説明

複数の物質を基板上に放出することにより生物学的アッセイ用基板を製造するインクジェット装置及びその方法

本発明は、複数の物質を基板上に放出することにより生物学的アッセイ用基板を製造するインクジェット装置(10)を提供し、当該装置は、印刷手段(20)、検知手段(30、32、45、45’)、補充手段、及び洗浄手段(120)を含み、さらに、当該インクジェット装置は、前記生物学的アッセイ用基板の製造が、多数のエラー源に対してエラー耐性であるように、自動化された製造のための制御手段をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物質を基板上に放出することにより生物学的アッセイ用基板を製造するインクジェット装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、複数の物質を基板上に放出することにより生物学的アッセイ用基板を製造するインクジェット装置及びその方法を開示している。特に診断のために、複数の異なる物質が非常に正確な様式で配置されている基板が必要とされる。この複数の物質は、通常、多数の生化学試験又は反応を基板上で行うために、基板上に配置されることになる。物質の基板上への印刷処理が、物質の小滴が基板に放出されたかという疑問に関して、及び、物質の小滴が基板上に正しく配置されたかという疑問に関して、非常に信頼できるものでなくてはならない場合に、本発明によるインクジェット装置及び方法がその印刷処理に施用されることが好ましい。物質の基板上への印刷処理が、特定の種類の物質が基板の特定の領域に間違えて与えられた時に非常に危険である場合に、本発明によるインクジェット装置及び方法がその印刷処理に施用されることが好ましい。さらに、物質の基板上への印刷処理が、特に印刷ヘッド及び印刷ノズルを含んだ印刷手段が清潔であるか、すなわち、基板上に印刷するための異なる種類の物質により汚されているかという疑問に関して、非常に信頼できるものでなくてはならない場合に、本発明によるインクジェット装置及び方法がその印刷処理に施用されることが好ましい。
【0003】
インクジェット装置は、一般的に既知である。例えば、欧州特許出願EP1378359A1号、EP1378360A1号、EP1378361A1号は、インク容器から液滴又は小滴を噴出するために、操作パルスが電気機械のトランスデューサーにより印加される場合に、インクを含有するインクジェット印刷ヘッドを制御する方法をそれぞれ開示している。その開示の中では、電気機械のトランスデューサーのインピーダンスを測定し、その操作パルス又は後の操作パルスに適合するために、電子回路が使用されている。例えば、米国特許出願US2004/0062686A1号は、自動マイクロアレイ分配装置において、受け面上に液体の点をつけるマイクロアレイヤーを開示している。印刷がすでに行われた後に、物質の表面上への印刷に対する分析を行うことが開示されている。印刷処理が失敗した場合、オペレーターは印刷された箇所を再処理することができる。既知の方法の一欠点は、自動で品質管理された、生物学的アッセイ用基板の製造が可能ではないことである。これにより、特に、複数の異なる物質を用いた信頼できる自動化された印刷処理が生物学的アッセイ用基板の経済的な製造に必要である応用に対して、印刷又はインクジェット装置の信頼性が非常に制限されてしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、複数の物質を基板上に放出することにより生物学的アッセイ用基板を製造するインクジェット装置及びその方法を提供することが本発明の目的であり、そのインクジェット装置は、印刷するために複数の異なるプリント液体又は物質を扱うと同時に、より高い程度の信頼性及びより高い程度の自動化を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的は、請求項1に記載の、生物学的アッセイ用基板を、複数の物質を前記基板上に放出することにより製造するインクジェット装置により実現され、当該装置は、印刷手段、検知手段、補充手段、及び洗浄手段を含み、さらに、当該インクジェット装置は、前記生物学的アッセイ用基板の製造が、多数のエラー源に対してエラー耐性であるように、自動化された製造のための制御手段をさらに含む。
【0006】
これは、生物学的アッセイ用基板の連続製造が、基板の最終的な品質が非常に高い信頼性を持って可能であるという利点を有している。例えば、本発明によると、インクジェット装置は、自動化された補充及び洗浄ステーションを含む。全てのプリント機能が、視覚的及び音響的にモニターされる。CCDカメラを装備した顕微鏡が取り付けられ、小滴の容積も着地位置も測定し、その印刷処理を継続的にモニターする。小滴を見失った、又は、予め定められた着地位置の外で着地したその瞬間に、システムはその印刷処理を停止し、印刷されたばかりの膜に印をつける。システムは、印刷手段が再び仕様に従い機能し、印刷処理を再開できるまで、及び、するように、印刷ヘッドを自動的に整備し、印刷ヘッドの機能を検査する。後に、印が付いた膜は、印刷された膜の中から除去される。それによって、オペレーターによるいかなる干渉もなく、生物学的アッセイ用基板を製造し、依然として高い品質の基板又は膜を製造することが可能である。これにより、生物学的アッセイ用基板の製造コストが大いに減少される。
【0007】
本発明によると、検知可能なエラー源は、前記基板の誤整列、及び/又は、前記印刷手段の機能不良、及び/又は、前記印刷手段内部の物質の不足、及び/又は、前記物質の種類におけるエラーを含むことが非常に好ましい。それによって、多数の可能なエラーを、本発明のインクジェット装置により説明することができ、その結果、誤って印刷又は製造された基板を除去することが可能である。
【0008】
本発明によると、非常に好ましくは、前記印刷手段は、少なくとも、小滴を噴出するために提供されたノズルを含んだ印刷ヘッドを含み、前記検知手段は検知カメラを含み、該カメラが、前記ノズルから前記小滴が噴出された後、前記小滴が前記カメラにより検知されるよう配置されている。
【0009】
本発明によると、前記印刷手段は、少なくとも、小滴を噴出するために提供されたノズルを含んだ印刷ヘッドを含み、前記検知手段は、前記基板に対して前記印刷ヘッドの位置を整列させるためのアライメントカメラを少なくとも1つ含むことが好ましい。それによって、整列目的のための最初の印刷位置又は開始位置を容易に、及び、迅速に画定することが可能である。好ましくは、前記基板又は基板ホルダー(以下に固定プレートとも呼ばれる)は、前記基板に対して前記印刷ヘッドを整列させるために使用される基準マーク、すなわち、視覚的に可視の基準点又は基準構造体を含む。
【0010】
本発明によると、前記洗浄手段は、前記印刷手段を少なくとも部分的に洗浄するために提供された超音波洗浄器、特に、超音波歯ブラシを含むことが好ましい。それによって、好都合に、前記ノズル及び前記印刷ヘッドは外側から洗浄することができる。
【0011】
本発明によると、ソフトな音波振動、特に、比較的低周波の超音波振動を与えることにより前記印刷手段を洗浄するために、前記洗浄器が提供されることがさらに好ましい。それによって、前記印刷手段の材料、特に、前記印刷ヘッド及び/又は前記ノズルに、前記洗浄器によって与えられる機械的な振動により圧力をかけ過ぎないことが可能である。これにより、前記印刷手段の寿命が有利に延びる。
【0012】
本発明によると、前記物質は、特に該物質の粘度の測定により、互いに区別できることが好ましい。さらに、本発明により、前記印刷手段は、少なくとも、小滴を噴出するために提供されるノズル及びトランスデューサーを含んだ印刷ヘッドを含むことが好ましく、前記検知手段は、前記物質を前記トランスデューサーの反応を検知することにより互いに区別できるように、提供される。多数の異なる物質が、前記トランスデューサー、及び/又は、前記物質を含んだ前記トランスデューサーの反応を測定することにより区別できることは有利である。前記トランスデューサーは、前記印刷ヘッドに機械的及び水中音波の波動を与える−好ましくは電気機械の−トランスデューサーである。前記印刷ヘッドは、印刷するための液体、すなわち、印刷するための物質で少なくとも部分的に満たされた、ほぼ閉ざされた容積であることが好ましい。操作パルス上で、印刷ヘッドに含有された液体の少なくとも一部を排出又は噴出することができ、印刷ヘッドの外で液体の小滴を形成する場合、印刷ヘッドは、少なくとも1つの開口部又はインク容器を含む。以下において、前記開口部又はインクの容器は、本発明の文脈では、ノズルとも呼ばれる。印刷するために液体で補充された前記印刷ヘッド内に機械的及び水中音波の波動を与えることにより、異なる液体又は物質が前記印刷ヘッド内で使用される場合、前記印刷ヘッド及び前記液体を含んだシステムは、異なる様式で反応する。粘度の測定は、比較的に容易で、比較的高い精度で利用できるので、前記物質の粘度を測定することは有利である。前記トランスデューサーは、小滴を噴出するためにも、前記印刷ヘッド内の液体の反応を測定するためにも、同じトランスデューサーを使用できるため、圧電トランスデューサーであることはさらに有利である。
