説明

車両室外撮像装置

【課題】記憶容量の増加を抑制可能な車両室外撮像装置等を提供する。
【解決手段】車両室外撮像装置は、車両の室の内部の人の所定の状況変化を検知する検知用マイク10、検知用カメラ20等の検知部と、車両の室の外部を連続的に撮像して一連の外部画像を生成する外部撮像部40と、人の所定の状況変化が検知部によって検知される場合、一連の外部画像のうちの一部を記憶する記憶部60と、を備える。車両室外撮像装置は、車両の室の内部を連続的に撮像して一連の内部画像を生成する内部撮像部70を備えることができる。この場合、記憶部60は、一連の内部画像のうちの一部も記憶することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の室内の人の所定の状況変化を検知して、車両の室外を撮像した画像を記憶する車両室外撮像装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図1(a)は、ドライブログに適用可能な撮像装置1を開示し、撮像装置1は、ダッシュボードに設定され、自動車の進行方向(正面方向)を被写体方向として室外の画像を撮像し、その画像を記憶している。特許文献1の図3(a)に示されるように、撮像装置1は、速度に応じて、現在の画像と次の画像との時間間隔(T4,T3,T2,T1)を決定している。このように速度に応じて撮像するタイミングを決定することで、特許文献1の図3(b)に示されるように、撮像装置1は、一定の距離Lx毎に画像を撮像し、その画像を記憶することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−49950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の撮像装置1において、一定の距離Lx毎に記憶される画像がユーザにとって最適な瞬間を表していない可能性がある。従って、最適な瞬間で画像を記憶するためには、常に画像を記憶し続けなければならない。言い換えれば、最適な瞬間で画像を記憶するためには、記憶容量が増加してしまう。
【0005】
本発明の1つの目的は、記憶容量の増加を抑制可能な車両室外撮像装置等を提供することである。本発明の他の目的は、以下に述べる複数の形態及び好ましい実施形態、並びに添付の図面を参照することによって、当業者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に、本発明の概要を容易に理解するために、本発明に従う態様を例示する。
【0007】
本発明に従う第1の態様は、車両の室の内部の人の所定の状況変化を検知する検知部と、
前記室の外部を連続的に撮像して一連の外部画像を生成する外部撮像部と、
前記所定の状況変化が前記検知部によって検知される場合、前記一連の外部画像のうちの一部を記憶する記憶部と、
を備えることを特徴とする車両室外撮像装置に関係する。
【0008】
一連の外部画像は、外部撮像部によって生成されるので、最適な瞬間での画像を含むことができる。言い換えれば、非連続的に(例えば一定の距離毎に)撮像される画像は、最適な瞬間を表していない可能性がある。車両室外撮像装置は、外部撮像部を備えて、最適な瞬間での画像を含む一連の外部画像を生成し、一連の外部画像のすべてを記憶部に記憶するのではなく、一連の外部画像の一部を記憶部に記憶する。これにより、記憶部の記憶容量の増加を抑制することができる。また、一連の外部画像の一部が最適な瞬間を表すように、車両室外撮像装置は、車両の室の内部の人の所定の状況変化(例えば、人が歓声を上げたこと、人が車両の室の外部を見たこと等)を検知する検知部を備えている。
【0009】
第1の態様において、車両室外撮像装置は、
前記室の内部を連続的に撮像して一連の内部画像を生成する内部撮像部を
さらに備えてもよく、
前記所定の状況変化が前記検知部によって検知される場合、前記記憶部は、前記一連の内部画像のうちの一部も記憶してもよい。
【0010】
記憶部は、最適な瞬間での外部画像(例えば、景色等)だけでなく、最適な瞬間での内部画像(例えば、車両の室の内部の様子等)も、記憶することができる。
【0011】
第1の態様において、前記内部撮像部は、前記室の天井部に、前記室の前方向及び後方向に移動可能に設置されてもよい。
