説明

誘導性負荷制御装置

【課題】オーバーシュート、アンダーシュート及びリンギングを抑制しながら電流目標値に短時間で到達することができる誘導性負荷制御装置を提供する。
【解決手段】誘導性負荷を制御する誘導性負荷制御装置であって、前記誘導性負荷2に供給する電流目標値が入力されて複数のフィルタパラメータを使用して微分特性を発揮する目標値フィルタ3と、該目標値フィルタのフィルタ出力に基づいて前記誘導性負荷に供給する負荷電流を制御する誘導性負荷制御部4と、前記目標値フィルタの各フィルタパラメータを複数の選択条件毎に格納するパラメータ記憶部5と、前記選択条件を検出する選択条件検出部61と、該選択条件検出部で検出された選択条件に基づいて前記パラメータ記憶部から当該選択条件に合致する各フィルタパラメータを選択して前記目標値フィルタに組込むパラメータ選択処理部62とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用自動変速機等に適用可能なリニアソレノイドアクチュエータに使用される誘導性負荷制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用自動変速機に使用されるリニアソレノイドにおける電流制御については、PWM(パルス幅変調)制御によって誘導性負荷に流れる電流を制御する方法がある。
図10は、従来の誘導性負荷駆動制御装置が適用される閉ループ制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
図10において、リニアソレノイドなどの誘導性負荷105の一端には、誘導性負荷105を駆動する駆動回路103が接続され、誘導性負荷105の他端には、電流検出抵抗107が直列接続されている。そして、駆動回路103の前段には、PWM制御をアナログ処理で行う駆動制御回路102が接続され、駆動制御回路102の前段には、D/Aコンバータ101が接続されている。
【0003】
また、電流検出抵抗107の両端には、誘導性負荷105に流れる電流の平均値を検出する平均電流検出回路104が接続され、平均電流検出回路104の出力側は駆動制御回路102に接続されている。
そして、誘導性負荷105に流れる電流の目標値を示す電流値制御情報FCは、D/Aコンバータ101にてアナログデータに変換された後、駆動制御回路102に入力される。また、誘導性負荷105のインダクタンスLに流れる電流Ifは電流検出抵抗107に流れ、誘導性負荷105に流れる負荷電流Ifの平均値IAVRが平均電流検出回路104にて検出され、駆動制御回路102に入力される。
また、駆動制御回路102は、誘導性負荷105に流れる電流Ifの平均値IAVRが電流値制御情報FCで示される目標値に一致するようにPWM信号を生成し、駆動回路103のスイッチング素子をオン/オフ制御することで、誘導性負荷105に流れる電流IfをPWM制御する。
【0004】
図11は、従来の誘導性負荷駆動制御装置が適用される閉ループ制御系の概略構成のその他の例を示すブロック図である。
図11において、誘導性負荷105の一端には駆動回路103が接続され、誘導性負荷105の他端には電流検出抵抗107が直列接続されている。そして、駆動回路103の前段には、PWM制御をデジタル処理で行う駆動制御回路112が接続されている。
また、電流検出抵抗107の両端には平均電流検出回路114が接続され、平均電流検出回路114の出力側はA/Dコンバータ111を介して駆動制御回路112に接続されている。
【0005】
そして、誘導性負荷105に流れる電流の目標値を示す電流値制御情報FCは駆動制御回路112に入力される。また、誘導性負荷105のインダクタンスLに流れる電流Ifは電流検出抵抗107に流れ、誘導性負荷105に流れる電流Ifの平均値IAVRが平均電流検出回路114にて検出され、その平均値IAVRがA/Dコンバータ111にてデジタルデータに変換された後、駆動制御回路112に入力される。
【0006】
また、駆動制御回路112は、誘導性負荷105に流れる負荷電流Ifの平均値IAVRが電流値制御情報FCで示される目標値に一致するようにPID制御を行うPWM信号を生成し、駆動回路103のスイッチング素子をオン/オフ制御することで、誘導性負荷105に流れる電流IfをPWM制御する。
【0007】
図12は、従来の誘導性負荷駆動制御装置によるPWM制御時の誘導性負荷105の電流Ifの波形を形式的に示すタイミングチャートである。
図12において、誘導性負荷105の電流Ifは、PWM信号がハイレベルの時に増加するとともに、PWM信号がロウレベルの時に減少し、その電流Ifの平均値IAVRが電流値制御情報FCで示される目標値に一致するように制御される。
なお、PWM信号の状態(ハイレベル、ロウレベル)は、駆動回路103に使用されるスイッチング素子の機能によって決定され、上の例では、PWM信号の状態がハイレベルの時にオン、PWM信号の状態がロウレベルの時にオフに移行するスイッチング素子を前提としている。
【0008】
