説明

車両周辺監視装置

【課題】車両の後方を撮影するための撮影装置が撮影した画像に基づいて、車両の側方における他の車両の存在を推測することによって、少数の撮影装置によって車両周辺の情報を的確に把握することができ、運転者が不安を感じることなく、容易に、かつ、安全に車両の運転を行うことができるようにする。
【解決手段】車両の後方を撮影する後方撮影装置と、前記車両の側方についての案内を行う案内装置とを有し、前記後方撮影装置の撮影した画像に基づいて前記車両の側方における他の車両の存在を推測し、前記案内装置に案内を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、前方カメラ及び後方カメラを用いて、車両の前方視野の画像及び後方視野の画像を撮像し、撮像した画像から前方の障害物の検出及び後続車両の検出を行い、後続車両が自車に対して危険であるか否かを判断し、危険度に応じてアラームを報知する運転支援装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−279598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の運転支援システムにおいては、車両の前後の障害物又は車両を検出することはできるが、自車の側方に存在する車両についての検出はできない。新たに、側方を撮像する側方カメラを車両に取り付けることで、側方に存在する車両を検出することはできるが、側方カメラの取り付けによりコストが高くなってしまう。
【0004】
本発明は、前記従来の問題点を解決して、車両の後方を撮影するための撮影装置が撮影した画像に基づいて、車両の側方における他の車両の存在を推測することによって、少数の撮影装置によって車両周辺の情報を的確に把握することができ、運転者が不安を感じることなく、容易に、かつ、安全に車両の運転を行うことができるコストの低い車両周辺監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのために、本発明の車両周辺監視装置においては、車両の後方を撮影する後方撮影装置と、前記車両の側方についての案内を行う案内装置とを有し、前記後方撮影装置の撮影した画像に基づいて前記車両の側方における他の車両の存在を推測し、前記案内装置に案内を行わせる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、車両周辺監視装置は、車両の後方を撮影するための撮影装置が撮影した画像に基づいて、車両の側方における他の車両の存在を推測する。これにより、少数の撮影装置によって車両周辺の情報を的確に把握することができ、運転者が不安を感じることなく、容易に、かつ、安全に車両の運転を行うことができ、コストを低くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】
図1は本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置の構成を示す図、図2は本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置が取得する画像の範囲を示す第1の図、図3は本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置が取得する画像の範囲を示す第2の図である。
【0009】
図において、10は本実施の形態における車両周辺監視装置であり、25は該車両周辺監視装置10が搭載される車両としての自車である。該自車25は、乗用車、トラック、バス、二輪車等道路を走行可能なものであればいかなる種類のものであってもよいが、本実施の形態においては、説明の都合上、4つの車輪を備える乗用車であるものとして説明する。
【0010】
そして、前記車両周辺監視装置10は、図1に示されるような構成を有する。図1において、11は車両に搭載されたナビゲーション装置であり、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク、磁気テープ、磁気ドラム、フラッシュメモリ、CD−ROM、CD−R/W、MD、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R/W、光ディスク、MO、ICカード、光カード、メモリカード等の記憶手段、通信手段等を備える一種のコンピュータである。また、前記ナビゲーション装置11は、操作キー、押しボタン、ジョグダイヤル、十字キー、リモートコントローラ、タッチパネル等を備え、スイッチ入力(SW入力)を行うための図示されない入力装置、CRT、液晶ディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)ディスプレイ、ホログラフィ装置等の表示装置17、マイクロホン等の図示されない音声入力装置、音声出力装置としてのスピーカ18を有する。なお、前記表示装置17は、入力装置の機能を兼ね備えるタッチパネルであってもよい。
【0011】
また、21は前記車両に搭載されたカメラコントロール装置であり、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク、磁気テープ、磁気ドラム、フラッシュメモリ、CD−ROM、CD−R/W、MD、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R/W、光ディスク、MO、ICカード、光カード、メモリカード等の記憶手段等を備える一種のコンピュータである。そして、前記ナビゲーション装置11とカメラコントロール装置21とは、相互に通信可能に接続されている。なお、カメラコントロール装置21は、ナビゲーション装置11に内蔵されていてもよい。
【0012】
本実施の形態において、自車25には、カメラコントロール装置21によって制御されるカメラとして、前方撮影装置としての前方カメラ22及び後方撮影装置としての後方カメラ23が搭載されている。なお、車両周辺監視装置10は、後方カメラ23が撮影した画像に基づいて、自車25の側方における他の車両32の存在を推測することができるものであり、前方カメラ22を省略することもできるが、ここでは、前方カメラ22も備える例について説明する。前記前方カメラ22及び後方カメラ23は、CCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像手段を備え、車体の前面部、後面部等に取り付けられ、自車25の周辺の範囲を撮影してその画像を取得し、取得した画像をカメラコントロール装置21に送信する。そして、図2及び3に示されるように、前方カメラ22は前方撮影範囲26を撮影し、後方カメラ23は後方撮影範囲27を撮影する。なお、図2及び3に示される前方撮影範囲26及び後方撮影範囲27の示す範囲は一例に過ぎず、適宜変更することができる。
