説明

複合結晶蛍光体、発光装置、面光源装置、ディスプレイ装置及び照明装置

【課題】本発明は、蛍光体に関し、より詳細には、高い発光特性及び優れた熱的・化学的安定性を有する複合結晶蛍光体とこれを利用した発光装置、面光源装置、ディスプレイ装置及び照明装置に関する。
【解決手段】本発明の一観点によると、少なくともM元素と、Al元素と、ケイ素、酸素及び窒素とを含有する無機組成物であり、当該無機組成物は少なくとも2種の結晶相を有する粒子を有し、当該少なくとも2種の結晶相はMSiO結晶と同一の第1の結晶相と、β−サイアロン(Sialon)結晶である第2の結晶相とを含む複合結晶蛍光体を提供する。ここで、MはMg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択された少なくとも1種の元素であることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光体に関し、より詳細には、高い発光特性及び優れた熱的・化学的安定性を有する複合結晶蛍光体とこれを利用した発光装置、面光源装置、ディスプレイ装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、波長変換用蛍光体物質は、多様な光源の特定波長光を所望の波長光に変換させる物質として用いられている。特に、多様な光源のうち発光ダイオードは、低電力駆動及び優れた光効率によってLCDバックライトと自動車用及び家庭用照明装置に好ましく適用されることができるため、最近の蛍光体物質は白色発光装置を製造するための核心技術として脚光を浴びている。
【0003】
一般的に、白色発光装置は、青色又は紫外線LEDチップに1種以上の蛍光体(例えば、黄色又は赤色及び青色)を適用する方式で製造されている。特に、赤色蛍光体と共に、他の1種以上の蛍光体を組み合わせて用いる形態において、各蛍光体の半値幅が小さい場合は、十分な演色指数を確保するのが困難になり、所望の天然白色光を具現するのに限界がある。このような演色性への要求は、上記白色発光装置が照明用光源として採用される上で重要な評価事項になる。
【0004】
特に、従来の赤色蛍光体は、相対的に小さい半値幅を有するため、全体的に十分な演色性を具現するのに困難があった。したがって、高い発光効率を維持しながらも半値幅が大きい特性を有する赤色蛍光体が求められてきている。
【0005】
一方、シリケート系蛍光体等の赤色蛍光体は、他の蛍光体に比べて相対的に熱的安定性が低いため、高温条件で用いられるLED装置の波長変換物質としては適していないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためのものであって、熱的・化学的安定性に優れ且つ高い演色性を保障できる赤色光を放出する複合結晶蛍光体を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、上述した複合結晶蛍光体を赤色蛍光体として採用して自然光に近い演色性に優れた白色光を放出できる発光素子パッケージ、面光源装置及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した技術的課題を解決するために、本発明の一観点は、少なくともM元素と、Al元素と、ケイ素、酸素及び窒素とを含有する無機組成物であり、当該無機組成物は少なくとも2種の結晶相を有する粒子を有し、当該少なくとも2種の結晶相はMSiNO4-y(0<x<3、y=2x/3)結晶である第1の結晶相と、β−サイアロン(Sialon)結晶である第2の結晶相とを含む複合結晶蛍光体を提供する。ここで、MはMg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択された少なくとも1種の元素であることができる。
【0009】
上記複合結晶蛍光体は、赤色蛍光体であって、励起源を照射して570〜660nmの範囲にピーク波長を有する光を放出することができる。様々な結晶を有する複合結晶からなっても、発光スペクトルは単一のピーク波長を示すことができる。
【0010】
上記励起源は、300〜480nmの範囲にピーク波長を有することができる。
【0011】
白色発光装置への適用の際により優れた演色指数を保障できるように、上記複合結晶蛍光体は、約100nm以上の半値幅を有する発光スペクトルを有することができる。
【0012】
上記第1の結晶相は、SrSiO4−x(0<x<3、y=2x/3)であり、上記第2の結晶相は、Si6−zAl8−z(0<z<1)であることができる。好ましくは、上記第1の結晶相は60〜95質量%であり、上記第2の結晶相は5〜40質量%であることができる。
【0013】
上記複合結晶蛍光体は、他の結晶相、例えば、M2−aSi8−a(0<a<8、b=2a/3)結晶である第3の結晶相をさらに含むことができる。この場合、上記第1の結晶相は50〜90質量%であり、上記第2の結晶相は5〜40質量%であり、上記第3の結晶相は10質量%以下であることができる。
【0014】
上記蛍光体は、活性剤として少なくとも1種の希土類元素をさらに含み、当該希土類元素(Re)はCe、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群から選択されることができる。
【0015】
本発明の他の観点は、励起光を放出するLEDチップと、当該LEDチップの近傍に配置されて上記励起光の少なくとも一部を波長変換し上述した複合結晶蛍光体を含む赤色蛍光体と、上記LEDチップの放出波長及び上記赤色蛍光体の発光波長とは異なる波長の光を提供する少なくとも1つの発光要素とを含み、当該少なくとも1つの発光要素は追加のLEDチップ及び他種の蛍光体の少なくとも1つである白色発光装置を提供する。
【0016】
上記LEDチップは、紫外線を放出するLEDチップであるか又は430〜470nmの範囲にピーク波長を有する青色LEDチップであることができ、上記少なくとも1つの発光要素は、緑色蛍光体を含むことができる。
【0017】
上記緑色蛍光体の発光波長ピークは、500〜550nmであることができる。上記青色LEDチップは10〜50nmの半値幅を有し、上記緑色蛍光体は30〜200nmの半値幅を有し、上記赤色蛍光体は100〜250nmの半値幅を有することができる。
【0018】
上記緑色蛍光体は、M(4/3)yの組成式で表示される酸窒化物蛍光体、M((2/3)a+(4/3)b−(2/3)c)で表示される酸窒化物蛍光体及びSi6−zAl8−zの組成式で表示されるβ−サイアロン蛍光体の少なくとも1つを含むことができる。ここで、MはBe、Mg、Ca、Sr、Znからなる群から選択される少なくとも1種のII族元素であり、AはC、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hfからなる群から選択される少なくとも1種のIV族元素であることができる。
【0019】
上記少なくとも1つの発光要素は、黄色又は黄橙色蛍光体をさらに含むことができる。上記黄色蛍光体はシリケート系蛍光体であり、上記黄橙色蛍光体はα−SiAlON:Reである蛍光体であることができる。
【0020】
本発明の他の実施形態において、上記少なくとも1つの発光要素は、蛍光体等の波長変換物質ではなく、緑色LEDチップとして提供されることもできる。
【0021】
上記LEDチップは、第1及び第2の電極が同一面に向かうように配置された構造を有するか、又は、第1及び第2の電極がそれぞれ互いに異なる面に向かうように配置された構造を有することができる。
【0022】
本発明のさらに他の実施形態において、上記LEDチップは、対向する第1及び第2の主面を有し、それぞれ当該第1及び第2の主面を提供する第1及び第2の導電型半導体層とその間に形成された活性層とを有する半導体積層体と、上記第2の主面から上記活性層を経て上記第1の導電型半導体層の一領域に連結されたコンタクトホールと、上記半導体積層体の第2の主面上に形成され上記第1の導電型半導体層の一領域に上記コンタクトホールを介して連結された第1の電極と、上記半導体積層体の第2の主面上に形成され上記第2の導電型半導体層に連結された第2の電極とを含む。
【0023】
この場合、上記第1及び第2の電極のいずれか1つが上記半導体積層体の側方向に引き出された構造を有することもできる。
【0024】
上記白色発光装置は、上記LEDチップが搭載された溝部を有するパッケージ本体をさらに含むことができる。
【0025】
上記白色発光装置は、上記LEDチップを封止する樹脂封止部をさらに含み、上記複数の蛍光体の少なくとも1つは、上記樹脂封止部内に分散されることができる。
【0026】
上記白色発光装置は、それぞれ異なる複数の蛍光体含有樹脂層が積層された構造を有することができる。
【0027】
上記白色発光装置から放出される白色光の演色指数(CRI)は70以上であることができる。
【0028】
本発明は、上述した複合結晶蛍光体を波長変換物質として利用する発光装置、面光源装置及びディスプレイ装置、さらには、照明装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、複合結晶蛍光体を具現して各結晶の長所を結合することによって、優れた特性を有する波長変換物質を提供することができる。β−サイアロン結晶を部分的に採用することで、高演色性を保障できる大きい半値幅を有する赤色光を提供し、その割合に応じて多様な特性を満足する発光スペクトルを提供することができる。従来の白色発光装置に比べて演色指数の上昇効果を期待することができる。
