説明

車両シャーシに取り付けるコンソール、及びサスペンション支持コンソールを含む車両

本発明は、車両シャーシに取り付けるコンソール(100)に関し、コンソール(100)は、トラック(30)のブラケット本体(110)を含み、ブラケット本体(110)は、流体を貯蔵するキャビティ(150)を少なくとも部分的に囲むケーシングによって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両シャーシに取り付けるコンソール、及びコンソールを含む車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エアサスペンション及び/又はエアブレーキに用いられる加圧空気を貯蔵するための、トラックの車軸、クロスメンバー、スタビライザーバー又はコントロールアーム内に設置されるエアタンクを開示している。加圧空気を貯蔵するキャビティを形成するために、仕切り壁を構造物に溶接することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,747,031号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、追加の流体貯蔵室の製造を改善することである。本発明の別の目的は、車両にこのような流体貯蔵室を備えることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
これらの目的は、独立請求項に記載の特徴によって達成される。その他の請求項及び説明は、本発明の有利な実施形態を開示するものである。
【0006】
トラックシャーシに取り付けるコンソールが提供されるが、コンソールは、ブラケット本体を含み、ブラケット本体は、流体を貯蔵するキャビティを少なくとも部分的に取り囲むケーシングによって形成される。
【0007】
コンソールは、特に、サスペンション支持コンソールである。好都合には、ブラケット本体のケーシングは、流体タンクを形成するキャビティを取り囲んでいる。流体は、気体又は液体のいずれであってもよく、また、流体は加圧してもよいし、あるいは大気圧下に置いてもよい。特に、流体は加圧空気であってよい。好ましくは、コンソールによって囲まれるキャビティ、及びキャビティを取り囲むケーシングは、容易に手が届き、簡単に点検することができる。トラックフレーム内の空間が極めて限られているにもかかわらず、貯蔵空間としてブラケット本体を用いることによって、さらに追加的空間が利用可能になる。コンソールは、車両フレームレール同士の間にある他の部品に支障をきたすことなく、数リットルの貯蔵容量を容易に提供できる。特に、例えば車両サスペンションにおいて、加圧空気に用いる場合には、コンソールは、加圧空気を必要とする可能性があるホイールサスペンション付近に必然的に配置されるため、長い配管を回避できる。
【0008】
本発明の好ましい実施形態によれば、ブラケット本体は、キャビティを取り囲むケーシング内に少なくとも部分的に組み込むことができる。有利には、ブラケット本体の一部自体がコンテナを形成することもできるし、あるいは、ブラケット本体がケーシングを構成するコンテナの支持体であってもよい。好都合には、ブラケット本体は、キャビティを囲むように鋳込み成形することができる。ブラケット本体の製造は容易である。リアクションステイ又は締め付けロッドなどの部品の取り付け箇所は不変のままにしておくことができる。流体を貯蔵するキャビティを形成する、若しくはキャビティを支持するために、コンソールの中央部分のみが用いられる。有利には、ケーシングは、楕円形又は長円形を呈する。もちろん、その他の形状も使用できる。ケーシングの形状は、コンテナ内に貯蔵される流体の種類又は状態に応じて構成できる。好都合には、ケーシングの形状は、加圧流体、例えば加圧空気の要件に応じて容易に設計できる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態によれば、コンソールは、リアクションステイを取り付けることが可能なリアクションステイコンソールとして具現化できる。コンソールは、ホイールホルダの力をリアクションステイ又はサスペンション要素を介して伝送し、これらの力をシャーシに導入できる。コンソールはまた、リアクションステイコンソールと呼ぶこともできる。コンソールの製造は、コンソールが支持体として作用すると同時に、タンクの機能も果たすようにすれば、技術的に簡素化することができる。ブラケット本体に組み込むことによって、構成部品の数を減らすことができる。好都合には、特にコンソールと、キャビティを取り囲むケーシングとを1つの鋳型で鋳込み成形することにより、コンソールとブラケット本体内の中空ケーシングとを一製造段階で製造することが可能である。ケーシングは、砂中子によって画定でき、砂中子は、コンソールを鋳込み成形した後取り出すことができる。