【0013】
ここで、前記前方カメラ22及び後方カメラ23は、各々、単数であっても複数であってもよい。例えば、前方カメラ22及び後方カメラ23は、2つ以上のカメラを含むものであってもよいし、魚眼レンズ、プリズム、光ファイバ等の光学系を備えるものであってもよい。また、前記前方カメラ22及び後方カメラ23は、ズームレンズ等の焦点可変機構を備え、接写から望遠まで撮影モードを変更することができるもの、すなわち、ズーミング動作が可能なものであってもよい。さらに、前記前方カメラ22及び後方カメラ23は、上下又は左右に回動可能に取り付けられ、撮影範囲を上下又は左右に移動させることができるもの、すなわち、チルティング動作又はパニング動作が可能なものであってもよい。この場合、前方カメラ22及び後方カメラ23のズーミング動作、チルティング動作及びパニング動作は、カメラコントロール装置21によって制御される。
【0014】
そして、前記ナビゲーション装置11には位置検出手段12が接続されている。該位置検出手段12は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信された電波を受信することによって、地球上における現在位置を検出するGPSセンサ、地磁気を検出する地磁気センサ、車両の走行距離を検出する距離センサ、車両が向いている方位を検出するジャイロセンサ、道路に沿って配設されたビーコンからの位置情報を受信して現在位置を検出するビーコンセンサ、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ、運転者が操作するブレーキペダルの動きを検出するブレーキセンサ、運転者が操作するウィンカスイッチの動きを検出するウィンカセンサ、運転者が操作する変速機のシフトレバーの動きを検出するシフトレバーセンサ、高度計、車両の走行速度、すなわち、車速を検出する車速センサ等の各種センサによって、車両の現在位置、車速、車両の加速度、車両の向いている方位等を検出する。そして、前記ナビゲーション装置11は、位置検出手段12が検出した車両の現在位置、車速、車両の加速度、車両の向いている方位等に基づいて、ナビゲーション処理を実行する。なお、位置検出手段12は、ナビゲーション装置11に内蔵されていてもよい。
【0015】
また、該ナビゲーション装置11には、施設や地点を検索したり経路を探索したりするために必要な地図情報を格納する地図情報データベース13が接続されている。該地図情報データベース13は、道路データファイルを備える。ここで、該道路データファイルは、細街路も含めたすべての道路、例えば、日本全国のすべての道路に関するデータを格納する。ここで、前記道路データファイルには、交差点データ、ノードデータ、道路データ、交通規制データ及び経路表示データも格納されている。そして、前記交差点データには、データが格納されている交差点の数に加え、それぞれの交差点に関するデータが交差点データとして、識別するための番号が付与されて格納されている。さらに、それぞれの前記交差点データには、該当する交差点に接続する道路、すなわち、接続道路の数に加え、それぞれの接続道路を識別するための番号が付与されて格納されている。なお、前記交差点データには、交差点の種類、すなわち、交通信号灯器の設置されている交差点であるか又は交通信号灯器の設置されていない交差点であるかの区別が含まれていてもよい。また、前記ノードデータは、地図データファイルに記録されたデータにおける少なくとも道路の位置及び形状を構成するものであり、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等を含む)、ノード、及び、各ノード間を連結するリンクを示すデータから成る。さらに、前記ノードは、少なくとも道路の屈曲点の位置を示す。
【0016】
また、前記道路データファイルには、データが格納されている道路の数に加え、それぞれの道路に関するデータが道路データとして、識別するための番号が付与されて格納されている。そして、それぞれの前記道路データには、道路種別、それぞれの道路の長さとしての距離、それぞれの道路を走行するのに要する時間としての旅行時間等が格納されている。さらに、前記道路種別には、国道、県道、主要地方道、一般道、高速道路等の行政道路属性が含まれる。
【0017】
なお、前記道路データには、道路自体について、幅員、勾(こう)配、カント、高度、バンク、路面の状態、中央分離帯があるか否か、道路の車線数、該車線数の減少する地点、幅員の狭くなる地点等のデータが含まれることが望ましい。そして、高速道路や幹線道路の場合、対向方向の車線のそれぞれが別個の道路データとして格納され、二条化道路として処理される。例えば、片側2車線以上の幹線道路の場合、二条化道路として処理され、上り方向の車線と下り方向の車線は、それぞれ、独立した道路として道路データに格納される。さらに、コーナについては、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口等のデータが含まれることが望ましい。また、踏切、高速道路出入口ランプウェイ、高速道路の料金所、降坂路、登坂路等の道路属性が含まれていてもよい。さらに、該道路属性については、踏切、高速道路出入口ランプウェイ、高速道路の料金所、降坂路、登坂路、道路種別等のデータが含まれる。
【0018】
また、前記地図情報データベース13は、地図を描画するためのデータを格納する地図データファイル、POI(Point of Interest)データファイル等を有することが望ましい。ここで、前記地図データファイルは、地図を描画するためのノード、リンク、座標、施設名称等のデータを格納する。また、前記POIデータファイルは、出発地、目的地、通過点等となる地点を検索するための施設データ、タウンページ(R)データ、イベントデータ等を格納する。なお、地図情報データベース13は、ナビゲーション装置11に内蔵されていてもよい。
【0019】
さらに、該ナビゲーション装置11にはセンサ信号取得処理装置14が接続されている。該センサ信号取得処理装置14は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ、磁気ディスク等の記憶手段等を備える一種のコンピュータであるが、ナビゲーション装置11に内蔵されていてもよい。そして、前記センサ信号取得処理装置14には、自車25の走行速度を検出する車速センサ15、及び、運転者が操作するステアリングの舵(だ)角を検出するステアリングセンサ16が接続されている。センサ信号取得処理装置14は、車速センサ15及びステアリングセンサ16から取得した検出信号を処理してナビゲーション装置11に送信する。
【0020】
