車両ナンバー撮影システム、車両ナンバー撮影方法
【課題】定点監視カメラの設置場所において撮影環境の変化に対応して、常に安定した明るさで、通行車両のナンバープレートを撮影および認識できるようにする。
【解決手段】この車両ナンバー撮影システムは、撮影方向を道路に向け、少なくとも視野の一部に道路を走行する車両21のナンバープレート22が入るように路側部に配設され、外部から制御を受けて受光量を可変して映像を撮影する動画撮影用のカメラ2aと、このカメラ2aからナンバープレート22の位置の奥手に配設され、所定の反射率を持つ基準面1aを有する基準板1と、カメラ2aで撮影された基準板1を含む範囲の光量を所定期間サンプリングして得た明度値の中から、通過した車両のナンバープレート22の明度値を除外した明度値を得る基準明度算出部4と、取得された明度値と予め設定された明度値との差分に応じてカメラ2aの受光量を制御する制御部5とを備える。
【解決手段】この車両ナンバー撮影システムは、撮影方向を道路に向け、少なくとも視野の一部に道路を走行する車両21のナンバープレート22が入るように路側部に配設され、外部から制御を受けて受光量を可変して映像を撮影する動画撮影用のカメラ2aと、このカメラ2aからナンバープレート22の位置の奥手に配設され、所定の反射率を持つ基準面1aを有する基準板1と、カメラ2aで撮影された基準板1を含む範囲の光量を所定期間サンプリングして得た明度値の中から、通過した車両のナンバープレート22の明度値を除外した明度値を得る基準明度算出部4と、取得された明度値と予め設定された明度値との差分に応じてカメラ2aの受光量を制御する制御部5とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば道路に設置される車両ナンバー撮影システム、車両ナンバー撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路には、道路の周辺に定点設置したカメラで道路を通行する車両のナンバープレートを撮影して車両のナンバーを逐次識別する車両ナンバー撮影システム(以下「車番認識システム」と称す)が導入されている。
【0003】
この種のシステムでは、カメラで撮影した映像を、記録媒体などに保管しておき、例えば有料道路であれば、料金所などで料金未払いの不正通行や事故などのトラブルが生じた際に、保管したおいた映像を証拠資料として利用する。
【0004】
このため、通常、オートアイリス制御機能を搭載したカメラを利用し、道路の明るさに応じてリアルタイムにオートアイリス制御をかけ、被写体を撮影するようにしている。
【0005】
オートアイリス制御により車番認識を行う従来の技術としては、カメラの視野に車両のナンバープレートが入ったときはその明度値にしたがってオートアイリスの補正をかける一方、視野にナンバープレートが入っていないときは道路の明度値にしたがって、ナンバープレートの明度値を類推しながらオートアイリス制御により明るさの補正をかける車番認識システムの技術が公開されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−202591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、道路を通行する車両を定点カメラが映す際に、リアルタイムにオートアイリス制御を行うと、車両が移動体であることから、そのナンバープレートの色や太陽光の反射等の状態によって撮影された映像の明るさにムラが発生する。
【0007】
また、被写体の撮影環境が屋外であることから、設置場所や時間帯によって背景の濃度が変化し、撮影される映像に、ばらつきがでる場合がある。例えば、車両のナンバーの読み取りを行う際に、明るい色の車両が視野全体に入った場合には、アイリス制御(明るさ補正)によって、ナンバープレートの映っている画像が暗くなりすぎる場合があった。このように一瞬の状況変化にアイリス制御(明るさ補正)を追従させてしまうと、撮影された映像は証拠能力に欠ける場合があるという問題がある。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、定点監視カメラの設置場所において撮影環境の変化に対応して常に適切な明るさで映像を撮影することのできる車両ナンバー撮影システム、車両ナンバー撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために本発明の車両ナンバー撮影システムは、撮影方向を道路に向け、少なくとも視野の一部に前記道路を走行する車両のナンバープレートが入るように路側部に配設され、外部から制御を受けて受光量を可変して映像を撮影する動画撮影用のカメラと、前記カメラから前記ナンバープレートの奥手に配設され、所定の反射率を持つ明度測定用の基準面を有する基準部材と、前記カメラにより撮影される前記ナンバープレートと同等のエリアの光量を所定期間サンプリングして得た前記ナンバープレートおよび前記基準面の明度値のうち、少なくとも前記基準面の明度値を含む複数の明度値の中から、前記ナンバープレートの明度値を除外した明度値を得る基準明度取得部と、前記基準明度取得部により取得された明度値と予め前記ナンバープレートの撮影に適するように設定された明度値との差分に応じて前記カメラの受光量を制御する制御部とを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の車両ナンバー撮影方法は、撮影方向を道路に向け、少なくとも視野の一部に前記道路を走行する車両のナンバープレートが入るように路側部に配設された動画撮影用のカメラが、外部から制御を受けて受光量を可変して、前記カメラから前記ナンバープレートの奥手に配設され、所定の反射率を持つ明度測定用の基準面を有する基準部材を含む映像を撮影するステップと、前記カメラにより撮影される前記ナンバープレートと同等のエリアの光量を基準明度取得部が所定期間サンプリングして前記ナンバープレートおよび前記基準面のうち、少なくとも前記基準面の明度値を含む複数の明度値を得て、前記複数の明度値の中から、前記ナンバープレートの明度値を除外して残った明度値を前記基準面の明度値として得るステップと、前記基準明度取得部により取得された前記基準面の明度値と予め前記ナンバープレートの撮影に適するように設定された明度値との差分に応じて制御部が前記カメラの受光量を制御するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、定点監視カメラの設置場所において撮影環境の変化に対応して常に適切な明るさで映像を撮影することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る車両ナンバー撮影システムの構成を示すブロック図、図2は道路上の機器設置例を示す図である。
【0013】
(第1実施形態)
図1,図2に示すように、この第1実施形態の車両ナンバー撮影システムは、基準板1、エリアカメラ2a(以下「カメラ2a」と称す)、保存装置8、映像処理装置10などを有している。
【0014】
基準板1は、カメラ2aの視野Wに入るような位置関係にて路側帯に設けられており、撮影方向(カメラ2aのレンズの光軸方向S)を車道(車線)に向けて配置されるものである。基準板1は、反射率が一定の値に管理された所定の色の基準板である。所定の色とは例えば白色などである。車両21の走行方向を符号Xで示す。
【0015】
基準板1は、カメラ2aの視野Wに車両21が入ったときに、車両後部のナンバープレート22が視野W内のほぼ中央付近に位置するように配設されている。なお基準板1は、車両のナンバープレートの撮影位置の延長線上の路側部に配置することが好ましい。
【0016】
すなわち、基準板1は、カメラ2aからナンバープレート22が映される範囲の奥手に配設されている。基準板1は、所定の反射率を持つ明度測定用の基準面1aを有している。基準板1は、この基準面1aを、通行する車両21のナンバープレート22の面とほぼ同じ方向(ほぼ平行)に向けて配置されている。
【0017】
カメラ2aは、例えばNTSC方式のカメラである。カメラ2aは、撮影対象物(被写体である車両およびそのナンバープレートや基準板1等)に反射した光を受光して映像を撮影しアナログ映像信号を映像処理装置10へ出力する。
【0018】
保存装置8は、メモリ3に一時記憶された映像(画像)が保存される補助記憶装置であり、メモリ3に比べて記憶容量が大きく、電源供給なしでもデータが保持される例えばハードディスク装置、フラッシュメモリなどが用いられる。
【0019】
映像処理装置10は、アナログ/デジタル変換部2b(以下「A/D変換部2b」と称す)、画像メモリ3、基準明度算出部4、制御部5、認識部6等を有している。制御部5は、制御信号作成部5aと露出制御部5bを有している。
【0020】
