説明

車両の制御情報演算システム

【課題】電車の走行制御において、精度の高い走行制御が可能な車両の制御情報演算システムを得ること。
【解決手段】車両の制御情報演算システムにおいて、車両内の乗車数を計測して車両毎の乗車数の情報である乗車数情報を生成する乗車数計測部と、前記乗車数情報に基づいて車両毎の車重の演算を行って車重に関する情報である車重情報を生成する車重演算部と、前記車重情報に基づいて、車両の走行を制御するための走行制御情報の演算を行う走行制御情報演算部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電車の車両の制御情報演算システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にブレーキ力Fは、(車両重量M)×(減速度α)で表せるが、電車の電気車用ブレーキ装置には(車両重量M)の代用として空気ばね圧信号を用いている(たとえば、特許文献1参照)。空気ばね圧信号とは、電車の台車に搭載されている空気ばねの圧力を圧力変換器により電気信号に変換した信号である。台車重量は車両により決まっており、乗車人数・積載荷重等は依存しない。逆に、乗車人数・積載荷重等は、台車上に搭載されるため、空気ばね圧力は変位する。
【0003】
電気車用ブレーキ装置は、空気ばね圧信号を圧力に逆変換し、空気ばね圧を換算している。空気バネは電車車両1台車につき例えば2個取り付けられている。もしも、一方の空気ばねまたは圧力変換器が異常になった場合は、健全な圧力変換器のみを用いて車重を求めている。全ての空気ばねまたは圧力変換器が異常になった場合は、車重を空車または満車の設定とし、ブレーキ力を演算している。
【0004】
また、車両のドアが閉まり、車両が動き出すために加速を開始し、加速直後からある一定の期間、空気ばね圧信号をモニタリングし、加速直後から停車間際まで車重を一定の値にしてブレーキ力を演算している。
【0005】
(減速度α)は、ブレーキ指令または自動列車制御装置(ATC:automatic train control)指令に基づく数値である。
【0006】
【特許文献1】特開平11−235972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の技術によれば、圧力変換器を台車毎または軸毎に設置しており、空気ばねまたは圧力変換器が異常となった場合は、冗長性の不足、精度の粗い車重測定値を基にして演算しなければならない、などの問題があった。この結果、正確で安全なブレーキ力を確保できない結果を招いていた。また、圧力変換器を車両のブレーキ制御装置内に設置することにより、ぎ装配線の増加、ぎ装面積が拡大していた。
【0008】
また、車両が加速直後からある一定の期間、空気ばね圧信号をモニタリングし、加速直後から停車間際まで、車重を一定の値にしてブレーキ力演算しているため、走行中に乗客などが他の車両などに移動等をすると、リアルタイムで、車両単位の正確な車重でブレーキ力の演算ができなくなる、という問題があった。
【0009】
また、連接車両の場合、台車が2車体の間に跨っているので、空気ばね圧から車重を演算する手法では、車両単位の車重が正確に把握できず、正確なブレーキ力演算ができないという問題があった。
【0010】
また、電車の力行の加速時においても、走行中に乗客などが他の車両などに移動等をすると、リアルタイムで、車両単位の正確な車重で加速力の演算ができなくなる、という問題があった。
【0011】
すなわち、従来の電車の走行制御においては、精度に関してまだ改善の余地があり、十分に精度の高い制御技術は未だ確立されていないのが現状である。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電車の走行制御において、精度の高い走行制御が可能な車両の制御情報演算システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる車両の制御情報演算システムは、車両内の乗車数を計測して車両毎の乗車数の情報である乗車数情報を生成する乗車数計測部と、前記乗車数情報に基づいて車両毎の車重の演算を行って車重に関する情報である車重情報を生成する車重演算部と、前記車重情報に基づいて、車両の走行を制御するための走行制御情報の演算を行う走行制御情報演算部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、簡略な構成で、編成単位、車両毎および乗降ドア毎等で、一駅毎に実情に沿ったブレーキ力の演算を精度良く行うことができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる車両の制御情報演算システムであるブレーキ力演算システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0016】
実施の形態1.
