説明

車両に取り付けられるユニットの、少なくとも2つのケーシング構成部材から成る鋼製のケーシングを製作するための方法

本発明は、車両、特に商用車に取り付けられるユニットの、少なくとも2つのケーシング構成部材(4,12)から成る鋼製のケーシング(20)を製作するための方法であって、
イ)亜鉛又は亜鉛を含有する合金を有する腐食保護層を、少なくとも1つのケーシング構成部材(4,12)の少なくとも外部に面した表面に付与してから不動態化し、
ロ)予め相互に位置調整された両ケーシング構成部材(4,12)の、一方のケーシング構成部材(4)の縁部(30)及び/又は他方のケーシング構成部材(12)の縁部(52)を塑性変形するポンチ(60)に対する相対運動により、一方のケーシング構成部材(4)の縁部(30)に他方のケーシング構成部材(12)の縁部(52)を形状接続的に被せて係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
本発明は請求項1に基づき、車両、特に商用車に取り付けられるユニットの、少なくとも2つのケーシング構成部材から成る鋼製のケーシングを製作するための方法から出発する。
【0002】
商用車に設けられたブレーキを作動させるためには、とりわけ空圧式のコンビ型常用ブレーキ兼スプリングブレーキシリンダが使用される。このようなコンビシリンダは、相前後して接続された、常用ブレーキを作動させるための常用ブレーキシリンダと、補助ブレーキ及びスプリングブレーキを作動させるためのスプリングブレーキシリンダとを組み合わせたものである。
【0003】
冒頭で述べた形式の方法はヨーロッパ特許第1136337号明細書から公知であり、この明細書は、商用車のコンビ型の常用ブレーキ兼スプリングブレーキシリンダを開示しており、このコンビ型の常用ブレーキ兼スプリングブレーキシリンダでは、常用ブレーキシリンダのケーシングと、スプリングブレーキシリンダのケーシングとが、スプリングブレーキシリンダの縁部が常用ブレーキシリンダの縁部に形状接続的に、上方から被さるように係合することにより互いに結合されており、このことは縁曲げとも呼ばれる。
【0004】
このような縁曲げは、複数回ローリング(Rollieren)することにより生ぜしめられる、つまり、少なくとも1つのケーシング構成部材の縁部が、環状のロール工具により塑性変形される。但し、このケーシング構成部材の少なくとも外部に面した表面に予め腐食保護を施す必要がある。それというのも、例えば車輪付近に配置される商用車のコンビ型の常用ブレーキ兼スプリングブレーキシリンダ等の車両ユニットは、撒き塩の混入した湿分に晒されているからである。この場合に使用される腐食保護層は、例えば射出されたエポキシプラスチック層又は簡単な亜鉛層から成っている。しかし、縁曲げの製作ステップに基づき腐食保護層が損傷されるので、要求される耐腐食性は得られないということが判った。この耐腐食性は、例えばケーシングが塩水による400時間にわたる連続給湿を腐食フリーで克服しなければならないという点にある。
【0005】
これに対して本発明の課題は、車両、特に商用車に取り付けられるユニットの、少なくとも2つのケーシング構成部材から成るケーシングを製作するための方法を改良して、ケーシング構成部材を変形させる縁曲げ部の製作を、当該ケーシング構成部材の腐食保護を損なうこと無く可能にすることである。
【0006】
この課題は、本発明の請求項1の特徴部に記載の手段、即ち、亜鉛又は亜鉛を含有する合金を有する腐食保護層を、少なくとも1つのケーシング構成部材の少なくとも外部に面した表面に付与してから不動態化し、予め相互に位置調整された両ケーシング構成部材の、一方のケーシング構成部材の縁部及び/又は他方のケーシング構成部材の縁部を塑性変形するポンチに対する相対運動により、一方のケーシング構成部材の縁部に他方のケーシング構成部材の縁部を形状接続的に被せて係合させることにより解決される。
【0007】
発明の利点
本発明は、2つの方法ステップ、つまり、ポンチによる縁曲げ部の製作、並びに亜鉛による表面コーティング、又は亜鉛を含有する合金を有する腐食保護層と、これに続く不動態化の有利な組合せに基づくものである。縁曲げ部をポンチにより製作する場合には、前記のような腐食保護層は損傷されないということが判った。
【0008】
亜鉛及び別の合金金属の腐食保護は、ベースメタルの鋼よりも優良ではないことから、犠牲陽極として働くということに基づいている。被覆亜鉛層が付与されている限りは、ベースメタルは腐食から保護され続ける。金属異物は亜鉛層の腐食保護に影響を及ぼすことができる。従って、鉄、ニッケル又はコバルトが合金成分として意図的に改良のために使用される。亜鉛自体は不動態化により、一般にはクロムめっきにより、腐食作用から保護される。クロムめっき層が厚く密で、更に化学的に耐性を有していればいる程、バリア作用はより良好である。
