説明

複合ケーブル

【課題】伝送損失が小さく、ケーブル外径が小さい複合ケーブルを提供する。
【解決手段】光ファイバ3と電気信号線2を撚り合わせてなる集合撚線4と、集合撚線4の周囲に形成された被覆層5とを備え、電気信号線2は、少なくとも集合撚線4の中心部に配置されており、光ファイバ3は、集合撚線4の中心に関して対称となるよう中心部に配置された電気信号線2の周囲に複数本配置されているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバと電気信号線を複合した複合ケーブルに係り、特に、複合化した場合の光ファイバの配置を工夫した複合ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ストレージの大容量化、コンピュータの処理速度の高速化、ディスプレイ、カメラの高精細化によりデータ大容量伝送の要求が高まっている。大容量伝送が必要な大陸間、都市間通信系では既に光化が進んでいる。
【0003】
しかし、これまで電気で情報をやり取りしていた短距離のサーバ間、ディスプレイとコンピュータ本体間などでも光化の要求が高まり、一部実用化されている。機器間通信においては、大容量伝送が必要なデータだけでなく、機器制御に用いる低速信号伝送も必要なことや、一部低速信号をパラレル伝送すること、さらに、機器間で電力伝送する必要もあることから、一部電気・光の複合ケーブルによる機器間インターコネクトが考えられている。
【0004】
なお、電気・光の複合ケーブルに関する先行技術文献情報として、次のものがある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−22617号公報
【特許文献2】特開2002−324433号公報
【特許文献3】特開2003−86028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、電気と光を同じ外部被覆層で被覆した複合ケーブルでは、押出し時に光ファイバに側圧などがかかり、損失増加の原因となることがある。さらに、複数本の光ファイバを撚り合わせて使用する場合、配置によってはそれぞれの光ファイバの長さが異なることがあり、データ伝送上、問題を生じることがある。
【0007】
光ファイバの側圧による損失増加を抑える方法として、ルースチューブ中に光ファイバを挿入する方法が、特許文献3に記載されているが、ルースチューブを用いた場合、ルースチューブの内径を光ファイバの外径以上のサイズとする必要があり、ケーブルの外径が大きくなってしまう。
【0008】
また、ルースチューブ中に光ファイバを挿入する方法では、ルースチューブ内の光ファイバが固定されていないことから、機器との接続の際に端末加工性が悪いという問題が生じる。
【0009】
一方、他の問題としては、光ファイバは長手方向の引張りに弱いため、テンションメンバなどの金属線を別途ケーブルに含めた構成とする必要があり、ケーブルの外径が大きくなってしまう。
【0010】
そこで、本発明の目的は、伝送損失が小さく、ケーブル外径が小さい複合ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、光ファイバと電気信号線を撚り合わせてなる集合撚線と、上記集合撚線の周囲に形成された被覆層とを備え、
上記電気信号線は、少なくとも上記集合撚線の中心部に配置されており、上記光ファイバは、上記集合撚線の中心に関して対称となるよう上記中心部に配置された上記電気信号線の周囲に複数本配置されている複合ケーブルである。
【0012】
請求項2の発明は、上記電気信号線は、上記集合撚線の中心に関して対称となるよう複数本配置されている請求項1記載の複合ケーブルである。
【0013】
請求項3の発明は、上記複数本配置された電気信号線は、上記集合撚線の中心を通るよう一列に配置された電気信号線群を含み、上記電気信号線群に関して対称となるよう上記光ファイバが配置されている請求項1又は2に記載の複合ケーブルである。
【0014】
請求項4の発明は、上記集合撚線の両側に、該集合撚線の長手方向に沿って電力線が配置されており、上記電力線と上記被覆層が共に外部被覆層により被覆されている請求項1〜3のいずれかに記載の複合ケーブルである。
【0015】
請求項5の発明は、上記集合撚線の片側に、該集合撚線の長手方向に沿って電力線が配置されており、上記電力線と上記被覆層が共に外部被覆層により被覆されている請求項1〜3のいずれかに記載の複合ケーブルである。
【0016】
請求項6の発明は、上記外部被覆層の表面に、上記集合撚線を上記被覆層と共に上記電力線から分離する分離用スリットを有する請求項4又は5に記載の複合ケーブルである。
【0017】
請求項7の発明は、上記分離用スリットは、上記集合撚線と上記電力線との間に対向して設けられている請求項6に記載の複合ケーブルである。
