説明

車両の流体温度推定装置及びその流体温度推定方法

【課題】車両の流体温度の推定精度を向上させる。
【解決手段】本発明は、車両の流体温度推定装置であって、流体に少なくとも一部が接する電磁弁と、電磁弁の作動状態に基づいて電磁弁の温度を推定する電磁弁温度推定手段S11と、流体の流速に基づいて、電磁弁の温度と流体の温度との乖離量を推定する乖離量推定手段S14と、電磁弁の温度と乖離量とに基づいて流体の温度を推定する流体温度推定手段S15と、を備え、乖離量推定手段S14は、流体の流速が高いほど乖離量が小さいと推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の流体温度を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両において、例えば自動変速機には、変速機構の作動に供する油圧を発生させるため、また変速機構の潤滑及び冷却のため、作動油が充填される。作動油は温度によって粘性が変化するので、変速機を所望の作動状態に制御するためには作動油の油温を検出する必要がある。しかし、油温を検出する油温センサを設けるとコストが上昇する。
【0003】
そこで、特許文献1には、自動変速機への供給油圧を制御するソレノイドのコイル抵抗値を検出し、コイル抵抗値からソレノイドのコイル温度を推定して作動油の油温を推定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−316848公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の技術では、ソレノイドのコイル温度と作動油の温度との乖離が生じることを考慮していないので、作動油の温度推定精度が低い。
【0006】
本発明は、このような技術的課題に鑑みてなされたものであり、車両の流体温度の推定精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様によれば、車両の流体温度推定装置であって、流体に少なくとも一部が接する電磁弁と、電磁弁の作動状態に基づいて電磁弁の温度を推定する電磁弁温度推定手段と、流体の流速に基づいて、電磁弁の温度と流体の温度との乖離量を推定する乖離量推定手段と、電磁弁の温度と乖離量とに基づいて流体の温度を推定する流体温度推定手段と、を備え、乖離量推定手段は、流体の流速が高いほど乖離量が小さいと推定する、ことを特徴とする車両の流体温度推定装置が提供される。
【0008】
また、本発明の別の態様によれば、流体に少なくとも一部が接する電磁弁を備える車両の流体温度推定方法であって、電磁弁の作動状態に基づいて電磁弁の温度を推定する手順と、流体の流速に基づいて、電磁弁の温度と流体の温度との乖離量を推定する手順と、電磁弁の温度と乖離量とに基づいて流体の温度を推定する手順と、を備え、乖離量を推定する手順は、流体の流速が高いほど乖離量が小さいと推定する、ことを特徴とする車両の流体温度推定方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
これらの態様によれば、流体の流速に基づいて電磁弁の温度と流体の温度との乖離量を推定し、乖離量に応じて流体温度を推定するので、流体の温度推定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る車両の流体温度推定装置の概略構成図である。
【図2】変速機ケースの断面を簡略化して示す断面図である。
【図3】第1実施形態における作動油の温度推定手順を説明するフローチャートである。
【図4】第2実施形態における作動油の温度推定手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0012】
初めに、第1実施形態について説明する。
【0013】
以下では図面等を参照して本発明の実施の形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態における車両の駆動系を示す概略構成図である。無段変速機10は、プライマリプーリ11と、セカンダリプーリ12と、ベルト13と、CVTコントロールユニット20(以下「CVTCU」という)と、油圧コントロールユニット30とを備え、ライン圧を元圧として変速動作を行う。
【0014】