図13は、従来の誘導性負荷制御装置を車両用油圧作動式変速機装置に組込んだ構成を示すブロック図である。
図13において、直接リニアソレノイド121を制御する駆動回路とこの駆動回路を制御するための駆動制御回路とを一体化した駆動制御装置124が、変速機全体を制御する電子制御ユニット122内に構成されている。
【0009】
また、従来、ソレノイドアクチュエータに対する電流指令値を受信するインタフェース回路、ソレノイドアクチュエータで均一特性を得るための補正特性パラメータを記憶する特性パラメータ記憶素子、PWM(パルス幅変調)制御回路、駆動回路、ソレノイドアクチュエータの負荷電流を検出する電流検出用抵抗、平均電流検出回路及び温度センサを有するリニアソレノイド制御回路を備えたリニアソレノイドモジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
また、ソレノイドを車両の挙動制御装置の油圧制御回路に配置し、前記車両の状態に応じて前記目標電流値をなまし処理するなまし処理手段と、なまし処理された目標電流値と、前記ソレノイドに流れた電流値との偏差に基づいて、前記ソレノイドを制御する電気信号を設定する電気信号設定手段とを備えたソレノイド制御装置が知られている(例えば、特許文献2参照)
【0011】
さらに、自動変速機の油温を検出する手段と、予め定められたマップから実際の自動変速機の油温及びソレノイド内の油温の双方に基づいて、前記ソレノイドの立ち上がり特性を制御する自動変速機のソレノイド駆動装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
また、ソレノイドへの指令値が変更されたときに、一時的に目標指令値よりオーバーシュートさせた後に目標指令値に戻す手段と、油温を検出する手段と、前記オーバーシュートの程度を、前記油温に依存して決定する手段とを備えた自動変速機の油圧制御装置が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−242806号公報
【特許文献2】特許第3622436号行公報
【特許文献3】特許第3205444号公報
【特許文献4】特開平7−77271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記図13に示す従来例にあっては、車両用油圧作動式変速機に組込んだリニアソレノイドを駆動制御するために、直接リニアソレノイドを制御する駆動回路とこの駆動回路を制御するための駆動制御回路とを一体化した駆動制御装置が、変速機全体を制御する電子制御ユニット122内に構成されている。変速機に組込むリニアソレノイドは温度依存特性を有するため、駆動制御装置を開発する場合には、電子制御ユニットに内蔵されるマイクロコンピュータの制御プログラム中に温度補正を行うためのパラメータを定義し、変速機の製造工程において、それら定義されたパラメータを調整し、変速機毎に最適なパラメータを設定する必要がある。
【0014】
このようなパラメータの設定に対して特許文献1に記載された従来例では、リニアソレノイドモジュール内に、均一特性を得るための補正特性情報を記憶する情報記憶部と、この情報記憶部に記憶された補正特性情報に友付いて補正処理を行う制御回路とを備えることにより、リニアソレノイドモジュール自体で特性補正処理を行ってパラメータ調整を簡易化することができる。
【0015】
しかしながら、自動変速機では、電流目標値に対して、第1に、オーバーシュート/アンダーシュート/リンギングを生じることが無いことが要求される(以下、要求事項1と称す)。また、第2に、短時間に電流目標値に到達する高速応答性が要求される(以下、要求事項2と称す)。
このため、図11に示す誘導性負荷駆動制御装置では、要求事項2を実現するためには、PID補償制御の微分制御(D制御)のチューニングを行うことで、実現することができるが、一方で要求事項1を満足することは困難となり、要求事項1と要求事項2とはトレードオフの関係となる。
【0016】
一方、引用文献2に記載された従来例のように、なまし処理(フィルタ)を追加した制御装置では、要求事項1を満足することは可能であるが、要求事項2に対してはなまし処理(フィルタ)自体が電流目標値に到達するまでに一定の時間を要することから最適制御を行うことができないという未解決の課題がある。
【0017】