【0030】
また、アルミニウムの含有と共に、酸素の一部を窒素に置換することによって、新たな複合結晶を導入して高演色性を保障することができる上、窒化物系蛍光体で期待される高い発光特性と優れた熱的・化学的安定性を有し、このような長所によって高出力/高信頼性の白色発光装置の製造に好ましく用いられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例1により製造された複合結晶蛍光体粒子を撮影した走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図2a】図1の複合結晶蛍光体粒子に対するEDAXデータ分析結果である。
【図2b】図1の複合結晶蛍光体粒子に対するEDAXデータ分析結果である。
【図3】本発明の実施例1により製造された複合結晶蛍光体のXRDグラフである。
【図4】本発明の実施例1による複合結晶蛍光体の冷陰管イメージ撮影写真である。
【図5】本発明の実施例1による複合結晶蛍光体と比較例1による複合結晶蛍光体の発光スペクトルを示すグラフである。
【図6】本発明の実施例2により製造された複合結晶蛍光体のXRDグラフである。
【図7】本発明の一実施形態による白色発光装置を示す概略図である。
【図8a】本発明の他の実施形態による白色発光装置を示す概略図である。
【図8b】本発明の他の実施形態による白色発光装置を示す概略図である。
【図9】本発明に採用可能な緑色蛍光体のスペクトルである。
【図10】(a)及び(b)は、本発明に採用可能な赤色蛍光体のスペクトルである。
【図11】(a)及び(b)は、本発明に採用可能な黄色又は黄橙色蛍光体のスペクトルである。
【図12】本発明の一実施形態によるLED光源モジュールを概略的に示す側断面図である。
【図13】本発明の他の実施形態によるLED光源モジュールを概略的に示す側断面図である。
【図14】本発明による白色発光装置に採用可能な発光素子の一例を示す側断面図である。
【図15】本発明による白色発光装置に採用可能な発光素子の他の例を示す側断面図である。
【図16】本発明による白色発光装置に採用可能な発光素子の一例を示す平面図である。
【図17】本発明による白色発光装置に採用可能な発光素子の一例を示す側断面図である。
【図18】本発明による白色発光装置に採用可能な発光素子の他の例を示す側断面図である。
【図19】(a)及び(b)は、本発明の多様な実施形態によるバックライトユニットを示す断面図である。
【図20】本発明の一実施形態による直下型バックライトユニットを示す断面図である。
【図21a】本発明の他の実施形態によるエッジ型バックライトユニットを示す断面図である。
【図21b】本発明の他の実施形態によるエッジ型バックライトユニットを示す断面図である。
【図22】本発明の一実施形態によるディスプレイ装置を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付の図面及び実施例を参照して本発明をより詳細に説明する。
【0033】
本発明の一観点は、新たな複合結晶蛍光体を提供する。本明細書で用いられる「複合結晶蛍光体」という用語は、相違する2以上の結晶相を有する蛍光体粒子を含む蛍光体をいう。
【0034】
上記複合結晶蛍光体は、少なくともM元素と、Al元素と、ケイ素、酸素及び窒素とを含有し、上記無機組成物は、少なくとも2種の結晶相を有する粒子を含む。
【0035】
上記少なくとも3種の結晶相としては、MSiO4−x(0<x<3、y=2x/3)結晶と同一の第1の結晶相と、Si6−zAl8−z(0<z<1)である第2の結晶相とを含む。ここで、Mは、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択された少なくとも1種の元素であることができる。
【0036】
上記第1の結晶相は、SrSiO4−x(0<x<3、y=2x/3)であることができ、赤色蛍光体であり、酸素の一部を窒素に置換することによって熱的・化学的安定性を向上させることができる。
【0037】
また、上記複合結晶蛍光体の主な部分を構成することができ、追加の上記第2の結晶相によって発光スペクトルの半値幅を拡張させて白色発光装置において高い演色性を保障することができる。
【0038】
励起源は、紫外線帯域はもちろん可視光線帯域も含み、好ましくは300〜480nmの範囲にピーク波長を有することができる。このような励起源を照射して570〜660nmの範囲にピーク波長を有する光を放出することができる。
【0039】
特に、第2の結晶相であるβ−サイアロン(Sialon)は、緑色蛍光体であるが、複合結晶蛍光体の結晶相に部分的に合成されて第1の結晶相の半値幅(70〜80nm)を拡張させることができる。
【0040】
このように、β−サイアロン(Sialon)結晶相と他の結晶相とを共に有する複合結晶からなっても、ほぼ単一のピーク波長を有し且つ大きい半値幅(約100nm以上)を有する発光スペクトルを提供することができる。
【0041】
好ましくは、上記赤色発光のための第1の結晶相は60〜95質量%であり、演色性改善のための第2の結晶相は5〜40質量%であることができる。本発明による第2の結晶相であるβ−サイアロン結晶相が全質量の5質量%未満の場合は、半値幅の改善による演色性の向上効果が微弱し、β−サイアロン結晶相が40質量%未満の場合は、変換効率が低くなって全体としての光量が減少する問題を有することがある。
【0042】
上記蛍光体は、活性剤として少なくとも1種の希土類元素をさらに含む無機組成物であることができる。上記希土類元素(Re)は、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群から選択されることができる。特に、Euと共にDyを活性剤として添加させることで、変換効率を改善することができる(例えば、約5〜10%)。したがって、半値幅の改善に応じて多少低くなる効率を補完することができる。
【0043】
上述した複合結晶蛍光体のための製造方法では、原料物質としてM含有化合物(ここで、Mは、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される少なくとも1種である)、Si含有酸化物、Si含有窒化物及びAl含有化合物を所望の化学量論に合わせて秤量して混合すべき原料物質をそれぞれ用意する。さらにEu含有化合物等の希土類元素(Re)含有化合物を含むことができる。
【0044】
本発明の特定実施例において、上記複合結晶蛍光体は、他の結晶相、例えば、MSi8−b(0<a<3、b=2a/3)結晶である第3の結晶相をさらに含むことができる。この場合、上記第1の結晶相は50〜90質量%であり、上記第2の結晶相は5〜40質量%であり、上記第3の結晶相は10質量%以下であることができる。
【0045】
測量された原料物質の混合方式としては、乾式又は湿式混合方式のいずれかを用いることができる。
【0046】
湿式混合方式によると、上記秤量された混合物と、原料物質の混合過程及び粉砕を助けるボール(ball)と、溶媒とを入れて混合する。この際、ボールとしては、酸化ケイ素(Si)材質、ジルコニア(ZrO)材質又は一般的に原料の混合時に用いられるボールを用いることができる。溶媒としては、蒸留水(D.I.water)、エタノール等のアルコール類又はn−ヘキサン(Hexane)等の有機溶媒を全て用いることができる。即ち、原料物質と溶媒とボールとを入れた後、容器を密閉し、ミラー(miller)等の装置を利用して1〜24時間程度原料物質を均質に混合することができる。混合過程が完了した後、混合された原料物質とボールとを分離させ、乾燥炉(oven)で1〜48時間程度の乾燥過程を経ることで、溶媒を殆ど乾燥させることができる。乾燥が完了した粉末を金属又はポリマー材質の篩(sieve)を利用して所望のマイクロメーターサイズ条件で均一に分級することができる。
【0047】
乾式混合方式によると、溶媒を用いず、容器に原料物質を入れてフライス盤(milling machine)を利用して当該原料物質を均質に混合する。混合時間は、1〜24時間程度であり、この際にボールを原料物質と共に入れて混合をさらに容易にすることで混合時間を短縮させることができる。このような乾式混合方式は、湿式に比べて溶媒の乾燥過程を必要としないため、全工程時間を減らすことができる長所がある。原料物質の混合が完了すれば、湿式混合と同様に、混合過程が完了した粉末を金属又はポリマー材質の篩(sieve)を利用して所望のマイクロメーターサイズ条件で均一に分級することができる。
【0048】
焼成工程は、分級された混合粉末を窒化ホウ素(BN)坩堝に充填させた後に行うことができる。この際、焼成工程は、加熱炉を利用して所望の焼成温度(例えば、1,850〜2,300℃、1,000〜1,800℃)で1〜24時間程度行われる。焼成過程中の雰囲気では、窒素(N)100%又は水素が1〜10%含まれた混合窒素ガスを利用することができる。合成された蛍光体粉末を乳鉢又は粉砕機を利用して均質に粉砕した後、後熱処理工程を1〜3回繰り返し行って蛍光体の輝度を向上させることができる。
【0049】
