹脂材は最終的に基礎基材12の表平面の内部に、又は基礎基材12の表平面にさえ、あるいは基礎基材12の表平面の上に完全に備わっている。基礎基材12を覆う1つ以上のパスは望ましい量の重合体樹脂材を沈積させるために、ピエゾジェットの配列16によって作られたものである。
【0033】
これら2つの操作、すなわち、不浸透性にするために重合体樹脂材で基礎基材12をコーティングすることと、予め決められたパターンでそこに付加的な重合体樹脂材を沈積させることは、単一の操作によって実行されることができる。換言するなら、ポリマー沈積ステーション14は、例えば最初に基礎基材12全体をコーティングし、それから続く操作として、予め決められたパターンで付加的な重合体樹脂材を適用するという代わりに、ある予め選択された厚さになるように重合体樹脂材で基礎基材12を覆い、それから予め決められたパターンで付加的な重合体樹脂材を適用するために使用されることができる。
【0034】
幾つかの応用において、予め決められたパターンとは、ベルトの表面が視覚的に滑らかで且つ均一であるように作られているのだが、しかし2つ以上の異なった重合体樹脂材の内の1つからそれぞれ形成された微視的な部位を有していることもまた理解されるべきである。
【0035】
加えて、材料の沈積は基礎基材の動きと必ず交差しないといけないのではなく、そのような運動と平行、またそのような動きに対して螺旋形、又は目的に適合した他のやり方でもあり得る。
【0036】
ピエゾジェットの配列16は少なくとも一つ、しかし好ましくは複数の個別のコンピュータにコントロールされた、能動部品が圧電素子のポンプのように各々が機能しているピエゾジェットから成る。実際的な問題として、256個以上あるピエゾジェットの配列は、もし技術が許すのであれば利用されてよい。その能動部品は応用電気信号によって物理的に変形させられた結晶(crystal)やセラミックである。この変形は結晶やセラミックをポンプとして機能させることができ、そのポンプは適切な電気信号を受信するたびに、液状の物質を物理的に排出する。以上のように、コンピュータにコントロールされた電気信号に反応して、望ましい材料の滴を供給するためにピエゾジェットを使用するこの方法は、通常“ドロップオンデマンド”方式と呼ばれている。
【0037】
再び図1を参照するが、基礎基材12の端部から、又はそこにおいて縦に伸張している基準スレッドから好ましくは始まっているピエゾジェットの配列16は基礎基材12を横切って縦方向と横方向に平行移動し、基礎基材12が静止している間に、上記のパターンの一つで10μ(10ミクロン)以上の公称直径、例えば50μ(50ミクロン)や100μ(100ミクロン)、を有しているかなり小さな滴状で、上述されたパターンに重合体樹脂材を沈積させる。基礎基材12と関係するピエゾジェットの配列の縦方向や横方向への平行移動や、配列16における各々のピエゾジェットから重合体樹脂材の滴を沈積させることは、繰り返し望ましい形に望ましい量の材料を積み重ねるように、基礎基材12の内部に、また望まれるならばその上に重合体樹脂材の予め決められたパターンを作り出すために、コンピュータによって形成されているパターンの3平面、長さ、幅、深さ又は高さ(x、y、z軸、又は方向)における形状をコントロールするための制御の取れた方法でコントロールされている。基礎基材12を覆う1つ以上のパスは望ましい量の重合体樹脂材を沈積させるために、ピエゾジェットの配列16によって作られた。
【0038】
ピエゾジェットの配列が基礎基材12の表面の選択された領域の上、又はその中に、重合体樹脂材を沈積させるために使用されていることを特徴とする本発明において、重合体樹脂材の選択は、放出されるとき、すなわち重合体樹脂材が沈積のために用意がされ、ピエゾジェットのノズルにあるとき、その粘度が100cps(100センチポイズ)以下であるという要件によって制限されているので、個別のピエゾジェットは一定の給滴率で重合体樹脂材を供給することが出来る。重合体樹脂材の選択を制限している2つ目の要件は、重合体樹脂材が、水滴のようにピエゾジェットから基礎基材12へと落ちる間、又は基礎基材12の上に乗った後に、流れ出すことを防ぎ、望ましいパターンに沈積を確実に行うよう重合体樹脂材のコントロールを維持するために、部分的に定着してなければならないということである。それらの基準に適合する、適当な重合体樹脂材は以下のものである:
1. ホットメルトと湿分硬化ホットメルト;
2. ウレタンとエポキシから成る2体反応システム;
3. ウレタン、ポリエステル、ポリエーテルやシリコーンから得られた反応性のアクリル化モノマーや、アクリル化オリゴマーから成る、感光性樹脂の組成物;及び
4. 水性ラテックスと水性分散体、及びアクリル樹脂とポリウレタンを含む粒子充填処方。
【0039】