A/D変換部2bは、カメラ2aから入力されたアナログ映像信号をデジタル映像データに変換する。A/D変換部2bとカメラ2aとで映像入力部2が構成される。
【0021】
すなわち、映像入力部2は、カメラ2aにより撮影された映像を映像処理装置10にて加工するためのインターフェースであり、映像信号の受け付けと、受け付けた映像信号のデジタル変換を行う。
【0022】
映像処理装置10のメモリ3は、例えばRAM(ランダム・アクセス・メモリ)等が利用される。メモリ3は、映像入力部2により受け付けられたデジタル映像データ(毎秒数十コマの画像データ)を記憶容量の範囲(カメラ2aの映像を数分程度保存可能な記憶容量)で、繰り返し記憶するものである。
【0023】
基準明度算出部4は、セントラルプロセッシングユニット(以下「CPU」と称す)やデジタルシグナルプロセッサ(以下「DSP」と称す)とそれを動作させるプログラムにて実現される。
【0024】
基準明度算出部4は、入力画像毎に積分エリアP(図6参照)の積分値をとることで、基準板1の基準面1aの明度値を求める。
【0025】
基準明度算出部4は、例えば連続する10フレーム(これを1ユニットと定義する)に対して明度値の平均を求め、その平均値を基準板1の明度値の候補とする。
【0026】
ここで、10フレーム分としたのは、1台の車両がカメラ2aの位置を標準速度で通過する時間に撮影可能なフレーム数にほぼ等しいことに起因する。したがって、フレーム数は、所望により変更してもよい。
【0027】
明度値候補を例えば連続1分間程度の間算出し、その最頻値を計算する。この最頻値を基準板1の明度値とする。最頻値を基準板1の明度値とする理由は、視野W内を通過する車両21が映されているフレームの明度値を無視(除外)して基準板1が映されているフレームの明度値を残すためである。
【0028】
基準明度算出部4は、カメラ2aにより撮影される映像の中のナンバープレート22とほぼ同等の積分エリアP(図6参照)の光量を所定期間サンプリングして得たナンバープレート22および基準面1aのうち、少なくとも基準面1aの明度値を含む複数の明度値の中から、ナンバープレート22の明度値を除外して残った明度値を、基準面1aの明度値として得る基準明度取得部として機能する。
【0029】
制御信号作成部5aは、CPUやDSPとそのプログラムにて実現される。制御信号作成部5aは、基準明度算出部4により算出された基準板明度値を予めメモリ3に設定された基準板1の絶対明度値と比較し、その比較結果に応じて制御信号を露出制御部5bへ出力または非出力とする。
【0030】
例えば基準板明度値が絶対明度値よりも小さい場合、つまり基準板明度値の変化が少ない場合、制御信号作成部5aは、アイリス制御をしないため、制御信号を露出制御部5bへ出力しない。
【0031】
制御信号作成部5aは、基準板1の基準面1aの明度値が絶対明度値よりも大きい場合、つまり互いに有意な差がある場合に制御信号を露出制御部5bへ出力する。
【0032】
なお、絶対明度値は、道路事業者との協議で決定された仕様にて決めておくものとし、設置の環境によらず一定の値とする。
【0033】
露出制御部5bは、制御信号作成部5aから入力された制御信号によって、カメラ2aに対してアイリス制御(露出制御)を行う。
【0034】
露出制御部5bは、アイリス制御を行う際に、制御信号によって、例えばカメラ2aの絞り値であるアイリス値を可変(例えば±1)する、もしくはカメラ2aのシャッタースピードを±方向に段階的に切り換える。一例として、アイリスは例えば12段階の可変範囲、シャッタースピードは、例えば4段階(1/4000、1/2000、1/1000、1/500)の可変範囲に設定されているものとする。
【0035】
すなわち、制御信号作成部5aおよび露出制御部5bは、基準明度算出部4により取得された基準板1の基準面1aの明度値と予めナンバープレート22の撮影に適するように設定された明度値との差分に応じてカメラ2aの受光量を制御する制御部として機能する。
【0036】
認識部6は、メモリ3と保存装置8への各種データ(映像(画像)、認識結果のデータ、測定または演算された明度値等)の記憶および読み出し等を制御する。
【0037】
また、認識部6は、所定のトリガの発生により、メモリ3に記憶された映像(画像)を読み出して画像からナンバープレート部分の画像を切り出して、その部分の文字認識を行い、得られた車両のナンバーのテキストデータと、認識元の画像(切り出したナンバープレートの部分画像または映像そのもの)とを対応付けて、保存装置8に保存する。保存装置8に保存されたデータは、不正行為が発生したときに証拠などに利用される。
【0038】
以下、図3乃至図8を参照してこの車両ナンバー撮影システムの動作を説明する。
高速道路などの有料道路の料金所において、例えば出口ETC車線を通行する車両(自動車)のナンバー(車両番号)をカメラ2aで読み取る場合の動作例を説明する。
【0039】
この場合、図4に示すように、通行する車両21の後部のナンバープレート22がカメラ2aの視野Wのほぼ中央部に位置するようにカメラ2aを配設し、通行する車両21がないときは、カメラ2aの視野Wに、図5に示すように、基準板1とその基準面1aが入る。
【0040】
上記設置条件の場合、車両21が視野W内に存在するときは、カメラ2aによって、図4のように映されて、車両21が視野W内に存在しないときは、図5のようにカメラ2aによって映されて、その映像がA/D変換器2bを通じてメモリ3に記憶される(図3のステップS101)。
【0041】
図6にカメラ2aが有するエリア型CCDセンサの有効画素数が、例えば640画素×480画素である場合のメモリ3内のイメージを示す。
【0042】
カメラ2aの映像が、例えば8ビットにてA/D変換された場合、図6に示すように、各々の画素の明度値c(x、y)は0〜255のいずれかの値をとる。この例では映像の各フレームを(1/30)秒の間隔で、メモリ3に画像として保存するものとする。なお、1/30秒間隔で得られる画像を1フレームと呼ぶ。
【0043】
続いて、基準明度算出部4は、メモリ3のデータを用いて基準板1の基準面1aの平均明度値を算出する。
【0044】
この算出処理では、基準明度算出部4は、基準板1のみの明るさの平均を求め、メモリに逐次蓄積される10フレーム分の明度の平均値を算出することで、基準面1aの明度値の平均値を求め、メモリ3に記憶する。
【0045】
この処理動作は、図7、図8に示すように、10フレーム毎に順次行うものとする。動作説明をわかりやすくするために、図7(A)に映像の一部に車両21が映し出されている場合の明度値を示し、図7(B)に映像に車両21が映し出されていない場合の明度値を示す。
【0046】
ここで、基準面1aの明度値の平均値を求める具体的な動作を説明する。図6に示したように、画像のほぼ中央部に位置する基準面1aの明度値は、メモリ3におけるa≦x<b、c≦y<dの範囲、つまり積分エリアPである。
【0047】
基準明度算出部4は、この積分エリアPに対して、下記(式1)に示すような関数式で演算を行い、基準面1aの明度値の平均値(これを平均明度値という)を算出する。
【0048】
E(t)= Σc (x、y)/((b−a)×(d−c))…(式1)
a≦x<b、c≦y<d
但し、C(x、y)はx、y座標の明度値を表す。
【0049】
基準明度算出部4は、求めた平均明度値をメモリ3に一時的に記憶する。それぞれの場合に、基準明度算出部4は、下記(式2)により10フレーム分の平均値を求める(ステップS102)。
【0050】
Eavg(t)=ΣE(ti)/10…(式2)
i
但しiは1〜10のフレーム数である。
【0051】
図7(A)、図7(B)では、説明を簡単にするために5フレーム分で明度値を計算する。
図7(A)のように車両21が存在する場合の明度値は、
104.8=(128+128+60+80+128)/5
図7(B)のように車両21が存在しない場合の明度値は、
128=(128+128+128+128+128)/5
【0052】
となる。これら2つの例で、車両21が存在する場合と存在しないの場合とを比較すると、車両21が存在しない場合の方が、車両21が存在する場合に比べて明度値が大きいことが分かる。
【0053】
基準明度算出部4は、求めた10フレーム毎の平均明度値を順次メモリ3に記憶する。
続いて、基準明度算出部4は、メモリ3に記憶された約1分間分の平均明度値から最頻値を求めることによって、車両21が通行した場合の積分値を除去し、標準面1aの明度値の平均値を算出する(ステップS103)。
【0054】
1分間とは画像のフレーム数に直すと、60S/(1/30)=180フレームであり、基準明度算出部4は、180個のデータに対して最頻値を求める。ここで示した「1分間」とは明るさを制御するのに好適な間隔である。
【0055】
すなわち、基準明度算出部4は、メモリ3に180ユニット分記憶された平均明度値の統計をとり、最も多く登場する値を最頻値として選定する。