このような工程を介して得られた複合結晶蛍光体は、2種の結晶相を含むことができ、例えば、MSiO4−xを主成分とし、β−SiAlONである無機化合物を含む複合結晶蛍光体として赤色蛍光体が製造されることができる。ここで、Mは、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択された少なくとも1種であり、0<x<3、y=2x/3の条件を満足することができる。他の例において、Mは、少なくとも1つの他の1価及び2価元素に部分的に置換されることができる。
【0050】
最終的に焼成された蛍光体粉末を乳鉢又は粉砕機で粉砕し、最適の粒度を具現するために、分級工程を介して粒度を制御する。この際、代表的に16マイクロメーターサイズの篩を利用して16マイクロメーター以下の均質なサイズの複合結晶蛍光体を得ることができる。
ここで、得られた蛍光体粉末を蒸留水(D.I.water)、無機酸、有機酸、塩基を利用して後処理して蛍光体に含有されている余分のガラス相、未反応金属物質等の不純物を除去することができる。例えば、濃度0.1〜60%の硝酸を加えて、1〜10時間攪拌することで、余分の不純物を溶出させて除去することができる。
【0051】
無機酸としては、硝酸以外に、硫酸、塩酸、フッ素酸又はこれら無機酸の混合溶液を用いることができる。一方、酸処理で除去していない不純物は、塩基を利用して除去することができる。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基又はこれら無機塩基の混合溶液を用いることができる。
【0052】
このような酸処理及び塩処理後の蛍光体スラリーは残存する酸又は塩をD.I.waterを利用して洗浄し、湿式分級、ろ過、乾燥を行うことで、最終的には所望の蛍光体粉末を得ることができる。この際、乾燥工程は、50〜150℃で十分な時間をかけて行うことができる。
【0053】
特定例において、M含有化合物としては、Sr含有化合物を用い、例えば、SrCOであることができる。Eu含有化合物は、酸化ユウロピウム(Eu)であることができる。Si含有酸化物は、酸化ケイ素(SiO)であることができる。Si含有窒化物は、窒化ケイ素(α−Si及びβ−Si)であることができる。Al含有化合物は、酸化アルミニウム(Al)又は窒化アルミニウム(AlN)であることができる。
【実施例】
【0054】
以下、多様な実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的思想がこのような実施例によって制限されるものではない。
【0055】
<実施例1>
下記のように秤量された原料物質SiO、Si、Al、Eu、SrCOを用意し、これらをボールミルを利用してエタノール溶媒と混合した。
SrCO:1.259g
SiO:1.585g
Si:1.134g
Al:1.345g
Eu:0.083g
【0056】
乾燥機を用いて原料混合物中のエタノール溶媒を揮発させ、窒化ホウ素(BN)坩堝に乾燥された原料混合物を充填し、当該原料混合物が充填された窒化ホウ素坩堝を加熱炉に入れて、N雰囲気のガス状態で1,950℃で8時間焼成させた。
【0057】
焼成された蛍光体を粉砕し、所定の後熱処理及び酸洗工程を介して複合結晶蛍光体を製造した。
【0058】
実施例1により合成された複合結晶蛍光体の粒子形状と、複合結晶蛍光体を構成する各蛍光体粒子の成分を分析したSEM及びEDAX結果を図1と図2a及び図2bに示した。
【0059】
図1を参照すると、合成された複合結晶蛍光体の粒子のSEM写真が示されている。また、図2a及び図2bを参照すると、図1に示される1つの粒子を他の位置(スペクトル1、2)で測定した元素分析結果が示されている。
【0060】
その結果、ストロンチウム、ケイ素、酸素及び窒素はもちろんアルミニウム(Al)成分も確認された。即ち、Alが、他の元素と共に蛍光体粒子の結晶を構成していることを確認することができる。
【0061】
本実施例1で合成された複合結晶蛍光体の結晶構造をXRD分析を介して確認した。図3は、実施例1による複合結晶蛍光体に対するXRD分析グラフを示す。
【0062】
図3に示されるように、SrSiO結晶に該当するピークと共に、アルミニウム(Al)を含有するβ−サイアロン(Sialon)結晶に該当するピークを示す2結晶相の複合結晶蛍光体であることを確認することができる。
【0063】
SrSiO結晶のピークを示す第1の結晶は、SrSiO2.41.6と分析され、アルミニウム(Al)を含有するβ−サイアロン(Sialon)結晶のピークを示す第2の結晶は、Si5.4Al0.60.67.4と分析された。このように、本実施例により製造された複合結晶蛍光体は、上述した2種の結晶相が互いに固溶された類似斜方晶系(orthorhombic)結晶であることを確認することができた。
【0064】
さらに、実施例1により製造された複合結晶蛍光体に対して、冷陰管(Cathodo Luminescence:CL)分析を行った。
【0065】
その結果、本実施例で合成された複合蛍光体は、図4に示されるように、赤色イメージを示し、618nmの近傍で赤色のスペクトルを有するものと確認された。
【0066】
<比較例1>
β−サイアロン結晶なしにSrSiO結晶を有する蛍光体を製造するために、Al原料物質を除外し実施例1と同一の原料物質を適正割合で混合し、同一の工程を適用した。
【0067】
即ち、下記のように秤量された原料物質SiO、Si、Eu、SrCOを用意し、これらをボールミルを利用してエタノール溶媒と混合した。
SrCO:1.529g
SiO:1.657g
Si:1.284g
Eu:0.083g
【0068】
乾燥機を用いて原料混合物中のエタノール溶媒を揮発させ、窒化ホウ素(BN)坩堝に乾燥された原料混合物を充填し、当該原料混合物が充填された窒化ホウ素坩堝を加熱炉に入れて、N雰囲気のガス状態で1,950℃で8時間焼成させた。
【0069】
焼成された蛍光体を粉砕し、所定の後熱処理及び酸洗工程を介して複合結晶蛍光体を製造した。
【0070】
図5は、本実施例1による複合結晶蛍光体と比較例による複合結晶蛍光体の発光スペクトルを比較するグラフである。
【0071】
図5に示されるように、比較例による1結晶相の蛍光体、即ち、SrSiO結晶と同一の酸窒化物結晶を有する複合結晶蛍光体は、615〜620nmのピーク波長を示し、通常のSrSiO蛍光体の半値幅(70〜80nm)と比較して大きい変化なしに約80nmの半値幅を有するのに対し、実施例1による2結晶相の蛍光体は、618nmのピーク波長を示し、半値幅は大きく増加して約113nm程度と示された。
【0072】
即ち、図5に示されるように、本実施例1による複合結晶蛍光体によると、β−サイアロン結晶等の他の結晶が複合されても、単一のピークを示し且つ半値幅を増加させる効果がある。
【0073】
複合結晶蛍光体は、半値幅の改善に応じて多少効率が減少するが、活性剤の追加によって改善されることができる。例えば、活性剤としてEuと共にDyを所定量加えることによって、変換効率を5〜10%改善して光量の減少を補償することができる。
【0074】
実施例1及び比較例1によるそれぞれの複合蛍光体に対し、同一条件で青色LEDチップに他の緑色蛍光体を適用して白色発光装置を製造し、演色指数をさらに評価した。比較例1による複合結晶蛍光体を用いた白色発光装置では演色指数が72.47と示されたが、実施例1による複合結晶蛍光体を用いた白色発光装置では75.31と約4%改善されたことを確認することができた。
【0075】
このように、β−サイアロン等の結晶相が加えられるように複合結晶蛍光体を製造することで、半値幅が増加した発光スペクトルを有する赤色蛍光体を得ることができ、これにより高い演色指数の白色発光装置を提供することができるという長所がある。
【0076】
さらに、下記のように実施例2及び比較例2を行った。
【0077】
<実施例2>
実施例1と類似する工程を介して製造するが、実施例1と比較して最終蛍光体が、SrSiO結晶に該当する第1の結晶と、アルミニウム(Al)を含有するβ−サイアロン(Sialon)結晶に該当する第2の結晶と共に、さらにSrSi結晶に該当する第3の結晶を有するように製造した。
【0078】
図5は、実施例1による複合結晶蛍光体に対するXRD分析グラフを示す。図5に示されるように、SrSiO結晶に該当するピーク及びアルミニウム(Al)を含有するβ−サイアロン(Sialon)結晶に該当するピーク以外にも、さらにSrSi結晶に該当するピークが観察された。
【0079】
SrSiO結晶のピークを示す第1の結晶は、SrSiO2.551.7と分析され、アルミニウム(Al)を含有するβ−サイアロン(Sialon)結晶のピークを示す第2の結晶は、Si5.25Al0.750.757.25と分析された。また、SrSi結晶のピークに該当する第3の結晶は、SrSi1.37.14結晶を有するものと分析された。
【0080】
このように、本実施例により製造された複合結晶蛍光体は、上述した2種の結晶相が互いに固溶された類似斜方晶系(orthorhombic)結晶であることを確認することができた。
【0081】
<比較例2>
比較例1と類似するように、アルミニウム(Al)を含有するβ−サイアロン結晶が形成されないように(Al化合物未添加)複合蛍光体を製造するが、SrSiO結晶と同一の結晶以外にSrSi結晶も得られるように、2結晶相の複合蛍光体を製造した。
