説明

見学情報蓄積システム

【課題】自然観察等の見学コースにおいて、見学者がインフラとしてのコンピュータシステムを意識することなく、コースを楽しく学びながら見学するだけで情報を容易に取得するシステムを実現する。
【解決手段】見学者が自然観察コースをGPS・カメラ機能付き携帯電話等を帯同するだけで、自動的に位置情報を定期的に取得しサーバに蓄積することにより、各種ある見学コースのどのコースを何時、どのようなスピードで見学したかが分かるようにした。また、撮影した写真にも位置情報が保存されており、見学当時の記憶を後で喚起することが可能となる。また、マーキングは位置情報のみを蓄積するので、秘密の位置情報として特に強い記憶として残すことや、先に写真に撮った動物を追いかけた追跡や、先に写真に撮った動植物と同種の生息位置情報として活用ができる。この様な、各種の情報を受け、先の見学時の記憶を基に、今回の見学コースを選定する手助けとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然観察フィールド等において、複数の観察コースが存在する場合に、見学者が楽しく学べるサポートを行うものである。
【背景技術】
【0002】
自然が溢れる観光地には、多様な植物が群生するポイント、希少価値のある絶滅危惧種の見られるポイント、水辺で遊ぶ鳥が見られるポイント、鳥が営巣しているポイント、小動物が現れるポイント、昆虫の鳴き声が聞こえるポイント、等各種探索コースが存在する。訪問者の好みにより、また、季節によりコースを選択して見学を行う。
【0003】
この様に見学するコースを選択する場合に、コースの情報を基にすることと並行して、既に見学した過去の情報が、その時の楽しさや、季節状況及びその時の見学者の気持ちにより、同じコースを選択したり、前回と似ているコースを選択したり、全く異なるコースを選択するための非常に重要な選択の基準となる。
【0004】
この様な過去の情報を活用した例として、見学者、見学日時、見学時間、見学場所を含む情報を登録し、帳票出力することにより前回の見学コース情報を見学者に提供する施設見学管理システムがある(特許文献1参照)。
【0005】
また、見学コース中の見学ポイントの名称及び巡回順序、説明情報等を登録し、前回の見学と異なる見学資料を作成するシステムがある(特許文献2参照)。
【0006】
ところで、観光地に於いて、自らの過去の見学コースを思い起こすには、地図上に実際に歩いた経路やその当時撮影した写真等の映像情報を見ることにより、鮮明に思い起こされるものである。
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2は過去の情報としてコンピュータとして処理しやすい文書情報をベースにしたシステムであり、これでは、見学者の過去の記憶を呼び起こすことには至らないという問題点があった。
【0008】
【特許文献1】特開2008−117084
【特許文献2】特開2007−257511
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、見学者が以前の見学コースの情報を思い起こすための情報を収集するに当たり、見学者がインフラとして存在するコンピュータシステムを意識することなく、コースを楽しく学びながら見学するだけで情報を容易に蓄積できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の第一の様態は、
見学者が、自然観察コースを見学する際に、見学者の行動を蓄積する見学情報蓄積システムであって、
見学者の見学コース上の位置情報を取得する経路位置取得機能と、
見学者が指定した特定の位置情報を取得するマーキング位置取得機能と、
見学者が撮影する写真の撮影場所の位置情報を取得する撮影位置取得機能と、
撮影した写真情報に前記撮影位置取得機能が取得した位置情報を保存する写真位置情報保存機能と、
前記位置取得機能、前記マーキング位置取得機能にて取得された位置情報又は前記写真位置情報保存機能にて作成された、写真情報をサーバに送信する送信機能と、
前記送信機能にて送信された情報を受信する受信機能と、
