視線誘導装置
【課題】道路の側壁面への取付けに好適であり、視認性に優れた視線誘導装置の提供。
【解決手段】ケース体2と、ケース体2に収容されたLED装着板6とを備え、ケース体2は、LED装着板6を覆う光透過性の保護カバー3を有して、後面が道路の側壁面に沿うように、側壁面に取付け可能に構成され、保護カバー3は、正面視において横長形状をなし、LED装着板6には、複数のLED60が、各LED60の光軸がLED装着板6の板面に対して垂直をなすように、配設され、LED装着板6は、左右の側縁61、62のうち、側壁面に沿って道路を進行する車両にとって前方側となる一側縁61が、他側縁62よりもケース体2の後面2aから離れた側に位置するように、傾斜して配置され、LED60が発光することにより、保護カバー3上に全体として横長の発光面が形成されることを特徴とする視線誘導装置1。
【解決手段】ケース体2と、ケース体2に収容されたLED装着板6とを備え、ケース体2は、LED装着板6を覆う光透過性の保護カバー3を有して、後面が道路の側壁面に沿うように、側壁面に取付け可能に構成され、保護カバー3は、正面視において横長形状をなし、LED装着板6には、複数のLED60が、各LED60の光軸がLED装着板6の板面に対して垂直をなすように、配設され、LED装着板6は、左右の側縁61、62のうち、側壁面に沿って道路を進行する車両にとって前方側となる一側縁61が、他側縁62よりもケース体2の後面2aから離れた側に位置するように、傾斜して配置され、LED60が発光することにより、保護カバー3上に全体として横長の発光面が形成されることを特徴とする視線誘導装置1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路の側壁やトンネルの内壁等、道路の側壁に設置されて、道路線形や道路幅等を認識させる視線誘導装置に関し、特に、光源としてLED(発光ダイオード)が使用された視線誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDは、寿命が長く、交換が少なくて済むことから、高速道路の側壁やトンネルの内壁等、交換が容易でない場所に設置される視線誘導装置の光源として、用いられている。
【0003】
例えば、下記特許文献1記載のデリニェータは、ケーシング内部に、このケーシングの装着面に対する垂直方向に沿う軸を中心として回動自在に設けられた可動部材と、この可動部材に支持され、上記垂直方向に沿った平面を備えた取り付け板と、この取り付け板の上記平面上に配置されたLEDと、上記可動部材を上記ケーシング外部から回転操作するための手段を備え、可動部材を外部から回転させることにより、LEDの照射方向を調整可能として、視認性の向上を図っていた。
【0004】
また、下記特許文献2記載の視線誘導装置は、基板にLEDの光軸がその基板と平行になるように取り付けられて発光装置が形成されることにより、道路利用者の視線とLEDの光軸とが一致しないようにされて、道路利用者が感じる眩しさの軽減を図っていた。
【0005】
また、下記特許文献3記載の視線誘導灯は、LEDを備えた発光体と、発光体を収容し、透明カバーで被覆した筐体を備え、発光体の発光面を筐体に対して所定角度で傾斜させることにより、視認性の向上を図っていた。
【0006】
なお、出願人による視線誘導装置として、下記特許文献4に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平4−37613号公報
【特許文献2】特開2005−82984号公報
【特許文献3】特開平11−43908号公報
【特許文献4】特許第3833517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1記載のデリニェータは、透明樹脂製のグローブの下方に設けられたフレームの下面を、道路の側壁等に取り付けるように構成されており(同文献の第4頁第6〜9行、第1図参照)、道路の側壁等の上面に取り付けられることとなって、高さが高い高速道路の防音壁の壁面や、トンネルの内壁面等への取付けには適さないという問題があった。また、上記特許文献2記載の視線誘導装置は、LEDの光軸が基板と平行であるため、車両の運転者から見たときの視認性が悪く、線形に視認され難いという問題があった。さらに、上記特許文献3記載の視線誘導灯は、発光面が縦に細長いため、やはり、車両の運転者から見たときの視認性が悪く、線形に視認され難いという問題があった。
【0009】
本発明は、上述した問題を解決するものであり、高速道路の防音壁の壁面やトンネルの内壁面等も含めて道路の側壁面への取付けに好適であり、しかも、車両の運転者から見たときの視認性に優れ、複数並設したときに運転者に線形に視認され得る視線誘導装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の視線誘導装置は、ケース体と、前記ケース体に収容された1以上のLED装着板とを備え、前記ケース体は、前記LED装着板を覆う光透過性のカバー部を有して、後面が道路の側壁面に沿うように、前記側壁面に取付け可能に構成され、前記カバー部は、正面視において横長形状をなし、前記LED装着板には、複数のLEDが、各LEDの光軸が前記LED装着板の板面に対して垂直をなすように、配設され、前記LED装着板は、左右の側縁のうち、前記側壁面に沿って道路を進行する車両にとって前方側となる一側縁が、他側縁よりも前記ケース体の前記後面から離れた側に位置するように、傾斜して配置され、前記複数のLEDが発光することにより、前記カバー部上に全体として横長の発光面が形成されることを特徴とする。
【0011】
これによれば、視線誘導装置のケース体は、後面が道路の側壁面に沿うように、側壁面に取付け可能であるので、高速道路の防音壁の壁面やトンネルの内壁面等も含めて道路の側壁面への取付けに好適である。そして、LED装着板は、左右の側縁のうち、その視線誘導装置が取り付けられる側壁面に沿って道路を進行する(すなわち、その視線誘導装置が設けられる車線を進行する)車両にとって前方側となる一側縁が、他側縁よりもケース体の後面から離れた側に位置するように傾斜しているので、その視線誘導装置が設けられる車線の運転者にとってはLEDの光が視認し易く、反対車線の運転者にとっては眩しさが軽減される。さらに、LEDによりカバー部上に全体として横長の発光面が形成され、その横長の発光面から道路の上流側に傾斜して光が発光されるため、運転者からの目線で線形に見え易く、良好に視線誘導することができる。
【0012】
ここで、前記カバー部の内面に、各LEDの光軸を、前記LED装着板の傾斜により前記光軸が前記後面に垂直な方向から傾斜された方向と同方向に、屈折させる光屈折部が設けられていることが好ましい。
【0013】
これによれば、各LEDの光が光屈折部で屈折されることによりさらに運転者の方に向けられるので、視認性が向上する。
【0014】
そして、赤色系LEDのみが配設された前記LED装着板と、青色系LEDのみが配設された前記LED装着板とが、横に並設されていることが好ましい。
【0015】