【0012】
内部撮像部が車両の室の前方向及び後方向(前後方向)に移動することにより、より的確な内部画像を記憶することができる。特に、例えばワンボックスカー、バス等のように、車両の室が前後方向に長い場合、このような内部撮像部は、より有効である。
【0013】
第1の態様において、前記検知部は、前記室の前から後を撮像して検知用の画像を生成する検知用の撮像部であってもよく、
前記検知用の撮像部は、前記検知用の画像から運転者及び窓が除かれた領域で所定の画素変化を検知することによって、前記所定の状況変化を検知してもよい。
【0014】
一般に、運転に伴って運転者の動作が生じ、車両の動きに伴って窓を介した景色等も変化する。従って、このような画素変化が相対的に多い領域を検知用の画像から排除することにより、検知用の撮像部で所定の状況変化を検知する場合であっても、運転者等のユーザが意図しない画像が記憶部に記憶されることを抑制することができる。
【0015】
第1の態様において、前記検知部は、前記室の内部を録音して検知用の音を生成する検知用の録音部であってもよく、
前記検知用の録音部は、前記検知用の音が所定値以上である時に所定の音量変化を検知することによって、前記所定の状況変化を検知してもよい。
【0016】
一般に、車両の動きに伴って走行音が車両の室の内部にまで伝わってしまう。従って、このような本質的な内部の音を表さない音を検知用の音から排除することにより、検知用の録音部で所定の状況変化を検知する場合であっても、運転者等のユーザが意図しない画像が記憶部に記憶されることを抑制することができる。
【0017】
当業者は、例示した本発明に従う態様が、本発明の精神を逸脱することなく、さらに変更され得ることを容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に従う車両室外撮像装置の概略構成図を示す。
【図2】車両室外撮像装置の配置例を示す。
【図3】図3(A)、図3(B)、図3(C)及び図3(D)は、それぞれ、図2の検知用マイク、検知用カメラ、車外用カメラ及び車内用カメラの外観例を示す。
【図4】図4(A)は、図1の検知用マイクで生成される音圧の時間変化の一例を示し、図4(B)は、図4(A)中の所定値の車速依存性の一例を示す。
【図5】図2の検知用カメラで生成される画像の一例を示す。
【図6】図1の記憶手段で記憶される動画の構成例を示す。
【図7】図7(A)は、図1の表示装置の外観例を示し、図7(B)は、表示装置の表示領域中のアイコンの表示例を示す。
【図8】図8(A)及び図8(B)は、図1の記憶手段に記録される動画の再生例を示す。
【図9】図9(A)、図9(B)及び図9(C)は、図1の記憶手段に記録される動画(内部画像)の再生例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に説明する好ましい実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。従って、当業者は、本発明が、以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
【0020】
図1は、本発明に従う車両室外撮像装置の概略構成図を示す。図1に示されるように、車両室外撮像装置は、検知用マイク10等の検知部と、車外用カメラ40等の外部撮像部と、記憶手段60等の記憶部と、を備える。検知部は、自動車等の車両の室130の内部の人(車両室外撮像装置のユーザ)の所定の状況変化を検知し、例えば検知用マイク10及び/又は検知用カメラ20で構成することができる。外部撮像部は、室130の外部を連続的に撮像して一連の外部画像を生成する。一連の外部画像は、例えば一次記憶手段50で記憶される。室130の内部の人の所定の状況変化が検知部によって検知される場合、記憶手段60は、一連の外部画像のうちの一部を記憶する。なお、一次記憶手段50は、例えば車外用カメラ40の内部メモリ、フラッシュメモリドライブ等で構成してもよく、記憶手段60は、例えばハードディスクドライブ等で構成してもよい。
【0021】
