説明

評価対象機器のサンプル採取・母材補修装置、およびその方法

【課題】実機のサンプル採取部位を機械的な手段によって切削するために、微小なサンプルを採取することが困難であり、比較的に大きなサンプルならざるをえない。このため、サンプルの採取によって実機の受ける損傷も比較的大きく、採取後の補修も困難である。
【解決手段】評価対象の機器4からサンプル39を取出すために、機器表面にレーザービームを照射してサンプル取出し用の環状溝を加工し、かつ、サンプル取出し後に形成された母材の掘孔Hをレーザービームの照射により溶接補修するレーザー加工装置2と、レーザービームによって溝加工および堀孔の溶接補修を行う際、照射部位の周囲に冷却媒体を噴射する冷却装置と3、加工された環状溝内に挿入される形状に形成され、かつ先端部にサンプルの根元部分を溶解し母材から根切るための放電部を有する支持体34と、母材から根切りされたサンプル39を環状溝から取出す取出部36とを有するサンプル取出装置5とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価対象機器の劣化程度の評価を行うために、評価対象機器からサンプルを採取し、サンプル採取後の母材を補修するサンプル採取・母材補修装置、およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、発電プラント機器、例えばガスタービン部品は高温下で長期間使用されるため、コーティング層は腐食や酸化により、また基材は時効損傷を受けることにより、材質が劣化する。さらに、ガスタービンは起動特性が優れているため電力需要に応じて頻繁な起動停止を行うので、ガスタービンのコーティング部品のコーティング層および基材は、起動停止に伴う厳しい熱疲労損傷を受けて、き裂が発生する。
したがって、運転の安全性や機器の信頼性を確保し、事故や故障により発電プラントを長期間停止させないようにするためには、この熱疲労損傷の評価は最も重要である。
【0003】
従来、ガスタービンのコーティング施工部品の熱疲労損傷を把握する手法として次のような方法が知られている。すなわち、点検時に実機から採取したブロック状のサンプル(以下、単にサンプルという)を試験・分析し、その結果と予め求めた材料強度のデータベースと構造解析による応力および温度を基にして限界き裂長さや限界損傷値を推定し、さらに予め求めた材料強度のデータベースと構造解析による応力および温度を基にしてき裂進展長さや損傷の大きさを予測し、前記限界き裂長さと前記き裂進展長さを比較して余寿命を求め、補修,交換および定検の時期の変更などを示唆する手法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、実機からサンプルを採取する装置として、サンプル採取部位の周辺を切削する座ぐり用刃物と、座ぐり後にサンプルの基部を根切りする根切り用刃物を備えて円柱状のブロックサンプルを採取するようにしたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平9−195795号公報
【特許文献2】特公平5−41368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献2に記載の技術では、実機のサンプル採取部位を機械的な手段によって切削するために、微小なサンプルを採取することが困難であり、比較的に大きなサンプルにならざるをえない。このため、サンプルの採取によって実機の受ける損傷も比較的大きく、採取後の補修も困難である。しかもこの技術では刃物によって座ぐりするため、大型の機械設備が必要であり、また、複雑な形状を持つ部品に対する切削作業は困難であるうえに、採取するサンプルの形状は円柱状のものに限られるという欠点がある。さらに、実機からサンプルを採取する際に発生した熱による母材のサンプル採取部位周辺部への影響を防ぐ方法や、サンプル採取後の堀孔に対する補修については一切考慮されていない。
【0006】
