試料作成方法とその方法を実施するための冶具
【課題】 半導体チップの裏面に樹脂が回りこむことを回避して、表面部材が取り付けられている半導体チップに発生している故障を解析するための試料を確実に作成する技術を提供する。
【解決手段】 ワイヤW(表面部材)が取付けられている半導体チップ10に発生している故障を解析するための試料の作成方法であり、定盤40(試料作成用基台)の上面41に半導体チップ10の裏面11に密着する両面テープ30(シート)を配置する工程と、両面テープ30の上面31に半導体チップ10の裏面11を載置する工程と、両面テープ30の上面31に半導体チップ10を取り囲む型枠50を載置する工程と、型枠50内に樹脂60を充填し、ワイヤWと半導体チップ10の両者を樹脂60で封止する工程と、故障箇所Fを半導体チップ10の裏面11から穿孔する工程を備えており、故障箇所Fが内面13a(断面)に露出している試料を作成する。
【解決手段】 ワイヤW(表面部材)が取付けられている半導体チップ10に発生している故障を解析するための試料の作成方法であり、定盤40(試料作成用基台)の上面41に半導体チップ10の裏面11に密着する両面テープ30(シート)を配置する工程と、両面テープ30の上面31に半導体チップ10の裏面11を載置する工程と、両面テープ30の上面31に半導体チップ10を取り囲む型枠50を載置する工程と、型枠50内に樹脂60を充填し、ワイヤWと半導体チップ10の両者を樹脂60で封止する工程と、故障箇所Fを半導体チップ10の裏面11から穿孔する工程を備えており、故障箇所Fが内面13a(断面)に露出している試料を作成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面部材が取り付けられている半導体チップに発生している故障を解析するための試料を作成する方法に関する。また、その試料作成方法を実施するための冶具に関する。
【背景技術】
【0002】
表面部材が取り付けられている半導体チップが知られている。
特許文献1に、表面部材の一例としてボンディングワイヤが取り付けられている半導体チップが記載されている。半導体チップの表面に、導電性のメタルプレート、伝熱板、放熱フィン等の表面部材が取り付けられていることもある。
半導体チップには、種々の要因によって故障が発生していることがある。半導体チップに故障が発生しているときには、発生した故障の状況や要因等を解析する必要がある。このときには、故障箇所が断面に露出している試料を作成する。表面部材が取り付けられている半導体チップでは、表面部材を除去した後に、表面から半導体チップを穿孔することによって上記試料を作成することもできる。しかしながら、表面部材を除去してしまうと、その故障の要因が、半導体チップに表面部材を取り付けたことに拠るか否かを判別できなくなってしまうことがある。表面部材が取り付けられている半導体チップは、表面部材が取り付けられているままの状態で、故障箇所が断面に露出している試料を作成することが好ましい。
【0003】
故障箇所が断面に露出している試料を作成するためには、まず、半導体チップを平面視した面内における故障箇所を、周知のIR-OBIRCH(Infra Red - Optical Beam Induced Resistance Change)法やEMS(Emission MicroScope)法等によって特定する。そして、図18に示すように、表面部材(ここでは、ボンディングワイヤW)と半導体チップ10の両者を樹脂160で封止する。両者を樹脂160で封止する際には、まず、定盤140の上面に半導体チップ10の裏面11を載置する。次に、定盤140の上面に半導体チップ10を取り囲む型枠150を載置する。次に、その型枠150内に樹脂160を充填する。樹脂160で封止したボンディングワイヤWと半導体チップ10を取り出す。半導体チップ10を裏面11から穿孔して故障箇所Fが断面に露出している試料を作成する。この方法によると、ボンディングワイヤWを除去しないで故障箇所Fが断面に露出している試料を作成することができる。故障箇所Fが半導体チップ10の表面12から浅い範囲にある場合には、半導体チップ10を裏面11から穿孔するのに先立って、半導体チップ10の裏面11を研磨して薄板化しておくことが好ましい。
【0004】
【特許文献1】特開2004−205440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、図18に示すように、ボンディングワイヤWと半導体チップ10の両者を樹脂160で封止する際に、定盤140の上面に半導体チップ10の裏面11を載置していた。すると、型枠150内に樹脂を充填するときに、半導体チップ10の裏面11と定盤140の間に樹脂が侵入してしまうことがある。侵入した樹脂160によって、樹脂160が裏面11から突出している突出部161が形成されてしまう。裏面11に一部が突出部161で覆われているので、故障箇所Fの正確な位置を半導体チップ10の裏面11から穿孔し難い。また裏面11から穿孔する工程に先立って、半導体チップ10の裏面11を研磨して半導体チップ10を薄板化する際には、図19に示すように、突出部161も含めた状態で裏面11側から順に研磨される。本来は、裏面11に平行な状態で半導体チップ10を深さL1、そして深さL3と研磨する予定が、突出部161が存在するために、半導体チップ10が深さL101、そして深さL103と研磨されてしまう。半導体チップ10を裏面11と平行な状態で研磨することができない。研磨した後に露出している半導体チップ10の裏面が傾斜しているので、故障箇所Fの正確な位置を半導体チップ10の裏面から穿孔し難い。
本発明は、上記の課題を解決するために創案された。すなわち、本発明は、表面部材が取り付けられている半導体チップに発生している故障を解析するために、半導体チップの裏面に樹脂が回りこむことを回避することによって、故障箇所が断面に露出している試料を確実に作成する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表面部材が取付けられている半導体チップに発生している故障を解析するための試料の作成方法である。
本発明の試料作成方法は、以下の工程を備えている。
・半導体チップを平面視した面内における故障箇所を特定する故障箇所特定工程。
・試料作成用基台の上面に、半導体チップの裏面に密着するシートを配置する工程。
・そのシートの上面に半導体チップの裏面を載置し、シート上面と半導体チップの裏面を密着させる工程。
・シートの上面に半導体チップを取り囲む型枠を載置する工程。
・その型枠内に樹脂を充填し、表面部材と半導体チップの両者を樹脂で封止する工程。
・半導体チップの裏面から前記シートを剥離する工程。
・故障箇所特定工程で特定した故障箇所を半導体チップの裏面から穿孔する穿孔工程。
これらの工程により、故障箇所が断面に露出している試料を作成する。
故障箇所は、穿孔工程で形成した穿孔の内面に露出していてもよい。また、穿孔工程では半導体チップが複数個に分離され、分離された半導体チップの側面に故障箇所が露出していてもよい。
【0007】
上記した試料作成方法では、表面部材と半導体チップの両者を樹脂で封止する際に、半導体チップと試料作成用基台の間に、シートを配置する。シートは半導体チップの裏面に密着するものであればよい。例えば、シートとしては、両面テープやゲルシート等を用いることができる。これにより、型枠内に樹脂を充填する際に、半導体チップの裏面と試料作成用基台の間に樹脂が回りこむことを回避することができる。半導体チップの裏面の全域が露出している状態を得ることができるので、故障箇所の正確な位置を半導体チップの裏面から穿孔することができる。本方法によると、故障箇所が断面に露出している試料を確実に作成することができる。
【0008】
