説明

複数キャビティと,内蔵セラミックリングフレームを有するLTCCT/Rモジュールの製造方法

高温で同時焼成されたセラミック(HTCC)材料の代わりに低温同時焼成セラミック(LTCC)材料を利用し,プロセス中に,金属リングフレームとは対照的なセラミックフレームを形成することも含む複数のラミネート化工程の組合せを利用する,送信/受信(T/R)モジュールを製造する方法。鑞付け金属被覆は,ピンコネクタと共にヒートシンクと蓋を取り付けるためにも利用される。ピンコネクタは,側面印刷工程でT/Rモジュールの側面に形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,一般的には、位相アレイレーダーシステムのアクティブアパーチャー(active aperture)と共に使用されるマイクロウエーブ送信/受信(T/R)モジュールに関し,より詳細には,低温同時焼成セラミック(LTCC)材料のラミネート化された層を利用したT/Rモジュールパッケージの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子的に走査されるアンテナアレイを利用する位相アレイレーダーは,アクティブアパーチャーとも呼ばれ,アレイ状に配置された多くの個別に制御可能なT/Rモジュールを必要とする。T/Rモジュールは,照射器素子に接続されており,照射器素子は,前部に配置され,送信されるレーダービームを共同で生成する。このビームは,通常,個別の照射器に印加される信号の電子制御下で,エネルギーが付与され,形作られ,方位角及び仰角(azimuth and elevation)に向けられる。
【0003】
現在の最先端のT/Rモジュールパッケージは,例えば黒アルミナセラミックス及びタングステンを含む高温同時焼成セラミック(HTCC)で構成された複数キャビティ,多層基板(a multi-cavity, multi-layer)の形態の構造を含む。セラミック層は,グラウンドプレーンと導電体の金属被覆(metallization)パターンを含む外面と,RF及びDC信号の両方の3次元経路(routing)を提供するようにその中に形成された貫通接続(feedthroughs)又は垂直ビアとを有する。
内蔵回路チップで構成された能動回路素子は,基板の種々のキャビティ内に配置され,個々のアンテナ素子へ,及び個々のアンテナ素子からのRF信号の適切な制御を実施し,RF信号の機能を生じさせる。
このようなT/Rモジュールの1つは,2000年9月5日にJohn W.Cassen達に対して発行された,タイトルが「レーダーシステムのアクティブアパーチャー用の複式チャネルマイクロウエーブ送信/受信モジュール」である米国特許第6,114,986号に示され,記載されており,その詳細が,ここに参照によって取り込まれる。
【0004】
Cassen達の特許では,2つの個別の送信/受信(T/R)チャネルが,機能,制御及び電力調整の組合せを提供する能力を有し,高温同時焼成セラミック(HTCC)で構成された単一の複数キャビティ及び多層基板を利用する単一の共通のT/Rモジュールパッケージ内に実装されている。
【0005】
低温同時焼成セラミック(LTCC)テープの多層から製造される能動及び受動電子素子用のパッケージは,従来技術で知られているが,これらのLTCCパッケージを製造する従来の方法は,少ない数,一般に5〜10の層のテープを有する多層基板の製造にのみ十分であることが分かった。
しかしながら,この方法は,例えばレーダーシステムで利用される例えば,LTCC T/Rモジュールによって要求されるように,パッケージ中に種々の床厚(floor thickness),貫通孔及び内蔵リングフレームを有する20層以上のテープの,複数キャビティを有する非常に複雑なパッケージの製造には全く不十分であることが分かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って,本発明の目的は,パルス式レーダーシステムのアクティブアパーチャーと共に使用される送信/受信(T/R)モジュールパッケージと基板を製造する方法での改良を提供することである。
【0007】
重量及び電気損失を減少させるとともに性能を向上させるタイプのセラミック材料でT/Rモジュールパッケージの基板を製造する改良された方法を提供することは,本発明の別の目的である。
【0008】
低温同時焼成セラミックでT/Rモジュールパッケージの基板を製造する改良された方法を提供することは,本発明のさらに別の目的である。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
これらと他の目的は,本発明において,既知の従来技術のLTCCパッケージとは違って,能動及び受動回路素子(例:半導体チップ)の配置のための種々の床厚と,5ミル(mil)厚の(LTCC)テープの20以上の個別の層を含む200−250ミルのオーダーの比較的厚いパッケージに貫通孔を有し,かつパッケージ内に形成された内蔵セラミックリングフレームを含む基板内に,複数キャビティを比較的簡単に作製することを可能にする,低温同時焼成セラミック(LTCC)材料でT/Rモジュールを製造する改良された方法によって達成される。