【0082】
上述した各実施例及び各比較例から得られた蛍光体に対し、半値幅と演色性を評価してその結果を下記の表1に示した。
【0083】
【表1】

【0084】
このように、本発明による実施例1及び2の複合結晶蛍光体の場合、比較例1及び2に比べて90nm以上の水準に半値幅が拡張され、且つ演色指数も73以上に改善される効果を示すことを確認することができた。
【0085】
以下、添付の図面を参照して本発明による蛍光体を含む多様な応用形態を説明する。
【0086】
図7は、本発明の一実施形態による白色発光装置を示す概略図である。
【0087】
図7に示されるように、本実施形態による白色発光装置10は、青色LEDチップ15と、これを封止し上部が膨らんでいるレンズ状を有する樹脂封止部19とを含む。
【0088】
本実施形態による樹脂封止部19は、広い指向角を確保できるように半球レンズ状を有するものとして例示されている。上記青色LEDチップ15は、別途の回路基板に直接実装されることができる。上記樹脂封止部19は、上記シリコン樹脂やエポキシ樹脂又はこれらの組み合わせからなることができる。上記樹脂封止部19の内部には、緑色蛍光体12と赤色蛍光体14が分散される。
【0089】
本実施形態に採用可能な緑色蛍光体12としては、M(4/3)yで表示される酸窒化物蛍光体、M((2/3)a+(4/3)b−(2/3)c)で表示される酸窒化物蛍光体、及びβ型Si結晶構造を有しSi6−zAl8−zで表示されるβ−サイアロン蛍光体の少なくとも1つを用いることができる。ここで、MはBe、Mg、Ca、Sr、Znからなる群から選択される少なくとも1種のII族元素であり、AはC、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hfからなる群から選択される少なくとも1種のIV族元素である。
【0090】
また、緑色蛍光体12としては、他の緑色蛍光体と共に又は単独で、β型Si結晶構造を有し組成式Si6−zAl8−z:Eu、Mで表示される酸窒化物蛍光体を用いることができる。ここで、MはSr及びBaからなる群から選択された少なくとも1種であり、Eu添加量(a)は0.1〜5mol%の範囲であり、M添加量(b)は0.1〜10mol%の範囲であり、Al組成比(z)は0.1<z<1を満足する。
【0091】
上述したSi6−zAl8−z:Eu、Mで表示されるβ−サイアロン(SiAlON)蛍光体もまた、緑色蛍光体として励起源を照射して500〜550nmの範囲にピーク波長を有する光を放出する蛍光体を提供することができる。本緑色蛍光体としては、Si6−zAl8−z:Eu、Mで表示されるβ−サイアロン(SiAlON)結晶であるホストマトリックスの空隙(empty sphere)にSrを所定量添加することによって、従来のβ−サイアロン(SiAlON)蛍光体より大きく向上した輝度(例えば、約20%程度)を有する上、540nm以下とさらに短波長化された緑色蛍光体を提供することができる。
【0092】
Si6−zAl8−z:Eu、Mで表示されるβ−サイアロン(SiAlON)緑色蛍光体は、CIE1931色座標系における標準RGB(sRGB)の緑色領域を満足させることができる色特性を提供して鮮明な白色を提供するのに寄与することができる。さらに、Srの添加(doping)は、β−サイアロンの相安定化に寄与することによって信頼性の特性を改善し、特に、経時による効率変化を左右するy色座標の変化を大きく減少させることができ、生産性及び収率の側面で改善効果が大きい。
【0093】
一方、本実施形態に採用可能な赤色蛍光体14としては、上述した複合結晶蛍光体以外にも、他の赤色蛍光体をさらに混合して用いることができる。例えば、M1AlSiN:Re(1≦x≦5)である窒化物系蛍光体、M1D:Reである硫化物系蛍光体、及び(Sr、L)SiO4−x:Euであるシリケート系蛍光体(ここで、0<x<4、y=2x/3)からなる群から選択された少なくとも1つであることができる。
【0094】
ここで、M1はBa、Sr、Ca及びMgからなる群から選択された少なくとも1種の元素であり、DはS、Se及びTeからなる群から選択された少なくとも1種の元素であり、LはBa、Ca及びMgからなる群から選択された少なくとも1つの第2族元素又はLi、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択された少なくとも1つの第1族元素であり、DはS、Se及びTeからなる群から選択された少なくとも1種であり、ReはY、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、F、Cl、Br及びIからなる群から選択された少なくとも1つである。
【0095】
このように、本発明によると、半値幅、ピーク波長及び/又は変換効率等を考慮して特定の緑色蛍光体と特定の赤色蛍光体とを組み合わせた形態にして提供することによって、70以上の高い演色指数を有する白色光を提供することができる。また、複数の蛍光体から多様な波長帯域の光が得られるため、色再現性を向上させることができる。
【0096】
上記赤色蛍光体のうち(Sr、L)SiO4−x:Euであるシリケート系蛍光体の場合、好ましくは、xの範囲が0.15≦x≦3の条件であることができる。上記組成式中、Siの一部は、他の元素に置換されることができる。例えば、B、Al、Ga及びInからなる群から選択された少なくとも1種の元素に置換されるか、又は、Ti、Zr、Gf、Sn及びPbからなる群から選択された少なくとも1種の元素に置換されることができる。
【0097】
上記青色LEDチップの主波長は、430〜470nmの範囲であることができる。この場合、可視光線帯域で広いスペクトルを確保してより大きい演色指数の向上のために、上記緑色蛍光体12の発光波長ピークは500〜550nmの範囲であり、上記赤色蛍光体14の発光波長ピークは600〜660nmの範囲であることができる。
【0098】
好ましくは、上記青色LEDチップは10〜50nmの半値幅を有し、上記緑色蛍光体は30〜200nmの半値幅を有し、上記赤色蛍光体は50〜250nmの半値幅を有することができる。
【0099】
本発明の他の実施形態では、上述した赤色蛍光体14と緑色蛍光体12以外にも、さらに黄色又は黄橙色蛍光体を含むことができる。この場合、より向上した演色指数を確保することができる。このような実施形態は、図8aに示されている。
【0100】
図8aを参照すると、本実施形態による白色発光装置20は、中央に反射コップが形成されたパッケージ本体21と、反射コップの底部に実装された青色LEDチップ25と、反射コップ内に青色LEDチップ25を封止する透明樹脂封止部29とを含む。
【0101】
上記樹脂封止部29は、例えば、シリコン樹脂やエポキシ樹脂又はこれらの組み合わせによって形成されることができる。本実施形態では、上記樹脂封止部29に、緑色蛍光体22及び赤色蛍光体24と共に、黄色又は黄橙色蛍光体26をさらに含む。
【0102】
即ち、緑色蛍光体22は、M(4/3)y酸窒化物蛍光体、M((2/3)a+(4/3)b−(2/3)c)酸窒化物蛍光体及びβ−サイアロン蛍光体の少なくとも1つを含むことができる。赤色蛍光体24は、上述した複合結晶蛍光体以外にも、M1AlSiN:Re(1≦x≦5)である窒化物系蛍光体及びM1D:Reである硫化物系蛍光体の少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0103】
また、本実施形態では、第3の蛍光体26をさらに含むことができる。上記第3の蛍光体は、緑色波長帯域と赤色波長帯域との中間に位置した波長帯域の光を放出できる黄色又は黄橙色蛍光体であることができる。上記黄色蛍光体はシリケート系蛍光体であり、上記黄橙色蛍光体はα−SiAlON:Re系又はYAG、TAGのガーネット系の蛍光体であることができる。
【0104】
上述した実施形態では、2種以上の蛍光体粉末を単一の樹脂封止部領域に混合・分散させた形態を例示したが、多様な他の構造に変更して行うことができる。より具体的には、上述した2種又は3種の蛍光体は、相違する層構造として提供されることができる。例えば、上記緑色蛍光体、上記赤色蛍光体及び上記黄色又は黄橙色蛍光体は、その蛍光体粉末を高圧で分散させて複層構造の蛍光体膜として提供されることもできる。
【0105】
これとは異なり、図8bに示されるように、複数の蛍光体含有樹脂層構造に具現されることができる。
【0106】
図8bを参照すると、本実施形態による白色発光装置30は、上述した実施形態と類似するように、中央に反射コップが形成されたパッケージ本体41と、反射コップの底部に実装された青色LEDチップ45と、反射コップ内に青色LEDチップ45を封止する透明樹脂封止部39とを含む。
【0107】
上記樹脂封止部39上には、それぞれ異なる蛍光体が含有された樹脂層が提供される。即ち、上記緑色蛍光体が含有された第1の樹脂層32と、上記赤色蛍光体が含有された第2の樹脂層34と、上記黄色又は黄橙色蛍光体が含有された第3の樹脂層36とで波長変換部を構成することができる。
【0108】
本実施形態で用いられる蛍光体としては、図6で説明した蛍光体と同一であるか又は類似する蛍光体を採択して用いることができる。
【0109】
