説明

記録装置用プルタブ及びその製造方法

【課題】粘着面の一部が対向する記憶媒体用プルタブを生産効率良く量産し、記憶媒体に取り付ける際に、形状・大きさが統一された把持部を容易に形成し得る記憶媒体用プルタブを提供する。
【解決手段】記録装置に接着された際に突出する把持部と該把持部から二股に分離する上面側接着部と下面側接着部とを有する記録装置用プルタブであって、記録装置に接着される際に下面側接着部は把持部より略面一に延出し、前記下面側接着部と上面側接着部とによって記録装置に接着される際にはコの字を形成することができ、前記下面側接着部における前記コの字形状の内側部分には剥離シートで被覆された粘着層が形成されており、前記上面側接着部における前記コの字を形成する立設部内側以外のコの字形状の内側部分には剥離シートで被覆された粘着層が形成されている記録装置用プルタブである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子処理装置から記録装置を取り外す際に用いられるプルタブの製造方法に関し、新規な構造の記録装置用プルタブを生産効率良く製造する製法方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
現在、パーソナルコンピュータ等の電子処理装置においては、筐体部に設けられたシャーシに形成されたスロットにHDD、SSD他、記憶媒体等の記録装置を取り外し可能に固定する構造が知られている。
このような記録装置をスロットから取り外す際には、記録装置に固着されたフランジやプルタブを指等で挟持してからスロットのガイドに沿って引き出すのが一般的であった。
【0003】
近年、コンピュータに組み込まれる素子の高集積化が進み、記録装置の薄型化が進展している。そして、薄型の記録装置ではフランジのような固体形状により形成されたものは、省スペースの観点から使用が困難であり、可撓性を有したプラスチック樹脂によって形成されたプルタブが汎用されているのが現状である。
【0004】
しかし現状のプルタブにおいては、一枚のプラスチック樹脂の裏面が粘着シートで形成されており、記録装置の上下面端部にプラスチック樹脂の両端部における粘着面を固着し、シートを折り曲げて所望の形状に把持部を形成する方法が使用されている。このような手作業によってプルタブを製造すると、折り返し位置によって把持部の形状・大きさが異なってしまい、特に短時間での記録装置へのプルタブの取り付け作業によると、把持部の形状・大きさの統一が困難であった。
【0005】
また粘着シートを記録装置から剥がして、記録装置を再利用する際に、粘着シートが貼り付けられていた記録装置の側面部分を粘着剤で汚したくないという要請もあった。特に記録装置は、高温化に長時間曝されるため、粘着剤が経時的に記録装置の表面に浸透硬化し、粘着シートを剥がした後に記録装置の表面から汚れを除去するのが困難であるという問題点が指摘されていた。
【0006】
そこで、プルタブにおける折り返し位置を予め定めておく構造が検討された。しかし、記憶媒体の上下面端部にプルタブの両端を取り付ける必要があるため、プルタブにおける粘着面を対向させる必要があるため、プルタブを効率良く製造する工程を創作しなければ、量産が不可能であり、実用性に乏しいものとなるのは明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、粘着面の一部が対向する記憶媒体用プルタブを提供し、対向する粘着層を剥離シートで被覆したプルタブを生産効率良く量産することができる記憶媒体用プルタブの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、記憶媒体に取り付ける際に、形状・大きさが統一された把持部を容易に形成し得る新規な構造の記憶媒体用プルタブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために以下の構成を採用する。