【0013】
非常に好ましくは、当該インクジェット装置は、マルチノズルの印刷ヘッドを含む。それによって、一つの印刷ヘッドから複数の小滴を噴出することが可能である。これにより、前記印刷処理が加速する。
【0014】
本発明によると、当該インクジェット装置は、印刷テーブル、印刷ブリッジ、可動式の印刷ヘッドホルダー、及び固定プレートをさらに含むことが好ましく、前記印刷ヘッドホルダーは前記固定プレートに相関して、3つのリニアステージにより第1、第2、第3の方向(X方向、Y方向、Z方向)で可動性である。それによって、大きい物質又は個々の物質をバッチとして印刷できるため、印刷された製品の製造をかなり高い費用効果で行えるように、大きな領域に物質の小滴を放出又は印刷することが可能である。印刷するための物質の貯蔵所、洗浄液の貯蔵所、廃液の貯蔵所、並びに/又は、印刷ヘッドのクルージング範囲内で印刷ヘッドを機械的に洗浄する、及び、乾燥する手段を含むことも可能である。それによって、生物学的アッセイ用基板を製造するプロセスをさらに自動化することが可能である。
【0015】
本発明によると、前記印刷ブリッジは、前記印刷テーブルに相関して固定されることがさらに好ましく、前記固定プレートは、前記印刷ブリッジに相関して前記第1及び第2の方向(X方向、Y方向)で可動性であり、前記印刷ヘッドホルダーは、前記印刷ブリッジに相関して前記第3の方向(Z方向)で可動性である。前記印刷ヘッドが前記第1及び第2の方向で完全に固定されるので、前記印刷ヘッド下で前記基板を動かすことにより引き起こされる圧力変動は存在しないという利点を、このXYステージの実施形態は有している。これは、前記印刷処理を妨げる振動も他の可能なエラー源もないことを意味している。
【0016】
本発明の別の実施形態において、前記印刷ブリッジは前記印刷テーブルに相関して固定されることが好ましく、前記固定プレートは前記印刷ブリッジに相関して前記第1の方向(X方向)で可動性であり、前記印刷ヘッドホルダーは前記印刷ブリッジに相関して前記第2及び第3の方向(Y方向、Z方向)で可動性である。これは、当該インクジェット装置をより少ない空間を用いて配置することができるという利点を有している。
【0017】
本発明によると、前記基板は、平らな基板、構造化された基板、又は多孔性の基板であることが好ましい。より好ましくは、前記基板は、ナイロン膜、ニトロセルロース、若しくはPVDF基板、又は被覆された多孔性基板である。前記基板は多孔性であることが好ましいため、別々の箇所(点)内に前記小滴により堆積する液体の量は、前記膜にも浸透できる。
【0018】
本発明によると、前記基板は、複数の基板領域を含むことがさらに好ましく、各基板領域は、膜ホルダーにより保たれる分離された膜であることが好ましい。それによって、複数の分離された膜を、本発明のインクジェット装置を使用することにより製造することが可能である。
【0019】
さらに好ましくは、前記基板は複数の基板位置を含み、該基板位置は、少なくとも、該基板位置のうち1つに配置された点の平均直径分、互いから離れている。それによって、前記基板上の正確な位置で、物質の異なる小滴を正確に、及び、別々に配置することが可能である。複数の小滴を1つの及び同じ基板位置上に配置することも、可能且つ有利である。
【0020】
非常に好ましくは、種々の分子又は種々の化合物、特に生体分子が存在する場合、前記物質は、グリセロール、エチレン、グリコール、界面活性剤等のような、噴出作用に影響を与える追加の物質を有する、水又はアルコールのような、液状の揮発性溶液である。
【0021】
本発明は、印刷手段、検知手段、補充手段、洗浄手段、及び制御手段を含んだインクジェット装置を用いて、複数の物質を基板上に放出することにより、生物学的アッセイ用基板を製造する方法も言及し、多数の異なるエラー源が前記基板の製造中に検知されるように、前記生物学的アッセイ用基板の自動製造が品質管理された方法で行われる。それによって、非常に高い費用対効果で、及び、自動化された方法で、前記生物学的アッセイ用基板を製造することが可能である。例えば、前記印刷ヘッドから(又は、多数の印刷ヘッドから)噴出された全ての小滴を検知することが可能である。エラーが発生した場合、それぞれの基板が欠陥のあるものとして印を付けられるように、前記制御手段内のソフトウエアモジュールが製造処理を行う。さらなる例は、複数の異なる物質又は液体のうち、どれが前記印刷ヘッドの中にあるかを検知する可能性である。それによって、異なる物質が指定された方法で印刷されることになる状況で、印刷処理のより高い程度の精度を提供することが可能である。
【0022】
本発明によると、検知可能なエラー源は、前記基板の誤整列、及び/又は、前記印刷手段の機能不良、及び/又は、前記印刷手段内部の物質の不足、及び/又は、前記物質の種類におけるエラーを含むことが好ましい。それによって、多数の前記可能なエラーを、本発明のインクジェット装置により説明することができ、その結果、誤って印刷又は製造された基板を除去することが可能である。
【0023】
本発明は、印刷手段、検知手段、補充手段、洗浄手段、及び制御手段を含んだインクジェット装置を用いて、複数の物質を基板上に放出することにより、生物学的アッセイ用基板を製造する方法も言及し、多数の異なるエラー源が前記基板の実際の製造前に検知されるように、前記生物学的アッセイ用基板の自動製造が品質管理された方法で行われる。特に、本発明によると、生物及び洗浄液貯蔵所における液体レベルを検知すること、並びに/又は、実際の基板の印刷が開始される前に、前記貯蔵所上のキャップの存在を検知することが可能である。エラーが発生した場合、前記制御手段内のソフトウエアモジュールにより、どの種のエラーが発生したかが示され、従って、オペレーターは、例えば、欠陥のある(キャップの無い)貯蔵所の除去及び適切な貯蔵所との取替えにより、又は、前記欠陥のある貯蔵所上にキャップを与えることにより、そのエラーを取り除くことができる。それによって、開始から誤った印刷処理を防ぐことが可能になる。
【0024】
本発明によると、当該インクジェット装置は、少なくとも、小滴を噴出するために提供されたノズルを含んだ印刷ヘッドを含むことがさらに好ましく、前記印刷処理の機能不良が前記検知手段により検知され、関連する基板に失敗したとして印を付けられ、前記印刷処理の機能不良により、誤った容積の小滴、及び/又は、誤った速度の小滴、及び/又は、飛行経路において誤った真直度の小滴、及び/又は、小滴の欠如が生じる。それによって、前記印刷処理を正確に制御することが可能である。これは、生物学的アッセイ用基板の製造において、非常に高い品質基準を保証することを可能にする。
【0025】
本発明によると、前記洗浄手段は、前記印刷手段を少なくとも部分的に洗浄するために提供された超音波洗浄器、特に、超音波歯ブラシを含むことがさらに好ましい。それによって、好都合に、前記ノズル及び前記印刷ヘッドは外側から洗浄することができる。
【0026】
本発明によると、ソフトな音波振動、特に、比較的低周波の超音波振動を与えることにより前記印刷手段を洗浄するために、前記洗浄器が提供されることが好ましい。それによって、前記印刷手段の材料、特に、前記印刷ヘッド及び/又は前記ノズルに、前記洗浄器によって与えられる機械的な振動により圧力をかけ過ぎないことが可能である。これにより、前記印刷手段の寿命が有利に延びる。
【0027】
