説明

車両の速度超過防止方法

【課題】 速度超過の程度を的確に判断し、過大な速度超過を防止することができる車両の速度超過防止方法を提供する。
【解決手段】 車両が走行中に、車速vと、同じタイミングで取得される走行中の道路での制限速度との差を、単位時間毎に算出する。(a)は、縦軸の車速および制限速度と横軸の時間との関係の例を示す。単位時間t1での差v1=車速−制限速度とし、S1=v1×t1とすると、S1は、(b)に示すような部分の面積となり、距離の次元を有する。車速の超過分と単位時間t1との積S1を算出することを繰返し、積S1,S2,…,Snの積算値ΣSが予め定める判定基準値を超える場合に、速度超過と判定して、予め定める速度超過防止対策を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車などの車両が制限速度を超えて走行しないように速度超過を判定する車両の速度超過防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車などの車両が走行する道路などには上限となる制限速度が設定され、車両は法的に制限速度以下で走行することが義務づけられている。しかしながら、種々の場合に、車両の走行速度が制限速度を超えることも、ある程度は許容される。ただし、そのような速度超過の状態は、あくまで短時間について許容されるだけである。車両の速度が予め定めた速度を越えると、警報を発生し、速度超過が一定時間以上続くと、そのことを記録して、運転者の安全運転を管理・始動するデータとするためのデジタル式車両運行データ記録装置も開示されている(たとえば、特許文献1参照。)。この先行技術では、速度超過を判断する超過速度は、高速道路用と一般道路用とを選択するようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−174498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の走行は、可能な限り高速で行うことが要望される。このため、車両はほぼ制限速度で走行することが多い。しかしながら、制限速度は、車両や道路の種別によって異なり、天候や時間帯などの条件によっても変化しうる。したがって、制限速度を遵守しようとすると、運転者は交通標識等を常に監視していなければならない。また、多くの車両が走行する道路で車両を円滑に走行させるためには、交通の流れとしての他車の走行速度に合わせて走行する必要がある。交通の流れとなっている走行速度は、結果的に、制限速度を超過する場合もある。ただし、交通の流れが制限速度を超過しても、その程度は大きなものとはならない。
【0005】
特許文献1に開示されているような先行技術では、許容されるような速度超過の状態でも警報が発生され、警報に応じて走行速度を低下させないと、速度超過として記録されてしまう。また、安全上問題があるような過大な速度超過でも、警報に応じて減速し、結果的に短時間であれば記録に残らないことになる。さらに、超過速度の判断は、高速道路用と一般道路用とを切換えて行うだけであり、たとえば、それぞれの道路種別内での制限速度の違いに対応する判断を行うことができない。
【0006】
本発明の目的は、速度超過の程度を的確に判断し、過大な速度超過を防止することができる車両の速度超過防止方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両の走行時に、車速についての情報を取得し、
走行場所での制限速度についての情報を取得し、
車速が制限速度を超過する場合に、車速の超過分と単位時間との積を算出することを繰返し、
該積の積算値が予め定める判定基準値を超える場合に、速度超過と判定して、予め定める速度超過防止対策を実行することを特徴とする車両の速度超過防止方法である。
【0008】
本発明に従えば、車両の速度超過防止方法では、車速の超過分と単位時間との積を算出することを繰返し、積の積算値が予め定める判定基準値を超える場合に、速度超過と判定して、予め定める速度超過防止対策を実行する。車速は、車両の走行時に取得する情報に基づく。制限速度は、車両の走行場所に基づいて取得する。したがって、車両の走行場所に応じて適切な制限速度についての情報を取得し、車速の超過分を適切に算出することができる。車両の運転者が悪質で過大な速度超過を繰返すと、超過分と単位時間との積も大きくなり、積算値も迅速に増大する。速度超過の判定は、車速の超過分と単位時間との積の算出を繰返して得られる積算値に基づいて行うので、速度超過の程度を的確に判断し、悪質で過大な速度超過を確実に防止することができる。
【0009】
また本発明では、前記車両に、基地局と通信を行うことが可能な通信手段を搭載しておき、
前記速度超過と判定する時に、該通信手段から違反情報を基地局に通信することを特徴とする。
【0010】
本発明に従えば、基地局で車両の運行を管理しているような場合に、車両に搭載される通信手段から、速度超過との判定時に違反情報が基地局に通信される。適切な速度超過の判定に基づく違反情報であるので、車両の安全運転に向けて運転者に自制を促すなどの管理のために、有効に利用することができる。
【0011】
また本発明では、前記車両に、車速を制限する車速リミッタを搭載しておき、
前記速度超過と判定する時に、該車速リミッタを作動させることを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、適切に行われる速度超過の判定に従い、車速リミッタで車両の車速を制限するので、判定後には確実に速度超過を防止することができ、車速の制限で運転者に自制を促すこともできる。
【0013】
