説明

設定変更可能な輝度分布を備えるレーザー装置

本発明は、幾つかの広領域VCSEL101のアレイと、全てのVCSEL101の又は前記アレイのVCSEL101のサブグループの活性層により発されるレーザー放射が作用平面501において重ね合わさるようにアレイのVCSEL101の活性層を作用平面501に結像するように配され設計されている1つ又は複数の光学部品201、202とを有するレーザー装置に関する。提案されるレーザー装置は、この輝度分布又はビームプロファイルに関して特別に設計された光学部品を必要とすることなく、前記作用平面の所望の輝度分布の生成を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦キャビティ表面放出レーザ(VCSEL)のアレイを有するレーザー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
縦キャビティ面発光レーザダイオードは、最も有望なレーザー源のうちの1つであり、エッジ発光体と比較して、アドレス指定可能な2次元のアレイ配置、オン・ウェハ試験及び円形ビームの成形ビームのような、多くの有利な点を提供する。
【0003】
小さい領域の酸素閉じ込めVCSELは、ガウスモードを発することで知られている。高出力の電力が、より広い活性領域により達成されることができるが、放出は、フーリエ・モードによって、最良に記述される分布に変化する。前記レーザービームの近接場は、レーザーの完全な励起された活性領域又は放出領域を充填し、前記完全な励起された活性領域又は放出領域は、例えば、酸化開口の形状によって、陽子注入の形状によって、メサの形状によって、又はレーザダイオードのコンタクト幾何学的配置の形状によって決定される。従って、これらの形状を適切に設定することによって、例えば、正方形、円形、楕円形又は花弁の形のような、広領域VCSELの近接場の輝度分布の異なる形状を生成することが可能である。
【0004】
多くのレーザー用途(特に、材料処理又は医療用途における)に関して、特別な輝度分布(例えば、シルクハットの円形又は長方形の形状、線又はリング構造)が、作用平面において必要とされる。幾つかの用途は、特に、前記線方向に沿った非常に良好な均一性を備える均一のライン成形された輝度プロファイルを必要とする。例は、1.5mまで至る数mmの太さのレーザーによる専門的な印刷機おけるインクの乾燥である。1つ又は複数のレンズアレイ及び少なくとも1つのフーリエ・レンズから成るビーム・ホモジナイザ(beam homogenizer)は、前記レーザービームを所望の輝度分布に成形するために利用されることができるが、前記ビーム内に慎重に位置合わせされなければならない。更に、レーザービームの干渉性により、不必要なアーチファクトが、現れ得る。C. Singh らの"Simulation and optimization of the intensity profile of an optical transmitter for high-speed wireless local area networks"(第17回オプトエレクトロニクス国際会議 ファイバオプティックス及びフォトニクス、2004年12月9−11日 於コーチン理工科大学、ケララ、論文集LTW―P2)は、最適化された輝度プロファイルを備える複数ビーム送信器に基づいた縦キャビティ面発光レーザアレイを開示している。ガウス輝度プロファイルを備える小領域VCSEL及びアレイの前の特別なマトリックス型回折要素を使用して、前記作用平面の個々のVCSELの輝度分布は、作用平面又は受け取り平面における均一の輝度分布を達成するように部分的に重ね合わされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既知のレーザー装置において、特別な光学部品が、前記作用平面の所望の輝度分布を生成するように、慎重に使用され位置合わせされなければならない。更に、この輝度分布は、前記レーザーの完成光学部品を交換することなしに、異なる形状に切り替えられることができない。このことは、このようなレーザーの各用途のための注文仕立てのシステムを必要とする。
【0006】
本発明の目的は、この輝度分布又はビームプロファイルのために特別に設計された光学部品を必要とすることなく、前記作用平面の所望の輝度分布の生成を可能にするレーザー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に記載のレーザー装置により達成される。前記レーザー装置の有利な実施例は、添付の従属請求項の要旨である又は本明細書の後述する部分に記載されている。
【0008】
提案されるレーザー装置は、幾つかの広領域VCSELのアレイと、全てのVCSELの活性層又は前記アレイのVCSELのサブグループの活性層により発されるレーザー放射が、前記作用平面において重ね合わさるように、前記アレイの前記VCSELの活性層を作用平面に結像するように設計され配されている1つ又は複数の光学部品とを有している。
【0009】
作用平面に対するVCSELの活性層の結像により、各VCSELの近接場輝度分布の像は、作用平面において重ね合わされ、好ましくは、近接場輝度分布の中心又は中心軸が作用平面に一致している又は殆ど一致している。前記活性層の結像のフィーチャは、この文脈において、必ずしもシャープな像の生成を意味しているわけではない。活性層の結像は、結果として、作用平面におけるシャープではない像も与え得る。
【0010】
広領域VCSELとは、レーザー放出がフーリエ・モードにより支配されているVCSELである。このような広領域VCSELは、典型的には、80μm以上の放出領域を有しており、好ましくは、300μm以上の放出領域を有している。広領域VCSELの近接場輝度分布が、小領域VCSELの近接場輝度分布と違って、放出領域の幾何学的形状又はVCSELの放出開口により決定されることができるので、作用平面において重ね合わされる輝度分布は、これらの形状により決定される。従って、所望の輝度分布を達成するために必要なのは、放出領域又は放出開口の対応する形状を有するVCSELを設けることのみである。従って、作用平面における異なる輝度プロファイルは、放出領域又は放出開口の異なる形状を有するVCSELを提供するだけで、同じ光学部品により生成されることができる。VCSELアレイは、幾何学的なパラメータに関して、より高い精度を有するウェハレベルにおいて、作製されることができる。従って、所望の輝度プロファイルを有するレーザー装置が、より高い信頼性及び再現性によって、組み立てられることが可能である。