【0018】
また、上記目的を達成するために、請求項8の発明は、複数本の光ファイバを並列配置させてなるアレイファイバと、上記アレイファイバの長手方向に沿って複数本配列された電力線および信号用電線とが、外部被覆層により一括に被覆されている複合ケーブルである。
【0019】
請求項9の発明は、上記外部被覆層の表面に、上記電力線と上記アレイファイバとを分離する分離用スリットが設けられている請求項8に記載の複合ケーブルである。
【0020】
請求項10の発明は、上記分離用スリットは、上記電力線と上記アレイファイバとの間に対向して設けられている請求項9に記載の複合ケーブルである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、伝送損失が小さく、ケーブル外径が小さい複合ケーブルを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面にしたがって説明する。
【0023】
図1は、本発明の好適な第1の実施形態を示す複合ケーブルの横断面図である。
【0024】
図1に示すように、第1の実施形態に係る複合ケーブル1は、上述した機器間通信において、データ、制御信号の2つをまとめて伝送するために使用される。
【0025】
複合ケーブル1は、光ファイバ3と電気信号線2を撚り合わせてなる集合撚線4と、その集合撚線の周囲に形成された被覆層5とを備える。
【0026】
電気信号線2は、少なくとも集合撚線4の中心部に配置されており、光ファイバ3は、集合撚線4の中心に関して対称となるよう、集合撚線4の中心部に配置された電気信号線2の周囲に複数本配置されている。
【0027】
第1の実施形態では、横断面視で集合撚線4の中心に関して対称となるよう電気信号線2を複数本配置し、これら電気信号線2の外側で、かつ集合撚線4の中心に対して左右対称となるように光ファイバ3を複数本配置して集合撚線4を構成し、その集合撚線4を被覆層(シース)5で覆った。また、複合ケーブル1では、各光ファイバ3が互いに離れるように配置した。
【0028】
ここで、集合撚線4の中心に関して対称であるとは、集合撚線4の中心を中心として180°回転対称であることをいう。
【0029】
さらに、第1の実施形態では、隣り合う光ファイバ3間に1本の電気信号線2が位置するように各光ファイバ3を配置することで、光ファイバ3をほぼ等間隔に配置した。また、ケーブル外観や取り扱い性を向上させるため、横断面が円形に近い楕円形となるようにした。
【0030】
第1の実施形態では、複合ケーブル1として、主に室内に設置されるコンピュータ周辺機器とサーバー間、サーバー同士などの機器間通信への使用を考慮し、電気信号線2を6本とし、光ファイバ3を4本とした合計10芯の例で説明する。
【0031】
合計10芯としたのは、構造的には電気信号線3本、光ファイバ4本が六方最密であるが、電気信号線の数が足りず、光ファイバ同士が接触するため、光ファイバに加わる応力の低減や、光ファイバの曲げを防止する点で不十分になるからである。
【0032】
より詳細には、複合ケーブル1では、横断面で見て、集合撚線4の中心部に電気信号線2を4本上下に縦列配置して集合撚線4の中心を通るよう一列に配置された電気信号線群2bを構成すると共に、これら4本の電気信号線2の配置方向中心となる両側にそれぞれ電気信号線2(以下、外側電気信号線2e)を配置し、各外側電気信号線2eの上下に、電気信号線群2bに関して対称となるよう光ファイバ3をそれぞれ配置した。
【0033】
つまり、複合ケーブル1では、各光ファイバ3は対角となる位置(図1の例では、4本の光ファイバ3の横断面を結んで形成される正方形の頂点位置)に配置される。言い換えれば、6本配置した電気信号線2の外側の隙間に、互いに離れて最密となるように4本の光ファイバ3を配置した。複合ケーブル1は、構造面および機能面から最密である。
【0034】
各電気信号線2と各外側電気信号線2eは、導体の外周に絶縁体を被覆してなり、同じものである。各光ファイバ3としては、シングルモード光ファイバ、あるいは短距離の場合にはマルチモード光ファイバを用いる。
【0035】
これら各電気信号線2と、各外側電気信号線2eと、各光ファイバ3とを配置して束ねた後、全体撚りすると、集合撚線4が得られ、さらにその集合撚線4を被覆層5で覆うと、複合ケーブル1が得られる。
【0036】
各電気信号線2は、電圧が約3〜10Vの交流あるいは直流信号を伝送するための電線である。被覆層5を形成する材料としては、高、中、低密度、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、シリコーンゴムのいずれかを用いるとよい。特に、各種ポリエチレンは耐摩耗性、耐水性、耐候性に優れ、押出被覆しやすく、長尺物の製造に適している。複合ケーブル1を室内で使用する場合には、被覆層5を形成する材料として、ポリ塩化ビニルを用いてもよい。