また本発明では、前記速度超過と判定する時に、その状態でエンジンを停止させれば、再始動しないようにすることを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、適切に行われる速度超過の判定に従い、エンジンを停止させたあとでは再始動しないようにするので、速度超過を起す運転者による車両の走行を禁止し、運転者に自制を促すことができる。
【0015】
また本発明では、前記積算値が前記判定基準値から予め定める範囲に近づくと、前記車両の運転者に警告を行うことを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、積算値が判定基準値を超える前に、車両の運転者に警告が行われ、積算値が判定基準値に近付いていることを知らせて、運転者の自制を促すことができる。
【0017】
また本発明では、前記積算値が予め定める期間内に、予め定める許容基準値以下であれば、該積算値をクリアしてから、前記積の算出を繰返すことを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、予め定める期間内に積算値が予め定める許容基準値以下であれば、悪質な速度超過はないとみなし、積算値をクリアするので、許容される程度の速度超過が長期間続いても、速度超過防止対策の実行には至らないようにすることができる。
【0019】
また本発明では、前記積算値を車両の総走行距離に基づいて評価し、該積算値が所定値より大きいと評価されれば、激しい運転をされてきたと判断することを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、速度超過についての積算値を車両の総走行距離に基づいて評価する。積算値は、速度超過の程度が大きく、その状態が時間的に長く続くほど大きくなる。所定値に比較して積算値が大きいと評価されれば、速度超過の頻度が高いことを意味するので、車両は激しい運転をされてきたと判断することができる。
【0021】
また本発明では、予め定める期間内で前記積算値が予め定める評価基準値を超えなければ、優良運転を行っていたと判断することを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、速度超過についての積算値は、速度超過の頻度が小さければ増加しにくい。予め定める期間内で積算値が予め定める評価基準値を超えなければ、積算値があまり増加しないことを意味して、車両の運転は速度超過の頻度が小さい状態で行われていると評価することができる。したがって、予め定める期間内に積算値が評価基準値を超えなければ、運転者が優良運転を行っていたと判断することができる。
【0023】
また本発明では、前記速度超過の判定を、不揮発性メモリを備える処理装置によって行い、
前記速度超過と判定する時に、速度超過情報を該不揮発性メモリに記憶させることを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、速度超過の判定を、不揮発性メモリを備える処理装置によって行い、速度超過と判定する時に、速度超過情報を電気的消去・書込み可能な読出し専用メモリ(EEPROM)などの不揮発性メモリに記憶させるので、速度超過情報を不揮発性メモリに保存しておいて、いつでも参照することができる。
【0025】
また本発明では、前記速度超過の判定を、前記制限速度に、任意に調整可能な調整値を加えて行うことを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、速度超過の判定を、制限速度に調整値を加えて行い、調整値を任意に調整可能とするので、速度超過と判定する範囲を、調整値で調整し、交通の実情に合わせて判定を行うようにすることができる。
【0027】
また本発明では、前記車速についての情報として取得する車速を、誤差を見込んで補正することを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、車速についての情報として取得する車速を、誤差を見込んで補正するので、車速センサなどによる車速の検出に含まれる誤差の影響を低減し、速度超過の誤検出を避けることができる。
【0029】
また本発明では、前記車速の超過分の算出を、前記制限速度に代えて予め定める固定速度で行うことを特徴とする。
【0030】
本発明に従えば、道路に応じて変化する制限速度とは別に固定速度を設定し、速度超過の評価基準とすることができる。
【0031】
また本発明では、前記積に代えて、前記速度と前記制限速度の差をべき乗してから単位時間を乗算して得られる算出値を用いることを特徴とする。
【0032】
本発明に従えば、速度と制限速度との差をべき乗してから単位時間と積算するので、単に差を単位時間と積算するよりも、速度の超過の程度の寄与を大きくさせることができる。たとえば、制限速度に対する車速の速度超過の程度が大きい場合は積算値の増え方も大きくなるけれども、逆の場合は小さくなるので、速度超過の判定に悪質度合を反映させることができる。
【0033】
また本発明では、前記車速が前記制限速度以下の場合も、車速と制限速度との差に前記単位時間を乗算して、積を前記積算値の算出対象に含めることを特徴とする。
【0034】
本発明に従えば、車速が制限速度以下の場合は、車速と制限速度との差は負の値となり、この差に単位時間を乗算して積算値に加えると、積算値を減少させるので、運転者に、積算値を低下させるため、制限速度以下で走行するように誘導することができる。
【0035】
また本発明では、前記車速が前記制限速度以下の場合で、該車速が予め定める停止基準値以下であれば、渋滞・停止状態と判断し、前記積を前記算出対象には含めないことを特徴とする。
【0036】
本発明に従えば、渋滞や停止状態では運転者の意思に関係なく車速が制限速度以下になるので、車速が制限速度を超過しないことは当然である。そのような状態でも積算値の算出を行うと、積算値が減少してしまうので、運転状態の評価には不適切である。渋滞や停止状態で車速が制限速度以下になる期間を、積算値を算出する期間には含めないようにするので、速度超過の判断を的確に行うことができる。