上述されているように、ピエゾジェットの配列16は平均直径が10μ(10ミクロン)以上の極めて小さな滴状に重合体樹脂材を供給することが可能であるが、それは放出時におけるその粘度が100cps(センチポイズ)以下の場合に限られている。更に、ピエゾジェットの配列16は非常な精密さで重合体樹脂材を一度に一つの層へ沈積させることができ、及び均一の厚さを獲得するために基礎基材12上に形成された層の表面を磨く必要をなくし、当業者が重合体樹脂材のz方向の形状をコントロールすることを可能とさせている。すなわち、ピエゾジェットの配列16は、表面が研磨されることがなくとも単一平面になる、あるいは表面がある決められた3次元構造となるような精密さで重合体樹脂材を沈積させる。更に、2つ以上の種類の重合体樹脂材から成る微視的な領域を有する表面を作るために、ピエゾジェットの配列にある幾つかの個別のピエゾジェットはある重合体樹脂材を沈積させるために使用され、一方他のピエゾジェットは違う重合体樹脂材を沈積させるために使用されることができる。上記において論じられたように、このやり方は、例えば親水性材や疎水性材といった2つ以上の重合体樹脂材から成る微視的な領域を有する表面を持つシートトランスファーベルトを製造するために取られることができる。
【0040】
材料を沈積させる際のジェットの精度の程度は、形成される構造の大きさと形に依存するであろう。使用されるジェットの型や適用される材料の粘度は、また選択されたジェットの精度に影響を与えるだろう。
【0041】
更に、本発明の代替的な実施態様において、ピエゾジェットの配列16は一つ以上のバルクジェットを含んでよく、そのバルクジェットは重合体樹脂材を基礎基材12に沈積させるものであり、ピエゾジェットによる沈積よりも速い速度でなされる。バルクジェットによって沈積させられる重合体樹脂材の選択は、ピエゾジェットによって沈積させられる合成樹脂材のための粘度要件によっては、決定されない。ポリウレタンや感光性樹脂といった、より多様な種類の重合体樹脂材がバルクジェットを使用することで沈積され得る。実際、ピエゾジェットは高度な分離能で基礎基材12上の重合体樹脂材によって作られたパターンの詳細を精緻化するために使用される一方、バルクジェットは未分離のままで“大量”の合成樹脂材を基礎基材12に沈積させるために使用される。バルクジェットはピエゾジェットに先行して、あるいはそれと同時に作動する。この方式において、基礎基材12に重合体樹脂材のパターンを備えさせる全プロセスが素早く、及び効果的に進行する。基礎基材12を覆う一つ以上のパスは望まれる量の重合体樹脂材を沈積させるために、ピエゾジェットの配列16とバルクジェットによって作られる。
【0042】
重合体樹脂材は、沈積に続いて、基礎基材12の上、又はその中に固着される必要があることは理解されるべきである。重合体樹脂材が定着、又は固着される方法は、その物理的且つ/又は化学的要件に依存する。感光性樹脂は光によって硬化し、一方ホットメルト材は冷却によって定着する。水性ラテックスと水性分散体は乾燥され、及び熱で硬化し、反応システムは熱によって硬化される。したがって、重合体樹脂材は硬化、冷却、乾燥、またそれらの組み合わせによって定着され得る。
【0043】
重合体樹脂材を適切に定着させるには、その材料の基礎基材12の中への浸透と内部での配置をコントロールすること、すなわち、基礎基材12の望ましい容積の中に材料をコントロールし、且つ制限することが必要とされる。このようなコントロールは、ウィッキング及びスプレッディングを防ぐために、基礎基材12の表平面の下において重要である。そのようなコントロールは、例えば重合体樹脂材が接触してすぐに定着する温度に基礎基材12を維持することによって、果たされることができる。重合体樹脂材が基礎基材12の望ましい容積を越えて拡散する前に定着するような、ある程度の解放性を有する基礎基材上で、よく知られた、又はよく規定された硬化時間、あるいは反応時間を有する材料を使用することによって、コントロールは又果たされることができる。
【0044】
パターンが基礎基材12を横切る横断レール18、20の間にあるバンドにおいて完成したとき、基礎基材12はバンドの幅と等しい長さまで縦に進められ、及び上記の手順は以前に完成したバンドと隣接している新しいバンドに、予め決められたパターンを生じさせるために繰り返される。この繰り返しのやり方で、基礎基材12全体は予め決められたパターンを備えることが出来る。
【0045】
別法では、再度基礎基材12の端部から、あるいは、そこで縦方向へ伸張した基準スレッドから好ましくは始まっている、ピエゾジェットの配列16は横断レール18、20と関連する固定場所にとどめられ、一方基礎基材12は、基礎基材12の周囲にある縦のストリップにおいて望ましいパターンに重合体樹脂材を沈積させるために、その固定場所の下に動かされる。縦のストリップの完成によって、ピエゾジェットの配列16は縦のストリップと同じ幅まで、横断レール18、20において、横方向へ動かされ、及び上記の手順は以前に完成したものと隣接している新しいバンドに、予め決められたパターンを生じさせるために繰り返される。この繰り返しのやり方で、全基礎基材12は前もって決められたパターンを備えることが出来る。