上記した試料作成方法の穿孔工程では、半導体チップを複数個に分離する切れ目を形成してもよい。この場合には、1個の半導体チップから少なくとも2個の試料を形成することができる。半導体チップを分離した後に形成される小さいサイズの試料を用いて故障解析を実施することができる。
【0009】
上記の試料作成方法では、穿孔工程に先立って、半導体チップの裏面を研磨して薄板化する工程を実施することが好ましい。
半導体チップは、その表面から浅い範囲に複雑な構造が形成されていることが多い。したがって、半導体チップの故障箇所は、その表面から浅い範囲に存在することが多い。本方法によると、穿孔工程に先立って、半導体チップの表面から深い範囲は、研磨して除去することができる。本方法によると、穿孔工程で穿孔する距離を短くすることができる。穿孔工程では、例えば、加速したイオンを照射することによって半導体チップを穿孔するので、故障箇所に到達するまでに相応の時間がかかる。本方法によると、故障箇所が断面に露出している試料を短時間で作成することができる。
【0010】
試料作成方法では、上記した故障箇所特定工程に先立って、半導体チップの裏面に形成されている金属部材を除去する工程を実施することが好ましい。
半導体チップの裏面には、裏面電極やリードフレーム等の金属部材が形成されていることがある。上記した試料作成方法のように、半導体チップの裏面に形成されている金属部材を除去すると、既存のIR-OBIRCH (Infra Red - Optical Beam Induced Resistance Change)法やEMS (Emission MicroScope)法等によって、半導体チップを平面視した面内における故障箇所を容易に特定することができる。
【0011】
本発明は、新規な冶具をも実現する。本発明で実現される冶具は、試料作成用基台と、その試料作成用基台の上面に配置されるシートと、そのシートの上面に配置される型枠を備えている。本発明の冶具によって、上記した試料作成方法を実施することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、半導体チップの裏面に樹脂が回りこむことを回避して、表面部材が取り付けられている半導体チップに発生している故障を解析するための試料を確実に作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。
(第1特徴) 表面部材は、ボンディングワイヤとメタルプレートと伝熱板と放熱フィン
とモールドのうちの1又は2以上の組合せである。
(第2特徴) 穿孔工程では、半導体チップを裏面から穿孔した孔の内面に故障箇所を露出させる。
(第3特徴) 穿孔工程では、故障箇所を含む小片の試料を半導体チップから切り出す。小片の試料の側面に故障箇所を露出させる。
(第4特徴) 故障を含む小片の試料をさらに切って、あるいは穿孔して、試料の側面に故障箇所を露出させる。
(第5特徴) 故障箇所特定工程では、IR-OBIRCH(Infra Red - Optical Beam Induced Resistance Change)法あるいはEMS(Emission MicroScope)法によって、半導体チップを平面視した面内における故障箇所を特定する。
(第6特徴) 穿孔工程では、加速されたイオンによって、故障箇所を半導体チップの裏面から穿孔する。
(第7特徴) 加速されたイオンによって半導体チップを裏面から穿孔するために、例えば、収束イオンビーム(FIB; Focused Ion Beam)加工法やイオンミリング法を用いる。
【実施例】
【0014】
図1は、半導体チップ10を上面視した図である。半導体チップ10の表面12には、ゲートパッドGとエミッタパッドEが互いに離間して形成されている。ゲートパッドGとエミッタパッドEは、半導体チップ10の端部領域に形成されている。半導体チップ10の素子形成領域Aには、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を構成する半導体構造が形成されている。
【0015】
図2は、図1のII-II線断面図であり、素子形成領域Aに形成されている半導体構造の要部断面図である。図2に示すように、素子形成領域Aは、半導体層2の表面側に形成されているトレンチゲート電極82を備えている。素子形成領域Aは、半導体層2の表面の一部に露出しているn+型のエミッタ領域84を備えている。エミッタ領域84は、ゲート絶縁膜を介してトレンチゲート電極82と対向している。素子形成領域Aは、半導体層2の表面の他の一部に露出しているp+型のボディコンタクト領域86を備えている。素子形成領域Aは、トレンチゲート電極82の最深部よりも浅い範囲に形成されているp-型のボディ層88を備えている。素子形成領域Aは、ボディ層88の下方に形成されているn-型のドリフト層89を備えている。エミッタ領域84とボディコンタクト領域86が、ボディ層88によってドリフト層89から分離されている。ドリフト層89の下方には、p+型のコレクタ領域72が形成されている。コレクタ領域72は、半導体チップ10の裏面11に露出している。
【0016】
半導体層2の表面には、エミッタ領域84とボディコンタクト領域86と導通しているエミッタ電極80が形成されている。エミッタ電極80とエミッタパッドEが導通している。トレンチゲート電極82とエミッタ電極80の間には絶縁膜が形成されており、両者は導通していない。トレンチゲート電極82の表面に形成されている絶縁膜には、図2の断面以外の断面にコンタクトホールが形成されている。トレンチゲート電極82は、コンタクトホールを介してゲートパッドGと導通している。したがって、ゲートパッドGとエミッタパッドEは、正常な状態では電気的に絶縁されている。なお、本実施例では、半導体層2の表面に形成されているエミッタ電極80やその上方に形成されている表面絶縁膜(図示省略)を含めて半導体チップ10の表面12と称している。
また、半導体チップ10の裏面11には、コレクタ電極70が形成されている。コレクタ電極70とコレクタ領域72が導通している。
【0017】
図1に示すように、ゲートパッドGとエミッタパッドEの各々には、ワイヤボンディングが施される。半導体チップ10をパッケージ化するときには、ゲートパッドGにボンディングされたワイヤWを、外部電位(ゲート電圧)を印加するリード等に接続する。エミッタパッドEにボンディングされたワイヤWを、外部電位(例えば、接地電位)を印加する他のリード等に接続する。なお、コレクタ電極70を、外部電位(例えば、正電位)を印加するリードフレーム等に接続する。半導体チップ10を使用するときには、エミッタパッドEを接地電位に接続した状態で、コレクタ電極70に正電圧を印加するとともに、ゲートパッドGに閾値以上のゲート電圧を印加する。すると、半導体チップ10がオン状態となる。半導体チップ10のエミッタ・コレクタ間に電流が流れる。ゲートパッドGに印加する電圧を閾値未満にすると、半導体チップ10がオフ状態となる。半導体チップ10のエミッタ・コレクタ間に電流が流れなくなる。
【0018】
半導体チップ10の表面12から浅い範囲には、エミッタ領域84やボディコンタクト領域86やトレンチゲート電極82等の複雑な半導体構造が形成される。また、表面12には各種電極やパッドが形成され、パッドにはワイヤWがボンディングされている。このため、半導体チップ10の故障は、表面12から浅い範囲に発生することが多い。
【0019】
以下に、半導体チップ10に故障が発生していることを検出して、その故障を解析するための試料を作成する方法を説明する。
まず、半導体チップ10に故障があるか否かを検出する。本実施例では、図3に示すように、エミッタパッドEとゲートパッドGの絶縁状態を検出する。ゲートパッドGに、電源24のプラス側に導通しているプローブ20を当接させる。エミッタパッドEに、電源24のマイナス側に導通しているプローブ22を当接させる。なお、電源24のマイナス側とプローブ22の間には電流計26を接続する。プローブ22は、接地されている。