なお、青色LEDチップに黄色蛍光体を結合する場合、青色波長光と共に変換された黄色光を得ることができる。しかしながら、全可視光線スペクトルにおいて緑色及び赤色帯域の波長光が殆どないため、自然光に近い演色指数を確保するのが困難になる。特に、変換された黄色光は、高い変換効率を得るために狭い半値幅を有することになるため、この場合の演色指数はより低くなることがある。また、単一の黄色変換程度に応じて、発現される白色光の特性が容易に変わるため、優れた色再現性を保障するのが困難になる。
【0110】
これに対し、本発明で提案された蛍光体の組み合わせから得られる白色光は、高い演色指数を得ることができる。即ち、青色LEDチップと緑色蛍光体(G)と赤色蛍光体(R)とを組み合わせる本発明の実施例によると、既存例に比べて緑色及び赤色帯域で発光されるため、可視光線帯域でより広いスペクトルを得ることができ、その結果、演色指数を大きく向上させることができる。また、緑色帯域と赤色帯域との間に中間波長帯域を提供できる黄色又は黄橙色蛍光体をさらに含むことによって、演色指数をより大きく向上させることができる。
【0111】
図9には、本発明に採用可能な緑色蛍光体の発光スペクトルの一例が示されている。図9に示されるように、本発明による酸窒化物蛍光体から得られた緑色蛍光体は、ピーク波長が約540nmであり、半値幅が76.7nmの発光スペクトルを有することを確認することができる。
【0112】
図10(a)及び図10(b)には、本発明にさらに採用可能な赤色蛍光体の発光スペクトルが示されている。
【0113】
図10(a)を参照すると、MAlSiN:Re(1≦x≦5)である窒化物系蛍光体(ここで、MはBe、Ba、Sr、Ca及びMgからなる群から選択された少なくとも1種の元素であり、ReはY、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、F、Cl、Br及びIからなる群から選択された少なくとも1種の元素である)のスペクトルが示されている。変換された赤色光は、約640nmのピーク波長と約85nmの半値幅を示す。
【0114】
図10(b)を参照すると、MD:Eu、Reである硫化物系蛍光体(ここで、MはBe、Ba、Sr、Ca及びMgからなる群から選択された少なくとも1種の元素であり、DはS、Se及びTeからなる群から選択された少なくとも1種の元素であり、ReはY、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、F、Cl、Br及びIからなる群から選択された少なくとも1種の元素である)のスペクトルが示されている。変換された赤色光は、約655nmのピーク波長と約55nmの半値幅を示す。
【0115】
図11(a)及び図11(b)には、本発明に選択的に採用可能な黄色又は黄橙色蛍光体のスペクトルが示されている。
【0116】
図11(a)を参照すると、シリケート系蛍光体のスペクトルが示されている。変換された黄色光は、約555nmのピーク波長と約90nmの半値幅を示す。
【0117】
図11(b)を参照すると、α−SiAlON:Reである蛍光体のスペクトル(ここで、ReはY、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、F、Cl、Br及びIからなる群から選択された少なくとも1つであり、Reは1〜50,000ppmの範囲である)が示されている。変換された黄色光は、約580nmのピーク波長と約88nmの半値幅を示す。
【0118】
このように、本発明によると、半値幅、ピーク波長及び/又は変換効率等を考慮して特定の緑色蛍光体と特定の赤色蛍光体とを組み合わせた形態又はこの組み合わせた形態にさらに黄色又は黄橙色蛍光体を加えることによって、70以上の高い演色指数を有する白色光を提供することができる。
【0119】
上記光において、CIE1941色座標系を基準として、赤色光の色座標はx、y座標が0.55≦x≦0.65、0.25≦y≦0.35の範囲内にあり、緑色光の色座標はx、y座標が0.2≦x≦0.4、0.5≦y≦0.7の範囲内にあり、青色光の色座標はx、y座標が0.1≦x≦0.2、0.02≦y≦0.15の範囲内にある。
【0120】
青色LEDチップの主波長が430〜470nmの範囲の場合、緑色蛍光体の発光波長ピークは500〜550nmの範囲であり、赤色蛍光体の発光波長ピークは600〜660nmの範囲であり、黄色又は黄橙色蛍光体の発光波長ピークは550〜600nmの範囲であることができる。
【0121】
また、青色LEDチップが10〜50nmの半値幅を有する場合、上記緑色蛍光体は30〜200nmの半値幅、好ましくは60〜80nmの半値幅を有し、上記赤色蛍光体は50〜250nmの半値幅を有し、黄色又は黄橙色蛍光体は20〜100nmの半値幅を有することができる。
【0122】
上記のような条件を有する各蛍光体の選択及び組み合わせによって、本発明は、可視光線帯域で広いスペクトルを確保し、より大きい演色指数を有する優れた白色光を提供することができる。
【0123】
本発明は、LCDバックライトユニットの光源として好ましく用いることができる白色光源モジュールを提供することができる。即ち、本発明による白色光源モジュールは、LCDバックライトユニットの光源として多様な光学部材(拡散板、導光板、反射板、プリズムシート等)と結合してバックライトアセンブリーを構成することができる。図12及び図13は、このような白色光源モジュールを示すものである。
【0124】
図12を参照すると、LCDバックライト用光源モジュール50は、回路基板51と、その上に実装された複数の白色LED装置10の配列とを含む。回路基板51の上面には、LED装置10と接続される導電パターン(図示せず)が形成されることができる。
【0125】
各白色LED装置10は、図7で説明した白色LED装置であることができる。即ち、青色LEDチップ15は、回路基板51にCOB(Chip On Board)方式で直接実装される。各白色LED装置10は、別途の反射壁を有せずレンズ機能を有する半球状の樹脂封止部19を備えることによって、広指向角を示すことができる。各白色光源の広指向角は、LCDディスプレイのサイズ(厚さ又は幅)を減少させるのに寄与することができる。
【0126】
図13を参照すると、LCDバックライト用光源モジュール60は、回路基板61と、その上に実装された複数の白色LED装置20の配列とを含む。上記白色LED装置20は、図8aで説明したように、パッケージ本体21の反射コップ内に実装された青色LEDチップ25と、これを封止する樹脂封止部29とを備え、樹脂封止部29内には上述した複合結晶蛍光体を含む赤色蛍光体24と共に緑色蛍光体22及び黄色又は黄橙色蛍光体26が分散されている。
【0127】
本発明は、上述した蛍光体を波長変化物質として利用する多様な形態の白色発光装置に具現されることができる。以下、本発明による白色発光装置に採用可能な発光素子を添付図面を参照して説明する。
【0128】
図14に示される発光素子100の半導体積層構造は、後述する構造を有することができる。Si−Al合金からなる基板(以下、'Si−Al合金基板'という)101、当該Si−Al合金基板101の上面及び下面に形成された保護層120、当該保護層120上に形成された接合金属層102、反射金属層103、p型半導体層104、活性層105及びn型半導体層106が順次積層されている。p型及びn型半導体層104、106と活性層105は、GaN系半導体、即ち、AlGaIn(1−x−y)N(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)半導体材料等からなることができ、発光構造物を形成する。
【0129】
上記n型半導体層106上には、n側電極107が形成されている。接合金属層102とp型半導体層104との間に介在された反射金属層103は、半導体層から入射された光を上方に反射させることで発光素子の輝度をより増加させる。反射金属層103は、高反射率の金属、例えば、Au、Ag、Al、Rh及びこれらのうち2つ以上の合金からなる群から選択された金属等からなることができる。しかしながら、このような反射金属層103は、必要に応じて形成されないこともある。
【0130】
接合金属層102は、Si−Al合金基板101を発光構造物に接合させる役割をし、Au等からなることができる。ここで、本発明の発光素子100は、接合金属層102を含んでいるが、当該接合金属層102なしにSi−Al合金101をp型半導体層104上に直接接合させることもできる。したがって、本発明の発光素子100は、Si−Al合金基板101を導電性基板として用いる。
【0131】
このようなSi−Al合金は、熱膨張係数、熱伝導度、機械的加工性及びコストの側面で有利な長所を有する。即ち、Si−Al合金基板101の熱膨張係数は、サファイア基板の熱膨張係数と類似している。したがって、Si−Al合金基板101を用いて発光素子100を製造する場合、既存のSiからなる導電性基板の接合工程及びレーザー照射によるサファイア基板の分離工程の際に発生していた基板の撓み現象及び発光構造物におけるクラック発生現象を大きく減少させて欠陥の少ない高品質の発光素子100を得ることができる。
【0132】
また、Si−Al合金基板101の熱伝導度は、約120〜180W/m・Kであり、熱放出特性に優れている。さらに、高圧でSiとAlを溶融させることで、Si−Al合金基板101を低コストで容易に製造することができる。
