超低用量のα−2−受容体アンタゴニストを用いる、オピオイド受容体アゴニストの治療作用の増強方法および/またはオピオイド受容体アゴニストに対する耐性の阻害方法もしくは逆転方法
オピオイド受容体アゴニストと、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストとの併用療法を提供する。被験体において、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を増強する、オピオイド受容体アゴニストに対する急性および/または慢性耐性の発生を阻害する、ならびにオピオイド受容体アゴニスト治療により処置可能な状態を処置する際のこれらの併用療法の使用のための方法もまた提供する。加えて、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストの投与を介して、被験体において、オピオイド受容体アゴニスト耐性を逆転させる、および/またはオピオイド受容体アゴニストの治療効果を回復させる方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
オピオイド薬は、中等度から重度の疼痛症候群の臨床管理において不可欠である。オピオイドはまた、鎮咳剤として、下痢の低減および/または予防において、ならびに肺水腫の処置において、用いられる。
【0002】
オピオイドの強力な鎮痛作用が脳、脊髄、および末梢におけるニューロンに存在する特異的な受容体との相互作用に起因することは十分、認められている。これらの受容体の複数の形があることもまた認識されている。クローニング実験は、3つの別個の型の受容体、すなわち、μ、δ、およびκの存在を同定している。各型の受容体は、別個の遺伝子産物で、7回膜貫通Gタンパク質共役型受容体(GPCR)である(Kieffer et al., Trends in Pharmacol. Science 1999 20:19-26)。これらの受容体は、内因性オピオイドペプチドにより、および高選択性作動性または拮抗性リガンドにより、選択的にターゲットされる。特に、エンドモルフィンはμ受容体をターゲットにする;エンケファリンはδ受容体をターゲットにする;およびダイノルフィンはκ受容体をターゲットにする。薬理学的証明はまた、μ1およびμ2、δ1およびδ2、ならびにκ1、κ2、κ3、およびκ4と名付けられたオピオイド受容体サブタイプの存在を示唆する(Pasternak and Standifer, Trends in Pharmacol. Science 1995 16:344-350)。これらのオピオイド受容体サブタイプの分子構造および/または起源は、遺伝子産物の選択的プロセシング(Rossi et al., FEBS Lett 1995 369:192-196; Pan et al., Mol. Pharmacol. 1999 396-403)および/または受容体オリゴマー形成(Jordan and Devi, Nature 1999 399:697-700; George et al., J. Biol. Chem. 2000 275:26128-26135)が、追加の受容体異種性の根拠を提供することを示唆されているが、はっきりしていない。
【0003】
オピオイドは中枢神経軸の異なるレベルで作用することにより疼痛の伝達を阻害するが、背側脊髄がそれらの作用の主要部位と認識されている。この部位において、オピオイドは、シナプス前およびシナプス後作用により、疼痛をシグナル伝達するニューロンの活性を阻害する。シナプス前性に、オピオイドは、L-グルタミン酸、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、およびサブスタンスPを含むいくつかの疼痛神経伝達物質の、末梢侵害受容により作動される高閾値一次求心性線維の末端からの放出を阻害する。この効果は、伝達物質の神経末端からのカルシウム依存性放出を制御する電位依存性N型カルシウムチャネル(North et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA 1987 84:5487-5491; Werz and McDonald, Neuropeptides 1984 5:253-256)の遮断に起因する。シナプス後性に、オピオイドは、これらのニューロン上のカリウムチャネルの開口により、一次求心性線維によりターゲットされる投射ニューロンを過分極させる。すべてのオピオイド受容体型の活性化は、百日咳毒素(PTX)感受性機構を介してアデニリルシクラーゼ活性を阻害する。
【0004】
侵害受容ニューロンのシナプス前およびシナプス後活性はまた、作動上オピオイド受容体として挙動するいくつかの非オピオイド受容体により調節される。例えば、脊髄侵害受容ニューロン上のα-2受容体の活性化は、オピオイド薬により生じる細胞応答および行動応答を再現する(Ossipov et al., Anesthesiology 1990 73:1227-1235)。
【0005】
WO 03/099289は、α-アドレナリン作動性アゴニストおよび選択的α-2Aアンタゴニストを含む組成物を投与することにより被験体において疼痛を緩和する方法を開示する。
【0006】
しかしながら、クロニジンのようなα-2受容体アゴニストの脊髄投与は、強力な脊髄鎮痛を生じるが、オピオイドと違って、これらの作用物質は、脊髄からの交感神経性流出に影響することにより有意な心臓血管系効果を生じる。さらに、オピオイド受容体アゴニストのように、α-2受容体アゴニストの脊髄効果への反復曝露は耐性の発生へと導きうる(Stevens et al., J. Pharm. Exp. Ther. 1998 244:63-70)。
【0007】
少なくともオピオイド受容体アゴニストに関しての、耐性の発生は多因子に起因している(Jhamandas et al., Pain Res. Manag. 2000 5:25-32)。最近の研究は、耐性が、極低用量で発揮する、および鎮痛に寄与する阻害効果を徐々に圧倒しうるオピオイドの逆説的な刺激作用に起因しうることを示唆する(Crain and Shen, Trends in Pharm. Sci. 1990 11:177-81)。オピオイドの興奮作用は、古典的オピオイド作用を遮断または阻害するオピオイド受容体アンタゴニストの用量の50分の1〜100,000分の1の超低用量で投与する場合、オピオイド受容体アンタゴニスト(例えば、ナロキソンまたはナルトレキソン)により遮断される(Crain and Shen, Proc. Natl Acad. Sci USA 1995 92:10540-10544)。そのような超低用量のオピオイド受容体アンタゴニスト、ナルトレキソンは、逆説的に、オピオイド鎮痛を増加させる、慢性オピオイド耐性の発生を阻害する、および確立された耐性を逆転させる(Powell et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 2002 300:588-596)。これらの作用の根底にある仮説は、オピオイドの潜在性興奮効果が、進行性で、かつ最終的には古典的オピオイド用量により生じる鎮痛に打ち勝つ痛覚過敏を生じることである。しかしながら、オピオイド受容体アンタゴニストの臨床用途は、鎮痛応答の可能性のある損失のリスクを伴う。
【0008】
非選択的アドレナリン遮断薬フェントラミン(α-1およびα-2遮断薬)およびプロプラノロール(β-1およびβ-2遮断薬)ならびに選択的遮断薬プラゾシン(α-1遮断薬)およびメトプロロール(β-1遮断薬)の両方は、マウスにおいてモルフィン鎮痛に対する耐性の発生を抑制することを開示されている(Kihara, T. and Kaneto, H. Japan J. Pharmacol. 1986 42:419-423)。5mg/kgおよび1mg/kgで投与する場合のヨヒンビン(α-2遮断薬)は、モルフィンに対する耐性の発生を遅らせるが、遮断しないことが開示されている(Kihara, T. and Kaneto, H. Japan J. Pharmacol. 1986 42:419-423)。しかしながら、ヨヒンビンはまた、未処置の動物においてモルフィン鎮痛に用量依存的に拮抗することを開示されている(Kihara, T. and Kaneto, H. Japan J. Pharmacol. 1986 42:419-423)。
【0009】
鎮痛を与えるのに必要とされるオピオイドおよび/またはα-2受容体アゴニストの量を低減するための様々な併用療法が記載されている。
【0010】
WO 98/38997は、麻酔および鎮痛のための薬物におけるレボブピバカインおよびオピオイドまたはα-2受容体アゴニストの使用を開示する。
【0011】
US 2004/0254207(2004年12月16日に公開された)およびUS 2004/0092541(2004年5月13日に公開された)は、オピオイドおよびカフェイン、またはオピオイド、または非オピオイド鎮痛薬をまたそれぞれ含む鎮痛組成物に用いるN-アシル化4-ヒドロキシフェニルアミン誘導体を開示する。
【0012】
ここ数年、脊髄オピオイド受容体とα-2受容体の間の機能的相互作用が同定されている(Yaksh, T.I. Brain Res. 1979 160:180-185; Roering et al. Brain Res. 1984 308:360-363; Wigdor, S. and Wilcox, G. J. Pharmacol. Exp. Ther. 1987 242:90-95; Stone et al. J. Neurosci. 1997 18:7157-7165)。
【0013】
α-2受容体アゴニストの作用は、アチペマゾール(atipemazole)およびヨヒンビンにより遮断される。アチペマゾールは、ヨヒンビンより、クロニジンの置換剤として約100倍強力な、中枢および末梢の両方に位置するα-2アドレナリン受容体の強力で、選択的かつ特異的なアンタゴニストである(Virtanen et al. Arch. Int. Pharmacodyn. 1989 297:190-204)。
【0014】
Browningらは、モルフィンの鎮痛活性がオピオイド受容体アンタゴニストであるナロキソンにより、およびα-2受容体アンタゴニストであるヨヒンビンにより拮抗されるのに、α-2受容体アゴニスト鎮痛活性はα-2受容体アンタゴニストによってのみ拮抗されることを開示した(Br. J. Pharmacol. 1982 77:487-491)。マウスおよびモルモット回腸におけるこれらの研究に基づいて、Browningらは、ヨヒンビンはα-2受容体へ作用するが、それは、アヘン剤のインビボ鎮痛効果に部分的に拮抗し、オピオイド放射性リガンド結合を弱く置換することを示した。しかしながら、オピオイドアンタゴニスト、ナロキソンはα-2受容体アゴニスト鎮痛に影響を及ぼさず、オピオイドリガンドはα-2受容体放射性リガンド結合を置換しない(Br. J. Pharmacol. 1982 77:487-491)。対照的に、KontinenおよびKalsoは、ラットのテールフリックまたはホットプレート試験において、α-2受容体アンタゴニスト、アチペマゾールの存在下におけるモルフィンの最大下抗侵害受容性用量の投与、およびオピオイド受容体アンタゴニスト、ナロキソンの存在下におけるデクスメデトミジンの同様の投与後、μ-オピオイドとα-2アドレナリン作動系の間に交差拮抗作用を観察しなかった(Pharm. and Tox. 1995 76:368-370)。従って、ヨヒンビンと違って、α-2受容体アンタゴニスト、アチペマゾールは、脊髄モルフィン鎮痛に拮抗しないし(Kontine, V.K. and Kalso, E.A. (Pharm. and Tox. 1995 76:368-370))、またオピオイド受容体に対する親和性も示さない(Virtanen et al. Arch. Int. Pharmacodyn. 1989 297:190-204)。
【0015】
最近の研究は、μオピオイド受容体およびα-2受容体が、いずれかの受容体の活性化または遮断に応じて異なる応答をシグナル伝達すると仮定される複合体として存在しうることを示している(Jordan et al. Mol. Pharmacol. 2003 64:1317-1324)。この研究からのデータは、μオピオイドおよびα-2Aアドレナリン受容体が物理的に相互作用しうることを示唆する。さらに、この相互作用は、いずれかの系の選択的リガンドの付加により機能的に増強されうるが、両方のリガンドの付加によっては増強されない(Jordan et al. Mol. Pharmacol. 2003 64:1317-1324)。
【0016】
WO 2004/053099(2004年6月24日に公開された)は、様々な化合物の有効量の投与によりオピオイド薬中毒を処置する方法を開示し、化合物の1つは、α-2アドレナリン受容体のアゴニストまたはアンタゴニストであることを示唆されている。
【0017】
EP 0 906 757(1999年4月7日に公開された特許出願)は、モノキシジン、α-2受容体アゴニスト(Kirch et al. J. Clin. Pharm. 1990 30:1088-1095)、およびオピオイド鎮痛剤の相乗的な有効量を含む鎮痛組成物を開示する。
【発明の開示】
【0018】
発明の概要
本発明の局面は、治療効果を生じる有効量のオピオイド受容体アゴニストと、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストとを含む組成物である。本発明の組成物は、限定されないが、術後の急性および/または慢性疼痛、産科の疼痛、急性および/または慢性炎症性疼痛、多発性硬化症および/または癌のような状態に関連した疼痛、外傷に関連した疼痛、片頭痛に関連した疼痛、神経障害性疼痛、中心性疼痛、ならびに慢性背痛のような非悪性起源の慢性疼痛症候群を含む疼痛管理のための有用な治療剤を提供する。本発明の組成物はまた、鎮咳剤として、下痢の低減および/または予防において、肺水腫の処置において、ならびにオピオイド受容体アゴニストへの身体的依存および/または中毒の軽減において、有用である。
【0019】
本発明のもう一つの局面は、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストをオピオイド受容体アゴニストと組み合わせて被験体に投与する段階を含む、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を増強する方法である。
【0020】
本発明のもう一つの局面は、内因性オピオイド受容体アゴニストの生物学的作用を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを被験体に投与する段階を含む、被験体において内因性オピオイド受容体アゴニストの生物学的作用を増強する方法である。
【0021】
本発明のもう一つの局面は、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストをオピオイド受容体アゴニストと組み合わせて被験体に投与する段階を含む、被験体においてオピオイド受容体アゴニストの治療作用に対する急性耐性の発生を阻害する方法である。
【0022】
本発明のもう一つの局面は、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストをオピオイド受容体アゴニストと組み合わせて被験体に投与する段階を含む、被験体においてオピオイド受容体アゴニストの治療作用に対する慢性耐性の発生を阻害する方法である。
【0023】
本発明のもう一つの局面は、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを、オピオイド受容体アゴニストを受けている被験体に投与する段階を含む、オピオイド受容体アゴニストの治療作用に対して耐性の被験体において、オピオイド受容体アゴニストの治療作用に対する耐性を逆転させる、および/またはオピオイド受容体アゴニストの治療効力を回復させる方法である。
【0024】
本発明のもう一つの局面は、オピオイド受容体アゴニストで処置可能な状態を患っている被験体を処置する方法であって、治療効果を生じる有効量のオピオイド受容体アゴニストと、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アゴニストとを被験体に投与する段階を含む方法である。
【0025】
上記方法は、限定されないが、疼痛、咳、下痢、肺水腫、およびオピオイド受容体アゴニスト中毒を含む状態を患っている被験体を処置するために有用である。そのような処置はまた、そのような苦痛の前に(すなわち、被験体がそのような苦痛のリスクがある場合、予防的に)開始してもよいことは理解される。
【0026】
そのうえ、上記方法のそれぞれにおける本発明のさらなる局面は、オピオイド受容体アンタゴニストが、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する量で投与または処方されること、および単独での、またはオピオイド受容体アゴニストと組み合わせたオピオイド受容体アンタゴニストの量は、実質的な望ましくない副作用を誘発しないことである。
【0027】
発明の詳細な説明
超低用量のα-2受容体アンタゴニストの投与は、オピオイド受容体アゴニスト鎮痛を増強し、オピオイド受容体アゴニストに対する急性もしくは慢性耐性の発生を遅らせる、または低減することが、現在見出されている。本発明は、オピオイド受容体アゴニストのα-2受容体アンタゴニストとの同時投与を含む、オピオイド受容体アゴニストの治療活性を増強する、ならびに少なくとも部分的に、オピオイド受容体アゴニストに対する慢性および/もしくは急性耐性の発生を阻害する、遅らせる、もしくは低減する、および/またはオピオイド受容体アゴニストに対する慢性および/もしくは急性耐性を逆転させるための新しい併用療法を提供する。本発明の局面は、従って、オピオイド受容体アゴニストおよび超低用量のα-2受容体アンタゴニストを含む組成物に関する。本発明のもう一つの局面は、オピオイド受容体アゴニストを超低用量のα-2受容体アンタゴニストと同時投与することにより、オピオイド受容体アゴニストの治療作用を増強する、ならびに/またはオピオイド受容体アゴニストの治療作用に対する急性および慢性耐性の発生を効果的に阻害する、遅らせる、もしくは低減する方法に関する。本発明の新しい併用療法は、限定されないが、以下を含む様々な適用においてオピオイド薬の使用を最適化するのに有用であることが予想される:疼痛管理、例えば、術後の急性または慢性疼痛、産科の疼痛、急性または慢性炎症性疼痛、多発性硬化症または癌のような状態に関連した疼痛、外傷に関連した疼痛、片頭痛に関連した疼痛、神経障害性疼痛、および中心性疼痛の管理;慢性背痛のような非悪性起源の慢性疼痛症候群の管理;咳の抑制;下痢の低減および/または予防;肺水腫の処置;ならびにオピオイド受容体アゴニスト中毒の軽減。好ましい態様において、本発明の併用療法は疼痛管理に用いられる。
【0028】
本発明の併用療法および方法に有用なα-2受容体アンタゴニストは、α-2受容体アゴニストのその受容体への結合を任意の程度で、および/またはα-2受容体の活性化を任意の程度で、部分的にまたは完全に、低減する、阻害する、遮断する、不活性化する、および/または拮抗する任意の化合物を含む。従って、α-2受容体アンタゴニストという用語はまた、競合的、不可逆的、擬似不可逆的、および/またはアロステリック機構でアゴニストに拮抗する化合物を含むことが意図される。加えて、α-2受容体アンタゴニストという用語は、超低用量で、オピオイド受容体アゴニストの治療および/もしくは鎮痛の効力ならびに/または有効性を増加させる、増強する、および/または亢進させるが、そのような用量で、α-2受容体アゴニストの実質的なまたは有意な拮抗作用を示さない化合物を含む。本発明の併用療法および方法に有用なα-2受容体アンタゴニストの例は、決して限定されるものではないが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(fipamazole)(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(mirtazepine)(またはミルタザピン)、エフェロキサン(eferoxan)、イドゾキサン(idozoxan)(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンを含む。いくらかのα2および/またはα1受容体アンタゴニスト活性を示し、従って、本発明において有用でありうる作用物質の追加の例は、限定されないが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンを含む。α2受容体アンタゴニストは、超低用量で、本発明の組成物に含まれ、かつ本発明の方法において投与される。
【0029】
本発明の組成物およびそれらの使用として本明細書に記載された方法は、超低用量の複数のα-2受容体アンタゴニストのみ、または超低用量での複数のα-2受容体アンタゴニストを1つもしくは複数のオピオイド受容体アゴニストと組み合わせて含んでもよい。
【0030】
α-2受容体アンタゴニストは、超低用量で、本発明の組成物に含まれ、かつ本発明の方法において投与される。本明細書に用いられる場合の超低用量とは、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強するα-2受容体アンタゴニストの量を意味する。従って、一つの態様において、「超低用量」という用語とは、α-2受容体活性を有意に遮断または阻害することが当業者により確立されたものより低いα-2受容体アンタゴニストの量を意味する。
【0031】
本明細書に用いられる場合、「量」という用語は、被験体に投与するα-2受容体アンタゴニストおよび/またはオピオイド受容体アゴニストの量を指すことが意図される。「量」という用語は、例えば、丸薬、注射、またはパッチ(例えば、経皮パッチ)においてのように、一度に、または物理的に不連続の単位で、被験体に投与するα-2受容体アンタゴニストおよび/またはオピオイド受容体アゴニストの量を指すことが意図される、「用量」または「投薬量」という用語を含む。「量」という用語はまた、時々投与する濃度と呼ばれるが、例えば、mol/kg、mg/kg、ng/kg、ml/kgなどのような、被験体の単位体重あたりの分子数、モル、グラム、または容量として表される、被験体に投与するα-2受容体アンタゴニストおよび/またはオピオイド受容体アゴニストの量を含む。
【0032】
本発明に従って、所定量のα-2受容体アンタゴニストおよび/またはオピオイド受容体アゴニストの被験体への投与は、結果として、被験体の身体においてアンタゴニストおよび/またはアゴニストの有効濃度を生じる。本明細書に用いられる場合、「有効濃度」という用語は、所望の治療効果を生じる能力がある、被験体の身体における(例えば、血液、血漿、または血清中における、標的組織または作用部位における)α-2受容体アンタゴニストおよび/またはオピオイド受容体アゴニストの濃度を指すことが意図される。被験体の身体におけるα-2受容体アンタゴニストおよび/またはオピオイド受容体アゴニストの有効濃度は、被験体間で異なり、限定されないが、処置すべき状態、遺伝的プロファイル、代謝速度、生体内変化能力、投与の頻度、投与する製剤、排出速度、ならびに投与の経路/部位からの吸収の速度および/または程度のような因子に依存して、時間とともに被験体内で変動しうる。少なくともこれらの理由で、本開示を目的として、α-2受容体アンタゴニストおよび/またはオピオイド受容体アゴニストの投与は、便宜上、α-2受容体アンタゴニストもしくはオピオイド受容体アゴニストの量または用量として提供される。本明細書に提供される量、投薬量、および用量比は例示的であり、有効濃度を供給するために、用量漸増法のような日常的な手順を用いて調整してもよい。
【0033】
一つの態様において、投与するα-2受容体アンタゴニストの量は、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する。従って、α-2受容体アンタゴニストの有効濃度は、オピオイド受容体アゴニストの治療作用を増強する、身体における濃度である。好ましくは、投与するα-2受容体アンタゴニストの量は、単独またはオピオイド受容体アゴニストと組み合わせたα-2受容体アンタゴニストの量が実質的な望ましくない副作用を誘発することなく、オピオイド受容体アゴニストの治療作用を増強する。
【0034】
例えば、一つの態様において、α-2受容体アンタゴニストの超低用量は、図1Aおよび1B、図15Aおよび15B、図21Aおよび21B、ならびに図28Aおよび28Bに示すような実験において測定されるように、α-2受容体遮断に効果がない量である。しかしながら、この開示を読めば当業者には明らかなように、α-2受容体拮抗作用を測定するための他の手段を用いることができる。これらの実験に基づいて、オピオイドモルフィンの鎮痛作用を増強する超低用量のアチペマゾールは、髄腔内クロニジン(α-2アゴニスト)鎮痛の拮抗作用により証明されているように、脊髄α-2受容体の遮断を生じる用量の12,000分の1〜120,000分の1であると同定された(図1Aおよび図1B)。オピオイドモルフィンの鎮痛作用を増強する超低用量のヨヒンビンは、髄腔内クロニジン(α-2アゴニスト)鎮痛の拮抗作用により証明されているように、脊髄α-2受容体の遮断を生じる用量の6,000分の1〜6,250,000分の1であると同定された(図15Aおよび図15B)。オピオイドモルフィンの鎮痛作用を増強する超低用量のミルタザピンは、髄腔内クロニジン(α-2アゴニスト)鎮痛の拮抗作用により証明されているように、脊髄α-2受容体の遮断を生じる用量の10,000分の1〜100,000分の1であると同定された(図21Aおよび図21B)。オピオイドモルフィンの鎮痛作用を増強する超低用量のイダゾキサンは、髄腔内クロニジン(α-2アゴニスト)鎮痛の拮抗作用により証明されているように、脊髄α-2受容体の遮断を生じる用量の125,000分の1〜1,250,000分の1であると同定された(図28Aおよび図28B)。他のα-2受容体アンタゴニストおよびオピオイドの他の治療作用についての本発明において有用な超低用量は、α-2受容体遮断薬としての既知の有効濃度ならびにアチペマゾール、ヨヒンビン、ミルタゼピン、および/またはイダゾキサンについて本明細書に記載された方法に従って当業者が日常的に決定することができる。しかしながら、一般的に、「超低」とは、α-2受容体の遮断を生じる最大量の多くとも1,000分の1〜6,250,000分の1の用量を意味する。
【0035】
「超低用量」の例示的態様は、投与するべきオピオイド受容体アゴニストの量より有意に低いα-2受容体アンタゴニストの量である。従って、この態様において、超低用量のα-2受容体アンタゴニストは、投与した、または投与するべきオピオイド受容体アゴニストの用量に対する比として表される。この態様において、超低用量についての好ましい比は、α-2受容体アンタゴニスト対オピオイド受容体アゴニストの1:1,000、1:10,000、1:100,000、もしくは1:1,000,000の比、または間の任意の比である。
【0036】
もう一つの態様において、α-2受容体アンタゴニストおよびオピオイド受容体アゴニストを、1:1,000、1:10,000、1:100,000、もしくは1:1,000,000、または間の任意の比の、血液、血漿、血清内、または標的組織もしくは作用部位での量または有効濃度の相対比を結果として生じる量で、被験体に投与する。
【0037】
「超低」用量のもう一つの例示的態様は、単独またはオピオイド受容体アゴニストと組み合わせたα-2受容体アンタゴニストの量が実質的な望ましくない副作用を誘発することなく、オピオイド受容体アゴニストの治療作用を増強する量または比である。
【0038】
本明細書に用いられる場合の「実質的な望ましくない副作用」とは、被験体において制御されることができない、ならびに/または被験体が耐えることができない、ならびに/または結果として、本発明の併用療法および方法での被験体の処置の中止を生じうる、オピオイド受容体アゴニストの治療作用を増強する以外のα-2受容体アンタゴニストに対する被験体の応答を意味する。
【0039】
そのような副作用の例は、限定されないが、耐性、依存症、中毒、鎮静、多幸症、不快気分、記憶障害、幻覚、鬱病、頭痛、痛覚過敏、便秘、不眠症、身体のうずきと疼痛、性欲における変化、呼吸抑制および/または呼吸困難、嘔気嘔吐、そう痒症、目眩、失神(すなわち、気絶)、神経質および/または不安、興奮性、精神病、震え、心臓の鼓動における変化、血圧の減少、血圧の上昇、心拍数の上昇、心不全のリスク、一過性筋麻痺、ならびに下痢を含む。
【0040】
本発明の併用療法および方法において有用なオピオイド受容体アゴニストは、任意の程度で、オピオイド受容体に結合する、および/またはオピオイド受容体を活性化する、および/またはオピオイド受容体を作動させる、および/または活性もしくは不活性立体構造でオピオイド受容体を安定化する任意の化合物(被験体にとって内因性かまたは外因性のいずれか)を含む。従って、オピオイド受容体アゴニストという用語は、オピオイド受容体の部分アゴニスト、逆アゴニスト、および完全アゴニストを含むことが意図される。オピオイド受容体アゴニストは、身体内で産生されたオピオイド受容体アゴニスト化合物および外因性オピオイド受容体アゴニスト(すなわち、合成または天然)の活性を増強する化合物を含むことも意図する。本発明に用いられる好ましいオピオイド受容体アゴニストは、μ、δ、および/もしくはκオピオイド受容体の部分または完全アゴニストである。好ましいオピオイド受容体アゴニストはまた、薬物のオピオイドクラス由来の化合物、およびより好ましくは、鎮痛薬として作用するオピオイドを含む。本発明において有用なオピオイド受容体アゴニストの例は、決して限定されるものではないが、モルフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホン、メペリジン(mepridine)、メタドン、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、レボルファノール、トラマドール、D-Pen2、D-Pen5-エンケファリン(DPDPE)、U50、488H(トランス-3,4-ジクロロ-N-メチル-N-[2-ピロリンジニル]-シクロヘキサニル)-ベンゼンアセトアミド、エンドルフィン、ダイノルフィン、エンケファリン、ジアモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ニコモルフィン、レボメタジルアセテートハイドロクロライド(LAAM)、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、デキストロモルアミド、ベジトラミド、ピリトラミド、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン(nalbufine)またはナルブフィン(nalbuphine)、デゾシン、エトルフィン、チリジン、ロペラミド、ジフェノキシレート、パレゴリック、およびナロルフィンを含む。
【0041】
本発明の組成物およびそれらの使用として本明細書に記載された方法は、様々な組み合わせで処方されるおよび/または投与される、複数のオピオイド受容体アゴニストおよび/または複数のα-2受容体アンタゴニストを含んでもよい。
【0042】
本発明に用いられるオピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストの好ましい組み合わせは、モルフィンおよびアチペマゾール、ヨヒンビン、ミルタザピン、またはイダゾキサン、ならびにオキシコドンおよびアチペマゾール、ヨヒンビン、ミルタザピン、またはイダゾキサンを含む。
【0043】
本発明の組成物に含まれる、および本明細書に記載された方法に用いられるオピオイド受容体アゴニストの用量は、有効濃度に達する、および/または所望の治療効果を生じる量である。例えば、そのような投薬量は、被験体において治療作用または効果を生じることが当業者に周知のオピオイド受容体アゴニストの量であってよい。例えば、鎮痛効果を生じるオピオイド受容体アゴニストの投薬量は典型的に、限定されないが、選択されたオピオイド受容体アゴニスト、投与経路、投与頻度、投与する製剤、および/または処置すべき状態に依存して、約0.02mg/kg〜100mg/kgの間の範囲であってよい。さらに、本明細書に実証されているように、オピオイド受容体アゴニストの超低用量のα-2受容体アンタゴニストとの同時投与は、オピオイド受容体アゴニストの鎮痛効果を増強する。従って、α-2受容体アンタゴニストと同時投与する場合、治療効果を生じるのに有効なオピオイド受容体アゴニストの量または用量は、オピオイド受容体アゴニストを単独で投与する場合よりも低い可能性がある。
【0044】
本発明の目的として、「治療効果」または「治療活性」または「治療作用」とは、日常的にオピオイド受容体アゴニストで処置される状態の阻害、低減、予防、または処置に有用なオピオイド受容体アゴニストの所望の薬理学的活性を意味する。例は、限定されないが、疼痛、咳、下痢、肺水腫、およびオピオイド受容体アゴニスト中毒を含む。これらの用語は、最終結果として測定可能な薬理学的活性、すなわち、疼痛の緩和または咳の抑制、加えて、最終の所望の結果に結びつけられる作用の機構と関連した薬理学的活性を含むことが意図される。好ましい態様において、「治療効果」または「治療活性」または「治療作用」は、疼痛の緩和または管理である。
【0045】
本発明の目的として、「増強する」とは、α-2受容体アンタゴニストの投与が、オピオイド受容体アゴニストの治療活性を少なくとも部分的に、亢進させる、延長させる、もしくは増加させる、および/または所望の治療効果を生じるのに必要とされるオピオイド受容体アゴニストの量の減少を結果として生じることを意味する。従って、この開示を読めば当業者には明らかなように、本発明の併用療法に含まれるオピオイド受容体アゴニストの量は、単独で投与する場合のオピオイド受容体アゴニストの確立された量と比較して減少しうる。他のオピオイド受容体アゴニストについての減少の量は、モルフィンおよびアチペマゾール、モルフィンおよびヨヒンビン、モルフィンおよびミルタザピン、ならびに/またはモルフィンおよびイダゾキサンについて本明細書に記載された比に基づいて、当業者が日常的に決定することができる。増強するとは、超低用量のα-2受容体アンタゴニストの投与による被験体における内因性オピオイド受容体アゴニストの治療活性の任意の亢進、延長、または増加を含むことも意図する。
【0046】
同じまたは類似した治療的有用性を達成するためのオピオイド受容体アゴニストの必要量におけるこの減少は、オピオイド受容体アゴニスト治療に伴う任意の望ましくない副作用を減少させる可能性がある。従って、本発明の併用療法はまた、オピオイド受容体アゴニスト治療単独の望ましくない副作用を減少させるための手段を提供する。
【0047】
本明細書に用いられる場合の「拮抗する」とは、処置すべき状態に対して、治療的にオピオイド受容体アゴニストの効果を無くす、またはより少なくするα-2受容体アンタゴニストの添加に起因する、オピオイド受容体アゴニストの治療効果もしくは作用における阻害または減少を意味する。
【0048】
