説明

走行車両の前後進切換操作装置

【課題】シャトルレバーの前後動をロッドリンクを介して切換バルブのスプールの摺動に連結させて、構造の容易化、部品点数の低減を図る。
【解決手段】油圧切換式前後進切換機構2を収納したミッションケース3の側壁に前後進切換機構2を切り換える切換バルブ4が設けられ、切換バルブ4を連動手段5を介して操作するシャトルレバー6がハンドルポスト7に支持されている。切換バルブ4はバルブ本体8からスプール9が前方突出した状態で且つシャトルレバー6の下方で前後方向略同一位置に配置され、連動手段5は、スプール9の前方で回動することによりスプール9を摺動させる回動体10と、シャトルレバー6の前後動で揺動する揺動体11と、揺動体11の揺動で回動体10を回動させるロッドリンク12とで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラクタ等の走行車両における油圧切換式の前後進切換装置を切り換える前後進切換操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、前後進切換機構を切換操作する走行車両の操縦装置が知られている。
この操縦装置は、トランスミッションに切換バルブを有した前後進切換機構を備えた走行機体上に支持台を設け、この支持台にチルト支軸を介してハンドルポストを支持し、このハンドルポストに支持部材を介して前後進レバー軸を回動可能に且つハンドルポストと一体チルト動作可能に支持し、この前後進レバー軸の回動で前後進切換機構を前後切換操作すべく前後進レバー軸と前後進切換機構とを連動手段で連動連結している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−104085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の操縦装置の連動手段は、前後進レバー軸に設けたアームと、このアームと連結されていてハンドルポストに対して枢支された揺動体とを有しているが、揺動体と切換バルブとをケーブルによって接続しており、ケーブルには伸びがあり、揺動体の揺動をケーブルのプッシュプル動作に変換する必要があるため、構造の複雑化及び部品点数の増加を招いている。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて、シャトルレバー下方の切換バルブにおけるスプールの摺動とシャトルレバーの前後動とをリンクロッドで連動させることで、構造の容易化、部品点数の低減を図った走行車両の前後進切換操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は、以下の技術的手段を採用した。
第1に、油圧切換式前後進切換機構2を収納したミッションケース3の側壁に前後進切換機構2を切り換える切換バルブ4が設けられ、この切換バルブ4を連動手段5を介して操作するシャトルレバー6がハンドルポスト7に支持されており、
前記切換バルブ4はバルブ本体8からスプール9が前方突出した状態で且つシャトルレバー6の下方で前後方向略同一位置に配置され、
前記連動手段5は、前記スプール9の前方で回動することによりスプール9を摺動させる回動体10と、前記シャトルレバー6の前後動で揺動する揺動体11と、この揺動体11の揺動で回動体10を回動させるロッドリンク12とで構成されていることを特徴とする。
【0007】
第2に、前記ロッドリンク12は、前記切換バルブ4及びシャトルレバー6の前方に位置し且つ上下部から中途部にかけて前方突出の湾曲状に形成されていることを特徴とする。
第3に、前記ハンドルポスト7に左右軸13が回動自在に支持され、この左右軸13に前後軸14が設けられ、この前後軸14にシャトルレバー6の下部の嵌合部15が回動自在に嵌合され、この嵌合部15から下方へ係合部16が突出され、
この係合部16がシャトルレバー6の前後軸14廻りの揺動で係脱し且つシャトルレバー6の左右軸13廻りの揺動で係合部16の係合位置が変更されるレバーガイド17が前記ハンドルポスト7に設けられており、
前記揺動体11は、前記シャトルレバー6の下部に設けられていて、前記シャトルレバー6が前後動して左右軸13廻りに揺動するときにロッドリンク12を昇降するべく、ロッドリンク12の上部と連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明によると、シャトルレバーの下方で前後方向略同一に配置した切換バルブ前方のスプールの摺動で回動する回動体と、シャトルレバーの前後動で揺動する揺動体とをロッドリンクで連動させることで、各部材の動作方向を変換させる機構を可及的に減らし、操作装置を簡素にできる同時に、部品点数の減少を図れる。