【0037】
また本発明では、前記車速が前記制限速度以下の場合で、該車速と制限速度との差が予め定める除外基準値以下であれば、渋滞・停止状態と判断し、該差は前記単位時間を乗算して前記積算値を算出する対象から除外することを特徴とする。
【0038】
本発明に従えば、車速が制限速度以下の場合で、渋滞・停止状態と判断する基準を、車速ではなく、車速と制限速度との差に基づいて行うので、制限速度に応じた判断を行うことができる。たとえば、除外基準値を30km/hとすれば、制限速度が100km/hの高速道路では車速70km/h以下で渋滞・停止状態と判断し、制限速度が40km/hの一般道路では車速10km/h以下で渋滞・停止状態と判断することができる。
【0039】
また本発明では、前記車速が前記制限速度以下の場合で、該車速と制限速度との差の絶対値に対する該制限速度の比率が予め定める除外比率値以上であれば、渋滞・停止状態と判断し、該差は前記単位時間を乗算して前記積算値を算出する対象から除外することを特徴とする。
【0040】
本発明に従えば、たとえば車速30km/h、制限速度80km/h、除外比率値1/2であれば、車速と制限速度との差の絶対値は50km/hとなる。差の絶対値と制限速度との比率は、50/80>1/2となるので、除外比率値1/2よりも大きく、渋滞・停止状態と判断することができる。制限速度が低い道路を走行中の渋滞・停止状態の判断を、より正確に行い、渋滞や停止の状態で算出する車速と制限速度との差を、積算値には影響しないようにすることができる。
【0041】
また本発明では、前記車速と前記制限速度との差が予め定める基準値より大きいまたは小さいと判断される場合に、異常検知をすることを特徴とする。
【0042】
本発明に従えば、制限速度との差が非常に大きくなってたとえば200km/hに達したり、非常に小さくなってたとえば−200km/hに達したりする場合は、実際にはあり得ない状態であり、車速や制限速度の取得に問題がある可能性が大きくなる。このような場合は、基準値との比較に従って異常検知をして、たとえば車速センサの誤動作や制限速度取得失敗等のダイアグ要求を出すので、車速センサが誤動作したり制限速度の取得に失敗しているか否かを確認することができる。
【0043】
また本発明では、前記判定基準値または前記予め定める期間を、過去の速度超過状態に応じて変更することを特徴とする。
【0044】
本発明に従えば、速度超過と判定するための判定基準値または予め定める期間を過去の速度超過状態に応じて変更する。たとえば、過去に速度超過と判定している場合は、判定基準値を低くし、速度超過の判定を厳しく行うようにすることができる。また、判定基準値は同じでも、車速と制限速度との差と単位時間との積を積算する期間を長くし、速度超過の判定を厳しく行うようにすることができる。
【0045】
また本発明では、前記積算値を、前記車両の運転者に付随させ、該運転者が車両を乗換えても、乗換えた車両に該積算値を引継ぐことを特徴とする。
【0046】
本発明に従えば、運転者の速度超過を評価する積算値を運転者に付随させて、運転者が車両を乗換えても、乗換えた車両に積算値を引継ぐので、運転者の評価を的確に行うことができる。
【発明の効果】
【0047】
本発明によれば、車両の走行場所での制限速度の情報を取得し、速度超過の判定は、車速の超過分と単位時間との積の算出を繰返して得られる積算値に基づいて行うので、速度超過の程度を的確に判断し、悪質で過大な速度超過を確実に防止することができる。
【0048】
また本発明によれば、基地局で車両の運行を管理しているような場合に、車両に搭載される通信手段から、適切な速度超過の判定に基づく違反情報が基地局に通信され、車両の安全運転に向けて運転者に自制を促すなどの管理のために、有効に利用することができる。
【0049】
また本発明によれば、速度超過の判定に従い、車速リミッタで車両の車速を制限するので、判定後には確実に速度超過を防止することができ、車速の制限で運転者に自制を促すこともできる。
【0050】
また本発明によれば、速度超過の判定に従い、エンジンを停止させたあとでは再始動しないようにするので、速度超過を起す運転者による車両の走行を禁止し、運転者に自制を促すことができる。
【0051】
また本発明によれば、積算値が判定基準値を超える前に、積算値が判定基準値に近付いていることを知らせる警告が行われて、運転者の自制を促すことができる。
【0052】
また本発明によれば、悪質な速度超過でなければ積算値をクリアするので、許容される程度の速度超過が長期間続いても、速度超過防止対策の実行には至らないようにすることができる。
【0053】
また本発明によれば、速度超過についての積算値を車両の総走行距離に基づいて評価し、基準値に比較して積算値が大きいことは、速度超過の頻度が高いことを意味するので、車両は激しい運転をされてきたと判断することができる。
【0054】
また本発明によれば、速度超過についての積算値があまり増加しなければ、車両の運転は速度超過の頻度が小さい状態で行われていると評価して、運転者が優良運転を行っていたと判断することができる。
【0055】
また本発明によれば、速度超過時に、速度超過情報を不揮発性メモリに記憶させるので、不揮発性メモリに保存した速度超過情報を、いつでも参照することができる。
【0056】
また本発明によれば、速度超過の判定を、制限速度に調整値を加えて行い、速度超過と判定する範囲を、交通の実情に合わせることができる。
【0057】
また本発明によれば、車速を、誤差を見込んで補正するので、車速センサなどによる車速の検出に含まれる誤差の影響を低減し、速度超過の誤検出を避けることができる。
【0058】
また本発明によれば、道路に応じて変化する制限速度とは別に固定速度を設定し、速度超過の評価基準とすることができる。
【0059】
また本発明によれば、速度と制限速度との差をべき乗してから単位時間と積算して、速度の超過の程度の寄与を大きくさせることができ、速度超過の判定に悪質度合を反映させることができる。
【0060】
また本発明によれば、車速が制限速度以下の場合は、車速と制限速度との差に単位時間を乗算して積算値に加えると、積算値を減少させるので、運転者に、制限速度以下で走行するように誘導することができる。
【0061】
また本発明によれば、渋滞や停止状態で車速が制限速度以下になる期間を、積算値を算出する期間には含めないようにするので、速度超過の判断を的確に行うことができる。
【0062】
また本発明によれば、車速ではなく、車速と制限速度との差に基づいて渋滞・停止状態と判断するので、制限速度に応じた判断を行うことができる。
【0063】
また本発明によれば、車速と制限速度との差の絶対値と制限速度との比率に基づいて、渋滞・停止状態と判断することができる。制限速度が低い道路を走行中の渋滞・停止状態の判断を、より正確に行い、渋滞や停止の状態で算出する車速と制限速度との差を、積算値には影響しないようにすることができる。
【0064】
また本発明によれば、車速や制限速度の取得に問題がある可能性が大きくなる場合は、異常検知をするので、誤動作や情報の取得に失敗しているか否かをダイアグ要求などで確認することができる。
【0065】
また本発明によれば、速度超過と判定するための判定基準値または予め定める期間を過去の速度超過状態に応じて変更することができる。
【0066】
また本発明によれば、運転者の速度超過を評価する積算値を運転者に付随させて、運転者が車両を乗換えても、乗換えた車両に積算値を引継いで、評価を的確に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0067】
図1は、本発明の実施の一形態として車両の速度超過防止方法を実現する速度超過管理システムの概略的な構成を示す。速度超過管理システムは、車両側システム1および基地局側システム2を含む。車両側システム1は、速度超過の管理対象となる自動車などの車両に搭載される。管理対象となる車両は、たとえば、タクシー、バスなどの乗用や、トラック、ライトバンなどの荷物運搬用などの業務車両である。業務車両を管理対象とする場合、業務管理の一環として、速度超過の監視とその防止を図るようにすればよい。
【0068】
車両側システム1は、リモートサーバ10を含む。リモートサーバ10は、車両に搭載され、インタフェース12を介して車内のLAN(Local Area Network)13に接続される。LAN13には、リモートサーバ10が搭載される車両に対して、各種制御を行うための複数の電子制御ユニットなどが接続される。LAN13は、車載の電子制御ユニットの相互間でデータ通信を行うための通信路として利用される。車両の制御で重要となるデータの一つには、車両の走行速度である車速が含まれる。車速は、車速センサ14によって検出され、車速を表すデータがLAN13に送出される。リモートサーバ10の処理手段11は、車速のデータをリアルタイムで監視し、速度超過の判定を行う。速度超過の判定は、走行中の道路について規定されている制限速度に基づいて行う。走行中の道路の制限速度は、車両の現在位置を位置検知手段15で検知し、検知結果に基づいて制限速度取得手段16が取得する。制限速度取得手段16は、各道路について複数の区間での制限速度についての情報を、たとえば予め構築されているデータベースを参照して取得する。速度超過防止は、ある程度の期間にわたって、速度超過の傾向を数値化して監視し、速度超過の傾向を反映させる数値を累積させて、積算値がある一定の値を超えた場合に、通信手段17を介してアンテナ18から基地局側システム2へ違反情報を送信することに基づいて行う。また、積算値や違反情報は、EEPROM(Electrically Erasable
Programmable Read Only Memory )などを含む不揮発性メモリ19にも記憶される。
【0069】
なお、リモートサーバ10の処理手段11、位置検知手段15、制限速度取得手段16および通信手段17は、少なくとも一部に、プログラム動作を行うコンピュータを含んで実現される。位置検知手段15は、GPS(Global Positioning System )を利用したり、推測航法やマップマッチングを利用したり、併用したりして、車両の現在位置を検知することができる。
【0070】
基地局側システム2には、管理手段20、通信手段21、アンテナ22および管理データベース23が含まれる。管理手段20は、通信手段21およびアンテナ22を介して、車両側システム1に速度超過防止の対策を送信する。また、車両側システム1から送信される違反情報が受信されれば、管理データベース23に登録して、車両の運転者についてついて記録する。
【0071】
図2は、本発明で、速度超過を判定する基本的な考え方を示す。本発明は、この基本的な考え方に基づくものであり、これを実現する具体的な手法や構成は、説明するものの全部を必ずしも含む必要はなく、任意の組合せで実現することができるはずである。
【0072】
基本的な考え方では、車両が走行中に、車速センサ14によって検出させる車速vと、同じタイミングで取得される走行中の道路での制限速度との差を、単位時間毎に算出する。図2(a)は、縦軸の車速および制限速度と横軸の時間との関係の例を示す。たとえば、単位時間t1での差v1=車速−制限速度とし、S1=v1×t1とすると、S1は、図2(b)に示すような部分の面積となり、距離の次元を有する。すなわち、車両の走行時に、車速についての情報を取得し、走行場所での位置情報から制限速度についての情報を取得し、車速が制限速度を超過する場合に、車速の超過分を車速と制限速度の差v1として算出して、車速の超過分と単位時間t1との積S1を算出することを繰返し、積S1,S2,…,Snの積算値ΣSが予め定める判定基準値を超える場合に、速度超過と判定して、予め定める速度超過防止対策を実行する。
