説明

負荷駆動装置

【課題】浮遊容量の存在に起因する現象を回避することが可能な負荷駆動装置を提供すること。
【解決手段】電位差検知回路9は、負荷駆動電圧VBPから制御電圧VBBを減じたものを両者の電位差として演算し、その電位差が所定の閾値を超えるとき、Hレベルの信号をスイッチング素子8のゲート端子に出力する。前記所定の閾値は、負荷駆動用電源3が定格出力電圧の最大値(上限値)を出力する場合の負荷駆動電圧VBPの測定値から、制御用電源2が定格出力電圧の最小値(下限値)を出力する場合の制御電圧VBBの測定値を減じたものに設定されている。電位差検知回路9からスイッチング素子8のゲート端子にHレベルの信号が入力されたとき、同スイッチング素子8がON作動し、これによりスイッチング素子4のゲート端子の電位がGNDに近いレベルに固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばランプやモータ等の電気的負荷を駆動する負荷駆動装置に関し、詳しくは、制御用電源及び負荷駆動用電源を含む複数の電源を通じて負荷を駆動する負荷駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的負荷として容量の大きなものを駆動する場合、制御用電源及び負荷駆動用電源といった2つの電源を通じて負荷を駆動することが一般的に行われている(例えば、特許文献1を参照。)。このような構成では、単一の電源を通じて負荷を駆動する構成よりも、負荷駆動に伴う電源電圧の変動による当該負荷駆動装置に与える影響を抑制することができる。
【特許文献1】特開平10−22803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、何らかの理由により、図2に示す一方の制御電圧VBB(制御用電源から当該負荷駆動装置に対して印加される電圧)が0又は低電圧となってしまうことが考えられる。そして、他方の負荷駆動電圧VBP(負荷駆動用電源から当該負荷駆動装置に対して印加される電圧)については、制御電圧VBBのような電圧低下が生じずに、それが電気的負荷を駆動可能な予め定められた所定の電圧に維持されている場合、次のような現象が起こり得る。
【0004】
即ち、こうした場合、電気的負荷を駆動するためのスイッチング素子の入力端子の電位が、電気的負荷を駆動しないときには、本来、Lo電位であるべきところ、浮遊容量の存在によってそこの電位が持ち上がり、それによりスイッチング素子がON作動して電気的負荷が駆動される現象が起こり得る。尚、こうした現象は一時的なものであるとは言え、電気的負荷が例えばランプの類のものであればそれが一瞬点灯することになるし、電気的負荷がモータのようなものであればそれが実際に回転されないまでもそれに対して回転しようとする力が働くことは事実であり、よっていずれの場合も、浮遊容量の存在に起因する現象が起こることに変わりはない。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、浮遊容量の存在に起因する現象を回避することが可能な負荷駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、制御用電源及び負荷駆動用電源を含む複数の電源を通じて電気的負荷を駆動する負荷駆動装置において、前記制御用電源から当該負荷駆動装置に対して印加される電圧を制御電圧と規定するとともに、前記負荷駆動用電源から当該負荷駆動装置に対して印加される電圧を負荷駆動電圧と規定し、入力系が前記制御用電源に電気的に接続されるとともに、出力系が前記負荷駆動用電源に電気的に接続され、前記制御電圧に等しい電圧を含む所定の電圧が前記入力系に印加されたとき、前記出力系を介して前記負荷駆動用電源から前記電気的負荷に対する給電を許容して該電気的負荷を駆動する負荷駆動手段を備え、さらに、前記制御電圧と前記負荷駆動電圧との電位差を検知する電位差検知手段と、前記電位差検知手段により検知された電位差が所定の閾値を超えるとき、前記制御用電源から前記負荷駆動手段の入力系へ至る制御系電気経路の電位を、前記負荷駆動手段の出力系による前記電気的負荷の駆動が禁止されるレベルに固定する電位固定手段とを備えることをその要旨としている。