請求項2に係る発明によると、切換バルブ及びシャトルレバー前方に配置したロッドリンクを前方突出の湾曲状に形成することで、操作者の足下スペースを確保して、操作性を向上できる。
【0009】
請求項3に係る発明によると、左右軸及び前後軸で枢支されたシャトルレバーの前後左右動で係合位置が変更されるレバーガイドを設け、シャトルレバーの前後動でロッドリンクが昇降すべく揺動体をロッドリンクに連結することで、前後進切換操作をしてもロッドリンクが揺動等することがないため、操作時のロッドリンク軌跡が小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る走行車両の前後進切換操作装置の側面図である。
【図2】前後進切換操作装置の背面図である。
【図3】前後進切換操作装置の背面斜視図である。
【図4】前後進切換操作装置のシャトルレバー枢支部分の拡大斜視図である。
【図5】切換バルブの拡大斜視図である。
【図6】前後進切換機構及び変速装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1〜6には、本発明に係る走行車両の前後進切換操作装置1が示されている。
図1、2において、21は走行車両として例示したトラクタで、エンジン22、フライホイールハウジング23、ミッションケース3、前車軸フレーム等を直結して車体を構成し、前輪、後輪を縣架して走行機体24を構成している。
【0012】
この走行機体24には、エンジン22を覆うボンネット25後側のフロアーシート上に運転席が配置され、運転席の近傍には操縦装置20(前後進切換操作装置1)が配備されている。
この操縦装置20下方のフライホイールハウジング23及びミッションケース3内には、エンジン22からの動力を、フライホイール26、緩衝機構(ダンパ)27を介して前輪及び/又は後輪に伝達する走行伝達系とPTO伝達系のトランスミッション28が収納されている。
【0013】
このトランスミッション28の走行駆動系は、エンジン22の動力を正転で取り出す態様と逆転で取り出す態様とに変換する油圧切換式の前後進切換機構2と、3段又は4段に変速する主変速装置29や、さらに減速する副変速装置30等の変速装置とを有する。
前後進切換機構2は、エンジン動力を伝える推進軸31上に設けられた前進油圧クラッチ32及び後進油圧クラッチ33を有しており、前進油圧クラッチ32を作動することで推進軸31の正転動力を下流側の主変速装置29へ伝達し、後進油圧クラッチ33を作動させることで、推進軸31の動力を逆転させて主変速装置29へ伝達する。
【0014】
なお、前後進切換機構2は、油圧クラッチ32、33の両方をきることにより走行系メイン油圧クラッチの役目もしているが、ダンパ27の代わりにメインクラッチを設けてもよい。
油圧クラッチ32、33に圧油を送る油路は、推進軸31前部を支持する前軸支持ホルダ34を通り、ミッションケース3の左右一側壁(左側壁)に設けられた切換バルブ4に連通しており、この切換バルブ4によって前後進切換機構2を制御する。
【0015】
切換バルブ4は、前後進切換機構2を操作するシャトルレバー6の下方で前後方向略同一位置(左右方向においては、若干左方位置)に配置されている(図1、2参照)。
図5に示すように、切換バルブ4は、前後進切換機構2の油圧クラッチ32、33と連通した油路をもつバルブ本体8と、このバルブ本体8の前部から前方突出したスプール9とを備えている。このスプール9は、バルブ本体8に前後方向に摺動自在に支持されており、前端には後述の回動体10が連結されている。
【0016】
切換バルブ4の切換操作は、回動体10や、後述の揺動体11及びロッドリンク12を介して、以下に述べるハンドルポスト7に支持されたシャトルレバー6によって行う。
図1〜3に示すように、ハンドルポスト7は、エンジンルーム35と運転スペース(キャビン内等)とを仕切る隔壁36の背面に設けられた支持台37によって支えられている。この支持台37には、操縦装置20を構成する部材の多くが支持されており、操縦パネル38及び操縦部カバー39等が取り付けられている。
【0017】
支持台37には左右方向に延びるペダル軸40が貫通状に支持されており、このペダル軸40の右端部(支持台37から右方に突出した部分)には、左右一対のブレーキペダル41L、41Rが吊り持ち状に支持されている。