【0010】
基板の製造の主題の方法では,最初に,数層のLTCCテープ層が,複数個の,テープ層のスタック(例えば,4つのスタック又はセクション)に分割される。この分割は,各スタックの最終的なキャビティルーター加工の構成(final cavity routing configuration)に基づいて行われる。スタックの1つは,セラミックリングフレームの形成のための一組の層を備える。
次に,各スタックは,別々に仮ラミネート化され(tack laminated),次に,その中にキャビティパターンがルーター装置(router device)を用いて機械加工される(machined)。これによって,多くの層が単一パスでルーター加工され(routed),比較的スムーズでまっすぐな側壁を有するキャビティが形成される。これは,例えばレーザーで個々の層を切断し,ギザギザな側壁が形成される既知の従来技術の方法とは対照的である。
キャビティのルーター加工(cavity routing)に続いて,スタックの全てがスタックのアライメントを提供する一組の基準ピン(tooling pins)を含むベース板上に積み上げられる。積み上げは,最上部のマイラー(mylar)テンプレートと,その次に銅テンプレートを配置して,完了する。
次に,このアセンブリを伸張可能なラテックスシートで覆う。このラテックスシートは,グラファイトエアロゾルで薄くコートされており,これによってラミネート化の後に金属リフトオフ無しで除去されやすくなっている。
次に,このアセンブリは,ラミネート化固定具(lamination fixture)に配置され,所定の圧力と温度で,一般に4000〜5000psi,72℃で15分間,等方圧で(isostatically)ラミネート化され,その結果,ラミネート化されたパネルの形態の構造が得られる。
次に,このパネルは,冷却され,固定具から取り外され,基準穴(tooling holes)を除去するために未焼成切断(green cut)され,次に,指定の焼成プロファイル(designated firing profile)で焼成される。次に,複数の相互に同一のT/Rモジュール用LTCC基板は,パネルからダイシングされ(diced)(つまり切断され)、必要に応じて焼成後印刷が行われる(post fire printed)。
【0011】
さらに,本発明の適用範囲は,この後に提供される詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら,詳細な説明と特定の実施例は,本発明の好ましい方法を示唆するものの,例示のために提供されるものであることに注意すべきである。なぜなら本発明の精神と範囲内での種々の変化,変更,修正が,次の詳細な説明から当業者に明らかになるであろうからである。

図面の簡単な説明
【0012】
本発明は,添付図面と共に考えると,さらに十分に理解されるであろう。添付図面は,例示のために提供されるものであって,限定する意味で考慮されることは,意図していない。
【0013】
図1は,比較的少ない数のLTCCテープ層で構成されたLTCCパッケージの製造に従来用いられた既知の従来技術の製造方法を示す流れ図である。
【0014】
図2は,比較的多くの数のLTCCテープ層で構成された主題発明に従ったT/Rモジュール用LTCCパッケージを製造する方法を示す流れ図である。
【0015】
図3は,図2に示す方法に従った4つのLTCC多層にラミネート化されたテープの分解等角図である。
【0016】
図4及び5は,図3に示す4つのLTCCテープセクションの複合的なラミネート化されたアセンブリの等角図及び平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
主題発明は,これまで入手可能でなかった,材料と方法技術での進歩から生まれたLTCC T/Rモジュールパッケージの3つの新しい特徴,つまり,(1)非常に厚いパッケージに複数キャビティと貫通孔を形成することを可能にする改良された方法,(2)パッケージ内に一体に形成されたセラミックリング,(3)鑞付け用金属被覆(brazing metallization)を用いたヒートシンクと蓋(lids)の取り付けと,コネクタピンを取り付けるための側面印刷機能(side printing capability)に向けられている。
【0018】
LTCCパッケージを製造するための既知の従来技術の方法を図1に示す。図1の方法は,工程100,102,104,106に示すように,グリーンテープを白地化し,かつ安定化させ(blanking and stabilizing),ビアの穴開けを行い(punching vias),ビアホールを充填し(filling via holes),導電体層をスクリーン印刷することからなる。