前記受信機能が受信した情報を蓄積する蓄積機能と
を、具備することを特徴とする見学情報蓄積システムにある。
【0011】
係る第一の様態では、見学者が自然観察コースを位置情報取得機能を帯同するだけで、自動的に位置情報を定期的に取得して、サーバに蓄積することにより、各種ある見学コースのどのコースを何時、どのようなスピードで見学したかが分かる。また、撮影した写真にも位置情報が保存されており、見学当時の記憶を後で呼び起こすことが可能となる。また、マーキングは位置情報のみを蓄積するので、秘密の位置情報として特に強い記憶として残すことや、先に写真に取った動物を追いかけた追跡や、先に写真に撮った動植物と同種の生息位置情報として活用ができる。この様な、各種の情報を受け、先の見学当時の記憶を基に、今回の見学コースを選定する手助けとなる。ここで、見学者が帯同する位置情報取得機能とは、たとえばGPS機能を備えた携帯電話端末、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Data Assistant)等を意味している。
【0012】
本発明の第2の様態は、第1の様態に記載する見学情報蓄積システムにおいて、
前記経路位置取得機能が実行中に見学者に位置情報を取得していることを知らせる経路位置取得通知機能
を、さらに具備することを特徴とする見学情報蓄積システムにある。
【0013】
係る第2の様態では、見学者が大画面にて他の見学者に情報発信するためのツールとして利用されるものであるので、見学者本人に経路位置取得機能が実行中で、当該経路位置情報を取得していることを通知することを可能としたものである。
【0014】
本発明の第3の様態は、第2の様態に記載する見学情報蓄積システムにおいて、
前記経路位置取得機能が取得した経路位置情報を前記送信機能が送信を実行中に見学者に位置情報を送信していることを知らせる経路位置送信通知機能
を、さらに具備することを特徴とする見学情報蓄積システムにある。
【0015】
係る第3の様態では、見学者が大画面にて他の見学者に情報発信するためのツールとして利用されるものであるので、見学者本人に経路位置取得機能が実行中である旨及び当該経路位置情報を取得していることを知らせる経路位置取得していることを通知することに加えて、当該経路位置情報を送信機能にてサーバに送信していることを知らせることを可能としたものである。
【0016】
本発明の第4の様態は、第2乃至3の様態に記載する見学情報蓄積システムにおいて、
前記経路位置取得通知機能又は前記経路位置送信通知機能が実施した通知を受け、前記経路位置取得機能又は前記経路位置送信機能の実行を停止する、経路位置取得停止機能又は経路位置送信停止機能
を、さらに具備することを特徴とする見学情報蓄積システムにある。
【0017】
係る第4の様態では、見学者が大画面にて他の見学者に情報発信するためのツールとして利用されるものであるので、見学者に経路位置取得していることに加えて、当該経路位置情報を送信機能にてサーバに送信していることを知らせることにより、見学者が位置取得停止機能及び送信停止機能により、経路位置取得機能又は送信機能を停止できることを可能としたものである。
【0018】
本発明の第5の様態は、第1乃至4の様態に記載する見学情報蓄積システムにおいて、
前記撮影位置取得機能が、前記経路位置取得機能又は前記マーキング位置取得機能が直前に取得した位置情報を撮影位置として利用することを特徴とする見学情報蓄積システムにある。
【0019】
係る第5の様態では、見学者が自然観察コース上で、何かを発見して記念に写真を撮影しようとしてその撮影に当たって、撮影位置を特定するために新たに位置情報を取得することとなる場合に於いて、撮影対象が動物の場合に、撮影チャンスを逃がす可能性を飛躍的に軽減するために、先に取得している位置情報を流用することにより、瞬時に撮影モードへ切り替えることを可能としたものである。
【0020】
本発明の第6の様態は、第1乃至4の様態に記載する見学情報蓄積システムにおいて、前記撮影位置取得機能が、前記経路位置取得機能が直前及び直後に取得した位置情報を、それぞれの時間情報と撮影時間で案分して撮影位置を計算することを特徴とする見学情報蓄積システムにある。
