説明

調量弁およびそれを用いた燃料噴射ポンプ

【課題】簡素な構造で低流量域の制御性を向上させることができる調量弁およびそれを用いた燃料噴射ポンプを提供する。
【解決手段】流路途中に設置され、開口部62、63の開口面積を調整し、該流路を流通する流体の流量を調整する調量弁40であって、開口部62、63の開口面積を調整する弁体70と、弁体70を所定の方向へ付勢する付勢手段90と、コイル85に通電されると、弁体70を付勢手段90の付勢力に抗して吸引する電磁駆動手段80とを備え、開口部62、63は、低流量域で開く少なくとも2つの開口部からなっており、低流量域では、一方の開口部62は、他方の開口部63よりも先に開かれることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路途中に設置され、開口部の開口面積を調整し、該流路を流通する流体の流量を調整する調量弁およびそれを用いた燃料噴射ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ディーゼルエンジンに燃料を供給し、供給された燃料を燃焼室へ噴射する燃料噴射システムとして、コモンレール式の燃料噴射システムが知られている。コモンレール式の燃料噴射システムは、例えば燃料を所定の圧力に加圧する低圧ポンプ、燃料噴射ポンプで加圧された燃料を高圧状態で蓄えるコモンレール、ならびにコモンレールに蓄えられた燃料を燃焼室へ噴射するインジェクタなどから構成されている。
【0003】
コモンレール式の燃料噴射システムでは、ディーゼルエンジンの運転状態に合わせてコモンレールに蓄えられている燃料の圧力を一定に保持するため、低圧ポンプから燃料噴射ポンプに供給される燃料の流量を調整する必要がある。
【0004】
従来、燃料噴射ポンプは、ディーゼルエンジンのクランク軸に同期して回転するカム軸で作動するプランジャポンプであり、このプランジャポンプの加圧室の入口側には調量弁が設置されている。この調量弁は、例えば電磁吸引力を利用してこの弁に設けられている開口部を開閉する弁体を備えており、弁体によりこの開口部の開口面積を調整することにより加圧室へ供給される燃料の流量を調整している(特許文献1参照)。
【0005】
この調量弁は、弁体と、弁体を軸方向へ移動可能に内部に収容する弁ボディとから構成されている。弁体と弁ボディとは軸方向へ相対的に移動し、弁体は電磁駆動手段により吸引される。また、弁体は電磁駆動手段により吸引される方向とは逆方向に付勢手段により付勢されている。
【0006】
電磁駆動手段と付勢手段との間の力の均衡により、弁体と弁ボディとの間の相対的な位置関係が変化する。そのため、弁体に形成されている開口ならびに弁ボディに形成されている開口とが連通する面積(開口面積)が変化し、そこを流れる燃料の流量が変化する。開口面積の変化は、電磁駆動手段に供給する電流の大きさに比例している。
【特許文献1】特開2003−120845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃料噴射ポンプは、クランク軸の回転に同期して作動しているので、エンジンの回転域に応じてプランジャの移動速度が変化する。低回転域では、高回転域よりもプランジャの移動速度が低く、プランジャポンプの吸入時間は高回転域よりも長い。そのため、調量弁にて開口部の開口面積を小さくしている低流量域であっても、多くの燃料がプランジャポンプの加圧室に供給されることとなる。また、この流量域では、開口部の単位開口面積あたり、言い換えると電磁駆動手段に供給する電流の単位電流あたりの加圧室への燃料の吸入量は高流量域に比べ大きくなる。したがって、低回転域でのコモンレール圧力を所定の値に制御するのが非常に困難となっていた。
【0008】
この対策として、調量弁の低流量域で開口する開口部の幅を小さくしたものが考え出されている。これによると、低流量域での単位電流あたりの開口面積の変化量がより小さくなるので、低回転域での燃料噴射ポンプ(プランジャポンプ)の制御性が向上し、コモンレール圧力の制御性も向上する。
【0009】
調量弁の低流量域での制御性を更に向上させ、低回転域でのコモンレール圧力の制御性を更に向上させたいという要望がある。前記提案のように低流量域で開口する開口部の幅を更に小さくする手段が考えられるが、開口部の加工が困難となったり、加工費が上昇したりするなどの問題が生じる。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、その目的は、簡素な構造で低流量域の流量制御性を向上させることができる調量弁およびそれを用いた燃料噴射ポンプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の調量弁は、流路途中に設置され、開口部の開口面積を調整し、該流路を流通する流体の流量を調整する調量弁であって、開口部の開口面積を調整する弁体と、弁体を所定の方向へ付勢する付勢手段と、コイルに通電されると、弁体を付勢手段の付勢力に抗して吸引する電磁駆動手段とを備え、開口部は、低流量域で開く少なくとも2つの開口部からなっており、低流量域では、一方の開口部は、他方の開口部よりも先に開かれることを特徴としている。
【0012】