さらに、引用文献3及び4に記載された従来例のように、電流目標値に一時的なオーバーシュートを与える制御では、自動変速機の油温およびソレノイド内油温を考慮した上で、電流目標値の変化量の大小にかかわらず一律にオーバーシュート量(電流I、時間T)を加える制御であるため、要求事項2に対しては最適制御を行うことができないという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、オーバーシュート、アンダーシュート及びリンギングを抑制しながら電流目標値に短時間で到達することができる誘導性負荷制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、請求項1に係る誘導性負荷制御装置の第1の態様は、誘導性負荷を制御する誘導性負荷制御装置であって、前記誘導性負荷に供給する電流目標値が入力されて複数のフィルタパラメータを使用して微分特性を発揮する目標値フィルタと、該目標値フィルタのフィルタ出力に基づいて前記誘導性負荷に供給する負荷電流を制御する誘導性負荷制御部と、前記目標値フィルタの各フィルタパラメータを複数の選択条件毎に格納するパラメータ記憶部と、前記選択条件を検出する選択条件検出部と、該選択条件検出部で検出された選択条件に基づいて前記パラメータ記憶部から当該選択条件に合致する各フィルタパラメータを選択して前記目標値フィルタに組込むパラメータ選択処理部とを備えている。
【0019】
また、本発明に係る誘導性負荷制御装置の第2の態様は、誘導性負荷を制御する誘導性負荷制御装置であって、前記誘導性負荷に供給する電流目標値が入力されて複数のフィルタパラメータを使用して微分特性を発揮する目標値フィルタと、前記誘導性負荷に流れる負荷電流を検出する電流検出部と、該電流検出部で検出した負荷電流と前記目標値フィルタのフィルタ出力との偏差を補償する複数の補償パラメータを使用して補償処理を行うPI補償器とを少なくとも有して前記誘導性負荷に供給する電流を制御する誘導性負荷制御部と、前記目標値フィルタの各フィルタパラメータと前記PI補償器の各補償パラメータとを複数の選択条件毎に格納するパラメータ記憶部と、前記選択条件を検出する選択条件検出部と、該選択条件検出部で検出された選択条件に基づいて前記パラメータ記憶部から当該選択条件に合致する各フィルタパラメータ及び各補償パラメータを選択して前記目標値フィルタ及び前記PI補償器に組込むパラメータ選択処理部とを備えている。
【0020】
また、本発明に係る誘導性負荷制御装置の第3の態様は、前記目標値フィルタは、入力される電流目標値をe1(n)とし、前回サンプリング時の電流目標値をe1(n-1)とし、フィルタ出力をy(n)とし、前回フィルタ出力値をy(n-1)とし、前記フィルタパラメータをF0、F1及びF2としたとき、
y(n)=F0×y(n-1)+F1×(e1(n)−e1(n-1))+F2×e1(n)
で表されるフィルタ出力y(n)を出力する。
【0021】
また、本発明に係る誘導性負荷制御装置の第4の態様は、前記P1補償器は、入力される偏差をe2(n)とし、前回サンプリング時の偏差をe2(n-1)とし、補償出力をd(n)とし、前回補償出力をd(n-1)とし、パラメータをC0、C1としたときに、
d(n)=C0×e2(n)+C1×e2(n-1)+d(n-1)
で表される補償出力d(n)を出力する。
【0022】
また、本発明に係る誘導性負荷制御装置の第5の態様は、前記電流目標値の増減を検出する目標値変化検出部を有し、前記パラメータ記憶部は、前記目標値フィルタのフィルタパラメータを前記電流目標値の立ち上がり用パラメータ及び立ち下がり用パラメータに分けて記憶し、前記パラメータ選択処理部は、前記目標値変化検出部で電流目標値の減少を検出したときに前記立ち下がりパラメータを選択し、前記電流目標値の増加を検出したときに前記立ち上がりパラメータを選択する。
【0023】
また、本発明に係る誘導性負荷制御装置の第6の態様は、前記目標値変化検出部は、今回の電流目標値e1(n)から前回の電流目標値e1(n-1)を減算した値の符号が負であるときに目標値の減少と判定し、今回の電流目標値e1(n)から前回の電流目標値e1(n-1)を減算した値の符号が正であるときに目標値の増加と判定する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、複数のフィルタパラメータを使用して微分特性を発揮する目標値フィルタに電流目標値を入力し、この目標値フィルタのフィルタ出力を誘導性負荷制御部に供給して誘導性負荷に供給する電流を制御するようにしているので、目標値フィルタの微分特性によってオーバーシュートやアンダーシュート及びリンギングを生じることなく、且つ電流目標値に短時間で到達する高速応答性を持ってリニアソレノイドアクチュエータ等の誘導性負荷を制御することができるという効果を有する。
【0025】
また、目標値フィルタのフィルタパラメータをパラメータ記憶部に、複数の選択条件毎に格納し、選択条件入力部で入力した選択条件にしたがってパラメータ選択処理部で
フィルタパラメータを選択して目標値フィルタに組込むことにより、誘導性負荷制御装置自体で、目標値フィルタのパラメータ設定を行うことができ、自動変速機に組込んだ場合に、自動変速機の電子制御ユニットでのパラメータ調整を簡易化することができる。
このため、誘導性負荷制御装置を自動変速機に組込んだ場合に、電子制御ユニットの制御プログラムの最適化処理期間を短縮することができるとともに、電子制御ユニットの演算処理負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】目標値フィルタの具体的構成を示すブロック図である。
【図3】図1の誘導性負荷制御装置の具体的構成を示すブロック図である。