【0011】
従って、本発明は、前記レーザー放射の適応化された輝度分布を生成するために広領域VCSELの特性の使用を提案する。幾つかのVCSELの近接場は、所望の作用距離において、結像される。前記近接場輝度分布は、酸化開口の形状、陽子注入の形状、メサの形状又はVCSELのコンタクト幾何学的配置の形状により設定されることができる。対応する形状は、所望の輝度分布(例えば正方形、長方形、円形、楕円形等)に適応化されることができる。前記光学部品の使用により、前記レーザーの像は、前記作用平面において、重複される。前記光学部品は、1つ又は複数のマイクロレンズアレイ(信号レーザーからの放出をコリメートする)、全体のレーザー光線を前記作用平面において集束させる1つ以上のレンズ、及び前記レーザービームを変化させる又は成形する他の光学要素を含むことができる。前記アレイは、前記近接場輝度分布の同一の形状を有するVCSELのサブグループ又は複数のVCSELを含むことができ、この場合、この形状を有する輝度分布を提供するために前記作用平面において重なり合う。前記アレイは、近接場輝度分布の異なる形状を有するVCSELのサブグループ又は複数のVCSELを含むこともでき、この場合、異なる形状の重ね合せにより決定される輝度分布を提供するように前記作用平面において重なり合う。
【0012】
有利な実施例において、前記レーザー装置は、個々に切換可能な少なくとも第1及び第2の縦キャビティ表面放出のレーザーアレイを有する。第1のVCSELは、前記近接場における輝度分布の第1の形状を有するレーザービームを発するように設計されている。第2のVCSELは、前記第1の形状と異なる近接場における輝度分布の第2の形状を有するレーザービームを発するように設計されている。
【0013】
前記近接場輝度分布の異なる形状を有するVCSELのアドレス指定可能なアレイを使用することにより、前記作用平面におけるビームプロファイルが、異なるVCSELを流れる駆動電流を調整することによって、電気的に切替えられる及び成形されることができる。このことは、簡単な態様における前記作用平面内のレーザビームプロファイルの切替えを可能にする。
【0014】
この実施例の意図された用途に依存して、前記アレイは、最小限において、2つの異なるVCSEL、即ち前記近接場の輝度分布の異なる形状を有する2つのVCSELを有することができる。この場合、前記作用平面におけるビームプロファイルの形状は、これら2つの形状間で(前記2つのVCSELの一方のみが動作している場合)又は前記2つの形状の混合に(両方のVCSELを同時に動作させる場合)切り替えられることが可能である。前記レーザー装置の出力電力を増大させるために、前記第1及び第2のVCSELの1つ以上を使用することも可能である。これらのVCSELの全ては、個々に切換可能である、又はグループ(例えば、或る種類の全てのVCSEL及び第2の種類の全てVCSEL)において、切り替え可能である。
【0015】
前記作用平面における輝度分布の可能な形状を増大させるために、好ましくは、第3のVCSEL及び更なるVCSELが、前記アレイ内に設けられ、前記第3のVCSEL及び前記更なるVCSELは、前記第1の及び第2の形状とも異なり互いにも異なる前記近接場の輝度分布の形状を有する。前記作用平面における得られる度分布は、同時に動作されるVCSELの前記形状によって及び前記光学部品の倍率によって決定される。
【0016】
前記レーザー装置の更なる実施例において、VCSELのn/m個のサブグループの各々の像を重ね合わせるように、所望の輝度分布に整合された放出領域の形状と、各VCSELの近くに取り付けられたn個のマイクロレンズ及び多数のm個の視野レンズ(a=2、3、4、…として、n=a*m)とを有する多数のn個の広領域VCSELが、提供されるこの実施例において、得られる輝度分布は、対応する時間及び倍率で動作される各サブグループのVCSELの形状によって、各々決定される複数のm個のスポットである。従って、この実施例において、前記輝度分布は、各サブグループにわたって平均化される。各サブグループの全てのVCSELは、一般に、前記他のサブグループのVCSELから独立に、制御ユニットによって、切り替えられることが可能である。しかしながら、前記アレイの全てのVCSELを共通に切替える又はサブグループの各VCSELの個々の調光及び/又はスイッチングを付加的に可能にすることも可能である。
【0017】
前記レーザー装置の更に有利な実施例において、前記光学部品は、レーザーの隣接するサブグループの活性層を、作用平面における連続的なレーザー線を生成するように並べて結像するように設計され配されている。各サブグループから形成される重ね合わされた像は、連続的な線を形成するために接触する又は僅かに重なり合う。好ましくは、このような場合における各サブグループのレーザーは、形成されるべき前記線の方向(第1の方向又はx方向と称される)において、形成されるべき線の太さ方向(第2の方向又はy方向と称される)におけるよりも長い延長部を有する近接場の輝度分布の長方形又は平行四辺形のような形状を有するレーザービームを発するように設計されている。y方向においては、強い集束が必要とされる一方で、多くの個々の層の強度プロファイルの強い平均化及び重ね合わせが、好まれる。例えば、x方向における大きい延長部(例えば、1mよりも大きい)y方向における小さな延長部(例えば、5mmよりも小さい)を有する連続的なレーザー線を達成するために、以下のように、幾つかの手段が、可能であり、組み合わされることもできる。
− y方向における発光領域の小さな寸法及びx方向における大きな寸法。これは、例えば、2:1よりも大きいアスペクト比を有する長方形の形状のような、細長い形状(又は平行四辺形、台形、三角形)を持つVCSELによって、可能になる。
− y方向及びx方向における個々のVCSELの中心間の異なるピッチ(=距離)。
− 互いに対して90°だけ回転されていると共に、前記レーザーと前記レンズとの間の材料の屈折率により除算された前記アレイの焦点距離に等しい前記レーザーからの距離に配されている2つの円柱レンズアレイの使用による両方向における異なる焦点距離。
【0018】
前記レーザー装置の更なる実施例において、前記光学部品は、前記第1の方向において、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向においてよりも長い延長部を持つ細長い開口(特に、楕円又は長方形の開口)を有するマイクロレンズのアレイを含む。