電源24の電源電圧V[V]を変更しながら、電流計26でゲートパッドGとエミッタパッドE間に流れる電流I[A]を計測する。
【0020】
図4の破線のグラフOKに示すように、半導体チップ10が正常な状態では、電源24の電圧V[V]に関係なくエミッタパッドEとゲートパッドGの間には、電流I[A]が流れない。
半導体チップ10のいずれかの箇所に故障が発生してエミッタパッドEとゲートパッドG間が絶縁状態となっていないことがある。この場合には、図4の実線のグラフNGに示すように、エミッタパッドEとゲートパッドGの間に電流I[A](リーク電流)が流れる。エミッタパッドEとゲートパッドG間がグラフNGに示す電圧・電流特性を示す半導体チップ10には故障が発生しており、エミッタパッドEとゲートパッドG間が絶縁状態となっていない。
【0021】
次に、図5に示すように、故障が存在することが判別された半導体チップ10を準備し、半導体チップ10の裏面11に形成されているコレクタ電極70(金属部材の一例)を除去する工程を実施する。例えば、半導体チップ11の表面12をレジスト等で保護した後に、コレクタ電極70をエッチングによって除去する。エッチング液は、コレクタ電極70の材質に応じて王水、アンモニア過水、リン酸等を用いる。例えば、コレクタ電極70が、アルミニウムとチタンとニッケルと金の積層構造の場合には、まずエッチング液として王水を用いて金とニッケルの層を除去する。次に、エッチング液としてアンモニア過水を用いてチタンの層を除去する。次に、エッチング液として王水かリン酸を用いてアルミニウムの層を除去する。
【0022】
次に、IR-OBIRCH(Infra Red-Optical Beam Induced Resistance Change)法によって、半導体チップ10を平面視した面内における故障箇所Fを特定する工程を実施する。図3と同様に、ゲートパッドGにプローブ20を当接させる。また、エミッタパッドEにプローブ22を当接させる。図6には、素子形成領域A内に形成されている半導体構造と、プローブ20,22等の接続関係を示す。エミッタ領域84とボディコンタクト領域86は、エミッタ電極80とエミッタパッドEとプローブ22を介して電源24のマイナス側に接続されている。トレンチゲート電極82は、ゲートパッドGとプローブ20を介して電源24のプラス側に接続されている。この状態で、半導体チップ10の裏面11を赤外線レーザIRで走査する。赤外線レーザIRを半導体チップ10に照射すると、照射されている領域が部分的に加熱される。故障箇所Fに赤外線レーザIRが照射されると、故障箇所Fが加熱されて電流が流れ易くなる。
【0023】
図7は、半導体チップ10を表面12側から平面視している。表面12から見るとライン8に沿うように裏面11を赤外線レーザIRで走査すると、図8に示すように、電流計26で検出するリーク電流I[A]が、他の位置と比較して増大する位置がある。他の位置では、リーク電流I[A]が、ほぼ同じ値(Ia[A])を示している。リーク電流I[A]が、他の位置と比較して増大する位置を特定することができる。この位置のいずれかの深さに故障箇所Fが存在することを特定することができる。図7では、故障箇所Fを模式的にバツ印で記載してある。
なお、故障の種類によっては、故障箇所Fに赤外線レーザIRが照射されると、故障箇所Fが加熱されて電流が流れ難くなる場合もある。いずれにしても、リーク電流I[A]が、他の位置と比較して相違する変化を示した位置を特定することができる。この位置のいずれかの深さに故障箇所Fが存在することを特定することができる。
【0024】
次に、図9に示すように、定盤40(試料作成用基台の一例)の上面41に、両面テープ30(半導体チップの裏面に密着するシートの一例)を配置する工程を実施する。
次に、両面テープ30の上面31に半導体チップ10の裏面11を載置する工程を実施する。両面テープ30の上面31と半導体チップ10の裏面11を密着させる。
次に、図10に示すように、両面テープ30の上面31に半導体チップ10を取り囲む型枠50を載置する工程を実施する。
次に、図11に示すように、型枠50内に樹脂60を充填する工程を実施する。ワイヤWと半導体チップ10の両者が樹脂60で封止される。
次に、図12に示すように、樹脂60で封止したワイヤW及び半導体チップ10を、型枠50から取り外す。半導体チップ10の裏面11から両面テープ30を剥離する工程を実施する。
次に、図13に示すように、樹脂60で封止したワイヤW及び半導体チップ10を裏面11側から研磨して薄板化する。故障箇所Fは、半導体チップ10の表面12から浅い範囲に存在することを予測して、半導体チップ10の表面12から深い範囲を研磨して除去する。研磨した後の半導体チップ10の裏面を裏面11aとする。
【0025】
次に、図14と図15に示すように、故障箇所特定工程で特定した故障箇所Fを半導体チップ10の裏面11aから穿孔する工程を実施する。
図14は、裏面11a側を平面視した図である。FIB法やイオンミリング法を用いて、裏面11aと直交する方向に加速されたイオンを範囲13に照射する(例えば、Ga+イオンを、加速エネルギー30kVにて照射する)。加速されたイオンによって、半導体チップ10の範囲13内の原子が叩き出される。図15に示すように、図14の範囲13に孔Hが形成される。範囲13のサイズは外周14が故障箇所Fを通るように設定し、孔Hが形成されたときに、その内面13aに故障箇所Fが露出するように設定する。これにより、孔Hの内面13aに故障箇所Fが露出する。故障箇所Fの故障の状況や故障の要因等を解析することができる。例えば、図6に示すように、本実施例の半導体チップ10では、トレンチゲート電極82を取り囲んでいるゲート絶縁膜が、故障箇所Fで破損していることを解析することができる。
【0026】
本実施例の試料作成方法では、ワイヤWと半導体チップ10の両者を樹脂60で封止する際に、半導体チップ10と定盤40の間に、両面テープ30を配置している。これにより、型枠50内に樹脂60を充填する際に、半導体チップ10の裏面11と定盤40の間に樹脂60が回りこむことを回避することができる。半導体チップ10の裏面11の全域が露出している状態を得ることができる。故障箇所Fの正確な位置を裏面11から穿孔することができる。なお、両面テープ30の代わりに、ゲルシート等を用いてもよい。半導体チップ10と定盤40の間に配置するシートは、少なくとも半導体チップ10の裏面11に密着するシートであればよい。
【0027】
また、本実施例の試料作成方法では、穿孔工程に先立って、半導体チップ10の裏面11を研磨して薄板化している。半導体チップ10は、その表面12から浅い範囲に複雑な構造が形成されていることが多い。したがって、半導体チップ10の故障箇所Fは、その表面12から浅い範囲に存在することが多い。本実施例の試料作成方法によると、穿孔工程に先立って、半導体チップ10の表面12から深い範囲は、研磨して除去することができる。穿孔工程で穿孔する距離を短くすることができる。故障箇所Fが内面13aに露出している試料を、短時間で作成することができる。
【0028】
また、本実施例の試料作成方法では、故障箇所を特定する工程に先立って、半導体チップ10の裏面11に形成されているコレクタ電極70を除去している。これにより、既存のIR-OBIRCH (Infra Red-Optical Beam Induced Resistance Change)法やEMS (Emission MicroScope)法によって、半導体チップを平面視した面内における故障箇所Fを特定することができる。
【0029】
本実施例では、故障箇所Fを孔の内面13aに露出させる場合について説明した。本実施例では、孔Hが形成された状態の半導体チップ10を、故障を解析するための試料としている。図16と図17に示すように、半導体チップ10から複数個の試料を作成してもよい。図16と図17に示す例では、半導体チップ10を、小片14aの試料と残った半導体チップ10の試料に分離している。故障解析には小片14aを用いる。