【0046】
基礎基材12を覆う1つ以上のパスは、望ましい量の材料を沈積させ、望ましい形を製作するためにピエゾジェットの配列によって作られる。この点に関して、沈積は一般的に図7で示されているような数々の形を取りうる。その形は上方へと先細りしている厚い基底を持つ、四角形、円錐、長方形、楕円形、台形などである。選択されたデザインに依存して、沈積された多くの材料はジェットが繰り返し沈積領域を横切るにつれ、減少するやり方で層にされ得る。
【0047】
横断レール18、20の一端に、ジェット検査ステーション22がそれぞれのジェットからの重合体樹脂材の流れをテストするために設けられている。そこにおいて、製造ジェットユニットの自動的な働きを回復させるために、ジェットは汚れを除去、洗浄される。2番目のステーション、すなわち画像/修復ステーション24において、横断レール26、28は、基礎基材12を横切って平行移動しているディジタル画像カメラ30と、基礎基材12と横に、且つ横断レール26、28の間に関係して縦に交差して平行移動する修復ジェットの配列32を、基礎基材12が静止している間、支持する。
【0048】
ディジタル画像カメラ30は、基礎基材12において作り出された半連続の、又は連続したパターンにおける、欠陥があったり欠損していたりする個別の要素又は同様の不良品の場所を特定するために、沈積している重合体樹脂材を調べる。実際のパターンと望ましいパターンとの比較は、ディジタル画像カメラ30に連結された高速パターン認識(FPR)処理装置によってなされる。FPR処理装置は、欠陥がある、又は欠損していると検知された要素に付加的な重合体樹脂材を沈積させよと、修復ジェットの配列32に信号を送る。その前には、横断レール26、28の一端において、修復ジェット検査ステーション34が各々の修復ジェットからの、材料の流れをテストするために設けられている。そこで、製造修復ユニットの自動的な働きを回復させるために、各々の修復ジェットは汚れを取り除き、清掃され得る。
【0049】
三番目のステーション、すなわち任意定着ステーション36において、横断レール38、40は、使用される重合体樹脂材を定着させるのに必要とされる定着装置42を支持する。その定着装置42は、使用される重合体樹脂材の要件によって決定される選択にしたがって、例えば、赤外線、熱い空気、マイクロウェーブ、レーザー源;冷たい空気;又は紫外線や可視光線源といった熱源となる。
【0050】
最終的に、4番目で最後のステーションが任意研磨ステーション44であり、そこでは均一な厚さと滑らかで且つ巨視的に単一平面である表面を、基礎基材12の表平面上にある重合体樹脂材に備えさせるために、適切な研磨用具が使用される。任意研磨ステーション44は粗い表面を有するロールと、研磨が均一の厚さ及び巨視的には単一平面の表面をもたらすのを確実にするための、基礎基材12の他側におけるもう一つのロール、又は支持面(backing surface)から成る。
【0051】
例として内側表面に重合体樹脂材の層を有する基礎基材12の断面図である図2を参照する。基礎基材12は多層織りで縦糸52と横糸54から織られている。縦糸52が横糸54中を織って出来た基礎基材12の表面に姿を見せている突起56は、基礎基材12の外側表面58において確認される。基礎基材12の内側表面60は重合体樹脂コーティング62によって形成されている。
【0052】
重合体樹脂コーティング62は、滑ることによる接触及び内側表面60がロングニッププレスの潤滑されたアーチ型圧力シューを滑るときに結果として生じるであろう摩滅による摩損から、基礎基材12を保護する。重合体樹脂もまた、基礎基材12を油や水に対して不浸透にさせるために、基礎基材12に含浸する。重合体樹脂コーティング62は時にポリウレタンから出来ており、及び重合体樹脂が基礎基材12に適用されたのに続いて進行する硬化過程の間、泡が形成されることを避けるために好ましくは100%固体組成がよい。硬化の後、重合体樹脂コーティング62は滑らかな表面と均一な厚さを基礎基材12に与えるために、研磨され、磨かれる。
【0053】
図3は装置10の任意定着ステーション36及び任意研磨ステーション44から出てきて姿を見せたときの、完成したベルト70の平面図である。ベルト70は予め決められたパターンにおける複数の個別の穴74を除いて、重合体樹脂材72のコーティングを有している。
【0054】
そのパターンはランダム、又は基礎基材上の繰り返されるランダムパターン、若しくは品質をコントロールするためにベルトからベルトへと繰り返されるパターンであり得ることを注意する。
【0055】
図4は図3で示された完成したベルトの断面図である。この例において、重合体樹脂材72は、個別の穴74によって示される領域を除いて、基礎基材12の上に望ましい厚さの層を形成する。
