説明

車両バルクヘッド構造

【課題】長尺パイプに塑性加工にて成形した曲げ部にブラケットを溶接で精度よく、且つ、容易に取り付ける。
【解決手段】車両バルクヘッド構造は、ベンダー法により、第1曲げ部63を形成し、この第1曲げ部63にストッパ用ブラケット54を溶接法により、接合する。第1曲げ部63の断面を想定してパイプ製フレームを曲げる際に使用した曲率中心点C1が下になるように断面の姿勢を定めたときに、断面の中心を通る水平線がパイプ製フレームの外周面86と交わる左右の外周中央部87にストッパ用ブラケット54を固定する溶接ビード77を配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塑性加工にて長尺パイプを成形して得た曲げ部にブラケットを溶接で取り付けた車両バルクヘッド構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両バルクヘッド構造には、金属製の管に金属製の板材を溶接で取り付けたものがある。例えば、鋼管を塑性加工にて所望の形状に曲げたり絞ったりした後、曲げ部位又は絞り部位に板状ブラケットを溶接で固定したものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図11(a),(b)は、特許文献1の図1、図2の再掲図である。
特許文献1のパイプの溶接構造は、ブラケット4の立面5,6にパイプ1を溶接14,15で固定したものである。パイプ1は、凹曲形状のつぶし3を成形したもので、凹曲形状のつぶし3によって強度を向上させる利点がある。
【0004】
しかし、特許文献1のパイプの溶接構造では、凹曲形状のつぶし3を溶接するため、溶接変形や溶接不良が発生しないように注意する必要がある。凹曲形状のつぶし3は、塑性加工した部位であり、塑性加工した部位は、圧縮力と引張り力が残留し、溶接時の熱並びに溶接後の急冷で変形が起きやすく、長尺パイプの先端の精度向上を図り難い。
また、塑性加工した部位は、パイプの厚さが一定ではなく、パイプ(母材)の温度差が大きくなりやすく、溶接し難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−263837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、長尺パイプに塑性加工にて成形した曲げ部にブラケットを溶接で精度よく、且つ、容易に取り付ける車両バルクヘッド構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、サイドフレームとホイルハウスに取り付けた車両バルクヘッド構造において、車両バルクヘッド構造のバルクヘッドは、上部フレームと、下部フレームと、を備え、上部フレームは、車幅方向に延びるパイプビームと、パイプビームの中央に取り付けるロック用ブラケットと、ロック用ブラケットの両端から乖離させてパイプビームに取り付けるストッパ用ブラケットと、ストッパ用ブラケットに近接してパイプビームに取り付けるサイドフレーム用ブラケットと、サイドフレーム用ブラケットに近接してパイプビームに取り付けるホイルハウス用ブラケットと、からなり、パイプビームは、管にベンダー法により、中央に第1直管部をほぼ直管状態に成形し、第1直管部に連ねて第1曲げ部を曲げ成形し、第1曲げ部に連ねて第2直管部を成形し、第2直管部に連ねて第2曲げ部を曲げ成形し、第2曲げ部に連ねて第3直管部を成形したもので、車両側面視で、第1曲げ部の断面を想定してパイプビームを曲げる際に使用した曲率中心点が下になるように断面の姿勢を定めたときに、断面の中心を通る水平線が第1曲げ部の外周面と交わり車両前後へ向く外周中央部に少なくともストッパ用ブラケットを固定する溶接ビードを配置する、ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、第2曲げ部の断面を想定してパイプビームを曲げる際に使用した曲率中心点が下になるように断面の姿勢を定めたときに、断面の中心を通る水平線が第2曲げ部の外周面と交わり車両前後へ向く外周中央部にサイドフレーム用ブラケットを固定する溶接ビードを配置する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明では、バルクヘッドは、上部フレームと、下部フレームと、を備え、上部フレームは、車幅方向に延びるパイプビームと、パイプビームの中央に取り付けるロック用ブラケットと、ストッパ用ブラケットと、サイドフレーム用ブラケットと、ホイルハウス用ブラケットと、からなり、パイプビームは、中央に第1直管部をほぼ直管状態に成形し、第1直管部に連ねて第1曲げ部を曲げ成形し、第1曲げ部に連ねて第2直管部を成形し、第2直管部に連ねて第2曲げ部を曲げ成形し、第2曲げ部に連ねて第3直管部を成形したもので、第1曲げ部の断面を想定してパイプビームを曲げる際に使用した曲率中心点が下になるように断面の姿勢を定めたときに、断面の中心を通る水平線が第1曲げ部の外周面と交わり車両前後へ向く外周中央部に少なくともストッパ用ブラケットを固定する溶接ビードを配置するので、第1曲げ部に生じている溶接残留応力に溶接の際の熱が直接作用せず、第1曲げ部の曲げアールをほぼ維持することができる。従って、車両バルクヘッド構造の精度向上を図れるという利点がある。
【0010】
パイプを曲げると、曲率中心点に近い部位は厚さが増し、遠い部位は薄くなるが、第1曲げ部の外周中央部は厚さが変化しない。
第1曲げ部の外周中央部に溶接のビードを配置したので、パイプビームの厚さはほぼ一定であり、例えば、溶接中に溶接条件を変更する必要がなく、溶接は容易である。
【0011】
請求項2に係る発明では、第2曲げ部の断面を想定してパイプビームを曲げる際に使用した曲率中心点が下になるように断面の姿勢を定めたときに、断面の中心を通る水平線が第2曲げ部の外周面と交わり車両前後へ向く外周中央部にサイドフレーム用ブラケットを固定する溶接ビードを配置するので、第2曲げ部に生じている溶接残留応力に溶接の際の熱が直接作用せず、第2曲げ部の曲げアールをほぼ維持することができる。従って、車両バルクヘッド構造の精度向上を図れるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の車両バルクヘッド構造を用いた車両の斜視図である。
【図2】本発明の車両バルクヘッド構造の斜視図である。
【図3】本発明の車両バルクヘッド構造に採用した上部フレームの正面図である。
【図4】図3の4部詳細図である。
【図5】図3の5部詳細図である。
【図6】図4の6−6線断面図である。
【図7】図5の7−7線断面図である。
【図8】本発明の車両バルクヘッド構造のストッパ用ブラケットの斜視図である。
【図9】本発明の車両バルクヘッド構造のサイドフレーム用ブラケットの斜視図である。
【図10】本発明の車両バルクヘッド構造の製造要領説明図である。
【図11】特許文献1の図1、図2の再掲図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0014】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は、本発明の車両バルクヘッド構造を用いた車両の斜視図であり、車両11は、ボデー12を備え、ボデー12は、前を形成するフロントボデー13と、フロントボデー13の後で乗員室14の床に相当するアンダボデー15と、アンダボデー15に連ねて乗員室14の側部を形成するサイドボデー16と、サイドボデー16に開閉可能に取り付けたドア17,17と、フロントボデー13に開閉可能に取り付けたフード18と、を備える。21はウインドガラス、22はインストルメントパネル、23は前照灯、24はバンパ、25は前輪を示す。
【0015】
フロントボデー13は、サイドフレーム31と、サイドフレーム31に取り付けたホイルハウス32、ダンパハウジング33と、サイドフレーム31並びにホイルハウス32の前に取り付けたバルクヘッド34と、サイドフレーム31をアンダボデー15のダッシュボード42及びサイドボデー16のサイドシル35に一体的に取り付けるサイドアウトリガー36と、からなる。37はフロントフェンダ、38はエンジンルームを示す。
【0016】
アンダボデー15は、フロアパン41と、フロアパン41の前に取り付けて乗員室14の前壁をなすダッシュボード42と、ダッシュボード42の上に配置した車幅方向(矢印aの方向)に伸びるウインドシールドロア43と、を備える。
【0017】
図2は、本発明の車両バルクヘッド構造の斜視図である。
バルクヘッド34は、サイドフレーム31,31とホイルハウス32,32に取り付けたもので、上部フレーム46と、下部フレーム47と、これらの上・下部フレーム46,47間に取り付けたサイド固定板51,51と、からなる。
【0018】
ここで、図右上のXは車両の前進・後進方向の軸、YはX軸に直交し且つ車両の車幅方向の軸、ZはX,Yに直交する鉛直軸である。
【0019】