【0133】
特に、本発明の発光素子100のSi−Al合金基板101の上下面には、当該Si−Al合金基板101へのクリーニング(cleaning)工程時に化学的浸透を防ぐ保護層120がさらに形成されている。ここで、保護層120は、金属又は導電性誘電体等からなることができる。この際、保護層120が金属からなる場合、Ni、Au、Cu、W、Cr、Mo、Pt、Ru、Rh、Ti及びTaのいずれか1つ又は2つ以上の合金からなることができる。
【0134】
この場合、保護層120は、無電解メッキ方式、金属蒸着、スパッタ(sputter)又はCVD等で形成されたものであることができ、この際、Si−Al合金基板101と金属材質の保護層120との間には、当該保護層120のメッキ工程でシード(seed)の役割をするシード金属層110がさらに形成されることができる。シード金属層110は、Ti/Au等からなることができる。また、保護層120が導電性誘電体からなる場合、当該導電性誘電体は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)又はCIO(Copper Indium Oxide)等からなることができる。この場合、保護層120は、蒸着又はスパッタ方式等で形成されたものであることができる。このような保護層120は、0.01μm以上20μm以下の厚さで形成されることが好ましく、1μm以上10μm以下の厚さで形成されることがより好ましい。
【0135】
このように、本発明の白色発光装置に採用可能な発光素子は、上記Si−Al合金基板101の表面にNi等の保護層120をさらに形成することで、上記サファイア基板の分離後に行われるクリーニング工程で用いられるHCl、HF、KOH等のケミカルやn型半導体層106の表面テクスチャリング(texturing)工程で用いられるKOH等によって、上記Si−Al合金基板101のAl金属がエッチングされることを防止できる効果がある。
【0136】
したがって、本発明に採用可能な発光素子は、上記Si−Al合金基板101の表面に凹凸が形成されることを防止して、当該Si−Al合金基板101上に接合される発光構造物が剥がれる等の不良発生を防止することができる効果がある。
【0137】
また、上記保護層120としてNi等の金属を用いる場合、Si−Al合金基板101の表面粗度を改善して当該Si−Al合金基板101と発光構造物間の接合を堅固にできる利点がある。即ち、従来のSi−Al合金基板101は、接合金属層102の形成前に自然酸化膜の除去のための酸(acid)等の化学物質を利用したクリーニング工程を経ながら当該Si−Al合金基板101の表面のAl金属がエッチングされて平均200〜500nmの表面凹凸が形成されたが、本発明の実施例1のようにSi−Al合金基板101の表面に保護層120としてNi等の金属を形成した後、NiCMP(Chemical Mechanical Polishing)処理を行うと、表面凹凸が5nm以下に減るため、ガラス面のように表面粗度が改善されることができる。
【0138】
このように、Si−Al合金基板101の表面粗度が改善されることによって、当該Si−Al合金基板と発光構造物間の接合が堅固になり、接合収率が向上する効果がある。
【0139】
本発明による白色発光装置に採用可能な発光素子の他の例として、図15に示される発光素子が提供されることができる。
【0140】
図15に示される発光素子は、図14に示される発光素子と類似しているが、保護層120がSi−Al合金基板101の上面及び下面全体に形成されず、Si−Al合金基板101の上面に当該Si−Al合金基板101の一部が露出されるように形成されており、保護層120及び当該保護層120によって露出されたSi−Al合金基板101の上面には導電層122がさらに形成されており、Si−Al合金基板101の下面にはコンタクト金属層123が形成されている点において相違している。
【0141】
特に、上記保護層120は、金属や導電性誘電体ではなく絶縁材からなることが好ましい。即ち、本実施例による発光素子は、上記保護層120が金属や導電性誘電体ではなく絶縁材からなることに代えて、上記保護層120が形成されたSi−Al合金基板101と上記保護層120の上部の発光構造物間の通電のために、上記保護層120が上記Si−Al合金基板101の上面の一部を露出するように形成され、上記保護層120を含む上記Si−Al合金基板101の上面に導電層122がさらに形成されるものである。ここで、上記導電層122は、金属等からなることができる。
【0142】
一方、本発明による白色発光装置は、前述した形態の発光素子とは異なり、高電流動作が可能になるように電極の配置構造が変更された発光素子を採用することができる。図16及び図17は、本発明に採用可能な発光素子の他の例を示した平面図及び断面図であり、図17は、図16のI−I'線に沿って切り取った断面図である。
【0143】
図16及び17を参照すると、本半導体発光素子200は、導電性基板210と、第1の電極層220と、絶縁層230と、第2の電極層240と、第2の導電型半導体層250と、活性層260と、第1の導電型半導体層270とを含み、上記各層は順次積層されて備えられている。
【0144】
上記導電性基板210は、電気が流れる物質からなることができる。例えば、上記導電性基板210は、Au、Ni、Cu及びWのいずれか1つの金属を含む金属性基板又はSi、Ge及びGaAsのいずれか1つを含む半導体基板であることが好ましい。上記導電性基板210上には、上記第1の電極層220が積層されて備えられており、当該第1の電極層220は、上記導電性基板210及び活性層260と電気的に連結されるため、当該導電性基板210及び活性層260との接触抵抗を最小化する物質からなることが好ましい。
【0145】
上記第1の電極層220は、上記導電性基板210上に積層されて備えられている上、図17に示されるように、その一部領域が、上記絶縁層230、第2の電極層240、第2の導電型半導体層250、活性層260及び第1の導電型半導体層270の一定領域まで貫通するコンタクトホール280を介して伸びて当該第1の導電型半導体層270と接触することで、上記導電性基板210と第1の導電型半導体層270とが電気的に連結されるように備えられている。即ち、上記第1の電極層220は、上記導電性基板210と第1の導電型半導体層270とを上記コンタクトホール280を介して電気的に連結することによって、上記コンタクトホール280のサイズ、より具体的には、上記コンタクトホール280を介して上記第1の電極層220と第1の導電型半導体層270が接触される面積である接触領域290を介して電気的に連結される。
【0146】
一方、上記第1の電極層220上には、当該第1の電極層220を、上記導電性基板210及び第1の導電型半導体層270を除外した他の層と電気的に絶縁させるための絶縁層230が備えられる。即ち、上記絶縁層230は、上記第1の電極層220と第2の電極層240との間に備えられる上、上記コンタクトホール280によって露出される上記第2の電極層240、第2の導電型半導体層250及び活性層260の側面と上記第1の電極層220との間にも備えられる。また、上記コンタクトホール280が貫通する上記第1の導電型半導体層270の一定領域の側面にも、上記絶縁層230を備えて絶縁することが好ましい。
【0147】
上記第2の電極層240は、上記絶縁層230上に備えられる。上述したように、上記コンタクトホール280が貫通する一定領域には、上記第2の電極層240が存在しない。この際、上記第2の電極層240は、図17に示されるように、上記第2の導電型半導体層250と接触する界面の一部が露出された領域、即ち、露出領域245を少なくとも1つ以上備えている。上記露出領域245上には、外部電源を上記第2の電極層240に連結するための電極パッド部247を備えることができる。
【0148】
一方、上記露出領域245上には、後述する上記第2の導電型半導体層250、活性層260及び第1の導電型半導体層270が備えられていない。また、上記露出領域245は、図16に示されるように、上記半導体発光素子200の角部に形成されることが好ましいが、これは、上記半導体発光素子200の発光面積を最大化するためである。一方、上記第2の電極層240は、Ag、Al及びPtのいずれか1つを含んでなることが好ましいが、これは、上記第2の電極層240が上記第2の導電型半導体層250と電気的に接触されるため、当該第2の導電型半導体層250の接触抵抗を最小化する特性を有すると共に上記活性層260から生成された光を反射させて外部に向けることで発光効率を高めることができる機能を有する層を備えるためである。
【0149】
上記第2の導電型半導体層250は上記第2の電極層240上に備えられ、上記活性層260は上記第2の導電型半導体層250上に備えられ、上記第1の導電型半導体層270は上記活性層260上に備えられる。この際、上記第1の導電型半導体層270はn型窒化物半導体であり、上記第2の導電型半導体層250はp型窒化物半導体であることが好ましい。一方、上記活性層260は、上記第1の導電型半導体層270及び第2の導電型半導体層250をなす物質に応じて、他の物質を選択して形成されることができる。即ち、上記活性層260は、電子/正孔の再結合によるエネルギーを光に変えて放出する層であるため、上記第1の導電型半導体層270及び第2の導電型半導体層250のエネルギーバンドギャップより少ないエネルギーバンドギャップを有する物質で形成されることが好ましい。