【0056】
ベルトの代替的な実施態様は図5と図6において示されている。図5は、複数の交差する溝80をベルト76の表面に与える外側表面にある予め決められた配列上の重合体樹脂材の複数の個別の領域78を有している基礎基材12の、ベルトの平面図である。
【0057】
図6は表面に重合体樹脂材の半連続的なネットワークを有するベルト90の平面図である。半連続的なネットワークは基本的に線形でベルト90の至る所へと実質的に伸張している。半連続的なネットワークの各部92はネットワークを作っている他のものと平行する実質的に真っ直ぐな線という形で伸張している。各部92は重合体樹脂材から出来ており、それは隣接する部92と共に、溝94をその間によって規定する山の領域である。
【0058】
本発明の代替的な実施態様では、ポリマー沈積ステーション14、画像/修復ステーション24、定着ステーション36は、上記のように横方向に一定の間隔で繰り返し動かすよりむしろ、螺旋技術を用いて基礎基材12からベルトを作り出すのに適していてよい。螺旋技術において、ポリマー沈積ステーション14、画像/修復ステーション24、定着ステーション36は、基礎基材12の一端、例えば図1における左端で始まり、及び基礎基材12が図1において指示された方向に動くのにつれ、基礎基材12を徐々に横切るように動く。ステーション14、24、36及び基礎基材12が動かされる割合は、最終的なベルトにおいて望まれているパターンが連続するやり方で基礎基材12上において螺旋型にされるように、調整されている。この代替案において、ポリマー沈積ステーション14と画像/修復ステーション24によって沈積させられる重合体樹脂材は、各々螺旋形のパスとして定着装置42の下で定着、又は固着され、及び基礎基材12全体が装置10を通して進められた時、完全に定着される。
【0059】
別法では、ピエゾジェットの配列16が基礎基材12の周囲の縦のストラップにおける望ましいパターンに重合体樹脂材を沈積させるとき、画像/修復ステーション24と定着ステーション36もまた、ピエゾジェットの配列16と並んだ固定場所に据えられ、一方基礎基材12はそれらの下を動き、最終的なベルトにおいて望まれているパターンが基礎基材12の周囲にある縦のストラップに適用される。縦のストラップが完成したら、ピエゾジェットの配列16、画像/修復ステーション24、定着ステーション36は縦のストラップの幅と同じだけ横方向へ動かされ、その手順は以前完成したものと隣接している新しい縦のストラップのために、繰り返される。この繰り返すやり方で、全基礎基材12は完全に覆われ得る。
【0060】
更に、装置全体は加工された材料と共に、固定場所にとどまる。材料は完全な幅のベルトである必要はなく、特許文献5において開示されているような材料のストラップでもあってよく、及び続いて完全な幅のベルトへと形成されるということは注意されるべきである。上記の開示は参照によって本文中にここで組み込まれている。そのストリップは巻かれておらず、完全な加工の後で一連のロールへと巻かれ得る。ベルト材料であるこれらのロールは保管され、それから例えばすぐ前記の特許の教示を使用するエンドレス形の全幅構造を形成するために使用されることができる。
【0061】
上記に対する修正は明らかに当業者で対処できるが、補正クレームの範囲を超えた修正をもたらすことは出来ないであろう。特に、ピエゾジェットは基礎基材上の前もって選択された場所に材料を沈積させるために使用されるように、上記で開示されている一方、望ましい範囲に滴を沈積させるための他の方法は、当業者に知られている、又は将来的に沈積せられる、及びそのような他の方法は本発明の実践において使用されてよい。例えば、半円球のような最終パターンといった比較的大きな規模のパターンを必要とする過程において、比較的大きな、単一の樹脂沈積ノズルさえ全ジェットの配列から成ってよい。そのような方法の使用は、もし実施されたとしても、補正クレームの範囲を超えた発明をもたらしはしないであろう。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の方法によってベルトを製造するために使用される装置の略図である。
【図2】内側表面に重合体樹脂材の層を有する基礎基材の断面図である。
【図3】図1の装置から出て現れた時における完成したベルトの平面図である。
【図4】図3において表示されたものの断面図である。
【図5】ベルトの2番目の実施態様の平面図である。
【図6】ベルトの3番目の実施態様の平面図である。
【図7】沈積させられる材料の多様な表現形の斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
10 装置
12 基礎基材
14 ポリマー沈積ステーション
16 ピエゾジェットの配列
18、20 横断レール
22 ジェット検査ステーション
24 画像/修復ステーション
26、28 横断レール