図16は、半導体チップ10の裏面11a側を平面視した図である。FIB法やイオンミリング法を用いて、範囲13aに、裏面11aと直交する方向に加速されたイオンを照射する。加速されたイオンによって、半導体チップ10の範囲13a内の原子が叩き出される。範囲13aに孔が形成される。範囲13aのサイズは、その外周14cが、小片14aとして切り出す部分を平面視した外形よりも大きくなるように設定する。また、範囲13aのサイズは、小片14aが半導体チップ10から切り出された際に、小片14aのいずれかの側面に故障箇所Fが露出するように設定する。また、小片14aとして切り出す部分が、切り出す途中の工程で半導体チップ10から分離してしまわないように、小片14aとして切り出す部分と半導体チップ10を連結する連結部14bを残しておく。
次に、半導体チップ10を傾け、小片14aとして切り出す部分の底部に、加速されたイオンを照射する。小片14aとして切り出す部分の底部が、半導体チップ10から切り離される。
次に、傾けていた半導体チップ10を元に戻し、加速されたイオンを連結部14bに照射する。連結部14bが半導体チップ10から切り離される。
図17に示すように、半導体チップ10には孔Hが形成されるとともに、半導体チップ10から故障箇所Fを含む小片14aが切り出される。小片14aの試料の側面に故障箇所Fが露出しているので故障解析がし易い。また、切り出した小片14aを用いれば、透過型顕微鏡等によって故障箇所Fの結晶構造等を容易に解析することができる。
なお、故障箇所Fを含む小片を切り出した後に、小片を加工(穿孔、切断等)し、その側面に故障箇所Fを露出させてもよい。また、故障箇所Fを側面に露出させなくとも故障解析をすることができる場合には露出させる必要はない。本発明は、故障箇所を含む(故障箇所が断面に露出していない)試料を、半導体チップ10から切り出す方法も含む。
半導体チップ10に複数個の故障箇所Fが存在する場合には、半導体チップ10からさらに多くの試料を形成してもよい。
【0030】
本実施例では、エミッタパッドEとゲートパッドGの間にリーク電流が流れる故障箇所Fが存在する場合について説明した。本発明は、例えば、エミッタパッドEとコレクタ電極C間の耐圧が低下している故障を解析する場合にも適用することができる。この場合には、図3に示す半導体チップ10に故障があるか否かを検出する工程でプローブ22をエミッタパッドEに当接させる。また、プローブ20をコレクタ電極70に当接させる。これにより、コレクタ・エミッタ間の耐圧が正常であるか否かを検出する。図5に示す半導体チップ10を平面視した面内における故障箇所を特定するときには、プローブ22をエミッタパッドEに当接させる。プローブ20は、コレクタ電極70を除去した半導体チップ10の裏面11に直接当接させる。なお、プローブ20を当接するために、コレクタ電極70をエッチング除去する際に、プローブ20の当接範囲を少し残して除去してもよい。コレクタ・エミッタ間の耐圧を低下させる原因となっている故障の故障箇所F(半導体チップ10を平面視した面内における故障箇所)を特定することができる。
【0031】
本実施例では、半導体チップ10にIGBTが形成されている場合について説明したが、半導体チップ10に形成されている半導体素子はIGBTに限定されるものではない。本発明は、例えば、横型(半導体チップ10の表面に一対の主電極とゲート電極が形成されている型)の半導体素子にも適用することができる。
また、半導体チップ10の裏面11には、コレクタ電極70以外にも種々の金属部材が形成されていることがある。例えば、リードフレームや、半導体チップ10をヒートシンクに半田付けするための金属部材が取り付けられていることがある。半導体チップを平面視した面内における故障箇所FをIR-OBIRCH法によって特定する場合には、故障箇所特定工程に先立って、裏面11に形成されている種々の金属部材を除去することが好ましい。電極(例えばコレクタ電極70)に関しては、上述したように、プローブの当接範囲を少し残しておいてもよい。
また、半導体チップ10の表面12に取り付けられている表面部材は、本実施例のワイヤWに限定されるものではない。種々の表面部材が取り付けられている場合にはその状態のまま、故障を解析するための試料を作成することが好ましい。
また、本実施例では、穿孔工程に先立って、半導体チップ10の裏面11を研磨して薄板化する工程を実施している。薄板化工程を実施するのは、故障箇所Fが半導体チップ10の表面12から浅い範囲に存在することが多いことに起因しているが、薄板化工程は実施しなくてもよい。半導体チップ10の裏面11から故障箇所Fに向けて穿孔してもよい。
【0032】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】半導体チップ10を表面12側から平面視した図である。
【図2】素子形成領域Aの要部断面図である。
【図3】半導体チップ10に故障があるか否かを検査する工程を示す。
【図4】エミッタパッドEとゲートパッドG間に印加する電圧V[V]と電流I[A](リーク電流)の特性を示す。
【図5】コレクタ電極70を除去する工程を示す。
【図6】IR-OBIRCH法により、半導体チップ10を平面視した面内における故障箇所Fを特定する工程を示す。
【図7】IR-OBIRCH法により、半導体チップ10を平面視した面内における故障箇所Fを特定する工程を示す。
【図8】裏面11を赤外線レーザIRで操作したときに、リーク電流I[A]が故障箇所Fが存在する位置で増大していることを示す。
【図9】両面テープ30の上面31と半導体チップ10の裏面11を密着させる工程を示す。
【図10】両面テープ30の上面31に型枠50を載置する工程を示す。
【図11】ワイヤWと半導体チップ10の両者を樹脂60で封止する工程を示す。
【図12】型枠50から樹脂60で封止されたワイヤW及び半導体チップ10を取り出し、両面テープ30を剥離する工程を示す。
【図13】樹脂60で封止されたワイヤW及び半導体チップ10を裏面11側から研磨して薄板化する工程を示す。
【図14】穿孔工程で孔Hを形成する範囲13を示す。
【図15】故障箇所Fを内面13aに露出させた孔Hを有する試料を作成した状態を示す。
【図16】穿孔工程で穿孔する範囲13aを示す。
【図17】半導体チップ10から小片14aの試料を切り出した状態を示す。
【図18】ワイヤWと半導体チップ10の両者を樹脂160で封止する従来の工程を示す。
【図19】半導体チップ10の裏面11から突出している樹脂160の突出部161を示す。
【符号の説明】
【0034】
10:半導体チップ
11,11a:裏面
12:表面
13:範囲
13a:内面
14,14c:外周
14a:小片
14b:連結部
20,22:プローブ
24:電源
26:電流計
30:両面テープ
31,41:上面
40:定盤
50:型枠
60:樹脂
70:コレクタ電極
E:エミッタパッド
F:故障箇所
G:ゲートパッド
H:孔
W:ワイヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面部材が取り付けられている半導体チップに発生している故障を解析するための試料を作成する方法に関する。また、その試料作成方法を実施するための冶具に関する。
【背景技術】
【0002】
表面部材が取り付けられている半導体チップが知られている。
特許文献1に、表面部材の一例としてボンディングワイヤが取り付けられている半導体チップが記載されている。半導体チップの表面に、導電性のメタルプレート、伝熱板、放熱フィン等の表面部材が取り付けられていることもある。