車外用カメラ40は、室130の外部を連続的に撮像するので、例えば特許文献1の図3(b)に示されるような、一定の距離Lx毎に画像を撮像する撮像装置1とは異なる。言い換えれば、車外用カメラ40は、室130の外部を連続的に撮像して一連の外部画像を生成するので、一連の外部画像は、最適な瞬間での画像を含むことができる。これに対し、非連続的に(例えば一定の距離毎に)撮像される画像は、最適な瞬間を表していない可能性がある。
【0022】
なお、一連の外部画像を常に記憶し続ける場合、記憶容量が増加してしまう。そこで、一次記憶手段50は、ある一定量の最新の一連の外部画像だけを記憶し、古くなった外部画像は、順次、新しい外部画像に置き換えられる。言い換えれば、一連の外部画像は、一次記憶手段50に一時的に記憶されているに過ぎず、一次記憶手段50は、ある一定量の一連の外部画像をエンドレスに記憶することができる。
【0023】
さらに、記憶手段60は、あるタイミングで一連の外部画像のうちの一部を保存することができる。言い換えれば、記憶手段60は、一連の外部画像を常に記憶し続けるのではなく、最適な瞬間での画像を含むようなタイミングで、一連の外部画像の一部を記憶する。これにより、記憶手段60の記憶容量の増加を抑制することができる。また、一連の外部画像の一部が最適な瞬間を表すように、検知用マイク10は、例えば、人が歓声を上げたことを検知し、検知用カメラ20は、例えば、人が室130の外部を見たことを検知する。
【0024】
図1の例において、車両室外撮像装置は、車内用カメラ70等の内部撮像部をさらに備えることができる。内部撮像部は、室130の内部を連続的に撮像して一連の内部画像を生成する。一次記憶手段60は、一連の外部画像及び一連の内部画像の双方を所定の記憶容量でエンドレスに記憶することができる。室130の内部の人の所定の状況変化が例えば検知用マイク10によって検知される場合、記憶手段60は、一連の外部画像のうちの一部及び一連の内部画像のうちの一部の双方を記憶する。記憶手段60は、最適な瞬間での外部画像(例えば、景色等)だけでなく、最適な瞬間での内部画像(例えば、車両の室の内部の様子等)も、記憶することができる。
【0025】
図1の例において、車両室外撮像装置は、検知用マイク10及び検知用カメラ20の双方を備え、状況変化判定手段30をさらに備える。例えば、検知用マイク10、検知用カメラ20及び状況変化判定手段30で検知部を構成することができる。検知用マイク10等の検知用の録音部は、室130の内部を録音して検知用の音を生成し、生成した検知用の音を状況変化判定手段30等の処理部に送る。検知用カメラ20等の検知用の撮像部は、室130の内部を撮像して検知用の画像を生成し、生成した検知用の画像を状況変化判定手段30等の処理部に送る。状況変化判定手段30等の処理部は、例えば、CPU、MPU、ECU等で構成することができる。状況変化判定手段30は、検知用の音及び/又は検知用の画像に基づき人の所定の状況変化があったか否かを判定する。人の所定の状況変化があった場合、状況変化判定手段30は、人の所定の状況変化があったことを表す信号(トリガー信号)を一次記憶手段50に送ることができる。一次記憶手段50は、この信号に基づき一連の外部画像のうちの一部及び一連の内部画像のうちの一部の双方を記憶手段60に送ることができる。
【0026】
図1の例において、車両室外撮像装置は、マニュアルボタン90をさらに備えることができる。マニュアルボタン90は、人の操作を検知することができ、人がマニュアルボタン90を押す時に、マニュアルボタン90は、例えば状況変化判定手段30にトリガー信号(人が記憶したいと思ったことを表す信号)を送ることができる。人がマニュアルボタン90を押す時に、記憶手段60は、例えば状況変化判定手段30からのトリガー信号に基づき、例えば一連の外部画像のうちの一部を記憶することができる。なお、検知用マイク10等の検知部は、人の所定の状況変化を自動的に検知するので、人への負荷が小さいことが利点であり、マニュアルボタン90は、より確実に最適な瞬間での画像を記憶することが利点である。
【0027】
図1の例において、車両室外撮像装置は、手動スイッチ100をさらに備えることができる。トリガー信号が状況変化判定手段30から一次記憶手段50に送られないように、手動スイッチ100は、状況変化判定手段30を制御することができる。例えば、車両のドアの開閉音、車両のエンジンの始動音等、人が意図しない画像が記憶手段60に記憶されることを防止することができる。図1の例において、車両室外撮像装置は、表示装置110、操作ボタン120及び操作手段/駆動手段80をさらに備えることができ、これらについては後述する。