従って、様々な3次元形状及び容量を製造できる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、コンソールのブラケット本体は、ケーシングをブラケット本体に取り付けるための開口部を付与できる。この場合、ブラケット本体は、ケーシングの周囲にフレームを形成する。利点は、例えば、加圧空気タンクを形成するケーシングが、点検の目的で、又はケーシングを交換する際に容易に手が届くことである。コンソールにケーシングを固定するのは、公知の方法、例えば、溶接、リベット締め、ネジ締めなどによって達成できる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、コンソールの対応する開口部にタンクを挿入して、固定できる。
【0012】
好ましい実施形態によれば、タンクのケーシングは、ブラケット本体の片側だけから突出させることができる。ブラケット本体の反対側は、別の設置目的のために用いることができる。
【0013】
好ましい実施形態によれば、タンクのケーシングは、ブラケット本体の両側から突出させることができる。この場合、ブラケット本体によって部分的に取り囲まれるキャビティの容量は、片側のみの設計と比較して2倍になる。
【0014】
好ましい実施形態によれば、ケーシングは、5リットルの最小容量、好ましくは少なくとも10リットルの容量、好ましくは15リットル以下の容量を提供できる。好都合には、流体、例えば加圧空気、若しくは油などの別の流体の場合にはさらに追加の貯蔵容量を提供できる。
【0015】
好ましくは、ブラケット本体にケーシング又はタンクを組み込むことにより、車両の部品の数を減らすことができ、これによって構成要素の重量及び空間効率的な設計が可能になる。キャビティを取り囲むケーシングに安定化又は補強構造物を組み込むことも可能である。
【0016】
好ましい実施形態によれば、キャビティ内の流体の入口及び/又は出口として、1つ以上の取り付け管をコンソールに設置できる。好都合には、取り付け管は、開口部に接続できるが、この開口部は、鋳込み成形の際に用いられる砂中子を取り出すために用いられるものである。取り付け管は、流体、例えば、加圧空気を、車両内での使用機器、例えばエアサスペンションに接続できる。
【0017】
本発明は、前述の目的及びその他の目的並びに利点と共に、以下に概略的に示す実施形態の詳細な説明から明瞭に理解されよう。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されるわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】トラックシャーシに取り付けられたコンソールを備えるトラックシャーシの部分的斜視図である。
【図2】タンクのケーシングを含むコンソールの第1の例示的実施形態の斜視図である。
【図3a】タンクのケーシングを囲むコンソールの別の例示的実施形態の斜視図である。
【図3b】タンクの切断面を示す図である。
【図4】タンクのケーシングの受け口と、コンソールに取り付けられた個別のタンクを備えるコンソールの別の例示的実施形態の斜視正面図である。
【図5】流体を貯蔵するキャビティを囲むコンソールを含む車両の例示的実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面において、同様又は類似の要素は、同じ参照番号で示すものとする。図面は、概略的な表示に過ぎず、本発明の具体的要素を表すことを意図するものではない。さらに、図面は、本発明の典型的な実施形態のみを描くことを意図しており、従って、本発明の範囲を限定するものとして考えるべきではない。
【0020】
図1は、例として、車輪車軸に取り付けられたホイールホルダ14の上下運動を減衰させるエアベローズ16及びダンパー22を含むエアサスペンション12を備えた車両、例えばトラックなどのフレーム10を示す。コンソール100が、2つのホイールホルダ14の間に配置されており、コンソールは、上部116でフレーム10に取り付けられ、これによって、ホイールホルダ14の車輪(図示なし)からの力をフレーム10に導入する。コンソール100は、サスペンション支持コンソールである。
【0021】
ホイールホルダ14は、コンソール100の分岐した下部受け器114で、リアクションステイ18を介してコンソール100に接続される。エアベローズ16の1つが、締め付けロッド20を介してコンソール100に取り付けられる。コンソール100は、そのブラケット本体110内にケーシング120を含む。ケーシング120は、加圧空気のような流体を貯蔵するタンクとして用いることができる。
【0022】