【0021】
係る第6の様態では、撮影位置を判断するに当たり、直前の経路位置取得機能又はマーキング位置取得機能が取得した位置情報をそのまま利用するのではなく、直前と直後の経路位置取得時間と撮影時間を比較して、その位置を前後の時間で案分することにより、より実際の撮影場所に近い撮影位置を計算で求めることを可能としたものである。
【0022】
本発明の第7の様態は、第1乃至4の様態に記載する見学情報蓄積システムにおいて、
前記撮影位置取得機能が、前記経路位置取得機能が直前及び直後に取得した位置情報を、それぞれの時間情報と撮影時間で案分する場合に、直前の前の移動距離と、直後の後の移動距離との比率も考慮して撮影位置を計算することを特徴とする見学情報蓄積システムにある。
【0023】
係る第7の様態では、直前及び直後の経路情報のみでなく直前の前及び直後の後の情報加えて案分することにより、より実際の撮影場所に近い撮影位置を計算で求めることを可能としたものである。
【0024】
本発明の第8の様態は、第1乃至7の様態に記載する見学情報蓄積システムにおいて、
前記マーキング位置取得機能が、前記経路位置取得機能が直前に取得した位置情報をマーキング位置として利用することを特徴とする見学情報蓄積システムにある。
【0025】
係る第8の様態では、写真撮影位置に加えて、マーキング位置に関しても速度を優先することにより、思い出のポイントを迅速にマークすることができる。これにより、最初の生物を写真の撮影で特定した後に、同種の生物の生息地を迅速にマーキングすることが可能となる。その結果、同種の生物の生息数のカウンタとしても活用可能となる。
【0026】
本発明の第9の様態は、第1乃至8のそれぞれの様態に記載する見学情報蓄積システムにおいて、
同一の見学者に関する前記蓄積機能が蓄積した情報を統合する蓄積情報統合機能
を、具備することを特徴とする見学情報蓄積システムにある。
【0027】
係る第9の様態では、同一の見学者の見学情報を統合することにより、既に見学したコースを全て把握することが可能となり、見学者の達成感を満足することが可能となる。また、逆に見学していないコースが明確になることにより、次のコース選択の指針となる。
【0028】
本発明の第10の様態は、第1乃至9のそれぞれの様態に記載する見学情報蓄積システムにおいて、
前記蓄積機能が蓄積した蓄積情報又は前記蓄積情報統合機能が統合した統合蓄積情報の位置情報を基に、画面上又は印刷の地図の適切な位置に表示する表示機能
を、具備することを特徴とする見学情報蓄積システムにある。
【0029】
係る第10の様態では、見学者が自然観察コース終了後に又は後日にコースの見学状況を確認することができ。自然観察コース上で楽しく学習した自然を振り返り、より詳しく懐かしく復習することが可能となる。印刷物を持ち帰ることにより、家族又は知人との情報共有が可能となり、家族又は知人が情報を受けることにより、自然観察フィールドへの参加を促したり、本人の再訪を促すこととなる。
【0030】
また、リアルタイムで自然観察フィールドの情報を表示することにより、自然観察のウェイティングルーム等でくつろいでいたり、今まさに自然観察フィールドに参加しようとしている人達への情報提供や情報共有となり、興味をそそるばかりでなく、自然観察コースの選択に資することとなる。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、見学者が行った自然観察コースの見学情報を自動的に蓄積することが可能となり、当該情報を基に、直後、後日、次回訪問時等に自ら、または、他の見学者との情報共有等を通して、自らの思い出の確認や情報提供者としてのモチベーションのアップにより、楽しく学習することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明は以下の説明に限定されない。
【0033】
図9は、本実施形態が採用される自然観察における見学システムの実施イメージ図である。すなわち、見学者であるお客様が貸し出されたGPS機能・写真撮影機能付携帯電話を帯同(所持)しながら、あらかじめ設定された見学コースを徒歩で歩き回るものである。