図1および図2は、本発明の実施の形態1にかかるブレーキ力演算システムの概略構成を説明するための図である。図1および図2に示すように、本実施の形態にかかるブレーキ力演算システムは、地上側設備としてカメラ1と、画像処理部2と、車重演算部3と、地上側無線通信部4と、伝送線8と、を有する。
【0017】
カメラ1は、電車の車両の車重を演算するための車重計測データを計測する車重計測センサである。画像処理部2は、カメラ1で撮像した車重計測データの画像処理を行って、車両毎に乗車数情報または乗降人数情報を生成する。ここでは、カメラ1と画像処理部2とで、請求項における乗車数計測部を構成する。
【0018】
車重演算部3は、乗車数情報に基づいて車両毎の車重の演算を行って、車重に関する情報である車重情報を生成する(請求項における車重演算部に対応)。地上側無線通信部4は、地上と車両との間の通信を行う(請求項における無線通信部に対応)。伝送線8は、上記の各部を接続する。これらは駅のホーム11に配置される。また、画像処理部2と車重演算部3と地上側無線通信部4とは、駅のホーム11に配置された地上設備12に備えられる。
【0019】
また、本実施の形態にかかるブレーキ力演算システムは、車両側設備として、車両側無線通信部5と、制御伝送部6と、ブレーキ制御部7と、伝送線8と、を車両10の台車13に有する。車両側無線通信部5は、地上と車両との間の通信を行う(請求項における無線通信部に対応)。制御伝送部6は、車両側設備においてブレーキの制御に関する情報の伝送を行う。ブレーキ制御部7は、ブレーキ受量器9を有する。ブレーキ受量器9は、車両の走行を制御するための走行制御情報としてブレーキ力の演算を車重情報に基づいて行う(請求項における走行制御情報演算部に対応)。ブレーキ制御部7は、ブレーキ受量器9で演算した走行制御情報に基づいてブレーキ指令を発生する。
【0020】
つぎに、本実施の形態にかかるブレーキ力演算システムの動作について図3−1および図3−2を参照して説明する。図3−1および図3−2は、実施の形態1にかかるブレーキ力演算システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【0021】
まず、電車が始発駅から発車する場合におけるブレーキ力演算システムの動作について図3−1を参照して説明する。始発駅において電車が発車する際、車重計量のためにカメラ1は、電車の車両の車重を演算するための車重計測データを計測する。すなわち、駅のホーム11において車両が停車した際のドア近傍に設置してあるたとえばビデオカメラなどのカメラ1により車両内を撮像し(ステップS110)、その撮像データを画像処理部2に送る。画像処理部2は、カメラ1から送られた撮像データに対して所定の画像処理を施して(ステップS120)、車両における乗車数を計測して車両毎に乗車数情報を生成する(ステップS130)。そして、画像処理部2は、生成した乗車数情報を車重演算部3に送る。
【0022】
車重演算部3は、画像処理部2から乗車数情報を受け取ると、該乗車数情報に基づいて車重を演算して車重に関する車重情報を生成する(ステップS140)。乗車数から車重を演算する方法は、たとえばイメージセンサ等によるエッジ強調などの画像処理を用いて人または物の輪郭から重量を推定して行う。また、赤外線センサ等を用いて、人または物の重量を推定しても良い。
【0023】