図2及び図3a、図3bは、ブラケット本体110を備えるコンソール100の2つの設計を示す。ブラケット本体110は、側壁112、並びに下端にリアクションステイ18(図1)及び上端にプレート状ホルダ116の分岐した受け器114を含み、プレート状ホルダは、車両フレーム10(図1)に取り付けることができる。締め付けロッド20(図1)は、開口部118を介してコンソール100に取り付けることができる。
【0023】
コンソール100は、ブラケット本体110がキャビティ150を取り囲むタンクのケーシング120を形成するように、加圧空気用のケーシング120と一体化したタンクをその中央部分に含む。ケーシング120は、突出外側面122を有する。好ましくは、タンクの壁厚は、数ミリメートルの厚さ、すなわち、タンクなしのコンソール100の中央部分と同じ厚さであってよい。その結果、コンソール100の機械的強度及び安定性は実質的に変わらない。コンソール100の側壁112は、リアクションステイ18(図1)の取り付けを可能にするために、一般に上記の厚さより厚い。
【0024】
図2に示す突出外側面122は、プレート状ホルダ116とほぼ平行な、従ってフレームレール24(図1)と平行な前部表面126を含むと共に、側壁124を備える。前部表面126に設けられた2つの孔128は、ブラケット本体110を鋳込み成形する際に位置保持手段として用いられる砂中子を取り出すのに用いられる。孔128は、例えばタンクのキャビティ150内に貯蔵された加圧空気の使用機器にタンクを接続する弁及び管を取り付けるのに用いることができる。
【0025】
ケーシング120は、ブラケット本体110の片側だけから突出するように具現化してもよいし、あるいは、ブラケット本体110の両側から突出するように設計してもよい。図3a、図3bに示すケーシング120は、卵形に膨らんだ面122を呈しており、この面は、図3bからわかるように、ブラケット本体110の両側から突出する。より高い安定性が求められる場合には、補強コルゲーション130をケーシング120の表面122に設けることができる。ケーシング120の形状は、車両における利用可能な空間、要求される安定性などに応じて選択できる。ケーシング120の好適な形状は、ブラケット本体110を鋳込み成形することによって容易に製造できる。
【0026】
図4は、コンソール100の別の例示的実施形態を示す。ブラケット本体110は、ケーシング120を備えるタンクの受け口130である中央開口部を含む。例として、タンクは円筒の形状を呈する。もちろん、タンクは、所望する他の形状でもよい。
【0027】
タンクを受け口130に差し込み、ブラケット本体110に取り付ける。ブラケット本体110上又は中へのタンクのケーシング120の連結は、当業者には公知の方法、例えば、ネジを用いて取り外し可能に、あるいは、溶接などにより永久的に実施できる。
【0028】
図5は、フレーム10の両側に、コンソール100を備えた車両30を示すが、コンソール100は、キャビティ150内の流体を貯蔵するための、特に加圧空気を貯蔵するための上記のタンクを取り囲む。車両30は、トラックの牽引車として具現化されており、エアサスペンション12を含むが、エアサスペンション12は、エアサスペンション12内に加圧空気の少なくとも一部を供給するために、コンソール100のキャビティ150に接続される。もちろん、コンソール100のキャビティ150内に貯蔵された加圧空気は、車両30における加圧空気の他の使用機器で用いることもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シャーシに取り付けるコンソール(100)であって、コンソール(100)は、トラック(30)のブラケット本体(110)を含み、ブラケット本体(110)は、流体を貯蔵するキャビティ(150)を少なくとも部分的に囲むケーシングによって形成される、コンソール。
【請求項2】
前記ブラケット本体(110)が、前記キャビティ(150)を取り囲むケーシング(120)に少なくとも部分的に組み込まれていることを特徴とする、請求項1に記載のコンソール。
【請求項3】
前記ブラケット本体(110)が前記ケーシング(120)を構成することを特徴とする、請求項2に記載のコンソール。
【請求項4】
前記ブラケット本体(110)が、前記キャビティ(150)を囲むように鋳込み成形されることを特徴とする、請求項2又は3に記載のコンソール。
【請求項5】
前記ケーシング(120)が長円形状を有することを特徴とする、請求項4に記載のコンソール。
【請求項6】
リアクションステイ(18)を取り付けることが可能なリアクションステイコンソールとして具現化されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のコンソール。
【請求項7】