【0056】
車両21が車線に時々進入し、カメラ2aの前を時々通過するシーンを考える。なお、ここでは、実施例の説明を簡略化するため180個のデータ数を10個として説明する。
【0057】
図8に示すように、車線を走行する車両21がカメラ2aの前を通過したときにカメラ2aによって撮像された映像は10フレーム間隔でメモリ3に保存される。あるタイミングで撮影された180個のフレームの明度値の実測値が、128,49,128,128,127,128,128,50,128であったものとすると、明度値対度数の関係からとった統計では、128の明度値が最も多く出現しており、最頻値は128となり、車両通過時のフレームの明度値の49や50などの値は無視される。この最頻値の128が現在の基準板1の基準面1aの明度値として求められる。
【0058】
このように、最頻値を求めることによって、車両などの基準板1以外の物体がカメラ2aに映り込んだときの明度値を除外(無視)することができる。
【0059】
続いて、制御信号作成部5aは、基準明度算出部4により求められた基準面1aの明度値と予めメモリ3に設定されていたナンバープレート22の明度値(閾値)とを比較して露出制御するか否かの判定を繰り替えし行う(ステップS104)。
【0060】
例えば制御信号作成部5aは、基準明度算出部4により求められた基準面1aの明度値と予めメモリ3に設定されていたナンバープレート22の明度値とを比較して露出を制御するか否かを判定する(ステップS105)。
【0061】
具体的には、明度値が8ビットで得られる場合、制御信号作成部5aは、互いの明度値の差が3以上あれば有意、つまり制御するものと判定し(ステップS105のYes)、明度値の差に応じた露出補正値を含む露出制御信号(+1,+2…,−1,−2…)を出力するように露出制御部5bに指示する。
【0062】
この指示を受けた露出制御部5bは、露出補正値を含む露出制御信号をカメラ2aへ出力し露出を制御する(ステップS106)。すなわち、露光制御部5bは、カメラ2aへ直接制御信号を与え、受光量の調整(露出補正)を行う。
【0063】
時間Tにおける最頻値をM(T)とし、基準板1の絶対明度値をLとすると、
M(T)−L≧3であれば、アイリスを一つ閉じて暗くするように変更する。
M(T)−L≦−3であれば、アイリスを一つ開いて明るくするように変更する。
【0064】
このようなアルゴリズムを用いることによって、基準板1の明るさを一定に保ち、安定な画質にてナンバー(車両番号)の認識を行うことが可能になる。また、基準板1を明るさの指標にすることによって、天候や時間帯の変化により周囲の明るさの環境が変化した場合にも、常に安定した画質の画像を得ることが可能になる。
【0065】
一方、露出制御の状況にかかわらず、カメラ2aにより映像が撮影され、メモリ3に記憶される。
そして、認識部6は、メモリ3に逐次記憶される映像(画像)のうち、車両21が視野に入ったときの画像を読み出して、その画像からナンバープレート21の文字を認識して得た車両21のナンバー(テキストデータ)と、認識したナンバープレート21の画像とを対応付けて保存装置8に保存する。
【0066】
このときのトリガは、例えば視野W内に車両21が入ったことが検知されたとき等であり、認識部6は、メモリ3の映像を読み出して文字認識し、認識結果の車両のナンバーを認識元の画像と共に保存装置8に記憶する。
【0067】
なお、視野W内に車両21が入ったことを検知するのは、例えば基準明度算出部4により求められた明度値が急激に変化したとき等である。
この他、車線のカメラ2aの取り付け位置に赤外線の遮蔽センサを設置しておき、料金未収受のまま、車両21が遮蔽センサに検知された場合などをトリガにしてもよい。また、車両が車線出口に設置されている開閉機に衝突センサを取り付けておき、衝突センサが車両21の衝突を検知して不正突破を試みたときなどをトリガにしてもよい。さらに、ブースにいる収受員が車両通行履歴記録用のボタンを押したときをトリガにしてもよい。
【0068】
このように第1実施形態の車両ナンバー撮影システムによれば、カメラ2aからナンバープレート22の位置の奥手に基準板1を配設し、カメラ2aで撮影された基準板1を含む範囲の光量を所定期間サンプリングして得た明度値の中から、基準明度算出部4が、視野Wを通過した車両21のナンバープレート22の明度値を除外した明度値を得て、制御部5が、取得された明度値と予め撮影に適するように設定された明度値との差分に応じて、任意の時間間隔(例えば1分間隔等)でカメラ2aの受光量を制御するので、料金所に設けた定点監視カメラで車両21のナンバープレート22を撮影する際に、撮影環境の変化に対応して常に安定した明るさで車両21のナンバープレート22を撮影および認識することができる。
【0069】
統計的算出に用いる時間の最小単位を移動物体である車両の通過時間とすることで、限られた記憶資源(メモリ3の記憶領域)を有効に使いつつ、車両の通過をもれなく検出することができる。
【0070】
基準板1の基準面1aを、ナンバープレート22の面とほぼ平行に配置することで、ナンバープレート22の撮像角度と同じ条件で基準面1aからの反射光が得られ、ナンバープレート22と同じ条件で撮影できる。
【0071】
なお、上記した説明では、カメラ2aから入力される映像の中から、ある第1の期間((1/30)秒)に得られた画像フレームの中の特定範囲(積分エリアP)の明度値を積分して得た積分値を基準面1aの明度値の候補とし、第2期間分(10フレームを取得する期間)連続して取得した複数の明度値の候補の平均値を算出し、その平均明度値を、180フレーム分(例えば1分程度)蓄積しておき、その中から、統計的に最も出現頻度の多い値を基準板1の明度値としたが、基準板1の明度値を得るためには、上記全てのステップを行わずに基準板1の明度値を求めてもよい。
【0072】
例えば、カメラ2aから入力される映像の中から、ある第1の期間に得られた画像フレームの中の特定範囲(積分エリアP)の明度値を積分して得た積分値を基準面1の明度値の候補とし、第2期間分連続して取得した複数の明度値の候補の平均値(平均明度値)を算出し、その平均明度値を基準板1の明度値としてもよい。
【0073】
また、カメラ2aから入力される映像の中から、ある第1の期間に得られた画像フレームの中の特定範囲(積分エリアP)の明度値を積分して得た積分値を基準面1aの明度値の候補とし、明度値の候補を第2期間分連続して取得し、その中から最も出現頻度の多い値(最頻値)を基準板1の明度値としてもよい。
【0074】
さらに、上記実施形態では、受光量を制御する一例として絞りを変化させるアイリス補正の例を示したが、シャッタースピードを変えても同じような効果を得ることができる。
【0075】
(第2実施形態)
次に、図9乃至図12を参照して第2実施形態について説明する。図9は第2実施形態の車両ナンバー撮影システムの構成を概略的に示す図である。
【0076】
この第2実施形態は、第1実施形態の構成(映像入力部2、メモリ3、基準明度算出部4、制御部5、認識部6)に、カメラ2aとは別に明るさ情報入力部7を追加したものである。この追加に伴い明るさ情報入力部7には明るさセンサ7aとA/D変換器7bを備える。
【0077】
すなわち、この第2実施形態では、カメラ2aとは別の明るさ情報入力部7から得られる明るさ情報(明度値)を用いてカメラ2aの露出制御を行う。なお、この第2実施形態において、第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付しその説明は省略する。
【0078】
図9に示すように、明るさ情報入力部7は、明るさセンサ7aとA/D変換器7bとを有する。
明るさセンサ7aは、フォトセンサなどを光学素子として使用した結像系光学機器である。明るさセンサ7aは、基準板1の基準面1aの明るさを直接測定して基準板1の明度値を得るものである。
【0079】
図10に示すように、明るさセンサ7aは、電源回路71、スリット72、集光レンズ73、フォトセンサ回路74等を有している。電源回路71は、フォトセンサ回路74に電源を供給し回路を機能させる。スリット72は、フォトセンサ回路74と集光レンズ73との間に配置されており、絞りの役目をする。
【0080】
集光レンズ73は、基準板1からの反射光を受光し、フォトセンサ回路74上に集光させる。フォトセンサ回路74は、受光した光量に応じて明度値を示す信号(以下「明度信号」と称す)を出力する。
【0081】
すなわち、明るさセンサ7aは、集光レンズ73のフォーカスとスリット72を利用して、基準板1のみがカメラ2aの視野に収まるように取り付け場所、取り付け角度等が設定されている。明るさセンサ7aは、基準板1からの反射光を受光して明度信号を出力する。
【0082】
明るさセンサ7aから出力された明度信号は、A/D変換器7bによって8ビットの明るさ情報(明度値)に変換されてメモリ3に記憶される。