プライマリプーリ11は、この無段変速機10にエンジン1の回転を入力する入力軸側のプーリである。プライマリプーリ11は、入力軸11dと一体となって回転する固定円錐板11bと、この固定円錐板11bに対向配置されてV字状のプーリ溝を形成するとともに、プライマリプーリシリンダ室11cへ作用する油圧によって軸方向へ変位可能な可動円錐板11aとを備える。プライマリプーリ11は、前後進切り替え機構3、ロックアップクラッチを備えたトルクコンバータ2を介してエンジン1に連結され、そのエンジン1の回転を入力する。プライマリプーリ11の回転速度は、プライマリプーリ回転速度センサ26によって検出される。
【0015】
ベルト13は、プライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12に巻き掛けられ、プライマリプーリ11の回転をセカンダリプーリ12に伝達する。ベルト13は、リンクやピンによって多数のブロックを帯状に連結して構成されるチェーンベルトであり、以下の明細書中では単に「ベルト」と記載する。なお、チェーンベルトに限らず、帯状のリングによって多数のエレメントを連結したVベルト等であってもよい。
【0016】
セカンダリプーリ12は、ベルト13によって伝達された回転をディファレンシャル4に出力する。セカンダリプーリ12は、出力軸12dと一体となって回転する固定円錐板12bと、この固定円錐板12bに対向配置されてV字状のプーリ溝を形成するとともに、セカンダリプーリシリンダ室12cへ作用する油圧に応じて軸方向へ変位可能な可動円錐板12aとを備える。なお、セカンダリプーリシリンダ室12cの受圧面積は、プライマリプーリシリンダ室11cの受圧面積と略等しく設定されている。
【0017】
セカンダリプーリ12は、アイドラギア14、アイドラシャフト、及びデフリングギア15を介してディファレンシャル4に連結されており、このディファレンシャル4に回転を出力する。セカンダリプーリ12の回転速度は、セカンダリプーリ回転速度センサ27によって検出される。なお、このセカンダリプーリ12の回転速度から車速を算出することができる。
【0018】
CVTCU20は、インヒビタスイッチ23、アクセルペダルストローク量センサ24、プライマリプーリ回転速度センサ26、セカンダリプーリ回転速度センサ27等からの信号や、エンジンコントロールユニット21からの入力トルク情報に基づいて、予め記憶されている変速線を参照してプーリ比(セカンダリプーリ12の有効半径をプライマリプーリ11の有効半径で除した値)や接触摩擦力を決定し、油圧コントロールユニット30に指令を送信して、無段変速機10を制御する。
【0019】
油圧コントロールユニット30は、CVTCU20からの指令に基づいてコントロールバルブ31に対し、プライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12のソレノイド制御信号を指令する。
【0020】
コントロールバルブ31は、プライマリプーリ圧を制御するプライマリ圧制御用ソレノイド32と、セカンダリプーリ圧を制御するセカンダリ圧制御用ソレノイド33とを有する。コントロールバルブ31は、油圧コントロールユニット30から指令された制御信号に基づいて、オイルポンプ34から供給されるライン圧を各プーリ11、12へと供給する。オイルポンプ34はエンジン1の出力によって駆動される。
【0021】
コントロールバルブ31から供給される各プーリ11、12への供給油圧によって、可動円錐板11a及び可動円錐板12aが回転軸方向に往復移動する。可動円錐板11a及び可動円錐板12aが移動するとプーリ溝幅が変化する。すると、ベルト13が、プライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12上で移動する。これによって、ベルト13のプライマリプーリ11及びセカンダリプーリ12に対する接触半径が変わり、変速比及びベルト13の接触摩擦力がコントロールされる。
【0022】
図2は、上述の無段変速機10を収容する変速機ケース40の断面を簡略化して示す断面図であり、変速機ケース40を各プーリ11、12の軸に垂直な方向に切断した断面を示している。図2の線Aより左側はデフリングギア15における切断面を示し、線Aより右側はコントロールバルブ31における切断面を示す。
【0023】
なお、図2では、変速機ケース40、デフリングギア15、コントロールバルブ31、及びプライマリ圧制御用ソレノイド32のみを示している。
【0024】