上部フレーム46は、パイプビーム52にロック用ブラケット53、ストッパ用ブラケット54,55、サイドフレーム用ブラケット56,57、ホイルハウス用ブラケット58,59を取り付けたものである。次に上部フレーム46を具体的に説明する。
【0020】
図3は、本発明の車両バルクヘッド構造に採用した上部フレームの正面図である。
部フレーム46は既に述べたように、パイプビーム52、ロック用ブラケット53、ストッパ用ブラケット54,55、サイドフレーム用ブラケット56,57及びホイルハウス用ブラケット58,59からなる。
【0021】
パイプビーム52は、パイプ製フレーム61をなす管に、例えばベンダー法により、曲げ部を形成したもので、詳しくは、中央に第1直管部62をほぼ直管状態に成形し、この第1直管部62に連ねて第1曲げ部63,64を曲げアールr1で成形し、第1曲げ部63,64に連ねて第2直管部65,66を成形し、第2直管部65,66に連ねて第2曲げ部67,68を曲げアールr2で成形し、第2曲げ部67,68に連ねて第3直管部71,72を成形したものである。Dはパイプビーム52に用いたパイプ製フレーム61の外径、C1,C1は第1曲げ部63,64の曲率中心点、C2,C2は第2曲げ部67,68の曲率中心点を示す。
【0022】
ロック用ブラケット53は、フード18(図1参照)をロックするフードロック装置(図に示していない。)を取り付けるための部材で、第1直管部62に嵌る本体73を断面コ字形状に成形した。本体73は、フードロック装置を取り付ける取り付け孔74…を有する。
ホイルハウス用ブラケット58は、ホイルハウス32(図2参照)に取り付ける部材である。
ホイルハウス用ブラケット59は、ホイルハウス用ブラケット58と同様である。
【0023】
図4は、図3の4部詳細図であり、ストッパ用ブラケット54の正面図である。
ストッパ用ブラケット54は、フード18(図1参照)を受け止め保持する部材で、第1曲げ部63に取り付け可能な本体76を成形した部材で、本体76を溶接で固定した。溶接条件は任意であるが、例えば、MIGなどの自動溶接(半自動含む)を用い、溶接長さを15mmとした。77…(…は複数を示す。以下同様。)はビードを示す。
ストッパ用ブラケット55(図3参照)は、ストッパ用ブラケット54と同様であり、説明を省略する。
【0024】
図5は、図3の5部詳細図であり、サイドフレーム用ブラケット56の正面図である。
サイドフレーム用ブラケット56は、サイドフレーム31(図2参照)に固定する部材で、第2曲げ部67に取り付け可能な本体78を成形した部材で、本体78を溶接で固定した。溶接条件は任意であるが、例えば、MIGなどの自動溶接(半自動含む)を用い、溶接長さを10mmとした。81…はビードを示す。
サイドフレーム用ブラケット57(図3参照)は、サイドフレーム用ブラケット56と同様であり、説明を省略する。
【0025】
図6は、図4の6−6線断面図であり、ストッパ用ブラケット54と第1曲げ部63の溶接を示す。
第1曲げ部63は、中立面Mを生じ、中立面Mは、幅をW、長さをパイプビーム52の長さとする。このような第1曲げ部63にストッパ用ブラケット54を溶接する際には、第1曲げ部63の中立面Mに交わる外面部83,83、若しくは中立面Mに交わる近傍を溶接する。
【0026】
言い換えると、車両側面視(図6の視点)で、第1曲げ部63の断面で、パイプ製フレーム61を曲げる際に使用した曲率中心点C1が下(矢印bの方向)になるように第1曲げ部63の断面の姿勢を定めたときに、断面の中心を通る水平線85がパイプ製フレーム61の外周面86と交わる左右(図の左右)の外周中央部87,87若しくはその近傍にストッパ用ブラケット54を固定する溶接ビード77,77を配置する。外周中央部87は、外面部83に相当する部位である。88,88は外周中央部87,87の近傍の範囲、91はパイプ製フレーム61を曲げる際に圧縮を受ける側、92はパイプ製フレーム61を曲げる際に引っ張りを受ける側を示す。
なお、第1曲げ部64(図3参照)に施した溶接は、第1曲げ部63に施した溶接と同様である。
【0027】
図7は、図5の7−7線断面図であり、サイドフレーム用ブラケット56と第2曲げ部67の溶接を示す。
第2曲げ部67にサイドフレーム用ブラケット56を溶接する際には、第2曲げ部67の中立面Mに交わる外面部94、若しくは中立面Mに交わる近傍を溶接する。