このようにして得られた乗車数情報および車重情報は、ホーム11の地上設備12に配置された地上側無線通信部4からミリ波などの無線により車両の車両側無線通信部5に送信される(ステップS150)。そして、地上側無線通信部4から送信された乗車数情報および車重情報は、車両に配置された車両側無線通信部5において受信される。車両側無線通信部5は、受信した乗車数情報および車重情報をブレーキ制御部7に送る。ブレーキ制御部7は、受信した乗車数情報および車重情報を記憶する。ここで、ブレーキ制御部7が車両側無線通信部5から受信した乗車数情報および車重情報が、次駅に到着するまでの乗車数情報および車重情報となる。
【0024】
そして、次駅に到着するまで当該車両は、この車重情報と制御伝送部6からのノッチ指令またはATCからのATC指令に基づく減速度とを用いて、運動の法則「F=ma」(F:力、m:物体の質量、a:加速度)に基づき、ブレーキ制御部7のブレーキ受量器9においてブレーキ力演算を行う(ステップS160)。車両重量は、編成単位、車両毎および乗降ドア毎で区別することができるので、編成単位、車両毎および乗降ドア毎でブレーキ力の制御をすることができる。ブレーキ制御部7ではブレーキ受量器9で演算されたブレーキ力に基づいてブレーキ指令を発生する。
【0025】
次に、電車が次駅に到着してからのブレーキ力演算システムの動作について図3−2を参照して説明する。電車の車両が次駅に到着すると、当該駅のホーム11において車両が停車した際のドア付近に設置してあるビデオカメラなどのカメラ1が車両内を撮像し(ステップS210)、その撮像データを画像処理部2に送る。画像処理部2は、カメラ1から送られた撮像データに対して所定の画像処理を施して(ステップS220)、当該駅における乗降人数を計測して車両毎の乗降人数に関する乗降人数情報を生成する(ステップS230)。そして、画像処理部2は、生成した乗降人数情報を車重演算部3に送る。
【0026】
車重演算部3は、画像処理部2から乗降人数情報を受け取ると、該乗降人数情報に基づいて当該駅で増減した車重を演算して車重の増減に関する車重増減情報を生成する(ステップS240)。前駅での停車時に対して車両の中の人が増えた場合には乗降人数および車重の増減はプラスとなり、前駅での停車時に対して車両の中の人が減った場合には乗降人数および車重の増減はマイナスとなる。
【0027】
このようにして車重演算部3で演算した乗降人数情報および車重増減情報は、始発駅の場合と同様に、ホーム11の地上設備12に配置された地上側無線通信部4からミリ波などの無線により車両の車両側無線通信部5に送信される(ステップS250)。そして、地上側無線通信部4から送信された乗降人数情報および車重増減情報は、車両に配置された車両側無線通信部5において受信される。車両側無線通信部5は、受信した乗車数情報および車重情報をブレーキ制御部7に送る。ブレーキ制御部7は、受信した乗降人数情報および車重増減情報を記憶する。
【0028】
そして、ブレーキ制御部7は、ブレーキ受量器9において、受信した乗車数情報および車重情報を、前駅(始発駅)での乗車数情報および車重情報に加算することにより新たな乗車数情報および車重情報を生成する(ステップS260)。この新たに生成した乗車数情報および車重情報が次駅に到着するまでの乗車数情報および車重情報となる。
【0029】
そして、ブレーキ制御部7のブレーキ受量器9は、新たに生成した車重情報と、制御伝送部6からのノッチ指令またはATCからのATC指令に基づく減速度を用いて、運動の法則「F=ma」(F:力、m:物体の質量、a:加速度)に基づき、ブレーキ力演算を行う(ステップS270)。ブレーキ制御部7では、ブレーキ受量器9で演算されたブレーキ力に基づいてブレーキ指令を発生する。この後、終着駅に到着するまで次の駅に着く毎に上述したステップS210〜ステップS270の処理を繰り返すことにより、一駅毎に、実際の実情に沿ったブレーキ力の演算を精度良く行うことができる。