左ブレーキペダル41Lは、後輪用であり、ペダル踏込みによってペダル軸40が一体的に回動する。ペダル軸40の回動は、支持台37の左方へ伝わり、アームを介して上下方向に略沿って配設された左ブレーキロッド42Lの昇降として伝わる。この左ブレーキロッド42Lの昇降による力が、ブレーキ回動体43で後方へ向きを変えて後輪側へ伝達される。
【0018】
支持台37のペダル軸40後方には、ハンドルポスト7のポスト本体44が配置され、このポスト本体44は軸受を介してハンドル軸45が回転自在に支持されている。このハンドル軸45の上端にはハンドル46が設けられ、ハンドル軸45の下端はステアリングコントロールバルブ(図示せず)を作動すべく連結されている。
図4に示すように、ハンドルポスト7の支持台37の左右一側(左側)の左縦板材37aの左外面には、略円筒状の軸支持部材47が左右外方へ延設されており、この軸支持部材47内に左右方向に延びる左右軸13が回動自在に支持されている。
【0019】
この左右軸13の中途部から先端にかけて、前後一対の平面部13aが形成され、この平面部13aの基部から径方向に延設された揺動体(揺動アーム)11と、この揺動アーム11から所定距離離れた略中央部に前後方向に延びる前後軸14が設けられている。
この前後軸14には、シャトルレバー6の中途部(嵌合部)15が回動自在に嵌合されていて、この嵌合部15は、板を略U字状に二股に屈曲した嵌合体15aと、この嵌合体15aの二股部分の前後に設けられた筒状のカラー15bとを備えている。
【0020】
このカラー15bは、左右軸13及び嵌合体15aを貫通した前後軸14に外嵌しており、前後軸14の前後端部と嵌合体15aとの間を所定距離に保つ。
前後のカラー15bには、つる巻きバネ等の付勢具48が巻き付けられており、この付勢具48の先端は嵌合体15a下部の左右外方に掛け渡されている。これによって、シャトルレバー6の下部(後述の係合部16)が、ポスト本体44(レバーガイド17)へ近づく側へ付勢される。
【0021】
嵌合体15a中途の屈曲部分には、上方へ延びるシャトルレバー6のレバー本体49下端が取り付けられている。
シャトルレバー6のレバー本体49は、ポスト本体44に近づく側へ湾曲した後、左右外上方へ延設されている。つまり、左上方へ延設されたシャトルレバー6上部であるレバー本体49を右方(操縦者の手元では、上方)へ揺動すると、シャトルレバー6の下部(係合部16)は、前後軸14廻りに左方へ揺動する。
【0022】
なお、レバー本体49の左上方への延設方向と略平行にポスト本体44の支持材から左右外上方へ延びるレバーガード50が設けられており、レバー本体49が不測に操作させることを防いでいる(図1参照)。
図1〜4に示す如く、嵌合体15a下部の二叉部分の間には、下方へ突出した係合部16が設けられている。この係合部16は、ポスト本体44へ近づく側へ斜めに傾いて突出しており、この突出した先端部分が当接する位置にレバーガイド17が、ハンドルポスト7の支持台37の左縦板材37aに設けられている。
【0023】
レバーガイド17は、左縦板材37aの左外面で、且つ左右軸13の軸支持部材47下方に取り付けられた支持部17aと、この支持部17aから左右外方へ立設し係合部16に当接する当接部17bとを有している。
図4に示すように、当接部17bは、左右外方部分に切欠17cを有したプレートであって、この切欠17cの底には、前記係合部16が係脱可能で且つ前から後へ並んだ3つの係合溝17F、17N、17Bが形成されている。
【0024】
これらの係合溝17F〜17Bに係合部16が係止された場合には、シャトルレバー6を、前後進切換機構2の前進、中立、後進に対応する前進位置F、中立位置N及び後進位置Bに位置決めするものである。
また、上述した付勢具48によって、係合部16は、レバーガイド17の各溝17F〜17Bとの係止状態が保持されるように付勢されており、この付勢状態を解除するには、前後軸14廻りにシャトルレバー6のレバー本体49を上方(右方)へ揺動させる。
【0025】
各係合溝17F〜17Bから係合部16を外したのち、他の係合溝17F〜17Bへ係合させる係合位置の変更は、左右軸13廻りに前後方向へ揺動させて行う。
シャトルレバー6の左右軸13廻りの前後揺動(前後動)によっては、上述した揺動アーム(揺動体)11も一体に揺動する。
この揺動アーム11は、板材をクランク状に屈曲させたものであって、左右軸13の平面部13a基端から前方に延設し、左右外方(左方)へ所定長さ延ばした後に、前方へ延設している。
【0026】
この延設した先端部には、後述のロッドリンク12の上端(上部)が枢支されており、揺動アーム11の左右軸13廻りの回動(シャトルレバー6の前揺動)が、以下のロッドリンク12の動き(昇降)に連動する。