本明細書に用いられる場合の「耐性」とは、薬物誘導性応答および薬効のレベルの損失を意味し、多くのオピオイド受容体アゴニスト、および特に、オピオイドによって生じる。オピオイド効力はオピオイドへの曝露によって減少するため、慢性または急性耐性は、オピオイド薬物の臨床管理における制限因子でありうる。「慢性耐性」とは、数日間またはそれ以上に渡る薬物曝露後に発生しうる、薬物誘導性応答および薬効のレベルにおける減少を意味する。「急性耐性」は、数時間に渡る薬物曝露後に発生しうる薬効における損失である(Fairbanks and Wilcox J. Pharmacol. Exp. Therapeutics. 1997 282:1408-1417; Kissin et al. Anesthesiology 1991 74:166-171)。耐性および神経障害性疼痛の発生の根底にある神経生物学的機構は類似しているため、オピオイド薬効の損失はまた、事前のオピオイド薬物曝露を伴わず神経障害性疼痛のような疼痛状態に見られる可能性がある(Mao et al. Pain 1995 61:353-364)。これはまた、急性耐性とも呼ばれる。耐性はオピオイド受容体脱感作または内部移行に関して説明されているが、モルフィンへの曝露は、たいていの他のμオピオイド受容体アゴニストとは違い、受容体内部移行を生じない。それはまた、グルタミン酸サブスタンスPまたはCGRPのような疼痛伝達物質のレベルにの適応増加に基づいて説明されている。耐性の阻害およびオピオイド効力の維持は、疼痛管理における重要な治療目標であり、本明細書に実証されているように、本発明の併用療法によって達成される。
【0049】
当業者は、本明細書に提供された開示に基づいて、超低用量のα-2受容体アンタゴニストの同時投与によって、オピオイド受容体アゴニストの治療作用を増強する、および/または急性もしくは慢性オピオイド受容体アゴニスト耐性を阻害するのにどの併用療法が効くかを分かるであろう。例えば、オピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストの任意の所与の組み合わせは、限定されないが、熱、機械などのような鎮痛に関する試験、または抗侵害受容およびオピオイド受容体アゴニストの他の治療作用を評価するのに有用な任意の他の試験を含む、1つまたは複数の利用可能な試験を用いて動物で試験してもよい。鎮痛を試験するための非限定的例は、熱ラットテールフリックおよび機械的ラット足圧力抗侵害受容アッセイを含む。
【0050】
超低用量のα-2受容体アンタゴニストの同時投与によって、オピオイド受容体アゴニストの鎮痛作用を増強する、および/または急性もしくは慢性オピオイド受容体アゴニスト耐性を阻害する、本発明の例示的な併用療法の能力は、熱(ラットテールフリック)および機械(ラット足圧力)の抗侵害受容の両方の試験において実証された。これらの実験において、オピオイド受容体アゴニストはオピオイドモルフィンであった。α-2受容体アンタゴニストは、アチペマゾール、ヨヒンビン、ミルタザピン、およびイダゾキサンを含んだ。
【0051】
初期の研究は、髄腔内に投与されたアチペマゾールが、1マイクログラムより多い用量でα-2受容体アゴニストであるクロニジンの鎮痛作用に拮抗することを示した。図1Aおよび1Bは、テールフリック試験(図1A)および足圧力試験(図1B)における、クロニジン誘導性鎮痛へのアチペマゾールの効果を示す。α-2受容体アゴニストであるクロニジン(200ナノモル)の注入は、テールフリック試験において最大鎮痛応答を生じ、足圧力試験においてはより低い効果を生じた。アチペマゾールの3つの異なる用量の同時投与は、テールフリック試験においてピークのクロニジン鎮痛の用量依存性減少を生じ、最高薬物用量(10μg)は応答をほとんど無効にした。アチペマゾールはまた、足圧力試験においてクロニジン応答を減少させたが、最高用量においてのみであった。これらの実験は、アチペマゾールがクロニジン鎮痛を遮断できることを確立し、これはα-2受容体アンタゴニストとしてのそのアイデンティティと一致した効果である。
【0052】
従って、モルフィンとのアチペマゾール相互作用を含むすべてのその後の試験について、アチペマゾール用量を、最大α-2受容体遮断を生じる用量の12,000分の1〜120,000分の1を表す、0.08ngおよび0.8ngの例示的な超低用量まで低下させた。
【0053】
超低用量のアチペマゾールの、モルフィンに対する急性耐性の発生への効果が調べられた。急性耐性の発生は、数時間に渡るモルフィンの反復投与後の鎮痛効果の急速な減退により示される。これらの実験において、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入を送達することにより生じた。その後の実験において、モルフィンを、固定用量のアチペマゾール(0.8ng)と組み合わせた。アチペマゾール単独(0.8ng)または生理食塩水(20μl)の効果もまた、90分間隔でこれらを注入することにより評価した。30分間隔でテールフリック試験および足圧力試験において、疼痛応答を評価した。薬物処置から24時間後、薬効指数を確立するために、各処置群におけるモルフィンの作用についての累積用量反応曲線(DRC)を得た。モルフィンED50またはEd50値(試験された動物の50%における有効量)により表されるこの指数を、累積用量反応曲線から計算した。耐性は、モルフィン用量反応曲線における右方向シフト、およびモルフィンED50値における増加により示された。
【0054】
図2Aおよび2Bは、超低用量のアチペマゾールの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す。90分間隔でのモルフィン(15μg)の逐次3回の用量の投与は、結果として、鎮痛応答の急速かつ漸進的低下を生じた。240分間の試験期間の終わりに、最初の注入後に観察されたモルフィンの鎮痛効果は、ほぼ80%減退した。しかしながら、モルフィンを伴うアチペマゾール(0.8ng)の投与は、モルフィンの鎮痛効果の減退を防いだ。実際、その組み合わせに対する応答は、全試験期間中、最大値近くのままであった。アチペマゾール単独の反復投与は、増加するが弱い鎮痛応答を生じた。逐次3回の生理食塩水注入は、どちらの試験においても有意な鎮痛効果を生じなかった。
【0055】
最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた、図2Aおよび2Bの4つの処置群におけるモルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線は、それぞれ、図3Aおよび3Bに示されている。急性モルフィンの漸増用量は、テールフリック試験および足圧力試験の両方において用量依存性鎮痛を生じた。反復モルフィン注入を受けた動物において、累積用量反応曲線は、右へシフトし、モルフィン効力における減退を反映した。しかしながら、このシフトは、本発明の併用療法を受けた群においては起きなかった。それどころか、この群において得られた用量反応曲線は、生理食塩水またはアチペマゾール(単独)群において導かれたものと一致した。従って、超低用量のα-2受容体アンタゴニストの同時投与は、オピオイド耐性の発生を表すオピオイド用量反応曲線の右方向シフトを防いだ。
【0056】
図3Aおよび3Bの累積用量反応曲線から導かれるED50値、薬効の指数はそれぞれ、図4Aおよび4Bに表されている。それに示されているように、生理食塩水処置の対照群において、モルフィンのED50値は、テールフリック試験および足圧力試験において、それぞれ、5μgおよび8μgと見積もられた。反復モルフィン注入を受けた群は、ほぼ、テールフリックにおいて5倍の増加を、足圧力試験において4倍の増加を示し、モルフィン効力の高度に有意な損失を反映した。しかしながら、モルフィンを伴うアチペマゾールの導入は、両方の試験においてED50値の増加を防いだ。実際、アチペマゾールとモルフィン組み合わせ群におけるED50値は、対照生理食塩水群におけるそれらと有意には異ならず、モルフィン効力が、α-2受容体アンタゴニストのアチペマゾールの存在下において完全に維持されたことを示した。
【0057】
従って、これらの実験によって示されているように、アチペマゾールのようなα-2受容体アンタゴニストの超低用量投与は、モルフィンのようなオピオイドに対する急性耐性の発生を非常に効果的に阻害する。
【0058】
さらに、図5Aおよび5Bに示されているように、0.8ngまたは0.08ngの超低用量で投与する場合のアチペマゾールのようなα-2受容体アンタゴニストは、オピオイド鎮痛を増強する。アチペマゾールが髄腔内に与えられた場合、これらの効果を発揮するという事実は、それが脊髄侵害受容ニューロンへの直接的作用を発揮することを示唆する。
【0059】
図2および5に描かれた、単独で投与された場合の超低用量のアチペマゾールの鎮痛効果はまた、この治療がエンドルフィンのような内因性オピオイド(例は、β-エンドルフィン、ダイノルフィン、およびエンケファリンを含む)も同様に増強することを示しうる。従って、本発明はまた、被験体(外因性オピオイドを投与されることになっていない)において、超低用量のα-2受容体アンタゴニストの被験体への投与により内因性オピオイドの治療作用を増強する方法を提供する。
【0060】
同様の効果は、α-2受容体アンタゴニストのヨヒンビンについて観察された。
【0061】
図15Aおよび15Bに示されているように、髄腔内に投与されたヨヒンビンは、30μg用量で、α-2受容体アゴニストのクロニジンの鎮痛作用に拮抗した。図15Aおよび15Bは、テールフリック試験(図15A)および足圧力試験(図15B)においてクロニジン誘導性鎮痛へのヨヒンビンの効果を示す。α-2受容体アゴニストであるクロニジン(13.3μg)の注入は、テールフリック試験において最大鎮痛応答を、足圧力試験においてより低い効果を生じた。30μgでのヨヒンビンの同時投与は、テールフリック試験においてピークのクロニジン鎮痛を有意に減少させた。30μgでのヨヒンビンはまた、足圧力試験においてクロニジン鎮痛をほとんど無効にした。これらの実験は、ヨヒンビンがクロニジン鎮痛を遮断できることを確立し、これはα-2受容体アンタゴニストとしてのそのアイデンティティと一致した効果である。
【0062】
モルフィン鎮痛の同様の阻害は、30μgでのヨヒンビンとの同時投与で観察された。図16Aおよび16B参照。これらの実験において、ヨヒンビンは、足圧力試験において、クロニジン鎮痛の阻害と比較して、モルフィン鎮痛の阻害に効果が低かった。図16B対図15Bを参照。
【0063】
モルフィンとのヨヒンビン相互作用を含むすべてのその後の試験について、ヨヒンビン用量を、最大α-2受容体遮断を生じる用量の6,000分の1〜6,250,000分の1を表す、0.0048ng、0.024ng、0.24ng、2.4ng、および5ngの例示的な超低用量まで低下させた。
【0064】
図17Aおよび17Bに示されているように、モルフィンの単一用量(15μg)の投与は、ラットテールフリック試験(図17A)およびラット足圧力試験(図17B)において鎮痛を生じたが、それは30分目にピークに達し、120分目に終わった。超低用量のヨヒンビン(0.24ng、2.4ng、および5ng)の添加は、ラットテールフリック試験においてモルフィン鎮痛を延長させ、ラット足圧力試験においてモルフィンに対する応答を増加および延長させた。ヨヒンビン超低用量のこのプロファイルは、前記で考察されたアチペマゾール超低用量と類似している。
【0065】
超低用量のヨヒンビンの、モルフィンに対する急性耐性の発生への効果もまた調べられた。アチペマゾールに関する実験と類似した様式で、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入を送達することにより生じた。その後の実験において、モルフィンは、0.0048ng、0.024ng、および0.24ngでの固定用量のヨヒンビンと組み合わされた。ヨヒンビン単独(0.024ng)または生理食塩水(20μl)の効果もまた、90分間隔でこれらを注入することにより評価された。疼痛応答は、30分間隔でテールフリック試験および足圧力試験において評価された。薬物処置から24時間後、薬効指数を確立するために、各処置群におけるモルフィンの作用についての累積用量反応曲線(DRC)を得た。モルフィンED50またはEd50値(試験された動物の50%における有効量)により表されるこの指数は、累積用量反応曲線から計算された。耐性は、モルフィン用量反応曲線における右方向シフト、およびモルフィンED50値における増加により示された。
【0066】
図18Aおよび18Bは、超低用量のヨヒンビンの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す。90分間隔でのモルフィン(15μg)の逐次3回の用量の投与は、結果として、鎮痛応答の急速かつ漸進的低下を生じた。240分間の試験期間の終わりに、最初の注入後に観察されたモルフィンの鎮痛効果は、ほぼ80%減退した。しかしながら、0.0048ng、0.024ng、または0.24ngのいずれの用量でのヨヒンビンを伴うモルフィンの投与も、モルフィンの鎮痛効果の減退を防いだ。実際、その組み合わせに対する応答は、全試験期間中、特に、0.0048ngまたは0.024ngのいずれかのヨヒンビンを投与された動物において、最大値近くのままであった。ヨヒンビン(0.024ng)単独または生理食塩水の反復投与は、有意な鎮痛応答を生じなかった。
【0067】
最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた、図18Aおよび18Bの6つの処置群におけるモルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線は、それぞれ、図19Aおよび19Bに示されている。急性モルフィンの漸増用量は、テールフリック試験および足圧力試験の両方において用量依存性鎮痛を生じた。反復モルフィン注入を受けた動物において、累積用量反応曲線は、右へシフトし、モルフィン効力の減退を反映した。しかしながら、このシフトは、本発明の併用療法を受けた群においては起きなかった。それどころか、この群において得られた用量反応曲線は、生理食塩水またはヨヒンビン(単独)群において導かれたものと一致した。従って、アチペマゾールのように、超低用量の第二のα-2受容体アンタゴニスト、ヨヒンビンの同時投与もまた、オピオイド受容体アゴニスト耐性の発生を表す応答であるオピオイド受容体アゴニスト用量反応曲線の右方向シフトを防いだ。
【0068】
図19Aおよび19Bの累積用量反応曲線から導かれるED50値、薬効の指数は、それぞれ、図20Aおよび20Bに表されている。それに示されているように、生理食塩水処置の対照群において、モルフィンのED50値は、テールフリック試験および足圧力試験において、それぞれ、5μgおよび7μgと見積もられた。反復モルフィン注入を受けた群は、ほぼ、テールフリックにおいて5倍の増加を、足圧力試験において4倍の増加を示し、モルフィン効力の高度に有意な損失を反映した。しかしながら、モルフィンを伴うヨヒンビンの導入は、両方の試験においてED50値の増加を防いだ。実際、ヨヒンビン-モルフィン組み合わせ群におけるED50値は、対照生理食塩水群におけるそれらより少ないかまたは有意には異ならないかのいずれかであり、モルフィン効力がまた、この第二のα-2受容体アンタゴニスト、ヨヒンビンの存在下においても完全に維持されたことを示した。
【0069】
同様の効果は、α-2受容体アンタゴニスト、イダゾキサンについて観察された。
【0070】
図28Aおよび28Bに示されているように、髄腔内に投与されたイダゾキサンは、10μg用量で、α-2受容体アゴニストのクロニジンの鎮痛作用に拮抗した。図28Aおよび28Bは、テールフリック試験(図28A)および足圧力試験(図28B)においてクロニジン誘導性鎮痛へのイダゾキサンの効果を示す。α-2受容体アゴニストであるクロニジン(13.3μg)の注入は、テールフリック試験において最大鎮痛応答を、足圧力試験においてより低い効果を生じた。10μgでのイダゾキサンの同時投与は、テールフリック試験においてピークのクロニジン鎮痛を有意に減少させた。10μgでのミルタザピンはまた、足圧力試験においてクロニジン鎮痛をほとんど無効にした。これらの実験は、イダゾキサンがクロニジン鎮痛を遮断できることを確立し、これはα-2受容体アンタゴニストとしてのそのアイデンティティと一致した効果である
【0071】
モルフィンとのイダゾキサン相互作用を含むすべてのその後の試験について、イダゾキサン用量を、最大α-2受容体遮断を生じる用量の125,000分の1〜1,250,000分の1を表す、0.008ng、0.016ng、および0.08ngの例示的な超低用量まで低下させた。
【0072】
図29Aおよび29Bに示されているように、モルフィンの単一用量(15μg)の投与は、ラットテールフリック試験(図29A)およびラット足圧力試験(図29B)において鎮痛を生じたが、それは30分目にピークに達し、約120分目に終わった。超低用量のイダゾキサン(0.08ng)の添加は、ラットテールフリック試験(図29A)およびラット足圧力試験(図29B)の両方においてモルフィン鎮痛を有意に延長させた。さらに、0.08ngイダゾキサンの投与は、ラット足圧力試験においてピークのモルフィン鎮痛を増大させた。
【0073】
超低用量のイダゾキサンの、モルフィンに対する急性耐性の発生への効果もまた調べられた。アチペマゾールおよびヨヒンビンに関する実験と類似した様式で、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入を送達することにより生じた。その後の実験において、モルフィンは、0.008ng、0.016ng、および0.08ngでの固定用量のイダゾキサンと組み合わされた。生理食塩水(20μl)ならびに0.008ngおよび0.016ngでのイダゾキサン単独の効果もまた、90分間隔での注入により評価された。疼痛応答は、30分間隔でテールフリック試験および足圧力試験において評価された。薬物処置から24時間後、薬効指数を確立するために、各処置群におけるモルフィンの作用についての累積用量反応曲線(DRC)を得た。モルフィンED50またはEd50値(試験された動物の50%における有効量)により表されるこの指数は、累積用量反応曲線から計算された。耐性は、モルフィン用量反応曲線における右方向シフト、およびモルフィンED50値における増加により示された。
【0074】
図29Aおよび29Bは、超低用量のイダゾキサンの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す。90分間隔でのモルフィン(15μg)の逐次3回の用量の投与は、結果として、鎮痛応答の急速かつ漸進的低下を生じた。240分間の試験期間の終わりに、最初の注入後に観察されたモルフィンの鎮痛効果は、ほぼ80%減退した。しかしながら、超低用量のイダゾキサンを伴うモルフィンの投与は、足圧力試験においてモルフィンの鎮痛効果の減退を止め、鎮痛をピークレベル近くに維持した。テールフリック試験における同じ超低用量のイダゾキサンとの同時注入は、鎮痛効果の減退を止める効果がより低く、0.008ngの最低用量はピークのモルフィン鎮痛を低下させた。イダゾキサンまたは生理食塩水の反復投与は、有意な鎮痛応答を生じなかった。
【0075】
最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた、図29Aおよび29Bの7つの処置群におけるモルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線は、それぞれ、図30Aおよび30Bに示されている。反復モルフィン処置は、結果として、生理食塩水処置に対してモルフィン用量反応曲線の平行右シフトを生じた。0.008ng、0.016ng、および0.008ngの超低用量でのイダゾキサンは、テールフリック試験(図30A)および足圧力試験(図30B)の両方において右方向シフトを防いだ。従って、超低用量の第三のα-2受容体アンタゴニスト、イダゾキサンの同時投与もまた、オピオイド受容体アゴニスト耐性の発生を表す応答であるオピオイド受容体アゴニスト用量反応曲線の右方向シフトを防いだ。
【0076】
図30Aおよび30Bの累積用量反応曲線から導かれるED50値、薬効の指数は、それぞれ、図31Aおよび31Bに表されている。それに示されているように、超低用量イダゾキサン(0.008ng、0.016ng、および0.08ng)同時注入は、テールフリック試験および足圧力試験の両方においてED50の増加を防いだ。従って、モルフィン効力はまた、この第三のα-2受容体アンタゴニスト、ミルタザピンの存在下においても維持された。
【0077】
同様の効果は、α-2受容体アンタゴニスト、ミルタザピンについて、特に足圧力試験において、観察された。
【0078】
図21Aおよび21Bに示されているように、髄腔内に投与されたミルタザピンは、2μg用量で、α-2受容体アゴニストのクロニジンの鎮痛作用に拮抗した。図21Aおよび21Bは、テールフリック試験(図21A)および足圧力試験(図21B)においてクロニジン誘導性鎮痛へのミルタザピンの効果を示す。α-2受容体アゴニストであるクロニジン(13.3μg)注入は、テールフリック試験において最大鎮痛応答を、足圧力試験においてより低い効果を生じた。2μgでのミルタザピンの同時投与は、テールフリック試験においてピークのクロニジン鎮痛を有意に減少させた。2μgでのミルタザピンはまた、足圧力試験においてクロニジン鎮痛をほとんど無効にした。これらの実験は、ミルタザピンがクロニジン鎮痛を遮断できることを確立し、これはα-2受容体アンタゴニストとしてのそのアイデンティティと一致した効果である。
【0079】
モルフィンとのミルタザピン相互作用を含むすべてのその後の試験について、ミルタザピン用量を、最大α-2受容体遮断を生じる用量の1,000分の1〜10,000分の1を表す、0.02ngおよび0.2ngの例示的な超低用量まで低下させた。
【0080】
図22Aおよび22Bに示されているように、モルフィンの単一用量(15μg)の投与は、ラットテールフリック試験(図22A)およびラット足圧力試験(図22B)において鎮痛を生じたが、それは30分目にピークに達し、約120分目に終わった。超低用量のミルタザピン(0.02ngおよび0.2ng)の添加は、ラット足圧力試験(図22B)においてモルフィン鎮痛を有意に延長させた。さらに、0.2ngミルタザピンの投与は、ピークのモルフィン鎮痛を低下させたが、0.02ngおよび0.2ngでの、特に0.02ngのより低い用量においての、ミルタザピンは、ラットテールフリック試験においてモルフィン鎮痛を延長させた。
【0081】
超低用量のミルタザピンの、モルフィンに対する急性耐性の発生への効果もまた調べられた。アチペマゾールおよびヨヒンビンに関する実験と類似した様式で、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入を送達することにより生じた。その後の実験において、モルフィンは、0.02ngおよび0.2ngでの固定用量のミルタザピンと組み合わされた。生理食塩水(20μl)の効果もまた、90分間隔での注入により評価された。疼痛応答は、30分間隔でテールフリック試験および足圧力試験において評価された。薬物処置から24時間後、薬効指数を確立するために、各処置群におけるモルフィンの作用についての累積用量反応曲線(DRC)を得た。モルフィンED50またはEd50値(試験された動物の50%における有効量)により表されるこの指数は、累積用量反応曲線から計算された。耐性は、モルフィン用量反応曲線における右方向シフト、およびモルフィンED50値における増加により示された。
【0082】
図23Aおよび23Bは、超低用量のミルタザピンの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す。90分間隔でのモルフィン(15μg)の逐次3回の用量の投与は、結果として、鎮痛応答の急速かつ漸進的低下を生じた。240分間の試験期間の終わりに、最初の注入後に観察されたモルフィンの鎮痛効果は、ほぼ80%減退した。しかしながら、0.02ngの用量でのミルタザピンを伴うモルフィンの投与は、足圧力試験においてモルフィンの鎮痛効果の減退を止め、鎮痛をピークレベル近くに維持した。テールフリック試験におけるこの同じ超低用量のミルタザピンとの同時注入は、鎮痛効果の減退を止める効果がより低く、さらに、ピークのモルフィン鎮痛を低下させた。生理食塩水の反復投与は、有意な鎮痛応答を生じなかった。
【0083】
最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた、図23Aおよび23Bの3つの処置群におけるモルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線は、それぞれ、図24Aおよび24Bに示されている。反復モルフィン処置は、結果として、生理食塩水処置に対してモルフィン用量反応曲線の平行右シフトを生じた。超低用量でのミルタザピンは、足圧力試験において右方向シフトを防いだ。しかしながら、テールフリック試験において、モルフィン群およびモルフィン-ミルタザピン群において得られた曲線は、オピオイドアゴニストの上限用量範囲において重複を示した。従って、超低用量の第三のα-2受容体アンタゴニスト、ミルタザピンの、少なくとも足圧力試験における、同時投与もまた、オピオイド受容体アゴニスト耐性の発生を表す応答であるオピオイド受容体アゴニスト用量反応曲線の右方向シフトを防いだ。
【0084】
図24Aおよび24Bの累積用量反応曲線から導かれるED50値、薬効の指数は、それぞれ、図25Aおよび25Bに表されている。それに示されているように、超低用量ミルタザピン(0.02ng)同時注入は、足圧力試験においてED50の増加を防ぎ、テールフリック試験においてED50の増加を部分的に防いだ。従って、モルフィン効力はまた、この第三のα-2受容体アンタゴニスト、ミルタザピンの存在下において維持された。
【0085】
単一の超低用量のミルタザピンでの前処置の、反復モルフィン注入により生じる鎮痛の損失への効果もまた調べられた。これらの実験において、髄腔内ミルタザピン用量は、モルフィンまたは生理食塩水の3回の逐次注入の30分前に送達された。図26Aおよび26Bは、処置から24時間後に得られた累積モルフィン用量反応曲線を示す。図23Aおよび23Bならびに24Aおよび24Bに描かれた実験のように、超低用量のミルタザピンでの前処置は、足圧力試験において反復オピオイド注入に起因する用量反応曲線の右シフトを防ぐのにより効果的であった。
【0086】
図26Aおよび26Bに描かれた用量反応曲線から導かれるモルフィンの効力を反映するモルフィンED50値は、図27Aおよび27Bに描かれている。それに示されているように、テールフリック試験(図27A)および足圧力試験(図27B)の両方において、反復モルフィン処置は、薬効の損失を反映する、反復生理食塩水処置により生じたものに対してのED50値の3〜4倍の増加を生じた。反復モルフィンの30分前の単一のミルタザピン曝露は、テールフリック試験においてED50の増加を部分的に防ぎ、足圧力試験においてED50の増加を完全に防いだ。従って、超低用量ミルタザピン事前曝露は、反復オピオイド処置により引き起こされる効力の損失を阻害した。
【0087】
従って、これらの実験により示されているように、アチペマゾール、ヨヒンビン、ミルタザピン、およびイダゾキサンのようなα-2受容体アンタゴニストの超低用量投与は、モルフィンのようなオピオイド受容体アゴニストに対する急性耐性の発生を非常に効果的に阻害した。
【0088】
さらに、図5Aおよび5Bに示されているように、0.8ngまたは0.08ngのような超低用量で投与する場合のアチペマゾールのようなα-2受容体アンタゴニストは、オピオイド受容体アゴニスト鎮痛を増強する。アチペマゾールが髄腔内に与えられる場合、これらの効果を発揮するという事実は、それが、脊髄侵害受容ニューロンへ直接的作用を発揮することを示唆する。
【0089】
超低用量のアチペマゾールの、モルフィンに対する慢性耐性の発生への効果もまた調べられた。急性耐性の発生は、数日間に渡るモルフィンの一日量の投与後のモルフィン効果の急速な減退により示される。これらの実験において、動物は、9 AMと11 AMの間毎日、5日間、モルフィン(15μg)の単一髄腔内注入を与えられた。侵害受容試験は、対照応答レベルを確立するために薬物処置の前に1回、および薬物効果を測定するために薬物投与から30分後に、行われた。モルフィンに対するピークの抗侵害受容応答は、注入から30分後に起こる。6日目において、累積モルフィン用量反応曲線が、対照群および処置群において急性オピオイド受容体アゴニスト効力を測定するために作成された。各動物は、30分間隔でモルフィンの漸増用量を与えられ、各注入から25分後に試験された。このプロトコールは、テールフリック試験および足圧力試験において最大抗侵害受容応答が得られるまで続けられた。モルフィン用量反応曲線が構築され、モルフィンのED50値が各曲線から決定された。モルフィン耐性状態の発生は、5日間の処置期間に渡るモルフィンの毎日の抗侵害受容効果における漸進的な減退、急性モルフィン用量反応曲線における右方向シフト、およびモルフィンED50値における有意な増加により明らかにされた。
【0090】
髄腔内モルフィンに対する慢性耐性の発生へのアチペマゾールの効果を調べるために、オピオイド受容体アゴニストが、固定用量のアチペマゾールと組み合わせて送達され、侵害受容試験が毎日行われた。急性髄腔内モルフィンについての累積用量反応曲線は、上記のように、6日目に作成された。アチペマゾールの作用は、モルフィン鎮痛の大きさにおける毎日の減退、およびモルフィン効力(すなわち、ED50値)に関して評価された。
【0091】
0.08ngおよび0.8ngの超低用量における脊髄アチペマゾールの、毎日のオピオイド投与により引き起こされる慢性モルフィン耐性への効果は、図6Aおよび6Bならびに図7Aおよび7Bに示されている。図6および図7に示されたデータは、毎日の薬物投与後30分間目(図6Aおよび6B)、および60分間目(図7Aおよび7B)における応答測定値を表す。図6Aおよび6Bに示されているように、脊髄モルフィン(15μg)の投与から30分後、鎮痛応答は、1日目において最大レベルであった。毎日の薬物投与で、効果の大きさは、5日目までには、ベースライン値へ徐々に減退した。モルフィンを伴うアチペマゾールの注入は、両方の試験において、この減退を遅らせた、または阻害した。興味深いことに、その組み合わせは、テールフリック試験において(図6Aおよび7A)、最初はモルフィン効果を低下させたが、この減少は維持されず、その組み合わせに対する応答は、試験期間の終局(5日目)において、モルフィンに対する応答を超えた。しかしながら、足圧力試験において(図6Bおよび7B)、アチペマゾールとモルフィンの組み合わせに対する応答は、5日間の全試験期間について最大レベルに維持された。
【0092】
注入から60分後にとられた応答の測定(図7Aおよび7B)は、この時点におけるモルフィンの効果が、両方の試験において非常に多く低下したことを示した。しかしながら、この時点における超低用量のアチペマゾールおよびモルフィンを含む本発明の併用療法に対する応答は、両方の試験において最大レベルに、または最大レベル近くに維持された。従って、超低用量でのα-2受容体アンタゴニストを、オピオイド受容体アゴニストを慢性的に投与された被験体に投与することは、オピオイド効果の減退を非常に効果的に止めた。
【0093】
図7Aおよび7Bに示された処置群におけるモルフィンの作用についての累積用量反応曲線は、それぞれ、図8Aおよび8Bに示されている。これらの曲線は、6日目に、すなわち、5日間の慢性薬物処置の停止から24時間後に、導かれた。以前に観察されているように、慢性モルフィン処置は、耐性を示す、用量反応曲線における右方向シフトを生じた。本発明の例示的なアチペマゾール-モルフィン組み合わせでの処置は、この右方向シフトを防いだ、耐性の遮断を示す応答。
【0094】
図9Aおよび9Bは、それぞれ、図8Aおよび8Bに示された累積用量反応曲線から導かれるED50値を示す。対照群(アチペマゾール単独を受けた)におけるモルフィンについてのED50値は約5μgであった。生理食塩水群においてそれらとの差はなかった。モルフィンでの慢性処置は、両方の試験において、ED50値のほぼ8倍の増加を生じた。この増加は、モルフィンを伴うアチペマゾールの導入により完全に止められた。従って、アチペマゾールのようなα-2受容体アンタゴニストの超低用量は、明らかに、慢性投与で起こり、かつ慢性耐性の誘発を表す、モルフィンのようなオピオイド受容体アゴニストにおける効力の損失を防いだ。従って、効力における損失を防ぐこの能力はまた、オピオイド受容体アゴニスト治療の慢性耐性を阻害する本発明の併用療法を示している。
【0095】
図10Aおよび10Bは、慢性処置期間の終局(5日目)における、アチペマゾール-モルフィン組み合わせにより生じた鎮痛応答の時間経過を示す。示されているように、5日目におけるモルフィン単独の効果は、大幅に低下したが、本発明の例示的併用療法に対する応答は、全試験期間に渡って高レベルで維持された。従って、本発明のα-2受容体アンタゴニストおよびオピオイド受容体アゴニスト併用療法により引き出されたピーク効果および応答の持続時間の両方は、オピオイド受容体アゴニスト効果を超えた。
【0096】
従って、これらの実験により示されているように、超低用量のα-2受容体アンタゴニストをオピオイド受容体アゴニストと組み合わせて投与する本発明の併用療法は、反復オピオイド受容体アゴニスト投与後の鎮痛の漸進的な減退を遮断し、慢性オピオイド曝露後に得られるオピオイド受容体アゴニスト用量反応曲線における右方向シフトを防ぎ、薬効の損失(すなわち、反復処置後に起こるオピオイド受容体アゴニストのED50値における増加)を遮断する。従って、本発明のこれらの併用療法は、被験体における疼痛管理に有用である。
【0097】
オピオイド受容体アゴニストの鎮痛作用に対してすでに耐性がある動物においてモルフィンの効力を回復させる超低用量のアチペマゾールの能力もまた実証された。これらの実験において、超低用量(0.8ng)のアチペマゾールが、慢性オピオイド受容体アゴニスト処置によりオピオイド受容体アゴニストに対して耐性にされた動物へモルフィンと同時投与された。アチペマゾールの確立された耐性への効果は、毎日の注入から30分後における侵害受容試験を描く図11Aおよび11Bに、ならびに毎日の注入から60分後における侵害受容試験を描く図12Aおよび12Bに示されている。図11Aおよび11Bに示されているように、モルフィンでの毎日の処置は、結果として、テールフリック試験および足圧力試験における鎮痛応答の漸進的な減退を生じ、応答は5日目までにはベースライン値近くに達した。6日目〜10日目におけるモルフィンの継続は鎮痛応答をこの値で維持した。しかしながら、6日目におけるアチペマゾールの添加を伴うモルフィンの投与は、1日目における最初のモルフィン応答に近く、かつ有意にベースラインレベルより上のままである、モルフィンに対する応答の劇的な回復を生じた。毎日の注入から60分後にとられた侵害受容の測定(図12AおよびB)により、α-2受容体アンタゴニストのオピオイド受容体アゴニストとの投与での活性の同様のプロファイルが明らかにされた。
【0098】