これによれば、濃霧等で視界が悪いときにも、視認性に優れることとなる。
【0016】
さらに、前記赤色系LEDと前記青色系LEDとが、交互に点滅するように構成されていることが好ましい。
【0017】
これによれば、点滅により運転者の注意を惹くことができ、さらに視認性に優れることとなる。
【0018】
また、前記カバー部が、乳白色であることが好ましい。
【0019】
これによれば、運転者が感じる眩しさを軽減できるとともに、LEDが発光していないときには装置の内部が見え難くなり、見た目にも優れることとなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の視線誘導装置は、高速道路の防音壁の壁面やトンネルの内壁面等も含めて道路の側壁面への取付けに好適であり、しかも、車両の運転者から見たときの視認性に優れ、複数の視線誘導装置を並設したときに運転者に線形に視認されて良好に視線誘導可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る視線誘導装置の斜視図である。
【図2】同視線誘導装置の正面図である。
【図3】同視線誘導装置の内部の主要部を破線表示した斜視図である。
【図4】制御ユニットの内部を省略した図3のIV-IV線断面図である。
【図5】制御ユニットの内部を省略した図3のV-V線断面図である。
【図6】同視線誘導装置の回路構成を示すブロック図である。
【図7】同視線誘導装置を道路の側壁面に設置した状態の平面図である。
【図8】同視線誘導装置をカーブに取り付けた状態を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る視線誘導装置の横断面図である。
【図10】LEDの屈折角度を説明するための右カーブの図である。
【図11】視線誘導装置の変形例の回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1、3に示すように、視線誘導装置1は、横長形状のケース体2と、ケース体2の内部に収容された2つのLED基板(LED装着板に相当。)6とを備えている。
【0024】
ケース体2は、ポリカーボネート製で後方が開放されて左右の側部が閉塞された横長の半円筒形状の保護カバー(カバー部に相当。)3と、保護カバー3の後方開口部30(図4参照)を閉塞するアルミニウム製の横長矩形状の裏蓋4と、保護カバー3の左右の両端部に嵌合されたアルミニウム製のフレーム5、5とから構成されている。保護カバー3は、正面視において横長形状(ここでは、横長矩形状)をなしている。なお、横長形状とは、縦の長さ(複数の長さがあるときは最大長)よりも横の長さ(複数の長さがあるときは最大長)が長い形状をいう。
【0025】
保護カバー3は、透明のポリカーボネート製であるが、内面(ケース体2の内部側の面)がショットブラストされ、さらに、図示しない乱反射シートが貼付されて、光を乱反射する乱反射面とされるとともに、光を透過する乳白色とされている。なお、乱反射面は、無機酸腐食処理等で形成することもできる。保護カバー3の横の長さは、本実施形態では50cmである。光を線形に見せる点からは視線誘導装置1は長い方が有利であるが、あまり長いと道路のカーブ部分の側壁面に沿わせることが困難になる。したがって、保護カバー3の横の長さは40〜60cmであることが好ましい。視線誘導装置1全体があまり長くならずに道路のカーブ部分でも容易に装着できて施工性がよく、後述するLED基板6、6や制御ボックス10を収め易く製作性に優れ、しかも、光を線形に見せることができるからである。
【0026】
図5に示すように、保護カバー3は、中央部及び左右の両端部のそれぞれに、螺子孔が形成された肉厚部31を有している。そして、各肉厚部31の螺子孔を利用して、裏蓋4は保護カバー3に対して螺子9で螺子止めされている。また、図4に示すように、裏蓋4は、フレーム5、5に対して螺子7で螺子止めされている。
【0027】
各フレーム5は、後面が裏蓋4の後面と平行な面をなすベース部55と、ベース部55から前方に突出する略半円形状の保護カバー嵌合部51とから構成され、保護カバー嵌合部51の円弧をなす縁部53は、右のフレーム5は左方に、左のフレーム5は右方に突出している。そして、左右のフレーム5の保護カバー嵌合部51は、それぞれ、保護カバー3の左右の端部に外嵌される。各保護カバー嵌合部51は、電源ケーブルが挿通される貫通孔52を有し、保護カバー3の左右の側壁部32にも、左右のフレーム5の保護カバー嵌合部51が保護カバー3の左右の端部にそれぞれ外嵌されたときに貫通孔52に重なる位置に、電源ケーブルが挿通される貫通孔33が形成されている。ベース部55の上下の端部には、それぞれ凹部56が形成され、それらの凹部56にボルトを挿通して道路の側壁面に取り付けることにより、ケース体2は、後面2aが道路の側壁面に沿うように、側壁面に取付け可能である。なお、道路の側壁面とは、道路の側壁(ガードレールを含む。)における道路側の面をいう。
【0028】
図3、4に示すように、LED基板6、6は、ケース体2内部の中央部に配置された制御ユニット10を挟んで、横に並設され、保護カバー3で覆われている。各LED基板6は、横長矩形状をなし、複数のLED60が、各LED60の光軸がLED基板6の板面63に対して垂直をなすように、取り付けられている。そして、各LED基板6に取り付けられた複数のLED60は、全体として(すなわち、取り付けられた複数のLED60全体で)横長形状(ここでは、横長矩形状)をなすように配設されている。
【0029】
なお、各LED基板6上のLED60は、全体として横長形状でなくても、各LED基板6上のLED60全体により保護カバー3上に形成される発光面が横長になるように、配置されていればよい。本実施形態では、各LED60の指向角は30°であるため、保護カバー3での屈折や乱反射を考慮しなければ、各LED基板6から照射される光の範囲は、それぞれ、横の範囲が図4の二点鎖線で示され、縦の範囲が図5の二点鎖線で示される範囲となる。したがって、図2の二点鎖線で示すように、各LED基板6上のLED60により、保護カバー3上には横長の発光面Aが形成される。この2つの発光面Aの横の長さの和の、保護カバー3の横の長さ(50cm)に対する割合は、約0.75である。なお、発光面Aは、図2では横長矩形状(長方形状)であるが、各LED60からの光は、保護カバー3で屈折・乱反射されるため、実際には、図2に示す長方形部分よりも広がった範囲であり、境界も明確ではない。
【0030】
各LED基板6は、それぞれ、ケース体2の内部に配設されたアルミニウム製の基板用架台8に、支持部材83を介して固定されている。各基板用架台8は、図3、4に示すように、右端部80が平面視においてL字形状をなして裏蓋4に沿った位置から前方に突出するように形成され、左端部81は裏蓋4に沿うように形成されて、右端部80と左端部81との間は、右側縁が左側縁よりもケース体2の後面から離れた側に位置するように傾斜した横長矩形状の傾斜面82とされている。そして、各LED基板6は、傾斜面82と平行になるように支持部材83で基板用架台8に固定されることにより、右側縁61が左側縁62よりもケース体2の後面2aから離れた側に位置するように(すなわち、右側縁61と後面2aとの間隔が、左側縁62と後面2aとの間隔よりも長くなるように)、傾斜して配置されている。各LED基板6と後面2aとがなす角度θは、本実施形態では11°である。