30 ディジタル画像カメラ
32 修復ジェットの配列
36 任意定着ステーション
38、40 横断レール
42 定着装置
44 任意研磨ステーション
52 縦糸
54 横糸
56 突起
58 外側表面
60 内側表面
62 重合体樹脂コーティング
70 完成したベルト
72 重合体樹脂材
74 個別の穴
76 ベルト
78 個別の領域
80 溝
90 ベルト
92 半連続的なネットワーク
94 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抄紙機のロングニッププレスで使用するため、及び他の製紙や紙加工に関する応用のために設計された樹脂含浸エンドレスベルト構造を製造する方法において、
a) ベルトのための基礎基材を設ける工程;
b) 制御された方式で重合体樹脂材を前記基礎基材に沈積させる工程であって、それは滴状に予め決められたパターンを作るために前記の沈積させられる材料のx,y,z軸をコントロールする様に行われ、そこでは前記の予め決められたパターンは前記ベルト構造の表面特性を作り出すためであり;及び
c) 少なくとも部分的には、前記重合体樹脂材を硬化する工程;
から成る、上記の製造方法。
【請求項2】
前記滴状は10μ(10ミクロン)以上の平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
均一の厚さと滑らかで且つ巨視的に単一表面を有する前記重合体樹脂材を提供するため、前記基礎基材上に沈積させられた前記重合体樹脂材を研磨する任意的工程から更に成る、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程b)と工程c)は前記基礎基材を横切って横方向に伸張している連続するバンド上において逐次遂行される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程b)と工程c)は前記基礎基材の周囲を縦方向へと伸張している連続するストリップ上において逐次遂行される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程b)と工程c)は前記基礎基材の周囲で螺旋状に遂行される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程b)において、前記の予め決められたパターンは予め決められた配列に並べられている多数の個別の場所から成る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程b)において、前記の予め決められたパターンは予め決められた配列において多数の個別の空白領域を規定している連続的なネットワークから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程b)において、前記の予め決められたパターンは実質的に前記基礎基材中へと伸張している半連続的なネットワークから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程b)において、前記の予め決められたパターンは視覚的に滑らかで均一的である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
工程b)において、前記重合体樹脂材はふぞろい又は均一である前記の予め決められたパターンにおいて、前記基礎基材を覆って望ましい厚さの層を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
工程b)において、前記重合体樹脂材は少なくとも一台の個別のコンピュータによってコントロールされたピエゾジェットから成るピエゾジェットの配列によって沈積させられる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
工程b)と工程c)との間の
i) 前記の予め決められたパターンとの一致を測定するために、前記重合体樹脂材の実際のパターンを検査する工程;
ii)前記の予め決められたパターンから逸脱したものを排除するために、前記重合体樹脂材の実際のパターンを訂正する工程;
から更に成る、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記検査工程は、ディジタルカメラと連動して作動する高速パターン認識(FPR)処理装置によって実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記修復工程は前記FPR処理装置に連結された訂正ジェットの配列によって遂行される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記重合体樹脂材は、
1. ホットメルトと湿分硬化ホットメルト;
2. ウレタンとエポキシに基づく、2成分の反応システム;