本発明のこれらの及び他の特徴、特色、並びに利点は、本発明の原理を例により示している添付の図面と共に、以下の詳細説明から明らかになるだろう。前記説明は、本発明の範囲を限定することなく、例のためだけに与えられている。以下に引用されている参考図は、添付の図面を言及している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は、特定の実施形態に関して、及び、特定の図面を参考にして記述されるが、本発明はそれに限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。記述されている図面は、概略的なだけであり、無制限的である。図面においては、要素のうちいくつかのサイズが過大視されている場合があり、例証目的のために尺度で描かれていない。
【0029】
単数名詞を言及する際に不定冠詞又は定冠詞が使用されている場合は、何か他に明確に述べられていない限りその名詞の複数形を含む。
【0030】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲において第1、第2、第3等の用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも順番又は時系列順を記述するために使用されているのではない。そのように使用されている用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書において記述されている本発明の実施形態は、本明細書に記述又は例示された順序以外の順序で操作できることが理解されたい。
【0031】
さらに、本明細書及び特許請求の範囲において、上、下等の用語は、説明目的のために使用され、必ずしも相対的な位置を記述するために使用されているのではない。そのように使用されている用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書において記述されている本発明の実施形態は、本明細書に記述又は例示された定位以外の定位で操作できることが理解されたい。
【0032】
本明細書及び特許請求の範囲において使用されている「含む」という用語は、その後に記載されている手段に限定されるとして解釈されるべきではなく、他の要素又はステップを除外しないことに注目されたい。従って、「装置は手段A及びBを含む」という表現の範囲は、A及びBという要素のみからなる装置に限定されるべきではない。本発明に関しては、該表現は、前記装置の要素のうち本発明に関連する要素はA及びBであるという意味である。
【0033】
図1及び1aにおいて、本発明によるインクジェット装置10の概略的な上面図が示されている。(重い花崗岩プレートから作製するのが好ましい)印刷テーブル50上に、固定プレート55が、固定プレート55のX方向における移動が可能になるようリニアステージ上に取り付けられている。この固定プレート55には、多数の、膜41を有する膜ホルダー44が配置されている。印刷テーブル50は、花崗岩テーブルの形態で提供されるのが好ましい。あるいは、別の非常に重い材料を使用することもできる。本発明によると、印刷テーブル50は、振動による妨害がほとんどない環境で配置するべきである。膜41が集まり、基板40を形成している。従って、膜41は「基板41」とも呼ぶことができる。明確性の理由から、以下においては、「基板40」という用語は、「膜41」のうち印刷可能な領域の全体を言及する。膜ホルダー44は、基本的に、ただの環44である。丸い膜41は、この環の上に接着されている。このように、印刷後、点を打たれた膜41を有する環44は、共に、最終製品である。印刷ブリッジ51は、(重い花崗岩テーブルが好ましい)印刷テーブル50に相関して堅く取り付けられている。印刷ブリッジ51は、可動式の印刷ヘッドホルダー51’を支えている。固定プレート55を有するステージは、第1の方向であるX方向に沿って可動性である。
【0034】
図1に示されている実施形態では、印刷ヘッド20が、第2の方向であるY方向に沿って可動性であるように、印刷ブリッジ51に相関する可動式の印刷ヘッドホルダー51’に取り付けられている。
【0035】
図1aに示されているさらなる実施形態において、固定プレート55は、固定プレート55の第1の方向(X方向)及び第2の方向(Y方向)における移動が可能になるよう2つのリニアステージ上に、印刷テーブル50に相関して取り付けられている。図1aに示されている実施形態では、第1又は第2の方向における移動に関しては、印刷ヘッド20及び印刷ヘッドホルダー51’は、印刷ブリッジ51に相関して堅く取り付けられている。このいわゆる「XYステージ概念」又は「XYステージ実施形態」では、印刷ヘッドは完全に固定されるので、印刷ヘッドを動かすことにより引き起こされる圧力変動は存在しない。図1に示されている実施形態と比較して、より大きい床面積が必要とされる。
【0036】
本発明によると、図1及び図1aに従う両方の実施形態において、第1の方向(X方向)と第2の方向(Y方向)は直交であることが好ましい。それによって、印刷ヘッド20は、印刷テーブル50の特定の領域上を移動することができ、印刷ヘッド20に蓄えられているのが好ましい物質の小滴を放出することができる。膜41は、記録プレート(registration plate)55とも呼ばれる固定プレート55内に、X方向に一定の距離及びY方向で一定の距離で取り付けられている。X方向における距離は、Y方向における距離とは異なる場合もある。本発明によると、印刷ヘッド20のノズルから噴出される物質の小滴(図8に示されている項目22)を検知カメラ30により検知できるように、検知カメラ30が提供される。図1に示されている本発明の好ましい実施形態において、検知カメラ30は、可動式印刷ヘッドホルダー51’上に印刷ヘッド20の近くで固定して配置されている。検知カメラ30が小滴22を捕らえるようにするために、光源32(好ましくは、ストロボスコープ又は制御可能な懐中電灯)が、制御カメラ30の光軸に対する角度で配置される。光源32は、印刷ヘッド20及び/又は印刷ヘッドホルダー51’に相関してしっかりと取り付けられることが好ましい。
【0037】
印刷ヘッド20を多数の異なる物質、特に、生体分子を含んだ液体で補充させるため、(図1及び1aに示されている両実施形態において)印刷ヘッドホルダー51’はさらなるリニアステージ52(Zステージとも呼ばれる)上に取り付けられ、印刷ヘッドホルダー51’を印刷ヘッド20と共に、Z方向とも呼ばれる第3の方向で移動させている。Z方向は、第1及び第2の方向に対してそれぞれ直交であるのが好ましい。Zステージは、印刷ヘッド20の正確な縦の位置決めを可能にしている。
【0038】
貯蔵所110及び洗浄手段120を含んださらなる要素が、図1及び1aにおいて、固定プレート55上に、又は、固定プレート55に接続されて示されている。それによって、印刷ヘッド20を膜41上でも、膜41の完全な製造を行うために必要なさらなる要素上でも移動させることができる。3方向に3つの異なるリニアステージを含んだインクジェット装置の機構の背後にある基本的な観念は、基板位置42又は膜41上の点位置(図2を参照)のような全ての位置、液体容器110又は液体貯蔵所110の位置、並びに、液体レベルの高さ、洗浄及び乾燥ステーションが、全てX、Y、Z値により与えられ、全てソフトウエアにより規定できることである。このように、印刷は、印刷プランにより与えられた特定の手順に従う。印刷ヘッド20又はピペット20の内側及び外側での補充、除去、洗浄、並びに乾燥は、手順において全て規定することができ、従って、自動的に何度もほぼ正確に同じ方法で実行できる。そうすることにより、オペレーターが干渉した場合に避けることのできない間違い及び取り扱いエラーを最小限にすることができる。
【0039】
基板40(図2)を、感染症の検知に使用される生理活性の膜から作製することができる。そのような疾患の診断には、印刷処理における非常に高い信頼性が要求される。蛍光パターンの読み取りは、疾患を直接、特異的捕獲プローブの位置に結びつける。従って、基板40上の捕獲プローブの正確な位置決めに対して、並びに、複数の異なる物質の中から正しい物質を印刷することに対して、非常に信頼できるプロセスを有することは絶対的に必要である。インクジェット印刷は、実際に印刷された物質の性質に関していかなるフィードバックもない、及び、基板40上の小滴の実際の存在及び配置に関していかなるフィードバックもない精密な投与技術である。問題は、そのプロセスの過程に関する情報がないことである。本発明は、生物学的アッセイ用基板という製品の品質を高めることを考慮して、印刷処理に関してできる限り多くの情報を集めるよう意図されている。本発明によると、印刷ヘッド20の内部にある物質の粘度を測定し、それによって、印刷される物質が実際に堅いものである場合に、さらなる時間を調節及び見つけることが可能である。言い換えると、異なる物質は、その粘度によりラベルされる。粘度は、溶媒の選択又は溶媒の混合により、容易に変更することができる。それによって、印刷エラーを減少することができる。本発明によると、視覚的方法を使用して、各印刷ヘッドの印刷処理を即座に追跡することも可能である。インクジェット装置10上に、CCDカメラを装備した2つの顕微鏡が取り付けられ、小滴の着地位置を測定し、その印刷処理を継続的にモニターする。小滴を見失った、又は、予め定められた着地位置(図2、基板位置42)の外で着地したその瞬間に、システムはその印刷処理を停止し、印刷されたばかりの膜41又は基板領域41に印をつけ、システムにそのような基板又は膜に失敗したとして印を付けさせる。後に、印が付いた膜を、印刷しているバッチの膜41の中から除去することができる。