【0031】
右側のLED基板6をLED基板6R、左側のLED基板6をLED基板6Lと表記すれば、LED基板6Rに配置されているLED60は、すべて赤色系LED60とされ、LED基板6Lに配置されているLED60は、すべて青色系LED60とされている。そして、LED基板6R、6Lは、制御ユニット10に接続され、制御ユニット10により、LED基板6R上のLED60とLED基板6L上のLED60とが交互に点滅するように制御される。すなわち、赤色系LED60と青色系LED60とが交互に点滅することとなる。
【0032】
図6に示すように、制御ユニット10は、昼夜判別回路11と、昼夜判別回路11に接続された点滅制御回路12とを備えている。そして、昼夜判別回路11は、視線誘導装置1外に設けられた電源13に接続され、点滅制御回路12は各LED(発光体)60に接続されて、昼夜判別回路11から夜間である旨の判定信号が入力されたとき、点滅制御回路12は、LED基板6R上のLED60とLED基板6L上のLED60とを交互に点滅させる。また、点滅制御回路12には、視線誘導装置1外に設けられた悪視程センサー14が接続されている。悪視程センサー14は、上記特許文献4に記載されている霧検出器と同様にして、視界の悪さ(悪視程)を検出し、その検出信号を点滅制御回路12に出力する。点滅制御回路12は、悪視程センサー14から悪視程の検出信号が入力されると、各LED60の発光強度を上げて、各LED60を強く光らせる。
【0033】
なお、図7に示すように、通常、視線誘導装置1は複数並設されている。このため、通常、複数の視線誘導装置1に対して1つの電源13から電気が供給され、また、複数の視線誘導装置1に対して1つの悪視程センサー14が設置されて、その悪視程センサー14から各視線誘導装置1の点滅制御回路12に検出信号が入力される。
【0034】
以上のように構成された視線誘導装置1は、図7に示すように、道路101、102の側壁面104a、105aに、ベース部55の各凹部56に挿通したボルトで取り付けられる。詳しくは、道路101、102は、センターライン103を挟んで設けられ、道路101に沿って側壁104が、道路102に沿って側壁105が立設されている。そして、側壁104の側壁面104a、側壁105の側壁面105aに、それぞれ、複数の視線誘導装置1が道路101、102の長さ方向(図7紙面上下方向)に沿って並設される。各視線誘導装置1は、夜間、LED基板6R上の赤色系LED60とLED基板6L上の青色系LED60とが、交互に点滅する。霧等で視界が悪い場合には、LED60は強く発光する。
【0035】
視線誘導装置1によれば、各LED60は、光軸がLED基板6R、6Lの板面に対して垂直をなすように取り付けられ、LED基板6R、6Lは、右側縁61が左側縁62よりも後面2aから離れた側に(すなわち、道路101、102の中央寄りに)位置するように傾斜しているため、図7の二点鎖線矢印L1に示すように、側壁面104aに取り付けられている視線誘導装置1のLED60の光軸は、側壁面104aに垂直な方向から道路101の上流側(図7紙面における下側)に傾き、側壁面105aに取り付けられている視線誘導装置1のLED60の光軸は、側壁面105aに垂直な方向から道路102の上流側(図7紙面における上側)に傾くこととなる。このため、側壁面104aに取り付けられた視線誘導装置1からの光は、側壁面104aに沿って道路101を進行している車両(自動車)106の運転者にとっては視認し易い。なお、矢印L1は、LED基板6R、6Lの中央のLED60の光軸を表し、保護カバー6での乱反射・屈折は考慮していない。
【0036】
そして、LED基板6R、6L上のLED60は、それぞれ、保護カバー3上において全体として横長の発光面Aをなすように配設されているので、視線誘導装置1は、全体として道路の長手方向に沿って横長に発光することとなる。すなわち、横長の発光面Aから道路101、102の上流側(すなわち、運転者に対面する側)に光の方向を傾けて発光されることとなるため、運転者からの目線では光が線形に見え、道路の形状が分かり易く、良好に視線誘導することができる。なお、視線誘導装置1は横の長さは50cmとそれ程長くはないが、LED基板6を傾斜させて光の方向を傾けているので、横の長さが50cm程度でも、運転者からは線形に見えることとなる。
【0037】
図8は、直線道路からカーブにかけて視線誘導装置1を所定間隔で設置したときの様子を示したものであり、この図から分かるように、車両Vの運転者から見たとき、直線道路に設置されている視線誘導装置1(図8の1a〜1c)は間隔が詰まって見えるため、線状に見える。そして、その線状の光の続きにカーブに配置された視線誘導装置1の列が見えるので、運転手の視線をスムーズにカーブに誘導でき、良好に視線誘導可能である。
【0038】
また、側壁面104aに取り付けられた視線誘導装置1からの光は、反対車線の道路102の下流側に傾いているため、道路102を進行している車両107の運転者にとっては眩しさを感じさせないものとなる。同様に、側壁面105aに取り付けられた視線誘導装置1からの光は、側壁面105aに沿って道路102を進行している車両107の運転者にとっては線形に視認され易く、反対車線の道路101を進行している車両106の運転者にとっては眩しさを感じさせないものとなる。
【0039】
また、各LED60からの光は、保護カバー3の内面で乱反射されて拡散し、保護カバー3を透過するため、個々のLED60の指向角は狭いものであるが、全体として視線誘導装置1は面発光して視認性に優れることとなり、しかも、その視線誘導装置1が設けられた側の車線の運転者に対する眩しさも軽減される。そして、保護カバー3が乳白色とされているため、LED60が発光していないときには、視線誘導装置1の内部が見え難くなり、見た目も優れている。
【0040】
また、上記特許文献4に記載されているように、夜間の濃霧等、視界が悪い状況においては、青色系LEDは存在認知性に優れ、赤色系LEDは形状認知性に優れるため、赤色系LED60が配設されたLED基板6Rと青色系LED60が配設されたLED基板6Lを横に並設して、各LED60を発光させることにより、視界が悪い場合においても、運転者に視線誘導装置1の存在と形状とを高い認識度で認識させることができ、良好に視線誘導することができる。そして、赤色系LED60と青色系LED60とを交互に点滅させるので、運転者の目を惹き易く、視認性に更に優れることとなる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態である視線誘導装置1Bについて説明する。なお、第1実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0042】