本実施の形態において、車両周辺監視装置10は、機能の観点から、自車25の状況を取得する状況取得装置と、自車25の前方を撮影する前方撮影装置としての前方カメラ22、自車25の後方を撮影する後方撮影装置としての後方カメラ23、及び、自車25の側方についての案内を行う案内装置とを有する。この場合、状況取得装置には、ナビゲーション装置11、位置検出手段12、地図情報データベース13、センサ信号取得処理装置14、車速センサ15及びステアリングセンサ16が含まれる。また、案内装置には、表示装置17及びスピーカ18が含まれる。そして、車両周辺監視装置10は、状況取得装置が取得した自車25の現在位置の属性に応じ、前方カメラ22及び後方カメラ23の撮影した画像に基づいて自車25の側方における他の車両32の存在を推測し、表示装置17又はスピーカ18に案内を行わせるようになっている。
【0021】
次に、前記構成の車両周辺監視装置10の動作について説明する。まず、自車25の側方を監視する側方監視動作に基づく案内を開始するための開始条件について説明する。
【0022】
図2に示されるように、自車25が片側2車線の道路31上の左側車線31Lを走行している場合、前方カメラ22が撮影する前方撮影範囲26には自車25の前方における右側車線31Rの一部も含まれる。また、後方カメラ23が撮影する後方撮影範囲27には自車25の後方における右側車線31Rの一部も含まれる。しかし、自車25の側方における右側車線31Rは、前方撮影範囲26にも後方撮影範囲27にも含まれない側方死角範囲28に入ってしまう。該側方死角範囲28は、自車25の前後にある程度の長さを加えた長さに対応する範囲である。なお、図2に示される前方撮影範囲26、後方撮影範囲27及び側方死角範囲28は、自車25とともに移動するものであり、該自車25との相対的位置関係は一定と考えることができる。
【0023】
ここで、右側車線31Rを走行する他の車両32が、矢印で示されるように、後方撮影範囲27内の位置32aから、側方死角範囲28に進入し、自車25を追い越して前方撮影範囲26内の位置32bまで移動したとすると、前記車両32は、まず、後方カメラ23によって撮影された後、前方カメラ22によって撮影されることになる。この場合、前記車両32の後方を走行する他の車両が車両32に続いて側方死角範囲28に進入したとしても、必ず後方カメラ23によって撮影されているはずである。
【0024】
また、右側車線31Rを走行する他の車両32が前方撮影範囲26内の位置32bから、側方死角範囲28に進入し、自車25に追い越されて後方撮影範囲27内の位置32aまで移動したとすると、前記車両32は、まず、前方カメラ22によって撮影された後、後方カメラ23によって撮影されることになる。この場合、前記車両32の前方を走行する他の車両が車両32に続いて側方死角範囲28に進入したとしても、必ず前方カメラ22によって撮影されているはずである。
【0025】
このことから、次の条件(1)又は(2)が満たされれば、前方カメラ22又は後方カメラ23によって撮影されることなく、自車25の右側の側方死角範囲28に進入する車両はあり得ないということが分かる。
後方カメラ23によって撮影された車両が、
自車25を追い越して前方カメラ22によって撮影された ・・・条件(1)
前方カメラ22によって撮影された車両が、
自車25に追い越されて後方カメラ23によって撮影された ・・・条件(2)
次に、図3において矢印で示されるように、片側2車線の道路31を走行中に車線変更を行ったことによって、自車25の位置が右側車線31Rの位置25aから左側車線31Lに移動した場合について説明する。この場合、左側車線31Lに移動した後の前方撮影範囲26、後方撮影範囲27及び側方死角範囲28は、前述の図2に示される例と同様である。なお、図3に示される前方撮影範囲26、後方撮影範囲27、側方死角範囲28及び位置25aは、自車25とともに移動するものであり、該自車25との相対的位置関係は一定と考えることができる。
【0026】
この場合、直前まで自車25が右側車線31Rの位置25aに存在していたので、右側車線31Rを走行する他の車両が自車25の後方から側方死角範囲28に進入したとすると、必ず後方カメラ23によって撮影されているはずである。また、右側車線31Rを走行する他の車両が自車25の前方から側方死角範囲28に進入したとすると、必ず前方カメラ22によって撮影されているはずである。
【0027】
このことから、次の条件(3)が満たされれば、前方カメラ22又は後方カメラ23によって撮影されることなく、自車25の右側の側方死角範囲28に進入する車両はあり得ないということが分かる。
自車25が道路31を走行中に車線変更を行って、
右側車線31Rから左側車線31Lに移動した ・・・条件(3)
このように、自車25が片側2車線の道路31上の左側車線31Lを走行している場合、前記条件(1)、(2)又は(3)が満たされれば、自車25の右側の側方死角範囲28における他の車両の存在の有無を判断することができるので、前記条件(1)、(2)及び(3)は、自車25が片側2車線の道路31上の左側車線31Lを走行している場合において、自車25の右側側方の状態を監視する側方監視動作に基づく案内を開始するための開始条件である。該開始条件が満たされると、案内システムによって、側方監視動作に基づく案内を行うことができる。
【0028】
次に、車両周辺監視装置10の側方監視動作について説明する。
【0029】
図4は本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置の表示装置に表示された案内画面の例を示す第1の図、図5は本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置の表示装置に表示された案内画面の例を示す第2の図、図6は本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置の側方監視動作を示すフローチャートである。
【0030】
まず、車両周辺監視装置10は、車両の現在位置の属性、例えば、車両の現在位置が存在する車線が片側2車線の道路31上の左側車線31Lである場合、すなわち、自車25が片側2車線の道路31上の左側車線31Lを走行している場合、自車25の方向指示器が作動しているか否か、すなわち、ウィンカーONであるか否かを判断する。ここで、ウィンカーONであるということは、自車25の運転者としてのユーザが車線変更を行って右側車線31Rに移動しようとしていることを意味する。なお、ウィンカーONであるか否かの判断は、ウィンカーONになるまで繰り返して行われる。
【0031】
そして、ウィンカーONである場合、車両周辺監視装置10は、側方監視動作に基づく案内を行うための案内システムがONであるか否かを判断する。なお、該案内システムは、後述される動作によって側方車両の登録が一度でも行われるとONになり、側方監視動作に基づく案内を行うことができる。ここで、案内システムがONでない場合には処理を終了する。
【0032】