【図4】選択条件と対応するパラメータを記憶したパラメータマップの例を示す図である。
【図5】選択条件検出部の具体的構成について説明するためのブロック図である。
【図6】目標値フィルタのフィルタ出力特性を示す図であって、(a)は電流指令値の変化が小さい場合の応答波形、(b)は電流指令の変化が大きい場合の応答と波形である。
【図7】目標値フィルタの有無による誘導性負荷の平均電流値応答波形を示す波形図である。
【図8】電流目標値と目標値フィルタを使用した場合の誘導性負荷の電流リップル応答波形を示す特性線図である。
【図9】本発明の第2の実施形態を示す誘導性負荷制御装置を示すブロック図である。
【図10】従来の誘導性負荷駆動制御装置が適用される閉ループ制御系の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図11】従来の誘導性負荷駆動制御装置が適用される閉ループ制御系の概略構成のその他の例を示すブロック図である。
【図12】従来の誘導性負荷駆動制御装置によるPWM制御時の誘導性負荷の電流波形を示すタイミングチャートである。
【図13】従来例の変速機制御装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態を示すブロック図であって、図中、1は自動変速機などに使用するリニアソレノイド等の誘導性負荷2を制御する誘導性負荷制御装置である。
この誘導性負荷制御装置1は、外部のECU(Electronic Control Unit)から電流目標値e1(n)が入力される微分特性を有する目標値フィルタ3と、この目標値フィルタ3のフィルタ出力が入力される誘導性負荷制御部4とを備えている。
【0028】
また、誘導性負荷制御装置1は、目標値フィルタ3及び誘導性負荷制御部4で使用する各種パラメータを選択条件と共にパラメータマップとして格納したパラメータ記憶部5と、このパラメータ記憶部5に記憶されたパラメータを選択条件にしたがって選択して目標値フィルタ3及び誘導性負荷制御部4へ組込むパラメータ選択部6とを備えている。
【0029】
目標値フィルタ3は、図2に示すように構成され、減算器3a、ラッチ回路3b,3f、乗算器3c,3d,3g、および加算器3eを備えている。すなわち、電流目標値e1(n)が一方の入力側に直接入力される減算器3aと、前回サンプリング時の電流目標値e1(n-1)を保持するラッチ回路3bとをまず備えている。ラッチ回路3bで保持された前回サンプリング時の電流目標値e1(n-1)が減算器3aの他方の入力側に供給されている。そして、減算器3aの減算出力がフィルタパラメータF1が供給された乗算器3cに入力される。
【0030】
この乗算器3cの乗算出力が加算器3eに供給されている。また、電流目標値e1(n)がフィルタパラメータF2が入力された乗算器3dに入力され、この乗算器3dの乗算出力が前述した加算器3eに入力されている。
加算器3eから出力されるフィルタ出力y(n)は、外部に出力されると共に、ラッチ回路3fに供給されて前回サンプリング時のフィルタ出力y(n-1)としてラッチされる。
【0031】
このラッチ回路3fでラッチされた前回サンプリング時のフィルタ出力y(n-1)がフィルタパラメータF0が入力された乗算器3gに入力されている。この乗算器3gから出力される乗算出力が前述した加算器3eに供給されている。
この目標値フィルタ3のフィルタ出力y(n)は、下記(1)式で表すことができる。
y(n)=F0×y(n-1)+F1×(e1(n)−e1(n-1))+F2×e1(n)………(1)
【0032】
また、誘導性負荷制御部4は、図3に示すように構成されている。すなわち、誘導性負荷2に流れる負荷電流の平均電流を検出する平均電流検出回路41と、この平均電流検出回路41から出力される平均電流Imと目標値フィルタ3から出力されるフィルタ出力y(n)との電流偏差e2(n)を演算する減算器42と、この減算器42から出力される電流偏差e2(n)が入力されてPI(比例・積分)補償処理を行うPI補償器43と、このPI補償器43から出力される補償出力をパルス幅変調処理(PWM)してパルス幅変調信号に変換するPWM変換回路44と、このPWM変換回路44から出力されるPWM信号が入力されて誘導性負荷2に電流を供給する駆動回路としてのパワースイッチ回路45とを備えている。
【0033】
ここで、PI補償器43は、入力される電流偏差e2(n)に対して比例・微分補償処理を行うもので、下記(2)式の演算を行って補償出力d(n)を算出する。
d(n)=C0×e2(n)+C1×e2(n-1)+d(n-1) …………(2)
ここで、C0及びC1は補償パラメータ、e2(n-1)は前回サンプリング時の電流偏差、d(n−1)は前回サンプリング時の補償出力d(n)である。
【0034】
また、パワースイッチ回路45は、後述の図5に示すように、車両に搭載されたバッテリ7と接地との間に直列に接続されたPチャネル電界効果トランジスタQ1と、Nチャネル電界効果トランジスタQ2とを有する。そして、電界効果トランジスタQ1のドレインとQ2のドレインとの接続点に誘導性負荷2の一端が接続され、誘導性負荷2の他端が電流検出用のシャント抵抗Rsを介して接地されている。