次に,基板にキャビティを形成するために,工程108に示すように,所望の層のそれぞれを1つずつレーザー切断し(laser cutting),次に,工程110に示すように,順に並べて積み重ねる(collating and stacking)。これによって,完成後のパーツ(例:電子パーツ,例えば集積回路チップ用の基板)にキャビティが形成される。
次に,スタック112,114,116,118に示すように,積み重ねられたパーツは,等方圧でラミネート化され,基準穴を除去するためにルーター加工され,焼成され,ダイシングされる(fired and diced)。これに続いて,符号120及び122で示すように,このパーツは試験され,出荷される。
【0019】
図1に示すプロセスの流れは,例えば10−15層のテープを有する多層基板を作製するのには十分であると考えられている。しかし,このようなプロセスは,種々の床厚,貫通孔及び内蔵セラミックリングフレーム(これまで使用されてきた金属リングフレームとは対照的である。)を有する複数キャビティを有する20層以上のLTCCテープからなるT/Rモジュールの製造には採用することができないことが分かった。テープ中にこれら全てのキャビティを形成するには,グリーンテープからかなりの量の材料を除去する必要があり,個々のテープ層に対して従来の時間がかかるレーザー切断を施すことは,パーツの製造を非経済的にする。
この問題に対する解決は,個々のテープ層ではなく、LTCCテープのセクションを積み重ね,ラミネート化したものにキャビティを形成する点にある。これは、従来の金属リングフレームとは違ってパッケージと同時に同時焼成しなければならず,主題発明の主題の物体を構成するセラミックリングフレームの形成に特に重要である。このようなプロセスは,加工工程(process steps)の順序と数における発明的な変更を開示する図2に示される。

基板製造
【0020】
主題発明の好ましい方法を開示する図2を参照すると,工程200−206に示すように,グリーンテープを白地化し,ビアの穴開けを行い,ビアホールを充填し,そしてスクリーン印刷することを含む,導電体印刷までの加工工程は,図1に示す従来技術の方法で示したものと同じである。
しかし,符号208で示す検査工程に続いて,複数のT/Rモジュール基板(そのうちの1つが,例えば図4及び5に符号20で示される。)を同時に製造するための,複数の,例えば47のテープ層(H01−H47)が,工程210,212,214,216に示すように,4つのセクション10,12,14,16に分割される。セクション10は,5層H01−H05のスタックからなり,第2セクション12は,12層H06−H18のスタックからなり,第3セクション14は,4層H19−H22のスタックからなり,第4セクション16は,24テープ層H23−H47の比較的厚いスタックからなる。最後のセクションは,セラミックリングフレームの形成に使用されるテープ層のスタックを備えている。
4つのテープセクション10,12,14,16は,ステップ218,220,222,224に示すように,1000−2000psiの圧力で,別々に,仮ラミネート化される。
次に,工程226,228,230,232に示すようにDNC(直接数値制御)ルーターを用いたルーター加工によって,図3に符号18で示すように,特定のキャビティパターンが,4つの個別にラミネート化されたテープセクション10−16に機械加工される。
【0021】
ルーター加工を使用することに関連して2つの利点がある。第1に,レーザー加工と違って,ほんの少しの時間しか必要としない1パスで,多数の層のルーター加工が可能であることであり,第2に,個々の層がレーザーによって切断されて形成される壁がギザギザであるのに対し,ルーター加工によって形成されるキャビティの壁が,スムーズで,真っ直ぐであることである。スムーズで真っ直ぐな側壁は,後に続く半導体チップ配置を容易にするのに不可欠である。
【0022】
図2の工程226,228,230,232に示すように4つのラミネート化されたテープセクション10,12,14,16のキャビティルーター加工及び洗浄の後に,4つのセクションは,工程234でアライメント機構を提供する基準ピンを含む銅ベース板(図示せず)上に積み重ねられる。
次に,LTCCテープの4つのセクションのスタックは,図示しない未焼成の伸張可能な「Stretchlon SL200」(商標)ラテックスシートで覆われる。このラテックスシートは,ラミネート化の後に金属リフトオフなしで除去しやすくするためにグラファイトエアロゾルで軽くコートされている。
次に,このアセンブリは,周知のラミネート化固定具に配置され,72℃,4000−5000psiで15分間等方圧でラミネート化される。このラミネート化工程により,複数の,個々の基板パーツ20(その1つが図4及び5に示される。)の複合(composite)多層パネルが得られる。