また、案内システムがONである場合、車両周辺監視装置10は、登録側方車両なしか否かを判断する。後述される動作によって、右側車線31Rを走行する他の車両が自車25の側方に移動したと判断されると、前記他の車両は登録されて登録側方車両となる。
【0033】
そして、登録側方車両なしの場合、車両周辺監視装置10は「車線変更することができます」旨の案内を行って処理を終了する。この場合、表示装置17の画面は、図4に示されるように、ナビゲーション装置11によるナビゲーション画像が表示されるナビ画面41a、及び、側方監視動作に基づく案内が表示される案内画面41bに分割されている。そして、ナビゲーション画像中には、道路等が示され、さらに、案内システムがONであることを示すONマーク42が表示されている。また、案内画面41b中には、車線変更が可能であることを示す車線変更可マーク43が表示されている。該車線変更可マーク43は、例えば、緑色で表示されるように、安全を想起させる表示形態で表示される。なお、スピーカ18からも「車線変更することができます」旨のアナウンスを音声出力することが望ましい。これにより、ユーザは、自車25の右側側方に他の車両が存在しないことを容易に確認することができ、安心して車線変更を行って右側車線31Rに移動することができる。
【0034】
また、登録側方車両がある場合、車両周辺監視装置10は「側方に車両がいます」旨の案内を行って処理を終了する。この場合、表示装置17の画面は、図5に示されるように、ナビ画面41a及び案内画面41bに分割されている。そして、案内画面41b中には、車線変更が不可であることを示す車線変更不可マーク44が表示されている。該車線変更不可マーク44は、例えば、赤色で表示されるように、危険を想起させる表示形態で表示される。なお、スピーカ18からも「側方に車両がいます」旨のアナウンス、又は、「ピッピッピ」等のビープ音を警告として音声出力することが望ましい。これにより、ユーザは、自車25の右側側方に他の車両が存在することを容易に確認することができ、車線変更を行わないようにすることができる。
【0035】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 ウィンカーONであるか否かを判断する。ウィンカーONである場合はステップS2に進み、ウィンカーONでない場合はウィンカーONになるまで繰り返して行う。
ステップS2 案内システムがONであるか否かを判断する。案内システムがONである場合はステップS3に進み、案内システムがONでない場合は処理を終了する。
ステップS3 登録側方車両なしか否かを判断する。登録側方車両なしの場合はステップS4に進み、登録側方車両ありの場合はステップS5に進む。
ステップS4 「車線変更することができます」旨の案内を行って処理を終了する。
ステップS5 「側方に車両がいます」旨の案内を行って処理を終了する。
【0036】
次に、後方カメラ23による認識処理について説明する。
【0037】
図7は本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置の後方カメラによる認識処理の動作を示すフローチャートである。
【0038】
本実施の形態において、車両周辺監視装置10は、後方カメラ23による認識処理を所定周期、例えば、10〔msec〕毎に繰り返して行う。まず、車両周辺監視装置10は、後方カメラ23によって撮影され画像、すなわち、後方カメラ画像中に含まれる車両の認識を行う。この場合、画像認識によって後方カメラ画像中に含まれる車両を抽出し、抽出した車両を識別する。具体的には、ナンバープレート(正式には、自動車登録番号票又は車両番号票)の画像を対象に画像マッチングを行って識別することが望ましい。これは、ナンバープレートが乗用車、トラック、バス等の通常の車両の前後に取り付けることが義務付けられており、ナンバープレートには大板、中板、小板の三種類の大きさしか存在せず、かつ、外交官用、自衛隊用等の特殊なものを除き、大板、中板、小板のそれぞれによって番号を示す数字等の文字の大きさが統一されているために、画像マッチングを容易に行うことができ、しかも、前記数字等の文字によって車両を一意に識別することができるからである。
【0039】
続いて、車両周辺監視装置10は車両位置の算出を行う。この場合、自車25から識別した車両までの距離、すなわち、相対距離を求める。前記画像マッチングの対象としたナンバープレート等の画像のサイズ、すなわち、大きさによって、自車25と識別した車両との相対距離を測定することができる。また、自車25の車体にレーザレーダ、ミリ波レーダ等の距離測定用センサが取り付けられているときには、該距離測定用センサによって、前記相対距離を測定することもできる。
【0040】
続いて、車両周辺監視装置10は判定する車両なしか否かを判断する。この場合、後方カメラ画像から抽出された車両がなかったか否かを判断し、抽出された車両があったとき、すなわち、判定する車両があるときには、登録後方車両との比較を行う。ここで、登録後方車両とは、後方撮影範囲27に存在する後方車両として登録された車両のことであり、複数の場合も、単数の場合も、皆無の場合もある。そして、後方カメラ画像から抽出されて識別された車両を登録後方車両と比較する。具体的には、後方カメラ画像から抽出されて識別された車両のナンバープレートに含まれる数字等の文字と、登録後方車両のナンバープレートに含まれる数字等の文字とを比較する。
【0041】
続いて、車両周辺監視装置10は、同一車両ありか否か、すなわち、後方カメラ画像から抽出されて識別された車両と同一の車両が登録後方車両に含まれているか否かを判断する。そして、同一車両ありの場合、すなわち、後方カメラ画像から抽出されて識別された車両と同一の車両が登録後方車両に含まれている場合、後方カメラ画像から抽出されて識別された車両を後方車両として再登録する。この場合、当該後方車両を後方カメラ画像から抽出されて識別した時刻、当該後方車両の速度ベクトル、当該後方車両を識別するためのID等の付帯情報を含む当該後方車両の車両データが更新される。そして、再び判定する車両なしか否かの判断が行われる。
【0042】
また、登録後方車両との比較を行って、同一車両なしの場合、すなわち、後方カメラ画像から抽出されて識別された車両と同一の車両が登録後方車両に含まれていない場合、車両周辺監視装置10は、登録側方車両との比較を行う。ここで、登録側方車両とは、側方死角範囲28に存在する後方車両として登録された車両のことであり、複数の場合も、単数の場合も、皆無の場合もある。そして、後方カメラ画像から抽出されて識別された車両を登録側方車両と比較する。具体的には、後方カメラ画像から抽出されて識別された車両のナンバープレートに含まれる数字等の文字と、登録側方車両のナンバープレートに含まれる数字等の文字とを比較する。
【0043】
