説明

車両の作動油評価システム

【課題】 作動油の使用態様の厳しさの度合いを評価することに従って、車両の使われ方によって車両毎に異なりうる適切なオイル交換タイミングを通知する。
【解決手段】 車両の走行に応じて発生し作動油の劣化を進めうる多様な劣化要因に関連した複数の劣化要素を取得することで車両の使われ方をモニタリングし、前記複数の劣化要素に基づいて算出したオイル劣化推定値に従って、当該車両に搭載された変速機の作動油の使用態様の厳しさの度合いを判定する。そして、前記作動油の使用態様の厳しさの度合いに応じて作動油の交換タイミングを決定しこれを通知する。このように、作動油の劣化を促進しうる多様な劣化要因に基づく作動油の使用態様の厳しさの度合いを評価することによって将来的な作動油の劣化の進み具合を推定でき、これに従って車両の使われ方によって車両毎に異なりうる適切なオイル交換タイミングを決定し各車両に前もって通知することができるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変速機を潤滑する作動油の交換タイミングを通知する車両の作動油評価システムに関する。特に、作動油の使用態様の厳しさの度合いを評価することに従って、車両の使われ方によって車両毎に異なりうる適切なオイル交換タイミングを通知することのできるようにした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両に搭載されている自動変速機(トランスミッション)の潤滑に用いられる作動油(ATF、ここでは単にオイルとも呼ぶ)は、時間の経過と共に劣化することから適宜の時期に交換する必要がある。そのために、車両の累積走行距離や所定の経過期間などといった交換時期の一応の目安となる交換基準を予め決めておき、この交換基準を実際に経過したときにオイルが劣化したものと推定して当該車両のユーザに対してオイルの交換を通知することが行われている。この場合には、車両の走行距離や経過期間が同じであれば、どの車両であっても全く同じタイミングでオイル交換の通知がなされることになる。
【0003】
ところで、作動油の劣化の進み具合(劣化具合)は実際のところユーザによる車両の運転のされ方、言い換えれば車両の使われ方(使用状況)に応じた作動油の使用態様の厳しさによって相違する。そのため、上記のようにして単に走行距離や経過期間だけに基づいてオイル交換を通知することは、例えばユーザの運転の仕方が荒くて実際にはオイルの劣化が進んでおり既に潤滑作用に支障をきたしているにも関わらず前記交換基準を経過していないとしてオイル交換の通知が行われない場合があるし、反対にユーザの運転の仕方が丁寧で実際にはオイルの劣化が進んでおらず未だ継続して使用可能であるにも関わらず前記交換基準を経過したとしてオイル交換の通知が行われる場合があることから都合が悪い。
【0004】
ここで、下記に示す特許文献1には、クラッチの使用態様の厳しさの度合いを評価する評価システムが開示されている。これを用いれば、上述した作動油の劣化具合を推定することも可能である。すなわち、特許文献1に記載の発明では、ギヤのオンオフ状態に基づいてクラッチの使用態様の厳しさの度合いを評価しているが、クラッチの使用態様が厳しければ作動油の劣化も進むつまりはクラッチの使用態様に応じて作動油の劣化具合は影響を受けるものであることから、前記クラッチの使用態様の厳しさの度合いに従ってオイル交換の通知を行うようにするとよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-234155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述したように、作動油は単に走行距離や経過期間のみに準じて劣化するわけではなく、ユーザによる車両の使われ方つまりは作動油の使用態様の厳しさの度合い(ユーザの作動油に対するシビア度)に比して劣化が促進される。具体的には、車両の運転のされ方によって影響される、例えば変速機内におけるギヤなどの回転体によるせん断、作動油の温度(油温)が上昇することによる作動油の酸化、ギヤやトランスミッションケースの磨耗による異物発生などの多様な劣化要因それぞれに起因して作動油の劣化は促進される。そのため、上記特許文献1に記載されたクラッチ評価システムをそのまま作動油評価システムに応用するのは適当でない。すなわち、上記クラッチ評価システムにおいては、ギヤのオンオフ状態つまりは変速機内でのギヤなどの回転体によるせん断のみを劣化要因として考慮したものであり、その他の劣化要因については何ら考慮されていない。
【0007】
そこで、上記したような多様な劣化要因に基づく作動油の使用態様の厳しさの度合いを評価して、これに基づいて車両(ユーザ)毎に異なりうる作動油が劣化する前の適切なオイル交換タイミングを各車両(ユーザ)に対して前もって通知してオイル交換を促す必要があるが、未だそのようなものは提案されていない。