言い換えると、第2曲げ部67の断面で、パイプ製フレーム61を曲げる際に使用した曲率中心点C2が上(矢印cの方向)になるように第2曲げ部67の断面の姿勢を定めたときに、断面の中心を通る水平線95がパイプ製フレーム61の外周面86と交わる左右(図の左右)の外周中央部96,96若しくはその近傍にサイドフレーム用ブラケット56を固定する溶接ビード81を配置する。外周中央部96は、外面部94に相当する部位である。97,97は外周中央部96,96の近傍の範囲、101はパイプ製フレーム61を曲げる際に圧縮を受ける側、102はパイプ製フレーム61を曲げる際に引っ張りを受ける側を示す。ここでは、曲率中心点C2が下という説明をしたが、曲率中心点C2を上にしてもよい。
なお、第2曲げ部68(図3参照)に施した溶接は、第2曲げ部67に施した溶接と同様である。
【0028】
図8は、本発明の車両バルクヘッド構造のストッパ用ブラケットの斜視図である。
ストッパ用ブラケット54の本体76は、第1曲げ部63に唯一接触する前後の溶接端部103,104と、前面105に開け、取り付け孔を兼ねる基準孔106と、フード18(図1参照)が当たる部材を取り付ける取り付け部107と、を備える。
ここで、ストッパ用ブラケット54の基準孔106の基準座標をX1,Y1,Z1とする。
【0029】
図9は、本発明の車両バルクヘッド構造のサイドフレーム用ブラケットの斜視図である。
サイドフレーム用ブラケット56の本体78は、第2曲げ部68に接触する溶接端部108と、前面109に開け、取り付け孔を兼ねる基準孔111と、サイドフレーム31(図2参照)に取り付ける取り付け部112と、を備える。
ここで、サイドフレーム用ブラケット56の基準孔111の基準座標をX2,Y2,Z2とする。
【0030】
次に車両バルクヘッド構造の製造要領を簡単に説明する。
図10は、本発明の車両バルクヘッド構造の製造要領説明図である。
まず、パイプ製フレーム61となる外径Dの鋼管を用意する。その際、鋼管の厚さtを基準に選択する。その次に、鋼管を塑性加工する。塑性加工で曲げる場合には、切断した管に中子を入れ、ベンダー装置にセットし、第1曲げ部63、第2曲げ部67など曲げ部を完成させることで、パイプビーム52を得る。引き続き、ブラケットを次のように溶接する。パイプビーム52を図に示していない位置決め装置にセットするとともに、ストッパ用ブラケット54、サイドフレーム用ブラケット56などブラケットもセットする。続けて、位置決め装置は、予め設定した条件に基づいて、ストッパ用ブラケット54を基準座標X1,Y1,Z1に送ることで、第1曲げ部63に対して溶接可能な位置に配置でき、サイドフレーム用ブラケット56を基準座標X2,Y2,Z2に送ることで、第2曲げ部67に対して溶接可能な位置に配置できる。最後に、図6、図7のようにMIG溶接を行い、位置決め装置から取り外す。
【0031】
次に本発明の車両バルクヘッド構造の作用を説明する。
図6のように、水平線85がパイプ製フレーム61の外周面86と交わる左右(図の左右)の外周中央部87,87若しくはその近傍にストッパ用ブラケット54,55(図3参照)を固定する溶接ビード77,77を配置することで、溶接後の変形を抑制する。詳しくは、第1曲げ部63,64(図3参照)の中立面Mに交わる外面部83,83、若しくは中立面Mに交わる近傍とストッパ用ブラケット54,55(図3参照)とを溶接するので、曲げ応力(圧縮応力、引張り応力)がほとんど発生していない外面部83,83は溶接時の熱による挙動を生じ難く、精度の向上を図ることができる。
【0032】
また、第1曲げ部63,64(図3参照)の中立面Mに交わる外面部83,83、若しくは中立面Mに交わる近傍とストッパ用ブラケット54,55(図3参照)とを溶接するので、パイプビーム52の厚さはほぼ一定であり、例えば、溶接中に溶接条件を変更する必要がなく、溶接は容易である。
【0033】
図7のように、水平線95がパイプ製フレーム61の外周面86と交わる左右(図の左右)の外周中央部96,96若しくはその近傍にサイドフレーム用ブラケット56,57(図3参照)を固定する溶接ビード81を配置することで、溶接後の変形を抑制する。詳しくは、第2曲げ部67,68(図3参照)の中立面Mに交わる外面部94、若しくは中立面Mに交わる近傍とサイドフレーム用ブラケット56,57(図3参照)とを溶接するので、曲げ応力(圧縮応力、引張り応力)がほとんど発生していない外面部94は溶接時の熱による挙動を生じ難く、精度の向上を図ることができる。
【0034】
また、第2曲げ部67,68(図3参照)の中立面Mに交わる外面部94、若しくは中立面Mに交わる近傍とサイドフレーム用ブラケット56,57(図3参照)とを溶接するので、パイプビーム52の厚さはほぼ一定であり、例えば、溶接中に溶接条件を変更する必要がなく、溶接は容易である。
【0035】