(1)第一原反ロールから第一基材シートを繰り出す工程と、第二原反ロールから二枚の剥離シートで粘着シートを挟持して積層された第二基材シートを繰り出し、第二原反ロールから繰り出された第二基材シートより一の剥離シートを粘着シートから巻き取りロールによって剥離する工程と、第一原反ロールから繰り出された前記第一基材シートと第二原反ロールから繰り出された前記第二基材シートの粘着シート面を重ね合わせて密着して第一積層シートを形成する工程と、第三原反ロールから二枚の剥離シートで粘着シートを挟持して積層された第三基材シートを繰り出し、第三原反ロールから繰り出された前記第三基材シートの剥離シートを粘着シートから巻き取りロールによって剥離する工程と、第四原反ロールから前記第三基材シートより広い幅を有する第四基材シートを繰り出す工程と、第四原反ロールから繰り出された前記第四基材シートと第三原反ロールから繰り出された前記第三基材シートの粘着シート面を幅方向の片端部を位置合わせして重ね合わせ第二積層シートを形成する工程と、第一積層シートの剥離シート部分を略中央から半分を切り欠いて粘着シート面の一部を露出する工程と、前記第一積層シートの剥離シートと前記第二積層シートの剥離シートとを対向させ、前記第一積層シートにおける露出している粘着シート面を第二積層シートの第四基材シートに接着する工程とを有し、前記第一積層シート及び前記第二積層シートを接着する工程の前又は接着する工程の後のいずれかにシート長手方向でシートを順次裁断する工程を有することを特徴とする記録装置用プルタブの製造方法である。
ここでシートを順次裁断する工程とは、打ち抜き加工、切断加工等の如く最終製品の形状を作る全ての工程を含むものである。
【0010】
(2)前記剥離シート部分を略中央から半分を切り欠いて粘着シート面の一部を露出する工程が、第一積層シートが形成された後に粘着シート面にブレードを押し付けて切り込み溝を形成した後、当該切り込み溝に沿って粘着シートの半分のみを切り欠くことを特徴とする請求項1記載の記録装置用プルタブの製造方法。
(3)前記第一積層シートにおける露出している粘着シート面を第二積層シートの第四基材シートに接着する工程において、第一積層シートにおける粘着シートと第二積層シートにおける剥離シートの間に粘着層がなく第四基材シートの露出面が存在するように第一積層シートと第二積層シートとを接着することを特徴とする上記(1)又は(2)に記載された記録装置用プルタブの製造方法である。
(4)前記第二シートを形成する工程において、第四基材シート上の粘着シートによって接着されている箇所から所定間隔離間させた部位に、刃型によってミシン目を形成することを特徴とする上記(1)乃至(3)のいずれか一に記載された記録装置用プルタブの製造方法である。
【0011】
(5)記録装置に接着された際に突出する把持部と該把持部から二股に分離する上面側接着部と下面側接着部とを有する記録装置用プルタブであって、記録装置に接着される際に下面側接着部は把持部より略面一に延出し、前記下面側接着部と上面側接着部とによって記録装置に接着される際にはコの字を形成することができ、前記下面側接着部における前記コの字形状の内側部分には剥離シートで被覆された粘着層が形成されており、前記上面側接着部における前記コの字を形成する立設部内側以外のコの字形状の内側部分には剥離シートで被覆された粘着層が形成されていることを特徴とする記録装置用プルタブである。
(6)把持部から二股に分離する上面側接着部面にミシン目が穿孔されていることを特徴とする上記(5)記載の記録装置用プルタブである。
(7)電子処理装置におけるスロットに組み込まれる記録装置に上記(5)又は(6)の記録装置用プルタブが接着されたものであって、前記記録装置の端部における上面及び下面の一部に二箇所に接着されている剥離シートを剥がして接着し、記録装置の端部において突出した把持部が形成さていることを特徴とする記録装置用プルタブが接着された記録装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、粘着面の一部が対向する記憶媒体用プルタブを提供することができ、対向する粘着層を剥離シートで被覆したプルタブを生産効率良く量産することができるという優れた効果を奏する。
【0013】
さらに本発明は、記憶媒体に取り付ける際に、形状・大きさが統一された把持部を容易に形成し得る新規な構造の記憶媒体用プルタブを提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る記録装置用プルタブの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す記録装置用プルタブを記憶媒体に貼り付けた使用状態を示す斜視図である。
【図3】電子処理装置のスロットから記録装置に貼り付けた記録装置用プルタブを把持して引き出す工程を説明する斜視図である。
【図4】本実施形態の製造方法に用いられる原反ロールを説明するための斜視図である。
【図5】原反ロールの積層構造を示す断面図である。
【図6】本実施形態に係る記録装置用プルタブの第一積層シートの製造方法を説明するための斜視図である。
【図7】切込部と切離部を説明するための側面概念図である。
【図8】第一積層シートにおける第一基材シートと第二基材シートの断面図である。