【0028】
図2は、車両室外撮像装置の配置例を示す。図2の例において、図1の車外用カメラ40(外部撮像部)は、例えば3つの車外用カメラ40a,40b,40cからなる。もちろん、外部撮像部は、1つの車外用カメラで構成してもよく、複数の車外用カメラで構成してもよい。図2の例において、車外用カメラ40aは、例えば自動車のルーフの後方に配置され、車外用カメラ40bは、例えばダッシュボードの上に配置され、車外用カメラ40cは、自動車のフロントバンパーに配置される。3つの車外用カメラ40a,40b,40cの各々は、室130の外部を連続的に撮像して一連の外部画像を生成することができる。
【0029】
図2の例において、図1の検知用マイク10(検知部)は、例えば2つの検知用マイク10a,10bからなる。図2の例において、検知用マイク10aは、例えば天井の前方に配置され、検知用マイク10bは、例えば天井の後方に配置される。検知用マイク10a,10bの各々は、室130の内部を連続的に録音して一連の検知用の音を生成することができる。図2の例において、例えば天井に、検知用カメラ20及び車内用カメラ70が配置されている。検知用カメラ20(検知部)は、室130の内部を連続的に撮像して一連の検知用の画像を生成することができる。車内用カメラ70(内部撮像部)は、室130の内部を連続的に撮像して一連の内部画像を生成することができる。
【0030】
図2の例において、図1の状況変化判定手段30は、例えば床の後方に配置され、図1の手動スイッチ100は、例えば第1のシート列に配置され、図1の表示装置110は、例えばダッシュボードの内部に配置される。図1のマニュアルボタン90及び操作手段/駆動手段80は、図示されていないが、これらは、例えば手動スイッチ100の近くに配置することができる。また、図1の操作ボタン120も、図示されていないが、これは、例えば表示装置110をタッチパネル型のディスプレイで構成することで、タッチパネル型のディスプレイが表示装置110及び操作ボタン120を兼用してもよい。
【0031】
図3(A)、図3(B)、図3(C)及び図3(D)は、それぞれ、図2の検知用マイク10b、検知用カメラ20、車外用カメラ40a及び車内用カメラ70の外観例を示す。検知用マイク10bは、例えば、第1のシート列以外の第2及び第3のシート列に対応し、室130の後方の人の声を検知することができる(図2、図3(A))。また、検知用マイク10bが例えば天井の後方右側に配置される場合、図示しない検知用マイクをさらに追加して、追加された検知用マイクを例えば天井の後方左側に配置してもよい。言い換えれば、天井の後方に配置される検知用マイク10bを2つのマイクで構成してもよい。
【0032】
検知用カメラ20は、例えば室130の前から後を撮像して、例えば室130の内部の人の動きを検知することができる(図2、図3(B))。車外用カメラ40aは、例えば室130の外部の景色を撮像することができ、例えば360度カメラ(全方位カメラ)で構成することができる(図2、図3(C))。車内用カメラ70は、例えば室130の天井部130に、室130の前方向DR1及び後方向DR2に移動可能に設置されている(図2、図3(D))。図3(D)の例において、車内用カメラ70は、レール71に沿って例えば図示されないモータで移動することができる。
【0033】
車内用カメラ70(内部撮像部)が室130の前後方向に移動することにより、より的確な内部画像を記憶手段60に記憶することができる。特に、例えばワンボックスカー、バス等のように、車両の室130が前後方向に長い場合、このような車内用カメラ70は、より有効である。なお、図2に示すように、検知用マイク10は、例えば2つの検知用マイク10a,10bからなり、室130の前方で歓声が上がったのか、或いは室130の後方で歓声が上がったのかを検知することができる。歓声が上がった場所に自動的に近づくように、車内用カメラ70が室130の前後方向に移動することができる。
【0034】