【0030】
上記の本実施の形態にかかるブレーキ力演算システムは、たとえばある車両に対応したカメラ1が故障した場合には、隣接するカメラ1の計測範囲を拡張することにより故障した車重計測センサに代わって車重の計測が可能である。たとえば、1両目の車両を担当するカメラ1が故障した場合には、隣接するカメラ1、すなわち2両目の車両を担当するカメラ1が撮像範囲を広げることにより、故障した車重計測センサに代わって1両目の車両の撮像データを取得することが可能である。これにより、1両目の車両を担当するカメラ1が故障した場合でも1両目の車重の計測が可能である。このように、本実施の形態にかかるブレーキ力演算システムは、冗長性を有することにより、信頼性の高いブレーキ力演算システムを実現している。
【0031】
また、カメラ1を、駅のホーム11において車両が停車した際のドア近傍に設置することで、乗車人数および乗降人数の計測と同時に車両への乗降者の監視を行うことがなり、安全管理を兼ねた運営が可能である。
【0032】
上述したように、本実施の形態にかかるブレーキ力演算システムによれば、ぎ装配線を増加させることなく、一駅毎に実情に沿ったブレーキ力の演算を精度良く行うことができる。また、本実施の形態にかかるブレーキ力演算システムによれば、編成単位、車両毎および乗降ドア毎で区別して車重を演算することができるので、編成単位、車両毎および乗降ドア毎でブレーキ力を精度良く演算することができる。
【0033】
なお、上記においては、車重計測部としてカメラ1を利用したが、車重計測部としてはイメージセンサ、赤外線センサ、圧力センサ、または車両への乗降者数を計測する計測装置などを利用することができる。
【0034】
実施の形態2.
上述した実施の形態1においては、車重計測センサであるカメラ1を地上のホームに配置する場合について説明したが、本発明においては車重計測センサであるカメラ1の配置場所は地上のホームに限定されるものではない。実施の形態2では、車重計測センサを車両側に配置した実施の形態について説明する。
【0035】
図4は、本発明の実施の形態2にかかるブレーキ力演算システムの概略構成を説明するための図である。図4に示すように、本実施の形態にかかるブレーキ力演算システムにおいては、実施の形態1における車重計測センサであるカメラ1と、カメラ1で撮像したデータの画像処理を行う画像処理部2と、車重の演算を行う車重演算部3と、を電車の車両の各々の乗降ドア付近に設置している。そして、車重演算部3と制御伝送部6とが伝送線8により接続されている。
【0036】
上記のような構成を有する実施の形態2にかかるブレーキ力演算システムにおいても、実施の形態1にかかるブレーキ力演算システムと同じ効果を得ることができる。すなわち、実施の形態2にかかるブレーキ力演算システムにおいても、ぎ装配線を増加させることなく、一駅毎に実情に沿ったブレーキ力の演算を精度良く行うことができる。また、編成単位、車両毎および乗降ドア毎で区別して車重を演算することができるので、編成単位、車両毎および乗降ドア毎でブレーキ力を精度良く演算することができる。
【0037】
また、本実施の形態にかかるブレーキ力演算システムにおいては、全ての構成部を車両側に設けているため、実施の形態1において車両と地上と間の通信を行うために設けていた無線装置(地上側無線通信部4と車両側無線通信部5)が不要となり、設備の簡略化を図ることができる。
【0038】
実施の形態3.