【図9】本実施形態に係る記録装置用プルタブの第二積層シートの製造方法を説明するための斜視図である。
【図10】第一積層シートの断面図である。
【図11】実施形態に係る記録装置用プルタブの製造方法を説明するための断面図である。
【図12】本実施形態に係る記録装置用プルタブの製造方法を説明するための斜視図である。
【図13】本実施形態に係るシートの断面図である。
【図14】実施形態に係る記録装置用プルタブの製造方法を説明するための断面図である。
【図15】本実施形態に係るシートの断面図である。
【図16】実施形態に係る記録装置用プルタブの製造方法を説明するための断面図である。
【図17】本実施形態に係るシートの断面図である。
【図18】実施形態に係るミシン目及び打ち抜き加工の工程を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る記録装置用プルタブ及びその製造方法の実施形態を説明する。以下の態様は本発明に係る記録装置用プルタブ及びその製造方法の一例であって、本発明を以下の態様に限定するものではない。
【0016】
実施形態1(記録装置用プルタブ)
図1は、本発明に係る記録装置用プルタブの一実施形態を示す斜視図である。
図1に示す如く、本実施形態に係る記録装置用プルタブ10は、タブ部1と、上面側接着部2と、下面側接着部3とからなり、タブ部1と上面側接着部2とは一枚の基材シートによって連接している。
【0017】
かかる基材シートは、可撓性のある材料であれば特に制限はなく、粘着剤層の基材シートとして慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。
【0018】
基材シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、発泡性材料(例えば、ポリウレタン等)、アクリル系樹脂等のプラスチックシート、セルローストリアセテート、セルロース、セルロースジアセテート、セロハン等のセルロースシート、上質紙、グラシン紙、コート紙等の紙等を使用しても良い。
【0019】
基材シートの厚さは、使用目的や状況に応じて適宜定めることができるが、通常25〜75μmの範囲が好ましい。
【0020】
また基材シートとして樹脂シートを用いる場合は、粘着剤層との接着性を向上させる目的で、サンドブラストや溶剤処理などによって接着面に適宜粗度を持たせるか、コロナ放電処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理等の酸化処理を施しても良い。
【0021】
記録装置用プルタブ10の上面側接着部2の接着面(図1における上面側)及び下面側接着部3の接着面(図1における手前側)には、粘着剤層が付されており、かかる粘着剤層は剥離シート(セパレータ)によって被覆されている。ここで剥離シートの厚みは25〜75μmであり、粘着剤層の厚みは15〜100μmが好ましい。
下面側接着部3と基材シートとの境界部には、所定間隔でミシン目5が施されている。かかるミシン目5は刃型(プレス型)によって形成することができる。さらにミシン目5と上面側接着部2との間には粘着剤層のない側面側密接部4が形成されている。ここでミシン目5の施工は、基材シートを貫通して完全に穿孔している状態のみならず、凹状に掘削されている状態であっても良い。
【0022】
粘着剤層に用いられる粘着剤としては特に制限はなく、基材シートの積層される粘着剤として慣用されているものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等を使用することができる。
【0023】
図1に示される記録装置用プルタブ10の外観形状としては、L113.0mm、L220.0mm、L315.0mm、L46.0mm、L510.0mm、ミシン目の端部から基材シートの長手方向端部間のL63.5mmである。勿論、前記形状は記録装置の形状・大きさや使用目的、状況に応じて適宜定めることができる。
【0024】
記録装置用プルタブ10の製造方法としては、基材シート上に粘着剤層を形成した後、当該粘着剤層に基材シートを貼合し、粘着剤層には剥離シートを貼合した後、形状加工を施すことにより製造することができる。
ここで剥離シートとしては、グラシン紙、コート紙、ラミネート紙等及び各種プラスチックフィルム等を用いることができる。
【0025】
図2は、図1に示す記録装置用プルタブ10を記録装置21に貼り付けた使用状態を示す斜視図である。