【0007】
同構成によると、何らかの理由により、制御電圧が0又は低電圧となってそれと負荷駆動電圧との電位差が所定の閾値を超えるとき、制御用電源から負荷駆動手段の入力系へ至る制御系電気経路の電位が、負荷駆動手段の出力系による電気的負荷の駆動が禁止されるレベルに固定される。即ち、制御系電気経路の電位が、浮遊容量の存在によって持ち上がろうとしても、そのことが電位固定手段の働きによって阻止される。従って、浮遊容量の存在に起因する現象を回避することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
本発明によれば、浮遊容量の存在に起因する現象を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る負荷駆動装置をランプ点灯装置に具体化した一実施形態について説明する。
図1に示すように、ランプ点灯装置1は、入力系が制御用電源2に電気的に接続されるとともに、出力系が負荷駆動用電源3に電気的に接続されるスイッチング素子4を備えている。このスイッチング素子4の入力系に該スイッチング素子4がON作動するのに最低限必要な所定の電圧を含むそれ以上の電圧が印加されたとき、同スイッチング素子4がON作動し、このスイッチング素子4の出力系を介して負荷駆動用電源3からランプ5に対する給電が許容され、該ランプ5が点灯される。
【0010】
尚、制御用電源2から当該ランプ点灯装置1に対して印加される電圧を制御電圧VBBと規定するとともに、負荷駆動用電源3から当該ランプ点灯装置1に対して印加される電圧を負荷駆動電圧VBPと規定する。
【0011】
ここに、制御用電源2から当該ランプ点灯装置1へ至る制御系電源経路に特段の事情がないことを前提として、制御用電源2の出力電圧を定格出力電圧の最小値(下限値)から最大値(上限値)まで変化させた場合に制御電圧VBBがとるべき電圧範囲内に該制御電圧VBBが収まっているとき、その制御電圧VBBを正規の制御電圧VBBと規定する。同様に、負荷駆動用電源3から当該ランプ点灯装置1へ至る負荷駆動系電源経路に特段の事情がないことを前提として、負荷駆動用電源3の出力電圧を定格出力電圧の最小値(下限値)から最大値(上限値)まで変化させた場合に負荷駆動電圧VBPがとるべき電圧範囲内に該負荷駆動電圧VBPが収まっているとき、その負荷駆動電圧VBPを正規の負荷駆動電圧VBPと規定する。
【0012】
制御用電源2からスイッチング素子4の入力系へ至る制御系電気経路の途中には、電源回路6が設けられ、また、スイッチング素子4の入力系には、該スイッチング素子4の入力系に制御信号を出力する出力回路7が電気的に接続されている。
【0013】
この出力回路7は、いわゆるチャージポンプ(昇圧回路)を含み、前記電源回路6を通じて所定の電圧が印加されるとともに、ランプ5を点灯させる場合には、該電圧よりも高い電圧レベルの信号、言い換えるとスイッチング素子4がON作動するのに適した電圧レベルの信号を生成し、それを制御信号としてスイッチング素子4の入力系に出力する。また、この出力回路7は、ランプ5を消灯させる場合には、上記のような昇圧動作を行わず、Lレベルの信号、言い換えるとスイッチング素子4がOFF作動するのに適した電圧レベルの信号を生成し、それを制御信号としてスイッチング素子4の入力系に出力する。
【0014】
スイッチング素子4の入力系と出力回路7との間、具体的にはスイッチング素子4のゲート端子と出力回路7の出力端子との間には、前記スイッチング素子4とは別のスイッチング素子8のドレイン端子が電気的に接続されている。このスイッチング素子8のソース端子は接地され、同スイッチング素子8のゲート端子には、前記制御電圧VBBと前記負荷駆動電圧VBPとの電位差を検知する電位差検知回路9が電気的に接続されている。
【0015】
