誘導発熱ローラ装置
【課題】 ローラの内部に配置した誘導発熱機構を、両側の支持ロッド７Ａ，７Ｂを介して、ローラの両側の各駆動軸内に挿入した軸受で支持する誘導発熱ローラ装置において、誘導発熱機構あるいは支持ロッドのたわみに対する軸受への悪影響を簡単に低減すること。
【解決手段】 誘導発熱機構に固定した支持ロッドを、ローラの駆動軸内に挿通し、前記支持ロッドを、軸受を介して前記駆動軸の内面で支持することにより、前記誘導発熱機構を前記ローラ内に宙吊り状態で保持してなる誘導発熱ローラ装置において、支持ロッド７Ａ、７Ｂの外面と駆動軸３Ａ、３Ｂの内面との間に弾性部材１４を配置し、この弾性部材１４と軸受１０Ａ、１０Ｂを介して支持ロッド７Ａ、７Ｂを駆動軸３Ａ、３Ｂの内面で支持する。
【解決手段】 誘導発熱機構に固定した支持ロッドを、ローラの駆動軸内に挿通し、前記支持ロッドを、軸受を介して前記駆動軸の内面で支持することにより、前記誘導発熱機構を前記ローラ内に宙吊り状態で保持してなる誘導発熱ローラ装置において、支持ロッド７Ａ、７Ｂの外面と駆動軸３Ａ、３Ｂの内面との間に弾性部材１４を配置し、この弾性部材１４と軸受１０Ａ、１０Ｂを介して支持ロッド７Ａ、７Ｂを駆動軸３Ａ、３Ｂの内面で支持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は誘導発熱ローラ装置、詳しくはローラ内に宙吊り状態で保持してなる誘導発熱機構の支持構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
たとえばプラスチックフイルム、紙、布、不織布、金属箔などのシート材あるいはウエブ材の連続熱処理工程において、適度の温度に誘導発熱して回転するローラが使用されることは、すでによく知られており、具体的には、内部を中空としたローラの両側に一体的にジャーナルを取り付け、このジャーナルと一体の駆動軸を機台に対して回転自在に支持するとともに、ローラの内部に誘導発熱機構を配置し、駆動軸に対して軸受によって支持することにより、誘導発熱機構をローラの内部において宙吊り状態で保持することにより構成されている。
【０００３】
このような誘導発熱ローラ装置の従来例を示したのが図６である。この構成を説明すると、１はローラ、２Ａ，２Ｂはローラ１の両側に取り付けられたジャーナル、３Ａ，３Ｂは各ジャーナル２Ａ，２Ｂに一体であって、かつ中空の駆動軸で、これは軸受４Ａ，４Ｂを介して機台５に回転自在に支持されている。６は誘導発熱機構で、筒状の鉄心８と、その外周に巻装されている誘導コイル９とによって構成されている。
【０００４】
７Ａ，７Ｂは誘導発熱機構６を固定した支持ロッドで、各支持ロッドはそれぞれ駆動軸３Ａ，３Ｂの内部に挿通されてあり、軸受１０Ａ，１０Ｂを介して駆動軸３Ａ，３Ｂに対して支持されている。これにより誘導発熱機構６は、ローラ１の内部において宙吊り状態で支持されることになる。１１は誘導コイル９に接続されるリード線で、一方の支持ロッド７Ｂ内を通り、その外端から外部に導出され、所要の交流電源に接続されている。１２は支持ロッド７Ｂがローラ１の回転に連れられて回転することのないようにするための回り止め具である。
【特許文献１】特開２００３−１５７９６２号公報
【０００５】