【0008】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、作動油の劣化を促進しうる多様な劣化要因に基づく作動油の使用態様の厳しさの度合いを評価することによって将来的な作動油の劣化の進み具合を推定し、これに従って車両の使われ方によって車両毎に異なりうる適切なオイル交換タイミングを各車両(ユーザ)に対し作動油が劣化する前に前もって通知することのできるようにした車両の作動油評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る車両の作動油評価システムは、車両(1)に搭載された変速機(CVT)の作動油の交換タイミングを通知する車両の作動油評価システムであって、前記車両(1)の走行に応じて発生し前記作動油の劣化を進めうる多様な劣化要因に関連した複数の劣化要素を取得する取得手段と、前記取得した複数の劣化要素に基づいて、劣化要素毎に作動油の劣化具合に対応したオイル劣化推定値を算出する劣化度算出手段と、前記算出した劣化要素毎のオイル劣化推定値に従って、当該車両(1)に搭載された変速機(CVT)の作動油の使用態様の厳しさの度合いを判定する判定手段と、前記判定した作動油の使用態様の厳しさの度合いに応じて、前記作動油の交換タイミングを決定する決定手段と、前記決定した作動油の交換タイミングを通知する通知手段とを備える。
【0010】
この発明によると、車両(1)の走行に応じて発生し前記作動油の劣化を進めうる多様な劣化要因に関連した複数の劣化要素を取得することで車両の使われ方をモニタリングし、前記取得した複数の劣化要素に基づいて算出したオイル劣化推定値に従って、当該車両(1)に搭載された変速機(CVT)の作動油の使用態様の厳しさの度合いを判定する。そして、前記作動油の使用態様の厳しさの度合いに応じて作動油の交換タイミングを決定しこれを通知するようにした。前記オイル劣化推定値は今までの車両の使われ方によって生じた作動油の劣化具合に対応するものであり、これによれば車両が同じように使われた場合における将来的に作動油が受けるダメージを推定判断することができる。そこで、作動油を激しく劣化する劣化要因に関連する劣化要素に関しては、前記オイル劣化推定値に基づき作動油の使用態様の厳しさの度合いを高く評価して、この評価が高いほど短いサイクルのオイル交換タイミングを決定する。このように、作動油の劣化を促進しうる多様な劣化要因に基づく作動油の使用態様の厳しさの度合いを評価することによって将来的な作動油の劣化の進み具合を推定することができ、これに従って車両毎に異なりうる作動油が劣化する前の適切なオイル交換タイミングを決定し各車両(ユーザ)に対し前もって通知することができるようになる。
【0011】
なお、上記で括弧内に記した図面参照符号は、後述する実施形態において対応する構成要素等を参考のために例示したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作動油の劣化を促進しうる多様な劣化要因に関連した複数の劣化要素に基づいて作動油の使用態様の厳しさの度合いを評価してオイル交換タイミングを決定するようにしたことから、車両毎に異なりうる作動油が劣化する前の適切なオイル交換タイミングを各ユーザに対し前もって通知することができるようになる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にかかる車両の作動油評価システムの全体を模式的に示すブロック図である。
【図2】車両に搭載された自動変速機の動力伝達構成の一実施例を示す概略図である。
【図3】車載端末装置を模式的に示すブロック図である。
【図4】オイル交換通知処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図5】車速劣化度算出処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図6】車速と劣化係数との関係を示す特性図である。
【図7】車速別の走行時間を示す概念図である。
【図8】クリープ劣化度算出処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図9】クリープトルクと劣化係数との関係を示す特性図である。
【図10】クリープトルク別のクリープ時間を示す概念図である。
【図11】ベルト移動量劣化度算出処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図12】発進時劣化度算出処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図13】発進エネルギーと劣化係数との関係を示す特性図である。
【図14】発進エネルギー別の発進回数を示す概念図である。
【図15】SC仕事量劣化度算出処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図16】SC総仕事量を示す概念図である。
【図17】油温劣化度算出処理の一実施例を示すフローチャートである。
【図18】油温と劣化係数との関係を示す特性図である。