続いて、車両周辺監視装置10は、同一車両ありか否か、すなわち、後方カメラ画像から抽出されて識別された車両と同一の車両が登録側方車両に含まれているか否かを判断する。そして、同一車両ありの場合、すなわち、後方カメラ画像から抽出されて識別された車両と同一の車両が登録側方車両に含まれている場合、当該登録側方車両の車両データを消去し、後方車両として登録変更する。この場合、当該後方車両を後方カメラ画像から抽出して識別した時刻、当該後方車両の速度ベクトル、当該後方車両を識別するためのID等の付帯情報を含む当該後方車両の車両データが登録される。そして、再び判定する車両なしか否かの判断が行われる。
【0044】
また、登録側方車両との比較を行って、同一車両なしの場合、すなわち、後方カメラ画像から抽出されて識別された車両と同一の車両が登録側方車両に含まれていない場合、車両周辺監視装置10は、後方カメラ画像から抽出されて識別された車両を後方車両として新規登録する。この場合、当該後方車両を後方カメラ画像から抽出して識別した時刻、当該後方車両の速度ベクトル、当該後方車両を識別するためのID等の付帯情報を含む当該後方車両の車両データが新規に登録される。そして、再び判定する車両なしか否かの判断が行われる。
【0045】
一方、判定する車両なしか否かを判断して、判定する車両がない場合、すなわち、後方カメラ画像から抽出された車両がなかった場合、車両周辺監視装置10は、再登録されなかった登録後方車両なしか否かを判断する。そして、再登録されなかった登録後方車両がない場合には処理を終了する。また、再登録されなかった登録後方車両がある場合には、当該登録後方車両が側方死角範囲28に移動したのか、又は、遠方へ遠ざかったのかを判断するために、当該登録後方車両の位置が側方に移動したか否かを判断する。ここで、車両が遠方へ遠ざかったのであれば、後方カメラ画像から抽出された当該車両の画像は小さくなるはずである。そこで、例えば、登録後方車両の後方カメラ画像上のY方向(高さ方向)の寸法が所定値未満である場合には、当該登録後方車両が遠方へ遠ざかったものと判断し、前記Y方向の寸法が所定値以上である場合には、当該登録後方車両が側方死角範囲28に移動したものと判断することができる。
【0046】
そして、再登録されなかった登録後方車両の位置が側方に移動した場合、車両周辺監視装置10は、当該登録後方車両の車両データを消去し、側方車両として登録変更する。この場合、当該側方車両を識別するためのID等の付帯情報を含む当該側方車両の車両データが新規に登録される。そして、案内システムをONにして処理を終了する。
【0047】
また、再登録されなかった登録後方車両の位置が側方に移動しなかった場合、車両周辺監視装置10は、当該登録後方車両が遠方へ遠ざかったものと判断し、当該登録後方車両の登録を削除して処理を終了する。
【0048】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 後方カメラ画像中に含まれる車両の認識を行う。
ステップS12 車両位置の算出を行う。
ステップS13 判定する車両なしか否かを判断する。判定する車両なしの場合はステップS21に進み、判定する車両ありの場合はステップS14に進む。
ステップS14 登録後方車両との比較を行う。
ステップS15 同一車両ありか否かを判断する。同一車両ありの場合はステップS16に進み、同一車両なしの場合はステップS17に進む。
ステップS16 後方カメラ画像から抽出されて識別された車両を後方車両として再登録する。この場合、時刻、速度ベクトル、ID等が更新される。
ステップS17 登録側方車両との比較を行う。
ステップS18 同一車両ありか否かを判断する。同一車両ありの場合はステップS19に進み、同一車両なしの場合はステップS20に進む。
ステップS19 後方カメラ画像から抽出されて識別された車両と同一の車両が登録側方車両に含まれている場合、当該登録側方車両の車両データを消去し、後方車両として登録変更する。この場合、時刻、速度ベクトル、ID等が登録される。
ステップS20 後方カメラ画像から抽出されて識別された車両を後方車両として新規登録する。この場合、時刻、速度ベクトル、ID等が新規に登録される。
ステップS21 再登録されなかった登録後方車両なしか否かを判断する。再登録されなかった登録後方車両なしの場合は処理を終了し、再登録されなかった登録後方車両ありの場合はステップS22に進む。
ステップS22 登録後方車両の位置が側方に移動したか否かを判断する。登録後方車両の位置が側方に移動した場合はステップS23に進み、登録後方車両の位置が側方に移動していない場合はステップS25に進む。
ステップS23 登録後方車両の車両データを消去し、側方車両として登録変更する。この場合、当該側方車両を識別するためのID等の付帯情報を含む当該側方車両の車両データが新規に登録される。
ステップS24 案内システムをONにして処理を終了する。
ステップS25 登録後方車両の登録を削除して処理を終了する。
【0049】
次に、前方カメラ22による認識処理について説明する。
【0050】
図8は本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置の前方カメラによる認識処理の動作を示すフローチャートである。
【0051】
本実施の形態において、車両周辺監視装置10は、前方カメラ22による認識処理を所定周期、例えば、10〔msec〕毎に繰り返して行う。まず、車両周辺監視装置10は、前方カメラ22によって撮影され画像、すなわち、前方カメラ画像中に含まれる車両の認識を行う。この場合、画像認識によって前方カメラ画像中に含まれる車両を抽出し、抽出した車両を識別する。具体的には、後方カメラ23による認識処理の場合と同様に、ナンバープレートの画像を対象に画像マッチングを行って識別することが望ましい。
【0052】
続いて、車両周辺監視装置10は車両位置の算出を行う。この場合、後方カメラ23による認識処理の場合と同様の方法によって、自車25から識別した車両までの距離、すなわち、相対距離を求める。
【0053】
続いて、車両周辺監視装置10は判定する車両なしか否かを判断する。この場合、前方カメラ画像から抽出された車両がなかったか否かを判断し、抽出された車両があったとき、すなわち、判定する車両があるときには、登録前方車両との比較を行う。ここで、登録前方車両とは、前方撮影範囲26に存在する前方車両として登録された車両のことであり、複数の場合も、単数の場合も、皆無の場合もある。そして、前方カメラ画像から抽出されて識別された車両を登録前方車両と比較する。具体的には、前方カメラ画像から抽出されて識別された車両のナンバープレートに含まれる数字等の文字と、登録前方車両のナンバープレートに含まれる数字等の文字とを比較する。
【0054】