このようにローラ１の内部に配置した誘導発熱機構６を、両側の支持ロッド７Ａ，７Ｂを介して、各駆動軸３Ａ，３Ｂと軸受１０Ａ、１０Ｂで支持する構成においては、誘導発熱機構６あるいは支持ロッド７Ａ，７Ｂのたわみが避けられず、そのために軸受４Ａ，４Ｂや１０Ａ，１０Ｂに不規則な負荷が加わり、軸受の寿命が短いといった問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明が解決しようとする課題は、ローラの内部に配置した誘導発熱機構を、両側の支持ロッド７Ａ，７Ｂを介して、ローラの両側の各駆動軸内に挿入した軸受で支持する誘導発熱ローラ装置において、誘導発熱機構あるいは支持ロッドのたわみに対する軸受への悪影響を簡単に低減し、もって斯かる問題を解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、誘導発熱機構に固定した支持ロッドを、ローラの駆動軸内に挿通し、前記支持ロッドを、軸受を介して前記駆動軸の内面で支持することにより、前記誘導発熱機構を前記ローラ内に宙吊り状態で保持してなる誘導発熱ローラ装置において、前記支持ロッドと前記軸受間または前記駆動軸の内面と前記軸受間のいずれかの間に弾性部材を配置してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【０００８】
本発明によれば、支持ロッドと軸受間または駆動軸の内面と軸受間のいずれかの間に弾性部材を配置しているので、誘導発熱機構あるいは支持ロッドのたわみは、この弾性部材が吸収し、たわみによる軸受への不規則な負荷の加わりが緩和され、軸受の寿命を延ばすことができる。また、この緩和により誘導発熱機構や支持ロッドの振動を抑制し、さらにはローラの滑らかな回転を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
ローラの内部に配置した誘導発熱機構を、両側の支持ロッドを介して、ローラの両側の各駆動軸内に挿入した軸受で支持する誘導発熱ローラ装置において、誘導発熱機構あるいは支持ロッドのたわみに対する軸受への悪影響を簡単に低減する目的を、弾性部材を介して軸受を設置することにより実現した。
【実施例１】
【００１０】
図１は、本発明の実施例に係る誘導発熱ローラ装置の支持ロッドの軸受部を示す断面図である。なお、ローラおよび誘導発熱機構の構成は図６と同様であるので図１では省略し、図６に示す誘導発熱ローラ装置と対応する部分には同一の符号を付している。図１において、３Ａ，３Ｂは図６に示す誘導発熱ローラ装置と同様のローラ１の両側に取り付けられたジャーナル２Ａ、２Ｂのそれぞれと一体の中空の駆動軸、７Ａ，７Ｂは図６に示す誘導発熱ローラ装置と同様の誘導発熱機構６を固定した支持ロッド、１０Ａ、１０Ｂは軸受、１３は軸受１０Ａ、１０Ｂの内径と支持ロッド７Ａ、７Ｂの隙間を埋める円筒状のスペーサ、１４は弾性部材例えばゴム製からなるＯリングである。
【００１１】
各支持ロッド７Ａ，７Ｂはそれぞれ駆動軸３Ａ，３Ｂの内部に挿通されてあり、弾性Ｏリング１４、円筒状のスペーサ１３および軸受１０Ａ、１０Ｂにより駆動軸３Ａ，３Ｂに対して支持されている。この支持により、誘導発熱機構をローラの内部において宙吊り状態で保持され、誘導発熱機構あるいは支持ロッド７Ａ，７Ｂのたわみは、この弾性Ｏリング１４の弾性変形で吸収し、たわみによる軸受への不規則な負荷の加わりが緩和される。
【００１２】
なお、図１に示す実施例１では、弾性Ｏリング１４を各支持ロッド７Ａ，７Ｂに装着しているが、弾性Ｏリング１４を、図２に示すように円筒状のスペーサ１３に装着し、各支持ロッド７Ａ，７Ｂを、円筒状のスペーサ１３、弾性Ｏリング１４および軸受１０Ａ、１０Ｂにより駆動軸３Ａ，３Ｂに対して支持してもよい。また、弾性Ｏリング１４を、図３に示すように駆動軸３Ａ，３Ｂの内周面に装着し、各支持ロッド７Ａ，７Ｂを、円筒状のスペーサ１３、軸受１０Ａ、１０Ｂおよび弾性Ｏリング１４により駆動軸３Ａ，３Ｂに対して支持してもよい。
【００１３】