図1は、本実施形態に係る見学情報蓄積システムのハードウェア構成の概略を示すシステム構成図である。ネットワークに接続されたサーバを中心に、大画面に表示するための大画面表示装置、お客様に利用して頂くお客様端末、施設のスタッフが自ら又はお客様のお手伝いとして利用するスタッフ端末、プリンタ。また、携帯電話網を経由してサーバと接続している携帯電話及びインターネットを介して接続するお客様のPCである。
ここで、サーバは、汎用のコンピュータ装置であり、図示は省略するが中央処理装置(CPU)を中心に、バスで接続されたメインメモリ、ハードディスク装置、出力装置としての表示装置等を有している。そして、ハードディスク装置内にはオペレーティングシステムとともにサーバアプリケーションプログラムが格納されており、当該サーバアプリケーションプログラムを前記バスおよびメインメモリを介して中央処理装置が読み込んで実行処理することによって実施形態(図2以下で説明する機能部)が実現するようになっている。
さらに、サーバのハードディスク装置には、携帯電話貸出DB、利用者DB、経路位置情報DB、携帯電話DB等が設けられている。
携帯電話貸出DB(図10)では、携帯電話番号に対して貸出日時、利用者番号等が関連付けられて登録されている。
利用者DB(図11)には利用者番号が利用者の個人情報(氏名、住所、電話番号等)と関連付けられて登録されている。
経路位置情報DB(図12)には、携帯電話管理番号が時間毎の緯度・経度情報と関連
付けられて管理されている。この経路位置情報の取得方法については、図5に示したフロー図に基づいている。すなわち、後述の携帯電話のGPS機能によって位置情報を一定時間毎に取得して(S501)、取得した位置情報を最新情報として登録し、その位置情報を常に5つ登録しておくものである(S503、S504)。
携帯電話DB(図13)では携帯電話管理番号が携帯電話番号および契約日に関係付けられて管理されている。
このようにサーバでは、前記データベース群によって、携帯電話毎にその携帯電話がいつ誰に貸し出されたか、見学コース上のどこにいたかを特定できるようになっている。
一方、また、本実施形態における携帯電話も汎用の携帯電話端末を用いることができる。この携帯電話は携帯電話網を介してネットワーク接続可能であり、当該携帯電話には携帯電話用プログラムに基づいて通信制御や表示制御を行う中央処理装置が設けられている。つまり、以下の実施形態で説明する携帯電話の各機能部(図2以下で説明するもの)は携帯電話の中央処理装置がプログラムを読み込んで実行処理することによって実現されるものである。
【0034】
図2は、本実施形態に係る見学情報蓄積システムで、サーバと携帯電話に実装されるシステム機能構成図である。位置情報取得機能としての経路位置情報取得機能、マーキング位置取得機能、撮影位置取得機能があり、撮影位置取得機能により取得された位置情報を写真位置情報保存機能で撮影した写真情報に保存する。経路位置情報、マーキング位置情報、位置情報を保存した写真を携帯電話の送信機能で携帯電話網を通してサーバに送信する。
【0035】
携帯電話の送信機能にて送信された情報をサーバの受信機能にて受信し、蓄積機能にてサーバのデータベース等に蓄積する。蓄積された蓄積情報に関し、見学者ごとに情報を統合するのが、蓄積情報統合機能である。また、蓄積情報をその中に含まれている位置情報を活用して地図上の適切なポイントに出力するのが、表示機能である。なお、表示機能は各種端末、大画面及びプリンタ等を対象としている。
【0036】
携帯電話は、自然観察フィールドを訪れる見学者に対して貸し出される、又は、見学者が保有している個人の携帯電話に携帯電話向け機能(プログラム)をダウンロードして本実施形態が実施される。ここでは見学者が、上記携帯電話を、自然観察フィールドを探索中に常に帯同することを想定している。
【0037】
経路位置取得機能は、自動的に立ち上がるアプリケーションの中で自動的に実行される。具体的には、携帯電話の電源投入により自動実行されるアプリケーションプログラムを有しており、このアプリケーションプログラムは携帯電話が有する位置情報取得機能(GPS機能)による位置情報を携帯電話網を介してサーバに送信したり、当該位置情報を視覚化して携帯電話の表示装置に表示する機能を有している。