【0019】
前記レーザー装置の他の実施例において、前記光学部品は、前記レーザーと前記作用平面との間において、一方が他方の後ろに配されている円柱マイクロレンズの第1及び第2のアレイを有しており、前記第1のアレイの前記円柱マイクロレンズは、円柱軸を前記第1の方向に対して垂直に配されており、前記第2のアレイの前記円柱マイクロレンズは、円柱軸を、前記第1の方向に垂直な第2の方向に対して垂直に配されていると共に、前記第2の方向において、前記レーザー放射の、前記第1の方向におけるよりも強い集束を可能にするために前記第1のアレイの円柱マイクロレンズとは異なる焦点距離を有している。
【0020】
当該レーザー装置の更なる実施例において、円柱レンズのアレイは、マイクロレンズの前記アレイと前記作用平面との間に配され、この結果、階段様の輝度プロファイルが、前記第1の方向において、達成される。
【0021】
前記レーザー装置の他の一実施例において、前記光学部品は、マイクロレンズのアレイを有しており、前記マイクロレンズは、前記第1の方向に対して0°よりも大きく、かつ45°以下の角度を有する長い延長部を有している細長いアパーチャ(特に、楕円又は長方形の開口)を有している。
【0022】
前記レーザー装置の更なる実施例において、前記光学部品は、前記レーザーと前記作用平面との間において、一方が他方の後ろに配されている円柱マイクロレンズの第1及び第2のアレイを有しており、前記第1のアレイの前記円柱マイクロレンズは、円柱軸が第1の方向に対して45°以上かつ90°未満の角度で配されており、前記第2のアレイの前記円柱マイクロレンズは、円柱軸が、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に対して45°以上かつ90°未満の角度で配されていると共に、前記第2の方向において、レーザー放射の、前記第1の方向におけるよりも強い集束を可能にするために、前記第1のアレイの円柱マイクロレンズとは異なる焦点距離を有している。
【0023】
重ね合わされた像が重複している場合、各サブグループのレーザーを、前記近接場における異なる寸法の長方形を有するレーザービームを発するように設計することが、有利であり、前記寸法は、前記作用平面において、階段上に減少するエッジと一定の中央部とを有する重ね合わされた輝度プロファイルを生成するように選択される。このことは、線に沿って一定の輝度を有する連続的な線の生成を可能にする。連続的な線の生成の代わりに、各サブグループの重ね合わされた像の適切な形状が、並んで投影されることができ、所望の寸法及び形状の連続的な領域を形成するように前記作用平面内の二次元の態様において、互いに接触する又は僅かに重なり合う。
【0024】
連続的なレーザー線を生成するこのようなレーザー装置は、印刷、ロールtoロールの製造過程、及び前記線方向に対して垂直な方向における加熱ラインの下を通過する他の物体に使用されることができる。例は、印刷機における乾燥ラインの生成、接着剤、コーティングを乾燥させる/硬化させるため、積層のため、ハンダ付け若しくはプラスチック溶接のため、又は半導体のアニールのためのものである。他の用途は、金属若しくはプラスチックの加熱、脱毛、皮膚の治療、又は製造における接着材若しくは塗料の乾燥である。
【0025】
一実施例において、前記VCSELのアレイの前において使用される光学部品は、各マイクロレンズが対応するVCSELの前又はこの近くに位置決めされている、マイクロレンズのアレイと、前記マイクロレンズアレイの前における1つ又は複数の近接場レンズとを有している。前記光学部品は、前記アレイの全てのVCSELに対して同じ倍率を有することができるが、前記アレイの異なるサブグループに対して異なる倍率を提供することもできる。前記アレイの個々のサブグループに対しての異なる倍率は、例えば、前記マイクロレンズの異なる半径及び前記活性層までの距離により実現されることができる。
【0026】
更なる実施例において、前記光学部品は、各VCSELの近くに取り付けられるマイクロレンズのアレイを有することができ、前記活性層までの距離及び前記マイクロレンズの焦点距離は、VCSELの形状を前記作用平面に結像するように選択される。中央のVCSEL軸又はビーム軸に関する前記マイクロレンズの軸外取り付けは、作用平面において、前記アレイの全ての像又は前記アレイの個々のサブグループの全ての像を重ね合わせることを可能にする。
【0027】
前記作用平面の輝度分布に更に影響を与えるために、前記光学部品は、前記VCSELの近接場における輝度分布のシャープではない像が、前記作用平面内に形成されるように設計されることができる。このことは、前記マイクロレンズの半径又は距離を適応化することにより達成されることができ、対応するサブグループ又はアレイに関して不鮮明で滑らかな(smeared out and smooth)輝度分布を与える。このことは、更に、通常のシルクハットの輝度分布の更なる変形も可能にする。
【0028】
作用平面における輝度分布の幾何学的形状の切り替えは、前記VCSELのアレイのVCSELの様々な組み合わせ間の切り替えによって得られる。このことは、単一のVCSELを個々に切り替えることによって又はVCSELの異なるサブグループ間で切り替えることによって達成されることができる。従って、VCSEL又はサブグループの個々の電気的なアドレス指定によって、異なる輝度分布が、前記作用平面において生成されることができる。単一のVCSEL又はサブグループを連続的に調光することも、可能である。この結果は、所望の輝度プロファイルの調整における非常に大きい自由度である。
【0029】
提案されるレーザー装置は、添付の請求項により規定されているような保護の範囲を制限することなく、添付の図面に関連して一例として以下に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】VCSELの近接場輝度分布の形状の2つの例である。
【図2】提案されるレーザー装置の第1の実施例の概略図である。
【図3】提案されるレーザー装置の第2の実施例の概略図である。
【図4】提案されるレーザー装置の第3の実施例の概略図である。
【図5】提案されるレーザー装置の第4の実施例の概略図である。
【図6】提案されるレーザー装置の第5の実施例の概略図である。
【図7】当該アレイのVCSELの放出領域の例示的な形状である。
【図8】前記作用平面内の例示的な輝度分布である。
【図9】光学部品及び中間のモジュールの輝度プロファイルを備える積み重ねられたレーザーモジュールの例である。