図4(A)は、図1の検知用マイク10で生成される音圧の時間変化の一例を示す。音圧は、例えば2つの検知用マイク10a,10bからの音圧を合計して得ることもできるが、歓声が上がった場所を検知する場合、図4(A)に示される音圧は、夫々の検知用マイクからの音圧であることが好ましい。図4(A)の例において、音圧(実線)が時刻Tで所定の量だけ増加し、音圧(バーグラフ)は、所定間隔でサンプリングされた検知用の音を表す。図4(A)に示されるような時刻Tでの所定の音量変化(前回のサンプリングされた音圧と今回のサンプリングされた音圧との差が所定の量だけ増加する変化)は、例えば状況変化判定手段30(処理部)で検知することができる。
【0035】
ところで、一般に、自動車の動きに伴って走行音が室130の内部にまで伝わってしまう。従って、このような本質的な内部の音を表さない音を検知用の音から排除することが好ましい。そこで、状況変化判定手段30(処理部、検知用の録音部)は、検知用の音が所定値以上である時だけに、その検知用の音に所定の音量変化があるか否かを判定することが好ましい。言い換えれば、例えば図4(A)の点線で表される所定値よりも小さい音圧は、ロードノイズとみなすことができる。状況変化判定手段30が、検知用の音が所定値以上である時に所定の音量変化を検知することによって、人が意図しない画像が記憶手段60に記憶されることを抑制することができる。なお、状況変化判定手段30は、検知用の音にフィルタ処理を施してもよく、図4(A)に示される音圧は、周波数によるフィルタを介して人(好ましくは事前に認識された人)の声だけを検知してもよい。
【0036】
図4(B)は、図4(A)中の所定値の車速依存性の一例を示す。図4(B)に示すように、所定値は、車速に応じて変更することができる。一般に、走行音(ロードノイズ)は、車速に応じて増加するが、車速が速い場合であっても、走行音は飽和し、車速が遅い場合や自動車が停止しても、室130の外部からの音が室130の内部にまで伝わることがある。図4(B)の例において、車速V1から車速V2までの間で、所定値は、直線的に増加しているが、所定値の設定は、図4(B)の例に限定されない。
【0037】
図5は、図2の検知用カメラ20で生成される画像の一例を示す。図5の例において、室130の内部の人の数は4名であり、検知用カメラ20で生成される画像は、大人の男性の運転者(第1のシート列の運転席)、大人の女性(第1のシート列の助手席)、子供の男性(第2のシート列)及び子供の女性(第2のシート列)を含む。図5の例において、検知用カメラ20で生成される画像は、窓132,133,134,135も含む。一般に、運転に伴って運転者の動作が生じ、自動車の動きに伴って窓132,133,134,135,136を介した景色等も変化する。従って、このような画素変化が相対的に多い領域を検知用の画像から排除することが好ましい。そこで、検知用カメラ20は、検知用の画像から運転者及び窓が除かれた領域で所定の画素変化を検知することが好ましい。図5に示されるように、室130の中心線0Bは、運転席と助手席との中点を通り、中心線0B付近(但し、後方の窓136(リアウインドウ)の領域を除く)は、画素変化が相対的に少ない領域である。図5の例において、中心線0B付近に検知領域21,22が設定され、検知領域21は、例えば天井部131の後方の領域(後方の窓136の上側)であり、検知領域22は、例えば運転席と助手席との間の領域(後方の窓136の下側)である。検知領域21は、例えば第2のシート列の子供の男女が身を乗り出すことを検知可能とし、検知領域22は、例えば第1のシート列の大人の男女が手を握ることを検知可能とする。検知用カメラ20は、検知領域21等の中心線0B付近に設定された領域(但し、後方の窓136の領域を除く)で所定の画素変化を検知することが好ましい。
【0038】
図6は、図1の記憶手段60で記憶される動画の構成例を示す。図6の例において、時刻Tは、例えば図4(A)の時刻Tに対応し、人の所定の状況変化が検知された時刻を表す。図6で示されるように、図1の一次記憶手段50は、一連の外部画像を録画することができ、図1の記憶手段60は、例えば時刻Tの5秒前の時刻から時刻Tの15秒後の時刻までに対応する一連の外部画像の一部のみを保存することができる。図6の例において、記憶手段60に記憶される画像は、例えば20秒間分の動画であるが、動画を保存する時間は20秒に限定されない。また、記憶手段60は、時刻T以降の例えば20秒間分の動画を保存してもよく、時刻Tをトリガーとする静止画を保存してもよい。