なお、当該アプリケーションプログラムの実行中は見学者の操作が制限されることが望ましい。たとえば任意の電話番号の発呼等、貸し出される携帯電話の悪用を抑止する機能を備えていること等である。
見学者は携帯電話を帯同するだけで、自動的に位置情報を取得し送信機能によりサーバに伝送される。サーバ側で受信機能にて受信した後、蓄積機能にてデータベースに蓄積され、当該蓄積位置情報を表示機能にて大画面に表示する。当該大画面を見て、ウェイティングルームに待機している見学者が、今現在の自然観察フィールドでの他の見学者の探索状況を把握することができる。
【0038】
なお現在、子供やお年寄りを対象に帯同形態にて自動的に位置情報を取得して携帯電話網を経由してサーバに送信し、家庭のパーソナルコンピュータ又は携帯電話から、地図にマッピングした位置情報として確認できるシステムが存在する。しかし、当該システムは
、あくまで子供又はお年寄りの希望にて実施されているものではなく。むしろ、帯同者の意思を無視した運用として実施されている。しかし、本実施形態においては、むしろ見学者が大画面にて他の見学者に情報発信するためのツールとして利用されるものである。そこで、本経路位置取得機能に連動する送信機能には、見学者本人に経路位置取得機能が実行中である旨及び当該経路位置情報を送信機能にてサーバに送信していることを知らせる各通知機能並びに、経路位置取得機能又は送信機能を停止できる位置取得停止機能及び送信停止機能を具備していてもよい。
【0039】
携帯電話の位置取得に関しては現在の携帯電話が有するGPS機能を勘案すると、GPS用プログラムの起動や衛星の捕捉等のために、機能をON状態にしてから一般的に15秒ほどの時間が必要である。自然観察フィールドは通常徒歩にて探索されることを想定しているが、徒歩での移動速度は通常の歩行速度である毎時4キロに加え、自然観察フィールドをゆっくり観察したい、ゆっくり歩きたいとの見学者の思考に加えある程度の山道も存在する場合が多く認められる。その他の要因も考慮して、毎時2kmと想定される。即ち、毎分30mとなる。先の位置取得時間も加味して、毎分1回程度の経路位置取得機能の実施が適切である。
また、サーバへの送信に関しては、経路位置取得機能が実施されると同時に毎回送信する必要性は低く、3〜10回ごとに一度送信すればよい。
【0040】
経路位置取得機能は、見学者に意識させないことに意義があるが、一方マーキング位置取得機能は、見学者が自ら意識したポイントを残すための位置を取得するものである。見学者が発見するポイントとしては後で紹介する写真を撮影してサーバに伝送し他の見学者と共有することにより、情報発信者としての栄誉を取得したくなるポイントと、当該ポイントを発見した見学者が秘密情報として保持しておきたい自分だけの重要ポイントに分類できる。当該秘密のポイントとしてマーキング位置を活用することができる。具体的には、前記携帯電話にインストールされたプログラムによって、マーキングした以上情報をサーバに送信する際に、公開・非公開のフラグを設定するようにしてもよい。
また、後に紹介する写真にて撮影した自然観察フィールドにて発見した生物に関しての移動経路を追跡した場合や同種の生物を他のポイントでも発見した場合には、加えての写真撮影は不要だと思われ、位置情報のみを取得することで足りる。
【0041】
撮影位置取得機能は、見学者が自然観察フィールドにて、発見した生物を写真に残したいと思ったときに、当該写真を撮影した位置を取得するものである。また、写真位置情報保存機能にて、当該撮影位置情報を撮影した写真に保存する。現在、携帯電話やデジタルカメラで一般的に用いられている写真データのフォーマットは、JPEGを拡張したEXIFであり、当該フォーマットには撮影に関する数々の情報が保存できるエリアが確保されている。その中に緯度経度の位置情報エリアも含まれており、当該エリアに、撮影位置取得機能にて取得した撮影位置を保存し、送信機能にてサーバに送信する。 図3はこのような一連の処理を示すフロー図である。同図において、携帯電話の撮影位置取得情報機能部において、撮影位置の情報が取得されるが(S301)、この位置は必ずしも写真撮影と同時かつ同じ場所での携帯電話のGPS機能を用いた位置情報である必要はない。この撮影位置情報取得方法については、後述の図4で詳述する。