【図10】6個のレーザーモジュールを積み重ねることによるレーザー線の生成の例である。
【図11】異なるビームプロファイルの積み重ねと、一体化された輝度に対する位置合わせ不良の影響とである。
【図12】提案されるレーザー装置の更なる実施例の概略図である。
【図13】階段様の一体化された輝度プロファイルを生成するための長方形の形状の重なりの例である。
【図14】提案されるレーザー装置の更なる実施例の概略図である。
【図15】提案されるレーザー装置の更なる実施例の概略図である。
【図16】提案されるレーザー装置の更なる実施例の概略図である。
【図17】提案されるレーザー装置の更なる実施例の概略図である。
【図18】提案されるレーザー装置の更なる実施例の概略図である。
【図19】提案されるレーザー装置の更なる実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
近接場における広領域VCSELの輝度分布は、VCSELの酸化開口の形状によって、陽子注入の形状によって、メサの形状によって、又はVCSELのコンタクトの幾何学的配置の形状により設定されることができる。図1は、酸化開口の異なる形状により達成される近接場のこのような輝度分布の2つの例を示している。左側には、円形の形状が、円形の酸化開口により達成されている。右側の花弁形の輝度分布は、同じ形状を有する酸化開口により達成される。両方の例の輝度プロファイルは、非常に均一であり、大きい角度のフーリエ・モードに対して鋭いエッジを有し、(図には示されていないが)干渉パターンによって、僅かに変調されるのみである。提案されるレーザー装置における上述の2つの成形の酸化開口を備える 2つの広領域VCSELを使用して、これら2つのVCSELの間を切り替えることのみによって、前記輝度プロファイルのこれら2つの成形間で前記作用平面の輝度分布を切り替えることが、可能である。当該2つのVCSELを同時に動作させる場合、2つの重ね合わされた輝度プロファイルにの輝度プロファイルが達成される。前記アレイにおいて使用されるVCSELの励起される領域の形状に依存して、輝度プロファイルの複数の異なる形状は、個々のVCSELの適切な電気制御のみによって、提案されるレーザー装置により生成されることができる。作用平面の輝度プロファイルの異なる形状間の切り替えは、前記VCSELアレイの前における光学部品の如何なる変更も必要としない。
【0032】
図2は、概略図の提案されるレーザー装置の実施例を示している。前記レーザー装置は、モノリシック的に基板102上に組み込まれている広領域VCSEL101のアレイから成る。当該レーザーの放出は、マイクロレンズアレイ201によって、コリメートされ、VCSEL及びマイクロレンズの活性層間の距離401は、これらのマイクロレンズの有効焦点距離に等しい。第2のレンズ202は、作用平面501上の自身の焦点距離に等しい距離402における像を組み合わせる。前記像の倍率は、マイクロレンズ及び第2のレンズ202の焦点距離の比により設定される。単一のVCSELの放出領域の形状は、作用平面501の輝度プロファイルを決定する。これらのVCSELの形状を適切に選択することによって、所望の輝度プロファイルが、前記作用平面において生成されることができる。更に、酸化開口の異なる形状又は前記近接場の輝度分布の異なる形状に至る他のフィーチャを有すると共に個々に切換可能であるように、VCSELアレイの少なくとも2つのVCSEL101を選択する場合、これら2つの輝度分布間の切り替えは、これらのレーザー間の切り替えにより達成されることができる。
【0033】
図3による提案されるレーザー装置の他の実施例において、前記第2のレンズは、前記マイクロレンズを有する基板203上に組み込まれる。このコンフィギュレーションは、更に、2つのレーザー装置に関して図3に示されている例のように、幾つかのレーザー装置の積み重ねを可能にする。次いで、前記レーザー装置全体は、VCSEL101の2つのサブグループを有している。各サブグループのための近接場光学部品は、他のサブグループの位置と異なる作用平面501における1つの位置に、このVCSELの輝度分布を結像する。各サブグループに個々にアドレス指定することによって、例えば、印刷の用途が、実現されることができる。
【0034】
図4は、チャープマイクロレンズアレイ(chirped micro lens array)204が使用されている当該提案されるレーザー装置の更なる実施例を示している。このチャープマイクロレンズアレイは、単一のレンズの間にピッチを有し、前記ピッチは、VCSELのアレイのVCSEL101間のピッチよりも僅かにより小さい。距離403は、各マイクロレンズが距離404において1つのレーザーを結像するような距離である。このチャープにより、全ての像は、前記作用平面において、1つの単一の像511に重なり合い、輝度分布は、全ての近接場の和によって与えられ、僅かに不鮮明になる。なぜならば、前記像は、もはや並列の平面上にあるわけではないからである。
【0035】
図5は、提案されるレーザー装置の更なる実施例を示している。この実施例において、マイクロレンズアレイ205は、ボンディングによって、レーザー基板102に直接的に取り付けられる。この手段によれば、作製が、ウェハレベルの処理によってなされることができるので、位置合わせの労力及び費用は低減される。
【0036】
提案されるレーザー装置の更に多様性のある実施例において、異なる形状の(かつ、オプションで異なる大きさの)放出領域のVCSELの幾つかのサブグループ111〜114が、設けられ、制御ユニット601によって個々にアドレス指定されることができる。異なるサブグループの出力レベルを調整することによって、前記作用平面における所望の輝度分布520が、設定されることができる。
【0037】
この例では、サブグループ111〜114の異なるVCSELの励起された領域の形状が、図7に示されている。これらの図は、励起される領域の、従って前記VCSELの近接場の輝度分布の4つの異なる形状121〜124を示している。この例によれば、段階状のガウス様の分布521から、シルクハット分布522を越えて、ディップされたシルクハット523に変化する円形のビームプロファイルは、中央領域における低い輝度によって、又は中央領域にもはや輝度がないことによって、達成されることができる(図8参照)。作用平面520におけるこれらの異なる輝度分布521〜523は、異なるサブグループ111〜114を適切に制御することにより達成されることができる。勿論、他の更なる複合の輝度パターンが、励起される領域の、従ってVCSELの放出領域の、正方形若しくは長方形、又は円形若しくは楕円形状を選択することによって、利用可能である。多くの他の成形も、大きい直径のレーザーに関して非常に良好に働く。