図13Aおよび13Bは、図12Aおよび12Bに示された2つの動物群において得られた髄腔内モルフィンについての累積用量反応曲線を示す。これらの図により示されているように、10日間の期間、モルフィンを単独で受けた動物において、急性モルフィン用量反応曲線は、同じ期間、モルフィンおよびアチペマゾールを受けた群において得られた曲線の右へ移動した。左方向シフトを生じるアチペマゾールの能力は、オピオイド受容体アゴニスト効力を回復させるα-2受容体アンタゴニストの投与を示す。
【0099】
図13Aおよび13Bに示される用量反応曲線から導かれた図14Aおよび14Bに示されるモルフィンED50値は、超低用量でのα-2受容体アンタゴニストの投与によるオピオイド受容体アゴニスト耐性のこの逆転のさらなる定量的証拠を提供する。慢性モルフィン単独を受けた動物の群は、テールフリック試験および足圧力試験において47μgおよび48μgと見積もるED50値を示した(空白の棒)。対照的に、アチペマゾールと共にモルフィンを受けた群は、6μgおよび8μgと見積もるED50値を示した。従って、慢性オピオイド受容体アゴニスト曝露後のモルフィンの鎮痛効果に対して応答しない動物において、アチペマゾールのオピオイド受容体アゴニストへの添加はその効力を回復させた。その結果は、アチペマゾールのようなα-2受容体アンタゴニストの投与が、実際、モルフィン鎮痛に対する確立された耐性を逆転させることを実証している。
【0100】
この開示を読めば当業者には明らかなように、本発明は、オピオイド受容体アゴニスト効果を増強する、ならびに本明細書に示された耐性を阻害するおよび/または逆転させる特定の例に限定されず、むしろ、本発明は、オピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストの任意の組み合わせを含み、そのような組み合わせが、単独で用いられた場合オピオイド受容体アゴニストの効果と比較してオピオイド受容体アゴニストの効果を増強する能力、またはオピオイド受容体アゴニスト治療に対する耐性を阻害するおよび/もしくは逆転させる能力を有すると解釈かつ理解されるべきである。本明細書の別の所で広範囲な詳細に示された教示に基づいて、当業者は、本発明において有用なそのような組み合わせに用いられうる、そのようなオピオイド受容体アゴニスト、α-2受容体アンタゴニスト、およびそれらの組み合わせ、加えてオピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストの濃度を同定する方法を理解するものと思われる。
【0101】
本明細書に実証されているように、オピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストは、例えば、硬膜外に、または髄腔内に投与されうる。さらに、モルフィンおよびアチペマゾールの両方が全身投与によって、すなわち、経口で、または非経口で、効果的であることが知られているため、これらの治療用化合物は、同様に、全身投与に従って効果的だろうことが予想される。従って、本発明の併用療法は、全身性に、または局所的に、および経口、頬、舌下、経皮的、皮下、眼内、静脈内、筋肉内、もしくは腹腔内の投与など(例えば、注射による)、または吸入を介してのような任意の適した経路により、投与されうる。好ましくは、オピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストを、同じ投与経路を介して同時に投与する。しかしながら、各治療用化合物が活性のあるままである間の時間枠内での、同じ投与経路または異なる投与経路を介しての別々での化合物の投与もまた、疼痛管理、およびオピオイド受容体アゴニストに対する耐性を軽減するにおいて効果的だろうことが予想される。さらに、本明細書に実証されているように、オピオイド受容体アゴニスト処置をすでに受けている被験体へのα-2受容体アンタゴニストの投与は、オピオイド受容体アゴニストに対する耐性を逆転させ、オピオイド受容体アゴニストの鎮痛効力を回復させる。従って、本発明の併用療法におけるオピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストでの処置は、同時に開始する必要はない。それどころか、α-2受容体アンタゴニストの投与は、オピオイド受容体アゴニストでの処置から数日間後、数週間後、数ヶ月後、またはそれ以上に開始してもよい。または、α-2受容体アンタゴニストの投与は、オピオイド受容体アゴニストでの処置の数日間前、数週間前、数ヶ月前、またはそれ以上前に開始してもよい。
【0102】
従って、本発明の目的として、治療用化合物、すなわち、オピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストは、単一の薬学的に許容される媒体にいっしょに、またはそれぞれがそれら自身の薬学的に許容される媒体で別々に、投与されうる。
【0103】
本明細書に用いられる場合、「治療用化合物」という用語は、オピオイド受容体アゴニストおよび/またはα-2受容体アンタゴニストを指すことが意図される。
【0104】
本明細書に用いられる場合、「薬学的に許容される媒体」とは、治療用化合物の活性と適合性があり、かつ被験体に生理学的に受け入れられる、ありとあらゆる溶媒、賦形剤、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的に許容される媒体の例は、緩衝生理食塩水(0.15M NaCl)である。薬学的に活性のある物質のためのそのような媒体および剤の使用は当技術分野において周知である。任意の通常の媒体または剤が治療用化合物と適合性がない場合を除いて、薬学的投与に適した組成物におけるそれらの使用が企図される。補助的活性化合物もまた、組成物へ組み入れられうる。
【0105】
本発明において有用な担体または置換部分はまた、治療用化合物が標的器官へ選択的に送達されるのを可能にする部分を含んでもよい。例えば、治療用化合物の脳への送達は、能動輸送かまたは受動輸送のいずれかを用いる担体部分(「ターゲティング部分」)により促進されうる。実例として、担体分子は、例えば、両方ともBodorの米国特許第4,540,654号および第5,389,623号に記載されているように、レドックス部分でありうる。これらの特許は、脳に入ることができ、そこで、脳において捕捉される荷電ピリジニウム種へ酸化される、ジヒドロピリジン部分に連結された薬物を開示している。このように、これらの部分に連結された薬物は脳に蓄積する。他の担体部分は、インビボで受動的にまたは能動的に輸送されうるアミノ酸またはチロキシンのような化合物を含む。そのような担体部分は、インビボで代謝的に除去されうる、または活性化合物の一部として無傷のままでありうる。
【0106】
ペプチド模倣体を含むアミノ酸(および他の能動的に輸送される部分)の構造的模倣体もまた本発明において有用である。本明細書に用いられる場合、「ペプチド模倣体」という用語は、例えば、受容体および酵素との相互作用においてペプチドの適切な代替物として働くペプチド類似体を含むことが意図される。ペプチド模倣体は、親和性だけでなく、効力および基質機能もまた有しなければならない。すなわち、ペプチド模倣体は、アミノ酸成分への構造の制限なしに、ペプチドの機能を示す。ペプチド模倣体、それらの調製および使用のための方法は、Morgan et al. (1989)(「Approaches to the discovery of non-peptide ligands for peptide receptors and peptidases」, Annual Reports in Medicinal Chemistry (Virick, F.J., ed.), Academic Press, San Diego, CA, pp. 243-253)に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み入れられている。多くのターゲティング部分が知られており、例えば、アシアロ糖タンパク質(例えば、Wu, 米国特許第5,166,320号参照)、および受容体媒介性エンドサイトーシスを介して細胞へ輸送される他のリガンドを含む(標的分子に共有結合性にまたは非共有結合性に結合しうるターゲティング部分のさらなる例について下記を参照)。
【0107】
本明細書に用いられる場合の「被験体」という用語は、処置されるべき疼痛が生じうる生きている生物体を含むことが意図される。被験体の例は、ヒト、類人猿、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、およびそれらのトランスジェニック種のような哺乳動物を含む。当業者にとって明らかなように、下に示された実施例に用いられた動物被験体は、問題になっている組織および生化学的経路、ならびにその結果として、それらに向けられた方法、治療用化合物、および薬学的組成物に関してヒト被験体の妥当なモデルである。Mordenti(J. Pharm. Sci. 1986 75(11):1028-40)および同様の論文により証明されているように、例えば、ラットのような動物のための剤形は、ヒトを含む高等哺乳動物での治療適用における投薬量レベルを確立するために直接的に用いられることができ、かつ広く用いられている。特に、多くの生理学的過程および状態により惹起される生化学的カスケードは、哺乳動物種において同一であることが一般に認められている(例えば、Mattson and Scheff, Neurotrauma 1994 11(1):3-33; Higashi et al. Neuropathol. Appl. Neurobiol. 1995 21:480-483参照)。この点から見ると、本明細書に記載されたもののような動物モデルにおいて効果的である薬理学的作用物質は、投薬量の適切な調整後、ヒトにおける臨床効果を予測すると考えられる。
【0108】
投与経路に依存して、治療用化合物は、酸、酵素、および化合物を不活性化しうる他の自然条件から化合物を保護するために物質の中にコーティングされうる。本発明が、2つの治療用化合物を投与する併用療法を提供する限りにおいて、その2つの化合物のそれぞれは、同じ経路により、または異なる経路により投与されうる。また、化合物は、同じ時間に(すなわち、同時に)かまたはそれぞれ異なる時間にかのいずれかで投与されうる。いくつかの処置計画において、化合物の一方を他方より多いまたは少ない頻度で投与することは有益でありうる。
【0109】
本発明の化合物は、インビボでの適切な分布を保証するように製剤化されうる。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高親水性化合物を排除する。本発明の治療用化合物がBBBを横断することを保証するために、それらは、例えば、リポソーム中に、製剤化されうる。リポソームを製造する方法について、例えば、米国特許第4,522,811号;第5,374,548号;および第5,399,331号を参照されたい。リポソームは、特定の細胞または器官へ選択的に輸送される1つまたは複数の部分(「ターゲティング部分」)を含むことができ、それに従って、ターゲット化薬物送達を提供する(例えば、Ranade, V.V. J. Clin. Pharmacol. 1989 29(8):685-94参照)。例示的なターゲティング部分は、葉酸およびビオチン(例えば、Low et al.の米国特許第5,416,016号参照);マンノシド(Umezawa et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 1988 153(3):1038-44);抗体(Bloeman et al. FEBS Lett. 1995 357:140; Owais et al. Antimicrob. Agents Chemother. 1995 39(1):180-4);および界面活性剤プロテインA受容体(Briscoe et al. Am. J. Physiol. 1995 268 (3 Pt 1):L374-80)を含む。好ましい態様において、本発明の治療用化合物はリポソーム中に製剤化される;より好ましい態様において、リポソームはターゲティング部分を含む。
【0110】
送達およびインビボ分布はまた、本発明の化合物の陰イオン性基の変化により影響されうる。例えば、ホスホン酸またはカルボキシルのような陰イオン性基は、所望の薬物動態学的、薬力学的、体内分布的、または他の性質をもつ化合物を提供するようにエステル化されうる。
【0111】
非経口投与以外により治療用化合物を投与するために、その不活性化を防ぎうる物質で化合物をコーティングする、または化合物を物質と同時投与することが必要になる場合がある。例えば、治療用化合物は、適切な担体、例えば、リポソームまたは希釈剤、において被験体に投与されうる。薬学的に許容される希釈剤は、生理食塩水および水性緩衝溶液を含む。リポソームは、水中油中水型CGF乳剤、および通常のリポソームを含む(Strejan et al. Prog. Clin. Biol. Res. 1984 146:429-34)。
【0112】
治療用化合物はまた、非経口で(例えば、筋肉内に、静脈内に、腹腔内に、脊髄内に、髄腔内に、または脳内に)投与されうる。分散は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中に、ならびに油中に調製されうる。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐために保存剤を含む場合がある。注射用に適した薬学的組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射可能溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末を含む。すべての場合において、組成物は、滅菌してなければならず、容易な注射針通過性が存在する程度まで流動性でなければならない。それは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の汚染作用から保護されなければならない。媒体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、適切なそれらの混合物、および油(例えば、植物油)を含む溶媒または分散媒でありうる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング剤の使用、分散液の場合、必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により、維持されうる。
【0113】
微生物の作用の防止は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど、により達成されうる。場合によっては、組成物中に等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、またはマンニトールおよびソルビトールのようなポリアルコールを含むことが好ましい。注射可能組成物の持続的吸収は、組成物中に、吸収を遅らせる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを含むことによりもたらされうる。
【0114】
滅菌注射可能溶液は、上で列挙された成分の1つまたは組み合わせと共に適切な溶媒中に必要とされる量で治療用化合物を組み入れ、必要に応じて、濾過滅菌することにより調製されうる。一般的に、分散液は、基本的な分散媒、および上で列挙されたものからの必要とされる他の成分を含む滅菌媒体へ治療用化合物を組み入れることにより調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、任意で、前に滅菌濾過された溶液由来の任意の追加の望ましい成分を加えた、活性成分(すなわち、治療用化合物)の粉末を生じる、真空乾燥および凍結乾燥である。
【0115】
経口投与のための固体剤形は、摂取可能なカプセル、錠剤、丸薬、ロリポップ、粉末、顆粒、エリキシル、懸濁液、シロップ、カシェ剤、バッカル錠剤、トローチなどを含む。そのような固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムのような少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される賦形剤もしくは希釈剤または同化可能な可食性担体、ならびに/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸のような充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアラビアゴムのような結合剤、c)グリセロールのような湿潤剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカのデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムのような崩壊剤、e)パラフィンのような溶解遅延剤、f)第四アンモニウム化合物のような吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートのような湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土のような吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物のような潤滑剤と混合される、または被験体の食事へ直接的に組み入れられる。カプセル、錠剤、および丸薬の場合、剤形はまた、緩衝剤を含んでもよい。類似した型の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いて軟および硬ゼラチンカプセルにおける充填剤として用いられうる。組成物および調製物における治療用化合物のパーセンテージは、もちろん、変わりうる。そのような治療的に有用な組成物における治療用化合物の量は、適切な投薬量が得られるほどのものである。
【0116】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、腸溶コーティング剤および製剤分野において周知の他のコーティング剤のようなコーティング剤およびシェルで調製されうる。それらは、任意で乳白剤を含んでもよく、活性成分だけを、または好ましくは腸管の特定の部分において、任意で遅延様式で、放出する組成物でもありうる。用いられうる包埋組成物の例は、重合物質およびワックスを含む。活性化合物はまた、マイクロカプセル化した形をとって、適切な場合には、上記の賦形剤の1つまたは複数と共に、ありうる。
【0117】
経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容される乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルを含む。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水、またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物のような他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤のような当技術分野において一般的に用いられる不活性な希釈剤を含んでもよい。不活性な希釈剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤、および芳香剤のような補助剤を含んでもよい。
【0118】
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、およびトラガカントゴム、ならびにそれらの個運号物のような懸濁剤を含んでもよい。
【0119】
治療用化合物は、ゆっくり時間をかけての治療用化合物の徐放性を得るために、徐放性型またはデポー型で投与されうる。本発明の治療用化合物はまた、経皮的に(例えば、パッチ型で治療用化合物を適切な担体と共に供給することにより)投与されうる。
【0120】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために投薬量単位型に非経口組成物を製剤化することは特に都合が良い。本明細書に用いられる場合の投薬量単位型は、処置されるべき被験体についての単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指す;各単位は、必要とされる薬学的媒体と共同して所望の治療効果を生じるように計算された治療用化合物のあらかじめ決められた量を含む。本発明の投薬量単位型についての明細は、(a)治療用化合物の固有の特徴および達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)被験体における神経学的状態の処置のためにそのような治療用化合物を調合する分野に内在する制限によって、および直接的に依存して、規定される。
【0121】
オピオイド受容体アゴニストの所望の治療効果を達成するために、例えば、疼痛を緩和するために、ならびに/または被験体において鎮痛をもたらすために、咳を抑制するために、下痢を低減するおよび/もしくは防ぐために、肺水腫を処置するために、またはオピオイド受容体アゴニスト中毒を軽減するために十分な治療的有効量で、本発明による治療用化合物を投与する。例えば、所望の治療効果が鎮痛である場合には、「治療的有効量」は疼痛を、未処置の被験体に対して約25%、好ましくは約50%、よりいっそう好ましくは約75%、およびさらにより好ましくは約100%、緩和する。本発明の薬学的組成物における活性成分の実際の投薬量レベルは、特定の被験体、組成物、および投与様式について所望の治療応答を達成かつ維持するのに効果的である活性化合物の量を得るために変化しうる。選択された投薬量レベルは、特定の化合物の活性、投与経路、投与頻度、処置すべき被験体の状態の重症度、処置すべき被験体の状態および過去の病歴、被験体の年齢、性別、体重、および遺伝的プロファイル、ならびに被験体において所望の治療効果を生じる治療用化合物の能力に依存する。投与計画は、最適な治療応答を与えるように調整されうる。例えば、数個に分割された用量が毎日投与されうる、または用量は、治療的状況の緊急事態により示されれば、比例的に低減されうる。
【0122】
しかしながら、特定の患者についての適切な用量を用量漸増法により決定することは医学分野内で周知である。この方法において、患者は、所望の治療効果を達成するのに必要とされるものより低いレベルでの薬物化合物の用量から開始される。用量は、その後、所望の効果が達成されるまで徐々に増加される。上で考察されたクラスのすでに市販されている治療剤についての開始投薬量レベルは、用いられる投薬量に関するすでに入手可能な情報から導かれうる。また、投薬量は、FDAまたは同等の機関により要求されるような前臨床ADME毒物学研究およびその後の臨床試験を通して日常的に決定される。所望の治療効果を生じるオピオイド受容体アゴニストの能力は、これらの治療用化合物で処置される様々な状態について様々な周知のモデルにおいて実証されうる。例えば、疼痛の緩和は、当技術分野において公知の動物モデル系(例えば、本明細書に記載されたモデルを含む)のような、ヒト疾患および外傷での疼痛を緩和することにおける効力を予測しうるモデル系において評価されうる。
【0123】
本発明の化合物は、化合物の乱用についての可能性を低減するような方法で製剤化されうる。例えば、化合物は、化合物のそれらからの分離を妨げるまたは困難にする1つまたは複数の作用物質と組み合わせられうる。
【0124】
以下の非限定的例は、本発明をさらに例証するために提供される。
【0125】
実施例
実施例1:動物
実験は、体重が200〜250グラムの間である成体雄のSprague-Dawleyラット(Charles River, St. Constant, QC, Canada)を用いて行われた。動物は、個々に、12時間の明暗サイクルで維持された標準実験用ケージにおいて、飼育され、自由に食物および水を供給された。慢性留置髄腔内カテーテル(ポリエチレンPE 10チューブ、7.5cm)の脊髄くも膜下腔への外科的設置は、YakshおよびRudy(Physiol. Behav. 1976 7:1032-1036)の方法を用いて4%ハロタン麻酔下でなされた。具体的には、麻酔された動物を、定位フレームに腹臥に置き、首の背側に小切開を作り、大槽を覆っている環椎後頭膜を露出させ、尖っていない針で刺した。カテーテルを、大槽開口部を通して挿入し、腰膨大にその先端を位置づけるようにゆっくり尾の方へ進めた。カテーテルの吻端を、頭頂部で露出させ、創傷を縫合糸で閉じた。動物を、手術から3〜4日間、回復させ、後肢もしくは前肢麻痺または粗大運動機能障害のような神経学的欠損がないものだけを研究に含めた。すべての薬物を、カテーテルの露出部分を通して生理食塩水(0.9%)に溶解された溶液として髄腔内に10μlの容量で注入し、続いて、カテーテルを洗い流すために10μlの容量の0.9%生理食塩水を注入した。
【0126】
実施例2:侵害受容の評価
短時間の侵害受容刺激に対する応答は、2つの試験:テールフリック試験および足圧力試験を用いて試験された。
【0127】
テールフリック試験(D'amour & Smith, J. Pharmacol. Exp. Ther. 1941 72:74-79)は、熱侵害受容刺激に対する応答を測定するために用いられた。放射熱を、動物の尾の遠位3分の1へ加え、その供給源からの尾の引っ込めることについての応答潜時を鎮痛メーターを用いて記録した(Owen et al., J. Pharmacol. Methods 1981 6:33-37)。刺激強度は、2〜3秒間の間にベースライン応答潜時を生じるように調整された。尾損傷を最小限にするために、10秒間のカットオフが最大抗侵害受容の指標として用いられた。
【0128】
足圧力試験(Loomis et al., Pharm. Biochem. 1987 26:131-139)は、機械的侵害受容刺激に対する応答を測定するために用いられた。圧力は、計測器に接続された倒立の空気で満たされた注射器を用いて後足の背面に加えられ、動物がその足を引っ込める値が記録された。300mmHgの最大カットオフ圧力が、組織損傷を避けるために用いられた。以前の実験は、テールフリック試験と足圧力試験の間に有意な相互作用はないことを確立している(Loomis et al., Can. J. Physiol. Pharmacol. 1985 63:656-662)。
【0129】
実施例3:α-2受容体アンタゴニストによるクロニジンおよび/またはモルフィン鎮痛の阻害の測定
アチペマゾール、ヨヒンビン、イダゾキサン、およびミルタザピンの効果が、これらの薬物のそれぞれがα-2受容体アンタゴニストとして作用することを確立するために脊髄クロニジンの急性鎮痛作用に関して試験された。クロニジンの単一注入を髄腔内に投与し、テールフリック試験および足圧力試験において応答を測定した。その後の試験において、クロニジンを、1μg、5μg、または10μgアチペマゾール、30μgヨヒンビン、10μgイダゾキサン、または2μgミルタザピンと組み合わせて送達した。薬物投与後、侵害受容試験を、最初の60分間は10分間ごとに、次の120〜150分間は30分間ごとに、行った。アチペマゾールについての結果は、図1A(テールフリック)および図1B(足圧力)に描かれている。ヨヒンビンについての結果は、図15A(テールフリック)および図15B(足圧力)に描かれている。イダゾキサンについての結果は、図28A(テールフリック)および図28B(足圧力)に描かれている。ミルタザピンについての結果は、図21A(テールフリック)および図21B(足圧力)に描かれている。同様の実験は、モルフィンと組み合わせた30μgでのヨヒンビンで行われた。図16A(テールフリック)および図16B(足圧力)を参照。
【0130】
実施例4:超低用量のアチペマゾールによる既存のモルフィン鎮痛耐性の逆転
慢性耐性は、毎日1回、5日間、モルフィン(15μg)の髄腔内注入によりラットにおいて引き起こされた。動物を2つの群に分け、テールフリック試験および足圧力試験を用いて毎日の薬物注入から30分後および60分後に侵害受容試験を行った。6日目において、一方の群は、このモルフィン用量をさらに5日間、継続され、他方の群は、同じ期間、低用量のアチペマゾール(0.8ng)と組み合わせてモルフィンを受けた。侵害受容は上記のように毎日ベースで評価された。11日目において、急性髄腔内モルフィンの作用についての累積用量反応曲線が、モルフィン効力の指数(ED50値)を得るために作成された。
【0131】
実施例5:データ分析
インビボ研究について、テールフリック値および足圧力値は、最大パーセンテージ効果(M.P.E.):M.P.E.=100X[薬物後応答−ベースライン応答]/[最大応答−ベースライン応答]へ変換された。図に示されたデータは平均(±S.E.M.)として表されている。ED50値は、非線形回帰分析(Prism 2, GraphPad Software Inc., San Diego, CA, USA)を用いて決定された。統計学的有意性(p<0.05、0.01、または0.001)は、一元配置分散分析、続いて群間の多重比較についてスチューデント ニューマン-クールズ(Student Newman-Keuls)事後検定を用いて決定された。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】図1Aおよび1Bは、ラットでのテールフリック試験(図1A)および足圧力試験(図1B)における、α-2受容体アゴニストのクロニジンによる鎮痛を阻害するにおいてのα-2受容体アンタゴニストのアチペマゾールの効果を示す線グラフである。クロニジンは、ラットあたりの53.2マイクログラムと等しい200ナノモルで髄腔内に投与された。ラットは、0マイクログラム/ラット(白丸)、1マイクログラム/ラット(黒四角形)、5マイクログラム/ラット(黒三角形)、および10マイクログラム/ラット(黒逆三角形)で髄腔内にアチペマゾールを同時投与された。
【図2】図2Aおよび2Bは、ラットでのテールフリック試験(図2A)および足圧力試験(図2B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量で投与されたα-2受容体アンタゴニストのアチペマゾールの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す線グラフである。この研究において、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入(垂直矢印により描かれた)を送達することにより生じた(白丸により描かれた)。ラットの第二群は、モルフィン(15μg)および固定用量のアチペマゾール(0.8ng)の組み合わせを受けた(黒丸により描かれた)。アチペマゾール単独(0.8ng)(黒三角形として描かれた)および生理食塩水(20μl)(白四角形として描かれた)の効果もまた、90分間隔でこれらを注入することにより評価された。
【図3】図3Aおよび3Bは、最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた図2Aおよび2Bの4つの処置群における髄腔内モルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線(DRC)である。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)およびアチペマゾール(0.8ng)を投与されたラットは黒丸により描かれている。アチペマゾール(0.8ng)を単独で投与されたラットは白三角形により描かれている。生理食塩水(20μl)を投与されたラットは白逆三角形により描かれている。
【図4】図4Aおよび4Bは、それぞれ、図3Aおよび3Bの累積用量反応曲線から導かれた、効力の指数であるED50値(動物の50%における有効量)を示す棒グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは水平線を引いた棒により描かれている。モルフィン(15μg)およびアチペマゾール(0.8ng)を投与されたラットは、水平線および垂直線を引いた棒により描かれている。アチペマゾール(0.8ng)を単独で投与されたラットは垂直線を引いた棒により描かれている。生理食塩水(20μl)を投与されたラットは空白の棒により描かれている。
【図5】図5Aおよび5Bは、ラットでのテールフリック試験(図5A)および足圧力試験(図5B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量でのα-2受容体アンタゴニストのアチペマゾールの投与の、急性モルフィン鎮痛への効果を示す線グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)および0.8ngでのアチペマゾールを投与されたラットは黒三角形により描かれている。モルフィン(15μg)および0.08ngでのアチペマゾールを投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。アチペマゾール単独を0.8ngで投与されたラットは白三角形により描かれている。
【図6】図6Aおよび6Bは、ラットでのテールフリック試験(図6A)および足圧力試験(図6B)における毎日の薬物投与から30分後での、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量でのα-2受容体アンタゴニストのアチペマゾールの脊髄投与の、毎日のオピオイド投与により引き起こされた慢性モルフィン耐性への効果を示す線グラフである。モルフィン(15μg/日)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)および0.8ng/日でのアチペマゾールを投与されたラットは黒三角形により描かれている。モルフィン(15μg/日)および0.08ng/日でのアチペマゾールを投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。アチペマゾール単独を0.8ng/日で投与されたラットは白三角形により描かれている。
【図7】図7Aおよび7Bは、ラットでのテールフリック試験(図7A)および足圧力試験(図7B)における毎日の薬物投与から60分後での、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量でのα-2受容体アンタゴニストのアチペマゾールの脊髄投与の、毎日のオピオイド投与により引き起こされた慢性モルフィン耐性への効果を示す線グラフである。モルフィン(15μg/日)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg/日)および0.8ng/日でのアチペマゾールを投与されたラットは黒三角形により描かれている。モルフィン(15μg/日)および0.08ng/日でのアチペマゾールを投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。アチペマゾール単独を0.8ng/日で投与されたラットは白三角形により描かれている。