変速機ケース40内には作動油としてのATFが充填されており、変速機ケース40の下部には重力によってATFが一時的に溜まる油溜りが形成される。ATFの上面は、例えば図2に点線で示す油面の位置まで達する。ここで、油溜りは、変速機ケースの下部内壁面と油面を示す点線との間に画成される空間を指している。
【0025】
エンジン1の回転に伴ってオイルポンプ34が駆動されると、油溜りに滞留するATFが吸い込まれ、加圧されてコントロールバルブ31を介して各プーリ11、12へと供給される。車両走行時にはデフリングギア15の回転によって油溜りのATFが攪拌され、各部の潤滑及び冷却に供される。
【0026】
次に、図3を参照しながらCVTCU20で行うATF温度の推定について説明する。本実施形態では以下の手順をCVTCU20において行っているが、油圧コントロールユニット30で行ってもよく、また専用のコントロールユニットを備えていてもよい。
【0027】
ステップS11においてCVTCU20は、プライマリ圧制御用ソレノイド32(以下単に「ソレノイド32」という)の温度Tsを推定する。ソレノイド32の温度Tsは、例えばソレノイド32の抵抗値Rに基づいて抵抗値Rが大きいほど高くなるように推定される。
【0028】
ステップS12においてCVTCU20は、ソレノイド32の自己発熱量を推定する。ソレノイド32の自己発熱量は、以下の(1)式に基づいて、ソレノイド32の電流値Iの2乗にソレノイド32の抵抗値Rを積算することで推定される。
【0029】
(ソレノイド32の自己発熱量)=I^2×R ・・・(1)
ソレノイド32の抵抗値Rは、ソレノイド32の電圧、電流I、及びデューティ比から演算される。なお、本ステップではソレノイド32の自己発熱量の推定に抵抗値Rを用いているが、自己発熱の大小を判断できればよく、電流値Iのみに基づいて自己発熱量を推定してもよい。
【0030】
ステップS13においてCVTCU20は、車両の車速Vspを読み込む。車速Vspは、車速センサやセカンダリプーリ回転速度センサ27によって検出してもよいし、プライマリプーリ11の回転速度と変速比とからセカンダリプーリ12の回転速度を演算して求めてもよい。
【0031】
ステップS14においてCVTCU20は、ソレノイド32の温度TsとATFの温度Taとの乖離量を推定する。ソレノイド32の温度TsとATFの温度Taとの乖離量は、以下の(2)式に基づいて、ソレノイド32の自己発熱量から伝熱係数f(Vsp)及びソレノイド32とATFとの接触面積Aを除算して推定される。
【0032】
(乖離量)=(I^2×R)/(f(Vsp)×A) ・・・(2)
ここで、伝熱係数f(Vsp)は、車速Vspの一次関数として予め設定され、例えば、車速Vspが高いほど大きくなるように演算される。また、ソレノイド32とATFとの接触面積Aは、ソレノイド32の搭載位置、形状、大きさ等によって決定される値であり、予めCVTCU20に記憶されている。
【0033】
ATFの温度変化はソレノイド32の温度変化に比べて緩慢であるので、ATFの温度Taとソレノイド32の温度Tsとの間には乖離が生じる。乖離量は、ソレノイド32に接するATFの流速が速いほど小さくなる。ATFの流速は、デフリングギア15の回転速度が高いほどより多くのATFが攪拌されることから高くなる。そこで、車速Vspに応じて車速Vspが高いほど大きくなるように伝熱係数f(Vsp)を演算し、この伝熱係数f(Vsp)に基づいて乖離量を演算する。これにより、乖離量は車速Vspが高いほどより小さい値として推定され、ATFの温度推定の精度が向上する。
【0034】
ステップS15においてCVTCU20は、ATFの油温Taを推定する。ATFの油温Taは、以下の(3)式に基づいて演算される。
【0035】
Ta=Ts−(I^2×R)/(f(Vsp)×A) ・・・(3)
(I^2×R)は、ステップS12において推定されたソレノイド32の自己発熱量であり、(I^2×R)/(f(Vsp)×A)は、ステップS14において推定されたソレノイド32の温度とATFの温度との乖離量である。したがって、上記(3)式から明らかなように、ソレノイド32の自己発熱量が小さいほどソレノイド32の温度TsとATFの温度Taとの乖離量は小さくなる。
【0036】
以上のように本実施形態では、ATFの流速に基づいてソレノイド32の温度TsとATFの温度Taとの乖離量を推定し、乖離量に応じてATFの温度Taを推定するので、ATFの温度推定精度を向上させることができる(請求項1に対応)。