【0083】
明るさセンサ7aは、図11に示すように、車両21が通過しても基準板1からの反射光を検知するための空間がさえぎられないように支柱23の上部に取り付けられている。明るさセンサ7aは、基準板1が車両21の影にならない角度、すなわち、車両21が基準板1を遮らない角度で光軸を基準板1に向けて配置されている。つまり、明るさセンサ7aは、基準板1の基準面1aの明るさを測定するためのエリアが、道路(車線)を走行する車両21によって遮られない位置に設置される。
【0084】
この例では、支柱23にカメラ2aも取り付けられている。カメラ2aは、道路を走行してきた車両21のナンバープレート22が視野のほぼ中央付近に映るように視野や設置角度等を調整した上で支柱23に固定されている。
【0085】
なお、明るさセンサ7aを設置するにあたり、車両21が被らない位置に設置することが不可能な場合がある。この場合、第1実施形態で示したカメラ2aの設置位置とほぼ同じ位置にで、基準板1に照準を合わせられる位置に明るさセンサ7aを配置することで、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
メモリ3は、明るさ情報入力部7から出力された明るさ情報(明度値)と、カメラ2aにより撮影された映像(画像)が記憶されるものであり、例えばRAM(ランダム・アクセス・メモリ)等が用いられる。
【0087】
続いて、この第2実施形態の動作を説明する。この場合、明るさセンサ7aは、常に基準面1aからの反射光を受光し、明度信号を映像処理装置10に出力している。
映像処理装置10では、A/D変換器7bを通じて明るさ情報(明度値)がメモリ3に記憶される(図12のステップS201)。
【0088】
基準明度算出部4は、メモリ3に記憶された複数の明るさ情報(明度値)を読み出して、第1実施形態と同様に、基準板の明度の平均値(平均明度値)を算出する(ステップS202)。以下、第1実施形態と同様に、基準明度算出部4は、求めた平均明度値から最頻値を求め(ステップS203)、制御信号作成部5aが、求められた最頻値と予め設定された明度値とを比較し差分がある場合、その差分に応じて露出制御判定を行う(ステップS204)。
【0089】
そして、判定結果が「制御する」という場合(ステップS205のYes)、制御信号作成部5aは、制御信号を露出制御部5bへ出力し、露出制御部5bは、入力された制御信号にしたがってカメラ2aの露出(受光量)を制御する(ステップS206)。
【0090】
一方、上記露出制御の状況にかかわらず、カメラ2aにより映像が撮影され、メモリ3に記憶される。
そして、所定のトリガ、例えば視野W内に車両21が入ったことが検知されたとき等に、メモリ3の映像が読み出されてナンバープレートの部分領域が切り出されて、文字認識され、車両21のナンバーが保存装置8に記憶される。
なお、トリガの発生条件は、第1実施形態で示した条件と同じである。
【0091】
このようにこの第2実施形態によれば、カメラ2aとは別に、例えば車両21の通過で基準板1が遮られない位置に明るさセンサ7aを配置し、基準板1の明るさ(明度)を常に測定することで、車両ありなしに応じた基準明度算出部4の演算(視野に車両21が存在するフレームを除外する処理等)が不要になり、より誤差の少ない露出補正を行うことができる。
【0092】
なお、本願発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形してもよい。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の発明を構成できる。
【0093】
例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1実施形態の車両ナンバー撮影システムの構成を示す図である。
【図2】道路上の機器設置例を示す図である。
【図3】第1実施形態の車両ナンバー撮影システムの動作を示すフローチャートである。
【図4】視野内の車両を示す図である。
【図5】視野内の基準板を示す図である。
【図6】メモリの明度検出対象の積分エリアを示す図である。
【図7】(A)車両が存在するときに計算された明度値を示す図である。(B)車両が存在しないときに計算された明度値を示す図である。
【図8】所定の間隔でサンプリングして得た明度値の候補の中から選出される最頻値を示す図である。
【図9】第2実施形態の車両ナンバー撮影システムの構成を示す図である。
【図10】明るさセンサを示す図である。
【図11】明るさセンサの設置例を示す図である。
【図12】第2実施形態の車両ナンバー撮影システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1…基準板、1a…基準面、2…映像入力部、2a…カメラ、3…メモリ、4…基準明度算出部、5…制御部、5a…制御信号作成部、5b…露出制御部、6…認識部、7…明るさ情報入力部、7a…明るさセンサ、2b,7b…A/D変換器、8…保存装置、10…映像処理装置、21…車両、22…ナンバープレート、23…支柱、71…電源回路、72…スリット、73…集光レンズ、74…フォトセンサ回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば道路に設置される車両ナンバー撮影システム、車両ナンバー撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路には、道路の周辺に定点設置したカメラで道路を通行する車両のナンバープレートを撮影して車両のナンバーを逐次識別する車両ナンバー撮影システム(以下「車番認識システム」と称す)が導入されている。
【0003】
この種のシステムでは、カメラで撮影した映像を、記録媒体などに保管しておき、例えば有料道路であれば、料金所などで料金未払いの不正通行や事故などのトラブルが生じた際に、保管したおいた映像を証拠資料として利用する。
【0004】
このため、通常、オートアイリス制御機能を搭載したカメラを利用し、道路の明るさに応じてリアルタイムにオートアイリス制御をかけ、被写体を撮影するようにしている。
【0005】
オートアイリス制御により車番認識を行う従来の技術としては、カメラの視野に車両のナンバープレートが入ったときはその明度値にしたがってオートアイリスの補正をかける一方、視野にナンバープレートが入っていないときは道路の明度値にしたがって、ナンバープレートの明度値を類推しながらオートアイリス制御により明るさの補正をかける車番認識システムの技術が公開されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−202591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、道路を通行する車両を定点カメラが映す際に、リアルタイムにオートアイリス制御を行うと、車両が移動体であることから、そのナンバープレートの色や太陽光の反射等の状態によって撮影された映像の明るさにムラが発生する。
【0007】
また、被写体の撮影環境が屋外であることから、設置場所や時間帯によって背景の濃度が変化し、撮影される映像に、ばらつきがでる場合がある。例えば、車両のナンバーの読み取りを行う際に、明るい色の車両が視野全体に入った場合には、アイリス制御(明るさ補正)によって、ナンバープレートの映っている画像が暗くなりすぎる場合があった。このように一瞬の状況変化にアイリス制御(明るさ補正)を追従させてしまうと、撮影された映像は証拠能力に欠ける場合があるという問題がある。