【図8】図8Aおよび8Bは、6日目、すなわち、5日目の慢性薬物処置の停止から24時間後、において導かれた、図7Aおよび7Bの4つの処置群におけるモルフィンの鎮痛作用についての累積用量反応曲線である。モルフィン(15μg/日)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg/日)および0.8ng/日でのアチペマゾールを投与されたラットは黒三角形により描かれている。モルフィン(15μg/日)および0.08ng/日でのアチペマゾールを投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。アチペマゾール単独を0.8ng/日で投与されたラットは白三角形により描かれている。
【図9】図9Aおよび9Bは、それぞれ、図8Aおよび8Bの累積用量反応曲線から導かれた、効力の指数であるED50値を示す棒グラフである。モルフィンを単独で投与されたラットは、空白の棒により描かれている。モルフィンおよび0.8ngでのアチペマゾールを投与されたラットは、右斜線を引いた棒により描かれている。モルフィンおよび0.08ngでのアチペマゾールを投与されたラットは、左斜線を引いた棒により描かれている。アチペマゾール単独を0.8ngで投与されたラットは、水平線および垂直線を引いた棒により描かれている。
【図10】図10Aおよび10Bは、慢性処置期間の終わり(5日目)にアチペマゾール-モルフィン組み合わせにより生じた、ラットのテールフリック試験(図10A)および足圧力試験(図10B)における、鎮痛応答の時間経過を示す線グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)および0.8ngでのアチペマゾールを投与されたラットは黒三角形により描かれている。モルフィン(15μg)および0.08ngでのアチペマゾールを投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。0.8ngでのアチペマゾールを単独で投与されたラットは白三角形により描かれている。
【図11】図11Aおよび11Bは、アチペマゾールの投与後のラットのテールフリック試験(図11A)および足圧力試験(図11B)における、5日間の処置後に誘導されたモルフィンに対する耐性の逆転を実証する線グラフである。モルフィン単独(15μg)を10日間投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)を10日間、および0.8ngでのアチペマゾールを6日目から開始して5日間、投与されたラットは黒丸により描かれている。侵害受容試験は、毎日の注入から30分後に行われた。
【図12】図12Aおよび12Bは、アチペマゾールの投与後のラットのテールフリック試験(図12A)および足圧力試験(図12B)における、5日間の処置後に誘導されたモルフィンに対する耐性の逆転を実証する線グラフである。モルフィン単独(15μg)を10日間投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)を10日間、および0.8ngでのアチペマゾールを6日目から開始して5日間、投与されたラットは黒丸により描かれている。侵害受容試験は、毎日の注入から60分後に行われた。垂直矢印は、図13Aおよび13Bに描かれた用量反応曲線の時間を指す。
【図13】図13Aおよび13Bは、図12Aおよび12Bに表された2つの動物群において得られた髄腔内モルフィンについての累積用量反応曲線を示す線グラフである。モルフィン(15μg)を単独で10日間投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)を10日間、および0.8ngでのアチペマゾールを6日目から開始して5日間、投与されたラットは黒丸により描かれている。
【図14】図14Aおよび14Bは、それぞれ、図13Aおよび13Bの累積用量反応曲線から導かれた、効力の指数であるED50値を示す棒グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは、空白の棒により描かれている。モルフィン(15μg)を10日間、および0.8ngでのアチペマゾールを6日目から開始して5日間、投与されたラットは垂直線を引いた棒により描かれている。
【図15】図15Aおよび15Bは、ラットでのテールフリック試験(図15A)および足圧力試験(図15B)における、α-2受容体アゴニストのクロニジンによる脊髄鎮痛を阻害するにおいてのα-2受容体アンタゴニストのヨヒンビンの拮抗効果を示す線グラフである。ラットは、クロニジン(13.3μg)を髄腔内に単独で(白丸)、ヨヒンビン(30μg)を髄腔内に単独で(白三角形)、またはクロニジン(13.3μg)およびヨヒンビン(30μg)を髄腔内に(黒四角形)、投与された。
【図16】図16Aおよび16Bは、テールフリック試験(図16A)および足圧力試験(図16B)における、脊髄モルフィン鎮痛を阻害するにおいてのα-2受容体アンタゴニストのヨヒンビンの拮抗効果を示す線グラフである。ラットは、モルフィン(15μg)を髄腔内に単独で(白丸)、ヨヒンビン(30μg)を髄腔内に単独で(白三角形)、またはモルフィン(15μg)およびヨヒンビン(30μg)を髄腔内に(黒四角形)、投与された。
【図17】図17Aおよび17Bは、ラットでのテールフリック試験(図17A)および足圧力試験(図17B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量でのα-2受容体アンタゴニストのヨヒンビンの投与の、モルフィンの単一脊髄用量により生じた鎮痛への効果を示す線グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)およびヨヒンビン(0.024ng)を投与されたラットは黒四角形により描かれている。モルフィン(15μg)およびヨヒンビン(2.4ng)を投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。モルフィン(15μg)およびヨヒンビン(5ng)を投与されたラットは黒菱形により描かれている。ヨヒンビンを単独で(0.024ng)を投与されたラットは、白四角形により描かれている。ヨヒンビン単独を2.4ngで投与されたラットは、白逆三角形により描かれている。
【図18】図18Aおよび18Bは、ラットでのテールフリック試験(図18A)および足圧力試験(図18B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量で投与されたα-2受容体アンタゴニストのヨヒンビンの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す線グラフである。この研究において、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入(矢じり形により示された)を送達することにより生じた(白丸により描かれた)。ラットの他の群は、モルフィン(15μg)、および0.0048ng(黒四角形により描かれた)、0.024ng(黒三角形)、または0.24ng(黒逆三角形)の固定用量のヨヒンビンの組み合わせを受けた。ヨヒンビン単独(0.024ng;白三角形として描かれた)および生理食塩水(20μl;Xとして描かれた)もまた、90分間隔でこれらを注入することにより評価された。
【図19】図19Aおよび19Bは、最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた、それぞれ、図18Aおよび18Bの6つの処置群における髄腔内モルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線(DRC)である。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)および0.0048ngでのヨヒンビンを投与されたラットは黒四角形により描かれている。モルフィン(15μg)および0.024ngでのヨヒンビンを投与されたラットは黒三角形により描かれている。モルフィン(15μg)および0.24ngでのヨヒンビンを投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。ヨヒンビン(0.024ng)を単独で投与されたラットは白三角形により描かれている。生理食塩水を投与されたラットはXにより描かれている。
【図20】図20Aおよび20Bは、それぞれ、図19Aおよび19Bの累積用量反応曲線から導かれた、効力の指数であるED50値(動物の50%における有効量)を示す棒グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは、点々のある棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.0048ngでのヨヒンビンを投与されたラットは、左斜線を引いた棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.024ngでのヨヒンビンを投与されたラットは、右斜線を引いた棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.24ngでのヨヒンビンを投与されたラットは、垂直線を引いた棒により描かれている。ヨヒンビン(0.024ng)を単独で投与されたラットは水平線を引いた棒により描かれている。生理食塩水を投与されたラットは空白の棒により描かれている。
【図21】図21Aおよび21Bは、ラットでのテールフリック試験(図21A)および足圧力試験(図21B)における、α-2受容体アゴニストのクロニジンによる脊髄鎮痛を阻害するにおいてのα-2受容体アンタゴニストのミルタザピンの拮抗効果を示す線グラフである。ラットは、クロニジン(13.3μg)を髄腔内に単独で(白四角形)、またはクロニジン(13.3μg)およびミルタザピン(2μg)を髄腔内に(黒四角形)、投与された。
【図22】図22Aおよび22Bは、ラットでのテールフリック試験(図22A)および足圧力試験(図22B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量でのα-2受容体アンタゴニストのミルタザピンの投与の、モルフィンの単一脊髄用量により生じた鎮痛への効果を示す線グラフである。ラットは、モルフィン(15μg)を髄腔内に単独で(白丸)、モルフィン(15μg)およびミルタザピン(0.02ng)を髄腔内に(黒三角形)、またはモルフィン(15μg)およびミルタザピン(0.2ng)を髄腔内に(黒逆三角形)、投与された。
【図23】図23Aおよび23Bは、ラットでのテールフリック試験(図23A)および足圧力試験(図23B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量で投与されたα-2受容体アンタゴニストのミルタザピンの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す線グラフである。この研究において、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入(矢じり形により示された)を送達することにより生じた(白丸により描かれた)。ラットのもう一つの群は、モルフィン(15μg)および0.02ngの固定用量のミルタザピンの組み合わせを受けた(黒三角形により描かれた)。90分間隔で注入された生理食塩水(20μl;Xとして描かれた)もまた評価された。
【図24】図24Aおよび24Bは、最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた、それぞれ、図23Aおよび23Bの3つの処置群における髄腔内モルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線(DRC)である。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)および0.02ngでのミルタザピンを投与されたラットは黒三角形により描かれている。生理食塩水を投与されたラットはXにより描かれている。
【図25】図25Aおよび25Bは、それぞれ、図24Aおよび24Bの累積用量反応曲線から導かれた、効力の指数であるED50値(動物の50%における有効量)を示す棒グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは、点々のある棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.02ngでのミルタザピンを投与されたラットは水平線を引いた棒により描かれている。生理食塩水(20μl)を投与されたラットは空白の棒により描かれている。
【図26】図26Aおよび26Bは、テールフリック試験(図26A)および足圧力試験(図26B)における、単一ミルタザピン用量での前処置、続いて反復モルフィン投与から24時間後に得られた累積用量反応曲線を示す線グラフである。この研究において、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入を送達することにより生じた(白丸により描かれた)。ラットの他の群は、90分間隔でのモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入およびモルフィン投与の30分前の単一用量のミルタザピン(0.02ng)(黒三角形により描かれた)、または90分間隔での生理食塩水(20μl)の3回の髄腔内逐次注入および生理食塩水投与前の単一用量のミルタザピン(0.02ng)(白三角形により描かれた)を受けた。90分間隔で注入された生理食塩水(20μl;Xとして描かれた)の効果もまた評価された。
【図27】図27Aおよび27Bは、それぞれ、図26Aおよび26Bの累積用量反応曲線から導かれた、効力の指数であるED50値(動物の50%における有効量)を示す棒グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは点々のある棒により描かれている。生理食塩水(20μl)および0.02ngでのミルタザピンを投与されたラットは、水平線を引いた棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.02ngでのミルタザピンを投与されたラットは、垂直線を引いた棒により描かれている。生理食塩水(20μl)を投与されたラットは空白の棒により描かれている。
【図28】図28Aおよび28Bは、ラットでのテールフリック試験(図28A)および足圧力試験(図28B)における、α-2受容体アゴニストのクロニジンによる脊髄鎮痛を阻害するにおいてのα-2受容体アンタゴニストのイダゾキサンの拮抗効果を示す線グラフである。ラットは、クロニジン(13.3μg)を髄腔内に単独で(白四角形)、イダゾキサン(10μg)を髄腔内に単独で(白菱形)、クロニジン(13.3μg)およびイダゾキサン(10μg)を髄腔内に(黒四角形)、または生理食塩水(20μl;Xにより描かれた)を投与された。
【図29】図29Aおよび29Bは、ラットでのテールフリック試験(図29A)および足圧力試験(図29B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量でのα-2受容体アンタゴニストのイダゾキサンの投与の、モルフィンの単一脊髄用量により生じた鎮痛への効果を示す線グラフである。ラットは、モルフィン(15μg)を髄腔内に単独で(白丸)、モルフィン(15μg)およびイダゾキサン(0.08ng)を髄腔内に(黒丸)、または生理食塩水(20μl;Xとして描かれた)を投与された。
【図30】図30Aおよび30Bは、ラットでのテールフリック試験(図30A)および足圧力試験(図30B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量で投与されたα-2受容体アンタゴニストのイダゾキサンの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す線グラフである。この研究において、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入を送達することにより生じた(白丸により描かれた)。ラットの他の群は、イダゾキサン単独を0.016ng(白三角形により描かれた)もしくは0.08ng(白逆三角形により描かれた)で、またはモルフィン(15μg)および0.008ng(黒逆三角形により描かれた)、0.016ng(黒三角形により描かれた)、もしくは0.08ng(黒菱形により描かれた)の固定用量のイダゾキサンの組み合わせを受けた。90分間隔で注入された生理食塩水(20μl;Xとして描かれた)の効果もまた評価された。
【図31】図31Aおよび31Bは、最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた、それぞれ、図30Aおよび30Bの7つの処置群における髄腔内モルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線(DRC)である。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。イダゾキサン単独を0.016ngで投与されたラットは白三角形により描かれている。イダゾキサン単独を0.008ngで投与されたラットは白逆三角形により描かれている。モルフィン(15μg)および0.008ngの固定用量のイダゾキサンの組み合わせを投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。モルフィン(15μg)および0.016ngの固定用量のイダゾキサンの組み合わせを投与されたラットは黒三角形により描かれている。モルフィン(15μg)および0.08ngの固定用量のイダゾキサンの組み合わせを投与されたラットは黒菱形により描かれている。生理食塩水を投与されたラットはXにより描かれている。
【図32】図32Aおよび32Bは、それぞれ、図31Aおよび31Bの累積用量反応曲線から導かれた、効力の指数であるED50値(動物の50%における有効量)を示す棒グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは点々のある棒により描かれている。イダゾキサン単独を0.008ngで投与されたラットは、水平線を引いた棒により描かれている。イダゾキサン単独を0.016ngで投与されたラットは垂直線を引いた棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.008ngの固定用量のイダゾキサンの組み合わせを投与されたラットは水平線および垂直線を引いた棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.016ngの固定用量のイダゾキサンの組み合わせを投与されたラットは右斜線を引いた棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.08ngの固定用量のイダゾキサンの組み合わせを投与されたラットは左斜線を引いた棒により描かれている。生理食塩水(20μl)を投与されたラットはXにより描かれている。生理食塩水を投与されたラットは空白の棒により描かれている。
【背景技術】
【0001】
発明の背景
オピオイド薬は、中等度から重度の疼痛症候群の臨床管理において不可欠である。オピオイドはまた、鎮咳剤として、下痢の低減および/または予防において、ならびに肺水腫の処置において、用いられる。
【0002】
オピオイドの強力な鎮痛作用が脳、脊髄、および末梢におけるニューロンに存在する特異的な受容体との相互作用に起因することは十分、認められている。これらの受容体の複数の形があることもまた認識されている。クローニング実験は、3つの別個の型の受容体、すなわち、μ、δ、およびκの存在を同定している。各型の受容体は、別個の遺伝子産物で、7回膜貫通Gタンパク質共役型受容体(GPCR)である(Kieffer et al., Trends in Pharmacol. Science 1999 20:19-26)。これらの受容体は、内因性オピオイドペプチドにより、および高選択性作動性または拮抗性リガンドにより、選択的にターゲットされる。特に、エンドモルフィンはμ受容体をターゲットにする;エンケファリンはδ受容体をターゲットにする;およびダイノルフィンはκ受容体をターゲットにする。薬理学的証明はまた、μ1およびμ2、δ1およびδ2、ならびにκ1、κ2、κ3、およびκ4と名付けられたオピオイド受容体サブタイプの存在を示唆する(Pasternak and Standifer, Trends in Pharmacol. Science 1995 16:344-350)。これらのオピオイド受容体サブタイプの分子構造および/または起源は、遺伝子産物の選択的プロセシング(Rossi et al., FEBS Lett 1995 369:192-196; Pan et al., Mol. Pharmacol. 1999 396-403)および/または受容体オリゴマー形成(Jordan and Devi, Nature 1999 399:697-700; George et al., J. Biol. Chem. 2000 275:26128-26135)が、追加の受容体異種性の根拠を提供することを示唆されているが、はっきりしていない。
【0003】
オピオイドは中枢神経軸の異なるレベルで作用することにより疼痛の伝達を阻害するが、背側脊髄がそれらの作用の主要部位と認識されている。この部位において、オピオイドは、シナプス前およびシナプス後作用により、疼痛をシグナル伝達するニューロンの活性を阻害する。シナプス前性に、オピオイドは、L-グルタミン酸、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、およびサブスタンスPを含むいくつかの疼痛神経伝達物質の、末梢侵害受容により作動される高閾値一次求心性線維の末端からの放出を阻害する。この効果は、伝達物質の神経末端からのカルシウム依存性放出を制御する電位依存性N型カルシウムチャネル(North et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA 1987 84:5487-5491; Werz and McDonald, Neuropeptides 1984 5:253-256)の遮断に起因する。シナプス後性に、オピオイドは、これらのニューロン上のカリウムチャネルの開口により、一次求心性線維によりターゲットされる投射ニューロンを過分極させる。すべてのオピオイド受容体型の活性化は、百日咳毒素(PTX)感受性機構を介してアデニリルシクラーゼ活性を阻害する。
【0004】
侵害受容ニューロンのシナプス前およびシナプス後活性はまた、作動上オピオイド受容体として挙動するいくつかの非オピオイド受容体により調節される。例えば、脊髄侵害受容ニューロン上のα-2受容体の活性化は、オピオイド薬により生じる細胞応答および行動応答を再現する(Ossipov et al., Anesthesiology 1990 73:1227-1235)。
【0005】
WO 03/099289は、α-アドレナリン作動性アゴニストおよび選択的α-2Aアンタゴニストを含む組成物を投与することにより被験体において疼痛を緩和する方法を開示する。
【0006】
しかしながら、クロニジンのようなα-2受容体アゴニストの脊髄投与は、強力な脊髄鎮痛を生じるが、オピオイドと違って、これらの作用物質は、脊髄からの交感神経性流出に影響することにより有意な心臓血管系効果を生じる。さらに、オピオイド受容体アゴニストのように、α-2受容体アゴニストの脊髄効果への反復曝露は耐性の発生へと導きうる(Stevens et al., J. Pharm. Exp. Ther. 1998 244:63-70)。
【0007】
少なくともオピオイド受容体アゴニストに関しての、耐性の発生は多因子に起因している(Jhamandas et al., Pain Res. Manag. 2000 5:25-32)。最近の研究は、耐性が、極低用量で発揮する、および鎮痛に寄与する阻害効果を徐々に圧倒しうるオピオイドの逆説的な刺激作用に起因しうることを示唆する(Crain and Shen, Trends in Pharm. Sci. 1990 11:177-81)。オピオイドの興奮作用は、古典的オピオイド作用を遮断または阻害するオピオイド受容体アンタゴニストの用量の50分の1〜100,000分の1の超低用量で投与する場合、オピオイド受容体アンタゴニスト(例えば、ナロキソンまたはナルトレキソン)により遮断される(Crain and Shen, Proc. Natl Acad. Sci USA 1995 92:10540-10544)。そのような超低用量のオピオイド受容体アンタゴニスト、ナルトレキソンは、逆説的に、オピオイド鎮痛を増加させる、慢性オピオイド耐性の発生を阻害する、および確立された耐性を逆転させる(Powell et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 2002 300:588-596)。これらの作用の根底にある仮説は、オピオイドの潜在性興奮効果が、進行性で、かつ最終的には古典的オピオイド用量により生じる鎮痛に打ち勝つ痛覚過敏を生じることである。しかしながら、オピオイド受容体アンタゴニストの臨床用途は、鎮痛応答の可能性のある損失のリスクを伴う。
【0008】
非選択的アドレナリン遮断薬フェントラミン(α-1およびα-2遮断薬)およびプロプラノロール(β-1およびβ-2遮断薬)ならびに選択的遮断薬プラゾシン(α-1遮断薬)およびメトプロロール(β-1遮断薬)の両方は、マウスにおいてモルフィン鎮痛に対する耐性の発生を抑制することを開示されている(Kihara, T. and Kaneto, H. Japan J. Pharmacol. 1986 42:419-423)。5mg/kgおよび1mg/kgで投与する場合のヨヒンビン(α-2遮断薬)は、モルフィンに対する耐性の発生を遅らせるが、遮断しないことが開示されている(Kihara, T. and Kaneto, H. Japan J. Pharmacol. 1986 42:419-423)。しかしながら、ヨヒンビンはまた、未処置の動物においてモルフィン鎮痛に用量依存的に拮抗することを開示されている(Kihara, T. and Kaneto, H. Japan J. Pharmacol. 1986 42:419-423)。
【0009】
鎮痛を与えるのに必要とされるオピオイドおよび/またはα-2受容体アゴニストの量を低減するための様々な併用療法が記載されている。
【0010】
WO 98/38997は、麻酔および鎮痛のための薬物におけるレボブピバカインおよびオピオイドまたはα-2受容体アゴニストの使用を開示する。
【0011】
US 2004/0254207(2004年12月16日に公開された)およびUS 2004/0092541(2004年5月13日に公開された)は、オピオイドおよびカフェイン、またはオピオイド、または非オピオイド鎮痛薬をまたそれぞれ含む鎮痛組成物に用いるN-アシル化4-ヒドロキシフェニルアミン誘導体を開示する。
【0012】
ここ数年、脊髄オピオイド受容体とα-2受容体の間の機能的相互作用が同定されている(Yaksh, T.I. Brain Res. 1979 160:180-185; Roering et al. Brain Res. 1984 308:360-363; Wigdor, S. and Wilcox, G. J. Pharmacol. Exp. Ther. 1987 242:90-95; Stone et al. J. Neurosci. 1997 18:7157-7165)。
【0013】
α-2受容体アゴニストの作用は、アチペマゾール(atipemazole)およびヨヒンビンにより遮断される。アチペマゾールは、ヨヒンビンより、クロニジンの置換剤として約100倍強力な、中枢および末梢の両方に位置するα-2アドレナリン受容体の強力で、選択的かつ特異的なアンタゴニストである(Virtanen et al. Arch. Int. Pharmacodyn. 1989 297:190-204)。
【0014】
Browningらは、モルフィンの鎮痛活性がオピオイド受容体アンタゴニストであるナロキソンにより、およびα-2受容体アンタゴニストであるヨヒンビンにより拮抗されるのに、α-2受容体アゴニスト鎮痛活性はα-2受容体アンタゴニストによってのみ拮抗されることを開示した(Br. J. Pharmacol. 1982 77:487-491)。マウスおよびモルモット回腸におけるこれらの研究に基づいて、Browningらは、ヨヒンビンはα-2受容体へ作用するが、それは、アヘン剤のインビボ鎮痛効果に部分的に拮抗し、オピオイド放射性リガンド結合を弱く置換することを示した。しかしながら、オピオイドアンタゴニスト、ナロキソンはα-2受容体アゴニスト鎮痛に影響を及ぼさず、オピオイドリガンドはα-2受容体放射性リガンド結合を置換しない(Br. J. Pharmacol. 1982 77:487-491)。対照的に、KontinenおよびKalsoは、ラットのテールフリックまたはホットプレート試験において、α-2受容体アンタゴニスト、アチペマゾールの存在下におけるモルフィンの最大下抗侵害受容性用量の投与、およびオピオイド受容体アンタゴニスト、ナロキソンの存在下におけるデクスメデトミジンの同様の投与後、μ-オピオイドとα-2アドレナリン作動系の間に交差拮抗作用を観察しなかった(Pharm. and Tox. 1995 76:368-370)。従って、ヨヒンビンと違って、α-2受容体アンタゴニスト、アチペマゾールは、脊髄モルフィン鎮痛に拮抗しないし(Kontine, V.K. and Kalso, E.A. (Pharm. and Tox. 1995 76:368-370))、またオピオイド受容体に対する親和性も示さない(Virtanen et al. Arch. Int. Pharmacodyn. 1989 297:190-204)。
【0015】
最近の研究は、μオピオイド受容体およびα-2受容体が、いずれかの受容体の活性化または遮断に応じて異なる応答をシグナル伝達すると仮定される複合体として存在しうることを示している(Jordan et al. Mol. Pharmacol. 2003 64:1317-1324)。この研究からのデータは、μオピオイドおよびα-2Aアドレナリン受容体が物理的に相互作用しうることを示唆する。さらに、この相互作用は、いずれかの系の選択的リガンドの付加により機能的に増強されうるが、両方のリガンドの付加によっては増強されない(Jordan et al. Mol. Pharmacol. 2003 64:1317-1324)。
【0016】
WO 2004/053099(2004年6月24日に公開された)は、様々な化合物の有効量の投与によりオピオイド薬中毒を処置する方法を開示し、化合物の1つは、α-2アドレナリン受容体のアゴニストまたはアンタゴニストであることを示唆されている。
【0017】
EP 0 906 757(1999年4月7日に公開された特許出願)は、モノキシジン、α-2受容体アゴニスト(Kirch et al. J. Clin. Pharm. 1990 30:1088-1095)、およびオピオイド鎮痛剤の相乗的な有効量を含む鎮痛組成物を開示する。
【発明の開示】
【0018】
発明の概要
本発明の局面は、治療効果を生じる有効量のオピオイド受容体アゴニストと、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストとを含む組成物である。本発明の組成物は、限定されないが、術後の急性および/または慢性疼痛、産科の疼痛、急性および/または慢性炎症性疼痛、多発性硬化症および/または癌のような状態に関連した疼痛、外傷に関連した疼痛、片頭痛に関連した疼痛、神経障害性疼痛、中心性疼痛、ならびに慢性背痛のような非悪性起源の慢性疼痛症候群を含む疼痛管理のための有用な治療剤を提供する。本発明の組成物はまた、鎮咳剤として、下痢の低減および/または予防において、肺水腫の処置において、ならびにオピオイド受容体アゴニストへの身体的依存および/または中毒の軽減において、有用である。
【0019】
本発明のもう一つの局面は、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストをオピオイド受容体アゴニストと組み合わせて被験体に投与する段階を含む、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を増強する方法である。
【0020】
本発明のもう一つの局面は、内因性オピオイド受容体アゴニストの生物学的作用を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを被験体に投与する段階を含む、被験体において内因性オピオイド受容体アゴニストの生物学的作用を増強する方法である。
【0021】
本発明のもう一つの局面は、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストをオピオイド受容体アゴニストと組み合わせて被験体に投与する段階を含む、被験体においてオピオイド受容体アゴニストの治療作用に対する急性耐性の発生を阻害する方法である。
【0022】
本発明のもう一つの局面は、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストをオピオイド受容体アゴニストと組み合わせて被験体に投与する段階を含む、被験体においてオピオイド受容体アゴニストの治療作用に対する慢性耐性の発生を阻害する方法である。
【0023】
本発明のもう一つの局面は、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを、オピオイド受容体アゴニストを受けている被験体に投与する段階を含む、オピオイド受容体アゴニストの治療作用に対して耐性の被験体において、オピオイド受容体アゴニストの治療作用に対する耐性を逆転させる、および/またはオピオイド受容体アゴニストの治療効力を回復させる方法である。
【0024】
本発明のもう一つの局面は、オピオイド受容体アゴニストで処置可能な状態を患っている被験体を処置する方法であって、治療効果を生じる有効量のオピオイド受容体アゴニストと、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アゴニストとを被験体に投与する段階を含む方法である。
【0025】
上記方法は、限定されないが、疼痛、咳、下痢、肺水腫、およびオピオイド受容体アゴニスト中毒を含む状態を患っている被験体を処置するために有用である。そのような処置はまた、そのような苦痛の前に(すなわち、被験体がそのような苦痛のリスクがある場合、予防的に)開始してもよいことは理解される。
【0026】
そのうえ、上記方法のそれぞれにおける本発明のさらなる局面は、オピオイド受容体アンタゴニストが、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する量で投与または処方されること、および単独での、またはオピオイド受容体アゴニストと組み合わせたオピオイド受容体アンタゴニストの量は、実質的な望ましくない副作用を誘発しないことである。
【0027】
発明の詳細な説明