図2に示す如く、本実施形態に係る記録装置用プルタブ10の上面側接着部2の剥離シートを剥がして記録装置21の上面端部の一部に貼着する。さらに図1に示す下面側接着層の剥離シートを剥がして記録装置21の下面端部の一部に貼着する。タブ部1は基材シートが上下に貼り合わされて形成されている。側面部密接部4は、記録装置との接触面に粘着剤層が形成されていないため、接触する記録装置21の側面部分を粘着剤で汚すことがないという効果がある。
【0026】
図3は、電子処理装置30のスロット31から記録装置21に貼り付けた記録装置用プルタブ10を把持して引き出す工程を説明する斜視図である。
図3に示す如く、記録装置用プルタブ10のタブ部1を指等で挟持してからスロット31のガイドに沿って矢印方向へ容易に引き出すことができる。
この際、側面部密接部4には粘着剤層が形成されていないため、密接する記憶装置21の側面部分を粘着剤で汚すことがない。
【0027】
実施形態2(記録装置用プルタブの製造方法)
図4乃至11に則して本発明に係る記録装置用プルタブの製造方法を説明する。
(第一積層シート)
図4は、本実施形態の製造方法に用いられる原反ロールを説明するための斜視図である。原反ロール40としては、先ず(A)基材シート単層からなる第一基材シートと、(B)二枚の剥離シートで粘着シートを挟持して積層された第二基材シートの二種類を準備する。
【0028】
図5は、上記の第一基材シート(A)及び第二基材シート(B)の積層構造を示す断面図である。図5(a)が第一基材シート40(A)の断面図であり、(b)が第二基材シート40(B)の断面図である。
図5(a)に示す如く、原反ロール40(A)は、基材シート51の単層からなる第一基材シートによって形成されている。また原反ロール40(B)は、剥離シート52、粘着シート53及び剥離シート54を積層した第二基材シートによって形成されている。
【0029】
次に、本実施形態に係る記録装置用プルタブの第一積層シートの製造方法を図6に則して説明する。
【0030】
この記録装置用プルタブの製造方法は、アンワインダーに第二基材シート40(B)を取り付け、ガイドローラー41に掛けてから繰り出しローラー42と従動回転する剥離ローラー43の間を通るようにする。剥離ローラー43は、第二基材シート40(B)より剥離シート54を巻き取りワインダー44によって引き剥がす機能を有する。
次いで第二基材シート40(B)は、第一の段差ローラー45、ガイドローラー46、47に順に掛けられた後、圧着ローラー48を通過する。
【0031】
また、アンワインダーにかけられた第一基材シート40(A)は、ガイドローラー49を通ってから、圧着ローラー48を通過する。この際、第一基材シート40(A)と第二基材シート40(B)とは、圧着ローラー48の圧接力によって挟持され、第二基材シート40(B)の粘着シート53によって第一基材シート40(A)と全面接着される。
【0032】
全面接着された第一基材シート40(A)と第二基材シート40(B)は、次いで切込部61を通過する。ここで切込部61は、図7に示す如く、シートの下面側に昇降する切刃63が設置されており、かかる切刃63が上方へ移動することによって、第二基材シート40(B)の剥離シート52をシートの幅方向に沿って完全に切り込みを形成する。
【0033】
図8は、第一基材シート40(A)と第二基材シート40(B)の断面図であり、図8(a)は、圧着ロール48通過後の完全圧着している状態を示している。
図8(b)は、切込部61によって第二基材シート40(B)の剥離シート52に切り込みが形成された状態を示している。
【0034】
次に、第一基材シート40(A)と第二基材シート40(B)は、図7に示す如く、切離部62を通過する。第一基材シート40(A)と第二基材シート40(B)は、図7に示す如く、シートの上面側より昇降する切刃64によって完全に切断し、第一積層シートを製造する。
【0035】
(第二積層シート)
次に第二積層シートを製造する。
図4に示す原反ロール40としては、(C)基材シート単層からなる第四基材シートと、(D)二枚の剥離シートで粘着シートを挟持して積層された第三基材シートの二種類を準備する。ここで原反ロール40(C)としては、前述した第一積層シートを製造する際に用いられた第一基材シートよりも幅広のシートとなっている。
【0036】
図5は、上記の第四基材シート(C)及び第三基材シート(D)の積層構造を示す断面図である。図5(a)が第四基材シート40(C)の断面図であり、(b)が第三基材シート40(D)の断面図である。ただし、第四基材シートは前述した第一基材シートより幅広に形成されている。
【0037】
図5(a)に示す如く、原反ロール40(C)は、基材シート51の単層から形成される第四基材シートである。また原反ロール40(D)は、剥離シート52、粘着シート53及び剥離シート54を積層した第三基材シートである。