【図19】油温別の走行時間を示す概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に従って詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明にかかる車両の作動油評価システムの全体を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、本発明にかかる車両の作動油評価システムは、複数の車両1それぞれに搭載される車載端末装置2と、本システムを提供するシステム運営会社等に設けられるオイル劣化診断装置Oとを備える。各車載端末装置2とオイル劣化診断装置Oとは、例えば携帯電話回線を利用したパケット通信網や無線LAN等の所定の通信ネットワーク3を介して相互に各種データを送受信することが可能に接続される。
【0016】
前記車載端末装置2はコンピュータとしての基本的機能を有しており、車両1に搭載されている自動変速機CVT(例えば後述する図2に示す無断変速機)内を循環する作動油(ATF)に影響して劣化を促進しうる、例えば車速、クリープ力(クリープトルク)、ベルト移動量、発進エネルギー(発進力)、SC(発進クラッチ)仕事量、油温などといった、車両の走行に応じて発生し多様な劣化要因を引き起こしうる劣化要素に関連する各種データ(劣化要素データと呼ぶ)を逐次に取得する。前記取得した劣化要素データは、オイル劣化診断装置Oへ送信されるようになっている。また、車載端末装置2に対してはオイル劣化診断装置Oからオイル交換タイミングが送信される場合があり、そうした場合には当該オイル交換タイミングをディスプレイに表示するあるいは音声案内するなどの適宜の方法によってユーザに対して通知(提示)することのできるようになっている。
【0017】
他方、オイル劣化診断装置Oはサーバとしての基本的機能を有しており、各車両1に搭載された車載端末装置2から逐次に送信されてくる前記劣化要素データに基づいて多様な劣化要因毎に劣化度を算出し、該算出した劣化度に基づいて変速機CVT内を潤滑している作動油に対する使用態様の厳しさの度合い(ユーザの作動油に対するシビア度)をユーザ毎につまりは各車両単位に評価する。前記劣化度はユーザによる各車両1の運転のされ方に依存する「単位距離あたりのオイル劣化推定値」であって、車両1から取得した劣化要素データから所定の演算式に従って劣化要因毎にそれぞれ算出することのできるようにしている(詳しくは後述する)。
【0018】
そして、オイル劣化診断装置Oは、前記車両1毎に評価した作動油の使用態様の厳しさの度合いに基づいて各車両1毎のオイル交換タイミングを決定し、該決定したオイル交換タイミングが例えば所定の期間内(例えば1ヶ月以内)に到来する車両1に対し、前記決定したオイル交換タイミングを送信する。勿論、これに限らず、前記所定期間に関係なしにオイル交換タイミングの決定にあわせて全ての車両1に対してオイル交換タイミングを送信するようにしてもよいし、あるいは車両の整備者や販売者などが適宜に送信対象の車両1を指定できるようになっていてもよい。
【0019】
ここで、本発明にかかる車両の作動油評価システムにおいて、作動油の使用態様の厳しさの度合いを評価する対象となる自動変速機CVTの一例を図2に示す。図2は、車両に搭載された自動変速機の動力伝達構成の一実施例を示す概略図である。
【0020】
図2から理解できるように、この実施例に示す自動変速機CVTは、エンジンJと、このエンジンJの出力軸Esにカップリング機構CPを介して連結された無断変速機構Tとから構成される。無断変速機構Tは、入力軸41とカウンタ軸42との間に配設された金属Vベルト機構50と、前記入力軸41の上に配設された前後進切換機構60と、前記カウンタ軸42の上に配設された発進クラッチ45とを備えて構成される。この無断変速機構Tは車両用として用いられるものであって、前記入力軸41はカップリング機構CPを介してエンジンJの出力軸Esと連結され、また発進クラッチ45からの駆動力はディファレンシャル機構48から左右のアクスルシャフト48a,48bを介して左右の車輪(図示せず)に伝達されるようになっている。
【0021】
金属Vベルト機構50は、入力軸41上に配設されたドライブ側可動プーリ51と、カウンタ軸42上に配設されたドリブン側可動プーリ56と、両プーリ51,56間に巻き掛けられた金属Vベルト55から構成される。ドライブ側可動プーリ51は、入力軸41上に回転自在に配設された固定プーリ半体52と、該固定プーリ半体52に対して入力軸41の軸方向に相対移動可能な可動プーリ半体53とを有する。前記可動プーリ半体53の側方にはシリンダ壁52aにより囲まれてドライブ側シリンダ室54が形成されており、このドライブ側シリンダ室54にコントロールバルブCVから油路71を介して供給されるプーリ制御油圧により、可動プーリ半体53を入力軸41の軸方向に移動させるドライブ側圧が発生される。
【0022】
上記構成から理解できるように、両シリンダ室54,59への供給油圧(ドライブ及びドリブン側圧)はコントロールバルブCVにより制御可能であって、このドライブ及びドリブン側圧を相違させた場合には、両プーリのプーリ溝幅が変化することに伴って金属Vベルト55の巻き掛け半径が変化することから、これにより変速比を無段階に変化させることができるようになっている。
【0023】