請求項1に記載の調量弁によれば、一方の開口部が他方の開口部よりも先に開かれるように少なくとも2つの開口部が形成されているので、低流量域で開口する開口部の開口時期がずれる。すると、一方の開口部が開口してから他方の開口部が開口するまでの間、電磁駆動手段のコイルに印加される電流の単位電流値あたり、もしくは弁体の単位移動量あたりの開口部の開口面積の変化量は、両開口部が同時期に開口するタイプの調量弁に比べ小さくなる。これにより、簡素な構造で低流量域の流量制御性を向上させることができる。
【0013】
請求項2に記載されているように、請求項1に記載されている調量弁の開口部の形状は、具体的には、一方の開口部の長さは、他方の開口部の長さよりも長くなっている。これによれば、容易に、一方の開口部を他方の開口部よりも先に開かせることができる。
【0014】
請求項3に記載されているように、請求項1または請求項2に記載されている調量弁の開口部は、低流量域で使用する第1領域と高流量域で使用する第2領域とを有しており、第1領域における開口部の幅は、第2領域における開口部の幅よりも小さい。これによれば、低流量域では、単位電流あたり、および弁体の単位移動量あたりの流量の変化量を小さく、高流量域では、流量の変化量を大きくし、大流量を確保することができる。
【0015】
請求項4に記載されているように、請求項3に記載の調量弁の第1領域における開口部の幅は、第1領域の先端から第2領域との境界部分にかけて、ほぼ同じである。これによれば、第1領域における単位電流あたり、および弁体の単位移動量あたりの開口面積の変化量がほぼ一定となり、より制御性が向上する。
【0016】
請求項5に記載されているように、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の調量弁は、コイルの通電が停止されているとき、弁体は、付勢手段の付勢力により、一方の開口部および他方の開口部を全閉にする位置に移動させられていることを特徴としている。また、請求項6に記載されているように、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の調量弁は、コイルの通電が停止されているとき、弁体は、付勢手段の付勢力により、一方の開口部および他方の開口部を全開にする位置に移動させられていることを特徴としている。
【0017】
請求項5、請求項6に記載されているように、いわゆるノーマリクローズタイプ、ノーマリオープンタイプの調量弁であっても請求項1から請求項4のいずれか一項に記載されている発明の効果を得ることができる。
【0018】
請求項7に記載されているように、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載されている調量弁は、弁体が一端に通路孔を有する筒状の弁ボディの内部に軸方向へ相対移動可能に収容され、弁ボディには、一方の開口部および他方の開口部が形成され、弁体には、一方の開口部または他方の開口部と通路孔とが連通する第1の連通路が形成されていることを特徴としている。
【0019】
また、請求項8に記載されているように、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載されている調量弁は、弁体が一端に通路孔を有する筒状の弁ボディの内部に軸方向へ相対移動可能に収容され、弁体には、一方の開口部および他方の開口部、ならびに一方の開口部および他方の開口部と通路孔とが連通する第2の連通路が形成され、弁ボディには、一方の開口部および他方の開口部と該弁ボディの外部とが連通する第3の連通路が形成されていることを特徴としている。
【0020】
請求項7、請求項8に記載されているように、一方の開口部および他方の開口部は、弁体または弁ボディ、いずれか一方に形成されていれば良い。
【0021】
請求項9に記載されているように、請求項8に記載の調量弁の弁ボディおよび弁体には、弁体を弁ボディの軸方向に案内する案内手段が設けられていることを特徴としている。これにより、弁体と弁ボディとが周方向に回転するのを防止することができ、一方の開口部、他方の開口部を確実に第3の連通路と連通させることができる。
【0022】
請求項10に記載されているように、燃料噴射ポンプは、燃料が加圧される加圧室が形成されているハウジングと、ハウジングの内部に往復移動可能に設置され、加圧室に吸入された燃料を加圧する可動部材と、可動部材を駆動する駆動手段と、加圧室へ送られる燃料の流量を調整する請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の調量弁と、を備えていることを特徴としている。
【0023】
これによれば、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の調量弁を燃料噴射ポンプに適用することにより、低回転域におけるポンプ圧送量の制御性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を示す複数の実施形態を図に基づいて説明する。
【0025】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による調量弁を適用したディーゼルエンジン(以下、エンジンという)用のコモンレール式燃料噴射システムを図1に示す。