前記ブラケット本体(110)が、前記キャビティ(150)を取り囲むケーシング(120)を少なくとも部分的に支持することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のコンソール。
【請求項8】
前記ブラケット本体(110)が、ケーシング(120)の受け口としての開口部(130)を提供する、請求項7に記載のコンソール。
【請求項9】
前記ケーシング(120)が、前記ブラケット本体(110)の片側から突出することを特徴とする、請求項2〜8のいずれか一項に記載のコンソール。
【請求項10】
前記ケーシング(120)が、前記ブラケット本体(110)の両側から突出することを特徴とする、請求項2〜8のいずれか一項に記載のコンソール。
【請求項11】
前記キャビティ(150)の容量が5リットル以上であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載のコンソール。
【請求項12】
前記キャビティ(150)が、流体として加圧空気を貯蔵するように構成されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載のコンソール。
【請求項13】
前記キャビティ(150)内の流体の入口及び/又は出口として接続するために、1つ以上の取り付け管が前記コンソール(100)に設けられることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載のコンソール。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のコンソール(100)を含む車両(30)。
【請求項15】
前記コンソール(100)のキャビティ(150)に接続されたエアサスペンション(12)が設けられることを特徴とする、請求項14に記載の車両。
【請求項16】
車両シャーシに取り付けるコンソールであって、該コンソールは、トラックのブラケット本体を含み、該ブラケット本体は、流体を貯蔵するキャビティを少なくとも部分的に囲むケーシングによって形成される、コンソール。
【請求項17】
前記ブラケット本体が、キャビティを取り囲むケーシングに少なくとも部分的に組み込まれていることを特徴とする、請求項16に記載のコンソール。
【請求項18】
前記ブラケット本体が前記ケーシングを構成することを特徴とする、請求項17に記載のコンソール。
【請求項19】
前記ブラケット本体が、前記キャビティを囲むように鋳込み成形されることを特徴とする、請求項17又は18に記載のコンソール。
【請求項20】
前記ケーシングが長円形状を有することを特徴とする、請求項19に記載のコンソール。
【請求項21】
リアクションステイを取り付けることが可能なリアクションステイコンソールとして具現化されることを特徴とする、請求項16に記載のコンソール。
【請求項22】
前記ブラケット本体が、前記キャビティを取り囲むケーシングを少なくとも部分的に支持することを特徴とする、請求項16に記載のコンソール。
【請求項23】
前記ブラケット本体が、前記ケーシングの受け口としての開口部を提供する、請求項22に記載のコンソール。
【請求項24】
前記ケーシングが前記ブラケット本体の片側から突出することを特徴とする、請求項17に記載のコンソール。
【請求項25】
前記ケーシングが前記ブラケット本体の両側から突出することを特徴とする、請求項17のいずれかに記載のコンソール。
【請求項26】
前記キャビティの容量が5リットル以上であることを特徴とする、請求項16に記載のコンソール。
【請求項27】
前記キャビティが、流体として加圧空気を貯蔵するように構成されることを特徴とする、請求項16に記載のコンソール。
【請求項28】
前記キャビティ内の流体の入口及び/又は出口として接続するために、1つ以上の取り付け管が前記コンソールに設けられることを特徴とする、請求項16に記載のコンソール。
【請求項29】
請求項16に記載のコンソールを含む車両。
【請求項30】
前記コンソールのキャビティに接続されるエアサスペンションが設けられることを特徴とする、請求項29に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−505163(P2013−505163A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529709(P2012−529709)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/SE2009/000416
【国際公開番号】WO2011/034470
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(500277711)ボルボ ラストバグナー アーベー (163)
【Fターム(参考)】