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、定点監視カメラの設置場所において撮影環境の変化に対応して常に適切な明るさで映像を撮影することのできる車両ナンバー撮影システム、車両ナンバー撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために本発明の車両ナンバー撮影システムは、撮影方向を道路に向け、少なくとも視野の一部に前記道路を走行する車両のナンバープレートが入るように路側部に配設され、外部から制御を受けて受光量を可変して映像を撮影する動画撮影用のカメラと、前記カメラから前記ナンバープレートの奥手に配設され、所定の反射率を持つ明度測定用の基準面を有する基準部材と、前記カメラにより撮影される前記ナンバープレートと同等のエリアの光量を所定期間サンプリングして得た前記ナンバープレートおよび前記基準面の明度値のうち、少なくとも前記基準面の明度値を含む複数の明度値の中から、前記ナンバープレートの明度値を除外した明度値を得る基準明度取得部と、前記基準明度取得部により取得された明度値と予め前記ナンバープレートの撮影に適するように設定された明度値との差分に応じて前記カメラの受光量を制御する制御部とを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明の車両ナンバー撮影方法は、撮影方向を道路に向け、少なくとも視野の一部に前記道路を走行する車両のナンバープレートが入るように路側部に配設された動画撮影用のカメラが、外部から制御を受けて受光量を可変して、前記カメラから前記ナンバープレートの奥手に配設され、所定の反射率を持つ明度測定用の基準面を有する基準部材を含む映像を撮影するステップと、前記カメラにより撮影される前記ナンバープレートと同等のエリアの光量を基準明度取得部が所定期間サンプリングして前記ナンバープレートおよび前記基準面のうち、少なくとも前記基準面の明度値を含む複数の明度値を得て、前記複数の明度値の中から、前記ナンバープレートの明度値を除外して残った明度値を前記基準面の明度値として得るステップと、前記基準明度取得部により取得された前記基準面の明度値と予め前記ナンバープレートの撮影に適するように設定された明度値との差分に応じて制御部が前記カメラの受光量を制御するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、定点監視カメラの設置場所において撮影環境の変化に対応して常に適切な明るさで映像を撮影することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る車両ナンバー撮影システムの構成を示すブロック図、図2は道路上の機器設置例を示す図である。
【0013】
(第1実施形態)
図1,図2に示すように、この第1実施形態の車両ナンバー撮影システムは、基準板1、エリアカメラ2a(以下「カメラ2a」と称す)、保存装置8、映像処理装置10などを有している。
【0014】
基準板1は、カメラ2aの視野Wに入るような位置関係にて路側帯に設けられており、撮影方向(カメラ2aのレンズの光軸方向S)を車道(車線)に向けて配置されるものである。基準板1は、反射率が一定の値に管理された所定の色の基準板である。所定の色とは例えば白色などである。車両21の走行方向を符号Xで示す。
【0015】
基準板1は、カメラ2aの視野Wに車両21が入ったときに、車両後部のナンバープレート22が視野W内のほぼ中央付近に位置するように配設されている。なお基準板1は、車両のナンバープレートの撮影位置の延長線上の路側部に配置することが好ましい。
【0016】
すなわち、基準板1は、カメラ2aからナンバープレート22が映される範囲の奥手に配設されている。基準板1は、所定の反射率を持つ明度測定用の基準面1aを有している。基準板1は、この基準面1aを、通行する車両21のナンバープレート22の面とほぼ同じ方向(ほぼ平行)に向けて配置されている。
【0017】
カメラ2aは、例えばNTSC方式のカメラである。カメラ2aは、撮影対象物(被写体である車両およびそのナンバープレートや基準板1等)に反射した光を受光して映像を撮影しアナログ映像信号を映像処理装置10へ出力する。
【0018】
保存装置8は、メモリ3に一時記憶された映像(画像)が保存される補助記憶装置であり、メモリ3に比べて記憶容量が大きく、電源供給なしでもデータが保持される例えばハードディスク装置、フラッシュメモリなどが用いられる。
【0019】
映像処理装置10は、アナログ/デジタル変換部2b(以下「A/D変換部2b」と称す)、画像メモリ3、基準明度算出部4、制御部5、認識部6等を有している。制御部5は、制御信号作成部5aと露出制御部5bを有している。
【0020】
A/D変換部2bは、カメラ2aから入力されたアナログ映像信号をデジタル映像データに変換する。A/D変換部2bとカメラ2aとで映像入力部2が構成される。
【0021】
すなわち、映像入力部2は、カメラ2aにより撮影された映像を映像処理装置10にて加工するためのインターフェースであり、映像信号の受け付けと、受け付けた映像信号のデジタル変換を行う。
【0022】
映像処理装置10のメモリ3は、例えばRAM(ランダム・アクセス・メモリ)等が利用される。メモリ3は、映像入力部2により受け付けられたデジタル映像データ(毎秒数十コマの画像データ)を記憶容量の範囲(カメラ2aの映像を数分程度保存可能な記憶容量)で、繰り返し記憶するものである。
【0023】
基準明度算出部4は、セントラルプロセッシングユニット(以下「CPU」と称す)やデジタルシグナルプロセッサ(以下「DSP」と称す)とそれを動作させるプログラムにて実現される。
【0024】
基準明度算出部4は、入力画像毎に積分エリアP(図6参照)の積分値をとることで、基準板1の基準面1aの明度値を求める。
【0025】
基準明度算出部4は、例えば連続する10フレーム(これを1ユニットと定義する)に対して明度値の平均を求め、その平均値を基準板1の明度値の候補とする。
【0026】
ここで、10フレーム分としたのは、1台の車両がカメラ2aの位置を標準速度で通過する時間に撮影可能なフレーム数にほぼ等しいことに起因する。したがって、フレーム数は、所望により変更してもよい。
【0027】
明度値候補を例えば連続1分間程度の間算出し、その最頻値を計算する。この最頻値を基準板1の明度値とする。最頻値を基準板1の明度値とする理由は、視野W内を通過する車両21が映されているフレームの明度値を無視(除外)して基準板1が映されているフレームの明度値を残すためである。
【0028】
基準明度算出部4は、カメラ2aにより撮影される映像の中のナンバープレート22とほぼ同等の積分エリアP(図6参照)の光量を所定期間サンプリングして得たナンバープレート22および基準面1aのうち、少なくとも基準面1aの明度値を含む複数の明度値の中から、ナンバープレート22の明度値を除外して残った明度値を、基準面1aの明度値として得る基準明度取得部として機能する。
【0029】
制御信号作成部5aは、CPUやDSPとそのプログラムにて実現される。制御信号作成部5aは、基準明度算出部4により算出された基準板明度値を予めメモリ3に設定された基準板1の絶対明度値と比較し、その比較結果に応じて制御信号を露出制御部5bへ出力または非出力とする。
【0030】
例えば基準板明度値が絶対明度値よりも小さい場合、つまり基準板明度値の変化が少ない場合、制御信号作成部5aは、アイリス制御をしないため、制御信号を露出制御部5bへ出力しない。
【0031】
制御信号作成部5aは、基準板1の基準面1aの明度値が絶対明度値よりも大きい場合、つまり互いに有意な差がある場合に制御信号を露出制御部5bへ出力する。
【0032】
なお、絶対明度値は、道路事業者との協議で決定された仕様にて決めておくものとし、設置の環境によらず一定の値とする。
【0033】
露出制御部5bは、制御信号作成部5aから入力された制御信号によって、カメラ2aに対してアイリス制御(露出制御)を行う。
【0034】
露出制御部5bは、アイリス制御を行う際に、制御信号によって、例えばカメラ2aの絞り値であるアイリス値を可変(例えば±1)する、もしくはカメラ2aのシャッタースピードを±方向に段階的に切り換える。一例として、アイリスは例えば12段階の可変範囲、シャッタースピードは、例えば4段階(1/4000、1/2000、1/1000、1/500)の可変範囲に設定されているものとする。
【0035】
すなわち、制御信号作成部5aおよび露出制御部5bは、基準明度算出部4により取得された基準板1の基準面1aの明度値と予めナンバープレート22の撮影に適するように設定された明度値との差分に応じてカメラ2aの受光量を制御する制御部として機能する。
【0036】
認識部6は、メモリ3と保存装置8への各種データ(映像(画像)、認識結果のデータ、測定または演算された明度値等)の記憶および読み出し等を制御する。
【0037】
また、認識部6は、所定のトリガの発生により、メモリ3に記憶された映像(画像)を読み出して画像からナンバープレート部分の画像を切り出して、その部分の文字認識を行い、得られた車両のナンバーのテキストデータと、認識元の画像(切り出したナンバープレートの部分画像または映像そのもの)とを対応付けて、保存装置8に保存する。保存装置8に保存されたデータは、不正行為が発生したときに証拠などに利用される。
【0038】
以下、図3乃至図8を参照してこの車両ナンバー撮影システムの動作を説明する。
高速道路などの有料道路の料金所において、例えば出口ETC車線を通行する車両(自動車)のナンバー(車両番号)をカメラ2aで読み取る場合の動作例を説明する。
【0039】
この場合、図4に示すように、通行する車両21の後部のナンバープレート22がカメラ2aの視野Wのほぼ中央部に位置するようにカメラ2aを配設し、通行する車両21がないときは、カメラ2aの視野Wに、図5に示すように、基準板1とその基準面1aが入る。
【0040】