そこで、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、レーザー加工装置を用いて評価対象機器の任意部位から任意形状の微小サンプルを採取し、しかもサンプル採取後の母材の堀孔に対して補修を行うようにしたサンプル採取・母材補修装置、およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、請求項1記載のサンプル採取・母材補修装置に係る発明は、評価対象機器の表面にレーザービームを照射してサンプル取出し用の環状溝を加工し、かつ、サンプル取出し後に形成された母材の掘孔をレーザービームの照射により溶接補修するレーザー加工装置と、前記レーザー加工装置から照射されたレーザービームによって前記評価対象機器の溝加工および堀孔の溶接補修を行う際、照射部位の周囲に冷却媒体を噴射する冷却装置と、前記評価対象機器に加工された前記環状溝内に挿入される形状に形成され、かつ先端部に前記サンプルの根元部分を溶解し母材から根切るための放電部を有する支持体および母材から根切りされたサンプルを前記環状溝から取出す取出部を有するサンプル取出装置と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項7記載のサンプル採取・母材補修方法の発明は、評価対象機器の表面にレーザービームを照射してサンプル取出し用の環状溝を加工する工程と、前記加工された環状溝内の前記サンプルの根元部分を放電により溶解し母材から根切る工程と、前記母材から根切られたサンプルを取出す工程と、サンプル取出し後に母材に形成された堀孔に評価対象機器と同様の成分を有する充填物を充填する工程と、前記充填物と周囲の評価対象機器母材とをレーザービームにより溶接し補修する工程、とから成る。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レーザー加工装置を用いることによって、評価対象機器の任意位置で任意形状の溝加工を行って微小なサンプルを採取することができ、しかも、サンプル採取後の掘孔の溶接補修を行うようにしたので、評価対象機器に与える損傷を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る評価対象機器のサンプル採取・母材補修装置、およびその方法について、図1〜図10を参照して説明する。
【0011】
(実施例1)
本発明の実施例1について、図1ないし図5を参照して説明する。
図1は本実施例1におけるサンプル採取・母材補修装置の全体構成図、図2(a)、(b)はサンプル採取・母材補修装置を構成するレーザー加工装置の概略構成図、図3はサンプル採取・母材補修装置を構成するサンプル取出装置の概略構成図、図4(a)、(b)および(c)はサンプル採取工程を示す図、図5はサンプル取出し後母材に形成された掘孔に対する溶接補修工程を示す図である。
【0012】
まず、図1から順に説明する。図1において、サンプル採取・母材補修装置1は、レーザー加工装置2と、冷却装置3と、評価対象機器4から任意の形状例えば円柱状のサンプルを取出すためのサンプル取出装置5とから構成されている。
【0013】
このうち、レーザー加工装置2は、評価対象機器4からサンプル39を取出すために評価対象機器4の表面にレーザービームを照射してサンプル取出し用の所望の深さの環状溝を加工し、かつ、この環状溝からサンプル39を取出した後、母材に形成された掘孔Hに対して補修作業を行う装置であって、レーザー加工ヘッド10と、このレーザー加工ヘッド10を駆動するレーザー加工ヘッド駆動装置11と、前記レーザー加工ヘッド10に所望の形状および深さの環状溝を加工させるようにレーザー加工ヘッド駆動装置11に対して指令を出力する制御装置12とから構成され、レーザー加工ヘッド駆動装置11および制御装置12間をケーブル13によって接続されている。なお、前述したサンプル取出し用の環状溝の型は、円型、楕円型、升型等閉ループであれば任意の型で構わない。
【0014】
次に、レーザー加工ヘッド10は、図2(a)で示すようにレーザービーム集光用光学レンズ系14と、レーザー発光器15と、これらを収容するヘッドカバー16とから構成されており、レーザー発光器15は電気ケーブル17によって前記制御装置12に接続されている。そして、レーザービーム集光用光学レンズ系14、レーザー発光器15および制御装置12によって、レーザービームを発生させ、その焦点の大きさと強さを調整するように構成されている。本実施例1の場合、レーザービームの出力を1〜1000kW、レーザービーム焦点の直径を10μm〜10mmの範囲で調整することが可能になっている。
【0015】
次に、レーザー加工ヘッド駆動装置11は、図2(b)に示すように軸線が交差する2つの回転軸を備え、一方の回転軸(便宜上、縦軸という)18はX軸に対して360°の範囲で回転可能に基礎部(例えば前記制御装置12)に支持され、他方の回転軸(便宜上、横軸という)19はY軸に対して上下方向に180°の範囲で回転可能に、かつ横軸方向に伸縮可能に前記回転軸18の先端に支持されており、レーザー加工ヘッド10の照射口を3次元に位置制御することができるように構成されている。本実施例では、レーザー加工ヘッド10を0.1〜1μm/歩の微小移動および連続移動を可能としており、精密に任意形状の溝加工ができるようになっている。