3. ウレタン、ポリエステル、ポリエーテルやシリコーンから得られた反応性のアクリル化モノマーや、アクリル化オリゴマーから成る、感光性樹脂の組成物;及び
4. 水性ラテックスと水性分散体、及びアクリル樹脂とポリウレタンを含む粒子充填処方;
から成るグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記の樹脂を硬化させる工程は前記重合体樹脂材を熱源へ曝すことによって遂行される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記の樹脂を硬化させる工程は前記重合体樹脂材を冷たい空気に曝すことによって遂行される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記の樹脂を硬化させる工程は前記重合体樹脂材を化学線に曝すことによって遂行される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記ピエゾジェットの配列は個別のコンピュータによってコントロールされた多数のピエゾジェットから成り、ここで前記の個別のコンピュータによってコントロールされている幾つかのピエゾジェットは一方の重合体樹脂材を沈積させており、他の個別のコンピュータによってコントロールされているピエゾジェットは別の重合体樹脂材を沈積させている、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
ある重合体樹脂材は親水性であり、他の重合体樹脂材は疎水性である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記重合体樹脂材は単一平面をもつ均一な厚さの層という形で沈積させられる、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記重合体樹脂材は3次元構造を持った表面を有する均一でない厚さの層に沈積させられる、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
前記のベルトの製造を速めるために、バルクジェットを備えた前記の予め決められたパターンにおいて、前記基礎基材に重合体樹脂材を沈積させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記沈積工程は工程b)に先行して実行される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記沈積工程は工程b)とともに同時に実行される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
工程a)と工程b)の間に、前記基礎基材の全表面を膜で覆い不浸透性にするために重合体樹脂材を前記基礎基材へと沈積させるという工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記重合体樹脂材はバルクジェットの配列によって前記基礎基材へと沈積させられている、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記重合体樹脂材は、少なくとも一台の個別のコンピュータによってコントロールされているピエゾジェットから成るピエゾジェットの配列によって沈積させられている、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ストリップよりも大きな幅を有するベルトを形成するために最終的に巻かれている、織られたり、不織であったり、螺旋形をしていたり、スパイラルリンク形をしていたり、ニットであったり、メッシュだったり、ストリップだったりする材料から本質的に成っているグループから得た基礎基材を備えている工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
抄紙機のロングニッププレスで使用するため、及び他の製紙や紙加工に関する応用のために設計された樹脂含浸エンドレスベルト構造において、
a) ベルトのための基礎基材を設ける工程;
b) 制御された方式で重合体樹脂材を前記基礎基材に沈積させる工程であって、それは滴状に予め決められたパターンを作るために前記の沈積させられる材料のx,y,z軸をコントロールする様に行われ、そこでは前記の予め決められたパターンは前記ベルト構造の表面特性を作り出すためであり;及び
c) 少なくとも部分的には、前記重合体樹脂材を硬化する工程;
から成る、上記のベルト構造。
【請求項32】
前記滴状は10μ(10ミクロン)以上の平均直径を有する、請求項31に記載のベルト構造。
【請求項33】
均一の厚さと滑らかで且つ巨視的に単一表面を有する前記重合体樹脂材を提供するため、前記基礎基材上に沈積させられた前記重合体樹脂材を研磨する任意的工程から更に成る、請求項1に記載のベルト構造。
【請求項34】