前記切換機構60は遊星歯車機構からなり、入力軸41に結合されたサンギヤ61と、固定プーリ半体52に結合されたリングギヤ62と、後進用ブレーキ67により固定保持可能なキャリア63と、前記サンギヤ61と前記リングギヤ62とを連結可能な前進用クラッチ65とを備える。こうした切換機構60において、前進用クラッチ65が係合された場合には全ギヤ61,62,63が入力軸41と一体に回転し、エンジンEの駆動によりドライブ側プーリ51は入力軸41と同じ方向(前進方向)に回転駆動される。一方、後進用ブレーキ67が係合された場合にはキャリア63が固定保持されるため、リングギヤ62はサンギヤ61と逆方向に駆動されることとなり、エンジンEの駆動によりドライブ側プーリ51は入力軸41と逆方向(後進方向)に回転駆動される。
【0024】
発進クラッチ45は、カウンタ軸42と出力側部材すなわち動力伝達ギヤ46a,46b,47a,47bとの動力伝達を制御するクラッチであり、これらが係合されると両者間での動力伝達が可能となる。このため、発進クラッチ45が係合されているときには、金属Vベルト機構50により変速されたエンジン出力が動力伝達ギヤ46a,46b,47a,47bを介してディファレンシャル機構48へと伝達されて、ディファレンシャル機構48により分割されたそれぞれのエンジン出力が左右のアクスルシャフト48a,48bを介して左右の車輪(図示せず)に伝達される。このような発進クラッチ45の係合制御は、コントロールバルブCVから油路73を介して供給されるクラッチ制御油圧により行われる。
【0025】
図1に戻って、上述したような各種制御を行うオイル劣化診断装置O及び車載端末装置2の詳細を説明する。図1に示すように、オイル劣化診断装置Oは、制御部4と送受信部5とデータ蓄積部6とを有する。制御部4は、例えばCPU,ROM,RAM及び入出力インタフェース等を含んで構成されてなり(図示せず)、RAMの一時記憶機能を用いながらROMに格納されている各種制御プログラムに従って所定の機能を実現するマイクロコンピュータである。この実施例において、前記制御部4は、車速劣化度算出部A,クリープ劣化度算出部B,ベルト移動量劣化度算出部C,発進時劣化度算出部D,SC(発進クラッチ)仕事量劣化度算出部E,油温劣化度算出部F,オイル交換通知部Gを有する。
【0026】
車速劣化度算出部Aは、車載端末装置2から送信された劣化要素データのうち車両の走行速度に関するデータに基づいて、作動油を劣化させる要因の1つとなりうる車速に関連した作動油の劣化具合に対応する車速劣化度を算出する。クリープ劣化度算出部Bは、車載端末装置2から送信された劣化要素データのうちクリープ現象時の駆動力(クリープトルク)に関するデータに基づいて、作動油を劣化させる要因の1つとなりうるクリープトルクに関連した作動油の劣化具合に対応するクリープ劣化度を算出する。ベルト移動量劣化度算出部Cは、車載端末装置2から送信された劣化要素データのうち変速比を変化した際の金属Vベルト55の巻き掛け半径(あるいはベルト巻きつき径)に関するデータに基づいて、作動油を劣化させる要因の1つとなりうる変速動作に関連した作動油の劣化具合に対応するベルト移動量劣化度を算出する。
【0027】
発進時劣化度算出部Dは、車載端末装置2から送信された劣化要素データのうち車両を発進させる際にかかった発進力(例えば急発進であればあるほど発進力は大きくなる)に関するデータに基づいて、作動油を劣化させる要因の1つとなりうる急発進に関連した作動油の劣化具合に対応する発進時劣化度を算出する。SC仕事量劣化度算出部Eは、車載端末装置2から送信された劣化要素データのうち車両を発進させる際にかかった発進クラッチの仕事量(例えば急発進であればあるほど仕事量は大きくなる)に関するデータに基づいて、作動油を劣化させる要因の1つとなりうる急発進に関連した作動油の劣化具合に対応するSC仕事量劣化度を算出する。油温劣化度算出部Fは、車載端末装置2から送信された劣化要素データのうち作動油の油温に関するデータに基づいて、作動油を劣化させる要因の1つとなりうる油温に関連した作動油の劣化具合に対応する油温劣化度を算出する。オイル交換通知部Gは、前記算出した各劣化度を元に作動油に対する使用態様の厳しさの度合い(ユーザの作動油に対するシビア度)を評価し、使用態様が厳しいシビアユーザに関しオイル交換タイミングを決定し、該決定したオイル交換タイミングを送受信部5に出力する。
【0028】
送受信部5は、車載端末装置2との間で通信ネットワーク3を介して各種データの送受信を行う。送受信部5は、各車両1の車載端末装置2から劣化要素データを受信した場合には該受信した劣化要素データをデータ蓄積部6に蓄積して記憶させる一方で、上記のようにしてオイル交換通知部Gからオイル交換タイミングが出力された場合には、出力されたオイル交換タイミングを該当する車両1の車載端末装置2に対して送信する。データ蓄積部6にはこの作動油評価システムからオイル交換タイミング通知の提供を受ける全車両をそれぞれ特定するための情報(例えば車体番号など)が予め登録されており、取得した劣化要素データはその供給元である対象車両に関連付けられた状態で記憶される。
【0029】
なお、データ蓄積部6には、作動油の使用態様の厳しさの度合いを示す各劣化要因毎の劣化度を車両1から取得した所定の劣化要素データに基づいて算出するために用いる演算式などが予め記憶されていてよい。後述するように、本実施形態では係る演算式によって上述した車速劣化度,クリープ劣化度,ベルト移動量劣化度,発進時劣化度,SC仕事量劣化度,油温劣化度などの、図2に示したような無断変速機CVT内を循環する作動油を劣化しうる要因となる複数の多様な劣化要因毎に劣化度を算出する。