【0150】
一方、本発明に採用可能な他の発光素子は、図17に示される発光素子とは異なり、コンタクトホールと連結された第1の電極層が外部に露出されることもできる。
【0151】
図18に示される発光素子300は、導電性基板310上に第2の導電型半導体層350、活性層360及び第1の導電型半導体層370が形成される。この場合、第2の導電型半導体層350と導電性基板310との間には第2の電極層340が配置されることができるが、上述した実施形態とは異なり、第2の電極層340が必ずしも要求されるものではない。
【0152】
本実施形態の場合、第1の導電型半導体層370と接触される接触領域390を有するコンタクトホール380は、第1の電極層320と連結され、第1の電極層320は、外部に露出されて電気連結部345を有する。電気連結部345には、電極パッド部347が形成されることができる。第1の電極層320は、絶縁層330によって活性層360、第2の導電型半導体層350、第2の電極層340、導電性基板310と電気的に分離されることができる。
【0153】
上述した実施形態では、コンタクトホールが導電性基板と連結されるのに対し、本実施形態では、コンタクトホール380が導電性基板310と電気的に分離され、当該コンタクトホール380と連結された第1の電極層320が外部に露出される。これにより、導電性基板310は、第2の導電型半導体層350と電気的に連結されて、上述した実施形態と比較してその極性が変わる。
【0154】
したがって、このような発光素子は、第1の電極を発光面上に一部形成し、残り一部は活性層の下部に形成させることで、発光面積を最大に確保することができ、発光面上に形成された電極を均一に配置することで、高い動作電流を印加しても電流の均一な分布が可能になって高電流動作における電流集中現象を緩和することができる。
【0155】
このように、図17及び図18に示される発光素子は、対向する第1及び第2の主面を有しそれぞれ当該第1及び第2の主面を提供する第1及び第2の導電型半導体層とその間に形成された活性層とを有する半導体積層体と、上記第2の主面から上記活性層を経て上記第1の導電型半導体層の一領域に連結されたコンタクトホールと、上記半導体積層体の第2の主面上に形成され上記第1の導電型半導体層の一領域に上記コンタクトホールを介して連結された第1の電極と、上記半導体積層体の第2の主面上に形成され上記第2の導電型半導体層に連結された第2の電極とを含むことができる。ここで、上記第1及び第2の電極のいずれか1つが上記半導体積層体の側方向に引き出された構造を有することができる。
【0156】
図19(a)及び図19(b)は、本発明の多様な実施形態によるバックライトユニットの一例を示す断面図である。
【0157】
図19(a)を参照すると、本発明による発光ダイオードパッケージが光源として適用されることができるバックライトユニットの一例として、エッジ型バックライトユニット1500が示されている。
【0158】
本実施形態によるエッジ型バックライトユニット1500は、導光板1440と、当該導光板1440の両側面に提供されるLED光源モジュール1300とを含むことができる。
【0159】
本実施形態では、導光板1440の対向する両側面にLED光源モジュール1300が提供された形態として例示されているが、一側面のみに提供されることができ、これとは異なり、それ以外の側面にも提供されることができる。
【0160】
図19(a)に示されるように、上記導光板1440の下部には、反射板1420がさらに提供されることができる。本実施形態によるLED光源モジュール1300は、印刷回路基板1310と、当該印刷回路基板1310の上面に実装された複数のLED光源1350とを含み、当該LED光源1350には、上述した蛍光体を利用した発光素子パッケージが適用される。
【0161】
図19(b)を参照すると、他の形態のバックライトユニットの一例として、直下型バックライトユニット1800が示されている。
【0162】
本実施形態による直下型バックライトユニット1800は、光拡散板1740と、当該光拡散板1740の下面に配列されたLED光源モジュール1600とを含むことができる。
【0163】
図19(b)に示されるバックライトユニット1800の上記光拡散板1740の下部には、上記光源モジュールを収容できるボトムケース1710を含むことができる。
【0164】
本実施形態によるLED光源モジュール1600は、印刷回路基板1610と、当該印刷回路基板1610の上面に実装された複数のLED光源1650とを含む。上記複数のLED光源は、上述した蛍光体を波長変換物質として利用する発光素子パッケージであることができる。
【0165】
上述した実施形態の他にも、蛍光体を、LEDが位置したパッケージではなく、バックライトユニットの他の構成要素に配置することで、光を変換させることができる。このような実施形態は、図20から図22に示されている。
【0166】
図20に示されるように、本実施形態による直下型バックライトユニット1500は、蛍光体フィルム1550と、当該蛍光体フィルム1550の下面に配列されたLED光源モジュール1510とを含むことができる。
【0167】
図20に示されるバックライトユニット1500は、上記光源モジュール1510を収容できるボトムケース1560を含むことができる。本実施形態では、ボトムケース1560の上面に蛍光体フィルム1550を配置する。光源モジュール1510から放出される光の少なくとも一部は、蛍光体フィルム1550によって波長変換されることができる。上記蛍光体フィルム1550は、別途のフィルムに製造されて適用されるか又は光拡散板と一体的に結合された形態にして提供されることができる。
【0168】
ここで、LED光源モジュール1510は、印刷回路基板1501と、当該印刷回路基板1501の上面に実装された複数のLED光源1505とを含むことができる。
【0169】
図21a及び図21bは、本発明の他の実施形態によるエッジ型バックライトユニットを示す。
【0170】
図21aに示されるエッジ型バックライトユニット1600は、導光板1640と、当該導光板1640の一側面に提供されるLED光源1605とを含むことができる。上記LED光源1605からの光は、反射構造物によって導光板1640の内部に導かれることができる。本実施形態において、蛍光体膜1650は、導光板1640の側面とLED光源1605との間に位置することができる。
【0171】
図21bに示されるエッジ型バックライトユニット1700は、図21aと類似するように、導光板1740と、当該導光板1740の一側面に提供されるLED光源1705と、反射構造物とを含むことができる。本実施形態において、蛍光体膜1750は、導光板の光放出面に適用される形態として例示されている。
【0172】
このように、本発明による蛍光体は、LED光源に直接適用されず、バックライトユニット等の他の装置に適用された形態に具現されることもできる。
【0173】
図22は、本発明の一実施形態によるディスプレイ装置を示す分解斜視図である。
【0174】
図22に示されるディスプレイ装置2000は、バックライトユニット2200と、液晶パネル等の画像表示パネル2300とを含む。上記バックライトユニット2200は、導光板2240と、当該導光板2240の少なくとも一側面に提供されるLED光源モジュール2100とを含む。
【0175】
本実施形態において、上記バックライトユニット2200は、図22に示されるように、ボトムケース2210と、導光板2240の下部に位置する反射板2220とをさらに含むことができる。
【0176】
さらに、多様な光学的特性に対する要求に応じて、上記導光板2240と画像表示パネル2300との間には、拡散シート、プリズムシート又は保護シート等の多様な種類の光学シート2260を含むことができる。
【0177】
上記LED光源モジュール2100は、上記導光板2240の少なくとも一側面に備えられる印刷回路基板2110と、当該印刷回路基板2110上に実装されて上記導光板2240に光を入射する複数のLED光源2150とを含む。上記複数のLED光源2150は、上述した発光素子パッケージであることができる。本実施形態による複数のLED光源は、光放出面に隣接する側面が実装されたサイドビュー型発光素子パッケージであることができる。
【0178】
このように、上述した蛍光体は、多様な実装構造のパッケージに適用されて多様な形態の白色光を提供するLED光源モジュールに適用されることができる。上述した発光素子パッケージ又はこれを含む光源モジュールは、多様な形態のディスプレイ装置又は照明装置に適用されることができる。
【0179】
本発明は、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されることなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載の本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これもまた本発明の範囲内に属する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともM元素、Al元素、ケイ素、酸素及び窒素を含有する無機組成物であり、