【0039】
図7(A)は、図1の表示装置110の外観例を示し、図7(B)は、表示装置110の表示領域中のアイコン111の表示例を示す。図7(A)の例において、表示装置110は、カーナビゲーション装置である。カーナビゲーション装置(表示装置110)は、地図を表示するとともに、車両室外撮像装置の作動状況を表すアイコン111を表示することができる。図7(B)に示されるように、アイコン111は、例えば「記録中」、「記録完了、再生可」、「再生済」を区別して表示することができる。「記録中」を表すアイコン111は、例えば赤色で表すことができ、「記録完了、再生可」を表すアイコン111は、例えば黄色で表すことができ、「再生済」を表すアイコン111は、例えば緑色で表すことができる。
【0040】
記憶手段60への例えば20秒分の動画が記録中である時に、「記録中」を表すアイコン111が表示される。記憶手段60への動画の記録が完了した時、その動画が再生される前に、「記録完了、再生可」を表すアイコン111が表示される。記憶手段60の動画の再生が完了した時、次の動画が記憶手段60に記録される前に、「再生済」を表すアイコン111が表示される。図1の操作ボタン120は、表示装置110を制御することが可能であり、例えば「記録完了、再生可」を表すアイコン111で構成することができる。即ち、「記録完了、再生可」を表すアイコン111が表示される時に、人がそのアイコン111に触れることにより、カーナビゲーション装置は、地図を含むナビゲーション画面から再生画面に切り替え、カーナビゲーション装置(表示装置110)は、記憶手段60の動画を表示することができる(例えば図8(A)参照)。
【0041】
図7(B)に示されるように、アイコン111は、例えば「音声トリガー」、「動きトリガー」も区別して表示することができる。「音声トリガー」を表すアイコン111は、例えば口を表すイラストで表すことができ、例えば図6の時刻T(トリガー)が検知用マイク10によって生成されたことを意味する。「動きトリガー」を表すアイコン111は、例えば手を表すイラストで表すことができ、例えば図6の時刻T(トリガー)が検知用カメラ20によって生成されたことを意味する。
【0042】
なお、時刻T(トリガー)で人の所定の状況変化を検知された後、「記録中」及び「記録完了、再生可」を表すアイコン111が表示される間、状況変化判定手段30は、その判定処理を停止してもよい。これにより、状況変化判定手段30から新たなトリガーの発信が防止され、記憶手段60は、無駄な反応を防止することができる。さらに、「再生済」を表すアイコン111が表示された後、例えば5秒間、状況変化判定手段30は、その判定処理を停止してもよい。記憶手段60の動画を再生した直後は、人の声(動画の感想等)が生じる可能性があり、記憶手段60は、無駄な反応を防止することができる。
【0043】
図8は、図1の記憶手段60に記録される動画の再生例を示す。図8(A)の例において、カーナビゲーション装置(表示装置110)に表示される画像は、車内用カメラ70(内部撮像部)によって撮像された内部画像71,72と、例えば車外用カメラ40a(外部撮像部)によって撮像された外部画像41,42とを含む。車内用カメラ70は、360度カメラで構成することができ、内部画像71は、例えば0〜180度分の画像に対応し、内部画像72は、例えば180〜360度分の画像に対応する。また、表示装置110は、ループボタン112を表すアイコンを表示することができる。図8(B)の例において、表示装置110に表示される画像は、内部画像71,72(小画面)及び外部画像41,42(大画面)を含む。
【0044】
図1の操作ボタン120は、例えば図8(A)の外部画像41,42(小画面)及びループボタン112で構成することができる。即ち、図8(A)の例において、人が外部画像41,42(小画面)に触れることにより、表示装置110は、外部画像41,42を拡大し、内部画像71,72を縮小することができる(例えば図8(B)参照)。さらに、図8(A)の例において、人がループボタン112に触れることにより、表示装置110は、記憶手段60に記録される動画の連続して再生することができる。