【0035】
図3に示すパラメータ記憶部5は、図4に示すパラメータマップを記憶している。このパラメータマップは、図4に示すように、選択条件と、フィルタパラメータF0〜F2と、補償パラメータC0,C1とを対応付けて記憶している。
すなわち、選択条件としては、PWM変換回路44から出力されるPWM信号の周波数fpwmとパワースイッチ回路45に供給されるバッテリ7のバッテリ電圧Vbatと、誘導性負荷2の寄生負荷抵抗RLとが設定されている。
【0036】
そして、PWM信号の各周波数fpwmに対して複数のバッテリ電圧Vbatが設定され、各バッテリ電圧Vbatに対して複数の寄生負荷抵抗RLが設定されている。そして、各寄生負荷抵抗RLに対応させてフィルタパラメータF0〜F2及び補償パラメータC0,C1が設定されている。ここで、フィルタパラメータF0〜F2及び補償パラメータC0,C1の値は、第一の方法として、予め数値解析ソフトウェアを用いてシミュレーションすることにより算出する。すなわち、パラメータを変化させながらトライ アンド エラーで図3に示す回路構成のシミュレーションを繰り返し、よい結果が得られたときのパラメータを抽出することにより、パラメータマップを生成する。また、第二の方法として、実機評価試験によりパラメータ値を得る。
【0037】
なお、図1のパラメータ選択部6は、図3に示すように、パラメータマップの選択条件を検出する選択条件検出部61と、この選択条件検出部61で検出した選択条件に基づいてパラメータ記憶部5に格納されたパラメータマップを参照して各フィルタパラメータF0〜F2と各補償パラメータC0,C1を選択するパラメータ選択処理部62とからなっている。
【0038】
ここで、選択条件検出部61は、図5に示すように構成されている。すなわち、選択条件検出部61は、図5に示すように、パワースイッチ回路45に供給されるバッテリ7のバッテリ電圧Vbatを検出するバッテリ電圧検出回路61aと、このバッテリ電圧検出回路61aで検出したバッテリ電圧Vbatと、シャント抵抗Rsの端子電圧でなる電流検出電圧Vsとが入力されて寄生負荷抵抗RL(=Rs×(Vbat−Vs)/Vs)を演算する負荷抵抗検出回路61bと、PWM変換回路44から出力されるPWM信号の周波数fpwmを設定するPWM周波数設定回路61cとを備えている。なお、RL=Rs×(Vbat−Vs)/Vsという式は、シャント抵抗Rsに流れる電流(Vs/Rs)と寄生負荷抵抗RLに流れる電流((Vbat−Vs)/RL)が等しいことから導出される。
【0039】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
先ず、図3において、目標値フィルタ3が使用するフィルタパラメータF0〜F2及びPI補償器43が使用する補償パラメータC0,C1を設定するパラメータ選択処理部62について説明する。
このパラメータ選択処理部62では、選択条件検出部61のバッテリ電圧検出回路61aで図5のバッテリ7のバッテリ電圧Vbatを検出する。これと同時に、負荷抵抗検出回路61bで、バッテリ電圧検出回路61aで検出したバッテリ電圧Vbatと図5のシャント抵抗Rsの端子電圧でなる電流検出電圧Vsとシャント抵抗Rsの抵抗値Rsより寄生負荷抵抗RL(=Rs×(Vbat−Vs)/Vs)を算出する。さらに、PWM周波数設定回路61cでパワースイッチ回路45のPWM信号の動作周波数fpwmを設定する。
【0040】
そして、これらバッテリ電圧検出回路61aで検出したバッテリ電圧Vbat、負荷抵抗検出回路61bで検出した寄生負荷抵抗RL及びPWM周波数設定回路61cで設定したPWM周波数fpwmをパラメータ選択処理部62に入力する。
このパラメータ選択処理部62では、入力されたバッテリ電圧Vbat、寄生負荷抵抗RL及びPWM周波数fpwmの選択条件をもとに、パラメータ記憶部5を参照して、選択条件に合致するフィルタパラメータF0〜F2及び補償パラメータC0,C1を選択する。すなわち、選択条件が、例えばPWM周波数fpwmが50Hzであり、バッテリ電圧Vbatが10Vであり、寄生負荷抵抗RLが4Ωであるときには、図4に示すパラメータマップを参照することにより、補償パラメータC0=0.49、C1=−0.19、フィルタパラメータF0=0.28、F1=4.6、F2=0.48が選択される。
【0041】
そして、パラメータ選択処理部62で、選択したフィルタパラメータF0〜F2を目標値フィルタ3に供給して、前記(1)式におけるフィルタパラメータF0〜F2を組込むと共に、補償パラメータC0,C1をPI補償器43に供給して、前記(2)式における補償パラメータC0,C1を組込む。
これにより、誘導性負荷2の作動状態に対応した目標値フィルタ3でのフィルタ処理及びPI補償器43でのPI補償処理が可能となる。
【0042】