図9に示すように、第2実施形態の視線誘導装置1Bは、保護カバー3の内面に、LED60の光軸を屈折させる複数の光屈折部34が、一体形成されている。各光屈折部34は、保護カバー3の上面から前面を経て下面に至る半円筒状の曲面部分に、その曲面部分の周方向に沿って半環状に保護カバー3の内方に突出し、断面は三角形状とされている。また、保護カバー3の内面に乱反射シートは設けられていない。これらの他は、視線誘導装置1Bは視線誘導装置1と同様に構成されている。
【0043】
そして、各光屈折部34によって、図9の二点鎖線に示すように、各LED60の光軸は屈折させられる。この屈折方向は、各LED基板6が傾斜させられることにより各LED60の光軸がケース体2の後面2aに垂直な方向(図9の矢印Yで示される方向)から傾斜された方向と同方向である。すなわち、視線誘導装置1Bが設けられた道路の上流側に向けて屈折することとなる。視線誘導装置1Bでは、各LED60の光軸は、各光屈折部34により、後面2aに平行な方向から25°傾斜されている。すなわち、図9におけるα=25°である。
【0044】
なお、後面2aに平行な方向(すなわち、側壁面に沿った方向。カーブでは側壁面の接線方向となる。)に対する各LED60の光軸の傾斜角度αは、5〜25°であることが望ましい。図10は、直線道路から右カーブに入る部分の左側壁面の点P1、P2に視線誘導装置1Bを配置したときのLED60の光軸を二点鎖線で示したものである。実施形態のようにαが25°の場合には点P1からの光軸は二点鎖線L2、点P2からの光軸は二点鎖線L3で示され、αが5°の場合には点P1からの光軸は二点鎖線L4、点P2からの光軸は二点鎖線L5で示される。LED60の指向角が30°であることを考慮すれば、傾斜角度αが5〜25°の範囲内であれば、カーブの手前の十分遠い位置から光が視認できるからである。
【0045】
横長の発光面Aを形成するためにLED基板6を横長形状とすると、LED基板6自体を大きく傾斜させることは、ケース体2の前後方向の幅W(図9参照)を大きくしてしまうため困難であるが、視線誘導装置1Bによれば、LED基板6自体を大きく傾斜させなくても、各LED60の光軸が、各LED基板6の傾斜によって傾斜された角度よりもさらに大きな角度で、道路の上流側に傾斜するので、視線誘導装置1Bをコンパクトなものに維持しつつ、運転者にとっての視認性を向上させることができる。
【0046】
すなわち、視線誘導装置1Bによれば、図7の一点鎖線L2に示すように、車両106、107側にLED60の光軸が屈折するので、運転者にとっての視認性を向上させることができる。
【0047】
なお、上記各実施形態では、外部の電源を用いたが、図11に示すように、視線誘導装置1、1Bを、太陽光により発電する太陽電池17を備えた自発光型としてもよい。図11に示す例では、視線誘導装置1の制御ユニット10は、昼夜判別回路11と、昼夜判別回路11に接続された点滅制御回路12と、太陽電池17に接続された定電圧充電回路15と、定電圧充電回路15に接続されて太陽電池17で発生した電力を蓄電する蓄電体16とを備えている。そして、昼夜判別回路11は、太陽電池17に接続されて、太陽電池17の起電圧を検知して昼夜を判別し、点滅制御回路12は、各LED60に接続されて、昼夜判別回路11から夜間である旨の判定信号が入力されたとき、蓄電体16の電力により各LED60を発光させる。また、点滅制御回路12には、視線誘導装置1外に設けられた悪視程センサー14が接続されている。なお、視線誘導装置1に太陽電池17を設けるときは、例えば保護カバー3の上面の一部を透明として、その透明な面の直下に太陽電池17を配置する等、太陽電池17が太陽光を受け易い構成とする。
【0048】
また、上記各実施形態では、車線の左側に視線誘導装置1、1Bを設ける場合に応じて、LED基板6を右側縁61が左側縁62よりも後面2aから離れた側に配置されるように傾斜させたが、例えば、上り車線と下り車線とが分けて設けられている高速道路等で、車線の右側に設けられた側壁に視線誘導装置1を取り付ける場合には、左側縁62が右側縁61よりも後面2aから離れた側に配置されるように傾斜させる。すなわち、LED基板6は、左右の側縁61、62のうち、その視線誘導装置1、1Bが設けられている側壁面に沿って道路を進行する車両にとって前方側となる一側縁が、他側縁よりも後面2aから離れた側に位置するように、傾斜して配置されていればよい。
【0049】
また、横長形状とは横長矩形状に限らず、横長楕円形状等も含み、LED基板6上のLED60が全体としてなす形状は、横長の矢印形状や横長の三角形状であってもよい。さらに、1つのLED基板6上に、複数のLED60からなるLED群(例えば、9個のLED60を縦横3列の正方形状に並べたLED群)が、間隔を置いて複数設けられて、それら複数のLED群を合わせて、全体として保護カバー3上に横長の発光面Aを形成するように構成するなど、LED60の配列は適宜変更可能である。
【0050】
また、1つの視線誘導装置1、1Bに3つ以上のLED基板6を備えることとしてもよい。例えば、制御ユニット10を挟んで、左右に2つずつ合計4つのLED基板6を並設し、右側の2つのLED基板6には赤色系LED60を、左側の2つのLED基板6には青色系LED60を配設したり、赤色系LED60を配設したLED基板6と、青色系LED60を配設したLED基板6とを、交互に配置したりしてもよい。逆に、1つの視線誘導装置1に1つだけLED基板6を設けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
A…発光面
1、1B…視線誘導装置
2…ケース体
2a…後面
3…保護カバー(カバー部)
34…光屈折部
6…LED装着板(LED基板)
60…LED
61…右側縁(一側縁)
62…左側縁(他側縁)
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路の側壁やトンネルの内壁等、道路の側壁に設置されて、道路線形や道路幅等を認識させる視線誘導装置に関し、特に、光源としてLED(発光ダイオード)が使用された視線誘導装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDは、寿命が長く、交換が少なくて済むことから、高速道路の側壁やトンネルの内壁等、交換が容易でない場所に設置される視線誘導装置の光源として、用いられている。
【0003】
例えば、下記特許文献1記載のデリニェータは、ケーシング内部に、このケーシングの装着面に対する垂直方向に沿う軸を中心として回動自在に設けられた可動部材と、この可動部材に支持され、上記垂直方向に沿った平面を備えた取り付け板と、この取り付け板の上記平面上に配置されたLEDと、上記可動部材を上記ケーシング外部から回転操作するための手段を備え、可動部材を外部から回転させることにより、LEDの照射方向を調整可能として、視認性の向上を図っていた。
【0004】
また、下記特許文献2記載の視線誘導装置は、基板にLEDの光軸がその基板と平行になるように取り付けられて発光装置が形成されることにより、道路利用者の視線とLEDの光軸とが一致しないようにされて、道路利用者が感じる眩しさの軽減を図っていた。