【0045】
図9は、図1の記憶手段60に記録される動画(内部画像71,72)の再生例を示す。図9(A)は、図2の車内用カメラ70が例えば第1のシート列を重視する位置に配置された時の内部画像71,72の一例を示す。図9(B)は、図2の車内用カメラ70が例えば第2のシート列を重視する位置に配置された時の内部画像71,72の一例を示す。図9(C)は、図2の車内用カメラ70が例えば第3のシート列を重視する位置に配置された時の内部画像71,72の一例を示す。上述したように、車内用カメラ70は、検知用マイク10での人の声の検知に伴い、前後方向に自由に自動的に移動することができるが、シート列毎に定められた所定の場所に移動することで、室130の内部の人の表情をより的確に記憶することができる。加えて、図1の操作手段/駆動手段80は、人によって車内用カメラ70の位置を前後に移動させることもでき、人が操作手段80を操作することによって駆動手段80がその操作に応じた駆動信号を例えばモータに送り、そのモータで、車内用カメラ70が移動可能になる。
【0046】
本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されず、また、当業者は、上述の例示的な実施形態を特許請求の範囲に含まれる範囲まで、容易に変更することができるであろう。
【符号の説明】
【0047】
10・・・検知用マイク(検知部)、20・・・検知用カメラ(検知部)、21、22・・・検知領域、30・・・状況変化判定手段(処理部)、40・・・車外用カメラ(外部撮像部)、41,42・・・外部画像、50・・・一次記憶手段(撮像部/記憶部/処理部)、60・・・記憶手段(記憶部)、70・・・車内用カメラ(内部撮像部)、71,72・・・内部画像、80・・・操作手段/駆動手段、90・・・マニュアルボタン、100・・・手動スイッチ、110・・・表示装置(表示部)、111・・・アイコン、112・・・ループボタン、120・・・操作ボタン、130・・・車両の室、131・・・天井部、132,133,134,135・・・窓、136・・・後方の窓(リアウインドウ)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室の内部の人の所定の状況変化を検知する検知部と、
前記室の外部を連続的に撮像して一連の外部画像を生成する外部撮像部と、
前記所定の状況変化が前記検知部によって検知される場合、前記一連の外部画像のうちの一部を記憶する記憶部と、
を備えることを特徴とする車両室外撮像装置。
【請求項2】
前記室の内部を連続的に撮像して一連の内部画像を生成する内部撮像部を
さらに備え、
前記所定の状況変化が前記検知部によって検知される場合、前記記憶部は、前記一連の内部画像のうちの一部も記憶することを特徴とする請求項1に記載の車両室外撮像装置。
【請求項3】
前記内部撮像部は、前記室の天井部に、前記室の前方向及び後方向に移動可能に設置されていることを特徴とする請求項2に記載の車両室外撮像装置。
【請求項4】
前記検知部は、前記室の前から後を撮像して検知用の画像を生成する検知用の撮像部であり、
前記検知用の撮像部は、前記検知用の画像から運転者及び窓が除かれた領域で所定の画素変化を検知することによって、前記所定の状況変化を検知することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両室外撮像装置。
【請求項5】
前記検知部は、前記室の内部を録音して検知用の音を生成する検知用の録音部であり、
前記検知用の録音部は、前記検知用の音が所定値以上である時に所定の音量変化を検知することによって、前記所定の状況変化を検知することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両室外撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−62606(P2013−62606A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198584(P2011−198584)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】