【0026】
この燃料噴射システム1は、主にインジェクタ2、コモンレール3、燃料噴射ポンプ4、燃料フィルタ5、および燃料タンク6から構成されている。エンジン(図略)には、各気筒の燃焼室に対応する複数のインジェクタ2が配設されている。インジェクタ2は、燃料配管14を介して、各気筒共通のコモンレール3に接続されている。コモンレール3には、燃料配管15を介して、燃料噴射ポンプ4が接続され、この燃料噴射ポンプ4の駆動に伴い燃料噴射圧に相当する高い所定圧の燃料が連続的に蓄圧される。
【0027】
燃料噴射ポンプ4は、主にフィードポンプ23、プランジャポンプ24、および調量弁40とから構成されている。燃料噴射ポンプ4の詳細な構成については後述する。フィードポンプ23は、燃料タンク6から燃料配管16および燃料フィルタ5を介して燃料を吸引し、プランジャポンプ24に送出する。プランジャポンプ24は、フィードポンプ23が送出した燃料を加圧し、コモンレール3に向けて圧送する。燃料噴射ポンプ4には、燃料排出配管17が接続されており、燃料噴射ポンプ4の構成部品の潤滑に使用された燃料がこの配管17を介して燃料タンク6に還流される。
【0028】
コモンレール3には、その内部の燃料圧力(コモンレール圧力)を検出するための圧力センサ8が配設されている。電子制御ユニット(以下、ECUという)7は、圧力センサ8により検出される実際のコモンレール圧力が負荷や回転数に基づいて設定される最適値となるように燃料噴射ポンプ4の圧送量を決定し、それに応じた制御信号(電流)を調量弁40に出力する。
【0029】
ECU7には、回転角センサ9や負荷センサ(例えばスロットル開度センサ)10より回転角や負荷等のエンジン運転情報が入力される。またその他にも、ECU7には、エンジン冷却水温度を検出する冷却水温センサ11、吸気温センサ12および吸気圧を検出する吸気圧センサ13が接続されている。各センサの検出信号がECU7に随時入力される。ECU7は、これら各センサの検出信号によるエンジン運転状態に基づいて最適な燃料噴射時期および噴射量(噴射期間)を決定し、それに応じた制御信号をインジェクタ2に出力する。これによりインジェクタ2からエンジンの各燃焼室への燃料噴射が制御される。
【0030】
次に、燃料噴射ポンプ4の構成について図1を用いて説明する。図1に示すように、燃料噴射ポンプ4のポンプハウジング20の上下面には、シリンダヘッド21、22がそれぞれ固定されている。それぞれのシリンダヘッド21、22は、プランジャポンプ24のプランジャ25、26を往復移動自在に支持している。プランジャ25の上方、およびプランジャ26の下方には、プランジャ25、26の端面とシリンダヘッド21、22の内壁面とで形成される燃料の加圧室29、30が形成されている。シリンダヘッド21、22には、フィードポンプ23から加圧室29、30に供給される低圧燃料の流通を制御する吸入弁41、42が設けられている。吸入弁41、42には、前記低圧燃料が流通する燃料供給路50、51が接続されている。吸入弁41、42はいわゆる外開弁であり、プランジャ25、26が燃料を吸引するときに開弁し、プランジャ25、26が燃料を加圧するときに閉弁するようになっている。
【0031】
図1に示すように、ポンプハウジング20内には、エンジンの回転と同期して回転するカムシャフト31が回転可能に支持されている。カムシャフト31の中間部外周には、カム32がカムシャフト31に対して偏心して一体に形成されている。カム32の外周には、外形が四角形状のシュー33が摺動自在に保持されている。
【0032】
シュー33の上下端面には、プランジャ25、26が配置され、プランジャ25、26と一体のプレート部材が、スプリング27、28の付勢力によってシュー33に押付けられている。カムシャフト31、カム32、シュー33、スプリング27、28、およびプランジャ25、26のプレート部は、ポンプハウジング20の内壁面およびシリンダヘッド21、22の壁面で形成されるポンプカム室52に収容されている。
【0033】
カムシャフト31と一体のカム32が回転すると、シュー33が所定の円形経路に沿って公転し、上記プレート部材がシュー33の上下端面上を往復摺動する。これに伴い、プランジャ25、26がシリンダヘッド21、22内を上下動し、加圧室29、30に低圧燃料を吸入したり、加圧室29、30内の燃料を加圧したりする。プランジャ25にて加圧された燃料は、シリンダヘッド21に設けられている吐出弁43、燃料出口46を経てコモンレール3に圧送される。なお、図1には図示していないが、シリンダヘッド22にも、上記吐出弁43、上記燃料出口46と同じものが設けられており、プランジャ26にて加圧された燃料が吐出弁、燃料出口を経てコモンレール3に圧送される。
【0034】
ポンプハウジング20には、燃料タンク6の燃料を吸引し、上記加圧室29、30に燃料を供給するフィードポンプ23と、上記加圧室29、30へ送出される燃料の流量を調整する調量弁40とが設けられている。フィードポンプ23は、インナギアおよびアウタギアから構成されるギアポンプであり、インナギアをカムシャフト31で回転させることにより燃料タンク6内の燃料を、燃料配管16、燃料フィルタ5およびポンプハウジング20に設けられた燃料入口45を介して吸引し、燃料流路48、49に送出する。