【0005】
また、下記特許文献3記載の視線誘導灯は、LEDを備えた発光体と、発光体を収容し、透明カバーで被覆した筐体を備え、発光体の発光面を筐体に対して所定角度で傾斜させることにより、視認性の向上を図っていた。
【0006】
なお、出願人による視線誘導装置として、下記特許文献4に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平4−37613号公報
【特許文献2】特開2005−82984号公報
【特許文献3】特開平11−43908号公報
【特許文献4】特許第3833517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記特許文献1記載のデリニェータは、透明樹脂製のグローブの下方に設けられたフレームの下面を、道路の側壁等に取り付けるように構成されており(同文献の第4頁第6〜9行、第1図参照)、道路の側壁等の上面に取り付けられることとなって、高さが高い高速道路の防音壁の壁面や、トンネルの内壁面等への取付けには適さないという問題があった。また、上記特許文献2記載の視線誘導装置は、LEDの光軸が基板と平行であるため、車両の運転者から見たときの視認性が悪く、線形に視認され難いという問題があった。さらに、上記特許文献3記載の視線誘導灯は、発光面が縦に細長いため、やはり、車両の運転者から見たときの視認性が悪く、線形に視認され難いという問題があった。
【0009】
本発明は、上述した問題を解決するものであり、高速道路の防音壁の壁面やトンネルの内壁面等も含めて道路の側壁面への取付けに好適であり、しかも、車両の運転者から見たときの視認性に優れ、複数並設したときに運転者に線形に視認され得る視線誘導装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の視線誘導装置は、ケース体と、前記ケース体に収容された1以上のLED装着板とを備え、前記ケース体は、前記LED装着板を覆う光透過性のカバー部を有して、後面が道路の側壁面に沿うように、前記側壁面に取付け可能に構成され、前記カバー部は、正面視において横長形状をなし、前記LED装着板には、複数のLEDが、各LEDの光軸が前記LED装着板の板面に対して垂直をなすように、配設され、前記LED装着板は、左右の側縁のうち、前記側壁面に沿って道路を進行する車両にとって前方側となる一側縁が、他側縁よりも前記ケース体の前記後面から離れた側に位置するように、傾斜して配置され、前記複数のLEDが発光することにより、前記カバー部上に全体として横長の発光面が形成されることを特徴とする。
【0011】
これによれば、視線誘導装置のケース体は、後面が道路の側壁面に沿うように、側壁面に取付け可能であるので、高速道路の防音壁の壁面やトンネルの内壁面等も含めて道路の側壁面への取付けに好適である。そして、LED装着板は、左右の側縁のうち、その視線誘導装置が取り付けられる側壁面に沿って道路を進行する(すなわち、その視線誘導装置が設けられる車線を進行する)車両にとって前方側となる一側縁が、他側縁よりもケース体の後面から離れた側に位置するように傾斜しているので、その視線誘導装置が設けられる車線の運転者にとってはLEDの光が視認し易く、反対車線の運転者にとっては眩しさが軽減される。さらに、LEDによりカバー部上に全体として横長の発光面が形成され、その横長の発光面から道路の上流側に傾斜して光が発光されるため、運転者からの目線で線形に見え易く、良好に視線誘導することができる。
【0012】
ここで、前記カバー部の内面に、各LEDの光軸を、前記LED装着板の傾斜により前記光軸が前記後面に垂直な方向から傾斜された方向と同方向に、屈折させる光屈折部が設けられていることが好ましい。
【0013】
これによれば、各LEDの光が光屈折部で屈折されることによりさらに運転者の方に向けられるので、視認性が向上する。
【0014】
そして、赤色系LEDのみが配設された前記LED装着板と、青色系LEDのみが配設された前記LED装着板とが、横に並設されていることが好ましい。
【0015】
これによれば、濃霧等で視界が悪いときにも、視認性に優れることとなる。
【0016】
さらに、前記赤色系LEDと前記青色系LEDとが、交互に点滅するように構成されていることが好ましい。
【0017】
これによれば、点滅により運転者の注意を惹くことができ、さらに視認性に優れることとなる。
【0018】
また、前記カバー部が、乳白色であることが好ましい。
【0019】
これによれば、運転者が感じる眩しさを軽減できるとともに、LEDが発光していないときには装置の内部が見え難くなり、見た目にも優れることとなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の視線誘導装置は、高速道路の防音壁の壁面やトンネルの内壁面等も含めて道路の側壁面への取付けに好適であり、しかも、車両の運転者から見たときの視認性に優れ、複数の視線誘導装置を並設したときに運転者に線形に視認されて良好に視線誘導可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る視線誘導装置の斜視図である。
【図2】同視線誘導装置の正面図である。
【図3】同視線誘導装置の内部の主要部を破線表示した斜視図である。
【図4】制御ユニットの内部を省略した図3のIV-IV線断面図である。
【図5】制御ユニットの内部を省略した図3のV-V線断面図である。
【図6】同視線誘導装置の回路構成を示すブロック図である。
【図7】同視線誘導装置を道路の側壁面に設置した状態の平面図である。
【図8】同視線誘導装置をカーブに取り付けた状態を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係る視線誘導装置の横断面図である。
【図10】LEDの屈折角度を説明するための右カーブの図である。
【図11】視線誘導装置の変形例の回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1、3に示すように、視線誘導装置1は、横長形状のケース体2と、ケース体2の内部に収容された2つのLED基板(LED装着板に相当。)6とを備えている。
【0024】
ケース体2は、ポリカーボネート製で後方が開放されて左右の側部が閉塞された横長の半円筒形状の保護カバー(カバー部に相当。)3と、保護カバー3の後方開口部30(図4参照)を閉塞するアルミニウム製の横長矩形状の裏蓋4と、保護カバー3の左右の両端部に嵌合されたアルミニウム製のフレーム5、5とから構成されている。保護カバー3は、正面視において横長形状(ここでは、横長矩形状)をなしている。なお、横長形状とは、縦の長さ(複数の長さがあるときは最大長)よりも横の長さ(複数の長さがあるときは最大長)が長い形状をいう。
【0025】