超低用量のα-2受容体アンタゴニストの投与は、オピオイド受容体アゴニスト鎮痛を増強し、オピオイド受容体アゴニストに対する急性もしくは慢性耐性の発生を遅らせる、または低減することが、現在見出されている。本発明は、オピオイド受容体アゴニストのα-2受容体アンタゴニストとの同時投与を含む、オピオイド受容体アゴニストの治療活性を増強する、ならびに少なくとも部分的に、オピオイド受容体アゴニストに対する慢性および/もしくは急性耐性の発生を阻害する、遅らせる、もしくは低減する、および/またはオピオイド受容体アゴニストに対する慢性および/もしくは急性耐性を逆転させるための新しい併用療法を提供する。本発明の局面は、従って、オピオイド受容体アゴニストおよび超低用量のα-2受容体アンタゴニストを含む組成物に関する。本発明のもう一つの局面は、オピオイド受容体アゴニストを超低用量のα-2受容体アンタゴニストと同時投与することにより、オピオイド受容体アゴニストの治療作用を増強する、ならびに/またはオピオイド受容体アゴニストの治療作用に対する急性および慢性耐性の発生を効果的に阻害する、遅らせる、もしくは低減する方法に関する。本発明の新しい併用療法は、限定されないが、以下を含む様々な適用においてオピオイド薬の使用を最適化するのに有用であることが予想される:疼痛管理、例えば、術後の急性または慢性疼痛、産科の疼痛、急性または慢性炎症性疼痛、多発性硬化症または癌のような状態に関連した疼痛、外傷に関連した疼痛、片頭痛に関連した疼痛、神経障害性疼痛、および中心性疼痛の管理;慢性背痛のような非悪性起源の慢性疼痛症候群の管理;咳の抑制;下痢の低減および/または予防;肺水腫の処置;ならびにオピオイド受容体アゴニスト中毒の軽減。好ましい態様において、本発明の併用療法は疼痛管理に用いられる。
【0028】
本発明の併用療法および方法に有用なα-2受容体アンタゴニストは、α-2受容体アゴニストのその受容体への結合を任意の程度で、および/またはα-2受容体の活性化を任意の程度で、部分的にまたは完全に、低減する、阻害する、遮断する、不活性化する、および/または拮抗する任意の化合物を含む。従って、α-2受容体アンタゴニストという用語はまた、競合的、不可逆的、擬似不可逆的、および/またはアロステリック機構でアゴニストに拮抗する化合物を含むことが意図される。加えて、α-2受容体アンタゴニストという用語は、超低用量で、オピオイド受容体アゴニストの治療および/もしくは鎮痛の効力ならびに/または有効性を増加させる、増強する、および/または亢進させるが、そのような用量で、α-2受容体アゴニストの実質的なまたは有意な拮抗作用を示さない化合物を含む。本発明の併用療法および方法に有用なα-2受容体アンタゴニストの例は、決して限定されるものではないが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(fipamazole)(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(mirtazepine)(またはミルタザピン)、エフェロキサン(eferoxan)、イドゾキサン(idozoxan)(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンを含む。いくらかのα2および/またはα1受容体アンタゴニスト活性を示し、従って、本発明において有用でありうる作用物質の追加の例は、限定されないが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンを含む。α2受容体アンタゴニストは、超低用量で、本発明の組成物に含まれ、かつ本発明の方法において投与される。
【0029】
本発明の組成物およびそれらの使用として本明細書に記載された方法は、超低用量の複数のα-2受容体アンタゴニストのみ、または超低用量での複数のα-2受容体アンタゴニストを1つもしくは複数のオピオイド受容体アゴニストと組み合わせて含んでもよい。
【0030】
α-2受容体アンタゴニストは、超低用量で、本発明の組成物に含まれ、かつ本発明の方法において投与される。本明細書に用いられる場合の超低用量とは、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強するα-2受容体アンタゴニストの量を意味する。従って、一つの態様において、「超低用量」という用語とは、α-2受容体活性を有意に遮断または阻害することが当業者により確立されたものより低いα-2受容体アンタゴニストの量を意味する。
【0031】
本明細書に用いられる場合、「量」という用語は、被験体に投与するα-2受容体アンタゴニストおよび/またはオピオイド受容体アゴニストの量を指すことが意図される。「量」という用語は、例えば、丸薬、注射、またはパッチ(例えば、経皮パッチ)においてのように、一度に、または物理的に不連続の単位で、被験体に投与するα-2受容体アンタゴニストおよび/またはオピオイド受容体アゴニストの量を指すことが意図される、「用量」または「投薬量」という用語を含む。「量」という用語はまた、時々投与する濃度と呼ばれるが、例えば、mol/kg、mg/kg、ng/kg、ml/kgなどのような、被験体の単位体重あたりの分子数、モル、グラム、または容量として表される、被験体に投与するα-2受容体アンタゴニストおよび/またはオピオイド受容体アゴニストの量を含む。
【0032】
本発明に従って、所定量のα-2受容体アンタゴニストおよび/またはオピオイド受容体アゴニストの被験体への投与は、結果として、被験体の身体においてアンタゴニストおよび/またはアゴニストの有効濃度を生じる。本明細書に用いられる場合、「有効濃度」という用語は、所望の治療効果を生じる能力がある、被験体の身体における(例えば、血液、血漿、または血清中における、標的組織または作用部位における)α-2受容体アンタゴニストおよび/またはオピオイド受容体アゴニストの濃度を指すことが意図される。被験体の身体におけるα-2受容体アンタゴニストおよび/またはオピオイド受容体アゴニストの有効濃度は、被験体間で異なり、限定されないが、処置すべき状態、遺伝的プロファイル、代謝速度、生体内変化能力、投与の頻度、投与する製剤、排出速度、ならびに投与の経路/部位からの吸収の速度および/または程度のような因子に依存して、時間とともに被験体内で変動しうる。少なくともこれらの理由で、本開示を目的として、α-2受容体アンタゴニストおよび/またはオピオイド受容体アゴニストの投与は、便宜上、α-2受容体アンタゴニストもしくはオピオイド受容体アゴニストの量または用量として提供される。本明細書に提供される量、投薬量、および用量比は例示的であり、有効濃度を供給するために、用量漸増法のような日常的な手順を用いて調整してもよい。
【0033】
一つの態様において、投与するα-2受容体アンタゴニストの量は、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する。従って、α-2受容体アンタゴニストの有効濃度は、オピオイド受容体アゴニストの治療作用を増強する、身体における濃度である。好ましくは、投与するα-2受容体アンタゴニストの量は、単独またはオピオイド受容体アゴニストと組み合わせたα-2受容体アンタゴニストの量が実質的な望ましくない副作用を誘発することなく、オピオイド受容体アゴニストの治療作用を増強する。
【0034】
例えば、一つの態様において、α-2受容体アンタゴニストの超低用量は、図1Aおよび1B、図15Aおよび15B、図21Aおよび21B、ならびに図28Aおよび28Bに示すような実験において測定されるように、α-2受容体遮断に効果がない量である。しかしながら、この開示を読めば当業者には明らかなように、α-2受容体拮抗作用を測定するための他の手段を用いることができる。これらの実験に基づいて、オピオイドモルフィンの鎮痛作用を増強する超低用量のアチペマゾールは、髄腔内クロニジン(α-2アゴニスト)鎮痛の拮抗作用により証明されているように、脊髄α-2受容体の遮断を生じる用量の12,000分の1〜120,000分の1であると同定された(図1Aおよび図1B)。オピオイドモルフィンの鎮痛作用を増強する超低用量のヨヒンビンは、髄腔内クロニジン(α-2アゴニスト)鎮痛の拮抗作用により証明されているように、脊髄α-2受容体の遮断を生じる用量の6,000分の1〜6,250,000分の1であると同定された(図15Aおよび図15B)。オピオイドモルフィンの鎮痛作用を増強する超低用量のミルタザピンは、髄腔内クロニジン(α-2アゴニスト)鎮痛の拮抗作用により証明されているように、脊髄α-2受容体の遮断を生じる用量の10,000分の1〜100,000分の1であると同定された(図21Aおよび図21B)。オピオイドモルフィンの鎮痛作用を増強する超低用量のイダゾキサンは、髄腔内クロニジン(α-2アゴニスト)鎮痛の拮抗作用により証明されているように、脊髄α-2受容体の遮断を生じる用量の125,000分の1〜1,250,000分の1であると同定された(図28Aおよび図28B)。他のα-2受容体アンタゴニストおよびオピオイドの他の治療作用についての本発明において有用な超低用量は、α-2受容体遮断薬としての既知の有効濃度ならびにアチペマゾール、ヨヒンビン、ミルタゼピン、および/またはイダゾキサンについて本明細書に記載された方法に従って当業者が日常的に決定することができる。しかしながら、一般的に、「超低」とは、α-2受容体の遮断を生じる最大量の多くとも1,000分の1〜6,250,000分の1の用量を意味する。
【0035】
「超低用量」の例示的態様は、投与するべきオピオイド受容体アゴニストの量より有意に低いα-2受容体アンタゴニストの量である。従って、この態様において、超低用量のα-2受容体アンタゴニストは、投与した、または投与するべきオピオイド受容体アゴニストの用量に対する比として表される。この態様において、超低用量についての好ましい比は、α-2受容体アンタゴニスト対オピオイド受容体アゴニストの1:1,000、1:10,000、1:100,000、もしくは1:1,000,000の比、または間の任意の比である。
【0036】
もう一つの態様において、α-2受容体アンタゴニストおよびオピオイド受容体アゴニストを、1:1,000、1:10,000、1:100,000、もしくは1:1,000,000、または間の任意の比の、血液、血漿、血清内、または標的組織もしくは作用部位での量または有効濃度の相対比を結果として生じる量で、被験体に投与する。
【0037】
「超低」用量のもう一つの例示的態様は、単独またはオピオイド受容体アゴニストと組み合わせたα-2受容体アンタゴニストの量が実質的な望ましくない副作用を誘発することなく、オピオイド受容体アゴニストの治療作用を増強する量または比である。
【0038】
本明細書に用いられる場合の「実質的な望ましくない副作用」とは、被験体において制御されることができない、ならびに/または被験体が耐えることができない、ならびに/または結果として、本発明の併用療法および方法での被験体の処置の中止を生じうる、オピオイド受容体アゴニストの治療作用を増強する以外のα-2受容体アンタゴニストに対する被験体の応答を意味する。
【0039】
そのような副作用の例は、限定されないが、耐性、依存症、中毒、鎮静、多幸症、不快気分、記憶障害、幻覚、鬱病、頭痛、痛覚過敏、便秘、不眠症、身体のうずきと疼痛、性欲における変化、呼吸抑制および/または呼吸困難、嘔気嘔吐、そう痒症、目眩、失神(すなわち、気絶)、神経質および/または不安、興奮性、精神病、震え、心臓の鼓動における変化、血圧の減少、血圧の上昇、心拍数の上昇、心不全のリスク、一過性筋麻痺、ならびに下痢を含む。
【0040】
本発明の併用療法および方法において有用なオピオイド受容体アゴニストは、任意の程度で、オピオイド受容体に結合する、および/またはオピオイド受容体を活性化する、および/またはオピオイド受容体を作動させる、および/または活性もしくは不活性立体構造でオピオイド受容体を安定化する任意の化合物(被験体にとって内因性かまたは外因性のいずれか)を含む。従って、オピオイド受容体アゴニストという用語は、オピオイド受容体の部分アゴニスト、逆アゴニスト、および完全アゴニストを含むことが意図される。オピオイド受容体アゴニストは、身体内で産生されたオピオイド受容体アゴニスト化合物および外因性オピオイド受容体アゴニスト(すなわち、合成または天然)の活性を増強する化合物を含むことも意図する。本発明に用いられる好ましいオピオイド受容体アゴニストは、μ、δ、および/もしくはκオピオイド受容体の部分または完全アゴニストである。好ましいオピオイド受容体アゴニストはまた、薬物のオピオイドクラス由来の化合物、およびより好ましくは、鎮痛薬として作用するオピオイドを含む。本発明において有用なオピオイド受容体アゴニストの例は、決して限定されるものではないが、モルフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホン、メペリジン(mepridine)、メタドン、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、レボルファノール、トラマドール、D-Pen2、D-Pen5-エンケファリン(DPDPE)、U50、488H(トランス-3,4-ジクロロ-N-メチル-N-[2-ピロリンジニル]-シクロヘキサニル)-ベンゼンアセトアミド、エンドルフィン、ダイノルフィン、エンケファリン、ジアモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ニコモルフィン、レボメタジルアセテートハイドロクロライド(LAAM)、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、デキストロモルアミド、ベジトラミド、ピリトラミド、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン(nalbufine)またはナルブフィン(nalbuphine)、デゾシン、エトルフィン、チリジン、ロペラミド、ジフェノキシレート、パレゴリック、およびナロルフィンを含む。
【0041】
本発明の組成物およびそれらの使用として本明細書に記載された方法は、様々な組み合わせで処方されるおよび/または投与される、複数のオピオイド受容体アゴニストおよび/または複数のα-2受容体アンタゴニストを含んでもよい。
【0042】
本発明に用いられるオピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストの好ましい組み合わせは、モルフィンおよびアチペマゾール、ヨヒンビン、ミルタザピン、またはイダゾキサン、ならびにオキシコドンおよびアチペマゾール、ヨヒンビン、ミルタザピン、またはイダゾキサンを含む。
【0043】
本発明の組成物に含まれる、および本明細書に記載された方法に用いられるオピオイド受容体アゴニストの用量は、有効濃度に達する、および/または所望の治療効果を生じる量である。例えば、そのような投薬量は、被験体において治療作用または効果を生じることが当業者に周知のオピオイド受容体アゴニストの量であってよい。例えば、鎮痛効果を生じるオピオイド受容体アゴニストの投薬量は典型的に、限定されないが、選択されたオピオイド受容体アゴニスト、投与経路、投与頻度、投与する製剤、および/または処置すべき状態に依存して、約0.02mg/kg〜100mg/kgの間の範囲であってよい。さらに、本明細書に実証されているように、オピオイド受容体アゴニストの超低用量のα-2受容体アンタゴニストとの同時投与は、オピオイド受容体アゴニストの鎮痛効果を増強する。従って、α-2受容体アンタゴニストと同時投与する場合、治療効果を生じるのに有効なオピオイド受容体アゴニストの量または用量は、オピオイド受容体アゴニストを単独で投与する場合よりも低い可能性がある。
【0044】
本発明の目的として、「治療効果」または「治療活性」または「治療作用」とは、日常的にオピオイド受容体アゴニストで処置される状態の阻害、低減、予防、または処置に有用なオピオイド受容体アゴニストの所望の薬理学的活性を意味する。例は、限定されないが、疼痛、咳、下痢、肺水腫、およびオピオイド受容体アゴニスト中毒を含む。これらの用語は、最終結果として測定可能な薬理学的活性、すなわち、疼痛の緩和または咳の抑制、加えて、最終の所望の結果に結びつけられる作用の機構と関連した薬理学的活性を含むことが意図される。好ましい態様において、「治療効果」または「治療活性」または「治療作用」は、疼痛の緩和または管理である。
【0045】
本発明の目的として、「増強する」とは、α-2受容体アンタゴニストの投与が、オピオイド受容体アゴニストの治療活性を少なくとも部分的に、亢進させる、延長させる、もしくは増加させる、および/または所望の治療効果を生じるのに必要とされるオピオイド受容体アゴニストの量の減少を結果として生じることを意味する。従って、この開示を読めば当業者には明らかなように、本発明の併用療法に含まれるオピオイド受容体アゴニストの量は、単独で投与する場合のオピオイド受容体アゴニストの確立された量と比較して減少しうる。他のオピオイド受容体アゴニストについての減少の量は、モルフィンおよびアチペマゾール、モルフィンおよびヨヒンビン、モルフィンおよびミルタザピン、ならびに/またはモルフィンおよびイダゾキサンについて本明細書に記載された比に基づいて、当業者が日常的に決定することができる。増強するとは、超低用量のα-2受容体アンタゴニストの投与による被験体における内因性オピオイド受容体アゴニストの治療活性の任意の亢進、延長、または増加を含むことも意図する。
【0046】
同じまたは類似した治療的有用性を達成するためのオピオイド受容体アゴニストの必要量におけるこの減少は、オピオイド受容体アゴニスト治療に伴う任意の望ましくない副作用を減少させる可能性がある。従って、本発明の併用療法はまた、オピオイド受容体アゴニスト治療単独の望ましくない副作用を減少させるための手段を提供する。
【0047】
本明細書に用いられる場合の「拮抗する」とは、処置すべき状態に対して、治療的にオピオイド受容体アゴニストの効果を無くす、またはより少なくするα-2受容体アンタゴニストの添加に起因する、オピオイド受容体アゴニストの治療効果もしくは作用における阻害または減少を意味する。
【0048】
本明細書に用いられる場合の「耐性」とは、薬物誘導性応答および薬効のレベルの損失を意味し、多くのオピオイド受容体アゴニスト、および特に、オピオイドによって生じる。オピオイド効力はオピオイドへの曝露によって減少するため、慢性または急性耐性は、オピオイド薬物の臨床管理における制限因子でありうる。「慢性耐性」とは、数日間またはそれ以上に渡る薬物曝露後に発生しうる、薬物誘導性応答および薬効のレベルにおける減少を意味する。「急性耐性」は、数時間に渡る薬物曝露後に発生しうる薬効における損失である(Fairbanks and Wilcox J. Pharmacol. Exp. Therapeutics. 1997 282:1408-1417; Kissin et al. Anesthesiology 1991 74:166-171)。耐性および神経障害性疼痛の発生の根底にある神経生物学的機構は類似しているため、オピオイド薬効の損失はまた、事前のオピオイド薬物曝露を伴わず神経障害性疼痛のような疼痛状態に見られる可能性がある(Mao et al. Pain 1995 61:353-364)。これはまた、急性耐性とも呼ばれる。耐性はオピオイド受容体脱感作または内部移行に関して説明されているが、モルフィンへの曝露は、たいていの他のμオピオイド受容体アゴニストとは違い、受容体内部移行を生じない。それはまた、グルタミン酸サブスタンスPまたはCGRPのような疼痛伝達物質のレベルにの適応増加に基づいて説明されている。耐性の阻害およびオピオイド効力の維持は、疼痛管理における重要な治療目標であり、本明細書に実証されているように、本発明の併用療法によって達成される。
【0049】
当業者は、本明細書に提供された開示に基づいて、超低用量のα-2受容体アンタゴニストの同時投与によって、オピオイド受容体アゴニストの治療作用を増強する、および/または急性もしくは慢性オピオイド受容体アゴニスト耐性を阻害するのにどの併用療法が効くかを分かるであろう。例えば、オピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストの任意の所与の組み合わせは、限定されないが、熱、機械などのような鎮痛に関する試験、または抗侵害受容およびオピオイド受容体アゴニストの他の治療作用を評価するのに有用な任意の他の試験を含む、1つまたは複数の利用可能な試験を用いて動物で試験してもよい。鎮痛を試験するための非限定的例は、熱ラットテールフリックおよび機械的ラット足圧力抗侵害受容アッセイを含む。
【0050】
超低用量のα-2受容体アンタゴニストの同時投与によって、オピオイド受容体アゴニストの鎮痛作用を増強する、および/または急性もしくは慢性オピオイド受容体アゴニスト耐性を阻害する、本発明の例示的な併用療法の能力は、熱(ラットテールフリック)および機械(ラット足圧力)の抗侵害受容の両方の試験において実証された。これらの実験において、オピオイド受容体アゴニストはオピオイドモルフィンであった。α-2受容体アンタゴニストは、アチペマゾール、ヨヒンビン、ミルタザピン、およびイダゾキサンを含んだ。
【0051】
初期の研究は、髄腔内に投与されたアチペマゾールが、1マイクログラムより多い用量でα-2受容体アゴニストであるクロニジンの鎮痛作用に拮抗することを示した。図1Aおよび1Bは、テールフリック試験(図1A)および足圧力試験(図1B)における、クロニジン誘導性鎮痛へのアチペマゾールの効果を示す。α-2受容体アゴニストであるクロニジン(200ナノモル)の注入は、テールフリック試験において最大鎮痛応答を生じ、足圧力試験においてはより低い効果を生じた。アチペマゾールの3つの異なる用量の同時投与は、テールフリック試験においてピークのクロニジン鎮痛の用量依存性減少を生じ、最高薬物用量(10μg)は応答をほとんど無効にした。アチペマゾールはまた、足圧力試験においてクロニジン応答を減少させたが、最高用量においてのみであった。これらの実験は、アチペマゾールがクロニジン鎮痛を遮断できることを確立し、これはα-2受容体アンタゴニストとしてのそのアイデンティティと一致した効果である。
【0052】
従って、モルフィンとのアチペマゾール相互作用を含むすべてのその後の試験について、アチペマゾール用量を、最大α-2受容体遮断を生じる用量の12,000分の1〜120,000分の1を表す、0.08ngおよび0.8ngの例示的な超低用量まで低下させた。
【0053】
超低用量のアチペマゾールの、モルフィンに対する急性耐性の発生への効果が調べられた。急性耐性の発生は、数時間に渡るモルフィンの反復投与後の鎮痛効果の急速な減退により示される。これらの実験において、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入を送達することにより生じた。その後の実験において、モルフィンを、固定用量のアチペマゾール(0.8ng)と組み合わせた。アチペマゾール単独(0.8ng)または生理食塩水(20μl)の効果もまた、90分間隔でこれらを注入することにより評価した。30分間隔でテールフリック試験および足圧力試験において、疼痛応答を評価した。薬物処置から24時間後、薬効指数を確立するために、各処置群におけるモルフィンの作用についての累積用量反応曲線(DRC)を得た。モルフィンED50またはEd50値(試験された動物の50%における有効量)により表されるこの指数を、累積用量反応曲線から計算した。耐性は、モルフィン用量反応曲線における右方向シフト、およびモルフィンED50値における増加により示された。
【0054】
図2Aおよび2Bは、超低用量のアチペマゾールの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す。90分間隔でのモルフィン(15μg)の逐次3回の用量の投与は、結果として、鎮痛応答の急速かつ漸進的低下を生じた。240分間の試験期間の終わりに、最初の注入後に観察されたモルフィンの鎮痛効果は、ほぼ80%減退した。しかしながら、モルフィンを伴うアチペマゾール(0.8ng)の投与は、モルフィンの鎮痛効果の減退を防いだ。実際、その組み合わせに対する応答は、全試験期間中、最大値近くのままであった。アチペマゾール単独の反復投与は、増加するが弱い鎮痛応答を生じた。逐次3回の生理食塩水注入は、どちらの試験においても有意な鎮痛効果を生じなかった。
【0055】
最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた、図2Aおよび2Bの4つの処置群におけるモルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線は、それぞれ、図3Aおよび3Bに示されている。急性モルフィンの漸増用量は、テールフリック試験および足圧力試験の両方において用量依存性鎮痛を生じた。反復モルフィン注入を受けた動物において、累積用量反応曲線は、右へシフトし、モルフィン効力における減退を反映した。しかしながら、このシフトは、本発明の併用療法を受けた群においては起きなかった。それどころか、この群において得られた用量反応曲線は、生理食塩水またはアチペマゾール(単独)群において導かれたものと一致した。従って、超低用量のα-2受容体アンタゴニストの同時投与は、オピオイド耐性の発生を表すオピオイド用量反応曲線の右方向シフトを防いだ。
【0056】
図3Aおよび3Bの累積用量反応曲線から導かれるED50値、薬効の指数はそれぞれ、図4Aおよび4Bに表されている。それに示されているように、生理食塩水処置の対照群において、モルフィンのED50値は、テールフリック試験および足圧力試験において、それぞれ、5μgおよび8μgと見積もられた。反復モルフィン注入を受けた群は、ほぼ、テールフリックにおいて5倍の増加を、足圧力試験において4倍の増加を示し、モルフィン効力の高度に有意な損失を反映した。しかしながら、モルフィンを伴うアチペマゾールの導入は、両方の試験においてED50値の増加を防いだ。実際、アチペマゾールとモルフィン組み合わせ群におけるED50値は、対照生理食塩水群におけるそれらと有意には異ならず、モルフィン効力が、α-2受容体アンタゴニストのアチペマゾールの存在下において完全に維持されたことを示した。
【0057】
従って、これらの実験によって示されているように、アチペマゾールのようなα-2受容体アンタゴニストの超低用量投与は、モルフィンのようなオピオイドに対する急性耐性の発生を非常に効果的に阻害する。
【0058】
さらに、図5Aおよび5Bに示されているように、0.8ngまたは0.08ngの超低用量で投与する場合のアチペマゾールのようなα-2受容体アンタゴニストは、オピオイド鎮痛を増強する。アチペマゾールが髄腔内に与えられた場合、これらの効果を発揮するという事実は、それが脊髄侵害受容ニューロンへの直接的作用を発揮することを示唆する。
【0059】
図2および5に描かれた、単独で投与された場合の超低用量のアチペマゾールの鎮痛効果はまた、この治療がエンドルフィンのような内因性オピオイド(例は、β-エンドルフィン、ダイノルフィン、およびエンケファリンを含む)も同様に増強することを示しうる。従って、本発明はまた、被験体(外因性オピオイドを投与されることになっていない)において、超低用量のα-2受容体アンタゴニストの被験体への投与により内因性オピオイドの治療作用を増強する方法を提供する。
【0060】
同様の効果は、α-2受容体アンタゴニストのヨヒンビンについて観察された。
【0061】
図15Aおよび15Bに示されているように、髄腔内に投与されたヨヒンビンは、30μg用量で、α-2受容体アゴニストのクロニジンの鎮痛作用に拮抗した。図15Aおよび15Bは、テールフリック試験(図15A)および足圧力試験(図15B)においてクロニジン誘導性鎮痛へのヨヒンビンの効果を示す。α-2受容体アゴニストであるクロニジン(13.3μg)の注入は、テールフリック試験において最大鎮痛応答を、足圧力試験においてより低い効果を生じた。30μgでのヨヒンビンの同時投与は、テールフリック試験においてピークのクロニジン鎮痛を有意に減少させた。30μgでのヨヒンビンはまた、足圧力試験においてクロニジン鎮痛をほとんど無効にした。これらの実験は、ヨヒンビンがクロニジン鎮痛を遮断できることを確立し、これはα-2受容体アンタゴニストとしてのそのアイデンティティと一致した効果である。
【0062】
モルフィン鎮痛の同様の阻害は、30μgでのヨヒンビンとの同時投与で観察された。図16Aおよび16B参照。これらの実験において、ヨヒンビンは、足圧力試験において、クロニジン鎮痛の阻害と比較して、モルフィン鎮痛の阻害に効果が低かった。図16B対図15Bを参照。
【0063】
モルフィンとのヨヒンビン相互作用を含むすべてのその後の試験について、ヨヒンビン用量を、最大α-2受容体遮断を生じる用量の6,000分の1〜6,250,000分の1を表す、0.0048ng、0.024ng、0.24ng、2.4ng、および5ngの例示的な超低用量まで低下させた。
【0064】
図17Aおよび17Bに示されているように、モルフィンの単一用量(15μg)の投与は、ラットテールフリック試験(図17A)およびラット足圧力試験(図17B)において鎮痛を生じたが、それは30分目にピークに達し、120分目に終わった。超低用量のヨヒンビン(0.24ng、2.4ng、および5ng)の添加は、ラットテールフリック試験においてモルフィン鎮痛を延長させ、ラット足圧力試験においてモルフィンに対する応答を増加および延長させた。ヨヒンビン超低用量のこのプロファイルは、前記で考察されたアチペマゾール超低用量と類似している。
【0065】
超低用量のヨヒンビンの、モルフィンに対する急性耐性の発生への効果もまた調べられた。アチペマゾールに関する実験と類似した様式で、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入を送達することにより生じた。その後の実験において、モルフィンは、0.0048ng、0.024ng、および0.24ngでの固定用量のヨヒンビンと組み合わされた。ヨヒンビン単独(0.024ng)または生理食塩水(20μl)の効果もまた、90分間隔でこれらを注入することにより評価された。疼痛応答は、30分間隔でテールフリック試験および足圧力試験において評価された。薬物処置から24時間後、薬効指数を確立するために、各処置群におけるモルフィンの作用についての累積用量反応曲線(DRC)を得た。モルフィンED50またはEd50値(試験された動物の50%における有効量)により表されるこの指数は、累積用量反応曲線から計算された。耐性は、モルフィン用量反応曲線における右方向シフト、およびモルフィンED50値における増加により示された。
【0066】
図18Aおよび18Bは、超低用量のヨヒンビンの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す。90分間隔でのモルフィン(15μg)の逐次3回の用量の投与は、結果として、鎮痛応答の急速かつ漸進的低下を生じた。240分間の試験期間の終わりに、最初の注入後に観察されたモルフィンの鎮痛効果は、ほぼ80%減退した。しかしながら、0.0048ng、0.024ng、または0.24ngのいずれの用量でのヨヒンビンを伴うモルフィンの投与も、モルフィンの鎮痛効果の減退を防いだ。実際、その組み合わせに対する応答は、全試験期間中、特に、0.0048ngまたは0.024ngのいずれかのヨヒンビンを投与された動物において、最大値近くのままであった。ヨヒンビン(0.024ng)単独または生理食塩水の反復投与は、有意な鎮痛応答を生じなかった。
【0067】
最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた、図18Aおよび18Bの6つの処置群におけるモルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線は、それぞれ、図19Aおよび19Bに示されている。急性モルフィンの漸増用量は、テールフリック試験および足圧力試験の両方において用量依存性鎮痛を生じた。反復モルフィン注入を受けた動物において、累積用量反応曲線は、右へシフトし、モルフィン効力の減退を反映した。しかしながら、このシフトは、本発明の併用療法を受けた群においては起きなかった。それどころか、この群において得られた用量反応曲線は、生理食塩水またはヨヒンビン(単独)群において導かれたものと一致した。従って、アチペマゾールのように、超低用量の第二のα-2受容体アンタゴニスト、ヨヒンビンの同時投与もまた、オピオイド受容体アゴニスト耐性の発生を表す応答であるオピオイド受容体アゴニスト用量反応曲線の右方向シフトを防いだ。
【0068】
図19Aおよび19Bの累積用量反応曲線から導かれるED50値、薬効の指数は、それぞれ、図20Aおよび20Bに表されている。それに示されているように、生理食塩水処置の対照群において、モルフィンのED50値は、テールフリック試験および足圧力試験において、それぞれ、5μgおよび7μgと見積もられた。反復モルフィン注入を受けた群は、ほぼ、テールフリックにおいて5倍の増加を、足圧力試験において4倍の増加を示し、モルフィン効力の高度に有意な損失を反映した。しかしながら、モルフィンを伴うヨヒンビンの導入は、両方の試験においてED50値の増加を防いだ。実際、ヨヒンビン-モルフィン組み合わせ群におけるED50値は、対照生理食塩水群におけるそれらより少ないかまたは有意には異ならないかのいずれかであり、モルフィン効力がまた、この第二のα-2受容体アンタゴニスト、ヨヒンビンの存在下においても完全に維持されたことを示した。
【0069】
同様の効果は、α-2受容体アンタゴニスト、イダゾキサンについて観察された。
【0070】
図28Aおよび28Bに示されているように、髄腔内に投与されたイダゾキサンは、10μg用量で、α-2受容体アゴニストのクロニジンの鎮痛作用に拮抗した。図28Aおよび28Bは、テールフリック試験(図28A)および足圧力試験(図28B)においてクロニジン誘導性鎮痛へのイダゾキサンの効果を示す。α-2受容体アゴニストであるクロニジン(13.3μg)の注入は、テールフリック試験において最大鎮痛応答を、足圧力試験においてより低い効果を生じた。10μgでのイダゾキサンの同時投与は、テールフリック試験においてピークのクロニジン鎮痛を有意に減少させた。10μgでのミルタザピンはまた、足圧力試験においてクロニジン鎮痛をほとんど無効にした。これらの実験は、イダゾキサンがクロニジン鎮痛を遮断できることを確立し、これはα-2受容体アンタゴニストとしてのそのアイデンティティと一致した効果である
【0071】
モルフィンとのイダゾキサン相互作用を含むすべてのその後の試験について、イダゾキサン用量を、最大α-2受容体遮断を生じる用量の125,000分の1〜1,250,000分の1を表す、0.008ng、0.016ng、および0.08ngの例示的な超低用量まで低下させた。
【0072】
図29Aおよび29Bに示されているように、モルフィンの単一用量(15μg)の投与は、ラットテールフリック試験(図29A)およびラット足圧力試験(図29B)において鎮痛を生じたが、それは30分目にピークに達し、約120分目に終わった。超低用量のイダゾキサン(0.08ng)の添加は、ラットテールフリック試験(図29A)およびラット足圧力試験(図29B)の両方においてモルフィン鎮痛を有意に延長させた。さらに、0.08ngイダゾキサンの投与は、ラット足圧力試験においてピークのモルフィン鎮痛を増大させた。