【0035】
燃料流路48は、調量弁40に接続され、燃料流路49は、ポンプカム室52に接続されている。ポンプカム室52に流入した燃料は、カムシャフト31、カム32、シュー33、およびプランジャ25、26の摺動部等を潤滑する。その後、ポンプカム室52内の燃料は、オーバーフロー出口47、燃料排出配管17を介して燃料タンク6に還流する。
【0036】
フィードポンプ23には、燃料流路48、49に送出する燃料圧力が所定圧を越えないようにするためのレギュレートバルブ44が設けられている。これにより、ほぼ一定の圧力を有する低圧燃料を燃料流路48、49に流通させることができる。
【0037】
調量弁40は、燃料流路48と燃料供給路50、51との間に設けられ、燃料供給路50、51へ送出する燃料の流量を調整する。流量調整された燃料は、燃料供給路50、51および吸入弁41、42を経て加圧室29、30に流入する。
【0038】
次に、調量弁40の構成について図2を用いて説明する。図2は、本実施形態による調量弁40の断面図である。図2に示すように、調量弁40は、弁ボディ60、弁体としてのスプール弁70、電磁駆動手段としての電磁駆動部80、および付勢手段としてのスプリング90から構成されている。
【0039】
弁ボディ60は、略円筒形状に形成され、内部にスプール弁70を軸方向へ往復移動可能に収容している。弁ボディ60の端部には、燃料流路48と接続される通路孔としての入口ポート61が形成されている。そして、弁ボディ60の側壁には、スプール弁70が収容される空間に貫通する第1出口ポート62および第2出口ポート63が形成されている。これらの出口ポート62、63は、請求項に記載の開口部に相当する。これらの出口ポート62、63は、燃料供給路50、51に接続されている。これらの出口ポート62、63の形状については後述する。弁ボディ60は、入口ポート61が燃料流路48に接続され、第1、第2出口ポート62、63が燃料供給路50、51に接続されるようにポンプハウジング20に固定される。弁ボディ60とポンプハウジング20との間には、Oリング100が設けられている。
【0040】
スプール弁70は、略円筒形状に形成され、内部に入口ポート61と連通する弁体通路71が形成されている。スプール弁70の側壁には、スプール弁70の全周に渡り凹溝72が形成されている。そして、スプール弁70には、弁体通路71と凹溝72とが貫通する貫通孔73が複数形成されている。これにより、燃料流路48を流通する燃料は、弁ボディ60の入口ポート61、弁体通路71、および貫通孔73を介して凹溝72に達する。弁体通路71、貫通孔73、および凹溝72が請求項7に記載の第1の連通路に相当する。
【0041】
スプール弁70が図2に記載されている位置より、右方向に移動すると、弁ボディ60に形成されている第1、第2出口ポート62、63と凹溝72とが連通し、凹溝72に達している燃料が、第1、第2出口ポート62、63を介して燃料供給通路50、51に流通する。スプール弁70の位置を調整することにより、凹溝72と連通する第1、第2出口ポート62、63の開口面積を変化させることができる。これにより、燃料供給通路50、51に流通する燃料量を調整することができる。
【0042】
次に、このスプール弁70の弁ボディ60に対する位置を調整する機構について説明する。スプール弁70の弁体通路71が形成されている側とは反対側の端部と、弁ボディ60の入口ポート61が形成されている側と反対側の端部との間には、スプール弁70を弁ボディ60の入口ポート61方向に付勢するスプリング90が設けられている。一方、弁ボディ60の入口ポート61付近には、スプリング90によって付勢されたスプール弁70の移動を規制するストッパ110が設けられている。
【0043】
弁ボディ60の外側には、電磁駆動部80が設けられている。電磁駆動部80は、ハウジング81、ステータ84、コイル85、およびヨーク86から構成されている。本実施形態では、ステータ84は弁ボディ60と一体に形成されている。勿論、ステータ84と弁ボディ60とは別体で形成されていても良い。
【0044】
ステータ84の外側には、巻き線が回巻されたコイル85が設けられている。更にその外側には、略円筒状に形成されたヨーク86が設けられている。ヨーク86の一方の端部には、調量弁40を、ボルト等を用いてポンプハウジング20に固定するためのフランジ部87が形成されている。ヨーク85のもう一方の端部には、コネクタ82を有するハウジング81が設けられている。コネクタ82には、電極83が設けられており、ECU7からの信号に応じた電流をコイル85に印加できるようになっている。
【0045】
ステータ84、ヨーク86、およびスプール弁70は、いずれも磁性体材料で形成されている。コイル85に電流が印加されると、コイル85に磁界が発生し、その発生した磁界によってステータ84、ヨーク86、スプール弁70を通る磁気回路が形成される。そのため、ステータ84には、吸引力が発生し、スプール弁70がステータ84の方向に移動する。
【0046】