このパラメータ設定処理は常時所定周期で実行されており、誘導性負荷2の作動状態の変化に追従して最適なパラメータ設定が行われる。
このように、図3の目標値フィルタ3及びPI補償器43で、最適なパラメータが設定されている状態で、外部のECUから図6及び図7に示すステップ状の電流目標値e1(n)が目標値フィルタ3に入力されると、この目標値フィルタ3で微分特性となる例えばハイパスフィルタ処理が行われる。
【0043】
この目標値フィルタ3では、図2の減算器3aから出力されるステップ入力の変化量すなわち現在の電流目標値e1(n)から前回サンプリング時の電流目標値e1(n-1)を減算した値でなる目標値偏差に乗算するフィルタパラメータF1が4.6となって、フィルタパラメータF0〜F2のうちで一番大きな値となる。
【0044】
このため、目標値フィルタ3のフィルタ出力y(n)は、電流目標値e1(n)と前回サンプリング時の電流目標値e1(n-1)との目標値変化量が小さい場合には、図6(a)の破線で示すように、ピーク値が比較的小さい微分波形となる。逆に、電流目標値e1(n)と前回サンプリング時の電流目標値e1(n-1)との目標値変化量が大きい場合には、図6(b)の破線で示すように、ピーク値が比較的大きい微分波形となる。
【0045】
そして、目標値フィルタ3から出力されるフィルタ出力y(n)が誘導性負荷制御部4に供給されるので、この誘導性負荷制御部4で、フィルタ出力y(n)と平均電流Imとの偏差に応じた電流が誘導性負荷2に供給される。
すなわち、誘導性負荷制御部4では、誘導性負荷2に流れる負荷電流Ifの平均電流Imが平均電流検出回路41で検出され、この平均電流Imとフィルタ出力y(n)との電流偏差e2(n)が減算器42で算出される。
そして、この電流偏差e2(n)がPI補償器43に入力される。このため、PI補償器43では、設定されたパラメータC0=0.50,C1=−0.19に基づいて前述した(2)式のPI補償演算処理が行われて、補償出力d(n)が算出される。
【0046】
この補償出力d(n)がPWM変換回路44に供給されることにより、補償出力d(n)に応じたデューティ比のPWM信号が生成される。このPWM信号がパワースイッチ回路45に供給されることにより、Pチャネル電界効果トランジスタQ1及びNチャネル電界効果トランジスタQ2は一方がオン状態であるときに他方がオフ状態となるようにPWM制御され、Pチャネル電界効果トランジスタQ1がオン状態であるときに誘導性負荷2にバッテリ7から電流が供給される。これにより、誘導性負荷2にPWM信号のデューティ比に応じた電流をバッテリ7から供給することができる。
【0047】
ここで、選択条件が例えばPWM周波数fpwm=300Hz、寄生負荷抵抗RL=3.83Ω、バッテリ電圧Vbat=9Vである場合に、電流目標値e1(n)が、図7の細い破線で図示するように、時点t1において比較的小さいステップ量で増加し、時点t2においても比較的小さいステップ量で増加し、時点t3において比較的大きいステップ量で増加し、その後時点t4において比較的大きいステップ量で減少し、時点t5において比較的小さいステップ量で減少する場合を例にとって説明する。
【0048】
このとき、時点t1では、電流目標値e1(n)の変化量が小さいので、目標値フィルタ3のフィルタ出力y(n)も細い実線L1で示すように比較的小さい微分波形となり、平均電流検出回路41で検出される平均電流も太い実線L2で示すように、比較的緩やかに上昇する。
同様に、時点t2でも、電流目標値e1(n)の変化量が時点t1よりは大きいが比較的小さいので、比較的小さい微分波形となり、平均電流検出回路41で検出される平均電流の立ち上がりが比較的早くなる。
【0049】
そして、時点t3では、電流目標値e1(n)の増加量が大きいので、目標値フィルタ3のフィルタ出力y(n)が細い実線L1で示すように急激に増加する。このため、平均電流検出回路41で検出される平均電流が太い実線L2で示すように、急峻に立ち上がって比較的短い時間で電流目標値にオーバーシュートを生じることなく到達し、その後のリンギングも発生しない。
【0050】
その後、時点t4では、電流目標値e1(n)の減少量が大きいので、目標値フィルタ3のフィルタ出力y(n)が細い実線L1で示すように急激に減少する。このため、平均電流検出回路41で検出される平均電流が太い実線L2で示すように、急峻に立ち下がって比較的短い時間で電流目標値にアンダーシュートを生じることなく短時間で到達し、その後のリンギングも発生しない。
【0051】
そして、時点t5では、電流目標値e1(n)の減少量が小さいので、目標値フィルタ3のフィルタ出力y(n)も細い実線L1で示すように比較的小さい微分波形となり、平均電流検出回路41で検出される平均電流も太い実線L2で示すように、比較的緩やかに減少する。
そして、目標値フィルタ3を設けた場合の誘導性負荷2に流れる電流リップル応答波形は、図8に示すようになり、電流目標値に応答性よく追従したものとなる。
【0052】