【0073】
超低用量のイダゾキサンの、モルフィンに対する急性耐性の発生への効果もまた調べられた。アチペマゾールおよびヨヒンビンに関する実験と類似した様式で、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入を送達することにより生じた。その後の実験において、モルフィンは、0.008ng、0.016ng、および0.08ngでの固定用量のイダゾキサンと組み合わされた。生理食塩水(20μl)ならびに0.008ngおよび0.016ngでのイダゾキサン単独の効果もまた、90分間隔での注入により評価された。疼痛応答は、30分間隔でテールフリック試験および足圧力試験において評価された。薬物処置から24時間後、薬効指数を確立するために、各処置群におけるモルフィンの作用についての累積用量反応曲線(DRC)を得た。モルフィンED50またはEd50値(試験された動物の50%における有効量)により表されるこの指数は、累積用量反応曲線から計算された。耐性は、モルフィン用量反応曲線における右方向シフト、およびモルフィンED50値における増加により示された。
【0074】
図29Aおよび29Bは、超低用量のイダゾキサンの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す。90分間隔でのモルフィン(15μg)の逐次3回の用量の投与は、結果として、鎮痛応答の急速かつ漸進的低下を生じた。240分間の試験期間の終わりに、最初の注入後に観察されたモルフィンの鎮痛効果は、ほぼ80%減退した。しかしながら、超低用量のイダゾキサンを伴うモルフィンの投与は、足圧力試験においてモルフィンの鎮痛効果の減退を止め、鎮痛をピークレベル近くに維持した。テールフリック試験における同じ超低用量のイダゾキサンとの同時注入は、鎮痛効果の減退を止める効果がより低く、0.008ngの最低用量はピークのモルフィン鎮痛を低下させた。イダゾキサンまたは生理食塩水の反復投与は、有意な鎮痛応答を生じなかった。
【0075】
最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた、図29Aおよび29Bの7つの処置群におけるモルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線は、それぞれ、図30Aおよび30Bに示されている。反復モルフィン処置は、結果として、生理食塩水処置に対してモルフィン用量反応曲線の平行右シフトを生じた。0.008ng、0.016ng、および0.008ngの超低用量でのイダゾキサンは、テールフリック試験(図30A)および足圧力試験(図30B)の両方において右方向シフトを防いだ。従って、超低用量の第三のα-2受容体アンタゴニスト、イダゾキサンの同時投与もまた、オピオイド受容体アゴニスト耐性の発生を表す応答であるオピオイド受容体アゴニスト用量反応曲線の右方向シフトを防いだ。
【0076】
図30Aおよび30Bの累積用量反応曲線から導かれるED50値、薬効の指数は、それぞれ、図31Aおよび31Bに表されている。それに示されているように、超低用量イダゾキサン(0.008ng、0.016ng、および0.08ng)同時注入は、テールフリック試験および足圧力試験の両方においてED50の増加を防いだ。従って、モルフィン効力はまた、この第三のα-2受容体アンタゴニスト、ミルタザピンの存在下においても維持された。
【0077】
同様の効果は、α-2受容体アンタゴニスト、ミルタザピンについて、特に足圧力試験において、観察された。
【0078】
図21Aおよび21Bに示されているように、髄腔内に投与されたミルタザピンは、2μg用量で、α-2受容体アゴニストのクロニジンの鎮痛作用に拮抗した。図21Aおよび21Bは、テールフリック試験(図21A)および足圧力試験(図21B)においてクロニジン誘導性鎮痛へのミルタザピンの効果を示す。α-2受容体アゴニストであるクロニジン(13.3μg)注入は、テールフリック試験において最大鎮痛応答を、足圧力試験においてより低い効果を生じた。2μgでのミルタザピンの同時投与は、テールフリック試験においてピークのクロニジン鎮痛を有意に減少させた。2μgでのミルタザピンはまた、足圧力試験においてクロニジン鎮痛をほとんど無効にした。これらの実験は、ミルタザピンがクロニジン鎮痛を遮断できることを確立し、これはα-2受容体アンタゴニストとしてのそのアイデンティティと一致した効果である。
【0079】
モルフィンとのミルタザピン相互作用を含むすべてのその後の試験について、ミルタザピン用量を、最大α-2受容体遮断を生じる用量の1,000分の1〜10,000分の1を表す、0.02ngおよび0.2ngの例示的な超低用量まで低下させた。
【0080】
図22Aおよび22Bに示されているように、モルフィンの単一用量(15μg)の投与は、ラットテールフリック試験(図22A)およびラット足圧力試験(図22B)において鎮痛を生じたが、それは30分目にピークに達し、約120分目に終わった。超低用量のミルタザピン(0.02ngおよび0.2ng)の添加は、ラット足圧力試験(図22B)においてモルフィン鎮痛を有意に延長させた。さらに、0.2ngミルタザピンの投与は、ピークのモルフィン鎮痛を低下させたが、0.02ngおよび0.2ngでの、特に0.02ngのより低い用量においての、ミルタザピンは、ラットテールフリック試験においてモルフィン鎮痛を延長させた。
【0081】
超低用量のミルタザピンの、モルフィンに対する急性耐性の発生への効果もまた調べられた。アチペマゾールおよびヨヒンビンに関する実験と類似した様式で、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入を送達することにより生じた。その後の実験において、モルフィンは、0.02ngおよび0.2ngでの固定用量のミルタザピンと組み合わされた。生理食塩水(20μl)の効果もまた、90分間隔での注入により評価された。疼痛応答は、30分間隔でテールフリック試験および足圧力試験において評価された。薬物処置から24時間後、薬効指数を確立するために、各処置群におけるモルフィンの作用についての累積用量反応曲線(DRC)を得た。モルフィンED50またはEd50値(試験された動物の50%における有効量)により表されるこの指数は、累積用量反応曲線から計算された。耐性は、モルフィン用量反応曲線における右方向シフト、およびモルフィンED50値における増加により示された。
【0082】
図23Aおよび23Bは、超低用量のミルタザピンの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す。90分間隔でのモルフィン(15μg)の逐次3回の用量の投与は、結果として、鎮痛応答の急速かつ漸進的低下を生じた。240分間の試験期間の終わりに、最初の注入後に観察されたモルフィンの鎮痛効果は、ほぼ80%減退した。しかしながら、0.02ngの用量でのミルタザピンを伴うモルフィンの投与は、足圧力試験においてモルフィンの鎮痛効果の減退を止め、鎮痛をピークレベル近くに維持した。テールフリック試験におけるこの同じ超低用量のミルタザピンとの同時注入は、鎮痛効果の減退を止める効果がより低く、さらに、ピークのモルフィン鎮痛を低下させた。生理食塩水の反復投与は、有意な鎮痛応答を生じなかった。
【0083】
最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた、図23Aおよび23Bの3つの処置群におけるモルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線は、それぞれ、図24Aおよび24Bに示されている。反復モルフィン処置は、結果として、生理食塩水処置に対してモルフィン用量反応曲線の平行右シフトを生じた。超低用量でのミルタザピンは、足圧力試験において右方向シフトを防いだ。しかしながら、テールフリック試験において、モルフィン群およびモルフィン-ミルタザピン群において得られた曲線は、オピオイドアゴニストの上限用量範囲において重複を示した。従って、超低用量の第三のα-2受容体アンタゴニスト、ミルタザピンの、少なくとも足圧力試験における、同時投与もまた、オピオイド受容体アゴニスト耐性の発生を表す応答であるオピオイド受容体アゴニスト用量反応曲線の右方向シフトを防いだ。
【0084】
図24Aおよび24Bの累積用量反応曲線から導かれるED50値、薬効の指数は、それぞれ、図25Aおよび25Bに表されている。それに示されているように、超低用量ミルタザピン(0.02ng)同時注入は、足圧力試験においてED50の増加を防ぎ、テールフリック試験においてED50の増加を部分的に防いだ。従って、モルフィン効力はまた、この第三のα-2受容体アンタゴニスト、ミルタザピンの存在下において維持された。
【0085】
単一の超低用量のミルタザピンでの前処置の、反復モルフィン注入により生じる鎮痛の損失への効果もまた調べられた。これらの実験において、髄腔内ミルタザピン用量は、モルフィンまたは生理食塩水の3回の逐次注入の30分前に送達された。図26Aおよび26Bは、処置から24時間後に得られた累積モルフィン用量反応曲線を示す。図23Aおよび23Bならびに24Aおよび24Bに描かれた実験のように、超低用量のミルタザピンでの前処置は、足圧力試験において反復オピオイド注入に起因する用量反応曲線の右シフトを防ぐのにより効果的であった。
【0086】
図26Aおよび26Bに描かれた用量反応曲線から導かれるモルフィンの効力を反映するモルフィンED50値は、図27Aおよび27Bに描かれている。それに示されているように、テールフリック試験(図27A)および足圧力試験(図27B)の両方において、反復モルフィン処置は、薬効の損失を反映する、反復生理食塩水処置により生じたものに対してのED50値の3〜4倍の増加を生じた。反復モルフィンの30分前の単一のミルタザピン曝露は、テールフリック試験においてED50の増加を部分的に防ぎ、足圧力試験においてED50の増加を完全に防いだ。従って、超低用量ミルタザピン事前曝露は、反復オピオイド処置により引き起こされる効力の損失を阻害した。
【0087】
従って、これらの実験により示されているように、アチペマゾール、ヨヒンビン、ミルタザピン、およびイダゾキサンのようなα-2受容体アンタゴニストの超低用量投与は、モルフィンのようなオピオイド受容体アゴニストに対する急性耐性の発生を非常に効果的に阻害した。
【0088】
さらに、図5Aおよび5Bに示されているように、0.8ngまたは0.08ngのような超低用量で投与する場合のアチペマゾールのようなα-2受容体アンタゴニストは、オピオイド受容体アゴニスト鎮痛を増強する。アチペマゾールが髄腔内に与えられる場合、これらの効果を発揮するという事実は、それが、脊髄侵害受容ニューロンへ直接的作用を発揮することを示唆する。
【0089】
超低用量のアチペマゾールの、モルフィンに対する慢性耐性の発生への効果もまた調べられた。急性耐性の発生は、数日間に渡るモルフィンの一日量の投与後のモルフィン効果の急速な減退により示される。これらの実験において、動物は、9 AMと11 AMの間毎日、5日間、モルフィン(15μg)の単一髄腔内注入を与えられた。侵害受容試験は、対照応答レベルを確立するために薬物処置の前に1回、および薬物効果を測定するために薬物投与から30分後に、行われた。モルフィンに対するピークの抗侵害受容応答は、注入から30分後に起こる。6日目において、累積モルフィン用量反応曲線が、対照群および処置群において急性オピオイド受容体アゴニスト効力を測定するために作成された。各動物は、30分間隔でモルフィンの漸増用量を与えられ、各注入から25分後に試験された。このプロトコールは、テールフリック試験および足圧力試験において最大抗侵害受容応答が得られるまで続けられた。モルフィン用量反応曲線が構築され、モルフィンのED50値が各曲線から決定された。モルフィン耐性状態の発生は、5日間の処置期間に渡るモルフィンの毎日の抗侵害受容効果における漸進的な減退、急性モルフィン用量反応曲線における右方向シフト、およびモルフィンED50値における有意な増加により明らかにされた。
【0090】
髄腔内モルフィンに対する慢性耐性の発生へのアチペマゾールの効果を調べるために、オピオイド受容体アゴニストが、固定用量のアチペマゾールと組み合わせて送達され、侵害受容試験が毎日行われた。急性髄腔内モルフィンについての累積用量反応曲線は、上記のように、6日目に作成された。アチペマゾールの作用は、モルフィン鎮痛の大きさにおける毎日の減退、およびモルフィン効力(すなわち、ED50値)に関して評価された。
【0091】
0.08ngおよび0.8ngの超低用量における脊髄アチペマゾールの、毎日のオピオイド投与により引き起こされる慢性モルフィン耐性への効果は、図6Aおよび6Bならびに図7Aおよび7Bに示されている。図6および図7に示されたデータは、毎日の薬物投与後30分間目(図6Aおよび6B)、および60分間目(図7Aおよび7B)における応答測定値を表す。図6Aおよび6Bに示されているように、脊髄モルフィン(15μg)の投与から30分後、鎮痛応答は、1日目において最大レベルであった。毎日の薬物投与で、効果の大きさは、5日目までには、ベースライン値へ徐々に減退した。モルフィンを伴うアチペマゾールの注入は、両方の試験において、この減退を遅らせた、または阻害した。興味深いことに、その組み合わせは、テールフリック試験において(図6Aおよび7A)、最初はモルフィン効果を低下させたが、この減少は維持されず、その組み合わせに対する応答は、試験期間の終局(5日目)において、モルフィンに対する応答を超えた。しかしながら、足圧力試験において(図6Bおよび7B)、アチペマゾールとモルフィンの組み合わせに対する応答は、5日間の全試験期間について最大レベルに維持された。
【0092】
注入から60分後にとられた応答の測定(図7Aおよび7B)は、この時点におけるモルフィンの効果が、両方の試験において非常に多く低下したことを示した。しかしながら、この時点における超低用量のアチペマゾールおよびモルフィンを含む本発明の併用療法に対する応答は、両方の試験において最大レベルに、または最大レベル近くに維持された。従って、超低用量でのα-2受容体アンタゴニストを、オピオイド受容体アゴニストを慢性的に投与された被験体に投与することは、オピオイド効果の減退を非常に効果的に止めた。
【0093】
図7Aおよび7Bに示された処置群におけるモルフィンの作用についての累積用量反応曲線は、それぞれ、図8Aおよび8Bに示されている。これらの曲線は、6日目に、すなわち、5日間の慢性薬物処置の停止から24時間後に、導かれた。以前に観察されているように、慢性モルフィン処置は、耐性を示す、用量反応曲線における右方向シフトを生じた。本発明の例示的なアチペマゾール-モルフィン組み合わせでの処置は、この右方向シフトを防いだ、耐性の遮断を示す応答。
【0094】
図9Aおよび9Bは、それぞれ、図8Aおよび8Bに示された累積用量反応曲線から導かれるED50値を示す。対照群(アチペマゾール単独を受けた)におけるモルフィンについてのED50値は約5μgであった。生理食塩水群においてそれらとの差はなかった。モルフィンでの慢性処置は、両方の試験において、ED50値のほぼ8倍の増加を生じた。この増加は、モルフィンを伴うアチペマゾールの導入により完全に止められた。従って、アチペマゾールのようなα-2受容体アンタゴニストの超低用量は、明らかに、慢性投与で起こり、かつ慢性耐性の誘発を表す、モルフィンのようなオピオイド受容体アゴニストにおける効力の損失を防いだ。従って、効力における損失を防ぐこの能力はまた、オピオイド受容体アゴニスト治療の慢性耐性を阻害する本発明の併用療法を示している。
【0095】
図10Aおよび10Bは、慢性処置期間の終局(5日目)における、アチペマゾール-モルフィン組み合わせにより生じた鎮痛応答の時間経過を示す。示されているように、5日目におけるモルフィン単独の効果は、大幅に低下したが、本発明の例示的併用療法に対する応答は、全試験期間に渡って高レベルで維持された。従って、本発明のα-2受容体アンタゴニストおよびオピオイド受容体アゴニスト併用療法により引き出されたピーク効果および応答の持続時間の両方は、オピオイド受容体アゴニスト効果を超えた。
【0096】
従って、これらの実験により示されているように、超低用量のα-2受容体アンタゴニストをオピオイド受容体アゴニストと組み合わせて投与する本発明の併用療法は、反復オピオイド受容体アゴニスト投与後の鎮痛の漸進的な減退を遮断し、慢性オピオイド曝露後に得られるオピオイド受容体アゴニスト用量反応曲線における右方向シフトを防ぎ、薬効の損失(すなわち、反復処置後に起こるオピオイド受容体アゴニストのED50値における増加)を遮断する。従って、本発明のこれらの併用療法は、被験体における疼痛管理に有用である。
【0097】
オピオイド受容体アゴニストの鎮痛作用に対してすでに耐性がある動物においてモルフィンの効力を回復させる超低用量のアチペマゾールの能力もまた実証された。これらの実験において、超低用量(0.8ng)のアチペマゾールが、慢性オピオイド受容体アゴニスト処置によりオピオイド受容体アゴニストに対して耐性にされた動物へモルフィンと同時投与された。アチペマゾールの確立された耐性への効果は、毎日の注入から30分後における侵害受容試験を描く図11Aおよび11Bに、ならびに毎日の注入から60分後における侵害受容試験を描く図12Aおよび12Bに示されている。図11Aおよび11Bに示されているように、モルフィンでの毎日の処置は、結果として、テールフリック試験および足圧力試験における鎮痛応答の漸進的な減退を生じ、応答は5日目までにはベースライン値近くに達した。6日目〜10日目におけるモルフィンの継続は鎮痛応答をこの値で維持した。しかしながら、6日目におけるアチペマゾールの添加を伴うモルフィンの投与は、1日目における最初のモルフィン応答に近く、かつ有意にベースラインレベルより上のままである、モルフィンに対する応答の劇的な回復を生じた。毎日の注入から60分後にとられた侵害受容の測定(図12AおよびB)により、α-2受容体アンタゴニストのオピオイド受容体アゴニストとの投与での活性の同様のプロファイルが明らかにされた。
【0098】
図13Aおよび13Bは、図12Aおよび12Bに示された2つの動物群において得られた髄腔内モルフィンについての累積用量反応曲線を示す。これらの図により示されているように、10日間の期間、モルフィンを単独で受けた動物において、急性モルフィン用量反応曲線は、同じ期間、モルフィンおよびアチペマゾールを受けた群において得られた曲線の右へ移動した。左方向シフトを生じるアチペマゾールの能力は、オピオイド受容体アゴニスト効力を回復させるα-2受容体アンタゴニストの投与を示す。
【0099】
図13Aおよび13Bに示される用量反応曲線から導かれた図14Aおよび14Bに示されるモルフィンED50値は、超低用量でのα-2受容体アンタゴニストの投与によるオピオイド受容体アゴニスト耐性のこの逆転のさらなる定量的証拠を提供する。慢性モルフィン単独を受けた動物の群は、テールフリック試験および足圧力試験において47μgおよび48μgと見積もるED50値を示した(空白の棒)。対照的に、アチペマゾールと共にモルフィンを受けた群は、6μgおよび8μgと見積もるED50値を示した。従って、慢性オピオイド受容体アゴニスト曝露後のモルフィンの鎮痛効果に対して応答しない動物において、アチペマゾールのオピオイド受容体アゴニストへの添加はその効力を回復させた。その結果は、アチペマゾールのようなα-2受容体アンタゴニストの投与が、実際、モルフィン鎮痛に対する確立された耐性を逆転させることを実証している。
【0100】
この開示を読めば当業者には明らかなように、本発明は、オピオイド受容体アゴニスト効果を増強する、ならびに本明細書に示された耐性を阻害するおよび/または逆転させる特定の例に限定されず、むしろ、本発明は、オピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストの任意の組み合わせを含み、そのような組み合わせが、単独で用いられた場合オピオイド受容体アゴニストの効果と比較してオピオイド受容体アゴニストの効果を増強する能力、またはオピオイド受容体アゴニスト治療に対する耐性を阻害するおよび/もしくは逆転させる能力を有すると解釈かつ理解されるべきである。本明細書の別の所で広範囲な詳細に示された教示に基づいて、当業者は、本発明において有用なそのような組み合わせに用いられうる、そのようなオピオイド受容体アゴニスト、α-2受容体アンタゴニスト、およびそれらの組み合わせ、加えてオピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストの濃度を同定する方法を理解するものと思われる。
【0101】
本明細書に実証されているように、オピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストは、例えば、硬膜外に、または髄腔内に投与されうる。さらに、モルフィンおよびアチペマゾールの両方が全身投与によって、すなわち、経口で、または非経口で、効果的であることが知られているため、これらの治療用化合物は、同様に、全身投与に従って効果的だろうことが予想される。従って、本発明の併用療法は、全身性に、または局所的に、および経口、頬、舌下、経皮的、皮下、眼内、静脈内、筋肉内、もしくは腹腔内の投与など(例えば、注射による)、または吸入を介してのような任意の適した経路により、投与されうる。好ましくは、オピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストを、同じ投与経路を介して同時に投与する。しかしながら、各治療用化合物が活性のあるままである間の時間枠内での、同じ投与経路または異なる投与経路を介しての別々での化合物の投与もまた、疼痛管理、およびオピオイド受容体アゴニストに対する耐性を軽減するにおいて効果的だろうことが予想される。さらに、本明細書に実証されているように、オピオイド受容体アゴニスト処置をすでに受けている被験体へのα-2受容体アンタゴニストの投与は、オピオイド受容体アゴニストに対する耐性を逆転させ、オピオイド受容体アゴニストの鎮痛効力を回復させる。従って、本発明の併用療法におけるオピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストでの処置は、同時に開始する必要はない。それどころか、α-2受容体アンタゴニストの投与は、オピオイド受容体アゴニストでの処置から数日間後、数週間後、数ヶ月後、またはそれ以上に開始してもよい。または、α-2受容体アンタゴニストの投与は、オピオイド受容体アゴニストでの処置の数日間前、数週間前、数ヶ月前、またはそれ以上前に開始してもよい。
【0102】
従って、本発明の目的として、治療用化合物、すなわち、オピオイド受容体アゴニストおよびα-2受容体アンタゴニストは、単一の薬学的に許容される媒体にいっしょに、またはそれぞれがそれら自身の薬学的に許容される媒体で別々に、投与されうる。
【0103】
本明細書に用いられる場合、「治療用化合物」という用語は、オピオイド受容体アゴニストおよび/またはα-2受容体アンタゴニストを指すことが意図される。
【0104】
本明細書に用いられる場合、「薬学的に許容される媒体」とは、治療用化合物の活性と適合性があり、かつ被験体に生理学的に受け入れられる、ありとあらゆる溶媒、賦形剤、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。薬学的に許容される媒体の例は、緩衝生理食塩水(0.15M NaCl)である。薬学的に活性のある物質のためのそのような媒体および剤の使用は当技術分野において周知である。任意の通常の媒体または剤が治療用化合物と適合性がない場合を除いて、薬学的投与に適した組成物におけるそれらの使用が企図される。補助的活性化合物もまた、組成物へ組み入れられうる。
【0105】
本発明において有用な担体または置換部分はまた、治療用化合物が標的器官へ選択的に送達されるのを可能にする部分を含んでもよい。例えば、治療用化合物の脳への送達は、能動輸送かまたは受動輸送のいずれかを用いる担体部分(「ターゲティング部分」)により促進されうる。実例として、担体分子は、例えば、両方ともBodorの米国特許第4,540,654号および第5,389,623号に記載されているように、レドックス部分でありうる。これらの特許は、脳に入ることができ、そこで、脳において捕捉される荷電ピリジニウム種へ酸化される、ジヒドロピリジン部分に連結された薬物を開示している。このように、これらの部分に連結された薬物は脳に蓄積する。他の担体部分は、インビボで受動的にまたは能動的に輸送されうるアミノ酸またはチロキシンのような化合物を含む。そのような担体部分は、インビボで代謝的に除去されうる、または活性化合物の一部として無傷のままでありうる。
【0106】
ペプチド模倣体を含むアミノ酸(および他の能動的に輸送される部分)の構造的模倣体もまた本発明において有用である。本明細書に用いられる場合、「ペプチド模倣体」という用語は、例えば、受容体および酵素との相互作用においてペプチドの適切な代替物として働くペプチド類似体を含むことが意図される。ペプチド模倣体は、親和性だけでなく、効力および基質機能もまた有しなければならない。すなわち、ペプチド模倣体は、アミノ酸成分への構造の制限なしに、ペプチドの機能を示す。ペプチド模倣体、それらの調製および使用のための方法は、Morgan et al. (1989)(「Approaches to the discovery of non-peptide ligands for peptide receptors and peptidases」, Annual Reports in Medicinal Chemistry (Virick, F.J., ed.), Academic Press, San Diego, CA, pp. 243-253)に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み入れられている。多くのターゲティング部分が知られており、例えば、アシアロ糖タンパク質(例えば、Wu, 米国特許第5,166,320号参照)、および受容体媒介性エンドサイトーシスを介して細胞へ輸送される他のリガンドを含む(標的分子に共有結合性にまたは非共有結合性に結合しうるターゲティング部分のさらなる例について下記を参照)。
【0107】
本明細書に用いられる場合の「被験体」という用語は、処置されるべき疼痛が生じうる生きている生物体を含むことが意図される。被験体の例は、ヒト、類人猿、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコ、マウス、ラット、およびそれらのトランスジェニック種のような哺乳動物を含む。当業者にとって明らかなように、下に示された実施例に用いられた動物被験体は、問題になっている組織および生化学的経路、ならびにその結果として、それらに向けられた方法、治療用化合物、および薬学的組成物に関してヒト被験体の妥当なモデルである。Mordenti(J. Pharm. Sci. 1986 75(11):1028-40)および同様の論文により証明されているように、例えば、ラットのような動物のための剤形は、ヒトを含む高等哺乳動物での治療適用における投薬量レベルを確立するために直接的に用いられることができ、かつ広く用いられている。特に、多くの生理学的過程および状態により惹起される生化学的カスケードは、哺乳動物種において同一であることが一般に認められている(例えば、Mattson and Scheff, Neurotrauma 1994 11(1):3-33; Higashi et al. Neuropathol. Appl. Neurobiol. 1995 21:480-483参照)。この点から見ると、本明細書に記載されたもののような動物モデルにおいて効果的である薬理学的作用物質は、投薬量の適切な調整後、ヒトにおける臨床効果を予測すると考えられる。
【0108】
投与経路に依存して、治療用化合物は、酸、酵素、および化合物を不活性化しうる他の自然条件から化合物を保護するために物質の中にコーティングされうる。本発明が、2つの治療用化合物を投与する併用療法を提供する限りにおいて、その2つの化合物のそれぞれは、同じ経路により、または異なる経路により投与されうる。また、化合物は、同じ時間に(すなわち、同時に)かまたはそれぞれ異なる時間にかのいずれかで投与されうる。いくつかの処置計画において、化合物の一方を他方より多いまたは少ない頻度で投与することは有益でありうる。
【0109】
本発明の化合物は、インビボでの適切な分布を保証するように製剤化されうる。例えば、血液脳関門(BBB)は、多くの高親水性化合物を排除する。本発明の治療用化合物がBBBを横断することを保証するために、それらは、例えば、リポソーム中に、製剤化されうる。リポソームを製造する方法について、例えば、米国特許第4,522,811号;第5,374,548号;および第5,399,331号を参照されたい。リポソームは、特定の細胞または器官へ選択的に輸送される1つまたは複数の部分(「ターゲティング部分」)を含むことができ、それに従って、ターゲット化薬物送達を提供する(例えば、Ranade, V.V. J. Clin. Pharmacol. 1989 29(8):685-94参照)。例示的なターゲティング部分は、葉酸およびビオチン(例えば、Low et al.の米国特許第5,416,016号参照);マンノシド(Umezawa et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 1988 153(3):1038-44);抗体(Bloeman et al. FEBS Lett. 1995 357:140; Owais et al. Antimicrob. Agents Chemother. 1995 39(1):180-4);および界面活性剤プロテインA受容体(Briscoe et al. Am. J. Physiol. 1995 268 (3 Pt 1):L374-80)を含む。好ましい態様において、本発明の治療用化合物はリポソーム中に製剤化される;より好ましい態様において、リポソームはターゲティング部分を含む。
【0110】
送達およびインビボ分布はまた、本発明の化合物の陰イオン性基の変化により影響されうる。例えば、ホスホン酸またはカルボキシルのような陰イオン性基は、所望の薬物動態学的、薬力学的、体内分布的、または他の性質をもつ化合物を提供するようにエステル化されうる。
【0111】
非経口投与以外により治療用化合物を投与するために、その不活性化を防ぎうる物質で化合物をコーティングする、または化合物を物質と同時投与することが必要になる場合がある。例えば、治療用化合物は、適切な担体、例えば、リポソームまたは希釈剤、において被験体に投与されうる。薬学的に許容される希釈剤は、生理食塩水および水性緩衝溶液を含む。リポソームは、水中油中水型CGF乳剤、および通常のリポソームを含む(Strejan et al. Prog. Clin. Biol. Res. 1984 146:429-34)。
【0112】
治療用化合物はまた、非経口で(例えば、筋肉内に、静脈内に、腹腔内に、脊髄内に、髄腔内に、または脳内に)投与されうる。分散は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物中に、ならびに油中に調製されうる。保存および使用の通常の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防ぐために保存剤を含む場合がある。注射用に適した薬学的組成物は、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液、および滅菌注射可能溶液または分散液の即時調製のための滅菌粉末を含む。すべての場合において、組成物は、滅菌してなければならず、容易な注射針通過性が存在する程度まで流動性でなければならない。それは、製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌のような微生物の汚染作用から保護されなければならない。媒体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、適切なそれらの混合物、および油(例えば、植物油)を含む溶媒または分散媒でありうる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング剤の使用、分散液の場合、必要とされる粒子サイズの維持により、および界面活性剤の使用により、維持されうる。
【0113】
微生物の作用の防止は、様々な抗細菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなど、により達成されうる。場合によっては、組成物中に等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、またはマンニトールおよびソルビトールのようなポリアルコールを含むことが好ましい。注射可能組成物の持続的吸収は、組成物中に、吸収を遅らせる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムまたはゼラチンを含むことによりもたらされうる。
【0114】
滅菌注射可能溶液は、上で列挙された成分の1つまたは組み合わせと共に適切な溶媒中に必要とされる量で治療用化合物を組み入れ、必要に応じて、濾過滅菌することにより調製されうる。一般的に、分散液は、基本的な分散媒、および上で列挙されたものからの必要とされる他の成分を含む滅菌媒体へ治療用化合物を組み入れることにより調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、任意で、前に滅菌濾過された溶液由来の任意の追加の望ましい成分を加えた、活性成分(すなわち、治療用化合物)の粉末を生じる、真空乾燥および凍結乾燥である。
【0115】
経口投与のための固体剤形は、摂取可能なカプセル、錠剤、丸薬、ロリポップ、粉末、顆粒、エリキシル、懸濁液、シロップ、カシェ剤、バッカル錠剤、トローチなどを含む。そのような固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムのような少なくとも1つの不活性な薬学的に許容される賦形剤もしくは希釈剤または同化可能な可食性担体、ならびに/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸のような充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアラビアゴムのような結合剤、c)グリセロールのような湿潤剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカのデンプン、アルギン酸、ある特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムのような崩壊剤、e)パラフィンのような溶解遅延剤、f)第四アンモニウム化合物のような吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートのような湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土のような吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物のような潤滑剤と混合される、または被験体の食事へ直接的に組み入れられる。カプセル、錠剤、および丸薬の場合、剤形はまた、緩衝剤を含んでもよい。類似した型の固体組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を用いて軟および硬ゼラチンカプセルにおける充填剤として用いられうる。組成物および調製物における治療用化合物のパーセンテージは、もちろん、変わりうる。そのような治療的に有用な組成物における治療用化合物の量は、適切な投薬量が得られるほどのものである。