保護カバー3は、透明のポリカーボネート製であるが、内面(ケース体2の内部側の面)がショットブラストされ、さらに、図示しない乱反射シートが貼付されて、光を乱反射する乱反射面とされるとともに、光を透過する乳白色とされている。なお、乱反射面は、無機酸腐食処理等で形成することもできる。保護カバー3の横の長さは、本実施形態では50cmである。光を線形に見せる点からは視線誘導装置1は長い方が有利であるが、あまり長いと道路のカーブ部分の側壁面に沿わせることが困難になる。したがって、保護カバー3の横の長さは40〜60cmであることが好ましい。視線誘導装置1全体があまり長くならずに道路のカーブ部分でも容易に装着できて施工性がよく、後述するLED基板6、6や制御ボックス10を収め易く製作性に優れ、しかも、光を線形に見せることができるからである。
【0026】
図5に示すように、保護カバー3は、中央部及び左右の両端部のそれぞれに、螺子孔が形成された肉厚部31を有している。そして、各肉厚部31の螺子孔を利用して、裏蓋4は保護カバー3に対して螺子9で螺子止めされている。また、図4に示すように、裏蓋4は、フレーム5、5に対して螺子7で螺子止めされている。
【0027】
各フレーム5は、後面が裏蓋4の後面と平行な面をなすベース部55と、ベース部55から前方に突出する略半円形状の保護カバー嵌合部51とから構成され、保護カバー嵌合部51の円弧をなす縁部53は、右のフレーム5は左方に、左のフレーム5は右方に突出している。そして、左右のフレーム5の保護カバー嵌合部51は、それぞれ、保護カバー3の左右の端部に外嵌される。各保護カバー嵌合部51は、電源ケーブルが挿通される貫通孔52を有し、保護カバー3の左右の側壁部32にも、左右のフレーム5の保護カバー嵌合部51が保護カバー3の左右の端部にそれぞれ外嵌されたときに貫通孔52に重なる位置に、電源ケーブルが挿通される貫通孔33が形成されている。ベース部55の上下の端部には、それぞれ凹部56が形成され、それらの凹部56にボルトを挿通して道路の側壁面に取り付けることにより、ケース体2は、後面2aが道路の側壁面に沿うように、側壁面に取付け可能である。なお、道路の側壁面とは、道路の側壁(ガードレールを含む。)における道路側の面をいう。
【0028】
図3、4に示すように、LED基板6、6は、ケース体2内部の中央部に配置された制御ユニット10を挟んで、横に並設され、保護カバー3で覆われている。各LED基板6は、横長矩形状をなし、複数のLED60が、各LED60の光軸がLED基板6の板面63に対して垂直をなすように、取り付けられている。そして、各LED基板6に取り付けられた複数のLED60は、全体として(すなわち、取り付けられた複数のLED60全体で)横長形状(ここでは、横長矩形状)をなすように配設されている。
【0029】
なお、各LED基板6上のLED60は、全体として横長形状でなくても、各LED基板6上のLED60全体により保護カバー3上に形成される発光面が横長になるように、配置されていればよい。本実施形態では、各LED60の指向角は30°であるため、保護カバー3での屈折や乱反射を考慮しなければ、各LED基板6から照射される光の範囲は、それぞれ、横の範囲が図4の二点鎖線で示され、縦の範囲が図5の二点鎖線で示される範囲となる。したがって、図2の二点鎖線で示すように、各LED基板6上のLED60により、保護カバー3上には横長の発光面Aが形成される。この2つの発光面Aの横の長さの和の、保護カバー3の横の長さ(50cm)に対する割合は、約0.75である。なお、発光面Aは、図2では横長矩形状(長方形状)であるが、各LED60からの光は、保護カバー3で屈折・乱反射されるため、実際には、図2に示す長方形部分よりも広がった範囲であり、境界も明確ではない。
【0030】
各LED基板6は、それぞれ、ケース体2の内部に配設されたアルミニウム製の基板用架台8に、支持部材83を介して固定されている。各基板用架台8は、図3、4に示すように、右端部80が平面視においてL字形状をなして裏蓋4に沿った位置から前方に突出するように形成され、左端部81は裏蓋4に沿うように形成されて、右端部80と左端部81との間は、右側縁が左側縁よりもケース体2の後面から離れた側に位置するように傾斜した横長矩形状の傾斜面82とされている。そして、各LED基板6は、傾斜面82と平行になるように支持部材83で基板用架台8に固定されることにより、右側縁61が左側縁62よりもケース体2の後面2aから離れた側に位置するように(すなわち、右側縁61と後面2aとの間隔が、左側縁62と後面2aとの間隔よりも長くなるように)、傾斜して配置されている。各LED基板6と後面2aとがなす角度θは、本実施形態では11°である。
【0031】
右側のLED基板6をLED基板6R、左側のLED基板6をLED基板6Lと表記すれば、LED基板6Rに配置されているLED60は、すべて赤色系LED60とされ、LED基板6Lに配置されているLED60は、すべて青色系LED60とされている。そして、LED基板6R、6Lは、制御ユニット10に接続され、制御ユニット10により、LED基板6R上のLED60とLED基板6L上のLED60とが交互に点滅するように制御される。すなわち、赤色系LED60と青色系LED60とが交互に点滅することとなる。
【0032】
図6に示すように、制御ユニット10は、昼夜判別回路11と、昼夜判別回路11に接続された点滅制御回路12とを備えている。そして、昼夜判別回路11は、視線誘導装置1外に設けられた電源13に接続され、点滅制御回路12は各LED(発光体)60に接続されて、昼夜判別回路11から夜間である旨の判定信号が入力されたとき、点滅制御回路12は、LED基板6R上のLED60とLED基板6L上のLED60とを交互に点滅させる。また、点滅制御回路12には、視線誘導装置1外に設けられた悪視程センサー14が接続されている。悪視程センサー14は、上記特許文献4に記載されている霧検出器と同様にして、視界の悪さ(悪視程)を検出し、その検出信号を点滅制御回路12に出力する。点滅制御回路12は、悪視程センサー14から悪視程の検出信号が入力されると、各LED60の発光強度を上げて、各LED60を強く光らせる。
【0033】
なお、図7に示すように、通常、視線誘導装置1は複数並設されている。このため、通常、複数の視線誘導装置1に対して1つの電源13から電気が供給され、また、複数の視線誘導装置1に対して1つの悪視程センサー14が設置されて、その悪視程センサー14から各視線誘導装置1の点滅制御回路12に検出信号が入力される。
【0034】
以上のように構成された視線誘導装置1は、図7に示すように、道路101、102の側壁面104a、105aに、ベース部55の各凹部56に挿通したボルトで取り付けられる。詳しくは、道路101、102は、センターライン103を挟んで設けられ、道路101に沿って側壁104が、道路102に沿って側壁105が立設されている。そして、側壁104の側壁面104a、側壁105の側壁面105aに、それぞれ、複数の視線誘導装置1が道路101、102の長さ方向(図7紙面上下方向)に沿って並設される。各視線誘導装置1は、夜間、LED基板6R上の赤色系LED60とLED基板6L上の青色系LED60とが、交互に点滅する。霧等で視界が悪い場合には、LED60は強く発光する。
【0035】