この電位差検知回路9は、いわゆる減算回路やコンパレータ(比較回路)を含み、制御電圧VBBと負荷駆動電圧VBPとの電位差が所定の閾値を超えるとき、Hレベルの信号をスイッチング素子8のゲート端子に出力するとともに、該電位差が所定の閾値以下のとき、Lレベルの信号をスイッチング素子8のゲート端子に出力する。従って、電位差検知回路9からスイッチング素子8のゲート端子にHレベルの信号が入力されたとき、同スイッチング素子8がON作動し、これによりスイッチング素子4のゲート端子の電位が、このときのスイッチング素子8のドレイン電圧に由来してGNDに近いレベルに固定される。
【0016】
尚、前記所定の閾値は、制御用電源2や負荷駆動用電源3の定格出力電圧等の電気的特性を考慮して設定され、負荷駆動用電源3が定格出力電圧の最大値(上限値)を出力する場合の負荷駆動電圧VBPの測定値から、制御用電源2が定格出力電圧の最小値(下限値)を出力する場合の制御電圧VBBの測定値を減じたものに設定されている。また、本実施形態において電位差検知回路9が備える減算回路は、負荷駆動電圧VBPから制御電圧VBBを減じたものを両者の電位差として演算するものである。
【0017】
次に、以上のように構成されたランプ点灯装置1の作用について説明する。
(負荷駆動時の動作)
まず、ランプ5を点灯させるときの動作について説明すると、この場合、制御用電源2から当該ランプ点灯装置1に対して正規の制御電圧VBBが印加されるとともに、負荷駆動用電源3から当該ランプ点灯装置1に対して正規の負荷駆動電圧VBPが印加される。そして、出力回路7で昇圧された制御信号がスイッチング素子4の入力系に入力されると、同スイッチング素子4がON作動し、このスイッチング素子4の出力系を介して負荷駆動用電源3からランプ5に対する給電が許容され、該ランプ5が点灯される。
【0018】
尚、制御電圧VBBと負荷駆動電圧VBPとの電位差が所定の閾値以下のとき、電位差検知回路9からスイッチング素子8のゲート端子にLレベルの信号が入力される。従って、この場合、スイッチング素子8はOFF作動されるので、スイッチング素子4のゲート端子の電位は、出力回路7からの制御信号の電圧レベルに依存する。即ち、この負荷駆動時には、上記したように出力回路7で昇圧された制御信号がスイッチング素子4の入力系に入力されるので、このスイッチング素子4のゲート端子の電位はHi電位となる。ここに、出力回路7からスイッチング素子4の入力系にLレベルの制御信号が入力されるまで該スイッチング素子4がON作動し続け、この間、ランプ5が点灯される。
【0019】
(負荷非駆動時の動作)
次いで、ランプ5を消灯させるときの動作について説明すると、この場合、制御用電源2から当該ランプ点灯装置1に対して正規の制御電圧VBBが印加されるとともに、負荷駆動用電源3から当該ランプ点灯装置1に対して正規の負荷駆動電圧VBPが印加される(負荷駆動時の動作と同様)。そして、出力回路7からスイッチング素子4の入力系にLレベルの制御信号が入力されると、同スイッチング素子4がOFF作動し、このスイッチング素子4の出力系を介しての負荷駆動用電源3からランプ5に対する給電が禁止され、該ランプ5が消灯される。
【0020】
尚、制御電圧VBBと負荷駆動電圧VBPとの電位差が所定の閾値以下のとき、電位差検知回路9からスイッチング素子8のゲート端子にLレベルの信号が入力される。従って、この場合、スイッチング素子8はOFF作動されるので、スイッチング素子4のゲート端子の電位は、出力回路7からの制御信号の電圧レベルに依存する(負荷駆動時の動作と同様)。即ち、この負荷非駆動時には、上記したように出力回路7からスイッチング素子4の入力系にLレベルの制御信号が入力されるので、このスイッチング素子4のゲート端子の電位はLo電位となる。ここに、出力回路7で昇圧された制御信号がスイッチング素子4の入力系に入力されるまで該スイッチング素子4がOFF作動し続け、この間、ランプ5が消灯される。
【0021】
(制御電圧VBB低下時の動作)
次いで、制御用電源2から当該ランプ点灯装置1に対して正規の制御電圧VBBが印加されるとともに、負荷駆動用電源3から当該ランプ点灯装置1に対して正規の負荷駆動電圧VBPが印加されるべきところ、何らかの理由により、制御電圧VBBが0又は低電圧となったときの動作について説明すると、この場合、次のようになる。
【0022】