上記設置条件の場合、車両21が視野W内に存在するときは、カメラ2aによって、図4のように映されて、車両21が視野W内に存在しないときは、図5のようにカメラ2aによって映されて、その映像がA/D変換器2bを通じてメモリ3に記憶される(図3のステップS101)。
【0041】
図6にカメラ2aが有するエリア型CCDセンサの有効画素数が、例えば640画素×480画素である場合のメモリ3内のイメージを示す。
【0042】
カメラ2aの映像が、例えば8ビットにてA/D変換された場合、図6に示すように、各々の画素の明度値c(x、y)は0〜255のいずれかの値をとる。この例では映像の各フレームを(1/30)秒の間隔で、メモリ3に画像として保存するものとする。なお、1/30秒間隔で得られる画像を1フレームと呼ぶ。
【0043】
続いて、基準明度算出部4は、メモリ3のデータを用いて基準板1の基準面1aの平均明度値を算出する。
【0044】
この算出処理では、基準明度算出部4は、基準板1のみの明るさの平均を求め、メモリに逐次蓄積される10フレーム分の明度の平均値を算出することで、基準面1aの明度値の平均値を求め、メモリ3に記憶する。
【0045】
この処理動作は、図7、図8に示すように、10フレーム毎に順次行うものとする。動作説明をわかりやすくするために、図7(A)に映像の一部に車両21が映し出されている場合の明度値を示し、図7(B)に映像に車両21が映し出されていない場合の明度値を示す。
【0046】
ここで、基準面1aの明度値の平均値を求める具体的な動作を説明する。図6に示したように、画像のほぼ中央部に位置する基準面1aの明度値は、メモリ3におけるa≦x<b、c≦y<dの範囲、つまり積分エリアPである。
【0047】
基準明度算出部4は、この積分エリアPに対して、下記(式1)に示すような関数式で演算を行い、基準面1aの明度値の平均値(これを平均明度値という)を算出する。
【0048】
E(t)= Σc (x、y)/((b−a)×(d−c))…(式1)
a≦x<b、c≦y<d
但し、C(x、y)はx、y座標の明度値を表す。
【0049】
基準明度算出部4は、求めた平均明度値をメモリ3に一時的に記憶する。それぞれの場合に、基準明度算出部4は、下記(式2)により10フレーム分の平均値を求める(ステップS102)。
【0050】
Eavg(t)=ΣE(ti)/10…(式2)
i
但しiは1〜10のフレーム数である。
【0051】
図7(A)、図7(B)では、説明を簡単にするために5フレーム分で明度値を計算する。
図7(A)のように車両21が存在する場合の明度値は、
104.8=(128+128+60+80+128)/5
図7(B)のように車両21が存在しない場合の明度値は、
128=(128+128+128+128+128)/5
【0052】
となる。これら2つの例で、車両21が存在する場合と存在しないの場合とを比較すると、車両21が存在しない場合の方が、車両21が存在する場合に比べて明度値が大きいことが分かる。
【0053】
基準明度算出部4は、求めた10フレーム毎の平均明度値を順次メモリ3に記憶する。
続いて、基準明度算出部4は、メモリ3に記憶された約1分間分の平均明度値から最頻値を求めることによって、車両21が通行した場合の積分値を除去し、標準面1aの明度値の平均値を算出する(ステップS103)。
【0054】
1分間とは画像のフレーム数に直すと、60S/(1/30)=180フレームであり、基準明度算出部4は、180個のデータに対して最頻値を求める。ここで示した「1分間」とは明るさを制御するのに好適な間隔である。
【0055】
すなわち、基準明度算出部4は、メモリ3に180ユニット分記憶された平均明度値の統計をとり、最も多く登場する値を最頻値として選定する。
【0056】
車両21が車線に時々進入し、カメラ2aの前を時々通過するシーンを考える。なお、ここでは、実施例の説明を簡略化するため180個のデータ数を10個として説明する。
【0057】
図8に示すように、車線を走行する車両21がカメラ2aの前を通過したときにカメラ2aによって撮像された映像は10フレーム間隔でメモリ3に保存される。あるタイミングで撮影された180個のフレームの明度値の実測値が、128,49,128,128,127,128,128,50,128であったものとすると、明度値対度数の関係からとった統計では、128の明度値が最も多く出現しており、最頻値は128となり、車両通過時のフレームの明度値の49や50などの値は無視される。この最頻値の128が現在の基準板1の基準面1aの明度値として求められる。
【0058】
このように、最頻値を求めることによって、車両などの基準板1以外の物体がカメラ2aに映り込んだときの明度値を除外(無視)することができる。
【0059】
続いて、制御信号作成部5aは、基準明度算出部4により求められた基準面1aの明度値と予めメモリ3に設定されていたナンバープレート22の明度値(閾値)とを比較して露出制御するか否かの判定を繰り替えし行う(ステップS104)。
【0060】
例えば制御信号作成部5aは、基準明度算出部4により求められた基準面1aの明度値と予めメモリ3に設定されていたナンバープレート22の明度値とを比較して露出を制御するか否かを判定する(ステップS105)。
【0061】
具体的には、明度値が8ビットで得られる場合、制御信号作成部5aは、互いの明度値の差が3以上あれば有意、つまり制御するものと判定し(ステップS105のYes)、明度値の差に応じた露出補正値を含む露出制御信号(+1,+2…,−1,−2…)を出力するように露出制御部5bに指示する。
【0062】
この指示を受けた露出制御部5bは、露出補正値を含む露出制御信号をカメラ2aへ出力し露出を制御する(ステップS106)。すなわち、露光制御部5bは、カメラ2aへ直接制御信号を与え、受光量の調整(露出補正)を行う。
【0063】
時間Tにおける最頻値をM(T)とし、基準板1の絶対明度値をLとすると、
M(T)−L≧3であれば、アイリスを一つ閉じて暗くするように変更する。
M(T)−L≦−3であれば、アイリスを一つ開いて明るくするように変更する。
【0064】
このようなアルゴリズムを用いることによって、基準板1の明るさを一定に保ち、安定な画質にてナンバー(車両番号)の認識を行うことが可能になる。また、基準板1を明るさの指標にすることによって、天候や時間帯の変化により周囲の明るさの環境が変化した場合にも、常に安定した画質の画像を得ることが可能になる。
【0065】
一方、露出制御の状況にかかわらず、カメラ2aにより映像が撮影され、メモリ3に記憶される。
そして、認識部6は、メモリ3に逐次記憶される映像(画像)のうち、車両21が視野に入ったときの画像を読み出して、その画像からナンバープレート21の文字を認識して得た車両21のナンバー(テキストデータ)と、認識したナンバープレート21の画像とを対応付けて保存装置8に保存する。
【0066】
このときのトリガは、例えば視野W内に車両21が入ったことが検知されたとき等であり、認識部6は、メモリ3の映像を読み出して文字認識し、認識結果の車両のナンバーを認識元の画像と共に保存装置8に記憶する。
【0067】
なお、視野W内に車両21が入ったことを検知するのは、例えば基準明度算出部4により求められた明度値が急激に変化したとき等である。
この他、車線のカメラ2aの取り付け位置に赤外線の遮蔽センサを設置しておき、料金未収受のまま、車両21が遮蔽センサに検知された場合などをトリガにしてもよい。また、車両が車線出口に設置されている開閉機に衝突センサを取り付けておき、衝突センサが車両21の衝突を検知して不正突破を試みたときなどをトリガにしてもよい。さらに、ブースにいる収受員が車両通行履歴記録用のボタンを押したときをトリガにしてもよい。
【0068】
このように第1実施形態の車両ナンバー撮影システムによれば、カメラ2aからナンバープレート22の位置の奥手に基準板1を配設し、カメラ2aで撮影された基準板1を含む範囲の光量を所定期間サンプリングして得た明度値の中から、基準明度算出部4が、視野Wを通過した車両21のナンバープレート22の明度値を除外した明度値を得て、制御部5が、取得された明度値と予め撮影に適するように設定された明度値との差分に応じて、任意の時間間隔(例えば1分間隔等)でカメラ2aの受光量を制御するので、料金所に設けた定点監視カメラで車両21のナンバープレート22を撮影する際に、撮影環境の変化に対応して常に安定した明るさで車両21のナンバープレート22を撮影および認識することができる。
【0069】
統計的算出に用いる時間の最小単位を移動物体である車両の通過時間とすることで、限られた記憶資源(メモリ3の記憶領域)を有効に使いつつ、車両の通過をもれなく検出することができる。
【0070】
基準板1の基準面1aを、ナンバープレート22の面とほぼ平行に配置することで、ナンバープレート22の撮像角度と同じ条件で基準面1aからの反射光が得られ、ナンバープレート22と同じ条件で撮影できる。
【0071】