さらに、以上の実施例では、弾性部材をＯリングとしているが、図４に示すように、弾性部材を筒状のゴム製ライニング１５とし、各支持ロッド７Ａ，７Ｂを、弾性ライニング１５、円筒状のスペーサ１３および軸受１０Ａ、１０Ｂにより駆動軸３Ａ，３Ｂに対して支持してもよい。さらにまた図５に示すように、円筒状のスペーサ１３を駆動軸３Ａ，３Ｂの内周面側に嵌合し、スペーサ１３の外周面に弾性ライニング１５を装着し、各支持ロッド７Ａ，７Ｂを、軸受１０Ａ、１０Ｂ、円筒状のスペーサ１３および弾性ライニング１５により駆動軸３Ａ，３Ｂに対して支持してもよい。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】本発明の実施例に係る誘導発熱ローラ装置の支持ロッドの軸受部を示す断面図である。
【図２】本発明の他の実施例に係る誘導発熱ローラ装置の支持ロッドの軸受部を示す断面図である。
【図３】本発明の他の実施例に係る誘導発熱ローラ装置の支持ロッドの軸受部を示す断面図である。
【図４】本発明の他の実施例に係る誘導発熱ローラ装置の支持ロッドの軸受部を示す断面図である。
【図５】本発明の他の実施例に係る誘導発熱ローラ装置の支持ロッドの軸受部を示す断面図である。
【図６】誘導発熱ローラ装置の一例の全体構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【００１５】
１ ローラ
３Ａ、３Ｂ 駆動軸
６ 誘導発熱機構
７Ａ、７Ｂ 支持ロッド
１０Ａ、１０Ｂ 軸受
１３ スペーサ
１４、１５ 弾性部材
【技術分野】
【０００１】
本発明は誘導発熱ローラ装置、詳しくはローラ内に宙吊り状態で保持してなる誘導発熱機構の支持構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
たとえばプラスチックフイルム、紙、布、不織布、金属箔などのシート材あるいはウエブ材の連続熱処理工程において、適度の温度に誘導発熱して回転するローラが使用されることは、すでによく知られており、具体的には、内部を中空としたローラの両側に一体的にジャーナルを取り付け、このジャーナルと一体の駆動軸を機台に対して回転自在に支持するとともに、ローラの内部に誘導発熱機構を配置し、駆動軸に対して軸受によって支持することにより、誘導発熱機構をローラの内部において宙吊り状態で保持することにより構成されている。
【０００３】
このような誘導発熱ローラ装置の従来例を示したのが図６である。この構成を説明すると、１はローラ、２Ａ，２Ｂはローラ１の両側に取り付けられたジャーナル、３Ａ，３Ｂは各ジャーナル２Ａ，２Ｂに一体であって、かつ中空の駆動軸で、これは軸受４Ａ，４Ｂを介して機台５に回転自在に支持されている。６は誘導発熱機構で、筒状の鉄心８と、その外周に巻装されている誘導コイル９とによって構成されている。
【０００４】
７Ａ，７Ｂは誘導発熱機構６を固定した支持ロッドで、各支持ロッドはそれぞれ駆動軸３Ａ，３Ｂの内部に挿通されてあり、軸受１０Ａ，１０Ｂを介して駆動軸３Ａ，３Ｂに対して支持されている。これにより誘導発熱機構６は、ローラ１の内部において宙吊り状態で支持されることになる。１１は誘導コイル９に接続されるリード線で、一方の支持ロッド７Ｂ内を通り、その外端から外部に導出され、所要の交流電源に接続されている。１２は支持ロッド７Ｂがローラ１の回転に連れられて回転することのないようにするための回り止め具である。
【特許文献１】特開２００３−１５７９６２号公報
【０００５】