即ち、制御電圧VBBと負荷駆動電圧VBPとの電位差が所定の閾値を超えるとき、電位差検知回路9からスイッチング素子8のゲート端子にHレベルの信号が入力される。従って、この場合、スイッチング素子8がON作動されるので、スイッチング素子4のゲート端子の電位は、出力回路7からの制御信号の電圧レベルに依存することなく、GNDに近いレベルに固定される。つまり、スイッチング素子4のゲート端子の電位が、浮遊容量10の存在によって持ち上がろうとしても、そのことがスイッチング素子8の働きによって阻止される。よって、この場合、スイッチング素子4がON作動されることはなく、このスイッチング素子4の出力系を介しての負荷駆動用電源3からランプ5に対する給電が行われない結果、該ランプ5は消灯されたまま維持される。
【0023】
尚、本実施形態においてスイッチング素子4は負荷駆動手段に相当し、電位差検知回路9は電位差検知手段に相当し、スイッチング素子8は電位固定手段に相当する。
以上、詳述したように本実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。
【0024】
(1)何らかの理由により、制御電圧VBBが0又は低電圧となってそれと負荷駆動電圧VBPとの電位差が所定の閾値を超えるとき、制御用電源2からスイッチング素子4の入力系へ至る制御系電気経路の電位が、スイッチング素子4の出力系によるランプ5の点灯が禁止されるレベルに固定される。即ち、制御系電気経路の電位が、浮遊容量10の存在によって持ち上がろうとしても、そのことがスイッチング素子8の働きによって阻止される。従って、浮遊容量10の存在に起因する現象を回避することができる。
【0025】
(2)本実施形態の構成とは異なり、スイッチング素子8や電位差検知回路9を備えない従来の構成にあって、本実施形態の構成と同様に、電気的負荷としてランプ5を使用する場合、制御電圧VBBが0又は低電圧になると、浮遊容量10の存在に起因して、ランプ5が一瞬点灯する可能性がある。しかし、本実施形態の構成は、スイッチング素子8や電位差検知回路9を備えているので、上記(1)に記載した通り、浮遊容量10が存在しようとも、ランプ5は一瞬たりとも点灯せず、よって当該ランプ点灯装置1が搭載される例えば車両等において、ランプ5の不自然な点灯現象を回避できるとともに、また、ランプ5の寿命を延ばすこともできる。
【0026】
尚、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・電位差検知回路9による検知結果を報知するべく、電位差検知回路9に報知手段を電気的に接続してもよい。この場合、制御電圧VBBと負荷駆動電圧VBPとの電位差が所定の閾値を超えるとき、電位差検知回路9からスイッチング素子8のゲート端子にHレベルの信号を出力することのみならず、制御電圧VBBが0又は低電圧となっていることを前記報知手段にて報知する。このようにすれば、何らかの理由により、制御電圧VBBが0又は低電圧となってそれと負荷駆動電圧VBPとの電位差が所定の閾値を超えるとき、その旨を知らせる態様で報知手段を動作させることにより、0又は低電圧となっている制御電圧VBBを正規の制御電圧VBBに戻すための処置を迅速に施すことができる。要するに、ユーザが報知手段による手助けを受けられるようにすることで、ランプ点灯装置1を正規の使用状態にいち早く戻すことができる。
【0027】
尚、報知手段は、モニタに代表される表示手段のように表示による報知を行うものであってもよいし、ブザーやスピーカに代表される鳴動手段のように音による報知を行うものであってもよく、また、バイブレータに代表される振動手段のように振動による報知を行うものであってもよく、さらには、これら各手段を組み合わせたものであってもよい。
【0028】