【0073】
このような車両の速度超過防止方法では、車速が制限速度を超過する超過分v1と単位時間t1との積S1を算出することを繰返し、積S1,S2,…,Snの積算値ΣSが予め定める判定基準値を超える場合に、速度超過と判定して、予め定める速度超過防止対策を実行する。車速は、車両の走行時に取得する情報に基づく。制限速度は、車両の走行場所での位置情報に基づいて取得する。したがって、車両の位置に応じて適切な制限速度の情報を取得し、車速の超過分v1を適切に算出することができる。車両の運転者が悪質で過大な速度超過を繰返すと、超過分v1と単位時間t1との積S1も大きくなり、積算値ΣSも迅速に増大する。速度超過の判定は、車速の超過分v1と単位時間t1との積S1の算出を繰返して得られる積算値ΣSに基づいて行うので、速度超過の程度を的確に判断し、悪質で過大な速度超過を確実に防止することができる。
【0074】
図3は、図1のリモートサーバ10の処理手段11による概略的な速度超過判定手順を示す。ステップs0で、電源の投入などが行われ、リモートサーバ10が動作を開始。ステップs1では、車速を車速センサ14から取得し、制限速度を制限速度取得手段16から取得して、車速と制限速度とを比較する。車速と制限速度との差が0+αより大くなければ、比較を続ける。αは、補正値であり、車速センサ14の誤差などを想定して、速度超過の誤検出を防ぐために用いる。すなわち、車速についての情報として取得する車速を、誤差を見込んで補正するので、車速センサ14などによる車速の検出に含まれる誤差の影響を低減し、速度超過の誤検出を避けることができる。
【0075】
ステップs1で、車速−制限速度>0+αであると判断されると、ステップs2に移行し、車速と制限速度との差に単位時間を乗算して、積S1を算出する。すなわち、S1=(車速−制限速度)×単位時間の演算を行う。次のステップs3では、算出された積S1を積算値ΣSに加算する。すなわち、ΣS=ΣS+S1の演算を行う。ステップs4では、積算値ΣSが一定値より大きくなっているか否かを判断する。大きくなっていないと判断するときは、ステップs1に戻る。ステップs4で、ΣS>一定値であると判断するときは、ステップs5に移行し、違反情報送信、車速リミッタ、再始動不可などの速度超過防止対策を実行し、ステップs6で手順を終了する。
【0076】
ステップs5での違反情報送信では、前述のように、車両に、基地局と通信を行うことが可能な通信手段17を搭載しておき、速度超過と判定する時に、通信手段17から違反情報を基地局に通信する。基地局で車両の運行を管理しているような場合に、車両に搭載される通信手段17から、速度超過との判定時に違反情報が基地局に通信される。適切な速度超過の判定に基づく違反情報であるので、車両の安全運転に向けて運転者に自制を促すなどの管理のために、有効に利用することができる。
【0077】
またステップs5では、車両に、車速を制限する車速リミッタを搭載している場合に、速度超過と判定する時には、車速リミッタを作動させる。適切に行われる速度超過の判定に従い、車速リミッタで車両の車速を制限するので、判定後には確実に速度超過を防止することができ、車速の制限で運転者に自制を促すこともできる。車速リミッタは、たとえば車速が90km/hを超えると、エンジンへの燃料供給をカットして、その速度以上の走行ができないようにする。
【0078】
またステップs5では、速度超過と判定する時に、その状態でエンジンを停止させれば、再始動しないようにする。適切に行われる速度超過の判定に従い、エンジンを停止させたあとでは再始動しないようにするので、速度超過を起す運転者による車両の走行を禁止し、運転者に自制を促すことができる。再始動を可能にするためには、何らかの解除装置、たとえばディーラのツール等を必要としておく。
【0079】
図4は、図3に示すような手順での速度超過判定で、ステップs4で積算値ΣSを一定値と比較する前に、警告を行う考え方を示す。警告は、ランプの点灯などで行う。ディスプレイに警告の文章を表示することもできる。また、音声メッセージで警告することもできる。車両が走行中に、車速と制限速度との関係の例をグラフで示すと、斜線を施して示す部分が速度超過に該当する。時刻τ1では、制限速度が切換えられ、差が瞬間的に0になるけれども、その後も速度超過の状態が続く。速度超過の状態は、制限速度が再度切換えられても継続し、時刻τ2で車速が制限速度よりも低下するまで続く。したがって、積算値ΣSは、時刻τ2まで増加する。車速は、時刻τ3で制限速度を超えるので、積算値ΣSは、時刻τ2から時刻τ3までは変化しないで、時刻τ3から再び増加する。このように、速度超過の積算値ΣSは、速度超過があると必ず増加し、図3のステップs4での一定値に相当する判定基準値に達することになる。なお、積算値ΣSが判定基準値に達して、図3のステップs5に示すような速度超過防止対策を実行する前に、判定基準値から一定の警告範囲内で、車両の運転者に警告を行うようにすることもできる。車速と制限速度との差および単位時間の積である積算値ΣSが判定基準値を超える前に、車両の運転者に警告が行われると、積算値が判定基準値に近付いていることを知らせて、運転者の自制を促すことができる。
【0080】
また、車速が少しでも制限速度を超えると、積算値ΣSは増加して、長期間になれば、判定基準値を超える可能性が高くなる。したがって、速度超過を判定する期間をたとえば2年程度の一定期間に限り、積算値ΣSがこの予め定める期間内に、予め定める許容基準値以下であれば、積算値をクリアしてから、積の算出を繰返すことが好ましい。予め定める期間内に積算値が予め定める許容基準値以下であれば、悪質な速度超過はないとみなし、積算値をクリアするので、許容される程度の速度超過が長期間続いても、速度超過防止対策の実行には至らないようにすることができる。