因みに、目標値フィルタ3を省略した場合には、破線の特性線L3で示すように、平均電流の立ち上がり及び立ち下がりが目標値フィルタ3を設けた場合に比較して緩やかになり、電流目標値に到達するまでの時間が長くなる。
この結果、上記第1の実施形態によると、微分特性を有する目標値フィルタ3を設けることにより、前述したオーバーシュート/アンダーシュート/リンギングを生じることが無いことが要求される要求事項1と、短時間に電流目標値に到達する高速応答性が要求される要求事項2とを同時に満足することができる。
【0053】
しかも、目標値フィルタ3及びPI補償器43のパラメータの設定処理が、パラメータ記憶部5と、選択条件検出部61及びパラメータ選択処理部62からなるパラメータ選択部6とを誘導性負荷制御装置1に設けるようにしたので、誘導性負荷制御装置自体で、目標値フィルタのパラメータ設定を行うことができ、誘導性負荷制御装置1を自動変速機に組込んだ場合に、自動変速機の電子制御ユニットでのパラメータ調整を簡易化することができる。
【0054】
このため、誘導性負荷制御装置を自動変速機に組込んだ場合に、電子制御ユニットの制御プログラムの最適化処理期間を短縮することができるとともに、電子制御ユニットの演算処理負荷を軽減することができる。
さらに、誘導性負荷制御部4の電流偏差e2(n)の補償部をPI補償器43として比例及び積分補償のみを行うようにしているので、目標値フィルタ3の微分特性に対して過剰となる微分補償を行うことがないので、安定した補償制御を行うことができる。
【0055】
次に、本発明の第2の実施形態を図9により説明する。
この第2の実施形態では、電流目標値の増減によって目標値フィルタ3及びPI補償器43の立ち上がり用パラメータと立ち下がり用パラメータとを個別に設定するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図9に示すように、パラメータ記憶部5に目標値フィルタ3に対する立ち上がり用パラメータF0u〜F2uと立ち下がり用パラメータF0d〜F2dとを記憶するともに、PI補償器43に対する立ち上がり用パラメータC0u,C1uと立ち下がり用パラメータC0d,C1dを記憶する。
【0056】
一方、目標値フィルタ3内に、電流目標値e1(n)の増減を検出する目標値変化検出部71を設け、この目標値変化検出部71で検出した目標値の増減を表す目標値変化信号Stcをパラメータ選択処理部62に供給する。このパラメータ選択処理部62では、目標値が増加した場合には、立ち上がりパラメータF0u〜F2u、C0u,C1uを選択して目標値フィルタ3及びPI補償器43に組込み、目標値が減少した場合には、立ち下がりパラメータF0d〜F2d、C0d,C1dを目標値フィルタ3及びPI補償器43に組込む。
【0057】
ここで、目標値変化検出部71は、現在の電流目標値e1(n)から前回サンプリング時の電流目標値e1(n-1)を減算した目標値変化量の符号が負であるときすなわちe1(n)−e1(n-1)<0であるときに電流目標値e1(n)の減少と判定し、現在の電流目標値e1(n)から前回サンプリング時の電流目標値e1(n-1)を減算した目標値変化量の符号が正であるときすなわちe1(n)−e1(n-1)>0であるときに電流目標値e1(n)の増加と判定する。そして、電流目標値が増加したと判定したときに目標値変化信号Stcを例えば論理値“1”とし、電流目標値が減少したと判定したときに目標値変化信号Stcを論理値“0”とする。
【0058】
この第2の実施形態によると、電流目標値e1(n)の増減に応じて目標値フィルタ3及びPI補償器43のパラメータを立ち上がり用パラメータ及び立ち下がり用パラメータに設定するので、電流目標値e1(n)の増減に応じてきめ細かくパラメータを設定することができ、より最適なパラメータ設定を行うことができる。
【0059】
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、目標値フィルタ3及びPI補償器43の双方のパラメータを選択条件に応じて変更する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、PI補償器43のパラメータを固定とし、目標値フィルタ3のパラメータのみを変更するようにしてもよい。また、各パラメータの全てを選択条件に応じて変更する必要はなく、場合によって、小さい値のパラメータF0,F2,C1のうちの何れか1つ又は複数を固定値に設定することもできる。
【0060】
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、誘導性負荷制御部4でPI補償制御を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、微分補償を弱めとしたPID補償制御又はPD補償制御を行うようにしてもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態においては、誘導性負荷制御装置1及び誘導性負荷2を自動変速機の油圧制御装置に組込む場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の制御機器の油圧制御装置に組込むこともできる。さらにいえば、誘導性負荷を制御するものであればよく、油圧制御装置に限定するものでもない。