視線誘導装置1によれば、各LED60は、光軸がLED基板6R、6Lの板面に対して垂直をなすように取り付けられ、LED基板6R、6Lは、右側縁61が左側縁62よりも後面2aから離れた側に(すなわち、道路101、102の中央寄りに)位置するように傾斜しているため、図7の二点鎖線矢印L1に示すように、側壁面104aに取り付けられている視線誘導装置1のLED60の光軸は、側壁面104aに垂直な方向から道路101の上流側(図7紙面における下側)に傾き、側壁面105aに取り付けられている視線誘導装置1のLED60の光軸は、側壁面105aに垂直な方向から道路102の上流側(図7紙面における上側)に傾くこととなる。このため、側壁面104aに取り付けられた視線誘導装置1からの光は、側壁面104aに沿って道路101を進行している車両(自動車)106の運転者にとっては視認し易い。なお、矢印L1は、LED基板6R、6Lの中央のLED60の光軸を表し、保護カバー6での乱反射・屈折は考慮していない。
【0036】
そして、LED基板6R、6L上のLED60は、それぞれ、保護カバー3上において全体として横長の発光面Aをなすように配設されているので、視線誘導装置1は、全体として道路の長手方向に沿って横長に発光することとなる。すなわち、横長の発光面Aから道路101、102の上流側(すなわち、運転者に対面する側)に光の方向を傾けて発光されることとなるため、運転者からの目線では光が線形に見え、道路の形状が分かり易く、良好に視線誘導することができる。なお、視線誘導装置1は横の長さは50cmとそれ程長くはないが、LED基板6を傾斜させて光の方向を傾けているので、横の長さが50cm程度でも、運転者からは線形に見えることとなる。
【0037】
図8は、直線道路からカーブにかけて視線誘導装置1を所定間隔で設置したときの様子を示したものであり、この図から分かるように、車両Vの運転者から見たとき、直線道路に設置されている視線誘導装置1(図8の1a〜1c)は間隔が詰まって見えるため、線状に見える。そして、その線状の光の続きにカーブに配置された視線誘導装置1の列が見えるので、運転手の視線をスムーズにカーブに誘導でき、良好に視線誘導可能である。
【0038】
また、側壁面104aに取り付けられた視線誘導装置1からの光は、反対車線の道路102の下流側に傾いているため、道路102を進行している車両107の運転者にとっては眩しさを感じさせないものとなる。同様に、側壁面105aに取り付けられた視線誘導装置1からの光は、側壁面105aに沿って道路102を進行している車両107の運転者にとっては線形に視認され易く、反対車線の道路101を進行している車両106の運転者にとっては眩しさを感じさせないものとなる。
【0039】
また、各LED60からの光は、保護カバー3の内面で乱反射されて拡散し、保護カバー3を透過するため、個々のLED60の指向角は狭いものであるが、全体として視線誘導装置1は面発光して視認性に優れることとなり、しかも、その視線誘導装置1が設けられた側の車線の運転者に対する眩しさも軽減される。そして、保護カバー3が乳白色とされているため、LED60が発光していないときには、視線誘導装置1の内部が見え難くなり、見た目も優れている。
【0040】
また、上記特許文献4に記載されているように、夜間の濃霧等、視界が悪い状況においては、青色系LEDは存在認知性に優れ、赤色系LEDは形状認知性に優れるため、赤色系LED60が配設されたLED基板6Rと青色系LED60が配設されたLED基板6Lを横に並設して、各LED60を発光させることにより、視界が悪い場合においても、運転者に視線誘導装置1の存在と形状とを高い認識度で認識させることができ、良好に視線誘導することができる。そして、赤色系LED60と青色系LED60とを交互に点滅させるので、運転者の目を惹き易く、視認性に更に優れることとなる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態である視線誘導装置1Bについて説明する。なお、第1実施形態と同じ構成要素については同じ符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0042】
図9に示すように、第2実施形態の視線誘導装置1Bは、保護カバー3の内面に、LED60の光軸を屈折させる複数の光屈折部34が、一体形成されている。各光屈折部34は、保護カバー3の上面から前面を経て下面に至る半円筒状の曲面部分に、その曲面部分の周方向に沿って半環状に保護カバー3の内方に突出し、断面は三角形状とされている。また、保護カバー3の内面に乱反射シートは設けられていない。これらの他は、視線誘導装置1Bは視線誘導装置1と同様に構成されている。
【0043】
そして、各光屈折部34によって、図9の二点鎖線に示すように、各LED60の光軸は屈折させられる。この屈折方向は、各LED基板6が傾斜させられることにより各LED60の光軸がケース体2の後面2aに垂直な方向(図9の矢印Yで示される方向)から傾斜された方向と同方向である。すなわち、視線誘導装置1Bが設けられた道路の上流側に向けて屈折することとなる。視線誘導装置1Bでは、各LED60の光軸は、各光屈折部34により、後面2aに平行な方向から25°傾斜されている。すなわち、図9におけるα=25°である。
【0044】
なお、後面2aに平行な方向(すなわち、側壁面に沿った方向。カーブでは側壁面の接線方向となる。)に対する各LED60の光軸の傾斜角度αは、5〜25°であることが望ましい。図10は、直線道路から右カーブに入る部分の左側壁面の点P1、P2に視線誘導装置1Bを配置したときのLED60の光軸を二点鎖線で示したものである。実施形態のようにαが25°の場合には点P1からの光軸は二点鎖線L2、点P2からの光軸は二点鎖線L3で示され、αが5°の場合には点P1からの光軸は二点鎖線L4、点P2からの光軸は二点鎖線L5で示される。LED60の指向角が30°であることを考慮すれば、傾斜角度αが5〜25°の範囲内であれば、カーブの手前の十分遠い位置から光が視認できるからである。
【0045】
横長の発光面Aを形成するためにLED基板6を横長形状とすると、LED基板6自体を大きく傾斜させることは、ケース体2の前後方向の幅W(図9参照)を大きくしてしまうため困難であるが、視線誘導装置1Bによれば、LED基板6自体を大きく傾斜させなくても、各LED60の光軸が、各LED基板6の傾斜によって傾斜された角度よりもさらに大きな角度で、道路の上流側に傾斜するので、視線誘導装置1Bをコンパクトなものに維持しつつ、運転者にとっての視認性を向上させることができる。
【0046】
すなわち、視線誘導装置1Bによれば、図7の一点鎖線L2に示すように、車両106、107側にLED60の光軸が屈折するので、運転者にとっての視認性を向上させることができる。
【0047】