【0030】
図3に示すように、各車両1は車載端末装置2に加えて、それぞれが異なる劣化要素データを検出する車速検出部13,クリープ力検出部14,ベルト径検出部15,発進エネルギー検出部16,SC仕事量検出部17,油温検出部18を有する。車速検出部13は、車両1の車速を検出する。クリープ力検出部14は、運転者がアクセルペダルを踏むことなくエンジンがアイドリングの状態で車両1が動くクリープ現象時にかかった駆動力(クリープトルク)をその時間(クリープ時間)と共に検出する。ベルト径検出部15は、変速比を変化した際の可動プーリ半体53における金属Vベルト55の巻き掛け半径の移動量(変位量)を検出する。
【0031】
発進エネルギー検出部16は、車両1を停止状態から発進させる際にかかった駆動力(発進力)を検出する。SC仕事量検出部17は、車両1を停止状態から発進させる際にかかった発進クラッチ45の仕事量を検出する。油温検出部18は、作動油の温度を検出する。さらに、図示を省略した計測部により車両1の走行開始から走行停止までの走行時間や走った距離の累積値(累積走行距離)などが計測される。
【0032】
車載端末装置2は、制御部Nと送受信部12とを有する。送受信部12は、通信ネットワーク3を介してオイル劣化診断装置Oと各種データの送受信を行う。制御部NはCPUによって構成され、データ取得部10と提示部11とを有する。データ取得部10は、上記した車速検出部13,クリープ力検出部14,ベルト径検出部15,発進エネルギー検出部16,SC仕事量検出部17,油温検出部18により検出された各劣化要素データ、計測された走行時間や累積走行距離などを逐次に取得して送受信部12からオイル劣化診断装置Oに送信する。
【0033】
また、データ取得部10はオイル劣化診断装置Oからオイル交換タイミングを受信したときに、受信したオイル交換タイミングを提示部11に出力する。提示部11は前記オイル交換タイミングを表示するディスプレイ(表示装置)や音声によって読み上げる音響装置などが含まれていてよく、例えば「後100km走行するまでにオイル交換を行ってください」あるいは「2週間以内にオイル交換を行ってください」のようにしてオイル交換タイミングをユーザに提示する。前記オイル交換までの走行距離や期間などは、過去の車両の運転のされ方から推定される。ユーザは提示部11によって提示されるオイル交換タイミングをみるあるいは音声で聞くなどすることによって、オイル交換時期を確認することができる。
【0034】
次に、多様な劣化要因毎に作動油の使用態様の厳しさの度合いを評価することによって、ユーザ(車両)毎に適切なオイル交換タイミングを通知する「オイル交換通知処理」について説明する。図4は、オイル交換通知処理の一実施例を示すフローチャートである。当該処理はオイル劣化診断装置Oの制御部4によって実行される処理であり、制御部4は当該処理を予め決められた所定の時間間隔毎に自動的に実行してもよいし、車両1から適宜に通知要求(実行命令)を受信したときに実行してもよい。なお、本処理は各車両1単位に行われることは言うまでもない。
【0035】
ステップS1は、「劣化要因別劣化度算出処理」を実行する。当該処理では上述した車速劣化度,クリープ劣化度,ベルト移動量劣化度,発進時劣化度,SC仕事量劣化度,油温劣化度など、多様な劣化要因毎に劣化度(オイル劣化推定値)を算出する。ここで、「劣化要因別劣化度算出処理」について詳細を説明する。ただし、劣化要因毎に劣化度を算出するアルゴリズムは異なるものであることから、以下では多様な劣化要因を引き起こしうる関連データつまりは車速、クリープ力、ベルト移動量、発進エネルギー、SC仕事量、油温といった劣化要素毎に処理を分けて説明する。
【0036】
まず、車速に関連した劣化度を算出する「車速劣化度算出処理」について、図5〜図7を用いて説明する。図5は、車速劣化度算出処理の一実施例を示すフローチャートである。図6は、車速と劣化係数との関係を示す特性図である。縦軸は劣化係数を示し、横軸は車速を示す。図7は、車速別の走行時間を示す概念図である。
【0037】
ステップS11は、データ蓄積部6に蓄積されている劣化要素データの中から車速,走行時間,さらに累積走行距離を取得する。ステップS12は、前記取得した車速及び走行時間に基づく所定の車速範囲別の走行時間(sec)に所定の重み係数を乗算して前記車速範囲別に車速頻度(発生頻度)を算出すると共に、該算出した車速頻度を車速範囲に関わらず累積してその総和(累積値)を求める。前記重み係数は、図6に示すような車速の増加に伴い2次関数的に増大する特性を有する劣化係数に従っていずれかの係数が車速範囲別に決定される。前記車速範囲別の走行時間(sec)は、前記取得した車速を図7に示すような所定の車速範囲毎に(ここでは10km/h)分類し、当該範囲に分類された車速の走行時間を加算することによって算出される、いわば全走行時間のうちの各車速範囲で走行した時間である。例えば図示の例において、車速30〜40km/hの車速別の走行時間は図中において斜線部分で示される各走行時間の和である。ステップS13は、データ蓄積部6から前回走行時までの累積値を読み出して、これに前記求めた累積値を加算してデータ蓄積部6に記憶する。ステップS14は、前記加算後の累積値を前記取得した累積走行距離で除算することによって車速劣化度を算出する。