【0081】
また、積算値ΣSは、運転者の運転状態の評価にも使用することができる。たとえば、基地局側システム2では、管理データベース23を利用して、積算値を車両の総走行距離に基づいて評価し、積算値が大きいと評価されれば、激しい運転をされてきたと判断することもできる。速度超過についての積算値は、速度超過の程度が大きく、その状態が時間的に長く続くほど大きくなる。総走行距離に比較して積算値が大きいと評価されれば、速度超過の頻度が高いことを意味するので、車両は激しい運転をされてきたと判断することができるからである。
【0082】
また、予め定める期間内で前記積算値が予め定める評価基準値を超えなければ、優良運転を行っていたと判断することもできる。速度超過についての積算値は、速度超過の頻度が小さければ増加しにくい。予め定める期間内で積算値が予め定める評価基準値を超えなければ、積算値があまり増加しないことを意味して、車両の運転は速度超過の頻度が小さい状態で行われていると評価することができる。したがって、予め定める期間内に積算値が評価基準値を超えなければ、運転者が優良運転を行っていたと判断することができる。
【0083】
また、図3のステップs1での速度超過の判定を、制限速度に、任意に調整可能な調整値を加えて行うこともできる。速度超過の判定を、制限速度に調整値を加えて行い、調整値を任意に調整可能とするので、速度超過と判定する範囲を、調整値で調整し、交通の実情に合わせて判定を行うようにすることができる。
【0084】
また、ステップs1での速度超過の判定や、ステップs2での車速の超過分の算出を、制限速度に代えて予め定める固定速度、たとえば120km/hなどで行うこともできる。道路に応じて変化する制限速度とは別に固定速度を設定し、速度超過の評価基準とすることができる。
【0085】
またステップs2では、積に代えて、速度と制限速度の差をべき乗してから単位時間を乗算して得られる算出値を用いることもできる。たとえば、S1を(v1)の2乗と単位時間t1との積として算出する。一般にV1をn乗して、速度と制限速度との差をべき乗してから単位時間と積算するので、単に差を単位時間と積算するよりも、速度の超過の程度の寄与を大きくさせることができる。たとえば、制限速度に対する車速の速度超過の程度が大きい場合は積算値の増え方も大きくなるけれども、逆の場合は小さくなるので、速度超過の判定に悪質度合を反映させることができる。
【0086】
また図1の車両側システム1では、速度超過の判定を、不揮発性メモリ19を備える処理装置としてのリモートサーバ10によって行い、速度超過と判定する時に、違反情報を不揮発性メモリ19に記憶させている。速度超過の判定を、不揮発性メモリ19を備える処理装置によって行い、速度超過と判定する時に、違反情報を電気的消去・書込み可能な読出し専用メモリ(EEPROM)などの不揮発性メモリ19に記憶させるので、違反情報を不揮発性メモリ19に保存しておいて、いつでも参照することができる。
【0087】
図5は、本発明の実施の他の形態として、車速が制限速度以下の場合も、車速と制限速度との差に単位時間を積算して、積算値を積算値の算出対象に含める考え方を示す。すなわち、車速と制限速度とが図4と同一の関係にあっても、時刻τ2から時刻τ3までの間に、車速が制限速度よりも低くなる区間についての処理を異ならせる。左下がりの斜線を施して示す区間は、図4と同様に、速度超過の区間であり、車速と制限速度との差は正の値となり、単位時間を乗算する積を累積させる積算値ΣSは増加する。しかしながら、時刻τ2から時刻τ3までの区間では、右下がりの斜線を施して示すように、車速が制限速度よりも低くなり、車速と制限速度との差は負となるので、この差と単位時間との積も負となり、積算値ΣSに加算すると、積算値ΣSを減少させる。したがって、時刻τ2以降、積算値ΣSは仮想線で示す図4の積算値ΣSよりも減少した値となり、縦線を施して示す値だけ、積算値ΣSを減少させることができる。すなわち、車速が制限速度以下の場合は、車速と制限速度との差は負の値となり、この差に単位時間を乗算して積算値に加えると、積算値を減少させるので、運転者に、積算値を低下させるため、制限速度以下で走行するように誘導することができる。
【0088】
図6は、車速が制限速度以下の場合で、車速が予め定める停止基準値以下であれば、渋滞・停止状態と判断し、積算値ΣSを算出対象には含めない考え方を示す。すなわち、一定の停止基準値として除外基準を設定し、時刻τ11までは、車速が制限速度を超過、時刻τ11から時刻τ11aまでは車速が制限速度以下、時刻τ11aから時刻τ11bまでは除外というように、左下がりの斜線を施して示す部分で超過分を加算し、右下がりの斜線を施して示す部分で積算値ΣSを減少させるようにして、車速が除外基準以下となる時刻τ11aから時刻τ11bまでの区間を除外する。この区間は、渋滞や停止状態と考えられ、渋滞や停止状態では運転者の意思に関係なく車速が制限速度以下になるので、車速が制限速度を超過しないことは当然である。そのような状態でも積算値ΣSの算出を行うと、積算値ΣSが減少してしまうので、運転状態の評価には不適切である。渋滞や停止状態で車速が制限速度以下になる期間を、積算値ΣSを算出する期間には含めないようにするので、速度超過の判断を的確に行うことができる。
【0089】