なお、上記した説明では、カメラ2aから入力される映像の中から、ある第1の期間((1/30)秒)に得られた画像フレームの中の特定範囲(積分エリアP)の明度値を積分して得た積分値を基準面1aの明度値の候補とし、第2期間分(10フレームを取得する期間)連続して取得した複数の明度値の候補の平均値を算出し、その平均明度値を、180フレーム分(例えば1分程度)蓄積しておき、その中から、統計的に最も出現頻度の多い値を基準板1の明度値としたが、基準板1の明度値を得るためには、上記全てのステップを行わずに基準板1の明度値を求めてもよい。
【0072】
例えば、カメラ2aから入力される映像の中から、ある第1の期間に得られた画像フレームの中の特定範囲(積分エリアP)の明度値を積分して得た積分値を基準面1の明度値の候補とし、第2期間分連続して取得した複数の明度値の候補の平均値(平均明度値)を算出し、その平均明度値を基準板1の明度値としてもよい。
【0073】
また、カメラ2aから入力される映像の中から、ある第1の期間に得られた画像フレームの中の特定範囲(積分エリアP)の明度値を積分して得た積分値を基準面1aの明度値の候補とし、明度値の候補を第2期間分連続して取得し、その中から最も出現頻度の多い値(最頻値)を基準板1の明度値としてもよい。
【0074】
さらに、上記実施形態では、受光量を制御する一例として絞りを変化させるアイリス補正の例を示したが、シャッタースピードを変えても同じような効果を得ることができる。
【0075】
(第2実施形態)
次に、図9乃至図12を参照して第2実施形態について説明する。図9は第2実施形態の車両ナンバー撮影システムの構成を概略的に示す図である。
【0076】
この第2実施形態は、第1実施形態の構成(映像入力部2、メモリ3、基準明度算出部4、制御部5、認識部6)に、カメラ2aとは別に明るさ情報入力部7を追加したものである。この追加に伴い明るさ情報入力部7には明るさセンサ7aとA/D変換器7bを備える。
【0077】
すなわち、この第2実施形態では、カメラ2aとは別の明るさ情報入力部7から得られる明るさ情報(明度値)を用いてカメラ2aの露出制御を行う。なお、この第2実施形態において、第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付しその説明は省略する。
【0078】
図9に示すように、明るさ情報入力部7は、明るさセンサ7aとA/D変換器7bとを有する。
明るさセンサ7aは、フォトセンサなどを光学素子として使用した結像系光学機器である。明るさセンサ7aは、基準板1の基準面1aの明るさを直接測定して基準板1の明度値を得るものである。
【0079】
図10に示すように、明るさセンサ7aは、電源回路71、スリット72、集光レンズ73、フォトセンサ回路74等を有している。電源回路71は、フォトセンサ回路74に電源を供給し回路を機能させる。スリット72は、フォトセンサ回路74と集光レンズ73との間に配置されており、絞りの役目をする。
【0080】
集光レンズ73は、基準板1からの反射光を受光し、フォトセンサ回路74上に集光させる。フォトセンサ回路74は、受光した光量に応じて明度値を示す信号(以下「明度信号」と称す)を出力する。
【0081】
すなわち、明るさセンサ7aは、集光レンズ73のフォーカスとスリット72を利用して、基準板1のみがカメラ2aの視野に収まるように取り付け場所、取り付け角度等が設定されている。明るさセンサ7aは、基準板1からの反射光を受光して明度信号を出力する。
【0082】
明るさセンサ7aから出力された明度信号は、A/D変換器7bによって8ビットの明るさ情報(明度値)に変換されてメモリ3に記憶される。
【0083】
明るさセンサ7aは、図11に示すように、車両21が通過しても基準板1からの反射光を検知するための空間がさえぎられないように支柱23の上部に取り付けられている。明るさセンサ7aは、基準板1が車両21の影にならない角度、すなわち、車両21が基準板1を遮らない角度で光軸を基準板1に向けて配置されている。つまり、明るさセンサ7aは、基準板1の基準面1aの明るさを測定するためのエリアが、道路(車線)を走行する車両21によって遮られない位置に設置される。
【0084】
この例では、支柱23にカメラ2aも取り付けられている。カメラ2aは、道路を走行してきた車両21のナンバープレート22が視野のほぼ中央付近に映るように視野や設置角度等を調整した上で支柱23に固定されている。
【0085】
なお、明るさセンサ7aを設置するにあたり、車両21が被らない位置に設置することが不可能な場合がある。この場合、第1実施形態で示したカメラ2aの設置位置とほぼ同じ位置にで、基準板1に照準を合わせられる位置に明るさセンサ7aを配置することで、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0086】
メモリ3は、明るさ情報入力部7から出力された明るさ情報(明度値)と、カメラ2aにより撮影された映像(画像)が記憶されるものであり、例えばRAM(ランダム・アクセス・メモリ)等が用いられる。
【0087】
続いて、この第2実施形態の動作を説明する。この場合、明るさセンサ7aは、常に基準面1aからの反射光を受光し、明度信号を映像処理装置10に出力している。
映像処理装置10では、A/D変換器7bを通じて明るさ情報(明度値)がメモリ3に記憶される(図12のステップS201)。
【0088】
基準明度算出部4は、メモリ3に記憶された複数の明るさ情報(明度値)を読み出して、第1実施形態と同様に、基準板の明度の平均値(平均明度値)を算出する(ステップS202)。以下、第1実施形態と同様に、基準明度算出部4は、求めた平均明度値から最頻値を求め(ステップS203)、制御信号作成部5aが、求められた最頻値と予め設定された明度値とを比較し差分がある場合、その差分に応じて露出制御判定を行う(ステップS204)。
【0089】
そして、判定結果が「制御する」という場合(ステップS205のYes)、制御信号作成部5aは、制御信号を露出制御部5bへ出力し、露出制御部5bは、入力された制御信号にしたがってカメラ2aの露出(受光量)を制御する(ステップS206)。
【0090】
一方、上記露出制御の状況にかかわらず、カメラ2aにより映像が撮影され、メモリ3に記憶される。
そして、所定のトリガ、例えば視野W内に車両21が入ったことが検知されたとき等に、メモリ3の映像が読み出されてナンバープレートの部分領域が切り出されて、文字認識され、車両21のナンバーが保存装置8に記憶される。
なお、トリガの発生条件は、第1実施形態で示した条件と同じである。
【0091】
このようにこの第2実施形態によれば、カメラ2aとは別に、例えば車両21の通過で基準板1が遮られない位置に明るさセンサ7aを配置し、基準板1の明るさ(明度)を常に測定することで、車両ありなしに応じた基準明度算出部4の演算(視野に車両21が存在するフレームを除外する処理等)が不要になり、より誤差の少ない露出補正を行うことができる。
【0092】
なお、本願発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形してもよい。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより、種々の発明を構成できる。
【0093】
例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の第1実施形態の車両ナンバー撮影システムの構成を示す図である。
【図2】道路上の機器設置例を示す図である。
【図3】第1実施形態の車両ナンバー撮影システムの動作を示すフローチャートである。
【図4】視野内の車両を示す図である。
【図5】視野内の基準板を示す図である。
【図6】メモリの明度検出対象の積分エリアを示す図である。
【図7】(A)車両が存在するときに計算された明度値を示す図である。(B)車両が存在しないときに計算された明度値を示す図である。
【図8】所定の間隔でサンプリングして得た明度値の候補の中から選出される最頻値を示す図である。
【図9】第2実施形態の車両ナンバー撮影システムの構成を示す図である。
【図10】明るさセンサを示す図である。
【図11】明るさセンサの設置例を示す図である。
【図12】第2実施形態の車両ナンバー撮影システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1…基準板、1a…基準面、2…映像入力部、2a…カメラ、3…メモリ、4…基準明度算出部、5…制御部、5a…制御信号作成部、5b…露出制御部、6…認識部、7…明るさ情報入力部、7a…明るさセンサ、2b,7b…A/D変換器、8…保存装置、10…映像処理装置、21…車両、22…ナンバープレート、23…支柱、71…電源回路、72…スリット、73…集光レンズ、74…フォトセンサ回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影方向を道路に向け、少なくとも視野の一部に前記道路を走行する車両のナンバープレートが入るように路側部に配設され、外部から制御を受けて受光量を可変して映像を撮影する動画撮影用のカメラと、