このようにローラ１の内部に配置した誘導発熱機構６を、両側の支持ロッド７Ａ，７Ｂを介して、各駆動軸３Ａ，３Ｂと軸受１０Ａ、１０Ｂで支持する構成においては、誘導発熱機構６あるいは支持ロッド７Ａ，７Ｂのたわみが避けられず、そのために軸受４Ａ，４Ｂや１０Ａ，１０Ｂに不規則な負荷が加わり、軸受の寿命が短いといった問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明が解決しようとする課題は、ローラの内部に配置した誘導発熱機構を、両側の支持ロッド７Ａ，７Ｂを介して、ローラの両側の各駆動軸内に挿入した軸受で支持する誘導発熱ローラ装置において、誘導発熱機構あるいは支持ロッドのたわみに対する軸受への悪影響を簡単に低減し、もって斯かる問題を解消する点にある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明は、誘導発熱機構に固定した支持ロッドを、ローラの駆動軸内に挿通し、前記支持ロッドを、軸受を介して前記駆動軸の内面で支持することにより、前記誘導発熱機構を前記ローラ内に宙吊り状態で保持してなる誘導発熱ローラ装置において、前記支持ロッドと前記軸受間または前記駆動軸の内面と前記軸受間のいずれかの間に弾性部材を配置してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【０００８】
本発明によれば、支持ロッドと軸受間または駆動軸の内面と軸受間のいずれかの間に弾性部材を配置しているので、誘導発熱機構あるいは支持ロッドのたわみは、この弾性部材が吸収し、たわみによる軸受への不規則な負荷の加わりが緩和され、軸受の寿命を延ばすことができる。また、この緩和により誘導発熱機構や支持ロッドの振動を抑制し、さらにはローラの滑らかな回転を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
ローラの内部に配置した誘導発熱機構を、両側の支持ロッドを介して、ローラの両側の各駆動軸内に挿入した軸受で支持する誘導発熱ローラ装置において、誘導発熱機構あるいは支持ロッドのたわみに対する軸受への悪影響を簡単に低減する目的を、弾性部材を介して軸受を設置することにより実現した。
【実施例１】
【００１０】
図１は、本発明の実施例に係る誘導発熱ローラ装置の支持ロッドの軸受部を示す断面図である。なお、ローラおよび誘導発熱機構の構成は図６と同様であるので図１では省略し、図６に示す誘導発熱ローラ装置と対応する部分には同一の符号を付している。図１において、３Ａ，３Ｂは図６に示す誘導発熱ローラ装置と同様のローラ１の両側に取り付けられたジャーナル２Ａ、２Ｂのそれぞれと一体の中空の駆動軸、７Ａ，７Ｂは図６に示す誘導発熱ローラ装置と同様の誘導発熱機構６を固定した支持ロッド、１０Ａ、１０Ｂは軸受、１３は軸受１０Ａ、１０Ｂの内径と支持ロッド７Ａ、７Ｂの隙間を埋める円筒状のスペーサ、１４は弾性部材例えばゴム製からなるＯリングである。
【００１１】
各支持ロッド７Ａ，７Ｂはそれぞれ駆動軸３Ａ，３Ｂの内部に挿通されてあり、弾性Ｏリング１４、円筒状のスペーサ１３および軸受１０Ａ、１０Ｂにより駆動軸３Ａ，３Ｂに対して支持されている。この支持により、誘導発熱機構をローラの内部において宙吊り状態で保持され、誘導発熱機構あるいは支持ロッド７Ａ，７Ｂのたわみは、この弾性Ｏリング１４の弾性変形で吸収し、たわみによる軸受への不規則な負荷の加わりが緩和される。
【００１２】
なお、図１に示す実施例１では、弾性Ｏリング１４を各支持ロッド７Ａ，７Ｂに装着しているが、弾性Ｏリング１４を、図２に示すように円筒状のスペーサ１３に装着し、各支持ロッド７Ａ，７Ｂを、円筒状のスペーサ１３、弾性Ｏリング１４および軸受１０Ａ、１０Ｂにより駆動軸３Ａ，３Ｂに対して支持してもよい。また、弾性Ｏリング１４を、図３に示すように駆動軸３Ａ，３Ｂの内周面に装着し、各支持ロッド７Ａ，７Ｂを、円筒状のスペーサ１３、軸受１０Ａ、１０Ｂおよび弾性Ｏリング１４により駆動軸３Ａ，３Ｂに対して支持してもよい。