【0038】
クリープトルクに関連した劣化度を算出する「クリープ劣化度算出処理」について、図8〜図10を用いて説明する。図8は、クリープ劣化度算出処理の一実施例を示すフローチャートである。図9は、クリープトルクと劣化係数との関係を示す特性図である。縦軸は劣化係数を示し、横軸はクリープトルクを示す。図10は、クリープトルク別のクリープ時間を示す概念図である。
【0039】
ステップS21は、データ蓄積部6に蓄積されている劣化要素データの中からクリープトルク,クリープ時間さらに累積走行距離を取得する。ステップS22は、前記取得したクリープトルク及びクリープ時間に基づく所定のクリープトルク強度別のクリープ時間(sec)に所定の重み係数を乗算して前記クリープトルク強度別にクリープ頻度(発生頻度)を算出すると共に、該算出したクリープ頻度をクリープトルク強度に関わらず累積してその総和(累積値)を求める。前記重み係数は、図9に示すようなクリープトルクの増加に伴い比して増大する特性を有する劣化係数に従っていずれかがクリープトルク強度別に決定される。前記クリープトルク強度別のクリープ時間(sec)は、前記取得したクリープトルクを図10に示すような所定のクリープトルク強度のいずれかに(ここでは強,中,弱)分類し、当該強度に分類されたクリープトルクがかかった時間(クリープ時間)を加算することによって算出される、いわば全クリープ時間のうちの各クリープトルク強度がかけられた時間である。ステップS23は、データ蓄積部6から前回走行時までの累積値を読み出し、これに前記求めた累積値を加算してデータ蓄積部6に記憶する。ステップS24は、前記加算後の累積値を前記取得した累積走行距離で除算することによってクリープ劣化度を算出する。
【0040】
ベルト移動量に関連した劣化度を算出する「ベルト移動量劣化度算出処理」について、図11を用いて説明する。図11は、ベルト移動量劣化度算出処理の一実施例を示すフローチャートである。
【0041】
ステップS31は、データ蓄積部6に蓄積されている劣化要素データの中からベルト巻きつき径,さらに累積走行距離を取得する。ステップS32は、前記取得したベルト巻きつき径に基づきその前(変速前の特定のギヤ比)のベルト巻きつき径からの変化分であるベルト移動量(変位量)を求め、これに所定の重み係数を乗算したもの(発生頻度)を累積してその総和(累積値)を求める。前記重み係数は、予め車種毎に決められた劣化係数(固定値)を用いる。ステップS33は、データ蓄積部6から前回走行時までの累積値を読み出し、これに前記求めた累積値を加算してデータ蓄積部6に記憶する。ステップS34は、前記加算後の累積値を前記取得した累積走行距離で除算することによってベルト移動量劣化度を算出する。
【0042】
発進エネルギーに関連した劣化度を算出する「発進時劣化度算出処理」について、図12〜図14を用いて説明する。図12は、発進時劣化度算出処理の一実施例を示すフローチャートである。図13は、発進エネルギーと劣化係数との関係を示す特性図である。縦軸は劣化係数を示し、横軸は発進エネルギーを示す。図14は、発進エネルギー別の発進回数を示す概念図である。
【0043】
ステップS41は、データ蓄積部6に蓄積されている劣化要素データの中から発進エネルギー,発進回数,さらに累積走行距離を取得する。ステップS42は、前記取得した発進エネルギー及び発進回数に基づく発進エネルギー大小別の発進回数に所定の重み係数を乗算して発進エネルギー大小別に発進頻度(発生頻度)を算出すると共に、該算出した発進頻度を前記発進エネルギー大小に関わらず累積してその総和(累積値)を求める。前記重み係数は、図13に示すような発進エネルギーの増加に伴い2次関数的に増大する特性を有する劣化係数に従っていずれかが発進エネルギー大小別に決定される。前記発進エネルギー大小別の発進回数は、前記取得した発進エネルギーを図14に示すような所定の発進エネルギー大小毎に(ここでは大,中上,中小,小)分類し、当該大きさに分類された発進エネルギーで発進された回数(発進回数)を加算することによって算出される、いわば全発進回数のうちの各発進エネルギーで発進された回数である。ステップS43は、データ蓄積部6から前回走行時までの累積値を読み出し、これに前記求めた累積値を加算してデータ蓄積部6に記憶する。ステップS44は、前記加算後の累積値を前記取得した累積走行距離で除算することによって発進時劣化度を算出する。
【0044】
SC仕事量に関連した劣化度を算出する「SC仕事量劣化度算出処理」について図15,図16を用いて説明する。図15は、SC仕事量劣化度算出処理の一実施例を示すフローチャートである。図16は、SC総仕事量を示す概念図である。
【0045】