【0038】
前記アレイの異なるVCSELの制御を改良するために、各サブグループから到来する出力レベルが、測定され、制御ユニットへのフィードバックループに供給されることができる。前記出力レベルは、例えば、時間多重化によって又は各ビームの小さい割合を分割することによって、測定されることができる。この手段によれば、前記作用平面の輝度分布は、正確に制御されることができる。
【0039】
レーザーに関する幾つかの用途は、均一な線形輝度プロファイルを必要とし、高い割合の側部の長さを備えるシルクハット長方形プロファイルを意味する。これらの用途は、金属若しくはプラスチックの加熱、脱毛、皮膚治療、又は製造における接着剤及び塗料の乾燥であり得る。
【0040】
回折光学要素(DOE)によって、高出力レーザーから生成されるレーザー線は、便利な大きさ及び均一性に制限される。更に、このような装置は、DOEの変更を伴うことなく縮尺変更することはできない。ファイバー結合ダイオードレーザバールから生成されるレーザー線は、非常に厳しい調整精度を有しており、非常にコストがかかる。
【0041】
本発明による装置を使用すれば、このようなレーザー線は、簡単な態様において生成されることができる。この課題のためのレーザー装置のアレイは、VCSELの隣接する複数のサブグループを有する。各サブグループは、前記レーザー線の一部であるレーザー放射の均一の輝度分布を生成する。このような場合における前記アレイの単一のサブグループは、個々のレーザーモジュール103で形成されることができ、各モジュールがVCSELのアレイを有する。当該作用平面の輝度分布524の前記寸法x及びyは、レーザーモジュール103のレーザーの放出領域の大きさ及び形状、各レーザーの前のマイクロレンズの焦点距離、マクロスコピックレンズ206の焦点距離(図9参照)から決定される。xは、1つのレーザーモジュール103の長さxよりも大きくなければならず、この結果、前記プロファイルは、互いに傍に積み重ねられ、6つのレーザーモジュール103に関して図10に示した連続的なレーザー線525を形成する。このことは、積み重ねられたレーザーモジュール103間における電気的接続、冷却及び光学部品のマウント等に必要である間隙を、閉じることを可能にする。
【0042】
前記輝度の均一性又はより正確なy方向に一体化された輝度は、作用部分における均一な温度プロファイルを達成するために非常に重要である。急峻なエッジを持つ輝度プロファイルが、積み重ねに関する厳しい調整精度を必要とするので、好ましくは特別な輝度プロファイルが生成され、更なる精度を可能にする。このことは、例えば、(前記輝度に関して)x方向における階段様のエッジを有する平行四辺形の輝度プロファイル又は長方形のプロファイルであり得る。前記輝度分布内の重なり合うピーク又は窪みが、x方向の長い距離にわたって通じて不鮮明になるからである。
【0043】
このことは、図11に例示的に示されている。図11には、異なるビームプロファイル526の積み重ね(作用平面における輝度分布)及び一体化された輝度に対する位置合わせ不良の影響が、簡単な長方形及び平行四辺形の輝度プロファイル526に関して示されている。
【0044】
レーザー線に沿った均一な輝度分布は、異なる技術により達成されることができる。第1の技術は、VCSELの放出領域を平行四辺形(又は三角形等)に成形するためのものであり、VCSELアレイを製造する際のウェハの処理において容易になされることができる。多くのVCSEL101は、1つの基板102上で組み合わせられる。広領域VCSEL101の特別な特性により、放出領域は、均一に充填される。各レーザーの光は、焦点距離401fを有するマイクロレンズアレイ201によってコリメートされ、次いで、レーザーモジュールの近接場は、図12に示すように焦点距離402fを有するレンズ202の焦点平面において結像される。倍率M=f/fによる単一のレーザーの放出領域は、当該モジュール間の間隙を閉じるようにx方向におけるレーザーモジュールの大きさよりも大きくなければならない。y方向のビームの大きさは、レンズ202を、異なる焦点距離f及びfを有する2つの円柱レンズを分離する(例えば、図9及び10を参照)ことによって、より大きい又はより小さい(好ましくは細い線に関して小さい)ものであり得る。レーザー線525の長さは、多くのレーザーモジュールを互いに積み重ねることにより設定されることができる。
【0045】
第2の技術は、x方向の異なる長さaを有する長方形の放出領域の多くのレーザーを重ね合わせることによって、階段様のエッジを有する輝度分布を生成することである。電気ドライバを容易にするために、全てのレーザーは、前記放出領域(即ちa・b=一定)の同じ大きさを有さなければならず、従って、同じ閾値電流及び電圧曲線を有さなければならない。1つの例は、図13に与えられている。異なる側部の長さa及びbであるが同じ大きさA=a・bの放出領域701を持つ異なる長方形の形状を有するVCSELの近接場の像は、作用平面において重ね合わされる(重ね合わされた輝度分布527を参照)。この場合、y方向の一体化された輝度は、この形状を有する単一のレーザーの総数をNi、1つのレーザーの輝度をIsingleとして、b*N*ISingleに等しい階段Iの段階高さを有する段階様プロファイルである。差Δa=a−ai+1は、全てのiに対して等しくなければならない。数Nの比を長さの比b=A/aに整合させることによって、同じ輝度の段階が、全ての位置において達成されることができる。
【0046】
前記第2の技術の変形において、x方向の異なる長さa及び同じ長さbを有する長方形の放出領域の多くのレーザーを重ね合わせることによって、段階様のエッジを有する輝度分布が形成される。このことは、結果として、より滑らかなエッジを有するレーザー線をもたらす。並列に電気的に接続された放出領域の同一の大きさを有するレーザーのグループのような場合のレーザーを駆動するための同じ閾値電流及び電圧曲線を得るために、各グループのレーザーの数は、各グループが同じ大きさの全体放出領域(各グループのレーザの放出領域の合計)を有するように選択される。例えば、放出領域の大きさAを各々有する10個のレーザーのグループが、並列に接続され、放出領域の大きさA(ここで、A=5/6A)を各々有する12個のレーザーのグループが、並列に接続される等である。