【００１３】
さらに、以上の実施例では、弾性部材をＯリングとしているが、図４に示すように、弾性部材を筒状のゴム製ライニング１５とし、各支持ロッド７Ａ，７Ｂを、弾性ライニング１５、円筒状のスペーサ１３および軸受１０Ａ、１０Ｂにより駆動軸３Ａ，３Ｂに対して支持してもよい。さらにまた図５に示すように、円筒状のスペーサ１３を駆動軸３Ａ，３Ｂの内周面側に嵌合し、スペーサ１３の外周面に弾性ライニング１５を装着し、各支持ロッド７Ａ，７Ｂを、軸受１０Ａ、１０Ｂ、円筒状のスペーサ１３および弾性ライニング１５により駆動軸３Ａ，３Ｂに対して支持してもよい。
【図面の簡単な説明】
【００１４】
【図１】本発明の実施例に係る誘導発熱ローラ装置の支持ロッドの軸受部を示す断面図である。
【図２】本発明の他の実施例に係る誘導発熱ローラ装置の支持ロッドの軸受部を示す断面図である。
【図３】本発明の他の実施例に係る誘導発熱ローラ装置の支持ロッドの軸受部を示す断面図である。
【図４】本発明の他の実施例に係る誘導発熱ローラ装置の支持ロッドの軸受部を示す断面図である。
【図５】本発明の他の実施例に係る誘導発熱ローラ装置の支持ロッドの軸受部を示す断面図である。
【図６】誘導発熱ローラ装置の一例の全体構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【００１５】
１ ローラ
３Ａ、３Ｂ 駆動軸
６ 誘導発熱機構
７Ａ、７Ｂ 支持ロッド
１０Ａ、１０Ｂ 軸受
１３ スペーサ
１４、１５ 弾性部材
【特許請求の範囲】
【請求項１】
誘導発熱機構に固定した支持ロッドを、ローラの駆動軸内に挿通し、前記支持ロッドを、軸受を介して前記駆動軸の内面で支持することにより、前記誘導発熱機構を前記ローラ内に宙吊り状態で保持してなる誘導発熱ローラ装置において、前記支持ロッドと前記軸受間または前記駆動軸の内面と前記軸受間のいずれかの間に弾性部材を配置してなることを特徴とする誘導発熱ローラ装置。
【請求項１】
誘導発熱機構に固定した支持ロッドを、ローラの駆動軸内に挿通し、前記支持ロッドを、軸受を介して前記駆動軸の内面で支持することにより、前記誘導発熱機構を前記ローラ内に宙吊り状態で保持してなる誘導発熱ローラ装置において、前記支持ロッドと前記軸受間または前記駆動軸の内面と前記軸受間のいずれかの間に弾性部材を配置してなることを特徴とする誘導発熱ローラ装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００６−３５１２０８（Ｐ２００６−３５１２０８Ａ）
【公開日】平成１８年１２月２８日（２００６．１２．２８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−１７１８５４（Ｐ２００５−１７１８５４）
【出願日】平成１７年６月１３日（２００５．６．１３）
【出願人】（０００１１０１５８）トクデン株式会社 (91)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年１２月２８日（２００６．１２．２８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年６月１３日（２００５．６．１３）
【出願人】（０００１１０１５８）トクデン株式会社 (91)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]