半導体チップには、種々の要因によって故障が発生していることがある。半導体チップに故障が発生しているときには、発生した故障の状況や要因等を解析する必要がある。このときには、故障箇所が断面に露出している試料を作成する。表面部材が取り付けられている半導体チップでは、表面部材を除去した後に、表面から半導体チップを穿孔することによって上記試料を作成することもできる。しかしながら、表面部材を除去してしまうと、その故障の要因が、半導体チップに表面部材を取り付けたことに拠るか否かを判別できなくなってしまうことがある。表面部材が取り付けられている半導体チップは、表面部材が取り付けられているままの状態で、故障箇所が断面に露出している試料を作成することが好ましい。
【0003】
故障箇所が断面に露出している試料を作成するためには、まず、半導体チップを平面視した面内における故障箇所を、周知のIR-OBIRCH(Infra Red - Optical Beam Induced Resistance Change)法やEMS(Emission MicroScope)法等によって特定する。そして、図18に示すように、表面部材(ここでは、ボンディングワイヤW)と半導体チップ10の両者を樹脂160で封止する。両者を樹脂160で封止する際には、まず、定盤140の上面に半導体チップ10の裏面11を載置する。次に、定盤140の上面に半導体チップ10を取り囲む型枠150を載置する。次に、その型枠150内に樹脂160を充填する。樹脂160で封止したボンディングワイヤWと半導体チップ10を取り出す。半導体チップ10を裏面11から穿孔して故障箇所Fが断面に露出している試料を作成する。この方法によると、ボンディングワイヤWを除去しないで故障箇所Fが断面に露出している試料を作成することができる。故障箇所Fが半導体チップ10の表面12から浅い範囲にある場合には、半導体チップ10を裏面11から穿孔するのに先立って、半導体チップ10の裏面11を研磨して薄板化しておくことが好ましい。
【0004】
【特許文献1】特開2004−205440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、図18に示すように、ボンディングワイヤWと半導体チップ10の両者を樹脂160で封止する際に、定盤140の上面に半導体チップ10の裏面11を載置していた。すると、型枠150内に樹脂を充填するときに、半導体チップ10の裏面11と定盤140の間に樹脂が侵入してしまうことがある。侵入した樹脂160によって、樹脂160が裏面11から突出している突出部161が形成されてしまう。裏面11に一部が突出部161で覆われているので、故障箇所Fの正確な位置を半導体チップ10の裏面11から穿孔し難い。また裏面11から穿孔する工程に先立って、半導体チップ10の裏面11を研磨して半導体チップ10を薄板化する際には、図19に示すように、突出部161も含めた状態で裏面11側から順に研磨される。本来は、裏面11に平行な状態で半導体チップ10を深さL1、そして深さL3と研磨する予定が、突出部161が存在するために、半導体チップ10が深さL101、そして深さL103と研磨されてしまう。半導体チップ10を裏面11と平行な状態で研磨することができない。研磨した後に露出している半導体チップ10の裏面が傾斜しているので、故障箇所Fの正確な位置を半導体チップ10の裏面から穿孔し難い。
本発明は、上記の課題を解決するために創案された。すなわち、本発明は、表面部材が取り付けられている半導体チップに発生している故障を解析するために、半導体チップの裏面に樹脂が回りこむことを回避することによって、故障箇所が断面に露出している試料を確実に作成する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、表面部材が取付けられている半導体チップに発生している故障を解析するための試料の作成方法である。
本発明の試料作成方法は、以下の工程を備えている。
・半導体チップを平面視した面内における故障箇所を特定する故障箇所特定工程。
・試料作成用基台の上面に、半導体チップの裏面に密着するシートを配置する工程。
・そのシートの上面に半導体チップの裏面を載置し、シート上面と半導体チップの裏面を密着させる工程。
・シートの上面に半導体チップを取り囲む型枠を載置する工程。
・その型枠内に樹脂を充填し、表面部材と半導体チップの両者を樹脂で封止する工程。
・半導体チップの裏面から前記シートを剥離する工程。
・故障箇所特定工程で特定した故障箇所を半導体チップの裏面から穿孔する穿孔工程。
これらの工程により、故障箇所が断面に露出している試料を作成する。
故障箇所は、穿孔工程で形成した穿孔の内面に露出していてもよい。また、穿孔工程では半導体チップが複数個に分離され、分離された半導体チップの側面に故障箇所が露出していてもよい。
【0007】
上記した試料作成方法では、表面部材と半導体チップの両者を樹脂で封止する際に、半導体チップと試料作成用基台の間に、シートを配置する。シートは半導体チップの裏面に密着するものであればよい。例えば、シートとしては、両面テープやゲルシート等を用いることができる。これにより、型枠内に樹脂を充填する際に、半導体チップの裏面と試料作成用基台の間に樹脂が回りこむことを回避することができる。半導体チップの裏面の全域が露出している状態を得ることができるので、故障箇所の正確な位置を半導体チップの裏面から穿孔することができる。本方法によると、故障箇所が断面に露出している試料を確実に作成することができる。
【0008】
上記した試料作成方法の穿孔工程では、半導体チップを複数個に分離する切れ目を形成してもよい。この場合には、1個の半導体チップから少なくとも2個の試料を形成することができる。半導体チップを分離した後に形成される小さいサイズの試料を用いて故障解析を実施することができる。
【0009】
上記の試料作成方法では、穿孔工程に先立って、半導体チップの裏面を研磨して薄板化する工程を実施することが好ましい。
半導体チップは、その表面から浅い範囲に複雑な構造が形成されていることが多い。したがって、半導体チップの故障箇所は、その表面から浅い範囲に存在することが多い。本方法によると、穿孔工程に先立って、半導体チップの表面から深い範囲は、研磨して除去することができる。本方法によると、穿孔工程で穿孔する距離を短くすることができる。穿孔工程では、例えば、加速したイオンを照射することによって半導体チップを穿孔するので、故障箇所に到達するまでに相応の時間がかかる。本方法によると、故障箇所が断面に露出している試料を短時間で作成することができる。
【0010】
試料作成方法では、上記した故障箇所特定工程に先立って、半導体チップの裏面に形成されている金属部材を除去する工程を実施することが好ましい。
半導体チップの裏面には、裏面電極やリードフレーム等の金属部材が形成されていることがある。上記した試料作成方法のように、半導体チップの裏面に形成されている金属部材を除去すると、既存のIR-OBIRCH (Infra Red - Optical Beam Induced Resistance Change)法やEMS (Emission MicroScope)法等によって、半導体チップを平面視した面内における故障箇所を容易に特定することができる。
【0011】
本発明は、新規な冶具をも実現する。本発明で実現される冶具は、試料作成用基台と、その試料作成用基台の上面に配置されるシートと、そのシートの上面に配置される型枠を備えている。本発明の冶具によって、上記した試料作成方法を実施することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、半導体チップの裏面に樹脂が回りこむことを回避して、表面部材が取り付けられている半導体チップに発生している故障を解析するための試料を確実に作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。
(第1特徴) 表面部材は、ボンディングワイヤとメタルプレートと伝熱板と放熱フィン