次に、携帯電話の図示しない写真撮影機能部によって写真撮影が行われると(S302)、撮影された写真データに前記撮影位置取得機能部で取得された位置情報が埋め込まれる(S303)。一般にJPEGフォーマットでは、データを保持することが可能であり、このデータ保持領域に位置情報が登録されるようになっている。
このようにして得られた位置情報を有する写真データは携帯電話網を介してサーバに送信される(S304)。
なお、S303の処理は、かならずしも携帯電話で行う必要はなく、サーバで計算によって得られた撮影位置を携帯電話から取得した写真データに埋め込むようにしてもよい。
【0042】
この時、携帯電話にて通常の撮影位置取得機能を実行すると約15秒かかる。一方、自然観察フィールドで発見し、撮影したいと思っている静物が昆虫や鳥であった場合、当該撮影位置取得機能を実行中に、その撮影のシャッターチャンスを逃がすこととなる可能性が高い。そこで、本携帯電話に具備している経路位置取得機能にて取得した経路位置情報又はマーキング位置取得機能で取得したマーキング位置情報を撮影位置として流用すれば、シャッターチャンスを逃がすことなく、自然観察フィールドにて発見した生物の写真を撮影することができる。当該経路位置取得機能は1分間隔で経路情報を取得しており、毎時3キロメートルと想定した自然観察フィールドでの歩行速度を前提とすると、1分間の歩行距離は約30メートルとなり、携帯電話に付属するGPSにて取得した位置情報の誤差
と比較して耐えられる誤差である。このような撮影位置情報の取得方法を示したものが図4に示すフロー図である。すなわち、同図では、携帯電話のプログラムによって最新の位置情報があるか否かを判定し(S401)、もし最新の位置情報がある場合、たとえば写真撮影を行う前に捕捉したGPS情報がある場合にはこの位置情報を撮影位置情報として使用する(S401)。一方最新の位置情報が存在しない場合には、携帯電話の位置情報取得システム(GPS)を用いて新たに位置情報を取得して(S402)当該情報を最新位置情報として携帯電話内のメモリに保存するとともに(S403)この位置情報をステップ301(図3)の撮影位置情報として採用する。
【0043】
また、サーバ側の処理として、写真撮影時刻の前後の経路位置情報を使って、当該ポイントの間を経過時間にて案分する撮影位置を以下の式にて計算してもよい。

撮影位置 = 経路位置n + (経路位置n+1 − 経路位置n)*(撮影時間
− 経路位置n取得時間)/(経路位置取得間隔)
【0044】
経路位置情報、具体的には図7に示した「撮影位置の推測1」に於いて、撮影時間が10時00分20秒であり、その前後で経路位置情報取得機能が実行され位置情報を取得した時間をそれぞれ、経路位置n:10時00分00秒、経路位置n+1:10時01分00秒とすると、撮影前の経路位置での経路位置取得時間(経路位置n)からの撮影時間までの経過時間が20秒であり、経路位置取得間隔が60秒時間から直後の経路位置位置取得時間(経路)位置n+1)までの経過時間が40秒である。
【0045】
加えて、経路位置nの緯度経度をI(n)、K(n)、経路位置n+1の緯度経度をI(n+1)、K(n+1)として、上式に代入すると、

撮影位置の緯度 = I(n) + 1/2(I(n+1) − I(n))
撮影位置の経度 = K(n) + 1/2(K(n+1) − K(n))
となる。
【0046】
また、自然観察フィールドでは、その環境の変化が見学者の歩行速度に大きな影響を与えるため、その歩行速度は、前後の経路位置の歩行速度に影響される可能性が高いと思われる。そこで、撮影位置の直前、直後の経路位置情報のみではなく、直前とその前及び直後とその後の経路位置情報を活用して、撮影位置までの歩行速度は撮影位置の直前とその前に計測された速度であり、また、撮影位置からの歩行速度は撮影位置の直後とその後に計測された速度であるとの課程を加えて以下の式により案分を行うことにより、より正確な撮影位置が推測される可能性が高い。