スプール弁70の移動量、弁ボディ60に対するスプール弁70の位置は、前記スプリング90の付勢力と前記吸引力との力の釣り合いで決定される。スプール弁70は、付勢力と吸引力とが釣り合った位置で停止し、その位置に留まる。吸引力は、コイル85に印加する電流の大きさに応じて変化する。したがって、コイル85に印加する電流の大きさとスプール弁70の移動量は、比例することとなる。
【0047】
次に、第1、第2出口ポート62、63の形状について図3を用いて説明する。図3は、第1、第2出口ポート62、63の平面図である。図3では、両出口ポート62、63の説明を容易にするために、弁ボディ60を展開し、両出口ポート62、63を近接させて縦に配置した。図中、上側のポートが第2出口ポート63であり、下側のポートが第1出口ポート62である。
【0048】
第1出口ポート62は、入口ポート61側に低流量域で使用する第1領域としての第1スリット部64と、ステータ84側に高流量域で使用する第2領域としての第1幅広部66とから構成されている。図3に示すように、第1スリット部64は、幅b1のスリットが弁ボディ60の軸方向に延びるように形成されている。その第1スリット部64のステータ84側の端部には、幅b1よりも広い幅を有する第1幅広部66が形成されている。第2出口ポート63も、第1出口ポート62と同様、第2スリット部65と第2幅広部67とから構成されている。第2スリット部65の幅b2は、第1スリット部64の幅b1とほぼ同じ幅である。第2幅広部67の幅も、第1幅広部66の幅とほぼ同じである。
【0049】
第1スリット部64の長さは、第2スリット部65のそれよりも大きい。さらに、第1スリット部64は、第1スリット部64の入口ポート61側の端部が、第2スリット部65の入口ポート61側の端部よりも、入口ポート61に近い位置となるように形成されている。
【0050】
次に、本実施形態の調量弁40の流量特性を、図10に示す出口ポートを有する調量弁と比較して説明する。まず、比較例の調量弁の出口ポートの構造および流量特性を図10および図11を用いて説明する。
【0051】
比較例の調量弁は、出口ポートの形状を除いては、本実施形態の調量弁40と同様のため説明を省略する。本実施形態の調量弁40と同一機能物は、同一名称、符号を用いる。比較例の調量弁は、図10に示すように、ほぼ同形状の第1、第2出口ポート620、630が形成されている。これらの出口ポート620、630は、それぞれ第1スリット部640、第2スリット部650と第1幅広部660、第2幅広部670から構成されている。第1、第2スリット部640、650の幅bは、本実施形態の調量弁40の第1、第2スリット部64、65とほぼ同じ幅b1、b2である。
【0052】
比較例の調量弁の第1、第2スリット部640、650の長さは、ほぼ同じである。第1、第2出口ポート620、630は、図10に示すように第1、第2スリット部640、650の端部が軸方向において揃うように形成されている。
【0053】
この調量弁は、ノーマリクローズタイプの弁であるため、コイル85に電流が印加されていない状態では、スプール弁70の凹溝72は、第1、第2スリット部640、650と連通していないので、図11に示すように流量は0である。
【0054】
コイル85に電流が印加されると、スプール弁70がステータ84の方向に移動する。すると、最初に凹溝72と第1、第2スリット部640、650とが連通し、入口ポート61から流入した燃料が第1、第2スリット部640、650から流出する。凹溝72と第1、第2スリット部640、650とが連通する面積(開口面積)は、コイル85に印加する電流の大きさに応じて変化する。第1、第2スリット部640、650が凹溝72と連通する領域(低流量域)における燃料の流量は、図11に示すように開口面積が増加するとともに比較的低い変化量で変化する。
【0055】
コイル85に印加される電流の大きさを更に大きくすると、凹溝72は、第1、第2幅広部660、670とも連通し、入口ポート61から流入した燃料は、第1、第2スリット部640、650および第1、第2幅広部660、670から流出する。第1、第2スリット部640、650および第1、第2幅広部660、670が凹溝72と連通する領域(高流量域)における流出する燃料の流量は、第1、第2幅広部660、670の開口面積の増加とともに増加する。第1、第2幅広部660、670は、第1、第2スリット部640、650よりも幅が広いため、図11に示すように燃料の流量は上記低流量域での流量の変化よりも大きな変化量で変化する。
【0056】
調量弁には、低流量域での流量の制御性を更に向上させという要望がある。比較例の調量弁において、上記要望を達成するためには、第1、第2スリット部640、650の幅bを更に小さくすれば、低流量域での単位電流あたりの流量の変化量は小さくすることができ、この領域での流量の制御性を向上することができる。しかしながら、第1、第2スリット部640、650の加工が困難となったり、加工費が上昇したりする等の問題が生じる。
【0057】