図7は、車速が制限速度以下の場合で、車速と制限速度との差が予め定める除外基準値以下であれば、渋滞・停止状態と判断し、差は単位時間を積算して積を算出する対象から除外する考え方を示す。車速と制限速度とが図6と同一の場合で説明すると、除外基準を図6のように一定ではなく、制限速度から一定の差として、制限速度の変化に連動させる。したがって、図6では、時刻τ12から時刻τ13までを、車速が制限速度よりも低くなる区間として、積算値ΣSを減少させる区間としているけれども、図7では、時刻τ12aからτ12bまでの区間は車速が除外基準よりも低くなり、積算値ΣSを減少させる区間から除外される。車速が制限速度以下の場合で、渋滞・停止状態と判断する基準を、車速ではなく、車速と制限速度との差に基づいて行うので、制限速度に応じた判断を行うことができる。たとえば、除外基準値を30km/hとすれば、制限速度が100km/hの高速道路では車速70km/h以下で渋滞・停止状態と判断し、制限速度が40km/hの一般道路では車速10km/h以下で渋滞・停止状態と判断することができる。
【0090】
なお、車速が制限速度以下の場合で、車速と制限速度との差の絶対値に対する制限速度の比率が予め定める除外比率値以上であれば、渋滞・停止状態と判断し、差は単位時間を積算して算出値を算出する対象から除外することもできる。たとえば車速30km/h、制限速度80km/h、除外比率値1/2であれば、車速と制限速度との差の絶対値は50km/hとなる。差の絶対値と制限速度との比率は、50/80>1/2となるので、除外比率値1/2よりも大きく、渋滞・停止状態と判断することができる。制限速度が低い道路を走行中の渋滞・停止状態の判断を、より正確に行い、渋滞や停止の状態で算出する車速と制限速度との差を、積算値には影響しないようにすることができる。
【0091】
また、実施の各形態で、車速と前記制限速度との差が予め定める基準に従って、非常に大きいまたは小さいと判断される場合に、異常検知をしてダイアグ要求を出すこともできる。制限速度との差が非常に大きくなってたとえば200km/hに達したり、非常に小さくなってたとえば−200km/hに達したりする場合は、実際にはあり得ない状態であり、車速や制限速度の取得に問題がある可能性が大きくなる。このような場合は、異常検知をして、たとえば車速センサ14の誤動作や制限速度取得失敗等のダイアグ要求を出すので、車速センサ14が誤動作したり制限速度速度の取得に失敗しているか否かを確認することができる。
【0092】
また、図4および図5に示す判定基準値を、過去の速度超過状態に応じて変更することもできる。すなわち、速度超過と判定するための判定基準値を過去の速度超過状態に応じて変更する。たとえば、過去に速度超過と判定している場合は、判定基準値を低くし、速度超過の判定を厳しく行うようにすることができる。
【0093】
また、積算値ΣSを判定基準値と比較して速度超過を判定するための定める期間を、過去の速度超過状態に応じて変更することもできる。速度超過と判定するための予め定める期間を過去の速度超過状態に応じて変更するので、たとえば、過去に速度超過と判定している場合は、判定基準値は同じでも、車速と制限速度との差と単位時間との積を積算する期間を長くし、速度超過の判定を厳しく行うようにすることができる。
【0094】
また、積算値ΣSを、車両の運転者に付随させ、運転者が車両を乗換えても、乗換えた車両に積算値ΣSを引継ぐこともできる。運転者の速度超過を評価する積算値ΣSを運転者に付随させて、運転者が車両を乗換えても、乗換えた車両に積算値ΣSを引継ぐので、運転者の評価を的確に行うことができる。
【0095】
以上の説明では、業務用の車両にリモートサーバを搭載して、速度超過防止を図るようにしているけれども、車両一般に同様な機能の機器を搭載したり、既に搭載されているナビゲーション装置やETC(Electronic Toll Collection system )などに機能を追加したりしても、本発明の実施は可能である。速度超過の評価に基づいて、有料道路の通行料金の割引や保険料の低減などを行うようにすれば、速度超過の防止が運転者にとっても大きな利益となるようにすることができる。
【0096】
車両側システム1は、基地局側システム2に違反情報を通信する通信手段17を備えていなくても、不揮発性メモリ19などに記録する情報を参照すれば、速度超過の判定資料とすることができる。また、車両側システム1からは車速データを常に基地局側システム2に送信するようにして、速度超過の判定等は、基地局側システム2で行うようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施の一形態として車両の速度超過防止方法を実現する速度超過管理システムの概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】本発明で、速度超過を判定する基本的な考え方を示すグラフである。
【図3】図1のリモートサーバ10の処理手段11による概略的な速度超過判定手順を示すフローチャートである。
【図4】図3に示すような手順での速度超過判定で、ステップs4で積算値ΣSを一定値と比較する前に、警告を行う考え方を示すグラフである。
【図5】本発明の実施の他の形態として、車速が制限速度以下の場合も、車速と制限速度との差に単位時間を積算して、積算値を積算値の算出対象に含める考え方を示すグラフである。
【図6】図5の実施形態で、車速が制限速度以下の場合であり、車速が予め定める停止基準値以下であれば、渋滞・停止状態と判断し、積算値ΣSを算出対象には含めない考え方を示すグラフである。
【図7】図5の実施形態で、車速が制限速度以下の場合であり、車速と制限速度との差が予め定める除外基準値以下であれば、渋滞・停止状態と判断し、差は単位時間を積算して積を算出する対象から除外する考え方を示すグラフである。
【符号の説明】
【0098】
1 車両側システム
2 基地局側システム
10 リモートサーバ
11 処理手段
14 車速センサ
15 位置検知手段
16 制限速度取得手段
17,21 通信手段
19 不揮発性メモリ
20 管理手段
23 管理データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行時に、車速についての情報を取得し、