上部フレーム46のパイプビーム52とストッパ用ブラケット54,55との接合構造、パイプビーム52とサイドフレーム用ブラケット56,57との接合構造の精度向上が図られる。その結果、フード18のストッパとしての取付け箇所の精度やサイドフレーム31との取付け箇所の精度が向上し、且つ、パイプビーム52を曲げ成形した上部フレーム46の精度が向上する。
【0036】
また、ストッパ用ブラケット54,55はフード18から荷重が加わり、サイドフレーム用ブラケット56,57はサイドフレームから荷重が加わるが、強度の高い第1曲げ部63,64、第2曲げ部67,68で荷重を受けることができる。
【0037】
尚、本発明の車両バルクヘッド構造は、実施の形態では四輪車に適用したが、三輪車にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の車両バルクヘッド構造は、四輪車に好適である。
【符号の説明】
【0039】
31…サイドフレーム、32…ホイルハウス、34…バルクヘッド、46…上部フレーム、47…下部フレーム、52…パイプビーム、53…ロック用ブラケット、54,55…ストッパ用ブラケット、56,57…サイドフレーム用ブラケット、58,59…ホイルハウス用ブラケット、61…パイプ製フレーム、62…第1直管部、63,64…第1曲げ部、67,68…第2曲げ部、71,72…第3直管部、77,81…ビード、85,95…水平線、86…外周面、87,96…外周中央部、C1,C2…曲率中心点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドフレーム(31,31)とホイルハウス(32,32)に取り付けた車両バルクヘッド構造において、
前記車両バルクヘッド構造のバルクヘッド(34)は、上部フレーム(46)と、下部フレーム(47)と、を備え、
前記上部フレーム(46)は、車幅方向に延びるパイプビーム(52)と、該パイプビーム(52)の中央に取り付けるロック用ブラケット(53)と、該ロック用ブラケット(53)の両端から乖離させて前記パイプビーム(52)に取り付けるストッパ用ブラケット(54,55)と、該ストッパ用ブラケット(54,55)に近接して前記パイプビーム(52)に取り付けるサイドフレーム用ブラケット(56,57)と、該サイドフレーム用ブラケット(56,57)に近接して前記パイプビーム(52)に取り付けるホイルハウス用ブラケット(58,59)と、からなり、
パイプビーム(52)は、管にベンダー法により、中央に第1直管部(62)をほぼ直管状態に成形し、該第1直管部(62)に連ねて第1曲げ部(63,64)を曲げ成形し、該第1曲げ部(63,64)に連ねて第2直管部(65,66)を成形し、該第2直管部(65,66)に連ねて第2曲げ部(67,68)を曲げ成形し、該第2曲げ部(67,68)に連ねて第3直管部(71,72)を成形したもので、
前記車両側面視で、前記第1曲げ部(63,64)の断面を想定して前記パイプビーム(52)を曲げる際に使用した曲率中心点(C1)が下になるように前記断面の姿勢を定めたときに、前記断面の中心を通る水平線(85)が前記第1曲げ部(63,64)の外周面(86)と交わり車両前後へ向く外周中央部(87,87)に少なくとも前記ストッパ用ブラケット(54,55)を固定する溶接ビード(77,77)を配置する、ことを特徴とする車両バルクヘッド構造。
【請求項2】
前記第2曲げ部(67,68)の断面を想定して前記パイプビーム(52)を曲げる際に使用した曲率中心点(C2)が下になるように前記断面の姿勢を定めたときに、前記断面の中心を通る水平線(95)が前記第2曲げ部(67,68)の外周面(86)と交わり車両前後へ向く外周中央部(96,96)に前記サイドフレーム用ブラケット(56,57)を固定する溶接ビード(81)を配置する、ことを特徴とする請求項1記載の車両バルクヘッド構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−37439(P2011−37439A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213151(P2010−213151)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【分割の表示】特願2003−302016(P2003−302016)の分割
【原出願日】平成15年8月26日(2003.8.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】