【0116】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒の固体剤形は、腸溶コーティング剤および製剤分野において周知の他のコーティング剤のようなコーティング剤およびシェルで調製されうる。それらは、任意で乳白剤を含んでもよく、活性成分だけを、または好ましくは腸管の特定の部分において、任意で遅延様式で、放出する組成物でもありうる。用いられうる包埋組成物の例は、重合物質およびワックスを含む。活性化合物はまた、マイクロカプセル化した形をとって、適切な場合には、上記の賦形剤の1つまたは複数と共に、ありうる。
【0117】
経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容される乳濁液、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルを含む。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水、またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物のような他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤のような当技術分野において一般的に用いられる不活性な希釈剤を含んでもよい。不活性な希釈剤の他に、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、香味剤、および芳香剤のような補助剤を含んでもよい。
【0118】
懸濁液は、活性化合物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、およびトラガカントゴム、ならびにそれらの個運号物のような懸濁剤を含んでもよい。
【0119】
治療用化合物は、ゆっくり時間をかけての治療用化合物の徐放性を得るために、徐放性型またはデポー型で投与されうる。本発明の治療用化合物はまた、経皮的に(例えば、パッチ型で治療用化合物を適切な担体と共に供給することにより)投与されうる。
【0120】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために投薬量単位型に非経口組成物を製剤化することは特に都合が良い。本明細書に用いられる場合の投薬量単位型は、処置されるべき被験体についての単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指す;各単位は、必要とされる薬学的媒体と共同して所望の治療効果を生じるように計算された治療用化合物のあらかじめ決められた量を含む。本発明の投薬量単位型についての明細は、(a)治療用化合物の固有の特徴および達成されるべき特定の治療効果、ならびに(b)被験体における神経学的状態の処置のためにそのような治療用化合物を調合する分野に内在する制限によって、および直接的に依存して、規定される。
【0121】
オピオイド受容体アゴニストの所望の治療効果を達成するために、例えば、疼痛を緩和するために、ならびに/または被験体において鎮痛をもたらすために、咳を抑制するために、下痢を低減するおよび/もしくは防ぐために、肺水腫を処置するために、またはオピオイド受容体アゴニスト中毒を軽減するために十分な治療的有効量で、本発明による治療用化合物を投与する。例えば、所望の治療効果が鎮痛である場合には、「治療的有効量」は疼痛を、未処置の被験体に対して約25%、好ましくは約50%、よりいっそう好ましくは約75%、およびさらにより好ましくは約100%、緩和する。本発明の薬学的組成物における活性成分の実際の投薬量レベルは、特定の被験体、組成物、および投与様式について所望の治療応答を達成かつ維持するのに効果的である活性化合物の量を得るために変化しうる。選択された投薬量レベルは、特定の化合物の活性、投与経路、投与頻度、処置すべき被験体の状態の重症度、処置すべき被験体の状態および過去の病歴、被験体の年齢、性別、体重、および遺伝的プロファイル、ならびに被験体において所望の治療効果を生じる治療用化合物の能力に依存する。投与計画は、最適な治療応答を与えるように調整されうる。例えば、数個に分割された用量が毎日投与されうる、または用量は、治療的状況の緊急事態により示されれば、比例的に低減されうる。
【0122】
しかしながら、特定の患者についての適切な用量を用量漸増法により決定することは医学分野内で周知である。この方法において、患者は、所望の治療効果を達成するのに必要とされるものより低いレベルでの薬物化合物の用量から開始される。用量は、その後、所望の効果が達成されるまで徐々に増加される。上で考察されたクラスのすでに市販されている治療剤についての開始投薬量レベルは、用いられる投薬量に関するすでに入手可能な情報から導かれうる。また、投薬量は、FDAまたは同等の機関により要求されるような前臨床ADME毒物学研究およびその後の臨床試験を通して日常的に決定される。所望の治療効果を生じるオピオイド受容体アゴニストの能力は、これらの治療用化合物で処置される様々な状態について様々な周知のモデルにおいて実証されうる。例えば、疼痛の緩和は、当技術分野において公知の動物モデル系(例えば、本明細書に記載されたモデルを含む)のような、ヒト疾患および外傷での疼痛を緩和することにおける効力を予測しうるモデル系において評価されうる。
【0123】
本発明の化合物は、化合物の乱用についての可能性を低減するような方法で製剤化されうる。例えば、化合物は、化合物のそれらからの分離を妨げるまたは困難にする1つまたは複数の作用物質と組み合わせられうる。
【0124】
以下の非限定的例は、本発明をさらに例証するために提供される。
【0125】
実施例
実施例1:動物
実験は、体重が200〜250グラムの間である成体雄のSprague-Dawleyラット(Charles River, St. Constant, QC, Canada)を用いて行われた。動物は、個々に、12時間の明暗サイクルで維持された標準実験用ケージにおいて、飼育され、自由に食物および水を供給された。慢性留置髄腔内カテーテル(ポリエチレンPE 10チューブ、7.5cm)の脊髄くも膜下腔への外科的設置は、YakshおよびRudy(Physiol. Behav. 1976 7:1032-1036)の方法を用いて4%ハロタン麻酔下でなされた。具体的には、麻酔された動物を、定位フレームに腹臥に置き、首の背側に小切開を作り、大槽を覆っている環椎後頭膜を露出させ、尖っていない針で刺した。カテーテルを、大槽開口部を通して挿入し、腰膨大にその先端を位置づけるようにゆっくり尾の方へ進めた。カテーテルの吻端を、頭頂部で露出させ、創傷を縫合糸で閉じた。動物を、手術から3〜4日間、回復させ、後肢もしくは前肢麻痺または粗大運動機能障害のような神経学的欠損がないものだけを研究に含めた。すべての薬物を、カテーテルの露出部分を通して生理食塩水(0.9%)に溶解された溶液として髄腔内に10μlの容量で注入し、続いて、カテーテルを洗い流すために10μlの容量の0.9%生理食塩水を注入した。
【0126】
実施例2:侵害受容の評価
短時間の侵害受容刺激に対する応答は、2つの試験:テールフリック試験および足圧力試験を用いて試験された。
【0127】
テールフリック試験(D'amour & Smith, J. Pharmacol. Exp. Ther. 1941 72:74-79)は、熱侵害受容刺激に対する応答を測定するために用いられた。放射熱を、動物の尾の遠位3分の1へ加え、その供給源からの尾の引っ込めることについての応答潜時を鎮痛メーターを用いて記録した(Owen et al., J. Pharmacol. Methods 1981 6:33-37)。刺激強度は、2〜3秒間の間にベースライン応答潜時を生じるように調整された。尾損傷を最小限にするために、10秒間のカットオフが最大抗侵害受容の指標として用いられた。
【0128】
足圧力試験(Loomis et al., Pharm. Biochem. 1987 26:131-139)は、機械的侵害受容刺激に対する応答を測定するために用いられた。圧力は、計測器に接続された倒立の空気で満たされた注射器を用いて後足の背面に加えられ、動物がその足を引っ込める値が記録された。300mmHgの最大カットオフ圧力が、組織損傷を避けるために用いられた。以前の実験は、テールフリック試験と足圧力試験の間に有意な相互作用はないことを確立している(Loomis et al., Can. J. Physiol. Pharmacol. 1985 63:656-662)。
【0129】
実施例3:α-2受容体アンタゴニストによるクロニジンおよび/またはモルフィン鎮痛の阻害の測定
アチペマゾール、ヨヒンビン、イダゾキサン、およびミルタザピンの効果が、これらの薬物のそれぞれがα-2受容体アンタゴニストとして作用することを確立するために脊髄クロニジンの急性鎮痛作用に関して試験された。クロニジンの単一注入を髄腔内に投与し、テールフリック試験および足圧力試験において応答を測定した。その後の試験において、クロニジンを、1μg、5μg、または10μgアチペマゾール、30μgヨヒンビン、10μgイダゾキサン、または2μgミルタザピンと組み合わせて送達した。薬物投与後、侵害受容試験を、最初の60分間は10分間ごとに、次の120〜150分間は30分間ごとに、行った。アチペマゾールについての結果は、図1A(テールフリック)および図1B(足圧力)に描かれている。ヨヒンビンについての結果は、図15A(テールフリック)および図15B(足圧力)に描かれている。イダゾキサンについての結果は、図28A(テールフリック)および図28B(足圧力)に描かれている。ミルタザピンについての結果は、図21A(テールフリック)および図21B(足圧力)に描かれている。同様の実験は、モルフィンと組み合わせた30μgでのヨヒンビンで行われた。図16A(テールフリック)および図16B(足圧力)を参照。
【0130】
実施例4:超低用量のアチペマゾールによる既存のモルフィン鎮痛耐性の逆転
慢性耐性は、毎日1回、5日間、モルフィン(15μg)の髄腔内注入によりラットにおいて引き起こされた。動物を2つの群に分け、テールフリック試験および足圧力試験を用いて毎日の薬物注入から30分後および60分後に侵害受容試験を行った。6日目において、一方の群は、このモルフィン用量をさらに5日間、継続され、他方の群は、同じ期間、低用量のアチペマゾール(0.8ng)と組み合わせてモルフィンを受けた。侵害受容は上記のように毎日ベースで評価された。11日目において、急性髄腔内モルフィンの作用についての累積用量反応曲線が、モルフィン効力の指数(ED50値)を得るために作成された。
【0131】
実施例5:データ分析
インビボ研究について、テールフリック値および足圧力値は、最大パーセンテージ効果(M.P.E.):M.P.E.=100X[薬物後応答−ベースライン応答]/[最大応答−ベースライン応答]へ変換された。図に示されたデータは平均(±S.E.M.)として表されている。ED50値は、非線形回帰分析(Prism 2, GraphPad Software Inc., San Diego, CA, USA)を用いて決定された。統計学的有意性(p<0.05、0.01、または0.001)は、一元配置分散分析、続いて群間の多重比較についてスチューデント ニューマン-クールズ(Student Newman-Keuls)事後検定を用いて決定された。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】図1Aおよび1Bは、ラットでのテールフリック試験(図1A)および足圧力試験(図1B)における、α-2受容体アゴニストのクロニジンによる鎮痛を阻害するにおいてのα-2受容体アンタゴニストのアチペマゾールの効果を示す線グラフである。クロニジンは、ラットあたりの53.2マイクログラムと等しい200ナノモルで髄腔内に投与された。ラットは、0マイクログラム/ラット(白丸)、1マイクログラム/ラット(黒四角形)、5マイクログラム/ラット(黒三角形)、および10マイクログラム/ラット(黒逆三角形)で髄腔内にアチペマゾールを同時投与された。
【図2】図2Aおよび2Bは、ラットでのテールフリック試験(図2A)および足圧力試験(図2B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量で投与されたα-2受容体アンタゴニストのアチペマゾールの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す線グラフである。この研究において、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入(垂直矢印により描かれた)を送達することにより生じた(白丸により描かれた)。ラットの第二群は、モルフィン(15μg)および固定用量のアチペマゾール(0.8ng)の組み合わせを受けた(黒丸により描かれた)。アチペマゾール単独(0.8ng)(黒三角形として描かれた)および生理食塩水(20μl)(白四角形として描かれた)の効果もまた、90分間隔でこれらを注入することにより評価された。
【図3】図3Aおよび3Bは、最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた図2Aおよび2Bの4つの処置群における髄腔内モルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線(DRC)である。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)およびアチペマゾール(0.8ng)を投与されたラットは黒丸により描かれている。アチペマゾール(0.8ng)を単独で投与されたラットは白三角形により描かれている。生理食塩水(20μl)を投与されたラットは白逆三角形により描かれている。
【図4】図4Aおよび4Bは、それぞれ、図3Aおよび3Bの累積用量反応曲線から導かれた、効力の指数であるED50値(動物の50%における有効量)を示す棒グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは水平線を引いた棒により描かれている。モルフィン(15μg)およびアチペマゾール(0.8ng)を投与されたラットは、水平線および垂直線を引いた棒により描かれている。アチペマゾール(0.8ng)を単独で投与されたラットは垂直線を引いた棒により描かれている。生理食塩水(20μl)を投与されたラットは空白の棒により描かれている。
【図5】図5Aおよび5Bは、ラットでのテールフリック試験(図5A)および足圧力試験(図5B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量でのα-2受容体アンタゴニストのアチペマゾールの投与の、急性モルフィン鎮痛への効果を示す線グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)および0.8ngでのアチペマゾールを投与されたラットは黒三角形により描かれている。モルフィン(15μg)および0.08ngでのアチペマゾールを投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。アチペマゾール単独を0.8ngで投与されたラットは白三角形により描かれている。
【図6】図6Aおよび6Bは、ラットでのテールフリック試験(図6A)および足圧力試験(図6B)における毎日の薬物投与から30分後での、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量でのα-2受容体アンタゴニストのアチペマゾールの脊髄投与の、毎日のオピオイド投与により引き起こされた慢性モルフィン耐性への効果を示す線グラフである。モルフィン(15μg/日)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)および0.8ng/日でのアチペマゾールを投与されたラットは黒三角形により描かれている。モルフィン(15μg/日)および0.08ng/日でのアチペマゾールを投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。アチペマゾール単独を0.8ng/日で投与されたラットは白三角形により描かれている。
【図7】図7Aおよび7Bは、ラットでのテールフリック試験(図7A)および足圧力試験(図7B)における毎日の薬物投与から60分後での、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量でのα-2受容体アンタゴニストのアチペマゾールの脊髄投与の、毎日のオピオイド投与により引き起こされた慢性モルフィン耐性への効果を示す線グラフである。モルフィン(15μg/日)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg/日)および0.8ng/日でのアチペマゾールを投与されたラットは黒三角形により描かれている。モルフィン(15μg/日)および0.08ng/日でのアチペマゾールを投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。アチペマゾール単独を0.8ng/日で投与されたラットは白三角形により描かれている。
【図8】図8Aおよび8Bは、6日目、すなわち、5日目の慢性薬物処置の停止から24時間後、において導かれた、図7Aおよび7Bの4つの処置群におけるモルフィンの鎮痛作用についての累積用量反応曲線である。モルフィン(15μg/日)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg/日)および0.8ng/日でのアチペマゾールを投与されたラットは黒三角形により描かれている。モルフィン(15μg/日)および0.08ng/日でのアチペマゾールを投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。アチペマゾール単独を0.8ng/日で投与されたラットは白三角形により描かれている。
【図9】図9Aおよび9Bは、それぞれ、図8Aおよび8Bの累積用量反応曲線から導かれた、効力の指数であるED50値を示す棒グラフである。モルフィンを単独で投与されたラットは、空白の棒により描かれている。モルフィンおよび0.8ngでのアチペマゾールを投与されたラットは、右斜線を引いた棒により描かれている。モルフィンおよび0.08ngでのアチペマゾールを投与されたラットは、左斜線を引いた棒により描かれている。アチペマゾール単独を0.8ngで投与されたラットは、水平線および垂直線を引いた棒により描かれている。
【図10】図10Aおよび10Bは、慢性処置期間の終わり(5日目)にアチペマゾール-モルフィン組み合わせにより生じた、ラットのテールフリック試験(図10A)および足圧力試験(図10B)における、鎮痛応答の時間経過を示す線グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)および0.8ngでのアチペマゾールを投与されたラットは黒三角形により描かれている。モルフィン(15μg)および0.08ngでのアチペマゾールを投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。0.8ngでのアチペマゾールを単独で投与されたラットは白三角形により描かれている。
【図11】図11Aおよび11Bは、アチペマゾールの投与後のラットのテールフリック試験(図11A)および足圧力試験(図11B)における、5日間の処置後に誘導されたモルフィンに対する耐性の逆転を実証する線グラフである。モルフィン単独(15μg)を10日間投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)を10日間、および0.8ngでのアチペマゾールを6日目から開始して5日間、投与されたラットは黒丸により描かれている。侵害受容試験は、毎日の注入から30分後に行われた。
【図12】図12Aおよび12Bは、アチペマゾールの投与後のラットのテールフリック試験(図12A)および足圧力試験(図12B)における、5日間の処置後に誘導されたモルフィンに対する耐性の逆転を実証する線グラフである。モルフィン単独(15μg)を10日間投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)を10日間、および0.8ngでのアチペマゾールを6日目から開始して5日間、投与されたラットは黒丸により描かれている。侵害受容試験は、毎日の注入から60分後に行われた。垂直矢印は、図13Aおよび13Bに描かれた用量反応曲線の時間を指す。
【図13】図13Aおよび13Bは、図12Aおよび12Bに表された2つの動物群において得られた髄腔内モルフィンについての累積用量反応曲線を示す線グラフである。モルフィン(15μg)を単独で10日間投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)を10日間、および0.8ngでのアチペマゾールを6日目から開始して5日間、投与されたラットは黒丸により描かれている。
【図14】図14Aおよび14Bは、それぞれ、図13Aおよび13Bの累積用量反応曲線から導かれた、効力の指数であるED50値を示す棒グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは、空白の棒により描かれている。モルフィン(15μg)を10日間、および0.8ngでのアチペマゾールを6日目から開始して5日間、投与されたラットは垂直線を引いた棒により描かれている。
【図15】図15Aおよび15Bは、ラットでのテールフリック試験(図15A)および足圧力試験(図15B)における、α-2受容体アゴニストのクロニジンによる脊髄鎮痛を阻害するにおいてのα-2受容体アンタゴニストのヨヒンビンの拮抗効果を示す線グラフである。ラットは、クロニジン(13.3μg)を髄腔内に単独で(白丸)、ヨヒンビン(30μg)を髄腔内に単独で(白三角形)、またはクロニジン(13.3μg)およびヨヒンビン(30μg)を髄腔内に(黒四角形)、投与された。
【図16】図16Aおよび16Bは、テールフリック試験(図16A)および足圧力試験(図16B)における、脊髄モルフィン鎮痛を阻害するにおいてのα-2受容体アンタゴニストのヨヒンビンの拮抗効果を示す線グラフである。ラットは、モルフィン(15μg)を髄腔内に単独で(白丸)、ヨヒンビン(30μg)を髄腔内に単独で(白三角形)、またはモルフィン(15μg)およびヨヒンビン(30μg)を髄腔内に(黒四角形)、投与された。
【図17】図17Aおよび17Bは、ラットでのテールフリック試験(図17A)および足圧力試験(図17B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量でのα-2受容体アンタゴニストのヨヒンビンの投与の、モルフィンの単一脊髄用量により生じた鎮痛への効果を示す線グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)およびヨヒンビン(0.024ng)を投与されたラットは黒四角形により描かれている。モルフィン(15μg)およびヨヒンビン(2.4ng)を投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。モルフィン(15μg)およびヨヒンビン(5ng)を投与されたラットは黒菱形により描かれている。ヨヒンビンを単独で(0.024ng)を投与されたラットは、白四角形により描かれている。ヨヒンビン単独を2.4ngで投与されたラットは、白逆三角形により描かれている。
【図18】図18Aおよび18Bは、ラットでのテールフリック試験(図18A)および足圧力試験(図18B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量で投与されたα-2受容体アンタゴニストのヨヒンビンの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す線グラフである。この研究において、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入(矢じり形により示された)を送達することにより生じた(白丸により描かれた)。ラットの他の群は、モルフィン(15μg)、および0.0048ng(黒四角形により描かれた)、0.024ng(黒三角形)、または0.24ng(黒逆三角形)の固定用量のヨヒンビンの組み合わせを受けた。ヨヒンビン単独(0.024ng;白三角形として描かれた)および生理食塩水(20μl;Xとして描かれた)もまた、90分間隔でこれらを注入することにより評価された。
【図19】図19Aおよび19Bは、最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた、それぞれ、図18Aおよび18Bの6つの処置群における髄腔内モルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線(DRC)である。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)および0.0048ngでのヨヒンビンを投与されたラットは黒四角形により描かれている。モルフィン(15μg)および0.024ngでのヨヒンビンを投与されたラットは黒三角形により描かれている。モルフィン(15μg)および0.24ngでのヨヒンビンを投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。ヨヒンビン(0.024ng)を単独で投与されたラットは白三角形により描かれている。生理食塩水を投与されたラットはXにより描かれている。
【図20】図20Aおよび20Bは、それぞれ、図19Aおよび19Bの累積用量反応曲線から導かれた、効力の指数であるED50値(動物の50%における有効量)を示す棒グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは、点々のある棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.0048ngでのヨヒンビンを投与されたラットは、左斜線を引いた棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.024ngでのヨヒンビンを投与されたラットは、右斜線を引いた棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.24ngでのヨヒンビンを投与されたラットは、垂直線を引いた棒により描かれている。ヨヒンビン(0.024ng)を単独で投与されたラットは水平線を引いた棒により描かれている。生理食塩水を投与されたラットは空白の棒により描かれている。
【図21】図21Aおよび21Bは、ラットでのテールフリック試験(図21A)および足圧力試験(図21B)における、α-2受容体アゴニストのクロニジンによる脊髄鎮痛を阻害するにおいてのα-2受容体アンタゴニストのミルタザピンの拮抗効果を示す線グラフである。ラットは、クロニジン(13.3μg)を髄腔内に単独で(白四角形)、またはクロニジン(13.3μg)およびミルタザピン(2μg)を髄腔内に(黒四角形)、投与された。
【図22】図22Aおよび22Bは、ラットでのテールフリック試験(図22A)および足圧力試験(図22B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量でのα-2受容体アンタゴニストのミルタザピンの投与の、モルフィンの単一脊髄用量により生じた鎮痛への効果を示す線グラフである。ラットは、モルフィン(15μg)を髄腔内に単独で(白丸)、モルフィン(15μg)およびミルタザピン(0.02ng)を髄腔内に(黒三角形)、またはモルフィン(15μg)およびミルタザピン(0.2ng)を髄腔内に(黒逆三角形)、投与された。
【図23】図23Aおよび23Bは、ラットでのテールフリック試験(図23A)および足圧力試験(図23B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量で投与されたα-2受容体アンタゴニストのミルタザピンの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す線グラフである。この研究において、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入(矢じり形により示された)を送達することにより生じた(白丸により描かれた)。ラットのもう一つの群は、モルフィン(15μg)および0.02ngの固定用量のミルタザピンの組み合わせを受けた(黒三角形により描かれた)。90分間隔で注入された生理食塩水(20μl;Xとして描かれた)もまた評価された。
【図24】図24Aおよび24Bは、最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた、それぞれ、図23Aおよび23Bの3つの処置群における髄腔内モルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線(DRC)である。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。モルフィン(15μg)および0.02ngでのミルタザピンを投与されたラットは黒三角形により描かれている。生理食塩水を投与されたラットはXにより描かれている。
【図25】図25Aおよび25Bは、それぞれ、図24Aおよび24Bの累積用量反応曲線から導かれた、効力の指数であるED50値(動物の50%における有効量)を示す棒グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは、点々のある棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.02ngでのミルタザピンを投与されたラットは水平線を引いた棒により描かれている。生理食塩水(20μl)を投与されたラットは空白の棒により描かれている。
【図26】図26Aおよび26Bは、テールフリック試験(図26A)および足圧力試験(図26B)における、単一ミルタザピン用量での前処置、続いて反復モルフィン投与から24時間後に得られた累積用量反応曲線を示す線グラフである。この研究において、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入を送達することにより生じた(白丸により描かれた)。ラットの他の群は、90分間隔でのモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入およびモルフィン投与の30分前の単一用量のミルタザピン(0.02ng)(黒三角形により描かれた)、または90分間隔での生理食塩水(20μl)の3回の髄腔内逐次注入および生理食塩水投与前の単一用量のミルタザピン(0.02ng)(白三角形により描かれた)を受けた。90分間隔で注入された生理食塩水(20μl;Xとして描かれた)の効果もまた評価された。
【図27】図27Aおよび27Bは、それぞれ、図26Aおよび26Bの累積用量反応曲線から導かれた、効力の指数であるED50値(動物の50%における有効量)を示す棒グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは点々のある棒により描かれている。生理食塩水(20μl)および0.02ngでのミルタザピンを投与されたラットは、水平線を引いた棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.02ngでのミルタザピンを投与されたラットは、垂直線を引いた棒により描かれている。生理食塩水(20μl)を投与されたラットは空白の棒により描かれている。
【図28】図28Aおよび28Bは、ラットでのテールフリック試験(図28A)および足圧力試験(図28B)における、α-2受容体アゴニストのクロニジンによる脊髄鎮痛を阻害するにおいてのα-2受容体アンタゴニストのイダゾキサンの拮抗効果を示す線グラフである。ラットは、クロニジン(13.3μg)を髄腔内に単独で(白四角形)、イダゾキサン(10μg)を髄腔内に単独で(白菱形)、クロニジン(13.3μg)およびイダゾキサン(10μg)を髄腔内に(黒四角形)、または生理食塩水(20μl;Xにより描かれた)を投与された。
【図29】図29Aおよび29Bは、ラットでのテールフリック試験(図29A)および足圧力試験(図29B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量でのα-2受容体アンタゴニストのイダゾキサンの投与の、モルフィンの単一脊髄用量により生じた鎮痛への効果を示す線グラフである。ラットは、モルフィン(15μg)を髄腔内に単独で(白丸)、モルフィン(15μg)およびイダゾキサン(0.08ng)を髄腔内に(黒丸)、または生理食塩水(20μl;Xとして描かれた)を投与された。
【図30】図30Aおよび30Bは、ラットでのテールフリック試験(図30A)および足圧力試験(図30B)における、α-2受容体遮断を引き起こすのに効果がない用量で投与されたα-2受容体アンタゴニストのイダゾキサンの、脊髄モルフィンの鎮痛作用に対する急性耐性への効果を示す線グラフである。この研究において、急性耐性は、90分間隔でモルフィン(15μg)の3回の髄腔内逐次注入を送達することにより生じた(白丸により描かれた)。ラットの他の群は、イダゾキサン単独を0.016ng(白三角形により描かれた)もしくは0.08ng(白逆三角形により描かれた)で、またはモルフィン(15μg)および0.008ng(黒逆三角形により描かれた)、0.016ng(黒三角形により描かれた)、もしくは0.08ng(黒菱形により描かれた)の固定用量のイダゾキサンの組み合わせを受けた。90分間隔で注入された生理食塩水(20μl;Xとして描かれた)の効果もまた評価された。
【図31】図31Aおよび31Bは、最初のモルフィン注入から24時間後に導かれた、それぞれ、図30Aおよび30Bの7つの処置群における髄腔内モルフィンの急性鎮痛作用についての累積用量反応曲線(DRC)である。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは白丸により描かれている。イダゾキサン単独を0.016ngで投与されたラットは白三角形により描かれている。イダゾキサン単独を0.008ngで投与されたラットは白逆三角形により描かれている。モルフィン(15μg)および0.008ngの固定用量のイダゾキサンの組み合わせを投与されたラットは黒逆三角形により描かれている。モルフィン(15μg)および0.016ngの固定用量のイダゾキサンの組み合わせを投与されたラットは黒三角形により描かれている。モルフィン(15μg)および0.08ngの固定用量のイダゾキサンの組み合わせを投与されたラットは黒菱形により描かれている。生理食塩水を投与されたラットはXにより描かれている。