前記カメラから前記ナンバープレートの奥手に配設され、所定の反射率を持つ明度測定用の基準面を有する基準部材と、
前記カメラにより撮影される前記ナンバープレートと同等のエリアの光量を所定期間サンプリングして得た前記ナンバープレートおよび前記基準面の明度値のうち、少なくとも前記基準面の明度値を含む複数の明度値の中から、前記ナンバープレートの明度値を除外した明度値を得る基準明度取得部と、
前記基準明度取得部により取得された明度値と予め前記ナンバープレートの撮影に適するように設定された明度値との差分に応じて前記カメラの受光量を制御する制御部と
を具備することを特徴とする車両ナンバー撮影システム。
【請求項2】
前記基準明度取得部は、
前記カメラから入力される映像の中から、ある第1の期間に得られたフレームの明度値を積分して得た積分値を前記基準面の明度値の候補とし、前記明度値の候補を第2期間分連続して取得し、その中から最も出現頻度の多い値を前記基準板の明度値とすることを特徴とする請求項1記載の車両ナンバー撮影システム。
【請求項3】
前記基準明度取得部は、
前記カメラから入力される映像の中から、ある第1の期間に得られたフレームの明度値を積分して得た積分値を前記基準面の明度値の候補とし、第2期間分連続して取得した複数の明度値の候補の平均値を算出し、その値を前記基準板の明度値とすることを特徴とする請求項1または2いずれか記載の車両ナンバー撮影システム。
【請求項4】
前記基準明度取得部は、
前記基準面の明るさを測定するためのエリアに、前記道路を走行する車両が入らない位置に設置され、前記基準面の明るさを直接測定して前記基準板の明度値を得る明るさセンサを有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1記載の車両ナンバー撮影システム。
【請求項5】
撮影方向を道路に向け、少なくとも視野の一部に前記道路を走行する車両のナンバープレートが入るように路側部に配設された動画撮影用のカメラが、外部から制御を受けて受光量を可変して、前記カメラから前記ナンバープレートの奥手に配設され、所定の反射率を持つ明度測定用の基準面を有する基準部材を含む映像を撮影するステップと、
前記カメラにより撮影される前記ナンバープレートと同等のエリアの光量を基準明度取得部が所定期間サンプリングして前記ナンバープレートおよび前記基準面のうち、少なくとも前記基準面の明度値を含む複数の明度値を得て、前記複数の明度値の中から、前記ナンバープレートの明度値を除外して残った明度値を前記基準面の明度値として得るステップと、
前記基準明度取得部により取得された前記基準面の明度値と予め前記ナンバープレートの撮影に適するように設定された明度値との差分に応じて制御部が前記カメラの受光量を制御するステップと
を有することを特徴とする車両ナンバー撮影方法。
【請求項6】
前記カメラから入力される映像の中から、前記基準明度取得部が、ある第1の期間に得られたフレームの明度値を積分して得た積分値を前記基準面の明度値の候補とし、前記明度値の候補を第2期間分連続して取得し、その中から最も出現頻度の多い値を前記基準板の明度値とすることを特徴とする請求項5記載の車両ナンバー撮影方法。
【請求項7】
前記カメラから入力される映像の中から、前記基準明度取得部が、ある第1の期間に得られたフレームの明度値を積分して得た積分値を前記基準面の明度値の候補とし、第2期間分連続して取得した複数の明度値の候補の平均値を算出し、その値を前記基準板の明度値とすることを特徴とする請求項5または6いずれか記載の車両ナンバー撮影方法。
【請求項8】
前記基準面の明るさを測定するためのエリアに、前記道路を走行する車両が入らない位置に設置された明るさセンサが、前記基準面の明るさを直接測定して前記基準板の明度値を得ることを特徴とする請求項5乃至7いずれか1記載の車両ナンバー撮影方法。
【請求項1】
撮影方向を道路に向け、少なくとも視野の一部に前記道路を走行する車両のナンバープレートが入るように路側部に配設され、外部から制御を受けて受光量を可変して映像を撮影する動画撮影用のカメラと、
前記カメラから前記ナンバープレートの奥手に配設され、所定の反射率を持つ明度測定用の基準面を有する基準部材と、
前記カメラにより撮影される前記ナンバープレートと同等のエリアの光量を所定期間サンプリングして得た前記ナンバープレートおよび前記基準面の明度値のうち、少なくとも前記基準面の明度値を含む複数の明度値の中から、前記ナンバープレートの明度値を除外した明度値を得る基準明度取得部と、
前記基準明度取得部により取得された明度値と予め前記ナンバープレートの撮影に適するように設定された明度値との差分に応じて前記カメラの受光量を制御する制御部と
を具備することを特徴とする車両ナンバー撮影システム。
【請求項2】
前記基準明度取得部は、
前記カメラから入力される映像の中から、ある第1の期間に得られたフレームの明度値を積分して得た積分値を前記基準面の明度値の候補とし、前記明度値の候補を第2期間分連続して取得し、その中から最も出現頻度の多い値を前記基準板の明度値とすることを特徴とする請求項1記載の車両ナンバー撮影システム。
【請求項3】
前記基準明度取得部は、
前記カメラから入力される映像の中から、ある第1の期間に得られたフレームの明度値を積分して得た積分値を前記基準面の明度値の候補とし、第2期間分連続して取得した複数の明度値の候補の平均値を算出し、その値を前記基準板の明度値とすることを特徴とする請求項1または2いずれか記載の車両ナンバー撮影システム。
【請求項4】
前記基準明度取得部は、
前記基準面の明るさを測定するためのエリアに、前記道路を走行する車両が入らない位置に設置され、前記基準面の明るさを直接測定して前記基準板の明度値を得る明るさセンサを有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1記載の車両ナンバー撮影システム。
【請求項5】
撮影方向を道路に向け、少なくとも視野の一部に前記道路を走行する車両のナンバープレートが入るように路側部に配設された動画撮影用のカメラが、外部から制御を受けて受光量を可変して、前記カメラから前記ナンバープレートの奥手に配設され、所定の反射率を持つ明度測定用の基準面を有する基準部材を含む映像を撮影するステップと、
前記カメラにより撮影される前記ナンバープレートと同等のエリアの光量を基準明度取得部が所定期間サンプリングして前記ナンバープレートおよび前記基準面のうち、少なくとも前記基準面の明度値を含む複数の明度値を得て、前記複数の明度値の中から、前記ナンバープレートの明度値を除外して残った明度値を前記基準面の明度値として得るステップと、
前記基準明度取得部により取得された前記基準面の明度値と予め前記ナンバープレートの撮影に適するように設定された明度値との差分に応じて制御部が前記カメラの受光量を制御するステップと
を有することを特徴とする車両ナンバー撮影方法。
【請求項6】
前記カメラから入力される映像の中から、前記基準明度取得部が、ある第1の期間に得られたフレームの明度値を積分して得た積分値を前記基準面の明度値の候補とし、前記明度値の候補を第2期間分連続して取得し、その中から最も出現頻度の多い値を前記基準板の明度値とすることを特徴とする請求項5記載の車両ナンバー撮影方法。
【請求項7】
前記カメラから入力される映像の中から、前記基準明度取得部が、ある第1の期間に得られたフレームの明度値を積分して得た積分値を前記基準面の明度値の候補とし、第2期間分連続して取得した複数の明度値の候補の平均値を算出し、その値を前記基準板の明度値とすることを特徴とする請求項5または6いずれか記載の車両ナンバー撮影方法。
【請求項8】
前記基準面の明るさを測定するためのエリアに、前記道路を走行する車両が入らない位置に設置された明るさセンサが、前記基準面の明るさを直接測定して前記基準板の明度値を得ることを特徴とする請求項5乃至7いずれか1記載の車両ナンバー撮影方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−146259(P2009−146259A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324456(P2007−324456)
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月17日(2007.12.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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