前記無機組成物は、少なくとも2種の結晶相を有する粒子を有し、当該少なくとも2種の結晶相は、MSiO4−x(0<x<3、y=2x/3)結晶である第1の結晶相と、β−サイアロン(Sialon)結晶である第2の結晶相とを含み、
ここで、Mは、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択された少なくとも1種の元素である、複合結晶蛍光体。
【請求項2】
励起源を照射して570〜660nmの範囲にピーク波長を有する光を放出する、請求項1に記載の複合結晶蛍光体。
【請求項3】
前記光の発光スペクトルは、単一のピーク波長を有する、請求項2に記載の複合結晶蛍光体。
【請求項4】
前記励起源は、300〜480nmの範囲にピーク波長を有する、請求項2または3に記載の複合結晶蛍光体。
【請求項5】
前記発光スペクトルの半値幅は、約100nm以上である、請求項3に記載の複合結晶蛍光体。
【請求項6】
前記第1の結晶相は、SrSiO4−x(0<x<3、y=2x/3)である、請求項1から5の何れか1項に記載の複合結晶蛍光体。
【請求項7】
前記第2の結晶相は、Si6−zAl8−z(0<z<1)である、請求項1から6の何れか1項に記載の複合結晶蛍光体。
【請求項8】
前記第1の結晶相は60〜95質量%であり、前記第2の結晶相は5〜40質量%である、請求項1から7の何れか1項に記載の複合結晶蛍光体。
【請求項9】
Si8−b(0<a<3、b=2a/3)結晶である第3の結晶相をさらに含む、請求項1から8の何れか1項に記載の複合結晶蛍光体。
【請求項10】
前記第1の結晶相は50〜90質量%であり、前記第2の結晶相は5〜40質量%であり、前記第3の結晶相は10質量%以下である、請求項9に記載の複合結晶蛍光体。
【請求項11】
前記複合結晶蛍光体は、活性剤として少なくとも1種の希土類元素をさらに含み、
前記希土類元素(Re)は、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群から選択される、請求項1から10の何れか1項に記載の複合結晶蛍光体。
【請求項12】
前記複合結晶蛍光体は、活性剤としてEuとDyを含む、請求項1から11の何れか1項に記載の複合結晶蛍光体。
【請求項13】
励起光を放出するLEDチップと、
前記LEDチップの近傍に配置されて前記励起光の少なくとも一部を波長変換し、請求項1から10のいずれか一項に記載の複合結晶蛍光体を含む赤色蛍光体と、
前記LEDチップの放出波長及び前記赤色蛍光体の発光波長とは異なる波長の光を提供する少なくとも1つの発光要素と
を含み、
前記少なくとも1つの発光要素は、追加のLEDチップ及び他種の蛍光体の少なくとも1つである、白色発光装置。
【請求項14】
前記LEDチップは、紫外線を放出するLEDチップである、請求項13に記載の白色発光装置。
【請求項15】
前記LEDチップは、430〜470nmの範囲にピーク波長を有する青色LEDチップであり、
前記少なくとも1つの発光要素は、緑色蛍光体を含む、請求項13または14に記載の白色発光装置。
【請求項16】
前記赤色蛍光体の発光波長ピークは600〜660nmであり、前記緑色蛍光体の発光波長ピークは500〜550nmである、請求項15に記載の白色発光装置。
【請求項17】
前記青色LEDチップは10〜50nmの半値幅を有し、前記緑色蛍光体は30〜200nmの半値幅を有し、前記赤色蛍光体は100〜250nmの半値幅を有する、請求項16に記載の白色発光装置。
【請求項18】
前記緑色蛍光体は、M(4/3)yの組成式で表示される酸窒化物蛍光体、M((2/3)a+(4/3)b−(2/3)c)で表示される酸窒化物蛍光体及びSi6−zAl8−zの組成式で表示されるβ−サイアロン蛍光体の少なくとも1つを含み、
ここで、MはBe、Mg、Ca、Sr、Znからなる群から選択される少なくとも1種のII族元素であり、AはC、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hfからなる群から選択される少なくとも1種のIV族元素である、請求項15から17の何れか1項に記載の白色発光装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの発光要素は、黄色蛍光体又は黄橙色蛍光体をさらに含む、請求項15から18の何れか1項に記載の白色発光装置。
【請求項20】
前記黄色蛍光体はシリケート系蛍光体であり、前記黄橙色蛍光体はα−SiAlON:Reである蛍光体である、請求項19に記載の白色発光装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの発光要素は、緑色LEDチップである、請求項13から20の何れか1項に記載の白色発光装置。
【請求項22】
前記LEDチップは、第1及び第2の電極が同一面に向かうように配置された構造を有する、請求項13から21の何れか1項に記載の白色発光装置。
【請求項23】
前記LEDチップは、第1及び第2の電極がそれぞれ互いに異なる面に向かうように配置された構造を有する、請求項13から22の何れか1項に記載の白色発光装置。
【請求項24】
前記LEDチップは、
対向する第1及び第2の主面を有し、それぞれ当該第1及び第2の主面を提供する第1及び第2の導電型半導体層と、その間に形成された活性層とを有する半導体積層体と、
前記第2の主面から前記活性層を経て前記第1の導電型半導体層の一領域に連結されたコンタクトホールと、
前記半導体積層体の第2の主面上に形成され前記第1の導電型半導体層の一領域に前記コンタクトホールを介して連結された第1の電極と、
前記半導体積層体の第2の主面上に形成され前記第2の導電型半導体層に連結された第2の電極と
を含む、請求項13から23の何れか1項に記載の白色発光装置。
【請求項25】
前記第1及び第2の電極のいずれか1つが前記半導体積層体の側方向に引き出された構造を有する、請求項24に記載の白色発光装置。
【請求項26】
前記LEDチップが搭載された溝部を有するパッケージ本体をさらに含む、請求項13から25の何れか1項に記載の白色発光装置。
【請求項27】
前記LEDチップを封止する樹脂封止部をさらに含み、
前記複数の蛍光体の少なくとも1つは、前記樹脂封止部内に分散される、請求項13から26の何れか1項に記載の白色発光装置。
【請求項28】
前記複数の蛍光体は、それぞれ異なる複数の蛍光体含有樹脂層を形成し、前記複数の蛍光体含有樹脂層は、積層構造を有する、請求項13から27の何れか1項に記載の白色発光装置。
【請求項29】
前記白色発光装置から放出される白色光の演色指数(CRI)は、70以上である、請求項14に記載の発光装置。
【請求項30】
請求項1から12のいずれか一項に記載の複合結晶蛍光体を波長変換物質として利用する、面光源装置。
【請求項31】
導光板と、
前記導光板の少なくとも一側面に配置されて当該導光板の内部に光を提供するLED光源モジュールと
を含み、
前記LED光源モジュールは、回路基板と、当該回路基板に実装され請求項1から12のいずれか一項に記載の複合結晶蛍光体を波長変換物質として利用する複数の白色発光装置とを含む、面光源装置。
【請求項32】
請求項1から12のいずれか一項に記載の複合結晶蛍光体を波長変換物質として利用する、ディスプレイ装置。
【請求項33】
画像を表示するための画像表示パネルと、
前記画像表示パネルに光を提供する請求項30に記載の面光源装置を有するバックライトユニットと
を含む、ディスプレイ装置。
【請求項34】
請求項1から12のいずれか一項に記載の複合結晶蛍光体を波長変換物質として利用する照明装置。
【請求項35】
LED光源モジュールと、
前記LED光源モジュールの上部に配置され、当該LED光源モジュールから入射された光を均一に拡散させる拡散シートと
を含み、
前記LED光源モジュールは、回路基板と、当該回路基板に実装され請求項1から12のいずれか一項に記載の複合結晶蛍光体を波長変換物質として利用する複数の白色発光装置とを含む、照明装置。

【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21a】
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【図21b】
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【図22】
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【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−208139(P2011−208139A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67485(P2011−67485)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(509156538)サムソン エルイーディー カンパニーリミテッド. (114)
【Fターム(参考)】