【0009】
その結果、本発明による方法に基づき製作されたケーシングの高度な耐腐食性及び高度な作動確実性も得られる。このことは特に、ブレーキシリンダの場合に重要である。
【0010】
独立請求項に記載の本発明の有利な改良は、従属請求項に記載の構成手段により可能である。
【0011】
ケーシングを本発明の方法により製作するユニットは、有利には商用車のブレーキシリンダ、特にコンビ型常用ブレーキ兼スプリングブレーキシリンダ、エアドライヤ又はブレーキブースタ及び少なくとも2つの部分から成る、例えば深絞り加工された金属薄板ケーシングを備えたユニットである。
【0012】
特に有利には、ポンチとケーシング構成部材との間の相対運動は、ユニットの中心軸線に関して軸方向で行われる。択一的に、前記相対運動はユニットの中心軸線に関して半径方向で行うことができる。
【0013】
ポンチは、一方のケーシング構成部材の縁部及び/又は他方のケーシング構成部材の縁部に対して圧力を加える半径方向内側の加工成形部を有する一体の、又は複数部分から成るリングとして形成されていてよい。ポンチとハーフケーシングとの間で軸方向の相対運動が行われる場合、ポンチは一体で、又は複数部分から形成されていてよい。半径方向の相対運動が行われる場合、例えばケーシング構成部材が、その端部側の縁部にわたって半径方向で張り出した領域を有しており、このために、軸方向でガイドされた、ケーシング構成部材を取り囲む一体のリングとぶつかる恐れのある場合は、ポンチは複数部分からのみ形成可能である。
【0014】
ポンチを使用する前に、例えば一方のケーシング構成部材を緊締装置に緊締し且つ他方のケーシング構成部材を前記の一方のケーシング部材に載置して、両ケーシング構成部材の縁部同士をオーバラップさせる。この場合、変形時に生じる反力は、ケーシング構成部材自体若しくは内部に位置する構造により吸収され且つ緊締装置を介して導出される。このことが可能な場合は、ポンチに対応配置されるダイスは省かれていてよく、さもなければ、つまりケーシング構成部材が十分な剛性を有していない場合は、反力を吸収し且つそれ自体に適当な加工成形部が設けられていることに基づき付加的に縁曲げ部の形状付与に役立つことのできる、定置のダイスが設けられている必要がある。
【0015】
変形時に生じる力を小さく保持するためには、一方のケーシング構成部材の縁部をポンチの使用前に、半径方向外側に張り出したショルダを成すように前成形することができる。このことは既に、先行の深絞りプロセスの枠内で行われていてよい。縁曲げ結合部の特に良好な強度は、前記ショルダがアンダカットされた横断面を有している場合に得られる。
【0016】
腐食保護層が、純粋な亜鉛、亜鉛/鉄合金又はアルカリ性の亜鉛/ニッケル合金を有しており、不動態化がクロムめっきを含むものであると、特に良好な腐食保護が得られる。EUのヨーロッパ基準2000/53/CEを満たすためには、クロム(VI)を含有する(六価クロム)溶液は回避されるのが望ましい。
【0017】
実施例の説明
以下に、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。
【0018】
図1には、本発明の有利な実施形態による、既に完成されたコンビ型常用ブレーキ兼スプリングブレーキ装置1が示されている。このコンビ型常用ブレーキ兼スプリングブレーキ装置1は、鋼製の常用ブレーキシリンダ4を備えた常用ブレーキ装置2を有しており、前記常用ブレーキシリンダ4内では空圧を供給可能な常用ブレーキピストン6が案内されており、この常用ブレーキピストン6は常用ブレーキピストンロッド8を介して、例えば商用車のディスクブレーキ(縮尺上の理由から図示せず)を作動させる。更に、鋼製のスプリングブレーキシリンダ12を備えたスプリングブレーキ装置10が設けられており、前記スプリングブレーキシリンダ12内では、空圧によりスプリングブレーキチャンバ14内でばね16のばね力に抗して緊締可能なスプリングブレーキピストン18が案内されており、このスプリングブレーキピストン18により、常用ブレーキピストン56をブレーキ緊締方向で負荷することができる。常用ブレーキシリンダ4とスプリングブレーキシリンダ12とは、相前後して同軸的に配置されて1つのコンビブレーキシリンダ20を形成している。更に、常用ブレーキシリンダ4のヘッド側からは、コンビブレーキシリンダ20を車両に固定できるようにするために、鋼製の固定ピン22が突出している。
【0019】