次に、本実施形態の調量弁40の流量特性について、図4を用いて説明する。本実施形態の調量弁40では、低流量域においては、コイル85に電流を印加して、スプール弁70をステータ84の方向に移動させると、最初に第1スリット部64のみが凹溝72と連通する。さらに、上記電流を大きくすると、続いて第2スリット部65が凹溝72と連通する。図4に示すように、この領域の第1スリット部64のみが凹溝72と連通している時期における、単位電流Δiあたりの開口面積の変化量は、上記比較例の調量弁の開口面積の変化量に比べ小さくなる。したがって、図4の低流量域に示すように、本実施形態の調量弁40の単位電流Δiあたりの流量の変化量Δq1は、比較例の流量の変化量Δq0に比べ小さくなる。これにより、加工難度や加工費を上昇させることなく、簡素な構造で低流量域の制御性を向上させることができる。
【0058】
なお、出口ポートの形状は、本実施形態で示したようにスリット部と幅広部とを有する出口ポートに限定するものではない。少なくとも2つある出口ポートのうち、一方の出口ポートが他方の出口ポートよりも先に凹溝と連通するようになっていれば出口ポートの形状はどのようなものであっても良い。例えば、略長方形の出口ポートであっても良いし、略三角形の出口ポートであっても良い。また、第1、第2スリット部64、65のそれぞれの幅b1、b2は、同じである必要もない。
【0059】
また、第1、第2スリット部64、65の幅b1、b2は、先端から第1、第2幅広部66、67に至る部分までほぼ同じ大きさとなっているので、低流量域における単位電流あたり、および弁体の単位移動量あたりの開口面積の変化量がほぼ一定となり、流量の制御性がさらに向上する。
【0060】
また、第1、第2スリット部は、第1、第2幅広部よりも幅が小さいので、低流量域では、単位電流あたり、および弁体の単位移動量あたりの流量の変化量を小さく、高流量域では、流量の変化量を大きくし、大流量を確保することができる。
【0061】
また、図5に示すように、印加する電流を0としたとき、第1、第2出口ポート62、63の開口面積が最大となり、印加する電流を最大としたとき、前記開口面積が最小となる、いわゆるノーマリオープンタイプの調量弁であっても、本実施形態と同様な効果が得られることは勿論である。
【0062】
また、調量弁内の燃料の流通経路は、本実施形態に記載の流通経路と逆であっても勿論良い。具体的には、出口ポート62、63から燃料を流入させ、凹溝72、貫通孔73、および弁体通路71を介して入口ポート61から燃料を流出させるように燃料の流通経路を逆とする。
【0063】
次に、本実施形態の調量弁40をコモンレール式燃料噴射システム1に使用する燃料噴射ポンプ4に適用した場合の効果について図1および図6を用いて説明する。図6は、調量弁40のコイル85に印加する電流とプランジャポンプ24の1回転あたりの圧送量との関係を示した図である。
【0064】
図1に示すようにフィードポンプ23は、燃料タンク6から燃料を吸引し、燃料流路48を介して、調量弁40に送出する。調量弁40は、ECU7が決定した圧送量に基づき第1、第2出口ポート62、63の開口面積を調整する。燃料流路48から調量弁40に流入した燃料は、開口面積が調整された第1、第2出口ポート62、63によって流量が調整され、燃料供給流路50、51に流出する。調量弁40にて調量された燃料は、プランジャポンプ24の吸入行程とともに、燃料供給流路50、51、吸入弁41、42を介して、加圧室29、30に流入する。そして、圧縮行程に移るとともに加圧室29、30内の燃料が加圧され、コモンレール3に圧送される。
【0065】
図6に示すように、調量弁40に印加する電流が同じであっても、言い換えると調量弁40のスプール弁70の位置が同じであっても、エンジンの運転状態(エンジン回転数)が変化するとコモンレール3への圧送量も変化する。エンジンが高回転域で運転しているときよりも低回転域で運転しているときの方が、調量弁40に印加する単位電流あたりの燃料噴射ポンプ4のポンプ圧送量の変化量が大きい。これは、低回転域の方がプランジャポンプ24の吸入行程時間が長く、調量弁40から送出される燃料を多く吸入できるからである。
【0066】
低回転域におけるポンプ圧送量の制御性を向上させるためには、この領域における圧送量の変化量を小さくする必要がある。図6中の一点鎖線で示すポンプ圧送量の変化は、上記比較例の調量弁を燃料噴射ポンプ4に設置した場合の低回転域におけるポンプ圧送量の変化である。一方、実線で示すポンプ圧送量の変化は、本実施形態の調量弁40を燃料噴射ポンプ4に設置した場合の低回転域におけるポンプ圧送量の変化である。
【0067】
調量弁に印加する単位電流Δiあたりのポンプ圧送量Δqは、比較例の場合、ポンプ圧送量Δq0であり、本実施形態の場合、ポンプ圧送量Δq1となっている。図6に示すように、ポンプ圧送量Δq1は、ポンプ圧送量Δq0よりも小さい。これにより、本実施形態の調量弁40を燃料噴射ポンプ4に設置することにより、低回転域におけるポンプ圧送量の制御性を向上させることができる。特に、エンジン回転数が非常に低く、ポンプ圧送量を多く必要としないアイドル運転時において、有効である。
【0068】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による調量弁を図7から図9に基づいて説明する。なお、第1実施形態と同一機能物は、同一名称、符号を付す。ここでは、第1実施形態と相違する特徴点のみ説明する。図7は、本実施形態による調量弁40の断面図である。本実施形態の調量弁40は、請求項に記載の開口部が、スプール弁70に形成されている点で第1実施形態の調量弁と相違する。