【0037】
第1の実施形態の作用を説明する。
【0038】
複合ケーブル1は、電気信号線2が、少なくとも集合撚線4の中心部に配置されており、光ファイバ3が、集合撚線4の中心に関して対称となるよう集合撚線4の中心部に配置された電気信号線2の周囲に複数本配置されている。
【0039】
このため、複合ケーブル1は、光ファイバ3の1本1本が周囲の電気信号線2と被覆層5に守られ、従来のように光ファイバをケーブル中心部に配置したものに比べ、各光ファイバ3の曲げを防止でき、曲げ損失を小さくできる。
【0040】
特に、複合ケーブル1では、電気信号線2の外側に各光ファイバ3を配置することにより、電気信号線2と光ファイバ3を複数本撚り合わせた場合に、各光ファイバ3に生じる小曲げの径が、各光ファイバを内側に複数本配置したときよりも大きくなり、光損失に与える影響が小さくなる。
【0041】
さらに、複合ケーブル1は、各光ファイバ3を互いに離れるように複数本配置して集合撚線4を構成することで、光ファイバ3同士が接触することはなく、部品数を増やすことなく、各光ファイバ3に加わるテンション(応力)を低減(ストレスを緩和)できる。
【0042】
複合ケーブル1のように、6本の電気信号線2と4本の光ファイバ3を用い、各光ファイバ3を対角となる位置に配置した場合、最密構造となり、各光ファイバ3のみならず、隣り合う2本の電気信号線2も長さがほぼ同じになるので、データや信号の遅れを防止できる。
【0043】
また、複合ケーブル1は、集合撚線4の中心部に配置した電気信号線2や、その周りの外側電気信号線2eが、各光ファイバ3に与えるテンションを吸収する抗張力体の役目を果たすため、各光ファイバ3に加わるテンションをさらに低減できる。
【0044】
したがって、複合ケーブル1は、光信号の伝送損失が小さく、ケーブル外径が小さく、しかも部品数が少なくて安価な複合ケーブルである。
【0045】
また、図2に示す第2の実施形態に係る複合ケーブル21のように、横断面で見て、集合撚線4の中心部に電気信号線2を3本上下に縦列配置して電気信号線群2bを構成すると共に、これら3本の電気信号線2の配置方向中心となる両側の上下に、電気信号線群2bに関して対称となるよう光ファイバ3を合計4本それぞれ配置してもよい。
【0046】
図3に示す第3の実施形態に係る複合ケーブル31のように、横断面で見て、集合撚線4の中心部に電気信号線2を3本上下に縦列配置して電気信号線群2bを構成すると共に、これら3本の電気信号線2の配置方向中心となる両側にそれぞれ外側電気信号線2eを合計2本配置し、各外側電気信号線2eの上下に、電気信号線群2bに関して対称となるよう光ファイバ3を合計4本それぞれ配置してもよい。複合ケーブル31では、3本左右に並列配置した電気信号線2で電気信号線群を構成してもよい。
【0047】
複合ケーブル21,31によっても図1の複合ケーブル1と同じ作用効果が得られる。特に、複合ケーブル1,21,31のように、電気信号線2を3本、5本または6本とし、光ファイバ3を4本とする構成により、光ファイバ3と電気信号線2の配置がほぼ対称となり、撚り合わせ時に局所的に高い応力が生じることを抑制することができる。
【0048】
これに対し、電気信号線2が4本の場合には、光ファイバ3を外側に配置することが難しい。また、電気信号線2が7本以上では、電気信号線2の本数が多くなるに伴ってケーブル外径が大きくなることから、単位断面積あたりの情報伝送量が小さくなり、光ファイバによる高速伝送のメリットを十分に発揮できない。
【0049】
次に、第4の実施形態を説明する。
【0050】
図4に示すように、第4の実施形態に係る複合ケーブル41は、上述した機器間通信において、データ、制御信号、電源用などの電力の3つをまとめて伝送するために使用される。
【0051】
この複合ケーブル41は、図1の複合ケーブル1の構成に加え、集合撚線4の両側に、その集合撚線4の両側に沿って(這わせて)、かつ集合撚線4から離して電力線42,42をそれぞれ配置し、これら電力線42,42と被覆層5を横断面が矩形状の外部被覆層43で共に覆い、その外部被覆層43に、集合撚線4を被覆層5と共に各電力線42,42から分離するための分離用スリット44を形成したものである。
【0052】
各電力線42は、電気信号線2に比べ、導体の外径が大きく、最高使用電圧が高いものである。より詳細にいえば、各電力線42は、交流あるいは直流で電圧が最大約100V(直流の場合は一般的には電圧が最大約12V)の電力を伝送するための電線である。
【0053】
外部被覆層43を形成する材料は、被覆層5と同じ材料にするとよい。分離用スリット44は、横断面が略V字(くさび)状であり、被覆層5と各電力線42間に位置する外部被覆層43表面の長手方向に沿った上下に、上下2個が対向するように合計4個形成した。