【0037】
また、ATFの流速を車速Vspの関数として判断するので、車速Vspに比例するデフリングギア15の回転速度、すなわちATFの攪拌量に応じて流速を推定でき、流速に応じてソレノイド32の温度TsとATFの温度Taとの乖離量を精度よく推定することができる。これにより、ATFの温度推定精度をさらに向上させることができる(請求項2に対応)。
【0038】
さらに、ソレノイド32の温度TsとATFの温度Taとの乖離の要因となるソレノイド32の自己発熱量に応じて、発熱量が小さいほど乖離量が小さいと判断するので、乖離量を精度よく推定することができ、ATFの温度推定精度をさらに向上させることができる(請求項4に対応)。
【0039】
次に、第2実施形態について説明する。
【0040】
本実施形態では、CVTCU20で行うATF温度Taの推定手順が第1実施形態と異なる。図4は、本実施形態においてCVTCU20で行うATF温度Taの温度推定手順を示すフローチャートである。
【0041】
ステップS21及びS22は、それぞれ第1実施形態のステップS11及びS12と同一である。
【0042】
ステップS23においてCVTCU20は、エンジン回転速度Neを読み込む。
【0043】
ステップS24においてCVTCU20は、ソレノイド32の温度TsとATFの温度Taとの乖離量を推定する。ソレノイド32の温度TsとATFの温度Taとの乖離量は、以下の(4)式に基づいて、ソレノイド32の自己発熱量から伝熱係数f(Ne)及びソレノイド32とATFとの接触面積Aを除算して推定される。
【0044】
(乖離量)=(I^2×R)/(f(Ne)×A) ・・・(4)
ここで、伝熱係数f(Ne)は、エンジン回転速度Neの一次関数として予め設定され、例えば、エンジン回転速度Neが高いほど大きくなるように演算される。また、ソレノイド32とATFとの接触面積Aは、ソレノイド32の搭載位置、形状、大きさ等によって決定される値であり、予めCVTCU20に記憶されている。
【0045】
ATFの温度Taとソレノイド32の温度Tsとの乖離量はソレノイド32に接するATFの流速が速いほど小さくなる。エンジン回転速度Neが高いほどオイルポンプ34の吸入量が大きくなり、油溜り内のATFの流速が高くなる。そこで、エンジン回転速度Neが高いほど大きくなるように伝熱係数f(Ne)を演算し、この伝熱係数f(Ne)に基づいて乖離量を演算する。これにより、乖離量はエンジン回転速度Neが高いほどより小さい値として推定され、ATFの温度推定の精度が向上する。
【0046】
なお、本実施形態ではエンジン回転速度Neに基づいてオイルポンプ34の吸入量の大小を判断しているが、これに限らずその他の値に基づいてオイルポンプ34の吸入量を判断してもよい。
【0047】
ステップS25においてCVTCU20は、ATFの油温Taを推定する。ATFの油温Taは、以下の(5)式に基づいて演算される。
【0048】
Ta=Ts−(I^2×R)/(f(Ne)×A) ・・・(5)
すなわち、(I^2×R)はソレノイド32の自己発熱量、(I^2×R)/(f(Ne)×A)はソレノイド32の温度TsとATFの温度Taとの乖離量となる。
【0049】
以上のように本実施形態では、第1実施形態と同様にATFの流速に基づいてソレノイド32の温度TsとATFの温度Taとの乖離量を推定し、乖離量に応じてATFの温度Taを推定するので、ATFの温度推定精度を向上させることができる(請求項1に対応)。
【0050】
また、ATFの流速をエンジン回転速度Neの関数として判断するので、エンジン回転速度Neに比例するオイルポンプ34の吸入量に応じて流速を推定でき、流速に応じてソレノイド32の温度TsとATFの温度Taとの乖離量を精度よく推定することができる。これにより、ATFの温度推定精度をさらに向上させることができる(請求項3に対応)。
【0051】
さらに、第1実施形態と同様にソレノイド32の温度TsとATFの温度Taとの乖離の要因となるソレノイド32の自己発熱量に応じて、発熱量が小さいほど乖離量が小さいと判断するので、乖離量を精度よく推定することができ、ATFの温度推定精度をさらに向上させることができる(請求項4に対応)。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0053】