【0047】
以下では、連続的なレーザー線を生成する提案されるレーザー装置の更なる実施例が、記載される。これらの実施例の基本的な構成は、
− VCSEL101のアレイ(アレイ構成においてはんだ付けされている個々のVCSEL、モノリシックなVCSELアレイ又は幾つかのモノリシックなVCSELアレイであり得る)と、
− 前記VCSELから発される放射をコリメートするための各VCSEL101の前のレンズを備えるマイクロレンズアレイ201、207、208と、
− 当該放射を作用平面501の作用距離の所望の線の太さに集束させる円柱レンズ(第2のレンズ202)と、
から成る。
【0048】
線の太さDは、dをy方向における個々のVCSELの寸法、fを前記マイクロレンズの焦点距離、fを前記円柱レンズの焦点レンズとして、D=d*f/fにより決定される。前記マイクロレンズの焦点距離は、当該VCSEL発散性θ及と2つの個々のVCSELの中心間のピッチp(=距離)とにより制限される。前記VDSLの放射が、前記マイクロレンズの平面内で重なり合うべきではないからである。個々のマイクロレンズの開口は、理想的には、前記ピッチに等しい又は僅かに小さい。同時に細い線及び大きな作用距離を達成するために、VCSELdの寸法は小さくなければならず、VCSEL間のピッチpは、大きい焦点距離fを可能にするために大きくなければならない。
【0049】
当該焦点における高い輝度を達成するために、幾つかのVCSELが、第2のレンズの前記開口により制限され、y方向に積み重ねられる。x方向においては、状況は、完全に異なる。個々のレーザーの故障又はレーザー若しくは光学部品の位置合わせ不良にあまり依存しない均一な輝度プロファイルを得るために、レーザー線上の各点におけるできるだけ多くのレーザーの放射を重ね合わせるのが望ましい。従って、大きい発散角度は、前記マイクロレンズアレイの後が望ましく、このことは、x方向におけるVCSELの大きい寸法l及び短い焦点距離の意味し、小さいピッチを可能にする。
【0050】
円形又は正方形の開口を備える球形レンズから成るマイクロレンズアレイによって、前記ピッチ及び前記焦点距離は、両方の方向に関して同じでなければならないが、前記VCSELの寸法は、異なるものであることができる。このような実施例は、図14に示されており、図14Aは、y方向における図を表しており、図14Bは、x方向の図を表す。図2の例におけるように、前記レーザー装置は、基板102上にモノリシック的に組み込まれている広領域VCSEL101のアレイから成り、レーザーの放出は、マイクロレンズアレイ201によって、コリメートされる。VCSELの活性層とマイクロレンズとの間の距離401は、これらのマイクロレンズの有効焦点距離に等しい。第2のレンズ202は、この例において、作用平面上の焦点距離に等しい距離402において、像を組み合わせる円柱レンズである。所与の作用距離に関して、円柱レンズ(第2のレンズ202)の焦点距離fは、固定されている。この場合、レーザー線525の所望の線幅Dは、比d/f又はd/pを与える。小さいd及び小さいピッチpの組み合わせが、熱的な理由に関して好ましいが、dは、近接場における均一な輝度プロファイルを得るために10μmよりも大きくなければならない。所与のピッチp又はマイクロレンズの直径に関して、VCSELの他の寸法は、可能な限り大きくされ(図14A参照)、この結果、放射は、x方向のマイクロレンズの完全な開口を充填する。y方向において、前記レンズの最大開口は、使用されない(図14B参照)。
【0051】
このことは、同じ焦点距離であるが楕円又は長方形の開口を備えるマイクロレンズを使用して最適化されることができ、楕円又は長方形の開口の長手方向は、x方向に配向されている。次いで、前記レーザーのピッチは、x方向のピッチpに比較してy方向のピッチpが小さい両方の方向に関して異なるものであることができ、この結果、前記放出は、両方の寸法において完全な開口を充填する。このことは、y方向におけるより多い数のレーザーモジュールをもたらし、従って、前記レーザーモジュールの高い出力密度をもたらす。このような実施例は、図15に示されており、図15Aは、y方向における図を表しており、図15Bは、x方向における図を表す。前記マイクロレンズθ'の後の発散角が、VCSELの寸法及び焦点距離の比に依存するので、発散角は、両方の方向に関して異なるものであり得る。y方向において、θ'=d/fは、大きい作用距離を備える小さい線への集束を可能にするために、小さくなければならない一方で、θ'=l/fは、x方向における個々のレーザービームの強い混合のために大きくなければならない。両方の方向において、異なる開口を備えるマイクロレンズアレイを使用することにより、VCSELの小さいdと組み合わせられる小さい開口a及び大きいlの組み合わせにおける大きな開口aを有することによって両方の要件が満たされることができる。VCSEL101の細長い設計及びマイクロレンズアレイ201のマイクロレンズの相関している細長い方向のアパーチャは、図15A/Bにおいて、認識されることができる。
【0052】
更なる実施例において、2つの円柱マイクロレンズアレイ207、208は、図16に示されているような他のものの後に使用される。図16Aは、y方向における図を表しており、図16Bは、x方向における図を表す。第1のアレイ207の円柱マイクロレンズは、第2のアレイ208の円柱マイクロレンズに対して垂直に配されている。このことは、両方の方向に関し異なる焦点距離(異なる距離405、406に対応する)を可能にし、従って、発散角θ'f及びθ'yを設定するための可能性を増大させる。第1及び第2の円柱マイクロレンズアレイ207、208は、図16A/Bに示されているような反対側のサイトにおけるレンズアレイを備える1つの基板又は2つの個々のレンズアレイであり得る。基板の厚さは、前記基板の屈折率で除算した焦点距離f1,x及びf1,yの差により決定される。
【0053】
上述の実施例において、前記マイクロレンズの細長いアパーチャの長手方向の軸がx方向に配向されると共に、マイクロレンズの交差したアレイの円柱方向の軸は、x方向に垂直又は平行に配向されるが、これらの軸は、x方向から45°以下の角度だけ傾斜されている(x及びy方向に対して垂直なz軸に関する回転)。このような手段によって、特別な輝度分布は、前記レーザー線に沿って生成されることができる。
【0054】