図1に示すように、ロッドリンク12は、切換バルブ4及びシャトルレバー6の前方位置にて、上下方向に略沿うように延びるロッドであって、上述した左ブレーキロッド42Lの後位置で且つ略平行に配備されている。
【0027】
ロッドリンク12の形状は、側面視において上下部から中途部にかけて前方突出した湾曲状に形成されている。これによって、操縦者の足下にスペースが確保でき、ペダル等を踏む際にも邪魔にならない。
さらに、左ブレーキロッド42Lの長手方向に略沿うように配置されているため、左ブレーキロッド42Lとロッドリンク12とを設けても前後に嵩張ることはなく、ブレーキ系のメンテナンス時には、ロッドリンク12や揺動体11、後述の回動体10も露出するため、前後進切換操作装置1のメンテナンスも同時にできる。
【0028】
なお、ロッドリンク12は、中途部には長さを変更可能な調節部51が設けられており、背面視においてシャトルレバー6(揺動体11)近傍の上部から下部にかけて左右外方へミッションケース3の左側面に沿って湾曲して形成されている(図2参照)。
ロッドリンク12の下端部(下部)は、上述の回動体10と枢支連結されている。
図1、5に示すように、回動体10は、ミッションケース3の左側面から左方へ立設された回動軸52と、この回動軸52に回動自在に外嵌した筒部材53と、この筒部材53基端部の側面から径方向に延びるスプールアーム54と、筒部材53先端部の側面から径方向に延びるロッドアーム55とを有している。
【0029】
スプールアーム54は、筒部材53から略上方へ延設する板材であって、この板材に切換バルブ4のスプール9先端部が止め軸56で回動自在に連結されており、スプールアーム54の回動軸52廻りの回動がスプール9の前後摺動に変わる。
ロッドアーム55は、筒部材53から略前方へ延設する板材であって、この板材の前端にロッドリンク12の下端が回動自在に枢支されており、ロッドリンク12の上下方向に略沿った昇降によって、ロッドアーム55は回動軸52廻りに回動し、スプール9が前後に摺動する。なお、ロッドリンク12とロッドアーム55との枢支位置は、回動軸52及びスプール9よりも前方となる。
【0030】
上述した回動体10、揺動体11及びロッドリンク12によって、シャトルレバー6の前後揺動をスプール9の摺動に連動させる連動手段5が構成されている。
本発明に係る前後進切換操作装置1の昇降するロッドリンク12による前後進切換機構2の切換操作について説明する。
図1に示すように、中立位置Nにあるシャトルレバー6は、操縦者が手元でレバー本体49を前後軸14廻りに上方へ揺動させることで、係合部16が付勢具48の付勢に抗って前後軸14廻りに左方へ揺動する。
【0031】
この揺動によって係合部16と係合溝17Nとの係合を解除(レバーロック解除)した後、シャトルレバー6を左右軸13廻りに前方(f方向)へ揺動させると、揺動アーム(揺動体)11も左右軸13廻りに下方へ揺動する。揺動アーム11の揺動で、ロッドリンク12が押し下げられ、その力が回動体10のロッドアーム55に先端を押し下げる(f’方向)ように伝わる。
【0032】
ロッドアーム55の押下げにより、スプールアーム54が回動軸52廻りで前方に回動され、スプールアーム54の前方回動に伴って、スプール9が前方(f”方向)へ摺動する。このスプール9の前方摺動によって、前後進切換機構2が前進状態となる。
なお、シャトルレバー6の前方揺動によって、シャトルレバー6下部の係合部16は、後方へ移動してレバーガイド17の係合溝17F(前進位置F)に係合する。
【0033】
これとは逆に、前進位置F又は中立位置Nにあるシャトルレバー6を、上方揺動して係合溝17F、17Nとの係合を解除した後に左右軸13廻りに後方(b方向)へ揺動すれば、揺動アーム11の上方揺動でロッドリンク12が上方へ(b’方向)引き上げられる。ロッドアーム55の引上げにより、スプールアーム54が後方回動され、スプール9が後方(b”方向)へ摺動することで、前後進切換機構2が後進状態に切り換えられる。
【0034】
このとき、シャトルレバー6下部の係合部16は、レバーガイド17の係合溝17B(後進位置B)に係合している。
上述したように、シャトルレバー6下方で前後方向略同一に配置した切換バルブ4前方のスプール9の摺動によって回動する回動体10と、シャトルレバー6の前後動で揺動する揺動体11とをロッドリンク12で連動させることで、ケーブル等を用いずとも、各部材の動作(回動及び揺動)方向を変換させることが可能となると共に、操作装置における構造の簡略化、部品点数の低減、コストダウン及び調整の容易化を同時に実現できる。
【0035】