・上記変更例のように報知手段を設ける構成において、制御電圧VBBと負荷駆動電圧VBPとの電位差のレベルに応じて段階的に報知動作を行うようにしてもよい。例えば、前記実施形態の「所定の閾値」を小さなものから順に「第1の閾値」、「第2の閾値」とし、電位差検知回路9により検知された電位差が「第1の閾値」に達したとき、その旨を知らせる態様で報知手段を動作させるも、この段階では電位差検知回路9からスイッチング素子8のゲート端子へHレベルの信号を出力しないようにする。そして、電位差検知回路9により検知された電位差が「第2の閾値」に達したとき、その旨を知らせる態様で報知手段を動作させるとともに、この段階になって初めて電位差検知回路9からスイッチング素子8のゲート端子へHレベルの信号を出力するようにする。このようにすれば、制御電圧VBBが低下しきっていない初期の段階でユーザに対して注意を喚起できる。
【0029】
尚、このような段階的な報知動作は、2段階に限定されないことは勿論であり、3段階以上に分けて段階的に報知動作を行うようにしてもよい。このようにすれば、きめ細やかな報知動作により、ユーザに対してその時々の状況(電位差)に応じた適切な処置に関する注意を喚起できる。
【0030】
・負荷駆動電圧VBPが0又は低電圧となったとき、スイッチング素子4がON作動したところで、同スイッチング素子4の出力系を介して負荷駆動用電源3からランプ5に対する給電が許容されたとしても、この場合、そもそも負荷駆動電圧VBPは低いものであるので、ランプ5が点灯する可能性は低い。つまり、この場合、ランプ5を点灯させなければならないところ、それが消灯されたままとなってしまう。そこで、この場合、上記変更例のように報知手段でその旨(負荷駆動電圧VBPが低下していること)を報知するようにしてもよい。尚、この場合、電位差検知回路9が備える減算回路は、前記実施形態のそれとは逆に、制御電圧VBBから負荷駆動電圧VBPを減じたものを両者の電位差として演算するものとして構成される。
【0031】
・電位差検知回路9に代えて又は加えて、制御電圧VBBを検知(監視)する制御電圧検知手段(制御電圧監視手段)や負荷駆動電圧VBPを検知(監視)する負荷駆動電圧検知手段(負荷駆動電圧監視手段)を備える次のような負荷駆動装置であってもよい。
【0032】
○制御電圧VBBを検知(監視)する制御電圧検知手段(制御電圧監視手段)を備える一方で、負荷駆動電圧VBPを検知(監視)する負荷駆動電圧検知手段(負荷駆動電圧監視手段)及び電位差検知回路9が割愛された負荷駆動装置。
【0033】
○負荷駆動電圧VBPを検知(監視)する負荷駆動電圧検知手段(負荷駆動電圧監視手段)を備える一方で、制御電圧VBBを検知(監視)する制御電圧検知手段(制御電圧監視手段)及び電位差検知回路9が割愛された負荷駆動装置。
【0034】
○制御電圧VBBを検知(監視)する制御電圧検知手段(制御電圧監視手段)及び負荷駆動電圧VBPを検知(監視)する負荷駆動電圧検知手段(負荷駆動電圧監視手段)を備える一方で、電位差検知回路9が割愛された負荷駆動装置。
【0035】
○電位差検知回路9及び制御電圧VBBを検知(監視)する制御電圧検知手段(制御電圧監視手段)を備える一方で、負荷駆動電圧VBPを検知(監視)する負荷駆動電圧検知手段(負荷駆動電圧監視手段)が割愛された負荷駆動装置。
【0036】
○電位差検知回路9及び負荷駆動電圧VBPを検知(監視)する負荷駆動電圧検知手段(負荷駆動電圧監視手段)を備える一方で、制御電圧VBBを検知(監視)する制御電圧検知手段(制御電圧監視手段)が割愛された負荷駆動装置。
【0037】
○電位差検知回路9及び制御電圧VBBを検知(監視)する制御電圧検知手段(制御電圧監視手段)及び負荷駆動電圧VBPを検知(監視)する負荷駆動電圧検知手段(負荷駆動電圧監視手段)を備える負荷駆動装置。
【0038】
これらの負荷駆動装置にあって、制御電圧VBBを検知(監視)する制御電圧検知手段(制御電圧監視手段)を少なくとも備えるものは、制御用電源2から当該ランプ点灯装置1に対して正規の制御電圧VBBが印加されるべきところ、何らかの理由により、それに満たない制御電圧VBBしか印加されなくなったとき、次のような実力を発揮する。即ち、こうしたとき、前記実施形態と同様にスイッチング素子4のゲート端子の電位をGNDに近いレベルに固定したり、上記変更例のように制御電圧VBBが低下している旨の報知を行ったりすることができる。
【0039】