【0040】
図1及び1aに示されている実施形態において、アライメントカメラ45も、印刷ヘッド20の近く、及び、印刷ヘッドホルダー51’上に配置されている。アライメントカメラ45は、印刷ヘッド20から規定された距離に配置されている。固定プレート55又は基板40上の特定の構造体(以下に、基準構造体とも呼ばれる)を見ることにより、印刷ヘッド20を印刷テーブル50に相関して、従って、膜41に相関して調節又は位置づけることが可能である。
【0041】
アライメントカメラ45は、整列及び測定という2つの機能を有している。アライメントマーク(図3、基準マーク46’)が、アライメントカメラ45上に直接取り付けられたLEDのリング(図示せず)により照射される。配置中、基準マーク46’又はアライメントマーク46’は求められ、その位置が記憶される。ある基準マーク46’はXY登録に使用され、他の基準マーク46’は角度修正に使用される。アライメントマーク46’の形状も記憶される。後に、ソフトウエアがそのアライメントマーク46’を認識し、それに応じて基板プレートを配置する。角度修正は、手動又は自動で行うことができる。測定に関して、照明リングを有するアライメントカメラ45を使用して、印刷される基板40又は膜41を探すことができる。基準マーク46’と同じパターンの認識ソフトウエアを各膜41に使用して、予め規定された位置及び方向に対して、その位置及び回転を測定並びに記憶することができる。これらのデータは、印刷ソフトウエアにより後に使用される。
【0042】
検査カメラ45’が、印刷テーブル50に相関して(検査光源47’と共に)固定して配置される。印刷ヘッド20を検査位置に移動させることにより、図10において表されているように、2つのカメラ(検知カメラ30及び検査カメラ45’)が互いにそれぞれ90度の角度で配置されている。これにより、小滴の容積、小滴の速度、及び小滴の飛行経路を二次元で測定することが可能になる。これらのデータを、印刷プログラムを制御するコンピュータに記憶及び転送することができる。飛行経路における逸脱を修正することにより、小滴が所定の位置に着地することを常に保証することができる。
【0043】
検知カメラ30及び検査カメラ45’は、基本的に同じであり、同じ目的のために使用される。検知カメラ30と検査カメラ45’の唯一異なる点は、検知カメラ30は全印刷処理中使用されるが、検査カメラ45’は印刷前の検査中のみ使用されることである。アライメントカメラ45は、固定プレート55を印刷テーブル50に対して整列させるために、完全なバッチを印刷する前にのみ使用されるので異なる。
【0044】
図11では、インクジェット装置10のさらなる実施形態が示されている。この実施形態において、並びに、図1及び図10に示されている実施形態とは対照的に、第2の検知カメラ30’も、(検知カメラ30のように)印刷ヘッドにしっかりと取り付けられている。それによって、印刷ヘッド20により噴出された小滴22の検知が、三次元で可能である。図1及び図10では、検査中のみ、小滴の飛行経路を両方の次元で記録することができる。印刷中は、検知カメラ30のみが小滴22の画像を記録する。図11に示されている実施形態では、印刷中だけでなく検査中も、両方の次元における小滴22の画像が得られる。
【0045】
図12、13、及び14では、図11において描かれている実施形態における本発明のインクジェット装置10の一部が示されている。印刷ブリッジ51では、Zステージ52が固定され、第3の方向(Z方向)に沿った、印刷ヘッドホルダー51’の縦の移動を可能にしている。印刷ヘッドホルダー51’には、検知カメラ30、第2の検知カメラ30’、及び、アライメントカメラ45が取り付けられている。さらに、ノズル21を有する印刷ヘッド20(ピペット20)が、印刷ヘッドホルダー51’にて取り付けられている。X方向及びY方向から45°下に取り付けられた検知カメラ30、30’の配置は、印刷ヘッド20に対してより良く接近できるように選択される。
【0046】
小滴の放出特徴を検知するために、小滴22は、光源32により適切に照射されなければならない。2つの異なる照射方法が、図13及び図14において概略的に示されている。図13は、基板表面そばでの、ストロボスコープの閃光の拡散反射による小滴の照射を描いている。この方法は、印刷中の小滴放出を追跡するために使用される。図14は、シャドウセットアップ(shadow set−up)のストロボスコープの閃光による小敵の照射を示している。ストロボスコープは、顕微鏡対物レンズの光軸上に配置される。
【0047】
インクジェット装置10は、小滴の測定及び整列に関連する障害が、基板40、又はノズル21、又は印刷ヘッド20に達しないように組み立てられる。それは、小滴22がノズル21を離れた後特定の時間だけ可視になる角度下で、検知カメラ30、30’(小滴の可視化のための顕微鏡対物レンズ)は取り付けられなければならないということを意味している。同じことが、ストロボスコープ又は制御された閃光装置として実現されるのが好ましい光源32又は光源32’に当てはまる。ピペット20又は印刷ヘッド20が補充のために容器100内に十分深く入り込めるように、印刷ヘッドホルダー51’に取り付けられた検知カメラ30、30’(顕微鏡対物レンズ)及び光源32、32’(ストロボスコープ装置)は、印刷レベル(すなわち、基板40のレベル)の上に十分な距離で離れていなければならないことに注目されたい。図13では、小滴22(図示せず)の照射が基板40の拡散反射により発生するセットアップが、概略的に描かれている。膜41がその下を自由に移動できるように、ストロボスコープ装置32又は光源32が取り付けられている。図14では、光源32、32’(ストロボスコープ)が、基板40の印刷レベルの下で固定プレート55の端に取り付けられている配置が描かれている。光源32、32’(ストロボスコープ装置)が、検知カメラ30、31’(顕微鏡対物レンズ)の光軸31上に取り付けられている。この状況は、「シャドウ照明セットアップ」とも呼ばれている。
【0048】
検知カメラ30、31’(小滴放出モニタリングカメラとも呼ばれる)は、種々のモードで使用される:第一に、小滴がCCDカメラにより記録され、モニター上に表示される小滴位置及び小滴容積測定モードである。画像分析ソフトウエアが、モニター画像からデータを獲得する。小滴の経路は理想的な飛行経路に対して測定される。容積は、小滴の領域を使用することにより測定される。小滴が基板による反射によって間接的に照射されることを意味する、電光の配置(streak arrangement)(図13)におけるLEDストロボスコープによって、又は、検知カメラ30(顕微鏡対物レンズ)の光軸上(基板レベル40の下)に取り付けられた光源32(ストロボスコープ)によるシャドウ照明によって、小滴22は照射される。第二に、小滴放出モニタリングモードが、印刷中に可能である。放出された小滴22はそれぞれ測定される。容積を測定することは必要ではない;考慮する唯一のことは、小滴が検知カメラの視野を正しい方向で確かに通りすぎたかということである。飛行経路の情報は、小滴の置き違いを避けるためにも必要である。小滴放出は、約500Hzまで検査されなければならない。照射は常に電光セットアップ(図13)に従い、基板40又は膜41とのいかなる接触も避けている。
【0049】