【0038】
次に、本実施形態に係る第二積層シートの製造方法を図9に則して説明する。
この記録装置用プルタブの製造方法は、アンワインダーに第三基材シート40(D)を取り付け、ガイドロール71に掛けてから繰り出しロール72と従動回転する剥離ロール73の間を通るようにする。剥離ロール73は、第三基材シート40(D)より剥離シート54を巻き取りワインダー74によって引き剥がす機能を有する。
【0039】
次いで第三基材シート40(D)は、第一の段差ロール75、ガイドロール76、77に順に掛けられた後、圧着ロール78を通過する。
また、アンワインダーにかけられた第四基材シート40(C)は、ガイドロール79を通ってから、圧着ロール78を通過する。この際、第四基材シート40(C)と第三基材シート40(D)とは、圧着ロール78の圧接力によって挟持され、第三基材シート40(D)の粘着シート53によって第四基材シート40(C)と全面接着される。
【0040】
この際、第三原反ロールから繰り出された前記第三基材シートと第四原ロールから繰り出された前記第四基材シートの粘着シート面は、図9に示す如く幅方向の片端部を位置合わせして重ね合わせる必要がある。
【0041】
全面接着された第一基材シート40(C)と第二基材シート40(D)は、次いで図示しない切離部を通過し、この際、第四基材シート40(C)と第三基材シート40(D)は切断される。
図10は、第二積層シートの断面図である。図10に示す如く、本実施形態に用いられる第二積層シートは、幅広の基材シート51と、粘着シート53と、剥離シート52とを重ね合わせて形成する。
【0042】
(記録装置用プルタブ)
上述の工程によって得られた第一積層シートと第二積層シートを対向させて接着することによって、最終製品である記録装置用プルタブを得ることができる。
図11は、実施形態に係る記録装置用プルタブの製造方法を説明するための断面図である。
【0043】
図11(a)は、第一積層シート100(A)の断面図である。第一積層シート100(A)は、上方より、基材シート51、粘着シート53、剥離シート52、の順で積層されたものである。剥離シート52の一部55は、後述の第二積層シート100(B)と接着する際に、シートの幅方向に沿って形成された切り込み56に沿って切り欠かれることになる。
【0044】
図11(b)は、第二積層シート100(B)の断面図である。第二積層シート100(B)は、上方より、剥離シート52、粘着シート53、基材シート51、の順で積層されたものである。基材シート51の一部は、剥離シート52及び粘着シート53より延出して形成されている。
図11(c)は、上記の第一積層シート100(A)と第二積層シート100(B)とを、第一積層シート100(A)の粘着シート53の粘着シート面の粘着層が露出している部分によって接着された状態を示した断面図である。
【0045】
すなわち、第一積層シート100(A)の剥離シート52部分を略中央から半分を切り欠いて粘着シート面の一部が露出しており、前記第一積層シート100(A)の剥離シート52と前記第二積層シート100(B)の剥離シート52とを対向させて、前記第一積層シート100(A)における露出している粘着シート面を第二積層シート100(B)の基材シート51(第四基材シート)に接着することによって、かかる積層構造を形成することができる。
【0046】
この際、第一積層シート100(A)における粘着シート53と第二積層シート100(B)における剥離シート52の間104には粘着層がなく第四基材シート51の表面が露出している。
かかる部分104は、記録装置用プルタブを接着する記録装置の側面部分に密着することになり、記録装置の側面部分を粘着剤で汚すことがない。
【0047】
又このような製造方法を用いることによって、対向する粘着層を剥離シートで被覆したプルタブを生産効率良く量産することができる。
さらに記憶媒体に取り付ける際に、形状・大きさが統一された把持部を容易に形成し得る新規な構造の記憶媒体用プルタブを提供することができるという効果を奏する。
【0048】
実施形態3(記録装置用プルタブの他の製造方法)
図12乃至18に則して本発明に係る記録装置用プルタブの製造方法を説明する。
(第一積層シート)
図12に示される原反ロール100としては、先ず(A)基材シート単層からなる第一基材シートと、(B)二枚の剥離シートで粘着シートを挟持して積層された第二基材シートの二種類を準備する。
【0049】