ステップS51は、データ蓄積部6に蓄積されている劣化要素データの中からSC仕事量,走行時間,累積走行距離を取得する。ステップS52は、前記取得したSC仕事量に所定の重み係数を乗算したもの(発生頻度)を累積してその総和(累積値)を求める。前記重み係数は、予め車種毎に決められた劣化係数(固定値)を用いる。前記累積値は、図16において斜線で示される部分に該当するSC総仕事量である。ステップS53は、データ蓄積部6から前回走行時までの累積値を読み出し、これに前記求めた累積値を加算してデータ蓄積部6に記憶する。ステップS54は、前記加算後の累積値を前記取得した累積走行距離で除算することによってSC仕事量劣化度を算出する。
【0046】
油温に関連した劣化度を算出する「油温劣化度算出処理」について、図17〜図19を用いて説明する。図17は、油温劣化度算出処理の一実施例を示すフローチャートである。図18は、油温と劣化係数との関係を示す特性図である。縦軸は劣化係数を示し、横軸は油温を示す。図19は、油温別の走行時間を示す概念図である。
【0047】
ステップS61は、データ蓄積部6に蓄積されている劣化要素データの中から油温,走行時間,累積走行距離を取得する。ステップS62は、前記取得した油温及び走行時間に基づく所定の油温別の走行時間(sec)に所定の重み係数を乗算して油温別に油温頻度(発生頻度)を算出すると共に、該算出した油温頻度を油温に関わらず累積してその総和(累積値)を求める。前記重み係数は、図18に示すような油温の増加に伴い対数関数的に増大する特性を有する劣化係数に従っていずれかが油温別に決定される。前記油温別の走行時間(sec)は、前記取得した油温を図19に示すような所定の油温の範囲毎に(ここでは25℃単位)分類し、当該範囲に分類された油温で走行した時間(走行時間)を加算することによって算出される、いわば全走行時間のうちの各油温の範囲で走行した時間である。ステップS63は、データ蓄積部6から前回走行時までの累積値を読み出し、これに前記求めた累積値を加算してデータ蓄積部6に記憶する。ステップS64は、前記加算後の累積値を前記取得した累積走行距離で除算することによってクリープ劣化度を算出する。
【0048】
図4の説明に戻って、ステップS2は各車両1において累積走行距離が予め決められた所定距離以上であるか否かを判定する。累積走行距離が所定距離に達していないと判定した場合には(ステップS2のNO)、走行距離の累積不足(ステップS6)として本処理を終了する。すなわち、累積走行距離がオイル劣化を判断するに足りない短い距離であるような場合には、ユーザによる車両の使われ方が安定していない(累積情報が少なく不確かである)ことから、作動油の使用態様の厳しさの度合いを評価せずオイル交換タイミングを通知しない。
【0049】
他方、累積走行距離が所定距離以上に達していると判定した場合には(ステップS2のYES)、上記「劣化要因別劣化度算出処理」によって算出された劣化要因(劣化要素)別の劣化度のうちいずれかが予め劣化要因別に決められている所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS3)。いずれかの劣化度が閾値以上である場合には(ステップS3のYES)、作動油の使用態様の厳しさの度合いを示す指標として「シビアユーザ」と評価する(ステップS5)。この際には、閾値を超えた劣化度に従って各車両1(ユーザ)をランク付けして評価する。例えば閾値を超えた劣化度が車速劣化度であれば「シビアユーザA」、クリープ劣化度やベルト移動量劣化度であれば「シビアユーザB」、発進時劣化度やSC仕事量劣化度であれば「シビアユーザC」、油温劣化度であれば「シビアユーザD」などといったように、劣化度つまりは高車速走行型,低車速型,発進エネルギー大型,高油温型などの各劣化要因(劣化要素)によるオイル劣化に及ぼす影響の大小に従ってランク付ける。例えば、影響が大きいものを高くランク付けて評価する。なお、複数の劣化度が閾値以上である場合には、例えばランクAなどのようにして高い方にランク付けられることになる(勿論、反対に低くランク付けしてもよい)。このようにして、各車両毎に作動油の使用態様の厳しさの度合いを「シビアユーザA」〜「シビアユーザD」のように評価付ける。
【0050】
いずれの劣化度も閾値以上でないと判定した場合には(ステップS3のNO)、作動油の使用態様の厳しさの度合いを示す指標として「ノーマルユーザ」と評価する(ステップS4)。ステップS7は、上記評価に従いオイル交換タイミングを決定する。ステップS8は、前記決定したオイル交換タイミングを当該車両1に対して通知(送信)する。オイル交換タイミングは上記評価のランクによって異なる。すなわち、高くランク付けられた車両(ユーザ)は作動油の使用態様の厳しさの度合いが他の車両(ユーザ)と比較すると非常に高い車両であるといえオイルの劣化が進みやすく、したがってランクが高ければ高いほどオイルの交換サイクルを短期間にする必要がある。そこで、上記したような評価を行うことにより、例えば過去の走行記録(特には走行距離、走行時間)に基づく過去の車両の使われ方(使用状況)から同じような運転が続けられた場合のオイル劣化の進み具合を上記劣化度つまり「単位距離あたりのオイル劣化推定値」さらには走行時間等に基づき予測して、あるいはランク別に予め決められている所定の交換サイクル(期間あるいは距離)から逆算して、オイル交換タイミングを決定することができるようになる。なお、「ノーマルユーザ」と評価された場合には、予め決められた車両の累積走行距離や所定の経過期間などといった交換時期の一応の目安となる交換基準に従って逆算したオイル交換タイミングに決定すればよい。