実施の形態3では、車重計測センサを車両側に配置した他の実施の形態について説明する。図5は、本発明の実施の形態3にかかるブレーキ力演算システムの概略構成を説明するための図である。図5に示すように、本実施の形態にかかるブレーキ力演算システムにおいては、実施の形態1における車重計測センサであるカメラ1と、カメラ1で撮像したデータの画像処理を行う画像処理部2と、車重の演算を行う車重演算部3と、を電車の車両内の全範囲を計測可能位置に設置している。そして、車重演算部3と制御伝送部6とが伝送線8により接続されている。
【0039】
これ以外の構成は、実施の形態1にかかる車重計測センサの場合と同様である。したがって、図5においては、実施の形態3にかかる車重計測センサの特徴となるカメラ1、画像処理部2および車重演算部3以外の構成の記載は省略している。
【0040】
上記のような構成を有する実施の形態3にかかるブレーキ力演算システムにおいても、実施の形態1にかかるブレーキ力演算システムと同じ効果を得ることができる。すなわち、実施の形態2にかかるブレーキ力演算システムにおいても、ぎ装配線を増加させることなく、一駅毎に実情に沿ったブレーキ力の演算を精度良く行うことができる。また、編成単位、車両毎および乗降ドア毎で区別して車重を演算することができるので、編成単位、車両毎および乗降ドア毎でブレーキ力を精度良く演算することができる。
【0041】
また、本実施の形態にかかるブレーキ力演算システムにおいては、全ての構成部を車両側に設けているため、実施の形態1において車両と地上と間の通信を行うために設けていた無線装置(地上側無線通信部4と車両側無線通信部5)が不要となり、設備の簡略化を図ることができる。
【0042】
さらに、本実施の形態にかかるブレーキ力演算システムにおいては、カメラ1と画像処理部2と車重演算部3とを電車の車両内に配置しているため、電車の走行中でも各編成単位および各車両単位の重量の変動を計測することができ、リアルタイムで、各編成単位および車両単位の正確な車重でブレーキ力の演算ができる。これにより、たとえば回生ブレーキ演算など、精度の高いブレーキ演算を行うことができる。
【0043】
実施の形態4.
上述した実施の形態1においては、前駅から次駅において変化した後の新たな車重を演算する車重演算機能を車両のブレーキ制御部7のブレーキ受量器9に備える場合について説明したが、本発明においてはこの車重演算機能の配置場所はブレーキ制御部7のブレーキ受量器9に限定されるものではない。
【0044】
前駅から次駅において変化した後の新たな車重を演算する車重演算機能は、たとえば地上設備12に備えても良い。この場合には車両が次駅に到着した際に、ブレーキ制御部7に記憶している前駅における車重情報を車両側無線通信部5から地上側無線通信部4に送信して、地上設備12に前駅における車重情報を与えればよい。これにより、地上設備12では、車両側から与えられた前駅における車重情報と、車重演算部3で演算した乗降人数情報および車重増減情報を用いて前駅から次駅において変化した後の新たな車重情報を演算することができる。
【0045】
そして、地上設備12は、演算した新たな車重情報を地上側無線通信部4から車両側無線通信部5に送信する。ブレーキ制御部7のブレーキ受量器9は、車両側から与えられた新たな車重情報と、制御伝送部6からのノッチ指令またはATCからのATC指令に基づく減速度を用いて、ブレーキ力演算を行うことができる。
【0046】
また、前駅から次駅において変化した後の新たな車重を演算する車重演算機能は、たとえば制御伝送部6に備えても良い。この場合には車両が次駅に到着した際に、ブレーキ制御部7に記憶している前駅における車重情報を車両側無線通信部5から地上側無線通信部4に送信して、地上設備12に前駅における車重情報を与えればよい。これにより、地上設備12では、車両側から与えられた前駅における車重情報と、車重演算部3で演算した乗降人数情報および車重増減情報を用いて前駅から次駅において変化した後の新たな車重情報を演算することができる。
【0047】
そして、地上設備12は、演算した新たな車重情報を地上側無線通信部4から車両側無線通信部5に送信する。ブレーキ制御部7のブレーキ受量器9は、車両側から与えられた新たな車重情報と、制御伝送部6からのノッチ指令またはATCからのATC指令に基づく減速度を用いて、ブレーキ力演算を行うことができる。
【0048】
上記のような構成を有する実施の形態4にかかるブレーキ力演算システムにおいても、実施の形態1にかかるブレーキ力演算システムと同じ効果を得ることができる。すなわち、実施の形態2にかかるブレーキ力演算システムにおいても、ぎ装配線を増加させることなく、一駅毎に実情に沿ったブレーキ力の演算を精度良く行うことができる。また、編成単位、車両毎および乗降ドア毎で区別して車重を演算することができるので、編成単位、車両毎および乗降ドア毎でブレーキ力を精度良く演算することができる。
【0049】
実施の形態5.