図13(a)及び(b)は、上記の第一基材シート(A)及び第二基材シート(B)の積層構造を示す断面図である。図13(a)が第一基材シート100(A)のXIIIa−XIIIa矢視断面図であり、(b)が第二基材シート100(B)のXIIIb−XIIIb矢視断面図である。
図13(a)に示す如く、原反ロール100(A)は、基材シート111の単層からなる第一基材シートによって形成されている。また図13(b)に示す如く、原反ロール100(B)は、剥離シート112、粘着シート113及び剥離シート114を積層した第二基材シートによって形成されている。
【0050】
次に、本実施形態に係る記録装置用プルタブの第一積層シートの製造方法を図12に則して説明する。
この記録装置用プルタブの製造方法は、アンワインダーに第二基材シート100(B)を取り付け、順次繰り出して剥離ローラー103によって第二基材シート100(B)より剥離シート114を巻き取りワインダー104によって引き剥がす機能を有する。図13(c)は、剥離シート114が引き剥がされた後の第二基材シート100(B)のXIIIc−XIIIc矢視断面図である。
【0051】
また、アンワインダーにかけられた第一基材シート100(A)は、ガイドローラー101、102を通ってから、圧着ローラー108を通過する。この際、第一基材シート100(A)と第二基材シート100(B)とは、圧着ローラー108の圧接力によって挟持され、第二基材シート100(B)の粘着シート113が第一基材シート100(A)と全面接着される。第一基材シート100(A)と第二基材シート100(B)は、図13(d)のXIIId−XIIId矢視断面図の如く積層される。
【0052】
次いでシートの端部がカッター109によって切断される。切断された切片はワインダー110によって巻き取られる。かかる工程によって図13(e)のXIIIe−XIIIe矢視断面図の如く加工される。なお、カッター109によってシートの端部を切断する工程は省略しても良い。
次いでシートは切込部を通過する。ここで切込部は、図13(f)に示す如く、シートの上面側に切刃121が設置されており、かかる切刃121によって、第二基材シート100(B)の剥離シート112に切り込みが形成される。かかる工程によって、図13(g)のXIIIg−XIIIg矢視断面図の如く加工される。加工されたシートは巻き取りワインダによって第一積層シート124の原反ロールに形成される。
【0053】
(第二積層シート)
次に図14に則して第二積層シートの原反ロールの製造方法について説明する。
図14に示される原反ロール130としては、先ず(A)基材シート単層からなる第一基材シートと、(B)二枚の剥離シートで粘着シートを挟持して積層された第二基材シートの二種類を準備する。
【0054】
図15(a)及び(b)は、上記の第一基材シート(A)及び第二基材シート(B)の積層構造を示す断面図である。図15(a)が第一基材シート130(A)のXVa−XVa矢視断面図であり、(b)が第二基材シート130(B)のXVb−XVb矢視断面図である。
図15(a)に示す如く、原反ロール130(A)は、第二基材シート130(B)より二倍以上の幅を有した基材シート141の単層からなる第一基材シートによって形成されている。また図15(b)に示す如く、原反ロール130(B)は、剥離シート142、粘着シート143及び剥離シート144を積層した第二基材シートによって形成されている。
【0055】
次に、本実施形態に係る記録装置用プルタブの第一積層シートの製造方法を図14に則して説明する。
この記録装置用プルタブの製造方法は、アンワインダーに第二基材シート130(B)を取り付け、順次繰り出して剥離ローラー133によって第二基材シート130(B)より剥離シート144を巻き取りワインダー134によって引き剥がす機能を有する。図15(c)は、剥離シート144が引き剥がされた後の第二基材シート130(B)のXVc−XVc矢視断面図である。
【0056】
また、アンワインダーにかけられた第一基材シート130(A)は、ガイドローラー131、132を通ってから、圧着ローラー138を通過する。この際、第一基材シート130(A)と第二基材シート130(B)とは、圧着ローラー138の圧接力によって挟持され、第二基材シート130(B)の粘着シート143が第一基材シート130(A)と全面接着される。第一基材シート130(A)と第二基材シート130(B)は、図15(d)のXVd−XVd矢視断面図の如く積層される。
【0057】
次いでシートの端部がカッター139によって切断される。切断された切片はワインダ140によって巻き取られる。かかる工程によって図15(e)のXVe−XVe矢視断面図の如く加工される。加工されたシートは巻き取りワインダによって第二積層シート145の原反ロールに形成される。なお、カッター139によってシートの端部を切断する工程は省略しても良い。