【0051】
以上説明したように、本発明にかかる車両の作動油評価システムでは、車両の走行に応じて発生し前記作動油の劣化を進めうる多様な劣化要因に関連した複数の劣化要素を取得することで車両の使われ方をモニタリングし、前記取得した複数の劣化要素に基づいて算出したオイル劣化推定値に従って、当該車両に搭載された変速機の作動油の使用態様の厳しさの度合いを判定する。そして、前記作動油の使用態様の厳しさの度合いに応じて作動油の交換タイミングを決定しこれを通知する。前記オイル劣化推定値は今までの車両の使われ方によって生じた作動油の劣化具合に対応するものであり、これによれば車両が同じように使われた場合における将来的に作動油が受けるダメージを推定判断することができる。そこで、作動油を激しく劣化する劣化要因に関連する劣化要素に関しては、前記オイル劣化推定値に基づき作動油の使用態様の厳しさの度合いを高く評価して、この評価が高いほど短いサイクルのオイル交換タイミングを決定する。このようにして、作動油の劣化を促進しうる多様な劣化要因に基づく作動油の使用態様の厳しさの度合いを評価することによって将来的な作動油の劣化の進み具合を推定することができることから、これに従って車両毎に異なりうる作動油が劣化する前の適切なオイル交換タイミングを決定し各車両(ユーザ)に対し前もって通知することができるようになる。
【0052】
以上、図面に基づいて実施形態の一例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な実施形態が可能であることは言うまでもない。例えば、上述した実施例においては、作動油の使用態様の厳しさの度合いを評価する対象となる自動変速機として無段変速機を例に示したがこれに限らない。また、自動変速機でなくてもよい。
なお、上述した実施例においては、オイル交換タイミングを各車両(より詳しくは運転者)に通知するようにしたがこれに限らず、運転者以外の車両の整備者や車両の販売者など車両に関係する様々な人々が有する車両に搭載されていないユーザ端末装置に、予め登録されている全ての車両に関するオイル交換タイミングをまとめて通知するようにしてもよい。
なお、上述した複数の劣化要素のうち任意の劣化要素のみを指定して「オイル交換通知処理」を実行可能にしてもよい。こうした場合には、オイル交換タイミングの通知にあわせて関連する部品のチェック(例えば金属Vベルトの張りやプーリなどの磨耗等)を行うように通知することができるようになり便利である。
【符号の説明】
【0053】
1…車両
2…車載端末装置
3…通信ネットワーク
4…制御部
5(12)…送受信部
6…データ蓄積部
10…データ取得部
11…提示部
13…車速検出部
14…クリープ力検出部
15…ベルト径検出部
16…発進エネルギー検出部
17…SC仕事量検出部
18…油温検出部
A…車速劣化度算出部
B…クリープ劣化度算出部
C…ベルト移動量劣化度算出部
D…発進時劣化度算出部
E…SC仕事量劣化度算出部
F…油温劣化度算出部
G…オイル交換通知部
CVT…自動変速機
O…オイル劣化診断装置
T…無段変速機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された変速機の作動油の交換タイミングを通知する車両の作動油評価システムであって、
前記車両の走行に応じて発生し前記作動油の劣化を進めうる多様な劣化要因に関連した複数の劣化要素を取得する取得手段と、
前記取得した複数の劣化要素に基づいて、劣化要素毎に作動油の劣化具合に対応したオイル劣化推定値を算出する劣化度算出手段と、
前記算出した劣化要素毎のオイル劣化推定値に従って、当該車両に搭載された変速機の作動油の使用態様の厳しさの度合いを判定する判定手段と、
前記判定した作動油の使用態様の厳しさの度合いに応じて、前記作動油の交換タイミングを決定する決定手段と、
前記決定した作動油の交換タイミングを通知する通知手段と
を備える車両の作動油評価システム。
【請求項2】
前記劣化度算出手段は、前記取得した劣化要素と当該劣化要素に応じて決まる所定の劣化係数とから求める発生頻度を累積し、該累積値を走行距離で除算することによって単位距離あたりにおける作動油の劣化具合を表すオイル劣化推定値を算出することを特徴とする請求項1に記載の車両の作動油評価システム。
【請求項3】
車両に搭載された変速機は無段変速機であって、前記劣化要素は車速、クリープ力、発進エネルギー、油温の他に、無段変速機に特有のベルト移動量、発進クラッチ仕事量のいずれかを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の作動油評価システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−214932(P2011−214932A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82132(P2010−82132)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】