次に,このパネルは,冷却された後,固定具から取り外され,工程236に示すように基準穴を除去するために未焼成切断され,工程238に示すように,指定の焼成プロファイルで焼成される。
次に,T/Rモジュールパッケージの基板を備えるパーツは,工程240,242,244に示すように, 従来の方法で要求されるように,ダイシングされ,洗浄され,焼成後印刷される。これによって,個々の基板20が得られる。

セラミックリング製造
【0023】
T/Rモジュールのリングフレーム(その一例が米国特許第6,114,986号に示される。)は,従来は,金属,一般にはKovarから作られ,セラミック基板(後でシーム又はレーザー溶接技術を用いて金属蓋(metal lids)で密封される。)にはんだ又は鑞で取り付けられる。
T/Rモジュールは,HTCC技術で作製されると,金属リングフレームの取り付けのために,焼成後工程としてニッケル及び金メッキが行われるであろう。
【0024】
しかし,めっきは,LTCCテープ材料には行うことができず,かつ金属の焼成後印刷(post printing)を妨げるコネクタ隔壁の特別なデザインのため,Kovarリングフレームは,LTCC T/Rモジュールでは選択肢ではない。
この困難のために,図3−5に示すように,パッケージと同一のテープ材料から生成され,セクション10,12,14を含むパッケージと同時焼成されるセラミックリングフレーム16が含められることになった。これによって,別個のリングフレームを有し,これをセラミックパッケージに取り付けるコストが削減される。はんだ付け又は鑞付けのための固定具及び焼成プロファイルを開発するコストも取り除かれる。
HTCCでは不可避なセラミックと金属の間のCTEミスマッチ問題は,LTCCでは巧みに回避され,リングフレームの重量は,〜62%削減される。
【0025】
最後に,セラミックリングフレーム16が図2に示すLTCCテープ層H23−H47から形成されるという事実によってコストがさらに削減される。そうでなければ,LTCCテープ層H23−H47は,金属リングフレームをセラミック隔壁に隣接して配置するためのキャビティ用空間を作るために使い捨てにされる(thrown away)。この使い捨てのテープ(throw-away tape)を,セラミックリングフレームを形成するために使用することができることは,コスト削減の強力な方法である。
主題発明のT/Rモジュールパッケージ内の内蔵リングフレーム16は,外側が幅50ミルであり,幅45ミルの内側壁を6つ有する。この壁は,千鳥配列のビアと内部グラウンドプレーンによって特徴付けられ(marked),パーツ間の十分な電気的分離を提供する。また,この壁は,蓋の取り付けのために最上面に同時焼成又はポスト焼成(post-fired)の金属層を受け入れることができる。これは,当該分野では意義深い改良である。
【0026】
セラミックリングフレーム16の製造は,図2の工程210−216に示すように,セクション10,12,14及び16の形成で始まる。セクション16は,リングフレームセクションを含む。このセクションは,工程216で形成され,リングフレーム幅の範囲内でビアが充填され,かつ印刷が行われる25層のテープ(H23−H47)からなる。また,このセクションは,工程232で,必要とされる所望のリングフレーム構成を生み出すプログラムを用いて機械加工(例えばルーター加工)される。
次に,リングフレームセクション16は,図2の工程234において,アライメントのための基準穴を用いてパッケージのセクション10,12,14の最上部に配置され,前述したようにラミネート化される。工程234での最終のラミネート化の間に,全てのセクションが十分にプレスされ,リングフレームセクションの層間剥離,形状変形,つぶれ又は座屈のない1つのパーツになるように圧力が印加される。これは,未焼成及び焼成状態において,リングフレーム構造の形状を維持するために最も重要な工程の1つである。
ラミネート化の後,基準穴がルーター加工で除去され,指定の焼成プロファイルを用いてパーツがパネルの形態で焼成される。
焼成の後,工程240に関して前述したように,パネルから個別のモジュール20がダイシングされて最終寸法になり,符号248によって示すように,必要に応じて,焼成後印刷が行われ,次に,工程246に示すように電気的試験が行われる。

鑞付け
【0027】
本発明に従ってLTCC材料で製造されたT/Rモジュールは,ヒートシンク,蓋及びピンコネクタがLTCC基板の表面に取り付けられることを必要とする。鑞付けがこれらの取り付けを行うのに用いるのに望ましいことが分かった。
取り付けのための最も望ましい金属被覆の選択と,その塗布方法に関連して,実験には,デュポン株式会社(Dupont Corporation)が厚膜鑞付けシステム材料5062及び5063として製造している金属被覆を選択した。なぜなら,HTCC基板材料がデュポンのセラミック組成物で製造されているからである。