レーザーモジュール103を使用する場合、例えば、VCSELチップ、サブマウント、光学部品及びヒートシンク等の大きさに関する製造又は取り付けの制限により、間隙が生じる。これらの間隙は、既に図9及び10に関して説明したように、均一性を妨げる前記輝度プロファイルにおけるディップを生じさせ得る。
【0055】
提案されるレーザー装置において、間隙のピッチg(=間隙の周期性)は、前記作用平面上の個々のレーザーの輝度プロファイルのx方向における大きさl'に整合され、前記マイクロレンズθ'の後の発散角及び前記レーザーと前記作用平面との間の距離Sとによって、与えられる。このことは、図17にも模式的に示されている。長さl'=tan(θ')*Sにおいて、間隙のピッチgは、Nを任意の整数として、l'/Nでなければならない。条件g=l'が前記作用平面において厳密に満たされるのみであるので、前記輝度プロファイルは、前記作用平面から離れるほど、更に均一になる。前記均一性に関する要件が満たされる焦点深度を、前記作用平面からの最大距離Δzとして規定する。
【0056】
均一性、焦点深度及び位置合わせの精度を更に向上させるために、VCSELの形状は、シルクハットのプロファイルの代わりに滑らかな一体化された輝度プロファイルを与えるように選択される(長方形の形状とは、異なる)。このような形状は、図11に関連して既に記載されている。これらの形状は、例えば平行四辺形、台形、三角形、六角形又は菱形であり得る。前記輝度プロファイルの肩が大きいほど、位置合わせの精度及び焦点深度は、大きくなる。
【0057】
提案されるレーザー装置の更なる実施例は、図18に示されている。この実施例において、x方向におけるC個の円柱レンズ209のアレイが付加され、この円柱レンズは、前記レンズアレイから前記作用平面までの距離402に等しい焦点距離f2,xを有している。C個の段階を有するエッジにおけるレーザー線525の階段様の輝度プロファイルを与え、Cは、x方向におけるレーザーの数Nに等しいものである又は整数により除算されたNに等しいものであり得る。
【0058】
更なる実施例において、円柱レンズ209のこのアレイは、傾斜される(z軸の周りの或る角度だけ回転される)又は同じ焦点距離と正方形又は長方形の開口とを有するNxC個の円柱レンズ(Nは、y方向におけるレーザーの数である)のアレイに交換されることもできる。以前の実施例における個々のレンズ209は、N個の部分に分割され、x方向におけるVCSELから、y方向におけるVCSELまで僅かにずらされる。
【0059】
提案されるレーザー装置の更なる実施例は、図19に示される。本実施例において、チャープマイクロレンズアレイ204(又は、同等のチャープレーザアレイ)が使用され、この結果、レンズの断片1/Kがレーザー対しての中心を合わせられる。ここで、K=N/N(N=1、2、3、…)である。全ての像が作用平面に対して等しい距離となると共にレーザーモジュール103間の間隙のピッチgによって生じる間隙が閉じられるように、マイクロレンズの他のグループは、レーザーに対して関して異なる距離だけずらされる。
【0060】
提案されるレーザー装置のマイクロレンズアレイは、前記VCSELのアレイがはんだ付けされる同じ絶縁サブマウント上のポストに取り付けられることもできる。提案されるレーザー装置のマイクロレンズアレイは、前記VCSELのアレイに直接的に結合される/はんだ付けされる/接着されることもできる。レーザーモジュールを使用する場合、幾つかのモジュールは、好ましくは、共通のレール上に取り付けられている(前記共通のレールによる冷却材の支持を含む)。
【0061】
本発明は、添付の図面及び上述の記載において、詳細に説明され記載されたが、このような説明及び記載は、限定的なものではなく、説明のためのもの又は例示的なものであるとみなされるべきである。本発明は、開示されている実施例に限定されるものではない。上述の様々な実施例及び請求項における様々な実施例は、組み合わせられることもできる。開示された実施例に対する他の変更は、添付の図面、本明細書及び添付の請求項の熟慮により、添付の請求項に記載の本発明を実施する当業者により理解され、行われることができる。例えば、前記VCSEL又は前記アレイにおいて使用されるサブグループの数は、制限されない。前記VCSELは、前記作用平面において必要とされる近接場における輝度分布における如何なる形状も提供するように設計されることができる。作用平面において、組み合わせられるべき異なる形状の数は、所望の用途のみに依存する。更に、前記近接場の輝度分布の所望の幾何学的形状を達成するための手段は、開示されている例に限定されるものではない。
【0062】
「有する」という語は、請求項に記載されていない構成要素又はステップの存在を排除するものではない。単数形の構成要素は、複数のこのような構成要素を排除するものではない。特定の手段が、相互に異なる従属請求項において、引用されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利になるように使用されることができないと示すものではない。添付請求項における符号は、これらの請求項の範囲を制限するものとして解釈されてはならない。
【符号の説明】
【0063】
101 VCSEL
102 基板
103 レーザーモジュール
111―114 VCSELのサブグループ
121―124 近接場の輝度分布の形状
201 マイクロレンズアレイ
202 第2のレンズ
203 マイクロレンズを備える基板
204 チャープマイクロレンズアレイ
205 基板上のマイクロレンズアレイ
206 マクロスコピックレンズ
207 第1のマイクロレンズアレイ
208 第2のマイクロレンズアレイ
209 円柱レンズのアレイ
401 活性層とマイクロレンズとの間の距離
402 作用平面と第2のレンズとの間の距離
403 活性層とマイクロレンズとの間の距離
404 マイクロレンズと作用平面間の距離
405 活性層と第1のマイクロレンズアレイとの間の距離
406 活性層と第2のマイクロレンズアレイとの間の距離
501 作用平面
511 作用平面の像
520 作用平面の輝度分布
521―524 作用平面の輝度分布
525 レーザー線
526 ビームプロファイル
527 重ね合わされた輝度分布
601 制御ユニット
701 放出領域の形状

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幾つかの広領域縦キャビティ表面放出のレーザーのアレイであって、これらのレーザーの各々は、レーザー放射を発する活性層を各々有している、アレイと、