撮影位置 = 経路位置n + (経路位置n+1 − 経路位置n)*(撮影時間 −
経路位置n取得時間)*直前の歩行速度/{(撮影時間 − 経路位置n取得時間)*直前の歩行速度}{(経路位置n+1取得時間 − 撮影時間)*直後の歩行速度}
【0047】
また、その場合には、撮影のためには、撮影対象を発見し、撮影のためにカメラの準備をし、カメラのレンズを対象に向けるとの行動に最低でも20〜30秒等一定の停止時間が必要であることを前提に、前記案分の計算を行ってもよい。加えて、その前の前、及び後の後の経路位置情報によるそれぞれの歩行距離の比率を前提に、案分して算出された場所を撮影位置としてもよい。このように撮影の前後の位置情報がより多く付加されることによって、撮影位置の推測計算がより高精度なものとなる(図8の「撮影位置の推測2」参照)
【0048】
また、マーキング位置取得機能に関しても、上記撮影位置取得機能と同様に経路位置取得機能にて取得した経路位置情報を流用することが可能である。この場合には、マーキングを同地点で高速に行うことが可能となるため、先に示した写真撮影を行った生物と同種の生物の個体数のカウンタとしても利用可能となる。図6は、このマーキング位置情報を得るためのフロー図である。すなわち、携帯電話の位置情報取得機能部(GPS)から得られた位置情報を取得すると(S601)、これによって取得された位置情報を最新の位置情報としてメモリに記憶させるとともに(S602)、当該最新の位置情報をマーキング位置情報として携帯電話網を介してサーバに送信する(S603)。
このように、マーキング位置についても、携帯電話が写真撮影処理等で負荷がかかっている場合でもその前後で取得された位置情報をマーキング位置として使用することができる。また、マーキング位置についても図7および図8で説明した推測方法を用いてサーバで計算することが可能である。
【0049】
蓄積機能は、携帯電話の送信機能で送信されサーバの受信機能で受信された各種情報をサーバのデータベースに蓄積する。蓄積情報は、高速表示のため、地図上に表示される最小単位を地図のレイヤーとして蓄積する機能を具備していてもよい。
【0050】
蓄積情報統合機能は、同一の見学者の見学情報を過去のものも含めて全て統合するものである。これにより、表示機能と併せて、自然観察フィールドの各コースの内どのコースをどの季節に探索したかが一目瞭然となるため、地図上に表示された探索経路情報に達成感を得ることができる。また、探索していないコース及び季節が明確となるため、次の又は今回の探索コースを選択することが容易になる。
【0051】
表示機能は、各種情報を地図上にマッピングして、その結果を、各種端末へ表示、大画面へ表示、プリンタへ表示する。表示機能は、それぞれの表示場板に併せて最適な表示情報を構成する機能を具備していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、自然観察コースを提供する施設等で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】ハードウェア構成の概略を示すシステム構成図である。
【図2】サーバと携帯電話に実装されるシステム機能構成図である。
【図3】写真伝送処理に係るフロー図である。
【図4】撮影位置情報処理に係るフロー図である。
【図5】経路位置情報処理に係るフロー図である。
【図6】マーキング位置情報処理に係るフロー図である。
【図7】撮影位置の推測計算方法を説明する図(1)である。
【図8】撮影位置の推測計算方法を説明する図(2)である。
【図9】本実施形態を実現したイメージ図である。
【図10】携帯電話貸出DBの説明図である。
【図11】利用者DBの説明図である。
【図12】経路位置情報DBの説明図である。
【図13】携帯電話DBの説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
見学者が、自然観察コースを見学する際に、見学者の行動を蓄積する見学情報蓄積システムであって、
見学者の見学コース上の位置情報を取得する経路位置取得機能と、