上述した実施の形態1〜4においては、本発明にかかる車両の制御情報演算システムであるブレーキ力演算システムの車両のブレーキ減速時について説明したが、本発明を力行時においても適用し、加速度演算システムを実現することができる。この場合は、ブレーキ制御部7の代わりに、力行制御部を備える(請求項における走行制御情報演算部に対応)。力行制御部は、車両の走行を制御するための走行制御情報として加速度の演算を車重情報に基づいて行い、演算した加速度に基づいて所定の力行指令を発生する。これ以外の構成および動作は、実施の形態1〜4の場合と同じ構成および動作とすることができる。
【0050】
このような実施の形態5にかかる加速度演算システムにおいては、ぎ装配線を増加させることなく、一駅毎に実情に沿った力行時の加速度の演算を精度良く行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明にかかる車両の制御情報演算システムは、精度の高い安全な電車の走行制御に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるブレーキ力演算システムの概略構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかるブレーキ力演算システムの概略構成を説明するための図である。
【図3−1】本発明の実施の形態1にかかるブレーキ力演算システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図3−2】本発明の実施の形態1にかかるブレーキ力演算システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2にかかるブレーキ力演算システムの概略構成を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態3にかかるブレーキ力演算システムの概略構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0053】
1 カメラ
2 画像処理部
3 車重演算部
4 地上側無線通信部
5 車両側無線通信部
6 制御伝送部
7 ブレーキ制御部
8 伝送線
9 ブレーキ受量器
10 車両
11 ホーム
12 地上設備
13 台車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内の乗車数を計測して車両毎の乗車数の情報である乗車数情報を生成する乗車数計測部と、
前記乗車数情報に基づいて車両毎の車重の演算を行って車重に関する情報である車重情報を生成する車重演算部と、
前記車重情報に基づいて、車両の走行を制御するための走行制御情報の演算を行う走行制御情報演算部と、
を備えることを特徴とする車両の制御情報演算システム。
【請求項2】
前記走行制御情報演算部が、減速時のブレーキ力の演算を行うこと、
を特徴とする請求項1に記載の車両の制御情報演算システム。
【請求項3】
前記走行制御情報演算部が、力行時の加速度の演算を行うこと、
を特徴とする請求項1に記載の車両の制御情報演算システム。
【請求項4】
前記乗車数計測部と前記車重演算部とをホームに備え、
前記走行制御情報演算部を車両に備え、
前記車重情報を前記車重演算部から前記走行制御情報演算部に送信するための無線通信部を前記ホームと前記車両とにそれぞれ備えること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の制御情報演算システム。
【請求項5】
車両が次駅に到着した際に、
前記乗車数計測部が当該駅における乗降人数を計測して車両毎の乗降人数に関する乗降人数情報を生成し、
前記車重演算部は、前記乗降人数情報に基づいて当該駅で増減した車重を演算して車重の増減に関する車重増減情報を生成し、
前記走行制御部は、前駅での車重情報と前記車重増減情報とに基づいて、新たな前記車両の走行制御情報の演算を行うこと、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の制御情報演算システム。
【請求項6】
前記乗車数計測部は、イメージセンサ、赤外線センサ、圧力センサ、または車両への乗降者数を利用すること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の制御情報演算システム。
【請求項7】
前記乗車数計測部は、乗車数の計測範囲を拡張することにより、隣接する車両の乗車数を計測して乗車数情報を生成可能であること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の制御情報演算システム。
【請求項8】
前記乗車数計測部は、編成毎、車両毎、または乗降ドア毎に前記走行制御情報の演算を行うこと、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の制御情報演算システム。
【請求項9】
前記乗車数計測部が、車両の外面のドア近傍に配置されていること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の制御情報演算システム。
【請求項10】
前記乗車数計測部が、車両内に配置され、車両の走行中に車両内の乗車数を計測して前記乗車数情報を生成可能であること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の制御情報演算システム。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−301657(P2008−301657A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147180(P2007−147180)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】