例えば、第2実施形態では、デフリングギア15の回転によって攪拌される油溜りに溜められるATFの温度Taを推定する場合ついて示したが、デフリングギア15の回転によって攪拌されない油溜りに溜められるATFの温度Taを推定する場合にも適用可能であり、オイルポンプ34の吸入量に基づいて油温Taを推定することで油温Taの推定精度を向上させることができる。
【0054】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、それぞれ車速Vsp又はオイルポンプ34の吸入量に基づいてATFの温度Taを推定することを示したが、車速及びオイルポンプ34の吸入量の両方に基づいてATFの温度Taを推定することでさらに推定精度を向上させることができる。
【0055】
さらに、第1実施形態及び第2実施形態では、ソレノイド32としてプライマリ圧制御用ソレノイド32を例に挙げて説明したが、その他のソレノイドを選択してATFの温度推定精度を向上させるようにしてもよい。
【0056】
さらに、第1実施形態及び第2実施形態では、温度を推定する対象を無段変速機10の作動油(ATF)として説明したが、有段変速機などその他の変速機の作動油についても適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 無段変速機(自動変速機)
15 デフリングギア
20 CVTCU(電磁弁温度推定手段、乖離量推定手段、流体温度推定手段)
34 オイルポンプ
32 プライマリ圧制御用ソレノイド(電磁弁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の流体温度推定装置であって、
流体に少なくとも一部が接する電磁弁と、
前記電磁弁の作動状態に基づいて前記電磁弁の温度を推定する電磁弁温度推定手段と、
前記流体の流速に基づいて、前記電磁弁の温度と前記流体の温度との乖離量を推定する乖離量推定手段と、
前記電磁弁の温度と前記乖離量とに基づいて前記流体の温度を推定する流体温度推定手段と、
を備え、
前記乖離量推定手段は、前記流体の流速が高いほど前記乖離量が小さいと推定する、
ことを特徴とする車両の流体温度推定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体温度推定装置であって、
前記車両は、前記流体を作動油とする自動変速機を備え、
前記電磁弁は、前記自動変速機内のデフリングギアの回転によって攪拌される油溜りに少なくとも一部が油没する電磁弁であり、
前記乖離量推定手段は、車速が大きいほど前記乖離量が小さいと推定する、
ことを特徴とする車両の流体温度推定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の流体温度推定装置であって、
前記車両は、前記流体を作動油とする自動変速機と、前記自動変速機内の油溜り内の前記作動油を吸入する、前記車両の駆動源によって駆動されるオイルポンプとを備え、
前記電磁弁は、前記油溜りに少なくとも一部が油没する電磁弁であり、
前記乖離量推定手段は、前記オイルポンプの吸入量が大きいほど前記乖離量が小さいと推定する、
ことを特徴とする車両の流体温度推定装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の流体温度推定装置であって、
前記乖離量推定手段は、前記電磁弁の自己発熱が小さいほど前記乖離量が小さいと推定する、
ことを特徴とする車両の流体温度推定装置。
【請求項5】
流体に少なくとも一部が接する電磁弁を備える車両の流体温度推定方法であって、
前記電磁弁の作動状態に基づいて前記電磁弁の温度を推定する手順と、
前記流体の流速に基づいて、前記電磁弁の温度と前記流体の温度との乖離量を推定する手順と、
前記電磁弁の温度と前記乖離量とに基づいて前記流体の温度を推定する手順と、
を備え、
前記乖離量を推定する手順は、前記流体の流速が高いほど前記乖離量が小さいと推定する、
ことを特徴とする車両の流体温度推定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−202437(P2012−202437A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65430(P2011−65430)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000231350)ジヤトコ株式会社 (899)
【Fターム(参考)】