【0016】
一方、冷却装置3は、レーザービームによって溝加工および堀孔の溶接補修を行う際に、対象部位の周囲に冷却媒体としての窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の高圧冷却ガスを噴射することによって、母材が高熱によって組織変動や変形することを防ぐためのものであって、冷却ガスを噴射する噴射ノズル20、冷却ガスを貯蔵するガスボンベ21、噴射ノズル20に冷却ガスを供給する配管22、この配管22の途中に設けられ冷却ガスの流量および圧力を調整するバルブ23によって構成されている。
【0017】
そして、サンプル取出装置5はレーザー加工装置2による評価対象機器4に溝加工をした後、サンプル39を評価対象機器4の母材から根切して取出すものであって、後述する環状放電部および温度センサーを支持する支持体としての採取パイプ30、放電制御装置31、放電用回線32および温度センサー用回線33によって構成されている。
【0018】
図3はサンプル取出装置5の採取パイプ30に注目して描いた模式図である。採取パイプ30は絶縁性や耐熱性に優れたセラミックス材料で形成した採取パイプ胴体34の内部に、サンプル39を吸着、粘着あるいは挟持する手段としてのピストンヘッド36を収納しており、このピストンヘッド36はピストンロッド35によって採取パイプ胴体34の外部から上下方向に操作されるようになっている。
【0019】
そして、採取パイプ胴体34の先端部には、その内周面に環状放電部37および温度センサー38を埋設するとともに、それらと放電制御装置31とを接続する放電用回線32および温度センサー用回線33を埋設している。なお、温度センサー38は、環状放電部37が前記放電制御装置31で設定した温度でサンプル39の根元部分を母材から溶解するように溶解時の温度を検出し、前記放電制御装置31にフィードバックするものである。この設定温度は、評価対象機器の材質によって設定される。
【0020】
以上で、本実施例のシステム構成および構成部品の説明を終えたので、次に、サンプル採取・母材補修装置によって、機器の任意部位からサンプルを採取する工程とサンプル採取後の堀孔を補修する工程とについて説明する。
【0021】
まず、サンプルの採取工程から説明する。
図1、図2に示すレーザー加工装置2を用いて評価対象機器4のサンプル採取部位に対して溝加工を行う。レーザー加工装置2は、前述のようにレーザービームの出力を1〜1000kW、レーザービーム焦点の直径を10μm〜10mmの範囲で調整することが可能になっているので、溝加工の寸法は、必要に応じて深さが50μm〜25mm、幅が100μm〜10mmの範囲に調整する。また、レーザー加工ヘッド駆動装置11は制御装置12によって回転軸18、19を制御することによって、精密に任意形状の溝加工を行う。
【0022】
このようにして、所望の形状の溝加工を行った後、図4で示すように、その溝の大きさおよび形状に適合した採取パイプ30を選んで挿入する(a)。次に、採取パイプ30の先端内部に埋設した環状放電部37と、サンプル39の根元との間に瞬時的に約10,000Vの高電圧をかけて放電させることによって、1,500〜10,000℃の高熱でサンプル39の根元部分を溶解させ、母材から根切する(b)。そして、サンプル39を採取パイプ30から取出す(c)。その後は、図示しない分析装置により、そのサンプル39の化学成分を分析し、組織および機械的な性質を調査し、機器の劣化程度や余寿命を評価する。なお、図4においてHはサンプル39を取出した後に形成された堀孔である。
【0023】
次に、堀孔Hを補修する工程について説明する。
図5に示すように、サンプル39を切出した後に形成された掘孔Hに対し、機器4の構造強度の低減を防ぐために、切出したサンプル39と同じ形状および材質の固体または粉末の充填物Fを挿入する(a)。次に、掘孔Hと充填物Fとの隙間をレーザー加工装置2によって溶接する(b)。溶接後、充填物Fおよび溶接箇所に必要に応じて研磨を行い、機器4の表面を均一な面に仕上げる(c)。
【0024】
なお、サンプル採取および掘孔の溶接補修を実施する時に、冷却装置3によって対象部位の周囲に窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等の高圧冷却ガスを噴射して冷却し、高熱によって母材の組織変動や変形を防ぐようにする。
【0025】