スプリングブレーキピストン18のスプリングブレーキピストンロッド24は、スプリングブレーキシリンダ12と常用ブレーキシリンダ4との間の隔壁28に設けられた貫通開口26をシール作用を以て貫通し且つその端面で以て常用ブレーキピストン6に当たってよい。この常用ブレーキピストン6は、前記隔壁28と、常用ブレーキシリンダ4の縁部に設けられた半径方向外側のショルダ30との間の外縁側に緊締され且つ軸方向で可動のダイヤフラム32と、このダイヤフラム32に結合された中央のピストンディスク34とを有している。
【0020】
前記ショルダ30は、有利には90度以上曲げられているので、ダイヤフラム32に対して傾斜した接触面が得られる。他方では、隔壁28の半径方向外側の縁部にも傾斜した接触面が設けられているので、その間に半径方向外向きで楔形に拡がる横断面が形成され、この横断面には、相補的に加工成形されたダイヤフラム32の外縁部36が保持されている。
【0021】
更に、公知の形式でスプリングブレーキピストン18はばね16の作用に抗して、スプリングブレーキチャンバ14の空気供給に基づき解除位置にもたらされる。更に、隔壁28と常用ブレーキピストン6との間に延在する常用ブレーキチャンバ38に空気供給することによって、常用ブレーキピストン6を、一方ではこの常用ブレーキピストン6に支持され且つ他方では常用ブレーキシリンダ4の端面に支持された戻しばね40の作用に抗して緊締位置にもたらすことができる。とりわけ、スプリングブレーキピストンロッド24には機械的な解除装置46が組み込まれており、この解除装置46により、スプリングブレーキを圧力降下時に緊急解除又は補助解除することができる。
【0022】
この背景に基づき、以下にコンビ型常用ブレーキ兼スプリングブレーキ装置1の機能形式を説明する。
【0023】
スプリングブレーキと常用ブレーキの両方が解除された、図1に示した状態から出発して、常用ブレーキを緊締させるためには常用ブレーキチャンバ38に空気が供給され、これに続いて、一方では常用ブレーキピストン6が隔壁28から離反して左側に向かってシフトされる。常用ブレーキピストン6のシフトにより、ディスクブレーキが緊締される。
【0024】
これに対して、常用ブレーキチャンバ38の空気抜きは、常用ブレーキピストン6が戻しばね40により解除位置へ、つまり図1で見て右側に向かってシフトされ且つスプリングブレーキピストンロッド24の端面若しくは隔壁28に当たるために働く。
【0025】
常用ブレーキを緊締位置で比較的長く保持するためには、つまり、常用ブレーキチャンバ38内の空圧が若干の時間の経過後に低下するか、又は常用ブレーキチャンバ38が意図的に空気抜きされた場合は、スプリングブレーキを緊締させることが望ましい。このためには、スプリングブレーキチャンバ14が空気抜きされ、続いてばね16がスプリングブレーキピストン18を、端面が常用ブレーキピストン6と接触しているスプリングブレーキピストンロッド24と共に、図1で見て左側に向かって押し退ける。この運動に常用ブレーキピストン6と、この常用ブレーキピストン6に結合された、ディスクブレーキを緊締位置にもたらす若しくは保持する常用ブレーキピストンロッド8とが追従する。
【0026】
コンビブレーキシリンダ20の製作法の枠内で、常用ブレーキシリンダ4とスプリングブレーキシリンダ12とに上で説明した構成部材及び構成群を装備する前に、少なくとも両シリンダ4,12の外向きの表面と、コンビブレーキシリンダ20の確実な固定に関して重要な固定ピン22とに、亜鉛又は亜鉛を含有する合金を有する腐食保護層を付与する。
【0027】
亜鉛及び別の合金金属の腐食保護は、当該の亜鉛及び別の合金金属がベースメタルの鋼よりも優れてはいないので、犠牲陽極として働くということに基づくものである。被覆亜鉛層が設けられている限り、ベースメタルは腐食から保護され続ける。金属異物は亜鉛層の腐食保護に影響を及ぼすことができる。従って、鉄、ニッケル又はコバルトが、合金成分として改良のために意図的に使用され得る。亜鉛自体は、不動態化により、有利にはクロムめっきにより、腐食作用から保護される。
【0028】
特に良好な腐食保護は、腐食保護層が純粋な亜鉛、亜鉛/鉄合金又はアルカリ性の亜鉛/ニッケル合金を有しており且つ不動態化がクロムめっきを含む場合に得られる。EUのヨーロッパ基準2000/53/CEを満たすためには、クロム(VI)を含有する(六価クロム)溶液は回避されるのが望ましい。
【0029】
次に、常用ブレーキシリンダ4及びスプリングブレーキシリンダ12に上で説明した構成部材及び構成群を装備する。このためには、例えば隔壁28を上方からスプリングブレーキシリンダ12に、当該の隔壁28がその半径方向外側の周面に形成された段部48で以てスプリングブレーキシリンダ12の周壁に設けられた相補的な段部50に接触し、これにより軸方向のストッパが形成されるまで、軸方向で挿入する。
【0030】