とモールドのうちの1又は2以上の組合せである。
(第2特徴) 穿孔工程では、半導体チップを裏面から穿孔した孔の内面に故障箇所を露出させる。
(第3特徴) 穿孔工程では、故障箇所を含む小片の試料を半導体チップから切り出す。小片の試料の側面に故障箇所を露出させる。
(第4特徴) 故障を含む小片の試料をさらに切って、あるいは穿孔して、試料の側面に故障箇所を露出させる。
(第5特徴) 故障箇所特定工程では、IR-OBIRCH(Infra Red - Optical Beam Induced Resistance Change)法あるいはEMS(Emission MicroScope)法によって、半導体チップを平面視した面内における故障箇所を特定する。
(第6特徴) 穿孔工程では、加速されたイオンによって、故障箇所を半導体チップの裏面から穿孔する。
(第7特徴) 加速されたイオンによって半導体チップを裏面から穿孔するために、例えば、収束イオンビーム(FIB; Focused Ion Beam)加工法やイオンミリング法を用いる。
【実施例】
【0014】
図1は、半導体チップ10を上面視した図である。半導体チップ10の表面12には、ゲートパッドGとエミッタパッドEが互いに離間して形成されている。ゲートパッドGとエミッタパッドEは、半導体チップ10の端部領域に形成されている。半導体チップ10の素子形成領域Aには、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を構成する半導体構造が形成されている。
【0015】
図2は、図1のII-II線断面図であり、素子形成領域Aに形成されている半導体構造の要部断面図である。図2に示すように、素子形成領域Aは、半導体層2の表面側に形成されているトレンチゲート電極82を備えている。素子形成領域Aは、半導体層2の表面の一部に露出しているn+型のエミッタ領域84を備えている。エミッタ領域84は、ゲート絶縁膜を介してトレンチゲート電極82と対向している。素子形成領域Aは、半導体層2の表面の他の一部に露出しているp+型のボディコンタクト領域86を備えている。素子形成領域Aは、トレンチゲート電極82の最深部よりも浅い範囲に形成されているp-型のボディ層88を備えている。素子形成領域Aは、ボディ層88の下方に形成されているn-型のドリフト層89を備えている。エミッタ領域84とボディコンタクト領域86が、ボディ層88によってドリフト層89から分離されている。ドリフト層89の下方には、p+型のコレクタ領域72が形成されている。コレクタ領域72は、半導体チップ10の裏面11に露出している。
【0016】
半導体層2の表面には、エミッタ領域84とボディコンタクト領域86と導通しているエミッタ電極80が形成されている。エミッタ電極80とエミッタパッドEが導通している。トレンチゲート電極82とエミッタ電極80の間には絶縁膜が形成されており、両者は導通していない。トレンチゲート電極82の表面に形成されている絶縁膜には、図2の断面以外の断面にコンタクトホールが形成されている。トレンチゲート電極82は、コンタクトホールを介してゲートパッドGと導通している。したがって、ゲートパッドGとエミッタパッドEは、正常な状態では電気的に絶縁されている。なお、本実施例では、半導体層2の表面に形成されているエミッタ電極80やその上方に形成されている表面絶縁膜(図示省略)を含めて半導体チップ10の表面12と称している。
また、半導体チップ10の裏面11には、コレクタ電極70が形成されている。コレクタ電極70とコレクタ領域72が導通している。
【0017】
図1に示すように、ゲートパッドGとエミッタパッドEの各々には、ワイヤボンディングが施される。半導体チップ10をパッケージ化するときには、ゲートパッドGにボンディングされたワイヤWを、外部電位(ゲート電圧)を印加するリード等に接続する。エミッタパッドEにボンディングされたワイヤWを、外部電位(例えば、接地電位)を印加する他のリード等に接続する。なお、コレクタ電極70を、外部電位(例えば、正電位)を印加するリードフレーム等に接続する。半導体チップ10を使用するときには、エミッタパッドEを接地電位に接続した状態で、コレクタ電極70に正電圧を印加するとともに、ゲートパッドGに閾値以上のゲート電圧を印加する。すると、半導体チップ10がオン状態となる。半導体チップ10のエミッタ・コレクタ間に電流が流れる。ゲートパッドGに印加する電圧を閾値未満にすると、半導体チップ10がオフ状態となる。半導体チップ10のエミッタ・コレクタ間に電流が流れなくなる。
【0018】
半導体チップ10の表面12から浅い範囲には、エミッタ領域84やボディコンタクト領域86やトレンチゲート電極82等の複雑な半導体構造が形成される。また、表面12には各種電極やパッドが形成され、パッドにはワイヤWがボンディングされている。このため、半導体チップ10の故障は、表面12から浅い範囲に発生することが多い。
【0019】
以下に、半導体チップ10に故障が発生していることを検出して、その故障を解析するための試料を作成する方法を説明する。
まず、半導体チップ10に故障があるか否かを検出する。本実施例では、図3に示すように、エミッタパッドEとゲートパッドGの絶縁状態を検出する。ゲートパッドGに、電源24のプラス側に導通しているプローブ20を当接させる。エミッタパッドEに、電源24のマイナス側に導通しているプローブ22を当接させる。なお、電源24のマイナス側とプローブ22の間には電流計26を接続する。プローブ22は、接地されている。
電源24の電源電圧V[V]を変更しながら、電流計26でゲートパッドGとエミッタパッドE間に流れる電流I[A]を計測する。
【0020】
図4の破線のグラフOKに示すように、半導体チップ10が正常な状態では、電源24の電圧V[V]に関係なくエミッタパッドEとゲートパッドGの間には、電流I[A]が流れない。
半導体チップ10のいずれかの箇所に故障が発生してエミッタパッドEとゲートパッドG間が絶縁状態となっていないことがある。この場合には、図4の実線のグラフNGに示すように、エミッタパッドEとゲートパッドGの間に電流I[A](リーク電流)が流れる。エミッタパッドEとゲートパッドG間がグラフNGに示す電圧・電流特性を示す半導体チップ10には故障が発生しており、エミッタパッドEとゲートパッドG間が絶縁状態となっていない。
【0021】
次に、図5に示すように、故障が存在することが判別された半導体チップ10を準備し、半導体チップ10の裏面11に形成されているコレクタ電極70(金属部材の一例)を除去する工程を実施する。例えば、半導体チップ11の表面12をレジスト等で保護した後に、コレクタ電極70をエッチングによって除去する。エッチング液は、コレクタ電極70の材質に応じて王水、アンモニア過水、リン酸等を用いる。例えば、コレクタ電極70が、アルミニウムとチタンとニッケルと金の積層構造の場合には、まずエッチング液として王水を用いて金とニッケルの層を除去する。次に、エッチング液としてアンモニア過水を用いてチタンの層を除去する。次に、エッチング液として王水かリン酸を用いてアルミニウムの層を除去する。
【0022】
次に、IR-OBIRCH(Infra Red-Optical Beam Induced Resistance Change)法によって、半導体チップ10を平面視した面内における故障箇所Fを特定する工程を実施する。図3と同様に、ゲートパッドGにプローブ20を当接させる。また、エミッタパッドEにプローブ22を当接させる。図6には、素子形成領域A内に形成されている半導体構造と、プローブ20,22等の接続関係を示す。エミッタ領域84とボディコンタクト領域86は、エミッタ電極80とエミッタパッドEとプローブ22を介して電源24のマイナス側に接続されている。トレンチゲート電極82は、ゲートパッドGとプローブ20を介して電源24のプラス側に接続されている。この状態で、半導体チップ10の裏面11を赤外線レーザIRで走査する。赤外線レーザIRを半導体チップ10に照射すると、照射されている領域が部分的に加熱される。故障箇所Fに赤外線レーザIRが照射されると、故障箇所Fが加熱されて電流が流れ易くなる。