【0069】
図7に示すように、弁ボディ60には、通路孔としての入口ポート61と第1、第2出口ポート62a、63aが形成されている。第1、第2出口ポート62a、63aは、図10に示す比較例の第1、第2出口ポート620、630と同様の形状となっている。これらのポート62a、63aの配置場所も比較例のものと同様である。これらは、請求項8に記載の第3の連通路に相当する。一方、スプール弁70には、その軸方向に弁体通路71が形成されている。そして、スプール弁70の外壁には、第1凹溝72aと第2凹溝72bが形成され、更に、その底部には、弁体通路71と第1、第2凹溝72a、72bとを接続する第1貫通孔73aと第2貫通孔73bとが形成されている。
【0070】
本実施形態では、上記第1、第2凹溝72a、72bは、それぞれ請求項に記載の開口部に相当し、それぞれ前記第1、第2出口ポート62a、63aの幅よりも大きい幅を有した略四角状の溝である。前記弁体通路71、第1貫通孔73a、および第2貫通孔73bが請求項8に記載の第2の連通路に相当する。
【0071】
次に、図8を用いて第1、第2凹溝72a、72bと第1、第2出口ポート62a、63aとの関係を説明する。図8(a)は、第1凹溝72aと第1出口ポート62aとの関係を示す図であり、図8(b)は、第2凹溝72bと第2出口ポート63aとの関係を示す図である。
【0072】
図8(a)、(b)に示すように、第1、第2凹溝72a、72bは、それぞれスプール弁70が移動したときに第1、第2出口ポート62a、63aと連通する位置に形成されている。第1、第2凹溝72a、72bの幅は、いずれも第1、第2出口ポート62a、63aの幅よりも大きくなっている。第1凹溝72aの軸方向の長さは、第2凹溝72bのそれよりも同じ、もしくは長くなっている。第1、第2凹溝72a、72bの入口ポート61側の端部のスプール弁70に対する位置は、ほぼ同じ位置となっている。
【0073】
入口ポート61から流入する燃料は、弁体通路71、第1、第2貫通孔73a、73bを介し第1、第2凹溝72a、72bにまで達する。コイル85に電流が印加されると、スプール弁70は、ステータ84の方向に移動する。すると、最初に第1凹溝72aと第1出口ポート62aとが連通し、この凹溝72a内の燃料が、出口ポート62aから流出する。次いで、第2凹溝72bと第2出口ポート63aとが連通し、この凹溝72b内の燃料が、出口ポート63aから流出する。
【0074】
これにより、第1実施形態と同様な効果を得ることができる。なお、本実施形態の調量弁40は、ノーマリクローズタイプのものであるが、ノーマリオープンタイプのものでも第1実施形態と同様の効果を得ることができるのは勿論である。
【0075】
また、本実施形態の調量弁40には、図9に示すようにスプール弁70が弁ボディ60内部で周方向に回転するのを防止するための請求項に記載の案内手段が設けられている。図9は、図7中のIX−IX断面の断面図である。この案内手段は、軸方向に形成される弁ボディ側ガイド溝120、軸方向に形成されるスプール弁側ガイド溝121、両ガイド溝120、121間の空間に設けられる角柱状のガイド部材122から構成されている。これにより、スプール弁70が弁ボディ60内部で周方向に回転するのを防止でき、スプール弁70を軸方向に移動させたとき、両凹溝72a、72bを確実に両出口ポート62a、63aに連通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1実施形態による調量弁を適用したディーゼルエンジン用のコモンレール式燃料噴射システムのシステム図である。
【図2】本発明の第1実施形態による調量弁の断面図である。
【図3】図2の調量弁の第1、第2出口ポートの平面図である。
【図4】図3の調量弁のコイルに印加する電流の大きさと調量弁を通過する燃料の流量との関係を示す流量特性図である。
【図5】ノーマリオープンタイプの調量弁のコイルに印加する電流の大きさと調量弁を通過する燃料の流量との関係を示す流量特性図である。
【図6】図3の調量弁をコモンレール式燃料噴射システムに適用したときの燃料噴射ポンプの圧送量特性図である。
【図7】本発明の第2実施形態による調量弁の断面図である。
【図8】図7の調量弁のスプール弁の平面図である。
【図9】図7の調量弁のIX−IX断面の断面図である。
【図10】比較例としての調量弁の出口ポートの平面図である。
【図11】比較例としての調量弁のコイルに印加する電流の大きさと調量弁を通過する燃料の流量との関係を示す流量特性図である。
【符号の説明】
【0077】