以上述べたように、本実施例によれば、レーザー加工装置2のレーザービームの焦点や強さを制御することによって、加工する溝の深さや幅を必要に応じて調整することができるので、評価対象となる機器4の任意部位について溝加工を行うことが可能であり、評価する上で必要最小限度の、しかも任意形状のサンプル39を採取することができる。また、溝加工後に母材に形成された堀孔Hに対しては、レーザー加工装置2によって溶接補修を行うようにしたので、対象機器4に与える損傷を最小限に抑えることができる。
【0026】
また、サンプル取出装置5に設けた環状放電部37によって、サンプル39の根元部分を溶解し、母材から根切するようにしたので、対象機器4から過剰な切削を行う必要が無く、簡単にサンプル39を取出すことができる。
さらに、冷却装置3によって、溝加工やサンプル39の根切りおよび溶接補修時で生じた高熱による母材の組織変動や変形を回避することができる。
【0027】
次に、図6ないし図10に参照して本実施例によるサンプル採取方法が適用される評価対象機器の例について説明する。
図6は蒸気タービン40におけるサンプル採取部位の例を示す図である。
【0028】
図6の場合、高圧タービン41、中圧タービン42および低圧タービン43のタービン段落を構成する動翼44および静翼45、タービンロータ46、タービンロータ接続フランジ47、タービンケーシング48および主蒸気配管49等が評価対象の機器である。なお、一点鎖線の円は、低圧タービン43のタービン段落を構成する動翼44および静翼45の拡大図を示す。
【0029】
蒸気タービン40を評価するにあたり、本実施例によるサンプル採取方法を適用する場合、まず低圧タービン43のケーシング48を分解して静翼45を取り外し、さらにタービンロータ46から動翼44を取り外して検査台に裁置した状態でサンプル採取装置1を所定の位置にセットする。そして上述した方法によって対象部位からまずサンプルを採取し、次に、サンプル採取後の堀孔を補修する。
【0030】
なお、ケーシング48や配管49のように、外側からサンプルを採取できる機器については、分解しなくてもサンプル採取装置1を予め定めた位置にセットすることにより本発明方法を実施することができる。
【0031】
図7はガスタービン50におけるサンプル採取部位の例を示す図である。
図7において、ガスタービン本体60の動翼61、静翼62、タービンロータ63、タービンケーシング64の任意部位、ガスタービン圧縮機70の動翼71、静翼72、圧縮機ロータ73、圧縮機ケーシング74の任意部位、およびガスタービン燃焼器80の任意部位がサンプル採取の対象機器である。
【0032】
このガスタービン50を評価するにあたり、本実施例によるサンプル採取方法を適用する場合も図6の蒸気タービンの場合と同様にして対象部位からまずサンプルを採取し、次に、サンプル採取後の堀孔を補修する。
【0033】
図8はタービン発電機90におけるサンプル採取部位の例を示す図である。
図8において、発電機ロータ91、発電機ロータ接続フランジ92、発電機ケーシング93等の任意部位がサンプル採取の対象機器である。この発電機90を評価するにあたり、本実施例によるサンプル採取方法を適用する場合は、固定子フレームを分解してサンプル採取部位を露出した状態、もしくはサンプル採取部位を検査台に載置した状態で、サンプル採取装置1を所定の位置にセットし、上述した方法によって対象部位からまずサンプルを採取し、次に、サンプル採取後の堀孔を補修する。
【0034】
図9は立軸型水車の回転部100におけるサンプル採取部位の例を示す図である。
図9の場合、水車ランナ101、水車ロータ102、水車ロータ接続フランジ103等の任意部位がサンプル採取の対象である。この立軸型水車を評価するにあたり、本実施例によるサンプル採取方法を適用する場合は、水車ケーシング104から水車の回転部100を引抜いて吊り下げた状態、もしくは水車をさらに分解して対象部位を検査台に載置した状態で、サンプル採取・母材補修装置1を所定の位置にセットし、上述した方法によって対象部位からまずサンプルを採取し、次に、サンプル採取後の堀孔を補修する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明におけるサンプル採取・母材補修装置の全体構成図。
【図2】本発明におけるレーザー加工装置の概略構成図。
【図3】本発明におけるサンプル取出装置の概略構成図。
【図4】本発明におけるサンプル採取工程を示す図。
【図5】本発明における掘孔の溶接補修工程を示す図。
【図6】蒸気タービンにおけるサンプル採取部位の例を示す図。
【図7】ガスタービンにおけるサンプル採取部位の例を示す図。
【図8】タービン発電機におけるサンプル採取部位の例を示す図。
【図9】立軸型水車の回転部におけるサンプル採取部位の例を示す図。
【符号の説明】
【0036】