印刷ヘッド20又はピペット20を補充するために、印刷ヘッド20又はピペット20を貯蔵所110の液体に数ミリ入れ込まなければならない。原則として、ピペット20に蓄えられる液体の量が十分以上であるように、膜41の数は選択される。印刷の前に、全ての容器110又は貯蔵所110は、正しい液体レベルかチェックされなければならない。液体レベルが低すぎる場合は、いくらかの液体が追加されなければならない。
【0050】
液体レベルを自動的にチェックする方法が多数ある:
2つのカメラ(検知カメラ30及び第2の検知カメラ30’、図11を参照)が、小滴検査のために取り付けられている。印刷ヘッド又はピペットの先端若しくはノズルが、貯蔵所110のうち1つの貯蔵所の液体の表面に接触する瞬間を確認するために、これらの検知カメラ30、31’を使用することもできる。その位置から、ピペットは数ミリ下に移動し、必要な量の液体を吸い上げる。
【0051】
ピペット又は印刷ヘッド20には、漏れを防ぐようノズル圧を大気圧のいくらか下で保つために、低圧力(under−pressure)制御装置(図示せず)が備え付けられている。ピペット20が空の時は、継続的な空気流が存在し、空気流インジケータ(図示せず)により検知することができる。ピペットの先端が貯蔵所110のうち1つの貯蔵所の液体に接触するその瞬間に、その空気流は、液体のはるかに高い粘度のため止まる。この作用を使用して、ピペット20のノズル21が液体表面に接触するZの距離を検知する。数ミリという追加の降下移動により、正確な浸漬深度が生じる。
【0052】
電線(図示せず)がピペットに接続されている。ノズルが液体表面に達する瞬間に液体が伝導している場合、電気回路は接続される。この信号で、ピペットは、いくらか追加の低圧力によりピペット自体が補充を開始する前に、数ミリ下方へ移動する。
【0053】
容器又は貯蔵所内の液体の高さを測定する、レーザーベースの距離測定装置(図示せず)が、ピペットに平行して取り付けられている。ソフトウエアがこの値を使用して、正しい浸漬深度を算出する。
【0054】
容器又は貯蔵所内の液体の高さを測定する、オーディオベースの距離測定装置(図示せず)を、ピペットに平行して取り付けることができる。その装置は、液体表面に音響信号を送る。反射した波動が検知され、例えば時間差(又は波長シフト)を測定することにより、ソフトウエアは容器内の液体の高さを算出することができる。
【0055】
貯蔵所110内の液体の表面をほぼ一定の値で維持するために、容器110又は貯蔵所110を、例えば、ばねのような構造体上に取り付けることができる。容器を空にすると、重量は減少し、液体レベルが一定のZ値を維持するように、ばねは放たれる。貯蔵所110内の液体における一定の表面レベルを達成する別の可能性は、どこか別に配置されたより大きな容器に各容器を接続して、小さな容器110内の液体レベルが、より大きな容器と小さな容器との間に生じる連結により維持されることである。
【0056】
容器内の液体の高さを測定する上記の装置のうち1つ、又は、その組合せを使用して、キャップが貯蔵所のうち1つ若しくはそれ以上からなくなっているか検知することもできる。このように、実際の印刷処理が実際に開始する前に、貯蔵所上のキャップの存在を検知することが可能になる。これは、例えば、キャップのない貯蔵所を適切な貯蔵所で置き換える等、エラーを修正する可能性を使用者に与える。貯蔵所上のキャップの存在を調べることは、装置に使用されている全ての貯蔵所、従って、洗浄液を含有する貯蔵所にも適用できることが注目されたい。これは、洗浄処理が正確に行われることを保証している。キャップの存在を検知するための別の好ましい選択肢は、貯蔵所ホルダーにキャップの高さで光センサを提供すること、及び、貯蔵所の下から上向きに(好ましくは均一の)光を加えることである。キャップの周縁部は、つや消しで作製される。キャップが存在する場合、光はつや消しされた周縁部から共役され、センサが光を測定する。キャップがない場合、光は貯蔵所を通り上向きに移動し、センサにより検知されない。さらに別の好ましい選択肢は、光、例えばレーザー光を、キャップの高さで貯蔵所の側面から加えることである。光センサは、反対の側面上に配置される。キャップが存在する場合、その光はキャップにより遮断され、センサは光を検知しない。キャップがない場合、光はセンサまで移動し、センサは光を検知する。例えば、キャップが貯蔵所ホルダーより上にあがらない場合等、必要の際は、独立した光遮断構造体を貯蔵所に取り付けることができる。さらに別の好ましい選択肢は、プリントスレッド上に取り付けられるのが好ましく、キャップのマーカーに向けられているアライメントカメラを使用することである。
【0057】
図2では、個々の基板膜ホルダー44及び固定プレートの一部における断面図の概略的描写が示されている。膜ホルダー44は、1枚の膜41を基板40の一部として保有している。1枚の膜41は、基板領域41とも呼ばれる。各個々の膜ホルダー44は、固定プレート55上に位置している。基板40上、すなわち、各膜41上には、(基板位置42に印刷された1又は複数の小滴から生じ、図2の参照符号22により概略的に示されている)物質による個々の点を互いからある距離で配置できるように、複数の基板位置42が提供されている。印刷ヘッドにより投与された1つの小滴から、又は、同じ物質による複数の小滴から1つの点を形成できる。それによって、基板位置42のそれぞれに、異なる種類の物質を投与又は配置することが可能である。
【0058】
図3では、膜ホルダー及び複数の貯蔵所を収容している固定プレートの上面図が概略的に示されている。本発明によると、複数の物質23、23a、23bを、印刷ヘッド20の内部に補充することができる。これらの異なる物質23、23a、23bは、固定プレート55上の物質貯蔵所111内で保管される。固定プレート55は、1又は複数の洗浄液のための洗浄貯蔵所112、並びに、廃液を配置するための廃液貯蔵所113及び114をさらに含む。
【0059】
印刷処理中、容器又は貯蔵所110は、蒸発及び相互汚染を防ぐために、カバー又は蓋(図3には図示せず)により被覆されていることが好ましい。図3に示されている固定プレート55については、各容器又は貯蔵所110が、電磁石(図3には図示せず)により持ち上げることができる蓋(図3には図示せず)を有することは可能である。この電磁石は、印刷ヘッドホルダー51’に取り付けられる。容器又は貯蔵所110を開けるために、電磁石を容器上で操作し、磁石のスイッチを切り換えて、蓋を持ち上げ、さらにその蓋を保持する。ピペット又は印刷ヘッド20がその容器まで動かされ、浸漬及び補充される。ピペットは移動し、電磁石は開いた容器に戻る。スイッチが切り換えられた後、蓋が降ろされ、容器を再び閉める。容器の周縁部に蓋が正しく降りるのを確実にするために、容器の下部が、自動的に正しい位置へと再調整するように、(例えば、円錐形又は球形で)形作られている。電磁石を使用する代わりに、真空状態を使用することができる。弁により真空ポンプへ接続された管が、蓋まで移動する。弁が開き、蓋を持ち上げ、さらにその蓋を保持する。ピペットを補充した後、管は開いた容器まで移動する。真空ポンプのスイッチが切り換えられ、蓋が降ろされて、容器を閉める。
【0060】
図7では、膜ホルダー44及び複数の貯蔵所110を収容している固定プレート55の(図3に示されている実施形態と比較して)別の実施形態の上面図が示されている。このさらなる実施形態は、印刷作業中における貯蔵所110内の液体の被覆を可能にし、電磁石又は真空状態とは異なって蓋を開ける措置を行う。容器110は、Y方向に平行な列で配置される。各列には、その列の容器110全てを閉じる蓋115がある。容器110間で、蓋115は小さな孔116を有している。ピペット20又は印刷ヘッド20(図7には図示せず)が特定の容器からの液体を必要とする場合、ピペット又は印刷ヘッドはその容器まで誘導される。蓋115の開口部116又は孔116の軸は、印刷ヘッド20のX位置と一致することが好ましい。覆いを取るアクチュエーター117、好ましくは二位置空気シリンダーが蓋115に自動的に接続し、容器に対応する開口部116がその容器の中心上にあるように、蓋115を置き換えることができる。ピペット20又は印刷ヘッド20は容器の位置まで移動し、必要であれば第3の方向(Z方向)に沿って下向きに移動し、必要な量の液体を吸い上げる。再び上向きに移動した後、覆いを取るアクチュエーター117のピストンは外へ移動し、再び容器を閉じる。アクチュエーター117は、1回のみの開閉作動が可能であるようにすることができ、その場合、列の容器全てが開かれる。種々の位置に到達できる異なるアクチュエーター117で、1つの容器のみがその時点で開かれるような機構を設計することが可能である。