【0023】
図7は、半導体チップ10を表面12側から平面視している。表面12から見るとライン8に沿うように裏面11を赤外線レーザIRで走査すると、図8に示すように、電流計26で検出するリーク電流I[A]が、他の位置と比較して増大する位置がある。他の位置では、リーク電流I[A]が、ほぼ同じ値(Ia[A])を示している。リーク電流I[A]が、他の位置と比較して増大する位置を特定することができる。この位置のいずれかの深さに故障箇所Fが存在することを特定することができる。図7では、故障箇所Fを模式的にバツ印で記載してある。
なお、故障の種類によっては、故障箇所Fに赤外線レーザIRが照射されると、故障箇所Fが加熱されて電流が流れ難くなる場合もある。いずれにしても、リーク電流I[A]が、他の位置と比較して相違する変化を示した位置を特定することができる。この位置のいずれかの深さに故障箇所Fが存在することを特定することができる。
【0024】
次に、図9に示すように、定盤40(試料作成用基台の一例)の上面41に、両面テープ30(半導体チップの裏面に密着するシートの一例)を配置する工程を実施する。
次に、両面テープ30の上面31に半導体チップ10の裏面11を載置する工程を実施する。両面テープ30の上面31と半導体チップ10の裏面11を密着させる。
次に、図10に示すように、両面テープ30の上面31に半導体チップ10を取り囲む型枠50を載置する工程を実施する。
次に、図11に示すように、型枠50内に樹脂60を充填する工程を実施する。ワイヤWと半導体チップ10の両者が樹脂60で封止される。
次に、図12に示すように、樹脂60で封止したワイヤW及び半導体チップ10を、型枠50から取り外す。半導体チップ10の裏面11から両面テープ30を剥離する工程を実施する。
次に、図13に示すように、樹脂60で封止したワイヤW及び半導体チップ10を裏面11側から研磨して薄板化する。故障箇所Fは、半導体チップ10の表面12から浅い範囲に存在することを予測して、半導体チップ10の表面12から深い範囲を研磨して除去する。研磨した後の半導体チップ10の裏面を裏面11aとする。
【0025】
次に、図14と図15に示すように、故障箇所特定工程で特定した故障箇所Fを半導体チップ10の裏面11aから穿孔する工程を実施する。
図14は、裏面11a側を平面視した図である。FIB法やイオンミリング法を用いて、裏面11aと直交する方向に加速されたイオンを範囲13に照射する(例えば、Ga+イオンを、加速エネルギー30kVにて照射する)。加速されたイオンによって、半導体チップ10の範囲13内の原子が叩き出される。図15に示すように、図14の範囲13に孔Hが形成される。範囲13のサイズは外周14が故障箇所Fを通るように設定し、孔Hが形成されたときに、その内面13aに故障箇所Fが露出するように設定する。これにより、孔Hの内面13aに故障箇所Fが露出する。故障箇所Fの故障の状況や故障の要因等を解析することができる。例えば、図6に示すように、本実施例の半導体チップ10では、トレンチゲート電極82を取り囲んでいるゲート絶縁膜が、故障箇所Fで破損していることを解析することができる。
【0026】
本実施例の試料作成方法では、ワイヤWと半導体チップ10の両者を樹脂60で封止する際に、半導体チップ10と定盤40の間に、両面テープ30を配置している。これにより、型枠50内に樹脂60を充填する際に、半導体チップ10の裏面11と定盤40の間に樹脂60が回りこむことを回避することができる。半導体チップ10の裏面11の全域が露出している状態を得ることができる。故障箇所Fの正確な位置を裏面11から穿孔することができる。なお、両面テープ30の代わりに、ゲルシート等を用いてもよい。半導体チップ10と定盤40の間に配置するシートは、少なくとも半導体チップ10の裏面11に密着するシートであればよい。
【0027】
また、本実施例の試料作成方法では、穿孔工程に先立って、半導体チップ10の裏面11を研磨して薄板化している。半導体チップ10は、その表面12から浅い範囲に複雑な構造が形成されていることが多い。したがって、半導体チップ10の故障箇所Fは、その表面12から浅い範囲に存在することが多い。本実施例の試料作成方法によると、穿孔工程に先立って、半導体チップ10の表面12から深い範囲は、研磨して除去することができる。穿孔工程で穿孔する距離を短くすることができる。故障箇所Fが内面13aに露出している試料を、短時間で作成することができる。
【0028】
また、本実施例の試料作成方法では、故障箇所を特定する工程に先立って、半導体チップ10の裏面11に形成されているコレクタ電極70を除去している。これにより、既存のIR-OBIRCH (Infra Red-Optical Beam Induced Resistance Change)法やEMS (Emission MicroScope)法によって、半導体チップを平面視した面内における故障箇所Fを特定することができる。
【0029】
本実施例では、故障箇所Fを孔の内面13aに露出させる場合について説明した。本実施例では、孔Hが形成された状態の半導体チップ10を、故障を解析するための試料としている。図16と図17に示すように、半導体チップ10から複数個の試料を作成してもよい。図16と図17に示す例では、半導体チップ10を、小片14aの試料と残った半導体チップ10の試料に分離している。故障解析には小片14aを用いる。
図16は、半導体チップ10の裏面11a側を平面視した図である。FIB法やイオンミリング法を用いて、範囲13aに、裏面11aと直交する方向に加速されたイオンを照射する。加速されたイオンによって、半導体チップ10の範囲13a内の原子が叩き出される。範囲13aに孔が形成される。範囲13aのサイズは、その外周14cが、小片14aとして切り出す部分を平面視した外形よりも大きくなるように設定する。また、範囲13aのサイズは、小片14aが半導体チップ10から切り出された際に、小片14aのいずれかの側面に故障箇所Fが露出するように設定する。また、小片14aとして切り出す部分が、切り出す途中の工程で半導体チップ10から分離してしまわないように、小片14aとして切り出す部分と半導体チップ10を連結する連結部14bを残しておく。
次に、半導体チップ10を傾け、小片14aとして切り出す部分の底部に、加速されたイオンを照射する。小片14aとして切り出す部分の底部が、半導体チップ10から切り離される。
次に、傾けていた半導体チップ10を元に戻し、加速されたイオンを連結部14bに照射する。連結部14bが半導体チップ10から切り離される。
図17に示すように、半導体チップ10には孔Hが形成されるとともに、半導体チップ10から故障箇所Fを含む小片14aが切り出される。小片14aの試料の側面に故障箇所Fが露出しているので故障解析がし易い。また、切り出した小片14aを用いれば、透過型顕微鏡等によって故障箇所Fの結晶構造等を容易に解析することができる。
なお、故障箇所Fを含む小片を切り出した後に、小片を加工(穿孔、切断等)し、その側面に故障箇所Fを露出させてもよい。また、故障箇所Fを側面に露出させなくとも故障解析をすることができる場合には露出させる必要はない。本発明は、故障箇所を含む(故障箇所が断面に露出していない)試料を、半導体チップ10から切り出す方法も含む。
半導体チップ10に複数個の故障箇所Fが存在する場合には、半導体チップ10からさらに多くの試料を形成してもよい。
【0030】