1…サンプル採取・母材補修装置、2…レーザー加工装置、3…冷却装置、4…対象機器、5…サンプル取出装置、10…レーザー加工ヘッド、11…レーザー加工ヘッド駆動装置、12…制御装置、13…ケーブル、14…レーザービーム集光用光学レンズ系、15…レーザー発光器、16…ヘッドカバー、17…電気ケーブル、18…第1の回転軸、19…第2の回転軸、20…噴射ノズル、21…配管、22…ガスボンベ、23…バルブ、30…採取パイプ、31…放電制御装置、32…温度センサー用回線、33…放電用回線、34…採取パイプ胴体、35…ピストン、36…ピストンヘッド、37…環状放電部、38…温度センサー、39…サンプル、40…蒸気タービン、41…高圧部、42…中圧部、43…低圧部、44…動翼、45…静翼、46…タービンロータ、47…タービンロータ接続フランジ、48…タービンケーシング、49…主蒸気配管、50…ガスタービン、60…ガスタービン本体、61…動翼、62…静翼、63…タービンロータ、64…タービンケーシング、70…ガスタービン圧縮機、71…動翼、72…静翼、73…圧縮機ロータ、74…圧縮機ケーシング、80…ガスタービン燃焼器、90…発電機、91…発電機ロータ、92…発電機ロータ接続フランジ、93…発電機ケーシング、100…立軸型水車の回転部、101…水車ランナ、102…水車ロータ、103…水車ロータ接続フランジ、104…水車ケーシング。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
評価対象機器の表面にレーザービームを照射してサンプル取出し用の環状溝を加工し、かつ、サンプル取出し後に形成された母材の掘孔をレーザービームの照射により溶接補修するレーザー加工装置と、
前記レーザー加工装置から照射されたレーザービームによって前記評価対象機器の溝加工および堀孔の溶接補修を行う際、照射部位の周囲に冷却媒体を噴射する冷却装置と、
前記評価対象機器に加工された前記環状溝内に挿入される形状に形成され、かつ先端部に前記サンプルの根元部分を溶解し母材から根切るための放電部を有する支持体および母材から根切りされたサンプルを前記環状溝から取出す取出部を有するサンプル取出装置と、を備えたことを特徴とするサンプル採取・母材補修装置。
【請求項2】
前記レーザー加工装置は、前記評価対象機器にレーザービームを照射するレーザー加工ヘッドと、このレーザー加工ヘッドを駆動するレーザー加工ヘッド駆動装置と、前記レーザー加工ヘッドに所望の形状および深さの前記環状溝を加工させるように前記レーザー加工ヘッド駆動装置に対して指令を出力する制御装置とから構成したことを特徴とする請求項1記載のサンプル採取・母材補修装置。
【請求項3】
前記レーザー加工ヘッド駆動装置は、軸線が交差する第1の回転軸および第2の回転軸を備え、第1の回転軸に前記レーザー加工ヘッドを取り付け、前記第2の回転軸で第1の回転軸を支持することにより、前記レーザー加工ヘッドを3次元に位置制御することを可能にしたことを特徴とする請求項1記載のサンプル採取・母材補修装置。
【請求項4】
前記サンプル取出装置は、前記支持体を絶縁性および耐熱性に優れた材質の採取パイプ胴体で構成し、この採取パイプ胴体内に前記取出部を収納するように構成したことを特徴とする請求項1記載のサンプル採取・母材補修装置。
【請求項5】
前記サンプル取出装置を構成する前記取出部は、サンプルを吸着、粘着または挟持する手段で構成されたことを特徴とする請求項3記載のサンプル採取・母材補修装置。
【請求項6】
前記評価対象機器が、発電プラント機器としての蒸気タービン、ガスタービン、発電機または水車であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のサンプル採取・母材補修装置。
【請求項7】
評価対象機器の表面にレーザービームを照射してサンプル取出し用の環状溝を加工する工程と、
前記加工された環状溝内の前記サンプルの根元部分を放電により溶解し母材から根切る工程と、
前記母材から根切られたサンプルを取出す工程と、
サンプル取出し後に母材に形成された堀孔に評価対象機器と同様の成分を有する充填物を充填する工程と、
前記充填物と周囲の評価対象機器母材とをレーザービームにより溶接し補修する工程、とから成るサンプル採取・母材補修方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−150424(P2006−150424A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−346337(P2004−346337)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】