続いて、車両周辺監視装置10は、同一車両ありか否か、すなわち、前方カメラ画像から抽出されて識別された車両と同一の車両が登録前方車両に含まれているか否かを判断する。そして、同一車両ありの場合、すなわち、前方カメラ画像から抽出されて識別された車両と同一の車両が登録前方車両に含まれている場合、前方カメラ画像から抽出されて識別された車両を前方車両として再登録する。この場合、当該前方車両を前方カメラ画像から抽出されて識別した時刻、当該前方車両の速度ベクトル、当該前方車両を識別するためのID等の付帯情報を含む当該前方車両の車両データが更新される。そして、再び判定する車両なしか否かの判断が行われる。
【0055】
また、登録前方車両との比較を行って、同一車両なしの場合、すなわち、前方カメラ画像から抽出されて識別された車両と同一の車両が登録前方車両に含まれていない場合、車両周辺監視装置10は、登録側方車両との比較を行う。そして、前方カメラ画像から抽出されて識別された車両を登録側方車両と比較する。具体的には、前方カメラ画像から抽出されて識別された車両のナンバープレートに含まれる数字等の文字と、登録側方車両のナンバープレートに含まれる数字等の文字とを比較する。
【0056】
続いて、車両周辺監視装置10は、同一車両ありか否か、すなわち、前方カメラ画像から抽出されて識別された車両と同一の車両が登録側方車両に含まれているか否かを判断する。そして、同一車両ありの場合、すなわち、前方カメラ画像から抽出されて識別された車両と同一の車両が登録側方車両に含まれている場合、当該登録側方車両の車両データを消去し、前方車両として登録変更する。この場合、当該前方車両を前方カメラ画像から抽出して識別した時刻、当該前方車両の速度ベクトル、当該前方車両を識別するためのID等の付帯情報を含む当該前方車両の車両データが登録される。そして、再び判定する車両なしか否かの判断が行われる。
【0057】
また、登録側方車両との比較を行って、同一車両なしの場合、すなわち、前方カメラ画像から抽出されて識別された車両と同一の車両が登録側方車両に含まれていない場合、車両周辺監視装置10は、前方カメラ画像から抽出されて識別された車両を前方車両として新規登録する。この場合、当該前方車両を前方カメラ画像から抽出して識別した時刻、当該前方車両の速度ベクトル、当該前方車両を識別するためのID等の付帯情報を含む当該前方車両の車両データが新規に登録される。そして、再び判定する車両なしか否かの判断が行われる。
【0058】
一方、判定する車両なしか否かを判断して、判定する車両がない場合、すなわち、前方カメラ画像から抽出された車両がなかった場合、車両周辺監視装置10は、再登録されなかった登録前方車両なしか否かを判断する。そして、再登録されなかった登録前方車両がない場合には処理を終了する。また、再登録されなかった登録前方車両がある場合には、当該登録前方車両が側方死角範囲28に移動したのか、又は、遠方へ遠ざかったのかを判断するために、当該登録前方車両の位置が側方に移動したか否かを判断する。ここで、例えば、登録前方車両の前方カメラ画像上のY方向の寸法が所定値未満である場合には、当該登録前方車両が遠方へ遠ざかったものと判断し、前記Y方向の寸法が所定値以上である場合には、当該登録前方車両が側方死角範囲28に移動したものと判断することができる。
【0059】
そして、再登録されなかった登録前方車両の位置が側方に移動した場合、車両周辺監視装置10は、当該登録前方車両の車両データを消去し、側方車両として登録変更する。この場合、当該側方車両を識別するためのID等の付帯情報を含む当該側方車両の車両データが新規に登録される。そして、案内システムをONにして処理を終了する。
【0060】
また、再登録されなかった登録前方車両の位置が側方に移動しなかった場合、車両周辺監視装置10は、当該登録前方車両が遠方へ遠ざかったものと判断し、当該登録前方車両の登録を削除して処理を終了する。
【0061】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS31 前方カメラ画像中に含まれる車両の認識を行う。
ステップS32 車両位置の算出を行う。
ステップS33 判定する車両なしか否かを判断する。判定する車両なしの場合はステップS41に進み、判定する車両ありの場合はステップS34に進む。
ステップS34 登録前方車両との比較を行う。
ステップS35 同一車両ありか否かを判断する。同一車両ありの場合はステップS36に進み、同一車両なしの場合はステップS37に進む。
ステップS36 前方カメラ画像から抽出されて識別された車両を前方車両として再登録する。この場合、時刻、速度ベクトル、ID等が更新される。
ステップS37 登録側方車両との比較を行う。
ステップS38 同一車両ありか否かを判断する。同一車両ありの場合はステップS39に進み、同一車両なしの場合はステップS40に進む。
ステップS39 前方カメラ画像から抽出されて識別された車両と同一の車両が登録側方車両に含まれている場合、当該登録側方車両の車両データを消去し、前方車両として登録変更する。この場合、時刻、速度ベクトル、ID等が登録される。
ステップS40 前方カメラ画像から抽出されて識別された車両を前方車両として新規登録する。この場合、時刻、速度ベクトル、ID等が新規に登録される。
ステップS41 再登録されなかった登録前方車両なしか否かを判断する。再登録されなかった登録前方車両なしの場合は処理を終了し、再登録されなかった登録前方車両ありの場合はステップS42に進む。
ステップS42 登録前方車両の位置が側方に移動したか否かを判断する。登録前方車両の位置が側方に移動した場合はステップS43に進み、登録前方車両の位置が側方に移動していない場合はステップS45に進む。
ステップS43 登録前方車両の車両データを消去し、側方車両として登録変更する。この場合、当該側方車両を識別するためのID等の付帯情報を含む当該側方車両の車両データが新規に登録される。
ステップS44 案内システムをONにして処理を終了する。
ステップS45 登録前方車両の登録を削除して処理を終了する。
【0062】
このように、本実施の形態において、車両周辺監視装置10は、所定の条件が満たされると、自車25の後方を撮影するための後方カメラ23が撮影した画像及び自車25の前方を撮影するための前方カメラ22が撮影した画像に基づいて、自車25の右側の側方死角範囲28における他の車両の存在を推測した案内を行うようになっている。具体的には、後方カメラ23が撮影した画像に含まれる他の車両が、遠方へ遠ざかることなしに、前記後方カメラ23が撮影した画像に含まれなくなったとき、及び、前方カメラ22が撮影した画像に含まれる他の車両が、遠方へ遠ざかることなしに、前記前方カメラ22が撮影した画像に含まれなくなったとき、当該他の車両が自車25の側方に存在すると推測して案内を行う。
【0063】