工程b)と工程c)は前記基礎基材を横切って横方向に伸張している連続するバンド上において逐次遂行される、請求項1に記載のベルト構造。
【請求項35】
工程b)と工程c)は前記基礎基材の周囲を縦方向へと伸張している連続するストリップ上において逐次遂行される、請求項31に記載のベルト構造。
【請求項36】
工程b)と工程c)は前記基礎基材の周囲で螺旋状に遂行される、請求項31に記載のベルト構造。
【請求項37】
工程b)において、前記の予め決められたパターンは予め決められた配列に並べられている多数の個別の場所から成る、請求項31に記載のベルト構造。
【請求項38】
工程b)において、前記の予め決められたパターンは予め決められた配列において多数の個別の空白領域を規定している連続的なネットワークから成る、請求項31に記載のベルト構造。
【請求項39】
工程b)において、前記の予め決められたパターンは実質的に前記基礎基材中へと伸張している半連続的なネットワークから成る、請求項31に記載のベルト構造。
【請求項40】
工程b)において、前記の予め決められたパターンは視覚的に滑らか及び均一的である、請求項31に記載のベルト構造。
【請求項41】
工程b)において、前記重合体樹脂材はふぞろい又は均一である前記の予め決められたパターンにおいて、前記基礎基材を覆って望ましい厚さの層を形成する、請求項31に記載のベルト構造。
【請求項42】
工程b)において、前記重合体樹脂材は少なくとも一台の個別のコンピュータによってコントロールされたピエゾジェットから成るピエゾジェットの配列によって沈積させられる、請求項31に記載のベルト構造。
【請求項43】
前記重合体樹脂材は、
1. ホットメルトと湿分硬化ホットメルト;
2. ウレタンとエポキシに基づく、2成分の反応システム;
3. ウレタン、ポリエステル、ポリエーテルやシリコーンから得られた反応性のアクリル化モノマーや、アクリル化オリゴマーから成る、感光性樹脂の組成物;及び
4. 水性ラテックスと水性分散体、及びアクリル樹脂とポリウレタンを含む粒子充填処方;
から成るグループから選択される、請求項31に記載のベルト構造。
【請求項44】
前記重合体樹脂材は、少なくとも一台の個別のコンピュータによってコントロールされているピエゾジェットから成るピエゾジェットの配列によって沈積させられている、請求項42に記載のベルト構造。
【請求項45】
前記重合体樹脂材は単一平面をもつ均一な厚さの層という形で沈積させられる、請求項41に記載のベルト構造。
【請求項46】
前記重合体樹脂材は3次元構造を持った表面を有する均一でない厚さの層に沈積させられる、請求項41に記載のベルト構造。
【請求項47】
前記のベルトの製造を速めるために、バルクジェットを備えた前記の予め決められたパターンにおいて、前記基礎基材に重合体樹脂材を沈積させる工程を更に含む、請求項31に記載のベルト構造。
【請求項48】
前記沈積工程は工程b)に先行して実行される、請求項31に記載のベルト構造。
【請求項49】
前記沈積工程は工程b)とともに同時に実行される、請求項31に記載のベルト構造。
【請求項50】
工程a)と工程b)の間に、前記基礎基材の全表面を膜で覆い不浸透性にするために重合体樹脂材を前記基礎基材へと沈積させるという工程を更に含む、請求項31に記載のベルト構造。
【請求項51】
前記重合体樹脂材はバルクジェットの配列によって前記基礎基材へと沈積させられている、請求項50に記載のベルト構造。
【請求項52】
ストリップよりも大きな幅を有するベルトを形成するために最終的には曲げられている、織られたり、不織であったり、螺旋形をしていたり、スパイラルリンク形をしていたり、ニットだったり、メッシュだったり、ストリップだったりする材料から基本的に成っているグループから得た基礎基材を備えている工程を含む、請求項31に記載のベルト構造。
【請求項53】
前記のネットワークは並行な溝であるという請求項38におけるベルト。
【請求項54】
前記のネットワークは交差している溝であるという請求項38におけるベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−512494(P2006−512494A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−564874(P2004−564874)
【出願日】平成15年11月6日(2003.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2003/035392
【国際公開番号】WO2004/061213
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(591097414)アルバニー インターナショナル コーポレイション (110)
【氏名又は名称原語表記】ALBANY INTERNATIONAL CORPORATION
【Fターム(参考)】