全ての前記レーザー又は前記アレイの前記レーザーのサブグループの活性層により発される前記レーザー放射が作用平面において重ね合わされるように、前記作用平面に前記アレイのレーザーの活性層を結像するように設計され配されている1つ又は複数の光学部品と、
を有するレーザー装置。
【請求項2】
少なくとも、前記レーザーの一部は、近接場の輝度分布の異なる形状を有するレーザービームを発するように設計されており、前記レーザーは放出領域又は放出開口の異なる幾何学的形状及び/又は異なる直径を有している、請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項3】
前記アレイは、制御ユニットによって個々に切換可能な少なくとも第1及び第2の縦キャビティ表面放出のレーザーを少なくとも有する、請求項1に記載のレーザー装置であって、
− この第1のレーザーは、近接場の輝度分布の第1の形状を有するレーザービームを発するように設計されており、
− この第2のレーザーは、前記第1の形状と異なる前記近接場の輝度分布の第2の形状を有するレーザービームを発するように設計されている、
レーザー装置。
【請求項4】
前記アレイは、第1及び第2の形状とは異なる近接場における輝度分布の1つ又は幾つかの更なる形状を有するレーザーを発するように設計されていると共に前記制御ユニットによって個々に切換可能である少なくとも1つ又は複数の更なる縦キャビティ表面放出のレーザーを有している、請求項3に記載のレーザー装置。
【請求項5】
前記光学部品が、1つ以上の視野レンズ及びマイクロレンズのアレイを有している、請求項1に記載の前記レーザー装置。
【請求項6】
前記光学部品が、マイクロレンズのアレイを有しており、前記マイクロレンズは、レーザーのビームの軸外に配されている、請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項7】
n=a*m及びa=2、3、・・・として、前記アレイは、n個の縦キャビティ表面放出のレーザーを有しており、前記光学部品は、n個のマイクロレンズ及びm個の視野レンズを有しており、各マイクロレンズは、レーザーの前に配されており、各視野レンズは、レーザーのサブグループの輝度分布を結像するように配されており、前記サブグループの全てのレーザーの前記輝度分布が前記作用平面における或る位置において重ね合わさり、前記異なるサブグループの位置は、互いに異なる、請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項8】
前記作用平面において前記活性層のシャープでない像を生成するように前記光学部品が設計されている、請求項1に記載の前記レーザー装置。
【請求項9】
前記光学部品は、前記作用平面内に。第1の方向に延在する連続的なレーザー線又はレーザー領域を生成するように、レーザーの隣接するサブグループの前記活性層を、並べて、好ましくは部分的に重ね合わさるように、結像するように設計され配されている、請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項10】
各サブグループの前記レーザーは、特に長方形又は平行四辺形様の形状を有する、前記近接場の輝度分布の細長い形状を有するレーザービームを発するように設計されており、前記細長い形状は、前記第1の方向に対して垂直な第2の方向においてよりも、前記第1の方向に大きい延長部を有する形状を有している、請求項9に記載のレーザー装置。
【請求項11】
各サブグループの前記レーザーは、前記近接場における異なる寸法の長方形の形状を有するレーザービームを発するように設計されており、一定の中央部分と前記作用平面内のレーザー線に沿って階段状に減少するエッジとを有する重ね合わされた一体化された輝度プロファイルを生成するように選択されている、請求項10に記載のレーザー装置。
【請求項12】
前記レーザーの前記サブグループの各々の出力を制御する制御ユニットと、前記制御ユニットに接続されている測定ユニットとを更に有しており、前記測定ユニットは、前記制御ユニットに関するフィードバックを供給するために個々のサブグループの出力レベルを測定するように設計され配されている、請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項13】
前記光学部品は、各サブグループの全てのレーザーの活性層を、前記作用平面内の前記第1の方向に対して垂直な前記第2の方向において厳密に重ね合わさるように、結像するように設計されている、請求項10に記載のレーザー装置。
【請求項14】
前記光学部品が、垂直な方向において、異なる倍率を提供するように設計されている、請求項1に記載のレーザー装置。
【請求項15】
前記レーザーのサブグループ又は前記レーザーのサブグループのうちのグループは、間隙によって、前記第1の方向において、互いに分離されており、前記光学部品は、各サブグループのレーザーの前記活性層を、前記間隙の周期性の整数倍である前記作用平面内の前記第1の方向における像の大きさに結像するように設計されている、請求項10に記載のレーザー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14A)】
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【図14B)】
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【図15A)】
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【図15B)】
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【図16A)】
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【図16B)】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2013−502717(P2013−502717A)
【公表日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525239(P2012−525239)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【国際出願番号】PCT/IB2010/053687
【国際公開番号】WO2011/021140
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】