【0061】
図4では、膜41又は基板領域41の一部が上方から示されている。基板領域41上で、複数の基板位置42、42a、42bが画定されている。基板位置42、42a、42bは、本発明によるインクジェット装置10により小滴22が配置されることになる位置である。同じ物質による複数の小滴を単一の基板位置42上に配置することも可能である。印刷ヘッド20により噴出され、基板40上に着地した小滴22は、特定の点領域、又は、平均直径43を有する、基板位置42、42a、42bの周辺箇所を被覆する。平均直径43は、基板位置42、42a、42bの互いからのそれぞれの距離43’(又はピッチ)よりも小さい。
【0062】
図5では、複数の基板位置42が小さな円により表されている、基板領域41の上面図が示されている。本発明によると、基板領域41の膜を診断上の目的で使用するために、多数の異なる物質をこれらの異なる基板位置42上に配置することができる。本発明によると、基板位置42及びそれぞれの物質からなる1つの群42’内で完全な1組の試験を行うために、基板位置42からなるいくつかの群42’を画定することが可能である。
【0063】
図6において、本発明のインクジェット装置10のさらなる実施形態が概略的及び部分的に示されている。印刷ブリッジ51には、印刷ヘッド20に加えて、さらなる印刷ヘッド20a及び第3の印刷ヘッド20bが提供されている。従って、さらなる検知カメラ30a及び第3の検知カメラ30bが印刷ヘッド20、20a、20b付近に配置されている。本発明によると、さらなる検知カメラ30aに割り当てられたさらなる光源32a、及び、第3の検知カメラ30bに割り当てられた第3の光源32bも提供することが好ましい。図6による実施形態では、3つ以上までの単一ノズル印刷ヘッド20、20a、20bが印刷ブリッジ51上に配置されている。印刷ヘッド20、20a、20bが印刷ブリッジ51に相関して第2の方向(Y方向)で移動することは可能である、又は、印刷ヘッド20、20a、20bが印刷ブリッジ51に相関して固定され(第3の方向における移動は除く)、固定プレートが第1及び第2の方向で移動することは可能である。固定プレート55(X方向に沿って、又は、X及びY方向に沿って)、及び/又は、印刷ヘッド20、20a、20bをY方向に沿って同時に移動することにより、印刷ヘッド20、20a、20bを基板40上のいかなる位置にも移動することができる。印刷ヘッドホルダー51’の移動を最小限にするために、印刷ヘッド20、20a、20b間の距離を、Y方向における膜41の距離にできる限り等しくなるようにする。印刷ヘッド20、20a、20bを、同じ液体/物質23、23a、23b、又は、それぞれを異なる液体/物質23、23a、23bで満たすことができる。1を超える印刷ヘッド20を使用することにより、多数の単一ノズル印刷ヘッドが平行して使用された場合に、印刷時間の減少を得ることができる。
【0064】
基板領域41上に、各小滴が、例えばおよそ1nlの容積を必要とする、例えば130の点又は基板位置42を提供して小滴22を印刷することができる。その点又は小滴22の直径43は例えば200μmで、例えば400μmのピッチを有するパターンで配置される。当然ながら、より多く(1000まで)の小さな点を提供することも可能であり、そのような点は、例えば、たった300μmだけのより小さなピッチ、又は、たった200μm、100μm、若しくは50μmだけのより小さなピッチを必要とする。130の点は、例えば、種々の物質23を提供された単一の印刷ヘッド20で印刷される。例えば、固定プレート55上に、140又は1000個を超えるまでの膜ホルダー44が配置され、そのホルダーは、インクジェット装置20により1回の印刷で処理される。小滴による点のピッチ43’は、本発明によると、10から500μmの範囲で提供される。小滴22の点の直径43は、実際のピッチ43’の約20%から70%の範囲内である。小滴22の容積は、点の好ましいサイズ、及び、使用される基板40の材料に順応させなければならない(例えば、与えられた物質を基板が強く又は弱く吸収する場合に依拠する)。一般的に、小滴22の容積は、約0.001nlから10nlである。
【0065】
図8では、本発明のインクジェット装置10における検知カメラ30の配置の概略断面図が示されている。膜ホルダー44上に、膜41又は基板領域41が位置している。印刷ヘッド20は、小滴22を噴出することができるノズル21を含む。小滴22は、ノズル21から基板40の表面に向けて小滴22の軌道22’上を移動する。この間、検知カメラ30により、ノズル21から基板40の表面に向けて移動する小滴22の画像を見ることができる。検知カメラ30が小滴22を捕らえるようにするために、光源32(好ましくは、ストロボスコープ又は制御可能な懐中電灯)が、検知カメラ30の光軸31に対する角度で配置される。カメラの配置は、基板40の表面に対する角度ができる限り小さくして、ノズル21の下の視野をできる限り大きくするようなものである。同じことが、ストロボスコープの照射システムの光軸に当てはまる。小滴22は、基板40による反射によって間接的に照射されるのが好ましい。検知カメラ30は、印刷ヘッドホルダーに固定して取り付けられる。本発明の実施形態によると、検知カメラ30の光軸は、角度31’により傾斜される。光源32は、印刷ヘッド20に相関し、固定して取り付けられることが好ましい。
【0066】
図9では、膜40に対した、又は、印刷テーブル50に対した印刷ヘッド20の整列ステップの概略図が示されている。印刷ヘッド20及び印刷ブリッジ51が状況に応じて配置された場合に、印刷テーブル50上、又は、固定プレート55上の構造体46’(以下に基準構造体46’とも呼ばれる)がアライメントカメラ45により可視であるように、アライメントカメラ45が(例えば、垂直に)配置されている。構造体46’がアライメントカメラ45により明瞭に可視であるように、さらなる光源47が配置されることが好ましい。従って、さらなる光源47は、例えば、キャリブレーションカメラ45の光軸46にほぼ一直線に並べられる。
【0067】
図15では、マルチノズル印刷ヘッド20又は多数の印刷ヘッド20のためのノズル21プレート(ノズル前部)を検査すると同時に、小滴22放出を調べるための可能性が概略的に示されている。測定の間、固定プレート55(又は印刷ヘッドホルダー51’)は、Y方向に移動する。そのようにして、常に、よごれのないミラー56のミラー表面が入手可能である。Y方向での走査の後、次の一連の測定が、X方向におけるわずかな移動の後で可能である。光源32(特にストロボスコープ)は、直接的な反射により小滴22を照射している。測定後、ミラー56が洗浄されなければならないことは言うまでもない。
【0068】
図16では、本発明によるインクジェット装置10の概略全体図が示されている。本発明によると、インクジェット装置10は補充手段100を含み、その補充手段は、液体で印刷ヘッド20を補充するための低圧力を生じることが好ましく、その低圧力で印刷ヘッド20は液体に浸漬される。相互汚染を回避するために、印刷ヘッド20の内部の低圧力は、印刷中も維持されていることが好ましい。制御手段140の一部である低圧力制御は、コンピュータにより行われる。低圧力は、流す、補充する、及び洗浄するのに使用する正確な圧力レベルを確実にするためにも必要とされる。
【0069】
印刷ヘッド20又はピペット20の機能は、音響制御手段95により常に音響的に検査される。印刷ヘッド20(ピペット)の適切な機能、及び、ピペット補充の状態を調べる並びに確かめるために、音響制御手段95は、時間領域及び周波数領域両方で測定されたスペクトルにおけるシフトを記録する。
【0070】
インクジェット装置10には、例えば2つのコンピュータ141、142を含んだ制御手段140が提供される。制御手段140は、1又は複数の制御装置143,144により、Xステージ、Yステージ、及びZステージを当然制御する。検出カメラ30、30’、アライメントカメラ45、検査カメラ45’、画像分析装置91、音響制御装置95、及び、さらなるセンサ又は検知器が、共に検知手段90を形成している。印刷処理に関連した、及び、印刷処理の準備、すなわち、例えば、適切な物質23,23a、23bによる印刷ヘッド20の補充等に関連した、最大数のエラー源を検知するために、検知手段90は本発明に従い提供されている。
【0071】