両シリンダ4,12間の結合部は、縁曲げ部54によって次のように形成される。まず最初に、例えばスプリングブレーキシリンダ12の周面を、半径方向で緊締装置56内に緊締し、常用ブレーキシリンダ4をスプリングブレーキシリンダ12に載置して、両シリンダの縁部30,52をオーバラップさせる、即ち、スプリングブレーキシリンダ12の直線的な端部側の縁部52が、一方では半径方向外側のショルダ30として成形された常用ブレーキシリンダ4の縁部を半径方向で取り囲み、且つ他方では軸方向のオーバラップも行われている。なぜならば、スプリングブレーキシリンダ12の直線的な縁部52は軸方向で所定量だけ、常用ブレーキシリンダ4のショルダ30を越えて突出しているからである。この位置で常用ブレーキシリンダ4は、例えば一方ではその固定ピン22により位置固定されてセンタリングされる。これらの固定ピン22は、定置のヘッドプレート58の貫通開口を介して緊締装置56の部分として挿入されている。他方では、常用ブレーキピストン6のダイヤフラム32の縁部36は既に隔壁28とショルダ30との間に位置決めされている。この出発状態は図2に示されている。
【0031】
縁曲げ部54は、予め相互に位置調整された常用ブレーキシリンダ4及びスプリングブレーキシリンダ12に対するポンチ60の相対運動により形成され、このポンチ60は、例えばまず最初にスプリングブレーキシリンダ12の直線的な縁部52だけを塑性変形させる。このためには、ポンチ60は有利には中心に貫通開口62を備えた一体のリングとして形成されており、前記貫通開口62のサイズは、ポンチ60がぶつかること無く常用ブレーキシリンダ4を取り囲み且つこの常用ブレーキシリンダ4に沿って軸方向で可動な大きさである。更に、ポンチ60のコンビブレーキシリンダ20に面した端面は、半径方向内側の、有利には面取りされた加工成形部64を有しており、この加工成形部64は、スプリングブレーキシリンダ12を塑性変形下で常用ブレーキシリンダ4のショルダ30に対して押圧し且つスプリングブレーキシリンダ12を常用ブレーキシリンダ4のショルダ30と一体に成形するために、スプリングブレーキシリンダ12の縁部52に対して圧力を加えることができる。このためには、コンビブレーキシリンダ20の中心軸線66に関して、ポンチ60の運動が軸方向で行われる。この状態を示す図3では、ポンチ60はその終端位置において端面で以て、緊締装置56の対向位置する端面に支持されたストッパリング68に接触している。このストッパリング68の高さは所望の変形度に関連しており、場合によっては適合可能である。
【0032】
図4では、ポンチ60は再びコンビブレーキシリンダ20との係合外にもたらされており、この場合、常用ブレーキシリンダ4のショルダ30には、スプリングブレーキシリンダ12の縁部52が被さるように形状接続的に係合していると同時に、ダイヤフラム32の半径方向外側の縁部36に圧力が加えられ、これにより、ダイヤフラム32も形状接続的に位置固定される。更にこれにより、隔壁28がスプリングブレーキシリンダ12に形状接続的に保持される。それというのも、隔壁28の半径方向外側の周面に設けられた段部48と、スプリングブレーキシリンダ12の周壁に設けられた段部50とが軸方向で接触し合うからである。これらの段部48,50は反力も吸収する。従って、ポンチ60の唯一回の運動で、4つの別個の構成部材、即ち、常用ブレーキシリンダ4、ダイヤフラム32、スプリングブレーキシリンダ12及び隔壁28が、互いに形状接続的に結合される。
【0033】
ポンチが軸方向で運動する場合、当該ポンチ60は一体で又は複数部分から形成されていてよい。更に、ケーシング構成部材がその端部側の縁部を越えて張り出した領域を有しており、これにより、軸方向でガイドされるリングポンチとぶつかる場合も考えられる。この場合、ポンチ60はその周方向延在部において少なくとも1回分割されている必要があり、この場合は湾曲ポンチが、コンビブレーキシリンダ20の中心軸線66に関して半径方向運動を行う。とりわけ、ポンチ60は常用ブレーキシリンダ4の縁部30も変形することができるか、又は2つの縁部30,52を変形することもできる。更に、スプリングブレーキシリンダ12の縁部52を備えた常用ブレーキシリンダ4のショルダ30は、隔壁28を介在させること無く、縁曲げ部54によって製作されていてよい。スプリングブレーキシリンダ12の、例えば常用ブレーキシリンダに面した端面は、当該スプリングブレーキシリンダ12に結合された、又はスプリングブレーキシリンダ12と一体に構成された壁によって閉鎖されていてよい。
【0034】
上で説明した方法は、コンビブレーキシリンダ20の製作に限定されるものではない。むしろ当該方法を用いて、ブレーキシリンダ、エアドライヤ又はブレーキブースタ等の、車両及び商用車に設けられるあらゆるユニットのケーシングが製作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の方法の有利な実施形態により製作された、コンビ型常用ブレーキ兼スプリングブレーキ装置を横断して示した図である。