一方、上記各負荷駆動装置にあって、負荷駆動電圧VBPを検知(監視)する負荷駆動電圧検知手段(負荷駆動電圧監視手段)を少なくとも備えるものは、負荷駆動用電源3から当該ランプ点灯装置1に対して正規の負荷駆動電圧VBPが印加されるべきところ、何らかの理由により、それに満たない負荷駆動電圧VBPしか印加されなくなったとき、次のような実力を発揮する。即ち、こうしたとき、前記実施形態と同様にスイッチング素子4のゲート端子の電位をGNDに近いレベルに固定したり、上記変更例のように負荷駆動電圧VBPが低下している旨の報知を行ったりすることができる。
【0040】
・前記実施形態では、制御用電源2から当該ランプ点灯装置1に対して制御電圧VBBを印加するとともに、負荷駆動用電源3から当該ランプ点灯装置1に対して負荷駆動電圧VBPを印加する、というように、別の個体の2つの電源を通じて負荷を駆動する負荷駆動装置に具体化したが、次のようなものも本発明に含まれる。即ち、単一の個体でありながら2系統を有する1つの電源、つまり第1の系統を通じて当該ランプ点灯装置1に対して制御電圧VBBを印加するとともに、第2の系統を通じて当該ランプ点灯装置1に対して負荷駆動電圧VBPを印加する、そういった1つの電源を通じて負荷を駆動する負荷駆動装置も本発明に含まれる。
【0041】
・前記実施形態では、負荷駆動装置をランプ点灯装置1に具体化したが、電気的負荷としてランプではなく例えばモータ(電動機)を駆動するものに具体化してもよい。尚、この種のモータ駆動装置は、FET等のスイッチング素子を2個用いる、いわゆるハーフブリッジ回路や、FET等のスイッチング素子を4個用いる、いわゆるフルブリッジ回路(Hブリッジ回路)を通じてモータを駆動することが一般的によく行われる。
【0042】
ここに、こうしたモータ駆動装置を本発明に適用するに際し、前記ブリッジ回路を構成するスイッチング素子(負荷駆動手段)1個につき、前記実施形態のスイッチング素子8のような電位固定手段を1個割り当て、電位差検知回路9により検知された電位差が所定の閾値を超えるとき、全ての電位固定手段を一斉に活性化させてもよい。そうすると、制御用電源2から各負荷駆動手段の入力系へ至る各制御系電気経路の電位が、各負荷駆動手段の出力系によるモータの回転が禁止されるレベルに一斉に固定される。即ち、各制御系電気経路の電位が、各負荷駆動手段近くの浮遊容量の存在によって持ち上がろうとしても、そのことが各電位固定手段の働きによって一斉に阻止される。従って、浮遊容量の存在に起因する現象(この場合、モータが実際に回転されないまでもそれに対して回転しようとする力が働くこと)を確実に回避することができる。
【0043】
次に、上記実施形態及びその変更例から把握できる技術的思想について記載する。
[技術的思想1]前記電位固定手段は、前記制御電圧が前記負荷駆動電圧よりも低く、且つ前記電位差検知手段により検知された電位差が所定の閾値を超えるとき、前記制御用電源から前記負荷駆動手段の入力系へ至る制御系電気経路の電位を、前記負荷駆動手段の出力系による前記電気的負荷の駆動が禁止されるレベルに固定する
請求項1に記載の負荷駆動装置。
【0044】
[技術的思想2]請求項1又は技術的思想1に記載の負荷駆動装置において、
前記電位差検知手段による検知結果として、前記制御電圧と前記負荷駆動電圧との電位差に関する情報を報知する報知手段を備える
ことを特徴とする負荷駆動装置。
【0045】
[技術的思想3]前記報知手段は、前記制御電圧と前記負荷駆動電圧との電位差のレベルに応じて段階的に報知動作を行う
技術的思想2に記載の負荷駆動装置。
【0046】
[技術的思想4]前記報知手段は、前記負荷駆動電圧が前記制御電圧よりも低く、且つ前記電位差検知手段により検知された電位差が所定の閾値を超えるとき、前記負荷駆動電圧が低下していることを報知する
技術的思想2又は技術的思想3に記載の負荷駆動装置。
【0047】
[技術的思想5]制御用電源及び負荷駆動用電源を含む複数の電源を通じて電気的負荷を駆動する負荷駆動装置において、
前記制御用電源から当該負荷駆動装置に対して印加される電圧を制御電圧と規定するとともに、前記負荷駆動用電源から当該負荷駆動装置に対して印加される電圧を負荷駆動電圧と規定し、