制御手段140は、印刷、補充、流し込み、及び洗浄作用を制御する。このPCは以下を制御する:
印刷ヘッドの印刷、補充、洗浄、及び流し込みに必要とされる低圧力及び過圧力。
【0072】
印刷プログラム、補充プログラム、洗浄プログラムの規定。
【0073】
整列、基板テーブルを印刷位置、補充位置、及び洗浄位置に移動させる、印刷周波数を設定する、印刷ヘッドを開始及び停止する、並びに、印刷ヘッドを上下に移動させるような印刷作用。PCは、同じく、XYステージ制御装置144及びZステージ制御装置143への連絡全てを制御する。
【0074】
小滴放出の検査(容積、速度、サテライト、真直度、信頼性)のための単一小滴ノズルの検査システム。
【0075】
印刷中の小滴放出。小滴が、処理が進む観測窓内にある限り、全ての小滴は記録される。
【0076】
音響制御には、例えばPC等の追加のコンピュータ142が使用されるのが好ましい。このコンピュータ142は、印刷ヘッド(ピペット)の音響スペクトルを継続的にモニターする。各印刷(多数の小滴が特定の基板上の特定の位置に印刷される)の後、スペクトルが評価される。全てのスペクトルが、予め定義された包絡線内にある場合のみ、音響的検査のためのコンピュータ142は、基板40又は膜41の製造に伴うさらなる処理を許可する。
【0077】
印刷、補充、流し込み、及び洗浄の手順は、以下のステップにより実行するよう予測される:
膜41が、基板ホルダープレート又は固定プレート44上に取り付けられる。
【0078】
容器又は貯蔵所110が、生理活性の液体で満たされる。第1の液体又は物質23が物質容器111のうち第1の容器に、第2の液体23aが物質容器111のうち第2の容器に満たされる。さらに、洗浄貯蔵所112が流し込み液及び洗浄液で満たされ、廃液のための廃液容器113及び114が空にされる。各容器は、基板ホルダープレートの零点(アライメントマーク46’の1つ)に対して、予め定義された位置を基板ホルダープレート55又は固定プレート55上に有する。
【0079】
基板ホルダープレート55は、基準マーク46’の位置を確かめることにより一直線に並べられる。回転が必要な場合は、手動又は自動的に調整される。
【0080】
ピペット又は印刷ヘッド20が第1容器の中心に移動する。
【0081】
ノズルが第1液体23に浸漬するように、Zステージがピペットを下向きに移動させる。
【0082】
低圧力装置100又は補充手段100を調節することにより、ピペット又は印刷ヘッド20が第1液体23を吸い上げる。計時により、又は、印刷ヘッド20の音響的反応を調べることにより、補充処理は、ピペットが満たされた瞬間に停止する。
【0083】
小滴計数器がゼロに設定される。
【0084】
Zステージ52が、マイクロピペット印刷ヘッド20を上向きに印刷Z位置まで移動させる。
【0085】
XYステージが基板ホルダープレートを位置(X、Y)まで移動させる。
【0086】
小滴放出が視覚的及び音響的に検査され、理想的な飛行経路からの逸脱が決定されて印刷プランソフトウエアに自動的に入力される。音響効果を検査することにより、印刷ヘッド(ピペット)内の適切な液体が検査される。小滴放出が正確である場合、その音響スペクトルは記録され、印刷中の印刷ヘッドの機能を検査するために後に参照として使用される。小滴形成の評価に使用された全ての小滴22が数えられる。1つの点あたりに放出される小滴の量を決定するために、測定された容積は、自動的に印刷ソフトウエアに送信される。
【0087】
第1の液体23に属する印刷プランを実行できる。
【0088】
継続的に印刷している間、視覚的及び音響的に小滴形成は追跡される。逸脱が大き過ぎてしまう場合、印刷は停止され、印刷ヘッド20は整備されて、再び検査される。整備手順は後に記述される。印刷が指定条件からはずれて進む場合、膜41には印がつけられ、印刷及び後続処理の後にバッチから除去される。
【0089】
放出された全ての小滴が数えられる。ピペット又は印刷ヘッド20貯蔵所は、μlで与えられる特定量の液体を含有する。単一小滴ノズルの検査システムを用いて、小滴の容積が決定される。従って、ピペットの貯蔵所内に含まれる小滴の数は既知であり、この量が使用された場合にピペットは補充されなければならない(そして、小滴計数器は再びゼロに設定される)。ピペットが空になるちょうどその瞬間に、音響スペクトルも指定条件から変化する。
【0090】
第1の液体23の印刷が行われる場合、ピペットは第1の容器に戻る。印刷ヘッド20の内部にある第1の液体23の残りは、第1の容器内に流される。
【0091】
ピペット20は、基板ホルダープレート55上の洗浄ステーション又は洗浄貯蔵所112に移動する。後に記述されることになる洗浄手順によると、ピペットは洗浄液を吸い上げ、これらの液体を廃液容器113又は114内に流し込む。ノズル前部が、超音波洗浄器121、特に、例えばPhilips Sonicare電動歯ブラシ等の電動歯ブラシで洗浄される。最後に、ピペットは、内側も外側もドライヤー等で乾かされる。
【0092】
ピペットは、第2の容器の中心まで移動し、第2の液体23aの印刷準備等ができるまで、上記の手順が繰り返される。
【0093】
印刷ヘッド20の機能が指定条件からはずれて進む場合、印刷ヘッド20は整備されなければならない:
印刷ヘッド20は、第1の液体23の貯蔵所111の中心まで移動する。
【0094】
印刷ヘッド20内にある第1の液体23の残りの量は、流し戻される。
【0095】
洗浄手順が、第1の液体23の溶媒を洗浄液として用いて実行される。
【0096】
ノズル前部が、超音波洗浄器121、例えばPhilips Sonicare電動歯ブラシで洗浄される。
【0097】
印刷ヘッド(ピペット)20は、内側も外側もドライヤー等で乾かされる。
【0098】
印刷ヘッド20は、第1の液体23の容器の中心まで移動する。印刷ヘッド20は、液体23に浸漬するまで下向きに移動し、第1の液体23は再び吸い上げられる。
【0099】
小滴計数器はゼロに設定される。
【0100】
小滴放出が検査され、小滴の容積及び真直度に対して関連するデータが印刷ソフトウエアまで自動的に転送される。
【0101】
印刷ヘッド(ピペット)がその検査にパスしない場合、完全な洗浄手順が実行されなければならない。完全な洗浄手順は、液体の変更に類似している。
【0102】
第1の液体23から第2の液体23aへの変更は、以下の手順により実行される:
印刷ヘッド(ピペット)が、第1の液体23の容器の中心まで移動する。
【0103】
ピペット20内にある液体23の残りの量が、容器内に流し戻される。
【0104】
印刷ヘッド20は、第1の洗浄液容器の中心まで移動する。ノズル21が第1の洗浄液に浸漬するまで、Zステージが、ピペット20を下向きに移動させる。
【0105】
第1の洗浄液が吸い上げられる。計時又は音響検査により、ピペットの貯蔵所における補充の程度が制御される。
【0106】
Zステージがピペットを持ち上げ、廃液容器の中心まで移動させる。
【0107】
少しの間、ピペットの内壁上に汚染を拡散させる時間を与えた後で、第1の洗浄液は廃液容器内に処分される。
【0108】
この手順は、予め定義された数の洗浄液で繰り返される。何回洗浄ステップが必要であるかは、インクジェットで印刷される液体の相互汚染特徴に依拠する。
【0109】
印刷ヘッド(ピペット)は、ノズル前部の洗浄ステーションまで移動する。Zステージが、ピペットを洗浄溶液内に降ろす。
【0110】
ノズル前部が、超音波洗浄器121、例えばPhilips Sonicare電動歯ブラシにより洗浄される。
【0111】
ピペットは、内側も外側もドライヤー等で乾かされる。
【0112】
ピペットは、第2の液体23aを有する容器の中心まで移動し、第2の液体23aの補充手順が開始される。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明のインクジェット装置における一実施形態の上面図を概略的に示している。
【図1a】本発明のインクジェット装置における別の実施形態の上面図を概略的に示している。
【図2】基板領域及び膜ホルダーの断面図を概略的に示している。
【図3】膜ホルダー及び複数の貯蔵所を収容している固定プレートの上面図を概略的に示している。
【図4】基板領域の一部を、膜ホルダーと共に概略的に示している。
【図5】完全な膜を概略的に示している。
【図6】複数の印刷ヘッドを含んだインクジェット装置の実施形態を概略的に示している。