また、切換バルブ4及びシャトルレバー6の前方に配置したロッドリンク12を、中途部が前方に突出した湾曲状に形成することで、ロッドリンク12中途部の後方にまで操作者の足や、他の部材を置くスペースを確保して空間効率を上げ、前後進切換の操作性を向上できる。
さらに、左右軸13及び前後軸14で枢支されたシャトルレバー6の前後左右動で係合位置が変更されるレバーガイド17を設け、シャトルレバー6の前後動でロッドリンク12が昇降するように、揺動体11とロッドリンク12とを連結することで、前後進切換機構2を切換操作しても、ロッドリンク12は上下に昇降するだけとなって、操作時のロッドリンク12の軌跡が小さくなり、揺動させるための前後空間等の必要がなく、前後進切換操作装置1全体の省スペース化を図れる。
【0036】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。前後進切換操作装置1等の各構成又は全体の構造、形状、寸法などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
切換バルブ4、連動手段5及びシャトルレバー6は全て、ミッションケース3及びハンドルポスト7の左側に設けられていたが、右側に設けられていてもよい。
【0037】
シャトルレバー6の係合部16及びレバーガイド17は、左右軸13及び前後軸14の下方で且つロッドリンク12の後方に配備されていたが、シャトルレバー6の左右揺動で係脱し且つシャトルレバー6の前後揺動で係合位置が変更できるのであれば、左右軸13及び前後軸14の左右内方や、ロッドリンク12より前方に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 走行車両の前後進切換操作装置
2 前後進切換機構
3 ミッションケース
4 切換バルブ
5 連動手段
6 シャトルレバー
7 ハンドルポスト
8 バルブ本体
9 スプール
10 回動体
11 揺動体
12 ロッドリンク
13 左右軸
14 前後軸
15 嵌合部
16 係合部
17 レバーガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧切換式前後進切換機構(2)を収納したミッションケース(3)の側壁に前後進切換機構(2)を切り換える切換バルブ(4)が設けられ、この切換バルブ(4)を連動手段(5)を介して操作するシャトルレバー(6)がハンドルポスト(7)に支持されており、
前記切換バルブ(4)はバルブ本体(8)からスプール(9)が前方突出した状態で且つシャトルレバー(6)の下方で前後方向略同一位置に配置され、
前記連動手段(5)は、前記スプール(9)の前方で回動することによりスプール(9)を摺動させる回動体(10)と、前記シャトルレバー(6)の前後動で揺動する揺動体(11)と、この揺動体(11)の揺動で回動体(10)を回動させるロッドリンク(12)とで構成されていることを特徴とする走行車両の前後進切換操作装置。
【請求項2】
前記ロッドリンク(12)は、前記切換バルブ(4)及びシャトルレバー(6)の前方に位置し且つ上下部から中途部にかけて前方突出の湾曲状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の走行車両の前後進切換操作装置。
【請求項3】
前記ハンドルポスト(7)に左右軸(13)が回動自在に支持され、この左右軸(13)に前後軸(14)が設けられ、この前後軸(14)にシャトルレバー(6)の下部の嵌合部(15)が回動自在に嵌合され、この嵌合部(15)から下方へ係合部(16)が突出され、
この係合部(16)がシャトルレバー(6)の前後軸(14)廻りの揺動で係脱し且つシャトルレバー(6)の左右軸(13)廻りの揺動で係合部(16)の係合位置が変更されるレバーガイド(17)が前記ハンドルポスト(7)に設けられており、
前記揺動体(11)は、前記シャトルレバー(6)の下部に設けられていて、前記シャトルレバー(6)が前後動して左右軸(13)廻りに揺動するときにロッドリンク(12)を昇降するべく、ロッドリンク(12)の上部と連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の走行車両の前後進切換操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−72878(P2012−72878A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219599(P2010−219599)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】