1 燃料噴射システム、2 インジェクタ、3 コモンレール、4 燃料噴射ポンプ、5 燃料フィルタ、6 燃料タンク、7 電子制御ユニット(ECU)、8 圧力センサ、20 ポンプハウジング、21、22 シリンダヘッド、23 フィードポンプ、24 プランジャポンプ、25、26 プランジャ、29、30 加圧室、31 カムシャフト、32 カム、33 シュー、40 調量弁、41、42 吸入弁、43 吐出弁、44 レギュレートバルブ、48、49 燃料流路、50、51 燃料供給路、52 ポンプカム室、60 弁ボディ、61 入口ポート(通路孔)、62 第1出口ポート(開口部)、63 第2出口ポート(開口部)、64 第1スリット部(開口部の第1領域)、65 第2スリット部(開口部の第1領域)、66 第1幅広部(開口部の第2領域)、67 第2幅広部(開口部の第2領域)、70 スプール弁(弁体)、71 弁体通路(第1の連通路、第2の連通路)、72 凹溝(第1の連通路)、73 貫通孔(第1の連通路)、80 電磁駆動部(電磁駆動手段)、81 ハウジング、82 コネクタ、83 電極、84 ステータ、85 コイル、86 ヨーク、87 フランジ部、90 スプリング(付勢手段)、100 Oリング、110 ストッパ、62a 第1出口ポート(第3の連通路)、63a 第2出口ポート(第3の連通路)、72a 第1凹溝(開口部)、72b 第2凹溝(開口部)、73a 第1貫通孔(第2の連通路)、73b 第2貫通孔(第2の連通路)、120 弁ボディ側ガイド溝(案内手段)、121 スプール弁側ガイド溝(案内手段)、122 ガイド部材(案内手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路途中に設置され、開口部の開口面積を調整し、該流路を流通する流体の流量を調整する調量弁であって、
前記開口部の開口面積を調整する弁体と、
前記弁体を所定の方向へ付勢する付勢手段と、
コイルに通電されると、前記弁体を前記付勢手段の付勢力に抗して吸引する電磁駆動手段とを備え、
前記開口部は、低流量域で開く少なくとも2つの開口部からなっており、
低流量域では、一方の前記開口部は、他方の前記開口部よりも先に開かれることを特徴とする調量弁。
【請求項2】
前記一方の開口部の長さは、前記他方の開口部の長さよりも長くなっていることを特徴とする請求項1に記載の調量弁。
【請求項3】
前記開口部は、前記低流量域で使用する第1領域と高流量域で使用する第2領域とを有しており、
前記第1領域における前記開口部の幅は、前記第2領域における前記開口部の幅よりも小さいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の調量弁。
【請求項4】
前記第1領域における前記開口部の幅は、前記第1領域の先端から前記第2領域との境界部分にかけて、ほぼ同じであることを特徴とする請求項3に記載の調量弁。
【請求項5】
前記コイルの通電が停止されているとき、
前記弁体は、前記付勢手段の付勢力により、前記一方の開口部および前記他方の開口部を全閉にする位置に移動させられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の調量弁。
【請求項6】
前記コイルの通電が停止されているとき、
前記弁体は、前記付勢手段の付勢力により、前記一方の開口部および前記他方の開口部を全開にする位置に移動させられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の調量弁。
【請求項7】
前記弁体は、一端に通路孔を有する筒状の弁ボディの内部に軸方向へ相対移動可能に収容され、
前記弁ボディは、前記一方の開口部および前記他方の開口部が形成され、
前記弁体は、前記一方の開口部または前記他方の開口部と前記通路孔とが連通する第1の連通路が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の調量弁。
【請求項8】
前記弁体は、一端に通路孔を有する筒状の弁ボディの内部に軸方向へ相対移動可能に収容され、
前記弁体は、前記一方の開口部および前記他方の開口部、ならびに前記一方の開口部および前記他方の開口部と前記通路孔とが連通する第2の連通路が形成され、
前記弁ボディは、前記一方の開口部および前記他方の開口部と該弁ボディの外部とが連通する第3の連通路が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2、もしくは請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の調量弁。
【請求項9】
前記弁ボディおよび前記弁体には、前記弁体を前記弁ボディの軸方向に案内する案内手段が設けられていることを特徴とする請求項8に記載の調量弁。
【請求項10】
燃料が加圧される加圧室が形成されているハウジングと、
前記ハウジングの内部に往復移動可能に設置され、前記加圧室に吸入された燃料を加圧する可動部材と、
前記可動部材を駆動する駆動手段と、
前記加圧室へ送られる燃料の流量を調整する請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の調量弁と、
を備えていることを特徴とする燃料噴射ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−92714(P2007−92714A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−286146(P2005−286146)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】