【図7】膜ホルダー及び複数の貯蔵所を収容している固定プレートの別の実施形態の上面図を概略的に示している。
【図8】基板領域及び膜ホルダー上に配置された印刷ヘッドの断面図を検知カメラと共に概略的に示している。
【図9】基板及び印刷ヘッドに対したアライメントカメラの位置決めを概略的に示している。
【図10】検査位置に配置されたインクジェット装置を概略的に示している。
【図11】1つの印刷ヘッドに割り当てられた検知カメラ及び第2の検知カメラを有するインクジェット装置の実施形態を概略的に示している。
【図12】1つの印刷ヘッドに割り当てられた検知カメラ及び第2の検知カメラを有するインクジェット装置の実施形態を概略的に示している。
【図13】1つの印刷ヘッドに割り当てられた検知カメラ及び第2の検知カメラを有するインクジェット装置の実施形態を概略的に示している。
【図14】印刷ヘッドから噴出された小滴の位置、飛行経路、及び/又はサイズを検知するための検知手段の配置を概略的に示している。
【図15】印刷ヘッドから噴出された小滴の位置、飛行経路、及び/又はサイズを検知するための検知手段の配置を概略的に示している。
【図16】本発明によるインクジェット装置10の全体図を概略的に示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物質を基板上に放出することにより生物学的アッセイ用基板を製造するインクジェット装置であって、当該装置は、印刷手段、検知手段、補充手段、及び洗浄手段を含み、さらに、当該インクジェット装置は、前記生物学的アッセイ用基板の製造が、多数のエラー源に対してエラー耐性であるように、自動化された製造のための制御手段をさらに含み、前記印刷手段が再び仕様に従い機能するまで、及び、機能するように、前記補充手段及び前記洗浄手段は自動化され、前記印刷手段を自動的に整備するように、さらに、前記印刷手段の機能を検査するようなされている、インクジェット装置。
【請求項2】
検知可能なエラー源が、前記基板の誤整列、及び/又は、前記印刷手段の機能不良、及び/又は、前記印刷手段内部の物質の不足、及び/又は、前記物質の種類におけるエラーを含む、請求項1に記載のインクジェット装置。
【請求項3】
前記印刷手段が、少なくとも、小滴を噴出するために提供されたノズルを含んだ印刷ヘッドを含み、前記検知手段が検知カメラを含み、該カメラが、前記ノズルから前記小滴が噴出された後、前記小滴が前記検知カメラにより検知されるよう配置された、請求項1に記載のインクジェット装置。
【請求項4】
前記印刷手段が、少なくとも、小滴を噴出するために提供されたノズルを含んだ印刷ヘッドを含み、前記検知手段が、前記基板に対して前記印刷ヘッドの位置を整列させるためのアライメントカメラを少なくとも1つ含む、請求項1に記載のインクジェット装置。
【請求項5】
前記洗浄手段が、前記印刷手段を少なくとも部分的に洗浄するために提供された超音波洗浄器、特に、超音波歯ブラシを含む、請求項1に記載のインクジェット装置。
【請求項6】
前記洗浄器が、ソフトな音波振動、特に、比較的低周波の超音波振動を与えることにより前記印刷手段を洗浄するために提供される、請求項5に記載のインクジェット装置。
【請求項7】
物質が、特に該物質の粘度の測定により、互いに区別できる、請求項1に記載のインクジェット装置。
【請求項8】
前記印刷手段が、少なくとも、小滴を噴出するために提供されるノズル及びトランスデューサーを含んだ印刷ヘッドを含み、前記検知手段が、前記物質を前記トランスデューサーの作用を検知することにより互いに区別できるように提供される、請求項7に記載のインクジェット装置。
【請求項9】
当該インクジェット装置が、マルチノズルの印刷ヘッドを含む、請求項1に記載のインクジェット装置。
【請求項10】
当該インクジェット装置が、印刷テーブル、印刷ブリッジ、印刷ヘッドホルダー、及び固定プレートをさらに含み、前記印刷ヘッドホルダーが前記固定プレートに相関して、3つのリニアステージにより第1、第2、第3の方向(X方向、Y方向、Z方向)で可動性である、請求項1に記載のインクジェット装置。
【請求項11】
前記印刷ブリッジが、前記印刷テーブルに相関して固定され、前記固定プレートが、前記印刷ブリッジに相関して前記第1及び第2の方向(X方向、Y方向)で可動性であり、前記印刷ヘッドホルダーが、前記印刷ブリッジに相関して前記第3の方向(Z方向)で可動性である、請求項10に記載のインクジェット装置。
【請求項12】
前記印刷ブリッジが、前記印刷テーブルに相関して固定され、前記固定プレートが前記印刷ブリッジに相関して前記第1の方向(X方向)で可動性であり、前記印刷ヘッドホルダーが前記印刷ブリッジに相関して前記第2及び第3の方向(Y方向、Z方向)で可動性である、請求項10に記載のインクジェット装置。
【請求項13】
前記第1の方向(X方向)、前記第2の方向(Y方向)、及び前記第3の方向(Z方向)が互いに直交である、請求項10に記載のインクジェット装置。
【請求項14】
基板を用いた請求項1に記載のインクジェット装置の使用方法であって、前記基板が、平らな基板、構造化された基板、被覆された基板、又は多孔性の膜、好ましくはナイロン膜である、使用方法。
【請求項15】
前記基板が、複数の基板領域を含み、各基板領域が、膜ホルダーにより保たれる分離された膜であることが好ましい、基板を用いた請求項1に記載のインクジェット装置の使用方法。
【請求項16】
前記基板が複数の基板位置を含み、該基板位置は、少なくとも、該基板位置のうち1つに配置された小滴の平均直径分、互いから離れている、基板を用いた請求項1に記載のインクジェット装置の使用方法。
【請求項17】
複数の小滴が、1つの基板位置上に追加される、請求項1に記載のインクジェット装置の使用方法。
【請求項18】
印刷手段、検知手段、補充手段、洗浄手段、及び制御手段を含んだインクジェット装置を用いて、複数の物質を基板上に放出することにより生物学的アッセイ用基板を製造する方法であって、多数の異なるエラー源が前記基板の製造中に検知されるように、前記生物学的アッセイ用基板の自動製造が品質管理された方法で行われ、前記印刷手段が再び仕様に従い機能するまで、及び、機能するように、前記補充手段及び前記洗浄手段が、前記印刷手段を自動的に整備し、さらに、前記印刷手段の機能を検査する、方法。
【請求項19】
検知可能なエラー源が、前記基板の誤整列、及び/又は、前記印刷手段の機能不良、及び/又は、前記印刷手段内部の物質の不足、及び/又は、前記物質の種類におけるエラーを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
当該インクジェット装置が、少なくとも、小滴を噴出するために提供されたノズルを含んだ印刷ヘッドを含み、印刷処理の機能不良が前記検知手段により検知され、関連する基板に失敗したとして印が付けられ、前記印刷処理の機能不良により、誤った容積の小滴、及び/又は、誤った速度の小滴、及び/又は、飛行経路において誤った真直度の小滴、及び/又は、小滴の欠如、及び/又は、間違った物質が生じる、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記洗浄手段が、前記印刷手段を少なくとも部分的に洗浄するために提供された超音波洗浄器、特に、超音波歯ブラシを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記洗浄器が、ソフトな音波振動、特に、比較的低周波の超音波振動を与えることにより前記印刷手段を洗浄するために提供される、請求項21に記載の方法。



【図1】
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【図1a】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2009−517684(P2009−517684A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542886(P2008−542886)
【出願日】平成18年11月23日(2006.11.23)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054402
【国際公開番号】WO2007/063459
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】