本実施例では、エミッタパッドEとゲートパッドGの間にリーク電流が流れる故障箇所Fが存在する場合について説明した。本発明は、例えば、エミッタパッドEとコレクタ電極C間の耐圧が低下している故障を解析する場合にも適用することができる。この場合には、図3に示す半導体チップ10に故障があるか否かを検出する工程でプローブ22をエミッタパッドEに当接させる。また、プローブ20をコレクタ電極70に当接させる。これにより、コレクタ・エミッタ間の耐圧が正常であるか否かを検出する。図5に示す半導体チップ10を平面視した面内における故障箇所を特定するときには、プローブ22をエミッタパッドEに当接させる。プローブ20は、コレクタ電極70を除去した半導体チップ10の裏面11に直接当接させる。なお、プローブ20を当接するために、コレクタ電極70をエッチング除去する際に、プローブ20の当接範囲を少し残して除去してもよい。コレクタ・エミッタ間の耐圧を低下させる原因となっている故障の故障箇所F(半導体チップ10を平面視した面内における故障箇所)を特定することができる。
【0031】
本実施例では、半導体チップ10にIGBTが形成されている場合について説明したが、半導体チップ10に形成されている半導体素子はIGBTに限定されるものではない。本発明は、例えば、横型(半導体チップ10の表面に一対の主電極とゲート電極が形成されている型)の半導体素子にも適用することができる。
また、半導体チップ10の裏面11には、コレクタ電極70以外にも種々の金属部材が形成されていることがある。例えば、リードフレームや、半導体チップ10をヒートシンクに半田付けするための金属部材が取り付けられていることがある。半導体チップを平面視した面内における故障箇所FをIR-OBIRCH法によって特定する場合には、故障箇所特定工程に先立って、裏面11に形成されている種々の金属部材を除去することが好ましい。電極(例えばコレクタ電極70)に関しては、上述したように、プローブの当接範囲を少し残しておいてもよい。
また、半導体チップ10の表面12に取り付けられている表面部材は、本実施例のワイヤWに限定されるものではない。種々の表面部材が取り付けられている場合にはその状態のまま、故障を解析するための試料を作成することが好ましい。
また、本実施例では、穿孔工程に先立って、半導体チップ10の裏面11を研磨して薄板化する工程を実施している。薄板化工程を実施するのは、故障箇所Fが半導体チップ10の表面12から浅い範囲に存在することが多いことに起因しているが、薄板化工程は実施しなくてもよい。半導体チップ10の裏面11から故障箇所Fに向けて穿孔してもよい。
【0032】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】半導体チップ10を表面12側から平面視した図である。
【図2】素子形成領域Aの要部断面図である。
【図3】半導体チップ10に故障があるか否かを検査する工程を示す。
【図4】エミッタパッドEとゲートパッドG間に印加する電圧V[V]と電流I[A](リーク電流)の特性を示す。
【図5】コレクタ電極70を除去する工程を示す。
【図6】IR-OBIRCH法により、半導体チップ10を平面視した面内における故障箇所Fを特定する工程を示す。
【図7】IR-OBIRCH法により、半導体チップ10を平面視した面内における故障箇所Fを特定する工程を示す。
【図8】裏面11を赤外線レーザIRで操作したときに、リーク電流I[A]が故障箇所Fが存在する位置で増大していることを示す。
【図9】両面テープ30の上面31と半導体チップ10の裏面11を密着させる工程を示す。
【図10】両面テープ30の上面31に型枠50を載置する工程を示す。
【図11】ワイヤWと半導体チップ10の両者を樹脂60で封止する工程を示す。
【図12】型枠50から樹脂60で封止されたワイヤW及び半導体チップ10を取り出し、両面テープ30を剥離する工程を示す。
【図13】樹脂60で封止されたワイヤW及び半導体チップ10を裏面11側から研磨して薄板化する工程を示す。
【図14】穿孔工程で孔Hを形成する範囲13を示す。
【図15】故障箇所Fを内面13aに露出させた孔Hを有する試料を作成した状態を示す。
【図16】穿孔工程で穿孔する範囲13aを示す。
【図17】半導体チップ10から小片14aの試料を切り出した状態を示す。
【図18】ワイヤWと半導体チップ10の両者を樹脂160で封止する従来の工程を示す。
【図19】半導体チップ10の裏面11から突出している樹脂160の突出部161を示す。
【符号の説明】
【0034】
10:半導体チップ
11,11a:裏面
12:表面
13:範囲
13a:内面
14,14c:外周
14a:小片
14b:連結部
20,22:プローブ
24:電源
26:電流計
30:両面テープ
31,41:上面
40:定盤
50:型枠
60:樹脂
70:コレクタ電極
E:エミッタパッド
F:故障箇所
G:ゲートパッド
H:孔
W:ワイヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面部材が取付けられている半導体チップに発生している故障を解析するための試料の作成方法であり、
半導体チップを平面視した面内における故障箇所を特定する故障箇所特定工程と、
試料作成用基台の上面に、半導体チップの裏面に密着するシートを配置する工程と、
そのシートの上面に半導体チップの裏面を載置し、シート上面と半導体チップの裏面とを密着させる工程と、
前記シートの上面に半導体チップを取り囲む型枠を載置する工程と、
その型枠内に樹脂を充填し、表面部材と半導体チップの両者を樹脂で封止する工程と、
半導体チップの裏面から前記シートを剥離する工程と、
前記の故障箇所特定工程で特定した故障箇所を半導体チップの裏面から穿孔する穿孔工程とを備えており、故障箇所が断面に露出している試料を作成する試料作成方法。
【請求項2】
前記穿孔工程で、半導体チップを複数個に分離する切れ目を形成し、
1個の半導体チップから少なくとも2個の試料を形成することを特徴とする請求項1に記載の試料作成方法。
【請求項3】
試料作成用基台と、
その試料作成用基台の上面に配置されるシートと、
そのシートの上面に配置される型枠を備えており、
請求項1又は2に記載の試料作成方法を実施するための冶具。
【請求項1】
表面部材が取付けられている半導体チップに発生している故障を解析するための試料の作成方法であり、
半導体チップを平面視した面内における故障箇所を特定する故障箇所特定工程と、
試料作成用基台の上面に、半導体チップの裏面に密着するシートを配置する工程と、
そのシートの上面に半導体チップの裏面を載置し、シート上面と半導体チップの裏面とを密着させる工程と、
前記シートの上面に半導体チップを取り囲む型枠を載置する工程と、
その型枠内に樹脂を充填し、表面部材と半導体チップの両者を樹脂で封止する工程と、
半導体チップの裏面から前記シートを剥離する工程と、
前記の故障箇所特定工程で特定した故障箇所を半導体チップの裏面から穿孔する穿孔工程とを備えており、故障箇所が断面に露出している試料を作成する試料作成方法。
【請求項2】
前記穿孔工程で、半導体チップを複数個に分離する切れ目を形成し、
1個の半導体チップから少なくとも2個の試料を形成することを特徴とする請求項1に記載の試料作成方法。
【請求項3】
試料作成用基台と、
その試料作成用基台の上面に配置されるシートと、
そのシートの上面に配置される型枠を備えており、
請求項1又は2に記載の試料作成方法を実施するための冶具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2009−288029(P2009−288029A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140040(P2008−140040)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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