【0054】
この複合ケーブル41によれば、電気信号線2、光ファイバ3、電力線42を複合しつつ、図1の複合ケーブル1と同じ作用効果が得られる。
【0055】
また、複合ケーブル41は、被覆層5の左右両側に電力線42,42を配置しているため、両電力線42,42が抗張力体としての役目を果たし、光ファイバ3に加わるテンションをより緩和できる構造である。
【0056】
すなわち、複合ケーブル41では、電力線42,42を被覆層5に這わすことにより、複合ケーブル41が強い圧力で引っ張られた場合に、電力線42,42は太いことから電力線42,42がテンションメンバの役割を果たし、各光ファイバ3の破壊を防止できる。
【0057】
さらに、複合ケーブル41では、その端末部において、電気信号線2および光ファイバ3と電力線42は用途や使用場所が異なることから、分離用スリット44を境にして複合ケーブル1と各電力線42を分離できるため、端末処理や接続作業が簡単である。
【0058】
ここで、複合ケーブル41(電力/光/電気信号複合配線)の使用例を図5を用いて簡単に説明する。図5の左側が電力、データの送信元であり、右側が受信部である。電力・データの伝送方向は矢印Sで示した。
【0059】
図5に示すように、複合ケーブル41は、例えば上述した機器間通信を行うため、光電変換機能を有する高速信号用端末51Aと、低速信号用端末51B間を接続するケーブルとして使用される。端末51A,51B内では、複合ケーブル41を端末処理し、各電気信号線2と各光ファイバ3(図4参照)をそれぞれ外部電気信号線52Ea,52Ebに直接接続する一方で、各電力線42(図4参照)をそれぞれ外部電力線53Pa,53Pbに直接接続する。
【0060】
複合ケーブル41の両端末では、電力線と信号線(光信号、電気信号)の間に形成した分離用スリット44(図4参照)を利用して、配線をそれぞれ分岐している。
【0061】
この通信システムの動作を簡単に説明する。
【0062】
送信側機器から外部電気信号線52Eaで伝送された電気信号の一部の高速信号(25MBit/s以上)は、端末51Aで光信号に変換され、複合ケーブル41の光信号線を通して端末31Bに伝達される。伝達された光信号は、端末51Bで電気信号に変換され、電気信号線52Ebを介して受信側機器に伝送される。
【0063】
電力も同様に、送信側機器から、外部電気信号線52Eaとは異なる外部電力線53Paで伝送された電力は、端末51Aを介して複合ケーブル41に伝送され、複合ケーブル41を伝送後に、端末51B、外部電力線53Pbを介して受信側機器に伝送される。
【0064】
ここで、端末51Aでの電気信号から光信号への変換は、例えば、電気信号を光信号に変換するレーザーの一種であるVCSEL(面発光レーザー)素子と、VCSEL素子駆動用のドライバICとで行う。また、端末51Bでの光信号から電気信号への変換は、例えば、光信号を電気信号に変換するPD(フォトダイオード)素子と、PD素子からの電気信号を増幅し、さらに信号波形を整える機能を有するプリアンプICとで行う。
【0065】
図6に示す第5の実施形態に係る複合ケーブル61は、図1の複合ケーブル1の構成に加え、集合撚線4の片側に、その集合撚線4の片側に沿って、かつ集合撚線4から離して電力線42,42を並列配置し、これら電力線42,42と被覆層5を横断面が矩形状の外部被覆層43で共に覆い、その外部被覆層43に、集合撚線4を被覆層5と共に両電力線42,42から分離するための分離用スリット44を形成したものである。
【0066】
この複合ケーブル61によっても、図4の複合ケーブル41と同様の作用効果が得られる。
【0067】
本発明の他の実施形態としては、図7に示す第6の実施形態に係る複合ケーブル71のように、複数本の光ファイバ3を並列配置させてなるアレイファイバ(テープファイバ)73と、このアレイファイバ73の長手方向に沿って複数本配列された電力線22および電気信号線2とを、外部被覆層43により一括被覆したものでもよい。
【0068】
図7では、一例として、複合ケーブル71の片側(図7では右側)の下部に、6本の電気信号線2を配置すると共に、その上方に4本の光ファイバ3が並列配置されてなるアレイファイバ73とを配置してケーブル本体74を構成し、複合ケーブル71の反対側(図7では左側)に、ケーブル本体74に沿って、かつケーブル本体74から離して2本の電力線22,22を配置し、これら電力線22,22とケーブル本体74を外部被覆層43で一括して被覆した。
【0069】
さらに、複合ケーブル71では、外部被覆層43の表面に、電力線22,22と、アレイファイバ73および6本の電気信号線2とを分離する分離用スリット44を形成した。分離用スリット44は、ケーブル本体74と2本の電力線42,42間に位置する外部被覆層43表面の長手方向に沿った上下に、上下で対向するように合計2個形成した。