そのため、少数の撮像装置によって自車25の右側の側方死角範囲28における他の車両の存在を的確に把握することができ、ユーザが車線変更を行って右側車線31Rに移動しようとする際に、案内を行うことができる。これにより、ユーザは、自車25の右側側方の情報を容易に、かつ、適確に確認することができ、不安を感じることなく、容易に、かつ、安全に自車25の運転を行うことができる。また、撮像装置が少数なので、車両周辺監視装置10のコストを低く抑えることができる。
【0064】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0065】
本実施の形態において、車両周辺監視装置10は、前方カメラ22を有しておらず、後方カメラ23が撮影した画像のみに基づいて、自車25の右側の側方死角範囲28における他の車両の存在を推測するようになっている。なお、その他の点の構成については、前記第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0066】
次に、本実施の形態における側方監視動作について説明する。
【0067】
図9は本発明の第2の実施の形態における車両周辺監視装置の側方監視動作を示すフローチャートである。
【0068】
まず、車両周辺監視装置10は、自車25が片側2車線の道路31上の左側車線31Lを走行している場合、自車25の方向指示器が作動しているか否か、すなわち、ウィンカーONであるか否かを判断する。ここで、ウィンカーONであるということは、自車25の運転者としてのユーザが車線変更を行って右側車線31Rに移動しようとしていることを意味する。なお、ウィンカーONであるか否かの判断は、ウィンカーONになるまで繰り返して行われる。
【0069】
そして、ウィンカーONである場合、車両周辺監視装置10は、登録側方車両ありか否かを判断する。ここで、登録側方車両なしの場合、車両周辺監視装置10はそのまま処理を終了する。また、登録側方車両ありの場合にはビープ音を出力して処理を終了する。この場合、スピーカ18から「ピッピッピ」等のビープ音を警告として音声出力する。これにより、ユーザは、自車25の右側側方に他の車両が存在することを容易に確認することができ、車線変更を行わないようにすることができる。
【0070】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS51 ウィンカーONであるか否かを判断する。ウィンカーONである場合はステップS52に進み、ウィンカーONでない場合はウィンカーONになるまで繰り返して行う。
ステップS52 登録側方車両ありか否かを判断する。登録側方車両ありの場合はステップS53に進み、登録側方車両なしの場合は処理を終了する。
ステップS53 ビープ音を出力して処理を終了する。
【0071】
次に、後方カメラ23による認識処理について説明する。
【0072】
図10は本発明の第2の実施の形態における車両周辺監視装置の後方カメラによる認識処理の動作を示すフローチャートである。
【0073】
車両周辺監視装置10は、前記第1の実施の形態と同様に、後方カメラ23による認識処理を所定周期、例えば、10〔msec〕毎に繰り返して行う。なお、認識処理を開始してから、再登録されなかった登録後方車両の位置が側方に移動したか否かを判断するまでの動作については、前記第1の実施の形態における後方カメラ23による認識処理と同様であるので、説明を省略する。
【0074】
そして、再登録されなかった登録後方車両の位置が側方に移動した場合、車両周辺監視装置10は、当該登録後方車両の車両データを消去し、側方車両として登録変更して処理を終了する。この場合、当該側方車両を識別するためのID等の付帯情報を含む当該側方車両の車両データが新規に登録される。そして、当該側方車両の車両データが新規に登録されると、タイマー処理が開始され、一定時間が経過すると、登録された側方車両の車両データが自動的に消去される。なお、再登録されなかった登録後方車両の位置が側方に移動しなかった場合には、前記第1の実施の形態と同様に、車両周辺監視装置10は、当該登録後方車両が遠方へ遠ざかったものと判断し、当該登録後方車両の登録を削除して処理を終了する。
【0075】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS61 後方カメラ画像中に含まれる車両の認識を行う。
ステップS62 車両位置の算出を行う。
ステップS63 判定する車両なしか否かを判断する。判定する車両なしの場合はステップS71に進み、判定する車両ありの場合はステップS64に進む。
ステップS64 登録後方車両との比較を行う。
ステップS65 同一車両ありか否かを判断する。同一車両ありの場合はステップS66に進み、同一車両なしの場合はステップS67に進む。
ステップS66 後方カメラ画像から抽出されて識別された車両を後方車両として再登録する。この場合、時刻、速度ベクトル、ID等が更新される。
ステップS67 登録側方車両との比較を行う。
ステップS68 同一車両ありか否かを判断する。同一車両ありの場合はステップS69に進み、同一車両なしの場合はステップS70に進む。
ステップS69 後方カメラ画像から抽出されて識別された車両と同一の車両が登録側方車両に含まれている場合、当該登録側方車両の車両データを消去し、後方車両として登録変更する。この場合、時刻、速度ベクトル、ID等が登録される。
ステップS70 後方カメラ画像から抽出されて識別された車両を後方車両として新規登録する。この場合、時刻、速度ベクトル、ID等が新規に登録される。
ステップS71 再登録されなかった登録後方車両なしか否かを判断する。再登録されなかった登録後方車両なしの場合は処理を終了し、再登録されなかった登録後方車両ありの場合はステップS72に進む。
ステップS72 登録後方車両の位置が側方に移動したか否かを判断する。登録後方車両の位置が側方に移動した場合はステップS73に進み、登録後方車両の位置が側方に移動していない場合はステップS74に進む。
ステップS73 登録後方車両の車両データを消去し、側方車両として登録変更する。この場合、当該側方車両を識別するためのID等の付帯情報を含む当該側方車両の車両データが新規に登録される。
ステップS74 登録後方車両の登録を削除して処理を終了する。
【0076】
次に、タイマー処理について説明する。
【0077】
図11は本発明の第2の実施の形態における車両周辺監視装置のタイマー処理の動作を示すフローチャートである。
【0078】
まず、車両周辺監視装置10は、側方車両の車両データが新規に登録されてから一定時間が経過したか否かを判断する。なお、一定時間が経過したか否かの判断は、一定時間が経過するまで繰り返して行われる。また、該一定時間は、後方撮影範囲27内から側方死角範囲28に進入した他の車両が、自車25を追い越して前方撮影範囲26内にまで移動するために必要であると考えられる時間であるが、任意に設定することができる。
【0079】