塗布される(applied)各材料の最良の厚さを決定するために実験を行った。5062金属被覆材料は,ガラスが多く含まれた(glass rich)粘着層の製造において使用し,5063金属被覆は,金ボンディング層の製造において使用する。
約1〜1.5ミル厚の印刷を得るための最速の方法を決定するために種々のスクリーン及び印刷パラメータを用いた。種々のメッシュカウント及び種々のワイヤ径のスクリーンを実験で用いた。
290メッシュ,0.8ミルのワイヤ径のスクリーンを最初の実験で用いた。5062金属被覆で種々の試験片の側面印刷を行った。この最初の印刷では,平均焼成印刷厚が0.18ミルであった。5063金属被覆の第2の印刷では,平均焼成印刷厚が0.43ミルであった。第3印刷は,5063材料で行った。この印刷では,平均焼成厚が0.66ミルであった。第4で最後の印刷は,5063材料を用いて行った。この印刷では,平均焼成厚が0.86ミルであった。
この実験では,次に,230メッシュ,1.6ミルのワイヤ径のスクリーンを用いた。5062の第1印刷では,平均印刷厚が0.50ミルであった。第2印刷は,5063で行われ、その平均厚が0.84ミルであった。5063の最終印刷では,平均印刷厚が1.20ミルであった。
230メッシュのスクリーンでは,印刷がより厚くなる。従って,パーツを完成させるのに必要な印刷と焼成の回数を削減することができる。

側面印刷(Side Printing)
【0028】
主題発明によってLTCCでのT/Rモジュールを形成するために,側壁に(例えば,図4及び5に示すモジュール20の前壁16に)鑞付け可能な金属被覆を印刷する方法が開発され,利用されている。なぜなら,LTCCは,ニッケル/金めっきという標準的なHTCCアプローチを受け入れないからである。保持機構に加えて高さ制限のため標準的なスクリーン印刷装置を使用する方法がない。これは,印刷中にしっかりとパーツを収容し,かつ固定するように従来のスクリーン印刷装置を修正することによって克服される。
【0029】
新しいT/Rモジュールデザインの側面印刷は,印刷装置のネスト板(nest plate)の後ろにフリースペースを含む修正されたMPM SP−1500 SemiAutomatic Screen Printer上へ印刷用固定具を追加することによって可能になる。SP−1500を含むスクリーン印刷装置の通常のクリアランスは、「1」である。この固定具は,長さ2インチのT/Rモジュール基板20の側面への印刷を可能にする。
【0030】
このモジュールは,ネスト板の下に伸びる固定具に固定されている間,印刷面と同一平面である。これは,印刷装置ヘッドが基板表面を清掃(clear)することを可能にする。
【0031】
修正された固定具の試験において、ネスト板の移動速度が,固定具によって機械の後ろにあるリミットスイッチが破壊される原因であったと判断された。このため,ネスト板移動速度を減少させるように,印刷装置をさらに修正した。一旦速度を減少させると,固定具は,適切な位置で基板を保持し,基板の側壁の印刷は,ポスト焼成(post firing)を含む工程250で示すように,ピンコネクタ(図示せず)の前壁22への取り付けのために印刷されることが可能であることが分かった。
工程252及び254で示すように,検査及び出荷でプロセスが完了する。
【0032】
ここまで説明してきたことは,加工工程の新規な組合せを含む,LTCC材料を有する送信/受信(T/R)モジュールの製造方法である。
【0033】
しかしながら,上述した詳細な説明は,単に,本発明の原理を説明するものである。ここでは明示的には説明していないものであっても,添付のクレームに具現化された本発明の原理を具現化し,従って本発明の精神と範囲に含まれる種々の変更及び修正を当業者が考案することができるであろうことは,理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は,比較的少ない数のLTCCテープ層で構成されたLTCCパッケージの製造に従来用いられた既知の従来技術の製造方法を示す流れ図である。
【図2】図2は,比較的多くの数のLTCCテープ層で構成された主題発明に従ったT/Rモジュール用LTCCパッケージを製造する方法を示す流れ図である。
【図3】図3は,図2に示す方法に従った4つのLTCC多層にラミネート化されたテープの分解等角図である。
【図4】図4及び5は,図3に示す4つのLTCCテープセクションの複合的なラミネート化されたアセンブリの等角図及び平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温同時焼成セラミック(LTCC)材料からなる途中まで製造された複数の層を分割し,積み重ねて所定数のスタックにする工程を備え,前記スタックのそれぞれが,次に形成されるそれぞれのキャビティ構成に基づく所定数のLTCC層からなり,
LTCC層の前記スタックのそれぞれを別々に第1所定圧力でラミネート化して,ラミネート化されたLTCC材料からなる個別のセクションにし,