走行場所での制限速度についての情報を取得し、
車速が制限速度を超過する場合に、車速の超過分と単位時間との積を算出することを繰返し、
該積の積算値が予め定める判定基準値を超える場合に、速度超過と判定して、予め定める速度超過防止対策を実行することを特徴とする車両の速度超過防止方法。
【請求項2】
前記車両に、基地局と通信を行うことが可能な通信手段を搭載しておき、
前記速度超過と判定する時に、該通信手段から違反情報を基地局に通信することを特徴とする請求項1記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項3】
前記車両に、車速を制限する車速リミッタを搭載しておき、
前記速度超過と判定する時に、該車速リミッタを作動させることを特徴とする請求項1または2記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項4】
前記速度超過と判定する時に、その状態でエンジンを停止させれば、再始動しないようにすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項5】
前記積算値が前記判定基準値から予め定める範囲に近づくと、前記車両の運転者に警告を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項6】
前記積算値が予め定める期間内に、予め定める許容基準値以下であれば、該積算値をクリアしてから、前記積の算出を繰返すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項7】
前記積算値を車両の総走行距離に基づいて評価し、該積算値が所定値より大きいと評価されれば、激しい運転をされてきたと判断することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項8】
予め定める期間内で前記積算値が予め定める評価基準値を超えなければ、優良運転を行っていたと判断することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項9】
前記速度超過の判定を、不揮発性メモリを備える処理装置によって行い、
前記速度超過と判定する時に、速度超過情報を該不揮発性メモリに記憶させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項10】
前記速度超過の判定を、前記制限速度に、任意に調整可能な調整値を加えて行うことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項11】
前記車速についての情報として取得する車速を、誤差を見込んで補正することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項12】
前記車速の超過分の算出を、前記制限速度に代えて予め定める固定速度で行うことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項13】
前記積に代えて、前記速度と前記制限速度の差をべき乗してから単位時間を乗算して得られる算出値を用いることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項14】
前記車速が前記制限速度以下の場合も、車速と制限速度との差に前記単位時間を乗算して、積を前記積算値の算出対象に含めることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項15】
前記車速が前記制限速度以下の場合で、該車速が予め定める停止基準値以下であれば、渋滞・停止状態と判断し、前記積を前記算出対象には含めないことを特徴とする請求項14記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項16】
前記車速が前記制限速度以下の場合で、該車速と制限速度との差が予め定める除外基準値以下であれば、渋滞・停止状態と判断し、該差は前記単位時間を乗算して前記積算値を算出する対象から除外することを特徴とする請求項14記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項17】
前記車速が前記制限速度以下の場合で、該車速と制限速度との差の絶対値に対する該制限速度の比率が予め定める除外比率値以上であれば、渋滞・停止状態と判断し、該差は前記単位時間を乗算して前記積算値を算出する対象から除外することを特徴とする請求項14記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項18】
前記車速と前記制限速度との差が予め定める基準値より大きいまたは小さいと判断される場合に、異常検知をすることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項19】
前記判定基準値または前記予め定める期間を、過去の速度超過状態に応じて変更することを特徴とする請求項1〜18のいずれか1つに記載の車両の速度超過防止方法。
【請求項20】
前記積算値を、前記車両の運転者に付随させ、該運転者が車両を乗換えても、乗換えた車両に該積算値を引継ぐことを特徴とする請求項1〜19のいずれか1つに記載の車両の速度超過防止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−242031(P2006−242031A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56166(P2005−56166)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】