【0070】
この他の実施形態において、電気信号線の配置は不問である。また、複数本配置した電気信号線2とアレイファイバ73間に位置する外部被覆層43の側部に、複数本の電気信号線2とアレイファイバ73を分離するための分離用スリットを形成すれば、その分離用スリットを境にして電気信号線とアレイファイバを分離することもできる。
【0071】
上記実施形態では、横断面が矩形状の外部被覆層43を用いた例で説明したが、横断面が楕円状あるいは円形状の外部被覆層を用いてもよい。
【0072】
また、電気信号線2と光ファイバ3の本数は、ともに偶数本にしてもよい。これは、電気信号線2は、信号の遅れを極力防止するため、隣り合う2本を1ペアで使用することが多く(例えば、差動伝送の場合)、光ファイバ3も送信用と受信用で分けて使用することが多いからである。
【0073】
上記各実施形態に係る複合ケーブルは、例えば、高速のデータと低速のデータが混在したディスプレイインターフェイス用ケーブルとしても用いることが可能である。この場合、ディスプレイへの電源供給も同時に可能となる。
【0074】
また、他の用途として、遠隔操作のカメラのインターフェースとして使用可能である。その場合、電源の供給はカメラの操作側からカメラへ、データはカメラから操作側へ送られ、低速信号はカメラの制御線として使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の好適な第1の実施形態を示す複合ケーブルの横断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態を示す複合ケーブルの横断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態を示す複合ケーブルの横断面図である。
【図4】本発明の第4の実施形態を示す複合ケーブルの横断面図である。
【図5】図4に示した複合ケーブルの使用例を示す概略図である。
【図6】本発明の第5の実施形態を示す複合ケーブルの横断面図である。
【図7】本発明の第6の実施形態を示す複合ケーブルの横断面図である。
【符号の説明】
【0076】
1 複合ケーブル
2 電気信号線
3 光ファイバ
4 集合撚線
5 被覆層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバと電気信号線を撚り合わせてなる集合撚線と、上記集合撚線の周囲に形成された被覆層とを備え、
上記電気信号線は、少なくとも上記集合撚線の中心部に配置されており、上記光ファイバは、上記集合撚線の中心に関して対称となるよう上記中心部に配置された上記電気信号線の周囲に複数本配置されていることを特徴とする複合ケーブル。
【請求項2】
上記電気信号線は、上記集合撚線の中心に関して対称となるよう複数本配置されている請求項1記載の複合ケーブル。
【請求項3】
上記複数本配置された電気信号線は、上記集合撚線の中心を通るよう一列に配置された電気信号線群を含み、上記電気信号線群に関して対称となるよう上記光ファイバが配置されている請求項1又は2に記載の複合ケーブル。
【請求項4】
上記集合撚線の両側に、該集合撚線の長手方向に沿って電力線が配置されており、上記電力線と上記被覆層が共に外部被覆層により被覆されている請求項1〜3のいずれかに記載の複合ケーブル。
【請求項5】
上記集合撚線の片側に、該集合撚線の長手方向に沿って電力線が配置されており、上記電力線と上記被覆層が共に外部被覆層により被覆されている請求項1〜3のいずれかに記載の複合ケーブル。
【請求項6】
上記外部被覆層の表面に、上記集合撚線を上記被覆層と共に上記電力線から分離する分離用スリットを有する請求項4又は5に記載の複合ケーブル。
【請求項7】
上記分離用スリットは、上記集合撚線と上記電力線との間に対向して設けられている請求項6に記載の複合ケーブル。
【請求項8】
複数本の光ファイバを並列配置させてなるアレイファイバと、上記アレイファイバの長手方向に沿って複数本配列された電力線および信号用電線とが、外部被覆層により一括に被覆されていることを特徴とする複合ケーブル。
【請求項9】
上記外部被覆層の表面に、上記電力線と上記アレイファイバとを分離する分離用スリットが設けられている請求項8に記載の複合ケーブル。
【請求項10】
上記分離用スリットは、上記電力線と上記アレイファイバとの間に対向して設けられている請求項9に記載の複合ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−311124(P2008−311124A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158726(P2007−158726)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】