前記セクションのそれぞれに所望のキャビティパターンを形成し,
内部に形成されたキャビティパターンを含む前記セクションを積み重ねて,セクションが連続したアセンブリにし,
前記アセンブリをラミネート化固定具に配置し、
前記セクションの前記アセンブリを第2所定圧力で等方圧でラミネート化して複合LTCC構造にする工程を備える,能動又は受動電子回路素子の配置のための複数キャビティを有する1つ以上の多層パーツを含み,LTCCを有する電子デバイス用のパッケージの製造方法。
【請求項2】
前記複合構造は,複数の同様のLTCCパーツのパネルを備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パネルを個別のパーツに分離する工程をさらに備える請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記個別のパーツは,電子システムで利用される回路モジュール用基板を備える請求項3に記載の方法。
【請求項5】
LTCCテープの前記層は,厚さ約5ミルのテープを少なくとも20層備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
LTCC材料の前記所定数のスタックは,セラミックリングフレーム製造用スタックを1つ含み,
残りのスタックは,レーダーシステムでの送信/受信(T/R)用基板を形成するために利用される請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記LTCC構造は,位相アレイレーダーシステムのアクティブアパーチャー用送信/受信(T/R)モジュール用の少なくとも1つの基板を備える請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記セクションの1つは,前記基板用の外側セラミックリングを備える請求項7に記載の方法。
【請求項9】
LTCC材料の前記層は,LTCCテープの層からなる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記スタックのそれぞれを別々にラミネート化する工程は,LTCCテープの前記スタックをラミネート化することを含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1所定圧力は,約1000psi〜約2000psiの範囲である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記セクションのそれぞれに前記キャビティパターンを形成する工程は,前記セクションに前記キャビティパターンを機械加工することを含む請求項9に記載の方法。
【請求項13】
機械加工する工程は,ルーター工具で前記キャビティパターンをルーター加工することを備える請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2所定圧力は,約4000psi〜約5000psiの範囲である請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記アセンブリを等方圧でラミネート化する工程は,セクションが連続したアセンブリを,実質的に4000〜5000psi,約72℃で約15分間,等方圧でラミネート化することを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
蓋,ヒートシンク及び一組のピンコネクタを鑞付けによって前記基板に取り付ける工程をさらに含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記等方圧ラミネート化工程に続いて指定の焼成プロファイルで前記パネルを焼成する工程をさらに備える請求項2に記載の方法。
【請求項18】
前記ピンコネクタは,鑞付け用金属被覆によって前記基板の側壁面に取り付けられる請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記パネルから個別のパーツをダイシングする工程をさらに備える請求項18に記載の方法。
【請求項20】
必要に応じて焼成後印刷を実行する工程をさらに備える請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−514302(P2007−514302A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541348(P2006−541348)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/038576
【国際公開番号】WO2005/053091
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(397017191)ノースロップ グラマン コーポレーション (30)
【Fターム(参考)】