【図32】図32Aおよび32Bは、それぞれ、図31Aおよび31Bの累積用量反応曲線から導かれた、効力の指数であるED50値(動物の50%における有効量)を示す棒グラフである。モルフィン(15μg)を単独で投与されたラットは点々のある棒により描かれている。イダゾキサン単独を0.008ngで投与されたラットは、水平線を引いた棒により描かれている。イダゾキサン単独を0.016ngで投与されたラットは垂直線を引いた棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.008ngの固定用量のイダゾキサンの組み合わせを投与されたラットは水平線および垂直線を引いた棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.016ngの固定用量のイダゾキサンの組み合わせを投与されたラットは右斜線を引いた棒により描かれている。モルフィン(15μg)および0.08ngの固定用量のイダゾキサンの組み合わせを投与されたラットは左斜線を引いた棒により描かれている。生理食塩水(20μl)を投与されたラットはXにより描かれている。生理食塩水を投与されたラットは空白の棒により描かれている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療効果を生じる有効量のオピオイド受容体アゴニストと、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストとを含む組成物。
【請求項2】
オピオイド受容体アゴニストがオピオイドである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
オピオイド受容体アゴニストが、モルフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホン、メペリジン(mepridine)、メタドン、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、レボルファノール、トラマドール、D-Pen2、D-Pen5-エンケファリン(DPDPE)、U50、488H(トランス-3,4-ジクロロ-N-メチル-N-[2-ピロリンジニル]-シクロヘキサニル)-ベンゼンアセトアミド、エンドルフィン、ダイノルフィン、エンケファリン、ジアモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ニコモルフィン、レボメタジルアセテートハイドロクロライド(LAAM)、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、デキストロモルアミド、ベジトラミド、ピリトラミド、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン(nalbufine)またはナルブフィン(nalbuphine)、デゾシン、エトルフィン、チリジン、ロペラミド、ジフェノキシレート、パレゴリック、およびナロルフィンからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(atipemazole)(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(fipamazole)(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(mirtazepine)(またはミルタザピン)、エフェロキサン(eferoxan)、イドゾキサン(idozoxan)(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
オピオイド受容体アゴニストがモルフィンであり、かつα-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、またはヨヒンビンである、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
オピオイド受容体アゴニストがオキシコドンであり、かつα-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、またはヨヒンビンである、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
オピオイド受容体アゴニストを被験体に投与する段階、およびオピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを被験体に投与する段階を含む、被験体においてオピオイド受容体アゴニストの治療効果を増強する方法。
【請求項9】
オピオイド受容体アゴニストがオピオイドである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
オピオイド受容体アゴニストが、モルフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホン、メペリジン、メタドン、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、レボルファノール、トラマドール、D-Pen2、D-Pen5-エンケファリン(DPDPE)、U50、488H(トランス-3,4-ジクロロ-N-メチル-N-[2-ピロリンジニル]-シクロヘキサニル)-ベンゼンアセトアミド、エンドルフィン、ダイノルフィン、エンケファリン、ジアモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ニコモルフィン、レボメタジルアセテートハイドロクロライド(LAAM)、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、デキストロモルアミド、ベジトラミド、ピリトラミド、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン(nalbufine)またはナルブフィン(nalbuphine)、デゾシン、エトルフィン、チリジン、ロペラミド、ジフェノキシレート、パレゴリック、およびナロルフィンからなる群より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項11】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、エフェロキサン、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項12】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項13】
オピオイド受容体アゴニストの治療効果が、実質的な望ましくない副作用を伴わずに増強される、請求項8記載の方法。
【請求項14】
内因性オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを被験体に投与する段階を含む、被験体において内因性オピオイド受容体アゴニストの治療効果を増強する方法。
【請求項15】
内因性オピオイド受容体アゴニストが、β-エンドルフィン、エンケファリン、およびダイノルフィンからなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、エフェロキサン、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項18】
オピオイド受容体アゴニストを被験体に投与する段階、およびオピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを被験体に投与する段階を含む、被験体においてオピオイド受容体アゴニストの治療効果に対する急性耐性の発生を阻害する方法。
【請求項19】
オピオイド受容体アゴニストがオピオイドである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
オピオイド受容体アゴニストが、モルフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホン、メペリジン、メタドン、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、レボルファノール、トラマドール、D-Pen2、D-Pen5-エンケファリン(DPDPE)、U50、488H(トランス-3,4-ジクロロ-N-メチル-N-[2-ピロリンジニル]-シクロヘキサニル)-ベンゼンアセトアミド、エンドルフィン、ダイノルフィン、エンケファリン、ジアモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ニコモルフィン、レボメタジルアセテートハイドロクロライド(LAAM)、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、デキストロモルアミド、ベジトラミド、ピリトラミド、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン(nalbufine)またはナルブフィン(nalbuphine)、デゾシン、エトルフィン、チリジン、ロペラミド、ジフェノキシレート、パレゴリック、およびナロルフィンからなる群より選択される、請求項18記載の方法。
【請求項21】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、エフェロキサン、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項18記載の方法。
【請求項22】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項18記載の方法。
【請求項23】
オピオイド受容体アゴニストを被験体に投与する段階、およびオピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを被験体に投与する段階を含む、被験体においてオピオイド受容体アゴニストの治療効果に対する慢性耐性の発生を阻害する方法。
【請求項24】
オピオイド受容体アゴニストがオピオイドである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
オピオイド受容体アゴニストが、モルフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホン、メペリジン、メタドン、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、レボルファノール、トラマドール、D-Pen2、D-Pen5-エンケファリン(DPDPE)、U50、488H(トランス-3,4-ジクロロ-N-メチル-N-[2-ピロリンジニル]-シクロヘキサニル)-ベンゼンアセトアミド、エンドルフィン、ダイノルフィン、エンケファリン、ジアモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ニコモルフィン、レボメタジルアセテートハイドロクロライド(LAAM)、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、デキストロモルアミド、ベジトラミド、ピリトラミド、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン(nalbufine)またはナルブフィン(nalbuphine)、デゾシン、エトルフィン、チリジン、ロペラミド、ジフェノキシレート、パレゴリック、およびナロルフィンからなる群より選択される、請求項23記載の方法。
【請求項26】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、エフェロキサン、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項23記載の方法。
【請求項27】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項23記載の方法。
【請求項28】
オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを被験体に投与する段階を含む、被験体において、オピオイド受容体アゴニストの治療効果に対する耐性を逆転させる、またはオピオイド受容体アゴニストの治療効果を回復させる方法。
【請求項29】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、エフェロキサン、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項28記載の方法。
【請求項31】
治療効果を生じる有効量のオピオイド受容体アゴニストを被験体に投与する段階、およびオピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを被験体に投与する段階を含む、オピオイド受容体アゴニストで処置可能な状態を患っている被験体を処置する方法。
【請求項32】
オピオイド受容体アゴニストがオピオイドである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
オピオイド受容体アゴニストが、モルフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホン、メペリジン、メタドン、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、レボルファノール、トラマドール、D-Pen2、D-Pen5-エンケファリン(DPDPE)、U50、488H(トランス-3,4-ジクロロ-N-メチル-N-[2-ピロリンジニル]-シクロヘキサニル)-ベンゼンアセトアミド、エンドルフィン、ダイノルフィン、エンケファリン、ジアモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ニコモルフィン、レボメタジルアセテートハイドロクロライド(LAAM)、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、デキストロモルアミド、ベジトラミド、ピリトラミド、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン(nalbufine)またはナルブフィン(nalbuphine)、デゾシン、エトルフィン、チリジン、ロペラミド、ジフェノキシレート、パレゴリック、およびナロルフィンからなる群より選択される、請求項31記載の方法。
【請求項34】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、エフェロキサン、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項31記載の方法。
【請求項35】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項31記載の方法。
【請求項36】
被験体が、疼痛、咳、下痢、肺水腫、またはオピオイド受容体アゴニスト中毒を患っている、請求項31記載の方法。
【請求項37】
疼痛が、術後の急性もしくは慢性疼痛、産科の疼痛、急性炎症性疼痛、慢性炎症性疼痛、多発性硬化症もしくは癌に関連した疼痛、外傷に関連した疼痛、片頭痛に関連した疼痛、神経障害性疼痛、中心性疼痛、または非悪性起源の慢性疼痛症候群、もしくは慢性背痛である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
被験体が、実質的な望ましくない副作用を伴わずにオピオイド受容体アゴニストで処置可能な状態について処置される、請求項31記載の方法。
【請求項39】
オピオイド受容体アゴニスト治療を受けている被験体に、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを投与する段階を含む、オピオイド受容体アゴニストで処置可能な状態を患っている被験体を処置する方法。
【請求項40】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、エフェロキサン、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項39記載の方法。
【請求項41】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項39記載の方法。
【請求項42】
被験体が、疼痛、咳、下痢、肺水腫、またはオピオイド受容体アゴニスト中毒を患っている、請求項39記載の方法。
【請求項43】
被験体が、術後の急性もしくは慢性疼痛、産科の疼痛、急性炎症性疼痛、慢性炎症性疼痛、多発性硬化症もしくは癌に関連した疼痛、外傷に関連した疼痛、片頭痛に関連した疼痛、神経障害性疼痛、中心性疼痛、または非悪性起源の慢性疼痛症候群を患っている、請求項42記載の方法。
【請求項44】
被験体が、実質的な望ましくない副作用を伴わずにα-2アドレナリン受容体アゴニストで処置可能な状態について処置される、請求項39記載の方法。
【請求項1】
治療効果を生じる有効量のオピオイド受容体アゴニストと、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストとを含む組成物。
【請求項2】
オピオイド受容体アゴニストがオピオイドである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
オピオイド受容体アゴニストが、モルフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホン、メペリジン(mepridine)、メタドン、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、レボルファノール、トラマドール、D-Pen2、D-Pen5-エンケファリン(DPDPE)、U50、488H(トランス-3,4-ジクロロ-N-メチル-N-[2-ピロリンジニル]-シクロヘキサニル)-ベンゼンアセトアミド、エンドルフィン、ダイノルフィン、エンケファリン、ジアモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ニコモルフィン、レボメタジルアセテートハイドロクロライド(LAAM)、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、デキストロモルアミド、ベジトラミド、ピリトラミド、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン(nalbufine)またはナルブフィン(nalbuphine)、デゾシン、エトルフィン、チリジン、ロペラミド、ジフェノキシレート、パレゴリック、およびナロルフィンからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(atipemazole)(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(fipamazole)(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(mirtazepine)(またはミルタザピン)、エフェロキサン(eferoxan)、イドゾキサン(idozoxan)(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
オピオイド受容体アゴニストがモルフィンであり、かつα-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、またはヨヒンビンである、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
オピオイド受容体アゴニストがオキシコドンであり、かつα-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、またはヨヒンビンである、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
オピオイド受容体アゴニストを被験体に投与する段階、およびオピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを被験体に投与する段階を含む、被験体においてオピオイド受容体アゴニストの治療効果を増強する方法。
【請求項9】
オピオイド受容体アゴニストがオピオイドである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
オピオイド受容体アゴニストが、モルフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホン、メペリジン、メタドン、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、レボルファノール、トラマドール、D-Pen2、D-Pen5-エンケファリン(DPDPE)、U50、488H(トランス-3,4-ジクロロ-N-メチル-N-[2-ピロリンジニル]-シクロヘキサニル)-ベンゼンアセトアミド、エンドルフィン、ダイノルフィン、エンケファリン、ジアモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ニコモルフィン、レボメタジルアセテートハイドロクロライド(LAAM)、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、デキストロモルアミド、ベジトラミド、ピリトラミド、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン(nalbufine)またはナルブフィン(nalbuphine)、デゾシン、エトルフィン、チリジン、ロペラミド、ジフェノキシレート、パレゴリック、およびナロルフィンからなる群より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項11】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、エフェロキサン、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項12】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項8記載の方法。
【請求項13】
オピオイド受容体アゴニストの治療効果が、実質的な望ましくない副作用を伴わずに増強される、請求項8記載の方法。
【請求項14】
内因性オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを被験体に投与する段階を含む、被験体において内因性オピオイド受容体アゴニストの治療効果を増強する方法。
【請求項15】
内因性オピオイド受容体アゴニストが、β-エンドルフィン、エンケファリン、およびダイノルフィンからなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項16】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、エフェロキサン、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項14記載の方法。
【請求項18】
オピオイド受容体アゴニストを被験体に投与する段階、およびオピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを被験体に投与する段階を含む、被験体においてオピオイド受容体アゴニストの治療効果に対する急性耐性の発生を阻害する方法。
【請求項19】
オピオイド受容体アゴニストがオピオイドである、請求項18記載の方法。
【請求項20】
オピオイド受容体アゴニストが、モルフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホン、メペリジン、メタドン、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、レボルファノール、トラマドール、D-Pen2、D-Pen5-エンケファリン(DPDPE)、U50、488H(トランス-3,4-ジクロロ-N-メチル-N-[2-ピロリンジニル]-シクロヘキサニル)-ベンゼンアセトアミド、エンドルフィン、ダイノルフィン、エンケファリン、ジアモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ニコモルフィン、レボメタジルアセテートハイドロクロライド(LAAM)、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、デキストロモルアミド、ベジトラミド、ピリトラミド、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン(nalbufine)またはナルブフィン(nalbuphine)、デゾシン、エトルフィン、チリジン、ロペラミド、ジフェノキシレート、パレゴリック、およびナロルフィンからなる群より選択される、請求項18記載の方法。
【請求項21】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、エフェロキサン、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項18記載の方法。
【請求項22】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項18記載の方法。
【請求項23】
オピオイド受容体アゴニストを被験体に投与する段階、およびオピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを被験体に投与する段階を含む、被験体においてオピオイド受容体アゴニストの治療効果に対する慢性耐性の発生を阻害する方法。
【請求項24】
オピオイド受容体アゴニストがオピオイドである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
オピオイド受容体アゴニストが、モルフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホン、メペリジン、メタドン、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、レボルファノール、トラマドール、D-Pen2、D-Pen5-エンケファリン(DPDPE)、U50、488H(トランス-3,4-ジクロロ-N-メチル-N-[2-ピロリンジニル]-シクロヘキサニル)-ベンゼンアセトアミド、エンドルフィン、ダイノルフィン、エンケファリン、ジアモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ニコモルフィン、レボメタジルアセテートハイドロクロライド(LAAM)、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、デキストロモルアミド、ベジトラミド、ピリトラミド、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン(nalbufine)またはナルブフィン(nalbuphine)、デゾシン、エトルフィン、チリジン、ロペラミド、ジフェノキシレート、パレゴリック、およびナロルフィンからなる群より選択される、請求項23記載の方法。
【請求項26】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、エフェロキサン、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項23記載の方法。
【請求項27】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項23記載の方法。
【請求項28】
オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを被験体に投与する段階を含む、被験体において、オピオイド受容体アゴニストの治療効果に対する耐性を逆転させる、またはオピオイド受容体アゴニストの治療効果を回復させる方法。
【請求項29】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、エフェロキサン、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項28記載の方法。
【請求項31】
治療効果を生じる有効量のオピオイド受容体アゴニストを被験体に投与する段階、およびオピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを被験体に投与する段階を含む、オピオイド受容体アゴニストで処置可能な状態を患っている被験体を処置する方法。
【請求項32】
オピオイド受容体アゴニストがオピオイドである、請求項31記載の方法。
【請求項33】
オピオイド受容体アゴニストが、モルフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ヒドロモルホン、メペリジン、メタドン、フェンタニル、スフェンタニル、アルフェンタニル、レミフェンタニル、カルフェンタニル、ロフェンタニル、コデイン、ヒドロコドン、レボルファノール、トラマドール、D-Pen2、D-Pen5-エンケファリン(DPDPE)、U50、488H(トランス-3,4-ジクロロ-N-メチル-N-[2-ピロリンジニル]-シクロヘキサニル)-ベンゼンアセトアミド、エンドルフィン、ダイノルフィン、エンケファリン、ジアモルヒネ(ヘロイン)、ジヒドロコデイン、ニコモルフィン、レボメタジルアセテートハイドロクロライド(LAAM)、ケトベミドン、プロポキシフェン、デキストロプロポキシフェン、デキストロモルアミド、ベジトラミド、ピリトラミド、ペンタゾシン、フェナゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、ナルブフィン(nalbufine)またはナルブフィン(nalbuphine)、デゾシン、エトルフィン、チリジン、ロペラミド、ジフェノキシレート、パレゴリック、およびナロルフィンからなる群より選択される、請求項31記載の方法。
【請求項34】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、エフェロキサン、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項31記載の方法。
【請求項35】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項31記載の方法。
【請求項36】
被験体が、疼痛、咳、下痢、肺水腫、またはオピオイド受容体アゴニスト中毒を患っている、請求項31記載の方法。
【請求項37】
疼痛が、術後の急性もしくは慢性疼痛、産科の疼痛、急性炎症性疼痛、慢性炎症性疼痛、多発性硬化症もしくは癌に関連した疼痛、外傷に関連した疼痛、片頭痛に関連した疼痛、神経障害性疼痛、中心性疼痛、または非悪性起源の慢性疼痛症候群、もしくは慢性背痛である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
被験体が、実質的な望ましくない副作用を伴わずにオピオイド受容体アゴニストで処置可能な状態について処置される、請求項31記載の方法。
【請求項39】
オピオイド受容体アゴニスト治療を受けている被験体に、オピオイド受容体アゴニストの治療効果を拮抗しないが増強する有効量のα-2受容体アンタゴニストを投与する段階を含む、オピオイド受容体アゴニストで処置可能な状態を患っている被験体を処置する方法。
【請求項40】
α-2受容体アンタゴニストが、アチペマゾール(またはアチパメゾール)、フィパマゾール(アチペマゾールのフッ化誘導体)、ミルタゼピン(またはミルタザピン)、エフェロキサン、イドゾキサン(またはイダゾキサン)、Rx821002(2-メトキシ-イドゾキサン)、ラウオルスシン、MK 912、SKF 86466、SKF 1563、およびヨヒンビンからなる群より選択される、請求項39記載の方法。
【請求項41】
α-2受容体アンタゴニストが、ベンラファキシン、ドキサゾシン、フェントラミン、ジヒドロエルゴタミン、エルゴタミン、フェノチアジン、フェノキシベンザミン、ピペロキサン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、およびトラゾリンからなる群より選択される、請求項39記載の方法。
【請求項42】
被験体が、疼痛、咳、下痢、肺水腫、またはオピオイド受容体アゴニスト中毒を患っている、請求項39記載の方法。
【請求項43】
被験体が、術後の急性もしくは慢性疼痛、産科の疼痛、急性炎症性疼痛、慢性炎症性疼痛、多発性硬化症もしくは癌に関連した疼痛、外傷に関連した疼痛、片頭痛に関連した疼痛、神経障害性疼痛、中心性疼痛、または非悪性起源の慢性疼痛症候群を患っている、請求項42記載の方法。
【請求項44】
被験体が、実質的な望ましくない副作用を伴わずにα-2アドレナリン受容体アゴニストで処置可能な状態について処置される、請求項39記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図8】
【図9】
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【図15】
【図16】
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【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公表番号】特表2009−506080(P2009−506080A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−528306(P2008−528306)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001441
【国際公開番号】WO2007/025383
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(505458245)クィーンズ ユニバーシティー アット キングストン (11)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001441
【国際公開番号】WO2007/025383
【国際公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(505458245)クィーンズ ユニバーシティー アット キングストン (11)
【Fターム(参考)】
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