【符号の説明】
【0061】
1…誘導性負荷制御装置
2…誘導性負荷
3…目標値フィルタ
4…誘導性負荷制御部
5…パラメータ記憶部
6…パラメータ選択部
7…バッテリ
41…平均電流検出回路
42…減算器
43…PI補償器
44…PWM変換回路
45…パワースイッチ回路
61…選択条件検出部
61a…バッテリ電圧検出回路
61b…負荷抵抗検出回路
61c…PWM周波数設定回路
62…パラメータ選択処理部
71…目標値変化検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導性負荷を制御する誘導性負荷制御装置であって、
前記誘導性負荷に供給する電流目標値が入力されて複数のフィルタパラメータを使用して微分特性を発揮する目標値フィルタと、
該目標値フィルタのフィルタ出力に基づいて前記誘導性負荷に供給する負荷電流を制御する誘導性負荷制御部と、
前記目標値フィルタの各フィルタパラメータを複数の選択条件毎に格納するパラメータ記憶部と、
前記選択条件を検出する選択条件検出部と、
該選択条件検出部で検出された選択条件に基づいて前記パラメータ記憶部から当該選択条件に合致する各フィルタパラメータを選択して前記目標値フィルタに組込むパラメータ選択処理部と
を備えていることを特徴とする誘導性負荷制御装置。
【請求項2】
誘導性負荷を制御する誘導性負荷制御装置であって、
前記誘導性負荷に供給する電流目標値が入力されて複数のフィルタパラメータを使用して微分特性を発揮する目標値フィルタと、
前記誘導性負荷に流れる負荷電流を検出する電流検出部と、該電流検出部で検出した負荷電流と前記目標値フィルタのフィルタ出力との偏差を補償する複数の補償パラメータを使用して補償処理を行うPI補償器とを少なくとも有して前記誘導性負荷に供給する電流を制御する誘導性負荷制御部と、
前記目標値フィルタの各フィルタパラメータと前記PI補償器の各補償パラメータとを複数の選択条件毎に格納するバラメータ記憶部と、
前記選択条件を検出する選択条件検出部と、
該選択条件検出部で検出された選択条件に基づいて前記パラメータ記憶部から当該選択条件に合致する各フィルタパラメータ及び各補償パラメータを選択して前記目標値フィルタ及び前記PI補償器に組込むパラメータ選択処理部と
を備えていることを特徴とする誘導性負荷制御装置。
【請求項3】
前記目標値フィルタは、入力される電流目標値をe1(n)とし、前回サンプリング時の電流目標値をe1(n-1)とし、フィルタ出力をy(n)とし、前回フィルタ出力値をy(n-1)とし、前記フィルタパラメータをF0、F1及びF2としたとき、
y(n)=F0×y(n-1)+F1×(e1(n)−e1(n-1))+F2×e1(n)
で表されるフィルタ出力y(n)を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の誘導性負荷制御装置。
【請求項4】
前記P1補償器は、入力される偏差をe2(n)とし、前回サンプリング時の偏差をe2(n-1)とし、補償出力をd(n)とし、前回補償出力をd(n-1)とし、パラメータをC0、C1としたときに、
d(n)=C0×e2(n)+C1×e2(n-1)+d(n-1)
で表される補償出力d(n)を出力することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の誘導性負荷制御装置。
【請求項5】
前記電流目標値の増減を検出する目標値変化検出部を有し、
前記パラメータ記憶部は、前記目標値フィルタのフィルタパラメータを前記電流目標値の立ち上がり用パラメータ及び立ち下がり用パラメータに分けて記憶し、
前記パラメータ選択処理部は、前記目標値変化検出部で電流目標値の減少を検出したときに前記立ち下がりパラメータを選択し、前記電流目標値の増加を検出したときに前記立ち上がりパラメータを選択することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の誘導性負荷制御装置。
【請求項6】
前記目標値変化検出部は、今回の電流目標値e1(n)から前回の電流目標値e1(n-1)を減算した値の符号が負であるときに目標値の減少と判定し、今回の電流目標値e1(n)から前回の電流目標値e1(n-1)を減算した値の符号が正であるときに目標値の増加と判定することを特徴とする請求項5に記載の誘導性負荷制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−87790(P2013−87790A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225916(P2011−225916)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】