そして、一定時間が経過すると、車両周辺監視装置10は、新規に登録された側方車両の車両データが後方車両として登録変更していないか否かを判断する。そして、後方車両として登録変更している場合には、そのまま処理を終了する。また、後方車両として登録変更している場合、登録側方車両の車両データを消去して処理を終了する。
【0080】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS81 側方車両の車両データが新規に登録されてから一定時間が経過したか否かを判断する。側方車両の車両データが新規に登録されてから一定時間が経過した場合はステップS82に進み、側方車両の車両データが新規に登録されてから一定時間が経過していない場合は一定時間が経過するまで繰り返して行われる。
ステップS82 新規に登録された側方車両の車両データが後方車両として登録変更していないか否かを判断する。新規に登録された側方車両の車両データが後方車両として登録変更していない場合はステップS83に進み、新規に登録された側方車両の車両データが後方車両として登録変更した場合は処理を終了する。
ステップS83 登録側方車両の車両データを消去して処理を終了する。
【0081】
このように、本実施の形態において、車両周辺監視装置10は、所定の条件が満たされると、自車25の後方を撮影するための後方カメラ23が撮影した画像に基づいて、自車25の右側の側方死角範囲28における他の車両の存在を推測して案内を行うようになっている。具体的には、後方カメラ23が撮影した画像に含まれる他の車両が、遠方へ遠ざかることなしに、前記後方カメラ23が撮影した画像に含まれなくなったとき、当該他の車両が自車25の側方に存在すると推測して案内を行う。
【0082】
そのため、後方カメラ23のみによって自車25の右側の側方死角範囲28における他の車両の存在を的確に把握することができ、ユーザが車線変更を行って右側車線31Rに移動しようとする際に、案内を行うことができる。これにより、ユーザは、自車25の右側側方の情報を容易に、かつ、適確に確認することができ、不安を感じることなく、容易に、かつ、安全に自車25の運転を行うことができる。また、撮像装置が後方カメラ23のみなので、車両周辺監視装置10のコストを低く抑えることができる。
【0083】
なお、前記実施の形態においては、片側2車線の道路の左側車線に車両の現在位置が存在する場合に、側方監視動作を行うようにしたが、現在位置が存在する車線が、片側2車線の道路の右側車線である場合にも、同様に左側の側方死角範囲における車両について側方監視動作を行うこともできる。
【0084】
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置が取得する画像の範囲を示す第1の図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置が取得する画像の範囲を示す第2の図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置の表示装置に表示された案内画面の例を示す第1の図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置の表示装置に表示された案内画面の例を示す第2の図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置の側方監視動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置の後方カメラによる認識処理の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態における車両周辺監視装置の前方カメラによる認識処理の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態における車両周辺監視装置の側方監視動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2の実施の形態における車両周辺監視装置の後方カメラによる認識処理の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施の形態における車両周辺監視装置のタイマー処理の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
10 車両周辺監視装置
11 ナビゲーション装置
12 位置検出手段
13 地図情報データベース
14 センサ信号取得処理装置
15 車速センサ
16 ステアリングセンサ
17 表示装置
18 スピーカ
22 前方カメラ
23 後方カメラ
25 自車
32 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)車両の後方を撮影する後方撮影装置と、
(b)前記車両の側方についての案内を行う案内装置とを有し、
(c)前記後方撮影装置の撮影した画像に基づいて前記車両の側方における他の車両の存在を推測し、前記案内装置に案内を行わせることを特徴とする車両周辺監視装置。
【請求項2】
前記後方撮影装置の撮影した画像に含まれる他の車両が、遠方へ遠ざかることなしに、前記後方撮影装置の撮影した画像に含まれなくなったとき、当該他の車両が前記車両の側方に存在すると推測する請求項1に記載の車両周辺監視装置。
【請求項3】
(a)前記車両の前方を撮影する前方撮影装置を更に有し、
(b)前記後方撮影装置及び前方撮影装置の撮影した画像に基づいて前記車両の側方における他の車両の存在を推測する請求項1に記載の車両周辺監視装置。
【請求項4】
前記後方撮影装置の撮影した画像に含まれる他の車両が、遠方へ遠ざかることなしに、前記後方撮影装置の撮影した画像に含まれなくなったとき、及び、前記前方撮影装置の撮影した画像に含まれる他の車両が、遠方へ遠ざかることなしに、前記前方撮影装置の撮影した画像に含まれなくなったとき、当該他の車両が前記車両の側方に存在すると推測する請求項3に記載の車両周辺監視装置。
【請求項5】
(a)前記車両の状況を取得する状況取得装置を更に有し、
(b)該状況取得装置が取得した車両の現在位置の属性に応じて前記車両の側方における他の車両の存在を推測する請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両周辺監視装置。
【請求項6】
前記車両の現在位置の属性は、前記車両の現在位置が存在する車線である請求項5に記載の車両周辺監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−42039(P2007−42039A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−228291(P2005−228291)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】