【図2】1製作ステップ中の、図1に示したコンビ型常用ブレーキ兼スプリングブレーキ装置を横断して概略的に示した図である。
【図3】別の製作ステップ中の、図1に示したコンビ型常用ブレーキ兼スプリングブレーキ装置を横断して概略的に示した図である。
【図4】更に別の製作ステップ中の、図1に示したコンビ型常用ブレーキ装置兼スプリングブレーキ装置を横断して概略的に示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両、特に商用車に取り付けられるユニットの、少なくとも2つのケーシング構成部材(4,12)から成る鋼製のケーシング(20)を製作するための方法であって、
イ)亜鉛又は亜鉛を含有する合金を有する腐食保護層を、少なくとも1つのケーシング構成部材(4,12)の少なくとも外部に面した表面に付与してから不動態化し、
ロ)予め相互に位置調整された両ケーシング構成部材(4,12)の、一方のケーシング構成部材(4)の縁部(30)及び/又は他方のケーシング構成部材(12)の縁部(52)を塑性変形するポンチ(60)に対する相対運動により、一方のケーシング構成部材(4)の縁部(30)に他方のケーシング構成部材(12)の縁部(52)を形状接続的に被せて係合させることを特徴とする、車両、特に商用車に取り付けられるユニットの、少なくとも2つのケーシング構成部材(4,12)から成る鋼製のケーシング(20)を製作するための方法。
【請求項2】
前記相対運動をユニットの中心軸線(66)に関して軸方向で行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記相対運動をユニットの中心軸線(66)に関して半径方向で行う、請求項1記載の方法。
【請求項4】
ポンチ(60)を、一方のケーシング構成部材の縁部及び/又は他方のケーシング構成部材(12)の縁部(52)に対して圧力を加える加工成形部(64)を備えた一体の、又は複数部分から成るリングとして形成する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記ユニットが、商用車のブレーキシリンダ(20)、エアドライヤ又はブレーキブースタである、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ポンチ(60)の使用前に、一方のケーシング構成部材(12)を緊締し且つ他方のケーシング構成部材(4)を前記の一方のケーシング構成部材に載置して、両ケーシング構成部材(4,12)の縁部(30,52)同士をオーバラップさせる、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ポンチ(60)の使用前に、一方のケーシング構成部材(4)の縁部(30)を、半径方向外側に張り出したショルダ(30)を成すように前成形する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
ポンチ(60)の使用前に、他方のケーシング構成部材(12)の縁部(52)が中心軸線(66)に関して直線的である、請求項6又は7記載の方法。
【請求項9】
腐食保護層が、純粋な亜鉛、亜鉛/鉄合金又はアルカリ性の亜鉛/ニッケル合金を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
不動態化がクロムめっきを含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法で製作された車両ユニット、特に商用車のブレーキシリンダ、エアドライヤ又はブレーキブースタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−524051(P2008−524051A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545968(P2007−545968)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013606
【国際公開番号】WO2006/066832
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(597007363)クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (110)
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D−80809 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】