【0058】
(記録装置用プルタブ)
上述の工程によって得られた第一積層シートと第二積層シートを対向させて接着することによって、最終製品である記録装置用プルタブを得ることができる。
図16は、実施形態3に係る記録装置用プルタブの製造方法を説明するための断面図である。
【0059】
図16に示される原反ロールとしては、前述の第一積層シート124の原反ロールと第二積層シート145の原反ロールとを準備する。
図17(a)及び(b)は、上記の第一積層シート及び第二積層シートの積層構造を示す断面図である。図17(a)は第一積層シート124におけるXVIa−XVIa矢視断面図である。
図17(a)に示す如く、第一積層シート124は、剥離シート112、粘着シート113及び基材シート111を積層したものである。
次に図17(c)は第二積層シート145におけるXVIc−XVIc矢視断面図である。図17(c)に示す如く、第二積層シート145は、基材シート141、剥離シート142及び粘着シート143を積層したものである。
【0060】
次に、本実施形態に係る記録装置用プルタブの製造方法を図16に則して説明する。
この記録装置用プルタブの製造方法は、アンワインダーに第一積層シート124を取り付け、順次繰り出して剥離シート112の切り込みに沿って剥離ローラー151及び巻き取りワインダー154によって片側の剥離シートを剥がす。XVIb−XVIb矢視断面である図17(b)は、剥離シートの片側を剥がした後の第一積層シート124の断面図である。
【0061】
一方、アンワインダーにかけられた第二積層シート145は、ガイドローラー153を通ってから、圧着ローラー158を通過する。この際、第一積層シート124と第二積層シート145とは、圧着ローラー158の圧接力によって挟持され、第一積層シート124上に半分程露出している粘着シート113が第二積層シート145と接着する。第一積層シート124と第二積層シート145は、図17(d)のXVId−XVId矢視断面図の如く積層される。上方より、第二積層シートにおける基材シート141、粘着シート143及び剥離シート142、第一積層シートにおける剥離シート112、粘着シート113及び基材シート111である。
【0062】
次いで繰り出されたシートの中央部分にミシン目及び打ち抜き加工が施される。繰り出されたシートにミシン目加工を施す工程がミシン目加工部160であり、打ち抜き加工を施す打ち工程が抜き加工部161である。
図18は、かかる工程を説明するための概念図である。図18(a)がミシン目加工をする箇所を示す平面概念図であり、図18(b)はその断面図である。図18(c)は打ち抜き加工をする箇所を示す平面概念図であり、図18(d)はその断面図である。
先ずミシン目加工部160について説明する。
ミシン目は基材シート141の一の折り曲げ部に対応するように穿孔される。図18(a)に示す如く第二積層シートには、剥離シート端部を示す点線167と一の折り曲げ部を示す点線168とが存在する。一の折り曲げ部を示す点線は記録装置用プルタブを記憶媒体に貼り付ける際に第一積層シートと分岐して折り返される箇所に相当する。
【0063】
点線168上の任意の箇所であって、次工程で打ち抜かれる部分に任意のミシン目164を穿孔する。図18(b)に示す如く、ミシン目は上下するプレス171によって穿孔される。
ミシン目が形成されると、記憶媒体に記録装置用プルタブを貼り付ける際に記憶媒体の側面に沿って曲げ易くなるため、余分な弛みの発生を防止することができる。
次に打ち抜き加工部161について説明する。
打ち抜き加工は最終製品となる記録装置用プルタブの所望の大きさに合わせて図18(c)に示す如く打ち抜かれる。打ち抜き加工は、図18(d)に示す如く、上下するプレス172によって任意箇所で切断される。切断された切片が図17に示される記録装置用プルタブ170である。
【産業上の利用可能性】
【0064】
パーソナルコンピュータ等の電子処理装置に組み込まれるHDD、SSD他、記憶媒体等の記録装置を容易に取り外すことができる記録装置用プルタブとして利用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 タブ部
2 上面側接着部
3 下面側接着部
4 側面側密接部
5 ミシン目
10 記録装置用プルタブ
21 記録装置
30 電子処理装置
31 スロット
40(A) 第一基材シート
40(B) 第二基材シート
40(C) 第三基材シート
40(D) 第四基材シート