見学者が指定した特定の位置情報を取得するマーキング位置取得機能と、
見学者が撮影する写真の撮影場所の位置情報を取得する撮影位置取得機能と、
撮影した写真情報に前記撮影位置取得機能が取得した位置情報を保存する写真位置情報保存機能と、
前記位置取得機能、前記マーキング位置取得機能にて取得された位置情報又は前記写真位置情報保存機能にて作成された、写真情報をサーバに送信する送信機能と、
前記送信機能にて送信された情報を受信する受信機能と、
前記受信機能が受信した情報を蓄積する蓄積機能と
を、具備することを特徴とする見学情報蓄積システム。
【請求項2】
請求項1の見学情報蓄積システムにおいて、
前記経路位置取得機能が実行中に見学者に位置情報を取得していることを知らせる経路位置取得通知機能
を、さらに具備することを特徴とする見学情報蓄積システム。
【請求項3】
請求項2の見学情報蓄積システムにおいて、
前記経路位置取得機能が取得した経路位置情報を前記送信機能が送信を実行中に見学者に位置情報を送信していることを知らせる経路位置送信通知機能
を、さらに具備することを特徴とする見学情報蓄積システム。
【請求項4】
請求項2乃至3のいずれかの見学情報蓄積システムにおいて、
前記経路位置取得通知機能又は前記経路位置送信通知機能が実施した通知を受け、前記経路位置取得機能又は前記経路位置送信機能の実行を停止する、経路位置取得停止機能又は経路位置送信停止機能
を、さらに具備することを特徴とする見学情報蓄積システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの見学情報蓄積システムにおいて、
前記撮影位置取得機能が、前記経路位置取得機能又は前記マーキング位置取得機能が直前に取得した位置情報を撮影位置として利用することを特徴とする見学情報蓄積システム。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかの見学情報蓄積システムにおいて、
前記撮影位置取得機能が、前記経路位置取得機能が直前及び直後に取得した位置情報を、それぞれの時間情報と撮影時間で案分して撮影位置を計算することを特徴とする見学情報蓄積システム。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれかの見学情報蓄積システムにおいて、
前記撮影位置取得機能が、前記経路位置取得機能が直前及び直後に取得した位置情報を、それぞれの時間情報と撮影時間で案分する場合に、直前の前の移動距離と、直後の後の移動距離との比率も考慮して撮影位置を計算することを特徴とする見学情報蓄積システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかの見学情報蓄積システムにおいて、
前記マーキング位置取得機能が、前記経路位置取得機能又は前記撮影位置取得機能が直前に取得した位置情報をマーキング位置として利用することを特徴とする見学情報蓄積シ
ステム。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれかのの見学情報蓄積システムにおいて、
同一の見学者に関する前記蓄積機能が蓄積した情報を統合する蓄積情報統合機能
を、さらに具備することを特徴とする見学情報蓄積システム。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかの見学情報蓄積システムにおいて、
前記蓄積機能が蓄積した蓄積情報又は前記蓄積情報統合機能が統合した統合蓄積情報の位置情報を基に、画面上又は印刷の地図の適切な位置に表示する表示機能
を、具備することを特徴とする見学情報蓄積システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−140182(P2010−140182A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314752(P2008−314752)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】