なお、上記各実施形態では、外部の電源を用いたが、図11に示すように、視線誘導装置1、1Bを、太陽光により発電する太陽電池17を備えた自発光型としてもよい。図11に示す例では、視線誘導装置1の制御ユニット10は、昼夜判別回路11と、昼夜判別回路11に接続された点滅制御回路12と、太陽電池17に接続された定電圧充電回路15と、定電圧充電回路15に接続されて太陽電池17で発生した電力を蓄電する蓄電体16とを備えている。そして、昼夜判別回路11は、太陽電池17に接続されて、太陽電池17の起電圧を検知して昼夜を判別し、点滅制御回路12は、各LED60に接続されて、昼夜判別回路11から夜間である旨の判定信号が入力されたとき、蓄電体16の電力により各LED60を発光させる。また、点滅制御回路12には、視線誘導装置1外に設けられた悪視程センサー14が接続されている。なお、視線誘導装置1に太陽電池17を設けるときは、例えば保護カバー3の上面の一部を透明として、その透明な面の直下に太陽電池17を配置する等、太陽電池17が太陽光を受け易い構成とする。
【0048】
また、上記各実施形態では、車線の左側に視線誘導装置1、1Bを設ける場合に応じて、LED基板6を右側縁61が左側縁62よりも後面2aから離れた側に配置されるように傾斜させたが、例えば、上り車線と下り車線とが分けて設けられている高速道路等で、車線の右側に設けられた側壁に視線誘導装置1を取り付ける場合には、左側縁62が右側縁61よりも後面2aから離れた側に配置されるように傾斜させる。すなわち、LED基板6は、左右の側縁61、62のうち、その視線誘導装置1、1Bが設けられている側壁面に沿って道路を進行する車両にとって前方側となる一側縁が、他側縁よりも後面2aから離れた側に位置するように、傾斜して配置されていればよい。
【0049】
また、横長形状とは横長矩形状に限らず、横長楕円形状等も含み、LED基板6上のLED60が全体としてなす形状は、横長の矢印形状や横長の三角形状であってもよい。さらに、1つのLED基板6上に、複数のLED60からなるLED群(例えば、9個のLED60を縦横3列の正方形状に並べたLED群)が、間隔を置いて複数設けられて、それら複数のLED群を合わせて、全体として保護カバー3上に横長の発光面Aを形成するように構成するなど、LED60の配列は適宜変更可能である。
【0050】
また、1つの視線誘導装置1、1Bに3つ以上のLED基板6を備えることとしてもよい。例えば、制御ユニット10を挟んで、左右に2つずつ合計4つのLED基板6を並設し、右側の2つのLED基板6には赤色系LED60を、左側の2つのLED基板6には青色系LED60を配設したり、赤色系LED60を配設したLED基板6と、青色系LED60を配設したLED基板6とを、交互に配置したりしてもよい。逆に、1つの視線誘導装置1に1つだけLED基板6を設けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
A…発光面
1、1B…視線誘導装置
2…ケース体
2a…後面
3…保護カバー(カバー部)
34…光屈折部
6…LED装着板(LED基板)
60…LED
61…右側縁(一側縁)
62…左側縁(他側縁)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース体と、前記ケース体に収容された1以上のLED装着板とを備え、
前記ケース体は、前記LED装着板を覆う光透過性のカバー部を有して、後面が道路の側壁面に沿うように、前記側壁面に取付け可能に構成され、
前記カバー部は、正面視において横長形状をなし、
前記LED装着板には、複数のLEDが、各LEDの光軸が前記LED装着板の板面に対して垂直をなすように、配設され、
前記LED装着板は、左右の側縁のうち、前記側壁面に沿って道路を進行する車両にとって前方側となる一側縁が、他側縁よりも前記ケース体の前記後面から離れた側に位置するように、傾斜して配置され、
前記複数のLEDが発光することにより、前記カバー部上に全体として横長の発光面が形成されることを特徴とする視線誘導装置。
【請求項2】
前記カバー部の内面に、各LEDの光軸を、前記LED装着板の傾斜により前記光軸が前記後面に垂直な方向から傾斜された方向と同方向に、屈折させる光屈折部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の視線誘導装置。
【請求項3】
赤色系LEDのみが配設された前記LED装着板と、青色系LEDのみが配設された前記LED装着板とが、横に並設されていることを特徴とする請求項1または2記載の視線誘導装置。
【請求項4】
前記赤色系LEDと前記青色系LEDとが、交互に点滅するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の視線誘導装置。
【請求項5】
前記カバー部が、乳白色であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の視線誘導装置。
【請求項1】
ケース体と、前記ケース体に収容された1以上のLED装着板とを備え、
前記ケース体は、前記LED装着板を覆う光透過性のカバー部を有して、後面が道路の側壁面に沿うように、前記側壁面に取付け可能に構成され、
前記カバー部は、正面視において横長形状をなし、
前記LED装着板には、複数のLEDが、各LEDの光軸が前記LED装着板の板面に対して垂直をなすように、配設され、
前記LED装着板は、左右の側縁のうち、前記側壁面に沿って道路を進行する車両にとって前方側となる一側縁が、他側縁よりも前記ケース体の前記後面から離れた側に位置するように、傾斜して配置され、
前記複数のLEDが発光することにより、前記カバー部上に全体として横長の発光面が形成されることを特徴とする視線誘導装置。
【請求項2】
前記カバー部の内面に、各LEDの光軸を、前記LED装着板の傾斜により前記光軸が前記後面に垂直な方向から傾斜された方向と同方向に、屈折させる光屈折部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の視線誘導装置。
【請求項3】
赤色系LEDのみが配設された前記LED装着板と、青色系LEDのみが配設された前記LED装着板とが、横に並設されていることを特徴とする請求項1または2記載の視線誘導装置。
【請求項4】
前記赤色系LEDと前記青色系LEDとが、交互に点滅するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の視線誘導装置。
【請求項5】
前記カバー部が、乳白色であることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の視線誘導装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−184864(P2011−184864A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48146(P2010−48146)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000159021)株式会社キクテック (42)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000159021)株式会社キクテック (42)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]