入力系が前記制御用電源に電気的に接続されるとともに、出力系が前記負荷駆動用電源に電気的に接続され、前記制御電圧に等しい電圧を含む所定の電圧が前記入力系に印加されたとき、前記出力系を介して前記負荷駆動用電源から前記電気的負荷に対する給電を許容して該電気的負荷を駆動する負荷駆動手段を備え、
さらに、前記制御電圧を検知(監視)する制御電圧検知手段(制御電圧監視手段)と、
前記制御用電源から当該負荷駆動装置に対して正規の制御電圧が印加されるべきところ、前記制御電圧検知手段(制御電圧監視手段)により検知(監視)された制御電圧が前記正規の制御電圧に満たないとき、前記制御用電源から前記負荷駆動手段の入力系へ至る制御系電気経路の電位を、前記負荷駆動手段の出力系による前記電気的負荷の駆動が禁止されるレベルに固定する電位固定手段とを備える
ことを特徴とする負荷駆動装置。
【0048】
[技術的思想6]制御用電源及び負荷駆動用電源を含む複数の電源を通じて電気的負荷を駆動する負荷駆動装置において、
前記制御用電源から当該負荷駆動装置に対して印加される電圧を制御電圧と規定するとともに、前記負荷駆動用電源から当該負荷駆動装置に対して印加される電圧を負荷駆動電圧と規定し、
入力系が前記制御用電源に電気的に接続されるとともに、出力系が前記負荷駆動用電源に電気的に接続され、前記制御電圧に等しい電圧を含む所定の電圧が前記入力系に印加されたとき、前記出力系を介して前記負荷駆動用電源から前記電気的負荷に対する給電を許容して該電気的負荷を駆動する負荷駆動手段を備え、
さらに、前記負荷駆動電圧を検知(監視)する負荷駆動電圧検知手段(負荷駆動電圧監視手段)と、
前記負荷駆動用電源から当該負荷駆動装置に対して正規の負荷駆動電圧が印加されるべきところ、前記負荷駆動電圧検知手段(負荷駆動電圧監視手段)により検知(監視)された負荷駆動電圧が前記正規の負荷駆動電圧に満たないとき、前記負荷駆動電圧が低下している旨を報知する報知手段とを備える
ことを特徴とする負荷駆動装置。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本実施形態のランプ点灯装置の構成を示す電気回路図。
【図2】従来の負荷駆動装置の構成を示す電気回路図。
【符号の説明】
【0050】
1…ランプ点灯装置(負荷駆動装置)、2…制御用電源、3…負荷駆動用電源、4…スイッチング素子(負荷駆動手段)、5…ランプ(電気的負荷)、8…スイッチング素子(電位固定手段)、9…電位差検知回路(電位差検知手段)、VBB…制御電圧、VBP…負荷駆動電圧。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御用電源及び負荷駆動用電源を含む複数の電源を通じて電気的負荷を駆動する負荷駆動装置において、
前記制御用電源から当該負荷駆動装置に対して印加される電圧を制御電圧と規定するとともに、前記負荷駆動用電源から当該負荷駆動装置に対して印加される電圧を負荷駆動電圧と規定し、
入力系が前記制御用電源に電気的に接続されるとともに、出力系が前記負荷駆動用電源に電気的に接続され、前記制御電圧に等しい電圧を含む所定の電圧が前記入力系に印加されたとき、前記出力系を介して前記負荷駆動用電源から前記電気的負荷に対する給電を許容して該電気的負荷を駆動する負荷駆動手段を備え、
さらに、前記制御電圧と前記負荷駆動電圧との電位差を検知する電位差検知手段と、
前記電位差検知手段により検知された電位差が所定の閾値を超えるとき、前記制御用電源から前記負荷駆動手段の入力系へ至る制御系電気経路の電位を、前記負荷駆動手段の出力系による前記電気的負荷の駆動が禁止されるレベルに固定する電位固定手段とを備える
ことを特徴とする負荷駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−109584(P2010−109584A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−278526(P2008−278526)
【出願日】平成20年10月29日(2008.10.29)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】