44 ワインダー
51 基材シート
52 剥離シート
53 粘着シート
56 切り込み
100(A) 第一積層シート
100(B) 第二積層シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一原反ロールから第一基材シートを繰り出す工程と、第二原反ロールから二枚の剥離シートで粘着シートを挟持して積層された第二基材シートを繰り出し、第二原反ロールから繰り出された第二基材シートより一の剥離シートを粘着シートから巻き取りロールによって剥離する工程と、第一原反ロールから繰り出された前記第一基材シートと第二原反ロールから繰り出された前記第二基材シートの粘着シート面を重ね合わせて密着して第一積層シートを形成する工程と、第三原反ロールから二枚の剥離シートで粘着シートを挟持して積層された第三基材シートを繰り出し、第三原反ロールから繰り出された前記第三基材シートの剥離シートを粘着シートから巻き取りロールによって剥離する工程と、第四原反ロールから前記第三基材シートより広い幅を有する第四基材シートを繰り出す工程と、第四原反ロールから繰り出された前記第四基材シートと第三原反ロールから繰り出された前記第三基材シートの粘着シート面を幅方向の片端部を位置合わせして重ね合わせ第二積層シートを形成する工程と、第一積層シートの剥離シート部分を略中央から半分を切り欠いて粘着シート面の一部を露出する工程と、前記第一積層シートの剥離シートと前記第二積層シートの剥離シートとを対向させ、前記第一積層シートにおける露出している粘着シート面を第二積層シートの第四基材シートに接着する工程とを有し、前記第一積層シート及び前記第二積層シートを接着する工程前又は接着する工程後のいずれかにシート長手方向でシートを順次裁断する工程を有することを特徴とする記録装置用プルタブの製造方法。
【請求項2】
前記剥離シート部分を略中央から半分を切り欠いて粘着シート面の一部を露出する工程が、第一積層シートが形成された後に粘着シート面にブレードを押し付けて切り込み溝を形成した後、当該切り込み溝に沿って粘着シートの半分のみを切り欠くことを特徴とする請求項1記載の記録装置用プルタブの製造方法。
【請求項3】
前記第一積層シートにおける露出している粘着シート面を第二積層シートの第四基材シートに接着する工程において、第一積層シートにおける粘着シートと第二積層シートにおける剥離シートの間に粘着層がなく第四基材シートの露出面が存在するように第一積層シートと第二積層シートとを接着することを特徴とする請求項1又は2に記載された記録装置用プルタブの製造方法。
【請求項4】
前記第二シートを形成する工程において、第四基材シート上の粘着シートによって接着されている箇所から所定間隔離間させた部位に、刃型によってミシン目を穿孔することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載された記録装置用プルタブの製造方法。
【請求項5】
記録装置に接着された際に突出する把持部と該把持部から二股に分離する上面側接着部と下面側接着部とを有する記録装置用プルタブであって、記録装置に接着される際に下面側接着部は把持部より略面一に延出し、前記下面側接着部と上面側接着部とによって記録装置に接着される際にはコの字を形成することができ、前記下面側接着部における前記コの字形状の内側部分には剥離シートで被覆された粘着層が形成されており、前記上面側接着部における前記コの字を形成する立設部内側以外のコの字形状の内側部分には剥離シートで被覆された粘着層が形成されていることを特徴とする記録装置用プルタブ。
【請求項6】
把持部から二股に分離する上面側接着部面にミシン目が穿孔されていることを特徴とする請求項5記載の記録装置用プルタブ。
【請求項7】
電子処理装置におけるスロットに組み込まれる記憶装置に請求項5又は6の記録装置用プルタブが接着されたものであって、前記記憶装置の上面及び下面における端部の一部に二箇所に接着されている剥離シートを剥がして接着し、記録装置の端部において突出した把持部が形成さていることを特徴とする記録装置用プルタブが接着された記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−121261(P2011−121261A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−280215(P2009−280215)
【出願日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(509340023)MSP株式会社 (1)
【Fターム(参考)】